説明

画像データセットからのビューのレンダリング

本発明は、画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリングシステムであって、前記画像データセットのサブセットを選択する選択ユニットと、前記画像データセットのサブセットに基づき、テンソルの第1主軸を計算する計算ユニットと、前記第1主軸に基づき前記ビューをレンダリングし、前記画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリングユニットとを有するレンダリングシステムに関する。画像データセットの選択されたサブセットに構成され、テンソルの第1主軸から抽出される構成の方向性及び向きに関する情報を利用して、レンダリングシステムは、画像データセットから効果的なビューをユーザが選択するのを効果的に支援するよう構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリングシステムに関する。
【0002】
本発明はさらに、上記レンダリングシステムを有する画像データセットを取得する画像取得システムに関する。
【0003】
本発明はさらに、上記レンダリングシステムを有するワークステーションに関する。
【0004】
本発明はさらに、画像データセットからのビューをレンダリングするためのレンダリング方法に関する。
【0005】
本発明はさらに、画像データセットからのビューをレンダリングするための命令を有し、コンピュータ装置によりロードされるコンピュータプログラムプロダクトに関する。
【背景技術】
【0006】
導入部分に記載されたタイプの方法の実施例は、Journal of Evaluation of Thoracic Imaging 19(2004)136−155において刊行されたJane P.Ko及びDavid P.Naidichによる論文“Computer Aided Diagnosis and the Evaluation of Lung Disease”から知られている。当該論文は、インタラクティブな肺結節評価のためのコンピュータプログラムプロダクトについて記載している。当該コンピュータプログラムプロダクトにより使用される3D画像データセットを表示及びナビゲートする方法は、肺結節を有する比較的小さなVOI(Volume Of Interest)の180度回旋を可能にする車輪を利用する。車輪の向きが、VOIの向きを決定する。車輪の向きを変化させることにより取得されるVOI映写シーケンスは、動画として表示することが可能である。車輪映写の閲覧は、3D画像データセットにおける手動のナビゲーションを実現及び容易化し、VOIに構成される結節の最適なビューを選択するのに役立つ。しかしながら、当該方法は、ユーザがVOIの最適なビューを選択することを依然として要求する。これは、不便かつ比較的時間のかかるものであり、エラーを発生させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、ユーザが画像データセットから効果的なビューを選択するのに効果的に支援するよう構成される導入部に記載されるタイプのレンダリングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリングシステムであって、前記画像データセットのサブセットを選択する選択ユニットと、前記画像データセットのサブセットに基づき、テンソルの第1主軸を計算する計算ユニットと、前記第1主軸に基づき前記ビューをレンダリングし、前記画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリングユニットとを有するレンダリングシステムにより解決される。
【0009】
選択ユニットは、以降において構成又は構造(structure)と呼ばれる構成又はその一部からなる画像データセットのサブセットを選択するよう構成される。このような構成の一例は、肺結節である。画像データセットのサブセットは、構成の方向性及び向きに関する情報をキャプチャするため、計算ユニットにより利用される。これは、画像データセットのサブセットに基づきテンソルの第1主軸を計算することにより達成される。テンソルは、例えば、構造テンソル(structure tensor)である。多次元画像データセットの構造テンソルの定義及び性質は、以降において参考文献1として参照される、Horst Haubecker及びBernd Jaehneによる論文“A tensor approach for local structure analysis in multi−dimensional images”(published in 3D Image Analysis and Synthesis ‘96,Ed.by B.Griod et al,Sankt Augustin 1996,171−178)に記載されている。構成を適格なものとするため、当該構成を有する画像データセットから最適化されるビューをレンダリングすることが効果的である。テンソルの第1主軸は、効果的には、画像データセットに構成される構成の近似的な主軸を規定する。レンダリングユニットは、第1主軸に基づき画像データセットからビューをレンダリングするよう構成される。ビューは、構造テンソルの第1主軸に直交する平面に実質的に互いに等しい平面による画像データセットの断面となりうる。あるいは、ビューは、構造テンソルの第1主軸を有する平面に実質的に互いに等しい平面による画像データセットの断面となりうる。レンダリングされたビューは、画像データセットに含まれる構成を適格なものとするため、放射線医師などの医療従事者により利用可能である。画像データセットのサブセットを選択するためのユーザ入力は、当該構成上へのマウスポインタの配置程度の手動によるやりとりしか有さず、任意的にはその後にマウスクリックが含まれる程度である。これにより、レンダリングシステムは、画像データセットから効果的なビューをユーザが選択するのを効果的に支援するよう構成される。
【0010】
本発明のレンダリングシステムは、多次元画像データセット、特に3D及び/又は4D画像データセットからのビューをレンダリングするのに有用である。画像データセットは、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、CT(Computed Tomography)、超音波、PET(Positron Emission Tomography)及びSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)などの多数のイメージングモダリティの何れかから取得可能である。
【0011】
本発明によるレンダリングシステムの実施例では、ビューは、第1主軸を有する平面に実質的に互いに等しい平面による画像データセットの断面である。当該ビューは、第1主軸がテンソルの最小主コンポーネントに対応するとき、以降において血管と呼ばれる血管又はその一部などの細長い構成について特に効果的である。
【0012】
