説明

画像データ処理方法およびプリンタ並びに画像データ処理プログラムを記録した記録媒体

【課題】ディジタルカメラなどで撮影した画像データをプリンタで印刷する際、被写体に応じた最適な画像処理を行って印刷を行う。
【解決手段】画像データを取得し(ステップs1)、自動選択モードか否かを判定する(ステップs2)。手動選択モードである場合はユーザの設定内容を判定し(ステップs3)、ユーザの指示に従った画像処理を行って印刷処理する(ステップs7,s8)。一方、自動選択モードと判定された場合は、画像ファイル中にカメラで設定された撮影モード情報があるか否かを判定し(ステップs4)、あれば、その撮影モード情報に応じた画像処理を行って印刷処理する(ステップs7,s8)。撮影モード情報がなければ、カメラの撮影パラメータおよび実際の画像データに含まれる被写体の特徴を表す情報とから撮影モードを判定し(ステップs6)、その判定結果を用いて画像処理を行って印刷処理する(ステップs7,s8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディジタルカメラなどで撮影した画像データを印刷する際、被写体に応じた適切な印刷結果を得るための画像処理を行う印刷画像データ処理方法およびプリンタ並びに印刷画像データ処理プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタルカメラやプリンタの普及によって、撮影済みの画像をユーザが自分で手軽にプリントすることができるようになってきた。最近ではこれらディジタルカメラやプリンタの高性能化によって、印刷された画像は光学系のカメラで撮影したものとそれほど大きくは変わらないほど高画質なものが得られるようになってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これらの機器は以前に比べて取り扱いやすくなってきているといっても、どのユーザでも簡単に使いこなせるというものではない。たとえば、ディジタルカメラで取り込んだ画像を印刷する場合、普通は、パーソナルコンピュータ(PCという)上に画像データを取り込んで画像処理して、PCに接続されたプリンタで印刷するという工程を経ることになるが、印刷を行うためには、パソコンやプリンタ上で印刷を行うに必要な様々な操作や設定を行う必要がある。しかし、これらの操作や設定はこの種の機器の取り扱いに不慣れなユーザにとっては難しく感じることが多い。また、このような画像データは、色補正や輪郭補正など様々な画像処理が可能であるが、それらを適切に行うための操作や設定は決して簡単なものとはいえず、慣れないとユーザの好みの印刷結果を得ることは難しい。
【0004】
そこで本発明は、ディジタルカメラなどで取り込んだ画像データに対し、きわめて簡単な操作で被写体の種類(たとえば、人物、風景、接写、夜景、動体など)に応じて最適な画像処理を施すことで被写体に応じた最適な印刷結果を得られるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明の印刷画像データ処理方法は、カメラによって撮影された画像データの入った画像ファイルを読み込んで画像処理し印刷可能な画像データとして出力する印刷画像データ処理方法において、被写体の種類に基づいた画像処理モードを選択し、これによって選択された画像処理モードに基づき前記画像ファイル中の画像データに対し画像処理を施し、この画像処理された画像データを印刷可能なデータとして出力するようにしている。
【0006】
また、本発明のプリンタは、カメラによって撮影された画像データの入った画像ファイルを読み込んで画像データを取得してその画像データを処理し印刷可能な画像データを得てその画像データを用いて印刷を行うプリンタにおいて、前記画像ファイルを読み込んで画像データを取得する画像データ取得部と、被写体の種類に基づいた画像処理モードを選択する画像処理モード選択部と、この画像処理モード選択部で選択された画像処理モードに基づき前記画像ファイル中の画像データに対し画像処理を施す画像処理部と、この画像処理部で処理された画像データを印刷する印刷処理部とを有した構成としている。
【0007】
また、本発明の印刷画像データ処理プログラムを記録した記録媒体は、カメラによって撮影された画像データの入った画像ファイルを読み込んで画像処理し印刷可能な画像データとして出力する印刷画像データ処理プログラムを記録した記録媒体であって、その印刷画像処理プログラムは、前記画像ファイルを読み込む手順と、被写体の種類に基づいた画像処理モードを選択する手順と、これによって選択された画像処理モードに基づき前記画像ファイル中の画像データに対し画像処理を施し、印刷可能なデータとして出力する手順とを含んでいる。
