説明

画像パターン検出補正装置および画像パターン検出補正方法

【課題】
2値化された画像データから一定パターンサイズ以下となる任意のパターンの検出および補正に必要なマッチングデータ格納データ容量およびパターンの検出の演算量を大幅に削減する。
【解決手段】
内部ブロックに隣接するすべての外部ブロックに第1のデータを設定され、内部ブロックの特定の頂点にあたるブロックに第2のデータを設定されたマッチングデータを記憶するマッチングデータ記憶手段と、0または1に2値化された複数のブロックから構成される画像データとマッチングデータを比較し、画像データとマッチングデータの対応する位置のデータが適合する場合に適合と判定するパターンマッチング手段と、パターンマッチング手段が適合と判定した場合に、マッチングデータの内部ブロックと比較される位置のブロックのうち1に設定されたブロックのデータを0に補正するデータ補正手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2値化された画像データから画像パターンを検出し、その補正を行う画像パターン検出補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像パターン検出装置では、マスタサンプルからマッチングデータを得るに際に、そのマスタサンプルからあらかじめ決められた回数繰り返してパターンを入力し、それらのパターンからパターンマッチングにおいて比較対象とならない不感領域を設けてマッチングデータを作成し、このマッチングデータと試料から得られる比較パターンとを比較することにより、マッチング度を高めて正確な位置決めを行う画像パターン検出装置を得ている(例えば、特許文献1)。また、監視カメラや車載カメラ等に使用される動き検出装置では、画面内を複数のブロックに分割し、各ブロックに対してフレーム間のデータの比較をおこない、該当ブロックに被写体(例えば人)の動きがあるかどうかの判定を行い、被写体に動きがある場合には被写体の大きさに相当するパターンが出力される。(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−2330号公報(第2頁〜第3頁、図1)
【特許文献2】特開平7−93556号公報(段落番号[0006]、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の動き検出装置では、誤検知によって被写体よりパターンサイズの十分に小さいパターンが動き検出の判定結果として出力される場合がある。所望の被写体以外の動き検出結果を削除するためには、誤検知による判定結果を検出および補正する必要がある。そのためには、パターンサイズが一定以下となる任意のパターンを検出する必要があり、その検出にはパターンマッチングが用いられる。マッチングデータと適合する参照画像データの画像領域を見つけだすためのパターンマッチング方法としては、参照画像データに対してマッチングデータを1ブロックずつずらしながら、参照画像データ像とマッチングデータの対応領域の一致度を計算してマッチングを行う方法が知られている。このパターンマッチング方法において、従来の画像パターン検出装置は、不感領域を2値化データの境界部分に設定し、特定形状への一致の有無を確認するものであるため、パターンマッチングを行う際に想定される誤検知に起因する判定結果のパターンに対してすべてのマッチングデータを準備するためには、必要となるマッチングデータ数が膨大となり、パターンマッチングの演算量の増大とマッチングデータを格納する必要領域の増大が発生する問題があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、連続するブロックから構成されるパターンであって、一定パターンサイズ以下となる任意のパターンの検出および補正に必要なマッチングデータ格納データ容量およびパターンの検出の演算量を大幅に削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、連続する複数のブロックにて多角形を形成する内部ブロックおよび内部ブロックの周囲を取り囲む複数の外部ブロックから形成されるマッチングデータであって、内部ブロックに隣接するすべての外部ブロックに第1のデータを設定され、内部ブロックの特定の頂点にあたるブロックに第2のデータを設定されたマッチングデータを記憶するマッチングデータ記憶手段と、0または1に2値化された複数のブロックから構成される画像データと、マッチングデータを比較し、画像データを構成するブロックであって、マッチングデータ中の第1のデータが設定されたブロックと比較されるすべてのブロックに0が設定され、画像データを構成するブロックであって、マッチングデータ中の第2のデータが設定されたブロックと比較されるすべてのブロックに1が設定されている場合に適合と判定するパターンマッチング手段と、パターンマッチング手段が適合と判定した場合に、画像データを構成するブロックであって、マッチングデータの内部ブロックに比較される