本発明によるレンダリングシステムのさらなる構成では、ビューは、第1主軸に実質的に互いに等しい軸に沿った画像データセットの投影である。このビューは、第1主軸がテンソルの最大主コンポーネントに対応するとき、血管などの細長い構成について特に効果的である。MIP(Maximum Intensity Projection)投影又はIsP(Iso−surface Projection)投影が、投影方向に直交した主軸を有する細長い構成を示す画像データセットからのビューをレンダリングするのに利用可能である。
【0013】
本発明によるレンダリングシステムのさらなる実施例では、計算ユニットは、テンソルの第2主軸を計算するよう構成され、ビューは、第1主軸と第2主軸とを有する平面に実質的に互いに等しい平面による画像データセットの断面となる。このビューは、表示される構成のサイズを推定するため、測定を実行するのに特に効果的である。
【0014】
本発明によるレンダリングシステムのさらなる実施例では、レンダリングシステムは、レンダリングシステムと通信するためのユーザインタフェースを有する。レンダリングシステムとユーザインタフェースを組み合わせることによって、ユーザはレンダリングシステムと通信することが可能となる。ユーザインタフェースは、対象となる構成を選択するため、画像データセットからのビューをユーザに表示するよう構成される。ユーザインタフェースはさらに、画像データセットのサブセットの選択を支援するよう構成される。任意的には、ユーザインタフェースは、ユーザが画像データセットのサブセットを選択する方法を選択し、及び/又はレンダリングのためのビューのタイプを選択し、選択方法及び/又はビュータイプのユーザ選択を受け付けるよう促すよう構成される。
【0015】
本発明によるレンダリングシステムのさらなる実施例では、テンソルは、構造テンソル、慣性テンソル及びヘッセ行列の何れか1つである。アプリケーション及び画像データセットに応じて、これらのテンソルのうちの最も効果的なものが、本発明のレンダリングシステムを実現するため選択することが可能である。任意的には、レンダリングシステムは、評価及び/又は入力に基づき、これらのテンソルの1つを選択するよう構成可能である。
【0016】
本発明によるレンダリングシステムのさらなる実施例では、選択ユニットは、シード(seed)に基づき画像データセットのサブセットを選択するよう構成される。シードは、画像データセットからのビューを表示するよう構成されるユーザインタフェースを利用して入力される。ユーザは、対象となる構成を検出するため画像データセットを視覚的に確認することが可能である。その後、ユーザは構成の中心に近い位置においてマウスをクリックすることができる。選択ユニットは、この位置を受け付けるよう構成される。当該位置は、画像データセットのサブセットのシードを規定する。選択ユニットはさらに、シードに基づき画像データセットのサブセットを拡大するよう構成される。
【0017】
本発明によるレンダリングシステムのさらなる実施例では、選択ユニットは、画像データセットの要素とシードとの間の距離に基づき、画像データセットのサブセットに当該要素を追加するよう構成される。シードと画像データセットの要素との間の距離が所定の値未満である場合、選択ユニットは、画像データセットのサブセットを追加するよう構成される。
【0018】
本発明によるレンダリングシステムのさらなる実施例では、選択ユニットは、候補となるサブセットを適格なものにするための各特徴を計算することにより画像データセットの複数の候補となるサブセットを評価し、当該評価に基づき画像データセットのサブセットを選択するよう構成される。画像データセットのサブセットに基づき計算されるテンソルの有用性は、サブセットの選択のクオリティに依存する。サブセットが小さすぎる場合、テンソルは対象となる構成のローカルな性質を記述しているかもしれない。サブセットが大きすぎる場合、テンソルは、有意義な方向情報の欠落を招く画像データセットのサブセットに含まれる過剰な構成に対して等方的に平均化されるかもしれない。候補サブセットを適格なものにするための有用な特徴は、テンソルの主コンポーネント間の差分の平方の和である。選択ユニットは、当該和の最大値に対応するサブセットを選択するよう構成される。
【0019】
本発明によるレンダリングシステムのさらなる実施例では、選択ユニットはさらに、画像データセットのサブセットの各要素を重み付けするための加重セットを選択するよう構成され、計算ユニットはさらに、第1主軸と、任意的には他のテンソル特性を加重セットに基づき計算するよう構成される。これは、選択されたサブセットからの各要素の第1主軸及び他の計算されたテンソル特性への寄与の重み付けを可能にする。各要素の加重は、例えば、当該要素とシードとの間の距離に基づくものとすることが可能である。当業者は、参考文献1のChapter 3に記載されるように、この一般的なアプローチが画像データセットのサブセットをウィンドウファンクションと置換することに等価であることを認識するであろう。
【0020】
本発明のさらなる課題は、導入パラグラフにおいて記載されたようなタイプの画像取得システムであって、画像データセットから効果的なビューをユーザが選択するのを効果的に支援するよう構成される。これは、画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリングシステムであって、前記画像データセットのサブセットを選択する選択ユニットと、前記画像データセットのサブセットに基づき、テンソルの第1主軸を計算する計算ユニットと、前記第1主軸に基づき前記ビューをレンダリングし、前記画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリングユニットとを有するレンダリングシステムを有する画像取得システムにより解決される。
【0021】
本発明のさらなる課題は、導入パラグラフにおいて記載されたようなタイプのワークステーションであって、画像データセットから効果的なビューをユーザが選択するのを効果的に支援するよう構成される。これは、画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリングシステムであって、前記画像データセットのサブセットを選択する選択ユニットと、前記画像データセットのサブセットに基づき、テンソルの第1主軸を計算する計算ユニットと、前記第1主軸に基づき前記ビューをレンダリングし、前記画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリングユニットとを有するレンダリングシステムを有するワークステーションにより解決される。
【0022】
本発明のさらなる課題は、導入パラグラフにおいて記載されたようなタイプのレンダリング方法であって、画像データセットから効果的なビューをユーザが選択するのを効果的に支援するよう構成される。これは、画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリング方法であって、画像データセットのサブセットを選択する選択ステップと、前記画像データセットのサブセットに基づきテンソルの第1主軸を計算する計算ステップと、前記第1主軸に基づき前記ビューをレンダリングし、前記画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリングステップとを有する方法により解決される。
【0023】
本発明のさらなる課題は、導入パラグラフにおいて記載されたようなタイプのコンピュータプログラムであって、画像データセットから効果的なビューをユーザが選択するのを効果的に支援するよう構成される。これは、コンピュータ装置によりロードされるコンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムは、画像データセットからのビューをレンダリングするための命令を有し、前記コンピュータ装置は、処理ユニットとメモリとを有し、当該コンピュータプログラムは、ロードされた後、前記画像データセットのサブセットを選択する選択ステップと、前記画像データセットのサブセットに基づきテンソルの第1主軸を計算する計算ステップと、前記第1主軸に基づき前記ビューをレンダリングし、前記画像データセットからのビューをレンダリングするステップとを前記処理ユニットに実行させるコンピュータプログラムにより解決される。
【0024】
記載されたレンダリングシステムの改良及びその変形に対応する画像取得システム、ワークステーション、レンダリング方法及び/又はコンピュータプログラムの改良及びその変形は、本記載に基づき当業者により実行可能である。
【0025】
本発明によるレンダリングシステム、画像取得システム、ワークステーション、レンダリング方法及びコンピュータプログラムの上記及び他の特徴は、添付した図面を参照して後述される実現形態及び実施例に関して明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリングシステム100の実施例を概略的に示す。レンダリングシステムは、
・画像データセットのサブセットを選択する選択ユニット110と、
・画像データセットのサブセットに基づき、テンソルの第1主軸を計算する計算ユニット120と、
・第1主軸に基づきビューをレンダリングし、これにより、画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリングユニット130と、
を有する。
【0027】
任意的には、レンダリングシステム100は、
・レンダリングシステム100と通信するためのユーザインタフェース140と、
・入出力データを格納するメモリユニット170と、
を有する。
【0028】
図1に示されるレンダリングシステム100の実施例では、入力データのための2つの入力コネクタ181、182及び183が存在する。第1入力コネクタ181は、ハードディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ又は光ディスクなどのデータストレージから入力されるデータを受け付けるよう構成される。第2入力コネクタ182は、マウスやタッチ画面などのユーザ入力装置から入力されるデータを受け付けるよう構成される。第3入力コネクタ183は、キーボードなどのユーザ入力装置から入力されるデータを受け付けるよう構成される。入力コネクタ181、182及び183は、入力コントロールユニット180に接続される。
【0029】
図1に示されるレンダリングシステム100の実施例では、出力データのための2つの出力コネクタ191及び192が存在する。第1出力コネクタ191は、ハードディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ又は光ディスクなどのデータストレージにデータを出力するよう構成される。第2出力コネクタ192は、表示装置にデータを出力するよう構成される。出力コネクタ191及び192は、出力コントロールユニット190を介し各データを受け付ける。
【0030】
当業者は、レンダリングシステム100の入力コネクタ181、182及び183と入力装置とを接続し、レンダリングシステム100の出力コネクタ191及び192と出力装置とを接続する多数の方法があることを理解するであろう。これらの方法は、以下に限定されるものではないが、有線及び無線接続、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)及びワイド・エリア・ネットワーク(WAN)などのデジタルネットワーク、インターネット、デジタル電話網及びアナログ電話網から構成される。
【0031】
本発明によるレンダリングシステム100の実施例では、レンダリングシステムはメモリユニット170を有する。メモリユニット170は、入力コネクタ181、182及び183の何れかを介し外部装置から入力データを受信し、受信した入力データをメモリユニット170に格納するよう構成される。データをメモリユニット170にロードすることは、レンダリングシステム100の各ユニットにより関連するデータ部分への迅速なアクセスを可能にする。入力データは、画像データセットから構成される。メモリユニット170は、RAM(Random Access Memory)チップ、ROM(Read Only Memory)チップ及び/又はハードディスクなどの各装置により実現可能である。好ましくは、メモリユニット170は、画像データセットを格納するためのRAMを有する。メモリユニット170はまた、メモリバス175を介し選択ユニット110、計算ユニット120及びレンダリングユニット130を有するレンダリングシステム100の各ユニットからデータを受け付け、それらにデータを提供するよう構成される。メモリユニット170はさらに、出力コネクタ191及び192の何れかを介し外部装置にデータを利用可能にするよう構成される。レンダリングシステム100の各ユニットからのデータのメモリユニット170への格納は、効果的には、レンダリングシステム100の各ユニットのパフォーマンスを向上させると共に、レンダリングシステム100の各ユニットから外部装置へのデータの転送レートを向上させる。
【0032】
あるいは、レンダリングシステム100は、メモリユニット170及びメモリバス175を有しない。レンダリングシステム100により使用される入力データは、レンダリングシステム100の各ユニットに接続される外部メモリやプロセッサなどの少なくとも1つの外部装置により提供される。同様に、レンダリングシステム100により生成される出力データは、レンダリングシステム100の各ユニットに接続される外部メモリ又はプロセッサなどの少なくとも1つの外部装置に提供される。レンダリングシステム100の各ユニットは、内部接続又はデータバスを介し互いに受信するよう構成される。
【0033】
本発明によるレンダリングシステム100のさらなる実施例では、レンダリングシステムは、レンダリングシステム100と通信するためのユーザインタフェース140を有する。ユーザインタフェース140は、ユーザにデータを表示する表示ユニットと、選択を行う選択ユニットとを有する。レンダリングシステム100とユーザインタフェース140を組み合わせることによって、ユーザはレンダリングシステム100と通信可能となる。ユーザインタフェース140は、対象となる構成を選択するため画像セットからのビューをユーザに表示するよう構成される。ユーザインタフェース140はさらに、画像データセットのサブセットの選択を支援するよう構成される。任意的には、ユーザインタフェースは、画像データセットのサブセット並びに画像データセットからレンダリングされるビューのタイプ及び/又は個数を選択する方法を決定するモードなど、レンダリングシステムの複数の処理モードを有することが可能である。