【0008】
これら各発明において、前記画像処理モードはユーザの指示によって選択可能とし、どのような画像処理モードとするかは被写体の種類に応じてユーザによって任意に選択可能であるとともに自動選択の指示も可能であって、ユーザが被写体の種類に応じて画像モードを指示した場合は、ユーザの指示に応じた画像処理モードが選択され、選択された画像処理モードによる画像処理を行って印刷可能なデータとして出力し、ユーザが自動選択を指示した場合は、前記画像ファイル中に存在する被写体の種類を示唆する情報に基づいて画像処理モードを自動選択し、選択された画像処理モードによる画像処理を行って印刷可能なデータとして出力するようにしている。なお、本発明のプリンタは、どのような画像処理モードとするかをユーザによって選択可能とするための画像処理モード設定部を有している。
【0009】
そして、前記被写体の種類を示唆する情報とは、適切な被写体画像を得るために撮影時にカメラ側で設定される被写体の種類対応の撮影モード情報もしくは焦点距離や露出などの撮影パラメータおよび前記画像データに含まれる被写体の特徴を表す情報である。
【0010】
また、前記画像処理モードが自動選択とされた場合における画像処理モードの自動選択処理は、前記画像ファイル中に前記カメラ側で設定された撮影モード情報が存在するか否かを調べ、撮影モード情報が存在する場合は、その撮影モード情報に基づいて画像処理モードを選択し、前記撮影モード情報が存在しない場合は、前記画像ファイル中の前記撮影パラメータと画像ファイル中の画像データに含まれる被写体の特徴を表す情報とを用いて画像処理モードを選択する処理を行う。
【0011】
このように本発明は、被写体の種類に基づいた画像処理モードを選択し、選択された画像処理モードに基づき前記画像ファイル中の画像データに対し画像処理を施している。これによって、被写体の種類に応じた最適な画像処理が施され、その被写体に最適な印刷結果が得られる。
【0012】
また、どのような画像処理モードとするかはユーザの指示によって選択可能としている。たとえば、ユーザが記被写体の種類対応に用意された操作部(具体的には、「人物」、「風景」など被写体の種類に応じた操作ボタン)を択一的に指示した場合は、ユーザ指示に応じた画像処理モードが選択され、その選択された画像処理モードによる画像処理を行って印刷可能なデータとして出力する。また、ユーザが自動選択を行うための操作部(たとえば、「自動」という操作ボタン)をユーザが指示した場合は、前記画像ファイル中に存在する被写体の種類を示唆する情報に基づいて画像処理モードを自動選択し、選択された画像処理モードによる画像処理を行って印刷可能なデータとして出力する。このように、操作ボタンなどをユーザが指示するだけで、簡単に画像処理モードを選択することができ、それによって被写体に応じた最適な画像データ処理が行える。
【0013】
なお、被写体の種類を示唆する情報とは、適切な被写体画像を得るために撮影時にカメラ側で設定される被写体の種類対応の撮影モード情報もしくは焦点距離や露出などの撮影パラメータおよび前記画像データを走査して得られる被写体の特徴を表す情報である。ここでいう被写体の種類に応じて設定される撮影モードとは、たとえば、人物を撮影する場合には人物撮影モード、風景を撮影する場合には風景撮影モードというように、それぞれの被写体に応じた撮影モードのことであり、このような撮影モードは、通常のカメラに備えられていることが多い。このような被写体の種類の応じて用意された撮影モードや、焦点距離や露出などの撮影パラメータおよび画像を走査して得られる被写体の特徴を表す情報を用いてそれに応じた画像処理モードの選択を行うことで、その被写体に対する画像処理モードを最適なものとすることができる。
【0014】
すなわち、ユーザ指示によって画像処理モードが自動選択とされた場合は、画像ファイル中にカメラ側で設定された撮影モード情報が存在するか否かを見て、撮影モード情報が存在する場合は、その撮影モード情報に基づいて画像処理モードを選択し、撮影モード情報が存在しない場合は、画像ファイル中の撮影パラメータと画像ファイル中の画像データに含まれる被写体の特徴を表す情報とを用いて画像処理モードを選択するようにしている。
【0015】
