説明

画像データ暗号化装置、暗号化画像データ復号装置、画像データ暗号化方法、暗号化画像データ復号方法、および暗号化画像データの伝送方法

【課題】処理負荷を軽くするとともに、機密性と耐改竄性を高く保つ。
【解決手段】タイムスタンプ情報を含む管理情報部51aとデータ本体部52とを有する画像データ50を暗号化する画像データ暗号化装置10であって、管理情報部51aに第1の演算を施して第1のキーを生成する第1キー生成部130と、第1のキーとあらかじめ定められた第2のキーとに第2の演算を施して暗号化キーを生成する暗号化キー生成部150と、暗号化キーを用いて共通鍵方式でデータ本体部を暗号化する暗号化部160と、管理情報部51aと前記暗号化されたデータ本体部72とを暗号化画像データ70として出力する暗号化画像データ出力部170とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データ暗号化装置、暗号化画像データ復号装置、画像データ暗号化方法、暗号化画像データ復号方法、および暗号化画像データの伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットに代表される通信ネットワークが普及し、伝送速度も向上している。このため、静止画像データ、動画像データ等の容量の大きいデータも通信ネットワークを介して伝送されることが多くなっている。
【0003】
一方で、インターネット等の通信ネットワークは不特定多数のユーザが利用することができるものが多いため、秘匿性の高い画像データを伝送する際には、セキュリティを確保することが重要である。例えば、特許文献1には、画像データを送信装置によって暗号化し、受信装置により復号することにより、画像データの外部への漏洩、改竄を防止することが記載されている。
【特許文献1】特開2006−352265号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、暗号化に用いた鍵の管理を容易にするため、あらかじめ暗号化に用いる鍵にIDを付しておき、暗号化を行なった送信装置が画像データのユーザデータ領域に暗号化に用いた鍵の鍵IDを挿入して送信し、画像データを受信した受信装置がユーザデータ領域に挿入された鍵IDに基づいて暗号化に用いた鍵を特定して復号することが記載されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、ユーザデータ領域に挿入されている平文の鍵IDから暗号化に用いた鍵を特定することができるため、機密性と耐改竄性が損なわれるという問題がある。また、監視システム等で暗号化された画像データの送受信を連続的に行なう場合には、装置の負荷を軽減するために、暗号化処理および復号処理の演算量はなるべく少ない方が望ましい。
【0006】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、処理負荷が軽く、機密性と耐改竄性の高い画像データ暗号化装置、暗号化画像データ復号装置、画像データ暗号化方法、暗号化画像データ復号方法、および暗号化画像データの伝送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である画像データ暗号化装置は、フレーム毎に異なる所定の情報を含む管理情報部とデータ本体部とを有する画像データを暗号化する画像データ暗号化装置であって、前記管理情報部に第1の演算を施して第1のキーを生成する第1キー生成手段と、前記第1のキーとあらかじめ定められた第2のキーとに第2の演算を施して暗号化キーを生成する暗号化キー生成手段と、前記暗号化キーを用いて共通鍵暗号化方式で前記データ本体部を暗号化する暗号化手段と、前記管理情報部と前記暗号化されたデータ本体部とを暗号化画像データとして出力する暗号化画像データ出力手段と、を備える。
【0008】
本発明によれば、第1キー生成、暗号化キー生成および暗号化は複雑な手順を経ることなく行なうことができるため、画像データ暗号化装置の処理負荷を軽減することができる。また、データ本体部以外の管理情報部を用いて暗号化キーを生成するため耐改竄性を高めることができる。さらには、管理情報部にはフレームごとに異なる情報が含まれるので、処理毎に暗号化キーが異なることになる。このため、機密性を高めることができる。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である画像データ暗号化装置は、管理情報部とデータ本体部とを有する画像データを暗号化する画像データ暗号化装置であって、前記管理情報部の所定の領域にフレーム毎に異なる所定の情報を挿入する管理情報前処理手段と、前記管理情報部に第1の演算を施して第1のキーを生成する第1キー生成手段と、前記第1のキーとあらかじめ定められた第2のキーとに第2の演算を施して暗号化キーを生成する暗号化キー生成手段と、前記暗号化キーを用いて共通鍵暗号化方式で前記データ本体部を暗号化する暗号化手段と、前記管理情報部と前記暗号化されたデータ本体部とを暗号化画像データとして出力する暗号化画像データ出力手段と、を備える。