【0034】
あるいは、レンダリングシステム100は、入力コネクタ182及び/又は183並びに出力コネクタ192を介しレンダリングシステムに接続される外部入力装置及び/又は外部ディスプレイを利用することが可能である。当業者は、本発明のレンダリングシステム100のユニットとして効果的に実現可能なユーザインタフェースが多数存在することを理解するであろう。
【0035】
選択ユニット110は、画像データセットのサブセットを選択するよう構成される。画像データセットのサブセットは、画像データセットの構成の効果的なビューを決定するのに利用される。このため、計算ユニット120は、当該構成の方向性及び向き(directionality and orientation)に関する情報をキャプチャするため、画像データセットのサブセットを利用するよう構成される。本発明によるレンダリングシステム100の実施例では、画像データセットからレンダリングされる軸方向のスライスなどのビューが、表示装置に表示される。ユーザはマウスを利用して、マウスポインタを位置決めし、当該構成上でマウスボタンをクリックすることによって、ユーザが閲覧することを所望する構成を選択する。選択ユニット110は、ユーザにより選択された位置を受け付け、当該位置を利用して位置の近傍の画像の要素、好ましくは、最も近接した要素を、以降においてシードと呼ばれるシード要素として選択するよう構成される。シードはさらに、画像データセットのサブセットを増大させるのに利用される。画像データセットからの各要素は、当該要素とシード要素との間の距離が所定の距離閾値未満となるように、画像データセットのサブセットと共に含まれる。当該距離は、シードの位置と要素の位置との間のユークリッド距離などの幾何学的な距離である。あるいは、当該距離は、位相距離とすることも可能である。
【0036】
本発明のレンダリングシステム100のさらなる実施例では、シードは、画像データセットからの複数の要素を有する。マウスを使用して、ユーザは表示されたビューのエリアを取り囲むことが可能とされる。シードは、囲まれたエリアにある画像データセットからの複数の要素を有する。次に、画像データセットからの各要素は、当該要素とシードからの要素との間の距離が所定の距離閾値未満となるように、選択されたサブセットに追加される。
【0037】
本発明によるレンダリングシステム100のさらなる実施例では、画像データセットのサブセットを選択するためのユーザインタフェース140は、球体などの複数のコンテナ(container)を有している。ユーザはメニューからコンテナを選択し、選択したコンテナを画像データセットの表示されたビューに配置する。選択された画像データセットのサブセットは、コンテナ内にある各要素を有する。任意的には、ユーザインタフェースは、球体の楕円体への整形、楕円体の整形、球体又は楕円体の変換及び楕円体の回転を可能にするかもしれない。
【0038】
本発明によるレンダリングシステム100のさらなる実施例では、選択ユニット110は、画像セグメント化に基づき画像データセットのサブセットを選択することを可能にするよう構成される。ユーザは、画像セグメント化中に特定される構成に含まれるシードを選択する。これは、選択された画像データセットのサブセットが選択された構成に属するすべての要素を有するという効果を有している。画像セグメント化の結果は、メモリユニット170に格納される。あるいは、選択ユニット110は、シードを有する構成を描写するセグメント化システムを有する。レンダリングシステムに対して十分高速なセグメント化システムが、この目的のため利用可能である。
【0039】
計算ユニット120が、画像データセットのサブセットに基づきテンソルの第1主軸を計算するよう構成される。任意的には、計算ユニットはまた、テンソルの他の特性を計算するよう構成される。テンソルの特性は、例えば、テンソルの各コンポーネントと他の主軸からなるかもしれない。本発明によるレンダリングシステム100の実施例では、複数の特性が画像データセットの座標のシステムにおける構造テンソルの各コンポーネント、構造テンソルの主コンポーネント及び構造テンソルの主軸から構成される。位置Pにおける構造テンソルJ(P)は、Pにおける勾配(gradient)ベクトルG(P)とPにおける勾配ベクトルG(P)とのテンソル積である。このため、テンソルJ(P)は、勾配ベクトルG(P)の2次関数となる。従って、J(P)は勾配ベクトルG(P)の符号から独立したものとなる。しかしながら、構造テンソルは、依然として位置Pにおける当該構成の方向性及び向きに関する情報を有している。さらに、構造テンソルJ(P)は、構造テンソルのすべての主コンポーネントが非負となるように、正定値となる。参考文献1のセクション3及びA.Ravishankar Rao及びBrian G.Schnuckによる“Computing oriented texture fields”(Computer Vision and Pattern Recognition,CVPR’89,IEEE Computer Society,June 4−8,1989,pages 61−68)において、画像データセットから勾配を計算する方法が記載されている。構造テンソルは、位置Pにおける構成の方向性及び向きを記述する。画像データセットのサブセットからの各要素の位置を有するPの近傍Uにおける構造テンソルJ(P)の方向性及び向きは、Uのすべての位置P’における構造テンソルJ(P’)の和により記述される。この和はまた、構造テンソルJ(P)として参照される。位置Pは、Uにおける任意の位置とすることができる。位置Pは、構造テンソルのコンポーネント及び主軸に対する座標系の原点を規定する。以降において、この位置は構造位置として参照される。構造位置の通常の選択は、シードポイントである。あるいは、構造位置Pは、Uの幾何学的な中心又は画像データセットのサブセットの質量中心である。近傍Uは、一意的に画像データセットのサブセットに等しい。Uは、空間領域又は空間時間領域への画像データセットのサブセットの投影に等しい。画像データセットのサブセットは、Uに属するすべてのP’に対するペア(P’,I(P’))からなるセットである。ここで、I(P’)は位置P’における強度(intensity)である。
【0040】
参考文献1のセクション3において、画像データセットからの構造テンソルのコンポーネントを計算する方法が説明されている。計算された構造テンソルは、10個の4Dによる独立したコンポーネント、6個の3Dによる独立したコンポーネント又は3個の2Dによる独立したコンポーネントからなる。計算されたテンソルコンポーネントは、計算ユニット102によるさらなる処理及び/又はレンダリングユニット130による利用のため、メモリユニット170に格納される。本発明の記載は3D画像に基づくが、本発明は任意の多次元画像データセットに適用可能である。
【0041】
