説明

画像処理システム、画像処理装置、画像読取装置、及び画像読取方法

【課題】画像読取装置側のハードウエア回転処理手段での画像データのサイズ制限を意識することなく、画像データの回転処理を行うことができる画像処理システムを提供する。
【解決手段】画像処理システムは、読取手段211で読み取られた画像データの回転処理を画像読取装置200側のハードウエア回転処理手段213で行えるときは、該ハードウエア回転処理手段213で画像データの回転処理を高速で行う。また、読取手段211で読み取られた画像データの回転処理を画像読取装置200側のハードウエア回転処理手段213で行えないときは、該画像データをPC100に送信して、該PC100のソフトウエア回転処理手段で画像データの回転処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置と、該画像読取装置に通信手段を介して接続される画像処理装置とを備える画像処理システム、該画像処理システムを構成する画像処理装置、画像読取装置、及び画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取装置側で読み取られた原稿の画像データをパーソナルコンピュータ(以下、PCという)等の画像処理装置に転送して、画像処理装置のソフトウエアで画像データの回転処理を行う技術が提案されている。
【0003】
また、画像読取装置にハードウエアによる画像データの回転処理手段を設け、該回転処理手段により読み取られた原稿の画像データに対して高速で回転処理を行う技術が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平8−84248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PC等の画像処理装置のソフトウエアを用いて画像読取装置側で読み取られた画像データの回転処理を行うと、比較的時間がかかってしまう。
【0005】
一方、上記特許文献1のように、画像読取装置に設けられたハードウエア回転処理手段により読み取られた原稿の画像データに対して回転処理を行う場合は、処理時間の短縮化が可能である。
【0006】
しかし、画像読取装置のハードウエア回転処理手段による画像データの回転処理は、画像サイズに制限があるため、所定のサイズ以上の大きな画像データについては回転処理を行うことができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、画像読取装置側の回転処理手段での画像データのサイズ制限を意識することなく、画像データの回転処理を行うことができる画像処理システム、画像処理装置、画像読取装置及び画像読取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、読取手段で読み取られた原稿の画像データに対して回転処理を行う回転処理手段を備える画像読取装置と、該画像読取装置に通信手段を介して接続されて、前記画像読取装置を制御する画像処理装置と、を備える画像処理システムであって、前記画像読取装置は、前記回転処理手段による前記画像データの回転処理が行えない場合に、前記読取手段により読み取られた画像データを回転処理を行わずに前記通信手段を介して前記画像処理装置に送信する制御手段を備え、前記画像処理装置は、前記回転処理手段による前記画像データの回転処理が行えない場合に、前記画像読取装置から前記通信手段を介して受信した前記画像データに対して回転処理を行う他の回転処理手段を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、読取手段で読み取られた原稿の画像データに対して回転処理を行う回転処理手段を備える画像読取装置に通信手段を介して接続されて、前記画像読取装置を制御する画像処理装置であって、前記回転処理手段による前記画像データの回転処理が行えない場合に、前記画像読取装置から前記通信手段を介して受信した前記画像データに対して回転処理を行う他の回転処理手段を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2において、前記読取手段により読み取られる原稿の画像データのサイズが前記回転処理手段によって回転処理が行えるサイズであるか否かを判断する判断手段と、前記回転処理が行えるサイズであると前記判断手段が判断した場合に、前記画像読取装置に対して前記通信手段を介して前記回転処理手段による前記画像データの回転処理を指示する指示手段と、を備え、前記他の回転処理手段は、前記回転処理が行えるサイズでないと前記判断手段が判断した場合に、前記画像読取装置から前記通信手段を介して受信した前記画像データに対して回転処理を行う、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2において、前記通信手段を介して前記画像読取装置から受信した前記回転処理手段による前記画像データの回転処理の可否情報に基づいて、該回転処理手段による前記画像データの回転処理が行えるか否かを判断する判断手段を備え、前記他の回転処理手段は、前記回転処理手段による