【0010】
第1の態様および第2の態様において、フレーム毎に異なる所定の情報は、例えば、タイムスタンプ情報とすることができる。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の第3の態様である暗号化画像データ復号装置は、フレーム毎に異なる所定の情報を含む管理情報部と、この管理情報部に第1の演算が施されて生成された第1のキーおよびあらかじめ定められた第2のキーに第2の演算が施されて生成された暗号化キーが用いられて共通鍵暗号化方式により暗号化されたデータ本体部と、からなる暗号化画像データを復号する暗号化画像データ復号装置であって、前記管理情報部に前記第1の演算を施して第1のキーを生成する第1キー生成手段と、暗号化側においてあらかじめ定められた前記第2のキーを特定する第2キー設定手段と、前記第1のキーと前記特定された第2キーとに前記第2の演算を施して暗号化キーを生成する暗号化キー生成手段と、前記暗号化キーを用いて共通鍵復号方式で前記データ本体部を復号する復号手段と、を備える。
【0012】
本発明によれば、第1キー生成、暗号化キー生成および暗号化は複雑な手順を経ることなく行なうことができるため、暗号化画像データ復号装置の処理負荷を軽減することができる。また、管理情報部が改竄されていると復号ができなくなるため、改竄されたことを容易に知ることができる。ここで、フレーム毎に異なる所定の情報は、例えば、タイムスタンプ情報とすることができる。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の第4の態様である画像データ暗号化方法は、画像データ暗号化装置が、フレーム毎に異なる所定の情報を含む管理情報部とデータ本体部とを有する画像データを暗号化する画像データ暗号化方法であって、前記管理情報部に第1の演算を施して第1のキーを生成する第1キー生成ステップと、前記第1のキーとあらかじめ定められた第2のキーとに第2の演算を施して暗号化キーを生成する暗号化キー生成ステップと、前記暗号化キーを用いて共通鍵暗号化方式で前記データ本体部を暗号化する暗号化ステップと、前記管理情報部と前記暗号化されたデータ本体部とを暗号化画像データとして出力する暗号化画像データ出力ステップと、を有する。
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の第5の態様である画像データ暗号化方法は、画像データ暗号化装置が、管理情報部とデータ本体部とを有する画像データを暗号化する画像データ暗号化方法であって、前記管理情報部の所定の領域にフレーム毎に異なる所定の情報を挿入する管理情報前処理ステップと、前記管理情報部に第1の演算を施して第1のキーを生成する第1キー生成ステップと、前記第1のキーとあらかじめ定められた第2のキーとに第2の演算を施して暗号化キーを生成する暗号化キー生成ステップと、前記暗号化キーを用いて共通鍵暗号化方式で前記データ本体部を暗号化する暗号化ステップと、前記管理情報部と前記暗号化されたデータ本体部とを暗号化画像データとして出力する暗号化画像データ出力ステップと、を有する。
【0015】
第4の態様および第5の態様において、前記フレーム毎に異なる所定の情報は、例えば、タイムスタンプ情報とすることができる。
【0016】
上記課題を解決するため、本発明の第6の態様である暗号化画像データ復号方法は、フレーム毎に異なる所定の情報を含む管理情報部と、この管理情報部に第1の演算が施されて生成された第1のキーおよびあらかじめ定められた第2のキーに第2の演算が施されて生成された暗号化キーが用いられて共通鍵暗号化方式により暗号化されたデータ本体部と、からなる暗号化画像データを、暗号化画像データ復号装置が復号する暗号化画像データ復号方法であって、前記管理情報部に前記第1の演算を施して第1のキーを生成する第1キー生成ステップと、暗号化側においてあらかじめ定められた前記第2のキーを特定する第2キー設定ステップと、前記第1のキーと前記特定された第2キーとに前記第2の演算を施して暗号化キーを生成する暗号化キー生成ステップと、前記暗号化キーを用いて共通鍵復号方式で前記データ本体部を復号する復号ステップと、を有する。前記フレーム毎に異なる所定の情報は、例えば、タイムスタンプ情報とすることができる。