代数的で数値的であるテンソルの主コンポーネント{Tξ,Tη,Tζ}及び主軸{ξ,η,ζ}を計算する方法は複数存在し、これらの方法は、例えば、Lloyd N.Trefethen及びDavid Bauによる“Numerical Linear Algebra”(Soc for Industrial&Applied Math,May 1,1997)のChapter 5及びWilliam H.Press,Brian P.Flannery,Saul A.Teukolsky及びWilliam T.Vetterlingによる“Numerical Recipes in C:The Art of Scientific Computing”(Cambridge University Press;2nd edition,October 30,1992)のChapter 11など、線形代数及び/又は数値法のテキストブックに見つけることができる。対称テンソルの6つの球体コンポーネント{T00,T2−2,T2−1,T20,T21,T22}は、以下の式を利用して6つのデカルトコンポーネント{Txx,Txy,Txz,Tyy,Tyz,Tzz}から求めることができる。
【0042】
【数1】

ここで、iは虚数単位を表す。効果的には、球体コンポーネントはまた主コンポーネント{Tξ,Tη,Tζ}から求めることも可能である。
【0043】
【数2】

等方性構成について、テンソルのすべての主コンポーネントは同一であり、このため、T20とT2±2(すなわち、T22とT2−2)はゼロとなる。コンポーネントT00はまた、テンソルの等方性コンポーネントとして参照される。ときどき、T00の代わりに、非正規化等方性コンポーネントが使用される。
【0044】
【数3】

isoはテンソルの任意のデカルト座標セットに対して同じであるため、それはまた、
【0045】
【数4】

から求めることも可能である。画像データセットが一様である場合、Tiso=0となる。
【0046】
管状又は円筒状などの構成の回転軸(symmetry axis)となるよう選択されたζ主軸を有する軸方向対称性を有する構成については、コンポーネントT2±2(すなわち、T22とT2−2)はゼロとなる。このことは、Tξ,Tηが互いに等しいことを意味する。コンポーネントT20は、等方対称性から当該構成の偏差(deviation)を数値化する。当該構成の等方性が低いほど、T20の絶対値は大きくなる。ときどき、T20の代わりに、非正規化コンポーネント
【0047】
【数5】

が利用される。
【0048】
最後の2つのコンポーネントであるT2±2(すなわち、T22とT2−2)は互いに等しい。主回転軸がζ主軸となるよう選択されると仮定すると、これら2つのコンポーネントは、当該構成の対称性が軸方向対称性からどれくらい乖離しているか数値化する。当該構成の軸方向対称性が低いほど、T2±2の絶対値は大きくなる。ときどき、T2±2の代わりに、非正規化コンポーネント
【0049】
【数6】

が利用される。
【0050】
計算ユニット120により計算されるテンソルの特性が異なる本発明によるレンダリングシステム100の多数の実施例がある。記載される実施例は、本発明を説明するためのものであり、請求項の範囲を限定することを意図するものでない。例えば、計算ユニット120は、画像データセットの座標系により6つのデカルトテンソルコンポーネントを計算するよう構成可能である。計算ユニット120はさらに、リッツ変分法を利用して、テンソルの最小の主コンポーネントと当該最小主コンポーネントに対応する主軸とを求めるよう構成可能である。本実施例は、テンソルの最小主コンポーネントに対応する主軸が、シードの近傍の構成の主軸に実質的に互いに等しい血管などの細長い構成のビューをレンダリングするのに特に適している。あるいは、計算ユニット120は、画像データセットの座標系における6つのデカルトテンソルコンポーネントを計算するよう構成可能である。計算ユニット120はさらに、リッツ変分法を利用して、テンソルの最大の主コンポーネント最大主コンポーネントに対応する主軸とを求めるよう構成可能である。本実施例はまた、テンソルの最大主コンポーネントに対応する主軸が、当該構成の主軸に直交する軸に実質的に互いに等しい血管などの細長い構成のビューをレンダリングするのに特に効果的である。
【0051】
レンダリングユニット130は、第1主軸と構成位置に基づき画像データセットからビューをレンダリングするよう構成される。本発明によるレンダリングシステム100の実施例では、レンダリングユニット130は、画像データセットから3つの断面ビューをレンダリングする。計算ユニット120は、テンソルの3つの主軸を計算するよう構成される。主軸の各ペアはビューイング平面を規定する。レンダリングユニット130は、各平面が主軸ペアを構成する平面に実質的に互いに等しい3つの平面による画像データセットの3つの断面ビューをレンダリングするよう構成される。
【0052】
本発明によるレンダリングシステム100の実施例では、レンダリングユニット130は画像データセットから1つの断面ビューをレンダリングする。当該ビューは、計算ユニットにより計算されたテンソルの第1主軸を有する平面に実質的に互いに等しい平面による画像データセットの断面に対応する。本実施例は、第1主軸がテンソルの最小主コンポーネントに対応するとき、血管などの細長い構成のビューをレンダリングするのに特に効果的である。この場合、第1主軸は、当該構成の主軸に実質的に互いに等しい方向を規定する。血管はローカルな軸方向対称性を有する軸である主軸を有するほぼ軸方向のローカルな対称性を有するため、主軸を有する平面の何れかに実質的に互いに等しい平面が表示に適している。レンダリングユニット130は、1つの表示面を選択するよう構成される。任意的には、レンダリングユニット130及びユーザインタフェース140は、ユーザが他の表示面を選択し、又は第1主軸に実質的に互いに等しい軸について表示面を回転することを可能にし、動画として表示可能なビューシーケンスをレンダリングすることを可能にするよう構成可能である。あるいは、第2主軸が計算又は既知である場合、ビューは、第1主軸と第2主軸とを有する平面に実質的に互いに等しい平面によって規定される平面的な断面ビューとなるかもしれない。この構成は、構造の各要素の間の距離及び構造のサイズを測定するのに特に適している。
【0053】
本発明によるレンダリングシステム100の実施例では、レンダリングユニット130は画像データセットからの3Dビューをレンダリングする。当該ビューは、第1主軸に実質的に互いに等しい軸に沿った画像データセットの投影である。本発明は、何れか特定の画像レンダリング技術に制限されるものでない。例えば、MIP(Maximum Intensity Projection)アルゴリズム又はIsP(Iso−surface Projection)アルゴリズムが利用可能である。MIPでは、ピクセルは光線に沿った最大値に設定される。IsPでは、光線は等値面(iso−surface)においてターミネートされる。等値面は、同一の値を有する要素の位置により規定される。画像レンダリングに関するさらなる情報は、Barthold Lichtenbelt,Randy Crane及びShaz Naqviによる“Introduction to Volume Rendering(Hewlett−Packard Professional Books)”(Prentice Hall;Bk&CD−Rom edition(1998))に見つけることができる。第1主軸がテンソルの最大主コンポーネントに対応するとき、投影ビューは血管などの細長い構成に特に効果的である。このような第1主軸は、当該構成の主軸に実質的に互いに等しい最小主コンポーネントに対応する主軸に直交する。このため、当該投影は、投影方向に実質的に直交する主軸を有する細長い構成を効果的に表示する。他の構成が対象となる構成のビューを不明りょうにする場合、ビューを不明りょうにする構成を取り除くことが可能であり、又はそれの透過性が、Ivan Viola,Armin Kanitsar及びMeister Eduard Groellerによる論文“Importance driven volume rendering”(IEEE Visualization 2004,October 10−15,Austin,Texas,USA)に記載されているように、増大させることが可能である。
