説明

画像処理装置、画像処理制御方法及び画像処理制御プログラム

【課題】本発明は、電源が遮断される障害が発生した場合にも、該障害発生時点までに各種動作の動作完了回数を正確に確認する。
【解決手段】
画像形成装置1は、動作管理部2が、動作命令の要求する動作のうち所定のカウント対象動作毎に実行回数を予測して各カウント対象動作予測カウント値を算出して、それぞれ累積した累積カウント対象動作予測カウント値を予測カウント値記憶部3に記録するとともに、該動作命令を動作処理部4に渡し、動作処理部4が、該動作命令に対応した動作を実行して、カウント対象動作の完了毎に各カウント対象動作実カウント値をカウントして、各カウント対象動作実カウント値をそれぞれ累積した各累積カウント対象動作実カウント値を実カウント値記憶部5に記録して、動作管理部2が、該各累積カウント対象動作予測カウント値と該各累積カウント対象動作実カウント値を比較して障害発生を管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理制御方法及び画像処理制御プログラムに関し、詳細には、利用状態を把握するために各種動作の動作回数をカウントする画像処理装置、画像処理制御方法及び画像処理制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタ装置、複写装置、複合装置、コンピュータ等の画像処理装置においては、利用状態を管理するために、各種動作の動作回数のカウントを行っており、例えば、電子写真方式の複合装置においては、印刷ジョブ数、印刷枚数、印刷ページ数、定着枚数、用紙搬送枚数等を、印刷ジョブを実行している途中において、処理の完了した動作毎に、カウンタによってそれぞれカウントしている。
【0003】
画像処理装置のサービスマンは、カウンタのカウント値を調べることで、画像処理装置の利用状態や異常発生の確認等を行っている。
【0004】
そして、従来、不揮発性メモリに3個以上のカウンタを設け、カウンタの+1更新要求に応じて該複数のカウンタのうちの1つを順番にかつ循環的に選択してそのカウントデータを+1し、該複数のカウンタのカウント値を合算したカウント値を出力する技術が提案されている(特許文献1参照)。この従来技術は、複数のカウンタで動作状態を順番にカウントすることで、いずれかのカウンタが不正になった場合に、他のカウンタから正常な値を算出しようとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、複数のカウンタで動作状態を順番にカウントするのみであるため、カウント対象の動作が行われた直後であって、カウンタによるカウント処理が開始される前に装置の電源が遮断される障害が発生すると、カウント処理が実行されない状態で電源が遮断されて終了する。その結果、装置が再起動されてカウント値の確認を行っても、カウント対象の動作は完了しているが、カウンタのカウント結果は、カウント対象の動作が行われる前のカウント値となっており、カウンタのカウント値から電源が遮断される障害が発生したタイミングを正確に把握することができず、適切な対応を行う上で、改良の必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、電源が遮断される障害が発生した場合にも、該障害発生時点まで各種動作の動作完了回数を正確に確認できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像処理装置は、上記目的を達成するために、各種動作のうち所定のカウント対象動作毎に予測された動作回数の累積回数を累積カウント対象動作予測カウント値として記憶する予測カウント値記憶手段と、動作指示に基づいて該動作指示の要求する動作のうち前記カウント対象動作毎に該動作指示で実行される回数を予測して各カウント対象動作予測カウント値を算出して、前記予測カウント値記憶手段の前記累積カウント対象予測カウント値に、該各カウント対象動作予測カウント値を累積させて記憶させる予測カウント値算出手段と、前記動作指示に対応した動作を実行する動作実行手段と、前記動作実行手段による前記カウント対象動作の実行完了回数の累積回数を累積カウント対象動作実カウント値として記憶する実カウント値記憶手段と、前記動作実行手段による前記カウント対象動作の完了毎に該カウント対象動作の完了を示す各カウント対象動作実カウント値をカウントして、前記実カウント値記憶手段の前記累積カウント対象実カウント値に、該各カウント対象動作実カウント値を累積させて記憶させる実動作カウント手段と、前記予測カウント値記憶手段の前記各累積カウント対象動作予測カウント値と前記実カウント値記憶手段の前記各累積カウント対象動作実カウント値を比較して障害発生の管理を行う管理手段と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明の画像処理制御方法は、動作指示に基づいて該動作指示の要求する動作のうち所定のカウント対象動作毎に該動作指示で実行される回数を予測して各カウント対象動作予測カウント値を算出して、該カウント対象動作毎の予測動作回数の累積回数を累積カウント対象動作予測カウント値として記憶する予測カウント値記憶手段の該累積カウント対象予測カウント値に、該各カウント対象動作予測カウント値を累積させて記憶させる予測カウント値算出処理ステップと、前記動作指示に対応した動作を実行する動作実行処理ステップと、前記動作実行処理ステップでの前記カウント対象動作の完了毎に該カウント対象動作の完了を示す各カウント対象動作実カウント値をカウントして、該カウント対象動作の実行完了回数の累積回数を累積カウント対象動作実カウント値として記憶する実カウント値記憶手段の該累積カウント対象実カウント値に、各カウント対象動作実カウント値を累積させて記憶させる実動作カウント処理ステップと、前記予測カウント値記憶手段の前記各累積カウント対象動作予測カウント値と前記実カウント値記憶手段の前記各累積カウント対象動作実カウント値を比較して障害発生の管理を行う管理処理ステップと、を有していることを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明の画像処理制御プログラムは、コンピュータに、動作指示に基づいて該動作指示の要求する動作のうち所定のカウント対象動作毎に該動作指示で実行される回数を予測して各カウント対象動作予測カウント値を算出して、該カウント対象動作毎の予測動作回数の累積回数を累積カウント対象動作予測カウント値として記憶する予測カウント値記憶手段の該累積カウント対象予測カウント値に、該各カウント対象動作予測カウント値を累積させて記憶させる予測カウント値算出処理と、前記動作指示に対応した動作を実行する動作実行処理と、前記動作実行処理での前記カウント対象動作の完了毎に該カウント対象動作の完了を示す各カウント対象動作実カウント値をカウントして、該カウント対象動作の実行完了回数の累積回数を累積カウント対象動作実カウント値として記憶する実カウント値記憶手段の該累積カウント対象実カウント値に、各カウント対象動作実カウント値を累積させて記憶させる実動作カウント処理と、前記予測カウント値記憶手段の前記各累積カウント対象動作予測カウント値と前記実カウント値記憶手段の前記各累積カウント対象動作実カウント値を比較して障害発生の管理を行う管理処理と、を実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電源が遮断される障害が発生した場合にも、該障害発生時点まで各種動作の動作完了回数を正確に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例を適用した画像形成装置の要部ブロック構成図。
【図2】画像形成装置の動作状態カウント処理の説明図。
【図3】動作状態カウント処理を示すフローチャート。
【図4】異常解析処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0013】
図1〜図4は、本発明の画像処理装置、画像処理制御方法及び画像処理制御プログラムの一実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像処理装置、画像処理制御方法及び画像処理制御プログラムの一実施例を適用した画像形成装置1の要部ブロック構成図である。
【0014】
図1において、画像形成装置(画像処理装置)1は、プリンタ装置、複写装置、複合装置等の画像形成装置であるが、コンピュータ等の画像処理装置であってもよい。
【0015】
画像形成装置1は、動作管理部2、予測カウント値記憶部3、動作処理部4及び実カウント値記憶部5等を備えているとともに、図示しない操作表示部、通信部、ハードディスク等を備えている。なお、画像形成装置1は、複合装置、複写装置等であるときには、原稿の画像を読み取る画像読み取り部を備えており、また、ファクシミリ装置であるときには、ファクシミリ通信部を備えている。
【0016】
