説明

画像処理装置、および、画像処理装置の制御方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるためのプログラム

【課題】画像における遠近感を画像処理によって強調する画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、画像取得部、奥行き取得部、奥行き変換部、および、奥行きデータ付加部を具備する。画像取得部は画像を取得する。奥行き取得部は、画像内の画素に対応付けられた奥行きを取得する。奥行き変換部は、奥行きの増加に応じて非線形に所定値へ接近する特性を持つ関数に従って奥行きを変換する。奥行き画像データ付加部は、変換された奥行きを前記画像に対応付けて記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、画像処理装置、および、画像処理装置の制御方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。詳しくは、奥行きに基づいて画像処理を行う画像処理装置、および、画像処理装置の制御方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像内の画素に対応づけて奥行きを測定することができる撮像装置が普及しつつある。撮像装置における画像処理装置は、その奥行きを使用して、ぼけを生じさせる処理であるぼかし処理(すなわち、平滑化処理)などの画像処理を実行することができる。
【0003】
例えば、被写体までの奥行きを測定し、主たる被写体に焦点が合った状態のままで、その被写体の背景において、主たる被写体を基準とした奥行きに応じた度合いの平滑化処理を施す撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このような平滑化処理は、例えば、ポートレート写真の背景において、人物を引き立てる目的で施されることが多い。また、受光面積の小さい撮像素子を備えた撮像装置においては、その撮像素子の特性上、比較的ぼけの少ない画像が撮像されるため、遠近感を強調する目的で平滑化処理がよく用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−37767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術では、平滑化処理において、遠近感をさらに強調することができなかった。上述の撮像装置は、合焦位置からの距離に対して線形に平滑化処理の度合いを変化させている。しかし、合焦位置からの距離に対して非線形に平滑化処理の度合いを変化させると、遠近感がさらに強調される。例えば、合焦位置からの距離S1と、そのS1の倍の長さの距離S2とにおいて、平滑化処理の度合い(すなわち、ぼかし量)を設定する場合を考える。ここで、S1における被写体のぼかし量B1をS2における被写体のぼかし量B2の半分より大きくすると、遠近感がさらに強調される。このような遠近感の強調をユーザが手動で行うこともできるが、それには煩雑な操作が必要になる。
【0006】
本技術はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、画像における遠近感を画像処理によって強調する画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、画像を取得する画像取得部と、上記画像内の画素に対応付けられた奥行きを取得する奥行き取得部と、上記奥行きの増加に応じて非線形に所定値へ接近する特性を持つ関数に従って上記奥行きを変換する奥行き変換部と、上記変換された奥行きを上記画像に対応付けて記録する記録部とを具備する画像処理装置、および、その制御方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。これにより、奥行きの増加に応じて非線形に所定値へ接近する特性を持つ関数に従って変換された奥行きが画像に対応付けて記録されるという作用をもたらす。
【0008】
また、この第1の側面において、上記画像内の所定の画素に対応する上記変換された奥行きを基準として上記画像内の画素に対応する上記変換された奥行きに応じた度合いの平滑化処理を上記画像に対して実行する平滑化処理部をさらに具備してもよい。これにより、変換された奥行きに応じた度合いの平滑化処理が画像に対して実行されるという作用をもたらす。
【0009】
また、この第1の側面において、上記関数は、係数に応じて上記特性が変化する関数であり、上記平滑化処理部は、上記特性に従って変換された上記奥行きに基づいて上記平滑化処理を実行してもよい。これにより、係数に応じた特性に従って変換された奥行きに基づいて平滑化処理が実行されるという作用をもたらす。
【0010】
また、この第1の側面において、上記関数は、上記奥行きをx、出力をy、自然対数の底をe、所定の定数をα、上記係数をβとして、次式
y=α×e^(−βx)
により定義される指数関数であってもよい。これにより、上式により定義される関数に従って奥行きが変換されるという作用をもたらす。
【0011】
また、この第1の側面において、上記関数は、上記奥行きをx、出力をy、自然対数の底をe、所定の定数をα、上記係数をβとして、次式
y=α×{1−e^(−βx)}
により定義される指数関数であってもよい。これにより、上式により定義される関数に従って奥行きが変換されるという作用をもたらす。
【0012】
また、この第1の側面において、上記画像が撮影された撮影条件に応じて上記係数の値を供給する係数供給部をさらに具備してもよい。これにより、撮影条件に応じた係数が供給されるという作用をもたらす。
【0013】
また、この第1の側面において、上記記録部は、上記撮影条件をさらに上記画像に対応付けて記録し、上記係数供給部は、上記記録された撮影条件に応じて上記係数を供給してもよい。これにより、記録された撮影条件に応じた係数が供給されるという作用をもたらす。
【0014】
また、この第1の側面において、上記奥行き変換部は、上記変換した奥行きの値を画素値とする画素の集合を奥行き画像として生成してもよい。これにより、変換した奥行きの値を画素値とする画素の集合が奥行き画像として生成されるという作用をもたらす。
【0015】
また、この第1の側面において、上記奥行き画像を所定の画像圧縮形式に従って圧縮する圧縮部をさらに具備し、上記記録部は、上記圧縮された奥行き画像を上記画像に対応付けて記録してもよい。これにより、奥行き画像が画像圧縮されるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0016】
