画像処理装置、およびその制御方法
【課題】光学変倍が可能な画像読取装置を用いて変倍を行う際に、原稿に埋め込まれたコード化情報の解析をより高精度に行えるように制御可能な画像処理装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】光学変倍可能なスキャナ0113から画像を受取る画像処理装置であって、受取った画像をデジタル変倍する画像変倍部0260と、受取った画像からコード化情報を検出する情報検出部0270とを備える。変倍率が、光学変倍に適した変倍率では無い場合では、光学変倍の代わりに、受け取った画像をデジタル変倍する。情報検出部0270は、受取った画像に対するデジタル変倍を受ける前に、受取った画像からコード化情報を検出する。
【解決手段】光学変倍可能なスキャナ0113から画像を受取る画像処理装置であって、受取った画像をデジタル変倍する画像変倍部0260と、受取った画像からコード化情報を検出する情報検出部0270とを備える。変倍率が、光学変倍に適した変倍率では無い場合では、光学変倍の代わりに、受け取った画像をデジタル変倍する。情報検出部0270は、受取った画像に対するデジタル変倍を受ける前に、受取った画像からコード化情報を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置およびその制御方法に関し、より詳細には、セキュリティ付加情報等のコード化情報が埋め込まれた原稿を拡大または縮小してスキャンを行う場合、原稿に埋め込まれたコード化情報を確実にデコード可能にする画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスのIT化の促進に伴い、セキュリティに対する関心が近年高まってきている。例えば、企業が保持している顧客情報の漏洩事件が度々発生するなど、組織の機密や、個人のプライバシが脅かされており、大きな社会問題になっている。
【0003】
これらの問題に対処するために、電子化された機密情報のアクセス権限や、ファイアウォールに監視装置を設けるなどのIT(Information Technology)メカニズムを導入することにより、企業外への漏洩を防ぐ対処が行われている。あるいはノートPCやUSBメモリなどの可搬媒体のオフィスへの持ち込み、持ち出しを禁止するなどの措置が取られている。電子化された機密情報の場合、上記のようなITメカニズムを用いた対策を実施することによってある程度の漏洩をガードすることが可能である。これは電子情報の場合、ITを使ってのみ参照可能であり、そこにメカニズムを導入しやすいという性質があるためである。
【0004】
一方、機密情報を画像形成装置などで用紙媒体に印刷した場合、組織の機密や個人のプライベート情報が印刷された用紙の持ち出しを確認・禁止する際は、上記のような従来のITメカニズムを迂回することが可能である。 そのため、電子化された機密情報の持ち出しを制限することよりもより困難であり、セキュリティの維持を難しくしている。
【0005】
この課題に対処するために、従来さまざまな情報漏洩対策手段が考案されている。
第1の情報漏洩対策手段として、既知の電子透かし(ウォーターマーク)技術や2次元バーコードなどの情報埋め込み技術を用いて、印刷時に用紙媒体そのものに本体の画像(原稿画像)に加えて、追跡情報を埋め込むシステムが従来考案されている。これらのシステムによれば、仮に用紙媒体による情報漏洩が発生した場合、漏洩した原稿を解析することによって、上記追跡情報を抽出することが可能である。よって不用意な原稿持ち出しについて追跡情報から責任追及することが可能となり、抑止効果を期待することができる。
【0006】
さらに従来の第2の情報漏洩対策手段として、既知の電子透かし(ウォーターマーク)技術や2次元バーコード技術を用いて、印刷を実施する際に用紙媒体そのものにコピーを禁止する複写制限情報を埋め込むシステムが考案されている。このシステムにおいては対応した画像形成装置において複写実施時に、当該複写制限情報を抽出することによってコピーの可否を検知し、それによってコピーの継続、中止をページ毎に制御することが可能であった。また単純な是非だけの複写制限だけではなく、パスワード情報や許可ユーザ情報を条件情報として埋め込み、特定のユーザにのみ複写を許可する方式も提案されている。この種のシステムとしては特許文献1に開示されている。なお、上記追跡情報および複写制限情報を総称して今後「セキュリティ付加情報」と呼ぶこととする。
【0007】
さて、従来、変倍コピーを行う場合には、原稿に対してセキュリティ付加情報が埋め込まれている、あるいは埋め込まれていないに関わらず、原稿の給紙方向(副走査方向)と、給紙方向に直交する方向(主走査方向)とに対して異なる変倍処理を行っている。すなわち、原稿の給紙方向(副走査方向)の変倍は、スキャンする速度を変えることで変倍を実現するいわゆる光学変倍である。一方、給紙方向に直交する方向(主走査方向)への変倍は、スキャナより得られたデジタル画像データに対してデジタル変倍処理を組み合わせることで実施している。このように、副走査方向に対する変倍は光学変倍を使用することで、副走査方向の変倍にもデジタル変倍を実施する場合に比べて、変倍による画質劣化を抑えることが出来る。
【0008】
一方、この変倍コピー時に原稿に埋め込まれたセキュリティ付加情報を抽出するためには、変倍されていない(等倍の)デジタル画像データを抽出用画像データとして用いることが望ましい。そのため光学変倍により副走査方向に対して変倍された画像を、セキュリティ付加情報の抽出用として別途等倍に戻す処理(「逆変倍処理」とも呼ぶ)を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−280469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の技術において、光学変倍において任意の倍率の変倍を許してしまうと、等倍に戻す逆変倍処理において、演算誤差により原稿に埋め込まれたセキュリティ付加情報が消失してしまう恐れがある。
【0011】
上述のように変倍を行う際に画質の劣化を抑えることを考慮すると、光学変倍の方が、デジタル変倍のように間引きや補間を行わないので好ましい。しかしながら、例えば、セキュリティ付加情報として低可視バーコードが埋め込まれた原稿に対して光学変倍を行うと、該光学変倍を行って取得された画像データにおいては、副走査方向のグリッド間隔が変倍率に応じて変わってしまう。また、変倍率によってはドットが消失してしまう可能性がある。
【0012】
このように、通常の原稿に対して変倍を行う際には画質の劣化を抑えることができるので光学変倍が有効である。しかしながら、セキュリティ付加情報等のコード化情報が埋め込まれた原稿に対して変倍を行う場合には、該原稿の印刷物からコード化情報を読取る際に解析が行えなかったり、解析精度が低下してしまう可能性がある。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものである。その目的は、光学変倍が可能な画像読取装置を用いて変倍を行う際に、原稿に埋め込まれたコード化情報の解析をより高精度に行えるように制御可能な画像処理装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために、本発明は、光学変倍可能な画像読取装置から画像を受取る画像処理装置であって、前記受取った画像をデジタル変倍する手段と、前記受取った画像からコード化情報を検出する手段とを備え、変倍率が、光学変倍した画像を再び等倍に戻す際に演算誤差が生じない変倍率では無い場合では、前記光学変倍の代わりに、前記デジタル変倍する手段によって、前記受け取った画像をデジタル変倍し、前記検出する手段は、前記受取った画像に対する前記デジタル変倍する手段でのデジタル変倍を受ける前に、前記受取った画像から前記コード化情報を検出することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、光学変倍可能な画像読取装置から画像を受取る画像処理装置であって、設定された変倍率を取得する手段と、前記受取った画像にコード化情報が含まれているか否かを判断する手段と、前記受取った画像をデジタル変倍する手段と、前記受取った画像からコード化情報を検出する手段と、前記判断する手段が、前記受取った画像に前記コード化情報が含まれていると判断し、かつ前記取得する手段が取得した変倍率が、光学変倍した画像を再び等倍に戻す際に演算誤差が生じない変倍率である場合には、前記画像読取装置に対して、光学変倍処理を指示する手段と、前記判断する手段が、前記受取った画像に前記コード化情報が含まれていると判断し、かつ前記取得する手段が取得した変倍率が、光学変倍した画像を再び等倍に戻す際に演算誤差が生じない変倍率以外の変倍率である場合には、前記画像読取装置に対して、光学変倍処理ではなく、等倍による読取動作を指示する手段とを備え、前記画像読取装置にて前記等倍による読取動作の指示に従って取得された画像を前記画像読取装置から受取ると、前記検出する手段は、前記取得された画像から前記コード化情報を検出し、前記デジタル変倍する手段は、前記取得された画像をデジタル変倍することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、光学変倍可能な画像読取装置から画像を受取る画像処理装置の制御方法であって、設定された変倍率を取得する工程と、前記受取った画像にコード化情報が含まれているか否かを判断する工程と、前記判断する工程が、前記受取った画像に前記コード化情報が含まれていると判断し、かつ前記取得する工程が取得した変倍率が、光学変倍した画像を再び等倍に戻す際に演算誤差が生じない変倍率である場合には、前記画像読取装置に対して、光学変倍処理を指示する工程と、前記判断する工程が、前記受取った画像に前記コード化情報が含まれていると判断し、かつ前記取得する工程が取得した変倍率が、光学変倍した画像を再び等倍に戻す際に演算誤差が生じない変倍率以外の変倍率である場合には、前記画像読取装置に対して、光学変倍処理ではなく、等倍による読取動作を指示する工程とを有し、前記画像読取装置にて前記等倍による読取動作の指示に従って取得された画像を前記画像読取装置から受取ると、前記取得された画像から前記コード化情報を検出し、前記取得された画像をデジタル変倍することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、光学変倍可能な画像読取装置から画像を受取るデジタル変倍可能な画像処理装置であって、前記受取った画像をデジタル変倍する手段と、前記受取った画像からコード化情報を検出する手段とを備え、変倍率が、光学変倍した画像を再び等倍に戻す際に演算誤差が生じない変倍率では無い場合では、前記光学変倍の代わりに、前記デジタル変倍する手段によって、前記受け取った画像をデジタル変倍し、前記検出する手段は、前記受取った画像に対する前記デジタル変倍する手段でのデジタル変倍を受ける前に、前記受取った画像から前記コード化情報を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって、変倍コピー時においても、原稿に埋め込まれたセキュリティ付加情報等のコード化情報を確実に抽出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置のシステムブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の通常のコピー画面を示すGUI図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る変倍設定を行うための画面を示すGUI図である。
【図5】(a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係る変倍コピー動作フローを示した図である。
【図6】(a)〜(e)は、従来の、変倍コピーとコード化情報との抽出を同時に行う場合の動作フローを示した図であるである。
【図7】(a)および(b)は、本発明の一実施形態に係る、原稿に印字されたLVBCと仮想グリッドとの説明図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係る、演算誤差を考慮して、変倍コピーとコード化情報の抽出とを同時に行う場合の動作フローを示した図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る、100%未満の変倍率が設定された場合の光学変倍処理とデジタル変倍処理についてのフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態に係る、100%を超える変倍率が設定された場合の光学変倍処理とデジタル変倍処理についてのフローチャートである
【図11】本発明の一実施形態に係るコード化情報としてのLVBC解析設定を行うための画面を示すGUI図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する図面で、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
本発明では、セキュリティ付加情報等のコード化情報を印字済みの原稿を拡大または縮小してスキャンを行う場合に、その原稿をスキャンする速度を変更することで変倍を実現する、いわゆる光学変倍の変倍率に制限をかける。これにより、原稿に埋め込まれたセキュリティ付加情報等のコード化情報を確実にデコードできるようにするものである。
【0021】
<画像形成装置の外観について>
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す外観図である。
【0022】
