説明

画像処理プログラム、画像処理方法、画像処理装置

【課題】単位地紋画像のサイズを小さく抑えて、地紋画像データの生成処理を短縮する画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】地紋画像データを生成する画像処理をコンピューターに実行させる画像処理プログラムにおいて、画像処理は、潜像部と背景部とにより形成される潜像を規定する潜像マスクであって、各画素に潜像部または背景部の何れかを示す情報を有する潜像マスクを取得する潜像マスク取得工程と、取得した潜像マスクのサイズを、潜像部の画像データ生成時に参照される潜像ディザマトリクスまたは背景部の画像データ生成時に参照される背景ディザマトリクスの倍数サイズに補正して補正潜像マスクを生成する潜像マスク補正工程と、補正潜像マスクと潜像ディザマトリクスと背景ディザマトリクスとに基づいて画素毎の画像データを生成し補正潜像マスクのサイズに対応する単位地紋画像データを生成する単位地紋画像生成工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地紋画像生成プログラム及び地紋画像生成装置に関し、特に、印刷媒体に印刷するための地紋画像データを生成するプログラム及び装置に関する。さらに、この地紋画像データに基づいて地紋画像を印刷した印刷媒体(原本)の複写による偽造を抑止する効果、あるいは、原本と複写物とを区別する効果を有する地紋画像の生成プログラム及び生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地紋は、原本の本来の画像に背景として合成され、印刷された文書が原本か複写物かを区別することを可能にする。地紋は、原本では識別することが難しいが、複写すると地紋の文字や画像が浮かび上がる。それを利用して、原本と複写物とを容易に区別することが可能になる。また、複写によって地紋の文字や画像が浮かび上がるので、地紋を合成して原本を生成すれば、心理的に原本の複写を抑止する効果が得られる。
【0003】
地紋の一般的な構成は、複写によって原本に印刷されたドットが残るまたはドットの減少が少ない「潜像部」と、複写によって原本に印刷されたドットが消失またはドットが大きく減少する「背景部」の2つの領域からなる。つまり、潜像部は複写による濃度変化が少なく原本の画像がそのまま再現され、背景部は複写による濃度変化が大きく原本の画像が消失する。この2つの領域により地紋の文字や画像が形成され、この地紋の文字や画像を「潜像」と称する。
【0004】
この潜像部と背景部の2つの領域は濃度がほぼ同等であり、原本の状態では一見すると「複写」などの地紋の文字や画像が隠れていることが判別困難であるが、ミクロ的には背景部と潜像部の各々が異なる特性を持っている。そして、複写されるとそれらの濃度変化の差により、潜像部と背景部との間に濃度差が生じてこの2つの領域で形成された地紋の文字や画像の判別が容易になる。
【0005】
潜像部は複写時(コピーによるスキャニング時)にドットを読み取り易くするために、各々のドットを集中した固まりのドットで構成し、逆に背景部は複写時にドットを読み取り難くするために、各々のドットを分散したドットで構成する。このようにすることにより、潜像部は複写後にドットが残り易く、背景部は潜像部よりもドットが消え易い特性になる。集中したドットや分散したドットは、異なる線数の網点を用いた網点処理によって実現することができる。すなわち、集中したドット配置を得るためには低い線数の網点を用い、分散したドット配置を得るためには高い線数の網点を用いる。
【0006】
一般に複写機には、複写対象の原稿の微小なドットをスキャナーで読み取る工程での入力解像度と、スキャナーで読み取った微小なドットを印刷エンジンで再現する工程での出力解像度とに依存した画像再現能力の限界が存在する。従って、複写機の画像再現能力の限界を超えた孤立した微小なドットが原稿中に存在すると、その複写物では微小なドットを完全には再現できず、孤立した微小なドットの部分が消失する。即ち、地紋の背景部が複写機で再現できるドットの限界を超えるように作成されている場合、地紋の大きなドット(集中したドット)は複写によって再現できるが、小さなドット(分散したドット)は複写によって再現できず、複写原稿に隠された潜像が浮かび上がる。また、複写により背景部の分散したドットが完全に消えなくとも、潜像部の集中したドットと比較してドットの消失の程度が大きければ、複写後に背景部と潜像部で濃度差が発生し、複写原稿において隠された潜像が浮かび上がる。
【0007】
また、地紋では、潜像として隠されている文字や画像をより判別し難くするために、「カモフラージュ」と言う技術が利用される。このカモフラージュ技術は、潜像部や背景部とは濃度が異なる模様を地紋画像全体に配置する方法であり、マクロ的には一見すると潜像部や背景部とは異なる濃度のカモフラージュ模様が目立ち、潜像が更に目立たなくなる効果がある。つまり、カモフラージュ模様のコントラストが大きく、それに比較して潜像部と背景部のコントラストが小さいため、目の錯覚により潜像がより効果的に隠蔽される。さらに、カモフラージュ模様は印刷物に装飾的な印象を与えることができ、意匠性に優れた地紋を作成することができるといった利点もある。尚、一般的にカモフラージュ模様は2値で作成されており、カモフラージュ模様に相当する領域で地紋のドットを発生させないことでカモフラージュ模様を形成している。以上が地紋の概要である。
【0008】
図1は、地紋の潜像とカモフラージュ模様の例を示す図である。文字「複」の潜像マスクパターン10は、その拡大図10Xにも示されるとおり、例えば黒い部分が地紋の潜像部LIに対応し白い部分が地紋の背景部BIに対応する。一方、カモフラージュ模様12は、その拡大図12Xにも示されるとおり、例えば黒い部分CAMが地紋のドットが形成されない領域となり、白い部分には地紋のドットが形成される。言い換えると、図1の例におけるカモフラージュ模様のデータは、画素毎に地紋画像を印刷する部分と印刷しない部分とを示す2値の画像データである。
【0009】
図2は、地紋を印刷した原本の例を示す図である。地紋14は、図1の潜像マスク10に基づいて潜像部LIと背景部BIとが形成されている。潜像部LIは、ドット集中型ディザ法による低網点線数(53lpi)のドットで形成され、背景部BIは、ドット分散型ディザ法による高網点線数(212lpi)のドットで形成されている。拡大された地紋14Xから明らかなとおり、地紋全体が一定の出力濃度になっているが、潜像部LIのドットは低い網点線数のスクリーンにより形成されているので大きなドットであり、背景部BIのドットは高い網点線数のスクリーンにより形成されているので微少なドットである。
【0010】
地紋16は、図1の潜像マスク10とカモフラージュ模様12に基づいて潜像部LIと背景部BIとがカモフラージュ模様の黒い部分CAMの領域を除いて形成されている。拡大された地紋16Xに示されるとおり、地紋全体は一定の出力濃度であり、カモフラージュ模様の領域CAMにはドットが形成されず、それ以外の領域では、図1と同様に大きなドットからなる潜像部LIと微少なドットからなる背景部BIとが形成されている。カモフラージュ模様のコントラストが大きいため、コントラストが小さい潜像部LIと背景部BIとで形成される潜像(文字「複」)が目立たない。
【0011】
図2の地紋の原本は、潜像部LIと背景部BIの出力濃度が同じであるので、それにより形成される潜像「複」が隠蔽される。これを原本における潜像の隠蔽性が高いと称する。
【0012】
図3は、地紋の複写物の例を示す図である。複写物18は、コピーによるスキャニング工程とドット形成工程(スキャニング工程によって生成されたスキャンデータに基づき、印刷媒体に印刷する工程)を経て形成され、その拡大図18Xに示されるとおり、潜像部LIの大きなドットはほとんど消失していないが、背景部BIの微少なドットはかなり消失している。その結果、複写物18において、潜像部LIの出力濃度はほとんど低下しないが、背景部BIの出力濃度はかなり低下し、潜像「複」が浮き上がって見える。つまり、複写物における潜像の識別性が高くなっている。
【0013】
複写物20も同様に、カモフラージュ模様の領域CAMを除いて、複写物18と同じである。背景部BIの出力濃度が低下したことでカモフラージュ模様のコントラストが低下し、潜像「複」が浮き上がって見えている。
【0014】
図4は、図2の原本の拡大図と図3の複写物の拡大図とを更に拡大した図である。(a)原本では、潜像部LIは網点線数が低く面積が大きなドット(網点)で構成され、背景部BIは網点線数が高く微少なドットで構成される。そして、カモフラージュ模様の黒い部分CAMにはいずれのドットも形成されていない。一方、(b)複写物では、潜像部LIの大きなドット(網点)のサイズはそれほど変化していないのに対して、背景部BIの微少なドットはかなりの数が消失している。その結果、複写物では、潜像部LIの出力濃度の低下はほとんどなく、背景部BIの出力濃度の低下は大きく、地紋の潜像「複」が顕在化される。
【0015】
図5は、地紋効果の例を示す図である。地紋画像には、二種類の地紋効果がある。二種類の地紋効果とは、複写時において、潜像である「複写」という文言の領域の濃度を周囲の領域より濃くする浮き出し効果と、「複写」という潜像の領域の濃度を周囲よりも薄くする白抜き効果である。地紋パターン50、51は、複写物における「複写」「コピー」という潜像の浮き出し効果の例を示し、地紋パターン52、53は、白抜き効果の例を示す。浮きだし効果の場合、潜像の領域(黒の部分)は潜像部54、潜像の周囲の領域(白の部分)は背景部55となり、白抜きの効果の場合、潜像の領域(白の部分)は背景部55、潜像の周囲の領域(黒の部分)は潜像部54となる。
【0016】
図6は、潜像部のドットを形成する時に参照される潜像ディザマトリクス60の例と、生成される潜像部の画像LIとを示す図である。潜像ディザマトリクス60は、16×16ドットのマトリクスであり、網点線数が53lpiのドット集中型ディザマトリクスである。また、各セルに閾値1〜128が配置されている。閾値1のセルが網点の中心であり、入力階調値が0〜128と大きくなるに伴い、網点の中心からドット面積が徐々に大きくなる。
【0017】
潜像部の画像LIは、入力階調が21に対して生成される複数のドットD1により所望の出力濃度を持つ。ドットD1は入力階調に対応したサイズを有する網点であり、ディザマトリクス内の入力階調以下の閾値を有するセルに対応する画素のドット(以下画素ドットと称する。)の固まりである。
