画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラム
【課題】受信されるプリントデータのファイル形式を問うこと無くしかも作業の煩雑化を防止しつつ、画像データに対して施される印刷のための画像処理にかかる時間を短縮化する。
【解決手段】プリンタコントローラ2Aは、画像データをページ内で分割し、分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別し(S102)、共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての共通領域、および固有領域に対して、印刷のための画像処理としてのRIPを施し(S103)、RIPが施された共通領域および固有領域を合成して、合成された画像データをプリンタ4Aに出力する(S104)。
【解決手段】プリンタコントローラ2Aは、画像データをページ内で分割し、分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別し(S102)、共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての共通領域、および固有領域に対して、印刷のための画像処理としてのRIPを施し(S103)、RIPが施された共通領域および固有領域を合成して、合成された画像データをプリンタ4Aに出力する(S104)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムに関する。本発明は、特に、複数ページで共通して使用される共通領域を有する画像データに対して、印刷のための画像処理を施すための、画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばダイレクトメール、ラベル、帳票などの大量印刷において、絵や写真などが豊富に使われている場合には、印刷に使用されるビットマップ形式の画像データ(以下、ラスタ画像ともいう)を形成するのに非常に時間がかかる。
【0003】
この問題の解決策の一つとして、例えばバリアブルデータプリント方式が存在する。ここで、バリアブルデータプリント方式とは、1枚1枚の出力内容を必要に応じて部分的に差し替えることが可能なプリント方式をいう。このバリアブルデータプリント方式では、プリントデータは、複数回にわたって使用される再利用可能オブジェクトと非再利用オブジェクトとを最小構成単位として含む。また、各オブジェクトが再利用可能オブジェクトなのか非再利用オブジェクトなのかは、プリントデータにおけるレイアウト情報において明確に区別されている。さらに、レイアウト情報には、オブジェクト群をページ内でどのようにレイアウトするかが記述されている。そして、バリアブルデータプリント言語をサポートした印刷装置は、プリントデータにおける再利用可能オブジェクトにRIP(Raster Image Processing)を施して作成したラスタ画像を、メモリやハードディスク上にキャッシュし、このキャッシュしたラスタ画像を再利用することで、RIPに要する時間を削減し、性能を向上させている。
【0004】
また、ほぼ均一な速度でページイメージを出力するために、可変イメージと固定イメージとを合成してラスタ画像であるページイメージを生成してから、各ページイメージを可変ストリップ群および固定ストリップ群に分割して記憶し、その後印刷時に再合成して出力する印刷制御装置が提案されている(特許文献1参照)。ここで、印刷制御装置は、受信したプリントデータを解釈することにより、複数ページに共通の固定イメージと各ページごとに異なる可変イメージとを生成し、可変イメージと固定イメージとを合成して各ページイメージを生成する。その後、印刷制御装置は、各ページイメージを複数のストリップに分割して、可変イメージを含んだ可変ストリップ群とそれ以外の固定ストリップ群とに分離してメモリに記憶し、印刷時に可変ストリップ群および固定ストリップ群のデータを再合成してページイメージを形成し、当該ページイメージを印刷装置に出力する。
【特許文献1】特開2000−137587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術においては、プリントデータは、常に、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを明確に区別して含む形式のファイルでなければならない。したがって、かかるプリントデータを作成および解釈し得る専用のアプリケーションや印刷システムが必要になるといった問題がある。また、プリントデータを作成するユーザやプリントデータに基づいて印刷する業者にとって、例えば汎用のページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたプリントデータを利用する場合とは異なる業務フローが強いられる結果、作業が煩雑となってしまうといった問題もある。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、受信されるプリントデータのファイル形式を問うこと無くしかも作業の煩雑化を防止しつつ、画像データに対して施される印刷のための画像処理にかかる時間を短縮化することが可能な、画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)画像処理装置であって、画像データをページ内で分割し、分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別する画像解析部と、前記共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記共通領域、および前記固有領域に対して、印刷のための画像処理を施す画像処理部と、前記画像処理が施された前記共通領域および前記固有領域を合成する画像合成部と、合成された画像データを印刷部に出力する出力部と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【0009】