動作管理部(予測カウント値算出手段、管理手段、進行判別手段)2は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit )、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えており、ROM内のプログラムに基づいてRAMをワークメモリとして利用して画像形成装置1としての基本処理を実行するとともに、本発明の画像処理制御方法(画像形成制御方法)を実行する。
【0017】
すなわち、画像形成装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の画像処理制御方法である画像形成制御方法を実行する画像処理制御プログラムである画像形成制御プログラムを読み込んでROMやハードディスク等に導入することで、後述する各種動作状態をカウントするカウンタのカウント値を電源段を伴う異常発生時にも適切にカウントする画像形成制御方法(画像処理制御方法)を実行する画像形成装置(画像処理装置)として構築されている。この画像形成制御プログラム(画像処理制御プログラム)は、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0018】
動作管理部2は、ネットワークに接続されたコンピュータ等からの印刷ジョブ、操作表示部からの印刷要求操作、コピー要求操作、ハードディスク内の画像データの転送要求操作、ファクシミリ送信要求操作等の動作命令(動作指示)が入力され、入力された動作命令を解析して、該動作命令の動作を実行する際に、所定の各種カウント対象動作の動作回数をカウントする各種カウンタがカウントすることが予測される予測カウント値(カウント対象動作予測カウント値)を算出して、算出した予測カウント値を予測カウント値記憶部3に既に記憶されている各予測カウント値の累積値である累積予測カウント値(累積カウント対象動作予測カウント値)に累積させて記憶させる。また、動作管理部2は、動作命令を解析した解析結果に基づいて、動作処理部4に該動作命令の動作、例えば、所定ページ数の画像データに基づく片面画像形成動作、所定ページ数の画像データに基づく両面画像形成動作、所定枚数の原稿の複写動作、ハードディスク内の画像データの通信部を介したネットワーク上のコンピュータや他の画像形成装置への転送動作等の動作指示を出力する。
【0019】
動作処理部(動作実行手段、実動作カウント手段)4は、プリンタ部、スキャナ部、ファクシミリ通信部、転送部等であり、動作管理部2から渡される印刷要求に基づいて、プリンタ部では、例えば、用紙の片面または両面に画像を電子写真方式で形成して定着させた後に排紙トレイに排出する印刷処理、スキャナ部では、原稿台にセットされた原稿を1枚ずつ読み取って原稿排出トレイに排出するスキャナ処理、ファクシミリ通信部では、ハードディスク内の画像データやスキャナ部の読み取った画像データを指定の宛先へのファクシミリ送信及び相手先からのファクシミリ画像データを受信してプリンタ部で印刷出力させるファクシミリ受信等のファクシミリ通信処理、転送部では、ハードディスク内の画像データやスキャナ部の読み取った画像データを指定のコンピュータや画像処理装置等へ転送する転送処理を、それぞれ行う。動作処理部4は、動作管理部2から動作指示された動作を実行するとともに、該動作の実行において、各種カウント対象動作の動作完了毎にカウンタでカウントした実カウント値(カウント対象動作実カウント値)を、実カウント値記憶部5に既に記憶されている各実カウント値の累積値である累積実カウント値(累積カウント対象動作実カウント値)に累積させて記憶させる。すなわち、例えば、動作処理部4は、プリント動作を行う場合、印刷ページ数、印刷枚数、定着枚数等を実カウント値としてカウントし、スキャナ動作では、原稿台から読み取り部への搬送原稿枚数、読み取り枚数、読み取り部から原稿排出トレイへの排出枚数を実カウント値としてカウントする。
【0020】
予測カウント値記憶部3及び実カウント値記憶部5は、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、ハードディスク等の画像形成装置1の電源がOFF(オフ)の場合にも記憶内容を保持する不揮発性メモリが用いられている。
【0021】
予測カウント値記憶部(予測カウント値記憶手段)3は、動作管理部2によって各種予測カウント値がそれぞれ順次累積(加算)されて累積予測カウント値として書き込まれ、また、動作管理部2によって読み出される。
