説明

画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理装置、および、複合機

【課題】読取領域を指定させる画像読取処理を効率的に実施すること。
【解決手段】画像処理装置1の読取装置20は、読取センサ24が移動する移動経路上の該読取センサ24に対応する位置を表示する読取センサ位置表示手段を有し、読み取り処理の開始が指示されると、読取センサ24を開始位置に移動させて、読取センサ24による読み取り処理を開始し、読み取り処理の終了が指示されると、読取センサ24の現在位置までの読み取り処理を終了し、読取センサ24の開始位置から現在位置までの読み取り処理によって読み取られた原稿内容を原稿画像データ31として処理することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理装置、および、複合機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ機などの画像読取を実施する画像処理装置(複合機)は、読取用原稿を読取センサで読み取って、画像データを取得する。ここで、読取用原稿の原稿面には、実際に原稿内容が記載されている記載領域が、読取用原稿の原稿サイズを目一杯使用していないケース(つまり、原稿サイズの余白がたくさんあるケース)があるため、読取用原稿の原稿サイズ分を読み取ると、余白分の画像データが無駄になってしまう。
【0003】
そこで、特許文献1では、読取用原稿を設置した後、利用者に移動ボタンを押下させることにより、特定部材(露光ランプ)を実際に動かして、読取用原稿の読取領域を入力させるシステムが、提案されている。このシステムによれば、読取サイズとして効率的なサイズを明示的に指定させることで、効率的なデータ量の画像データを生成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−060510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記した特許文献1のシステムでは、読取領域の位置指定処理を行った後、読取領域の読み取り処理を実行するため、非効率であった。
【0006】
つまり、読取領域の位置指定処理と、読取領域の読み取り処理とが完全に独立しているため、位置指定用の特定部材が開始位置から終了位置まで移動する移動期間と、読み取り処理用の読取センサが開始位置から終了位置まで移動する移動期間とを両方設ける必要があり、この両期間の長さが、読み取り処理を効率的に実行することを妨げていた。
【0007】
そこで、本発明は、前記した問題を解決し、読取領域を指定させる画像読取処理を効率的に実施するための画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理装置、および、複合機を提供することを、主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、読取用原稿に記載されている原稿内容を原稿画像データとして読み取る画像処理装置であって、
前記画像処理装置が、制御部と、読取装置と、操作入力手段とを有し、
前記読取装置が、前記読取用原稿が配置されるフラットベッドと、前記フラットベッドに配置される前記読取用原稿の原稿内容を読み取る読取センサと、前記読取センサが移動する移動経路上の該読取センサに対応する位置を表示する読取センサ位置表示手段と、を有し、
前記操作入力手段が、前記読取センサによる読み取り処理を開始させるための開始指示手段と、前記読取センサによる読み取り処理を終了させるための終了指示手段とを有し、
前記制御部が、
前記開始指示手段から読み取り処理の開始が指示されると、前記読取センサを開始位置に移動させて、前記読取センサによる読み取り処理を開始し、
前記終了指示手段から読み取り処理の終了が指示されると、前記読取センサの現在位置までの読み取り処理を終了し、前記読取センサの開始位置から現在位置までの読み取り処理によって読み取られた原稿内容を前記原稿画像データとして処理することを特徴とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、読取領域を指定させる画像読取処理を効率的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に関する画像処理装置を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に関する画像処理装置に入力される読取用原稿、および、画像処理装置の操作パネルを示す構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に関するタッチパネルの表示内容を示す画面図である。