本技術によれば、画像処理装置が画像における遠近感を画像処理によって強調することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態における撮像装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態における画像処理装置の一構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態における階調値と被写体距離との関係の一例を示すグラフである。
【図4】第1の実施の形態における画像データおよび奥行き画像データの一例を示す図である。
【図5】第1の実施の形態における焦点距離と被写界深度との間の関係を説明するための図である。
【図6】第1の実施の形態における被写界深度と焦点距離、絞り値、被写体距離、および、係数βとの間の関係の一例を示す図である。
【図7】第1の実施の形態における被写界深度と焦点距離および被写体距離との間の関係の一例を示す図である。
【図8】第1の実施の形態におけるデータファイルのデータ構成の一例を示す図である。
【図9】第1の実施の形態における撮像装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】第1の実施の形態における撮像処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】第1の実施の形態における平滑化処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】第1の実施の形態における係数の調整範囲の一例を示すグラフである。
【図13】第1の実施の形態における撮像装置の一構成例を示す全体図である。
【図14】第1の実施の形態における変形例の階調値と被写体距離との関係の一例を示すグラフである。
【図15】第2の実施の形態における画像処理装置の一構成例を示すブロック図である。
【図16】第2の実施の形態における撮影モードがマクロモードであるときの階調値と被写体距離との関係の一例を示すグラフである。
【図17】第2の実施の形態における撮影モードが風景撮影モードであるときの階調値と被写体距離との関係の一例を示すグラフである。
【図18】第2の実施の形態における撮像処理の一例を示すフローチャートである。
【図19】第2の実施の形態における係数設定処理の一例を示すフローチャートである。
【図20】第3の実施の形態における画像処理装置の一構成例を示すブロック図である。
【図21】第3の実施の形態における付属情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図22】第3の実施の形態における撮像処理の一例を示すフローチャートである。
【図23】第3の実施の形態における平滑化処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(画像処理:奥行きデータを奥行き画像データに変換する例)
2.第2の実施の形態(画像処理:撮影モードに応じて係数の値を変更する例)
3.第3の実施の形態(画像処理:画像データの記録後に係数の値を変更する例)
【0019】
<1.第1の実施の形態>
[撮像装置の構成例]
図1は、第1の実施の形態における撮像装置100の一構成例を示すブロック図である。撮像装置100は、操作部110、撮影レンズ130、撮像素子140、アナログ信号処理部150、A/D(Analog/Digital)変換部160、画像メモリ170、および、ワークメモリ180を備える。さらに、撮像装置100は、画像データ記憶部190、表示部200、および、画像処理装置300を備える。画像処理装置300は、カメラ制御部310および撮像装置制御部320を備える。
【0020】
操作部110は、タッチパネルやボタンなどに対するユーザの操作に応じて操作信号を画像処理装置300に信号線111を介して出力するものである。操作の内容の詳細については後述する。
【0021】
撮影レンズ130は、画像を撮像するためのレンズである。撮像素子140は、撮影レンズ130からの光を電気信号に変換するものである。この撮像素子140は、変換後の電気信号をアナログ信号処理部150へ信号線141を介して出力する。アナログ信号処理部150は、電気信号に対して所定のアナログ信号処理を実行するものである。アナログ信号処理としては、アンプ雑音およびリセット雑音を除去するCDS(Correlated Double Sampling)や、増幅率を自動的に調節するAGC(Automatic Gain Control)などが実行される。このアナログ信号処理部150は、処理後の電気信号をA/D変換部160に信号線151を介して出力する。
【0022】
A/D変換部160は、アナログの電気信号をデジタル信号に変換するものである。このA/D変換部160は、変換後のデジタル信号を画像データとして画像処理装置300へ信号線161を介して出力する。A/D変換部160から出力された時点の画像データには、デモザイク処理や圧縮処理などの画像処理が施されていないため、このような画像データはRAW画像データとも呼ばれる。
【0023】
画像メモリ170は、画像データを一時的に保持するものである。ワークメモリ180は、撮像装置制御部320における作業内容を一時的に保持するものである。画像データ記憶部190は、画像データを記憶するものである。表示部200は、画像データに基づいて画像を表示するものである。
【0024】
カメラ制御部310は、撮像装置制御部320の制御に従ってズーム制御や露出制御を行ってA/D変換部160からの画像データを取得するものである。このカメラ制御部310は、取得した画像データから、その画像データにおける画素に対応付けて奥行きを取得する。カメラ制御部310は、その奥行きを所定の関数に従って変換する。変換方法の詳細については後述する。カメラ制御部310は、変換した奥行きを階調値とする画素から構成される画像を生成する。生成された画像は、画像内の被写体までの奥行きを、その被写体領域の画素の階調値により表した画像(以下、「奥行き画像」と称する。)となる。カメラ制御部310は、奥行き画像のデータを奥行き画像データとして画像データとともに撮像装置制御部320に出力する。
【0025】
