説明

画像処理システム、画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】物体を照合する場合に、照合の基準となる位置の特定に係る時間を、本構成を有さない場合に比較して、削減できるようにした画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置の画像取得手段は、表面に刻印されており、該表面に皮膜が形成又は積層された物体の画像を取得し、画像抽出手段は、前記画像取得手段によって取得された画像内の刻印の部分画像を抽出し、濃度抽出手段は、前記画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の濃度を抽出し、特徴変換手段は、前記濃度抽出手段によって抽出された濃度を列ねた濃度列を、前記刻印の部分画像の特徴に変換し、照合手段は、基準となる刻印の部分画像の特徴と該刻印の部分画像の濃度が対応されて登録されている記憶手段から、前記特徴変換手段によって変換された特徴に対応する濃度を抽出し、該抽出した濃度と前記濃度抽出手段によって抽出された濃度を照合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム、画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、書類の偽造防止効果の向上を図ると共に、容易に実現可能な書類確認方法及び装置を提供することを課題とし、読取部により、正規の印刷物(原本)の印刷画像を読取り、特徴量抽出部により、印刷装置による当該印刷物の印刷時に制御しきれずに形成された再現不能なランダムパターンの特徴を抽出して、特徴ベクトルを求めてメモリに予め登録しておき、原本であるか否かを確認する確認対象の印刷物についても、同様に、印刷画像を読取り、特徴量抽出部により再現不能なランダムパターンの特徴を抽出して特徴ベクトルを算出し、そして、比較部により、算出した算出特徴ベクトルをメモリに登録されている登録特徴ベクトルと比較し、両者の類似度に応じて、当該確認対象の印刷物が原本であるか否かを判定することが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、デジタル識別子は、紙や厚紙や他の物品上にわたってコヒーレントビームを走査することによりさらに散乱を測定することにより得られた一組をなす複数のデータポイントをデジタル化することによって得られ、また、サムネイル状デジタル識別子は、一組をなす複数のデータポイントのフーリエ変換の振幅スペクトルをデジタル化することによって決定され、これにより、複数のデジタル識別子とそれらのサムネイル状デジタル識別子とからなるデータベースを、構築することができ、その後、物品の信頼性を、物品を再走査してそのデジタル識別子及びサムネイルを決定しさらにその後データベースを検索して適合を探すことにより、検証することができ、検索は、フーリエ変換サムネイルに基づいて行われ、これにより、検索速度を改良することができることが開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、ランダム性を有する読み取り可能な固有の特徴が表面に沿って分布している固体の真偽を判定する真偽判定方法であって、真の固体の特徴が予め読み取られることで得られた、前記真の固体上に分布する特徴を表す基準データを取得すると共に、判定対象の固体の特徴を読み取ることで、前記判定対象の固体上に分布する特徴を表す照合データを求め、前記基準データ及び前記照合データに基づき、真の固体及び判定対象の固体のうちの一方の固体上の所定サイズの第1領域に分布する特徴を表すデータと、他方の固体上で前記第1領域と同サイズの第2領域に分布する特徴を表すデータとの相関値を演算することを、前記他方の固体上での前記第2領域の位置を前記所定サイズよりも大きい領域内で移動させながら繰り返し、演算によって得られた複数の相関値の最大値が第1の所定値以上で、かつ、前記相関値の最大値から相関値の平均値を減じた値を相関値の標準偏差で除すことで得られる相関値の最大値のノーマライズド・スコアが第2の所定値以上か否かに基づいて、判定対象の固体の真偽を判定することを特徴とする真偽判定方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献4には、固体を読み取ることで得られる情報以外の情報を利用することなく固体を短時間で識別することを課題とし、登録対象の紙上の所定領域内における繊維質材料の絡み具合に起因する紙表面の凹凸のランダムな変化パターンを読み取り、複数の小領域に分割し、各小領域を単位とする平均明度を一定の順序で並べた登録画像分類データを生成し、照合対象の紙上の所定領域内を読み取り、登録画像分類データと同様の照合画像分類データを生成し、記憶・登録されている登録画像データのうち、対応する登録画像分類データが照合画像分類データと一致しているデータについてのみ照合画像データとの照合を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−153405号公報
【特許文献2】特表2008−509498号公報
【特許文献3】特許第4103826号公報
【特許文献4】特開2006−164180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、物体を照合する場合に、照合の基準となる位置の特定に係る時間を、本構成を有さない場合に比較して、削減できるようにした画像処理システム、画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1の発明は、表面に刻印されており、該表面に皮膜が形成又は積層された物体の画像を取得する第1の画像取得手段と、前記第1の画像取得手段によって取得された画像内の刻印の部分画像を抽出する第1の画像抽出手段と、前記第1の画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の濃度を抽出する第1の濃度抽出手段と、前記第1の濃度抽出手段によって抽出された濃度を列ねた濃度列を、前記刻印の部分画像の特徴に変換する第1の特徴変換手段と、前記第1の特徴変換手段によって変換された特徴と前記第1の濃度抽出手段によって抽出された濃度を対応させて記憶手段に登録する登録手段を備える第1の画像処理装置と、表面に刻印されており、該表面に皮膜が形成又は積層された物体の画像を取得する第2の画像取得手段と、前記第2の画像取得手段によって取得された画像内の刻印の部分画像を抽出する第2の画像抽出手段と、前記第2の画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の濃度を抽出する第2の濃度抽出手段と、前記第2の濃度抽出手段によって抽出された濃度を列ねた濃度列を、前記刻印の部分画像の特徴に変換する第2の特徴変換手段と、前記第1の画像処理装置の登録手段によって基準となる刻印の部分画像の特徴と該刻印の部分画像の濃度が対応されて登録されている記憶手段から、前記第2の特徴変換手段によって変換された特徴に対応する濃度を抽出し、該抽出した濃度と前記第2の濃度抽出手段によって抽出された濃度とを照合する照合手段を備える第2の画像処理装置を具備することを特徴とする画像処理システムである。
【0009】
請求項2の発明は、表面に刻印されており、該表面に皮膜が形成又は積層された物体の画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段によって取得された画像内の刻印の部分画像を抽出する画像抽出手段と、前記画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の濃度を抽出する濃度抽出手段と、前記濃度抽出手段によって抽出された濃度を列ねた濃度列を、前記刻印の部分画像の特徴に変換する特徴変換手段と、前記特徴変換手段によって変換された特徴と前記濃度抽出手段によって抽出された濃度を対応させて記憶手段に登録する登録手段を具備することを特徴とする画像処理装置である。