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の第7の態様である画像データの伝送方法は、送信側において、フレーム毎に異なる所定の情報を含む管理情報部とデータ本体部とを有する画像データが暗号化された暗号化画像データを受信側に伝送路を介して伝送する伝送方法であって、前記送信側が、前記管理情報部に第1の演算を施して第1のキーを生成する第1キー生成ステップと、前記第1のキーとあらかじめ定められた第2のキーとに第2の演算を施して暗号化キーを生成する暗号化キー生成ステップと、前記暗号化キーを用いて共通鍵暗号化方式で前記データ本体部を暗号化する暗号化ステップと、前記管理情報部と前記暗号化されたデータ本体部とを前記暗号化画像データとして出力する暗号化画像データ出力ステップと、を有して前記暗号化画像データを、前記伝送路を介して前記受信側に伝送する。前記フレーム毎に異なる所定の情報は、例えば、タイムスタンプ情報とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、処理負荷を軽くするとともに、機密性と耐改竄性を高く保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の画像データ伝送システムの構成の概要を示すブロック図である。図1に示すように、画像データ伝送システムは、画像データ暗号化装置10と暗号化画像データ復号装置20とを備えて構成される。画像データ暗号化装置10と暗号化画像データ復号装置20とは、例えば、インターネット等の通信ネットワーク40を介して接続される。
【0020】
画像データ暗号化装置10は、CPU、メモリ、通信制御装置、入出力インタフェース等を備えた汎用的な情報処理装置あるいは専用装置を用いて構成することができ、伝送対象の画像データ50を入力して暗号化画像データ70を出力する。
【0021】
画像データ50は、所定のフォーマットで構成されており、画像関連情報等からなる管理情報部51と実質的な画像データ部分であるデータ本体部52とを備えている。暗号化画像データ70は、本発明を適用して暗号化された画像データであり、平文の管理情報部51aと暗号化された暗号化データ本体部72とを備えている。
【0022】
暗号化画像データ復号装置20は、CPU、メモリ、通信制御装置、入出力インタフェース等を備えた汎用的な情報処理装置あるいは専用装置を用いて構成することができ、暗号化画像データ70を入力して復号済画像データ50aを出力する。
【0023】
復号済画像データ50aは、暗号化画像データ70を復号して得られた画像データであり、管理情報部51aと実質的な画像データ部分であるデータ本体部52aとを備えている。復号済画像データ50aのデータ本体部52aは、画像データ暗号化装置10に入力された画像データ50のデータ本体部52と同一の内容である。
【0024】
ここで、画像データ50のデータ本体部52は、JPEG方式で圧縮されているものとし、画像データ50のフォーマットは、JPEG画像データの標準フォーマットであるJFIFフォーマットであるとする。ただし、本発明はこれに限定されず、GIF、TIF等の種々の画像圧縮フォーマットを用いることができる。また、静止画フォーマットに限られず、MPEG等の動画フォーマットであってもよい。
【0025】
図2は、画像データ暗号化装置10の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像データ暗号化装置10は、管理情報部51とデータ本体部52とを備えた画像データ50を入力する画像データ入力部110と、暗号化に先立ち管理情報部51にタイムスタンプ等の付加情報を挿入する管理情報前処理部120と、管理情報前処理部120が出力した管理情報部51aに基づいて第1キーを生成する第1キー生成部130と、あらかじめ定められた第2キーを格納する第2キー格納部140と、第1キーと第2キーとに基づいて暗号化キーを生成する暗号化キー生成部150と、暗号化キーを用いてデータ本体部52を暗号化する暗号化部160と、前処理後の管理情報部51aと暗号化部160が出力した暗号化データ本体部72とを統合して暗号化画像データ70として出力する暗号化画像データ出力部170とを備えている。
【0026】