画像読取装置としてのスキャナ部0113は、原稿上の画像を露光走査して得られた反射光をCCD(Charge Coupled Devices)あるいはCIS(Contact Image Sensor)等の感光素子に入力する。これにより、画像の情報を電気信号に変換する。前記画像読取装置としてのスキャナ部0113はさらに電気信号をR,G,B各色からなる輝度信号に変換し、当該輝度信号を画像データとして出力する。さらに、スキャナ部0113は、光学変倍可能なように構成されている。
【0023】
なお、原稿は原稿フィーダ0101のトレイ0102にセットされる。ユーザが操作部0112から読み取り開始を指示すると、スキャナ部0113に原稿読み取り指示が与えられる。スキャナ部0113は、この指示を受けると原稿フィーダ0101のトレイ0102から原稿を1枚ずつフィードして、原稿の読み取り動作を行う。なお、原稿の読み取り方法は原稿フィーダ0101による自動送り方式ではなく、原稿を不図示のガラス面上に載置し露光部を移動させることで原稿の走査を行う方法であってもよい。
【0024】
プリンタ部0114は、先の画像データを用紙上に形成する画像形成装置である。なお、本実施形態において画像形成方式は感光体ドラムや感光体ベルトを用いた電子写真方式となっているが、本発明はこれに限られることはない。例えば、微少ノズルアレイからインクを吐出して用紙上に印字するインクジェット方式などでも適用可能である。また、プリンタ部0114には、異なる用紙サイズ又は異なる用紙向きを選択可能とする複数の用紙カセット0103、0104、0105が設けられている。排紙トレイ0106には印字後の用紙が排出される。
【0025】
<画像形成装置に実装されるシステムブロック図について>
図2は、本実施形態におけるシステムブロック図であり、図1に示した画像形成装置に実装される。
【0026】
Controller Unit 0200は、画像入力デバイスであるスキャナ0113や画像出力デバイスであるプリンタ0114に接続されている。一方では、Controller Unit 0200は、LAN0211や公衆回線(WAN)0251と接続することで、PC等の外部機器に対して、画像情報やデバイス情報等の情報の入出力を行う為のコントローラである。
【0027】
CPU0201は、ROMやハードディスク等に記憶されたプログラム等に基づいて、システム全体を制御すると共に、Controller Unit 0200内部で行われる各種処理についても統括的に制御するコントローラである。RAM0202は、CPU0201が動作するためのシステムワークメモリであり、画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。ROM0203はブートROMであり、システムのブートプログラムが格納されている。HDD0204はハードディスクドライブで、システムソフトウェア、画像データを格納する。本実施形態では、CPU0201が、ROM0203やHDD0204に記憶された本実施形態に係る処理などの制御プログラムに従って、種々の演算、制御、判別などの処理動作を実行する。
【0028】
操作部I/F0206は、タッチパネルを有した操作部(UI)0112とのインターフェース部で、操作部0112に表示する画像データを操作部0112に対して出力する。また、操作部0112から本システムユーザが入力した情報を、CPU0201に伝える役割をする。NetworkI/F0210は、LAN0211に接続し、情報の入出力を行う。Modem0250は、公衆回線0251に接続し、情報の入出力を行う。以上のデバイスがシステムバス0207上に配置される。
【0029】
ImageBusI/F0205は、システムバス0207と画像データとを高速で転送する画像バス0208を接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。画像バス0208は、PCIバスまたはIEEE1394で構成することができる。画像バス0208上には以下のデバイスが配置される。
【0030】
デバイスI/F部0220は、画像入出力デバイスであるスキャナ0113やプリンタ0114とコントローラ0200とを接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。スキャナ画像処理部0280は、入力画像データに対し補正、加工、編集を行う。プリンタ画像処理部0290は、プリント出力画像データに対して、プリンタの補正等を行う。画像回転部0230は画像データの回転を行う。画像圧縮部0240は、多値画像データをJPEG、2値画像データをJBIG、MMR、MHへと圧縮伸張処理を行う。画像変倍部0260は、画像データに対してデジタル変倍を行う。この画像変倍部260によりデジタル変倍可能な構成が実現される。情報抽出部0270は、スキャナ部0113から受け取った画像データからセキュリティ付加情報等のコード化情報の抽出を行う。
【0031】
なお、コード化情報は、セキュリティ付加情報等の、情報源を符号化して作成された情報であり、1次元コード、2次元コードを含む。その例としては、例えば、電子透かし、1次元バーコード、2次元バーコード、低可視バーコード(LVBC(Low Visibility Barcodes)である。本実施形態では、コード化情報としてセキュリティ付加情報、特にLVBCにてコード化された情報を用いる形態を説明する。
【0032】
また、本明細書において、「デジタル変倍」とは、スキャナ等の画像読取装置から読取って取得された画像データに対して、間引きや補間等の画像処理を施して行う変倍処理を指す。
【0033】
さらに、本明細書において、「光学変倍」とは、スキャナ等の画像読取装置にて読取を行う際に、原稿の副走査方向へのスキャン速度を設定された変倍率に応じて変えることで上記副走査方向の変倍を実現する変倍処理を指す。
【0034】
本発明の特徴の1つは、原稿をスキャンする速度を変倍率(倍率)に応じて制御することで光学変倍処理を行う光学変倍処理機能を有する画像読取装置を用いて変倍を行う際、所定の倍率以外での光学変倍処理の実施を制限することである。すなわち、場合に応じて(変倍率に応じて)、原稿の副走査方向の変倍において、光学変倍と、デジタル変倍と、デジタル変倍および光学変倍の組み合わせとを使い分けることを特徴としている。
【0035】
<変倍コピーの設定について>
図3および図4を用いて、本実施形態に係る変倍コピーの設定について説明する。
図3は、画像形成装置おける通常のコピー画面を示すGUIである。図3に示されるGUIは、操作部0112に表示される。図3において符号0301はUIの画面そのものであり、符号0302はコピーを選択していることを示すコピータブである。符号0303はコピーの設定を表示する状態表示ウィンドウであり、設定した倍率や、選択している用紙サイズ、コピー部数が表示されている。符号0304は等倍(100%)コピーを行う場合に選択するボタンであり、符号0305は変倍コピーを行う場合にその設定をするためのボタンである。この変倍ボタン0305が押下された場合に操作部0112に表示される画面が、図4である。
【0036】
図4において符号0401は変倍設定を行うための画面であり、符号0402には設定した変倍率が表示される(図では70%変倍が設定されていることが表示されている)。符号0403は縮小変倍を行う場合に1%刻みで倍率を下げていくためのボタンであり、符号0404は拡大変倍を行う場合に1%刻みで倍率を上げていくためのボタンである。符号0405はA3原稿をA4の用紙(またはB4原稿をB5の用紙)に縮小コピーを行う場合に選択するボタンであり、符号0403ボタンを押下することなく、一度に70%縮小コピー設定が行うことができる。符号0405は変倍設定を終了するためのボタンであり、このボタン0405を押下することで元の図3に示すコピー画面に戻ることができる。
【0037】
<変倍コピー動作について>
図5(a)〜(d)を用いて、A3サイズの原稿をA4サイズの用紙へ光学変倍コピーする場合の画像形成装置の動作について説明する。
図5(a)は、これからコピーを行うA3サイズの原稿用紙を表しており、縦297mm(主走査方向)、横420mm(副走査方向)の用紙である。このA3サイズの原稿をA4サイズの用紙へ光学変倍コピーするためには、先の図4で説明した変倍設定用の画面において、70%縮小コピーを指定するためのボタン0405をユーザが操作部0112を介して押下する。該押下により、画像処理装置としてのController Unit 0200は、光学変倍コピーを行うことを示す情報を受け付ける。
【0038】
次にこのA3サイズの原稿を原稿フィーダ0101のトレイ0102にセットし、ユーザが操作部0112から読み取り開始を指示すると、Controller Unit 0200は、該指示を受け付け、スキャナ部0113に原稿読み取り指示を与える。スキャナ部0113は、この指示を受け取ると原稿をフィードして原稿の読み取り動作を行うが、光学変倍による70%縮小コピー設定がされているため、フィード速度を等倍のコピー時と比較して142%上げる。これにより、原稿の給紙方向(副走査方向)に対して光学的に70%縮小を実施した画像データを得ることができる。
【0039】
その結果、図5(b)に示したように、副走査方向のみ光学変倍された画像データ(縦7015[pixel]×横7015[pixel])となり、RAM0202上に保存される。次にこの画像データに対して、画像変倍部0260を使用して、主走査方向に対する70%のデジタル変倍を実施する。その結果、図5(c)に示したように主走査方向に対して変倍された画像データ(縦4960[pixel]×横7015[pixel])となり、RAM0202上に保存される。この画像データをプリンタ部0114へ渡し、用紙に印字する。その結果、図5(d)に示すA4サイズのコピー出力結果を得ることができる。
【0040】
<セキュリティ付加情報の抽出設定について>
図11を用いて、セキュリティ付加情報としてLVBC(Low Visibility Barcodes:低可視バーコード)が埋め込まれた原稿から、埋め込まれた内容を抽出する場合のコピー設定について述べる。
【0041】
図11は、先の図3における応用モードボタン0305が押下された場合に操作部0112に表示される画面である。図11の応用モード設定画面には、製本コピー行うための設定ボタン1101や、縮小レイアウトコピーを行うための設定ボタン1102が表示される。これと同時に、原稿に埋め込まれたLVBC解析を行いながらコピーを行うためのボタン1103が配置される。コピー時にLVBC解析を行う場合には、本ボタン1103を押下することにより設定を行うことが出来る。ユーザが操作部0112を介してボタン1103を押下すると、Controller Unit 0200は、コピー時にLVBC解析を行うことを示す情報を受け付ける。設定が終了すれば、閉じるボタン1104を押下することで、元の図3に示すコピー画面に戻ることができる。
【0042】
<変倍コピー時にセキュリティ付加情報を抽出する場合の動作>
図6(a)〜(e)を用いて、従来の、セキュリティ付加情報の抽出を行いながら、光学変倍コピーを実施する方法について述べる。図6において図5と異なる点は、原稿全面にセキュリティ付加情報としてLVBCが埋め込まれている点、および図6(e)に示したLVBC抽出用の画像を生成している点であり、その他の光学変倍コピー設定値などは同じである。
【0043】
図6(a)のセキュリティ付加情報が埋め込まれたA3サイズの原稿を、A4サイズの用紙へ変倍コピーを行いながら、同時にセキュリティ付加情報を抽出するために、次に示す逆変倍処理を行う。すなわち、A3サイズの原稿の副走査方向に対して変倍率70%の光学変倍を行い、図6(b)に示す画像データを生成する。次いで、図6(b)に示した光学変倍により副走査方向に70%縮小変倍された画像データに対して、画像変倍部0260を使用して副走査方向に再び142%の拡大デジタル変倍処理(逆変倍処理)を行う。その結果、図6(e)に示すように主走査、副走査の変倍率が等倍でスキャンされた場合の画像データと同じサイズとなる。この画像データをもとに情報抽出部0270を使用してセキュリティ付加情報の抽出を実施する。
【0044】
しかし、上記手順のように、一度70%縮小変倍された画像データに対して再び142%の拡大変倍処理を実施しても、演算誤差により正確に等倍スキャンした画像データと同じサイズにはならない。したがって、図6(e)に示す画像データを用いて情報抽出部0270によりセキュリティ付加情報の抽出を実施した場合、正しく情報を抽出できない可能性がある。なぜなら、図7(a)に示すように、原稿に埋め込まれたLVBCのドット解析のためには、図7(b)のように仮想グリッドの位置から実際に打たれたドットの座標の変位を計測し、その変位量からデータへと変換を行う。従って、図7(b)におけるグリッドの間隔aとbとが等しくない場合、解析ができないからである。
【0045】
なお、本明細書において、「逆変倍処理」とは、変倍によって所定の割合で縮小(拡大)した画像データを、元のサイズに拡大(縮小)する処理を指す。
【0046】
そこで、本発明では、変倍コピー時において光学変倍を行う変倍率に制限をかけることで、セキュリティ付加情報を確実に抽出できるように制御を行う。すなわち、セキュリティ付加情報の抽出と変倍を同時に行う場合において、所定の変倍率にて光学変倍した画像データに対して逆変倍処理を行う際に、演算誤差が生じない変倍率以外の変倍率にて変倍を行う際、光学変倍を行わずデジタル変倍を行うように制御する。すなわち、設定された変倍率が、光学変倍した画像を再び等倍に戻す際に演算誤差が生じない変倍率である、光学変倍に適した変倍率では無い場合に、光学変倍の変わりにデジタル変倍を行うのである。
【0047】
なお、上記演算誤差が生じない変倍率を、「光学変倍に適した変倍率」とも呼ぶことにする。