【0010】
請求項3の発明は、前記画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の位置から予め定められた位置にある画像を抽出する第2の画像抽出手段と、前記第2の画像抽出手段によって抽出された画像を第2の記憶手段に登録する第2の登録手段をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置である。
【0011】
請求項4の発明は、前記画像抽出手段は、前記刻印内のつながっている線の全長が予め定められた値以上であり、曲線によって構成されている部分が予め定められた値以上の長さである部分画像を抽出することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置である。
【0012】
請求項5の発明は、前記画像抽出手段は、前記物体が立体である場合は、該物体の曲面にある刻印の部分画像を抽出することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0013】
請求項6の発明は、表面に刻印されており、該表面に皮膜が形成又は積層された物体の画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段によって取得された画像内の刻印の部分画像を抽出する画像抽出手段と、前記画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の濃度を抽出する濃度抽出手段と、前記濃度抽出手段によって抽出された濃度を列ねた濃度列を、前記刻印の部分画像の特徴に変換する特徴変換手段と、基準となる刻印の部分画像の特徴と該刻印の部分画像の濃度が対応されて登録されている記憶手段から、前記特徴変換手段によって変換された特徴に対応する濃度を抽出し、該抽出した濃度と前記濃度抽出手段によって抽出された濃度とを照合する照合手段を具備することを特徴とする画像処理装置である。
【0014】
請求項7の発明は、前記画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の位置から予め定められた位置にある画像を抽出する第2の画像抽出手段と、請求項3に記載の第2の記憶手段から画像を抽出し、該抽出した画像と前記第2の画像抽出手段によって抽出された画像を照合する第2の照合手段をさらに具備することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置である。
【0015】
請求項8の発明は、前記画像抽出手段は、前記刻印内のつながっている線の全長が予め定められた値以上であり、曲線によって構成されている部分が予め定められた値以上の長さである部分画像を抽出することを特徴とする請求項6又は7に記載の画像処理装置である。
【0016】
請求項9の発明は、前記画像抽出手段は、前記物体が立体である場合は、該物体の曲面にある刻印の部分画像を抽出することを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0017】
請求項10の発明は、前記画像取得手段は、前記物体の傾きを変更した複数の画像を取得し、前記画像取得手段は、前記複数の画像から1つの画像を生成すること、又は、前記画像抽出手段、前記濃度抽出手段、前記特徴変換手段、前記照合手段は、前記画像取得手段によって取得された複数の画像を対象とした処理を行うことを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0018】
請求項11の発明は、コンピュータを、表面に刻印されており、該表面に皮膜が形成又は積層された物体の画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段によって取得された画像内の刻印の部分画像を抽出する画像抽出手段と、前記画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の濃度を抽出する濃度抽出手段と、前記濃度抽出手段によって抽出された濃度を列ねた濃度列を、前記刻印の部分画像の特徴に変換する特徴変換手段と、前記特徴変換手段によって変換された特徴と前記濃度抽出手段によって抽出された濃度を対応させて記憶手段に登録する登録手段として機能させるための画像処理プログラムである。
【0019】
請求項12の発明は、コンピュータを、表面に刻印されており、該表面に皮膜が形成又は積層された物体の画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段によって取得された画像内の刻印の部分画像を抽出する画像抽出手段と、前記画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の濃度を抽出する濃度抽出手段と、前記濃度抽出手段によって抽出された濃度を列ねた濃度列を、前記刻印の部分画像の特徴に変換する特徴変換手段と、基準となる刻印の部分画像の特徴と該刻印の部分画像の濃度が対応されて登録されている記憶手段から、前記特徴変換手段によって変換された特徴に対応する濃度を抽出し、該抽出した濃度と前記濃度抽出手段によって抽出された濃度とを照合する照合手段として機能させるための画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1、2、6の画像処理システム、画像処理装置によれば、物体を照合する場合に、照合の基準となる位置の特定に係る時間を、本構成を有さない場合に比較して、削減できる。
【0021】
請求項3の画像処理装置によれば、物体を照合する場合の照合対象を、本構成を有さない場合に比較して、増やすことができる。
【0022】
請求項4、5、8、9の画像処理装置によれば、他の部分画像を抽出した場合に比較して、照合精度を高めることができる。
【0023】
請求項7の画像処理装置によれば、物体を照合する場合であって、基準となる物体の刻印の部分画像の特徴で照合の信頼性が担保できないときに、本構成を有さない場合に比較して、照合精度を高めることができる。
【0024】
請求項10の画像処理装置によれば、対象とする物体の画像の取得と基準となる物体の画像の取得とが異なる条件で行われたときに、本構成を有さない場合に比較して、照合精度を高めることができる。
【0025】
請求項11、12の画像処理プログラムによれば、物体を照合する場合に、照合の基準となる位置の特定に係る時間を、本構成を有さない場合に比較して、削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施の形態(登録装置)の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図2】本実施の形態(照合装置)の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図3】本実施の形態を実現する場合のシステム構成例を示す説明図である。
【図4】打錠の工程例を示す説明図である。
【図5】錠剤のコーティング工程例を示す説明図である。
【図6】本実施の形態(登録装置)による処理例を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態(照合装置)による処理例を示すフローチャートである。
【図8】画像取得モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図9】刻印の部分画像の例を示す説明図である。