このように、画像ファイル中に撮影モード情報が存在する場合は、その撮影モードに基づいて画像処理モードが選択されるので、被写体に応じた最適な画像処理モードを自動的に選択することができ、また、画像ファイル中に撮影モードが存在しない場合でも、撮影パラメータ(焦点距離や露出など)と画像データに含まれる被写体の特徴を表す情報とに基づいて画像処理モードを選択することができるので、被写体に応じた最適な画像処理モードを自動的に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態で用いられるフォトプリンタの概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態で用いられるフォトプリンタの外観構成を示す図である。
【図3】図2で示された画像処理モード設定部の構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態の処理手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、この実施の形態で説明する内容は、本発明の印刷画像データ処理方法、プリンタについての説明であるとともに、本発明の印刷画像データ処理プログラムを記録した記録媒体における印刷画像データ処理プログラムの具体的な処理手順をも含むものである。
【0018】
図1は本発明の実施の形態で用いられるプリンタの構成を示すブロック図である。この実施の形態で用いられるプリンタは、ディジタルカメラなどが取り込んだ画像データを直接読み込んで画像処理し、その画像処理された画像データを用いて印刷を行う機能を有したプリンタであるとする。つまり、従来では、画像データをPCに読み込ませてデータ処理したのち、そのPCに接続されたプリンタで印刷するというのが普通であったが、最近では、パソコンが持っている画像データ処理機能をプリンタ自体に組み込んで、ディジタルカメラなどで取り込んだ画像ファイルの入ったメモリカードなどをプリンタに設けられたカード挿入部に装着することで、その画像ファイルをプリンタが読み込んで、画像ファイルの中から画像データを取得してその画像データを画像処理し印刷すべき画像データとしたのち、印刷を行うプリンタが開発され実用化されてきている。本発明の実施の形態では、この種のプリンタ(これをここではフォトプリンタと呼ぶことにする)を用いた例について説明する。
【0019】
図1に示されるフォトプリンタは、その構成を大きく分けると、メモリカード1に入っている画像ファイルから画像データ取得する画像データ取得部2、ユーザの指示を受けて被写体の種類に基づいた画像処理モードを選択する画像処理モード選択部3、この画像処理モード選択部3で選択された画像処理モードに基づき、前記画像データに対し画像処理を施す画像処理部4、この画像処理部4で処理された画像データを受け取って従来のプリンタと同様の印刷処理動作を行う印刷処理部5などから構成されている。なお、上述の画像処理モード選択部3が行う具体的な処理については後に説明する。
【0020】
図2はこの実施の形態で用いられるフォトプリンタの外観構成を示す図であり、その外観構成は一般のプリンタと特に大きく変わるところはないが、このフォトプリンタの場合、図1で示したメモリカード1が差し込まれるカード挿入部11が設けられるとともに、どのような画像処理を行うかの設定が可能な画像処理モード設定部12が設けられている。その他、用紙13の給紙部14と排出部15などが設けられている。なお、この実施の形態で用いられるフォトプリンタは、図1や図2で示される構成要素以外にもそのフォトプリンタの有する様々な機能に応じた構成要素が存在するが、この図1や図2では、本発明に直接関係する構成要素のみが図示され、それ以外の構成要素の図示は省略されている。
【0021】
図3は画像処理モード設定部12を取り出して示す図であり、「人物」、「風景」、「接写」、「動体」、「夜景」など被写体がどのような種類であるかによって、それに応じた画像処理モードを設定するための指示部として被写体対応の操作ボタンが設けられる。この被写体対応の操作ボタンとしては、人物ボタンB1、風景ボタンB2、接写ボタンB3、動体ボタンB4、夜景ボタンB5などが用意されている。また、これら被写体に関係なく自動で画像処理モードの選択を行わせるための自動選択ボタンB0も設けられている。この他、これら各種操作ボタンのいずれかを選択した後、印刷開始指示を行うための印刷ボタンBsが設けられている。
【0022】
次にこのような構成においてその動作を図4のフローチャートを参照しながら説明する。
【0023】
