説明

画像再生装置、画像再生方法及び画像再生用プログラム

【課題】既存のモノラル画像用の符号化装置を用いてステレオ画像を符号化する技術を提供する。
【解決手段】分離部100は、視点が異なる第1の動画像と第2の動画像とを含むステレオ映像符号化ストリームを、第1の動画像と第2の動画像のそれぞれの復号の単位を含むアクセスユニットに分離する。モノラル映像符号変換部200は、前記分離部100が分離した第1の動画像と第2の動画像のそれぞれの復号の単位をモノラル映像の復号単位であるアクセスユニットに変換し、それらを直列に配置することによりモノラル映像符号化ストリームを生成する。映像分離部400は、前記モノラル映像符号変換部200で生成されたモノラル映像符号化ストリームをモノラル映像復号部300が復号することにより、生成された第1の動画フレームと第2の動画フレームとが混在するモノラル映像を、第1の動画フレームと第2の動画フレームとのふたつの動画フレームに分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像再生装置および画像再生方法に関し、とくに、モノラル映像の動き補償予測構造や符号化制御方法を用いてステレオ映像を効率よく符号化して復号し、再生する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
視聴者に立体画像を認識させることができるディスプレイやプロジェクタの開発が進められている。視聴者に立体画像を認識させるには、視差画像を表示または投写する必要がある。人間の両目は数cmほど離れているため、右目と左目で得られる像には位置ずれがある。人間の脳はこの位置ずれを一つの手がかりとして奥行きを認識している。逆にいえば、この両目に写すべき像の位置ずれ量を調整することにより、脳に擬似的に奥行きを認識させることができる。視差画像は、左右方向に位置ずれを持つ右目用画像と左目用画像とで構成される。以下、本明細書では視差画像による動画像をステレオ映像と表記する。ステレオ映像は、たとえば、H.264/MVC(Multiview Video Coding)に準拠して符号化することが可能である。
【0003】
モノラル映像用の復号装置では左目用または右目用のいずれかの映像しか視聴できない。そこで、ステレオ映像専用の復号装置を導入したり(特許文献1参照)、ステレオ映像ストリームを2つのモノラル映像ストリームに分割したりして2つのモノラル映像用の復号装置で復号することで、ステレオ映像を視聴することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−72788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に復号装置は高価であるため、ステレオ映像専用の復号装置を導入したりモノラル映像用復号装置をふたつ導入したりすることは装置が高価となる原因となりうる。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、既存のモノラル画像用の符号化装置を用いて、画質および符号化効率を維持しながらステレオ画像を符号化する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のある態様の画像再生装置は、視点が異なる第1の動画像と第2の動画像とを含むステレオ映像がステレオ映像符号化規格に準じて符号化され生成されたステレオ映像符号化ストリームを、第1の動画像と第2の動画像のそれぞれの復号の単位を含むアクセスユニットに分離する分離部と、モノラル映像符号化規格に準じて生成されたモノラル映像符号化ストリームを、モノラル映像の復号の単位であるアクセスユニット毎に参照ピクチャを用いて復号し、動画フレームを生成するモノラル映像復号部と、前記分離部が分離したアクセスユニットを、第1の動画像の復号の単位である第1アクセスユニットと、第2の動画像の復号の単位である第2のアクセスユニットとに分離し、第1及び第2のアクセスユニットに含まれるヘッダをモノラル映像符号化規格に準じたヘッダに変換することによって、第1及び第2のアクセスユニットをモノラル映像の復号単位であるアクセスユニットに変換し、変換された第1の動画像のアクセスユニットと第2の動画像のアクセスユニットとを直列に配置することによりモノラル映像符号化ストリームを生成するモノラル映像符号変換部と、前記モノラル映像符号変換部で生成されたモノラル映像符号化ストリームを前記モノラル映像復号部が復号することにより、第1の動画像のアクセスユニットから復号され生成された第1の動画フレームと第2の動画像のアクセスユニットから復号され生成された第2の動画フレームとが混在するモノラル映像を、第1の動画フレームと第2の動画フレームとのふたつの動画フレームに分離する映像分離部とを含む。
【0008】
本発明の別の態様は画像再生方法である。この方法は、視点が異なる第1の動画像と第2の動画像とを含むステレオ映像がステレオ映像符号化規格に準じて符号化され生成されたステレオ映像符号化ストリームを、第1の動画像と第2の動画像のそれぞれの復号の単位を含むアクセスユニットに分離するステップと、分離されたアクセスユニットを、第1の動画像の復号の単位である第1アクセスユニットと、第2の動画像の復号の単位である第2のアクセスユニットとに分離し、第1及び第2のアクセスユニットに含まれるヘッダをモノラル映像符号化規格に準じたヘッダに変換することによって、第1及び第2のアクセスユニットをモノラル映像の復号単位であるアクセスユニットに変換し、変換された第1の動画像のアクセスユニットと第2の動画像のアクセスユニットとを直列に配置することによりモノラル映像符号化ストリームを生成するステップと、生成されたモノラル映像符号化ストリームをモノラル映像の復号の単位であるアクセスユニット毎に参照ピクチャを用いて復号することにより、第1の動画像のアクセスユニットから復号され生成された第1の動画フレームと第2の動画像のアクセスユニットから復号され生成された第2の動画フレームとが混在するモノラル映像を、第1の動画フレームと第2の動画フレームとのふたつの動画フレームに分離するステップとをプロセッサに実行させる。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、既存のモノラル画像用の符号化装置を用いて、画質および符号化効率を維持しながらステレオ画像を符号化する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】インタービュー予測符号化を説明するための図である。
【図2】MVC符号化方式で新規に追加されるNALの一覧を示した図である。
【図3】MVC符号化方式の符号化および復号の一例を示した図である。
【図4】AVC符号化方式の符号化および復号の別の例を示した図である。
【図5】AVC符号化方式の符号化および復号のさらに別の例を示した図である。
【図6】実施の形態1に係る画像生成装置の内部構造を模式的に示した図である。
【図7】実施の形態1に係る画像再生装置の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図8】実施の形態1に係るモノラル映像符号変換部の内部構造を模式的に示した図である。