【図10】刻印の部分画像を特定するための標準画像の例を示す説明図である。
【図11】刻印の部分画像の回転例を示す説明図である。
【図12】刻印の部分画像の周辺濃度の抽出例を示す説明図である。
【図13】標準画素と周囲画素の関係例を示す説明図である。
【図14】周辺濃度列データの例を示す説明図である。
【図15】周辺濃度列データの例を示す説明図である。
【図16】周辺濃度列データと特徴データの例を示す説明図である。
【図17】登録されている周辺濃度列データの例を示す説明図である。
【図18】照合対象の周辺濃度列データの例を示す説明図である。
【図19】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態である画像処理装置(登録装置)の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理毎に又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理毎に、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unit)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
【0028】
本実施の形態である画像処理装置(登録装置)は、物体の照合のために基準となる物体の画像を登録するものであって、図1の例に示すように、画像処理装置(登録装置)100は、画像取得モジュール110、基準画像抽出モジュール120、基準画像周辺濃度抽出モジュール130、特徴データ変換モジュール140、特徴データ・周辺データ登録モジュール150、特徴データ・周辺データ記憶モジュール160、固有特徴データ抽出モジュール170、固有特徴データ登録モジュール180、固有特徴データ記憶モジュール190を有している。なお、特徴データ・周辺データ記憶モジュール160に記憶されている情報で、真贋等の判断ができる場合は、固有特徴データ抽出モジュール170、固有特徴データ登録モジュール180、固有特徴データ記憶モジュール190がない構成であってもよい。
【0029】
画像取得モジュール110は、基準画像抽出モジュール120と接続されている。画像取得モジュール110は、表面に刻印されており、該表面に皮膜が形成又は積層された物体の画像を取得する。ここでの「物体」とは、固体の物体であり、表面には刻印がされており、刻印後に該表面に皮膜が形成又は積層された物体である。具体例としては薬の錠剤が該当する。錠剤の場合、画像取得モジュール110が取得する「物体の画像」とは、その錠剤を製造した後であって、包装、瓶詰め等が行われる前の状態における錠剤を撮影した画像である。刻印、コーティングについては、図4、図5を用いて後述する。また、画像の撮影については、図8を用いて後述する。画像を取得するとは、例えば、スキャナ、カメラ等で画像を読み込むこと、ハードディスク(画像処理装置に内蔵されているものの他に、ネットワークを介して接続されているもの等を含む)等に記憶されている画像を読み出すこと等が含まれる。
【0030】
基準画像抽出モジュール120は、画像取得モジュール110、基準画像周辺濃度抽出モジュール130、固有特徴データ抽出モジュール170と接続されている。基準画像抽出モジュール120は、画像取得モジュール110によって取得された画像内の刻印の部分画像を抽出する。画像内の刻印の部分画像を抽出するために、例えば、画像内の予め定められた位置にある画像を抽出してもよいし、対象の物体における予め定められた位置にある画像を抽出してもよいし、予め定められた特徴を有する画像を抽出するようにしてもよい。予め定められた特徴としては、例えば、刻印内のつながっている線の全長が予め定められた値以上であり、曲線によって構成されている部分が予め定められた値以上の長さであることとしてもよい。また、後述する歪みが発生しやすい部分である位置の画像、例えば、対象の物体が立体である場合は、対象の物体の曲面にある刻印の部分画像を抽出するようにしてもよい。例えば、対象の物体が錠剤のように全体に曲面を帯びている場合は、その対象の物体の中央以外の部分にある刻印の部分画像を抽出するようにしてもよい。なお、立体であるか否かは、3次元形状を検知するセンサー等を用いるようにしてもよいし、立体であることが予め判明している場合は、立体であるか否かを示すパラメータに立体であることを示す値を設定しておき、そのパラメータにしたがって判断してもよい。
そして、それらの特徴を有している画像とのパターンマッチングによって、刻印の部分画像を抽出するようにしてもよいし、それらの特徴を抽出した後に、特徴空間における合致度に基づいて刻印の部分画像を抽出するようにしてもよい。例えば、それらの特徴を抽出するために、刻印内の線の長さを抽出し、曲線か否かを判断して、曲線によって構成されている部分の線の長さを抽出する。そして、それらの特徴が予め定められた条件(例えば、予め定められた値以上等)に合致するか否かを判断する。刻印の部分画像については、図9を用いて後述する。なお、以下、抽出すべき刻印の部分画像を基準画像ともいう。この基準画像は、固有特徴データ抽出モジュール170によって固有特徴データを抽出するための基準位置を提供するものとなる。また、ここでの部分画像とは、物体全体の画像に対する部分画像という意であって、刻印の一部分のみの画像を指すわけではなく、刻印全体を含む画像であってもよいし、もちろんのことながら刻印の一部分の画像であってもよい。
【0031】
基準画像周辺濃度抽出モジュール130は、基準画像抽出モジュール120、特徴データ変換モジュール140と接続されている。基準画像周辺濃度抽出モジュール130は、基準画像抽出モジュール120によって抽出された刻印の部分画像の濃度を抽出する。ここでの「刻印の部分画像の濃度」とは、その刻印の部分画像のみの濃度、又はその刻印部分の画像を含み、その周囲の画像をも含んでもよいし、それらの濃度を用いて予め定められた算出方法によって算出した濃度であってもよい。刻印の部分画像の濃度については、図12から図15を用いて後述する。
【0032】
特徴データ変換モジュール140は、基準画像周辺濃度抽出モジュール130、特徴データ・周辺データ登録モジュール150と接続されている。特徴データ変換モジュール140は、基準画像周辺濃度抽出モジュール130によって抽出された濃度を列ねた濃度列を、刻印の部分画像の特徴に変換する。刻印の部分画像の特徴を表すものであれば、どのような特徴であってもよい。具体例については、図16を用いて後述する。
【0033】
特徴データ・周辺データ登録モジュール150は、特徴データ変換モジュール140、特徴データ・周辺データ記憶モジュール160と接続されている。特徴データ・周辺データ登録モジュール150は、特徴データ変換モジュール140によって変換された特徴と基準画像周辺濃度抽出モジュール130によって抽出された濃度を対応させて特徴データ・周辺データ記憶モジュール160に登録する。つまり、特徴データ・周辺データ記憶モジュール160から特徴を検索し、その特徴に対応している濃度を抽出し得るように登録すればよい。なお、1つの特徴に対して、1つの濃度(濃度列)を対応させてもよいし、1つの特徴に対して、複数の濃度(濃度列)を対応させてもよい。
特徴データ・周辺データ記憶モジュール160は、特徴データ・周辺データ登録モジュール150と接続されている。特徴データ・周辺データ記憶モジュール160は、特徴データ変換モジュール140によって変換された特徴と基準画像周辺濃度抽出モジュール130によって抽出された濃度を対応させて記憶する。
【0034】