位置のブロックのうち1に設定されたブロックのデータを0に補正するデータ補正手段とを備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、連続するブロックから構成されるパターンであって、一定パターンサイズ以下となる任意のパターンの検出および補正に必要なマッチングデータ格納データ容量およびパターンの検出の演算量を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像パターン検出補正装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る画像パターン検出補正装置のパターン生成方法について示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る画像パターン検出補正装置の適合と判断する場合の処理例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る画像パターン検出補正装置の非適合と判断する場合の処理例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る画像パターン検出補正装置のデータ修正処理の動作例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る画像パターン検出補正装置に係るマッチングデータでマッチングするパターンを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係るマッチングデータ配列の例を示した図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る画像パターン検出補正装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る画像パターン検出補正装置のパターン生成方法について示す図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係るマッチングデータ配列の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明を実施するための実施の形態1に係る画像パターン検出補正装置の構成を示すブロック図である。図1において、10はカメラで撮像された画像を複数のブロックに分割し、各ブロックに対してフレーム間(カメラにより時間的に先に撮像された画像と、カメラにより時間的に後に撮像された画像)のデータの比較を行い、被写体の動きがあるかを判定する動き検出装置である。ここで、ブロックは画像データの1または複数の画素から構成されており、フレーム間のブロック毎のデータ比較を行う場合には、ブロックごとに画素のRGB信号に基づく数値の平均値を算出し、その平均値のフレーム間における変化量に基づいてブロック毎に動きの有無を判定している。20は動き検出装置10より出力された画像データ中の特定パターンの検出および補正を行う画像パターン検出補正装置、30は動き検出装置10の出力結果であって、画像パターン検出補正装置20に入力される2値化画像データである。この2値化画像データ30は、複数のブロック(2値化画像データ30においては画素に相当)から構成され、例えば、動きが検出されないブロックに0が設定され、動きが検出されたブロックに1が設定されている。40は画像パターン検出補正装置内でパターンマッチングおよびデータ修正を行うために一時的に記録されている参照補正用画像データ、50は参照補正用画像データ40に対してパターンマッチングを行うパターンマッチング処理部、60は参照補正用画像データ40に対してデータの修正を行うデータ修正部、70はパターンマッチングおよびデータ修正を行うために参照されるマッチングデータを記憶するマッチングデータ記憶部である。ここで、マッチングデータ記憶部70に記憶されるマッチングデータは2値化画像データ30と同様に複数のブロックから構成され、各ブロックに0、1、2および3の4値のいずれかが設定されている。80は画像パターン検出補正装置10から出力される補正後画像データを示す。
【0010】
マッチングデータ記憶部70には、0、1、2および3の4値のいずれかが設定されたブロックから成る矩形状のマッチングデータが複数記憶されている。ここで各値の意味は下記の通りである。
0… マッチングを行う2値化画像データの0に設定されたブロックに対して一致を判断する。
1… マッチングを行う2値化画像データの1に設定されたブロックに対して一致を判断する。
2,3… マッチングを行う2値化画像データに対してマッチングを行わない。
ここでは、2および3を設定されたブロックがパターンマッチングにおいて比較を行わない不感領域となる。マッチングデータ中の0または1が設定されているブロックと、比較を行う矩形領域データ中の対応する各ブロックに設定されたデータがすべて一致する場合には適合、それ以外の場合は非適合と判定する。適合と判断された場合には、データ修正部60において、1および3が設定されたブロックに対応する矩形領域データのブロックのデータ値を1から0に補正する。
