説明

画像データ出力装置

【課題】 利用者が設定したジョブの終了を離れた場所からでも認識できる情報出力装置を提供する。
【解決手段】 コンピュータで印刷データを作成し、音声データを指定して出力すると(SP1〜SP2)、プリンタは印刷データと音声データを受け(ステップSP11,SP12)、印刷データの量から出力に要する処理時間を算出し(SP13)、音声データの再生時間を計測して予め定める通知開始時間の音声再生タイミングを算出し(SP14)、印刷データを出力したときの時間を計測し(SP15〜SP17)、算出された処理時間と、計測された処理時間との差を求め、その差が通知時間に達したことに応じて、利用者が選択した音声データを再生し(SP18〜SP20)、音声データの再生の終了を利用者に知らせることで、ジョブ処理の終了を知らせる(SP21,SP22)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像データ出力装置に関し、例えば、ネットワーク回線を介してコンピュータから与えられる画像データを印刷するプリンタなどの画像データ出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク回線を介して複数のコンピュータが接続されている環境においては、ネットワーク回線にプリンタを接続し、1台のプリンタを複数のコンピュータで共有することが行われている。このようなシステムでは、プリンタは各コンピュータから離れた場所に設置されることが多い。このため、あるコンピュータを操作している利用者は、自分の出力したデータがプリンタで印刷されたかの状況を判断するのが困難である。すなわち、利用者は、自分の出力したジョブが印刷されたかどうかを判断するには、実際にプリンタが設置されている場所まで足を運んで確認する必要があり、印刷が完了していなければその場所で待たされることがある。
【0003】
そこで、特開2002−14789号公報(特許文献1)には、ジョブが終了したタイミングで、予め登録された音(メロディ)をプリンタから出力して利用者に対してジョブの終了を通知するように構成した出力通知装置について記載されている。また、特許文献1には、ジョブの終了前後の設定された任意のタイミングで音声通知を行うようにしてもよいことが記載されている。
【0004】
また、特開2004−272758号公報(特許文献2)には、印刷動作中の間に音声データを再生して、離れた場所からでも印刷中であることを知らせる印刷システムについて提案されている。このようなシステムでは、音声データは、コンピュータからネットワークを介してプリンタのメモリに記憶され、利用者は好みの音声データをインターネットサイトからダウンロードし、設定することができる。また、このシステムでは、印刷中にエラーが生じたときは音の再生を中断することで、利用者はエラーの生じたことを知ることができる。
【特許文献1】特開2002−14789号公報(段落番号0010、0016、0017、図2)
【特許文献2】特開2004−272758号公報(段落番号0023〜0027、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたシステムでは、ジョブの終了を知らせることはできるが、ジョブの終了を予測することができない。また、ジョブの終了前後の任意のタイミングで音声でジョブの終了を通知する場合は、ジョブ終了通知のタイミングと音声の出力開始時間を知らないと、ジョブ出力の終了時間がわからず、いずれかがわからなければ、ジョブの終了時に合わせてプリンタの設置場所へ辿り着くことができない。
【0006】
特許文献2のシステムでは、印刷動作中に音声を出力することで、利用者は自分のジョブを印刷中であることは確認できるが、あとどの位の時間で印刷が終了するのかを音声で認識することができない。
【0007】
そこで、この発明の目的は、利用者が設定したジョブの終了を離れた場所からでも予測できる画像データ出力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、予め定める画像データを処理して出力するデータ出力手段と、予め定める音声データを再生する音声再生手段と、データ出力手段によるデータの出力の終了にあわせて、音声再生手段による音声再生が終了するように、音声データの出力タイミングを制御する制御手段とを備える。
【0009】
具体的には、制御手段は、データ出力手段で画像データを出力するのに要する処理時間を算出する算出手段と、データ出力手段が画像データの出力を開始してからの時間を計測する時間計測手段と、音声データの再生時間を計測し、音声タイミングとして予め定める通知開始時間を算出する音声タイミング算出手段と、音声タイミング算出手段で算出された音声タイミングで音声再生手段から音声を再生させる音声再生制御手段とを含む。
【0010】
一実施形態では、画像データ出力装置は、ネットワーク回線を介してコンピュータに接続されていて、コンピュータは、ネットワーク回線を介して、画像データと音声データとを画像データ出力装置に出力し、画像データ出力装置は、コンピュータから出力された画像データと音声データとを記憶する記憶手段を含み、算出手段は、記憶手段に記憶している画像データに基づいて処理時間を算出し、音声タイミング算出手段は、記憶手段に記憶している音声データに基づいて、前記音声タイミングを算出する。
【0011】
他の実施形態では、音声データを予め記憶している音声データ記憶手段を含む。
【0012】
また、画像データ出力装置は、ネットワーク回線を介して複数のコンピュータに接続されていて、コンピュータは、ネットワーク回線を介して、画像データを出力するとともに音声データ記憶手段に記憶されている音声データを指定する。
【0013】