【図4】本発明の一実施形態に関する画像処理装置の読取装置を真上から見たときを示す構成図である。
【図5】本発明の一実施形態に関するタッチパネルの表示内容を示す画面図である。
【図6】本発明の一実施形態に関するジョブ管理部が実行する、画像処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、画像形成装置(複合機)としての画像処理装置1を示す構成図である。画像処理装置1は、読取装置20と、印刷装置41と、FAX装置43と、操作パネル10とを備え、スキャナ機、コピー機、および、ファクシミリ機の各機能を兼ね備える複合機(MFP:Multi Function Peripheral)として構成する。
画像処理装置1は、CPU91と、RAM92と、ROM93と、ネットワークインタフェース99とを備えるコンピュータである。
CPU91は、RAM92内のプログラムを実行することにより、画像処理装置1全体の動作を制御する。
RAM92は、ROM93から読み込まれるプログラムおよびそのプログラムの処理対象であるデータを格納する。
ROM93は、CPU91により実行されるプログラムが格納される。
ネットワークインタフェース99は、ネットワーク9を介してデータを送受信するためのインタフェースである。
【0013】
操作パネル10は、タッチパネル12と、操作指示ボタン群13とから構成され、ユーザからの操作入力を受け付ける。
読取装置20は、光学的読取技術により、指定された読取用原稿2(読取媒体)の読取範囲に対して、画像読取処理を実施し、その読取結果を原稿画像データ31へと書き出す。よって、画像処理装置1は、操作パネル10と読取装置20との組み合わせにより、スキャナ機としての機能を実現する。
【0014】
印刷装置41は、画像形成部として機能し、電子写真方式などの印刷技術により、原稿画像データ31を印刷用紙3(印刷媒体、画像形成用紙)に印刷出力する。よって、画像処理装置1は、操作パネル10、読取装置20、および、印刷装置41の組み合わせにより、コピー機としての機能を実現する。さらに、画像処理装置1は、読取装置20の代わりにネットワークインタフェース99を介して他のコンピュータから受信した原稿画像データ31を、印刷装置41が印刷用紙3として印刷出力することで、プリンタ機としての機能を実現する。
【0015】
FAX装置43は、電話回線などのネットワーク9を介して、FAX用原稿データ4の送受信を行う。つまり、FAX装置43は、送信時には、原稿画像データ31をFAX用原稿データ4として送信する。FAX装置43は、受信時には、受信したFAX用原稿データ4を原稿画像データ31に記録するとともに、印刷装置41を介して、記録した原稿画像データ31を印刷用紙3として印刷出力する。よって、画像処理装置1は、操作パネル10、読取装置20、印刷装置41、および、FAX装置43の組み合わせにより、ファクシミリ機としての機能を実現する。
以上説明した画像処理装置1は、スキャナ機、コピー機、ファクシミリ機、および、プリンタ機の各機能を兼ね備える複合機として構成したが、これらの機器の内の少なくとも1つの機能を備えることとしてもよい。
【0016】
画像処理装置1のRAM92には、原稿画像データ31に加え、各処理部(ジョブ管理部91a、操作パネル制御部11、読取制御部21、印刷制御部42、FAX制御部44、原稿サイズ変更部32)を実現するためのプログラムが格納されている。
ジョブ管理部91aは、後記で説明する各制御部に指示を出すことにより、複合機の各機能(スキャナ機、コピー機、ファクシミリ機、および、プリンタ機)を実現する。
操作パネル制御部11は、操作パネル10を制御する。
読取制御部21は、読取装置20を制御する。
印刷制御部42は、印刷装置41を制御する。
FAX制御部44は、FAX装置43を制御する。
【0017】
原稿サイズ変更部32は、読取装置20が読み取った原稿画像データ31の読取範囲に基づいて定型原稿サイズを変更する(詳細は、図2(a)の説明で後記する)。これにより、利用者があらかじめ画像処理装置の設定値を変更することなく、原稿サイズを修正することができる。
【0018】
図2は、画像処理装置1に入力される読取用原稿2(図2(a))、および、画像処理装置1の操作パネル10(図2(b))を示す構成図である。
【0019】