前記画像データの回転処理が行えないと前記判断手段が判断した場合に、前記画像読取装置から前記通信手段を介して受信した前記画像データに対して回転処理を行う、ことを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項2において、前記通信手段を介して前記画像読取装置から受信した前記画像データが回転処理済であるか否かを判断する判断手段を備え、前記他の回転処理手段は、前記判断手段により回転処理済でないと判断された前記画像データに対して回転処理を行う、ことを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項5において、前記画像読取装置は、原稿の画像サイズを検知する検知手段を備え、前記通信手段を介して前記検知手段で検知された原稿の画像サイズを受信することを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項2〜6のいずれか一項において、前記通信手段を介して前記画像読取装置から受信した少なくとも一部の前記画像データの文字認識を行う文字認識手段と、該文字認識手段による文字認識の結果に基づいて前記画像データの正立角度を検出して、前記回転処理手段に対する前記画像データの回転角度を設定する設定手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明は、原稿の画像を読み取る読取手段と、該読取手段により読み取られた原稿の画像データに対して回転処理を行う回転処理手段と、前記回転処理手段による前記画像データの回転処理が行えるか否かを判断する判断手段と、を備え、画像処理装置に通信手段を介して接続される画像読取装置であって、前記回転処理手段による前記画像データの回転処理が行えない場合に、前記読取手段により読み取られた画像データを回転処理を行わずに前記通信手段を介して前記画像処理装置に送信する制御手段を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項8において、前記画像処理装置から前記通信手段を介して前記回転処理を実行する指示を受信し該回転処理が行えると前記判断手段が判断した場合に、前記制御手段は、前記回転処理手段を制御して前記読取手段により読み取られた画像データに対する回転処理を実行させることを特徴とする。
【0017】
請求項10に係る発明は、請求項8において、前記判断手段により判断された前記回転処理の可否情報を前記通信手段を介して前記画像処理装置に送信し、前記回転処理が行えると前記判断手段が判断した場合に、前記制御手段は、前記回転処理手段を制御して前記読取手段により読み取られた画像データに対する回転処理を実行させることを特徴とする。
【0018】
請求項11に係る発明は、請求項8において、前記回転処理手段により前記画像データの回転処理が行われたか否かの判断を前記画像処理装置が行うことを可能とする判断情報を前記制御手段は前記通信手段を介して前記画像処理装置に送信する、ことを特徴とする。
【0019】
請求項12に係る発明は、請求項11において、前記制御手段は、前記判断情報を前記画像データに付加して前記画像処理装置に送信する、ことを特徴とする。
【0020】
請求項13に係る発明は、画像読取方法において、原稿の画像を読み取る読取ステップと、該読取ステップで読み取られた原稿の画像データに対して回転処理を行う回転処理ステップと、前記回転処理ステップによる前記画像データの回転処理が行えるか否かを判断する判断ステップと、前記回転処理ステップによる前記画像データの回転処理が行えない場合に、前記読取ステップで読み取られた画像データを回転処理を行わずに通信手段を介して画像処理装置に送信する送信ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、読取手段で読み取られた画像データの回転処理を画像読取装置側の回転処理手段で行えるときは、該回転処理手段で画像データの回転処理を高速で行う。
【0022】
また、読取手段で読み取られた画像データの回転処理を画像読取装置側の回転処理手段で行えないときは、該画像データを画像処理装置に送信して、該画像処理装置の他の回転処理手段で画像データの回転処理を行う。
【0023】
これにより、画像読取装置側の回転処理手段での画像データのサイズ制限を意識することなく、画像データの回転処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態である画像処理システムを説明するための概略ブロック図である。
【0026】
本実施形態の画像処理システムは、図1に示すように、PC(画像処理装置)100と、PC100に無線或いは有線のLANやUSB等の通信手段300を介して接続される画像読取装置200と、を備える。
【0027】
PC100は、不図示のCPU、ROM、RAM、HDD、通信I/F等を備えており、CPU(ソフトウエア回転処理手段)は、ROMやHDD等に格納された回転処理プログラムをRAMにロードして、画像データに対して回転処理を実行する機能を有する。
【0028】