【0022】
予測カウント値記録部3は、予測カウント値の算出開始から累積予測カウント値としての記録(記憶)の完了までの処理進行状態を示す予測値記録完了フラグ(処理判別フラグ)が動作管理部2によって設定され、予測値記録完了フラグは、ON(オン)の場合、予測カウント値の算出及び記録中ではないことを、OFFの場合、予測カウント値の算出または記録中であることを示している。
【0023】
実カウント値記憶部(実カウント値記憶手段)5は、動作処理部4によって、上記実カウント値が累積実カウント値として書き込まれ、また、読み出される。
【0024】
そして、動作管理部2は、予測カウント値記憶部3の累積予測カウント値と実カウント値記憶部5の累積実カウント値のうち、対応するカウント値の比較を、電源断を伴う異常発生後の電源オン時に実行して、該異常発生のタイミング、例えば、両面印刷するプリント動作において、何ページ目の画像データを何枚目の表裏いずれに書き込みが完了した後で電源断を伴う異常が発生したか等のタイミングを検出する。
【0025】
すなわち、動作処理部4による動作が正常に終了し、実カウント値記憶部5に実カウント値を累積して累積実カウント値が記録された場合、予測カウント値記録部3の累積予測カウント値と実カウント値記憶部5の累積実カウント値は同じカウント値である。ところが、動作処理部4の動作途中に電源断を伴う異常が発生すると、該異常発生後においては、実カウント値記憶部5への実カウント値の累積記録が行われず、予測カウント値記録部3の累積予測カウント値と実カウント値記憶部5の累積実カウント値との間に差分が生じる。
【0026】
そこで、動作管理部2は、画像形成装置1の起動時に、予測カウント値記録部3の累積予測カウント値と実カウント値記憶部5の累積実カウント値を比較して、差分があるときには、前回の起動時に電源断を伴う異常が発生したと判断し、異常発生のログ記録(電源遮断ログ)を不揮発性メモリに記録する。
【0027】
なお、電源断を伴わない異常、例えば、印刷処理における紙詰まり等が発生した場合には、通常、リカバリ処理あるいは印刷処理のキャンセル処理が行われる。このような場合、動作管理部3は、リカバリ処理またはキャンセル処理を受け取った際に、再度、予測カウント値を算出して予測カウント値記録部3に対して、該当する累積予測カウント値の更新を行う。したがって、該動作が終了した時には、累積予測カウント値と累積実カウント値との差分が生じない。
【0028】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像形成装置1は、電源が遮断される障害が発生した場合にも、該障害発生時点まで各種動作の動作完了回数を正確に確認できるようにする。
【0029】
すなわち、いま、図2に示すように、予測カウント値記憶部3に既に記憶されている記憶済み予測カウント値である累積予測カウント値及び実カウント値記憶部5に既に記憶されている記憶済み実カウント値である累積実カウント値として、給紙回数(給紙トレイからの用紙の給紙回数)が1000回、定着回数(定着部での定着枚数)が1000回、排紙回数(定着の完了した用紙を排紙トレイへの排紙回数)が1000回であるときに、動作管理部2に動作命令として両面印刷20ページ(10シート:10枚)の印刷処理命令が入力されると、動作管理部2は、図2及び図3に示すように、該動作命令を解析して、予測カウント値の算出及び算出した予測カウント値の予測カウント値記憶部3の累積予測カウント値に累積して記憶を行う(ステップS101)。
【0030】
この場合、動作管理部2は、動作命令が、両面印刷20ページ(10シート:10枚)の印刷処理命令であるので、予測カウント値として、給紙回数を、10回、定着回数を、20回、排紙回数を、10回を算出し、該動作命令を受け取る前に予測カウント値記憶部3に記憶されている累積予測カウント値である給紙回数1000回に10回を、定着回数1000回に20回を、排紙回数1000回に10回を、それぞれ累積(加算)して、予測カウント値記憶部3に累積予測カウント値として記憶させる。
【0031】
また、動作管理部2は、この印刷処理命令に基づいた予測カウント値の算出を行う前に、予測値記録完了フラグをOFFに設定し、算出した予測カウント値を記憶済み予測カウント値である累積予測カウント値に加算して予測カウント値記憶部3への累積予測カウント値としての記録が完了すると、予測値記録完了フラグをONに設定する。この予測値記録完了フラグは、上述のように、OFFのとき、予測カウント値の算出または記録中であることを示しているので、動作管理部2は、予測値記録完了フラグがOFFの間に電源断の障害が発生した場合には、後述する異常解析処理における再起動時に確認する累積予測カウント値と累積実カウント値との差分を無効とする。