【図9】AVCのアクセスユニットおよびMVCのアクセスユニットを構造の一例を示した図である。
【図10】NALユニットの構造の一例を示した図である。
【図11】デコード参照ピクチャマーキング情報を例示した図である。
【図12】実施の形態1に係るモノラル映像符号変換部の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図13】モノラル映像符号変換部に入力されるMVCアクセスユニットの一例を示した図である。
【図14】実施の形態1に係る参照フレームメモリ情報管理部における図13に示すMVCアクセスユニットの管理を示した図である。
【図15】実施の形態1に係る参照ピクチャリスト生成部の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図16】実施の形態1に係る参照ピクチャリスト生成部が図14に示す情報をもとに生成した参照ピクチャリストを図示したものである。
【図17】実施の形態2に係るモノラル映像符号変換部の内部構造を模式的に示した図である。
【図18】MPEG−4MVCの拡張シンタックスを示した図である。
【図19】実施の形態2に係るモノラル映像符号変換部の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図20】実施の形態2に係る参照フレームメモリ情報管理部における図13に示すMVCアクセスユニットの管理を示した図である。
【図21】実施の形態2に係る参照ピクチャリスト生成部の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図22】実施の形態2に係る参照ピクチャリスト生成部が図20に示す情報をもとに生成した参照ピクチャリストを図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(前提技術)
実施の形態の前提となる技術について説明する。
【0013】
現在、MPEG(Moving Picture Experts Group)などの符号化方式に準拠した装置およびシステムが普及している。そのような符号化方式では、時間軸上に連続する複数の画像をデジタル信号の情報として取り扱う。その際、効率の高い情報の放送、伝送または蓄積などを目的とし、時間方向の冗長性を利用した動き補償予測、および空間方向の冗長性を利用した離散コサイン変換などの直交変換を用いて圧縮符号化する。
【0014】
1995年にはMPEG−2ビデオ(ISO/IEC 13818−2)符号化方式が、汎用の動画像圧縮符号化方式として制定され、DVD(Digital Versatile Disk)およびD−VHS(登録商標)規格のデジタルVTRによる磁気テープなどの蓄積メディア、ならびにデジタル放送などのアプリケーションとして広く用いられている。
【0015】
さらに、2003年に、国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)のジョイント技術委員会(ISO/IEC)と、国際電気通信連合電気通信標準化部門(ITU−T)の共同作業によってMPEG−4 AVC/H.264と呼ばれる符号化方式(ISO/IECでは14496−10、ITU‐TではH.264の規格番号がつけられている。以下、これをAVC/H.264符号化方式と呼ぶ)が国際標準として制定された。
【0016】
これらの符号化方式では、フレーム間予測符号化が用いられる。フレーム間予測符号化では、まず、1画面相当のデジタル画像データをいくつかの画素を含むブロック(たとえば、マクロブロック)に分割し、ブロック毎に画像間の動きを示す動きベクトルを検出する。つぎに、その動きベクトルを用いて動き補償と呼ばれる予測画像の生成を行い、得られた予測画像と符号化対象画像との差分値を符号化する。
【0017】
この予測画像の生成方法によって、ピクチャはいくつかのタイプに分けられる。参照画像を持たず、画面内の予測のみを用いるものをIピクチャと呼び、1枚の参照画像を用いて画面間予測符号化を行うものをPピクチャと呼び、2枚の参照画像を用いて画面間予測符号化を行うものをBピクチャと呼ぶ。
【0018】
MPEG−2のPピクチャでは、表示順序で直前のIピクチャまたはPピクチャのみから動き補償予測を行う。これに対して、AVC/H.264では、複数のピクチャを参照ピクチャとして用いることができ、この中からブロック毎に最適なものを選択して動き補償を行うことができる。また、表示順序で先行するピクチャに加えて、既に符号化済みの表示順序で後続のピクチャも参照することができる。
【0019】
また、MPEG−2のBピクチャでは、表示順序で前方1枚の参照ピクチャ、後方1枚の参照ピクチャ、またはその2枚の参照ピクチャを平均化したピクチャを、予測ピクチャとし、対象ピクチャと予測ピクチャとの差分データを符号化することができる。これに対して、AVC/H.264では、表示順序で前方1枚、後方1枚という制約にとらわれず、前方や後方に関係なく任意の参照ピクチャを予測のために参照することができる。さらに、Bピクチャを参照ピクチャとして参照することもできる。
【0020】
このように、AVC/H.264では任意に離れたピクチャを参照することが可能なため、復号した画像を参照フレームメモリに格納して管理する。
【0021】
AVC/H.264では、参照フレームメモリに格納されているピクチャを後述する方法で並べて参照ピクチャリストを作成し、その符号化ストリームにそのインデックスを記述することにより、参照ピクチャを指定している。ここで、「参照ピクチャリスト」とは、動き補償予測で利用する参照フレーム内の参照ピクチャを並び替えることのできるリストである。参照ピクチャリストを用いて参照ピクチャを利用頻度に応じて並び替えることで符号化効率を向上させることができる。
【0022】
また、参照ピクチャリストはスライス毎に付加されるスライスヘッダ内で参照ピクチャリスト変更情報を送ることにより、上述したリストを並び替えることも可能である。
【0023】
ところで、2眼式立体テレビジョンにおいては、2台のカメラにより異なる2方向から撮影された左目用画像および右目用画像を生成し、これを同一画面上に表示して立体画像を見せるようにしている。この場合、左目用画像および右目用画像はそれぞれ独立した画像として別個に伝送あるいは記録されることも多い。
【0024】
その場合、単一の2次元画像の約2倍の情報量が必要となってしまう。そこで、左右いずれか一方の画像を主画像とし、他方の画像を副画像として、一般的な圧縮符号化方法によって圧縮して情報量を抑える手法が提案されている。たとえば、下記に説明するMVC符号化方式を用いて圧縮符号化する手法が提案されている。
【0025】
1996年に単視点画像の符号化国際標準であるMPEG−2ビデオ(ISO/IEC14496−2)符号化方式に、マルチビュープロファイルと呼ばれるステレオ画像の符号化方式が追加された(ISO/IEC 14496−2/AMD3)。さらに、2008年には、MPEG−4 AVC/H.264符号化方式(ISO/IEC 14496−10・ITU‐T H.264)のAnnex H(付録H)として、多視点画像符号化(=MVC符号化方式)の最終勧告案が決定された。