【0054】
任意的には、ユーザインタフェース140は、ユーザが画像データセットからレンダリングするビューを選択することを可能にするよう構成可能である。レンダリングシステム100は、選択されたューをレンダリングするためのテンソルの特性を計算し、当該ビューをレンダリングするよう構成可能である。任意的には、各ビューは、拡大及び/又はクリップされるなど、スケーリングすることができる。
【0055】
当業者は、画像データセットのサブセットを選択し、計算ユニット120により計算されるテンソルの有用な特性を選択し、選択された有用な特性に基づき、画像データセットからビューをレンダリングする方法が多数存在することを認識しているであろう。記載される実施例は、本発明を説明するものであって、請求項の範囲を限定するものでない。
【0056】
画像データセットの構成の方向性及び向きに関する情報を生成可能ないくつかのテンソルが存在する。本発明によるレンダリングシステム100の実施例では、テンソルは構造テンソルである。構造テンソルは、画像データセットの方向性及び向きの重要な指標である。あるいは、慣性テンソル(inertia tensor)は、画像データセットにおける構成の方向性及び向きを規定するのに利用可能である。慣性テンソルは、セグメント化された画像におけるオブジェクトに適用されるときに特に有用である。さらなるオプションは、画像データセットの2階偏微分のヘッセ行列を利用するものである。ヘッセ行列の固有値及び固有ベクトルは、テンソルの主コンポーネント及び主軸の代わりに利用可能である。任意的には、計算ユニット120は、第1主軸及び/又は第1固有ベクトルと共に、任意的な複数のテンソル及び/又は行列からの各テンソル及び/又は行列の他のテンソル特性及び/又は行列特性を計算するよう構成可能である。計算ユニット120はさらに、画像データセットからのビューをレンダリングするため、計算された第1主軸及び/又は第1固有ベクトルと共に、他の任意的に計算されたテンソル特性及び/又は行列特性の有用さを評価するよう構成可能である。例えば、計算ユニットは、最大主コンポーネント又は固有ベクトルと最小主コンポーネント又は固有ベクトルとの間の差分により規定される最大異方性(anisotropy)を有するテンソル又は行列を選択するよう構成可能である。あるいは、ユーザは、画像データセットからビューをレンダリングするのに利用されるテンソル又は行列を選択してもよい。
【0057】
当業者は、本発明に開示されるように、画像データセットにおける構成の方向性及び向きを決定し、当該テンソル又は行列の第1主軸及び/又は第1固有ベクトルに基づき、当該構成の効果的なビューを選択するのに利用可能な他のテンソル及び/又は行列が存在することを認識するであろう。構造テンソル、慣性テンソル及びヘッセ行列は、本発明の効果を説明するのに利用されるものであって、請求項の範囲を限定するものでない。本発明の記載を通じて、“テンソル”、“主コンポーネント”及び“主軸”は、“行列”、“固有値”及び“固有ベクトル”をそれぞれ意味する。
【0058】
すでに強調されたように、第1主軸及び任意的に他のテンソル特性を良好に決定するためには、画像データセットのサブセットの適切な選択が不可欠である。従って、本発明によるレンダリングシステム100の実施例では、選択ユニット110は、複数の候補サブセットの各特徴を計算することにより画像データセットの複数の候補サブセットを評価し、当該評価に基づき画像データセットのサブセットを選択するよう構成される。ユーザはシードを選択し、選択ユニット110が、当該シードと要素との間の距離が所定の最小距離未満となるように、画像データセットからの要素を有する画像データセットのサブセットを選択するよう構成される。次に、選択ユニット110は、画像データセットのサブセットを限定するための特徴を計算するよう構成される。好ましくは、選択ユニット110は、当該計算を実行するため、計算ユニット120を利用するよう構成される。方向性の指標は多数存在する。いくつかの有用な方向性の指標は、テンソルの主コンポーネントから抽出可能である。
【0059】
正規化された方向性の指標は、
【0060】
【数7】

の式により与えられる。効果的には、Dは球体コンポーネントセットから、主コンポーネントセットから、及びデカルトコンポーネントセットから求めることができる。等方性テンソルについて、方向性の指標の値はゼロとなる。1つの小さな主コンポーネントと2つのやや大きな主コンポーネントを有する軸方向に対称的なテンソルに対して、方向性の指標は約0.5となる。この値又は類似する値(すなわち、0.5に近接した)は、血管など、回転軸にパラレルな方向に相対的に一様な強度を有する長い管状又は円筒状構成に対して想定できる。2つの小さな主コンポーネントと1つの相対的に大きな主コンポーネントを有する軸方向に対称的なテンソルについては、方向性の指標は約2となる。この値又は類似する値(すなわち、2に近接した)は、回転軸に直交した各平面において相対的に一様であって、回転軸の方向に急激に変化する強度、すなわち、強力な勾配を有する細長い軸方向に対称的な構成に対して想定できる。
【0061】
あるいは、血管などのζ主軸に実質的に互いに等しい円筒軸を有する円筒状の構成については、有用な方向性の指標が以下の式により与えられる。
【0062】
【数8】

または、主コンポーネントTξ≧Tη≧Tζ≧0について、
【0063】
【数9】

を利用することが可能である。
【0064】
当業者は、他の方向性の指標が存在し、本発明が方向性の指標の何れかの特定の選択に限定されるものでないことを理解するであろう。
【0065】
所定の最小半径について方向性の指標を計算した後、選択ユニット110は、所定の増分だけ半径を繰り返しインクリメントし、所定の最大半径まで各半径について方向性指標を再計算するよう構成される。半径及び方向性指標の各値は、評価のためメモリユニット170に格納される。所定の最小半径及び所定の最大半径の最適値と、所定の増分の最適値とは、画像データセットと閲覧される構成とに依存し、ユーザにより規定されるパラメータであるかもしれない。方向性指標の値が画像データセットの各候補サブセットに対して計算されるとき、選択ユニット110は、方向性指標の最大値など、方向性指標の最適値に対応する画像データセットの最適なサブセットを選択するよう構成される。あるいは、選択ユニット110は、最急上昇アルゴリズムなど、特徴の最適値を観察するための他のアルゴリズムを利用することも可能である。最適なサブセットは、その後、画像データセットからのビューをレンダリングするため、レンダリングシステム100により利用される。