【0032】
そして、動作管理部2は、予測カウント値の算出と記録及び予測値記録完了フラグのON設定を完了すると、動作処理部4に、該動作命令に応じた動作指示を送る。
【0033】
動作処理部4は、動作管理部2から動作指示を受け取ると、該動作指示、例えば、印刷指示に基づいて、給紙処理、画像形成処理、定着処理及び排紙処理を行い(ステップS102)、給紙トレイから用紙を画像形成部への給紙が完了すると、給紙回数を+1するカウントを、画像形成部で片面に画像形成された用紙の定着部での定着処理が完了すると、定着回数を+1して、画像形成部で他面に画像形成された用紙の定着部での定着処理が完了すると、さらに、定着回数を+1するカウントを、定着処理が完了した用紙の排紙トレイへの排紙が完了すると、排紙回数を+1するカウントを、それぞれ行う実カウント値のカウント処理を行って、カウントした実カウント値を、実カウント値記憶部5の累積実カウント値に加算して記録する実カウント値記録処理を行う(ステップS103)。すなわち、動作処理部4は、カウント対象の動作を完了する毎に、実カウント値記憶部5の累積実カウント値にカウントした実カウント値を累積して記録する。
【0034】
動作管理部2は、それぞれの実カウント値のカウントと実カウント値記憶部5への累積カウント値の記録を行うと、全ての動作命令の動作処理が終了したかチェックし(ステップS104)、終了していないとき(ステップS104で、NOのとき)には、ステップS102に戻って、上記同様に、次の動作処理を行って(ステップS102)、実カウント値のカウント処理とカウントした実カウント値を、実カウント値記憶部5の累積実カウント値に累積(加算)して記録する実カウント値記録処理を行う(ステップS103)。
【0035】
ステップS104で、全ての動作命令の動作処理が終了していないときには、動作管理部2は、ステップS102に戻って、上記同様に動作処理と実カウント値の記録を行うという処理を繰り返し行って(ステップS102〜S104)、ステップS104で、全ての動作命令の動作処理が終了していると、動作状態カウント処理を終了する。
【0036】
そして、例えば、動作処理部4における動作処理において、12ページ目(6枚目の裏面)の定着処理中に電源断となる異常が発生したとすると、動作処理部4は、図2に示すように、給紙処理回数として、6回(なお、画像形成装置1の用紙搬送構造によっては7回〜8回)、定着処理回数として、11回、排紙処理回数として、5回をカウントして、実カウント値記憶部5のそれぞれの累積実カウント値に加算して記録した状態で電源が遮断されることとなる。すなわち、動作処理開始から動作完了までの間に電源断の障害が発生すると、累積予測カウント値と累積実カウント値との間に差分が生じる。
【0037】
その後、画像形成装置1の電源がONされると、図4に示す異常解析処理を行う。すなわち、画像形成装置1の電源がONされると、動作管理部2は、予測カウント値記録部3の累積予測カウント値と実カウント値記憶部5の累積実カウント値を比較して両カウント値に差分があるかチェックし(ステップS201)、両カウント値に差分が無いとき(ステップS201で、NOのとき)には、電源断による動作処理に異常が発生していないと判断して、異常解析処理を終了する。
【0038】
ステップS201で、両カウント値に差分があるとき(ステップS201で、YESのとき)には、動作管理部2は、電源断による度差処理に異常が発生したと判断して、電源断を伴う異常が発生したことを示す電源断障害ログを不揮発性メモリに記録する電源断障害記録処理を行い(ステップS202)、累積実カウント値との差分が生じた累積予測カウント値を更新するために、累積予測カウント値から差分の値を減算する累積カウント予測値更新処理を行う(ステップS203)。
【0039】
次に、動作管理部2は、予測値記録完了フラグがONであるかチェックし(ステップS204)、ONの場合(ステップS204で、YESの場合)には、予測カウント値の記録が完了しているので、何もすることなく、そのまま異常解析処理を終了する。この場合、累積予測カウント値と累積実カウント値との間に生じた差分は、印刷再開位置を特定するために使用することができる。
【0040】
