画像処理装置、画像処理プログラム
【課題】複数の粒状パターンによって像を示す画像データを、シンチレータ配置に基づく画像データへ高精度に変換する。
【解決手段】原画像データの各粒状パターンの出力値が大きい順に所定数の画素に対して最大画素値を与えてピーク画素として抽出し低階調値画像を作成し、最大画素値等を有する画素から成るピーク領域を抽出し、低階調値画像の水平方向・垂直方向に、ピーク領域の交差線に対して垂直でピーク領域のピーク画素の位置に稜線を抽出しS102、稜線が交差する交点を、アドレス情報を付与して特定し、交点の周辺領域の出力値が、交点の出力値より大きい場合に、交点を周辺領域の出力値の最大の箇所にアドレス情報を維持したまま再配置させてピーク点として特定しS103、出力値等に基づいて、低階調値画像を構成する各画素に対してアドレス情報を決定し、アドレス情報に基づいて、原画像データに対してアドレス変換を行なうための変換テーブルを作成するS104。
【解決手段】原画像データの各粒状パターンの出力値が大きい順に所定数の画素に対して最大画素値を与えてピーク画素として抽出し低階調値画像を作成し、最大画素値等を有する画素から成るピーク領域を抽出し、低階調値画像の水平方向・垂直方向に、ピーク領域の交差線に対して垂直でピーク領域のピーク画素の位置に稜線を抽出しS102、稜線が交差する交点を、アドレス情報を付与して特定し、交点の周辺領域の出力値が、交点の出力値より大きい場合に、交点を周辺領域の出力値の最大の箇所にアドレス情報を維持したまま再配置させてピーク点として特定しS103、出力値等に基づいて、低階調値画像を構成する各画素に対してアドレス情報を決定し、アドレス情報に基づいて、原画像データに対してアドレス変換を行なうための変換テーブルを作成するS104。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の粒状パターンより像を示す画像データに関する画像処理装置に係るものであり、特に核医学におけるPET又はSPECTに代表されるガンマカメラにおける画像処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
ガンマカメラは、被検体内に投与した放射性医薬品(ガンマ線を放出する放射性同位元素で標識した化合物)の分布を、ガンマ線を検出することにより映像化し、癌細胞の分布等を観察するための装置である。
【0003】
ガンマカメラは、例えば特許文献1に記載の如く、撮像素子として光電子増倍管を使用し、その前段にガンマ線を可視光に変換させ画素に分解するためにパイプ構造のシンチレータを配置する構造となっている。このような構造により、検出器としてのガンマカメラ固有の空間分解能を再現することができるようになっている。
【0004】
しかし、このシンチレータのパイプ構造の配置と光電子増倍管アレイの配置の不整合や、装置に具備されたアンプゲイン設定の調整状態の不安定性等による受光感度ムラなど、種々の原因により撮像時において光学的な不均一が生じ、更に幾何学的な歪みが発生するという問題がある。このような問題に対し、特許文献2では光電子増倍管との距離に基づいて修正したアドレスを決定する方法に関する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には病理組織の画像診断支援に係る技術について、特許文献4にはマイクロアレイの画像解析に係る技術について、特許文献5にはアストロビジョンなどの評価検査に係る技術についてそれぞれ開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−238488号公報
【特許文献2】特開平7−325156号公報
【特許文献3】特開平6−94706号公報
【特許文献4】特表2004−528532号公報
【特許文献5】特開平9−127913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなガンマカメラにおいては、特に光電子増倍管で撮像した画像をシンチレータ配置に基づく画像データに変換する際における変換精度が後段の画像を再構成する際に得られる断層像の精度を決定付ける重要な要因であるところ、上述した特許文献2に記載の手法では、シンチレータ配置に基づく画像データへの変換においてトリミング変換しか行なっておらず、アドレス決定の精度が低いという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、光電子増倍管によって撮像された画像など、複数の粒状パターンによって像を示す画像データを、シンチレータ配置に基づく画像データへの変換を高精度に行なうと共に、変換テーブルを簡便な手法によって色彩表示すること可能にする画像処理装置等を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、複数の粒状パターンにより像を示す原画像データの前記粒状パターンの出力値が大きいほうから順に所定の数の画素に対して、最大画素値を与えてピーク画素として抽出し、低階調値画像を作成するピーク画素抽出手段と、各前記ピーク画素について、当該ピーク画素の周辺の画素に対して第1中間画素値を与えて、前記最大画素値又は前記第1中間画素値を有する画素から成るピーク領域を夫々抽出し、前記低階調値画像に付加するピーク領域抽出手段と、前記低階調値画像の水平方向及び垂直方向に、所定の数の前記ピーク領域と交差する交差線を決定し、当該交差線に対して垂直方向であって、かつ前記交差したピーク領域のピーク画素の位置に各々所定の数の稜線を抽出する稜線抽出手段と、前記低階調値画像の水平方向の各前記稜線と前記低階調値画像の垂直方向の各前記稜線とが交差する交点を、交差する各稜線の稜線番号情報に基づいてアドレス情報を付与して特定し、前記原画像データと前記低階調値画像を示す前記低階調値画像データとを対比させ、各交点について、当該交点の周辺領域に対応する前記粒状パターンの出力値が、当該交点に対応する前記粒状パターンの出力値より大きい出力値を有する場合には、当該交点を当該周辺領域の出力値が最も大きい箇所に前記アドレス情報を維持したまま再配置させてピーク点として夫々特定するピーク点特定手段と、前記低階調値画像を構成する各画素について、当該画素と各前記ピーク点の距離と、当該ピーク点に対応する前記原画像データの前記粒状パターンの出力値と、に基づいて前記各画素に対してアドレス情報を決定するアドレス情報決定手段と、決定された前記アドレス情報に基づいて、複数の粒状パターンにより像を示す画像データであってアドレス変換の対象となる変換対象画像データに対してアドレス変換を行なうためのアドレス変換テーブルを作成するアドレス変換テーブル作成手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
これによれば、光電子増倍管によって撮像された画像など複数の粒状パターンによって像を示す画像データを、シンチレータ配置に基づく画像データへの変換を高精度に行なうことが可能になる。また、各アドレス分割領域の領域境界の形状を比較的滑らかに形成することができるため、アドレス変換後のノイズを最小限に抑えることができるアドレス変換テーブルを作成することができる。
【0011】
上記課題を解決すべく、請求項14に記載の発明は、コンピュータを、複数の粒状パターンにより像を示す原画像データ前記原画像データの前記粒状パターンの出力値が大きいほうから順に所定の数の画素に対して、最大画素値を与えてピーク画素として抽出し、低階調値画像を作成するピーク画素抽出手段、各前記ピーク画素について、当該ピーク画素の周辺の画素に対して第1中間画素値を与えて、前記最大画素値又は前記第1中間画素値を有する画素から成るピーク領域を夫々抽出し、前記低階調値画像に付加するピーク領域抽出手段、前記低階調値画像の水平方向及び垂直方向に、所定の数の前記ピーク領域と交差する交差線を決定し、当該交差線に対して垂直方向であって、かつ前記交差したピーク領域のピーク画素の位置に各々所定の数の稜線を抽出する稜線抽出手段、前記低階調値画像の水平方向の各前記稜線と前記低階調値画像の垂直方向の各前記稜線とが交差する交点を、交差する各稜線の稜線番号情報に基づいてアドレス情報を付与して特定し、前記原画像データと前記低階調値画像を示す前記低階調値画像データとを対比させ、各交点について、当該交点の周辺領域に対応する前記粒状パターンの出力値が、当該交点に対応する前記粒状パターンの出力値より大きい出力値を有する場合には、当該交点を当該周辺領域の出力値が最も大きい箇所に前記アドレス情報を維持したまま再配置させてピーク点として夫々特定するピーク点特定手段、前記低階調値画像を構成する各画素について、当該画素と各前記ピーク点の距離と、当該ピーク点に対応する前記原画像データの前記粒状パターンの出力値と、に基づいて前記各画素に対してアドレス情報を決定するアドレス情報決定手段、決定された前記アドレス情報に基づいて、複数の粒状パターンにより像を示す画像データであってアドレス変換の対象となる変換対象画像データに対してアドレス変換を行なうためのアドレス変換テーブルを作成するアドレス変換テーブル作成手段として機能させることを特徴とする。
【0012】
これによれば、各アドレス分割領域の領域境界の形状を比較的滑らかに形成することができるため、アドレス変換後のノイズを最小限に抑えることができるアドレス変換テーブルを作成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光電子増倍管によって撮像された画像など複数の粒状パターンによって像を示す画像データを、シンチレータ配置に基づく画像データへの変換を高精度に行なうことが可能になる。また、各アドレス分割領域の領域境界の形状を比較的滑らかに形成することができるため、アドレス変換後のノイズを最小限に抑えることを可能にしたアドレス変換テーブルを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るガンマカメラ装置の一実施の形態を概略的に示した構成図である。
【図2】本発明に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理手順1に係るテストパターン原画像データに対する画像処理を示すフローチャートである。
【図4】(A)画像処理手順1及び2に係る微分フィルタ処理を示すフローチャートである。(B)画像処理手順1及び2に係る生成した微分フィルタの一例である。
【図5】画像処理手順1に係る稜線抽出処理を示すフローチャートである。
【図6】(A)画像処理手順1に係る低階調値画像データの画素値決定手法を示す説明図である。(B)画像処理手順1に係る稜線抽出処理を示す説明図である。
【図7】(C)画像処理手順1に係るx方向(水平方向)直線画素群の再配置を示す説明図である。(D)画像処理手順1に係るy方向(垂直方向)直線画素群の再配置を示す説明図である。(E)画像処理手順1に係るx稜線の平滑化処理を示す説明図である。(F)画像処理手順1に係るy稜線の平滑化処理を示す説明図である。
【図8】(A)画像処理手順1に係る境界線抽出処理を示すフローチャートである。(B)画像処理手順1に係るx境界線の抽出を示す説明図である。(C)画像処理手順1に係るy境界線抽出を示す説明図である。
【図9】画像処理手順1に係るテストパターン原画像データからxyアドレス変換テーブルを作成するまでを示す説明図である。
【図10】(A)画像処理手順1に係るxyアドレス変換テーブル作成処理を示すフローチャートである。(B)画像処理手順1に係る各アドレス分割領域の平滑化処理を示すフローチャートである。
【図11】画像処理手順1に係る3×3の9つの画素によるアドレス分割領域の平滑化処理を示す説明図である。
【図12】画像処理手順1に係るアドレス分割領域の平滑化処理を示す説明図である。
【図13】(A)画像処理手順1に係るz方向有効領域決定処理を示すフローチャートである。(B)画像処理手順1に係る各アドレス分割領域のz方向有効領域の説明図である。
【図14】画像処理手順1に係るxyアドレス変換テーブル及びz方向有効領域をビットマップデータとして表示する際の説明図である。
【図15】画像処理手順1に係る変形形態による任意のアドレス分割領域のz方向有効領域の説明図である。
【図16】画像処理手順2に係るテストパターン原画像データに対する画像処理を示すフローチャートである。
【図17】画像処理手順2に係る稜線抽出処理を示すフローチャートである。
【図18】(A)画像処理手順2に係るピーク画素の抽出を示す説明図である。(B)画像処理手順2に係るピーク領域の抽出を示す説明図である。(C)画像処理手順2に係る隣接領域の抽出を示す説明図である。(D)画像処理手順2に係る所定の数のピーク領域の抽出結果を示す説明図である。
【図19】画像処理手順2に係る稜線抽出処理を示す説明図である。
【図20】(A)画像処理手順2に係るピーク点特定処理を示すフローチャートである。(B)画像処理手順2に係る交点の特定を示す説明図である。(C)画像処理手順2に係るピーク点の特定を示す説明図である。
【図21】画像処理手順2に係るxyアドレス変換テーブル作成処理を示すフローチャートである。
【図22】(A)画像処理手順2に係る画素Aの所属先ピーク点に関する説明図である。(B)画像処理手順2に係る各ピーク点の画素領域の説明図である。
【図23】(C)画像処理手順2に係る無効画素の所属先ピーク点に関する説明図である。(D)画像処理手順2に係るアドレス分割領域を示す説明図である。
【図24】(A)画像処理手順2に係る任意のアドレス分割領域のz方向有効領域の説明図である。(B)画像処理手順2に係る複数種類の放射性医薬品を用いた場合における任意のアドレス分割領域のz方向有効領域の説明図である。
【図25】本発明に係る変換対象画像データの領域統合画像データ作成処理を示すフローチャートである。
【図26】テストパターン原画像データのノイズ削除処理の説明図である。
【図27】(A)画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例を示すフローチャートである。(B)画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例におけるピーク点の修正を示す説明図である。(C)画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例におけるピーク点の特定を示す説明図である。
【図28】(A)画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例を示すフローチャートである。(B)画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例における重心点の説明図である。(C)画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例における仮アドレス分割領域の説明図である。(D)画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例における重心点の修正を示す説明図である。(E)画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例におけるアドレス分割領域を示す説明図である。
【図29】z方向有効領域決定処理の変形例におけるピーク検索範囲の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態は、動物等の被検体に投与した放射線医薬品から放射されるガンマ線を検出するガンマカメラ装置からの撮像画像データ(検出データ)であって、特に1の画像データを、光子の有効エネルギー準位(波長)が異なる32枚(z方向:z=1〜32)の画像データ(分割画像データ)で構成する場合において画像処理を行なう画像処理装置について本発明の画像処理装置及び表示制御装置を適用した例を示す。
【0016】
[ガンマカメラ装置及び画像処理装置の構成及び機能]
図1は、本発明に係るガンマカメラ装置の一実施の形態を概略的に示した構成図である。このガンマカメラヘッドのガンマ線の入射面側にはピンホールコリメータ、22×22の二次元状に配列されたシンチレータ及び8×8の2次元状に配列された光電子増倍管が設けられており、このガンマカメラヘッドは傾動および回転可能なように支持部に支持され、例えば医療用診察台等に寝かされた被検体の周囲に3台備えられて、夫々が上下に移動し、且つ夫々が120度づつ被検体の周囲を回転することに被検体の全体表画像を撮影し、複数の粒状パターンにより像を示す画像データ(検出データ)(例えば256×256のフレームメモリカウンタ)を画像処理装置1内に取り込むようになっている。
【0017】
図2は、本発明に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。同図に示す如く画像処理装置1は、演算機能を有するコンピュータとしてのCPU(Central Processing Unit)、作業用RAM(Random Access Memory)、各種データ及びプログラムを記憶する。
【0018】
ROM(Read Only Memory)等から構成された制御部11と、ガンマカメラ装置に対して各種制御信号を送信すると共に、当該ガンマカメラ装置にて撮影された画像データを装置内部に取り込むための外部機器接続部13と、当該外部機器接続部13を介して装置内部に取り込んだ画像データを記憶するためのガンマカメラ検出データ記憶部12A及び12Bを含んで構成された記憶部12、画像処理装置1によって作成されたxyアドレス変換テーブルやz方向有効領域のビットマップデータ及び変換対象画像データについてアドレス変換をした結果得られた領域統合画像データ等を表示する表示装置としての表示部14に対して、例えばxyアドレス変換テーブルのアドレスの修正等を指示したり、或いは当該画像処理装置1を介してガンマカメラ装置に対して各種入力指示を行なう入力部15を備えて構成され、制御部11、記憶部12、外部機器接続部13、表示部14及び入力部15は、バス16を介して相互に接続されている。
【0019】
制御部11は、図示しないCPU、作業用RAM、本発明の画像処理プログラム、表示制御プログラム等を含む各種制御プログラムやデータ等を記憶するROM及び発振回路等を備えて構成されており、図示しない操作部からの操作信号に基づいて、当該操作信号に含まれている操作情報に対応する動作を実現すべく上記各構成部材を制御するための制御情報を生成し、バス16を介して当該制御情報を該当する構成部材に出力して当該各構成部材の動作を統轄制御する。
【0020】
また、制御部11は、ROM等に記憶された後述する画像処理プログラム及び表示制御プログラムを実行することにより、他の構成部材と協動して本発明の低階調値画像データ生成手段、直線画素群抽出手段、稜線抽出手段、境界線抽出手段、アドレス情報決定手段、アドレス変換テーブル作成手段、微分フィルタ処理手段、総和演算手段、アドレス変換手段、有効領域決定手段、領域統合画像データ作成手段、表示制御手段、ピーク画素抽出手段、ピーク領域抽出手段、稜線抽出手段、ピーク点特定手段、隣接領域抽出手段及び所属優先度算出手段として機能するようになっている。
【0021】
また、外部機器接続部13は、シリアル方式、USB方式、IEEE1394、或いはその他の適宜な方式でガンマカメラ装置へ指示信号を送出する。
【0022】
なお、本実施形態では表示部14を画像処理装置1内に内蔵したが、外部機器接続部13を介して外部接続したカラーモニタ等を表示装置として用いてもよい。この場合には、画像処理装置1に内蔵されたビデオカード、及び、VGAケーブル、DVIケーブル、BNCケーブルなどを介してカラーモニタ等を表示装置へ表示制御指示信号を送出するよう構成する。
【0023】
1.検出データに対する画像処理
[1−1.画像処理手順1]
続いて、図を参照してガンマカメラ装置からの検出データに対する画像処理の具体的手法の一例について説明する。
【0024】
本実施形態においては、先ず初めに均一なガンマ線が放出されるパターンをテストパターンとして撮影したテストパターン原画像データを本発明における原画像データとして撮影し、これをガンマカメラ検出データ記憶部12Aに記憶させておき、当該テストパターン原画像データに基づいてアドレス領域及び有効波長領域を取得する。そして、当該テストパターン原画像データの撮影時と同一のガンマカメラ装置にて撮影されたこと、ガンマカメラ装置内のアンプゲインが同一であること及び放射性医薬品が同一であることを撮影条件として撮影された被検体の変換対象画像データに対して、テストパターン原画像データに基づいて取得されたxyアドレス変換テーブル及びz方向有効領域を用いて、アドレス変換を行ない領域統合画像データを作成し取得する。
【0025】
図3は、テストパターン原画像データに対する画像処理を示すフローチャートである。なお、各処理における具体的な手順は後にフローチャートを用いて詳述する。
【0026】
先ず、制御部11は低階調値画像データ生成手段及び微分フィルタ処理手段として機能し、テストパターン原画像データに対して微分フィルタ処理を行ない(ステップ11)、図1に示すテストパターン原画像データの粒状の光子パターン(粒状パターン)の夫々の出力値の差が明確になるよう強調化する。続いて、制御部11は直線画素群抽出手段及び稜線抽出手段として機能し、稜線抽出処理を行ない(ステップS12)、更にこれに基づいて制御部11は境界線抽出手段として機能し、アドレス情報を決定付けるための境界線抽出処理を行ない(ステップS13)、制御部11はアドレス変換テーブル作成手段として機能し、xy平面におけるアドレス変換テーブルを作成する(ステップS14)。
【0027】
続いて、制御部11はアドレス変換手段及び有効領域決定手段として機能し、夫々のアドレス領域毎に分割されたアドレス分割領域毎にz方向有効領域決定処理を行ない(ステップS15)、光子の有効エネルギー準位(波長)を決定する。画像データは、光子の有効エネルギー準位が異なる、すなわち、波長(可視光領域)が異なる32枚(プレーン)の分割画像データとして取得され、このうち、統計的検定により有効な分割画像データ(有効データ)を各アドレス分割領域毎に決定する。
【0028】
そして、制御部11は表示制御手段として機能し、ステップS14で作成したxyアドレス変換テーブルと、ステップS15にて決定したz方向の有効領域とをビットマップデータとして作成し(ステップS16、17)、表示部14に表示して処理を終了する(ステップS18)。
【0029】
続いて、各処理について具体的に説明する。
【0030】
1−1−1.微分フィルタ処理
上記ステップS11における微分フィルタ処理について図4を参照して説明する。図4(A)は微分フィルタ処理を示すフローチャートである。
【0031】
先ず、ガンマカメラ検出データ記憶部12Aからテストパターン原画像データを取得する(ステップS21)。このテストパターン原画像データは予めガンマカメラ装置にて撮影されたテストパターンの画像データであって、2次元方向に256×256の画素によって構成されたとして、波長(可視光領域)が異なる32枚(プレーン)の分割画像データとして取得される。そして、制御部11は総和演算手段として機能し、32枚(z=1〜32)の分割画像データのフォトンカウント値(出力値)を総和演算し(ステップS22)、1つの画像データとする。そして、この画像データについて各粒状パターンのフォトンカウント値の差を強調するための微分フィルタを生成する(ステップS23)。図4(B)に生成した微分フィルタの一例を示す。