【0066】
本発明によるレンダリングシステム100のさらなる実施例では、選択ユニット110はさらに、画像データセットのサブセットの各要素を重み付けするための加重セットを選択するよう構成され、計算ユニット120はさらに、加重セットに基づき第1主軸と、任意的に他のテンソル特性を計算するよう構成される。これは、選択されたサブセットからの各要素の第1主軸及び他の計算されたテンソル特性に対する寄与の重み付けを可能にする。各要素のウェートは、例えば、当該要素とシードとの間の距離に基づくものとすることができる。あるいは、ウェートはユーザにより割り当てることも可能である。当業者は、参考文献1のChapter 3に記載されるように、この一般的なアプローチが画像データセットのサブセットをウィンドウファンクションに置換することに等しいことを認識するであろう。
【0067】
当業者は、本発明によるレンダリングシステム100の他の実施例及び実現形態がまた可能であるということを理解するであろう。特に、システムの各ユニットを再規定し、それらの機能を再割り当てすることが可能である。例えば、本発明のレンダリングシステム100の実施例では、計算ユニット120は、選択ユニット110とレンダリングユニット130とに分割することが可能である。選択ユニット110に構成される部分は、候補画像データセットを評価するのに必要な計算を実行するよう構成可能であり、レンダリングユニット130に構成される部分は、画像データセットからのビューをレンダリングするのに必要とされるテンソルの第1主軸及び他の特徴を計算するよう構成可能である。本発明によるレンダリングシステム100のさらなる実施例では、上述した実施例の計算ユニット120と複数の計算ユニットが置換可能であり、各計算ユニットは、異なるテンソルの第1主軸と、任意的な他の特性とを計算するよう構成される。ユーザインタフェース140は、使用されるテンソルの評価に基づき、画像データセットからのビューをレンダリングするため、第1主軸を選択するようユーザを促すよう構成可能である。
【0068】
選択ユニット110、計算ユニット120及びレンダリングユニット130は、プロセッサを使用して実現可能である。通常、それらの機能は、ソフトウェアプログラムプロダクトの制御の下で実行される。実行中、ソフトウェアプログラムプロダクトは。RAMなどのメモリにロードされ、そこから実行される。プログラムは、ROM、ハードディスク又は磁気及び/若しくは光ストレージなどのバックグラウンドメモリからロードされ、あるいはインターネットなどのネットワークを介しロードされるかもしれない。任意的には、特定用途向け集積回路が記載された機能を提供するようにしてもよい。
【0069】
本発明のレンダリングシステム100の可能なアプリケーションは多数存在する。効果的なアプリケーションは、医療用画像データセットへのレンダリングシステム100の適用である。本発明のレンダリングシステム100はまた、他のアプリケーションにおいても有用とすることが可能である。例えば、レンダリングシステム100は、セル構成の効果的なビューをレンダリングするため、セル形態において有用である可能性がある。
【0070】
図2は、軸方向のスライス210における断面と3つの効果的な断面220、230及び240を示す。患者の胸部の軸方向のスライス210が左に示される。矢印は、画像の白いドットを示している。これは、結節又は血管の断面である可能性がある。軸方向のスライスに基づき2つの可能性を判別することはできない。左の画像においてドットにより表される構成のより良好なビューを取得するため、ユーザは、マウスポインタを動かし、ドットの近傍においてマウスボタンをクリックすると、画像データセットのサブセットのシードが選択できる。その後、選択ユニット110が、画像データセットの最適なサブセットを選択するようトリガーされ、計算ユニット120が、構造テンソルの3つの主軸と構造位置とを計算するよう構成される。レンダリングユニットは、主軸の3つのペアにより規定される3つの平面によって、当該構成の3つの断面220、230及び240をレンダリングする。当該構成の3つの拡大及びクリップされたビュー220、230及び240が、軸方向のスライス210の右側に示される。断面ビュー220では、当該構成が結節でなく血管であることを明確に確認することができる。
【0071】
図3は、本発明のレンダリングシステム100を利用する画像取得システム300の実施例を概略的に示す。当該画像取得システム300は、レンダリングシステム100と内部接続を介し接続される画像取得システムユニット310と、入力コネクタ301と、出力コネクタ302とを有する。当該構成は、レンダリングシステム100の効果的な画像閲覧機能を画像取得システム300に提供する画像取得システム300の機能を効果的に向上させる。この閲覧機能は、画像取得システム300がさらにインタラクティブ画像取得用に構成されているとき、従って、オペレータが表示される画像に基づき取得しようとするデータを決定することが可能であるとき、特に有用であるかもしれない。画像取得システムの具体例として、CTシステム、X線システム、MRIシステム、超音波システム、PET(Positron Emission Tomography)システム及びSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)システムなどがあげられる。
【0072】
図4は、ワークステーション400の実施例を概略的に示す。ワークステーションは、システムバス401を有する。プロセッサ410、メモリ420、ディスク入出力(I/O)アダプタ430及びユーザインタフェース(UI)440が、システムバス401に動作可能に接続される。ディスク記憶装置431は、ディスクI/Oアダプタ430に動作可能に接続される。キーボード441、マウス442及びディスプレイ443が、UI440に動作可能に接続される。本発明のレンダリングシステム100は、コンピュータプログラムとして実現され、ディスク記憶装置431に格納される。ワークステーション400は、プログラム及び入力データをメモリ420にロードし、プログラムをプロセッサ410上で実行するよう構成される。ユーザは、キーボード441及び/又はマウス442を使用して情報をワークステーション400に入力することができる。ワークステーションは、表示装置443及び/又はディスク431に情報を出力するよう構成される。当業者は、当該分野で知られている他の多数のワークステーションの実施例があり、本実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を当該実施例に限定するものと解釈されてはならない。
【0073】