(2)前記画像データは、ページ内で格子状に分割されることを特徴とする上記(1)に記載の画像処理装置。
【0010】
(3)分割された領域同士は、各領域を数値化したデータに基づいて、各ページ間で比較されることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
【0011】
(4)前記画像解析部は、複数種類の共通領域を判別することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0012】
(5)前記画像解析部はさらに、前記共通領域以外の領域であって前記共通領域を有するページの数よりも少ない複数ページで使用される再利用可能領域を判別し、前記画像処理部はさらに、前記再利用可能領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記再利用可能領域に対して、印刷のための画像処理を施し、前記画像合成部は、前記画像処理が施された前記共通領域、前記再利用可能領域、および前記固有領域を合成することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0013】
(6)前記画像処理部はさらに、前記画像処理装置に入力されたプリントデータを、印刷に使用されるビットマップ形式の画像データよりも低い解像度のビットマップ形式の画像データに変換し、前記画像解析部は、前記低い解像度のビットマップ形式の画像データをページ内で分割し、分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別し、前記画像処理部は、前記プリントデータにおける前記共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記共通領域、および前記固有領域に対して、印刷に使用されるビットマップ形式の画像データに変換する画像処理を施すことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0014】
(7)前記画像処理は、カラーマッチング処理であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0015】
(8)前記画像処理は、ディザ処理であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0016】
(9)画像処理方法であって、画像データをページ内で分割し、分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別するステップと、前記共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記共通領域、および前記固有領域に対して、印刷のための画像処理を施すステップと、前記画像処理が施された前記共通領域および前記固有領域を合成するステップと、合成された画像データを印刷部に出力するステップと、を有することを特徴とする画像処理方法。
【0017】
(10)画像処理プログラムであって、画像データをページ内で分割し、分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別する手順と、前記共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記共通領域、および前記固有領域の各々に対して、印刷のための画像処理を施す手順と、前記画像処理が施された前記共通領域および前記固有領域を合成する手順と、合成された画像データを印刷部に出力する手順と、をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【0018】
(11)上記(10)に記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0019】
(12)画像処理装置であって、画像データをページ内で複数の領域に等分割し、等分割された領域同士を比較して、複数の領域に共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別する画像解析部と、前記複数の領域に共通する共通領域のうち一つの共通領域、および前記固有領域に対して、印刷のための画像処理を施す画像処理部と、前記画像処理が施された前記共通領域および前記固有領域を合成する画像合成部と、合成された画像データを印刷部に出力する出力部と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画像データがページ内で等分割され、等分割後の領域同士が比較されて共通領域と固有領域とが判別された後、全画像データのうちの必要な領域のみの画像データが印刷のための画像処理の対象とされる。したがって、受信されるプリントデータのファイル形式を問うこと無くしかも作業の煩雑化を防止しつつ、画像データに対して施される印刷のための画像処理にかかる時間を短縮化することが可能となり、印刷処理の作業性の向上を図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る印刷システムの全体構成図である。
【0023】