まず、図2(a)を参照して、本明細書で使用する方向についての用語を定義する。
「縦方向(上下方向)」とは、読取用原稿2における読取装置20の読取処理の主走査方向である。図2(a)においては、上方向にアルファベット(J,S,Z)が記載されており、下方向にアルファベット(A,K,T)が記載されている。読取装置20は、読取用原稿2における縦方向の読取範囲(上端位置および下端位置)を、読取装置20の読取センサ24(図4で後記)が有する直線上の画像読み取り用撮像素子(CCD:Charge Coupled Device)から取得する。
【0020】
「横方向(左右方向)」とは、読取用原稿2における読取装置20の読取処理の副走査方向である。図2(a)においては、左方向にアルファベットの行(A〜J)が記載されており、右方向にアルファベットの行(T〜Z)が記載されている。読取装置20は、読取用原稿2における横方向の読取範囲の右端位置を、読取センサ24が右方向に移動しているときに、STOPボタン62(図2(b))の押下を検知し、その検知時点での読取センサ24の横位置から取得する。なお、読取用原稿2における左端位置の読取範囲は、読取用原稿2における最左端位置である。
【0021】
なお、図2(a)で示す読取用原稿2は、原稿サイズとしてはA3サイズであるものの、読み取るべき原稿記載領域(アルファベットのA〜Zが記載されている領域)は、その左半分のA4サイズ分しか存在しない。そこで、後記する原稿サイズ変更部32は、読取装置20が読み取ったA3サイズの読取用原稿2から、原稿記載領域がA4サイズと判断し、その結果としてA4サイズ分(アルファベットのA〜Zが記載されている部分)の原稿画像データ31としてRAM92に記録する。
具体的には、原稿サイズ変更部32は、以下の手順(1)〜(3)により、原稿サイズを変更する。
(1)前記したように、読取用原稿2の読取範囲(上端位置、下端位置、左端位置、右端位置)を取得する。
(2)あらかじめROM93に記録されている1つ以上の定型原稿サイズ(A5,B5,A4,B4,A3など)の読取範囲データを取得し、読取用原稿2の読取範囲がそれぞれの定型原稿サイズ内に収まっているか否かを判定する。
(3)前記(2)で判定した結果、読取用原稿2の読取範囲が収まっている定型原稿サイズのうち、最小の定型原稿サイズを、出力する原稿サイズとして決定する。
【0022】
図2(b)は、操作パネル10の構成を示す図である。
操作パネル10は、中央のタッチパネル12と、周辺の操作指示ボタン群13とで構成される。なお、操作指示ボタン群13は、機械的な(物理的な)ボタンとしてもよいし、タッチパネル12と同様に、表示部とタッチセンサとを備える論理的なボタンとしてもよい。
【0023】
操作指示ボタン群13は、STARTボタン61と、STOPボタン62と、COPYボタン63と、SCANボタン64と、FAXボタン65と、PRINTボタン66とから構成される。
まず、利用者は、読取用原稿2を読取装置20にセットする。
次に、利用者は、コピー機のモード(COPYボタン63)、スキャナ機のモード(SCANボタン64)、ファクシミリ機のモード(FAXボタン65)、プリンタ機のモード(PRINTボタン66)から、所望のモードのボタンを押下することで、動作モードを設定する。
【0024】
そして、利用者は、動作モードが、コピー機、スキャナ機、および、ファクシミリ機のときには、読取装置20の読み取り処理を開始させるためのSTARTボタン61を押下した後、読取用原稿2の読取範囲の右端まで読み取り処理が行われたタイミングでSTOPボタン62を押下することで読み取り処理を終了する。
これにより、読取装置20は、読取用原稿2の読取範囲分の原稿画像データ31を生成する。その後、設定された動作モードに従って、画像処理装置1は、原稿画像データ31のファイル保存(スキャナ機のモード)、原稿画像データ31の紙面印刷(コピー機、プリンタ機のモード)、または、原稿画像データ31のデータ送信(ファクシミリ機のモード)を実行する。
【0025】
図3は、タッチパネル12に表示される画面図である。
図3(a)は、図2(b)のCOPYボタン63で設定される、コピー機のモードにおける表示画面を示す。
ステータス表示領域71は、ステータスを表示する領域であり、コピーが可能であることを示すメッセージである「コピーできます」が表示されている。