好ましくは、データ出力手段は、画像データを印刷して出力する印刷部である。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、データ出力手段によるデータの出力の終了にあわせて、音声再生手段による音声再生が終了するように、音声データの出力タイミングを制御することにより、報知される音声を聞くだけで、利用者が設定したジョブの終了を離れた場所からでも予測できる。したがって、そのジョブがあとどの位の時間で出力を終了することができるか予測できるので、ジョブの出力終了に合わせてデータ出力手段の設置場所に辿り着けば、ジョブの終了直後に出力したものを取り出すことができる。これにより、時間のロスを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1はこの発明の一実施形態の情報出力装置を含むネットワークシステムを示す図である。図1において複数のコンピュータ1a,1b,1cはネットワーク回線2を介して画像データ出力装置の一例のプリンタ3に接続されている。この発明の実施形態では、複数のコンピュータ1a,1b,1cのいずれかから印刷データと、利用者が指定した音声データとがネットワーク回線2を介してプリンタ3に出力される。
【0016】
図2は図1に示したコンピュータのブロック図であり、図3は図1に示したプリンタのブロック図である。
【0017】
コンピュータ1aは、制御部11と、入力部12と、メモリ13と、表示部14と、LAN通信回路15とを含む。メモリ13は、印刷のジョブ終了直前から報知する音声データを記憶している。入力部12からの入力に応じて、制御部11によってデータが表示部14に表示されるとともに、そのデータがメモリ13に記憶されている音声データのうち指定された音声データとともに、LAN通信回路14からネットワーク回線2を介してプリンタ3に出力される。コンピュータ1b,1cもコンピュータ1aと同様にして構成されている。
【0018】
プリンタ3は、制御手段としての制御部31と、LAN通信回路32と、記憶手段としてのメモリ33と、時間計測手段としてのタイマ34と、データ出力手段としての印刷部35と、音声再生手段としてのスピーカ36とを含む。コンピュータ1a〜1cのいずれかから出力された印刷データと音声データとは、ネットワーク回線2を介してLAN通信回路32で受信され、制御部31によってメモリ33に記憶される。メモリ33に記憶されたデータは、制御部31により印刷の形式に変換された後、印刷部35によって印刷される。
【0019】
制御部31は、メモリ33に記憶した印刷データから印刷処理するのに要する時間を算出する算出手段を構成するとともに、音声データの再生に要する再生時間を計測し、通知開始時間を算出する音声タイミング算出手段を構成している。時間計測手段としてのタイマ34は印刷部35による印刷処理が開始すると、印刷処理に要した時間を計測する。制御部31は、印刷部35による印刷データの終了と、スピーカ36から音声データに基づく音声の報知の終了するタイミングが一致するように制御する。これにより、利用者は音声内容と、音声報知の終了するタイミングとを知ることで、ジョブ処理の終了を判断することができる。
【0020】
図4はこの発明の一実施形態の画像データ出力装置の一例のプリンタと、コンピュータとの動作を説明するためのフローチャートであり、(A)はコンピュータの動作を示し、(B)はプリンタの動作を示す。図5は音声で印刷終了を報知するタイミングを説明するための図である。
【0021】
次に、図1〜図5を参照して、この発明の一実施形態における画像データ出力装置の一例のプリンタの動作について説明する。
【0022】
まず、利用者は、図4(A)に示すステップ(図示ではSPと略称する)SP1において、例えば図2に示したコンピュータ1aの入力部12からの入力により印刷すべきデータを作成し、印刷を指示するとともに、ステップSP2において、音声データを指定する。この音声データは、利用者が予め所望の音声データを入力してメモリ13に記憶しておき、印刷時に指定することで、指定した音声データがメモリ13から読み出され、印刷データとともに、ネットワーク回線2を介してプリンタ3に伝送される。
【0023】
一方、図4(B)に示すステップSP11において、プリンタ3の制御部31は、コンピュータ1a〜1cのいずれかから送信された音声データと印刷データとをネットワーク回線2を介してLAN通信回路32が受信したか否かを判別している。データの受信したことを判別すると、ステップSP12において、受信した印刷データと音声データとをメモリ33に記憶する。
【0024】
ステップSP13において、メモリ33に記憶した印刷データから図5(A)に示すように印刷データを印刷部35が印刷するのに要する処理時間T1を算出し、ステップSP14において、メモリ33に記憶した音声データを再生するのに要する再生時間T3(図5(C))を計測し、予め定める通知開始時間T4(図5(C))を算出する。通知開始時間T4は、音声再生を開始するタイミングであり、再生された音声の終了するタイミングが印刷の終了するタイミングである。
【0025】
制御部31は、ステップSP15において、メモリ33に記憶した印刷データを印刷の形式に変換して印刷部35に供給し、ステップSP16において、印刷を開始する。印刷を開始すると、ステップSP17において、タイマ34を動作させて、印刷の処理時間T2を計測する。ステップSP18において、ステップSP13で算出した予測処理時間T1と、ステップSP17で計測した処理時間T2との差時間を求める。ステップSP19において、差時間が通知開始時刻T4に一致したか否かを判別する。
【0026】
差時間が通知開始時刻T4に一致していなければ、一致する時刻になるまで待ち、その時刻T4になったことを判別すると、ステップSP20において、メロディなどの音声データを再生してスピーカ36から音声を報知させる。ステップSP21において、印刷データの印刷のジョブを終了したか否かを判別し、終了していなければ終了するまで待機する。印刷の終了したことを判別すると、ステップSP22においてメモリ33に記憶した音声データをリセットして一連の処理を終了する。