【0032】
そして、生成した微分フィルタにてステップS22において総和演算して1の画像データとされたテストパターン原画像データに対して微分フィルタ処理を施し(ステップS24)、微分フィルタ処理後のテストパターン原画像データを微分処理後原画像データとして記憶部12に保存し(ステップS25)て、微分フィルタ処理を終了しステップS12の処理に移行する。
【0033】
1―1−2.稜線抽出処理
続いて、ステップS12における稜線抽出処理について図5乃至図7を参照して説明する。
【0034】
図5は稜線抽出処理を示すフローチャートである。
【0035】
先ず、制御部11は低階調値画像データ生成手段として機能し、記憶部12からステップS25にて保存した微分処理後原画像データを取得して、ヒストグラムを生成し2値化して画素値0又は1を有するM個の画素からなる低階調値画像データを生成する(ステップS31)。
【0036】
図6(A)に示す如く、所定の閾値との大小関係に基づいて、所定の閾値よりも大きい画素には画素値1が与えられ、所定の閾値以下である画素には画素値0が与えられた総数Mの画素で構成される低階調値画像データ(二値化画像データ)を生成する。なお、当該閾値は、テストパターン原画像データ及びこれに基づいて生成される低階調値画像データを表示部14に表示して視認しているユーザが入力部15を操作することにより、低階調値画像データ上に22×22の像が視覚的に確認できるように入力設定される。
【0037】
そして、制御部11は直線画素群抽出手段として機能し、低階調値画像(二値画像)を構成する画素のうち、画素値が他の画素と比して比較的大きい画素を所定の数だけ含む交差線を決定し、当該交差線に対して垂直な方向に直線画素群を、低階調値画像のx方向及びy方向(水平方向及び垂直方向)に夫々22本づつ抽出する(ステップS32、33)。
【0038】
図6(B)を用いて具体的に説明する。図6(B)左図に示す例によれば、黒色部分が画素値が1である箇所を示し、白色部分が画素値が0である箇所を示す。そして、図中低階調値画像の上から下(或いは下から上)に掃引され、画素値が1である箇所と交差したa、b、c及びdの走査線のうち、画素値が1である箇所を所定の個数(図に示す例によれば「4」)だけ含む走査線を交差線として決定する。図6(B)左図に示す例によれば、走査線aと走査線dのみが画素値が1である箇所を所定個数「4」通過している。更に、各黒色部分が低階調値画像上水平方向に均等に配置されていることが望ましい。従って、走査線dが交差線として決定され、当該走査線dに含まれる画素値1の位置に基づいて当該交差線と垂直な方向にy方向(垂直方向)の直線画素群を抽出する。
【0039】
同様にして、図6(B)右図に示す如く、図中低階調値画像の左から右(或いは右から左)に掃引され、画素値が1である箇所と交差したa、b、c及びdの走査線のうち、画素値が1である箇所を所定の個数(図に示す例によれば「4」)だけ含む走査線を交差線として決定する。図6(B)右図に示す例によれば、走査線bと走査線cのみが画素値が1である箇所を所定個数「4」含んでいる。更に、各黒色部分が低階調値画像上垂直方向に均等に配置されていることが望ましい。従って、走査線cが交差線として決定され、当該走査線cに含まれる画素値1の位置に基づいて当該交差線と垂直な方向にx方向(水平方向)の直線画素群を抽出する。
【0040】
なお、上記説明において図示及び説明の簡単のため所定個数(所定の数)を「4」としたが、ステップS31において低階調値画像データ上に22×22の像が視覚的に確認できるように当該閾値が入力設定されるため、この場合には22個の画素値1の箇所を通過するような走査線を交差線として決定する。
【0041】
続いて、制御部11は稜線抽出手段として機能し、微分処理後原画像データと低階調値画像データとを対比させ、低階調値画像データにおいて抽出した直線画素群を構成する各画素について、x方向(水平方向)の直線画素群の各画素に対してy方向(垂直方向)に位置する近隣の各画素のうち、当該直線画素群の各画素に対応する粒状パターンのフォトンカウント値と比べて大きいフォトンカウント値を有する粒状パターンに対応する画素がある場合には、当該画素を直線画素群を構成する新たな画素として再配置させる。y方向(垂直方向)に対しても同様にしてx方向(水平方向)に位置する近隣の各画素のうち、当該直線画素群の各画素に対応する粒状パターンのフォトンカウント値と比べて大きいフォトンカウント値を有する粒状パターンに対応する画素がある場合には、当該画素を直線画素群を構成する新たな画素として再配置させる。このようにして、x稜線及びy稜線を抽出する(ステップS34)。
【0042】
図7(C)に5つの画素で構成された1本のx方向(水平方向)直線画素群を、夫々対応する微分処理後原画像データの粒状パターンのフォトンカウント値に基づいて再配置させた例、5つの画素で構成された1本のy方向(垂直方向)直線画素群を、夫々対応する微分処理後原画像データの粒状パターンのフォトンカウント値に基づいて再配置させた例をそれぞれ示す。
【0043】
その後、図7(E)及び(F)に示す如く、稜線を構成する画素のうち1つの画素だけが他の画素から突出している場合には、これを隣接する画素位置と合わせることによりx稜線及びy稜線を平滑化し(ステップS35)て、稜線抽出処理を終了しステップS13の処理に移行する。
【0044】
1−1−3.境界線抽出処理
続いて、ステップS13における境界線抽出処理について図8を参照して説明する。図8(A)は境界線抽出処理を示すフローチャートである。
【0045】
先ず、制御部11は境界線抽出手段として機能し、稜線の間に介在する画素に基づいてアドレス情報を決定付けるための境界線を水平方向及び垂直方向それぞれ23本づつを抽出する(ステップS41)。より具体的には、図8(B)及び(C)に示す如く、微分処理後原画像データと低階調値画像データとを対比させ、低階調値画像データにおける互いに隣接する2本の稜線の中点(各稜線の間に介在する画素に相当)を、対応する微分後原画像データの粒状パターンのフォトンカウント値が最小値となる粒状パターンに対応する箇所を通るように移動させ、移動後の中点に位置する画素で構成された画素群を水平方向及び垂直方向にアドレス情報を決定するための境界線として、水平方向及び垂直方向それぞれ21本抽出する。更に、末端に位置する第1番目と第22番目の稜線については、それぞれ第2番目と第21番目の稜線と同じ間隔で、外側方向に、第0番目と第23番目の稜線が存在するものと仮定し、上述と同様な方法で、水平方向及び垂直方向にそれぞれ2本の境界線を追加抽出する(ステップS41)。
【0046】
そして、稜線抽出処理におけるステップS35の処理と同様に、x境界線及びy境界線を平滑化し(ステップS42)て、境界線抽出処理を終了しステップS14の処理に移行する。なお、各境界線にはx方向及びy方向に順に境界線番号が付与されるものとする。
【0047】
1−1−4.xyアドレス変換テーブル作成処理
上述したxy方向夫々抽出した23本の境界線は、直線ではないので、x方向及びy方向にそれぞれ23本の境界線で区切られた領域は、22×22=484よりも多数の領域となる。従って、面積が小さい画素値領域を面積が大きい画素値領域に置換することにより、所望の数のアドレス分割領域を得ることができ、アドレス変換テーブルを作成できる。以下、具体的に説明する。
【0048】
ステップS14におけるアドレス変換テーブル作成処理について図9及び図10を参照して説明する。図9はテストパターン原画像データと低階調値画像データとを対比させて境界線を決定し、xyアドレス変換テーブルを作成するまでを示す説明図である。
【0049】
図10(A)はxyアドレス変換テーブル作成処理を示すフローチャートである。
【0050】
先ず、低階調値画像を構成する画素のうち、隣接する2つのx境界線で垂直方向に挿まれた画素のxアドレス値を、2つのx境界線のうち、境界線番号が小さいほうのxアドレス値とする(ステップS51)。例えば、境界線番号1のx境界線と境界線番号2のx境界線で垂直方向に挿まれた全ての画素のxアドレス値は、番号が小さい境界線番号1のxアドレス値(x=1)を有し、例えば、境界線番号13のx境界線と境界線番号14のx境界線で垂直方向に挿まれた全ての画素のxアドレス値は番号が小さい境界線番号13のxアドレス値(x=13)を有する。従って、全ての画素は境界線番号1のxアドレス値(x=1)から境界線番号22のxアドレス値(x=22)の何れかのxアドレス値を有することとなる。
【0051】
同様にして、低階調値画像を構成する画素のうち、隣接する2つのy境界線で水平方向に挿まれた画素のyアドレス値を、2つのy境界線のうち、境界線番号が小さいほうのyアドレス値とする(ステップS52)。同様に全ての画素は境界線番号1のyアドレス値(y=1)から境界線番号22のyアドレス値(y=22)の何れかのyアドレス値を有することとなる。
【0052】
続いて、制御部11はアドレス情報決定手段として機能し、低階調値画像データを構成する各画素の画素値を、画素のxアドレス値と、yアドレス値を32倍した値との和として決定する(ステップS53)。例えば、xアドレス値が(12)でyアドレス値が(1)である画素の画素値は12+(1×32)=44となり、xアドレス値が(13)でy
アドレス値が(21)である画素の画素値は13+(21×32)=685となる。
【0053】
ここで、yアドレス値の画素値を32倍としたのは、各画素のアドレス情報の計算を簡素化するために一次元で表現するためであるので、yアドレス値の画素値に乗算する値は32に限らず23以上の自然数であればよい。各画素のアドレス情報を二次元(xアドレス値、yアドレス値)のままその後の計算(平滑化処理)に用いることもできる。
【0054】
そして、各アドレス分割領域の平滑化処理を行なう(ステップ54)。ここで、各アドレス分割領域の平滑化処理について、図10(B)乃至図12を用いて、各アドレス分割領域の平滑化処理について具体的に説明する。図10(B)は各アドレス分割領域の平滑化処理を示すフローチャートである。
【0055】
先ず、各画素について、同一画素値を有する2つの画素で挿まれている場合には、画素値を当該画素の画素値に置換する(ステップS61)。図11を用いて具体的に説明する。図11は3×3の9つの画素を図示したものである。図11上段に示す図によれば、画素値31を有する画素は画素値33を有する画素で挿まれている。そのため、画素値31を有する画素の画素値を33に変換する。同様にして、図11下段に示す図によれば、画素値40を有する画素は画素値38を有する画素で挿まれている。そのため、画素値40を有する画素の画素値を38に変換する。
【0056】
続いて、各画素値について、同一画素値を有する領域(同一画素値領域)の面積を積算する(ステップS62)。そして、面積が小さい画素値領域を、順に隣接する画素値領域の画素値に変換する(ステップS63)。例えば図12に示す如く、面積の小さい同一画素値領域Bの画素の画素値は、面積の大きい同一画素値領域Aの画素値に置換される。本実施の形態では、画素値領域(換言すれば、アドレス分割領域)が22×22=484領域となるまで上記ステップ62、63の変換処理を行なう。
【0057】
これにより、x方向及びy方向にそれぞれ23本の境界線で区切られたアドレス分割領域(x=1〜22、y=1〜22)が生成される。
【0058】
そして、図10(A)のフローチャートに戻り、xyアドレス変換テーブルを作成して処理を終了する(ステップS55)。すなわち、ステップS62及び63の処理において区切った22×22=484のアドレス分割領域に基づいて図9に示すようなxyアドレス変換テーブル(22×22)が作成されることとなる。
【0059】
1−1−5.z方向有効領域決定処理
続いて、ステップS15におけるz方向有効領域決定処理について図13を参照して説明する。図13(A)はz方向有効領域決定処理を示すフローチャートである。
【0060】
先ず、制御部11はアドレス変換手段として機能し、ステップS14にて作成したxyアドレス変換テーブルに基づいて、テストパターン原画像データを構成する光子のエネルギー準位(波長)が異なる32枚(プレーン)の分割画像データの粒状パターンをアドレス変換して32枚(z=1〜32)のアドレス変換画像データを取得する(ステップS71)。
【0061】
続いて、32枚のアドレス変換画像データについて、各アドレス分割領域(22×22)毎にフォトンカウント値を総和演算する(ステップS72)。そして、各アドレス分割領域のz方向有効領域(有効データ)を決定して処理を終了する(ステップS73)。
【0062】
図13(B)に各アドレス分割領域のz方向有効領域の説明図を示す。ガンマカメラ装置で検出されるフォトンカウント値は、被検体に投与した放射性医薬品が1種類の場合には、本来フォトンカウント値のピークとなる箇所は1箇所であるが、散乱成分など種々の撮影環境下においては必ずしも高精度に1ピークを有する曲線とはならず、光子のエネルギー準位(波長)を横軸とすると、フォトンカウント値は同図に示す如く歪んだ曲線となる。しかも、いわゆるカメラの収差によって、光子のエネルギー準位ごとにピンホールコリメータを通してシンチレータに結像される位置がずれ、各アドレス分割領域毎に対応する光電子増倍管の波長感度特性やアンプゲイン等が異なることから、夫々のアドレス分割領域においてもフォトンカウント値に差が生じる。
【0063】
そこで、上述したように、各アドレス分割領域毎にフォトンカウント値を総和演算することにより、各アドレス分割領域(22×22)について、フォトンカウント値の例えばピークの10%前後に対応する波長領域を所定の有効領域(R1-1〜R22-22)として求める。つまり、あるアドレス分割領域では有効な分割画像データ(有効データ)がz方向に9〜20(z=9〜20)、あるアドレス分割領域では12〜20(z=12〜20)など、それぞれのアドレス分割領域毎に有効な分割画像データ(有効データ)を決定することができる。
【0064】
1−1−6.xyアドレス変換テーブルのビットマップデータの作成
ところで、アドレス分割領域毎にアドレス値を色分けによって表示部14に表示してやれば、ユーザに一目で各アドレス分割領域のアドレス値を認識させることができる。しかしながら、単に256階調でアドレスに応じて色彩表示する手法では、上述したようなアドレス分割領域の数が多いような場合には、アドレス分割領域間の色の違いを判別しにくくなる。また、各アドレス値に基づいて256階調で色分けを行なうことによって、多くの情報量を必要とする。また、各アドレス分割領域の輪郭線のみを明示することとし、アドレス分割領域の輪郭線を第1色、アドレス分割領域内部を第2色で表示すれば、2色分の情報量のみで足りるものの、アドレス分割領域の形状を修正する際には輪郭線のみの修正となり、修正の自由度が減少する。また、輪郭線がかなり入り組んだ曲線である場合などは、輪郭線で囲まれたアドレス分割領域内部がつぶれて、その箇所の各アドレス分割領域が識別困難になるという問題がある。
【0065】
そこで、本実施形態における上記ステップS16において、ステップS14で作成したxyアドレス変換テーブルを、アドレス分割領域毎にアドレス値を色分けによって表示させたアドレスxyアドレス変換テーブルをビットマップデータを作成する。
【0066】
図14にxyアドレス変換テーブル及びz方向有効領域をビットマップデータとして表示する際の説明図を示す。同図は、xyアドレス変換テーブル中左上に対応する4つのアドレス分割領域についてビットマップデータとして表示する際の一例である。
【0067】
制御部11は表示制御手段として機能し、各アドレス分割領域のアドレス値に基づいて表示部14のRGB値の値を決定して、表示制御指示信号を表示部14に送出する。より具体的には、同図に示す如く、xyアドレス変換テーブル中左上に対応する4つのアドレス分割領域のうち、左上のアドレス分割領域のR値(R11)を(xアドレス値+200)とし、B値(B11)をyアドレス値とする。右上のアドレス分割領域のR値(R12)を(xアドレス値)とし、B値(B12)を(yアドレス値+200)とする。そして、左下のアドレス分割領域のR値(R21)を(xアドレス値)とし、B値(B21)を(yアドレス値+100)とし、右下のアドレス分割領域のR値(R22)を(xアドレス値+100)とし、B値(B22)をyアドレス値とする。なお、200を本発明における第一のオフセット値とし、100を本発明における第二のオフセット値とする。各オフセット値は、200と100に限らず、アドレス値(本実施形態では1〜22)とオーダーが異なるようにすればよい。
【0068】
このように構成することにより、左上のアドレス分割領域はxyのアドレス値を強い赤色で表現され、右上のアドレス分割領域はxyのアドレス値を強い青色で表現され、左下のアドレス分割領域はxyのアドレス値を薄い青色で表現され、右下のアドレス分割領域はxyのアドレス値を薄い赤青色で表現されることとなる。
【0069】
このように、アドレス分割領域が矩形に近い形状であることを利用して、隣接するアドレス領域毎にコントラストのある色で表示させるよう構成し、縦横1つづつ異なる色を巡回して割り当てることにより、各アドレス情報を色で表示して確認することができるばかりでなく、各アドレス分割領域を視覚的に容易に確認することができる。
【0070】
このような構成により、例えば、あるアドレス分割領域のアドレスデータを修正する際に、他のアドレス分割領域のR値及びB値をコピーして修正対象のアドレス分割領域のR値及びB値にそのまま上書きするだけで、容易に所望のxyアドレス変換テーブルの修正を行なうことができる。
【0071】
また、同図に示す如く、RGB値のうちG値に各アドレス分割領域に対応する原画像データのフォトンカウント値を例えば256段階にて与えることにより、元の原画像データのフォトンカウント値の情報までも含めて色彩表現することができ、前述のxyアドレス変換のテーブルの修正を表示装置上で対話形式に行なう際に、視覚的な判断の目安になる。
【0072】
1−1−7.z方向有効領域のビットマップデータの作成
続いて、ステップS17にてステップS15で決定したz方向有効領域について、z方向有効領域のビットマップデータとして作成して、表示部14に表示する。
【0073】
図14に示す如くステップS15で決定したz方向有効領域(R1−1〜R22−22)を、各アドレス変換領域毎に有効領域を無効領域及びその境界箇所と区別できるよう色分けして(或いは階調分けして)を表示する。同図に示す例では、z方向(z=1〜32)及びフォトンカウント値をそれぞれ32段階で与えて、1つのアドレス変換領域のz方向有効領域を32×32の画素にてビットマップ表示する。同図に示す例では、有効領域と無効領域の境界箇所を黒色で、有効領域をグレーで表示し、無効領域は色彩表示しない。
【0074】
以上により、各アドレス分割領域のz方向有効領域を視覚的に確認することができる。
【0075】
1−1−8. z方向有効領域決定処理の変形形態
上述した「1−1−4z方向有効領域決定処理」では、図13(B)を用いて被検体に
投与した放射性医薬品が1種類の場合におけるz方向有効領域の決定手法について説明したが、ここでは被検体に投与した放射性医薬品が複数種類の場合におけるz方向有効領域の決定手法について説明する。具体的には、被検体に投与した放射性医薬品が2種類の場合におけるz方向有効領域決定処理である(ステップS73に相当)について、図15に示す任意のアドレス分割領域におけるz方向有効領域決定の説明を用いて説明する。
【0076】
図15(A)に示す如くフォトンカウント値の最大値(第1ピーク)の半分(50%)のフォトンカウント値を有するz方向領域を仮第1領域とし、当該仮第1領域の前後で、最大値の次に大きい値(第2ピーク)を有するフォトンカウント値の半分(50%)のフォトンカウント値を有するz方向領域を仮第2領域とする。
【0077】
そして、図15(B)に示す如く、仮第1領域と仮第2領域をz方向順に並べ替えを行ない、それぞれの最大値(第1ピーク及び第2ピーク)の10%のフォトンカウント値を有するz方向領域をそれぞれ第1z方向有効領域、第2z方向有効領域とする。なお、図15(B)に示す如く双方の有効領域が重なり合う場合には、両有効領域境界部は、フォトンカウント値の最小位置とする。
【0078】
以上の説明したように、被検体に複数種類の放射性医薬品を投与した場合であっても、z方向有効領域を精度よく決定することができる。従って、z方向有効領域のビットマップデータを作成する際には、夫々の有効領域を区別できるよう色分けして(或いは階調分けして)表示部14に表示させて、ユーザに提示することができる。
【0079】
[1−2.画像処理手順2]
次に、ガンマカメラ装置からの検出データに対する画像処理の具体的手法の他の例について説明する。上述した画像処理手順1では、xyアドレス変換テーブルを作成する際に、xy各稜線からxy境界線を夫々求め、境界線で挿まれた画素を境界線番号が小さい方のアドレス値として求めたが、以下に説明する画像処理手順2では、微分処理後のテストパターン原画像データの粒状パターンの出力値に基づいて所定の数のピーク点を抽出(特定)し、アドレス変換テーブルにおける各画素を当該各ピーク点から放射状に広がるガンマ分布形状領域に包含させることにより、アドレス分割を行なう手法とする。また、当該xyアドレス変換テーブル及びz方向有効領域のビットマップデータの作成のみならず、上記ピーク点についても表示部14に表示して、ユーザが入力部15を介して当該ピーク点の位置の修正を対話形式に行なうことができるように構成した。
【0080】
図16は、テストパターン原画像データに対する画像処理を示すフローチャートである。なお、各処理における具体的な手順は、後にフローチャートを用いて順次説明していくが、上述した画像処理手順1に記載した処理と同じ内容の処理についてはここでは詳細な説明を省略する。
【0081】
先ず、テストパターン原画像データに対して微分フィルタ処理を行ない(ステップ101)、図1に示すテストパターン原画像データの粒状の光子パターン(粒状パターン)の夫々の出力値の差が明確になるよう強調化する。続いて、稜線抽出処理を行ない(ステップS102)、更にこれに基づいてピーク点特定処理を行ない(ステップS103)、制御部11はアドレス変換テーブル作成手段として機能し、xy平面におけるアドレス変換テーブルを作成する(ステップS104)。
【0082】
続いて、制御部11はアドレス変換手段及び有効領域決定手段として機能し、夫々のアドレス領域毎に分割されたアドレス分割領域毎にz方向有効領域決定処理を行ない(ステップS105)、光子の有効エネルギー準位(波長)を決定する。
【0083】
そして、制御部11は表示制御手段として機能し、ステップS104で作成したxyアドレス変換テーブルと、ステップS105にて決定したz方向の有効領域とをビットマップデータとして作成し(ステップS106、107)、表示部14に表示して処理を終了する(ステップS108)。
【0084】