まず、ディジタルカメラなどで撮影済みのメモリカード1をフォトプリンタのカード挿入部11に差し込む。これによって、フォトプリンタでは画像ファイルの読み込みを行い画像データを取得する(ステップs1)。そして、自動設定モードか否かを判定する(ステップs2)。この自動選択モードか否かは、画像処理モード設定部12の自動選択ボタンB0がユーザによって押されたか否かで判定する。つまり、自動選択ボタンB0がユーザによって押されていれば自動選択モードであり、押されていなければ手動選択モードであると判定する。
【0024】
今、ユーザによって自動選択ボタンB0が押されていないとすれば、手動選択モードと判定し、どのような手動設定がなされているかを判定する(ステップs3)。つまり、人物ボタンB1、風景ボタンB2、接写ボタンB3、動体ボタンB4、夜景ボタンB5のうちのどのボタンが押されているかを判定する。そして、設定されているモードに従った画像処理を行う(ステップss7)。
【0025】
たとえば今、人物ボタンB1が押されているとすれば、人物を主体とした画像処理を行う。具体的には、肌色をよりきれいに見せるような画像処理を施したり、ピントの合っていない背景をぼかしたりする。また、風景ボタンB1が押されているとすれば、空の青や木々の緑をよりきれいに見せるような画像処理を施し、夜景ボタンB5が押されているとすれば、周囲の暗さと明かりの対比をより明確にするといった画像処理を施すというように、それぞれの被写体の種類に応じた最適な画像処理を施す。
【0026】
このように、それぞれの被写体に応じた画像処理が施され、その画像処理が施された画像データを用いて印刷処理を行う(ステップs8)。これにより、それぞれに被写体に対し最適な印刷結果が得られる。
【0027】
ところで、前述のステップs2における自動選択モードか否かの判定において、自動選択モードと判定された場合、すなわち、自動選択ボタンB0がユーザによって押されている場合は、自動選択モードと判定し、ステップs4,s5,s6の処理を行う。この自動選択モードでは、画像ファイル中に存在する被写体の種類を示唆する情報に基づいて画像処理モードを自動選択し、選択された画像処理モードによる画像処理を行って印刷可能なデータとして出力する。
【0028】
なお、ここでいう被写体の種類を示唆する情報とは、適切な被写体画像を得るために撮影時にカメラ側で設定される被写体の種類対応の撮影モード情報もしくは焦点距離や露出などの撮影パラメータと前記画像データを走査して得られる被写体の特徴を表す情報である。また、カメラ側で設定される被写体の種類対応の撮影モードとは、カメラで撮影を行うときに設定される撮影モードであり、カメラには撮影しようとする被写体に応じた設定が行えるようになっているものが多い。
【0029】
たとえば、人物を撮影する場合には、カメラに設けられた人物撮影モード設定を行って撮影を行い、風景を撮影しようとする場合には、風景撮影モード設定を行って撮影を行い、また、夜景を撮影しようとする場合には、夜景撮影モード設定を行って撮影を行い、また、動体を撮影しようとする場合には、動体影モード設定を行って撮影を行い、さらに、接写を撮影しようとする場合には、接写撮影モード設定を行って撮影を行うというように、それぞれの被写体対応の撮影モードの設定を行うことができるようになっており、このような撮影モード設定を行って撮影すれば、その被写体に対し最適な撮影が行えるようになっている。このような機能を持っているカメラで取り込んだデータには、取り込んだ画像データがどのような撮影モードで取り込まれたかの情報が、JPEGなどの画像ファイル中に入っているのでそれを取得する。
【0030】
以下に、この自動設定モードの処理について説明する。
【0031】
まず、メモリカード1から読み込んだ画像ファイル中にカメラ側で設定された撮影モード情報が入っているか否かを判定し(ステップs4)、カメラ側で設定された撮影モード情報が入っていれば、その撮影モード情報を取得して(ステップs5)、その撮影モード情報に応じた画像処理を行う(ステップs7)。たとえば、ステップs1において取得したその画像ファイルの画像データに、カメラ側で設定された撮影モード情報として、人物撮影モード情報が入っているとすればそれを取得し、その人物撮影モードに対応した画像処理を行い、その画像処理されたデータを印刷処理する。これにより、肌色をよりきれいに見せるような処理やピントの合っていない部分をぼかすなどの画像処理が行われ、このような画像処理が行われた画像データを用いて印刷処理がなされる。
【0032】