【0018】
潜像ディザマトリクスの入力階調値は、原本における潜像部と背景部の出力濃度が等しくなるように設定される。出力濃度は、単に、地紋画像での単位面積当たりの画素ドットの数に比例するものではなく、ドットサイズやドットの分散態様などにも依存する。そのため、印刷した地紋画像における潜像部と背景部とを測色機器で測定し、その出力濃度が等しくなるように潜像ディザマトリクス60に対する入力階調値を選択される場合もあり、測色器を使用せずに、目視における出力濃度が等しくなるように入力階調値を選択される場合もある。
【0019】
図7は、背景部のドットを形成する時に参照される背景ディザマトリクス70、71の例と、生成される背景部の画像B1、B2とを示す図である。この背景ディザマトリクス70、71は、閾値1と255とが配置された、14×14ドット、12×12ドットの閾値マトリクスである。閾値1の画素は、十字型に隣接する5つの画素と、その5つの隣接画素の間に分散して配置されている単独の画素とで構成されている。入力階調値が1〜254のいずれかと仮定すると、背景部の画像BI1、BI2は、十字型である5つの画素ドットの固まりで構成されるドットD2と、ドットD2の間に分散して配置される1つの画素ドットで構成される微少のドットD3とを有する。
【0020】
ここでは、背景ディザマトリクス70は、ドットD2が網点線数61lpiを有するのに対して、背景ディザマトリクス71は、ドットD2が網点線数71lpiを有する。よって、背景ディザマトリクス70、71はそれぞれ異なる網点線数を有し、背景ディザマトリクス70を使用して生成された背景部の画像の出力濃度は、背景ディザマトリクス71を使用して生成された背景部の画像の出力濃度よりも低くなる。これらの背景ディザマトリクス70、71は、ユーザーインターフェイス等により設定された地紋の出力濃度に基づいて選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2008−178146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
図8は、地紋画像データ生成処理を説明する図である。印刷サイズ(A4)の地紋画像80は、複数の潜像マスク81、83が正方配置された例を表しており、横4720×縦6776ドットの画素を有する。潜像マスク(カモフラージュ模様無)81は、カモフラージュ模様を合成する場合の潜像マスクであり、潜像マスク(カモフラージュ模様無)83は、カモフラージュ模様を合成しない場合の潜像マスクであり、いずれの例も、横2080×縦2040ドットの画素を有する。
【0023】
図8の潜像マスク81、83は、「複写」という文言の潜像を形成し、潜像マスク81、83の各画素は、潜像部の領域と背景部の領域とを区別可能な情報を有する。例えば、地紋効果を浮き出しにする場合、潜像部は黒、背景部は白を示す情報を有し、「複写」の文言に当たる潜像の領域は潜像部、潜像の周辺の領域は背景部に設定される。地紋効果を白抜きにする場合、反対に、「複写」の文言に当たる潜像の領域は背景部、潜像の周辺の領域は潜像部に設定される。
【0024】
ディザマトリクスの配置図84は、潜像マスク(カモフラージュ模様無)83の左上端部領域を拡大したものである。潜像ディザマトリクス85は、18×18ドットのマトリクスであり、潜像マスク83の左上位置から順にタイル状に並べられたように各画素に対応する。背景ディザマトリクス86は、16×16ドットのマトリクスであり、同様に、潜像マスク83の左上位置から順にタイル状に並べられたように各画素に対応する。
【0025】
地紋画像データの各画素は、潜像マスク83に基づいて、当画素が潜像部に当たる場合は潜像ディザマトリクス85、背景部に当たる場合は背景ディザマトリクス86の対応する各セルの閾値と比較され、ドットのON/OFFが決定される。
【0026】
潜像マスク(カモフラージュ模様有)81は、カモフラージュ模様を合成する場合の潜像マスクであり、カモフラージュマスク82との位置関係が示されている。カモフラージュマスク82の画素数は、この例では、横210×縦210ドットであり、カモフラージュマスク82の各画素は、カモフラージュ模様の領域とそれ以外の領域とを区別可能な情報を有し、例えば、カモフラージュ模様の領域は黒、それ以外の領域は白を示す情報を有する。
【0027】
本例におけるカモフラージュ模様のデータは2値の画像データであるが、カラーまたは多値階調の画像データである場合もある。カラーのカモフラージュ模様データの場合、まず、各画素における複数色の階調値データをグレイの多階調値データに変換する。RGBの多階調のカモフラージュ模様のデータでは、階調値0(黒)に近いほど出力濃度が低く、階調値255(白)に近いほど出力濃度が高いことを示す。そこで、当該階調値を最大階調値(255)で除算し、それに、カモフラージュ模様を付加しない地紋の出力濃度を乗算して、カモフラージュ模様のデータの階調値を補正する。つまり、カモフラージュ模様データにおける当画素の階調値が255(白)の場合、出力階調値はカモフラージュ模様を付加しない地紋と同じとなり、階調値が0の場合、出力階調値は0となりドットは形成されない。これにより、多階調のカモフラージュ模様が形成される。
【0028】
カモフラージュマスク82の左上端部領域を拡大したものが、ディザマトリクスの配置図84である。地紋画像データの各画素は、カモフラージュマスク82に基づいて、当画素がカモフラージュ模様の領域に当たる場合はドットがOFFに設定される。カモフラージュ模様の領域に当たらない画素については、潜像マスク81に基づいて、当画素が潜像部に当たる場合は潜像ディザマトリクス85、背景部に当たる場合は背景ディザマトリクス86に対応する各セルの閾値と比較され、ドットのON/OFFが決定される。
【0029】
印刷サイズ(A4)の地紋画像80から見てとれるように、印刷サイズの地紋画像(A4)80は、「複写」という潜像を構成する潜像マスク81、83が繰り返し配置され、構成されている。
【0030】
任意の潜像やカモフラージュ模様の利用をユーザーに許容することは、地紋の利用促進に有効である。そのような場合、潜像マスクやカモフラージュマスクのサイズはまちまちになり、潜像マスクの横・縦の各画素数は、潜像ディザマトリクスおよび背景ディザマトリクスの横・縦の画素数の倍数と必ずしも一致しないことがある。そのため、潜像マスクのサイズの地紋画像データ(以下、単位地紋画像データ)を生成すると、その端部領域において、ディザマトリクスが途切れてしまう。これにより、当該単位地紋画像データを繰り返し使用して配置させ、印刷サイズの地紋画像を生成した場合、単位地紋画像の境界領域において、当該ディザマトリクスによって形成される網点パターンが不連続となり単位地紋画像の境界が顕在化してしまう。
【0031】
カモフラージュマスクについても同様に、潜像マスクの横・縦の各画素数がカモフラージュマスクの横・縦の画素数の倍数と一致しない場合、潜像マスクのサイズの単位地紋画像データを生成すると、その端部領域において、カモフラージュマスクが途切れてしまう。これにより、当該単位地紋画像データを繰り返し使用して配置させ、印刷サイズの地紋画像を生成した場合、単位地紋画像の境界領域において、カモフラージュ模様が不連続となり単位地紋画像の境界が顕在化してしまう。
【0032】
図9は、カモフラージュ模様を合成しない場合の単位地紋画像データの端部領域を表す図である。潜像マスク(左上部分)92は、潜像マスク91の左上端部領域を、潜像マスク(左下部分)94は、左下端部領域を拡大したものであり、背景ディザマトリクス93との対応関係を表している。
【0033】
この場合、潜像マスクの横方向の画素数「2080」は、背景ディザマトリクスの横方向の画素数「16」の倍数に一致するが(2080÷16=13)、縦方向の画素数「2040」は、背景ディザマトリクスの縦方向の画素数「16」の倍数に一致しない(2040÷16=127.5)。そのため、背景ディザマトリクス93を潜像マスク91の左上位置から順にタイル状に並べるように対応させると、潜像マスク(左下部分)94における単位地紋画像の境界領域95において、背景ディザマトリクス93が途切れてしまう。
【0034】
図10は、カモフラージュ模様を合成する場合の単位地紋画像データの端部領域を表す図である。潜像マスク(左下部分)102は、潜像マスク101の左下端部領域を拡大したものであり、背景ディザマトリクス103との対応関係を表している。図9と同様に、潜像マスクの縦方向の画素数が背景ディザマトリクスの縦方向の画素数の倍数に一致しないため、潜像マスク(左下部分)102における単位地紋画像の境界領域104において、背景ディザマトリクス103が途切れてしまう。
【0035】
また、カモフラージュマスク106については、潜像マスク101の横方向の画素数「2080」は、カモフラージュマスク102の横方向の画素数「210」の倍数ではなく(2080÷210=9.904)、縦方向の画素数「2040」もまた、カモフラージュマスクの縦方向の画素数「210」の倍数ではない(2040÷210=9.714)。そのため、カモフラージュマスク102を潜像マスク101の左上位置から順にタイル状に並べるように対応させると、単位地紋画像の境界領域107において、カモフラージュマスク106が途切れてしまう。
【0036】
そのため、潜像マスクとカモフラージュマスクとディザマトリクスとのサイズが整合していない場合は、印刷サイズ(A4)全体の地紋画像データを生成する必要がある。
【0037】
特許文献1には、背景閾値パターン(地紋画像の背景部を構成する2値画像)、潜像閾値パターン(地紋画像の潜像部を構成する2値画像)、潜像マスク、カモフラージュマスクの横・縦それぞれの画素数の最小公倍数を算出し、縦・横それぞれの最小公倍数の画素数で構成される最小単位の地紋画像データを生成し、当該最小単位の地紋画像データを、入力画像の大きさにタイル状に繰り返し並べることが記載されている。
【0038】
しかし、特許文献1では、潜像マスクやカモフラージュマスクが任意のサイズを有する場合、最小公倍数は必ずしも小さくならず、最小単位の地紋画像が印刷サイズ(A4)を超えることが予想される。
【0039】