続いて、各処理について具体的に説明するが、ステップS101の微分フィルタ処理、ステップS106及び107のビットマップデータ作成処理、及びステップS108のビットマップデータの表示処理については、図4を参照して説明した「1−1−1.微分フィルタ処理」「1−1−6.xyアドレス変換テーブルのビットマップデータの作成」「1−1−7.z方向有効領域のビットマップデータの作成」及びステップS18における表示処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。
【0085】
1―2−2.稜線抽出処理
次に、上記ステップS102における稜線抽出処理について図17乃至図19を参照して説明する。
【0086】
図17は稜線抽出処理を示すフローチャートである。
【0087】
先ず、記憶部12から微分処理後のテストパターン原画像データ(以下、単に「テストパターン原画像データ」という。)を取得する(ステップS111)。
【0088】
そして、制御部11はピーク画素抽出手段として機能し、原画像データを低階調値化した複数の画素からなる低階調値画像を示す低階調値画像データを生成し、対応する原画像データの粒状パターンのフォトンカウント値(出力値)が大きいほうから順に所定の数の画素に対して最大画素値を与えて、ピーク画素をとして抽出し、抽出された複数の画素位置を明示する低階調値画像を生成(作成)する(ステップS112、S113)。より具体的に説明すると、低階調値画像を構成する複数の画素のうち、対応する原画像データにおいて、フォトンカウント値が最も大きい粒状パターンに対応する画素を図18(A)に示す如く、ピーク画素として抽出し、当該画素に対して最大画素値を与える。なお、本実施形態における低階調値画像データの階調数は、説明の簡単のため画素値0から画素値3の4段階とする。従って、ピーク画素に対しては最大画素値である画素値「3」が与えられるものとする。
【0089】
続いて、制御部11はピーク領域抽出手段として機能し、当該ピーク画素に隣接する周辺の画素に対して、第1中間画素値の一例として画素値2を与えて、図18(B)に示す如くピーク領域を抽出する(ステップS114)。例えば、ピーク領域はピーク画素の周辺3×3の画素とする。
【0090】
次に、制御部11は隣接領域抽出手段として機能し、当該ピーク領域に隣接する周辺の画素に対して、第2中間画素値の一例として画素値1を与えて、図18(C)に示す如く隣接領域を抽出する(ステップS115)。例えば、隣接領域はピーク画素の周辺7×7の画素(ピーク画素を含むピーク領域3×3の画素を除く)とする。
【0091】
そして、低階調値画像を構成する複数の画素のうち、対応する原画像データにおいて、対応するフォトンカウント値が大きいほうから順に粒状パターンのピーク画素を抽出し、図18(D)に示す如くピーク領域を抽出し、更に隣接領域を抽出し、所望のアドレス分割領域の数(例えば、22×22等の所定の数)だけステップS112乃至ステップS116の処理を繰り返し行なった後に、ステップS117に移行する。なお、最初にピーク画素を抽出する際には、低階調値画像を構成する全画素が検索対象となるが、2回目以降は、既にピーク画素、ピーク領域及び隣接領域として選ばれた画素は次のピーク画素の検索対象から除外するよう構成する。これにより、ピーク領域を分散させて後の処理において精度よくアドレス分割を行なうことができる。特に、隣接領域を設けたことによって、複数のピーク領域が近接して存在することを防ぎ、低階調値画像中に分散してピーク領域を設けることができ、アドレス分割を良好に行なうことが可能になる。
【0092】
また、図18(D)は図示の簡略のため、上記所望のアドレス分割領域の数(所定の数)を「16」として、ステップS112乃至ステップS116の処理を16回行い、16個のピーク領域を求めた例を示したが、22×22のアドレス分割を行ないたい場合には、22×22個のピーク領域を求めればよい。
【0093】
そして、制御部11は稜線抽出手段として機能し、低階調値画像を構成する画素のうち、所定の数(例えば22個)のピーク領域と交差する交差線を決定し、当該交差線に対して垂直方向であって、かつ当該交差線が交差するピーク領域のピーク画素の位置に、稜線を低階調値画像のx方向及びy方向(水平方向及び垂直方向)に夫々22本づつ抽出する(ステップS117、118)。
【0094】
稜線抽出について図19を用いて具体的に説明する。なお、図19は図示の簡略のため所定の数を「4」としている。図19の左図に示す例によれば、図中低階調値画像の上から下(或いは下から上)に掃引され、ピーク領域と交差したa、b、c及びdの走査線のうち、4つのピーク領域と交差している走査線を交差線として決定する。図19の左図に示す例によれば、走査線aと走査線bのみが4つのピーク領域と交差している。更に、各ピーク領域が低階調値画像上水平方向に均等に配置されていることが望ましい。従って、水平方向により均等に4つのピーク領域と交差している走査線aを交差線として決定し、当該交差線と交差したピーク領域のピーク画素の位置にy方向(垂直方向)稜線(以下、単に「y稜線」という。)を抽出する。
【0095】
同様にして、図19の右図に示す如く、x方向(水平方向)稜線は、図中低階調値画像の左から右(或いは右から左)に掃引され、ピーク領域と交差したa、b、c及びdの走査線のうち4つのピーク領域と交差している走査線を交差線として決定する。図19の右図に示す例によれば、走査線aと走査線cと走査線dが4つのピーク領域と交差している。更に、各ピーク領域が低階調値画像上垂直方向に均等に配置されていることが望ましい。従って、垂直方向により均等に4つのピーク領域と交差している走査線cを交差線として決定し、当該交差線と交差したピーク領域のピーク画素の位置にx方向(水平方向)稜線(以下、単に「x稜線」という。)を抽出する。
【0096】
そして、抽出した各x稜線及び各y稜線に対して夫々稜線番号(例えば、x=1〜22、y=1〜22)を付すこととする。
【0097】
以上により、稜線抽出処理(S102)を終了しステップS103の処理に移行する。
【0098】
1−2−3.ピーク点特定処理
次に、ステップS103におけるピーク点特定処理について図20を参照して説明する。図20(A)はピーク点特定処理を示すフローチャートである。
【0099】
先ず、稜線抽出処理において抽出したx稜線及びy稜線が交差する交点を、当該各稜線の稜線番号を示す稜線番号情報をxアドレス値及びyアドレス値(アドレス情報)として付与して図20(B)に示す如く特定する(ステップS121)。つまり、各交点は、xアドレス値「1」〜「22」の何れかの値、yアドレス値「1」〜「22」の何れかの値をアドレス情報として有することとなる。
【0100】
そして、制御部11はピーク点特定手段として機能し、各交点を、対応するテストパターン原画像データのフォトンカウント値が、周囲のカウント値と比して大きいカウント値を有する位置に、アドレス情報を維持したまま再配置し、図20(C)に示す如くピーク点として特定する(ステップS122)。ここで、隣接する交点が互いに衝突しない範囲で各交点を再配置しなければならないので、例えば、原画像が256×256画素で、交点数が22×22の場合には、各交点間の距離は約10画素強となり、1つの交点を、上下左右に3画素程度の範囲で再配置することとなる。したがって、上記「周囲のカウント値」とは、例えば、低階調値画像において交点に対応する画素の7×7の周辺画素に対応する原画像データのフォトンカウント値を示す。
【0101】
続いて、特定した各ピーク点のアドレス情報に基づいてビットマップデータを作成し、表示部14に表示して(ステップS123)処理を終了する。
【0102】
ピーク点のビットマップデータは、256階調(所定階調)のxy平面濃淡画像データを生成し、R値、G値、B値が夫々等しいモノクロ画像の背景を特定する。そして、22×22点のピーク点画素をR値を最大階調値「255」、G値を「ピーク点のxアドレス値」、B値を「ピーク点のyアドレス値」で表示する。ピーク点は、後の領域分割の精度に大きな影響を与えるため、この時点で表示部14に一旦表示し、これを確認したユーザが必要に応じて入力部15を介してピーク点の位置修正を行なうことにより、領域分割後にxy変換テーブルを修正するよりも作業負担が少なく簡易に修正することができる。
【0103】
なお、ピーク点が比較的整った格子パターンから著しく逸脱している場合には、各ピーク点の隣接関係が不鮮明となる。そこで、上述した「1−1−6.xyアドレス変換テーブルのビットマップデータの作成」の処理と同様に、隣接するピーク点同士でコントラストのある色で表示させるよう構成すると各ピーク点の位置関係がより鮮明になる。例えば、(1)ピーク点のxアドレス値が奇数、ピーク点のyアドレス値が奇数の場合、R値を「200」、G値を「ピーク点のxアドレス値」、B値を「ピーク点のyアドレス値」として表示(2)ピーク点のxアドレス値が偶数、ピーク点のyアドレス値が奇数の場合、R値を「0」、G値を「ピーク点のxアドレス値」、B値を「ピーク点のyアドレス値+200」として表示(3)ピーク点のxアドレス値が奇数、ピーク点のyアドレス値が偶数の場合、R値を「100」、G値を「ピーク点のxアドレス値」、B値を「ピーク点のyアドレス値」として表示(4)ピーク点のxアドレス値が偶数、ピーク点のyアドレス値が偶数の場合、R値を「0」、G値を「ピーク点のxアドレス値」、B値を「ピーク点のyアドレス値+100」として表示とすれば、各ピーク点の位置とアドレス情報を色で表示して確認することができるばかりでなく、各ピーク点の隣接関係を視覚的に容易に確認ができるのでより好適である。
【0104】
以上により、ピーク点特定処理を行ない、ステップS104の処理に移行する。
【0105】
1−2−4.xyアドレス変換テーブル作成処理
続いて、ステップS104におけるxyアドレス変換テーブル作成処理について図21乃至図22を参照して説明する。図21はxyアドレス変換テーブル作成処理を示すフローチャートである。
【0106】
先ず、ピーク点特定処理において特定したピーク点を、擬似光源として定義する(ステップS131)。すなわち、各ピーク点に発光源が存在すると仮定し、低階調値画像を構成する画素に与えられた座標位置における全発光源からのエネルギー伝達量を所属優先度として算出し、この値が最も大きい発光源に当該画素は所属すると判断し、領域分割を行なう。換言すれば、各画素を当該各ピーク点から放射状に広がるガンマ分布形状領域に包含させることにより、アドレス分割を行なうこととなる。この手法により、ピーク点の位置関係が比較的整った格子パターンから逸脱し複雑な位置関係となっている場合であっても、当該ピーク点を発光源に見立て、当該発光源を中心とするガウス関数に基づいて領域分割が成されるため、平滑化等の処理を施すことなく滑らかな領域分割を実現することが可能になる。
【0107】
なお、発光源と見立てたピーク点からのエネルギー伝達量の一例としての散乱カウント量Eに対して、本発明における所属優先度を適用した場合について説明する。
【0108】
先ず、制御部11はアドレス情報決定手段、所属優先度算出手段として機能し、ピーク点が対応するテストパターン原画像データのフォトンカウント値と、ピーク点と画素との距離とに基づいて、各ピーク点毎に散乱カウント量E(所属優先度)を以下の数式1に基づいて算出する(ステップS132)。
【0109】
なお、以下の式において、ピーク点が対応するテストパターン原画像データのフォトンカウント値をVとし、ピーク点と画素との距離をrとし、kを正の実数定数とする。
【0110】
【数1】
なお、kは解像度に依存しここでは0.5としたが、本願では散乱カウント量Eを領域分割の判断に使用するために求めるだけであるので、その値は各画素、各ピーク点間で相対的に決定できればよく、絶対的な厳密性は要求されない。
【0111】
ここで、全てのピーク点からの散乱カウント量Eが所定の閾値Eth未満である画素を、無効画素として記憶部12に記憶する(ステップS133)。所定の閾値Ethは、例えば最大散乱カウント量Eの10^(−6)程度である。
【0112】
そして、無効画素以外の各画素について、最大の散乱カウント量となるピーク点を所属先のピーク点として決定する(ステップS134)。
【0113】
図を用いて具体的に説明する。図22は、画素Aの所属先ピーク点を求める説明図である。同図に示す例によれば、画素Aがピーク点P1乃至P5の何れの散乱カウント量Eが大きいかを求めた結果、ピーク点P1が所属先のピーク点として決定され、図22(B)においてピーク点P1の画素領域に所属している。なお、ピーク点P1は画素Aとの距離rが最も近いのであるが、もちろん、他のピーク点P2乃至P5が対応するテストパターン原画像データの粒状パターンのフォトンカウント値Vが大きければ、上記数式1に基づいて他のピーク点P2乃至P5との散乱カウント量Eが大きくなり、当該他のピーク点P2乃至P5のいずれかが画素Aを画素領域内に取り込む場合もある。
【0114】
そして、図23(C)に示す如く、ステップS133において記憶部12に記憶した無効画素について、各ピーク点との距離rを求め、最も距離が近いピーク点を所属先のピーク点として決定する(ステップS135)。
【0115】
そして、制御部11はアドレス情報決定手段、xyアドレス変換テーブル作成手段として機能し、各画素のアドレス情報として、夫々が所属するピーク点のアドレス情報を付与して決定し、これに基づいて図23(D)に示す如く複数のアドレス分割領域から成るxyアドレス変換テーブルを作成して処理を終了する(ステップS136、S137)。
【0116】
なお、所属先のピーク点を決定する際に、対象画素の近傍4つのピーク点を所属先候補として予め選出しておき、それら4つのピーク点の散乱カウント量Eのみを算出すれば、処理時間の短縮化を図ることができる。しかし、ピーク点の位置関係が複雑である場合には、近傍の4ピークの選出が難しくなり、ピーク点の見落としや選出ミスなどの危険性がある。従って、本実施形態で説明したように、各画素について全ピーク点との散乱カウント量Eを算出する手法が確実である。
【0117】
以上説明した手法によれば、各アドレス分割領域の領域境界の形状を比較的滑らかに形成することができるため、アドレス変換後のノイズを最小限に抑えることを可能にしたアドレス変換テーブルを作成することができる。
【0118】
1−2−5.z方向有効領域決定処理
続いて、ステップS105におけるz方向有効領域決定処理について説明する。
【0119】
なお、ここでは図13〜図15を用いて詳述した「1−1−4.z方向有効領域決定処理」及び「1−1−8. z方向有効領域決定処理の変形形態」と異なる箇所についてのみ詳細に説明することとし、詳細な手順については上記の説明部分と同様であるため省略する。
【0120】
上述した「1−1−4.z方向有効領域決定処理」では、各アドレス分割領域(22×22)について、フォトンカウント値の例えばピークの10%前後に対応する波長領域を所定の有効領域(R1−1〜R22−22)として求めたが、ここでは、ピークを中央付近として前後に約10%の幅を有効領域として決定することとした。図24(A)の任意のアドレス分割領域におけるz方向有効領域の説明図に示すように、ピークとなるz値を中央として、右側(z値が大きいほう)+8%から左側(z値が小さいほう)−15%などと設定し、左右で異なる割合を設定してもよい。
【0121】
また、本実施形態では、1の画像データは32枚の分割画像データからなることから、z値は、1から32という値をとることとなるが、ピークのz値が「16」である場合には、その10%は1.6であって、1.6を切り上げて2づつ左右に有効領域を設定することとなるが、1.6を2に切り上げて求めた有効領域では精度が低いとも言える。従って、1の画像データを例えば128枚の分割画像データで構成するなど、できるだけ細かい分割画像データを用いることにより、精度の高いz方向有効領域を決定することができる。
【0122】
なお、被検体に投与した放射性医薬品が複数種類の場合など、2つのピークが観測される場合にも「1−1−8. z方向有効領域決定処理の変形形態」と同様にして2つの仮領域を決定した後に、図24(B)に示す如くピークを中央付近として前後に約10%の幅を有効領域として決定するよう構成すればよい。
【0123】
なお、上述した画像処理手順1及び2の夫々の工程における各処理は夫々別の組み合わせによってもよい。例えば、xyアドレス変換テーブル作成処理は画像処理手順1の手法で行ない、z方向有効領域決定処理は画像処理手順2の手法で行なってもよい。
【0124】
2.変換対象画像データの領域統合画像データ作成手順
続いて、画像処理手順1又は画像処理手順2によって求めたxyアドレス変換テーブル及びz方向有効領域に基づいて、被検体を撮影して得られた変換対象画像データについてアドレス変換を行ない、領域統合画像データを作成する手順について説明する。
【0125】
図25は変換対象画像データの領域統合画像データ作成処理を示すフローチャートである。
【0126】
先ず、ガンマカメラ検出データ記憶部12Bより、変換対象画像データを取得する(ステップS201)。変換対象画像データは予めガンマカメラ装置にて撮影されてガンマカメラ検出データ記憶部12Bに記憶されているものとし、テストパターン原画像データと同様に2次元方向に256×256の画素として、波長(可視光領域)が異なる32枚(プレーン)の分割画像データにて構成される。
【0127】
そして、制御部11はアドレス変換手段として機能し、ステップS14(又はステップS137)にて作成したxyアドレス変換テーブルを用いて、変換対象画像データの32枚(z=1〜32)の分割画像データについてそれぞれアドレス変換を行ない、各アドレス分割領域(22×22)毎に対応するフォトンカウント値(出力値)を取得する(ステップS202)。
【0128】
続いて、制御部11は領域統合画像データ作成手段として機能し、ステップS15(又はステップS105)にて各アドレス分割領域(22×22)毎に決定したz方向有効領域を用いて、有効範囲である分割画像データ(有効データ)の粒状パターンのフォトンカウント値を総和演算してアドレス変換画像データ(領域統合画像データ)を作成して処理を終了する(ステップS203)。なお、作成した領域統合画像データは表示部14に表示してユーザに提示したり、或いは図示しないプリンタ等の出力部にて画像出力することが可能である。
【0129】
このように、テストパターンの粒状パターンに基づいて決定したアドレス分割領域に基づいてxyアドレス変換テーブルを作成することにより、ガンマカメラ装置にて取得した画像データ(変換対象画像データ)について高精度な領域統合画像データを作成することができる。この手法によれば、予め同条件のテストパターンを用いてxyアドレス変換テーブルを作成しているので、被検体に投与した放射性医薬品の特性、ガンマカメラ装置自身の特性、及びアンプの特性等を反映したアドレス変換を行なうことができるので、より正確なアドレス変換をおこなうことができ、高精度な領域統合画像データを作成することができる。
【0130】
さらに、1の画像データが光子エネルギー準位(波長)の異なる複数の分割画像データにて構成されている場合であっても、テストパターンを用いて予め有効な光子エネルギー準位、つまり有効領域を求めることにより、ガンマカメラ装置にて取得した画像データ(変換対象画像データ)についてアドレス変換を行なう際にも、有効領域である分割画像データ(有効データ)のみを用いた高精度な領域統合画像データを作成することができる。
【0131】
さらに、各アドレス分割領域の二次元の値で示されるアドレス値を、一方のアドレス値を表示部14のRGB要素のうち何れかの一の値で示し、他方のアドレス値をRGB要素のうち何れかの他の値で示すことにより、アドレス値を色彩にて視覚的にユーザに提示することができ、ユーザは当該アドレス値の修正を容易に行なうことができる。
【0132】
なお、本実施形態の画像処理手順1では、テストパターン原画像データを二値化した二値化画像データを生成しているがこれに限らず、階調値に対して微分フィルタ処理におけるフォトンカウント値の差の強調度合いに応じた閾値(図6(A)参照。)を設けられれば、二値化せずとも適当な範囲で低階調値化すればよい。
【0133】
3.変形例
3−1.変形例1
ガンマカメラ検出データ記憶部12Aから取得したテストパターン原画像データの総和演算後の4辺端部(「周辺部」と言う。)をカットして、ノイズ削除処理を行なった後に上述した画像処理(画像処理手順1及び2)を実行するよう構成すれば、画像処理精度を向上させることができ、より好ましい。図26に示す例では、縦方向横方向の長さの10%をノイズ部分として削除したが、ノイズの量や広がりに基づいて適宜変更可能である。
【0134】
また、上述のように周辺部を切り取る処理を行なわずに、周辺部の画素を無効画素として扱ってもよい。画像処理手順2では、無効画素は近傍のいずれかのアドレス分割領域に包含するよう処理した(ステップS135、図23(D)参照)が、その際、上記周辺部については例外として、無効画素の状態を維持させ、後の処理に用いないよう構成すればよい。
【0135】
3−2.変形例2
更に、画像処理手順2に係るピーク点特定処理(図20参照。)において、稜線抽出処理(図19参照。)において抽出したx稜線及びy稜線が交差する各交点を、対応するテストパターン原画像データのフォトンカウント値が、周囲のカウント値と比して大きいカウント値を有する位置に、アドレス情報を維持したまま再配置し、これをピーク点として特定したが、各交点を再配置したものをそのままピーク点として用いるのではなく、ピーク点位置を対話形式に修正可能に構成することもできる。
【0136】
以下、画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例として、図27(A)のフローチャートを用いて説明する。
【0137】
先ず、稜線抽出処理において抽出したx稜線及びy稜線が交差する交点を、当該各稜線の稜線番号を示す稜線番号情報をxアドレス値及びyアドレス値(アドレス情報)として付与して特定する(ステップS205)。この処理は、上述したステップS121(図20(B)。)の処理と同様であるので説明は省略する。
【0138】
そして、制御部11はピーク点特定手段として機能し、各交点を、対応するテストパターン原画像データのフォトンカウント値が、周囲のカウント値と比して大きいカウント値を有する位置に、アドレス情報を維持したまま再配置し仮ピーク点とし、xy方向に隣接する各仮ピーク点を結んで折れ線グリッドを生成する(ステップS206)(図27(B)参照。)。
【0139】
このとき、低階調値画像データの内側に位置する4点の各仮ピーク点においては隣接する4点の仮ピーク点と直線で連結させ、低階調値画像データの4隅を除く周辺部に位置する各仮ピーク点(図27(B)に示す例では8点)においては隣接する3点の仮ピーク点と直線で連結させ、低階調値画像データの4隅の各仮ピーク点は隣接する2点の仮ピーク点と直線で連結させることによりグリッドを構成する。
【0140】