また、前述のステップs4において、画像ファイル中にカメラ側で設定された撮影モード情報が入っていない場合には、画像ファイル中に保存されているカメラの撮影パラメータおよび実際の画像データに含まれる被写体の特徴を表す情報とから撮影モードを判定し(ステップs6)、その判定結果を用いて画像処理を行う(ステップs7)。
【0033】
なお、ここでいうカメラの撮影パラメータというのは、その画像を取り込んだ時のカメラの焦点距離、シャッタスピード、露出値、フラッシュのON/OFFなどのデータであり、これらの情報はJPEGなどの画像ファイル中に存在している。また、実際の画像データに含まれる被写体の特徴を表す情報というのは、処理対象の画像データを走査して、その画像データにどのような色が多く存在しているか、全体的に暗いか明るいかなどを判断し、これらによってどのような撮影モードであるかを判定する。たとえば、焦点距離が遠方にあって、画像データ中に青い色や緑が多ければ、その画像は風景を撮影したものであるとして風景撮影モードであると判定し、肌色が多く焦点距離も比較的短い場合には人物を主体として撮影したものであるとして人物撮影モードであると判定する。
【0034】
このようにして撮影モードが判定されると、あとは前述したように、その撮影モードに応じた画像処理を行って、印刷処理をする(ステップs7,s8)。
【0035】
ところで、画像処理モード設定部12に存在する各種ボタンをユーザが操作し、それにしたがった処理がなされているとき、どのボタンが操作されているかを示すために、操作されているボタンを点灯または点滅させるようにしてもよい。さらに、自動選択ボタンを操作した場合、システム側で画像処理モードが自動選択されるが、選択された画像処理モードがどれであるかをユーザに知らせるために、そのボタンを点灯または点滅させるようにすることもできる。
【0036】
たとえば、ユーザによって自動選択ボタンB0が押されたとすると、メモリカード1から読み込んだ画像ファイル中にカメラ側で設定された撮影モード情報が入っているか否かを判定し、撮影モード情報が入っていれば、その撮影モード情報を取得して、その撮影モード情報に応じた画像処理を行うというような一連の処理(ステップs4,s5,s7)がなされる。このとき、カメラ側で設定された撮影モードが人物撮影モードであったとすれば、自動選択ボタンB0とともに、画像処理モード設定部12の人物ボタンB1を点灯または点滅させて、ユーザに対し、人物に適した画像処理がなされていることを示す。これにより、ユーザが自動選択を指定した場合でも、被写体に適した画像処理がなされるかをユーザに示すことができ、ユーザに対し安心感を与えることができる。
【0037】
なお、本発明は以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、前述の実施の形態では、画像データ処理機能を有したフォトプリンタを用いた例について説明したが、これは、従来から一般的に用いられているプリンタで印刷する場合にも適用できるものである。この場合、画像データ処理はPCなどで行うことになるので、PC側にこれまでの説明した画像処理を行わせる機能を持たせるようにすればよい。
【0038】
また、被写体の種類は前述の実施の形態では、「人物」、「風景」、「接写」、「動体」、「夜景」とし、これらに対応した画像処理モードを用意した例について説明したが、被写体の種類はこれら以外にも設定することができ、それぞれの被写体に応じた画像処理モードを用意することができる。
【0039】
また、以上説明した本発明の処理を行う印刷画像データ処理プログラムは、フロッピィディスク、光ディスク、ハードディスクなどの記録媒体に記録させておくことができ、本発明はその記録媒体をも含むものである。また、ネットワークから処理プログラムを得るようにしてもよい。
【0040】
[発明の効果]
以上説明したように本発明によれば、被写体の種類に基づいた画像処理モードを選択し、選択された画像処理モードに基づき前記画像ファイル中の画像データに対し画像処理を施している。これによって、被写体の種類に応じた最適な画像処理が施され、その被写体に最適な印刷結果が得られる。
【0041】