パラメータ設定ボタン72、原稿サイズ設定ボタン73、トレイ設定ボタン74、拡大縮小設定ボタン75、両面印刷設定ボタン76、その他の設定ボタン77は、コピー処理に参照される各パラメータを設定する際に押下するボタンであり、各ボタンには現在の設定値が表示されている。例えば、原稿サイズ設定ボタン73には、原稿サイズの現在の設定値がA3であることが表示されている。
【0026】
図3(b)は、図2(b)のFAXボタン65で設定される、ファクシミリ機のモードにおける表示画面を示す。
ステータス表示領域81はステータスを表示する領域であり、FAX通信が可能であることを示すメッセージである「通信できます」が表示されている。
パラメータ設定ボタン82、原稿サイズ設定ボタン83、宛先設定ボタン84、リダイヤルボタン85、短縮ボタン86、その他の設定ボタン87は、FAX処理に参照される各パラメータを設定する際に押下するボタンであり、各ボタンには現在の設定値が表示されている。例えば、原稿サイズ設定ボタン83には、原稿サイズの現在の設定値がA3であることが表示されている。
【0027】
図4は、画像処理装置1の読取装置20を真上から見たときの構成図である。読取装置20は、フラットベッド22と、フラットベッドカバー23と、読取センサ24と、読取センサ確認窓25と、を有する。
【0028】
図4(a)は、フラットベッド22上のフラットベッドカバー23が開いた状態である。フラットベッドカバー23は、フラットベッド22のカバーである。
フラットベッド22は、読み取る画像がある面を下にして、読取用原稿2が置かれる領域である。フラットベッド22は、読取用原稿2を置くガラス面であり、読取装置20の機械内部側に存在する読取センサ24が透過して見えるようになっているとともに、読取センサ24の読取光が読取用原稿2に当たるようになっている。
読取センサ確認窓25は、読取センサ24の位置を確認するための窓である。読取センサ確認窓25は、フラットベッド22と同じように、透過型のガラス面である。フラットベッド22の横方向(左端位置および右端位置)と、読取センサ確認窓25の横方向とが一致するように配置されている。さらに、読取センサ確認窓25には、読取位置に対応する原稿サイズを示す目盛(A5など)が付けられている。
【0029】
読取センサ24は、光学的読取技術により、読取用原稿2の記載内容を画像データとして読み取るセンサである。読取センサ24は、縦方向がフラットベッド22から読取センサ確認窓25までの範囲をカバーするような画像読み取り用撮像素子として構成されている。
読取センサ24は、横方向に移動することで、読み取り処理を実施する。横方向の移動について、移動位置の左端がフラットベッド22の左端であり、移動位置の右端がフラットベッド22の右端、または、STOPボタン62が押下されるまでの位置である。
つまり、読取センサ24の現在の位置は、読取センサ確認窓25のガラス面を透過して、見えるようになっている。
【0030】
図4(b)は、フラットベッド22上のフラットベッドカバー23が閉じた状態である。利用者は、フラットベッド22上に読取用原稿2を置いてから、フラットベッドカバー23を閉じる。これにより、読取用原稿2が、フラットベッド22とフラットベッドカバー23とで挟まれた状態になる。
フラットベッドカバー23が閉じられると、フラットベッド22の領域がすべてフラットベッドカバー23で覆われてしまうため、読取センサ24の現在の位置を、フラットベッド22のガラス面を介して確認することができなくなる。しかし、読取センサ確認窓25は、フラットベッドカバー23では覆われないため、読取センサ確認窓25をのぞき込むことで、読取センサ24の現在の位置を確認することができる。
または、フラットベッドカバー23が読取センサ確認窓25を覆う場合でも、その覆う領域部分のフラットベッドカバー23について、透明なガラスなどで構成することにより、フラットベッドカバー23ごしに読取センサ確認窓25を目視で確認させることができる。
【0031】
図5は、タッチパネル12に表示される画面図である。この表示例では、図4で示した画像処理装置1の読取装置20を真上から見たときの構成図を、そのまま表示内容としている。
【0032】
図5(a)は、タッチパネル12の第1表示例である。この第1表示例では、読取センサ24の位置を示す読取センサポインタ24bと、読取センサ確認窓25の位置を示す読取センサ確認窓表示欄25bとが、タッチパネル12内に表示されている。つまり、図4に示す読取センサ確認窓25は、物理的に読取センサ24の現在の位置を確認することができるのに対し、図5(a)に示す読取センサ確認窓表示欄25bは、論理的に読取センサポインタ24bが示す読取センサ24の現在の位置を確認することができる。操作パネル制御部11は、読取制御部21から読取センサ24の現在の位置を受信して、その位置を示す読取センサポインタ24bを読取センサ確認窓表示欄25bに表示する。なお、読取センサ24の現在の位置は、電子的なセンサまたは機械的なセンサを用いて取得される。