次に、制御部11は、ピーク点補正手段として機能し、折れ線グリッドが交差しない範囲で、各仮ピーク点を修正し、修正後の仮ピーク点をピーク点として特定する(ステップS207)。図27(C)に示す例によれば、入力部15のマウス等で操作(クリック&ドラッグ)することにより、仮ピーク点Piを所望の位置に移動させて修正し、修正後の仮ピーク点をピーク点Piとして特定する。但し、当該位置の修正は、折れ線グリッドが交差しない範囲でのみ行なえることとする。例えば、図27(C)に示すように、仮ピーク点Pjを、仮ピーク点PsとPt間の折れ線グリッドを越えて位置修正を行ないピーク点Pjとして特定することはできない。
【0141】
そして、特定した各ピーク点のアドレス情報に基づいてビットマップデータを作成し、表示部14に表示して(ステップS208)処理を終了する。
【0142】
3−3.変形例3
また、上述した画像処理手順2では、各画素について、各ピーク点に所属する画素領域を決定することにより、アドレス分割領域を決定し、xyアドレス変換テーブルを作成したが(図21〜23参照。)、xyアドレス変換テーブル作成処理の変形例として、図28(A)のフローチャートを用いて説明する。この処理は、ピーク点を特定した後に行なわれるが、画像処理手順2のピーク点特定処理(図20)に従って特定したピーク点であっても、画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例(図27)に従って特定したピーク点であっても、何れの場合にも実行可能である。
【0143】
先ず、特定したピーク点(図20又は図27)を直線で結んで折れ線グリッドを生成する(ステップS210)。画像処理手順2のピーク点特定処理(図27)に従ってピーク点が特定されている場合には、ステップS207の修正後の折れ線グリッドを用いることができる。
【0144】
続いて、図28(B)に示す如く、制御部11は、重心点決定手段及び重心点四角形生成手段として機能し、各折れ線グリッドで囲まれた四角形の重心点を求め(ステップS211)、仮アドレス分割領域を決定する(ステップS212、図28(C)参照。)。
【0145】
上記ステップS211の処理では、重心点(図28(B)〜(D)中、△で図示)を求めると共に、低階調値画像データの境界線上に仮想重心点を決定する。この仮想重心点は、図28(C)に示すように、低階調値画像データの周辺部に位置する重心点(図28(C)の例では、中央の1つを除く8点が対象)と直線で結んだときに、該直線で生成される四角形(重心点四角形)に、低階調値画像データの周辺部に位置するピーク点が包含されるような箇所を、仮想重心点(図28(B)〜(D)中、▲で図示)として決定する。
【0146】
そして、低階調値画像データの4隅の4点も仮想重心点に加え、9点の重心点に全16点の仮想重心点を加えた25点の重心点間を直線で連結してグリッドを構成する。具体的には、低階調値画像データの内側に位置する9点の各重心点においては隣接する4点の重心点と直線で連結させるが、4隅を除く周辺に位置する12点の仮想重心点においては隣接する3点の重心点または仮想重心点と直線で連結させ、4隅の仮想重心点においては隣接する2点の仮想重心点と直線で連結させることによりグリッドを構成している。
【0147】
尚、低階調値画像データの境界線としては、例えば、図26左におけるテストパターン原画像データの周辺部をトリミングするための境界線または図26右におけるテストパターン原画像データの境界線を使用する。
【0148】
次に、制御部11は、重心点補正手段として機能し、各重心点(仮想重心点を含む)を結ぶ折れ線グリッドが交差しない範囲で、各重心点を修正し、修正後の重心点に基づいて各アドレス分割領域を決定する(ステップS213、図28(D)参照。)。
【0149】
そして、折れ線グリッドで囲まれた四角形内の各画素のアドレス情報として、各四角形の所定方向の頂点のアドレス値を夫々付与して決定し、これに基づいて図28(E)に示す如く複数のアドレス分割領域から成るxyアドレス変換テーブルを作成して処理を終了する(ステップS214、S215)。図28(E)に示す例の場合、■で図示する箇所のアドレス値を、各四角形に含まれる各画素のアドレス情報として夫々付与する。
【0150】
3−4.変形例4
また、z方向有効領域決定処理(図13〜15、図24)において、フォトンカウント値の最大値(第1ピーク又は第2ピーク)を検索するピーク検索範囲を決定し、該範囲からピークを検索するよう構成してもよい。例えば、図29に示す如く、光子のエネルギー準位が異なる(z=1〜32)アドレス変換画像データの中に、無効データが含まれる場合などに、有効データのみからフォトンカウント値の最大値を求めることができるので好ましい。
【0151】
更に、上述した図3乃至図5、図8、図10、図13、図16、図17、図20、図21、図25、図27及び図28に示すフローチャートに対応するプログラムを、フレキシブルディスク又はハードディスク等の情報記録媒体に記録しておき、又はインターネット等を介して取得して記録しておき、これらを汎用のコンピュータで読み出して実行することにより、当該コンピュータを実施形態に係る制御部11として機能させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0152】
以上夫々説明したように、本発明は核医学におけるPET及びSPECT向けのガンマカメラ装置の画像処理等病理組織の画像診断、マイクロアレイの画像解析、アストロビジョンなどの評価・検査の分野に利用することが可能であり、特にガンマカメラ装置の画像処理の分野に適用すれば特に顕著な効果が得られる。
【符号の説明】
【0153】
1 画像処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 外部機器接続部
14 表示部
15 入力部
16 バス
R 有効領域
P ピーク点
E 散乱カウント量
Eth 散乱カウント量の閾値
r 距離
V フォトンカウント値
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の粒状パターンより像を示す画像データに関する画像処理装置に係るものであり、特に核医学におけるPET又はSPECTに代表されるガンマカメラにおける画像処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
ガンマカメラは、被検体内に投与した放射性医薬品(ガンマ線を放出する放射性同位元素で標識した化合物)の分布を、ガンマ線を検出することにより映像化し、癌細胞の分布等を観察するための装置である。
【0003】
ガンマカメラは、例えば特許文献1に記載の如く、撮像素子として光電子増倍管を使用し、その前段にガンマ線を可視光に変換させ画素に分解するためにパイプ構造のシンチレータを配置する構造となっている。このような構造により、検出器としてのガンマカメラ固有の空間分解能を再現することができるようになっている。
【0004】
しかし、このシンチレータのパイプ構造の配置と光電子増倍管アレイの配置の不整合や、装置に具備されたアンプゲイン設定の調整状態の不安定性等による受光感度ムラなど、種々の原因により撮像時において光学的な不均一が生じ、更に幾何学的な歪みが発生するという問題がある。このような問題に対し、特許文献2では光電子増倍管との距離に基づいて修正したアドレスを決定する方法に関する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には病理組織の画像診断支援に係る技術について、特許文献4にはマイクロアレイの画像解析に係る技術について、特許文献5にはアストロビジョンなどの評価検査に係る技術についてそれぞれ開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−238488号公報
【特許文献2】特開平7−325156号公報
【特許文献3】特開平6−94706号公報
【特許文献4】特表2004−528532号公報
【特許文献5】特開平9−127913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなガンマカメラにおいては、特に光電子増倍管で撮像した画像をシンチレータ配置に基づく画像データに変換する際における変換精度が後段の画像を再構成する際に得られる断層像の精度を決定付ける重要な要因であるところ、上述した特許文献2に記載の手法では、シンチレータ配置に基づく画像データへの変換においてトリミング変換しか行なっておらず、アドレス決定の精度が低いという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、光電子増倍管によって撮像された画像など、複数の粒状パターンによって像を示す画像データを、シンチレータ配置に基づく画像データへの変換を高精度に行なうと共に、変換テーブルを簡便な手法によって色彩表示すること可能にする画像処理装置等を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、複数の粒状パターンにより像を示す原画像データの前記粒状パターンの出力値が大きいほうから順に所定の数の画素に対して、最大画素値を与えてピーク画素として抽出し、低階調値画像を作成するピーク画素抽出手段と、各前記ピーク画素について、当該ピーク画素の周辺の画素に対して第1中間画素値を与えて、前記最大画素値又は前記第1中間画素値を有する画素から成るピーク領域を夫々抽出し、前記低階調値画像に付加するピーク領域抽出手段と、前記低階調値画像の水平方向及び垂直方向に、所定の数の前記ピーク領域と交差する交差線を決定し、当該交差線に対して垂直方向であって、かつ前記交差したピーク領域のピーク画素の位置に各々所定の数の稜線を抽出する稜線抽出手段と、前記低階調値画像の水平方向の各前記稜線と前記低階調値画像の垂直方向の各前記稜線とが交差する交点を、交差する各稜線の稜線番号情報に基づいてアドレス情報を付与して特定し、前記原画像データと前記低階調値画像を示す前記低階調値画像データとを対比させ、各交点について、当該交点の周辺領域に対応する前記粒状パターンの出力値が、当該交点に対応する前記粒状パターンの出力値より大きい出力値を有する場合には、当該交点を当該周辺領域の出力値が最も大きい箇所に前記アドレス情報を維持したまま再配置させてピーク点として夫々特定するピーク点特定手段と、前記低階調値画像を構成する各画素について、当該画素と各前記ピーク点の距離と、当該ピーク点に対応する前記原画像データの前記粒状パターンの出力値と、に基づいて前記各画素に対してアドレス情報を決定するアドレス情報決定手段と、決定された前記アドレス情報に基づいて、複数の粒状パターンにより像を示す画像データであってアドレス変換の対象となる変換対象画像データに対してアドレス変換を行なうためのアドレス変換テーブルを作成するアドレス変換テーブル作成手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
これによれば、光電子増倍管によって撮像された画像など複数の粒状パターンによって像を示す画像データを、シンチレータ配置に基づく画像データへの変換を高精度に行なうことが可能になる。また、各アドレス分割領域の領域境界の形状を比較的滑らかに形成することができるため、アドレス変換後のノイズを最小限に抑えることができるアドレス変換テーブルを作成することができる。
【0011】
上記課題を解決すべく、請求項14に記載の発明は、コンピュータを、複数の粒状パターンにより像を示す原画像データ前記原画像データの前記粒状パターンの出力値が大きいほうから順に所定の数の画素に対して、最大画素値を与えてピーク画素として抽出し、低階調値画像を作成するピーク画素抽出手段、各前記ピーク画素について、当該ピーク画素の周辺の画素に対して第1中間画素値を与えて、前記最大画素値又は前記第1中間画素値を有する画素から成るピーク領域を夫々抽出し、前記低階調値画像に付加するピーク領域抽出手段、前記低階調値画像の水平方向及び垂直方向に、所定の数の前記ピーク領域と交差する交差線を決定し、当該交差線に対して垂直方向であって、かつ前記交差したピーク領域のピーク画素の位置に各々所定の数の稜線を抽出する稜線抽出手段、前記低階調値画像の水平方向の各前記稜線と前記低階調値画像の垂直方向の各前記稜線とが交差する交点を、交差する各稜線の稜線番号情報に基づいてアドレス情報を付与して特定し、前記原画像データと前記低階調値画像を示す前記低階調値画像データとを対比させ、各交点について、当該交点の周辺領域に対応する前記粒状パターンの出力値が、当該交点に対応する前記粒状パターンの出力値より大きい出力値を有する場合には、当該交点を当該周辺領域の出力値が最も大きい箇所に前記アドレス情報を維持したまま再配置させてピーク点として夫々特定するピーク点特定手段、前記低階調値画像を構成する各画素について、当該画素と各前記ピーク点の距離と、当該ピーク点に対応する前記原画像データの前記粒状パターンの出力値と、に基づいて前記各画素に対してアドレス情報を決定するアドレス情報決定手段、決定された前記アドレス情報に基づいて、複数の粒状パターンにより像を示す画像データであってアドレス変換の対象となる変換対象画像データに対してアドレス変換を行なうためのアドレス変換テーブルを作成するアドレス変換テーブル作成手段として機能させることを特徴とする。
【0012】
これによれば、各アドレス分割領域の領域境界の形状を比較的滑らかに形成することができるため、アドレス変換後のノイズを最小限に抑えることができるアドレス変換テーブルを作成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光電子増倍管によって撮像された画像など複数の粒状パターンによって像を示す画像データを、シンチレータ配置に基づく画像データへの変換を高精度に行なうことが可能になる。また、各アドレス分割領域の領域境界の形状を比較的滑らかに形成することができるため、アドレス変換後のノイズを最小限に抑えることを可能にしたアドレス変換テーブルを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るガンマカメラ装置の一実施の形態を概略的に示した構成図である。
【図2】本発明に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理手順1に係るテストパターン原画像データに対する画像処理を示すフローチャートである。
【図4】(A)画像処理手順1及び2に係る微分フィルタ処理を示すフローチャートである。(B)画像処理手順1及び2に係る生成した微分フィルタの一例である。
【図5】画像処理手順1に係る稜線抽出処理を示すフローチャートである。
【図6】(A)画像処理手順1に係る低階調値画像データの画素値決定手法を示す説明図である。(B)画像処理手順1に係る稜線抽出処理を示す説明図である。
【図7】(C)画像処理手順1に係るx方向(水平方向)直線画素群の再配置を示す説明図である。(D)画像処理手順1に係るy方向(垂直方向)直線画素群の再配置を示す説明図である。(E)画像処理手順1に係るx稜線の平滑化処理を示す説明図である。(F)画像処理手順1に係るy稜線の平滑化処理を示す説明図である。
【図8】(A)画像処理手順1に係る境界線抽出処理を示すフローチャートである。(B)画像処理手順1に係るx境界線の抽出を示す説明図である。(C)画像処理手順1に係るy境界線抽出を示す説明図である。
【図9】画像処理手順1に係るテストパターン原画像データからxyアドレス変換テーブルを作成するまでを示す説明図である。
【図10】(A)画像処理手順1に係るxyアドレス変換テーブル作成処理を示すフローチャートである。(B)画像処理手順1に係る各アドレス分割領域の平滑化処理を示すフローチャートである。
【図11】画像処理手順1に係る3×3の9つの画素によるアドレス分割領域の平滑化処理を示す説明図である。
【図12】画像処理手順1に係るアドレス分割領域の平滑化処理を示す説明図である。
【図13】(A)画像処理手順1に係るz方向有効領域決定処理を示すフローチャートである。(B)画像処理手順1に係る各アドレス分割領域のz方向有効領域の説明図である。
【図14】画像処理手順1に係るxyアドレス変換テーブル及びz方向有効領域をビットマップデータとして表示する際の説明図である。
【図15】画像処理手順1に係る変形形態による任意のアドレス分割領域のz方向有効領域の説明図である。
【図16】画像処理手順2に係るテストパターン原画像データに対する画像処理を示すフローチャートである。
【図17】画像処理手順2に係る稜線抽出処理を示すフローチャートである。
【図18】(A)画像処理手順2に係るピーク画素の抽出を示す説明図である。(B)画像処理手順2に係るピーク領域の抽出を示す説明図である。(C)画像処理手順2に係る隣接領域の抽出を示す説明図である。(D)画像処理手順2に係る所定の数のピーク領域の抽出結果を示す説明図である。
【図19】画像処理手順2に係る稜線抽出処理を示す説明図である。
【図20】(A)画像処理手順2に係るピーク点特定処理を示すフローチャートである。(B)画像処理手順2に係る交点の特定を示す説明図である。(C)画像処理手順2に係るピーク点の特定を示す説明図である。
【図21】画像処理手順2に係るxyアドレス変換テーブル作成処理を示すフローチャートである。
【図22】(A)画像処理手順2に係る画素Aの所属先ピーク点に関する説明図である。(B)画像処理手順2に係る各ピーク点の画素領域の説明図である。
【図23】(C)画像処理手順2に係る無効画素の所属先ピーク点に関する説明図である。(D)画像処理手順2に係るアドレス分割領域を示す説明図である。
【図24】(A)画像処理手順2に係る任意のアドレス分割領域のz方向有効領域の説明図である。(B)画像処理手順2に係る複数種類の放射性医薬品を用いた場合における任意のアドレス分割領域のz方向有効領域の説明図である。
【図25】本発明に係る変換対象画像データの領域統合画像データ作成処理を示すフローチャートである。
【図26】テストパターン原画像データのノイズ削除処理の説明図である。
【図27】(A)画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例を示すフローチャートである。(B)画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例におけるピーク点の修正を示す説明図である。(C)画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例におけるピーク点の特定を示す説明図である。
【図28】(A)画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例を示すフローチャートである。(B)画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例における重心点の説明図である。(C)画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例における仮アドレス分割領域の説明図である。(D)画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例における重心点の修正を示す説明図である。(E)画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例におけるアドレス分割領域を示す説明図である。
【図29】z方向有効領域決定処理の変形例におけるピーク検索範囲の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態は、動物等の被検体に投与した放射線医薬品から放射されるガンマ線を検出するガンマカメラ装置からの撮像画像データ(検出データ)であって、特に1の画像データを、光子の有効エネルギー準位(波長)が異なる32枚(z方向:z=1〜32)の画像データ(分割画像データ)で構成する場合において画像処理を行なう画像処理装置について本発明の画像処理装置及び表示制御装置を適用した例を示す。
【0016】
[ガンマカメラ装置及び画像処理装置の構成及び機能]
図1は、本発明に係るガンマカメラ装置の一実施の形態を概略的に示した構成図である。このガンマカメラヘッドのガンマ線の入射面側にはピンホールコリメータ、22×22の二次元状に配列されたシンチレータ及び8×8の2次元状に配列された光電子増倍管が設けられており、このガンマカメラヘッドは傾動および回転可能なように支持部に支持され、例えば医療用診察台等に寝かされた被検体の周囲に3台備えられて、夫々が上下に移動し、且つ夫々が120度づつ被検体の周囲を回転することに被検体の全体表画像を撮影し、複数の粒状パターンにより像を示す画像データ(検出データ)(例えば256×256のフレームメモリカウンタ)を画像処理装置1内に取り込むようになっている。
【0017】
図2は、本発明に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。同図に示す如く画像処理装置1は、演算機能を有するコンピュータとしてのCPU(Central Processing Unit)、作業用RAM(Random Access Memory)、各種データ及びプログラムを記憶する。
【0018】
ROM(Read Only Memory)等から構成された制御部11と、ガンマカメラ装置に対して各種制御信号を送信すると共に、当該ガンマカメラ装置にて撮影された画像データを装置内部に取り込むための外部機器接続部13と、当該外部機器接続部13を介して装置内部に取り込んだ画像データを記憶するためのガンマカメラ検出データ記憶部12A及び12Bを含んで構成された記憶部12、画像処理装置1によって作成されたxyアドレス変換テーブルやz方向有効領域のビットマップデータ及び変換対象画像データについてアドレス変換をした結果得られた領域統合画像データ等を表示する表示装置としての表示部14に対して、例えばxyアドレス変換テーブルのアドレスの修正等を指示したり、或いは当該画像処理装置1を介してガンマカメラ装置に対して各種入力指示を行なう入力部15を備えて構成され、制御部11、記憶部12、外部機器接続部13、表示部14及び入力部15は、バス16を介して相互に接続されている。
【0019】
制御部11は、図示しないCPU、作業用RAM、本発明の画像処理プログラム、表示制御プログラム等を含む各種制御プログラムやデータ等を記憶するROM及び発振回路等を備えて構成されており、図示しない操作部からの操作信号に基づいて、当該操作信号に含まれている操作情報に対応する動作を実現すべく上記各構成部材を制御するための制御情報を生成し、バス16を介して当該制御情報を該当する構成部材に出力して当該各構成部材の動作を統轄制御する。
【0020】
また、制御部11は、ROM等に記憶された後述する画像処理プログラム及び表示制御プログラムを実行することにより、他の構成部材と協動して本発明の低階調値画像データ生成手段、直線画素群抽出手段、稜線抽出手段、境界線抽出手段、アドレス情報決定手段、アドレス変換テーブル作成手段、微分フィルタ処理手段、総和演算手段、アドレス変換手段、有効領域決定手段、領域統合画像データ作成手段、表示制御手段、ピーク画素抽出手段、ピーク領域抽出手段、稜線抽出手段、ピーク点特定手段、隣接領域抽出手段及び所属優先度算出手段として機能するようになっている。
【0021】
また、外部機器接続部13は、シリアル方式、USB方式、IEEE1394、或いはその他の適宜な方式でガンマカメラ装置へ指示信号を送出する。
【0022】