撮像装置制御部320は、撮像装置100全体を制御するものである。詳細には、撮像装置制御部320は、操作部110からの操作信号に従ってカメラ制御部310を介してズーム制御や露出制御などを行う。そして、撮像装置制御部320は、カメラ制御部310から画像データおよび奥行き画像データを受け取り、その画像データに奥行き画像データを対応付けて画像データ記憶部190に記録する。また、撮像装置制御部320は、操作部110からの操作信号に従って、信号線302を介して画像データ記憶部190から画像データを読み出す。撮像装置制御部320は、対応する奥行き画像データに基づいて画像データに対して平滑化処理などの画像処理を実行する。画像処理の詳細については後述する。撮像装置制御部320は、画像処理後の画像データを画像データ記憶部190に記録するとともに、その画像データを表示部200に信号線303を介して出力して表示させる。
【0026】
[画像処理装置の構成例]
図2は、第1の実施の形態における画像処理装置300の一構成例を示すブロック図である。上述のように画像処理装置300は、カメラ制御部310および撮像装置制御部320を備える。カメラ制御部310は、レンズ駆動部311、画像取得部312、奥行き取得部313、奥行き変換部314、および、平滑化処理部315を備える。撮像装置制御部320は、操作信号解析部321、画像圧縮部322、奥行き画像データ付加部323、および、画像管理部324を備える。
【0027】
操作信号解析部321は、操作部110からの操作信号を解析するものである。ここで、ユーザは、操作部110を操作することにより、ズーム倍率や、平滑化処理における遠近感の強調の程度などを変更することができる。操作信号解析部321は、操作信号を解析して、ズーム倍率が変更されると、変更後のズーム倍率の値をレンズ駆動部311に出力する。また、操作信号解析部321は、遠近感の強調の程度が変更されると、変更後の強調の度合いを画像管理部324に出力する。
【0028】
レンズ駆動部311は、撮影レンズ130の位置を制御するものである。詳細には、レンズ駆動部311は、変更後のズーム倍率の値を操作信号解析部321から受け取ると、信号線301を介して撮影レンズ130の現在の位置を取得する。そして、レンズ駆動部311は、変更後のズーム倍率の値に基づいて撮影レンズ130の位置を制御する制御信号を撮影レンズ130に信号線301を介して出力する。
【0029】
画像取得部312は、撮像された画像データを取得するものである。取得された画像データは画像メモリ170に一時的に保持される。この画像取得部312は、取得した画像データを画像圧縮部322へ出力する。
【0030】
奥行き取得部313は、撮像された画像データにおける画素に対応付けて奥行きを取得するものである。例えば、奥行き取得部313は、セパレータレンズにより分けられた2つの画像における被写体のずれ(位相差)を検出して、検出した位相差から、その被写体までの距離を奥行きとして算出する。奥行き取得部313は、画素に対応付けて算出した奥行きを奥行きデータとして奥行き変換部314に出力する。なお、奥行き取得部313は、位相差検出以外の方法により奥行きを取得してもよい。例えば、奥行き取得部313は、被写体にレーザを照射し、そのレーザの反射光を検出して、照射時刻からの検出時刻の遅延時間に基づいて奥行きを計測してもよい。
【0031】
奥行き変換部314は、所定の関数に従って奥行きを変換するものである。そのような関数は、例えば、以下の式1および式2により定義される。ただし、式1において、xは奥行き、yは関数の出力(すなわち、変換後の奥行き)、eは自然対数の底、βは0より大きい実数の係数である。以下の式2において、nは1以上の整数(例えば、「16」)である。
y=αe^(−βx) ・・・式1
α=2^n−1 ・・・式2
【0032】
なお、奥行き変換部314は、式1により定義される関数以外の関数を使用して奥行きを変換することもできる。使用する関数は、奥行きxの増加に応じて出力yが所定値(例えば、0)に非線形に接近する特性を持つ関数が望ましい。例えば、奥行き変換部314は、式1を変形した式により定義される対数関数や後述する式12により定義される関数を使用することができる。
【0033】
奥行き変換部314は、係数βに所定の初期値を設定して奥行きxをyに変換し、yを階調値とする画素からなる画像データを生成する。奥行き変換部314は、その画像データを奥行き画像データとして奥行き画像データ付加部323へ出力する。なお、奥行き変換部314は、階調値に加えて色相(赤、緑、および、青など)をさらに含む画素値にyを変換してもよい。例えば、奥行き変換部314は、yの値が小さいほど赤に近く、大きいほど青に近くするなど、yに応じて色ごとに階調値を変更してもよい。
【0034】
画像圧縮部322は、所定の画像圧縮方式に従って画像データを必要に応じて圧縮するものである。画像圧縮処理において、画像圧縮部322は、ワークメモリ180を作業領域として使用する。また、画像圧縮方式としては、例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)が使用される。画像圧縮部322は、圧縮した画像データを奥行き画像データ付加部323へ出力する。
【0035】
なお、画像圧縮部322は、画像データを非圧縮のままで奥行き画像データ付加部323へ出力してもよい。また、画像圧縮部322は、奥行き画像データをさらに画像圧縮してもよい。この場合、奥行き画像データの圧縮方式は、画像データの圧縮方式と同一にすることが望ましい。
【0036】
奥行き画像データ付加部323は、画像圧縮部322からの画像データに、奥行き変換部314からの奥行き画像データを対応付けて記録するものである。奥行き画像データ付加部323は、例えば、Exif(Exchangeable image file format)規格における付属情報(すなわち、タグ)として奥行き画像データを画像データに付加することにより、両者を関連付ける。奥行き画像データ付加部323は、奥行き画像データを対応付けた画像データをデータファイルとして画像管理部324に出力する。なお、奥行き画像データ付加部323は、特許請求の範囲に記載の記録部の一例である。
【0037】
画像管理部324は、画像データを管理するものである。詳細には、画像管理部324は、奥行き画像データ付加部323が生成したデータファイルを画像データ記憶部190に記憶する。また、画像管理部324は、画像データ記憶部190から表示すべき画像データ含むデータファイルを読み出して、その画像データを表示部200に出力して表示させる。さらに、画像管理部324は、操作信号解析部321により遠近感の強調の程度の設定値が設定されると、平滑化処理の対象の画像データを含むデータファイルを画像データ記憶部190から読み出して設定値とともに平滑化処理部315へ出力する。そして、画像管理部324は、平滑化された画像データを平滑化処理部315から受け取って、画像データ記憶部190および表示部200に出力する。