【0033】
図5(b)は、タッチパネル12の第2表示例である。この第2表示例は、第1表示例と比較すると、フラットベッド22の位置に読取結果表示欄23bを設けている。操作パネル制御部11は、読取制御部21から読取センサ24の読取結果を受信して、その画像データを読取結果表示欄23bに表示する。利用者にとって、読取センサ確認窓表示欄25bの読取センサポインタ24bと、読取結果表示欄23bの表示内容とを見比べることにより、第1表示例よりもさらに正確に読取領域の停止位置(右端位置)を指定することが容易になる。
【0034】
図6は、ジョブ管理部91aが実行する、画像処理装置1の画像処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、読取用原稿2が読取装置20に配置され、動作モードの指定(図2(b)で説明)が行われ、STARTボタン61が押下されたときを契機として、実行される。
【0035】
S11として、ジョブ管理部91aは、読取制御部21に対して、読取用原稿2の読み取り処理を開始するように指示する。読取制御部21は、指示を受けて読取装置20を動作させ、読取センサ24を初期位置(左端)に移動させる。
S12として、読取制御部21は、読取センサ24を右方向に1ライン分移動させることで、1ライン分の画像データを読み取る。なお、このS12での読取センサ24の移動は、読取領域の位置指定の目的と、その読取領域の画像読み取りの目的とを兼ねている。そのため、特許文献1の方式に比べ、原稿1枚あたりの総処理時間を削減することができ、効率的である。
S13として、操作パネル制御部11は、STOPボタン62が押下されたか否かを判定する。S13でYesならS15へ進み、S13でNoならS14へ進む。なお、利用者は、STOPボタン62を押下する手がかりとして、読取センサ確認窓25から読取センサ24が移動する様子を目視で確認してもよいし(図4参照)、タッチパネル12に表示されている読取センサ確認窓表示欄25b内の読取センサポインタ24bを目視で確認してもよい(図5参照)。
【0036】
S14として、読取制御部21は、読取センサ24があらかじめ設定された原稿サイズ分の位置まで到達したか否かを判定する。S14でYesならS15へ進み、S14でNoならS12へ戻る。あらかじめ設定された原稿サイズとは、例えば、図2の読取用原稿2では、A3サイズである。
S15として、読取制御部21は、読取センサ24の現在の位置(S13のSTOPボタン62押下位置、または、S14のあらかじめ設定された原稿サイズ分の位置)を読取領域の右端として、S11〜S14の処理で読み取った画像データを、原稿画像データ31として保存する。
【0037】
S21として、原稿サイズ変更部32は、原稿画像データ31の原稿サイズを小さいサイズへと変更することで、データ量を圧縮する。例えば、図2の読取用原稿2では、A4サイズ分の読取領域で足りるので、原稿サイズをA3からA4へと変更する。なお、このデータ量の圧縮処理は、省略してもよい。
S22として、ジョブ管理部91aは、指定された動作モードに従って、原稿画像データ31の出力処理を各制御部に指示する。出力処理とは、例えば、画面表示処理、印刷処理、および、データ転送処理などである。出力処理としてデータ転送処理を行うときには、FAX制御部44は、指示に従って原稿画像データ31をFAX装置43からデータ送信する。
【0038】
または、印刷制御部42は、指示に従って原稿画像データ31を印刷装置41から印刷する。例えば、図2の読取用原稿2では、原稿サイズはA3に設定されており、拡大/縮小が100%に設定されているため、印刷装置41はA3用紙に対して印刷を実施する。なお、原稿サイズがあらかじめA3サイズに設定されている例を説明したが、他のサイズに設定されている場合や、原稿サイズを自動検出する場合にも適用可能である。
【0039】
以上、図6で説明した画像処理装置1の画像処理は、読取用原稿2が1枚である例を説明した。一方、画像処理装置1にADF(Auto Document Feeder)を搭載することで、複数枚の読み取り処理が可能となる。このときは、S11〜S15の処理を、原稿の枚数分だけ繰り返せばよい。
【0040】