上記光学変倍に適した変倍率についてより詳細に説明する。通常、デジタル変倍では、25%、50%、200%、300%といった、(100/N)%(Nは、0を除く整数)や、N×100%の時(つまり、演算誤差が生じない倍率)、単純変倍を行い、それ以外の倍率では画素補間変倍(例えば、バイリニア変倍)を行う。本実施形態では、逆変倍処理を行った場合、単純変倍を行うことができれば、逆変倍処理後の画像データにおいて演算誤差による影響が無くなり、光学変倍を行った場合でも、逆変倍処理後の画像データには演算誤差が原因のひずみ等は生じない。従って、25%、50%、200%、300%といった単純変倍が可能な変倍率が、光学変倍に適した変倍率となる。
【0048】
なお、光学変倍を行わずデジタル変倍を行うように制御する変倍率は、上記光学変倍に適した変倍率の一部分以外の変倍率であっても良い。すなわち、光学変倍に適した変倍率のうち所定の変倍率の場合には光学変倍を行い、該所定の変倍率では無い場合には、光学変倍の代わりにデジタル変倍を行うようにしても良い(後述する図9、10の形態)。あるいは、スキャナ部のスペック範囲内で上記光学変倍に適した変倍率の全てについては光学変倍を行い、光学変倍に適した変倍率以外の変倍率について、光学変倍の代わりにデジタル変倍を行うようにしても良い。
【0049】
すなわち、本発明では、光学変倍に適した変倍率の少なくとも1つ以外の変倍率にて変倍を行う際に、光学変倍を行わずデジタル変倍を行うように制御するのである。
【0050】
例えば、先に挙げたA3サイズの原稿をA4サイズの用紙へ変倍コピーする場合は、図8(a)〜(d)に示すように変倍処理を実施する。具体的には、CPU0201は、操作部0112を介してユーザにより入力された変倍率が光学変倍に適した変倍率以外であると判断すると、光学変倍処理を行わずに等倍処理を行うことができる。すなわち、図8(a)に示す、これからコピーを行うA3サイズの原稿用紙のスキャンは、図6では光学変倍により副走査方向に対しいて70%の変倍を行ったのに対して、図8では等倍でスキャンを実施する。その結果、図8(b)に示すように、縦7015[pixel]×横9920[pixel]の変倍されていない画像データとなる。次にCPU0201は、図8(b)に示す画像データを、画像変倍部0260を使用して、主走査方向と副走査方向それぞれに対して70%のデジタル変倍を実施する。変倍後の画像データを図8(c)に示す(縦4960[pixel]×横7015[pixel])。CPU0201は、図8(c)に示す画像データをプリンタ部0114へ渡し、用紙に印字すると、図8(d)に示すA4サイズのコピー出力結果を得ることができる。
【0051】
セキュリティ付加情報の抽出は、図8(b)の等倍でスキャンされた画像データをもとに情報抽出部0270を使用して行う。本実施形態では、図8(b)のように等倍スキャンされた画像データからセキュリティ付加情報の抽出を行うため、先の図6で説明したような演算誤差による画像のひずみを原因とした抽出エラーは発生しない。また、情報抽出部0270は、図2に示すように画像変倍部0260と並列に配置されているため、スキャン直後のデジタル変倍処理が実施されていない画像データ(図8(b))からセキュリティ付加情報の抽出が可能となる。
【0052】
すなわち、図6に示すような従来のように、光学変倍後の画像データへの逆変倍処理(デジタル変倍)の際、すなわち、再び等倍に戻す際に、演算誤差が生じる倍率が存在する。このような倍率で逆変倍を行う場合は、画素補間変倍を行う必要が生じる。つまり、再び等倍に戻す際に単純変倍が行えないので、画素補間変倍を行っても、再び等倍に戻した際に、等倍に戻された後の画像と、等倍に戻される前の画像との間で、濃度変化に違いが生じる場合がある。すなわち、単純変倍が可能な倍率である、光学変倍に適した変倍率以外の変倍率では、逆変倍の際に画素補間変倍を行う必要があり、上述のような濃度変化の違いなどが発生してしまう。このような濃度変化は、セキュリティ付加情報の抽出が無い場合では問題とならないが、セキュリティ付加情報の抽出時に発生してしまうと、正確な抽出を妨げる可能性がある。そこで、本実施形態では、セキュリティ付加情報の抽出が設定され、光学変倍に適した変倍率以外の変倍率が設定された時に、光学変倍処理ではなく、一旦等倍でスキャンする。そして、該等倍でスキャンした画像に対して、セキュリティ付加情報の抽出を行って、所定の倍率になるようにデジタル変倍を行う。
【0053】
以上図8で述べた動作を、50%から200%まで光学変倍ができるスキャナ0113を用いた場合に、副走査方向の変倍を光学変倍とデジタル変倍をどのように組み合わせて実施するかをフローチャートとしてまとめたものを、図9および図10に示す。図9は、100%未満の変倍コピーが設定された場合の光学変倍処理とデジタル変倍処理についてのフローチャートであり、図10は、100%を超える変倍コピーが設定された場合の光学変倍処理とデジタル変倍処理についてのフローチャートである。
【0054】
なお、以下の説明では、スキャナ0113は、200%よりも大きい拡大処理と50%未満の縮小処理については、装置のスペック上光学変倍処理が行えないとする。すなわち、光学変倍の縮小方向の限界が変倍率50%であり、拡大方向の限界が変倍率200%であるとする。
【0055】
上記50%、200%は、光学変倍に適した変倍率であるが、それ以外でも、例えば25%、や300%なども光学変倍に適した変倍率となる。すなわち、縮小方向であれば、(100/N)%(Nは、0を除く整数)が、拡大方向であればN×100%が光学変倍に適した変倍率である。しかしながら、光学変倍は、デジタル変倍に比べて綺麗なスキャン結果を得ることができるが、変倍率によってはその制御が困難となる。例えば、倍率が1%であれば、等倍スキャンに比べて100倍の速さでスキャンする必要があり、そのような速さでスキャナを動作させることは非常に困難である。また、倍率が10000倍である場合は、等倍スキャンに比べて1/100のスピードでスキャナを動作させる必要があるが、このように遅くスキャナを動作させることも逆に難しい。
そこで、本実施形態では、変倍率50%を光学変倍の縮小方向の限界と設定し、変倍率200%を拡大方向の限界と設定する。そして、セキュリティ情報の抽出が設定され、変倍率が、50%より大きく100%よりも小さい、または100%よりも大きく200%よりも小さい場合に、光学変倍を行わせる代わりにデジタル変倍を行う。そして、セキュリティ情報の抽出が設定され、変倍率が、光学変倍に適した変倍率の一部である50%、200%である場合に、光学変倍を行う。さらに、セキュリティ情報の抽出が設定され、変倍率が50%未満、および200%よりも大きい場合には、後述する組み合わせ処理を行う。
【0056】
図9において、まずステップ0901では、CPU0201は、コピー設定として、変倍コピー設定やセキュリティ付加情報の抽出設定を行う。具体的な操作は先の図3および図4、図11で説明した通りであり、そこでの設定は操作部I/F0206を介してCPU0201へと伝えられるとともに、RAM0202に保存される。本ステップ901では、CPU0201は、抽出した変倍コピー設定に関する情報から、設定された変倍率Xも抽出してRAM0202に保存する。
【0057】
次にステップ0902において、CPU0201は、ステップ0901にて抽出した情報に基づいて、セキュリティ付加情報(LVBC)の抽出を行う必要があるかを判断する。すなわち、CPU0201は、上記抽出した情報に基づいて、スキャナ0113から受取った画像にLVBCが含まれているか否かを判断する。これは先の図11で説明した応用モードで、LVBC解析ボタン1103が押下されたかどうかにより判定する。LVBC解析が設定されていない場合はステップ0903へと進む。
【0058】
ステップ0903では、CPU0201は、ステップ0901においてRAM0202に保存した(ユーザによって設定された)変倍率Xが何%であるかを判断する。該判断結果、100%未満かつ50%以上である場合にはステップ0904へと進み、光学変倍スキャンにより変倍を実施する。すなわち、CPU0201は、スキャナ0113に対して、設定された変倍率にて縮小されるように光学変倍処理を行うようなコマンド(指示)を送信する。スキャナ0113は、該コマンドに従って、原稿の副走査方向に対して光学変倍処理を行う。該スキャンにより得られた画像データは、ImageBusI/F0205を介してRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存された画像データは、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0059】
ステップ0903において変倍率が50%未満である場合、すなわち、変倍率が光学変倍の限界となる変倍率の範囲外にある場合には、CPU0201は、光学変倍とデジタル変倍とを組み合わせる処理を行う。まずは、ステップ0905において、CPU0201は、スキャナ0113の光学変倍の限界である50%縮小を実施して一旦RAM0202へと保存する。すなわち、CPU0201は、変倍率50%にて縮小されるように光学変倍処理を行うようなコマンドをスキャナ0113に対して送信し、該スキャナ0113は上記コマンドに従って、50%縮小された画像データを取得してRAM0202に保存する。次いで、ステップ0906において、CPU0201は、残りの変倍処理を、ステップ0905にてRAM0202に保存された50%縮小された画像データに対して画像変倍部0260を使用してデジタル変倍を実施し、再びRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存された画像データは、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0060】
すなわち、CPU0201は、変倍率が50%未満の場合、光学変倍処理とデジタル変倍処理とを組み合わせて変倍処理(「組み合わせ変倍処理」とも呼ぶ)を実施する。例えば、変倍率30%の縮小を行う場合、まずはスキャナ0113が原稿の副走査方向に対して50%の縮小を行い、50%縮小された画像データを取得する。次いで、取得した、50%縮小された画像データに対して、CPU0201は、60%縮小されるようにデジタル変倍を行う。このようにして得られた画像データは、結果として、等倍スキャンにて得られた画像データと比較して30%縮小された画像データとなり、変倍率30%の縮小が実現されることになる。
【0061】
ステップ0913では、CPU0201は、RAM0202に保存された、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データに対して主走査方向に対するデジタル変倍処理を画像変倍部0260を使用して実施する。変倍後の画像データはRAM0202へと保存する。ステップ0914では、CPU0201は、ステップ0913にてRAM0202に保存された画像データをプリンタ部0114へ渡し、用紙に印字して全ての処理を終了する。
【0062】
ステップ0902において、CPU0201は、LVBCの抽出を行う必要があると判断した場合には、ステップ0907へと進む。ステップ0907では、CPU0201は、ステップ0901においてRAM0202に保存した変倍率Xが何%であるかを判断する。設定された変倍率Xが100%未満かつ50%より大きい場合には、CPU0201は、ステップ0908へと進み、光学変倍を行わずに等速スキャンし、スキャンにより得られた画像データをRAM0202へと保存する。すなわち、CPU0201は、スキャナ0113に対して、光学変倍処理を行わせるコマンドではなく、通常のスキャン、すなわち等倍による読取動作を行わせるためのコマンドを送信する。スキャナ0113は、該コマンドを受取ると、該コマンドに従って、光学変倍の代わりに等倍による読取動作(等速スキャン)を行い、等倍の画像データを取得する。
【0063】
従って、このときRAM0202に保存される画像データは、まだ変倍処理が施されていない画像データである。よって、該画像データにおける図7の間隔aと原稿における間隔aとは同じ値であり、かつ上記画像データにおける図7の間隔bと原稿における間隔bとも同じ値である。従って、このときRAM0202に保存された画像データからLVBCの検出処理を行えば、正確にLVBC検出を行うことができる。
【0064】
ステップ0909では、CPU0201は、ステップ0908にてRAM0202上に保存した画像データに対して必要なデジタル変倍を画像変倍部0260を使用して実施した後に、再びRAM0202へと保存する。すなわち、CPU0201は、原稿の副走査方向について、設定された変倍率となるようにデジタル変倍処理を行う。よって、このときRAM0202に保存された画像データは、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0065】
ステップ0907において変倍率が50%であった場合には、ステップ0910において、CPU0201は、ステップ0905と同様にして50%の光学変倍を実施して、スキャンにより得られた画像データをRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存される画像データは、光学変倍によって50%縮小された画像データであり、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0066】
ステップ0907において変倍率が50%より小さい場合、すなわち、変倍率が光学変倍の限界となる変倍率の範囲外にある場合は、CPU0201は、組み合わせ変倍処理を行う。すなわち、ステップ0911では、CPU0201は、ステップ0905と同様にしてスキャナ0113の光学変倍の限界である50%縮小を実施し、スキャンにより得られた画像データをRAM0202へと保存する。ステップ0912において、CPU0201は、ステップ0906と同様にして、RAM0202上に保存した画像データに対して残りのデジタル変倍を、画像変倍部0260を使用して実施した後に、再びRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存された画像データは、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0067】