そこで、本発明の目的は、単位地紋画像のサイズを小さく抑えて、地紋画像データの生成処理を短縮する画像処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0040】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面によれば、複写時に出力濃度に差が生じる潜像部と背景部とを含む地紋画像を印刷媒体上に形成するための地紋画像データを生成する画像処理をコンピューターに実行させる画像処理プログラムにおいて、前記画像処理は、前記潜像部と前記背景部とにより形成される潜像を規定する潜像マスクであって、各画素に前記潜像部または前記背景部の何れかを示す情報を有する前記潜像マスクを取得する潜像マスク取得工程と、前記取得した潜像マスクのサイズを、前記潜像部の画像データ生成時に参照される潜像ディザマトリクスまたは前記背景部の画像データ生成時に参照される背景ディザマトリクスの倍数サイズに補正して補正潜像マスクを生成する潜像マスク補正工程と、前記補正潜像マスクと、前記潜像ディザマトリクスと、前記背景ディザマトリクスとに基づいて画素毎の画像データを生成し、前記補正潜像マスクのサイズに対応する単位地紋画像データを生成する単位地紋画像生成工程とを有する。
【0041】
この態様によれば、潜像ディザマトリクスまたは背景ディザマトリクスのサイズの倍数に一致するように、潜像マスクのサイズを補正し、補正した潜像マスクのサイズに対応した単位地紋画像データを生成するため、単位地紋画像データのサイズを小さく抑えることができる。また、印刷サイズの地紋画像データではなく、単位地紋画像データを生成すればよいため、地紋画像データの生成処理にかかる時間を大幅に短縮することができ、また、地紋画像データの保存に要するメモリーを節約することができる。
【0042】
上記の第1の側面において好ましい態様によれば、さらに、前記潜像マスク補正工程は、前記潜像の領域を前記潜像部とし前記潜像の周辺の領域を前記背景部とする第1の潜像マスクの場合は前記背景ディザマトリクスの倍数サイズに、前記潜像の領域を前記背景部とし前記潜像の周辺の領域を前記潜像部とする第2の潜像マスクの場合は前記潜像ディザマトリクスの倍数サイズに、前記潜像マスクのサイズを補正する。
【0043】
この態様によれば、単位地紋画像の境界領域において隣接する領域に対応するディザマトリクスのサイズの倍数に一致するように潜像マスクのサイズを補正するため、単位地紋画像の境界領域において、当該ディザマトリクスが途切れることがない。これにより、単位地紋画像の境界領域において、隣接する網点パターンが不連続となり単位地紋画像の境界が顕在化することを防ぐことができる。
【0044】
上記の第1の側面において好ましい態様によれば、さらに、前記潜像マスク補正工程は、前記第1の潜像マスクの場合は前記潜像マスクにおける前記背景部の領域を、前記第2の潜像マスクの場合は前記潜像マスクにおける前記潜像部の領域を拡大して、前記潜像マスクのサイズを補正する。
【0045】
この態様によれば、潜像の周辺の領域部分についてのみ拡大することにより、ユーザーまたはプリンタードライバー等によって指定された潜像自体のサイズを維持でき、また、潜像を拡大することによる潜像のゆがみ等を防止できる。
【0046】
上記の第1の側面において好ましい態様によれば、さらに、前記地紋画像に合成されるカモフラージュ模様画像を構成し、各画素についてカモフラージュ模様画像の画像データを有するカモフラージュマスクを取得するカモフラージュマスク取得工程を有し、前記潜像マスク補正工程は、前記潜像マスクのサイズを、前記潜像ディザマトリクスまたは前記背景ディザマトリクスに加えて、前記取得したカモフラージュマスクの倍数サイズに補正し、前記単位地紋画像生成工程は、前記補正潜像マスクに加えて、前記取得したカモフラージュマスクに基づいて前記単位地紋画像データを生成する。
【0047】
この態様によれば、カモフラージュ模様を合成する場合であっても、単位地紋画像の境界領域において、当該ディザマトリクス、およびカモフラージュマスクが途切れないため、ディザマトリクスによって形成される網点パターンおよびカモフラージュ模様が不連続となり単位地紋画像の境界が顕在化することを防ぐことができる。
【0048】
上記の第1の側面において好ましい態様によれば、さらに、前記取得した前記カモフラージュマスクのサイズを、前記潜像ディザマトリクスまたは前記背景ディザマトリクスの倍数サイズに補正して補正カモフラージュマスクを生成するカモフラージュマスク補正工程を有し、前記潜像マスク補正工程は、前記潜像マスクのサイズを、前記補正カモフラージュマスクの倍数サイズに補正し、前記単位地紋画像生成工程は、前記補正潜像マスクに加えて、前記補正カモフラージュマスクに基づいて前記単位地紋画像データを生成する。
【0049】
この態様によれば、ディザマトリクスのサイズの倍数に一致するようにカモフラージュマスクのサイズを補正し、補正したカモフラージュマスクのサイズの倍数に一致するように潜像マスクのサイズを補正するため、単位地紋画像の境界領域において、当該ディザマトリクスによって形成される網点パターンが不連続となり単位地紋画像の境界が顕在化することを防ぐことができる。また、カモフラージュマスクの隣接領域において、当該ディザマトリクスによって形成させる網点パターンを連続させることができる。
【0050】
上記の第1の側面において好ましい態様によれば、さらに、前記カモフラージュマスク補正工程は、前記潜像の領域を前記潜像部とし前記潜像の周辺の領域を前記背景部とする第1の潜像マスクの場合は前記背景ディザマトリクスの倍数サイズに、前記潜像の領域を前記背景部とし前記潜像の周辺の領域を前記潜像部とする第2の潜像マスクの場合は前記潜像ディザマトリクスの倍数サイズに、前記カモフラージュマスクのサイズを補正する。
【0051】
この態様によれば、単位地紋画像の境界領域において隣接する領域に対応するディザマトリクスのサイズの倍数に一致するようにカモフラージュマスクのサイズを補正し、補正したカモフラージュマスクのサイズの倍数に一致するように潜像マスクのサイズを補正するため、単位地紋画像の境界領域において、隣接する網点パターンが不連続となり単位地紋画像の境界が顕在化することを防ぐことができる。また、カモフラージュマスクの隣接領域において、当該ディザマトリクスによって形成させる網点パターンを連続させることができる。
【0052】
上記の第1の側面において好ましい態様によれば、さらに、前記カモフラージュマスク補正工程は、前記カモフラージュマスクのサイズを、前記カモフラージュマスクの横辺と縦辺のサイズ比率が維持されるように拡大または縮小して補正する。
【0053】
この態様によれば、補正後のカモフラージュマスクのサイズは、補正前のカモフラージュマスクの横・縦の比率が維持されるように補正されるため、カモフラージュマスクの補正処理によって発生するカモフラージュ模様のゆがみ等を抑えることができる。
【0054】
上記の第1の側面において好ましい態様によれば、さらに、前記潜像マスク取得工程は、前記潜像と、前記潜像の領域を前記潜像部とし前記潜像の周辺の領域を前記背景部とする第1の潜像マスクかまたは前記潜像の領域を前記背景部とし前記潜像の周辺の領域を前記潜像部とする第2の潜像マスクかの指定とを含む潜像情報に基づいて、前記潜像マスクを生成して取得する工程、または、予め生成された前記潜像マスクから選択し取得する工程のいずれかまたは両方を有する。
【0055】
この態様によれば、ユーザーやプリンタードライバー等によって入力された潜像情報に基づいて、潜像マスクを生成、または選択し、単位地紋画像データを生成することができる。
【0056】
上記の第1の側面において好ましい態様によれば、さらに、前記カモフラージュマスク取得工程は、前記カモフラージュ模様画像を含むカモフラージュ模様情報に基づいて、前記カモフラージュマスクを生成して取得する工程、または、予め生成された前記カモフラージュマスクから選択し取得する工程のいずれかまたは両方を有する。
【0057】
この態様によれば、ユーザーやプリンタードライバー等によって入力されたカモフラージュ模様情報に基づいて、カモフラージュマスクを生成、または選択し、単位地紋画像データを生成することができる。
【0058】
上記の第1の側面において好ましい態様によれば、さらに、前記単位地紋画像データは、印刷対象の画像データと前記地紋画像データとを合成する処理、または、印刷サイズの前記地紋画像データを生成する処理において、繰り返し使用される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】地紋の潜像とカモフラージュ模様の例を示す図である。
【図2】地紋の原本の例を示す図である。
【図3】地紋の複写物の例を示す図である。
【図4】図2の原本の拡大図と図3の複写物の拡大図とを更に拡大した図である。
【図5】地紋効果の例を示す図である。
【図6】潜像ディザマトリクスとそれにより形成される潜像部の画像とを示す図である。
【図7】背景ディザマトリクスとそれにより形成される背景部の画像とを示す図である。
【図8】地紋画像データ生成処理を説明する図である。
【図9】カモフラージュ模様を非合成時の単位地紋画像データの端部を表す図である。
【図10】カモフラージュ模様を合成時の単位地紋画像データの端部を表す図である。
【図11】本実施の形態における地紋画像形成装置の構成を示す図である。
【図12】本実施の形態における地紋の生成方法を示すフローチャート図である。
【図13】単位地紋画像データの生成処理工程を表すフローチャート図である
【図14】潜像マスクのサイズの補正行程を表すフローチャート図である。
【図15】カモフラージュ模様を非合成時の潜像マスクの補正処理を説明する図である。
【図16】地紋画像データの生成処理の詳細を説明するフローチャート図である。
【図17】単位地紋画像データの印刷までの処理を表すフローチャート図である。
【図18】単位地紋画像の配置例を表す図である。
【図19】カモフラージュマスクの補正処理を説明する図である。
【図20】潜像マスクの補正処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0061】
図11は、本実施の形態における地紋画像形成装置を含む印刷システムの構成を示す図である。地紋画像形成装置は、ホストコンピューター30にインストールされているプリンタードライバー32と、潜像ディザマトリクス33と、背景ディザマトリクス34と、プリンター40とで構成される。
【0062】
潜像ディザマトリクス33と背景ディザマトリクス34は、プリンターメーカーによって、記録媒体もしくはインターネット等のネットワーク回線を介してユーザーに配布されるプリンタードライバー32に含まれ、プリンタードライバー32をホストコンピューター30にインストールするときに、ホストコンピューター30内の記録媒体に保存される。
【0063】
ホストコンピューター30は、CPUとRAMとアプリケーションプログラム31をさらに有し、アプリケーションプログラム31を実行して文字、イメージ、グラフィックスなどからなる画像データを生成する。
【0064】
さらに、ホストコンピューター30は、ユーザーからの要求に応答して、プリンタードライバー32を実行して単位地紋画像データ37を生成する。そして、アプリケーション31が生成した画像データについて、ユーザーから印刷要求を受けると、プリンタードライバー32はプリンター装置40が解釈可能なプリンター制御言語に基づき、印刷対象の画像データ36の印刷ジョブデータを生成する。もし、印刷要求に、画像データ36に対して地紋データを付加することが含まれていた場合には、プリンタードライバー32は、画像データ36と単位地紋画像データ37とを含む印刷ジョブデータをプリンター40のインターフェイスIFに送信する。
【0065】
画像データ36は、例えば、ページ記述言語で記述されたデータ、プリンターの中間コードに展開されたデータ、または画素に展開したRGBのビットマップデータなど様々な形態をとりうる。
【0066】
単位地紋画像データ37は、潜像マスクのサイズに対応した地紋画像データであり、印刷サイズの地紋画像データの生成処理や、印刷サイズの画像データ36との合成処理において、繰り返し使用される。単位地紋画像データ37のサイズは、潜像マスクのサイズであることが望ましいが、潜像マスクの倍数サイズであってもよく、その場合でも当該単位地紋画像データ37を繰り返し使用することにより地紋画像データの生成処理を短縮することができる。
【0067】
また、単位地紋画像データ37は、例えば画素毎のドットの有無(ON/OFF)を示すデータで構成され、画素毎に0と1の2値で表現される。または、印刷対象の画像データがRGB各色8ビット階調値で表現される場合は、単位地紋画像データ37のドットの有無は、画素毎に色変換後の色がC、M、Kの各色の最大階調値に対応する値(0,255,255)、(255,0,255)、(0,0,0)と最小階調値に対応する値(255,255,255)として8ビットで表現してもよい。
【0068】
一方、プリンター40は、画像を生成する印刷エンジン46と、受信した画像データ36と単位地紋画像データ37について所定の画像処理を行いさらに印刷エンジン42の制御を行うコントローラー41とを有する。コントローラー41のCPUは、画像形成プログラム42を実行して、受信した画像データ36から画素に展開したビットマップデータを生成する。受信した画像データ36がビットマップデータの形態であればそのビットマップデータがそのまま利用できる。
【0069】
そして、合成部44は、画像データ36と単位地紋画像データ37とを合成する。具体的には、合成部44は、単位地紋画像データ37における地紋のドット有り、ドット無しの情報を、地紋の色の濃度最大値、濃度最小値に変換して、画像データ36と合成する。また、合成後の画像データがRGBの階調値データである場合、色変換ユニット43は、RGBからCMYKに階調値データを色変換する。
【0070】
さらに、二値化ユニット45が地紋データ合成後の画像データのCMYKの階調値データを画素内のドットのデータに変換し、印刷エンジン46に出力する。その結果、印刷エンジン46は、アプリケーションプログラムにより生成された画像データと地紋画像データとを合成した画像を印刷媒体上に印刷する。これが地紋の原本である。
【0071】
図11の実施の形態では、ホストコンピューター30のプリンタードライバー32が、地紋画像生成プログラムにより、単位地紋画像データ37を生成している。ただし、変型例として、プリンタードライバー32が、地紋とカモフラージュ模様生成の指定をする印刷ジョブデータを生成し、プリンター40のコントローラー41が、当該印刷ジョブデータに基づいて潜像ディザマトリクスと背景ディザマトリクスとを使用して単位地紋画像データ37を生成してもよい。当該印刷ジョブデータは、複写時に消失するもしくは再現される文字やパターンの指定、地紋の濃度の指定、カモフラージュ模様の指定など、カモフラージュ模様付き地紋データ生成するために必要な情報を含むデータである。
【0072】
また、別の形態として、ホストコンピューター30のプリンタードライバー32が、単位地紋画像データ37を繰り返し使用して配置し所定の印刷サイズの地紋画像データを生成し、印刷サイズの地紋画像データと画像データ36を含む印刷ジョブデータをプリンター40に送信してもよい。あるいは、プリンタードライバー32において画像データ36と単位地紋画像データ37とを合成し、合成した画像データを含む印刷ジョブデータをプリンター40に送信してもよい。
【0073】
[第1の実施の形態例]
本実施の形態例は、カモフラージュ模様を合成しない場合であって、プリンタードライバー32において単位地紋画像データ37を生成し、当該単位地紋画像データ37を画像データ36と共にプリンター40に送信し、プリンター40において単位地紋画像データ37と画像データ36とを合成して印刷する処理の流れを説明するものである。
【0074】
図12は、本実施の形態における地紋の生成方法を示すフローチャート図である。ユーザーは、ホストコンピューター30のプリンタードライバー32において、地紋生成メニューを選択する。プリンタードライバー32は、図12のフローチャートに従って、地紋の設定を取得し、単位地紋画像データ37を生成する。
【0075】
まず、プリンタードライバー32は、地紋印刷の設定のためのユーザーインターフェイスをユーザーに提供する。プリンタードライバー32は、このユーザーインターフェイスを介して、ユーザーに文言や図を入力させ、潜像を取得する(S10)。文言とは、例えば、「複写」「コピー」「社外秘」などであり、図とは、複写禁止であることを想起させる図などである。この文言や図が地紋の潜像になる。
【0076】
さらに、ユーザーが入力した48ポイントなどの文言や図のサイズ、文言や図の角度、地紋効果の配置に対応し、プリンタードライバー32は文言や図のサイズ、文言や図の角度、地紋効果と地紋の配置を取得する(S11、S12、S13)。地紋の効果について、本実施の形態例においては、浮き出し効果を指定したものとする。また、地紋の配置とは、後述する正方配置、斜交配置、反転配置などを指す。
【0077】
工程S10〜S13によりユーザーによる入力または選択が終わると、プリンタードライバー32は潜像マスクを生成する(S14、S15、S16)。ユーザーがデフォルト設定を選択した場合は(S14のNO)、プリンタードライバー32は、予め用意された潜像マスクから、設定に基づいた潜像マスクを選択する(S16)。一方、ユーザーが独自に潜像を生成することを選択した場合は、プリンタードライバー32はその設定に基づいて潜像マスクを生成する(S15)。
【0078】
次に、プリンタードライバー32は、カモフラージュ模様の選択を受け付ける(S17)。本実施の形態例では、カモフラージュ模様を合成しない(S17のNO)。カモフラージュ模様を合成する場合、ユーザーはカモフラージュ模様を選択する(S17のYES)。ユーザーがデフォルト設定を選択した場合は(S18のNO)、プリンタードライバー32は、予め用意されたカモフラージュマスクから、設定に基づいたカモフラージュマスクを選択する(S20)。一方、ユーザーが独自にカモフラージュ模様を指定した場合は、プリンタードライバー32は当該指定に基づいてカモフラージュマスクを生成する(S19)。
【0079】
次に、プリンタードライバー32は、ユーザーの選択要求に応じて、地紋の色(ブラック、シアン、マゼンタなど)の選択を促す(S21)。地紋の色は、単色であることが望ましい。
【0080】
以上のユーザーによる入力などS10〜S21が終了して、プリンタードライバー32が地紋の情報を取得する。地紋の情報を取得後、プリンタードライバー32は、単位地紋画像データ37を生成する(S30)。
【0081】
図13は、単位地紋画像データ37の生成処理工程を表すフローチャート図である。単位地紋画像データ37の生成処理工程は、潜像マスクおよび選択されたカモフラージュマスクのサイズの補正工程(S31)と、補正した潜像マスク、カモフラージュマスクに基づいた単位地紋画像データ37の生成処理工程(S32)からなる。本実施の形態例では、カモフラージュマスクを合成しないため、S31の工程においてカモフラージュマスクを補正しない。
【0082】
図14は、潜像マスクのサイズの補正工程を表すフローチャート図である。プリンタードライバー32は、はじめに、カモフラージュ模様を合成するかどうか判定する(S3101)。本実施の形態例では、カモフラージュ模様を合成しないため、S3101でNOと判定され、次に、地紋効果が浮き出しかどうか判定する(S3102)。
【0083】
地紋効果が浮き出しの場合は(S3102のYES)、潜像マスクにおいて潜像部は背景部に囲まれているため、単位地紋画像の境界領域において潜像部は隣接しない。そのため、単位地紋画像の境界領域で隣接する単位地紋画像内において背景部の網点パターンが連続するように、潜像マスクの横・縦の画素数(サイズ)を背景ディザマトリクスの横・縦の画素数(サイズ)の倍数に補正する(S3103)。一方、地紋効果が白抜きの場合は(S3102のNO)、単位地紋画像の境界領域で隣接する単位地紋画像内において潜像部の網点パターンが連続するように、潜像マスクの横・縦の画素数を潜像ディザマトリクスの横・縦の画素数の倍数に補正する(S3104)。
【0084】
潜像マスクのサイズを、ディザマトリクスのサイズの倍数に補正する処理(S3103、S3104)は、次のように行われる。
【0085】
はじめに、潜像マスクの横・縦それぞれの補正サイズを算出する。潜像マスクの補正サイズを求める計算式は以下の通りであり、ディザマトリクスのサイズの倍数であって、補正前の潜像マスクのサイズに近い値が算出される。また、この計算式では、補正前と同じか大きい値が算出されるが、これは潜像マスクが縮小されることにより、潜像が一部欠けるなど潜像が判別し難くなることを防ぐためである。そのため、潜像が判別可能な範囲で縮小されても良い。
【0086】
式中のSecM_xは補正前の潜像マスクの画素数、SecM_x‘は補正潜像マスクの画素数、Dth_xはディザマトリクスの画素数である。また、MOD(*)は余りを求める演算式、INT(*)は切り捨て処理の表す演算式である。なお、補正サイズを求める式は、横・縦方向ともに同じである。