【0026】
MVC符号化方式では、対象の画像を「ビュー」と呼び、複数の画像を扱うことが可能である。また、H.264/AVC符号化方式とマクロブロック以下の処理が共通であり、さらにベースビューと呼ばれるH.264/AVC符号化方式に準拠したビューが必ず含まれる。MPEG−4MVCのステレオ映像符号化においては同時刻の視点間予測だけが許されている。MPEG−4MVCにおける符号化の基本ツールは参照ピクチャリストを利用していることなど、ほとんどMPEG−4AVCと共通であり、上位互換性があることを特徴としている。
【0027】
MVC符号化方式では、画像の予測効率を上げるために、H.264/AVC符号化方式に加え、ビュー間のフレーム間予測符号化(以下、インタービュー予測符号化と表記する)を行うことができる。ビュー間には視差があるものの相関性があるため、視点間動き補償予測を効果的に利用することで予測効率を上げることができるからである。一般に、映像が緩やかに変化するような場合には視点内動き補償予測の方が視点間動き補償予測よりも予測効率が高く、映像が急激に変化するような場合には視点間動き補償予測の方が視点内動き補償予測よりも予測効率が高い。また、視点間動き補償予測の予測効率はベースレイヤのピクチャタイプにも依存している。一般的に、Iピクチャの場合が最も予測効率が高く、次にPピクチャが高く、Bピクチャの順となる。
【0028】
図1は、インタービュー予測符号化を説明するための図である。横軸が時間方向を示しており、一つの行が一つのビューに対応する。実線の矢印で示したものが時間方向のフレーム間予測符号化であり、点線の矢印で示したものがインタービュー予測符号化である。また、インタービュー予測符号化では、フレーム間予測符号化においては参照ピクチャに用いることができない非参照ピクチャも、参照ピクチャとして用いることができる。この参照ピクチャをインタービュー限定参照ピクチャと呼ぶ。
【0029】
MVC符号化方式では、インタービュー予測符号化を行うため、H.264/AVC符号化方式で用いていた参照ピクチャリストに、インタービュー予測符号化用のピクチャを追加する。
【0030】
ここで、インタービュー予測符号化に用いる参照ピクチャの並び順は、後述する新規に追加されたNAL(Network Abstraction Layer)のSubset sequence parameter set(SubsetSPS)内に記述される、MVC用のシーケンスパラメータセット(SPS)拡張データの中に記述される。MVC符号化方式で用いる各種情報を記述するため、H.264/AVC符号化方式で規定されているNAL(Network Abstraction Layer)に加え、新規にNALが追加される。図2は、MVC符号化方式で新規に追加されるNALの一覧を示した図である。
【0031】
図3は、MVC符号化方式の符号化および復号の一例を示した図である。符号化側では第1符号部にて左目用映像をベースレイヤとして視点内動き補償予測だけを利用して符号化データ列に符号化し、第2符号部にて右目用映像をエンハンスメントレイヤとして視点内動き補償予測及び視点間動き補償予測を利用して符号化データ列に符号化し、多重部にて左目用符号化データ列と右目用符号化データ列を多重化している。復号側では分離部にて左目用符号化データ列と右目用符号化データ列に分離し、第1復号部にて左目用符号化データ列を復号して左目用映像を出力し、第1復号部にて右目用符号化データ列を復号して右目用映像を出力している。
【0032】
図4は、AVC符号化方式の符号化および復号の別の例を示した図である。ステレオ映像をそれぞれ左右に並べてモノラル映像とすることで、広く普及しているモノラル映像用の符号装置や復号装置を利用できる。ところが、図4に示す方式ではステレオ映像をそれぞれ水平方向に1画素間引くため、水平方向の解像度が低下する。また、視点間動き補償予測の中で一般的に最も効率の高い同時刻の視点間動き補償予測を利用することができない。
【0033】
図5は、AVC符号化方式の符号化および復号のさらに別の例を示した図である。ステレオ映像をそれぞれトップフィールドとボトムフィールドに割り当ててインタレースのモノラル映像とし、フィールド単位で動き補償予測を行うことで、広く普及しているインタレースのモノラル映像用の符号装置や復号装置を利用できる。ところが、図5に示す例ではプログレッシブのステレオ映像に対しては、左目用映像と右目用映像をそのまま各フィールドに割り当てればよいが、インタレースのステレオ映像に対しては一度ノンインタレース変換をした後に各フィールドに割り当てる必要がある。そのため、インタレースのステレオ映像の動解像度が低下する。
【0034】
以上の前提技術を踏まえて、以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下、実施の形態では、左目用画像をベースレイヤとして時間方向の動き補償予測だけを利用して符号化し、右目用画像をエンハンスメントレイヤとして、時間方向の動き補償予測および視点間動き補償予測の両方を利用して符号化され、ステレオ映像が生成されている例を説明する。もちろん、右目用画像をベースレイヤ、左目用画像をエンハンスメントレイヤとしてステレオ映像が生成されていてもよい。
【0035】
まず、実施の形態の概要を述べる。実施の形態は、H.264/MVC符号化方式で符号化されているステレオ符号化ストリームを左目用のストリームのアクセスユニットと右目用のストリームのアクセスユニットとに分離し、それらのヘッダをH.264/AVC符号化方式で規定されている形式に変換した後、それらを交互に配置してH.264/AVC符号化方式のストリームに変換する。このストリームをH.264/AVC符号化方式のストリーム用復号器で復号した後、左目用の動画フレームと右目用の動画フレームとに分離する。実施の形態1では、視点間予測にベースレイヤのPピクチャのみを用いる。実施の形態2は、視点間予測にベースレイヤのPピクチャのみならず、Bピクチャも用いる。
【0036】
(実施の形態1)
図6は、実施の形態1に係る画像再生装置500の内部構造を模式的に示した図である。画像再生装置500は分離部100、モノラル映像符号変換部200、モノラル映像復号部300、および映像分離部400を含む。
【0037】
分離部100は、Blu-ray Disk(登録商標)(以下、「BDディスク」という。)50からMPEG−2TSを読み出し、MPEG−4MVCを取り出し、左目用映像と右目用映像とのそれぞれの復号の単位を含むアクセスユニットに分離する。なお、分離部100は、BDディスク50のみならず、図示しないHDD(Hard Disk Drive)やメモリ、ネットワークを介して取得することもできる。
【0038】
モノラル映像符号変換部200は、分離部100からMPEG−4MVCを取得し、それを左目用映像と右目用映像とが混在するMPEG−4AVCストリームに変換する。変換方法の詳細については後述する。
【0039】
モノラル映像復号部300は、モノラル映像符号変換部200から取得したMPEG−4AVCストリームを復号する。モノラル映像復号部300は、標準的なMPEG−4AVCの復号器を用いて実現できる。