画像読取装置200は、CPU210、読取手段211、画像メモリ212、ハードウエア回転処理手段213、通信I/F214、及び不図示のRAMやROM等を備える。
【0029】
読取手段211は、CPU210の制御により原稿の画像を読み取り、読取手段211で読み取られた画像データは画像メモリ212に保存される。
【0030】
ハードウエア回転処理手段213は、CPU210により制御され、設定された回転角度になるように画像データに対して回転処理を行う。通信I/F214は、通信手段300を介してPC100側の通信I/Fと接続され、CPU210の制御により、PC100との間でコマンド/画像データ等の送受信を行う。
【0031】
次に、図2を参照して、PC100の動作例について説明する。なお、図2での各処理は、PC100のROMやHDD等に記憶された画像処理プログラムがRAMにロードされて、CPUにより実行される。
【0032】
ステップS201では、CPUは、不図示の操作入力部を介してユーザにより入力指示された読取パラメータ(画像サイズ、解像度等)を設定し、設定した読取パラメータを通信手段300を介して画像読取装置200に送信し、ステップS202に進む。
【0033】
ステップS202では、CPUは、画像読取装置200に対して読み取りの開始の指示を通信手段300を介して送信し、ステップS203に進む。
【0034】
ステップS203では、CPU(判断手段)は、ステップS201で設定された設定パラメータに基づき、画像読取装置200で読み取られる画像サイズがハードウエア回転処理手段213の制限サイズを超えているか判断する。
【0035】
そして、CPUは、制限サイズを超えていると判断した場合、すなわちハードウエア回転処理手段213で回転処理できない画像サイズの場合は、ステップS204に進む。
【0036】
ステップS204では、CPUは、画像読取装置200の読取手段211で読み取られた原稿の画像データを通信手段300を介して受信する。ここで、受信した画像データは、回転処理が行われていない。
【0037】
次に、ステップS205では、CPUは、ROMやHDD等に格納された回転処理プログラムをRAMにロードして、ステップS204で受信した画像データに対して回転処理を実行し、回転処理後の画像データをRAMやHDD等に保存して処理を終了する。
【0038】
一方、ステップS203において、CPUは、制限サイズを超えていないと判断した場合、すなわちハードウエア回転処理手段213で回転処理が可能な画像サイズの場合は、ステップS206に進む。
【0039】
ステップS206では、CPU(指示手段)は、画像読取装置200に対してハードウエア回転処理手段213による画像データの回転処理の指示情報を通信手段300を介して送信し、ステップS207に進む。
【0040】
ステップS207では、CPUは、画像読取装置200のハードウエア回転処理手段213により回転処理が実行された画像データを通信手段300を介して受信してRAMやHDD等に保存し、処理を終了する。
【0041】
次に、図3を参照して、画像読取装置200の動作例について説明する。なお、図3での各処理は、画像読取装置200のROMやHDD等に記憶された画像処理プログラムがRAMにロードされて、CPU210により実行される。
【0042】
ステップS211では、CPU210は、図2のステップS201でPC100から送信された読取パラメータを受信したか否かを判断し、受信したと判断した場合は、ステップS212に進む。
【0043】
ステップS212では、CPU210は、図2のステップS202でPC100から送信された読取指示を受信したか否かを判断し、受信したと判断した場合は、ステップS213に進む。
【0044】
ステップS213では、CPU210は、読取手段211を制御して原稿の画像を読み取り、読み取った画像データを画像メモリ212に格納し、ステップS214に進む。
【0045】
ステップS214では、CPU(判断手段)210は、図2のステップS206でPC100側から送信されたハードウエア回転処理手段213による画像データの回転処理の指示を受信したか否かを判断する。
【0046】
そして、CPU210は、ハードウエア回転処理手段213による画像データの回転処理の指示を受信した場合は、ステップS215に進み、受信しない場合は、ステップS217に進む。
【0047】
ステップS215では、CPU(制御手段)210は、ハードウエア回転処理手段213に対して回転角度を設定すると共に、ハードウエア回転処理手段213を制御して画像メモリ212に格納された画像データに対して回転処理を行い、ステップS216に進む。
【0048】
ステップS216では、CPU210は、ステップS215で回転処理が行われた画像データを通信手段300を介してPC100に送信し、処理を終了する。
【0049】
一方、ステップS217では、CPU(制御手段)210は、画像メモリ212に格納された回転処理が行われていない画像データを通信手段300を介してPC100に送信し、処理を終了する。
【0050】