また、どのような画像処理モードとするかはユーザの指示によって選択可能としている。たとえば、ユーザが被写体の種類対応に用意された操作部(具体的には、「人物」、「風景」など被写体の種類に応じた操作ボタン)を択一的に指示した場合は、ユーザ指示に応じた画像処理モードが選択され、その選択された画像処理モードによる画像処理を行って印刷可能なデータとして出力する。また、ユーザが自動選択を行うための操作部(たとえば、「自動」という操作ボタン)をユーザが指示した場合は、画像ファイル中に存在する被写体の種類を示唆する情報(適切な被写体画像を得るために撮影時にカメラ側で設定される被写体の種類対応の撮影モード情報もしくは焦点距離や露出などの撮影パラメータおよび前記画像データを走査して得られる被写体の特徴を表す情報)に基づいて画像処理モードを自動選択し、選択された画像処理モードによる画像処理を行って印刷可能なデータとして出力する。このように、操作ボタンなどをユーザが指示するだけで、簡単に被写体に最適な画像処理モードを選択することができ、それによって被写体に応じた最適な画像データ処理が行える。
【0042】
なお、ユーザ指示によって画像処理モードが自動選択とされた場合は、画像ファイル中にカメラ側で設定された撮影モード情報が存在するか否かを見て、撮影モード情報が存在する場合は、その撮影モード情報に基づいて画像処理モードを選択し、撮影モード情報が存在しない場合は、画像ファイル中の撮影パラメータと画像ファイル中の画像データに含まれる被写体の特徴を表す情報とを用いて画像処理モードを選択するようにしている。このように、画像ファイル中に撮影モード情報が存在する場合は、その撮影モードに基づいて画像処理モードが選択されるので、被写体に応じた最適な画像処理モードを自動的に選択することができ、また、画像ファイル中に撮影モードが存在しない場合でも、撮影パラメータ(焦点距離や露出など)と画像データに含まれる被写体の特徴を表す情報とに基づいて画像処理モードを選択することができるので、被写体に応じた最適な画像処理モードを自動的に選択することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…メモリカード 2…画像データ取得部 3…画像モード選択部 4…画像データ処理部 5…印刷処理部 11…メモリカード挿入部 12…画像処理モード設定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラによって撮影された画像データの入った画像ファイルを読み込んで画像処理し印刷可能な画像データとして出力する印刷画像データ処理方法において、被写体の種類に基づいた画像処理モードを選択し、これによって選択された画像処理モードに基づき前記画像ファイル中の画像データに対し画像処理を施し、この画像処理された画像データを印刷可能なデータとして出力する印刷画像データ処理方法。
【請求項2】
前記画像処理モードはユーザの指示によって選択可能とし、どのような画像処理モードとするかは被写体の種類に応じてユーザによって任意に選択可能であるとともに自動選択の指示も可能であって、ユーザが被写体の種類に応じて画像モードを指示した場合は、ユーザの指示に応じた画像処理モードが選択され、選択された画像処理モードによる画像処理を行って印刷可能なデータとして出力し、ユーザが自動選択を指示した場合は、前記画像ファイル中に存在する被写体の種類を示唆する情報に基づいて画像処理モードを自動選択し、選択された画像処理モードによる画像処理を行って印刷可能なデータとして出力することを特徴とする請求項1記載の印刷画像データ処理方法。
【請求項3】
前記被写体の種類を示唆する情報とは、適切な被写体画像を得るために撮影時にカメラ側で設定される被写体の種類対応の撮影モード情報もしくは焦点距離や露出などの撮影パラメータと前記画像データに含まれる被写体の特徴を表す情報であることを特徴とする請求項2記載の印刷画像データ処理方法。
【請求項4】
前記画像処理モードが自動選択とされた場合における画像処理モードの自動選択処理は、前記画像ファイル中に前記カメラ側で設定された撮影モード情報が存在するか否かを調べ、撮影モード情報が存在する場合は、その撮影モード情報に基づいて画像処理モードを選択し、前記撮影モード情報が存在しない場合は、前記画像ファイル中の前記撮影パラメータと画像ファイル中の画像データに含まれる被写体の特徴を表す情報とを用いて画像処理モードを選択することを特徴とする請求項3記載の印刷画像データ処理方法。
【請求項5】
カメラによって撮影された画像データの入った画像ファイルを読み込んで画像データを取得してその画像データを処理し印刷可能な画像データを得てその画像データを用いて印刷を行うプリンタにおいて、前記画像ファイルを読み込んで画像データを取得する画像データ取得部と、被写体の種類に基づいた画像処理モードを選択する画像処理モード選択部と、この画像処理モード選択部で選択された画像処理モードに基づき前記画像ファイル中の画像データに対し画像処理を施す画像処理部と、この画像処理部で処理された画像データを印刷する印刷処理部と、を有したことを特徴とするプリンタ。