【0040】
映像分離部400は、モノラル映像復号部300から取得した再生映像を左目用映像と右目用映像とに分離し、分離した左目用映像と右目用映像とを同期して出力する。
【0041】
図7は、実施の形態1に係る画像再生装置500の処理の流れを説明するフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、画像再生装置500が起動したときに開始する。
【0042】
分離部100は、BDディスク50からMPEG−2TSを読み出し、MPEG−4MVCストリームを分離して取り出す(S2000)。モノラル映像符号変換部200は、分離部100から取得したMPEG−4MVCストリームをMPEG−4AVCストリームに変換する(S2100)。モノラル映像復号部300は、モノラル映像符号変換部200から送られたMPEG−4AVCストリームを復号する(S2200)。映像分離部400は、モノラル映像復号部300から取得した再生映像を左目用映像と右目用映像に分離し(S2300)、分離した左目用映像と右目用映像を同期させて出力する(S2400)。
【0043】
画像再生装置500は、MPEG−4MVCの再生中は上記のステップを繰り返す。MPEG−4MVCの再生が終了すると、本フローチャートにおける処理は終了する。
【0044】
図8は、実施の形態1に係るモノラル映像符号変換部200の内部構造を模式的に示した図である。モノラル映像符号変換部200は、アクセスユニット分離部210、ベースレイヤ変換部220、エンハンスメントレイヤ変換部230、参照フレームメモリ管理部240、参照ピクチャリスト生成部250、およびアクセスユニット多重部260を含む。
【0045】
アクセスユニット分離部210は、ベースレイヤである左目用映像の復号の単位である第1アクセスユニットと、エンハンスレイヤである右目用映像の復号の単位である第2アクセスユニットとに分離する。具体的には、MPEG−4MVCストリームからMVCアクセスユニットを取り出し、MVCアクセスユニットをベースレイヤアクセスユニットとエンハンスメントレイヤアクセスユニットとに分離する。
【0046】
ここで、アクセスユニットについて説明する。図9は、AVCのアクセスユニットおよびMVCのアクセスユニットを構造の一例を示した図である。また、図10は、NALユニットの構造の一例を示した図である。
【0047】
AVCアクセスユニットはモノラル映像符号化であるため1つのアクセスユニットで構成され、ステレオ映像符号化ではベースレイヤとエンハンスメントレイヤの2つのアクセスユニットで構成される。図9に示すヘッダ部の並びは一例であってMPEG−4AVCやMPEG−4MVC規格に準じていればどのような並びになっていてもよい。なお、AUD(Access Unit Delimiter)、SPS(Sequence Parameter Set)、PPS(Picture Parameter Set)、SEI(Supplemental Enhancement Information)、SH(Slice Header)、SD(Slice Data)はそれぞれ図10に示すNALユニット内のデータ部(rbsp_byte)に格納されており、NALユニットのNALタイプ(nal_unit_type)を見ることで、ベースレイヤアクセスユニットとエンハンスメントレイヤアクセスユニットとを分離することができる。
【0048】
図8の説明に戻る。ベースレイヤ変換部220は、アクセスユニット分離部210から取得したベースレイヤアクセスユニットのヘッダ部を解析し、ヘッダ部に含まれるNALヘッダからNAL参照情報(nal_ref_idc)とSHからデコード参照ピクチャマーキング情報(dec_ref_pic_marking( ))を抽出して参照フレームメモリ管理部240に出力する。図11は、デコード参照ピクチャマーキング情報を例示した図である。
【0049】
ベースレイヤ変換部220はまた、後述する参照ピクチャリスト生成部250から取得した参照ピクチャリストをもとにSHを変更し、PF(Prefix NAL)がある場合には削除することで、ベースレイヤアクセスユニットをAVCアクセスユニットに変換する。
【0050】
参照フレームメモリ管理部240は、ベースレイヤ変換部220から取得したNAL参照情報と参照ピクチャマーキング情報とをもとに、参照フレームメモリ内の参照ピクチャ順序を管理し、NAL参照情報、参照ピクチャ順序情報とレイヤ情報を参照ピクチャリスト生成部250に出力する。
【0051】
なお、参照フレームメモリ管理部240は参照フレームメモリ内の参照ピクチャ順序を保持するだけであり、実際の参照フレームは保持しない。またレイヤ情報は、NAL参照情報と参照ピクチャマーキング情報がベースレイヤ変換部220から送られた場合にはベースレイヤとなる。参照フレームメモリの管理方法についてはMPEG−4MVCの規格ではなく、MPEG−4AVCの規格に従う。参照フレームメモリの管理方法については本実施の形態の主眼ではないため、ここでは詳細な説明はしない。
【0052】
参照ピクチャリスト生成部250は、参照フレームメモリ管理部240から取得したNAL参照情報、参照ピクチャ順序情報とレイヤ情報とをもとに参照ピクチャリストを生成する。参照ピクチャリスト生成部250の詳細な動作については後述する。
【0053】
エンハンスメントレイヤ変換部230は、アクセスユニット分離部210から取得したエンハンスメントレイヤアクセスユニットのヘッダ部を解析し、NALヘッダからNAL参照情報(nal_ref_idc)とSHからデコード参照ピクチャマーキング情報(dec_ref_pic_marking( ))を抽出して参照フレームメモリ管理部240に出力する。
【0054】
エンハンスメントレイヤ変換部230はまた、参照ピクチャリスト生成部250より送られた参照ピクチャリストに基づいてSHを変更し、eSPSを削除し、SDのNALヘッダのNALタイプを20から1に変更することで、エンハンスメントレイヤアクセスユニットをAVCアクセスユニットに変換し、AVCアクセスユニットをアクセスユニット多重部260に出力する。
【0055】
参照フレームメモリ管理部240は、エンハンスメントレイヤ変換部230から取得したNAL参照情報と参照ピクチャマーキング情報をもとに、参照フレームメモリ内の参照ピクチャ順序を管理し、NAL参照情報、参照ピクチャ順序情報とレイヤ情報を参照ピクチャリスト生成部250に出力する。ここでレイヤ情報は、NAL参照情報と参照ピクチャマーキング情報がエンハンスメントレイヤ変換部230から取得した場合にはエンハンスメントレイヤとなる。
【0056】
アクセスユニット多重部260は、ベースレイヤ変換部220から取得したAVCアクセスユニットとエンハンスメントレイヤ変換部230から取得したAVCアクセスユニットとを交互に並べて、MPEG−4AVCストリームを構成してモノラル映像復号部300に出力する。
【0057】
図12は、実施の形態1に係るモノラル映像符号変換部200の処理の流れを説明するフローチャートであり、図7におけるステップS2100を詳細に説明する図である。
【0058】