なお、本実施形態では表示部14を画像処理装置1内に内蔵したが、外部機器接続部13を介して外部接続したカラーモニタ等を表示装置として用いてもよい。この場合には、画像処理装置1に内蔵されたビデオカード、及び、VGAケーブル、DVIケーブル、BNCケーブルなどを介してカラーモニタ等を表示装置へ表示制御指示信号を送出するよう構成する。
【0023】
1.検出データに対する画像処理
[1−1.画像処理手順1]
続いて、図を参照してガンマカメラ装置からの検出データに対する画像処理の具体的手法の一例について説明する。
【0024】
本実施形態においては、先ず初めに均一なガンマ線が放出されるパターンをテストパターンとして撮影したテストパターン原画像データを本発明における原画像データとして撮影し、これをガンマカメラ検出データ記憶部12Aに記憶させておき、当該テストパターン原画像データに基づいてアドレス領域及び有効波長領域を取得する。そして、当該テストパターン原画像データの撮影時と同一のガンマカメラ装置にて撮影されたこと、ガンマカメラ装置内のアンプゲインが同一であること及び放射性医薬品が同一であることを撮影条件として撮影された被検体の変換対象画像データに対して、テストパターン原画像データに基づいて取得されたxyアドレス変換テーブル及びz方向有効領域を用いて、アドレス変換を行ない領域統合画像データを作成し取得する。
【0025】
図3は、テストパターン原画像データに対する画像処理を示すフローチャートである。なお、各処理における具体的な手順は後にフローチャートを用いて詳述する。
【0026】
先ず、制御部11は低階調値画像データ生成手段及び微分フィルタ処理手段として機能し、テストパターン原画像データに対して微分フィルタ処理を行ない(ステップ11)、図1に示すテストパターン原画像データの粒状の光子パターン(粒状パターン)の夫々の出力値の差が明確になるよう強調化する。続いて、制御部11は直線画素群抽出手段及び稜線抽出手段として機能し、稜線抽出処理を行ない(ステップS12)、更にこれに基づいて制御部11は境界線抽出手段として機能し、アドレス情報を決定付けるための境界線抽出処理を行ない(ステップS13)、制御部11はアドレス変換テーブル作成手段として機能し、xy平面におけるアドレス変換テーブルを作成する(ステップS14)。
【0027】
続いて、制御部11はアドレス変換手段及び有効領域決定手段として機能し、夫々のアドレス領域毎に分割されたアドレス分割領域毎にz方向有効領域決定処理を行ない(ステップS15)、光子の有効エネルギー準位(波長)を決定する。画像データは、光子の有効エネルギー準位が異なる、すなわち、波長(可視光領域)が異なる32枚(プレーン)の分割画像データとして取得され、このうち、統計的検定により有効な分割画像データ(有効データ)を各アドレス分割領域毎に決定する。
【0028】
そして、制御部11は表示制御手段として機能し、ステップS14で作成したxyアドレス変換テーブルと、ステップS15にて決定したz方向の有効領域とをビットマップデータとして作成し(ステップS16、17)、表示部14に表示して処理を終了する(ステップS18)。
【0029】
続いて、各処理について具体的に説明する。
【0030】
1−1−1.微分フィルタ処理
上記ステップS11における微分フィルタ処理について図4を参照して説明する。図4(A)は微分フィルタ処理を示すフローチャートである。
【0031】
先ず、ガンマカメラ検出データ記憶部12Aからテストパターン原画像データを取得する(ステップS21)。このテストパターン原画像データは予めガンマカメラ装置にて撮影されたテストパターンの画像データであって、2次元方向に256×256の画素によって構成されたとして、波長(可視光領域)が異なる32枚(プレーン)の分割画像データとして取得される。そして、制御部11は総和演算手段として機能し、32枚(z=1〜32)の分割画像データのフォトンカウント値(出力値)を総和演算し(ステップS22)、1つの画像データとする。そして、この画像データについて各粒状パターンのフォトンカウント値の差を強調するための微分フィルタを生成する(ステップS23)。図4(B)に生成した微分フィルタの一例を示す。
【0032】
そして、生成した微分フィルタにてステップS22において総和演算して1の画像データとされたテストパターン原画像データに対して微分フィルタ処理を施し(ステップS24)、微分フィルタ処理後のテストパターン原画像データを微分処理後原画像データとして記憶部12に保存し(ステップS25)て、微分フィルタ処理を終了しステップS12の処理に移行する。
【0033】
1―1−2.稜線抽出処理
続いて、ステップS12における稜線抽出処理について図5乃至図7を参照して説明する。
【0034】
図5は稜線抽出処理を示すフローチャートである。
【0035】
先ず、制御部11は低階調値画像データ生成手段として機能し、記憶部12からステップS25にて保存した微分処理後原画像データを取得して、ヒストグラムを生成し2値化して画素値0又は1を有するM個の画素からなる低階調値画像データを生成する(ステップS31)。
【0036】
図6(A)に示す如く、所定の閾値との大小関係に基づいて、所定の閾値よりも大きい画素には画素値1が与えられ、所定の閾値以下である画素には画素値0が与えられた総数Mの画素で構成される低階調値画像データ(二値化画像データ)を生成する。なお、当該閾値は、テストパターン原画像データ及びこれに基づいて生成される低階調値画像データを表示部14に表示して視認しているユーザが入力部15を操作することにより、低階調値画像データ上に22×22の像が視覚的に確認できるように入力設定される。
【0037】
そして、制御部11は直線画素群抽出手段として機能し、低階調値画像(二値画像)を構成する画素のうち、画素値が他の画素と比して比較的大きい画素を所定の数だけ含む交差線を決定し、当該交差線に対して垂直な方向に直線画素群を、低階調値画像のx方向及びy方向(水平方向及び垂直方向)に夫々22本づつ抽出する(ステップS32、33)。
【0038】
図6(B)を用いて具体的に説明する。図6(B)左図に示す例によれば、黒色部分が画素値が1である箇所を示し、白色部分が画素値が0である箇所を示す。そして、図中低階調値画像の上から下(或いは下から上)に掃引され、画素値が1である箇所と交差したa、b、c及びdの走査線のうち、画素値が1である箇所を所定の個数(図に示す例によれば「4」)だけ含む走査線を交差線として決定する。図6(B)左図に示す例によれば、走査線aと走査線dのみが画素値が1である箇所を所定個数「4」通過している。更に、各黒色部分が低階調値画像上水平方向に均等に配置されていることが望ましい。従って、走査線dが交差線として決定され、当該走査線dに含まれる画素値1の位置に基づいて当該交差線と垂直な方向にy方向(垂直方向)の直線画素群を抽出する。
【0039】
同様にして、図6(B)右図に示す如く、図中低階調値画像の左から右(或いは右から左)に掃引され、画素値が1である箇所と交差したa、b、c及びdの走査線のうち、画素値が1である箇所を所定の個数(図に示す例によれば「4」)だけ含む走査線を交差線として決定する。図6(B)右図に示す例によれば、走査線bと走査線cのみが画素値が1である箇所を所定個数「4」含んでいる。更に、各黒色部分が低階調値画像上垂直方向に均等に配置されていることが望ましい。従って、走査線cが交差線として決定され、当該走査線cに含まれる画素値1の位置に基づいて当該交差線と垂直な方向にx方向(水平方向)の直線画素群を抽出する。
【0040】
なお、上記説明において図示及び説明の簡単のため所定個数(所定の数)を「4」としたが、ステップS31において低階調値画像データ上に22×22の像が視覚的に確認できるように当該閾値が入力設定されるため、この場合には22個の画素値1の箇所を通過するような走査線を交差線として決定する。
【0041】
続いて、制御部11は稜線抽出手段として機能し、微分処理後原画像データと低階調値画像データとを対比させ、低階調値画像データにおいて抽出した直線画素群を構成する各画素について、x方向(水平方向)の直線画素群の各画素に対してy方向(垂直方向)に位置する近隣の各画素のうち、当該直線画素群の各画素に対応する粒状パターンのフォトンカウント値と比べて大きいフォトンカウント値を有する粒状パターンに対応する画素がある場合には、当該画素を直線画素群を構成する新たな画素として再配置させる。y方向(垂直方向)に対しても同様にしてx方向(水平方向)に位置する近隣の各画素のうち、当該直線画素群の各画素に対応する粒状パターンのフォトンカウント値と比べて大きいフォトンカウント値を有する粒状パターンに対応する画素がある場合には、当該画素を直線画素群を構成する新たな画素として再配置させる。このようにして、x稜線及びy稜線を抽出する(ステップS34)。
【0042】
図7(C)に5つの画素で構成された1本のx方向(水平方向)直線画素群を、夫々対応する微分処理後原画像データの粒状パターンのフォトンカウント値に基づいて再配置させた例、5つの画素で構成された1本のy方向(垂直方向)直線画素群を、夫々対応する微分処理後原画像データの粒状パターンのフォトンカウント値に基づいて再配置させた例をそれぞれ示す。
【0043】
その後、図7(E)及び(F)に示す如く、稜線を構成する画素のうち1つの画素だけが他の画素から突出している場合には、これを隣接する画素位置と合わせることによりx稜線及びy稜線を平滑化し(ステップS35)て、稜線抽出処理を終了しステップS13の処理に移行する。
【0044】
1−1−3.境界線抽出処理
続いて、ステップS13における境界線抽出処理について図8を参照して説明する。図8(A)は境界線抽出処理を示すフローチャートである。
【0045】
先ず、制御部11は境界線抽出手段として機能し、稜線の間に介在する画素に基づいてアドレス情報を決定付けるための境界線を水平方向及び垂直方向それぞれ23本づつを抽出する(ステップS41)。より具体的には、図8(B)及び(C)に示す如く、微分処理後原画像データと低階調値画像データとを対比させ、低階調値画像データにおける互いに隣接する2本の稜線の中点(各稜線の間に介在する画素に相当)を、対応する微分後原画像データの粒状パターンのフォトンカウント値が最小値となる粒状パターンに対応する箇所を通るように移動させ、移動後の中点に位置する画素で構成された画素群を水平方向及び垂直方向にアドレス情報を決定するための境界線として、水平方向及び垂直方向それぞれ21本抽出する。更に、末端に位置する第1番目と第22番目の稜線については、それぞれ第2番目と第21番目の稜線と同じ間隔で、外側方向に、第0番目と第23番目の稜線が存在するものと仮定し、上述と同様な方法で、水平方向及び垂直方向にそれぞれ2本の境界線を追加抽出する(ステップS41)。
【0046】
そして、稜線抽出処理におけるステップS35の処理と同様に、x境界線及びy境界線を平滑化し(ステップS42)て、境界線抽出処理を終了しステップS14の処理に移行する。なお、各境界線にはx方向及びy方向に順に境界線番号が付与されるものとする。
【0047】
1−1−4.xyアドレス変換テーブル作成処理
上述したxy方向夫々抽出した23本の境界線は、直線ではないので、x方向及びy方向にそれぞれ23本の境界線で区切られた領域は、22×22=484よりも多数の領域となる。従って、面積が小さい画素値領域を面積が大きい画素値領域に置換することにより、所望の数のアドレス分割領域を得ることができ、アドレス変換テーブルを作成できる。以下、具体的に説明する。
【0048】
ステップS14におけるアドレス変換テーブル作成処理について図9及び図10を参照して説明する。図9はテストパターン原画像データと低階調値画像データとを対比させて境界線を決定し、xyアドレス変換テーブルを作成するまでを示す説明図である。
【0049】
図10(A)はxyアドレス変換テーブル作成処理を示すフローチャートである。
【0050】
先ず、低階調値画像を構成する画素のうち、隣接する2つのx境界線で垂直方向に挿まれた画素のxアドレス値を、2つのx境界線のうち、境界線番号が小さいほうのxアドレス値とする(ステップS51)。例えば、境界線番号1のx境界線と境界線番号2のx境界線で垂直方向に挿まれた全ての画素のxアドレス値は、番号が小さい境界線番号1のxアドレス値(x=1)を有し、例えば、境界線番号13のx境界線と境界線番号14のx境界線で垂直方向に挿まれた全ての画素のxアドレス値は番号が小さい境界線番号13のxアドレス値(x=13)を有する。従って、全ての画素は境界線番号1のxアドレス値(x=1)から境界線番号22のxアドレス値(x=22)の何れかのxアドレス値を有することとなる。
【0051】
同様にして、低階調値画像を構成する画素のうち、隣接する2つのy境界線で水平方向に挿まれた画素のyアドレス値を、2つのy境界線のうち、境界線番号が小さいほうのyアドレス値とする(ステップS52)。同様に全ての画素は境界線番号1のyアドレス値(y=1)から境界線番号22のyアドレス値(y=22)の何れかのyアドレス値を有することとなる。
【0052】
続いて、制御部11はアドレス情報決定手段として機能し、低階調値画像データを構成する各画素の画素値を、画素のxアドレス値と、yアドレス値を32倍した値との和として決定する(ステップS53)。例えば、xアドレス値が(12)でyアドレス値が(1)である画素の画素値は12+(1×32)=44となり、xアドレス値が(13)でy
アドレス値が(21)である画素の画素値は13+(21×32)=685となる。
【0053】
ここで、yアドレス値の画素値を32倍としたのは、各画素のアドレス情報の計算を簡素化するために一次元で表現するためであるので、yアドレス値の画素値に乗算する値は32に限らず23以上の自然数であればよい。各画素のアドレス情報を二次元(xアドレス値、yアドレス値)のままその後の計算(平滑化処理)に用いることもできる。
【0054】
そして、各アドレス分割領域の平滑化処理を行なう(ステップ54)。ここで、各アドレス分割領域の平滑化処理について、図10(B)乃至図12を用いて、各アドレス分割領域の平滑化処理について具体的に説明する。図10(B)は各アドレス分割領域の平滑化処理を示すフローチャートである。
【0055】
先ず、各画素について、同一画素値を有する2つの画素で挿まれている場合には、画素値を当該画素の画素値に置換する(ステップS61)。図11を用いて具体的に説明する。図11は3×3の9つの画素を図示したものである。図11上段に示す図によれば、画素値31を有する画素は画素値33を有する画素で挿まれている。そのため、画素値31を有する画素の画素値を33に変換する。同様にして、図11下段に示す図によれば、画素値40を有する画素は画素値38を有する画素で挿まれている。そのため、画素値40を有する画素の画素値を38に変換する。
【0056】
続いて、各画素値について、同一画素値を有する領域(同一画素値領域)の面積を積算する(ステップS62)。そして、面積が小さい画素値領域を、順に隣接する画素値領域の画素値に変換する(ステップS63)。例えば図12に示す如く、面積の小さい同一画素値領域Bの画素の画素値は、面積の大きい同一画素値領域Aの画素値に置換される。本実施の形態では、画素値領域(換言すれば、アドレス分割領域)が22×22=484領域となるまで上記ステップ62、63の変換処理を行なう。
【0057】
これにより、x方向及びy方向にそれぞれ23本の境界線で区切られたアドレス分割領域(x=1〜22、y=1〜22)が生成される。
【0058】
そして、図10(A)のフローチャートに戻り、xyアドレス変換テーブルを作成して処理を終了する(ステップS55)。すなわち、ステップS62及び63の処理において区切った22×22=484のアドレス分割領域に基づいて図9に示すようなxyアドレス変換テーブル(22×22)が作成されることとなる。
【0059】
1−1−5.z方向有効領域決定処理
続いて、ステップS15におけるz方向有効領域決定処理について図13を参照して説明する。図13(A)はz方向有効領域決定処理を示すフローチャートである。
【0060】
先ず、制御部11はアドレス変換手段として機能し、ステップS14にて作成したxyアドレス変換テーブルに基づいて、テストパターン原画像データを構成する光子のエネルギー準位(波長)が異なる32枚(プレーン)の分割画像データの粒状パターンをアドレス変換して32枚(z=1〜32)のアドレス変換画像データを取得する(ステップS71)。
【0061】
続いて、32枚のアドレス変換画像データについて、各アドレス分割領域(22×22)毎にフォトンカウント値を総和演算する(ステップS72)。そして、各アドレス分割領域のz方向有効領域(有効データ)を決定して処理を終了する(ステップS73)。
【0062】
図13(B)に各アドレス分割領域のz方向有効領域の説明図を示す。ガンマカメラ装置で検出されるフォトンカウント値は、被検体に投与した放射性医薬品が1種類の場合には、本来フォトンカウント値のピークとなる箇所は1箇所であるが、散乱成分など種々の撮影環境下においては必ずしも高精度に1ピークを有する曲線とはならず、光子のエネルギー準位(波長)を横軸とすると、フォトンカウント値は同図に示す如く歪んだ曲線となる。しかも、いわゆるカメラの収差によって、光子のエネルギー準位ごとにピンホールコリメータを通してシンチレータに結像される位置がずれ、各アドレス分割領域毎に対応する光電子増倍管の波長感度特性やアンプゲイン等が異なることから、夫々のアドレス分割領域においてもフォトンカウント値に差が生じる。
【0063】
そこで、上述したように、各アドレス分割領域毎にフォトンカウント値を総和演算することにより、各アドレス分割領域(22×22)について、フォトンカウント値の例えばピークの10%前後に対応する波長領域を所定の有効領域(R1-1〜R22-22)として求める。つまり、あるアドレス分割領域では有効な分割画像データ(有効データ)がz方向に9〜20(z=9〜20)、あるアドレス分割領域では12〜20(z=12〜20)など、それぞれのアドレス分割領域毎に有効な分割画像データ(有効データ)を決定することができる。
【0064】
1−1−6.xyアドレス変換テーブルのビットマップデータの作成
ところで、アドレス分割領域毎にアドレス値を色分けによって表示部14に表示してやれば、ユーザに一目で各アドレス分割領域のアドレス値を認識させることができる。しかしながら、単に256階調でアドレスに応じて色彩表示する手法では、上述したようなアドレス分割領域の数が多いような場合には、アドレス分割領域間の色の違いを判別しにくくなる。また、各アドレス値に基づいて256階調で色分けを行なうことによって、多くの情報量を必要とする。また、各アドレス分割領域の輪郭線のみを明示することとし、アドレス分割領域の輪郭線を第1色、アドレス分割領域内部を第2色で表示すれば、2色分の情報量のみで足りるものの、アドレス分割領域の形状を修正する際には輪郭線のみの修正となり、修正の自由度が減少する。また、輪郭線がかなり入り組んだ曲線である場合などは、輪郭線で囲まれたアドレス分割領域内部がつぶれて、その箇所の各アドレス分割領域が識別困難になるという問題がある。
【0065】
そこで、本実施形態における上記ステップS16において、ステップS14で作成したxyアドレス変換テーブルを、アドレス分割領域毎にアドレス値を色分けによって表示させたアドレスxyアドレス変換テーブルをビットマップデータを作成する。
【0066】
図14にxyアドレス変換テーブル及びz方向有効領域をビットマップデータとして表示する際の説明図を示す。同図は、xyアドレス変換テーブル中左上に対応する4つのアドレス分割領域についてビットマップデータとして表示する際の一例である。
【0067】
制御部11は表示制御手段として機能し、各アドレス分割領域のアドレス値に基づいて表示部14のRGB値の値を決定して、表示制御指示信号を表示部14に送出する。より具体的には、同図に示す如く、xyアドレス変換テーブル中左上に対応する4つのアドレス分割領域のうち、左上のアドレス分割領域のR値(R11)を(xアドレス値+200)とし、B値(B11)をyアドレス値とする。右上のアドレス分割領域のR値(R12)を(xアドレス値)とし、B値(B12)を(yアドレス値+200)とする。そして、左下のアドレス分割領域のR値(R21)を(xアドレス値)とし、B値(B21)を(yアドレス値+100)とし、右下のアドレス分割領域のR値(R22)を(xアドレス値+100)とし、B値(B22)をyアドレス値とする。なお、200を本発明における第一のオフセット値とし、100を本発明における第二のオフセット値とする。各オフセット値は、200と100に限らず、アドレス値(本実施形態では1〜22)とオーダーが異なるようにすればよい。
【0068】
このように構成することにより、左上のアドレス分割領域はxyのアドレス値を強い赤色で表現され、右上のアドレス分割領域はxyのアドレス値を強い青色で表現され、左下のアドレス分割領域はxyのアドレス値を薄い青色で表現され、右下のアドレス分割領域はxyのアドレス値を薄い赤青色で表現されることとなる。
【0069】
このように、アドレス分割領域が矩形に近い形状であることを利用して、隣接するアドレス領域毎にコントラストのある色で表示させるよう構成し、縦横1つづつ異なる色を巡回して割り当てることにより、各アドレス情報を色で表示して確認することができるばかりでなく、各アドレス分割領域を視覚的に容易に確認することができる。
【0070】
このような構成により、例えば、あるアドレス分割領域のアドレスデータを修正する際に、他のアドレス分割領域のR値及びB値をコピーして修正対象のアドレス分割領域のR値及びB値にそのまま上書きするだけで、容易に所望のxyアドレス変換テーブルの修正を行なうことができる。
【0071】
また、同図に示す如く、RGB値のうちG値に各アドレス分割領域に対応する原画像データのフォトンカウント値を例えば256段階にて与えることにより、元の原画像データのフォトンカウント値の情報までも含めて色彩表現することができ、前述のxyアドレス変換のテーブルの修正を表示装置上で対話形式に行なう際に、視覚的な判断の目安になる。
【0072】
1−1−7.z方向有効領域のビットマップデータの作成
続いて、ステップS17にてステップS15で決定したz方向有効領域について、z方向有効領域のビットマップデータとして作成して、表示部14に表示する。
【0073】
図14に示す如くステップS15で決定したz方向有効領域(R1−1〜R22−22)を、各アドレス変換領域毎に有効領域を無効領域及びその境界箇所と区別できるよう色分けして(或いは階調分けして)を表示する。同図に示す例では、z方向(z=1〜32)及びフォトンカウント値をそれぞれ32段階で与えて、1つのアドレス変換領域のz方向有効領域を32×32の画素にてビットマップ表示する。同図に示す例では、有効領域と無効領域の境界箇所を黒色で、有効領域をグレーで表示し、無効領域は色彩表示しない。
【0074】
以上により、各アドレス分割領域のz方向有効領域を視覚的に確認することができる。
【0075】
1−1−8. z方向有効領域決定処理の変形形態
上述した「1−1−4z方向有効領域決定処理」では、図13(B)を用いて被検体に