固有特徴データ抽出モジュール170は、基準画像抽出モジュール120、固有特徴データ登録モジュール180と接続されている。固有特徴データ抽出モジュール170は、基準画像抽出モジュール120によって抽出された刻印の部分画像の位置から予め定められた位置にある画像を抽出する。ここで「刻印の部分画像の位置から予め定められた位置」としては、例えば、刻印の部分画像の外接矩形の左上(右上、右下、左下、中心等であってもよい)の位置からX座標方向、Y座標方向にそれぞれ予め定められた距離の位置にある矩形等が該当する。「予め定められた位置」として、刻印の部分画像内にあってもよい。なお、以下、その位置にある画像を固有特徴データともいう。
【0035】
固有特徴データ登録モジュール180は、固有特徴データ抽出モジュール170、固有特徴データ記憶モジュール190と接続されている。固有特徴データ登録モジュール180は、固有特徴データ抽出モジュール170によって抽出された画像を固有特徴データ記憶モジュール190に登録する。つまり、固有特徴データ記憶モジュール190から物体内の画像を抽出し得るように登録すればよい。例えば、固有特徴データ記憶モジュール190に記憶されている画像は、画像取得モジュール110によって画像が取得された物体を識別するための物体識別子(物体が錠剤である場合は、錠剤番号等)が対応付けられている。そして、図2に例示する画像処理装置(照合装置)200による照合によって一致した場合、その一致した物体識別子の物体であると判別することになる。
固有特徴データ記憶モジュール190は、固有特徴データ登録モジュール180と接続されている。固有特徴データ記憶モジュール190は、固有特徴データ抽出モジュール170によって抽出された画像を記憶する。
【0036】
図2は、本実施の形態である画像処理装置(照合装置)の構成例についての概念的なモジュール構成図である。この画像処理装置(照合装置)は、前述の図1に例示した画像処理装置(登録装置)100によって登録された物体の画像と対象となる物体の画像との照合を行うものであって、図2の例に示すように、画像処理装置(照合装置)200は、画像取得モジュール210、基準画像抽出モジュール220、基準画像周辺濃度抽出モジュール230、特徴データ変換モジュール240、照合(A)モジュール250、特徴データ・周辺データ記憶モジュール160、固有特徴データ抽出モジュール270、照合(B)モジュール280、固有特徴データ記憶モジュール190、出力モジュール290を有している。なお、特徴データ・周辺データ記憶モジュール160に記憶されている情報で、真贋等の判断ができる場合は、固有特徴データ抽出モジュール270、照合(B)モジュール280、固有特徴データ記憶モジュール190がない構成であってもよい。また、図1に例示した画像処理装置(登録装置)100と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
【0037】
画像取得モジュール210は、基準画像抽出モジュール220と接続されている。画像取得モジュール210は、表面に刻印されており、該表面に皮膜が形成又は積層された物体の画像を取得する。ここでの物体とは、図1に例示した画像処理装置(登録装置)100の画像取得モジュール110で説明したものと同等である。ただし、照合が必要となった物体であり、錠剤の場合、画像取得モジュール210が取得する「物体の画像」の「物体」とは、例えば、市場に流通している錠剤であり、真贋の判断等のための照合が必要となっている錠剤である。
【0038】
また、画像取得モジュール210は、物体の傾きを変更した複数の画像を取得するようにしてもよい。具体的には、物体の撮影は、その物体の傾き、撮影装置の角度、照明角度等を変更させながら複数回行うようにしてもよい。画像処理装置(登録装置)100の画像取得モジュール110と同じ撮影条件になるようにするためである。つまり、錠剤のように容易に傾きが生じる物体に対しては、登録時(特に、製造工程を想定した場合の登録時)には傾きを制御することができないために、1回の撮影であることが一般的である。そして、画像処理装置(照合装置)200の画像取得モジュール210における撮影は、登録時の撮影と必ずしも同じくなるとは限らない。具体的には、物体が撮像装置の光学系、レンズ、イメージセンサの中心軸に対して傾きうる形状であった場合には、画像取得時における中心軸に対する傾きによっては、取得された画像から抽出される特徴が異なることがある。登録時における中心軸に対する傾きが不明であるために、画像処理装置(照合装置)200の画像取得モジュール210が取得する画像は、中心軸に対する傾き条件を変えて複数回取得する。
また、複数回撮影した場合、画像取得モジュール210は、取得した複数の画像から1つの画像を生成するようにしてもよい。例えば、そのうちの1つの画像を選択してもよいし、複数枚の画像を平均した画像を取得した画像としてもよい。さらに、基準画像抽出モジュール220、基準画像周辺濃度抽出モジュール230、特徴データ変換モジュール240、照合(A)モジュール250のそれぞれが、画像取得モジュール210によって取得された複数の画像を対象とした処理を行うようにしてもよい。例えば、具体的には、基準画像抽出モジュール220は複数の画像から複数の部分画像を抽出し、基準画像周辺濃度抽出モジュール230は、その複数の部分画像の濃度を抽出する。その結果、基準画像周辺濃度抽出モジュール230によって抽出された濃度列から特徴データ変換モジュール240によって変換された特徴が複数となる場合がある。そのため、特徴に対応する濃度(特徴データ・周辺データ記憶モジュール160から抽出された濃度)も複数となる場合があり、照合(A)モジュール250が行う照合は、特徴データ・周辺データ記憶モジュール160から抽出した複数の濃度と基準画像周辺濃度抽出モジュール230によって抽出された複数の濃度とで行う。同じ物体であればその中の一つが合致することになる。なお、複数の合致がある場合は、照合失敗としてもよい。刻印、コーティングについては、図4、図5を用いて後述する。また、画像の撮影については、図8を用いて後述する。
【0039】
基準画像抽出モジュール220は、画像取得モジュール210、基準画像周辺濃度抽出モジュール230と接続されている。基準画像抽出モジュール220は、画像取得モジュール210によって取得された画像内の刻印の部分画像を抽出する。ここでの刻印の部分画像の抽出方法としては、図1に例示した画像処理装置(登録装置)100の基準画像抽出モジュール120で説明したものと同等である。刻印の部分画像については、図9を用いて後述する。
【0040】
基準画像周辺濃度抽出モジュール230は、基準画像抽出モジュール220、特徴データ変換モジュール240と接続されている。基準画像周辺濃度抽出モジュール230は、基準画像抽出モジュール220によって抽出された刻印の部分画像の濃度を抽出する。ここでの刻印の部分画像の濃度抽出方法としては、図1に例示した画像処理装置(登録装置)100の基準画像周辺濃度抽出モジュール130で説明したものと同等である。刻印の部分画像の濃度については、図12から図15を用いて後述する。
【0041】
特徴データ変換モジュール240は、基準画像周辺濃度抽出モジュール230、照合(A)モジュール250と接続されている。特徴データ変換モジュール240は、基準画像周辺濃度抽出モジュール230によって抽出された濃度列を、刻印の部分画像の特徴に変換する。ここでの特徴としては、図1に例示した画像処理装置(登録装置)100の特徴データ変換モジュール140で説明したものと同等である。具体例については、図16を用いて後述する。
【0042】
照合(A)モジュール250は、特徴データ変換モジュール240、特徴データ・周辺データ記憶モジュール160、固有特徴データ抽出モジュール270と接続されている。照合(A)モジュール250は、特徴データ・周辺データ記憶モジュール160から、特徴データ変換モジュール240によって変換された特徴に対応する濃度を抽出し、その抽出した濃度と基準画像周辺濃度抽出モジュール230によって抽出された濃度を照合する。ここでの照合は、真贋判断等の照合となる場合もあり、又は、照合(B)モジュール280による真贋判断等の照合が行われる場合は、照合(B)モジュール280による照合候補を抽出することになる。