アクセスユニット分離部210は、ベースレイヤである左目用映像の復号の単位である第1アクセスユニットと、エンハンスレイヤである右目用映像の復号の単位である第2アクセスユニットとに分離する(S3000)。
【0059】
ベースレイヤ変換部220は、アクセスユニット分離部210から取得したベースレイヤアクセスユニットのヘッダ部を解析しベースレイヤの参照情報を取得する(S3020)。
【0060】
参照フレームメモリ管理部240は、ベースレイヤ変換部220から取得したNAL参照情報と参照ピクチャマーキング情報をもとに、参照フレームメモリ内の参照ピクチャ順序を管理する(S3030)。
【0061】
参照ピクチャリスト生成部250は、参照フレームメモリ管理部240から取得したNAL参照情報、参照ピクチャ順序情報とレイヤ情報をもとにベースレイヤの参照ピクチャリストを生成する(S3040)。
【0062】
ベースレイヤ変換部220は、参照ピクチャリスト生成部250から取得した参照ピクチャリストをもとにSHを変更し、PFがある場合には削除することで、ベースレイヤアクセスユニットをAVCアクセスユニットに変換する(S3050)。その後、ベースレイヤ変換部220はAVCアクセスユニットをアクセスユニット多重部260に出力する(S3060)。
【0063】
エンハンスメントレイヤ変換部230は、アクセスユニット分離部210から取得したエンハンスメントレイヤアクセスユニットのヘッダ部を解析してNALヘッダからNAL参照情報とSHからデコード参照ピクチャマーキング情報とを抽出して取得する(S3070)。
【0064】
参照フレームメモリ管理部240は、エンハンスメントレイヤ変換部230から取得したNAL参照情報と参照ピクチャマーキング情報とをもとに、参照フレームメモリ内の参照ピクチャ順序を管理する(S3080)。
【0065】
参照ピクチャリスト生成部250は、参照フレームメモリ管理部240から取得したNAL参照情報、参照ピクチャ順序情報とレイヤ情報をもとにエンハンスメントレイヤの参照ピクチャリストを生成する(S3090)。
【0066】
エンハンスメントレイヤ変換部230は、参照ピクチャリスト生成部250から取得した参照ピクチャリストに基づいてSHを変更し、eSPSを削除し、SDのNALヘッダのNALタイプを20から1に変更することで、エンハンスメントレイヤアクセスユニットをAVCアクセスユニットに変換する(S3100)。その後、エンハンスメントレイヤ変換部230はAVCアクセスユニットをアクセスユニット多重部260に出力する(S3110)。
【0067】
アクセスユニット多重部260は、MPEG−4AVCストリームを構成するために、ベースレイヤ変換部220から取得したAVCアクセスユニットとエンハンスメントレイヤ変換部230から取得したAVCアクセスユニットを交互に並べて多重化する(S3120)。
【0068】
以下、参照ピクチャリスト生成部250の詳細な動作について図を用いて説明する。
【0069】
図13は、モノラル映像符号変換部200に入力されるMVCアクセスユニットの一例を示した図である。図13は、MVCアクセスユニットがAU0、AU1、AU2、・・・の順に入力される場合を図示している。
【0070】
アクセスユニット分離部210は、1番目のMVCアクセスユニットAU0を、ベースレイヤベースレイヤアクセスユニットBP0とエンハンスメントレイヤアクセスユニットEP0とに分離する。続いてアクセスユニット分離部210は、BP0をベースレイヤ変換部220に出力し、EP0をエンハンスメントレイヤ変換部230に出力する。2番目以降のアクセスユニットAU1、AU2、・・・についても同様であり、アクセスユニット分離部210はベースレイヤベースレイヤアクセスユニットとエンハンスメントレイヤアクセスユニットEP0とに分離し、それぞれベースレイヤ変換部220とエンハンスメントレイヤ変換部230とに出力する。なお、図13において、例えば1番目のベースレイヤアクセスユニットBP0がBP0(1,I)のように括弧付きで表記されているが、これは括弧内の1番目の数値がNAL参照情報を、2番目の文字がピクチャタイプを示している。
【0071】
実施の形態1では、視点間予測にベースレイヤのPピクチャのみを用いる。図14は、参照フレームメモリ管理部240における図13に示すMVCアクセスユニットの管理を示した図である。より具体的には、ベースレイヤ変換部220とエンハンスメントレイヤ変換部230とから取得したAVCアクセスユニットの管理情報を示した図である。
【0072】
図14は、参照フレームメモリ管理部240にBP0が入力されたときには参照フレームメモリ内にAVCアクセスユニットが存在せず、EP0が入力されたときには参照フレームメモリの0番目にBP0が存在し、BP1が入力されたときには参照フレームメモリの0番目にEP0が存在し、1番目にBP0が存在していることを示している。ここで、例えばBP1やEP1はBピクチャであるから、他のピクチャから参照されることはない。そのため、参照フレームメモリ内には格納されない。
【0073】
図15は、参照ピクチャリスト生成部250の処理の流れを説明するフローチャートである。参照ピクチャリスト生成部250は、参照フレームメモリ管理部240から取得したレイヤ情報がベースレイヤの場合(S4000Y)、参照フレームメモリの奇数番目を、フレームメモリ番号の小さい順に参照ピクチャリストに追加する(S4100)。
【0074】
参照フレームメモリ管理部240から取得したレイヤ情報がベースレイヤでない場合(S4000N)、参照ピクチャリスト生成部250は参照フレームメモリ管理部240から取得したNAL参照情報を調べる。NAL参照情報が1以上の場合(S4200Y)、参照ピクチャリスト生成部250は参照フレームメモリの奇数番目をフレームメモリ番号の小さい順に参照ピクチャリストに追加する(S4300)。その後、参照ピクチャリスト生成部250は参照フレームメモリの0番目を参照ピクチャリストの最後尾に追加する(S4400)。
【0075】
NAL参照情報が1未満の場合(S4200N)、参照ピクチャリスト生成部250は参照フレームメモリの偶数番目をフレームメモリ番号の小さい順に参照ピクチャリストに追加する(S4500)。
【0076】
図16は、参照ピクチャリスト生成部250が図15に示すフローチャートに基づいて、図14に示す情報をもとに生成した参照ピクチャリストを図示したものである。
【0077】
以上の構成による動作は以下のとおりである。ユーザは実施の形態に係る画像再生装置500を用いてステレオ映像であるMPEG−4MVCストリームの視聴を開始すると、分離部100がMPEG−4MVCアクセスユニットをベースレイヤアクセスユニットとエンハンスメントレイヤアクセスユニットに分離し、モノラル映像符号変換部200が、NAL参照情報と参照ピクチャマーキング情報を用いて参照ピクチャリストを生成し、MPEG−4MVCストリームを参照ピクチャリストを含む1つのMPEG−4AVCストリームに変換する。変換されたMPEG−4AVCストリームを従来のMPEG−4AVC用の復号器であるモノラル映像復号部300が復号し、映像分離部400が左目用映像と右目用映像を分離することで、ステレオ映像を視聴することができる。
【0078】