印刷システムは、クライアント端末1A,1B,1Cと、プリンタコントローラ2A,2Bと、プリンタ4A,4Bとを備えている。
【0024】
クライアント端末1A,1B,1Cとプリンタコントローラ2A,2Bとは、ネットワーク5を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク5は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によりコンピュータやネットワーク機器同士を接続したLAN、あるいはLAN同士を専用線で接続したWAN等からなる。プリンタコントローラ2A,2Bとプリンタ4A,4Bとはそれぞれ、例えばIEEE1394シリアルバス等の専用インタフェース用バスを介して接続されている。ただし、プリンタコントローラとプリンタとはネットワーク5を介して接続されていてもよい。なお、ネットワーク5に接続される機器の種類および台数は、図1に示す例に限定されない。
【0025】
次に、上記各機器の構成について説明するが、各機器で同様の機能を有する部分については、説明の重複を避けるため初回のみその説明を行い、2回目以降はその説明を省略する。
【0026】
図2は、クライアント端末1A,1B,1Cの概略構成を示すブロック図である。クライアント端末1A,1B,1Cは、例えば一般的なPC(パーソナルコンピュータ)である。クライアント端末1A,1B,1Cは相互に同様の構成であるため、以下、クライアント端末1Aを代表として用いて説明する。
【0027】
クライアント端末1Aは、CPU11、ROM12、RAM13、ハードディスク14、ディスプレイ15、入力装置16、およびネットワークインタフェース17を含み、これらは信号をやり取りするためのバス18を介して相互に接続されている。
【0028】
CPU11は、プログラムにしたがって、上記各部の制御や各種の演算処理を行う。ROM12は、各種プログラムや各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムおよびデータを記憶する。ハードディスク14は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや、各種データを格納する。
【0029】
ハードディスク14には、文書ファイルを作成するためのアプリケーションと、文書ファイルをプリンタコントローラが解釈可能なPDLで記述されたプリントデータ(PDLデータ)に変換するためのプリンタドライバとがインストールされている。PDLとしては、例えば、PDF(Portable Document Format)や、PS(PostScript(登録商標))が挙げられる。
【0030】
ディスプレイ15は、例えばLCD、CRT等であり、各種の情報を表示する。入力装置16は、例えばマウス等のポインティングデバイスやキーボードを含み、各種情報の入力を行うために使用される。ネットワークインタフェース17は、例えばLANカードであり、ネットワーク5を介して外部機器と通信するために使用される。
【0031】
クライアント端末1Aは、印刷ジョブとしてのプリントデータを作成してプリンタコントローラに送信する。また、クライアント端末1Aは、プリンタコントローラ2A,2Bにおける処理状況の監視、およびプリンタコントローラ2A,2Bで作成されたページラスタ画像の表示を行うことが可能である。
【0032】
図3は、プリンタコントローラ2A,2Bの概略構成を示すブロック図である。プリンタコントローラ2A,2Bは相互に同様の構成であるため、以下、プリンタコントローラ2Aを代表として用いて説明する。
【0033】
プリンタコントローラ2Aは、CPU21、ROM22、RAM23、ハードディスク24、ラスタ画像生成部25、ラスタ画像解析部26、画像合成部27、ネットワークインタフェース28、およびプリンタインタフェース29を含み、これらは信号をやり取りするためのバス30を介して相互に接続されている。
【0034】
ラスタ画像生成部25は、クライアント端末1Aから印刷ジョブとして受信したプリントデータに対してRIPを施すことにより、ビットマップ形式の画像データであるラスタ画像を生成する。
【0035】
生成されるラスタ画像には、ラスタ画像解析部26で用いられる低解像度のRGB画像と、印刷に使用される高解像度のCMYKラスタ画像とがある。低解像度のRGBラスタ画像は、外部記憶装置としてのハードディスク24に記憶される。また、高解像度のCMYKラスタ画像には、複数ページで共通して使用されるフォーム画像と、1度しか使用されない固有画像とがある。フォーム画像および固有画像は、主記憶装置としてのRAM23に記憶される。
【0036】
ラスタ画像解析部26は、ラスタ画像生成部25で生成された低解像度のRGBラスタ画像を解析する。そして、ラスタ画像解析部26は、解析結果をページ情報として出力する。ページ情報はRAM23に記憶される。
【0037】
画像合成部27は、ページ情報に基づき、フォーム画像と固有画像とを合成し、1ページ分のラスタ画像であるページラスタ画像を作成する。
【0038】
プリンタインタフェース29は、プリンタ4Aと通信を行うためのインタフェースである。
【0039】
本実施形態では、ラスタ画像生成部25、ラスタ画像解析部26、および画像合成部27は、ハードウェアとして構成されているが、例えばROM22等の記憶部に各部に対応するプログラムが格納され、当該プログラムをCPU21が実行することにより各部の機能が発揮されるように構成されてもよい。
【0040】
図4は、プリンタ4Aの概略構成を示すブロック図である。プリンタ4A,4Bは相互に同様の構成であるため、以下、プリンタ4Aを代表として用いて説明する。
【0041】