【0011】
図2はマッチングデータの生成方法について例を示したものである。図2(a)、(b)、(c)はマッチングデータに含まれる多角形状の内部ブロックのブロック数(以下、パターン面積とする)がそれぞれ8、7、20となる場合のマッチングデータの生成例を示している。マッチングデータは凹部分のない多角形として表される形状を抽出し、多角形の特定の頂点にあたる内部ブロックに1、多角形に隣接する外部ブロックに0、多角形に隣接する外部ブロックを除く外部ブロックに2、多角形の特定の頂点にあたる内部ブロックを除く内部ブロックに3を設定することによりマッチングデータを生成する。ここで、内部ブロックとはマッチングデータを構成するブロックであって、凹部のない多角形の内部のブロック、外部ブロックとはマッチングデータを構成するブロックであって、凹部のない多角形の外部のブロックを指し、凹部のない多角形とは連続するブロックから構成される多角形であって、多角形の外部に3辺以上をこの多角形の辺により囲まれる矩形領域が存在しない多角形をいい、例えば、図2において太線で示される多角形をいう。また、多角形の特定の頂点にあたる内部ブロックとは、ブロックに対して向かい方向(上と下、左と右、右下と左上、右上と左下)のブロックの組であって、両方が内部ブロックとなるブロックの組がないブロックを指す。例えば、図2(b)に示すようにブロック100については下、左、右上、左下、左上が外部ブロックであるため、多角形の特定の頂点となるため1が設定され、ブロック101については左上および右下がいずれにも内部ブロックとなるため3が設定される。
【0012】
次に入力画像データからの特定パターンの検出および補正を行う演算について説明する。動き検出装置10では、カメラで撮像された画像が複数のブロックに分割され、各ブロックに対してフレーム間のデータの比較を行い、被写体(例えば人)の動きがあるかどうかを判定し、動きがないと判定されたブロックに0、動きがあると判定されたブロックに1と設定された2値化画像データ30が出力される。画像パターン検出補正装置20に2値化画像データ30が入力された場合、2値化画像データ30は参照補正用画像データ40として画像パターン検出補正装置20内に記録される。パターンマッチング処理部50では、マッチングデータ記憶部70に記憶されたマッチングデータと参照補正用画像データ40を参照し、参照補正用画像データ40に対して比較するブロック位置を1ブロックずつずらしながら、マッチングデータと同じ領域サイズ(水平サイズおよび垂直サイズ)の参照補正用画像データ40中の矩形領域データとマッチングデータとの照合を行う。マッチングデータにおいて0または1が設定されているブロックについて、比較を行う矩形領域データ中のブロックに設定されたデータがすべて一致する場合には適合、それ以外の場合は非適合と判定する。なお、1ブロックを構成する画素数を少なくした場合(例えば、1ブロックに1画素)、動き検出装置において細かな動きが検出可能となるが、画像パターン検出補正装置においては被写体より十分小さいものの動き検出結果を検出および補正するために必要なマッチングデータ数が増えることとなる。逆に、1ブロックを構成する画素数を多くした場合(例えば、1ブロックに数百画素)には、動き検出装置において、1つの画像データに対してブロック数が少なくなるため動きの検出処理における演算量を減らすことができ、また、画像パターン検出補正装置においてはマッチングデータ数を減らすことができる。
【0013】
図3に適合と判定する場合のマッチング処理例、図4に非適合と判定する場合のマッチング処理例を示す。図3のようにマッチング対象となる矩形領域データとマッチングデータの比較を行い、マッチング結果が全てのブロックにおいてデータ一致(図3中で◎)または適合有無確認なし(図3中で−)のいずれかである場合に参照補正用画像データ40とマッチングデータが適合するものと判定する。図4の例では矩形領域データとマッチングデータにおいて一致しないブロック(図4中で×)が一箇所存在するため、マッチング結果は非適合となる。
【0014】
適合と判定された場合には、データ修正部60にて、適合と判定された矩形領域データに対する補正を行う。また、1つのマッチングデータに対して、参照補正用画像データ40のブロックであって、その比較するブロック位置を1ブロックずつずらし、全てのブロックに対するマッチングを行う。参照補正用画像データ40より領域サイズの小さいマッチングデータにより、比較するブロック位置を1ブロックずつずらして参照補正用画像データ40の画像全領域についてパターンマッチングを行うことにより、参照補正用画像データに含まれる検出対象となるパターンをもれなく検出することができる。全てのブロックに対するマッチングを行った後は参照するマッチングデータを順次切替え、予め準備された全てのマッチングデータに対してマッチング処理を繰り返し行う。また、予め準備しておくマッチングデータのパターン面積を、検出するパターンのブロック数(以下で、パターンサイズとする)以下とすることにより、所望のパターンサイズ以下のパターンを検出することができる。