以上説明したとおり、実施の形態1によれば、既存のモノラル画像用の符号化装置を用いて、画質および符号化効率を維持しながらステレオ画像を符号化する技術を提供することができる。
【0079】
(実施の形態2)
実施の形態2について説明する。実施の形態1と実施の形態2との相違は、実施の形態1では、視点間予測にベースレイヤのPピクチャのみを用いるのに対し、実施の形態2は、視点間予測にベースレイヤのPピクチャのみならず、Bピクチャも用いる点である。以下、実施の形態1と重複する説明については適宜省略する。
【0080】
図17は、実施の形態2に係るモノラル映像符号変換部200の内部構造を模式的に示した図である。モノラル映像符号変換部200は、アクセスユニット分離部210、ベースレイヤ変換部221、エンハンスメントレイヤ変換部231、参照フレームメモリ情報管理部241、参照ピクチャリスト生成部251、およびアクセスユニット多重部260を含む。ここで、アクセスユニット分離部210とアクセスユニット多重部260とは実施形態1と同様である。そこで、以下、ベースレイヤ変換部221、エンハンスメントレイヤ変換部231、参照フレームメモリ情報管理部241、参照ピクチャリスト生成部251を中心に説明する。
【0081】
エンハンスメントレイヤ変換部231は、アクセスユニット分離部210から取得したエンハンスメントレイヤアクセスユニットのヘッダ部を解析してsSPSからSPSMVC拡張に含まれるnum_non_anchor_refs_l0[1 ]とnum_non_anchor_refs_l1[1 ]を抽出し、num_non_anchor_refs_l0[1 ]とnum_non_anchor_refs_l1[1 ]がともに0の場合はBピクチャ視点間予測利用情報を0に、それ以外の場合はBピクチャ視点間予測利用情報を1とし、Bピクチャ視点間予測利用情報をベースレイヤ変換部221に出力する。なお、図18は、MPEG−4MVCの拡張シンタックスを示した図である。
【0082】
ベースレイヤ変換部221は、アクセスユニット分離部210から取得したベースレイヤアクセスユニットのヘッダ部を解析してNALヘッダからNAL参照情報、SHからデコード参照ピクチャマーキング情報を抽出し、参照フレームメモリ情報管理部241に出力する。
【0083】
ベースレイヤ変換部221はまた、ヘッダ部を解析してAUDからピクチャタイプ(primary_pic_type)を抽出し、エンハンスメントレイヤ変換部230から取得したBピクチャ視点間予測利用情報が1であり、かつピクチャタイプがBピクチャである場合には、NAL参照情報を強制的に1とし、強制変更フラグを1にする。ピクチャタイプがBピクチャ以外の場合には、NAL参照情報は変更せず、強制変更フラグを0にする。ベースレイヤ変換部221は、強制変更フラグを参照フレームメモリ情報管理部241に出力する。なお、Bピクチャ視点間予測利用情報が0である場合は実施の形態1となるため、説明を省略する。
【0084】
ベースレイヤ変換部221はさらに、後述する参照ピクチャリスト生成部251から取得した参照ピクチャリストをもとにSHを変更し、PFがある場合には削除することで、ベースレイヤアクセスユニットをAVCアクセスユニットに変換し、AVCアクセスユニットをアクセスユニット多重部260に出力する。
【0085】
参照フレームメモリ情報管理部241は、ベースレイヤ変換部221から取得したNAL参照情報と参照ピクチャマーキング情報とをもとに、参照フレームメモリ内の参照ピクチャ順序を管理し、NAL参照情報、参照ピクチャ順序情報、レイヤ情報、強制変更フラグを参照ピクチャリスト生成部251に出力する。なお、参照フレームメモリ情報管理部241は強制変更フラグを参照フレームメモリ内の参照ピクチャ順序と関連付けて管理する。
【0086】
参照ピクチャリスト生成部251は、参照フレームメモリ情報管理部241から取得したNAL参照情報、参照ピクチャ順序情報、レイヤ情報、強制変更フラグをもちに参照ピクチャリストを生成してベースレイヤ変換部221に出力する。なお、参照ピクチャリスト生成部251の詳細な動作については後述する。
【0087】
エンハンスメントレイヤ変換部231は、アクセスユニット分離部210から取得したエンハンスメントレイヤアクセスユニットのヘッダ部を解析してNALヘッダからNAL参照情報とSHからデコード参照ピクチャマーキング情報を抽出し、参照フレームメモリ情報管理部241に出力する。
【0088】
エンハンスメントレイヤ変換部231はまた、参照ピクチャリスト生成部251から取得した参照ピクチャリストをもとにSHを変更し、eSPSを削除し、SDのNALヘッダのNALタイプを20から1に変更することで、エンハンスメントレイヤアクセスユニットをAVCアクセスユニットに変換し、AVCアクセスユニットをアクセスユニット多重部260に出力する。
【0089】
参照フレームメモリ情報管理部241は、エンハンスメントレイヤ変換部231から送られたNAL参照情報と参照ピクチャマーキング情報とをもとに、参照フレームメモリ内の参照ピクチャ順序を管理し、NAL参照情報、参照ピクチャ順序情報、レイヤ情報、強制変更フラグを参照ピクチャリスト生成部251に出力する。
【0090】
参照ピクチャリスト生成部251は、参照フレームメモリ情報管理部241から取得した強制変更フラグ、NAL参照情報、参照ピクチャ順序情報、レイヤ情報、強制変更フラグに基づいて参照ピクチャリストを生成し、エンハンスメントレイヤ変換部231に出力する。
【0091】
図19は、実施の形態2に係るモノラル映像符号変換部200の処理の流れを説明するフローチャートである。
【0092】
アクセスユニット分離部210は、MPEG−4MVCストリームからMVCアクセスユニットを取り出し、MVCアクセスユニットをベースレイヤアクセスユニットとエンハンスメントレイヤアクセスユニットとに分離する(S5000)。
【0093】
エンハンスメントレイヤ変換部231は、アクセスユニット分離部210から取得したエンハンスメントレイヤアクセスユニットのヘッダ部を解析してsSPSからSPSMVC拡張に含まれる視点間予測利用情報を取得する(S5010)。
【0094】
ベースレイヤ変換部221は、アクセスユニット分離部210から取得したベースレイヤアクセスユニットのヘッダ部を解析してNALヘッダからNAL参照情報、SHからデコード参照ピクチャマーキング情報を取得する(S5020)。
【0095】
ベースレイヤ変換部221は、ヘッダ部を解析してAUDからピクチャタイプを抽出し、エンハンスメントレイヤ変換部230から取得したBピクチャ視点間予測利用情報をもとに強制変更フラグを設定する(S5030)。
【0096】
参照フレームメモリ情報管理部241は、ベースレイヤ変換部221から取得したNAL参照情報と参照ピクチャマーキング情報とをもとに、参照フレームメモリ内の参照ピクチャ順序を管理する(ステップS5040)。
【0097】
参照ピクチャリスト生成部251は、参照フレームメモリ情報管理部241から取得したNAL参照情報、参照ピクチャ順序情報、レイヤ情報、強制変更フラグをもとにベースレイヤの参照ピクチャリストを生成する(ステップS5050)。
【0098】