投与した放射性医薬品が1種類の場合におけるz方向有効領域の決定手法について説明したが、ここでは被検体に投与した放射性医薬品が複数種類の場合におけるz方向有効領域の決定手法について説明する。具体的には、被検体に投与した放射性医薬品が2種類の場合におけるz方向有効領域決定処理である(ステップS73に相当)について、図15に示す任意のアドレス分割領域におけるz方向有効領域決定の説明を用いて説明する。
【0076】
図15(A)に示す如くフォトンカウント値の最大値(第1ピーク)の半分(50%)のフォトンカウント値を有するz方向領域を仮第1領域とし、当該仮第1領域の前後で、最大値の次に大きい値(第2ピーク)を有するフォトンカウント値の半分(50%)のフォトンカウント値を有するz方向領域を仮第2領域とする。
【0077】
そして、図15(B)に示す如く、仮第1領域と仮第2領域をz方向順に並べ替えを行ない、それぞれの最大値(第1ピーク及び第2ピーク)の10%のフォトンカウント値を有するz方向領域をそれぞれ第1z方向有効領域、第2z方向有効領域とする。なお、図15(B)に示す如く双方の有効領域が重なり合う場合には、両有効領域境界部は、フォトンカウント値の最小位置とする。
【0078】
以上の説明したように、被検体に複数種類の放射性医薬品を投与した場合であっても、z方向有効領域を精度よく決定することができる。従って、z方向有効領域のビットマップデータを作成する際には、夫々の有効領域を区別できるよう色分けして(或いは階調分けして)表示部14に表示させて、ユーザに提示することができる。
【0079】
[1−2.画像処理手順2]
次に、ガンマカメラ装置からの検出データに対する画像処理の具体的手法の他の例について説明する。上述した画像処理手順1では、xyアドレス変換テーブルを作成する際に、xy各稜線からxy境界線を夫々求め、境界線で挿まれた画素を境界線番号が小さい方のアドレス値として求めたが、以下に説明する画像処理手順2では、微分処理後のテストパターン原画像データの粒状パターンの出力値に基づいて所定の数のピーク点を抽出(特定)し、アドレス変換テーブルにおける各画素を当該各ピーク点から放射状に広がるガンマ分布形状領域に包含させることにより、アドレス分割を行なう手法とする。また、当該xyアドレス変換テーブル及びz方向有効領域のビットマップデータの作成のみならず、上記ピーク点についても表示部14に表示して、ユーザが入力部15を介して当該ピーク点の位置の修正を対話形式に行なうことができるように構成した。
【0080】
図16は、テストパターン原画像データに対する画像処理を示すフローチャートである。なお、各処理における具体的な手順は、後にフローチャートを用いて順次説明していくが、上述した画像処理手順1に記載した処理と同じ内容の処理についてはここでは詳細な説明を省略する。
【0081】
先ず、テストパターン原画像データに対して微分フィルタ処理を行ない(ステップ101)、図1に示すテストパターン原画像データの粒状の光子パターン(粒状パターン)の夫々の出力値の差が明確になるよう強調化する。続いて、稜線抽出処理を行ない(ステップS102)、更にこれに基づいてピーク点特定処理を行ない(ステップS103)、制御部11はアドレス変換テーブル作成手段として機能し、xy平面におけるアドレス変換テーブルを作成する(ステップS104)。
【0082】
続いて、制御部11はアドレス変換手段及び有効領域決定手段として機能し、夫々のアドレス領域毎に分割されたアドレス分割領域毎にz方向有効領域決定処理を行ない(ステップS105)、光子の有効エネルギー準位(波長)を決定する。
【0083】
そして、制御部11は表示制御手段として機能し、ステップS104で作成したxyアドレス変換テーブルと、ステップS105にて決定したz方向の有効領域とをビットマップデータとして作成し(ステップS106、107)、表示部14に表示して処理を終了する(ステップS108)。
【0084】
続いて、各処理について具体的に説明するが、ステップS101の微分フィルタ処理、ステップS106及び107のビットマップデータ作成処理、及びステップS108のビットマップデータの表示処理については、図4を参照して説明した「1−1−1.微分フィルタ処理」「1−1−6.xyアドレス変換テーブルのビットマップデータの作成」「1−1−7.z方向有効領域のビットマップデータの作成」及びステップS18における表示処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。
【0085】
1―2−2.稜線抽出処理
次に、上記ステップS102における稜線抽出処理について図17乃至図19を参照して説明する。
【0086】
図17は稜線抽出処理を示すフローチャートである。
【0087】
先ず、記憶部12から微分処理後のテストパターン原画像データ(以下、単に「テストパターン原画像データ」という。)を取得する(ステップS111)。
【0088】
そして、制御部11はピーク画素抽出手段として機能し、原画像データを低階調値化した複数の画素からなる低階調値画像を示す低階調値画像データを生成し、対応する原画像データの粒状パターンのフォトンカウント値(出力値)が大きいほうから順に所定の数の画素に対して最大画素値を与えて、ピーク画素をとして抽出し、抽出された複数の画素位置を明示する低階調値画像を生成(作成)する(ステップS112、S113)。より具体的に説明すると、低階調値画像を構成する複数の画素のうち、対応する原画像データにおいて、フォトンカウント値が最も大きい粒状パターンに対応する画素を図18(A)に示す如く、ピーク画素として抽出し、当該画素に対して最大画素値を与える。なお、本実施形態における低階調値画像データの階調数は、説明の簡単のため画素値0から画素値3の4段階とする。従って、ピーク画素に対しては最大画素値である画素値「3」が与えられるものとする。
【0089】
続いて、制御部11はピーク領域抽出手段として機能し、当該ピーク画素に隣接する周辺の画素に対して、第1中間画素値の一例として画素値2を与えて、図18(B)に示す如くピーク領域を抽出する(ステップS114)。例えば、ピーク領域はピーク画素の周辺3×3の画素とする。
【0090】
次に、制御部11は隣接領域抽出手段として機能し、当該ピーク領域に隣接する周辺の画素に対して、第2中間画素値の一例として画素値1を与えて、図18(C)に示す如く隣接領域を抽出する(ステップS115)。例えば、隣接領域はピーク画素の周辺7×7の画素(ピーク画素を含むピーク領域3×3の画素を除く)とする。
【0091】
そして、低階調値画像を構成する複数の画素のうち、対応する原画像データにおいて、対応するフォトンカウント値が大きいほうから順に粒状パターンのピーク画素を抽出し、図18(D)に示す如くピーク領域を抽出し、更に隣接領域を抽出し、所望のアドレス分割領域の数(例えば、22×22等の所定の数)だけステップS112乃至ステップS116の処理を繰り返し行なった後に、ステップS117に移行する。なお、最初にピーク画素を抽出する際には、低階調値画像を構成する全画素が検索対象となるが、2回目以降は、既にピーク画素、ピーク領域及び隣接領域として選ばれた画素は次のピーク画素の検索対象から除外するよう構成する。これにより、ピーク領域を分散させて後の処理において精度よくアドレス分割を行なうことができる。特に、隣接領域を設けたことによって、複数のピーク領域が近接して存在することを防ぎ、低階調値画像中に分散してピーク領域を設けることができ、アドレス分割を良好に行なうことが可能になる。
【0092】
また、図18(D)は図示の簡略のため、上記所望のアドレス分割領域の数(所定の数)を「16」として、ステップS112乃至ステップS116の処理を16回行い、16個のピーク領域を求めた例を示したが、22×22のアドレス分割を行ないたい場合には、22×22個のピーク領域を求めればよい。
【0093】
そして、制御部11は稜線抽出手段として機能し、低階調値画像を構成する画素のうち、所定の数(例えば22個)のピーク領域と交差する交差線を決定し、当該交差線に対して垂直方向であって、かつ当該交差線が交差するピーク領域のピーク画素の位置に、稜線を低階調値画像のx方向及びy方向(水平方向及び垂直方向)に夫々22本づつ抽出する(ステップS117、118)。
【0094】
稜線抽出について図19を用いて具体的に説明する。なお、図19は図示の簡略のため所定の数を「4」としている。図19の左図に示す例によれば、図中低階調値画像の上から下(或いは下から上)に掃引され、ピーク領域と交差したa、b、c及びdの走査線のうち、4つのピーク領域と交差している走査線を交差線として決定する。図19の左図に示す例によれば、走査線aと走査線bのみが4つのピーク領域と交差している。更に、各ピーク領域が低階調値画像上水平方向に均等に配置されていることが望ましい。従って、水平方向により均等に4つのピーク領域と交差している走査線aを交差線として決定し、当該交差線と交差したピーク領域のピーク画素の位置にy方向(垂直方向)稜線(以下、単に「y稜線」という。)を抽出する。
【0095】
同様にして、図19の右図に示す如く、x方向(水平方向)稜線は、図中低階調値画像の左から右(或いは右から左)に掃引され、ピーク領域と交差したa、b、c及びdの走査線のうち4つのピーク領域と交差している走査線を交差線として決定する。図19の右図に示す例によれば、走査線aと走査線cと走査線dが4つのピーク領域と交差している。更に、各ピーク領域が低階調値画像上垂直方向に均等に配置されていることが望ましい。従って、垂直方向により均等に4つのピーク領域と交差している走査線cを交差線として決定し、当該交差線と交差したピーク領域のピーク画素の位置にx方向(水平方向)稜線(以下、単に「x稜線」という。)を抽出する。
【0096】
そして、抽出した各x稜線及び各y稜線に対して夫々稜線番号(例えば、x=1〜22、y=1〜22)を付すこととする。
【0097】
以上により、稜線抽出処理(S102)を終了しステップS103の処理に移行する。
【0098】
1−2−3.ピーク点特定処理
次に、ステップS103におけるピーク点特定処理について図20を参照して説明する。図20(A)はピーク点特定処理を示すフローチャートである。
【0099】
先ず、稜線抽出処理において抽出したx稜線及びy稜線が交差する交点を、当該各稜線の稜線番号を示す稜線番号情報をxアドレス値及びyアドレス値(アドレス情報)として付与して図20(B)に示す如く特定する(ステップS121)。つまり、各交点は、xアドレス値「1」〜「22」の何れかの値、yアドレス値「1」〜「22」の何れかの値をアドレス情報として有することとなる。
【0100】
そして、制御部11はピーク点特定手段として機能し、各交点を、対応するテストパターン原画像データのフォトンカウント値が、周囲のカウント値と比して大きいカウント値を有する位置に、アドレス情報を維持したまま再配置し、図20(C)に示す如くピーク点として特定する(ステップS122)。ここで、隣接する交点が互いに衝突しない範囲で各交点を再配置しなければならないので、例えば、原画像が256×256画素で、交点数が22×22の場合には、各交点間の距離は約10画素強となり、1つの交点を、上下左右に3画素程度の範囲で再配置することとなる。したがって、上記「周囲のカウント値」とは、例えば、低階調値画像において交点に対応する画素の7×7の周辺画素に対応する原画像データのフォトンカウント値を示す。
【0101】
続いて、特定した各ピーク点のアドレス情報に基づいてビットマップデータを作成し、表示部14に表示して(ステップS123)処理を終了する。
【0102】
ピーク点のビットマップデータは、256階調(所定階調)のxy平面濃淡画像データを生成し、R値、G値、B値が夫々等しいモノクロ画像の背景を特定する。そして、22×22点のピーク点画素をR値を最大階調値「255」、G値を「ピーク点のxアドレス値」、B値を「ピーク点のyアドレス値」で表示する。ピーク点は、後の領域分割の精度に大きな影響を与えるため、この時点で表示部14に一旦表示し、これを確認したユーザが必要に応じて入力部15を介してピーク点の位置修正を行なうことにより、領域分割後にxy変換テーブルを修正するよりも作業負担が少なく簡易に修正することができる。
【0103】
なお、ピーク点が比較的整った格子パターンから著しく逸脱している場合には、各ピーク点の隣接関係が不鮮明となる。そこで、上述した「1−1−6.xyアドレス変換テーブルのビットマップデータの作成」の処理と同様に、隣接するピーク点同士でコントラストのある色で表示させるよう構成すると各ピーク点の位置関係がより鮮明になる。例えば、(1)ピーク点のxアドレス値が奇数、ピーク点のyアドレス値が奇数の場合、R値を「200」、G値を「ピーク点のxアドレス値」、B値を「ピーク点のyアドレス値」として表示(2)ピーク点のxアドレス値が偶数、ピーク点のyアドレス値が奇数の場合、R値を「0」、G値を「ピーク点のxアドレス値」、B値を「ピーク点のyアドレス値+200」として表示(3)ピーク点のxアドレス値が奇数、ピーク点のyアドレス値が偶数の場合、R値を「100」、G値を「ピーク点のxアドレス値」、B値を「ピーク点のyアドレス値」として表示(4)ピーク点のxアドレス値が偶数、ピーク点のyアドレス値が偶数の場合、R値を「0」、G値を「ピーク点のxアドレス値」、B値を「ピーク点のyアドレス値+100」として表示とすれば、各ピーク点の位置とアドレス情報を色で表示して確認することができるばかりでなく、各ピーク点の隣接関係を視覚的に容易に確認ができるのでより好適である。
【0104】
以上により、ピーク点特定処理を行ない、ステップS104の処理に移行する。
【0105】
1−2−4.xyアドレス変換テーブル作成処理
続いて、ステップS104におけるxyアドレス変換テーブル作成処理について図21乃至図22を参照して説明する。図21はxyアドレス変換テーブル作成処理を示すフローチャートである。
【0106】
先ず、ピーク点特定処理において特定したピーク点を、擬似光源として定義する(ステップS131)。すなわち、各ピーク点に発光源が存在すると仮定し、低階調値画像を構成する画素に与えられた座標位置における全発光源からのエネルギー伝達量を所属優先度として算出し、この値が最も大きい発光源に当該画素は所属すると判断し、領域分割を行なう。換言すれば、各画素を当該各ピーク点から放射状に広がるガンマ分布形状領域に包含させることにより、アドレス分割を行なうこととなる。この手法により、ピーク点の位置関係が比較的整った格子パターンから逸脱し複雑な位置関係となっている場合であっても、当該ピーク点を発光源に見立て、当該発光源を中心とするガウス関数に基づいて領域分割が成されるため、平滑化等の処理を施すことなく滑らかな領域分割を実現することが可能になる。
【0107】
なお、発光源と見立てたピーク点からのエネルギー伝達量の一例としての散乱カウント量Eに対して、本発明における所属優先度を適用した場合について説明する。
【0108】
先ず、制御部11はアドレス情報決定手段、所属優先度算出手段として機能し、ピーク点が対応するテストパターン原画像データのフォトンカウント値と、ピーク点と画素との距離とに基づいて、各ピーク点毎に散乱カウント量E(所属優先度)を以下の数式1に基づいて算出する(ステップS132)。
【0109】
なお、以下の式において、ピーク点が対応するテストパターン原画像データのフォトンカウント値をVとし、ピーク点と画素との距離をrとし、kを正の実数定数とする。
【0110】
【数1】
なお、kは解像度に依存しここでは0.5としたが、本願では散乱カウント量Eを領域分割の判断に使用するために求めるだけであるので、その値は各画素、各ピーク点間で相対的に決定できればよく、絶対的な厳密性は要求されない。
【0111】
ここで、全てのピーク点からの散乱カウント量Eが所定の閾値Eth未満である画素を、無効画素として記憶部12に記憶する(ステップS133)。所定の閾値Ethは、例えば最大散乱カウント量Eの10^(−6)程度である。
【0112】
そして、無効画素以外の各画素について、最大の散乱カウント量となるピーク点を所属先のピーク点として決定する(ステップS134)。
【0113】
図を用いて具体的に説明する。図22は、画素Aの所属先ピーク点を求める説明図である。同図に示す例によれば、画素Aがピーク点P1乃至P5の何れの散乱カウント量Eが大きいかを求めた結果、ピーク点P1が所属先のピーク点として決定され、図22(B)においてピーク点P1の画素領域に所属している。なお、ピーク点P1は画素Aとの距離rが最も近いのであるが、もちろん、他のピーク点P2乃至P5が対応するテストパターン原画像データの粒状パターンのフォトンカウント値Vが大きければ、上記数式1に基づいて他のピーク点P2乃至P5との散乱カウント量Eが大きくなり、当該他のピーク点P2乃至P5のいずれかが画素Aを画素領域内に取り込む場合もある。
【0114】
そして、図23(C)に示す如く、ステップS133において記憶部12に記憶した無効画素について、各ピーク点との距離rを求め、最も距離が近いピーク点を所属先のピーク点として決定する(ステップS135)。
【0115】
そして、制御部11はアドレス情報決定手段、xyアドレス変換テーブル作成手段として機能し、各画素のアドレス情報として、夫々が所属するピーク点のアドレス情報を付与して決定し、これに基づいて図23(D)に示す如く複数のアドレス分割領域から成るxyアドレス変換テーブルを作成して処理を終了する(ステップS136、S137)。
【0116】
なお、所属先のピーク点を決定する際に、対象画素の近傍4つのピーク点を所属先候補として予め選出しておき、それら4つのピーク点の散乱カウント量Eのみを算出すれば、処理時間の短縮化を図ることができる。しかし、ピーク点の位置関係が複雑である場合には、近傍の4ピークの選出が難しくなり、ピーク点の見落としや選出ミスなどの危険性がある。従って、本実施形態で説明したように、各画素について全ピーク点との散乱カウント量Eを算出する手法が確実である。
【0117】
以上説明した手法によれば、各アドレス分割領域の領域境界の形状を比較的滑らかに形成することができるため、アドレス変換後のノイズを最小限に抑えることを可能にしたアドレス変換テーブルを作成することができる。
【0118】
1−2−5.z方向有効領域決定処理
続いて、ステップS105におけるz方向有効領域決定処理について説明する。
【0119】
なお、ここでは図13〜図15を用いて詳述した「1−1−4.z方向有効領域決定処理」及び「1−1−8. z方向有効領域決定処理の変形形態」と異なる箇所についてのみ詳細に説明することとし、詳細な手順については上記の説明部分と同様であるため省略する。
【0120】
上述した「1−1−4.z方向有効領域決定処理」では、各アドレス分割領域(22×22)について、フォトンカウント値の例えばピークの10%前後に対応する波長領域を所定の有効領域(R1−1〜R22−22)として求めたが、ここでは、ピークを中央付近として前後に約10%の幅を有効領域として決定することとした。図24(A)の任意のアドレス分割領域におけるz方向有効領域の説明図に示すように、ピークとなるz値を中央として、右側(z値が大きいほう)+8%から左側(z値が小さいほう)−15%などと設定し、左右で異なる割合を設定してもよい。
【0121】
また、本実施形態では、1の画像データは32枚の分割画像データからなることから、z値は、1から32という値をとることとなるが、ピークのz値が「16」である場合には、その10%は1.6であって、1.6を切り上げて2づつ左右に有効領域を設定することとなるが、1.6を2に切り上げて求めた有効領域では精度が低いとも言える。従って、1の画像データを例えば128枚の分割画像データで構成するなど、できるだけ細かい分割画像データを用いることにより、精度の高いz方向有効領域を決定することができる。
【0122】
なお、被検体に投与した放射性医薬品が複数種類の場合など、2つのピークが観測される場合にも「1−1−8. z方向有効領域決定処理の変形形態」と同様にして2つの仮領域を決定した後に、図24(B)に示す如くピークを中央付近として前後に約10%の幅を有効領域として決定するよう構成すればよい。
【0123】
なお、上述した画像処理手順1及び2の夫々の工程における各処理は夫々別の組み合わせによってもよい。例えば、xyアドレス変換テーブル作成処理は画像処理手順1の手法で行ない、z方向有効領域決定処理は画像処理手順2の手法で行なってもよい。
【0124】
2.変換対象画像データの領域統合画像データ作成手順
続いて、画像処理手順1又は画像処理手順2によって求めたxyアドレス変換テーブル及びz方向有効領域に基づいて、被検体を撮影して得られた変換対象画像データについてアドレス変換を行ない、領域統合画像データを作成する手順について説明する。
【0125】
図25は変換対象画像データの領域統合画像データ作成処理を示すフローチャートである。
【0126】
先ず、ガンマカメラ検出データ記憶部12Bより、変換対象画像データを取得する(ステップS201)。変換対象画像データは予めガンマカメラ装置にて撮影されてガンマカメラ検出データ記憶部12Bに記憶されているものとし、テストパターン原画像データと同様に2次元方向に256×256の画素として、波長(可視光領域)が異なる32枚(プレーン)の分割画像データにて構成される。
【0127】
そして、制御部11はアドレス変換手段として機能し、ステップS14(又はステップS137)にて作成したxyアドレス変換テーブルを用いて、変換対象画像データの32枚(z=1〜32)の分割画像データについてそれぞれアドレス変換を行ない、各アドレス分割領域(22×22)毎に対応するフォトンカウント値(出力値)を取得する(ステップS202)。
【0128】
続いて、制御部11は領域統合画像データ作成手段として機能し、ステップS15(又はステップS105)にて各アドレス分割領域(22×22)毎に決定したz方向有効領域を用いて、有効範囲である分割画像データ(有効データ)の粒状パターンのフォトンカウント値を総和演算してアドレス変換画像データ(領域統合画像データ)を作成して処理を終了する(ステップS203)。なお、作成した領域統合画像データは表示部14に表示してユーザに提示したり、或いは図示しないプリンタ等の出力部にて画像出力することが可能である。
【0129】
このように、テストパターンの粒状パターンに基づいて決定したアドレス分割領域に基づいてxyアドレス変換テーブルを作成することにより、ガンマカメラ装置にて取得した画像データ(変換対象画像データ)について高精度な領域統合画像データを作成することができる。この手法によれば、予め同条件のテストパターンを用いてxyアドレス変換テーブルを作成しているので、被検体に投与した放射性医薬品の特性、ガンマカメラ装置自身の特性、及びアンプの特性等を反映したアドレス変換を行なうことができるので、より正確なアドレス変換をおこなうことができ、高精度な領域統合画像データを作成することができる。
【0130】
さらに、1の画像データが光子エネルギー準位(波長)の異なる複数の分割画像データにて構成されている場合であっても、テストパターンを用いて予め有効な光子エネルギー準位、つまり有効領域を求めることにより、ガンマカメラ装置にて取得した画像データ(変換対象画像データ)についてアドレス変換を行なう際にも、有効領域である分割画像データ(有効データ)のみを用いた高精度な領域統合画像データを作成することができる。