【0087】
MOD(SecM_x/Dth_x)= 0の場合
SecM_x‘=SecM_x
MOD(SecM_x/Dth_x)≠ 0の場合
SecM_x‘={INT(SecM_x/Dth_x)+1.0}×Dth_x
上記の計算式では、潜像マスクのサイズをディザマトリクスのサイズで除算した余りが0の場合、潜像マスクのサイズは既にディザマトリクスのサイズの倍数に一致するため、サイズを補正しない。一方、当該除算した余りが0でない場合、つまり潜像マスクのサイズがディザマトリクスのサイズの倍数に一致しない場合、潜像マスクのサイズをディザマトリクスのサイズで除算した値を切り上げ、当該値にディザマトリクスのサイズを乗算した値を補正サイズとしている。このため、上述したように、上記の計算式では補正前と同じか大きい値が算出される。
【0088】
図15は、カモフラージュ模様を合成しない場合の潜像マスクの補正処理を説明する図である。補正前の潜像マスク150は、横2080×縦2040ドットの画素を有し、背景ディザマトリクス153は、横16×縦16ドットの画素を有する。地紋効果は浮き出し効果であり(S3102のYES)、潜像マスクにおいて潜像の周辺の領域には背景ディザマトリクスが適用されるため、潜像マスクのサイズを、背景ディザマトリクスのサイズの倍数であって、補正前の潜像マスクのサイズに近い値に補正する(S3103)。
【0089】
潜像マスクの横方向について上記計算式に当てはめると、MOD(2080/16)=0 であり、補正サイズは「2080」のままとなる。同様にして、縦方向について計算式に当てはめると、MOD(2040/16)≠0であるため、左側の補正前の潜像マスク150、151では、背景ディザマトリクス152が途切れてしまう。よって、{INT(2040/16)+1.0}×16 を演算し、補正サイズ「2048」が算出される。この結果、補正後の潜像マスクの画素数は横2080×縦2048ドットに決定される。これにより、右側の補正後の潜像マスク154、157では、背景ディザマトリクス158は途切れることはない。
【0090】
次に、算出した補正サイズに基づいて、潜像マスクを補正する。この場合、横2080×縦2040ドットから横2080×縦2048ドットに、潜像マスクを縦方向に8画素分拡大する。拡大の方法としてはニアレストレイバー法等があるが、望ましくは、潜像の周辺の領域部分を拡大することにより、潜像自体のサイズを変えずに潜像マスクを拡大する。これにより、指定された潜像自体のサイズを維持でき、ユーザーの指定を尊重することができる。また、潜像を拡大することによる潜像のゆがみ等を防止できる。
【0091】
補正後の潜像マスク154は、縦方向に8画素分拡大した例である。本実施の形態例における地紋効果は浮き出し効果であるため、補正後の潜像マスク154は、潜像の周辺の領域である背景部領域が縦方向に4画素ずつ図中155、156のように追加して拡大されている。潜像マスクが補正されたことにより、単位地紋画像の境界領域における、背景ディザマトリクス153、158が途切れていない。これにより、単位地紋画像の境界領域において、背景ディザマトリクス158によって形成される網点パターンが連続するため、単位地紋画像の境界が顕在化することを防ぐことができる。
【0092】
上記の例では、潜像マスクを拡大して補正する計算式とその補正例を挙げているが、潜像マスクを縮小して補正する場合は、潜像マスクにおける潜像の周辺の端部領域を数画素ずつ削減することによって縮小してもよい。
【0093】
図13に戻り、潜像マスクの補正が終わると(図13のS31)、補正した潜像マスクのサイズの単位地紋画像データを生成する(S32)。地紋画像データの生成処理(S32)は、図16のフローチャートに従って行われる。
【0094】
図16は、地紋画像データの生成処理の詳細を説明するフローチャート図である。はじめに、地紋画像データの画素のインデックスi、jをそれぞれi=0、j=0に初期化する(S3201)。次に、カモフラージュ模様が合成されるかどうか判断する(S3202)。カモフラージュ模様が合成される場合(S3202のYES)、当画素のカモフラージュマスクの値が判定される(S3203)。当画素(i、j)におけるカモフラージュマスクの値が黒である場合(S3203のYES)、無条件で当画素(i、j)はドットOFF(ドットなし)に設定される(S3204)。
【0095】
本実施の形態例のようにカモフラージュ模様を合成しない場合(S3202のNO)、または、当画素におけるカモフラージュマスクの値が黒でない場合は(S3203のNO)、次に、当画素(i、j)における潜像マスクの値が判断される(S3209)。
【0096】
潜像マスクが黒の場合(S3209のYES)、当画素(i、j)に対応する潜像ディザマトリクスのセルの閾値と地紋画像の入力階調値とが比較され(S3210)、潜像マスクが黒でない場合は(S28のNO)、対応する背景ディザマトリクスのセルの閾値と地紋画像の入力階調値とが比較される(S3212)。いずれの比較でも、入力階調値が閾値以上だった場合(S3210、S3212のYES)、当画素(i、j)のドットはON(ドットあり)に設定され(S3211)、入力階調値が閾値未満だった場合は(S3210、S3212のNO)、ドットがOFFに設定される(S3213)。
【0097】
上記の処理が完了すると、画素の行方向のインデックスjがインクリメントされ(S3205)、インデックスjが潜像マスクの横サイズに達するまで(S3206)同じ処理が繰り返される。インデックスjが潜像マスクの横サイズに達すると(S3206のYES)、列方向のインデックスiがインクリメントされ、かつ、行方向のインデックスjが0にリセットされる(S3207)。そして、列方向のインデックスiが潜像マスクの縦サイズに達するまで、同じ処理が繰り返される(S3208)。
【0098】
列方向のインデックスiが潜像マスクの縦サイズに達すると(S3208のYES)、単位地紋画像データ37の生成処理が終了する。このように処理の対象画素が、補正された潜像マスクの左上位置からラスタスキャン方向に移動し、各画素がドットONかOFFに設定される。
【0099】
このようにして生成された画像データは、画素毎にドットON/OFFのいずれかを有する単位地紋画像データ37となる。単位地紋画像データ37は、その後、入力画像データ36と共にプリンター40に送信され、画像データ36と合成され、印刷される。
【0100】
図17は、単位地紋画像データ37と印刷対象の画像データ36とを合成して印刷する処理を表すフローチャート図である。
【0101】
プリンター40は、プリンタードライバー32から送信された印刷ジョブ内の画像データ36と単位地紋画像データ37とを合成する(S41)。単位地紋画像データ37は画像データ36のサイズに満たないため、単位地紋画像データ37を繰り返し使用して画像データ36の各画素に対応させて合成する。そして、プリンター40は、合成後の画像データを、RGBの階調値を持つRGBビットマップデータからプリンターの色であるCMYKビットマップデータに変換する(S42)。
【0102】
合成方法(S41)については、例えば、次のような方法がある。地紋画像データ37のドットONのデータを上記ビットマップデータの最大濃度に対応する階調値に変換し、ドットOFFのデータを上記ビットマップデータの最小濃度「0」に対応する階調値に変換する。プリンター40における画素毎のRGBの各色が8ビットの階調値である場合は、地紋画像データの色変換後の色がC、M、Kの各色の最大濃度に対応するRGB階調値は(0,255,255)、(255,0,255)、(0,0,0)、最小濃度に対応するRGB階調値は(255,255,255)となる。そして、この最大階調値もしくは最小階調値に変換された単位地紋画像データ37を用いて、印刷対象の画像データ36においてRGB階調値(255,255,255)の画素(白)について、地紋画像データの階調データを上書きする。これにより、印刷対象の画像の階調値(255,255,255)の画素(白)には地紋画像が形成され、それ以外の画素には印刷対象画像が形成される。
【0103】
または、画像データ36を、RGBの階調値を持つRGBビットマップデータからCMYKビットマップデータに変換した後(S42)、画像データのCMYKビットマップデータのうち、ユーザーが指定した地紋の色(本実施の形態例では、C、M、Kのいずれか)のビットマップデータに対して、単位地紋画像データ37を合成してもよい(S41)。
【0104】
CMYKのビットマップデータに対して単位地紋画像データ37を合成する場合、ユーザーが指定した地紋指定色のビットマップデータにおいて、印刷対象の画像データ36の階調値「0」の画素に、地紋画像データを上書きする。または、印刷対象の画像データ36のうち地紋指定色のビットマップデータに、地紋画像データを上書きする方法もある。例えば、印刷対象の画像データが黒色の文字を形成するデータの場合、印刷対象の画像データのCMYのビットマップデータにおける全画素の階調値は「0」である。したがって、CMYのうち地紋指定色のビットマップデータは印刷対象画像データとしての情報を有していないため、地紋指定色のビットマップデータは全て地紋画像データに置き換えられる。
【0105】
なお、合成方法(S41)は上記の上書きの方法に限定されず、印刷対象の画像データ36の各画素の画像種別(テキスト、イメージ、グラフィックなど)と階調値とに基づき、印刷対象の画像と地紋画像とを所定の割合でブレンディング処理してもよい。
【0106】
図18は、印刷サイズの地紋画像における単位地紋画像の配置例を表す図である。単位地紋画像データ37と画像データ36とを合成する際、例えば、次のように単位地紋画像を配置できる。正方配置210では、単位地紋画像がタイル状に左端部位置から配置されている。斜交配置211では、単位地紋画像が、改行の度に所定の長さ183だけ副走査方向にずらして配置されている。反転配置212では、さらに、改行の度に単位地紋画像が上下反転して配置されている。このように、配置を変えることによって、単位地紋画像における潜像マスクの規則性を減らし、原本における潜像の隠蔽性を向上させる。
【0107】
なお、図18の斜交配置181では、行単位に、副走査方向に所定の長さ183だけずらして単位地紋画像を配置しているが、列単位に、主走査方向に所定の長さだけずらして配置してもよい。同様に、反転配置182においても、列単位に、単位地紋画像を上下反転させて配置してもよい。