以上説明した本実施形態によれば、画像処理装置1の読取センサ24の移動工程が、読取領域の位置指定の目的と、その読取領域の画像読み取りの目的とを兼ねているため、特許文献1の方式に比べ、原稿1枚あたりの総処理時間を削減することができ、効率的である。
ここで、画像処理装置1は、読取領域の位置指定(特に、STOPボタン62の押下のタイミング)をユーザにとって容易に実施させるために、読取センサ24の現在位置を確認させるための読取センサ位置表示手段を有する。その読取センサ位置表示手段は、読取センサ確認窓25および読取センサ確認窓表示欄25bのうちの少なくとも1つとして、構成される。
そして、画像処理装置1の原稿サイズ変更部32は、読取装置20が読み取った原稿画像データ31の読取範囲に基づいて定型原稿サイズを変更するため、利用者があらかじめ画像処理装置の設定値を変更することなく、原稿サイズを修正することができるとともに、原稿画像データ31内の空白面積の比率が少なくなるため、原稿画像データ31のデータ量を圧縮することができる。
さらに、画像処理装置1にADFを搭載することで、複数枚の原稿を連続して読み取り処理するときに、1枚1枚の読み取り処理にかかる期間が短縮化されており、かつ、フラットベッドカバー23を原稿1枚ごとに開け閉めする必要がないため、読み取りにかかる総期間を短縮化することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 画像処理装置(画像形成装置、複合機)
2 読取用原稿
3 印刷用紙
4 FAX用原稿データ
9 ネットワーク
10 操作パネル
11 操作パネル制御部
12 タッチパネル
13 操作指示ボタン群
20 読取装置
21 読取制御部
22 フラットベッド
23 フラットベッドカバー
23b 読取結果表示欄
24 読取センサ
24b 読取センサポインタ
25 読取センサ確認窓(読取センサ位置表示手段)
25b 読取センサ確認窓表示欄(読取センサ位置表示手段)
31 原稿画像データ
32 原稿サイズ変更部
41 印刷装置
42 印刷制御部
43 FAX装置
44 FAX制御部
61 STARTボタン
62 STOPボタン
63 COPYボタン
64 SCANボタン
65 FAXボタン
66 PRINTボタン
91 CPU
91a ジョブ管理部
92 RAM
93 ROM
99 ネットワークインタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取用原稿に記載されている原稿内容を原稿画像データとして読み取る画像処理装置であって、
前記画像処理装置は、制御部と、読取装置と、操作入力手段とを有し、
前記読取装置は、前記読取用原稿が配置されるフラットベッドと、前記フラットベッドに配置される前記読取用原稿の原稿内容を読み取る読取センサと、前記読取センサが移動する移動経路上の該読取センサに対応する位置を表示する読取センサ位置表示手段と、を有し、
前記操作入力手段は、前記読取センサによる読み取り処理を開始させるための開始指示手段と、前記読取センサによる読み取り処理を終了させるための終了指示手段とを有し、
前記制御部は、
前記開始指示手段から読み取り処理の開始が指示されると、前記読取センサを開始位置に移動させて、前記読取センサによる読み取り処理を開始し、
前記終了指示手段から読み取り処理の終了が指示されると、前記読取センサの現在位置までの読み取り処理を終了し、前記読取センサの開始位置から現在位置までの読み取り処理によって読み取られた原稿内容を前記原稿画像データとして処理することを特徴とする
画像処理装置。
【請求項2】
前記読取センサ位置表示手段は、前記読取センサの移動経路上の位置に設置され、前記読取センサを目視できる読取センサ確認窓を有することを特徴とする
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、さらに、配置された前記読取用原稿を、前記フラットベッドと挟むフラットベッドカバーを有し、
前記読取センサ確認窓は、前記フラットベッドカバーとは重ならない位置に設置することを特徴とする
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記読取センサ確認窓の近傍には、前記フラットベッドに配置される前記読取用原稿の原稿サイズを確認させるための目盛が記載されていることを特徴とする
請求項2または請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記操作入力手段は、前記開始指示手段と、前記終了指示手段とともに、前記読取センサ位置表示手段を表示し、