特徴データ・周辺データ記憶モジュール160は、照合(A)モジュール250と接続されている。なお、特徴データ・周辺データ記憶モジュール160には、図1に例示した画像処理装置(登録装置)100の特徴データ・周辺データ登録モジュール150によって基準となる刻印の部分画像の特徴とその刻印の部分画像の濃度が対応されて登録されている。
【0043】
固有特徴データ抽出モジュール270は、照合(A)モジュール250、照合(B)モジュール280と接続されている。固有特徴データ抽出モジュール270は、基準画像抽出モジュール220によって抽出された刻印の部分画像の位置から予め定められた位置にある画像を抽出する。ここでの刻印の部分画像の位置から予め定められた位置としては、図1に例示した画像処理装置(登録装置)100の固有特徴データ抽出モジュール170で説明したものと同等である。
【0044】
照合(B)モジュール280は、固有特徴データ抽出モジュール270、固有特徴データ記憶モジュール190、出力モジュール290と接続されている。照合(B)モジュール280は、固有特徴データ記憶モジュール190から画像を抽出し、その抽出した画像と固有特徴データ抽出モジュール270によって抽出された画像を照合する。照合(B)モジュール280の照合処理としては、後述する。
固有特徴データ記憶モジュール190は、照合(B)モジュール280と接続されている。なお、固有特徴データ記憶モジュール190には、図1に例示した画像処理装置(登録装置)100の固有特徴データ抽出モジュール170によって抽出された画像が登録されている。
出力モジュール290は、照合(B)モジュール280と接続されている。出力モジュール290は、照合(B)モジュール280(又は照合(A)モジュール250)による照合結果を出力する。照合結果としては、例えば、真贋の判断結果(対象としている工場、製造装置等で製造されたか否かの判断結果)等がある。照合結果を出力するとは、例えば、プリンタ等の印刷装置で印刷すること、ディスプレイ等の表示装置に表示すること、メモリーカード等の記憶媒体に記憶すること、他の情報処理装置へ渡すこと等が含まれる。
【0045】
図3は、本実施の形態を実現する場合のシステム構成例を示す説明図である。図1に例示した画像処理装置(登録装置)100と図2に例示した画像処理装置(照合装置)200は、通信回線を介して接続されている。例えば、画像処理装置(登録装置)100は、錠剤を製造している工場等に設置されており、製造した錠剤の画像を登録する。画像処理装置(照合装置)200は、市場に流通している錠剤がその工場等で製造されたものであるか否かを照合する。その場合に、画像処理装置(登録装置)100の特徴データ・周辺データ記憶モジュール160、固有特徴データ記憶モジュール190に記憶されている情報を画像処理装置(照合装置)200の特徴データ・周辺データ記憶モジュール160、固有特徴データ記憶モジュール190に転送する。また、画像処理装置(登録装置)100が通信回線を介して画像処理装置(照合装置)200の特徴データ・周辺データ記憶モジュール160、固有特徴データ記憶モジュール190に登録するようにしてもよいし、逆に、画像処理装置(照合装置)200が通信回線を介して画像処理装置(登録装置)100の特徴データ・周辺データ記憶モジュール160、固有特徴データ記憶モジュール190を用いて照合するようにしてもよい。また、特徴データ・周辺データ記憶モジュール160、固有特徴データ記憶モジュール190は、画像処理装置(登録装置)100、画像処理装置(照合装置)200以外の情報処理装置(サーバー等)にあってもよく、画像処理装置(登録装置)100、画像処理装置(照合装置)200は通信回線を介してそれらにアクセスするようにしてもよい。
【0046】
錠剤の一般的な製造工程について説明する。
(1)混合:有効成分を有する主薬と賦形剤、結合剤、崩壊剤等を混ぜ合わせて均一にする。
(2)造粒:混合した原料から均一な形状と大きさをもつ粒をつくる。
(3)混合:滑沢剤等の添加物を混合する。
(4)打錠:臼の中の粉体を、上下の杵の間で機械的外力を加えることによって、圧縮・成型する。図4は、打錠の工程例を示す説明図である。錠剤410を上下にある杵420A、杵420Bによって圧力を加え、圧縮するとともに薬の名称(番号等であってもよい)を刻印する。杵420A又は杵420Bの錠剤410と接触する面には、その薬の名称が凸又は凹で成型されている。また、一般的に、杵420A又は杵420Bの錠剤410と接触する面は曲面となっており、そのため錠剤も曲面になる。
【0047】
(5)コーティング:錠剤の表面に高分子、白糖等を、単独又は各種の粉体等と混ぜて、皮膜を形成又は積層させる。図5は、錠剤のコーティング工程例を示す説明図である。刻印がされた錠剤410に対して、コーティング装置500から高分子、白糖等を霧状の液体として噴射してコーティングする。このような工程(特にコーティング工程)を経るため、刻印に無秩序な歪み(例えば、刻印部分をコーティング材が薄く埋めたり、厚く埋めたりすることによる歪み)が生じる。歪みは刻印に沿って観察し得るものであり、また、前述の打錠工程によって刻印は同じ大きさの型で押されることとなる。
(6)検査:不良品を取り除くための検査を行う。その際に、図1に例示した画像処理装置(登録装置)100により各錠剤を撮影して、画像を登録する。
(7)包装:医薬品である錠剤の変質、劣化、汚染等の防止を図り、定められた包装資材にて錠剤を保護するため、封入、被包を行う。
【0048】
図6は、本実施の形態である画像処理装置(登録装置)100による処理例を示すフローチャートである。
ステップS602では、画像取得モジュール110が、刻印されコーティングされている錠剤の画像を取得する。図8は、画像取得モジュール110による処理例を示す説明図である。例えば、撮像装置(デジタルカメラ)810が、照明820によって照明されている錠剤800を撮影する。照明820は、陰影を作らないように、全周囲方向に均一光をあてる照明であることが望ましい。
【0049】
ステップS604では、基準画像抽出モジュール120が、基準画像を抽出する。図9は、刻印の部分画像である基準画像の例を示す説明図である。複数の文字、記号からなる刻印から、例えば「C」という文字の画像を基準画像として、錠剤の撮影画像から抽出したものである。図9(A)から(I)は、9個の錠剤からそれぞれ基準画像「C」を抽出したものである。このように「C」の画像に無秩序な歪みが生じていることがわかる。この基準画像「C」を抽出するのに、例えば、図10の例に示す標準画像を用いて、パターンマッチング処理によって、基準画像「C」を特定して抽出する。そして、抽出した基準画像に対して画像処理を行ってもよい。例えば、図11(A)に示す画像は抽出した基準画像であり、図11(B)に示す画像は回転処理を施した基準画像である。画像処理としては、回転処理の他に、並行移動処理、拡大縮小処理等のアフィン変換処理、ノイズ除去処理、濃度変換処理等がある。
なお、標準画像とは、物体の画像から基準画像を抽出するための画像であり、例えば、杵420A又は杵420Bの刻印を撮影して生成してもよいし、複数の基準画像を平均した画像から生成してもよい。
【0050】