【0038】
平滑化処理部315は、画像データに対して平滑化処理を実行するものである。具体的には、平滑化処理部315は、画像管理部324からデータファイルおよび設定値を受け取ると、そのデータファイル内の画像データに対して、奥行き画像データに基づいて平滑化処理を実行する。ただし、前述したように、遠近感の強調の程度は操作部110を介してユーザにより変更されうる。平滑化処理部315は、遠近感の強調の程度が変更されると、その変更に応じて式1における係数βの値を更新する。具体的には、ユーザが遠近感の強調の程度を強くした場合に係数βを大きくし、ユーザが遠近感の強調の程度を弱くした場合に係数βを小さくする。そして、平滑化処理部315は、更新後の係数βに基づいて奥行き画像データを更新してから、平滑化処理を実行する。平滑化処理において、平滑化処理部315は、奥行き画像データにおいて焦点とされた画素の階調値を基準として、その基準の階調値とそれぞれの画素の階調値との差分に応じた度合いの平滑化処理を画像データに対して実行する。平滑化処理部315は、平滑化した画像データを画像管理部324に出力する。
【0039】
図3は、第1の実施の形態における階調値と被写体距離との関係の一例を示すグラフである。同図における横軸は被写体距離、言い換えれば奥行きであり、縦軸は階調値である。奥行きの単位は、例えばメートル(m)とする。実線は、式1により定義される関数のグラフであり、一点鎖線は、以下の式3により定義される関数のグラフである。ただし、以下の式3におけるxは奥行き、yは関数の出力、γは0より大きい実数の係数である。
y=(2^16−1)−γx ・・・式3
式3により、奥行きは、奥行きの増加に応じて、線形に減少する階調値に変換される。
【0040】
ここで、平滑化処理における合焦位置の奥行きをxfとする。また、xfより長い奥行きをx1、そのx1よりさらに長い奥行きをx2とする。奥行きxf、x1、および、x2を式1に代入することにより得られた階調値yをyf_e、y1_e、および、y2_eとする。一方、奥行きxf、x1、および、x2を式3に代入することにより得られた
階調値yをyf_L、y1_L、および、y2_Lとする。そして、xfおよびx1の差分をΔx1、xfおよびx2の差分をΔx2とする。また、yf_eおよびy1_eの差分をΔy1_e、yf_eおよびy2_eの差分をΔy2_eとする。一方、yf_Lおよびy1_Lの差分をΔy1_L、yf_Lおよびy2_Lの差分をΔy2_Lとする。
【0041】
平滑化処理において、合焦位置の奥行きx_fに対応する階調値を基準として、画像内のそれぞれの画素に対応する階調値に応じた度合いの平滑化処理が実行される。例えば、以下の式4から、平滑化の度合いである、ぼかし(Blur)量Bが算出される。ただし、以下の式4において、Aは実数の係数であり、Δyは、合焦位置の階調値と、平滑化を行う位置における階調値との間の差分である。具体的には、Δy1_e、Δy2_e、Δy1_L、Δy2_LなどがΔyに入力される。
B=A×Δy ・・・式4
【0042】
平滑化処理は、例えば、以下の式5乃至式7により定義されるガウシアンフィルタを使用して実行される。ただし、以下の式5におけるI(xp+k,yp+l)は、平滑化処理前の座標(xp+k,yp+l)における画素の画素値である。rは、ガウシアンフィルタの半径であり、0以上の整数である。w(k,l)は、画素値I(xp+k,yp+l)に乗算すべき重み係数である。また、以下の式6におけるσは標準偏差であり、所定の実数が設定される。以下の式5および式6により、ガウシアンフィルタの中心に近いほど高く、周辺に近いほど小さい重み係数が設定される。以下の式7における「round()」は、かっこ内の数値に対して所定の端数処理を実行して0以上の整数値を返す関数である。例えば、端数処理として、小数点以下を四捨五入する処理や小数点以下を切り捨てる処理が実行される。なお、平滑化処理部315は、ガウシアンフィルタ以外のフィルタ(例えば、平均フィルタ)を使用して平滑化処理を実行してもよい。
【数1】

【数2】

r=round(B/2) ・・・式7
【0043】
式3を使用する場合、奥行きの差分に比例した度合いの平滑化処理が実行される。例えば、Δy1_Lに対するΔy2_Lの比率は、Δx1に対するΔx2の比率に等しい。このため、x1における被写体のぼかし量B1_Lに対するx2における被写体のぼかし量B2_Lの比率は、Δx1に対するΔx2の比率と等しくなる。
【0044】
一方、式1を使用する場合、奥行きの差分に対して非線形な、ぼかし量が設定される。例えば、Δy1_Lに対するΔy2_Lの比率は、Δx1に対するΔx2の比率より大きい。このため、x1における被写体のぼかし量B1_eに対するx2における被写体のぼかし量B2_eの比率は、Δx1に対するΔx2の比率より大きくなる。この結果、式3を使用した場合と比較して、遠近感がさらに強調される。式1における係数βの値を変更することにより、式1の特性が変化し、遠近感の強調の程度が容易に変更される。具体的には、係数βを大きくするほど、遠近感の強調の程度が強くなり、小さくするほど、遠近感の強調の程度が弱くなる。
【0045】
図4は、第1の実施の形態における画像データおよび奥行き画像データの一例を示す図である。図4(a)は、画像データ500の一例である。図4(b)は、式1を使用して生成された奥行き画像データ510の一例である。画像データ500には、立方体501が写っている。奥行き画像データには、取得された奥行きに応じた階調値が設定される。例えば、立方体501に対応する立方体511の頂点は奥行きが最も小さいため、その部分の階調値に最大値が設定されて明るくなっている。一方、奥行きが最も大きい背景の階調値に最小値が設定されていて暗くなっている。
【0046】
図5は、第1の実施の形態における焦点距離fと被写界深度DOFとの間の関係を説明するための図である。焦点距離fとは、撮影レンズ130の中心から焦点までの距離である。被写界深度DOF(Depth of Field)とは、被写体を奥行き方向に沿って動かしても、画像において焦点が合った状態が維持される範囲である。焦点距離fおよび被写界深度DOFの範囲は、例えばメートル(m)である。被写界深度DOFが浅いほど、焦点が合っていない領域において、ぼけ量が大きくなる。被写界深度DOFのうち、被写体の前方において焦点の合う範囲を前方被写界深度DNという。一方、被写界深度DOFのうち、被写体の後方において焦点の合う範囲を後方被写界深度DFという。
【0047】