ベースレイヤ変換部221は、参照ピクチャリスト生成部251から取得した参照ピクチャリストをもとにSHを変更し、PFがある場合には削除することで、ベースレイヤアクセスユニットをAVCアクセスユニットに変換する(S5060)。また、ベースレイヤ変換部221はアクセスユニット多重部260にAVCアクセスユニットを出力する(S5070)。
【0099】
エンハンスメントレイヤ変換部231は、アクセスユニット分離部210から取得したエンハンスメントレイヤアクセスユニットのヘッダ部を解析してNALヘッダからNAL参照情報とSHからデコード参照ピクチャマーキング情報を取得する(S5080)。
【0100】
参照フレームメモリ情報管理部241は、エンハンスメントレイヤ変換部231から取得したNAL参照情報と参照ピクチャマーキング情報とをもとに、参照フレームメモリ内の参照ピクチャ順序を管理する(S5090)。
【0101】
参照ピクチャリスト生成部251は、参照フレームメモリ情報管理部241から取得した強制変更フラグ、NAL参照情報、参照ピクチャ順序情報、レイヤ情報、強制変更フラグをもとにエンハンスメントレイヤの参照ピクチャリストを生成する(S5100)。
【0102】
エンハンスメントレイヤ変換部231は、参照ピクチャリスト生成部251から取得した参照ピクチャリストをもとにSHを変更し、eSPSを削除し、SDのNALヘッダのNALタイプを20から1に変更することで、エンハンスメントレイヤアクセスユニットをAVCアクセスユニットに変換する(S5110)。また、エンハンスメントレイヤ変換部231はアクセスユニット多重部260にAVCアクセスユニットを出力する(S5120)。
【0103】
アクセスユニット多重部260は、MPEG−4AVCストリームを構成するために、ベースレイヤ変換部221から送られたAVCアクセスユニットとエンハンスメントレイヤ変換部231から送られたAVCアクセスユニットを交互に並べて多重化する(S5130)。
【0104】
以下、参照ピクチャリスト生成部251の詳細な動作について図を用いて説明する。実施の形態1と同様に、図13に示すMVCアクセスユニットがモノラル映像符号変換部200に入力される場合について説明する。
【0105】
実施の形態2では、視点間予測にベースレイヤのPピクチャとBピクチャとの両方を用いる。図20は、参照フレームメモリ情報管理部241における図13に示すMVCアクセスユニットの管理を示した図である。より具体的には、ベースレイヤ変換部221とエンハンスメントレイヤ変換部231とから取得したAVCアクセスユニットの管理情報を示した図である。
【0106】
実施の形態1の場合と異なり、実施の形態2では、視点間予測にベースレイヤのBピクチャも用いる。このため、例えばBP1のように実施の形態1では参照フレームメモリに格納されなかったアクセスユニットも、実施の形態2では参照フレームメモリに格納される。図20において、末尾に「R」が付されたアクセスユニットは、強制変更フラグが「1」に変更されたアクセスユニットであることを示す。
【0107】
図21は、参照ピクチャリスト生成部251の処理の流れを説明するフローチャートである
【0108】
参照ピクチャリスト生成部251は、参照フレームメモリから強制変更フラグが1である参照ピクチャを一時的に消去する(S6000)。参照ピクチャリスト生成部251は、参照フレームメモリ管理部240から取得したレイヤ情報がベースレイヤの場合(S6010Y)、参照フレームメモリの奇数番目を、フレームメモリ番号の小さい順に参照ピクチャリストに追加する(S6020)。続いて、参照ピクチャリスト生成部251は参照フレームメモリから一時的に消去した参照ピクチャを参照フレームメモリに戻す(S6030)。
【0109】
参照ピクチャリスト生成部251は、参照フレームメモリ管理部240から取得したレイヤ情報がベースレイヤでない場合(S6010N)、参照ピクチャリスト生成部251は参照フレームメモリ情報管理部241から取得した強制変更フラグを調べる。強制変更フラグの情報が0の場合(S6040Y)、参照ピクチャリスト生成部251は参照フレームメモリの奇数番目を番号の小さい順に参照ピクチャリストに追加する(S6050)。強制変更フラグの情報が0でない場合(S6040N)、参照ピクチャリスト生成部251は参照フレームメモリの偶数番目を番号の小さい順に参照ピクチャリストに追加する(S6060)。
【0110】
参照ピクチャリスト生成部251は、参照フレームメモリから一時的に消去した参照ピクチャを参照フレームメモリに戻す(S6070)。その後、参照ピクチャリスト生成部251は参照フレームメモリの0番目を参照ピクチャリストの最後尾に追加する(S6080)。
【0111】
図22は、参照ピクチャリスト生成部251が図21に示すフローチャートに基づいて、図20に示す情報をもとに生成した参照ピクチャリストを図示したものである。実施の形態2では、フレーム間予測符号化においては参照ピクチャに用いることができない非参照ピクチャであるベースレイヤのBピクチャも、インタービュー限定参照ピクチャとして用いる。このため、図22に示すように、ベースレイヤのBピクチャも参照ピクチャリストに格納される。
【0112】
以上の構成による動作は以下のとおりである。ユーザは実施の形態に係る画像再生装置500を用いてステレオ映像であるMPEG−4MVCストリームの視聴を開始すると、分離部100がMPEG−4MVCアクセスユニットをベースレイヤアクセスユニットとエンハンスメントレイヤアクセスユニットに分離し、モノラル映像符号変換部200が、NAL参照情報と参照ピクチャマーキング情報を用いて参照ピクチャリストを生成し、MPEG−4MVCストリームを参照ピクチャリストを含む1つのMPEG−4AVCストリームに変換する。変換されたMPEG−4AVCストリームを従来のMPEG−4AVC用の復号器であるモノラル映像復号部300が復号し、映像分離部400が左目用映像と右目用映像を分離することで、ステレオ映像を視聴することができる。
【0113】
以上説明したとおり、実施の形態2によれば、既存のモノラル画像用の符号化装置を用いて、画質および符号化効率を維持しながらステレオ画像を符号化する技術を提供することができる。特に、Bピクチャで視点間予測を利用した高画質なステレオ映像を視聴可能な技術を提供することができる点で有利である。
【0114】
以上の画像再生に関する処理は、ハードウェアを用いた蓄積、受信装置として実現することができるのは勿論のこと、ROM(リード・オンリ・メモリ)やフラッシュメモリ等に記憶されているファームウェアや、コンピュータ等のソフトウェアによっても実現することができる。そのファームウェアプログラム、ソフトウェアプログラムをコンピュータ等で読み取り可能な記録媒体に記録して提供することも、有線あるいは無線のネットワークを通してサーバから提供することも、地上波あるいは衛星ディジタル放送のデータ放送として提供することも可能である。
【0115】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0116】