以上により副走査方向に対する変倍処理が終われば、CPU0201は、ステップ0913へと進み、RAM上の画像データに対して主走査方向に対するデジタル変倍処理を実施し、続いてステップ0914によりプリント処理を行う。
【0068】
図9において、情報抽出部0270を使用してLVBCの解析を行うのは、ステップ0908、0910、0911でRAM0202に保存した画像データである。このときステップ0908の処理後にRAM0202上にある画像データは、図8(b)に示した画像データのように主走査/副走査ともに100%の変倍率でスキャンされたものである。従って、そのままの画像データから情報抽出部0270を使用してLVBCの解析ができる。すなわち、情報抽出部0270は、デジタル変倍部0260でのデジタル変倍処理を受ける前の画像データからLVBCの解析を行い、コード化情報の抽出を行う。従って、所定の縮小率による縮小、その後の逆変倍処理による拡大を行わないので、LVBCのグリッド間隔に変更は無く、LVBCを確実に抽出することができる。
【0069】
一方、ステップ0910、0911の処理後にRAM0202上にある画像データは主走査100%、副走査50%に変倍された画像となるため、そのままの画像データではLVBCの解析を行うことは出来ない。したがって、副走査方向に対して200%の変倍を行った後の画像データについて、情報抽出部0270を使用してLVBCの解析を行うこととなる。しかしながら、変倍率が200%であるため、図6(e)の時とは異なり、拡大変倍による演算誤差は生じないため、正しくLVBCの解析を行うことができる。すなわち、光学変倍を行う変倍率を、逆変倍処理しても演算誤差が生じない変倍率(光学変倍に適した変倍率)に設定しているため、LVBC解析のために逆変倍処理を行ってもLVBCのグリッド間隔の変更等が生じなくなり、LVBCを確実に抽出可能となる。
【0070】
なお、図9においては、変倍率が光学変倍の限界となる変倍率の範囲外にある場合(変倍率が50%未満の場合)では、組み合わせ変倍処理を行っているが、これに限定されず、デジタル変倍処理のみを行うようにしても良い。
【0071】
本実施形態では、光学変倍に適した変倍率の1つである50%を閾値として設け、変倍率が50%よりも大きく100%未満である場合については、デジタル変倍処理を行うように制御している。当然、変倍率が50%未満の範囲において、光学変倍に適した変倍率は存在する(例えば、25%等)。しかしながら、本発明の目的の1つが、光学変倍に適した変倍率の少なくとも1つ以外の変倍率にて変倍を行う場合、原稿の副走査方向に対して光学変倍ではなく、デジタル変倍を行うことである。従って、変倍率X<50%範囲内については、光学変倍に適した変倍率において、組み合わせ変倍を行うことになるが、上記目的は達成される。よって、上述したように、光学変倍を行わずデジタル変倍を行う変倍率は、光学変倍に適した変倍率の少なくとも1つ以外の変倍率となるのである。
【0072】
従って、図9の形態では、光学変倍を行う変倍率を、光学変倍に適した変倍率の1つである50%に設定しているが、光学変倍に適した変倍率のうち他の変倍率においても、光学変倍を行っても良い。この場合は、ステップ907において変倍率Xを判定する際に、判定により得られた変倍率が光学変倍に適した変倍率である場合に、該変倍率にてステップ0910と同様にして光学変倍処理を行えば良い。
【0073】
次に図10を用いて、100%を超える変倍コピーが設定された場合の光学変倍処理とデジタル変倍処理について述べる。
図10において、ステップ1001から1002の処理内容は、先の図9におけるステップ0901から0902までと同じであるため、説明を省略する。
【0074】
ステップ1003では、CPU0201は、ステップ1001においてRAM0202に保存した(ユーザによって設定された)変倍率Xが何%であるかを判断する。該判断結果、200%以下かつ100%より大きい場合にはステップ1004へと進み、CPU0201は、ステップ0904と同様にして光学変倍スキャンにより変倍を実施する。該光学変倍スキャンにより得られた画像データをRAM0202に保存する。なお、このときRAM0202に保存された画像データは、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0075】
ステップ1003において変倍率が200%を超える場合、すなわち、変倍率が光学変倍の限界となる変倍率の範囲外にある場合には、CPU201は、組み合わせ変倍処理を行う。まずは、ステップ1005にて、CPU0201は、スキャナの光学変倍の限界である200%拡大を実施してRAM0202へと一旦保存する。すなわち、CPU0201は、変倍率200%にて拡大されるように光学変倍処理を行うようなコマンドをスキャナ0113に対して送信し、該スキャナ0113は上記コマンドに従って、200%拡大された画像データを取得してRAM0202に保存する。次いで、ステップ1006では、CPU0201は、残りの変倍処理を、ステップ1005にてRAM0202に保存された200%拡大された画像データに対して画像変倍部0260を使用してデジタル変倍を実施し、再びRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存された画像データは、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0076】
ステップ1013では、CPU0201は、RAM0202に保存された、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データに対して主走査方向に対するデジタル変倍処理を画像変倍部0260を使用して実施する。ステップ1014では、CPU0201は、ステップ1013にてRAM0202に保存された画像データをプリンタ部0114へ渡し、用紙に印字して全ての処理を終了する。
【0077】
ステップ1002において、CPU0201は、LVBCの抽出を行う必要があると判断した場合には、ステップ1007へと進み、ステップ1007において、ステップ1001にてRAM0202に保存した変倍率が何%であるかを判断する。
【0078】
設定された変倍率Xが200%未満かつ100%より大きい場合には、CPU0201は、ステップ1008へと進み、光学変倍を行わずに等速スキャンし、スキャンにより得られた画像データをRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存される画像データは、まだ変倍処理が施されていない画像データである。よって、該画像データにおける図7の間隔aと原稿における間隔aとは同じ値であり、かつ上記画像データにおける図7の間隔bと原稿における間隔bとも同じ値である。従って、このときRAM0202に保存された画像データからLVBCの検出処理を行えば、正確にLVBC検出を行うことができる。
【0079】
ステップ1009において、CPU0201は、ステップ0908にてRAM0202上に保存した画像データに対して必要なデジタル変倍を、画像変倍部0260を使用して実施した後に、再びRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存された画像データは、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0080】
ステップ1007において変倍率が200%であった場合には、ステップ1010において、CPU0201は、ステップ1005と同様にして200%の光学変倍を実施して、スキャンにより得られた画像データをRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存される画像データは、光学変倍によって200%拡大された画像データであり、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0081】
ステップ1007において変倍率が200%より大きい場合、すなわち変倍率が光学変倍の限界となる変倍率の範囲外にある場合は、CPU0201は、組み合わせ変倍処理を行う。すなわち、ステップ1011において、CPU0201は、ステップ1005と同様にしてスキャナの光学変倍の限界である200%拡大を実施し、スキャンにより得られた画像データをRAM0202へと保存する。ステップ1012において、CPU0201は、ステップ1006と同様にしてRAM0202上に保存した画像データに対して残りのデジタル変倍を、画像変倍部0260を使用して実施した後に、再びRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存された画像データは、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0082】
以上により副走査方向に対する変倍処理が終われば、CPU0201は、ステップ1013へと進み、主走査方向に対するデジタル変倍処理を実施し、続いてステップ1014によりプリント処理を行う。
【0083】
図10において、情報抽出部0270を使用してLVBCの解析を行うのは、ステップ1008、1010、1011でRAM0202に保存した画像データである。このときステップ1008の処理後にRAM0202上にある画像データは、図8(b)に示した画像データのように主走査/副走査ともに100%の変倍率でスキャンされたものである。従って、そのままの画像データから情報抽出部0270を使用してLVBCの解析ができる。すなわち、情報抽出部0270は、デジタル変倍部0260でのデジタル変倍処理を受ける前の画像データからLVBCの解析を行い、コード化情報の抽出を行う。従って、所定の縮小率による縮小、その後の逆変倍処理による拡大を行わないので、LVBCのグリッド間隔に変更は無く、LVBCを確実に抽出することができる。
【0084】
一方、ステップ1010、1011の処理後にRAM0202上にある画像データは主走査100%、副走査200%に変倍された画像となるため、そのままの画像データではLVBCの解析を行うことは出来ない。従って、副走査方向に対して50%の縮小変倍を行った後の画像データについて、情報抽出部0270を使用してLVBCの解析を行うこととなるが、変倍率が50%であるため、図6(e)の時とは異なり、変倍による演算誤差は生じない。よって、正しくLVBCの解析を行うことができる。
【0085】
このように、本実施形態では、設定された変倍率が、少なくとも、光学変倍に適した変倍率では無い場合に、光学変倍処理ではなくデジタル変倍処理を行っている。すなわち、光学変倍に適さない変倍率については、光学変倍ではなくデジタル変倍を行うので、光学変倍を行う場合を、設定された変倍率が光学変倍に適した変倍率の場合に制限することができる。従って、変倍率によらずに、コード化情報を正しく解析することができる。
【0086】
また、本実施形態では、設定された変倍率が光学変倍に適した変倍率の場合には、光学変倍を行うことが可能であるので、変倍による画質の劣化を抑えることも可能である。
【0087】
(その他の実施形態)
本発明は、複数の機器(例えばコンピュータ、インターフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用することも、1つの機器からなる装置(複合機、プリンタ、ファクシミリ装置など)に適用することも可能である。
【0088】
前述した実施形態の機能を実現するように前述した実施形態の構成を動作させるプログラムを記憶媒体に記憶させ、該記憶媒体に記憶されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も上述の実施形態の範疇に含まれる。即ちコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も実施例の範囲に含まれる。また、前述のコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体はもちろんそのコンピュータプログラム自体も上述の実施形態に含まれる。
【0089】
かかる記憶媒体としてはたとえばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD―ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。
【0090】
また前述の記憶媒体に記憶されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウエア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作し前述の実施形態の動作を実行するものも前述した実施形態の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
0113 スキャナ
0201 CPU
0202 RAM
0203 ROM
0204 HDD
0260 画像変倍部
0270 情報抽出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置およびその制御方法に関し、より詳細には、セキュリティ付加情報等のコード化情報が埋め込まれた原稿を拡大または縮小してスキャンを行う場合、原稿に埋め込まれたコード化情報を確実にデコード可能にする画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスのIT化の促進に伴い、セキュリティに対する関心が近年高まってきている。例えば、企業が保持している顧客情報の漏洩事件が度々発生するなど、組織の機密や、個人のプライバシが脅かされており、大きな社会問題になっている。