管理情報前処理部120は、管理情報部51のユーザデータ領域、例えば、コメントセグメントに、タイムスタンプ情報と暗号化フラグ情報を挿入する。ここで、タイムスタンプ情報は、タイムスタンプ情報を付加した時刻(年月日・秒・ミリ秒)とする。ただし、画像データ50を作成した時刻、画像データの圧縮を行なった時刻、暗号化を行なった時刻等としてもよい。また、管理情報部51にタイプスタンプ情報が既に記録されている場合には、改めて挿入しなくてもよい。画像データ暗号化装置10において暗号化を行なうため、暗号化フラグ情報はフラグオンの状態で挿入する。なお、暗号化画像データ復号装置20に入力される画像データがすべて暗号化されていることが明らかであれば、暗号化フラグ情報は省くようにしてもよい。
【0027】
管理情報前処理部120は、さらに、機種名情報、バージョン情報、MACアドレス情報、データ本体部52のサイズ情報等を管理情報部51のユーザデータ領域に挿入することができる。なお、管理情報前処理部120は、タイムスタンプ情報の代わりに、画像データ毎に異なる数値や文字列を挿入するようにしてもよい。この毎回異なる数値としては、乱数やインクリメントする数値であってもよい。後述するように、管理情報部51を構成するデータ列を用いて第1キーを生成するため、画像データ毎に異なる情報が管理情報部51に含まれる方が、暗号の機密性と耐改竄性が高まることになる。
【0028】
第1キー生成部130は、管理情報部51aを構成するデータ列(x0,x1,…,xn)に対して、checksumやCRC(Cyclic Redundancy Check)、またはSHA(Secure Hush Algorithm)やmd5(Message Digest Algorithm)等のハッシュ関数等の一方向関数fxを施すことで第1キーfx(x0,x1,…,xn)を生成する。管理情報部51aにはタイムスタンプ情報が含まれているため、生成される第1キーは処理毎に異なる値となる。
【0029】
第2キー格納部140には、あらかじめ定められた第2キーが格納されているが、第2キーは、例えば、画像データ暗号化装置10の機種毎、バージョン毎に異なる固有の値とすることができる。ただし、各機種で共通の値としてもよい。
【0030】
暗号化キー生成部150は、第1キーと第2キーとを変数として、上述したような一方向関数gxを施すことで暗号化キーgx(第1キー,第2キー)を生成する。第1キーは処理毎に異なる値で生成されているため、暗号化キーも処理毎に異なる値となる。
【0031】
暗号化部160は、暗号化キー生成部150が生成した暗号化キーを用いてデータ本体部52を暗号化し、暗号化データ本体部72を生成する。暗号化部160は、暗号処理時と復号処理時とで同じ鍵を使用する共通鍵方式を用いて暗号化を行なう。共通鍵方式としては、例えば、Blowfish、DES(Data Encryption Standard)等を用いることができる。
【0032】
このように、本実施形態では、データ本体部52に対して、管理情報部51aから導かれる暗号化キーを用いて暗号化を行ない、管理情報部51aに対して暗号化は行なわない。また、管理情報部51aはタイムスタンプ情報を含んでいるため、暗号化キーは、画像データ毎に異なる値となる。このため、暗号の機密性と耐改竄性が高まっている。
【0033】
図3は、暗号化画像データ復号装置20の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、暗号化画像データ復号装置20は、管理情報部51aと暗号化データ本体部72とを備えた暗号化画像データ70を入力する暗号化画像データ入力部210と、管理情報部51aに基づいて第1キーを生成する第1キー生成部130と、画像データ暗号化装置10においてデータ本体部52を暗号化する際の暗号化キーの生成に用いられた第2キーを設定する第2キー設定部240と、第1キーと第2キーとに基づいて暗号化キーを生成する暗号化キー生成部250と、暗号化キーを用いて暗号化データ本体部72を復号する復号部260と、管理情報部51aと復号部260が出力した復号済データ本体部52aとを統合して復号済画像データ50aとして出力する復号済画像データ出力部270とを備えている。
【0034】
暗号化画像データ入力部210は、管理情報部51aのユーザデータ領域に暗号化フラグ情報がオンの状態で含まれているかどうかをチェックし、含まれている場合には、暗号化画像データ復号装置20による復号処理を行なう。含まれていない場合には、暗号化画像データ復号装置20における復号処理は行なわない。ただし、入力される画像データが暗号化されていることが明らかであれば暗号化フラグ情報のチェックは行なわないようにしてもよい。
【0035】