例えば、動作管理部2は、図2の例の場合、排紙回数の差分(排紙回数の予測カウント値と実カウント値の差分)が「5」であるので、印刷再開位置を、6枚目からと判断することができる。
【0041】
ステップS204で、予測値記録完了フラグがOFFの場合(ステップS204で、NOの場合)には、動作管理部2は、予測カウント値の算出または記録中であって、実際に動作処理部4で動作処理を開始する前であるため、カウント値の差分を無効とし、累積予測カウント値と累積実カウント値との間に生じた差分を、印刷再開位置を特定するために使用しない。ただし、動作管理部2は、印刷再開位置の特定自体を、上述のように、最初から行うものと特定し、予測カウント値の算出から処理を再開する。
【0042】
このように、本実施例の画像形成装置1は、動作管理部2が、(動作命令)動作指示に基づいて該動作命令の要求する動作のうち所定のカウント対象動作毎に該動作命令で実行される回数を予測して各予測カウント値(カウント対象動作予測カウント値)を算出して、該各予測カウント値をそれぞれ累積した累積予測カウント値(累積カウント対象動作予測カウント値)として、予測カウント値記憶部(予測カウント値記憶手段)3に記憶させ、動作管理部2が該動作命令を動作処理部4に渡して、動作処理部4が、該動作命令に対応した動作を実行するとともに、該カウント対象動作の完了毎に該カウント対象動作の完了を示す各実カウント値(カウント対象動作実カウント値)をカウントして、カウントした該各実カウント値を実カウント値記憶部(実カウント値記憶手段)5の各累積実カウント値(累積カウント対象動作実カウント値)にそれぞれ累積した累積実カウント値として実カウント値記憶部5に記憶して、動作管理部2が、該予測カウント値記憶部3の該各累積予測カウント値と該実カウント値記憶部5の該各累積実カウント値を比較して障害発生の管理を行っている。
【0043】
したがって、動作処理前に予測したカウント対象動作に対する累積予測カウント値と実際に動作処理した動作に対する累積実カウント値をそれぞれカウントして記憶しているので、電源が遮断される障害が発生した場合にも、該障害発生時点まで各種動作の動作完了回数を正確に確認することができる。
【0044】
また、本実施例の画像形成装置1は、動作指示に基づいて該動作指示の要求する動作のうち所定のカウント対象動作毎に該動作指示で実行される回数を予測して各予測カウント値を算出して、該カウント対象動作毎の予測動作回数の累積回数を累積予測カウント値として記憶する予測カウント値記憶部3の該累積予測カウント値に、該各予測カウント値を累積させて記憶させる予測カウント値算出処理ステップと、該動作指示に対応した動作を実行する動作実行処理ステップと、該動作実行処理ステップでのカウント対象動作の完了毎に該カウント対象動作の完了を示す各実カウント値をカウントして、該カウント対象動作の実行完了回数の累積回数を累積実カウント値として記憶する実カウント値記憶部5の該累積実カウント値に、各実カウント値を累積させて記憶させる実動作カウント処理ステップと、該予測カウント値記憶部3の該各累積予測カウント値と該実カウント値記憶部5の該各累積実カウント値を比較して障害発生の管理を行う管理処理ステップと、を有する画像処理制御方法を実行する。
【0045】
したがって、動作処理前に予測したカウント対象動作に対する累積予測カウント値と実際に動作処理した動作に対する累積実カウント値をそれぞれカウントして記憶しているので、電源が遮断される障害が発生した場合にも、該障害発生時点まで各種動作の動作完了回数を正確に確認することができる。
【0046】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、コンピュータに、動作指示に基づいて該動作指示の要求する動作のうち所定のカウント対象動作毎に該動作指示で実行される回数を予測して各予測カウント値を算出して、該カウント対象動作毎の予測動作回数の累積回数を累積予測カウント値として記憶する予測カウント値記憶部3の該累積予測カウント値に、該各予測カウント値を累積させて記憶させる予測カウント値算出処理と、該動作指示に対応した動作を実行する動作実行処理と、該動作実行処理でのカウント対象動作の完了毎に該カウント対象動作の完了を示す各実カウント値をカウントして、該カウント対象動作の実行完了回数の累積回数を累積実カウント値として記憶する実カウント値記憶部5の該累積実カウント値に、各実カウント値を累積させて記憶させる実動作カウント処理と、該予測カウント値記憶部3の該各累積予測カウント値と該実カウント値記憶部5の該各累積実カウント値を比較して障害発生の管理を行う管理処理と、を実行させる画像処理制御プログラムを搭載している。