【0003】
これらの問題に対処するために、電子化された機密情報のアクセス権限や、ファイアウォールに監視装置を設けるなどのIT(Information Technology)メカニズムを導入することにより、企業外への漏洩を防ぐ対処が行われている。あるいはノートPCやUSBメモリなどの可搬媒体のオフィスへの持ち込み、持ち出しを禁止するなどの措置が取られている。電子化された機密情報の場合、上記のようなITメカニズムを用いた対策を実施することによってある程度の漏洩をガードすることが可能である。これは電子情報の場合、ITを使ってのみ参照可能であり、そこにメカニズムを導入しやすいという性質があるためである。
【0004】
一方、機密情報を画像形成装置などで用紙媒体に印刷した場合、組織の機密や個人のプライベート情報が印刷された用紙の持ち出しを確認・禁止する際は、上記のような従来のITメカニズムを迂回することが可能である。 そのため、電子化された機密情報の持ち出しを制限することよりもより困難であり、セキュリティの維持を難しくしている。
【0005】
この課題に対処するために、従来さまざまな情報漏洩対策手段が考案されている。
第1の情報漏洩対策手段として、既知の電子透かし(ウォーターマーク)技術や2次元バーコードなどの情報埋め込み技術を用いて、印刷時に用紙媒体そのものに本体の画像(原稿画像)に加えて、追跡情報を埋め込むシステムが従来考案されている。これらのシステムによれば、仮に用紙媒体による情報漏洩が発生した場合、漏洩した原稿を解析することによって、上記追跡情報を抽出することが可能である。よって不用意な原稿持ち出しについて追跡情報から責任追及することが可能となり、抑止効果を期待することができる。
【0006】
さらに従来の第2の情報漏洩対策手段として、既知の電子透かし(ウォーターマーク)技術や2次元バーコード技術を用いて、印刷を実施する際に用紙媒体そのものにコピーを禁止する複写制限情報を埋め込むシステムが考案されている。このシステムにおいては対応した画像形成装置において複写実施時に、当該複写制限情報を抽出することによってコピーの可否を検知し、それによってコピーの継続、中止をページ毎に制御することが可能であった。また単純な是非だけの複写制限だけではなく、パスワード情報や許可ユーザ情報を条件情報として埋め込み、特定のユーザにのみ複写を許可する方式も提案されている。この種のシステムとしては特許文献1に開示されている。なお、上記追跡情報および複写制限情報を総称して今後「セキュリティ付加情報」と呼ぶこととする。
【0007】
さて、従来、変倍コピーを行う場合には、原稿に対してセキュリティ付加情報が埋め込まれている、あるいは埋め込まれていないに関わらず、原稿の給紙方向(副走査方向)と、給紙方向に直交する方向(主走査方向)とに対して異なる変倍処理を行っている。すなわち、原稿の給紙方向(副走査方向)の変倍は、スキャンする速度を変えることで変倍を実現するいわゆる光学変倍である。一方、給紙方向に直交する方向(主走査方向)への変倍は、スキャナより得られたデジタル画像データに対してデジタル変倍処理を組み合わせることで実施している。このように、副走査方向に対する変倍は光学変倍を使用することで、副走査方向の変倍にもデジタル変倍を実施する場合に比べて、変倍による画質劣化を抑えることが出来る。
【0008】
一方、この変倍コピー時に原稿に埋め込まれたセキュリティ付加情報を抽出するためには、変倍されていない(等倍の)デジタル画像データを抽出用画像データとして用いることが望ましい。そのため光学変倍により副走査方向に対して変倍された画像を、セキュリティ付加情報の抽出用として別途等倍に戻す処理(「逆変倍処理」とも呼ぶ)を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−280469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の技術において、光学変倍において任意の倍率の変倍を許してしまうと、等倍に戻す逆変倍処理において、演算誤差により原稿に埋め込まれたセキュリティ付加情報が消失してしまう恐れがある。
【0011】
上述のように変倍を行う際に画質の劣化を抑えることを考慮すると、光学変倍の方が、デジタル変倍のように間引きや補間を行わないので好ましい。しかしながら、例えば、セキュリティ付加情報として低可視バーコードが埋め込まれた原稿に対して光学変倍を行うと、該光学変倍を行って取得された画像データにおいては、副走査方向のグリッド間隔が変倍率に応じて変わってしまう。また、変倍率によってはドットが消失してしまう可能性がある。
【0012】
このように、通常の原稿に対して変倍を行う際には画質の劣化を抑えることができるので光学変倍が有効である。しかしながら、セキュリティ付加情報等のコード化情報が埋め込まれた原稿に対して変倍を行う場合には、該原稿の印刷物からコード化情報を読取る際に解析が行えなかったり、解析精度が低下してしまう可能性がある。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものである。その目的は、光学変倍が可能な画像読取装置を用いて変倍を行う際に、原稿に埋め込まれたコード化情報の解析をより高精度に行えるように制御可能な画像処理装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために、本発明は、光学変倍可能な画像読取装置から画像を受取る画像処理装置であって、前記受取った画像をデジタル変倍する手段と、前記受取った画像からコード化情報を検出する手段とを備え、変倍率が、光学変倍した画像を再び等倍に戻す際に演算誤差が生じない変倍率では無い場合では、前記光学変倍の代わりに、前記デジタル変倍する手段によって、前記受け取った画像をデジタル変倍し、前記検出する手段は、前記受取った画像に対する前記デジタル変倍する手段でのデジタル変倍を受ける前に、前記受取った画像から前記コード化情報を検出することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、光学変倍可能な画像読取装置から画像を受取る画像処理装置であって、設定された変倍率を取得する手段と、前記受取った画像にコード化情報が含まれているか否かを判断する手段と、前記受取った画像をデジタル変倍する手段と、前記受取った画像からコード化情報を検出する手段と、前記判断する手段が、前記受取った画像に前記コード化情報が含まれていると判断し、かつ前記取得する手段が取得した変倍率が、光学変倍した画像を再び等倍に戻す際に演算誤差が生じない変倍率である場合には、前記画像読取装置に対して、光学変倍処理を指示する手段と、前記判断する手段が、前記受取った画像に前記コード化情報が含まれていると判断し、かつ前記取得する手段が取得した変倍率が、光学変倍した画像を再び等倍に戻す際に演算誤差が生じない変倍率以外の変倍率である場合には、前記画像読取装置に対して、光学変倍処理ではなく、等倍による読取動作を指示する手段とを備え、前記画像読取装置にて前記等倍による読取動作の指示に従って取得された画像を前記画像読取装置から受取ると、前記検出する手段は、前記取得された画像から前記コード化情報を検出し、前記デジタル変倍する手段は、前記取得された画像をデジタル変倍することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、光学変倍可能な画像読取装置から画像を受取る画像処理装置の制御方法であって、設定された変倍率を取得する工程と、前記受取った画像にコード化情報が含まれているか否かを判断する工程と、前記判断する工程が、前記受取った画像に前記コード化情報が含まれていると判断し、かつ前記取得する工程が取得した変倍率が、光学変倍した画像を再び等倍に戻す際に演算誤差が生じない変倍率である場合には、前記画像読取装置に対して、光学変倍処理を指示する工程と、前記判断する工程が、前記受取った画像に前記コード化情報が含まれていると判断し、かつ前記取得する工程が取得した変倍率が、光学変倍した画像を再び等倍に戻す際に演算誤差が生じない変倍率以外の変倍率である場合には、前記画像読取装置に対して、光学変倍処理ではなく、等倍による読取動作を指示する工程とを有し、前記画像読取装置にて前記等倍による読取動作の指示に従って取得された画像を前記画像読取装置から受取ると、前記取得された画像から前記コード化情報を検出し、前記取得された画像をデジタル変倍することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、光学変倍可能な画像読取装置から画像を受取るデジタル変倍可能な画像処理装置であって、前記受取った画像をデジタル変倍する手段と、前記受取った画像からコード化情報を検出する手段とを備え、変倍率が、光学変倍した画像を再び等倍に戻す際に演算誤差が生じない変倍率では無い場合では、前記光学変倍の代わりに、前記デジタル変倍する手段によって、前記受け取った画像をデジタル変倍し、前記検出する手段は、前記受取った画像に対する前記デジタル変倍する手段でのデジタル変倍を受ける前に、前記受取った画像から前記コード化情報を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって、変倍コピー時においても、原稿に埋め込まれたセキュリティ付加情報等のコード化情報を確実に抽出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置のシステムブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の通常のコピー画面を示すGUI図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る変倍設定を行うための画面を示すGUI図である。
【図5】(a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係る変倍コピー動作フローを示した図である。
【図6】(a)〜(e)は、従来の、変倍コピーとコード化情報との抽出を同時に行う場合の動作フローを示した図であるである。
【図7】(a)および(b)は、本発明の一実施形態に係る、原稿に印字されたLVBCと仮想グリッドとの説明図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係る、演算誤差を考慮して、変倍コピーとコード化情報の抽出とを同時に行う場合の動作フローを示した図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る、100%未満の変倍率が設定された場合の光学変倍処理とデジタル変倍処理についてのフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態に係る、100%を超える変倍率が設定された場合の光学変倍処理とデジタル変倍処理についてのフローチャートである
【図11】本発明の一実施形態に係るコード化情報としてのLVBC解析設定を行うための画面を示すGUI図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する図面で、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
本発明では、セキュリティ付加情報等のコード化情報を印字済みの原稿を拡大または縮小してスキャンを行う場合に、その原稿をスキャンする速度を変更することで変倍を実現する、いわゆる光学変倍の変倍率に制限をかける。これにより、原稿に埋め込まれたセキュリティ付加情報等のコード化情報を確実にデコードできるようにするものである。
【0021】
<画像形成装置の外観について>
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す外観図である。
【0022】
画像読取装置としてのスキャナ部0113は、原稿上の画像を露光走査して得られた反射光をCCD(Charge Coupled Devices)あるいはCIS(Contact Image Sensor)等の感光素子に入力する。これにより、画像の情報を電気信号に変換する。前記画像読取装置としてのスキャナ部0113はさらに電気信号をR,G,B各色からなる輝度信号に変換し、当該輝度信号を画像データとして出力する。さらに、スキャナ部0113は、光学変倍可能なように構成されている。
【0023】
なお、原稿は原稿フィーダ0101のトレイ0102にセットされる。ユーザが操作部0112から読み取り開始を指示すると、スキャナ部0113に原稿読み取り指示が与えられる。スキャナ部0113は、この指示を受けると原稿フィーダ0101のトレイ0102から原稿を1枚ずつフィードして、原稿の読み取り動作を行う。なお、原稿の読み取り方法は原稿フィーダ0101による自動送り方式ではなく、原稿を不図示のガラス面上に載置し露光部を移動させることで原稿の走査を行う方法であってもよい。
【0024】
プリンタ部0114は、先の画像データを用紙上に形成する画像形成装置である。なお、本実施形態において画像形成方式は感光体ドラムや感光体ベルトを用いた電子写真方式となっているが、本発明はこれに限られることはない。例えば、微少ノズルアレイからインクを吐出して用紙上に印字するインクジェット方式などでも適用可能である。また、プリンタ部0114には、異なる用紙サイズ又は異なる用紙向きを選択可能とする複数の用紙カセット0103、0104、0105が設けられている。排紙トレイ0106には印字後の用紙が排出される。
【0025】
<画像形成装置に実装されるシステムブロック図について>
図2は、本実施形態におけるシステムブロック図であり、図1に示した画像形成装置に実装される。