第1キー生成部230は、管理情報部51aを構成するデータ列(x0,x1,…,xn)に対して、画像データ暗号化装置10の第1キー生成部130が用いた変換関数と同じ一方向関数fxを施すことで第1キーfx(x0,x1,…,xn)を生成する。このため、第1キー生成部230が生成した第1キーは、その管理情報部51aについて画像データ暗号化装置10の第1キー生成部130が生成した第1キーと同一となる。
【0036】
第2キー設定部240は、画像データ暗号化装置10においてデータ本体部52を暗号化する際の暗号化キーの生成に用いられた第2キーを設定する。第2キー設定部240は、例えば、図4(a)に示すような第2キー設定テーブルを備えており、管理情報部51aで特定される画像データ暗号化装置10の機種名、バージョン等から第2キーを設定できるようになっている。
【0037】
なお、第2キーの設定方法は、テーブル方式に限られない。例えば、図4(b)に示すように、画像データ暗号化装置10と暗号化画像データ復号装置20との通信開始時において画像データ暗号化装置10から取得するようにしてもよい。あるいは、通信ネットワーク40上に別途設けられた管理サーバ80から取得するようにしてもよい。さらには、第2キーとして一律の値を用いている場合には、あらかじめ定められた第2キーを第2キー設定部240に格納しておくことができる。第2キーは直接の暗号化キーではないため、仮に第2キーが漏洩したとしても、秘匿性や改竄に対する頑健性は保つことができる。
【0038】
暗号化キー生成部250は、第1キーと第2キーとを変数として、画像データ暗号化装置10の暗号化キー生成部150が用いた変換関数と同じ一方向関数gxを施すことで暗号化キーgx(第1キー,第2キー)を生成する。このため、暗号化キー生成部250が生成した暗号化キーは、画像データ暗号化装置10の暗号化キー生成部150が生成した暗号化キーと同一となる。
【0039】
復号部260は、暗号化キー生成部250が生成した暗号化キーを用いて暗号化データ本体部72を復号し、復号済データ本体部52aを生成する。暗号化データ本体部72は、共通鍵方式で暗号化されているため、復号部260は、生成された暗号化キーを用いて、画像データ暗号化装置10の暗号化部160が用いた暗号化方式と同じ暗号化方式で復号を行なうことで、暗号化データ本体部72を復号して復号済データ本体部52aを得ることができる。
【0040】
次に、画像データ暗号化装置10における暗号化処理について図5のフローチャートおよび図7を参照して説明する。まず、画像データ入力部110が、撮影装置等から画像データ50を入力する(S101)。この画像データの管理情報部51に、管理情報前処理部120がタイムスタンプ等の付加情報を挿入するとともに(S102)、暗号化フラグをオンの状態で挿入する(S103)。
【0041】
図6は、タイムスタンプ等の付加情報が挿入された画像データ50のフォーマットを示す図である。本図は、JPEGフォーマットを利用したJFIFを用いた場合の画像データ50のフォーマットを示している。画像データ50は、付加情報が挿入された管理情報部51aと、JPEG形式で圧縮されたフレームデータ504で構成されるデータ本体部52とを含み、画像データ50の始まりを示すSOI(Start Of Image)マーカ501と、画像データ50の終わりを示すEOI(End Of Image)マーカ505とが付されている。SOIマーカ501は、JFIFのキーコードである0xFFに0xD8を組み合わせた2バイトで示され、EOIマーカ505は、0xFFに0xD9を組み合わせた2バイトで示される。図6で、管理情報部51aは、コメントセグメント502およびアプリケーションセグメント503を含んでいるが、これらには限定されず、その他のセグメントを含めるようにしてもよい。
【0042】
管理情報部51aのコメントセグメント502は、コメントセグメントであることを示すCOM(Comment)マーカ512aが、キーコードの0xFFに0xFEを組み合わせた2バイトで示され、続く2バイトのLength512bで、コメントセグメントのデータ長が示される。そして、コメントセグメント502aの本体部512cには、タイムスタンプ情報、暗号化フラグ情報、機種名、バージョン、MACアドレスが管理情報前処理部120により挿入されている。ただし、上述のように、管理情報部51a内にタイムスタンプ情報が含まれていれば足り、タイムスタンプ情報が示す時刻情報も限定されない。
【0043】
次いで、第1キー生成部130が、管理情報部51aに基づいて第1キーを生成する(S104)。図7に示した例では、管理情報部51aを構成するデータ列(x0,x1,…,xn)から、第1キー生成部130が、第1キーfx(x0,x1,…,xn)を生成している。なお、管理情報部51aにSOIマーカ501のデータ列を含めて第1キーを生成するようにしてもよい。