【0108】
また、斜交配置181における所定の長さ183、184は、地紋効果に対応して潜像、または背景ディザマトリクスのサイズの倍数に設定することが望ましい。具体的には、浮き出し効果の場合は背景ディザマトリクス、白抜き効果の場合は潜像ディザマトリクスの画素数(副走査方向にずらす場合はその横辺、主走査方向にずらす場合はその縦辺)の倍数に、所定の長さ183、184を設定する。これにより、単位地紋画像の境界領域185、186において、ディザマトリクスによって形成される網点パターンが連続するため、単位地紋画像の境界が顕在化することを防ぐことができる。
【0109】
図17に戻り、合成された画像データは、通常のプリンターの2値化処理(スクリーン処理)を経て(S43)、印刷媒体に印刷される(S44)。合成された画像データのうち、地紋画像のみからなる部分は、最大濃度階調値と最小階調値からなる階調値を持つ画素で構成されることになるので、スクリーン処理の閾値マトリクスがどのようなものであろうと、スクリーン処理後も最高濃度「255」の部分はその濃度値が保存されるように階調変換され、最小濃度「0」の部分は濃度が「0」となるように階調変換される。その結果、単位地紋データ生成処理で生成した地紋画像が印刷媒体上に印刷される。
【0110】
このように、本発明では、ユーザーインターフェイスを介してユーザーが指定した地紋の情報に基づいた潜像マスクのサイズを補正し、補正した潜像マスクのサイズに対応した単位地紋画像データ37を形成する。これにより、潜像マスクのサイズ分の地紋画像データを生成すればよいため、地紋画像データの生成処理にかかる時間を大幅に短縮することができ、さらに、地紋画像データの保存に要するメモリーを節約することができる。また、本実施の形態例のようにホストコンピューター30からプリンター40に、単位地紋画像データ37と画像データ36が送信される場合において、通信データ量を減らすことができる。
【0111】
また、補正された潜像マスクのサイズは、ディザマトリクスのサイズの倍数に一致するため、単位地紋画像の境界領域において、当該ディザマトリクスによって形成される網点パターンが連続せずに単位地紋画像の境界が顕在化することを防ぐ。
【0112】
さらに、潜像マスクのサイズを、ディザマトリクスのサイズの倍数に一致させるように補正するため、各サイズの最小公倍数によって補正サイズを算出するよりも、潜像マスクの補正サイズを小さく抑えることができ、単位地紋画像データ37のサイズを小さく抑えることができる。潜像ディザマトリクスと背景ディザマトリクスとは、形成する網点線数が異なるため、そのディザマトリクスのサイズも異なる。そのため、両ディザマトリクスのサイズの最小公倍数を単位地紋画像データ37のサイズとすると、そのサイズが大きくなり過ぎてしまう。
【0113】
さらに、潜像マスクの補正処理の基準となるディザマトリクスを、地紋効果に基づいて潜像ディザマトリクスまたは背景ディザマトリクスのいずれかに限定するため、潜像マスクの補正サイズを小さく抑えることができ、単位地紋画像データ37のサイズを小さく抑えることができる。
【0114】
このように、潜像マスクの補正サイズは、潜像ディザマトリクスと背景ディザマトリクスのサイズが異なる場合、地紋効果が浮き出し効果であるか白抜き効果であるかに応じて異なる。また、潜像ディザマトリクス、背景ディザマトリクスのサイズは地紋画像の入力階調に応じて異なり、それに対応して潜像マスクの補正サイズも異なる。このため、デフォルトの潜像マスクを使用する場合であっても、潜像マスクの補正処理が必要となる。
【0115】
[第2の実施の形態例]
第2の実施の形態例では、カモフラージュ模様を合成しない第1の実施の形態例に対して、カモフラージュ模様を合成する場合の単位地紋画像データの生成処理について説明する。カモフラージュ模様の設定を除く地紋の設定、潜像マスク、潜像ディザマトリクス、背景ディザマトリクスの画素数は、第1の実施例と同様である。
【0116】
カモフラージュ模様を合成する場合における潜像マスクの補正処理には、次の二つの方法がある。第1の方法は、まず、カモフラージュマスクのサイズをディザマトリクスのサイズの倍数に補正し、さらに、潜像マスクのサイズを、補正したカモフラージュマスクのサイズの倍数に補正する方法である。これにより、カモフラージュ模様の境界領域において、当該ディザマトリクスによって形成される網点パターンが連続し、カモフラージュマスクの境界が顕在化することを抑える。また、単位地紋画像の境界領域においても、ディザマトリクス、およびカモフラージュマスクが途切れないため、その境界が顕在化することを防ぐことができる。
【0117】
第2の方法は、潜像マスクのサイズを、ディザマトリクスのサイズおよびカモフラージュマスクのサイズの倍数に補正する方法である。この場合、カモフラージュマスクはディザマトリクスのサイズの倍数である必要はない。地紋効果に基づいた潜像ディザマトリクスまたは背景ディザマトリクス、カモフラージュマスクのサイズの倍数に一致するように、潜像マスクのサイズを補正する。第1の方法と同様に、単位地紋画像の境界領域において、ディザマトリクス、およびカモフラージュマスクが途切れないため、単位地紋画像の境界が顕在化することを防ぐことができる。
【0118】
本実施の形態例では、第1の方法に基づいて、カモフラージュマスクを補正し、補正したカモフラージュマスクのサイズの倍数になるように潜像マスクを補正して単位地紋画像データ37を生成する処理の流れについて説明する。
【0119】
まず、第1の実施の形態例と同様に、プリンタードライバー32は、ユーザーインターフェイスを介して地紋の情報を取得する(図12のS10〜S21)。第2の実施の形態例ではカモフラージュ模様を合成するため、ユーザーはカモフラージュ模様を選択し(S17のYES)、プリンタードライバー32は、カモフラージュマスクを生成(S19)、または選択する(S20)。本実施の形態例におけるカモフラージュ模様の画像データは2値の画像データとする。
【0120】
続いて、単位地紋画像データ37の生成処理(S30、図13)に進み、プリンタードライバー32は、カモフラージュマスクおよび、潜像マスクのサイズを補正する(S31)。補正処理については、図14のフローチャート図に則って説明する。
【0121】
図14に戻り、プリンタードライバー32は、はじめに、カモフラージュ模様を合成するかどうか判定する(S3101)。本実施の形態例では、カモフラージュ模様を合成するため、S3101でYESと判定され、次に、地紋効果が浮き出しかどうか判定する(S3105)。地紋効果が浮き出しの場合は(S3105のYES)、単位地紋画像の境界領域で隣接する単位地紋画像内において背景部の網点パターンが連続するように、カモフラージュマスクのサイズを背景ディザマトリクスのサイズの倍数に補正する(S3106)。一方、地紋効果が白抜きの場合は(S3105のNO)、単位地紋画像の境界領域で隣接する単位地紋画像内において潜像部の網点パターンが連続するように、カモフラージュマスクのサイズを潜像ディザマトリクスのサイズの倍数に補正する(S3107)。
【0122】
カモフラージュマスクのサイズをディザマトリクスのサイズの倍数に補正する処理(S3106、S3107)は、次のように行われる。
【0123】
まず、カモフラージュマスクの横・縦それぞれの補正サイズを算出する。カモフラージュマスクの補正サイズを求める計算式は以下の(a)〜(c)の通りである。これらの計算式では、ディザマトリクスの画素数の倍数であって、カモフラージュマスクの画素数に近い値が算出される。また、この(a)〜(c)の算出結果から、その横・縦辺の画素数の比率が補正前のカモフラージュマスクの横・縦の比率と最も近い算出結果を、補正サイズとする。なお、(a)〜(c)の算出結果の縦・横の比率が同じ場合は、(a)、(b)、(c)の優先順に従って、補正サイズを決定する。
【0124】
式中のCam_xは補正前のカモフラージュマスクの画素数、Cam_x‘はカモフラージュマスクの補正画素数である。また、第1の実施の形態例と同様に、Dth_xはディザマトリクスの画素数であり、MOD(*)は余りを求める演算式、INT(*)は切り捨て処理を表す。補正サイズを求める式は、横・縦方向ともに同じである。
【0125】
(a)四捨五入に基づく計算式
Cam_x‘=INT{Cam_x/Dth_x+0.5}×Dth_x
(b)切り上げに基づく計算式
MOD(Cam_x/Dth_x)= 0の場合
Cam_x‘=Cam_x
MOD(Cam_x/Dth_x)≠ 0の場合
Cam_x‘={INT(Cam_x/Dth_x)+1.0}×Dth_x
(c)切り捨てに基づく計算式
MOD(Cam_x/Dth_x)= 0の場合
Cam_x‘=Cam_x
MOD(Cam_x/Dth_x)≠ 0の場合
Cam_x‘=INT(Cam_x/Dth_x)×Dth_x
(a)の計算式では、カモフラージュマスクのサイズをディザマトリクスのサイズで除算した値を四捨五入し、当該値にディザマトリクスのサイズを乗算した値を補正サイズとする。(b)の計算式では、当該除算した余りが0の場合、カモフラージュマスクのサイズは既にディザマトリクスのサイズの倍数であるため、サイズを補正しない。一方、当該除算した余りが0でない場合、除算した値を切り上げ、当該値にディザマトリクスのサイズを乗算した値を補正サイズとする。(c)の計算式も(b)と同様に、余りが0の場合はサイズを補正せず、余りが0でない場合、除算した値を切り捨て、当該値にディザマトリクスのサイズを乗算した値を補正サイズとする。
【0126】
(a)の計算式は四捨五入に基づいているため、サイズの補正幅は(b)(c)と比較して同じか小さくなる。また、(b)の計算式は切り上げに基づいているため、カモフラージュマスクは補正前と同じサイズか、または拡大される。(c)の計算式では切り捨てに基づいているため、カモフラージュマスクは補正前と同じサイズか、または縮小される。
【0127】
図19は、カモフラージュ模様を合成する場合のカモフラージュマスクの補正処理を説明する図である。補正前のカモフラージュマスク190は、横210×縦210ドットの画素を有し、背景ディザマトリクス192は、横16×縦16ドットの画素を有する。地紋効果は浮き出し効果であり(S3105のYES)、潜像マスクにおいて潜像の周辺の領域には背景ディザマトリクスが適用されるため、カモフラージュマスクのサイズを、背景ディザマトリクスのサイズの倍数であって、補正前のカモフラージュマスクのサイズに近い値に補正する(S3106)。