【0026】
Controller Unit 0200は、画像入力デバイスであるスキャナ0113や画像出力デバイスであるプリンタ0114に接続されている。一方では、Controller Unit 0200は、LAN0211や公衆回線(WAN)0251と接続することで、PC等の外部機器に対して、画像情報やデバイス情報等の情報の入出力を行う為のコントローラである。
【0027】
CPU0201は、ROMやハードディスク等に記憶されたプログラム等に基づいて、システム全体を制御すると共に、Controller Unit 0200内部で行われる各種処理についても統括的に制御するコントローラである。RAM0202は、CPU0201が動作するためのシステムワークメモリであり、画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。ROM0203はブートROMであり、システムのブートプログラムが格納されている。HDD0204はハードディスクドライブで、システムソフトウェア、画像データを格納する。本実施形態では、CPU0201が、ROM0203やHDD0204に記憶された本実施形態に係る処理などの制御プログラムに従って、種々の演算、制御、判別などの処理動作を実行する。
【0028】
操作部I/F0206は、タッチパネルを有した操作部(UI)0112とのインターフェース部で、操作部0112に表示する画像データを操作部0112に対して出力する。また、操作部0112から本システムユーザが入力した情報を、CPU0201に伝える役割をする。NetworkI/F0210は、LAN0211に接続し、情報の入出力を行う。Modem0250は、公衆回線0251に接続し、情報の入出力を行う。以上のデバイスがシステムバス0207上に配置される。
【0029】
ImageBusI/F0205は、システムバス0207と画像データとを高速で転送する画像バス0208を接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。画像バス0208は、PCIバスまたはIEEE1394で構成することができる。画像バス0208上には以下のデバイスが配置される。
【0030】
デバイスI/F部0220は、画像入出力デバイスであるスキャナ0113やプリンタ0114とコントローラ0200とを接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。スキャナ画像処理部0280は、入力画像データに対し補正、加工、編集を行う。プリンタ画像処理部0290は、プリント出力画像データに対して、プリンタの補正等を行う。画像回転部0230は画像データの回転を行う。画像圧縮部0240は、多値画像データをJPEG、2値画像データをJBIG、MMR、MHへと圧縮伸張処理を行う。画像変倍部0260は、画像データに対してデジタル変倍を行う。この画像変倍部260によりデジタル変倍可能な構成が実現される。情報抽出部0270は、スキャナ部0113から受け取った画像データからセキュリティ付加情報等のコード化情報の抽出を行う。
【0031】
なお、コード化情報は、セキュリティ付加情報等の、情報源を符号化して作成された情報であり、1次元コード、2次元コードを含む。その例としては、例えば、電子透かし、1次元バーコード、2次元バーコード、低可視バーコード(LVBC(Low Visibility Barcodes)である。本実施形態では、コード化情報としてセキュリティ付加情報、特にLVBCにてコード化された情報を用いる形態を説明する。
【0032】
また、本明細書において、「デジタル変倍」とは、スキャナ等の画像読取装置から読取って取得された画像データに対して、間引きや補間等の画像処理を施して行う変倍処理を指す。
【0033】
さらに、本明細書において、「光学変倍」とは、スキャナ等の画像読取装置にて読取を行う際に、原稿の副走査方向へのスキャン速度を設定された変倍率に応じて変えることで上記副走査方向の変倍を実現する変倍処理を指す。
【0034】
本発明の特徴の1つは、原稿をスキャンする速度を変倍率(倍率)に応じて制御することで光学変倍処理を行う光学変倍処理機能を有する画像読取装置を用いて変倍を行う際、所定の倍率以外での光学変倍処理の実施を制限することである。すなわち、場合に応じて(変倍率に応じて)、原稿の副走査方向の変倍において、光学変倍と、デジタル変倍と、デジタル変倍および光学変倍の組み合わせとを使い分けることを特徴としている。
【0035】
<変倍コピーの設定について>
図3および図4を用いて、本実施形態に係る変倍コピーの設定について説明する。
図3は、画像形成装置おける通常のコピー画面を示すGUIである。図3に示されるGUIは、操作部0112に表示される。図3において符号0301はUIの画面そのものであり、符号0302はコピーを選択していることを示すコピータブである。符号0303はコピーの設定を表示する状態表示ウィンドウであり、設定した倍率や、選択している用紙サイズ、コピー部数が表示されている。符号0304は等倍(100%)コピーを行う場合に選択するボタンであり、符号0305は変倍コピーを行う場合にその設定をするためのボタンである。この変倍ボタン0305が押下された場合に操作部0112に表示される画面が、図4である。
【0036】
図4において符号0401は変倍設定を行うための画面であり、符号0402には設定した変倍率が表示される(図では70%変倍が設定されていることが表示されている)。符号0403は縮小変倍を行う場合に1%刻みで倍率を下げていくためのボタンであり、符号0404は拡大変倍を行う場合に1%刻みで倍率を上げていくためのボタンである。符号0405はA3原稿をA4の用紙(またはB4原稿をB5の用紙)に縮小コピーを行う場合に選択するボタンであり、符号0403ボタンを押下することなく、一度に70%縮小コピー設定が行うことができる。符号0405は変倍設定を終了するためのボタンであり、このボタン0405を押下することで元の図3に示すコピー画面に戻ることができる。
【0037】
<変倍コピー動作について>
図5(a)〜(d)を用いて、A3サイズの原稿をA4サイズの用紙へ光学変倍コピーする場合の画像形成装置の動作について説明する。
図5(a)は、これからコピーを行うA3サイズの原稿用紙を表しており、縦297mm(主走査方向)、横420mm(副走査方向)の用紙である。このA3サイズの原稿をA4サイズの用紙へ光学変倍コピーするためには、先の図4で説明した変倍設定用の画面において、70%縮小コピーを指定するためのボタン0405をユーザが操作部0112を介して押下する。該押下により、画像処理装置としてのController Unit 0200は、光学変倍コピーを行うことを示す情報を受け付ける。
【0038】
次にこのA3サイズの原稿を原稿フィーダ0101のトレイ0102にセットし、ユーザが操作部0112から読み取り開始を指示すると、Controller Unit 0200は、該指示を受け付け、スキャナ部0113に原稿読み取り指示を与える。スキャナ部0113は、この指示を受け取ると原稿をフィードして原稿の読み取り動作を行うが、光学変倍による70%縮小コピー設定がされているため、フィード速度を等倍のコピー時と比較して142%上げる。これにより、原稿の給紙方向(副走査方向)に対して光学的に70%縮小を実施した画像データを得ることができる。
【0039】
その結果、図5(b)に示したように、副走査方向のみ光学変倍された画像データ(縦7015[pixel]×横7015[pixel])となり、RAM0202上に保存される。次にこの画像データに対して、画像変倍部0260を使用して、主走査方向に対する70%のデジタル変倍を実施する。その結果、図5(c)に示したように主走査方向に対して変倍された画像データ(縦4960[pixel]×横7015[pixel])となり、RAM0202上に保存される。この画像データをプリンタ部0114へ渡し、用紙に印字する。その結果、図5(d)に示すA4サイズのコピー出力結果を得ることができる。
【0040】
<セキュリティ付加情報の抽出設定について>
図11を用いて、セキュリティ付加情報としてLVBC(Low Visibility Barcodes:低可視バーコード)が埋め込まれた原稿から、埋め込まれた内容を抽出する場合のコピー設定について述べる。
【0041】
図11は、先の図3における応用モードボタン0305が押下された場合に操作部0112に表示される画面である。図11の応用モード設定画面には、製本コピー行うための設定ボタン1101や、縮小レイアウトコピーを行うための設定ボタン1102が表示される。これと同時に、原稿に埋め込まれたLVBC解析を行いながらコピーを行うためのボタン1103が配置される。コピー時にLVBC解析を行う場合には、本ボタン1103を押下することにより設定を行うことが出来る。ユーザが操作部0112を介してボタン1103を押下すると、Controller Unit 0200は、コピー時にLVBC解析を行うことを示す情報を受け付ける。設定が終了すれば、閉じるボタン1104を押下することで、元の図3に示すコピー画面に戻ることができる。
【0042】
<変倍コピー時にセキュリティ付加情報を抽出する場合の動作>
図6(a)〜(e)を用いて、従来の、セキュリティ付加情報の抽出を行いながら、光学変倍コピーを実施する方法について述べる。図6において図5と異なる点は、原稿全面にセキュリティ付加情報としてLVBCが埋め込まれている点、および図6(e)に示したLVBC抽出用の画像を生成している点であり、その他の光学変倍コピー設定値などは同じである。
【0043】
図6(a)のセキュリティ付加情報が埋め込まれたA3サイズの原稿を、A4サイズの用紙へ変倍コピーを行いながら、同時にセキュリティ付加情報を抽出するために、次に示す逆変倍処理を行う。すなわち、A3サイズの原稿の副走査方向に対して変倍率70%の光学変倍を行い、図6(b)に示す画像データを生成する。次いで、図6(b)に示した光学変倍により副走査方向に70%縮小変倍された画像データに対して、画像変倍部0260を使用して副走査方向に再び142%の拡大デジタル変倍処理(逆変倍処理)を行う。その結果、図6(e)に示すように主走査、副走査の変倍率が等倍でスキャンされた場合の画像データと同じサイズとなる。この画像データをもとに情報抽出部0270を使用してセキュリティ付加情報の抽出を実施する。
【0044】
しかし、上記手順のように、一度70%縮小変倍された画像データに対して再び142%の拡大変倍処理を実施しても、演算誤差により正確に等倍スキャンした画像データと同じサイズにはならない。したがって、図6(e)に示す画像データを用いて情報抽出部0270によりセキュリティ付加情報の抽出を実施した場合、正しく情報を抽出できない可能性がある。なぜなら、図7(a)に示すように、原稿に埋め込まれたLVBCのドット解析のためには、図7(b)のように仮想グリッドの位置から実際に打たれたドットの座標の変位を計測し、その変位量からデータへと変換を行う。従って、図7(b)におけるグリッドの間隔aとbとが等しくない場合、解析ができないからである。
【0045】
なお、本明細書において、「逆変倍処理」とは、変倍によって所定の割合で縮小(拡大)した画像データを、元のサイズに拡大(縮小)する処理を指す。
【0046】
そこで、本発明では、変倍コピー時において光学変倍を行う変倍率に制限をかけることで、セキュリティ付加情報を確実に抽出できるように制御を行う。すなわち、セキュリティ付加情報の抽出と変倍を同時に行う場合において、所定の変倍率にて光学変倍した画像データに対して逆変倍処理を行う際に、演算誤差が生じない変倍率以外の変倍率にて変倍を行う際、光学変倍を行わずデジタル変倍を行うように制御する。すなわち、設定された変倍率が、光学変倍した画像を再び等倍に戻す際に演算誤差が生じない変倍率である、光学変倍に適した変倍率では無い場合に、光学変倍の変わりにデジタル変倍を行うのである。
【0047】
なお、上記演算誤差が生じない変倍率を、「光学変倍に適した変倍率」とも呼ぶことにする。
上記光学変倍に適した変倍率についてより詳細に説明する。通常、デジタル変倍では、25%、50%、200%、300%といった、(100/N)%(Nは、0を除く整数)や、N×100%の時(つまり、演算誤差が生じない倍率)、単純変倍を行い、それ以外の倍率では画素補間変倍(例えば、バイリニア変倍)を行う。本実施形態では、逆変倍処理を行った場合、単純変倍を行うことができれば、逆変倍処理後の画像データにおいて演算誤差による影響が無くなり、光学変倍を行った場合でも、逆変倍処理後の画像データには演算誤差が原因のひずみ等は生じない。従って、25%、50%、200%、300%といった単純変倍が可能な変倍率が、光学変倍に適した変倍率となる。
【0048】
なお、光学変倍を行わずデジタル変倍を行うように制御する変倍率は、上記光学変倍に適した変倍率の一部分以外の変倍率であっても良い。すなわち、光学変倍に適した変倍率のうち所定の変倍率の場合には光学変倍を行い、該所定の変倍率では無い場合には、光学変倍の代わりにデジタル変倍を行うようにしても良い(後述する図9、10の形態)。あるいは、スキャナ部のスペック範囲内で上記光学変倍に適した変倍率の全てについては光学変倍を行い、光学変倍に適した変倍率以外の変倍率について、光学変倍の代わりにデジタル変倍を行うようにしても良い。
【0049】
すなわち、本発明では、光学変倍に適した変倍率の少なくとも1つ以外の変倍率にて変倍を行う際に、光学変倍を行わずデジタル変倍を行うように制御するのである。
【0050】