前記制御部は、前記読取センサの現在位置を前記読取センサ位置表示手段に表示することを特徴とする
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記読取センサ位置表示手段は、前記読取センサの現在位置の表示の近傍に、前記読取用原稿の原稿サイズを確認させるための目盛を併せて表示することを特徴とする
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記読取センサ位置表示手段は、前記読取センサの現在位置の表示の近傍に、現在位置までの読み取り処理の結果である前記読取用原稿の画像データを併せて表示することを特徴とする
請求項5または請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像処理装置は、さらに、原稿サイズ変更部を有し、
前記原稿サイズ変更部は、前記読取装置に配置された前記読取用原稿の原稿サイズから、前記読取装置が読み取った開始位置から現在位置までの原稿内容が収まる原稿サイズへと、前記原稿画像データの原稿サイズを変更することを特徴とする
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記画像処理装置は、さらに、複数枚の前記読取用原稿を設置可能なADF(Auto Document Feeder)を搭載することを特徴とする
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
読取用原稿に記載されている原稿内容を原稿画像データとして読み取る画像処理装置による画像処理方法であって、
前記画像処理装置は、制御部と、読取装置と、操作入力手段とを有し、
前記読取装置は、前記読取用原稿が配置されるフラットベッドと、前記フラットベッドに配置される前記読取用原稿の原稿内容を読み取る読取センサと、前記読取センサが移動する移動経路上の該読取センサに対応する位置を表示する読取センサ位置表示手段と、を有し、
前記操作入力手段は、前記読取センサによる読み取り処理を開始させるための開始指示手段と、前記読取センサによる読み取り処理を終了させるための終了指示手段とを有し、
前記制御部は、
前記開始指示手段から読み取り処理の開始が指示されると、前記読取センサを開始位置に移動させて、前記読取センサによる読み取り処理を開始し、
前記終了指示手段から読み取り処理の終了が指示されると、前記読取センサの現在位置までの読み取り処理を終了し、前記読取センサの開始位置から現在位置までの読み取り処理によって読み取られた原稿内容を前記原稿画像データとして処理することを特徴とする
画像処理方法。
【請求項11】
前記読取センサ位置表示手段は、前記読取センサの移動経路上の位置に設置され、前記読取センサを目視できる読取センサ確認窓を有することを特徴とする
請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記画像処理装置は、さらに、配置された前記読取用原稿を、前記フラットベッドと挟むフラットベッドカバーを有し、
前記読取センサ確認窓は、前記フラットベッドカバーとは重ならない位置に設置することを特徴とする
請求項11に記載の画像処理方法。
【請求項13】
前記操作入力手段は、前記開始指示手段と、前記終了指示手段とともに、前記読取センサ位置表示手段を表示し、
前記制御部は、前記読取センサの現在位置を前記読取センサ位置表示手段に表示することを特徴とする
請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項14】
請求項10ないし請求項13のいずれか1項に記載の画像処理方法を、コンピュータである前記画像処理装置に実行させるための画像処理プログラム。
【請求項15】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記原稿画像データを印刷用紙に印刷する印刷手段、または、前記原稿画像データをネットワークに送信するFAX手段のうちの少なくとも1つの手段と、を備えることを特徴とする
複合機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−41021(P2011−41021A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186809(P2009−186809)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】