【0131】
さらに、各アドレス分割領域の二次元の値で示されるアドレス値を、一方のアドレス値を表示部14のRGB要素のうち何れかの一の値で示し、他方のアドレス値をRGB要素のうち何れかの他の値で示すことにより、アドレス値を色彩にて視覚的にユーザに提示することができ、ユーザは当該アドレス値の修正を容易に行なうことができる。
【0132】
なお、本実施形態の画像処理手順1では、テストパターン原画像データを二値化した二値化画像データを生成しているがこれに限らず、階調値に対して微分フィルタ処理におけるフォトンカウント値の差の強調度合いに応じた閾値(図6(A)参照。)を設けられれば、二値化せずとも適当な範囲で低階調値化すればよい。
【0133】
3.変形例
3−1.変形例1
ガンマカメラ検出データ記憶部12Aから取得したテストパターン原画像データの総和演算後の4辺端部(「周辺部」と言う。)をカットして、ノイズ削除処理を行なった後に上述した画像処理(画像処理手順1及び2)を実行するよう構成すれば、画像処理精度を向上させることができ、より好ましい。図26に示す例では、縦方向横方向の長さの10%をノイズ部分として削除したが、ノイズの量や広がりに基づいて適宜変更可能である。
【0134】
また、上述のように周辺部を切り取る処理を行なわずに、周辺部の画素を無効画素として扱ってもよい。画像処理手順2では、無効画素は近傍のいずれかのアドレス分割領域に包含するよう処理した(ステップS135、図23(D)参照)が、その際、上記周辺部については例外として、無効画素の状態を維持させ、後の処理に用いないよう構成すればよい。
【0135】
3−2.変形例2
更に、画像処理手順2に係るピーク点特定処理(図20参照。)において、稜線抽出処理(図19参照。)において抽出したx稜線及びy稜線が交差する各交点を、対応するテストパターン原画像データのフォトンカウント値が、周囲のカウント値と比して大きいカウント値を有する位置に、アドレス情報を維持したまま再配置し、これをピーク点として特定したが、各交点を再配置したものをそのままピーク点として用いるのではなく、ピーク点位置を対話形式に修正可能に構成することもできる。
【0136】
以下、画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例として、図27(A)のフローチャートを用いて説明する。
【0137】
先ず、稜線抽出処理において抽出したx稜線及びy稜線が交差する交点を、当該各稜線の稜線番号を示す稜線番号情報をxアドレス値及びyアドレス値(アドレス情報)として付与して特定する(ステップS205)。この処理は、上述したステップS121(図20(B)。)の処理と同様であるので説明は省略する。
【0138】
そして、制御部11はピーク点特定手段として機能し、各交点を、対応するテストパターン原画像データのフォトンカウント値が、周囲のカウント値と比して大きいカウント値を有する位置に、アドレス情報を維持したまま再配置し仮ピーク点とし、xy方向に隣接する各仮ピーク点を結んで折れ線グリッドを生成する(ステップS206)(図27(B)参照。)。
【0139】
このとき、低階調値画像データの内側に位置する4点の各仮ピーク点においては隣接する4点の仮ピーク点と直線で連結させ、低階調値画像データの4隅を除く周辺部に位置する各仮ピーク点(図27(B)に示す例では8点)においては隣接する3点の仮ピーク点と直線で連結させ、低階調値画像データの4隅の各仮ピーク点は隣接する2点の仮ピーク点と直線で連結させることによりグリッドを構成する。
【0140】
次に、制御部11は、ピーク点補正手段として機能し、折れ線グリッドが交差しない範囲で、各仮ピーク点を修正し、修正後の仮ピーク点をピーク点として特定する(ステップS207)。図27(C)に示す例によれば、入力部15のマウス等で操作(クリック&ドラッグ)することにより、仮ピーク点Piを所望の位置に移動させて修正し、修正後の仮ピーク点をピーク点Piとして特定する。但し、当該位置の修正は、折れ線グリッドが交差しない範囲でのみ行なえることとする。例えば、図27(C)に示すように、仮ピーク点Pjを、仮ピーク点PsとPt間の折れ線グリッドを越えて位置修正を行ないピーク点Pjとして特定することはできない。
【0141】
そして、特定した各ピーク点のアドレス情報に基づいてビットマップデータを作成し、表示部14に表示して(ステップS208)処理を終了する。
【0142】
3−3.変形例3
また、上述した画像処理手順2では、各画素について、各ピーク点に所属する画素領域を決定することにより、アドレス分割領域を決定し、xyアドレス変換テーブルを作成したが(図21〜23参照。)、xyアドレス変換テーブル作成処理の変形例として、図28(A)のフローチャートを用いて説明する。この処理は、ピーク点を特定した後に行なわれるが、画像処理手順2のピーク点特定処理(図20)に従って特定したピーク点であっても、画像処理手順2のピーク点特定処理の変形例(図27)に従って特定したピーク点であっても、何れの場合にも実行可能である。
【0143】
先ず、特定したピーク点(図20又は図27)を直線で結んで折れ線グリッドを生成する(ステップS210)。画像処理手順2のピーク点特定処理(図27)に従ってピーク点が特定されている場合には、ステップS207の修正後の折れ線グリッドを用いることができる。
【0144】
続いて、図28(B)に示す如く、制御部11は、重心点決定手段及び重心点四角形生成手段として機能し、各折れ線グリッドで囲まれた四角形の重心点を求め(ステップS211)、仮アドレス分割領域を決定する(ステップS212、図28(C)参照。)。
【0145】
上記ステップS211の処理では、重心点(図28(B)〜(D)中、△で図示)を求めると共に、低階調値画像データの境界線上に仮想重心点を決定する。この仮想重心点は、図28(C)に示すように、低階調値画像データの周辺部に位置する重心点(図28(C)の例では、中央の1つを除く8点が対象)と直線で結んだときに、該直線で生成される四角形(重心点四角形)に、低階調値画像データの周辺部に位置するピーク点が包含されるような箇所を、仮想重心点(図28(B)〜(D)中、▲で図示)として決定する。
【0146】
そして、低階調値画像データの4隅の4点も仮想重心点に加え、9点の重心点に全16点の仮想重心点を加えた25点の重心点間を直線で連結してグリッドを構成する。具体的には、低階調値画像データの内側に位置する9点の各重心点においては隣接する4点の重心点と直線で連結させるが、4隅を除く周辺に位置する12点の仮想重心点においては隣接する3点の重心点または仮想重心点と直線で連結させ、4隅の仮想重心点においては隣接する2点の仮想重心点と直線で連結させることによりグリッドを構成している。
【0147】
尚、低階調値画像データの境界線としては、例えば、図26左におけるテストパターン原画像データの周辺部をトリミングするための境界線または図26右におけるテストパターン原画像データの境界線を使用する。
【0148】
次に、制御部11は、重心点補正手段として機能し、各重心点(仮想重心点を含む)を結ぶ折れ線グリッドが交差しない範囲で、各重心点を修正し、修正後の重心点に基づいて各アドレス分割領域を決定する(ステップS213、図28(D)参照。)。
【0149】
そして、折れ線グリッドで囲まれた四角形内の各画素のアドレス情報として、各四角形の所定方向の頂点のアドレス値を夫々付与して決定し、これに基づいて図28(E)に示す如く複数のアドレス分割領域から成るxyアドレス変換テーブルを作成して処理を終了する(ステップS214、S215)。図28(E)に示す例の場合、■で図示する箇所のアドレス値を、各四角形に含まれる各画素のアドレス情報として夫々付与する。
【0150】
3−4.変形例4
また、z方向有効領域決定処理(図13〜15、図24)において、フォトンカウント値の最大値(第1ピーク又は第2ピーク)を検索するピーク検索範囲を決定し、該範囲からピークを検索するよう構成してもよい。例えば、図29に示す如く、光子のエネルギー準位が異なる(z=1〜32)アドレス変換画像データの中に、無効データが含まれる場合などに、有効データのみからフォトンカウント値の最大値を求めることができるので好ましい。
【0151】
更に、上述した図3乃至図5、図8、図10、図13、図16、図17、図20、図21、図25、図27及び図28に示すフローチャートに対応するプログラムを、フレキシブルディスク又はハードディスク等の情報記録媒体に記録しておき、又はインターネット等を介して取得して記録しておき、これらを汎用のコンピュータで読み出して実行することにより、当該コンピュータを実施形態に係る制御部11として機能させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0152】
以上夫々説明したように、本発明は核医学におけるPET及びSPECT向けのガンマカメラ装置の画像処理等病理組織の画像診断、マイクロアレイの画像解析、アストロビジョンなどの評価・検査の分野に利用することが可能であり、特にガンマカメラ装置の画像処理の分野に適用すれば特に顕著な効果が得られる。
【符号の説明】
【0153】
1 画像処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 外部機器接続部
14 表示部
15 入力部
16 バス
R 有効領域
P ピーク点
E 散乱カウント量
Eth 散乱カウント量の閾値
r 距離
V フォトンカウント値
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粒状パターンにより像を示す原画像データの前記粒状パターンの出力値が大きいほうから順に所定の数の画素に対して、最大画素値を与えてピーク画素として抽出し、低階調値画像を作成するピーク画素抽出手段と、
各前記ピーク画素について、当該ピーク画素の周辺の画素に対して第1中間画素値を与えて、前記最大画素値又は前記第1中間画素値を有する画素から成るピーク領域を夫々抽出し、前記低階調値画像に付加するピーク領域抽出手段と、
前記低階調値画像の水平方向及び垂直方向に、所定の数の前記ピーク領域と交差する交差線を決定し、当該交差線に対して垂直方向であって、かつ前記交差したピーク領域のピーク画素の位置に各々所定の数の稜線を抽出する稜線抽出手段と、
前記低階調値画像の水平方向の各前記稜線と前記低階調値画像の垂直方向の各前記稜線とが交差する交点を、交差する各稜線の稜線番号情報に基づいてアドレス情報を付与して特定し、前記原画像データと前記低階調値画像を示す前記低階調値画像データとを対比させ、各交点について、当該交点の周辺領域に対応する前記粒状パターンの出力値が、当該交点に対応する前記粒状パターンの出力値より大きい出力値を有する場合には、当該交点を当該周辺領域の出力値が最も大きい箇所に前記アドレス情報を維持したまま再配置させてピーク点として夫々特定するピーク点特定手段と、
前記低階調値画像を構成する各画素について、当該画素と各前記ピーク点の距離と、当該ピーク点に対応する前記原画像データの前記粒状パターンの出力値と、に基づいて前記各画素に対してアドレス情報を決定するアドレス情報決定手段と、
決定された前記アドレス情報に基づいて、複数の粒状パターンにより像を示す画像データであってアドレス変換の対象となる変換対象画像データに対してアドレス変換を行なうためのアドレス変換テーブルを作成するアドレス変換テーブル作成手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記ピーク領域抽出手段によって抽出された各前記ピーク領域について、当該ピーク領域の周辺の画素に対して第2中間画素値を与えて、隣接領域を夫々抽出する隣接領域抽出手段を有し、
前記ピーク画素抽出手段は、前記隣接領域及び前記ピーク領域に含まれる画素を除く画素を次の前記ピーク画素として抽出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像処理装置において、
前記原画像データの各前記粒状パターンの出力値間の差を強調する微分フィルタ処理手段を有し、
前記ピーク画素抽出手段は、前記微分フィルタ処理後の前記原画像データの前記粒状パターンの出力値が大きいほうから順に前記ピーク画素を抽出し、
前記ピーク点特定手段は、前記微分フィルタ処理後の前記原画像データと前記低階調値画像データとを対比させ前記ピーク点を特定し、
前記アドレス情報決定手段は、前記ピーク点に対応する前記微分フィルタ処理後の前記原画像データの前記粒状パターンの出力値に基づいて、前記アドレス情報を決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記アドレス情報決定手段は、当該画素と前記各ピーク点の距離と、当該ピーク点に対応する前記原画像データの前記粒状パターンの出力値と、を用いて、前記各ピーク点の所属優先度を画素毎に夫々算出する所属優先度算出手段を有し、かつ、前記低階調値画像を構成する各画素について、最も所属優先度が高い前記ピーク点が有する前記アドレス情報を、当該画素のアドレス情報として決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理装置において、
前記アドレス情報決定手段は、全てのピーク点の所属優先度が所定の閾値未満である画素について、当該画素と距離が最も近い前記ピーク点が有する前記アドレス情報を、当該画素のアドレス情報として決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
隣接する4つの前記ピーク点からなるピーク点四角形の重心点を各々決定する重心点決定手段と、
隣接する4つの前記重心点の間を直線で連結させてグリッドを構成し、前記直線で形成された重心点四角形を生成する重心点四角形生成手段と、を有し、
前記アドレス情報決定手段は、前記重心点四角形の所定方向の頂点に位置する前記画素が有する前記アドレス情報を、当該重心点四角形に含まれる前記画素の前記アドレス情報として夫々決定し、全ての前記重心点四角形にかかる前記所定方向は同一方向であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理装置において、
前記重心点決定手段は、前記低階調値画像の4隅を含む前記低階調値画像の境界線上に位置する仮想重心点であって、前記重心点四角形生成手段が、該仮想重心点と、前記低階調値画像の周辺部に位置する前記重心点と、の間を直線で連結して前記重心点四角形を生成する際、前記低階調値画像の周辺部に位置する前記各ピーク点を包含するように前記重心点四角形が生成される箇所を、前記仮想重心点として決定し、
前記重心点四角形生成手段は、隣接する4つの前記重心点及び前記仮想重心点との間を直線で連結させてグリッドを構成し、前記直線で形成された前記重心点四角形を生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の画像処理装置において、
前記重心点及び前記仮想重心点を結ぶ前記各直線が互いに他の直線と交差しない範囲で、前記各重心点の位置を補正する重心点補正手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記ピーク点特定手段は、隣接する前記ピーク点を直線で連結させたグリッドを構成し、各直線が互いに他の直線と交差しない範囲で、前記各ピーク点の位置を補正するピーク点補正手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記ピーク画素抽出手段は、前記原画像データの前記粒状パターンの出力値が大きいほうから順に、前記アドレス変換テーブル作成手段によって作成を所望するアドレス分割領域の数の画素に対して、最大画素値を与えて前記ピーク画素として抽出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
複数の分割画像データによって1の前記原画像データが構成されている場合には、当該複数の分割画像データの前記粒状パターンの出力値を総和演算する総和演算手段を有し、
前記ピーク画素抽出手段、前記ピーク点特定手段、前記アドレス情報決定手段及び前記微分フィルタ処理手段は、総和演算後の出力値を前記原画像データの各前記粒状パターンの出力値とし、かつ、
各前記分割画像データの前記各粒状パターンを、前記アドレス変換テーブルを用いてアドレス変換を行なうアドレス変換手段と、
前記アドレス変換手段によって、各前記分割画像データの前記各粒状パターンをアドレス変換した後に、前記複数の分割画像データの前記粒状パターンの出力値に基づいて、夫々のアドレス分割領域毎に、前記複数の分割画像データうち有効データを決定する有効領域決定手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載の画像処理装置において、
前記アドレス変換手段は、前記変換対象画像データの前記各粒状パターンを、前記アドレス変換テーブルを用いてアドレス変換を行なうことを特徴とする画像処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の画像処理装置において、
複数の分割画像データによって1の前記変換対象画像データが構成されている場合には、
前記アドレス変換手段は、前記1の変換対象画像データを構成する各前記分割画像データの前記各粒状パターンを、前記アドレス変換テーブルを用いてアドレス変換を行ない、かつ、
前記有効領域決定手段によって決定された前記有効データに対応する前記分割画像データの前記粒状パターンの出力値を、前記アドレス分割領域毎に総和演算して領域統合画像データを作成する領域統合画像データ作成手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項14】
コンピュータを、複数の粒状パターンにより像を示す原画像データの前記粒状パターンの出力値が大きいほうから順に所定の数の画素に対して、最大画素値を与えてピーク画素として抽出し、低階調値画像を作成するピーク画素抽出手段、
各前記ピーク画素について、当該ピーク画素の周辺の画素に対して第1中間画素値を与えて、前記最大画素値又は前記第1中間画素値を有する画素から成るピーク領域を夫々抽出し、前記低階調値画像に付加するピーク領域抽出手段、
前記低階調値画像の水平方向及び垂直方向に、所定の数の前記ピーク領域と交差する交差線を決定し、当該交差線に対して垂直方向であって、かつ前記交差したピーク領域のピーク画素の位置に各々所定の数の稜線を抽出する稜線抽出手段、
前記低階調値画像の水平方向の各前記稜線と前記低階調値画像の垂直方向の各前記稜線とが交差する交点を、交差する各稜線の稜線番号情報に基づいてアドレス情報を付与して特定し、前記原画像データと前記低階調値画像を示す前記低階調値画像データとを対比させ、各交点について、当該交点の周辺領域に対応する前記粒状パターンの出力値が、当該交点に対応する前記粒状パターンの出力値より大きい出力値を有する場合には、当該交点を当該周辺領域の出力値が最も大きい箇所に前記アドレス情報を維持したまま再配置させてピーク点として夫々特定するピーク点特定手段、
前記低階調値画像を構成する各画素について、当該画素と各前記ピーク点の距離と、当該ピーク点に対応する前記原画像データの前記粒状パターンの出力値と、に基づいて前記各画素に対してアドレス情報を決定するアドレス情報決定手段及び、
決定された前記アドレス情報に基づいて、複数の粒状パターンにより像を示す画像データであってアドレス変換の対象となる変換対象画像データに対してアドレス変換を行なうためのアドレス変換テーブルを作成するアドレス変換テーブル作成手段として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載の画像処理プログラムにおいて、前記コンピュータを、
前記ピーク領域抽出手段によって抽出された各前記ピーク領域について、当該ピーク領域の周辺の画素に対して第2中間画素値を与えて、隣接領域を夫々抽出する隣接領域抽出手段として更に機能させ、
前記ピーク画素抽出手段を、前記隣接領域及び前記ピーク領域に含まれる画素を除く画素を次の前記ピーク画素として抽出するよう機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記コンピュータを、前記原画像データの各前記粒状パターンの出力値間の差を強調する微分フィルタ処理手段として更に機能させ、
前記ピーク画素抽出手段を、前記微分フィルタ処理後の前記原画像データの前記粒状パターンの出力値が大きいほうから順に前記ピーク画素を抽出するよう機能させ、
前記ピーク点特定手段を、前記微分フィルタ処理後の前記原画像データと前記低階調値画像データとを対比させ前記ピーク点を特定するよう機能させ、
前記アドレス情報決定手段を、前記ピーク点に対応する前記微分フィルタ処理後の前記原画像データの前記粒状パターンの出力値に基づいて、前記アドレス情報を決定するよう機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項17】
請求項14乃至16のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記アドレス情報決定手段を、当該画素と前記各ピーク点の距離と、当該ピーク点に対応する前記原画像データの前記粒状パターンの出力値と、を用いて、前記各ピーク点の所属優先度を画素毎に夫々算出する所属優先度算出手段として機能させ、かつ、前記低階調値画像を構成する各画素について、最も所属優先度が高い前記ピーク点が有する前記アドレス情報を、当該画素のアドレス情報として決定するよう機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項18】
請求項16に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記アドレス情報決定手段を、全てのピーク点の所属優先度が所定の閾値未満である画素について、当該画素と距離が最も近い前記ピーク点が有する前記アドレス情報を、当該画素のアドレス情報として決定するよう機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項19】
請求項14乃至16のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、前記コンピュータを、
隣接する4つの前記ピーク点からなるピーク点四角形の重心点を各々決定する重心点決定手段及び、
隣接する4つの前記重心点の間を直線で連結させてグリッドを構成し、前記直線で形成された重心点四角形を生成する重心点四角形生成手段として更に機能させ、
前記アドレス情報決定手段を、前記重心点四角形の所定方向の頂点に位置する前記画素が有する前記アドレス情報を、当該重心点四角形に含まれる前記画素の前記アドレス情報として夫々決定するよう機能させ、且つ、全ての前記重心点四角形にかかる前記所定方向は同一方向であることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項20】