【0015】
データ修正部60ではパターンマッチング処理部50で適合と判断された参照補正用画像データ40の該当するブロックに対して、画像データの補正を行う。マッチングデータにおいて1または3が設定されているブロックについて、参照補正用画像データ40の適合と判断された矩形領域データの対応するブロックのデータを1から0に補正する。図5はデータ修正処理の動作例を示したものである。適合と判断されたマッチングデータにおいて、データが1または3となっている箇所については、矩形領域データの対応するブロックのデータを1から0に修正され、マッチングデータのデータが0および2となっている箇所についてはデータの修正は行わない。
【0016】
パターンマッチング処理部50によるマッチング処理と、適合と判定された場合のデータ修正部60によるデータ補正処理を、全てのブロック位置および全てのマッチングデータに対して実施した後、記録されている参照補正用画像データ40を、補正後画像データ80として出力する。補正後画像データ80では、誤検知とみなす一定パターンサイズ以下の任意のパターンが削除されており、所望の被写体以外の動き検出結果が削除された画像データを得ることができる。すなわち、画面上のノイズとなる画像パターンを削除することができ、鮮明な画像を得ることができる。
【0017】
図6は単一のマッチングデータを用いてマッチング出来る画像データパターンを示したものである。図6(a)に示すマッチングデータを用いてマッチング処理を行うことができる7つのパターンを図6(b)に示す。図6(b)に示す7つのパターンはいずれも、図6(a)に示すマッチングデータの1および0となるブロック位置がすべて一致している。図6(a)の1および0の設定された規定した多角形と特定の頂点位置が一致する7つのパターン(図6(b))について一度にマッチング処理を行うことが可能である。一方、図6(a)に示すマッチングデータを用いてマッチングを行う場合、特定の頂点位置のみ一致し、内部で連続していない複数のパターンの組(図6(c))をマッチングする恐れがある。
【0018】
ただし、本パターン検出補正装置は、一定の大きさ以下のパターンを検出し、画像データから補正することを目的としているため、マッチングを行うマッチングデータをパターン面積の少ないパターンから配列としてマッチングデータ記憶部に記憶し、パターン面積の少ないパターンから順次参照することにより、該当の内部で連続していない複数のパターンの組については、図6(c)に示すようによりサイズの小さいパターンとして事前に補正処理が行われ、実際にはマッチングの対象とならない。
【0019】
以上のように、実施の形態1に係る画像データ検出補正装置では、1に対してマッチングを行うデータを多角形状の内部ブロックの特定の頂点となるブロックに、0に対してマッチングを行うデータを多角形状の内部ブロックに隣接する外部ブロックに設定し、適合と判断した場合に、多角形状の内部ブロックと対応する2値化画像データのブロックを補正している。これにより、1つのマッチングデータで複数のパターンを検出することができるため、一定パターンサイズ以下のパターンを検出し、画像データから補正するという処理を、準備するマッチングデータのパターン数を抑えて実現することが可能である。したがって、動き検出装置における誤検知による判定結果の検出および補正を行う場合にも、パターン数を抑えることができ、処理に必要な演算量および、マッチングデータの記録に必要なメモリ容量を削減することが可能となる。
【0020】
また、抽出する多角形を凹部分のない多角形とすることにより、マッチングデータを生成する際のベースとなる多角形の数を低減することでき、マッチングデータのデータ数をさらに低減することが可能である。また、多角形の特定の頂点に設定した1にマッチングするデータおよび多角形の隣接する外部ブロックに設定した0にマッチングするデータのみをマッチング対象とすることにより、凹部を含むパターンであっても検出することが可能となり、一定パターンサイズ以下の任意のパターンを検出および補正することができる。
【0021】
ここでは、マッチングデータのパターン面積が8となる場合について示したが、これに限ったものではなく、パターン面積が8より小さい場合および8より大きい場合についても同様の効果が得られる。また、入力画像データとして、動きが検出されないブロックを0、動きが検出されたブロックを1と2値化された画像データとした例について示したが、これに限ったものではなく、動きが検出されないブロックを1、動きが検出されたブロックを0と2値化した画像データでもよい。また、例えば白となる画素に0または1、黒となる画素に1または0と設定された白黒画像などの2値化されたブロックまたは画素から構成される画像データにおいて一定パターンサイズ以下のパターンを検出および補正する場合にも同様の効果が得られる。
【0022】
実施の形態2.