以上説明したように、本実施形態では、画像読取装置200の読取手段211で読み取られた画像データの回転処理をハードウエア回転処理手段213で行えるときは、該ハードウエア回転処理手段213で画像データの回転処理を高速で行う。
【0051】
また、画像読取装置200の読取手段211で読み取られた画像データの回転処理をハードウエア回転処理手段213で行えないときは、該画像データをPC100に送信して、該PC100のソフトウエアで画像データの回転処理を行う。
【0052】
これにより、画像読取装置200側のハードウエア回転処理手段213での画像データのサイズ制限を意識することなく、画像データの回転処理を行うことができる。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、図4及び図5を参照して、本発明の第2の実施形態である画像処理システムについて説明する。なお、画像処理システムの構成例については、図1と同様であるため、その説明を省略する。
【0054】
まず、図4を参照して、PC100の動作例について説明する。なお、図4での各処理は、PC100のROMやHDD等に記憶された画像処理プログラムがRAMにロードされて、CPUにより実行される。
【0055】
ステップS301では、CPUは、不図示の操作入力部を介してユーザにより入力指示された読取パラメータ(画像サイズ、解像度等)を設定し、設定した読取パラメータを通信手段300を介して画像読取装置200に送信し、ステップS302に進む。
【0056】
ステップS302では、CPUは、画像読取装置200に対して読み取りの開始の指示を通信手段300を介して送信し、ステップS303に進む。
【0057】
ステップS303では、CPUは、画像読取装置200に対して不図示の操作入力部を介してユーザにより入力指示された画像データの回転角度を設定し、設定した回転角度を通信手段300を介して画像読取装置200に送信し、ステップS304に進む。
【0058】
ステップS304では、CPUは、画像読取装置200に対してステップS303で設定した回転角度でハードウエア回転処理手段213による画像データの回転処理が可能か否かの問い合わせ情報を通信手段300を介して送信し、ステップS305に進む。
【0059】
ステップS305では、CPUは、ステップS303で設定した回転角度でハードウエア回転処理手段213による画像データの回転処理が可能か否かの問い合わせ結果を画像読取装置200側から受信する。
【0060】
そして、CPU(判断手段)は、回転処理が不可である場合は、ステップS306に進み、回転処理が可能である場合は、ステップS308に進む。
【0061】
ステップS306では、CPUは、画像読取装置200側から通信手段300を介して画像データを受信し、ステップS307に進む。ここで受信した画像データは、回転処理が行われていない。
【0062】
ステップS307では、CPUは、ROMやHDD等に格納された回転処理プログラムをRAMにロードして、ステップS306で受信した画像データに対して回転処理を実行し、回転処理後の画像データをRAMやHDD等に保存し、処理を終了する。
【0063】
一方、ステップS308では、CPUは、画像読取装置200側から通信手段300を介して画像データを受信してRAMやHDD等に保存し、処理を終了する。ここで受信した画像データは、画像読取装置200のハードウエア回転処理手段213により回転処理が行われた画像データとなる。
【0064】
次に、図5を参照して、画像読取装置200の動作例について説明する。なお、図5での各処理は、画像読取装置200のROMやHDD等に記憶された画像処理プログラムがRAMにロードされて、CPU210により実行される。
【0065】
ステップS311では、CPU210は、図4のステップ301でPC100から送信された読取パラメータを受信したか否かを判断し、受信したと判断した場合は、ステップS312に進む。
【0066】
ステップS312では、CPU210は、図4のステップS302でPC100から送信された読取指示を受信したか否かを判断し、受信したと判断した場合は、ステップS313に進む。
【0067】
ステップS313では、CPU210は、読取手段211を制御して原稿の画像を読み取り、読み取った画像データを画像メモリ212に格納し、ステップS314に進む。
【0068】
ステップS314では、CPU210は、図4のステップS304でPC100側から送信された、設定回転角度でハードウエア回転処理手段213による画像データの回転処理が可能か否かの問い合わせ情報を受信した場合は、ステップS315に進む。
【0069】
ステップS315では、CPU(判断手段)210は、設定回転角度でハードウエア回転処理手段213による画像データの回転処理が可能か否かを判断する。そして、CPU(制御手段)210は、該判断結果(可否情報)を通信手段300を介してPC100に送信し、ステップS316に進む。
【0070】
ステップS316では、CPU210は、ステップS315で回転処理が可能であると判断された場合は、ステップS317に進む、ステップS315で回転処理が不可であると判断された場合は、ステップS319に進む。
【0071】