【0044】
そして、第2キー格納部140から第2キーを取得して(S105)、暗号化キー生成部150が、第1キーと第2キーとから暗号化キーを生成する(S106)。暗号化キーが生成されると、暗号化部160が、生成された暗号化キーを用いて、データ本体部52を暗号化する(S107)。
【0045】
図7に示すように、暗号化画像データ出力部170は、付加情報が挿入された管理情報部51aと、暗号化されたフレームデータ706で構成される暗号化データ本体部72とを結合して、暗号化画像データ70として暗号化画像データ復号装置20に通信ネットワーク40を介して出力する(S108)。
【0046】
画像データ暗号化装置10は、以上の処理を伝送する画像データが終了するまで繰り返す(S109)。上述のように、繰り返す度に暗号化キーは異なるため、暗号の機密性と耐改竄性が高まっている。また、画像データ暗号化装置10では、第1キーを生成する演算、暗号化キーを生成する演算、さらには、暗号化処理とも複雑な手順を経ないで行なうことができるため、画像データを連続して伝送する場合でも、画像データ暗号化装置10の処理負荷は軽いものとなっている。
【0047】
次に、暗号化画像データ復号装置20における復号処理について図8のフローチャートおよび図9を参照して説明する。まず、暗号化画像データ入力部210が、通信ネットワーク40を介して画像データ暗号化装置10から暗号化画像データ70を入力する(S201)。なお、入力されたこの画像データにオン状態の暗号化フラグが含まれていない場合には、以降の復号処理は行なわない。
【0048】
暗号化画像データ70を入力すると、第1キー生成部230が、管理情報部51aに基づいて第1キーを生成する(S202)。図9に示した例では、管理情報部51aを構成するデータ列(x0,x1,…,xn)から、第1キー生成部230が、第1キーfx(x0,x1,…,xn)を生成している。
【0049】
そして、第2キー設定部240が、画像データ暗号化装置10においてデータ本体部52を暗号化する際の暗号化キーの生成に用いられた第2キーを設定する(S203)。第2キーが設定されると、暗号化キー生成部250が、第1キーと第2キーとから暗号化キーを生成する(S204)。
【0050】
この暗号化キーは、画像データ暗号化装置10においてデータ本体部52を暗号化する際に用いた暗号化キーと一致するため、復号部260が、生成された暗号化キーを用いて、暗号化データ本体部72を復号する(S205)。
【0051】
図9に示すように、復号済画像データ出力部270は、管理情報部51aと、復号されたフレームデータ504aで構成される復号済データ本体部52aとを結合して、復号済画像データ50aとして画像表示装置等に出力する(S206)。
【0052】
暗号化画像データ復号装置20は、以上の処理を伝送される画像データが終了するまで繰り返す(S207)。暗号化画像データ復号装置20では、第1キーを生成する演算、暗号化キーを生成する演算、さらには、復号処理とも複雑な手順を経ないで行なうことができるため、画像データが連続して伝送される場合でも、暗号化画像データ復号装置20の処理負荷は軽いものとなっている。
【実施例1】
【0053】
図10は、上述の画像データ暗号化装置10と暗号化画像データ復号装置20とを用いてネットワーク映像監視システムを構築した実施例を示す図である。本例では、2台の画像データ暗号化装置(画像データ暗号化装置A10a、画像データ暗号化装置B10b)と、1台の暗号化画像データ復号装置20を用いている。
【0054】
画像データ暗号化装置A10aは、撮影装置A30aが撮影した画像データを暗号化して通信ネットワーク40を介して暗号化画像データ復号装置20に出力し、画像データ暗号化装置B10bは、撮影装置B30bが撮影した画像データを暗号化して通信ネットワーク40を介して暗号化画像データ復号装置20に出力する。
【0055】
暗号化画像データ復号装置20には、画像表示装置A50a、画像表示装置B50bが接続されており、暗号化画像データ復号装置20は、画像データ暗号化装置A10a、画像データ暗号化装置B10bからそれぞれ入力された暗号化画像データを復号し、それぞれ画像表示装置A50a、画像表示装置B50bに表示する。
【0056】
図10に示すように、暗号化画像データ復号装置20では、画像データ暗号化装置A10aから入力されたフレーム0、フレーム1…フレームnの暗号化画像データは、それぞれ管理情報部51aから得られる暗号化キーA0、暗号化キーA1…暗号化キーAnで復号を行ない、画像データ暗号化装置B10bから入力されたフレーム0、フレーム1…フレームnの暗号化画像データは、それぞれ管理情報部51aから得られる暗号化キーB0、暗号化キーB1…暗号化キーBnで復号を行なうことができる。