ここで、ある奥行きの被写体に焦点を合わせたときに、無限遠が被写界深度DOFの後端ぎりぎりにはいる奥行きを過焦点距離Hという。この過焦点距離Hは、以下の式8により表わされる。ただし、以下の式8において、Nは、絞り値である。また、cは、画像において、ぼけが許容される許容錯乱円の直径である。
H=f^2/(Nc) ・・・式8
【0048】
そして、被写界深度DOFは、以下の式9乃至式11により求められる。
【数3】

【数4】

DOF=DF+DN・・・式11
【0049】
図6は、第1の実施の形態における被写界深度DOFと焦点距離f、絞り値N、被写体距離f、および、係数βとの間の関係の一例を示す図である。式8乃至式11より、焦点距離fが長いほど、また、絞り値Nが大きいほど、被写界深度DOFが浅くなり、ぼけ量が大きくなる。そして、被写体距離xが近いほど過焦点距離Hが小さくなり、式8乃至式11より被写界深度DOFが浅くなる。一方、式1より、係数βが大きいほど、ぼけ量が大きくなる。このように、係数βを変えることにより、焦点距離f、絞り値N、および、被写体距離xを変更することなく、ぼけ量を変更することができる。
【0050】
図7は、式5乃至式7に基づいて、被写界深度DOFと焦点距離fおよび被写体距離xとの間の関係を図示したグラフである。円形のプロットは、焦点距離fが100mの場合のプロットである。四角形のプロットは、焦点距離fが80mの場合のプロットである。三角形のプロットは、焦点距離fが50mの場合のプロットである。Fナンバーは、3.5で固定されている。同図に示すように、Fナンバーを一定値にした場合、被写体距離xが小さいほど、また、焦点距離fが長いほど、被写界深度DOFが浅くなることがわかる。
【0051】
[データファイルの構造]
図8は、第1の実施の形態におけるデータファイルのデータ構成の一例を示す図である。このデータファイルは、例えば、Exif規格に従って作成されたデータファイルである。
【0052】
データファイルには、圧縮データスタート(SOI)、アプリケーション・マーカセグメント1(APP1)、量子化テーブル(DQT)、ハフマンテーブル(DHT)が順に記録される。そして、フレームヘッダ(SOF)、スキャンヘッダ(SOS)に続いて圧縮データの本体が記録され、圧縮データ終了(EOI)が記録される。この圧縮データは、画像データをJEPG規格などの圧縮形式に従って圧縮したデータである。そして、画像処理装置300において生成された奥行き画像データは、圧縮データ終了(EOI)の次に記録される。なお、画像処理装置300は、奥行き画像データを、Exif規格におけるEOIの次に記録しているが、画像データと関連付けることができるのであれば、奥行き画像データを他の領域に記録してもよい。
【0053】
APP1は、Exif付属情報を記録する領域である。このAPP1では、APP1マーカー(APP1Marker)に続いてAPP1長(APP1Length)が定義される。そして、Exif識別コードに続いて、TIFFヘッダー(TIFF Header)、主画像IFD(0th IFD)、および、主画像IFDの値(0th IFD Value)などが記録される。
【0054】
[撮像装置の動作例]
図9は、第1の実施の形態における撮像装置100の動作の一例を示すフローチャートである。この動作は、例えば、撮像装置100に電源が投入されたときに開始する。撮像装置100は、自身の現在の状態が静止画の撮影モードであるか否かを判断する(ステップS910)。静止画の撮影モードであれば(ステップS910:Yes)、撮像装置100は、被写体の撮像を行うための撮像処理を実行する(ステップS920)。
【0055】
静止画の撮影モードでない場合(ステップS910:No)、またはステップS920の後、撮像装置100は、自身の現在の状態が静止画の編集モードであるか否かを判断する(ステップS930)。静止画の編集モードであれば(ステップS930:Yes)、撮像装置100は、平滑化処理を実行する(ステップS940)。静止画の編集モードでない場合(ステップS930:No)、またはステップS940の後、撮像装置100は、ステップS910に戻る。
【0056】
図10は、第1の実施の形態における撮像処理の一例を示すフローチャートである。撮像装置100は、シャッターボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS921)。シャッターボタンが押下されたのであれば(ステップS921:Yes)、撮像装置100における画像処理装置300が画像データを取得する(ステップS922)。
【0057】
シャッターボタンが押下されていない場合(ステップS921:No)、またはステップS922の後、画像処理装置300は、画像データに基づいて奥行きデータを生成する(ステップS923)。そして、画像処理装置300は、式1を使用して、奥行きデータから奥行き画像データを生成する(ステップS924)。画像処理装置300は、画像データを必要に応じて圧縮する(ステップS925)。画像処理装置300は、奥行き画像データを画像データに付加して記録する(ステップS926)。ステップS926の後、撮像装置100は、撮像処理を終了する。
【0058】
図11は、第1の実施の形態における平滑化処理の一例を示すフローチャートである。撮像装置100は、平滑化処理を行うべき画像データを選択する処理を受け付ける(ステップS941)。撮像装置100は、画像データが選択されたか否かを判断する(ステップS942)。画像データが選択されていなければ(ステップS942:No)、撮像装置100はステップS942に戻る。画像データが選択されたのであれば(ステップS942:Yes)、撮像装置100は、遠近感の強調の程度として、平滑化処理の度合いを設定する操作を受け付ける(ステップS943)。そして、撮像装置100は、度合いが設定されたか否かを判断する(ステップS944)。
【0059】
度合いが設定されたのであれば(ステップS944:Yes)、撮像装置100における画像処理装置300は、度合いの設定値に従って係数βを変更する(ステップS945)。画像処理装置300は、変更後の係数βに基づいて奥行き画像データを更新する(ステップS946)。画像処理装置300は、更新後の奥行き画像データに基づいて画像データに平滑化処理を施す(ステップS947)。撮像装置100は、平滑化処理後の画像データを表示する(ステップS948)。
【0060】
度合いが設定されていない場合(ステップS944:No)、または、ステップS948の後、撮像装置100は、編集終了の操作が行われたか否かを判断する(ステップS949)。編集終了の操作が行われていなければ(ステップS949:No)、撮像装置100はステップS944に戻る。編集終了の操作が行われていれば(ステップS949:Yes)、撮像装置100は、平滑化処理後の画像データを保存する(ステップS950)。ステップS950の後、撮像装置100は平滑化処理を終了する。