例えば、先に挙げたA3サイズの原稿をA4サイズの用紙へ変倍コピーする場合は、図8(a)〜(d)に示すように変倍処理を実施する。具体的には、CPU0201は、操作部0112を介してユーザにより入力された変倍率が光学変倍に適した変倍率以外であると判断すると、光学変倍処理を行わずに等倍処理を行うことができる。すなわち、図8(a)に示す、これからコピーを行うA3サイズの原稿用紙のスキャンは、図6では光学変倍により副走査方向に対しいて70%の変倍を行ったのに対して、図8では等倍でスキャンを実施する。その結果、図8(b)に示すように、縦7015[pixel]×横9920[pixel]の変倍されていない画像データとなる。次にCPU0201は、図8(b)に示す画像データを、画像変倍部0260を使用して、主走査方向と副走査方向それぞれに対して70%のデジタル変倍を実施する。変倍後の画像データを図8(c)に示す(縦4960[pixel]×横7015[pixel])。CPU0201は、図8(c)に示す画像データをプリンタ部0114へ渡し、用紙に印字すると、図8(d)に示すA4サイズのコピー出力結果を得ることができる。
【0051】
セキュリティ付加情報の抽出は、図8(b)の等倍でスキャンされた画像データをもとに情報抽出部0270を使用して行う。本実施形態では、図8(b)のように等倍スキャンされた画像データからセキュリティ付加情報の抽出を行うため、先の図6で説明したような演算誤差による画像のひずみを原因とした抽出エラーは発生しない。また、情報抽出部0270は、図2に示すように画像変倍部0260と並列に配置されているため、スキャン直後のデジタル変倍処理が実施されていない画像データ(図8(b))からセキュリティ付加情報の抽出が可能となる。
【0052】
すなわち、図6に示すような従来のように、光学変倍後の画像データへの逆変倍処理(デジタル変倍)の際、すなわち、再び等倍に戻す際に、演算誤差が生じる倍率が存在する。このような倍率で逆変倍を行う場合は、画素補間変倍を行う必要が生じる。つまり、再び等倍に戻す際に単純変倍が行えないので、画素補間変倍を行っても、再び等倍に戻した際に、等倍に戻された後の画像と、等倍に戻される前の画像との間で、濃度変化に違いが生じる場合がある。すなわち、単純変倍が可能な倍率である、光学変倍に適した変倍率以外の変倍率では、逆変倍の際に画素補間変倍を行う必要があり、上述のような濃度変化の違いなどが発生してしまう。このような濃度変化は、セキュリティ付加情報の抽出が無い場合では問題とならないが、セキュリティ付加情報の抽出時に発生してしまうと、正確な抽出を妨げる可能性がある。そこで、本実施形態では、セキュリティ付加情報の抽出が設定され、光学変倍に適した変倍率以外の変倍率が設定された時に、光学変倍処理ではなく、一旦等倍でスキャンする。そして、該等倍でスキャンした画像に対して、セキュリティ付加情報の抽出を行って、所定の倍率になるようにデジタル変倍を行う。
【0053】
以上図8で述べた動作を、50%から200%まで光学変倍ができるスキャナ0113を用いた場合に、副走査方向の変倍を光学変倍とデジタル変倍をどのように組み合わせて実施するかをフローチャートとしてまとめたものを、図9および図10に示す。図9は、100%未満の変倍コピーが設定された場合の光学変倍処理とデジタル変倍処理についてのフローチャートであり、図10は、100%を超える変倍コピーが設定された場合の光学変倍処理とデジタル変倍処理についてのフローチャートである。
【0054】
なお、以下の説明では、スキャナ0113は、200%よりも大きい拡大処理と50%未満の縮小処理については、装置のスペック上光学変倍処理が行えないとする。すなわち、光学変倍の縮小方向の限界が変倍率50%であり、拡大方向の限界が変倍率200%であるとする。
【0055】
上記50%、200%は、光学変倍に適した変倍率であるが、それ以外でも、例えば25%、や300%なども光学変倍に適した変倍率となる。すなわち、縮小方向であれば、(100/N)%(Nは、0を除く整数)が、拡大方向であればN×100%が光学変倍に適した変倍率である。しかしながら、光学変倍は、デジタル変倍に比べて綺麗なスキャン結果を得ることができるが、変倍率によってはその制御が困難となる。例えば、倍率が1%であれば、等倍スキャンに比べて100倍の速さでスキャンする必要があり、そのような速さでスキャナを動作させることは非常に困難である。また、倍率が10000倍である場合は、等倍スキャンに比べて1/100のスピードでスキャナを動作させる必要があるが、このように遅くスキャナを動作させることも逆に難しい。
そこで、本実施形態では、変倍率50%を光学変倍の縮小方向の限界と設定し、変倍率200%を拡大方向の限界と設定する。そして、セキュリティ情報の抽出が設定され、変倍率が、50%より大きく100%よりも小さい、または100%よりも大きく200%よりも小さい場合に、光学変倍を行わせる代わりにデジタル変倍を行う。そして、セキュリティ情報の抽出が設定され、変倍率が、光学変倍に適した変倍率の一部である50%、200%である場合に、光学変倍を行う。さらに、セキュリティ情報の抽出が設定され、変倍率が50%未満、および200%よりも大きい場合には、後述する組み合わせ処理を行う。
【0056】
図9において、まずステップ0901では、CPU0201は、コピー設定として、変倍コピー設定やセキュリティ付加情報の抽出設定を行う。具体的な操作は先の図3および図4、図11で説明した通りであり、そこでの設定は操作部I/F0206を介してCPU0201へと伝えられるとともに、RAM0202に保存される。本ステップ901では、CPU0201は、抽出した変倍コピー設定に関する情報から、設定された変倍率Xも抽出してRAM0202に保存する。
【0057】
次にステップ0902において、CPU0201は、ステップ0901にて抽出した情報に基づいて、セキュリティ付加情報(LVBC)の抽出を行う必要があるかを判断する。すなわち、CPU0201は、上記抽出した情報に基づいて、スキャナ0113から受取った画像にLVBCが含まれているか否かを判断する。これは先の図11で説明した応用モードで、LVBC解析ボタン1103が押下されたかどうかにより判定する。LVBC解析が設定されていない場合はステップ0903へと進む。
【0058】
ステップ0903では、CPU0201は、ステップ0901においてRAM0202に保存した(ユーザによって設定された)変倍率Xが何%であるかを判断する。該判断結果、100%未満かつ50%以上である場合にはステップ0904へと進み、光学変倍スキャンにより変倍を実施する。すなわち、CPU0201は、スキャナ0113に対して、設定された変倍率にて縮小されるように光学変倍処理を行うようなコマンド(指示)を送信する。スキャナ0113は、該コマンドに従って、原稿の副走査方向に対して光学変倍処理を行う。該スキャンにより得られた画像データは、ImageBusI/F0205を介してRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存された画像データは、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0059】
ステップ0903において変倍率が50%未満である場合、すなわち、変倍率が光学変倍の限界となる変倍率の範囲外にある場合には、CPU0201は、光学変倍とデジタル変倍とを組み合わせる処理を行う。まずは、ステップ0905において、CPU0201は、スキャナ0113の光学変倍の限界である50%縮小を実施して一旦RAM0202へと保存する。すなわち、CPU0201は、変倍率50%にて縮小されるように光学変倍処理を行うようなコマンドをスキャナ0113に対して送信し、該スキャナ0113は上記コマンドに従って、50%縮小された画像データを取得してRAM0202に保存する。次いで、ステップ0906において、CPU0201は、残りの変倍処理を、ステップ0905にてRAM0202に保存された50%縮小された画像データに対して画像変倍部0260を使用してデジタル変倍を実施し、再びRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存された画像データは、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0060】
すなわち、CPU0201は、変倍率が50%未満の場合、光学変倍処理とデジタル変倍処理とを組み合わせて変倍処理(「組み合わせ変倍処理」とも呼ぶ)を実施する。例えば、変倍率30%の縮小を行う場合、まずはスキャナ0113が原稿の副走査方向に対して50%の縮小を行い、50%縮小された画像データを取得する。次いで、取得した、50%縮小された画像データに対して、CPU0201は、60%縮小されるようにデジタル変倍を行う。このようにして得られた画像データは、結果として、等倍スキャンにて得られた画像データと比較して30%縮小された画像データとなり、変倍率30%の縮小が実現されることになる。
【0061】
ステップ0913では、CPU0201は、RAM0202に保存された、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データに対して主走査方向に対するデジタル変倍処理を画像変倍部0260を使用して実施する。変倍後の画像データはRAM0202へと保存する。ステップ0914では、CPU0201は、ステップ0913にてRAM0202に保存された画像データをプリンタ部0114へ渡し、用紙に印字して全ての処理を終了する。
【0062】
ステップ0902において、CPU0201は、LVBCの抽出を行う必要があると判断した場合には、ステップ0907へと進む。ステップ0907では、CPU0201は、ステップ0901においてRAM0202に保存した変倍率Xが何%であるかを判断する。設定された変倍率Xが100%未満かつ50%より大きい場合には、CPU0201は、ステップ0908へと進み、光学変倍を行わずに等速スキャンし、スキャンにより得られた画像データをRAM0202へと保存する。すなわち、CPU0201は、スキャナ0113に対して、光学変倍処理を行わせるコマンドではなく、通常のスキャン、すなわち等倍による読取動作を行わせるためのコマンドを送信する。スキャナ0113は、該コマンドを受取ると、該コマンドに従って、光学変倍の代わりに等倍による読取動作(等速スキャン)を行い、等倍の画像データを取得する。
【0063】
従って、このときRAM0202に保存される画像データは、まだ変倍処理が施されていない画像データである。よって、該画像データにおける図7の間隔aと原稿における間隔aとは同じ値であり、かつ上記画像データにおける図7の間隔bと原稿における間隔bとも同じ値である。従って、このときRAM0202に保存された画像データからLVBCの検出処理を行えば、正確にLVBC検出を行うことができる。
【0064】
ステップ0909では、CPU0201は、ステップ0908にてRAM0202上に保存した画像データに対して必要なデジタル変倍を画像変倍部0260を使用して実施した後に、再びRAM0202へと保存する。すなわち、CPU0201は、原稿の副走査方向について、設定された変倍率となるようにデジタル変倍処理を行う。よって、このときRAM0202に保存された画像データは、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0065】
ステップ0907において変倍率が50%であった場合には、ステップ0910において、CPU0201は、ステップ0905と同様にして50%の光学変倍を実施して、スキャンにより得られた画像データをRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存される画像データは、光学変倍によって50%縮小された画像データであり、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0066】
ステップ0907において変倍率が50%より小さい場合、すなわち、変倍率が光学変倍の限界となる変倍率の範囲外にある場合は、CPU0201は、組み合わせ変倍処理を行う。すなわち、ステップ0911では、CPU0201は、ステップ0905と同様にしてスキャナ0113の光学変倍の限界である50%縮小を実施し、スキャンにより得られた画像データをRAM0202へと保存する。ステップ0912において、CPU0201は、ステップ0906と同様にして、RAM0202上に保存した画像データに対して残りのデジタル変倍を、画像変倍部0260を使用して実施した後に、再びRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存された画像データは、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0067】
以上により副走査方向に対する変倍処理が終われば、CPU0201は、ステップ0913へと進み、RAM上の画像データに対して主走査方向に対するデジタル変倍処理を実施し、続いてステップ0914によりプリント処理を行う。
【0068】
図9において、情報抽出部0270を使用してLVBCの解析を行うのは、ステップ0908、0910、0911でRAM0202に保存した画像データである。このときステップ0908の処理後にRAM0202上にある画像データは、図8(b)に示した画像データのように主走査/副走査ともに100%の変倍率でスキャンされたものである。従って、そのままの画像データから情報抽出部0270を使用してLVBCの解析ができる。すなわち、情報抽出部0270は、デジタル変倍部0260でのデジタル変倍処理を受ける前の画像データからLVBCの解析を行い、コード化情報の抽出を行う。従って、所定の縮小率による縮小、その後の逆変倍処理による拡大を行わないので、LVBCのグリッド間隔に変更は無く、LVBCを確実に抽出することができる。
【0069】