ステップS317では、CPU(制御手段)210は、ハードウエア回転処理手段213に対して回転角度を設定すると共に、ハードウエア回転処理手段213を制御して画像メモリ212に格納された画像データに対して回転処理を行い、ステップS318に進む。
【0072】
ステップS318では、CPU210は、ステップS317で回転処理が行われた画像データを通信手段300を介してPC100に送信し、処理を終了する。
【0073】
一方、ステップS319では、CPU(制御手段)210は、画像メモリ212に格納された回転処理が行われていない画像データを通信手段300を介してPC100に送信し、処理を終了する。
【0074】
本実施形態では、画像読取装置200のハードウエア構成や内部状態等により、PC100ではハードウエア回転処理手段213による回転処理の可否が判断できない場合でも、画像読取装置200に問い合わせることで該回転処理の可否を正しく判断できる。その他の作用効果については、上記第1の実施形態と同様である。
【0075】
なお、本実施形態では、PC100から画像読取装置200に対して画像サイズの設定を行ったが、原稿サイズに応じて、画像読取装置200が最適な画像サイズで読み取りを行うようにしてもよい。
【0076】
(第3の実施形態)
次に、図6及び図7を参照して、本発明の第3の実施形態である画像処理システムについて説明する。なお、画像処理システムの構成例については、図1と同様であるため、その説明を省略する。
【0077】
本実施形態においては、読み取るべき原稿サイズが不定形又は種々の原稿サイズのとき、画像読取装置側にて原稿の画像サイズを検知する場合を例に採る。
【0078】
まず、図6を参照して、PC100の動作例について説明する。なお、図6での各処理は、PC100のROMやHDD等に記憶された画像処理プログラムがRAMにロードされて、CPUにより実行される。
【0079】
ステップS401では、CPUは、不図示の操作入力部を介してユーザにより入力指示された読取パラメータ(解像度等)を設定し、設定した読取パラメータを通信手段300を介して画像読取装置200に送信し、ステップS402に進む。なお、ステップS401では、読取パラメータである画像サイズは画像読取装置200から得るため、PC100側で設定することはない。
【0080】
ステップS402では、CPUは、画像読取装置200に対して読み取りの開始の指示を通信手段300を介して送信し、ステップS403に進む。
【0081】
ステップS403では、CPUは、画像読取装置200に対して不図示の操作入力部を介してユーザにより入力指示された画像データの回転角度を設定し、設定した回転角度を通信手段300を介して画像読取装置200に送信し、ステップS404に進む。
【0082】
ステップS404では、CPUは、画像読取装置200側から通信手段300を介して画像データを受信し、ステップS405に進む。ここで、受信した画像データには、回転角度が属性データとして付加されている。
【0083】
この属性データは、図9に示すように、回転角度、画像幅、画像高さを各々4バイトで保持する。
【0084】
すなわち、画像読取装置200のハードウエア回転処理手段213で画像データの回転処理が可能な場合は、ステップS403において設定した回転角度が画像属性の回転角度フィールドに設定される。この場合、ハードウエア回転処理手段213で回転処理済みの画像データを受信することになる。
【0085】
また、画像読取装置200のハードウエア回転処理手段213で画像データの回転処理が不可能な場合は、「0」が画像属性の回転角度フィールドに設定され、ハードウエア回転処理手段213で回転処理が行われていない画像データを受信することになる。
【0086】
ステップS405では、CPU(判断手段)は、ステップS404で受信した画像データに付加された属性データに基づいて、画像データが回転処理済みか否かを判断し、回転処理済みの場合は、処理を終了し、回転処理済みでない場合は、ステップS406に進む。
【0087】
ステップS406では、CPUは、ROMやHDD等に格納された回転処理プログラムをRAMにロードして、ステップS404で受信した画像データに対して画像属性データである画像幅、画像高さに基づいて回転処理を実行する。そして、CPUは、回転処理後の画像データをRAMやHDD等に保存し、処理を終了する。
【0088】
次に、図7を参照して、画像読取装置200の動作例について説明する。なお、図7での各処理は、画像読取装置200のROMやHDD等に記憶された画像処理プログラムがRAMにロードされて、CPU210により実行される。
【0089】
ステップS411では、CPU210は、図6のステップ401でPC100から送信された読取パラメータを受信したか否かを判断し、受信したと判断した場合は、ステップS412に進む。
【0090】
ステップS412では、CPU210は、図6のステップS402でPC100から送信された読取指示を受信したか否かを判断し、受信したと判断した場合は、ステップS413に進む。
【0091】