【0061】
図12は、第1の実施の形態における係数βの調整範囲の一例を示すグラフである。一定の範囲内で係数βの値を変更することにより、式1の関数の特性が変化する。係数βを大きくするほど、式1の関数の曲線がy=0の直線に接近する。この結果、遠近感の強調の程度が強くなる。逆に、係数βを小さくするほど、遠近感の強調の程度が弱くなる。
【0062】
図13は、第1の実施の形態における撮像装置100の一構成例を示す全体図である。図13(a)は、撮像装置100の上面および前面の一例を示す図であり、図13(b)は撮像装置100の背面の一例を示す図である。撮像装置100の上面には、ズームレバー101、シャッターボタン102、再生ボタン103、および、パワーボタン104が設けられている。撮像装置100の前面には、撮影レンズ105、AF(Auto Focus)イルミネータ106、および、レンズカバー107が設けられている。撮像装置100の背面には、タッチスクリーン108が設けられている。
【0063】
ズームレバー101は、ズーム制御の操作を行うためのボタンである。シャッターボタン102は、被写体の撮像を行うためのボタンである。再生ボタン103は、画像データを表示させるためのボタンである。パワーボタン104は、撮像装置の電源をオンまたはオフするためのボタンである。撮影レンズ105は、画像を撮像するためのレンズである。AFイルミネータ106は、オートフォーカス機能がオンであるときに発光するものである。レンズカバー107は、レンズを覆う位置まで可動可能な、レンズを保護するための部品である。タッチスクリーン108は、指などで触れることにより撮像装置100の操作を行うことのできるディスプレイである。
【0064】
図13におけるズームレバー101、シャッターボタン102、再生ボタン103、および、パワーボタン104は、図1における操作部110を構成する。図13におけるタッチスクリーン108は、図13における操作部110および表示部200を構成する。
【0065】
このように、本技術の第1の実施の形態によれば、画像処理装置300が、画像および奥行きを取得し、奥行きの増加に応じて非線形に所定値へ接近する特性を持つ関数に従って、その奥行きを変換する。画像処理装置300は、変換した奥行きを画像に対応付けて記録する。この変換後の奥行きに基づいて画像処理装置300が平滑化処理を行うことによって、奥行きに比例した度合いの平滑化処理を行うよりも、遠近感を強調することができる。
【0066】
[第1の変形例]
図14を参照して、第1の実施の形態における第1の変形例について説明する。第1の変形例の画像処理装置300は、奥行きxが増加するほど、階調値yが増加するように奥行きを変換する点において第1の実施の形態と異なる。第1の変形例の画像処理装置300は、例えば式1に代えて以下の式12を使用して奥行きを変換する。
y=α{1−e^(−βx)} ・・・式12
【0067】
図14は、第1の変形例の階調値yと被写体距離(奥行き)xとの関係の一例を示すグラフである。第1の実施の形態においては、式1を使用して、奥行きxの増加に応じて非線形に減少する階調値yに奥行きが変換されていた。これに対して、式12を使用した場合、図14に示すように、奥行きxの増加に応じて非線形に増加する階調値yに奥行きxが変換される。
【0068】
<2.第2の実施の形態>
[画像処理装置の構成例]
次に、図15乃至図19を参照して、本技術の第2の実施の形態について説明する。図15は、第2の実施の形態における画像処理装置300の一構成例を示すブロック図である。上述のように画像処理装置300は、カメラ制御部310および撮像装置制御部320を備える。第2の実施の形態の画像処理装置300は、カメラ制御部310において係数供給部316をさらに備える点において第1の実施の形態と異なる。また、第2の実施の形態の操作信号解析部321は、撮影条件のうちの撮影モードを、さらに係数供給部316に出力する。撮影モードは、撮影対象の種類や撮影対象までの距離などの撮影条件を示す情報である。例えば、撮影モードは、マクロモード、風景撮影モード、および、標準モードを含む。マクロモードは、レンズに近い被写体を撮影するためのモードである。風景撮影モードは、遠くの被写体を撮影するためのモードである。標準モードは、マクロモードおよび風景撮影モードの中間の距離における被写体を撮影するためのモードである。
【0069】
係数供給部316は、撮影条件に応じて係数βを供給するものである。この係数供給部316には、予め、撮影モードごとに係数βの値が設定されている。係数供給部316は、操作信号解析部321から撮影モードを受け取り、その撮影モードに対応する係数βを奥行き変換部314に出力する。例えば、マクロモードの場合に標準モードにおける設定値より大きな値が設定され、風景撮影モードの場合に標準モードにおける設定値より小さな値が設定される。奥行き変換部314は、係数供給部316からの係数βの値を式12に代入して奥行きを変換する。
【0070】
図16は、第2の実施の形態における撮影モードがマクロモードであるときの階調値と被写体距離との関係の一例を示すグラフである。前述したようにマクロモードにおいて係数βには、標準モードの設定値よりも大きい値が設定される。このため、遠近感の強調の程度が比較的強くなる。例えば、Δy1_eに対するΔy2_eの比率が標準モードの場合よりも大きくなり、x1における被写体のぼかし量が相対的に大きくなる。
【0071】
図17は、第2の実施の形態における撮影モードが風景撮影モードであるときの階調値と被写体距離との関係の一例を示すグラフである。前述したように風景撮影モードにおいて係数βには、標準モードの設定値よりも小さい値が設定される。このため、遠近感の強調の程度が比較的弱くなる。例えば、Δy1_eに対するΔy2_eの比率が標準モードの場合よりも小さくなり、x1における被写体のぼかし量が相対的に小さくなる。
【0072】
[撮像装置の動作例]
図18は、第2の実施の形態における撮像処理の一例を示すフローチャートである。第2の実施の形態における撮像処理は、ステップS923の後に係数設定処理(ステップS960)がさらに実行される点において第1の実施の形態と異なる。ステップS960の後、撮像装置100は、ステップS924を実行する。
【0073】