一方、ステップ0910、0911の処理後にRAM0202上にある画像データは主走査100%、副走査50%に変倍された画像となるため、そのままの画像データではLVBCの解析を行うことは出来ない。したがって、副走査方向に対して200%の変倍を行った後の画像データについて、情報抽出部0270を使用してLVBCの解析を行うこととなる。しかしながら、変倍率が200%であるため、図6(e)の時とは異なり、拡大変倍による演算誤差は生じないため、正しくLVBCの解析を行うことができる。すなわち、光学変倍を行う変倍率を、逆変倍処理しても演算誤差が生じない変倍率(光学変倍に適した変倍率)に設定しているため、LVBC解析のために逆変倍処理を行ってもLVBCのグリッド間隔の変更等が生じなくなり、LVBCを確実に抽出可能となる。
【0070】
なお、図9においては、変倍率が光学変倍の限界となる変倍率の範囲外にある場合(変倍率が50%未満の場合)では、組み合わせ変倍処理を行っているが、これに限定されず、デジタル変倍処理のみを行うようにしても良い。
【0071】
本実施形態では、光学変倍に適した変倍率の1つである50%を閾値として設け、変倍率が50%よりも大きく100%未満である場合については、デジタル変倍処理を行うように制御している。当然、変倍率が50%未満の範囲において、光学変倍に適した変倍率は存在する(例えば、25%等)。しかしながら、本発明の目的の1つが、光学変倍に適した変倍率の少なくとも1つ以外の変倍率にて変倍を行う場合、原稿の副走査方向に対して光学変倍ではなく、デジタル変倍を行うことである。従って、変倍率X<50%範囲内については、光学変倍に適した変倍率において、組み合わせ変倍を行うことになるが、上記目的は達成される。よって、上述したように、光学変倍を行わずデジタル変倍を行う変倍率は、光学変倍に適した変倍率の少なくとも1つ以外の変倍率となるのである。
【0072】
従って、図9の形態では、光学変倍を行う変倍率を、光学変倍に適した変倍率の1つである50%に設定しているが、光学変倍に適した変倍率のうち他の変倍率においても、光学変倍を行っても良い。この場合は、ステップ907において変倍率Xを判定する際に、判定により得られた変倍率が光学変倍に適した変倍率である場合に、該変倍率にてステップ0910と同様にして光学変倍処理を行えば良い。
【0073】
次に図10を用いて、100%を超える変倍コピーが設定された場合の光学変倍処理とデジタル変倍処理について述べる。
図10において、ステップ1001から1002の処理内容は、先の図9におけるステップ0901から0902までと同じであるため、説明を省略する。
【0074】
ステップ1003では、CPU0201は、ステップ1001においてRAM0202に保存した(ユーザによって設定された)変倍率Xが何%であるかを判断する。該判断結果、200%以下かつ100%より大きい場合にはステップ1004へと進み、CPU0201は、ステップ0904と同様にして光学変倍スキャンにより変倍を実施する。該光学変倍スキャンにより得られた画像データをRAM0202に保存する。なお、このときRAM0202に保存された画像データは、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0075】
ステップ1003において変倍率が200%を超える場合、すなわち、変倍率が光学変倍の限界となる変倍率の範囲外にある場合には、CPU201は、組み合わせ変倍処理を行う。まずは、ステップ1005にて、CPU0201は、スキャナの光学変倍の限界である200%拡大を実施してRAM0202へと一旦保存する。すなわち、CPU0201は、変倍率200%にて拡大されるように光学変倍処理を行うようなコマンドをスキャナ0113に対して送信し、該スキャナ0113は上記コマンドに従って、200%拡大された画像データを取得してRAM0202に保存する。次いで、ステップ1006では、CPU0201は、残りの変倍処理を、ステップ1005にてRAM0202に保存された200%拡大された画像データに対して画像変倍部0260を使用してデジタル変倍を実施し、再びRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存された画像データは、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0076】
ステップ1013では、CPU0201は、RAM0202に保存された、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データに対して主走査方向に対するデジタル変倍処理を画像変倍部0260を使用して実施する。ステップ1014では、CPU0201は、ステップ1013にてRAM0202に保存された画像データをプリンタ部0114へ渡し、用紙に印字して全ての処理を終了する。
【0077】
ステップ1002において、CPU0201は、LVBCの抽出を行う必要があると判断した場合には、ステップ1007へと進み、ステップ1007において、ステップ1001にてRAM0202に保存した変倍率が何%であるかを判断する。
【0078】
設定された変倍率Xが200%未満かつ100%より大きい場合には、CPU0201は、ステップ1008へと進み、光学変倍を行わずに等速スキャンし、スキャンにより得られた画像データをRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存される画像データは、まだ変倍処理が施されていない画像データである。よって、該画像データにおける図7の間隔aと原稿における間隔aとは同じ値であり、かつ上記画像データにおける図7の間隔bと原稿における間隔bとも同じ値である。従って、このときRAM0202に保存された画像データからLVBCの検出処理を行えば、正確にLVBC検出を行うことができる。
【0079】
ステップ1009において、CPU0201は、ステップ0908にてRAM0202上に保存した画像データに対して必要なデジタル変倍を、画像変倍部0260を使用して実施した後に、再びRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存された画像データは、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0080】
ステップ1007において変倍率が200%であった場合には、ステップ1010において、CPU0201は、ステップ1005と同様にして200%の光学変倍を実施して、スキャンにより得られた画像データをRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存される画像データは、光学変倍によって200%拡大された画像データであり、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0081】
ステップ1007において変倍率が200%より大きい場合、すなわち変倍率が光学変倍の限界となる変倍率の範囲外にある場合は、CPU0201は、組み合わせ変倍処理を行う。すなわち、ステップ1011において、CPU0201は、ステップ1005と同様にしてスキャナの光学変倍の限界である200%拡大を実施し、スキャンにより得られた画像データをRAM0202へと保存する。ステップ1012において、CPU0201は、ステップ1006と同様にしてRAM0202上に保存した画像データに対して残りのデジタル変倍を、画像変倍部0260を使用して実施した後に、再びRAM0202へと保存する。なお、このときRAM0202に保存された画像データは、副走査方向に対して所定の変倍処理が施された画像データとなる。
【0082】
以上により副走査方向に対する変倍処理が終われば、CPU0201は、ステップ1013へと進み、主走査方向に対するデジタル変倍処理を実施し、続いてステップ1014によりプリント処理を行う。
【0083】
図10において、情報抽出部0270を使用してLVBCの解析を行うのは、ステップ1008、1010、1011でRAM0202に保存した画像データである。このときステップ1008の処理後にRAM0202上にある画像データは、図8(b)に示した画像データのように主走査/副走査ともに100%の変倍率でスキャンされたものである。従って、そのままの画像データから情報抽出部0270を使用してLVBCの解析ができる。すなわち、情報抽出部0270は、デジタル変倍部0260でのデジタル変倍処理を受ける前の画像データからLVBCの解析を行い、コード化情報の抽出を行う。従って、所定の縮小率による縮小、その後の逆変倍処理による拡大を行わないので、LVBCのグリッド間隔に変更は無く、LVBCを確実に抽出することができる。
【0084】
一方、ステップ1010、1011の処理後にRAM0202上にある画像データは主走査100%、副走査200%に変倍された画像となるため、そのままの画像データではLVBCの解析を行うことは出来ない。従って、副走査方向に対して50%の縮小変倍を行った後の画像データについて、情報抽出部0270を使用してLVBCの解析を行うこととなるが、変倍率が50%であるため、図6(e)の時とは異なり、変倍による演算誤差は生じない。よって、正しくLVBCの解析を行うことができる。
【0085】
このように、本実施形態では、設定された変倍率が、少なくとも、光学変倍に適した変倍率では無い場合に、光学変倍処理ではなくデジタル変倍処理を行っている。すなわち、光学変倍に適さない変倍率については、光学変倍ではなくデジタル変倍を行うので、光学変倍を行う場合を、設定された変倍率が光学変倍に適した変倍率の場合に制限することができる。従って、変倍率によらずに、コード化情報を正しく解析することができる。
【0086】
また、本実施形態では、設定された変倍率が光学変倍に適した変倍率の場合には、光学変倍を行うことが可能であるので、変倍による画質の劣化を抑えることも可能である。
【0087】
(その他の実施形態)
本発明は、複数の機器(例えばコンピュータ、インターフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用することも、1つの機器からなる装置(複合機、プリンタ、ファクシミリ装置など)に適用することも可能である。
【0088】
前述した実施形態の機能を実現するように前述した実施形態の構成を動作させるプログラムを記憶媒体に記憶させ、該記憶媒体に記憶されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も上述の実施形態の範疇に含まれる。即ちコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も実施例の範囲に含まれる。また、前述のコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体はもちろんそのコンピュータプログラム自体も上述の実施形態に含まれる。
【0089】
かかる記憶媒体としてはたとえばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD―ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。
【0090】
また前述の記憶媒体に記憶されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウエア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作し前述の実施形態の動作を実行するものも前述した実施形態の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
0113 スキャナ
0201 CPU
0202 RAM
0203 ROM
0204 HDD
0260 画像変倍部
0270 情報抽出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学縮小可能な画像読取装置から画像を受取る画像処理装置であって、
前記受取った画像をデジタル変倍するデジタル変倍手段と、
前記受取った画像からコード化情報を検出する検出手段とを備え、
変倍が、50%ではない縮小である場合では、前記光学縮小の代わりに、前記デジタル変倍手段によって、前記受け取った画像をデジタル変倍し、前記検出手段は、る前記デジタル変倍手段でのデジタル変倍を受ける前の前記受取った画像から前記コード化情報を検出し、
変倍率が、50%である縮小である場合では、前記検出手段は、光学変倍された画像から前記コード化情報を検出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項1】
光学縮小可能な画像読取装置から画像を受取る画像処理装置であって、
前記受取った画像をデジタル変倍するデジタル変倍手段と、
前記受取った画像からコード化情報を検出する検出手段とを備え、
変倍が、50%ではない縮小である場合では、前記光学縮小の代わりに、前記デジタル変倍手段によって、前記受け取った画像をデジタル変倍し、前記検出手段は、る前記デジタル変倍手段でのデジタル変倍を受ける前の前記受取った画像から前記コード化情報を検出し、
変倍率が、50%である縮小である場合では、前記検出手段は、光学変倍された画像から前記コード化情報を検出することを特徴とする画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−151888(P2012−151888A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−62732(P2012−62732)
【出願日】平成24年3月19日(2012.3.19)
【分割の表示】特願2008−43339(P2008−43339)の分割
【原出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月19日(2012.3.19)
【分割の表示】特願2008−43339(P2008−43339)の分割
【原出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]