100 分離部、 200 モノラル映像符号変換部、 210 アクセスユニット分離部、 220,221 ベースレイヤ変換部、 230,231 エンハンスメントレイヤ変換部、 240 参照フレームメモリ管理部、 241 参照フレームメモリ情報管理部、 250,251 参照ピクチャリスト生成部、 260 アクセスユニット多重部、 300 モノラル映像復号部、 400 映像分離部、 500 画像再生装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視点が異なる第1の動画像と第2の動画像とを含むステレオ映像がステレオ映像符号化規格に準じて符号化され生成されたステレオ映像符号化ストリームを、第1の動画像と第2の動画像のそれぞれの復号の単位を含むアクセスユニットに分離する分離部と、
モノラル映像符号化規格に準じて生成されたモノラル映像符号化ストリームを、モノラル映像の復号の単位であるアクセスユニット毎に参照ピクチャを用いて復号し、動画フレームを生成するモノラル映像復号部と、
前記分離部が分離したアクセスユニットを、第1の動画像の復号の単位である第1アクセスユニットと、第2の動画像の復号の単位である第2アクセスユニットとに分離し、第1及び第2アクセスユニットに含まれるヘッダをモノラル映像符号化規格に準じたヘッダに変換することによって、第1及び第2アクセスユニットをモノラル映像の復号単位であるアクセスユニットに変換し、変換された第1の動画像のアクセスユニットと第2の動画像のアクセスユニットとを直列に配置することによりモノラル映像符号化ストリームを生成するモノラル映像符号変換部と、
前記モノラル映像符号変換部で生成されたモノラル映像符号化ストリームを前記モノラル映像復号部が復号することにより、第1の動画像のアクセスユニットから復号され生成された第1の動画フレームと第2の動画像のアクセスユニットから復号され生成された第2の動画フレームとが混在するモノラル映像を、第1の動画フレームと第2の動画フレームとのふたつの動画フレームに分離する映像分離部とを含むことを特徴とする画像再生装置。
【請求項2】
前記モノラル映像符号変換部は、
前記分離部が分離したアクセスユニットを、第1の動画像の復号の単位である第1アクセスユニットと、第2の動画像の復号の単位である第2アクセスユニットとに分離するアクセスユニット分離部と、
第1アクセスユニットまたは第2アクセスユニットのヘッダに含まれる参照ピクチャ情報をもとに、参照ピクチャが格納されるメモリ内の参照ピクチャの格納順序を管理する参照ピクチャメモリ管理部と、
前記参照ピクチャメモリ管理部から取得した参照ピクチャの格納順序をもとに、前記モノラル映像復号部が用いる参照ピクチャの一覧を作成する参照ピクチャリスト生成部と、
前記参照ピクチャリスト生成部が作成した参照ピクチャの一覧をもとに第1アクセスユニットのヘッダをモノラル映像符号化規格に準じたヘッダに変換することで、第1アクセスユニットをモノラル映像の復号単位であるアクセスユニットに変換する第1アクセスユニット変換部と、
前記参照ピクチャリスト生成部が生成した参照ピクチャの一覧をもとに第2アクセスユニットのヘッダをモノラル映像符号化規格に準じたヘッダに変換することで、第2アクセスユニットをモノラル映像の復号単位であるアクセスユニットに変換する第2アクセスユニット変換部と、
第1アクセスユニット変換部が変換した第1の動画像のアクセスユニットと、第2アクセスユニット変換部が変換した第2の動画像のアクセスユニットとを交互に配置することにより、モノラル映像符号化ストリームを生成するアクセスユニット多重化部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像再生装置。
【請求項3】
前記第1アクセスユニット変換部は、ある第1アクセスユニットが他の第1アクセスユニットからは参照されないが、第2アクセスユニットからは参照される場合、当該第1アクセスユニットに他のアクセスユニットから参照されることを示す強制変更フラグを付し、
前記参照ピクチャメモリ管理部は、第1アクセスユニットに強制変更フラグが付されている場合、当該第1アクセスユニットを参照画像として管理し、
前記ピクチャリスト生成部は、強制変更フラグが付された第1アクセスユニットを参照ピクチャの一覧に加えることを特徴とする請求項2に記載の画像再生装置。
【請求項4】
視点が異なる第1の動画像と第2の動画像とを含むステレオ映像がステレオ映像符号化規格に準じて符号化され生成されたステレオ映像符号化ストリームを、第1の動画像と第2の動画像のそれぞれの復号の単位を含むアクセスユニットに分離するステップと、
分離されたアクセスユニットを、第1の動画像の復号の単位である第1アクセスユニットと、第2の動画像の復号の単位である第2アクセスユニットとに分離し、第1及び第2アクセスユニットに含まれるヘッダをモノラル映像符号化規格に準じたヘッダに変換することによって、第1及び第2アクセスユニットをモノラル映像の復号単位であるアクセスユニットに変換し、変換された第1の動画像のアクセスユニットと第2の動画像のアクセスユニットとを直列に配置することによりモノラル映像符号化ストリームを生成するステップと、
生成されたモノラル映像符号化ストリームをモノラル映像の復号の単位であるアクセスユニット毎に参照ピクチャを用いて復号することにより、第1の動画像のアクセスユニットから復号され生成された第1の動画フレームと第2の動画像のアクセスユニットから復号され生成された第2の動画フレームとが混在するモノラル映像を、第1の動画フレームと第2の動画フレームとのふたつの動画フレームに分離するステップとをプロセッサに実行させること特徴とする画像再生方法。
【請求項5】
視点が異なる第1の動画像と第2の動画像とを含むステレオ映像がステレオ映像符号化規格に準じて符号化され生成されたステレオ映像符号化ストリームを、第1の動画像と第2の動画像のそれぞれの復号の単位を含むアクセスユニットに分離する機能と、
分離されたアクセスユニットを、第1の動画像の復号の単位である第1アクセスユニットと、第2の動画像の復号の単位である第2アクセスユニットとに分離し、第1及び第2アクセスユニットに含まれるヘッダをモノラル映像符号化規格に準じたヘッダに変換することによって、第1及び第2アクセスユニットをモノラル映像の復号単位であるアクセスユニットに変換し、変換された第1の動画像のアクセスユニットと第2の動画像のアクセスユニットとを直列に配置することによりモノラル映像符号化ストリームを生成する機能と、
生成されたモノラル映像符号化ストリームをモノラル映像の復号の単位であるアクセスユニット毎に参照ピクチャを用いて復号することにより、第1の動画像のアクセスユニットから復号され生成された第1の動画フレームと第2の動画像のアクセスユニットから復号され生成された第2の動画フレームとが混在するモノラル映像を、第1の動画フレームと第2の動画フレームとのふたつの動画フレームに分離する機能とをコンピュータに実現させることを特徴とする画像再生用プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2011−211605(P2011−211605A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78875(P2010−78875)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】