【0128】
(a)の計算式に当てはめ、INT{210/16+0.5}×16 を演算すると、補正サイズ「208」が算出される。次に、(b)の計算式に当てはめると、MOD(210/16)≠0であるため、{INT(210/16)+1.0}×16 を演算すると、補正サイズ「224」が算出される。最後に、(c)の計算式に当てはめると、MOD(210/16)≠0であるため、INT(210/16)×16 を演算すると、補正サイズ「208」が算出される。
【0129】
本実施の形態例では、カモフラージュマスク、背景ディザマトリクス共に、横・縦の画素数の比率が1対1であるため、横・縦の算出結果は同値となる。そのため、(a)〜(c)の計算結果における補正後の横・縦の画素数の比率も全て1対1となる。比率が同じであるため、(a)の計算式による算出結果「208」がカモフラージュマスクの補正サイズに採用される。
【0130】
次に、算出した補正サイズに基づいて、カモフラージュマスクを補正する。この場合、横210×縦210ドットから横208×縦208ドットに、カモフラージュマスクを横・縦方向に2画素分縮小する。この例では、カモフラージュマスクを縮小するが、カモフラージュマスクを拡大するケースもある。カモフラージュマスクを拡大、縮小する方法として、ここではニアレストレイバー法を利用する。ただし、拡大、縮小の方法はニアレストレイバー法に限定されるものではない。例えば、潜像マスクの補正と同様に、カモフラージュ模様の周辺の領域を追加、削除することによって、拡大、縮小してもよい。
【0131】
ニアレストレイバー法による拡大、縮小方法は以下のとおりである。次の計算式によって、補正後の各画素に対応する補正前の座標が得られる。式中のCam_wは、カモフラージュマスクの横方向における補正前の画素数であり、Cam_w‘は補正後の画素数である。同様に、Cam_hは、カモフラージュマスクの縦方向における補正前の画素数であり、Cam_h‘は補正後の画素数である。
【0132】
i、jは、補正後のカモフラージュマスク上の座標を、m、nは、補正前のカモフラージュマスク上の座標を表し、Cam‘[i][j](0≦i<Cam_w‘,0≦j<Cam_h‘)並びにCam[m][n](0≦m<Cam_w,0≦n<Cam_h)の関係にある。
【0133】
m=INT(i/Cam_w‘×Cam_w+0.5)
n=INT(j/Cam_h‘×Cam_h+0.5)
算出したカモフラージュマスクのサイズを当てはめると以下のような計算式が得られる。補正後のカモフラージュマスクの座標を[i][j]に指定すると、当該座標に対応する補正前のカモフラージュマスク上の座標[m][n]が得られる。これにより、カモフラージュマスクを拡大、または縮小できる。
【0134】
m=INT(i/208×210+0.5)
n=INT(j/208×210+0.5)
上記の計算式に基づいてカモフラージュマスクを縮小したのが、図19の補正後のカモフラージュマスク193である。カモフラージュマスクが補正されたことにより、補正後の背景ディザマトリクス194は途切れていない。これによって、カモフラージュマスクの境界領域において、背景ディザマトリクス194によって形成される網点パターンが連続し、カモフラージュマスクの境界が顕在化することを防ぐことができる。
【0135】
また、補正後のカモフラージュマスク193のサイズは、補正前のカモフラージュマスク190の横・縦の比率(この場合は1対1)に近い値が選択されるため、カモフラージュマスクの拡大、縮小処理によるカモフラージュ模様のゆがみ等を抑えることができる。
【0136】
図14に戻り、カモフラージュマスクの補正が終わると(図14のS3106、S3107)、次に、補正したカモフラージュマスクに基づいて潜像マスクのサイズを補正する(S3108)。潜像マスクの補正サイズを求める計算式は以下の通りである。この式では、カモフラージュマスクのサイズの倍数であって、潜像マスクのサイズに近い値が算出される。また、この計算式は、第1の実施の形態例における潜像マスクの補正サイズを算出する計算式と同様であり、第1の実施の形態例における計算式のDth_xが、第2の実施の形態例ではCom_x‘(補正後のカモフラージュマスクのサイズ)に置き代わる。
【0137】
MOD(SecM_x/Com_x‘)= 0の場合
SecM_x‘=SecM_x
MOD(SecM_x/Com_x‘)≠ 0の場合
SecM_x‘={INT(SecM_x/Com_x‘)+1.0}×Com_x‘
図20は、カモフラージュ模様を合成する場合の潜像マスクの補正処理を説明する図である。補正前の潜像マスク200は、横2080×縦2040ドットの画素を有し、補正後のカモフラージュマスク202は、横208×縦208ドットの画素を有する。潜像マスク200には、左上位置からカモフラージュマスク202がタイル状に並べられたように対応している。
【0138】
潜像マスクの横方向について計算式に当てはめると、MOD(2080/208)=0 であり、補正後のサイズは「2080」のままとなる。同様にして、縦方向について計算式に当てはめると、MOD(2040/208)≠0であるため、さらに{INT(2040/208)+1.0}×208 を演算し、補正サイズ「2080」が算出される。これにより、補正後の潜像マスクの画素数が横2080×縦2080ドットに決定される。
【0139】
次に、算出した補正サイズに基づいて、潜像マスクを補正する。この場合、横2080×縦2040ドットから横2080×縦2080ドットに、潜像マスクを縦方向に40画素分拡大する。第1の実施例で前述したとおり、潜像の周辺の領域部分について拡大することにより、潜像自体のサイズを変えることなく、潜像マスクを拡大することができる。
【0140】
補正後の潜像マスク203は、縦方向に40画素分拡大した例である。この場合の地紋効果は浮き出し効果であるため、補正後の潜像マスク203は、潜像の周辺の領域である背景部領域について縦方向に20画素ずつ205、206拡大されている。また、潜像マスクが補正されたことにより、単位地紋画像の境界領域において、補正後のカモフラージュマスク204は途切れない。また、カモフラージュマスク204は、背景ディザマトリクスのサイズの倍数に設定されているため、当然に、潜像マスクのサイズは、背景ディザマトリクスのサイズの倍数となり、背景ディザマトリクスも途切れない。これによって、単位地紋画像の境界領域において、カモフラージュ模様、およびディザマトリクスによって形成される網点パターンが連続するため、単位地紋画像の境界が顕在化することを防ぐ。
【0141】
図13に戻り、潜像マスクの補正が終わると(図13のS31)、単位地紋画像データ37を生成する(S32)。単位地紋画像データの生成処理は、第1の実施例と同様に、図16のフローチャートに従って行われる。
【0142】
カモフラージュ模様を合成する場合(図16のS3202のYES)、処理の対象画素に対応するカモフラージュマスクが黒の情報を示す場合は(S3203のYES)、当画素(i、j)はドットOFFに設定される。処理の対象画素に対応するカモフラージュマスクが白の情報を示す場合は(S3203のNO)、カモフラージュマスクを合成しない場合と同様に、対応するディザマトリクスの閾値と比較されて、当画素(i、j)のドットのON、OFFが決定される。図16の処理が終わると、単位地紋画像データ37が生成される。
【0143】
その後の、プリンター40において単位地紋画像データ37と画像データ36とを合成して印刷する処理(図17)は第1の実施の形態例と同様である。ただし、図17の単位地紋画像データを繰り返し使用して画像データと合成する処理(S42)において、斜交配置(図18の181)または反転配置(図18の182)を行う場合は、所定の長さ183、184を、さらに、カモフラージュマスクの画素数の倍数に設定すると、単位地紋画像の境界領域185、186において、カモフラージュ模様を連続させることができ単位地紋画像の境界が顕在化することを防ぐ。
【0144】
また、反転配置182の場合、カモフラージュマスクが点対象に構成されていることが望ましい。カモフラージュマスクが点対象に構成されていることにより、反転した単位地紋画像と、反転しない単位地紋画像との境界領域186において、カモフラージュ模様が連続するため、単位地紋画像の境界が顕在化することを防ぐ。
【0145】
このように、カモフラージュ模様を合成する場合であっても、さらに、カモフラージュマスクのサイズの倍数に一致させるように潜像マスクのサイズを補正し、補正した潜像マスクのサイズに対応する単位地紋画像データ37を形成する。これにより、潜像マスクのサイズ分の単位地紋画像データ37を生成すればよいため、地紋画像データの生成処理にかかる時間を大幅に短縮することができ、また、地紋画像データの保存に要するメモリーを節約することができる。
【0146】
また、補正された潜像マスクのサイズは、カモフラージュマスク、およびディザマトリクスのサイズの倍数に一致するため、単位地紋画像の境界領域において、当該ディザマトリクスによって形成される網点パターン、および、カモフラージュ模様が連続せずに単位地紋画像データ37の境界が顕在化することを防ぐ。
【0147】
また、カモフラージュマスクのサイズを、ディザマトリクスのサイズの倍数に補正し、さらに、潜像マスクのサイズを補正したカモフラージュマスクのサイズの倍数に補正する場合、カモフラージュマスクの境界領域において、当該ディザマトリクスによって形成される網点パターンを連続させることができる。
【0148】
さらに、カモフラージュマスクのサイズをディザマトリクスのサイズの倍数に、または、潜像マスクのサイズをカモフラージュマスクのサイズの倍数に一致させるように補正するため、カモフラージュマスクのサイズを含めた各サイズの最小公倍数によって補正サイズを算出するよりも、潜像マスクの補正サイズを小さく抑えることができ、地紋画像データ37のサイズを小さく抑えることができる。
【符号の説明】
【0149】
14,16:原本、18,20:複写物、14X,16X:原本の拡大画像、18X,20X:複写物の拡大画像、LI:潜像部、BI:背景部、