【0057】
このとき、それぞれの管理情報部51にaは、異なる時刻を示すタイムスタンプが含まれているため、暗号化キーA0、暗号化キーA1…暗号化キーAn、暗号化キーB0、暗号化キーB1…暗号化キーBnは、すべて異なる値である。したがって、ネットワーク映像監視システムの機密性は高いものとなる。また、管理情報部51aを改竄すると暗号化画像データの復号ができなくなるため耐改竄性も高いものとなる。
【0058】
さらには、暗号化キーの生成に用いられる管理情報部に、機種名情報、MACアドレス情報等を含めると、例えば、意図的に画像データ暗号化装置10の情報を入れ替えたり、書き換えたりした場合に、暗号化キーが再現できなくなって、暗号化画像データの復号ができなくなる。このため、一層改竄の発見が容易となるとともに、改竄の抑止的効果が高くなる。
【0059】
また、前述した実施形態は、上述した実施例であるネットワーク映像監視システムと同様に、画像配信システム、テレビ会議システム等にも効果的に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態である画像データ伝送システムの構成の概要を示すブロック図である。
【図2】画像データ暗号化装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】暗号化画像データ復号装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】第2キーの設定方法について説明する図である。
【図5】画像データ暗号化装置における暗号化処理について説明するフローチャートである。
【図6】管理情報部の付加情報について説明する図である。
【図7】画像データと暗号化画像データのフォーマットを説明する図である。
【図8】暗号化画像データ復号装置における復号処理について説明するフローチャートである。
【図9】暗号化画像データと復号済画像データのフォーマットを説明する図である。
【図10】本発明の実施例であるネットワーク映像監視システムの概略構成図である。
【符号の説明】
【0061】
10…画像データ暗号化装置、20…暗号化画像データ復号装置、30…撮影装置、40…通信ネットワーク、50…画像表示装置、80…管理サーバ、110…画像データ入力部、120…管理情報前処理部、130…第1キー生成部、140…第2キー格納部、150…暗号化キー生成部、160…暗号化部、170…暗号化画像データ出力部、210…暗号化画像データ入力部、230…第1キー生成部、240…第2キー設定部、250…暗号化キー生成部、260…復号部、270…復号済画像データ出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム毎に異なる所定の情報を含む管理情報部とデータ本体部とを有する画像データを暗号化する画像データ暗号化装置であって、
前記管理情報部に第1の演算を施して第1のキーを生成する第1キー生成手段と、
前記第1のキーとあらかじめ定められた第2のキーとに第2の演算を施して暗号化キーを生成する暗号化キー生成手段と、
前記暗号化キーを用いて共通鍵暗号化方式で前記データ本体部を暗号化する暗号化手段と、
前記管理情報部と前記暗号化されたデータ本体部とを暗号化画像データとして出力する暗号化画像データ出力手段と、
を備えたことを特徴とする画像データ暗号化装置。
【請求項2】
管理情報部とデータ本体部とを有する画像データを暗号化する画像データ暗号化装置であって、
前記管理情報部の所定の領域にフレーム毎に異なる所定の情報を挿入する管理情報前処理手段と、
前記管理情報部に第1の演算を施して第1のキーを生成する第1キー生成手段と、
前記第1のキーとあらかじめ定められた第2のキーとに第2の演算を施して暗号化キーを生成する暗号化キー生成手段と、
前記暗号化キーを用いて共通鍵暗号化方式で前記データ本体部を暗号化する暗号化手段と、
前記管理情報部と前記暗号化されたデータ本体部とを暗号化画像データとして出力する暗号化画像データ出力手段と、
を備えたことを特徴とする画像データ暗号化装置。
【請求項3】
前記フレーム毎に異なる所定の情報がタイムスタンプ情報であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像データ暗号化装置。
【請求項4】