プリンタ4Aは、CPU41、ROM42、RAM43、操作パネル部44、印刷部45、およびプリンタコントローラインタフェース46を含み、これらは信号をやり取りするためのバス47を介して相互に接続されている。
【0042】
操作パネル部44は、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。印刷部45は、帯電、露光、現像、転写および定着の各工程を含む電子写真式プロセスなどの作像プロセスを用いて、画像を用紙などの記録媒体上に印刷する。プリンタコントローラインタフェース46は、プリンタコントローラ2Aと通信を行うためのインタフェースである。
【0043】
クライアント端末1A,1B,1C、プリンタコントローラ2A,2B、およびプリンタ4A,4Bは、上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上述した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0044】
次に、図5を参照して、プリンタコントローラ2Aにおける処理について説明する。なお、図5のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、プリンタコントローラ2Aのハードディスク24などの記憶部にプログラムとして記憶されており、CPU21により実行される(図6、図17、図18、図20、図21のフローチャートにより示されるアルゴリズムも同様である)。
【0045】
予め、ユーザは、クライアント端末1Aにインストールされているプリンタドライバを用いて印刷ジョブとしてのプリントデータを作成する。作成されたプリントデータは、ネットワーク5を介して、プリンタコントローラ2Aに送信される。
【0046】
まず、プリンタコントローラ2Aは、クライアント端末1Aからプリントデータを受信し、受信したプリントデータをハードディスク24に保存する(S101)。
【0047】
続いて、ラスタ画像解析処理が行われる(S102)。ラスタ画像解析処理では、プリントデータに含まれる画像データがページ内で等分割され、等分割された領域同士が各ページ間で比較されて、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とが判別される。ここでの画像データは、印刷に使用されるビットマップ形式の画像データよりも低い解像度のビットマップ形式の画像データに変換されたものが使用される。なお、ラスタ画像解析処理の詳細については後述する。
【0048】
続いて、ラスタ画像生成処理が行われる(S103)。ラスタ画像生成処理では、共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての共通領域、および固有領域に対して、印刷に使用される解像度のビットマップ形式の画像データに変換する画像処理であるRIPが施され、それぞれフォーム画像および固有画像が生成される。なお、ラスタ画像生成処理の詳細については後述する。
【0049】
そして、画像合成および印刷処理が行われる(S104)。画像合成および印刷処理では、RIPが施された共通領域および固有領域が合成され、合成された画像データであるページラスタ画像がプリンタ4Aに出力される。そして、プリンタ4Aは、受信したページラスタ画像を用紙等の記録媒体に印刷する。なお、画像合成および印刷処理の詳細については後述する。
【0050】
次に、図6を参照して、ラスタ画像解析処理について説明する。
【0051】
まず、ハードディスク24に保存されているプリントデータから1ページ分の情報がRAM23に読み込まれる(S201)。図7は、プリントデータを示す図である。
【0052】
続いて、読み込んだ情報が解析されて、低解像度のRGBラスタ画像が生成される(S202)。図8は、生成された低解像度のRGBラスタ画像の一例を示す図である。ここで、生成時間および解析時間を極力短くするために、低解像度でかつRGBのラスタ画像が生成される。
【0053】
生成されたRGBラスタ画像は、図10に示すように、M(行)×N(列)領域に等分割される(S203)。図10では、RGBラスタ画像は、6行4列に分割されている。なお、RGBラスタ画像は、ページ内で格子状に等分割されることが効率的な処理の観点から好ましい。特に、複数ページに亘り大部分の画像が共通し、一部の画像のみが異なるようなデータの場合に効率的な処理が期待できる。尚、分割数M×Nは任意であり予め設定される。
【0054】
その後、等分割された各領域が数値化される(S204)。すなわち、各領域におけるRGB色成分のピクセル値を入力として、例えばハッシュ関数を用いることにより、各領域のハッシュ値が算出される。図11は、1ページ分のRGBラスタ画像における各領域のハッシュ値の一例を示す。ハッシュ関数として、例えばMD5(Message Digest 5)やSHA(Secure Hash Algorithm)等が用いられる。なお、ピクセル値は、一般に、R(赤)=0〜255、G(緑)=0〜255、B(青)=0〜255の範囲をとる。
【0055】
以上の処理(S201〜S204)が、全ページの処理が終了するまで繰り返される(S205:NO)。図9は、最終ページの低解像度のRGBラスタ画像の一例を示す。
【0056】
図12は、全ページ分のRGBラスタ画像の各領域のハッシュ値のリストを示す。なお、処理対象のページが大量にある場合は、一定数量(例えば100ページ)ずつ処理されることが好ましい。
【0057】
そして、全ページの処理が終了すると(S205:YES)、図12のリストを用いて、ページ毎の類似度を判定して、各ページがグループ化される(S206)。グループ化は、例えば以下のような手順で行われる。