図19は、第2の実施の形態における係数設定処理の一例を示すフローチャートである。画像処理装置300は、係数βに初期値を設定する。ここで、初期値は、例えば、標準モードにおける設定値である(ステップS961)。画像処理装置300は、撮影モードがマクロモードであるか否かを判断する(ステップS962)。マクロモードでなければ(ステップS962:No)、画像処理装置300は、撮影モードが風景撮影モードであるか否かを判断する(ステップS962)。風景撮影モードであれば(ステップS962:Yes)、画像処理装置300は、係数βの値を初期値より小さな値に変更する(ステップS964)。マクロモードであれば(ステップS962:Yes)、画像処理装置300は、係数βの値を初期値より大きな値に変更する(ステップS965)。
【0074】
風景撮影モードでない場合(ステップS963:No)、ステップS964、またはステップS965の後、画像処理装置300は、係数設定処理を終了する。
【0075】
このように、本技術の第2の実施の形態によれば、係数供給部316が撮影条件に応じて係数βを供給し、奥行き変換部314が、供給された係数βに基づいて奥行きを変換する。係数βに応じて関数の特性が変化するため、撮影条件に応じた特性の関数により奥行きが変換される。この結果、変換後の奥行きに基づいて、撮影条件に適した平滑化処理が実行される。
【0076】
<3.第3の実施の形態>
[画像処理装置の構成例]
次に、図20乃至図23を参照して、本技術の第3の実施の形態について説明する。図20は、第3の実施の形態における画像処理装置300の一構成例を示すブロック図である。上述のように画像処理装置300は、カメラ制御部310および撮像装置制御部320を備える。第3の実施の形態の画像処理装置300は、係数供給部316が画像データの記録後に撮影モードに応じて係数を供給する点において第1の実施の形態と異なる。また、第3の実施の形態の操作信号解析部321は、撮影モードを奥行き画像データ付加部323にさらに出力する。第3の実施の形態の奥行き画像データ付加部323は、撮影モードを画像データにさらに付加して画像データ記憶部190に記録する。画像管理部324は、画像データを読み出したとき、画像データに付加された撮影モードを係数供給部316に出力する。
【0077】
第3の実施の形態の係数供給部316は、画像管理部324から撮影モードを受け取り、その撮影モードに応じた係数βを平滑化処理部315へ出力する。
【0078】
[データファイルの構造]
図21は、第3の実施の形態におけるデータファイル内の付属情報のデータ構造の一例を示す図である。アプリケーション・マーカセグメント1(APP1)内の0th IFDに画像データの付属情報(タグ)が記録される。付属情報は、バージョンに関するタグ、ユーザ情報に関するタグ、撮影条件に関するタグなどの区分に分けられる。バージョンに関するタグは、Exifバージョンおよび対応フラッシュトピックスバーションである。ユーザ情報に関するタグは、メーカーノートおよびユーザコメントなどである。撮影条件に関するタグは、露出時間、Fナンバー、撮影シーンタイプ、および、被写体距離レンジなどである。ここで、撮影シーンタイプの領域には、撮影対象が標準、風景、および、人物などのうちのいずれであるかが記録される。また、被写体距離レンジの領域には、被写体までの距離が、マクロ、近景、および、遠景のうちのいずれに区分されるかが記録される。
【0079】
第3の実施の形態においては、撮影モードとして、例えば、標準モード、風景撮影モード、および、マクロモードが設定される。これらの撮影モードに関する情報は、撮影シーンタイプおよび被写体距離レンジの領域に記録される。なお、画像処理装置300は、撮影モードに関する情報を、メーカーノートの領域など、別の領域に記録してもよい。
【0080】
[撮像装置の動作例]
図22は、第3の実施の形態における撮像処理の一例を示すフローチャートである。第3の実施の形態における撮像処理は、ステップS926の後、画像処理装置300が撮影モードを画像データに付加する(ステップS927)点において、第1の実施の形態と異なる。ステップS927の後、撮像装置100は、撮像処理を終了する。
【0081】
図23は、第3の実施の形態における平滑化処理の一例を示すフローチャートである。第3の実施の形態における平滑化処理は、画像データが選択された場合に(ステップS942:Yes)画像処理装置300が係数設定処理(ステップS960)をさらに実行する点において第1の実施の形態と異なる。この係数設定処理(ステップS960)は、第2の実施の形態における係数設定処理と同様の処理である。ステップS960の後、画像処理装置300は、平滑化処理の度合いを設定する操作を受け付ける(ステップS943)。
【0082】
このように、第3の実施の形態によれば、奥行き画像データ付加部323が撮影条件を画像データに付加して記録し、その撮影条件を係数供給部316が読み出して、撮影条件に応じた係数を供給する。係数βに応じて関数の特性が変化するため、撮影条件に応じた特性の関数により奥行きが変換される。この結果、変換後の奥行きに基づいて、撮影条件に適した平滑化処理が実行される。
【0083】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0084】
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリ等を用いることができる。
【0085】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)画像を取得する画像取得部と、
前記画像内の画素に対応付けられた奥行きを取得する奥行き取得部と、
前記奥行きの増加に応じて非線形に所定値へ接近する特性を持つ関数に従って前記奥行きを変換する奥行き変換部と、
前記変換された奥行きを前記画像に対応付けて記録する記録部と
を具備する画像処理装置。
(2)前記画像内の所定の画素に対応する前記変換された奥行きを基準として前記画像内の画素に対応する前記変換された奥行きに応じた度合いの平滑化処理を前記画像に対して実行する平滑化処理部をさらに具備する
前記(1)記載の画像処理装置。
(3)前記関数は、係数に応じて前記特性が変化する関数であり、
前記平滑化処理部は、前記特性に従って変換された前記奥行きに基づいて前記平滑化処理を実行する
前記(2)記載の画像処理装置。
(4)前記関数は、前記奥行きをx、出力をy、自然対数の底をe、所定の定数をα、前記係数をβとして、次式
y=α×e^(−βx)
により定義される指数関数である
前記(3)記載の画像処理装置。
(5)前記関数は、前記奥行きをx、出力をy、自然対数の底をe、所定の定数をα、前記係数をβとして、次式
y=α×{1−e^(−βx)}
により定義される指数関数である