【0047】
したがって、動作処理前に予測したカウント対象動作に対する累積予測カウント値と実際に動作処理した動作に対する累積実カウント値をそれぞれカウントして記憶しているので、電源が遮断される障害が発生した場合にも、該障害発生時点まで各種動作の動作完了回数を正確に確認することができる。
【0048】
また、本実施例の画像形成装置1は、動作処理部4が、前記動作命令に対応したページ数の画像を被記録媒体に形成し、動作管理部2が、少なくとも該動作命令から画像形成のために送給される用紙(被記録媒体)の送給枚数、画像形成されるページ数、画像形成されて排出される用紙の排出枚数を予測カウント値として算出する。また、動作処理部4が、画像形成における少なくとも画像形成のために送給された用紙の送給枚数、画像形成したページ数、画像形成が完了して排出した用紙の排出枚数を実カウント値としてカウントしている。
【0049】
したがって、動作命令が画像形成動作命令であるときにも、該画像形成動作の処理中に、電源が遮断される障害が発生した場合にも、該障害発生時点まで各種動作の動作完了回数を正確に確認することができる。
【0050】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、動作管理部2が、前記各累積予測カウント値と前記各累積実カウント値の比較結果に基づいて、障害発生位置を特定している。
【0051】
したがって、電源断を伴う異常発生によって実行することのできなかった動作を、実行済みの動作の続きから実行することができ、利用性を向上させることができる。
【0052】
また、本実施例の画像形成装置1は、動作管理部2が動作命令に基づいて予測カウント値の算出を開始してから算出した該予測カウント値を累積予測カウント値として予測カウント値記憶部3に記憶するまでの処理進行状態を示す予測値記録完了フラグ(処理判別フラグ)を動作管理部(進行判別手段)2が設定し、累積予測カウント値と累積実カウント値が相違しており、かつ、該予測値記録完了フラグが処理進行状態の完了を示していると、障害が発生していると判断する。
【0053】
したがって、累積予測カウント値と累積実カウント値が相違している場合に、正確であるか否かを予測値記録完了フラグに基づいて判定することができ、各種動作の動作回数のカウントを該障害発生時点までより一層正確に行って、障害発生時点をより一層正確に確認することができる。
【0054】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0055】
1 画像形成装置
2 動作管理部
3 予測カウント値記憶部
4 動作処理部
5 実カウント値記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開平4−320108号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種動作のうち所定のカウント対象動作毎に予測された動作回数の累積回数を累積カウント対象動作予測カウント値として記憶する予測カウント値記憶手段と、
動作指示に基づいて該動作指示の要求する動作のうち前記カウント対象動作毎に該動作指示で実行される回数を予測して各カウント対象動作予測カウント値を算出して、前記予測カウント値記憶手段の前記累積カウント対象予測カウント値に、該各カウント対象動作予測カウント値を累積させて記憶させる予測カウント値算出手段と、
前記動作指示に対応した動作を実行する動作実行手段と、
前記動作実行手段による前記カウント対象動作の実行完了回数の累積回数を累積カウント対象動作実カウント値として記憶する実カウント値記憶手段と、
前記動作実行手段による前記カウント対象動作の完了毎に該カウント対象動作の完了を示す各カウント対象動作実カウント値をカウントして、前記実カウント値記憶手段の前記累積カウント対象実カウント値に、該各カウント対象動作実カウント値を累積させて記憶させる実動作カウント手段と、
前記予測カウント値記憶手段の前記各累積カウント対象動作予測カウント値と前記実カウント値記憶手段の前記各累積カウント対象動作実カウント値を比較して障害発生の管理を行う管理手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記動作実行手段は、
前記動作指示に対応したページ数の画像を被記録媒体に形成し、