ステップS413では、CPU210は、読取手段211を制御して原稿の画像を読み取り、読み取った画像データを画像メモリ212に格納し、ステップS413′に進む。
【0092】
ステップS413′では、CPU210は、読み取り画像データから原稿の画像サイズを検知する。原稿の画像サイズを検知する方法としては、例えば、次に示す方法を例示することができる。
【0093】
即ち、読取手段211に対して原稿の搬送路を挟んで平行に対向するように配置された不図示のプラテンローラの表面が黒色である場合、原稿の読取画像データ(黒色でない部分)の周囲にプラテンローラの黒色の部分が取り込まれる。従って、黒色の部分と黒色でない部分との間の色の変化点が原稿の縁部を表すことになり、容易に原稿の画像サイズを求めることができる。
【0094】
次に、ステップS414では、CPU210は、図6のステップS403でPC100側から送信された設定回転角度及びステップS413′で求められた画像サイズからハードウエア回転処理手段213による画像データの回転処理が可能か否かを判断する。
【0095】
そして、CPU210は、回転処理が可能な場合は、ステップS415に進み、回転処理が不可能な場合は、ステップS417に進む。
【0096】
ステップS415では、CPU(制御手段)210は、ハードウエア回転処理手段213に対して回転角度を設定すると共に、ハードウエア回転処理手段213を制御して画像メモリ212に格納された画像データに対して回転処理を行い、ステップS416に進む。
【0097】
ステップS416では、CPU(制御手段)210は、ステップS415で回転処理が行われた画像データに属性データ(図9参照)を付加して通信手段300を介してPC100に送信し、処理を終了する。ここで送信される属性データ(判断情報)には、図9において、図6のステップS403において設定した回転角度が画像属性の回転角度フィールドに設定される。
【0098】
一方、ステップS417では、CPU(制御手段)210は、画像メモリ212に格納された回転処理が行われていない画像データに属性データ(図9参照)を付加して通信手段300を介してPC100に送信し、処理を終了する。ここで送信される属性データには、図9において、「0」が画像属性の回転角度フィールドに設定される。
【0099】
本実施形態では、読み取るべき原稿の画像サイズが不定形、又は種々のサイズの原稿の場合、画像読取装置200側で画像サイズを検知してそのサイズから回転処理の可否を画像読取装置200側で判断し、その判断結果を画像属性としてPC100に送信する。従って、PC100は、受信した画像属性を参照することにより、前記回転処理の可否を正しく判断することができる。その他の作用効果については、上記第1の実施形態と同様である。
【0100】
(第4の実施形態)
次に、図8及び図10を参照して、本発明の第4の実施形態である画像処理システムについて説明する。なお、画像処理システムの構成例については、図1と同様であるため、その説明を省略する。
【0101】
本実施形態では、図4のステップS303及び図6のステップS403における画像データの回転角度の設定処理の一例について説明する。
【0102】
図8は、PC100側で実行される画像データの回転角度の設定処理を説明するためのフローチャート図である。なお、図6での各処理は、PC100のROMやHDD等に記憶された画像処理プログラムがRAMにロードされて、CPUにより実行される。
【0103】
ステップS601では、CPU(文字認識手段)は、画像読取装置200側から画像データの一部(図10のOCR領域)を通信手段300を介して受信し、ステップS602に進む。
【0104】
ステップS602では、CPUは、ステップS601で受信した画像データと、該画像データを左側に90°、180°、270°回転した3つの画像データとに対し、文字認識プログラムにより文字認識処理を実行し、文字認識率が高い回転角度を正立角度とする。
【0105】
すなわち、CPUは、0°、左に90°、左に180°、左に270°の各回転画像データのうちで文字認識率の高い画像データを正立画像データとして検出し、ステップS603に進む。本実施形態では、ステップS602で検出される正立画像データは、左に90°の画像データとなる(図10参照)。
【0106】
ステップS603では、CPU(設定手段)は、ステップS604で検出した正立角度の回転角度(本実施形態では、左90°)を画像読取装置200に対する画像データの回転角度として設定する。そして、CPUは、設定した回転角度を通信手段300を介して画像読取装置200に送信する。なお、画像読取装置200側の処理については、図示は省略するが、例えば、画像読取装置200のCPU210は、PC100側からの送信要求に応じて画像メモリ212に格納された画像データの少なくとも一部を通信手段300を介してPC100に送信する。
【0107】
以上で図4のステップS303及び図6のステップS403における画像データの回転角度の設定処理が終了する。
【0108】
なお、本実施形態では、文字認識用の画像データをPC100側で回転させたが、画像読取装置200側で回転させてPC100に送信してもよい。
【0109】