【0027】
上述のごとく、この発明の一実施形態によれば、利用者はスピーカ36から報知されるメロディの音声を聞くだけで、そのジョブがあとどの位の時間で出力を終了することができるか予測できる。そして、音性再生の終了するタイミングに合わせてプリンタ3の設置場所に辿り着けば、ジョブの終了直後に印刷したものを取り出すことができる。これにより、時間のロスを抑えることができる。
【0028】
なお、通知開始時間T4は、音声があるメロディであれば、そのメロディの先頭の開始時点であってもよく、あるいはそのメロディの終了前の例えば10秒前のように任意の予め定めるタイミングであってもよい。
【0029】
また、上述の説明では、コンピュータ1aから印刷データとともに音声データを印刷部3に出力するようにしたが、印刷部3のメモリ33に音声データを記憶しておき、コンピュータ1a〜1cのいずれかから、印刷データとともに音声データを指定する情報のみを印刷部3に伝送するようにしてもよい。また、音声データを指定することなく予め決められている音声データを再生するようにしてもよい。
【0030】
なお、図4の説明では、ジョブの終了に伴って音声データの再生を終了するようにしたが、利用者の操作や出力される印刷物を取り出すことで音声データの再生を停止させてもよい。音声データの再生を終えると、制御部31からリセット信号が発生されてメモリ33に記憶されている音声データが消去される。
【0031】
さらに、プリンタ3はコンピュータ1a〜1cから離れた位置に設けた場合について説明したが、コンピュータプリンタとを一体化した画像形成装置であってもよい。
【0032】
また、上述の説明では、この発明をプリンタに適用した例について説明したが、例えばFAXやスキャナなどで大量のデータを読込む場合に、データの読込時に音声を再生し、データの読込終了と音声の再生終了とが一致するような制御に適用してもよい。
【0033】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の一実施形態の画像データ出力装置を含むネットワークシステムを示す図である。
【図2】図1に示したコンピュータのブロック図である。
【図3】図1に示したプリンタのブロック図である。
【図4】コンピュータと、この発明の一実施形態の画像データ出力装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】音声で印刷終了を報知するタイミングを説明するための図である。
【符号の説明】
【0035】
1a〜1c コンピュータ、2 ネットワーク回線、3 プリンタ、11,31 制御部、12 入力部、13,33 メモリ、14 表示部、15,32 LAN通信回路、34 タイマ、35 印刷部、36スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定める画像データを処理して出力するデータ出力手段と、
予め定める音声データを再生する音声再生手段と、
前記データ出力手段によるデータの出力の終了にあわせて、前記音声再生手段による音声データの再生が終了するように、前記音声データの出力タイミングを制御する制御手段とを備える、画像データ出力装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記データ出力手段で前記画像データを出力するのに要する時間を算出する算出手段と、
前記データ出力手段が前記画像データの出力を開始してからの時間を計測する時間計測手段と、
音声データの再生時間を計測し、音声再生タイミングとして予め定める通知開始時間を算出する音声タイミング算出手段と、
前記音声タイミング算出手段で算出された音声タイミングで前記音声再生手段から音声を再生させる音声再生制御手段とを含む、請求項1に記載の画像データ出力装置。
【請求項3】
前記予め定める時間は任意に設定される、請求項2に記載の画像データ出力装置。
【請求項4】
前記画像データ出力装置は、ネットワーク回線を介してコンピュータに接続されていて、
前記コンピュータは、前記ネットワーク回線を介して、前記画像データと前記音声データとを前記画像データ出力装置に出力し、
前記画像データ出力装置は、前記コンピュータから出力された画像データと音声データとを記憶する記憶手段を含み、
前記算出手段は、前記記憶手段に記憶している画像データに基づいて処理時間を算出し、
音声タイミング算出手段は、前記記憶手段に記憶している音声データに基づいて、前記音声タイミングを算出する、請求項2に記載の画像データ出力装置。
【請求項5】
さらに、前記音声データを予め記憶している音声データ記憶手段を含む、請求項1または2に記載の画像データ出力装置。
【請求項6】
前記画像データ出力装置は、ネットワーク回線を介して複数のコンピュータに接続されていて、
前記コンピュータは、前記ネットワーク回線を介して、前記画像データを出力するとともに前記音声データ記憶手段に記憶されている音声データを指定する、請求項4に記載の画像データ出力装置。
【請求項7】
前記データ出力手段は、前記画像データを印刷して出力する印刷装置である、請求項1から6のいずれかに記載の画像データ出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−34616(P2007−34616A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215991(P2005−215991)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】