請求項19に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記重心点決定手段を、前記低階調値画像の4隅を含む前記低階調値画像の境界線上に位置する仮想重心点であって、前記重心点四角形生成手段が、該仮想重心点と、前記低階調値画像の周辺部に位置する前記重心点と、の間を直線で連結して前記重心点四角形を生成する際、前記低階調値画像の周辺部に位置する前記各ピーク点を包含するように前記重心点四角形が生成される箇所を、前記仮想重心点として決定するよう機能させ、
前記重心点四角形生成手段を、隣接する4つの前記重心点及び前記仮想重心点との間を直線で連結させてグリッドを構成し、前記直線で形成された前記重心点四角形を生成するよう機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の画像処理プログラムにおいて、前記コンピュータを、
前記重心点及び前記仮想重心点を結ぶ前記各直線が互いに他の直線と交差しない範囲で、前記各重心点の位置を補正する重心点補正手段として更に機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項22】
請求項14乃至請求項21のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記ピーク点特定手段を、隣接する前記ピーク点を直線で連結させたグリッドを構成するよう機能させ、更に、各直線が互いに他の直線と交差しない範囲で、前記各ピーク点の位置を補正するピーク点補正手段として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項23】
請求項14乃至請求項22のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記ピーク画素抽出手段を、前記原画像データの前記粒状パターンの出力値が大きいほうから順に、前記アドレス変換テーブル作成手段によって作成を所望するアドレス分割領域の数の画素に対して、最大画素値を与えて前記ピーク画素として抽出するよう機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項24】
請求項14乃至請求項23のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、前記コンピュータを、
複数の分割画像データによって1の前記原画像データが構成されている場合には、当該複数の分割画像データの前記粒状パターンの出力値を総和演算する総和演算手段として更に機能させ、
前記ピーク画素抽出手段、前記ピーク点特定手段、前記アドレス情報決定手段及び前記微分フィルタ処理手段は、総和演算後の出力値を前記原画像データの各前記粒状パターンの出力値とし、かつ、
前記コンピュータを、各前記分割画像データの前記各粒状パターンを、前記アドレス変換テーブルを用いてアドレス変換を行なうアドレス変換手段及び、
前記アドレス変換手段によって、各前記分割画像データの前記各粒状パターンをアドレス変換した後に、前記複数の分割画像データの前記粒状パターンの出力値に基づいて、夫々のアドレス分割領域毎に、前記複数の分割画像データうち有効データを決定する有効領域決定手段、
として更に機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項25】
請求項24に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記アドレス変換手段を、前記変換対象画像データの前記各粒状パターンを、前記アドレス変換テーブルを用いてアドレス変換を行なうよう機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項26】
請求項25に記載の画像処理プログラムにおいて、
複数の分割画像データによって1の前記変換対象画像データが構成されている場合には、前記アドレス変換手段を、前記1の変換対象画像データを構成する各前記分割画像データの前記各粒状パターンを、前記アドレス変換テーブルを用いてアドレス変換を行なうよう機能させ、かつ
前記コンピュータを、前記有効領域決定手段によって決定された前記有効データに対応する前記分割画像データの前記粒状パターンの出力値を、前記アドレス分割領域毎に総和演算して領域統合画像データを作成する領域統合画像データ作成手段として更に機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項1】
複数の粒状パターンにより像を示す原画像データの前記粒状パターンの出力値が大きいほうから順に所定の数の画素に対して、最大画素値を与えてピーク画素として抽出し、低階調値画像を作成するピーク画素抽出手段と、
各前記ピーク画素について、当該ピーク画素の周辺の画素に対して第1中間画素値を与えて、前記最大画素値又は前記第1中間画素値を有する画素から成るピーク領域を夫々抽出し、前記低階調値画像に付加するピーク領域抽出手段と、
前記低階調値画像の水平方向及び垂直方向に、所定の数の前記ピーク領域と交差する交差線を決定し、当該交差線に対して垂直方向であって、かつ前記交差したピーク領域のピーク画素の位置に各々所定の数の稜線を抽出する稜線抽出手段と、
前記低階調値画像の水平方向の各前記稜線と前記低階調値画像の垂直方向の各前記稜線とが交差する交点を、交差する各稜線の稜線番号情報に基づいてアドレス情報を付与して特定し、前記原画像データと前記低階調値画像を示す前記低階調値画像データとを対比させ、各交点について、当該交点の周辺領域に対応する前記粒状パターンの出力値が、当該交点に対応する前記粒状パターンの出力値より大きい出力値を有する場合には、当該交点を当該周辺領域の出力値が最も大きい箇所に前記アドレス情報を維持したまま再配置させてピーク点として夫々特定するピーク点特定手段と、
前記低階調値画像を構成する各画素について、当該画素と各前記ピーク点の距離と、当該ピーク点に対応する前記原画像データの前記粒状パターンの出力値と、に基づいて前記各画素に対してアドレス情報を決定するアドレス情報決定手段と、
決定された前記アドレス情報に基づいて、複数の粒状パターンにより像を示す画像データであってアドレス変換の対象となる変換対象画像データに対してアドレス変換を行なうためのアドレス変換テーブルを作成するアドレス変換テーブル作成手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記ピーク領域抽出手段によって抽出された各前記ピーク領域について、当該ピーク領域の周辺の画素に対して第2中間画素値を与えて、隣接領域を夫々抽出する隣接領域抽出手段を有し、
前記ピーク画素抽出手段は、前記隣接領域及び前記ピーク領域に含まれる画素を除く画素を次の前記ピーク画素として抽出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像処理装置において、
前記原画像データの各前記粒状パターンの出力値間の差を強調する微分フィルタ処理手段を有し、
前記ピーク画素抽出手段は、前記微分フィルタ処理後の前記原画像データの前記粒状パターンの出力値が大きいほうから順に前記ピーク画素を抽出し、
前記ピーク点特定手段は、前記微分フィルタ処理後の前記原画像データと前記低階調値画像データとを対比させ前記ピーク点を特定し、
前記アドレス情報決定手段は、前記ピーク点に対応する前記微分フィルタ処理後の前記原画像データの前記粒状パターンの出力値に基づいて、前記アドレス情報を決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記アドレス情報決定手段は、当該画素と前記各ピーク点の距離と、当該ピーク点に対応する前記原画像データの前記粒状パターンの出力値と、を用いて、前記各ピーク点の所属優先度を画素毎に夫々算出する所属優先度算出手段を有し、かつ、前記低階調値画像を構成する各画素について、最も所属優先度が高い前記ピーク点が有する前記アドレス情報を、当該画素のアドレス情報として決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理装置において、
前記アドレス情報決定手段は、全てのピーク点の所属優先度が所定の閾値未満である画素について、当該画素と距離が最も近い前記ピーク点が有する前記アドレス情報を、当該画素のアドレス情報として決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
隣接する4つの前記ピーク点からなるピーク点四角形の重心点を各々決定する重心点決定手段と、
隣接する4つの前記重心点の間を直線で連結させてグリッドを構成し、前記直線で形成された重心点四角形を生成する重心点四角形生成手段と、を有し、
前記アドレス情報決定手段は、前記重心点四角形の所定方向の頂点に位置する前記画素が有する前記アドレス情報を、当該重心点四角形に含まれる前記画素の前記アドレス情報として夫々決定し、全ての前記重心点四角形にかかる前記所定方向は同一方向であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理装置において、
前記重心点決定手段は、前記低階調値画像の4隅を含む前記低階調値画像の境界線上に位置する仮想重心点であって、前記重心点四角形生成手段が、該仮想重心点と、前記低階調値画像の周辺部に位置する前記重心点と、の間を直線で連結して前記重心点四角形を生成する際、前記低階調値画像の周辺部に位置する前記各ピーク点を包含するように前記重心点四角形が生成される箇所を、前記仮想重心点として決定し、
前記重心点四角形生成手段は、隣接する4つの前記重心点及び前記仮想重心点との間を直線で連結させてグリッドを構成し、前記直線で形成された前記重心点四角形を生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の画像処理装置において、
前記重心点及び前記仮想重心点を結ぶ前記各直線が互いに他の直線と交差しない範囲で、前記各重心点の位置を補正する重心点補正手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記ピーク点特定手段は、隣接する前記ピーク点を直線で連結させたグリッドを構成し、各直線が互いに他の直線と交差しない範囲で、前記各ピーク点の位置を補正するピーク点補正手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記ピーク画素抽出手段は、前記原画像データの前記粒状パターンの出力値が大きいほうから順に、前記アドレス変換テーブル作成手段によって作成を所望するアドレス分割領域の数の画素に対して、最大画素値を与えて前記ピーク画素として抽出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
複数の分割画像データによって1の前記原画像データが構成されている場合には、当該複数の分割画像データの前記粒状パターンの出力値を総和演算する総和演算手段を有し、
前記ピーク画素抽出手段、前記ピーク点特定手段、前記アドレス情報決定手段及び前記微分フィルタ処理手段は、総和演算後の出力値を前記原画像データの各前記粒状パターンの出力値とし、かつ、
各前記分割画像データの前記各粒状パターンを、前記アドレス変換テーブルを用いてアドレス変換を行なうアドレス変換手段と、
前記アドレス変換手段によって、各前記分割画像データの前記各粒状パターンをアドレス変換した後に、前記複数の分割画像データの前記粒状パターンの出力値に基づいて、夫々のアドレス分割領域毎に、前記複数の分割画像データうち有効データを決定する有効領域決定手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載の画像処理装置において、
前記アドレス変換手段は、前記変換対象画像データの前記各粒状パターンを、前記アドレス変換テーブルを用いてアドレス変換を行なうことを特徴とする画像処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の画像処理装置において、
複数の分割画像データによって1の前記変換対象画像データが構成されている場合には、
前記アドレス変換手段は、前記1の変換対象画像データを構成する各前記分割画像データの前記各粒状パターンを、前記アドレス変換テーブルを用いてアドレス変換を行ない、かつ、
前記有効領域決定手段によって決定された前記有効データに対応する前記分割画像データの前記粒状パターンの出力値を、前記アドレス分割領域毎に総和演算して領域統合画像データを作成する領域統合画像データ作成手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項14】
コンピュータを、複数の粒状パターンにより像を示す原画像データの前記粒状パターンの出力値が大きいほうから順に所定の数の画素に対して、最大画素値を与えてピーク画素として抽出し、低階調値画像を作成するピーク画素抽出手段、
各前記ピーク画素について、当該ピーク画素の周辺の画素に対して第1中間画素値を与えて、前記最大画素値又は前記第1中間画素値を有する画素から成るピーク領域を夫々抽出し、前記低階調値画像に付加するピーク領域抽出手段、
前記低階調値画像の水平方向及び垂直方向に、所定の数の前記ピーク領域と交差する交差線を決定し、当該交差線に対して垂直方向であって、かつ前記交差したピーク領域のピーク画素の位置に各々所定の数の稜線を抽出する稜線抽出手段、
前記低階調値画像の水平方向の各前記稜線と前記低階調値画像の垂直方向の各前記稜線とが交差する交点を、交差する各稜線の稜線番号情報に基づいてアドレス情報を付与して特定し、前記原画像データと前記低階調値画像を示す前記低階調値画像データとを対比させ、各交点について、当該交点の周辺領域に対応する前記粒状パターンの出力値が、当該交点に対応する前記粒状パターンの出力値より大きい出力値を有する場合には、当該交点を当該周辺領域の出力値が最も大きい箇所に前記アドレス情報を維持したまま再配置させてピーク点として夫々特定するピーク点特定手段、
前記低階調値画像を構成する各画素について、当該画素と各前記ピーク点の距離と、当該ピーク点に対応する前記原画像データの前記粒状パターンの出力値と、に基づいて前記各画素に対してアドレス情報を決定するアドレス情報決定手段及び、
決定された前記アドレス情報に基づいて、複数の粒状パターンにより像を示す画像データであってアドレス変換の対象となる変換対象画像データに対してアドレス変換を行なうためのアドレス変換テーブルを作成するアドレス変換テーブル作成手段として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載の画像処理プログラムにおいて、前記コンピュータを、
前記ピーク領域抽出手段によって抽出された各前記ピーク領域について、当該ピーク領域の周辺の画素に対して第2中間画素値を与えて、隣接領域を夫々抽出する隣接領域抽出手段として更に機能させ、
前記ピーク画素抽出手段を、前記隣接領域及び前記ピーク領域に含まれる画素を除く画素を次の前記ピーク画素として抽出するよう機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記コンピュータを、前記原画像データの各前記粒状パターンの出力値間の差を強調する微分フィルタ処理手段として更に機能させ、
前記ピーク画素抽出手段を、前記微分フィルタ処理後の前記原画像データの前記粒状パターンの出力値が大きいほうから順に前記ピーク画素を抽出するよう機能させ、
前記ピーク点特定手段を、前記微分フィルタ処理後の前記原画像データと前記低階調値画像データとを対比させ前記ピーク点を特定するよう機能させ、
前記アドレス情報決定手段を、前記ピーク点に対応する前記微分フィルタ処理後の前記原画像データの前記粒状パターンの出力値に基づいて、前記アドレス情報を決定するよう機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項17】
請求項14乃至16のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記アドレス情報決定手段を、当該画素と前記各ピーク点の距離と、当該ピーク点に対応する前記原画像データの前記粒状パターンの出力値と、を用いて、前記各ピーク点の所属優先度を画素毎に夫々算出する所属優先度算出手段として機能させ、かつ、前記低階調値画像を構成する各画素について、最も所属優先度が高い前記ピーク点が有する前記アドレス情報を、当該画素のアドレス情報として決定するよう機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項18】
請求項16に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記アドレス情報決定手段を、全てのピーク点の所属優先度が所定の閾値未満である画素について、当該画素と距離が最も近い前記ピーク点が有する前記アドレス情報を、当該画素のアドレス情報として決定するよう機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項19】
請求項14乃至16のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、前記コンピュータを、
隣接する4つの前記ピーク点からなるピーク点四角形の重心点を各々決定する重心点決定手段及び、
隣接する4つの前記重心点の間を直線で連結させてグリッドを構成し、前記直線で形成された重心点四角形を生成する重心点四角形生成手段として更に機能させ、
前記アドレス情報決定手段を、前記重心点四角形の所定方向の頂点に位置する前記画素が有する前記アドレス情報を、当該重心点四角形に含まれる前記画素の前記アドレス情報として夫々決定するよう機能させ、且つ、全ての前記重心点四角形にかかる前記所定方向は同一方向であることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項20】
請求項19に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記重心点決定手段を、前記低階調値画像の4隅を含む前記低階調値画像の境界線上に位置する仮想重心点であって、前記重心点四角形生成手段が、該仮想重心点と、前記低階調値画像の周辺部に位置する前記重心点と、の間を直線で連結して前記重心点四角形を生成する際、前記低階調値画像の周辺部に位置する前記各ピーク点を包含するように前記重心点四角形が生成される箇所を、前記仮想重心点として決定するよう機能させ、
前記重心点四角形生成手段を、隣接する4つの前記重心点及び前記仮想重心点との間を直線で連結させてグリッドを構成し、前記直線で形成された前記重心点四角形を生成するよう機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の画像処理プログラムにおいて、前記コンピュータを、
前記重心点及び前記仮想重心点を結ぶ前記各直線が互いに他の直線と交差しない範囲で、前記各重心点の位置を補正する重心点補正手段として更に機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項22】
請求項14乃至請求項21のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記ピーク点特定手段を、隣接する前記ピーク点を直線で連結させたグリッドを構成するよう機能させ、更に、各直線が互いに他の直線と交差しない範囲で、前記各ピーク点の位置を補正するピーク点補正手段として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項23】
請求項14乃至請求項22のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記ピーク画素抽出手段を、前記原画像データの前記粒状パターンの出力値が大きいほうから順に、前記アドレス変換テーブル作成手段によって作成を所望するアドレス分割領域の数の画素に対して、最大画素値を与えて前記ピーク画素として抽出するよう機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項24】
請求項14乃至請求項23のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、前記コンピュータを、
複数の分割画像データによって1の前記原画像データが構成されている場合には、当該複数の分割画像データの前記粒状パターンの出力値を総和演算する総和演算手段として更に機能させ、
前記ピーク画素抽出手段、前記ピーク点特定手段、前記アドレス情報決定手段及び前記微分フィルタ処理手段は、総和演算後の出力値を前記原画像データの各前記粒状パターンの出力値とし、かつ、
前記コンピュータを、各前記分割画像データの前記各粒状パターンを、前記アドレス変換テーブルを用いてアドレス変換を行なうアドレス変換手段及び、
前記アドレス変換手段によって、各前記分割画像データの前記各粒状パターンをアドレス変換した後に、前記複数の分割画像データの前記粒状パターンの出力値に基づいて、夫々のアドレス分割領域毎に、前記複数の分割画像データうち有効データを決定する有効領域決定手段、
として更に機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項25】
請求項24に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記アドレス変換手段を、前記変換対象画像データの前記各粒状パターンを、前記アドレス変換テーブルを用いてアドレス変換を行なうよう機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項26】
請求項25に記載の画像処理プログラムにおいて、
複数の分割画像データによって1の前記変換対象画像データが構成されている場合には、前記アドレス変換手段を、前記1の変換対象画像データを構成する各前記分割画像データの前記各粒状パターンを、前記アドレス変換テーブルを用いてアドレス変換を行なうよう機能させ、かつ
前記コンピュータを、前記有効領域決定手段によって決定された前記有効データに対応する前記分割画像データの前記粒状パターンの出力値を、前記アドレス分割領域毎に総和演算して領域統合画像データを作成する領域統合画像データ作成手段として更に機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2012−37523(P2012−37523A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186356(P2011−186356)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【分割の表示】特願2006−51265(P2006−51265)の分割
【原出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【分割の表示】特願2006−51265(P2006−51265)の分割
【原出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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