また、本実施形態では、画像データの一部の文字認識処理をPC100側で行う場合を例示したが、画像データの全部の文字認識処理をPC100側で行うようにしてもよく、更には、画像読取装置200側で画像データの文字認識処理を行っても良い。
【0110】
即ち、画像データの少なくとも一部の文字認識処理をPC100側或いは画像読取装置200側で行うようにしてもよい。
【0111】
更に、本実施形態では、文字認識処理を回転角度が異なる4つの画像に対して行った場合を例示したが、正立画像と認識される高い認識率を得られた場合は、正立角度を確定し、文字認識処理を中断しても良い。
【0112】
更に、画像データの一部の文字認識処理を行った結果、正立角度を確定できなかった場合は、OCR領域を変更し、再度文字認識処理を行うようにしてもよく、正立角度が確定できなかったときは、予め設定しておいた回転角度としても良い。
【0113】
本発明は、上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0114】
例えば、ハードウエア回転処理手段は、ハードウエア回路が好適であるが、その一部又は全てをソフトウエアで実現してもよい。また、ソフトウエア回転処理手段についても、その一部又は全てをハードウエア回路で実現してもよい。
【0115】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成することもできる。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0116】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0117】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0118】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0119】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の第1の実施形態である画像処理システムを説明するための概略ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態である画像処理システムを構成するPCの動作例を説明するためのフローチャート図である。
【図3】本発明の第1の実施形態である画像処理システムを構成する画像読取装置の動作例を説明するためのフローチャート図である。
【図4】本発明の第2の実施形態である画像処理システムを構成するPCの動作例を説明するためのフローチャート図である。
【図5】本発明の第2の実施形態である画像処理システムを構成する画像読取装置の動作例を説明するためのフローチャート図である。
【図6】本発明の第3の実施形態である画像処理システムを構成するPCの動作例を説明するためのフローチャート図である。
【図7】本発明の第3の実施形態である画像処理システムを構成する画像読取装置の動作例を説明するためのフローチャート図である。
【図8】本発明の第4の実施形態である画像処理システムを構成するPCの動作例を説明するためのフローチャート図である。
【図9】画像属性データフォーマットの一例を示す図である。
【図10】OCR認識領域及び正立角度決定後の回転画像を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0121】
100 PC(画像処理装置)
200 画像読取装置
210 CPU
211 読取手段
212 画像メモリ
213 ハードウエア回転処理手段
214 通信I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取手段で読み取られた原稿の画像データに対して回転処理を行う回転処理手段を備える画像読取装置と、該画像読取装置に通信手段を介して接続されて、前記画像読取装置を制御する画像処理装置と、を備える画像処理システムであって、
前記画像読取装置は、前記回転処理手段による前記画像データの回転処理が行えない場合に、前記読取手段により読み取られた画像データを回転処理を行わずに前記通信手段を介して前記画像処理装置に送信する制御手段を備え、
前記画像処理装置は、前記回転処理手段による前記画像データの回転処理が行えない場合に、前記画像読取装置から前記通信手段を介して受信した前記画像データに対して回転処理を行う他の回転処理手段を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
読取手段で読み取られた原稿の画像データに対して回転処理を行う回転処理手段を備える画像読取装置に通信手段を介して接続されて、前記画像読取装置を制御する画像処理装置であって、
前記回転処理手段による前記画像データの回転処理が行えない場合に、前記画像読取装置から前記通信手段を介して受信した前記画像データに対して回転処理を行う他の回転処理手段を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記読取手段により読み取られる原稿の画像データのサイズが前記回転処理手段によって回転処理が行えるサイズであるか否かを判断する判断手段と、