図5は、レンダリング方法500の実施例を概略的に示す。STARTステップ501は、方法500による画像データセットからのビューのレンダリングを開始する。選択ステップ510において、画像データセットのサブセットが選択される。当該サブセットは、ある球体にある画像データセットの要素から構成される。球体の中心は、ユーザにより選択されたシードの位置にある。球体の半径はまた、ユーザにより決定される。計算ステップ520において、構造テンソルの3つの主軸が、画像データセットのサブセットに基づき計算される。レンダリングステップ530において、画像データセットからのビューが、構造テンソルの3つの主軸に基づきレンダリングされる。各ビューは、構造テンソルの異なる主軸ペアを有する平面に実質的に互いに等しい平面による画像データセットの断面ビューである。ENDステップ599は、方法500による画像データセットからのビューのレンダリングを終了する。
【0074】
本発明の方法の記載された実施例の順序は強制的なものでなく、当業者は、本発明が意図するようなアイデアから逸脱することなく、スレッド処理モデル、マルチプロセッサシステム又はマルチプロセスを利用して、各ステップの順序を変更し又は同時に各ステップを実行するようにしてもよい。
【0075】
本発明のレンダリングシステム100は、コンピュータプログラムプロダクトとして実現されてもよく、磁気テープ、磁気ディスク又は光ディスクなどの何れか適切な媒体に格納することが可能である。このコンピュータプログラムは、処理ユニットとメモリとを有するコンピュータ構成にロードすることが可能である。ロードされた後、コンピュータプログラムプロダクトは、レンダリングタスクを実行する機能を処理ユニットに提供する。
【0076】
上述した実施例は、本発明を限定するものでなく説明するためのものであり、当業者は添付した請求項の範囲から逸脱することなく他の実施例を設計することが可能であるということに留意すべきである。請求項では、括弧内に置かれる参照符号は、請求項を限定するものとして解釈されるべきでない。“有する”という用語は、請求項にリストされていない要素又はステップの存在を排除するものでない。要素に先行する“ある”という単語は、そのような要素が複数存在することを排除するものでない。本発明は、複数の要素を有するハードウェア及び適切にプログラムされたコンピュータによって実現可能である。複数のユニットを列記したシステムクレームでは、これらのユニットのいくつかは同一のハードウェア又はソフトウェアアイテムにより実現することができる。“第1の”、“第2の”及び“第3の”などの単語の使用は、何れの順序付けも示すものでない。これらの単語は、名称として解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、レンダリングシステムの実施例を概略的に示す。
【図2】図2は、軸方向スライスの断面(左側)と3つの効果的な断面を示す。
【図3】図3は、画像取得システムの実施例を概略的に示す。
【図4】図4は、ワークステーションの実施例を概略的に示す。
【図5】図5は、レンダリング方法の実施例を概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリングシステムであって、
前記画像データセットのサブセットを選択する選択ユニットと、
前記画像データセットのサブセットに基づき、テンソルの第1主軸を計算する計算ユニットと、
前記第1主軸に基づき前記ビューをレンダリングし、前記画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリングユニットと、
を有するレンダリングシステム。
【請求項2】
前記ビューは、前記第1主軸を有する平面に実質的に互いに等しい平面による前記画像データセットの断面である、請求項1記載のレンダリングシステム。
【請求項3】
前記ビューは、前記第1主軸に実質的に互いに等しい軸に沿った前記画像データセットの投影である、請求項1記載のレンダリングシステム。
【請求項4】
前記計算ユニットは、前記テンソルの第2主軸を計算するよう構成され、
前記ビューは、前記第1主軸と前記第2主軸とを有する平面に実質的に互いに等しい平面による前記画像データセットの断面である、請求項2記載のレンダリングシステム。
【請求項5】
当該レンダリングシステムと通信するためのユーザインタフェースをさらに有する、請求項1記載のレンダリングシステム。
【請求項6】
前記テンソルは、構造テンソル、慣性テンソル及びヘッセ行列の何れか1つである、請求項1記載のレンダリングシステム。
【請求項7】
前記選択ユニットは、シードに基づき前記画像データセットのサブセットを選択するよう構成される、請求項1記載のレンダリングシステム。
【請求項8】
前記選択ユニットはさらに、前記シードと前記画像データセットの要素との間の距離に基づき、前記画像データセットの要素を前記画像データセットのサブセットに追加するよう構成される、請求項1記載のレンダリングシステム。
【請求項9】
前記選択ユニットは、前記画像データセットの複数の候補サブセットを、該候補サブセットに適した各特徴を計算することによって評価し、該評価に基づき前記画像データセットのサブセットを選択するよう構成される、請求項1記載のレンダリングシステム。
【請求項10】
前記選択ユニットはさらに、前記画像データセットのサブセットの各要素を重み付けするための加重セットを選択するよう構成され、
前記計算ユニットはさらに、前記加重セットに基づき前記第1主軸を計算するよう構成される、請求項1記載のレンダリングシステム。
【請求項11】
請求項1乃至10何れか一項記載のレンダリングシステムを有する画像データセットを取得するための画像取得システム。
【請求項12】
請求項1乃至10何れか一項記載のレンダリングシステムを有するワークステーション。
【請求項13】
画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリング方法であって、
画像データセットのサブセットを選択する選択ステップと、
前記画像データセットのサブセットに基づきテンソルの第1主軸を計算する計算ステップと、
前記第1主軸に基づき前記ビューをレンダリングし、前記画像データセットからのビューをレンダリングするレンダリングステップと、
を有する方法。
【請求項14】
コンピュータ装置によりロードされるコンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムは、画像データセットからのビューをレンダリングするための命令を有し、前記コンピュータ装置は、処理ユニットとメモリとを有し、
当該コンピュータプログラムは、ロードされた後、
前記画像データセットのサブセットを選択する選択ステップと、
前記画像データセットのサブセットに基づきテンソルの第1主軸を計算する計算ステップと、
前記第1主軸に基づき前記ビューをレンダリングし、前記画像データセットからのビューをレンダリングするステップと、
を前記処理ユニットに実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−505206(P2009−505206A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525704(P2008−525704)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052765
【国際公開番号】WO2007/017845
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】