実施の形態2として、複数のマッチングデータをパターン面積の小さいものから順に配置された配列データとして定義し、配列の範囲を変更することによって検出および補正を行うパターン面積の上限を動的に変更可能とする場合の構成について示す。
【0023】
実施の形態2に係る画像パターン検出補正装置の構成は実施の形態1と同様であり図1に示すような構成となる。マッチングデータをパターン面積が小さいものから順に配列として定義し、パターン面積の小さいものから配列番号を指定する。また、マッチング処理において参照するマッチングデータの参照範囲を指定しておく。
【0024】
図7は定義するマッチングデータ配列の例を示したものである。マッチングデータの配列はパターン面積1のものが1個、パターン面積2およびパターン面積3のものがそれぞれ4個、のように配列され、図7に示すNo.1〜No.584のようにパターン面積1のものから順に通し番号で配列番号を指定する。パターンマッチング処理部50にてマッチング処理を行う際には、配列の参照範囲としてマッチングを行う配列番号の下限値Pminおよび上限値Pmaxを別途指定し、配列番号PminからPmaxの範囲でマッチング処理を実施する。配列番号Pmaxは検出するパターンのパターンサイズの最大値により決まり、図7に示す例では、パターンサイズ3以下のパターンを検出し、補正する処理を行う場合にはPmin=1、Pmax=9を設定する。またパターン面積7以下のパターンを検出し、補正する処理を行う場合にはPmin=1、Pmax=79を設定する。
【0025】
また、パターン毎に必要となるマッチング領域サイズは異なる。例えば、図7におけるマッチングデータNo.1ではマッチング領域は水平3ブロック、垂直3ブロックである。またマッチングデータNo.54ではマッチング領域は水平6ブロック、垂直4ブロックとなる。パターンマッチングを行う場合には、各マッチングデータのマッチング領域サイズの情報を基に、パターンマッチングにおける矩形領域データの水平および垂直ブロックのサイズを決めるため、各マッチングデータと対にした形でマッチング領域サイズを必要となる。そのため、マッチングデータそれぞれに対応するマッチング領域サイズ(水平サイズ、垂直サイズ)の情報は各マッチングデータと対になる形で格納しておく。
【0026】
マッチングの処理順序としては、実施の形態1と同様に、一つのマッチングデータに対して、参照するブロック位置を1つずつずらし、全てのブロック位置に対応するマッチングを行った後、参照する配列番号をインクリメントして再度全てのブロック位置に対応するマッチングを行う作業を繰り返し、参照する配列番号がPmaxを超えた場合に処理を終了する。
【0027】
本方式では、マッチングデータをパターン面積の小さいデータから大きいデータへ順次配列として定義しているため、パターンサイズが一定範囲内となる入力画像データのパターンのみ検出し、補正するような使用方法も実現可能である。例えば、パターン面積3以上7以下のマッチングデータに対応するパターンを検出、補正する場合には、図7に示すように配列の参照範囲をPmin=6、Pmax=79に設定する。また、参照する入力画像データのブロック位置を1つずつずらし、入力画像データの全領域となる全てのブロック位置に対応するマッチングを行った後、マッチングデータを変更し、格納された全てのマッチングデータについてマッチングを行うためマッチング領域サイズを変更する回数が減るため効率的にパターンマッチングを行うことができる。
【0028】
以上のように、実施の形態2に係る画像パターン検出補正装置によれば、マッチングデータをパターン面積の小さいものから順次配列として定義することにより、配列の参照範囲を変えるだけで動的に検出および補正を行うパターンサイズを変更することが出来、処理の柔軟な切替えが可能となる。
【0029】
実施の形態3.