【請求項6】
ユーザの指示によって前記画像処理モードの選択を可能とする画像処理モード設定部を有し、どのような画像処理モードとするかは被写体の種類に応じてユーザによって任意に選択可能であるとともに自動選択の指示も可能であって、ユーザが被写体の種類に応じて画像モードを指示した場合は、ユーザの指示に応じた画像処理モードが選択され、選択された画像処理モードによる画像処理を行って印刷可能なデータとして出力し、ユーザが自動選択を指示した場合は、前記画像ファイル中に存在する被写体の種類を示唆する情報に基づいて画像処理モードを自動選択し、選択された画像処理モードによる画像処理を行って印刷可能なデータとして出力することを特徴とする請求項5記載のプリンタ。
【請求項7】
前記被写体の種類を示唆する情報とは、適切な被写体画像を得るために撮影時にカメラ側で設定される被写体の種類対応の撮影モード情報もしくは焦点距離や露出などの撮影パラメータと前記画像データに含まれる被写体の特徴を表す情報であることを特徴とする請求項6記載のプリンタ。
【請求項8】
前記画像処理モードが自動選択とされた場合における画像処理モードの自動選択処理は、前記画像ファイル中に前記カメラ側で設定された撮影モード情報が存在するか否かを調べ、撮影モード情報が存在する場合は、その撮影モード情報に基づいて画像処理モードを選択し、前記撮影モード情報が存在しない場合は、前記画像ファイル中の前記撮影パラメータと画像ファイル中の画像データに含まれる被写体の特徴を表す情報とを用いて画像処理モードを選択することを特徴とする請求項7記載のプリンタ。
【請求項9】
カメラによって撮影された画像データの入った画像ファイルを読み込んで画像処理し印刷可能な画像データとして出力する印刷画像データ処理プログラムを記録した記録媒体であって、その印刷画像処理プログラムは、前記画像ファイルを読み込む手順と、被写体の種類に基づいた画像処理モードを選択する手順と、これによって選択された画像処理モードに基づき前記画像ファイル中の画像データに対し画像処理を施し、印刷可能なデータとして出力する手順と、を含むことを特徴とする印刷画像データ処理プログラムを記録した記録媒体。
【請求項10】
前記画像処理モードはユーザの指示によって選択可能とし、どのような画像処理モードとするかは被写体の種類に応じてユーザによって任意に選択可能であるとともに自動選択の指示も可能であって、ユーザが被写体の種類に応じて画像モードを指示した場合は、ユーザの指示に応じた画像処理モードが選択され、選択された画像処理モードによる画像処理を行って印刷可能なデータとして出力し、ユーザが自動選択を指示した場合は、前記画像ファイル中に存在する被写体の種類を示唆する情報に基づいて画像処理モードを自動選択し、選択された画像処理モードによる画像処理を行って印刷可能なデータとして出力することを特徴とする請求項9記載の印刷画像データ処理プログラムを記録した記録媒体。
【請求項11】
前記被写体の種類を示唆する情報とは、適切な被写体画像を得るために撮影時にカメラ側で設定される被写体の種類対応の撮影モード情報もしくは焦点距離や露出などの撮影パラメータおよび前記画像データに含まれる被写体の特徴を表す情報であることを特徴とする請求項10記載の印刷画像データ処理プログラムを記録した記録媒体。
【請求項12】
前記画像処理モードが自動選択とされた場合における画像処理モードの自動選択処理は、前記画像ファイル中に前記カメラ側で設定された撮影モード情報が存在するか否かを調べ、撮影モード情報が存在する場合は、その撮影モード情報に基づいて画像処理モードを選択し、前記撮影モード情報が存在しない場合は、前記画像ファイル中の前記撮影パラメータと画像ファイル中の画像データに含まれる被写体の特徴を表す情報とを用いて画像処理モードを選択することを特徴とする請求項11記載の印刷画像データ処理プログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−205696(P2011−205696A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140208(P2011−140208)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【分割の表示】特願2011−55523(P2011−55523)の分割
【原出願日】平成11年12月27日(1999.12.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】