前記予測カウント値算出手段は、
少なくとも前記動作指示から画像形成のために送給される被記録媒体の送給枚数、画像形成されるページ数、画像形成されて排出される被記録媒体の排出枚数を前記カウント対象動作予測カウント値として算出し、
前記実動作カウント手段は、
前記動作実行手段による画像形成における少なくとも画像形成のために送給された被記録媒体の送給枚数、画像形成されたページ数、画像形成が完了して排出された被記録媒体の排出枚数を前記カウント対象動作実カウント値としてカウントすることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記管理手段は、
前記各カウント対象累積予測カウント値と前記各カウント対象累積実カウント値の比較結果に基づいて、障害発生位置を特定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、
前記予測カウント値算出手段が前記動作指示に基づいて前記カウント対象動作予測カウント値の算出を開始してから算出した該カウント対象動作予測カウント値を前記累積カウント対象動作予測カウント値として前記予測カウント値記憶手段に記憶するまでの処理進行状態を示す処理判別フラグを設定する進行判別手段を備え、
前記管理手段は、
前記累積カウント対象動作予測カウント値と前記累積カウント対象動作実カウント値が相違しており、かつ、前記処理判別フラグが前記処理進行状態が完了したことを示していると、障害が発生していると判断することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
動作指示に基づいて該動作指示の要求する動作のうち所定のカウント対象動作毎に該動作指示で実行される回数を予測して各カウント対象動作予測カウント値を算出して、該カウント対象動作毎の予測動作回数の累積回数を累積カウント対象動作予測カウント値として記憶する予測カウント値記憶手段の該累積カウント対象予測カウント値に、該各カウント対象動作予測カウント値を累積させて記憶させる予測カウント値算出処理ステップと、
前記動作指示に対応した動作を実行する動作実行処理ステップと、
前記動作実行処理ステップでの前記カウント対象動作の完了毎に該カウント対象動作の完了を示す各カウント対象動作実カウント値をカウントして、該カウント対象動作の実行完了回数の累積回数を累積カウント対象動作実カウント値として記憶する実カウント値記憶手段の該累積カウント対象実カウント値に、各カウント対象動作実カウント値を累積させて記憶させる実動作カウント処理ステップと、
前記予測カウント値記憶手段の前記各累積カウント対象動作予測カウント値と前記実カウント値記憶手段の前記各累積カウント対象動作実カウント値を比較して障害発生の管理を行う管理処理ステップと、
を有していることを特徴とする画像処理制御方法。
【請求項6】
コンピュータに、
動作指示に基づいて該動作指示の要求する動作のうち所定のカウント対象動作毎に該動作指示で実行される回数を予測して各カウント対象動作予測カウント値を算出して、該カウント対象動作毎の予測動作回数の累積回数を累積カウント対象動作予測カウント値として記憶する予測カウント値記憶手段の該累積カウント対象予測カウント値に、該各カウント対象動作予測カウント値を累積させて記憶させる予測カウント値算出処理と、
前記動作指示に対応した動作を実行する動作実行処理と、
前記動作実行処理での前記カウント対象動作の完了毎に該カウント対象動作の完了を示す各カウント対象動作実カウント値をカウントして、該カウント対象動作の実行完了回数の累積回数を累積カウント対象動作実カウント値として記憶する実カウント値記憶手段の該累積カウント対象実カウント値に、各カウント対象動作実カウント値を累積させて記憶させる実動作カウント処理と、
前記予測カウント値記憶手段の前記各累積カウント対象動作予測カウント値と前記実カウント値記憶手段の前記各累積カウント対象動作実カウント値を比較して障害発生の管理を行う管理処理と、
を実行させることを特徴とする画像処理制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−42419(P2013−42419A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178917(P2011−178917)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】