実施の形態3として、配列データとして格納するマッチングデータの切替えを外部から行うことにより検出及び補正を行う入力画像データのパターンの種別の変更を行う方法について記載する。ここで、パターンの種別とは、そのパターンが検出対象とするパターンであるか、検出対象としないパターンであるかを指す。また、パターンの種別の変更とは、特定のパターンを検出対象とするパターンから検出対象としないパターンに変更すること、または、その逆のことをいい、検出対象とする入力画像データの特定のパターンに相当するマッチングデータを追加または削除することにより行う。
【0030】
図8は実施の形態3に係る画像パターン検出補正装置を示す構成図である。実施の形態3に係る画像パターン検出装置の構成は、図1に示す構成に加え、マッチングデータについて外部からデータ変更可能なマッチングデータ変更部90を設けている。
【0031】
マッチングデータは実施の形態2に係る画像パターン検出補正装置と同様にパターン面積の小さいものから順番に配列として定義する。マッチングデータの中から特定のパターンのみマッチング対象から外したり、逆に特定のパターンを追加したりする場合は、マッチングデータとして格納されているマッチングデータを外部から変更し、データの増減に合わせて参照範囲を変更することで対応できる。
【0032】
また、マッチングデータ数の増加に対して全てのパターンについて配列番号を変更するとした場合、データ変更量の大幅に増加することとなる。これを防ぐため、マッチングデータには、パターン面積が同一となるマッチングデータ毎に一定数のダミーデータを挿入しておく。ここで、パターン面積が同一となるマッチングデータの数(例えば、図7においてパターン面積3となるマッチングデータの数は4となる)が想定されるマッチングデータ数の最大数となるようにダミーデータを挿入しておくことにより、想定されるマッチングデータをすべて挿入した場合にもデータ変更量が増えることはない。ダミーデータはマッチングの際の演算量を削減するため、データ内容が0、マッチング領域サイズは最小(1ブロック×1ブロック)としておく。
【0033】
なお、この場合でも画面内の全ての参照位置に対するダミーデータとのマッチング処理は発生するので、さらに演算量を削減するためには、マッチングデータ毎に有効/無効のフラグを設け、無効マッチングデータに対してはパターンマッチング処理部50 においてマッチング処理自体を行わない機構を設けることも可能である。
【0034】
既存のマッチングデータから特定のマッチングデータの削除を行う場合には、該当するマッチングデータをダミーデータに置き換えるか、もしくは該当マッチングデータの有効/無効フラグを無効に切り替えることで対応する。上記のような対応とすることにより、データ削減の場合にもデータを詰めて配置するために全てのパターンに関する配列番号を変更する作業は必要なく、データ変更量を抑えることが可能である。
【0035】
以上のように、実施の形態3に係る画像データ検出補正装置では、パターンマッチングの参照データを、データ変更量を増加させることなく変更させることができる。
【0036】
実施の形態4.
実施の形態4として、マッチングデータの書換えにより、検出する入力画像データのパターンの特性を変更する動作について述べる。ここで、パターンの特性とは、連続するブロックとみなすブロックの方向の定義を指し、すなわち、連続するとみなすブロックを8方向連結(上下左右斜め方向にあるブロックを連続するブロックとする)または、4方向連結(上下左右方向にあるブロックを連続するブロックとし、斜め方向にあるブロックは連続するブロックとはならない)等とみなすことをいう。実施の形態4に係る画像パターン検出補正装置を示す構成図については実施の形態3と同様に図8である。上述の実施の形態では、画像データを8方向連結と見なして処理を行う例について示したが、例えばマッチングさせる画像データを4方向連結と見なして処理を行うためには、マッチングデータのうち、多角形に隣接する外部として0を設定する位置を4方向連結で多角形に隣接する位置に限定し、それ以外の多角形外部の点については2を設定すればよい。
【0037】
図9に図5と同様のパターンの生成方法を4方向連結の検出用に変更した例を示す。図9においてブロック200は右下方向に1に設定されたブロックが存在するものの斜め方向は連続するブロックとはみなされず、隣接するブロックとはならないため2が設定される。また、マッチングデータ自体も、斜め方向の連結から成り立っているパターンを除外する必要があり、図10に示すようにパターン面積が2となるマッチングデータうち2つが削除されることとなる。このようにして作成した4方向連結用のマッチングデータ配列の例を図10に示す。
【0038】
上記のように実施の形態4に係る画像パターン検出補正装置ではマッチングデータの配列データとして格納するマッチングデータの内容を書換え可能な仕組みを設けることによって、処理装置自体の構成を変更することなく、検出及び補正を行うパターンの特性を変更することが可能である。
【0039】
ここでは、画像データを4方向連結と見なした場合への変更について示したが、これに限ったことではなく、例えば上下または左右のいずれかのみのブロックを連続とみなす2方向連結とした場合にも同様の効果を示す。
【符号の説明】
【0040】
10 動き検出装置、20 画像パターン検出補正装置、30 2値化画像データ、40 参照補正用画像データ、50 パターンマッチング処理部、60 データ修正部、70 マッチングデータ、80 補正後画像データ、90 マッチングデータ変更部、100,101,200 ブロック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続する複数のブロックにて多角形を形成する内部ブロックおよび前記内部ブロックの周囲を取り囲む複数の外部ブロックから形成されるマッチングデータであって、前記内部ブロックに隣接するすべての外部ブロックに第1のデータを設定され、前記内部ブロックの特定の頂点にあたるブロックに第2のデータを設定されたマッチングデータを記憶するマッチングデータ記憶手段と、