前記(3)記載の画像処理装置。
(6)前記画像が撮影された撮影条件に応じて前記係数の値を供給する係数供給部をさらに具備する
前記(3)乃至(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
(7)前記記録部は、前記撮影条件をさらに前記画像に対応付けて記録し、
前記係数供給部は、前記記録された撮影条件に応じて前記係数を供給する
前記(6)記載の画像処理装置。
(8)前記奥行き変換部は、前記変換した奥行きの値を画素値とする画素の集合を奥行き画像として生成する
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の画像処理装置。
(9)前記奥行き画像を所定の画像圧縮形式に従って圧縮する圧縮部をさらに具備し、
前記記録部は、前記圧縮された奥行き画像を前記画像に対応付けて記録する
前記(8)記載の画像処理装置。
(10)画像取得部が、画像を取得する画像取得手順と、
奥行き取得部が、前記画像内の画素に対応付けられた奥行きを取得する奥行き取得手順と、
奥行き変換部が、前記奥行きの増加に応じて非線形に所定値へ接近する特性を持つ関数に従って前記奥行きを変換する奥行き変換手順と、
記録部が、前記変換された奥行きを前記画像に対応付けて記録する記録手順と
を具備する画像処理装置の制御方法。
(11)画像取得部が、画像を取得する画像取得手順と、
奥行き取得部が、前記画像内の画素に対応付けられた奥行きを取得する奥行き取得手順と、
奥行き変換部が、前記奥行きの増加に応じて非線形に所定値へ接近する特性を持つ関数に従って前記奥行きを変換する奥行き変換手順と、
記録部が、前記変換された奥行きを前記画像に対応付けて記録する記録手順と
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0086】
100 撮像装置
101 ズームレバー
102 シャッターボタン
103 再生ボタン
104 パワーボタン
105、130 撮影レンズ
106 AFイルミネータ
107 レンズカバー
108 タッチスクリーン
110 操作部
140 撮像素子
150 アナログ信号処理部
160 A/D変換部
170 画像メモリ
180 ワークメモリ
190 画像データ記憶部
200 表示部
300 画像処理装置
310 カメラ制御部
311 レンズ駆動部
312 画像取得部
313 奥行き取得部
314 奥行き変換部
315 平滑化処理部
316 係数供給部
320 撮像装置制御部
321 操作信号解析部
322 画像圧縮部
323 奥行き画像データ付加部
324 画像管理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を取得する画像取得部と、
前記画像内の画素に対応付けられた奥行きを取得する奥行き取得部と、
前記奥行きの増加に応じて非線形に所定値へ接近する特性を持つ関数に従って前記奥行きを変換する奥行き変換部と、
前記変換された奥行きを前記画像に対応付けて記録する記録部と
を具備する画像処理装置。
【請求項2】
前記画像内の所定の画素に対応する前記変換された奥行きを基準として前記画像内の画素に対応する前記変換された奥行きに応じた度合いの平滑化処理を前記画像に対して実行する平滑化処理部をさらに具備する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記関数は、係数に応じて前記特性が変化する関数であり、
前記平滑化処理部は、前記特性に従って変換された前記奥行きに基づいて前記平滑化処理を実行する
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記関数は、前記奥行きをx、出力をy、自然対数の底をe、所定の定数をα、前記係数をβとして、次式
y=α×e^(−βx)
により定義される指数関数である
請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記関数は、前記奥行きをx、出力をy、自然対数の底をe、所定の定数をα、前記係数をβとして、次式
y=α×{1−e^(−βx)}
により定義される指数関数である
請求項3記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像が撮影された撮影条件に応じて前記係数の値を供給する係数供給部をさらに具備する
請求項3記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記記録部は、前記撮影条件をさらに前記画像に対応付けて記録し、
前記係数供給部は、前記記録された撮影条件に応じて前記係数を供給する
請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記奥行き変換部は、前記変換した奥行きの値を画素値とする画素の集合を奥行き画像として生成する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記奥行き画像を所定の画像圧縮形式に従って圧縮する圧縮部をさらに具備し、
前記記録部は、前記圧縮された奥行き画像を前記画像に対応付けて記録する
請求項8記載の画像処理装置。
【請求項10】
画像取得部が、画像を取得する画像取得手順と、
奥行き取得部が、前記画像内の画素に対応付けられた奥行きを取得する奥行き取得手順と、
奥行き変換部が、前記奥行きの増加に応じて非線形に所定値へ接近する特性を持つ関数に従って前記奥行きを変換する奥行き変換手順と、
記録部が、前記変換された奥行きを前記画像に対応付けて記録する記録手順と
を具備する画像処理装置の制御方法。
【請求項11】
画像取得部が、画像を取得する画像取得手順と、
奥行き取得部が、前記画像内の画素に対応付けられた奥行きを取得する奥行き取得手順と、
奥行き変換部が、前記奥行きの増加に応じて非線形に所定値へ接近する特性を持つ関数に従って前記奥行きを変換する奥行き変換手順と、
記録部が、前記変換された奥行きを前記画像に対応付けて記録する記録手順と
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図4】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−46209(P2013−46209A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182518(P2011−182518)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】