ステップS606では、基準画像周辺濃度抽出モジュール130が、基準画像の周辺濃度を抽出する。図12は、刻印の部分画像である基準画像の周辺濃度の抽出例を示す説明図である。図12(A)に例示する画像は、基準画像である。図12(B)に例示する画像は、基準画像に図10に例示した標準画像を重ね合わせたものである。標準画像の各黒画素の位置の画素に基づいて、基準画像の濃度を抽出する。例えば、図13の例に示すように、標準画像の各黒画素(標準画素1310、1320、1330等、この場合83画素ある)の位置を中心とした周囲9画素の濃度の統計的値(例えば、平均値、最頻値、中央値等)の列を基準画像の濃度とする。なお、周囲9画素とは、図13の例では、標準画素1310の位置にある基準画像の画素を含めた周辺画素1315、標準画素1320の位置にある基準画像の画素を含めた周辺画素1325、標準画素1330の位置にある基準画像の画素を含めた周辺画素1335等である。もちろんのことながら、周囲9画素ではなく、周囲25画素等の濃度であってもよいし、標準画素の位置にある基準画像の画素の濃度であってもよいし、また矩形ではなく円状の範囲内にある画素の濃度としてもよい。また、濃度を抽出するのに、標準画像を重ね合わせて、その位置にある画素の濃度を用いたが、これに限らず、基準画像内の濃度であればよく、例えば、基準画像内の全ての画素の濃度であってもよいし、基準画像内の濃度が予め定められた値以上の画素の濃度を用いるようにしてもよい。
【0051】
図14は、周辺濃度列データの例を示す説明図である。図12(B)の例に示した基準画像の周辺濃度の列をグラフ(縦軸:濃度、横軸:基準画像の画素順番)に示したものであり、83個の濃度が示されている。なお、基準画像の画素順番は、予め定められた順番であればよく、例えば、図12(B)の例に示した矩形(「C」の上にある端の画素)を1番目として、「C」の筆順に沿って83番目まで付せばよい。
【0052】
図15は、図9(A)から(I)に例示した基準画像の周辺濃度列データの例を示す説明図である。このグラフからもわかるように、同じ基準画像「C」という文字であっても、歪みが発生しているため、それぞれ異なるグラフとなる。なお、1つのグラフに対して複数の線が引かれているが、これは、異なる条件によって画像の撮影を複数回(この例では10回)行い、その濃度をプロットしているためであり、撮影によってグラフの形状は大きく異なることはないということを示している。
【0053】
ステップS608では、特徴データ変換モジュール140が、周辺濃度列データを特徴データに変換する。図16は、周辺濃度列データ列1600と変換後データ列1610と特徴データの例を示す説明図である。図16の例に示す特徴データとは、周辺濃度列データ列1600の予め定められた値以上の周波数成分(大きな周波数成分)である変換後データ列1610に変換し、変換後データ列1610を2値化処理するものである。2値化処理としては、減少を「0」、上昇を「1」として、長さが予め定められた値以上である場合は「0」又は「1」を複数回(ここでは2回)繰り返すようにしたものである。区間1622は「00」となり、区間1624は「1」となり、区間1626は「00」となり、区間1628は「1」となり、区間1630は「0」となり、区間1632は「1」となり、区間1634は「0」となり、区間1636は「1」となる。この変換方法によって、図16の例に示す周辺濃度列データ列1600は「0010010101」という特徴データに変換されることになる。また、この変換方法を用いると、異なる周辺濃度列データであったとしても、同じ特徴データに変換されてしまうことがあり得る。このことは、周辺濃度列データを特徴データで分類していることになる。なお、周辺濃度列データを用いて特徴データに変換できるのであれば、この変換方法以外の方法であってもよい。
【0054】
ステップS610では、特徴データ・周辺データ登録モジュール150が、特徴データと周辺濃度列データを特徴データ・周辺データ記憶モジュール160に登録する。図16の例では、特徴データ「0010010101」と周辺濃度列データ列1600を対応させて、特徴データ・周辺データ記憶モジュール160に登録する。
ステップS612では、固有特徴データ抽出モジュール170が、固有特徴データを抽出する。錠剤の画像から基準画像の位置を基準として、予め定められた位置にある画像を抽出する。
ステップS614では、固有特徴データ登録モジュール180が、固有特徴データを固有特徴データ記憶モジュール190に登録する。
なお、固有特徴データ抽出モジュール170、固有特徴データ登録モジュール180、固有特徴データ記憶モジュール190がない構成の場合は、ステップS612、ステップS614の処理は行わない。
【0055】
図7は、本実施の形態である画像処理装置(照合装置)200による処理例を示すフローチャートである。
ステップS702では、画像取得モジュール210が、錠剤の画像を取得する。図6の例に示すステップS602と同等の処理を行う。なお、対象とする錠剤の画像は、図6の例では基準となる錠剤の画像(工場等で製造後の画像)であったが、図7の例では、照合対象となる錠剤の画像である。
ステップS704では、基準画像抽出モジュール220が、基準画像を抽出する。図6の例に示すステップS604と同等の処理を行う。
ステップS706では、基準画像周辺濃度抽出モジュール230が、基準画像の周辺濃度を抽出する。図6の例に示すステップS606と同等の処理を行う。
ステップS708では、特徴データ変換モジュール240が、特徴データに変換する。図6の例に示すステップS608と同等の処理を行う。
【0056】
ステップS710では、照合(A)モジュール250が、特徴データ・周辺データ記憶モジュール160から該当する周辺濃度列データを抽出し、照合する。つまり、特徴データに対応する周辺濃度列データを特徴データ・周辺データ記憶モジュール160から取り出し、ステップS706で抽出した周辺濃度列データと照合する。例えば、正規化相関法等を用いて照合する。具体的には、ステップS708で特徴データ「0010010101」を得た場合は、それに対応する周辺濃度列データ(図17に例示したグラフ参照)を特徴データ・周辺データ記憶モジュール160から取り出す。そして、ステップS706で抽出した周辺濃度列データ(図18に例示したグラフ参照)と照合する。照合結果として、照合するものがない場合(偽物であるとの判断の場合)は、ステップS712、ステップS714の処理は行わずに、ステップS716へ進む。
【0057】
ステップS712では、固有特徴データ抽出モジュール270が、対象としている錠剤の画像から固有特徴データを抽出する。図6の例に示すステップS612と同等の処理を行う。
ステップS714では、照合(B)モジュール280が、固有特徴データ記憶モジュール190から該当する固有特徴データを抽出し、照合する。例えば、後述する真贋判定方法を用いる。
ステップS716では、出力モジュール290が、照合結果を出力する。
なお、固有特徴データ抽出モジュール270、照合(B)モジュール280、固有特徴データ記憶モジュール190がない構成の場合は、ステップS712、ステップS714の処理は行わない。
【0058】
照合(B)モジュール280における照合方法としては、以下のような真贋判定方法であってもよい。
<A1>
ランダム性を有する読み取り可能な固有の特徴が表面に沿って分布している物体の真贋を判定する真贋判定方法であって、
真の物体の特徴が予め読み取られることで得られた、前記真の物体上に分布する特徴を表す基準データを取得すると共に、
判定対象の物体の特徴を読み取ることで、前記判定対象の物体上に分布する特徴を表す照合データを求め、
前記基準データ及び前記照合データに基づき、真の物体及び判定対象の物体のうちの一方の物体上の予め定められたサイズの第1領域に分布する特徴を表すデータと、他方の物体上で前記第1領域と同サイズの第2領域に分布する特徴を表すデータとの相関値を演算することを、前記他方の物体上での前記第2領域の位置を前記予め定められたサイズよりも大きい領域内で移動させながら繰り返し、
演算によって得られた複数の相関値の最大値が第1の予め定められた値以上で、かつ、前記相関値の最大値から相関値の平均値を減じた値を相関値の標準偏差で除すことで得られる相関値の最大値のノーマライズド・スコアが第2の予め定められた値以上か否かに基づいて、判定対象の物体の真贋を判定することを特徴とする真贋判定方法。