0または1に2値化された複数のブロックから構成される画像データと、前記マッチングデータを比較し、前記画像データを構成するブロックであって、前記マッチングデータ中の第1のデータが設定されたブロックと比較されるすべてのブロックに0が設定され、前記画像データを構成するブロックであって、前記マッチングデータ中の第2のデータが設定されたブロックと比較されるすべてのブロックに1が設定されている場合に適合と判定するパターンマッチング手段と、
前記パターンマッチング手段が適合と判定した場合に、前記画像データを構成するブロックであって、前記マッチングデータの内部ブロックに比較される位置のブロックのうち1に設定されたブロックのデータを0に補正するデータ補正手段と
を備えることを特徴とする画像パターン検出補正装置。
【請求項2】
前記内部ブロックは連続する複数のブロックにて凹部のない多角形を形成する内部ブロックであることを特徴とする請求項1記載の画像パターン検出補正装置。
【請求項3】
前記マッチングデータは、
前記内部ブロックに隣接するすべての外部ブロックを除く外部ブロックに第3のデータ、
前記内部ブロックの特定の頂点にあたるブロックを除く内部ブロックに第4のデータ
が設定され、
前記第3のデータおよび前記第4のデータは前記画像データに対してマッチングを行わないデータであり、
前記データ補正手段は、前記画像データを構成するブロックであって、前記第2のデータおよび前記第4のデータが設定されたブロックに比較される位置のブロックのデータを0に補正すること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の画像パターン検出補正装置。
【請求項4】
前記マッチングデータ記憶手段は前記多角形の形状またはブロック数の異なるマッチングデータが複数記憶され、前記マッチングデータに含まれる前記内部ブロックのブロック数の少ないものから順番に記憶する前記マッチングデータ記憶手段であり、
前記パターンマッチング手段は、比較するマッチングデータの下限と上限を示す範囲に基づいて、パターンマッチングに使用するマッチングデータを選択し、パターンマッチングを行う前記パターンマッチング手段であるとともに、
前記範囲を切り替える範囲切替手段を備えること
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像パターン検出補正装置。
【請求項5】
前記マッチングデータ記憶手段は前記マッチングデータが複数記憶され、前記マッチングデータに含まれる前記内部ブロックのブロック数の少ないものから順番に記憶する前記マッチングデータ記憶手段であり、
マッチングを行うパターンの種別に合わせて前記マッチングデータの追加および削除を行うマッチングデータ変更手段を備えること
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか記載の画像パターン検出補正装置。
【請求項6】
前記マッチングデータ記憶手段は前記マッチングデータが複数記憶され、前記マッチングデータに含まれる前記内部ブロックのブロック数の少ないものから順番に記憶する前記マッチングデータ記憶手段であり、
マッチングを行うパターンの特性に合わせて前記マッチングデータの修正、追加および削除を行うマッチングデータ変更手段を備えること
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか記載の画像パターン検出補正装置。
【請求項7】
0または1に2値化された画像データを入力する入力ステップと、
入力された前記画像データと、連続する複数のブロックにて多角形を形成する内部ブロックおよび前記内部ブロックの周囲を取り囲むすべての外部ブロックから形成されるマッチングデータであって、前記内部ブロックに隣接する外部ブロックに第1のデータを設定され、前記内部ブロックの特定の頂点にあたるブロックに第2のデータを設定されたマッチングデータを比較する比較ステップと、
前記画像データを構成するブロックであって、前記マッチングデータ中の第1のデータが設定されたブロックと比較されるすべてのブロックに0が設定され、前記画像データを構成するブロックであって、前記マッチングデータ中の第2のデータが設定されたブロックと比較されるすべてのブロックに1が設定されている場合に適合と判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて適合と判定した場合に、前記画像データを構成するブロックであって、前記内部ブロックに対応する位置のブロックに設定されたデータを補正するステップと、
を有することを特徴とする画像パターン検出補正方法。
【請求項8】
前記判定ステップは前記画像データを構成するブロックであって、前記マッチングデータ中の第1のデータが設定されたブロックと比較されるすべてのブロックに1が設定され、前記画像データを構成するブロックであって、前記マッチングデータ中の第2のデータが設定されたブロックと比較されるすべてのブロックに0が設定されている場合に適合と判定する判定ステップであることを特徴とする請求項7記載の画像パターン検出補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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