フレーム毎に異なる所定の情報を含む管理情報部と、この管理情報部に第1の演算が施されて生成された第1のキーおよびあらかじめ定められた第2のキーに第2の演算が施されて生成された暗号化キーが用いられて共通鍵暗号化方式により暗号化されたデータ本体部と、からなる暗号化画像データを復号する暗号化画像データ復号装置であって、
前記管理情報部に前記第1の演算を施して第1のキーを生成する第1キー生成手段と、
暗号化側においてあらかじめ定められた前記第2のキーを特定する第2キー設定手段と、
前記第1のキーと前記特定された第2キーとに前記第2の演算を施して暗号化キーを生成する暗号化キー生成手段と、
前記暗号化キーを用いて共通鍵復号方式で前記データ本体部を復号する復号手段と、
を備えたことを特徴とする暗号化画像データ復号装置。
【請求項5】
前記フレーム毎に異なる所定の情報がタイムスタンプ情報であることを特徴とする請求項4記載の暗号化画像データ復号装置。
【請求項6】
画像データ暗号化装置が、フレーム毎に異なる所定の情報を含む管理情報部とデータ本体部とを有する画像データを暗号化する画像データ暗号化方法であって、
前記管理情報部に第1の演算を施して第1のキーを生成する第1キー生成ステップと、
前記第1のキーとあらかじめ定められた第2のキーとに第2の演算を施して暗号化キーを生成する暗号化キー生成ステップと、
前記暗号化キーを用いて共通鍵暗号化方式で前記データ本体部を暗号化する暗号化ステップと、
前記管理情報部と前記暗号化されたデータ本体部とを暗号化画像データとして出力する暗号化画像データ出力ステップと、
を有したこと特徴とする画像データ暗号化方法。
【請求項7】
画像データ暗号化装置が、管理情報部とデータ本体部とを有する画像データを暗号化する画像データ暗号化方法であって、
前記管理情報部の所定の領域にフレーム毎に異なる所定の情報を挿入する管理情報前処理ステップと、
前記管理情報部に第1の演算を施して第1のキーを生成する第1キー生成ステップと、
前記第1のキーとあらかじめ定められた第2のキーとに第2の演算を施して暗号化キーを生成する暗号化キー生成ステップと、
前記暗号化キーを用いて共通鍵暗号化方式で前記データ本体部を暗号化する暗号化ステップと、
前記管理情報部と前記暗号化されたデータ本体部とを暗号化画像データとして出力する暗号化画像データ出力ステップと、
を備えたことを特徴とする画像データ暗号化方法。
【請求項8】
前記フレーム毎に異なる所定の情報がタイムスタンプ情報であることを特徴とする請求項6又は7記載の画像データ暗号化方法。
【請求項9】
フレーム毎に異なる所定の情報を含む管理情報部と、この管理情報部に第1の演算が施されて生成された第1のキーおよびあらかじめ定められた第2のキーに第2の演算が施されて生成された暗号化キーが用いられて共通鍵暗号化方式により暗号化されたデータ本体部と、からなる暗号化画像データを、暗号化画像データ復号装置が復号する暗号化画像データ復号方法であって、
前記管理情報部に前記第1の演算を施して第1のキーを生成する第1キー生成ステップと、
暗号化側においてあらかじめ定められた前記第2のキーを特定する第2キー設定ステップと、
前記第1のキーと前記特定された第2キーとに前記第2の演算を施して暗号化キーを生成する暗号化キー生成ステップと、
前記暗号化キーを用いて共通鍵復号方式で前記データ本体部を復号する復号ステップと、
を有したことを特徴とする暗号化画像データ復号方法。
【請求項10】
前記フレーム毎に異なる所定の情報がタイムスタンプ情報であることを特徴とする請求項9記載の暗号化画像データ復号方法。
【請求項11】
送信側において、フレーム毎に異なる所定の情報を含む管理情報部とデータ本体部とを有する画像データが暗号化された暗号化画像データを受信側に伝送路を介して伝送する伝送方法であって、
前記送信側が、
前記管理情報部に第1の演算を施して第1のキーを生成する第1キー生成ステップと、
前記第1のキーとあらかじめ定められた第2のキーとに第2の演算を施して暗号化キーを生成する暗号化キー生成ステップと、
前記暗号化キーを用いて共通鍵暗号化方式で前記データ本体部を暗号化する暗号化ステップと、
前記管理情報部と前記暗号化されたデータ本体部とを前記暗号化画像データとして出力する暗号化画像データ出力ステップと、を有して前記暗号化画像データを前記伝送路を介して前記受信側に伝送することを特徴とする暗号化画像データの伝送方法。
【請求項12】
前記フレーム毎に異なる所定の情報がタイムスタンプ情報であることを特徴とする請求項11記載の暗号化画像データの伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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