<A2>
前記物体の特徴は光学的に読み取り可能であり、前記基準データ及び照合データは、前記真の物体又は前記判定対象の物体に光を照射し、反射光又は透過光を読み取ることで得られた画像データであることを特徴とする<A1>記載の真贋判定方法。
<A3>
前記物体は錠剤であり、前記物体の特徴をフラットベッド型のスキャナで読み取ることを特徴とする<A2>記載の真贋判定方法。
<A4>
前記相関値を正規化相関法で演算することを特徴とする<A1>記載の真贋判定方法。
<A5>
前記基準データ及び前記照合データの少なくとも一方に対し、階調値の分布に基づいてノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲を設定し、設定した階調値範囲に属するデータを除外した後に、前記相関値の演算を行うことを特徴とする<A2>記載の真贋判定方法。
<A6>
真の物体の特徴が光学的に読み取られることで得られかつ予め定められた媒体に記録された基準データを前記予め定められた媒体から読み出すことで前記基準データを取得し、取得した前記基準データの階調値の分布に基づき、前記基準データに対してノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲を設定し、設定した階調値範囲に属するデータを前記基準データから除外した後に、前記相関値の演算を行うことを特徴とする<A5>記載の真贋判定方法。
<A7>
前記ノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲として、階調値の最大値又は最小値から累積頻度が予め定められた値に達するまでの範囲、又は、階調値の平均値をAVE、階調値の分布の標準偏差をσ、予め定められた値をnとしたときに、階調値がAVE+nσ以上又はAVE−nσ以下の範囲を設定することを特徴とする<A5>又は<A6>記載の真贋判定方法。
【0059】
図19を参照して、本実施の形態の画像処理装置(登録装置)、画像処理装置(照合装置)のハードウェア構成例について説明する。図19に示す構成は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などによって構成されるものであり、スキャナ等のデータ読み取り部1917と、プリンタなどのデータ出力部1918を備えたハードウェア構成例を示している。
【0060】
CPU(Central Processing Unit)1901は、前述の実施の形態において説明した各種のモジュール、すなわち、基準画像抽出モジュール120、基準画像周辺濃度抽出モジュール130、特徴データ変換モジュール140、特徴データ・周辺データ登録モジュール150、固有特徴データ抽出モジュール170、固有特徴データ登録モジュール180、基準画像抽出モジュール220、基準画像周辺濃度抽出モジュール230、特徴データ変換モジュール240、照合(A)モジュール250、固有特徴データ抽出モジュール270、照合(B)モジュール280、出力モジュール290等の各モジュールの実行シーケンスを記述したコンピュータ・プログラムにしたがった処理を実行する制御部である。
【0061】
ROM(Read Only Memory)1902は、CPU1901が使用するプログラムや演算パラメータ等を格納する。RAM(Random Access Memory)1903は、CPU1901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を格納する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス1904により相互に接続されている。
【0062】
ホストバス1904は、ブリッジ1905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス1906に接続されている。
【0063】
キーボード1908、マウス等のポインティングデバイス1909は、操作者により操作される入力デバイスである。ディスプレイ1910は、液晶表示装置又はCRT(Cathode Ray Tube)などがあり、各種情報をテキストやイメージ情報として表示する。
【0064】
HDD(Hard Disk Drive)1911は、ハードディスクを内蔵し、ハードディスクを駆動し、CPU1901によって実行するプログラムや情報を記録又は再生させる。ハードディスクには、対象とする画像、特徴データ、周辺データ、固有特徴データなどが格納される。さらに、その他の各種のデータ処理プログラム等、各種コンピュータ・プログラムが格納される。
【0065】
ドライブ1912は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体1913に記録されているデータ又はプログラムを読み出して、そのデータ又はプログラムを、インタフェース1907、外部バス1906、ブリッジ1905、及びホストバス1904を介して接続されているRAM1903に供給する。リムーバブル記録媒体1913も、ハードディスクと同様のデータ記録領域として利用可能である。
【0066】
接続ポート1914は、外部接続機器1915を接続するポートであり、USB、IEEE1394等の接続部を持つ。接続ポート1914は、インタフェース1907、及び外部バス1906、ブリッジ1905、ホストバス1904等を介してCPU1901等に接続されている。通信部1916は、ネットワークに接続され、外部とのデータ通信処理を実行する。データ読み取り部1917は、例えばスキャナであり、ドキュメントの読み取り処理を実行する。データ出力部1918は、例えばプリンタであり、ドキュメントデータの出力処理を実行する。
【0067】
なお、図19に示す画像処理装置(登録装置)、画像処理装置(照合装置)のハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図19に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに図19に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)などに組み込まれていてもよい。
【0068】
前述の実施の形態では、物体として主に錠剤を例示したが、他のものであってもよい。
なお、前述の実施の形態を組み合わせてもよく(例えば、ある実施の形態内のモジュールを他の実施の形態内に追加する、入れ替えをする等も含む)、また、各モジュールの処理内容として背景技術で説明した技術を採用してもよい。
【0069】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray Disc(登録商標))、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0070】
100…画像処理装置(登録装置)
110…画像取得モジュール
120…基準画像抽出モジュール
130…基準画像周辺濃度抽出モジュール
140…特徴データ変換モジュール
150…特徴データ・周辺データ登録モジュール
160…特徴データ・周辺データ記憶モジュール
170…固有特徴データ抽出モジュール
180…固有特徴データ登録モジュール
190…固有特徴データ記憶モジュール
200…画像処理装置(照合装置)
210…画像取得モジュール
220…基準画像抽出モジュール
230…基準画像周辺濃度抽出モジュール
240…特徴データ変換モジュール
250…照合(A)モジュール
270…固有特徴データ抽出モジュール
280…照合(B)モジュール