30:ホストコンピューター、31:アプリケーションプログラム、32:プリンタードライバー、33:潜像ディザマトリクス、34:背景ディザマトリクス、36:画像データ、37:単位地紋画像データ、40:プリンター、41:コントローラー、42:画像形成プログラム、43:合成部、44:色変換、45:二値化ユニット、46:印刷エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複写時に出力濃度に差が生じる潜像部と背景部とを含む地紋画像を印刷媒体上に形成するための地紋画像データを生成する画像処理をコンピューターに実行させる画像処理プログラムにおいて、
前記画像処理は、
前記潜像部と前記背景部とにより形成される潜像を規定する潜像マスクであって、各画素に前記潜像部または前記背景部の何れかを示す情報を有する前記潜像マスクを取得する潜像マスク取得工程と、
前記取得した潜像マスクのサイズを、前記潜像部の画像データ生成時に参照される潜像ディザマトリクスまたは前記背景部の画像データ生成時に参照される背景ディザマトリクスの倍数サイズに補正して補正潜像マスクを生成する潜像マスク補正工程と、
前記補正潜像マスクと、前記潜像ディザマトリクスと、前記背景ディザマトリクスとに基づいて画素毎の画像データを生成し、前記補正潜像マスクのサイズに対応する単位地紋画像データを生成する単位地紋画像生成工程とを有することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項2】
請求項1において、
前記潜像マスク補正工程は、前記潜像の領域を前記潜像部とし前記潜像の周辺の領域を前記背景部とする第1の潜像マスクの場合は前記背景ディザマトリクスの倍数サイズに、前記潜像の領域を前記背景部とし前記潜像の周辺の領域を前記潜像部とする第2の潜像マスクの場合は前記潜像ディザマトリクスの倍数サイズに、前記潜像マスクのサイズを補正することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項3】
請求項2において、
前記潜像マスク補正工程は、前記第1の潜像マスクの場合は前記潜像マスクの周辺の前記背景部の領域を、前記第2の潜像マスクの場合は前記潜像マスクの周辺の前記潜像部の領域を拡大または縮小して、前記潜像マスクのサイズを補正することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
さらに、前記地紋画像に合成されるカモフラージュ模様画像を構成し、各画素についてカモフラージュ模様画像の画像データを有するカモフラージュマスクを取得するカモフラージュマスク取得工程を有し、
前記潜像マスク補正工程は、前記潜像マスクのサイズを、前記潜像ディザマトリクスまたは前記背景ディザマトリクスに加えて、前記取得したカモフラージュマスクの倍数サイズに補正し、
前記単位地紋画像生成工程は、前記補正潜像マスクに加えて、前記取得したカモフラージュマスクに基づいて前記単位地紋画像データを生成することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項5】
請求項4において、
さらに、前記取得した前記カモフラージュマスクのサイズを、前記潜像ディザマトリクスまたは前記背景ディザマトリクスの倍数サイズに補正して補正カモフラージュマスクを生成するカモフラージュマスク補正工程を有し、
前記潜像マスク補正工程は、前記潜像マスクのサイズを、前記補正カモフラージュマスクの倍数サイズに補正し、
前記単位地紋画像生成工程は、前記補正潜像マスクに加えて、前記補正カモフラージュマスクに基づいて前記単位地紋画像データを生成することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項6】
請求項5において、
前記カモフラージュマスク補正工程は、前記潜像の領域を前記潜像部とし前記潜像の周辺の領域を前記背景部とする第1の潜像マスクの場合は前記背景ディザマトリクスの倍数サイズに、前記潜像の領域を前記背景部とし前記潜像の周辺の領域を前記潜像部とする第2の潜像マスクの場合は前記潜像ディザマトリクスの倍数サイズに、前記カモフラージュマスクのサイズを補正することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項7】
請求項6において、
前記カモフラージュマスク補正工程は、前記カモフラージュマスクのサイズを、前記カモフラージュマスクの横辺と縦辺のサイズ比率が維持されるように拡大または縮小して補正することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項8】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記潜像マスク取得工程は、前記潜像と、前記潜像の領域を前記潜像部とし前記潜像の周辺の領域を前記背景部とする第1の潜像マスクかまたは前記潜像の領域を前記背景部とし前記潜像の周辺の領域を前記潜像部とする第2の潜像マスクかの指定とを含む潜像情報に基づいて、前記潜像マスクを生成して取得する工程、または、予め生成された前記潜像マスクから選択し取得する工程のいずれかまたは両方を有することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項9】
請求項4乃至7のいずれかにおいて、
前記カモフラージュマスク取得工程は、前記カモフラージュ模様画像を含むカモフラージュ模様情報に基づいて、前記カモフラージュマスクを生成して取得する工程、または、予め生成された前記カモフラージュマスクから選択し取得する工程のいずれかまたは両方を有することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記単位地紋画像データは、印刷対象の画像データと前記地紋画像データとを合成する処理、または、印刷サイズの前記地紋画像データを生成する処理において、繰り返し使用されることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項11】
複写時に出力濃度に差が生じる潜像部と背景部とを含む地紋画像を印刷媒体上に形成するための地紋画像データを生成する画像処理方法において、
前記潜像部と前記背景部とにより形成される潜像を規定する潜像マスクであって、各画素に前記潜像部または前記背景部の何れかを示す情報を有する前記潜像マスクを取得する潜像マスク取得工程と、
前記取得した潜像マスクのサイズを、前記潜像部の画像データ生成時に参照される潜像ディザマトリクスまたは前記背景部の画像データ生成時に参照される背景ディザマトリクスの倍数サイズに補正して補正潜像マスクを生成する潜像マスク補正工程と、
前記補正潜像マスクと、前記潜像ディザマトリクスと、前記背景ディザマトリクスとに基づいて画素毎の画像データを生成し、前記補正潜像マスクのサイズに対応する単位地紋画像データを生成する単位地紋画像生成工程と、
前記単位地紋画像データを繰り返し使用して、印刷対象の画像データと前記地紋画像データとを合成し、または、印刷サイズの前記地紋画像データを生成する単位地紋画像使用工程とを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記単位地紋画像使用工程は、前記単位地紋画像データを、行単位に、第1の長さ分副走査方向にずらして配置させ、当該第1の長さは、前記潜像の領域を前記潜像部とし前記潜像の周辺の領域を前記背景部とする第1の潜像マスクの場合は前記背景ディザマトリクスの横辺の倍数サイズ、前記潜像の領域を前記背景部とし前記潜像の周辺の領域を前記潜像部とする第2の潜像マスクの場合は前記潜像ディザマトリクスの横辺の倍数サイズであり、
または、前記単位地紋画像データを、列単位に、第2の長さ分主走査方向にずらして配置させ、当該第2の長さは前記第1の潜像マスクの場合は前記背景ディザマトリクスの縦辺の倍数サイズ、前記第2の潜像マスクの場合は前記潜像ディザマトリクスの縦辺の倍数サイズであることを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
請求項11において、
さらに、前記地紋画像に合成されるカモフラージュ模様画像を構成し、各画素についてカモフラージュ模様画像の画像データを有するカモフラージュマスクを取得するカモフラージュマスク取得工程を有し、
前記潜像マスク補正工程は、前記潜像マスクのサイズを、前記潜像ディザマトリクスまたは前記背景ディザマトリクスに加えて、前記取得したカモフラージュマスクの倍数サイズに補正し、
前記単位地紋画像生成工程は、前記補正潜像マスクに加えて、前記補正したカモフラージュマスクに基づいて前記単位地紋画像データを生成することを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
請求項13において、
前記単位地紋画像使用工程は、前記単位地紋画像データを、行単位に、前記補正したカモフラージュマスクの横辺の倍数サイズ分、副走査方向にずらして配置させ、
または、前記単位地紋画像データを、列単位に、前記補正したカモフラージュマスクの縦辺の倍数サイズ分、主走査方向にずらして配置させることを特徴とする画像処理方法。
【請求項15】
複写時に出力濃度に差が生じる潜像部と背景部とを含む地紋画像を印刷媒体上に形成するための地紋画像データを生成する画像処理装置において、
前記潜像部と前記背景部とにより形成される潜像を規定する潜像マスクであって、各画素に前記潜像部または前記背景部の何れかを示す情報を有する前記潜像マスクを取得する潜像マスク取得手段と、
前記取得した潜像マスクのサイズを、前記潜像部の画像データ生成時に参照される潜像ディザマトリクスまたは前記背景部の画像データ生成時に参照される背景ディザマトリクスの倍数サイズに補正して補正潜像マスクを生成する潜像マスク補正手段と、
前記補正潜像マスクと、前記潜像ディザマトリクスと、前記背景ディザマトリクスとに基づいて画素毎の画像データを生成し、前記補正潜像マスクのサイズに対応する単位地紋画像データを生成する単位地紋画像生成手段と、
前記単位地紋画像データを繰り返し使用して、印刷対象の画像データと前記地紋画像データとを合成し、または、印刷サイズの前記地紋画像データを生成する単位地紋画像使用手段とを有することを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−23964(P2011−23964A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167055(P2009−167055)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】