前記回転処理が行えるサイズであると前記判断手段が判断した場合に、前記画像読取装置に対して前記通信手段を介して前記回転処理手段による前記画像データの回転処理を指示する指示手段と、を備え、
前記他の回転処理手段は、前記回転処理が行えるサイズでないと前記判断手段が判断した場合に、前記画像読取装置から前記通信手段を介して受信した前記画像データに対して回転処理を行う、ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記通信手段を介して前記画像読取装置から受信した前記回転処理手段による前記画像データの回転処理の可否情報に基づいて、該回転処理手段による前記画像データの回転処理が行えるか否かを判断する判断手段を備え、
前記他の回転処理手段は、前記回転処理手段による前記画像データの回転処理が行えないと前記判断手段が判断した場合に、前記画像読取装置から前記通信手段を介して受信した前記画像データに対して回転処理を行う、ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記通信手段を介して前記画像読取装置から受信した前記画像データが回転処理済であるか否かを判断する判断手段を備え、
前記他の回転処理手段は、前記判断手段により回転処理済でないと判断された前記画像データに対して回転処理を行う、ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像読取装置は、原稿の画像サイズを検知する検知手段を備え、前記通信手段を介して前記検知手段で検知された原稿の画像サイズを受信することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記通信手段を介して前記画像読取装置から受信した少なくとも一部の前記画像データの文字認識を行う文字認識手段と、
該文字認識手段による文字認識の結果に基づいて前記画像データの正立角度を検出して、前記回転処理手段に対する前記画像データの回転角度を設定する設定手段と、を備えることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
原稿の画像を読み取る読取手段と、該読取手段により読み取られた原稿の画像データに対して回転処理を行う回転処理手段と、前記回転処理手段による前記画像データの回転処理が行えるか否かを判断する判断手段と、を備え、画像処理装置に通信手段を介して接続される画像読取装置であって、
前記回転処理手段による前記画像データの回転処理が行えない場合に、前記読取手段により読み取られた画像データを回転処理を行わずに前記通信手段を介して前記画像処理装置に送信する制御手段を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
前記画像処理装置から前記通信手段を介して前記回転処理を実行する指示を受信し該回転処理が行えると前記判断手段が判断した場合に、前記制御手段は、前記回転処理手段を制御して前記読取手段により読み取られた画像データに対する回転処理を実行させることを特徴とする請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記判断手段により判断された前記回転処理の可否情報を前記通信手段を介して前記画像処理装置に送信し、前記回転処理が行えると前記判断手段が判断した場合に、前記制御手段は、前記回転処理手段を制御して前記読取手段により読み取られた画像データに対する回転処理を実行させることを特徴とする請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記回転処理手段により前記画像データの回転処理が行われたか否かの判断を前記画像処理装置が行うことを可能とする判断情報を前記制御手段は前記通信手段を介して前記画像処理装置に送信する、ことを特徴とする請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記判断情報を前記画像データに付加して前記画像処理装置に送信する、ことを特徴とする請求項11に記載の画像読取装置。
【請求項13】
原稿の画像を読み取る読取ステップと、該読取ステップで読み取られた原稿の画像データに対して回転処理を行う回転処理ステップと、前記回転処理ステップによる前記画像データの回転処理が行えるか否かを判断する判断ステップと、前記回転処理ステップによる前記画像データの回転処理が行えない場合に、前記読取ステップで読み取られた画像データを回転処理を行わずに通信手段を介して画像処理装置に送信する送信ステップと、を備えることを特徴とする画像読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−194736(P2009−194736A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34982(P2008−34982)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】