290…出力モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に刻印されており、該表面に皮膜が形成又は積層された物体の画像を取得する第1の画像取得手段と、
前記第1の画像取得手段によって取得された画像内の刻印の部分画像を抽出する第1の画像抽出手段と、
前記第1の画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の濃度を抽出する第1の濃度抽出手段と、
前記第1の濃度抽出手段によって抽出された濃度を列ねた濃度列を、前記刻印の部分画像の特徴に変換する第1の特徴変換手段と、
前記第1の特徴変換手段によって変換された特徴と前記第1の濃度抽出手段によって抽出された濃度を対応させて記憶手段に登録する登録手段
を備える第1の画像処理装置と、
表面に刻印されており、該表面に皮膜を形成又は積層された物体の画像を取得する第2の画像取得手段と、
前記第2の画像取得手段によって取得された画像内の刻印の部分画像を抽出する第2の画像抽出手段と、
前記第2の画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の濃度を抽出する第2の濃度抽出手段と、
前記第2の濃度抽出手段によって抽出された濃度を列ねた濃度列を、前記刻印の部分画像の特徴に変換する第2の特徴変換手段と、
前記第1の画像処理装置の登録手段によって基準となる刻印の部分画像の特徴と該刻印の部分画像の濃度が対応されて登録されている記憶手段から、前記第2の特徴変換手段によって変換された特徴に対応する濃度を抽出し、該抽出した濃度と前記第2の濃度抽出手段によって抽出された濃度とを照合する照合手段
を備える第2の画像処理装置
を具備することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
表面に刻印されており、該表面に皮膜が形成又は積層された物体の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段によって取得された画像内の刻印の部分画像を抽出する画像抽出手段と、
前記画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の濃度を抽出する濃度抽出手段と、
前記濃度抽出手段によって抽出された濃度を列ねた濃度列を、前記刻印の部分画像の特徴に変換する特徴変換手段と、
前記特徴変換手段によって変換された特徴と前記濃度抽出手段によって抽出された濃度を対応させて記憶手段に登録する登録手段
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の位置から予め定められた位置にある画像を抽出する第2の画像抽出手段と、
前記第2の画像抽出手段によって抽出された画像を第2の記憶手段に登録する第2の登録手段
をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像抽出手段は、前記刻印内のつながっている線の全長が予め定められた値以上であり、曲線によって構成されている部分が予め定められた値以上の長さである部分画像を抽出する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像抽出手段は、前記物体が立体である場合は、該物体の曲面にある刻印の部分画像を抽出する
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
表面に刻印されており、該表面に皮膜が形成又は積層された物体の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段によって取得された画像内の刻印の部分画像を抽出する画像抽出手段と、
前記画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の濃度を抽出する濃度抽出手段と、
前記濃度抽出手段によって抽出された濃度を列ねた濃度列を、前記刻印の部分画像の特徴に変換する特徴変換手段と、
基準となる刻印の部分画像の特徴と該刻印の部分画像の濃度が対応されて登録されている記憶手段から、前記特徴変換手段によって変換された特徴に対応する濃度を抽出し、該抽出した濃度と前記濃度抽出手段によって抽出された濃度とを照合する照合手段
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
前記画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の位置から予め定められた位置にある画像を抽出する第2の画像抽出手段と、
請求項3に記載の第2の記憶手段から画像を抽出し、該抽出した画像と前記第2の画像抽出手段によって抽出された画像を照合する第2の照合手段
をさらに具備することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像抽出手段は、前記刻印内のつながっている線の全長が予め定められた値以上であり、曲線によって構成されている部分が予め定められた値以上の長さである部分画像を抽出する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記画像抽出手段は、前記物体が立体である場合は、該物体の曲面にある刻印の部分画像を抽出する
ことを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記画像取得手段は、前記物体の傾きを変更した複数の画像を取得し、
前記画像取得手段は、前記複数の画像から1つの画像を生成すること、又は、前記画像抽出手段、前記濃度抽出手段、前記特徴変換手段、前記照合手段は、前記画像取得手段によって取得された複数の画像を対象とした処理を行う
ことを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
コンピュータを、
表面に刻印されており、該表面に皮膜が形成又は積層された物体の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段によって取得された画像内の刻印の部分画像を抽出する画像抽出手段と、
前記画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の濃度を抽出する濃度抽出手段と、
前記濃度抽出手段によって抽出された濃度を列ねた濃度列を、前記刻印の部分画像の特徴に変換する特徴変換手段と、
前記特徴変換手段によって変換された特徴と前記濃度抽出手段によって抽出された濃度を対応させて記憶手段に登録する登録手段
として機能させるための画像処理プログラム。
【請求項12】
コンピュータを、
表面に刻印されており、該表面に皮膜が形成又は積層された物体の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段によって取得された画像内の刻印の部分画像を抽出する画像抽出手段と、
前記画像抽出手段によって抽出された刻印の部分画像の濃度を抽出する濃度抽出手段と、
前記濃度抽出手段によって抽出された濃度を列ねた濃度列を、前記刻印の部分画像の特徴に変換する特徴変換手段と、
基準となる刻印の部分画像の特徴と該刻印の部分画像の濃度が対応されて登録されている記憶手段から、前記特徴変換手段によって変換された特徴に対応する濃度を抽出し、該抽出した濃度と前記濃度抽出手段によって抽出された濃度とを照合する照合手段
として機能させるための画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−108752(P2012−108752A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257515(P2010−257515)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】