(1)未分類中の最小ページが基準ページに決定される(図13参照)。
(2)基準ページおよび他ページの値(ハッシュ値)が領域毎に比較され、一致(○)および不一致(×)の符号が記録される(図13参照)。
(3)ページ毎に一致率が算出される(図13参照)。なお、ページ毎の一致率は、あるページにおいて基準ページの領域と値が一致する領域の全領域に対する割合を示す。
(4)ページ毎の一致率が閾値(例えば70%)を越えるページは、基準ページと同一のグループと決定される(図14参照)。なお、図14では、全ページが1つのグループに属することが示されている。
【0058】
続いて、グループ毎に共通領域と固有領域とが抽出される(S207)。具体的には、まず、領域(行1列1、行2列1……行6列4)毎に一致率が算出される(図14参照)。なお、領域毎の一致率は、ある領域において基準ページの領域と値が一致する領域を含むページの全ページに対する割合を示す。そして、領域毎の一致率が100%の領域が共通領域、それ以外の領域が固有領域と判別される(図15参照)。
【0059】
このように等分割された領域同士は、各領域を数値化したデータに基づいて、各ページ間で比較される。これにより、高速かつ正確な領域同士の比較が可能となる。
【0060】
続いて、ページ情報のリストが作成される(S208)。
【0061】
図16は、ページ情報の一例を示す。ページ情報は、基準ページ番号を示すフォーム番号と、個々にラスタライズが必要な固有領域の情報(ページ内位置)とが、ページ番号と関連付けられて記録される。固有領域の情報は、(行番号L1,列番号L2)で与えられる。図16中の「インデックス」はシーケンス番号を付与したものである。このインデックスは、後述するように、合成時に使用されるラスタ画像を特定するために用いられる。
【0062】
次に、図17および図18を参照して、ラスタ画像生成処理について説明する。
【0063】
図17および図18に示すラスタ画像生成処理は、印刷に使用される高解像度のCMYK画像を生成するための処理である。ラスタ画像を高速に生成する有効な方法として、本実施形態では、全ページのうちの必要な(矩形)領域のみが画像生成の対象とされる。ここで、例えば、開始点(X,Y)、幅(W)、高さ(H)、およびページ番号によって特定された領域のみのラスタ画像を生成するように、ラスタライザを改造することにより、必要な領域のみのRIPが実現され得る。しかし、それでは汎用的なラスタライザを用いることが出来ない。このため、本実施形態では、トリミング用の制御コードを利用することにより、必要な領域のみにRIPを施す方法を採用している。
【0064】
まず、ステップS203で使用されたページの縦横の分割数M×Nが取得される(S301)。続いて、プリントデータを解釈することにより、ページの幅(W)および高さ(H)が取得される(S302)。
【0065】
続いて、ページ情報(図16参照)が1行読み込まれる(S303)。ここで、ページ番号、フォーム番号、固有領域の情報、およびインデックス(番号)が取得される。
【0066】
そして、取得したページ番号と一致するページのプリントデータ(図7参照)が読み込まれる(S304)。
【0067】
続いて、取得したページ番号とフォーム番号とが比較される(S305)。
【0068】
ページ番号とフォーム番号とが一致していると判断された場合(S306:YES)、このページはフォーム画像として共通して利用されるページであるため、このページのプリントデータが新プリントデータの構成要素として保存される(S207、図19の1レコード目)。新プリントデータはハードディスク24に保存される。
【0069】
ステップS308では、読み込まれたページ情報に固有領域の情報が有るか否かが判断される。
【0070】
例えばページ情報の1レコード目のように、固有領域の情報が無いと判断された場合(S308:NO)、ステップS311に進む。
【0071】
ステップS311では、ページ情報の次の1行、例えば2レコード目が読み込まれる。ここで、ページ番号、フォーム番号、固有領域の情報、およびインデックス(番号)が取得される。
【0072】
ステップS312では、ステップS311で読み込まれた1行がページ情報の終端であるか否かが判断される。ページ情報の終端に達した場合には(S312:YES)、ステップS313に進む。
【0073】
例えばステップS311でページ情報の2レコード目が読み込まれた場合のように、ページ情報の終端に達していない場合(S312:NO)、ステップS304に戻る。
【0074】
そして、ページ情報の次の1行が読み込まれた場合にも、読み込まれた内容に応じて、前述したステップS304〜S306の処理が実行される。
【0075】
例えばページ情報の2レコード目のように、ステップS306においてページ番号とフォーム番号とが一致していないと判断された場合(S306:NO)、ステップS207を経由せずに、ステップS308に進む。
【0076】
また、例えばページ情報の2レコード目のように、ステップS308において固有領域の情報が有ると判断された場合(S308:YES)、ステップS309に進む。
【0077】
ステップS309では、トリミング値が算出される。トリミング値は特定のページ内における固有領域に相当するラスタ画像を生成するために用いられる。具体的には、固有領域の情報(L1,L2)と、ステップS301で取得された分割数M×Nと、ステップS302で取得されたページの幅(W)および高さ(H)とから、ラスタ画像を生成するエリア(トリミング領域)が、以下の式を用いて算出される。
【0078】
エリア幅=W/N
エリア高さ=H/M
開始点X=(L1−1)*エリア幅
開始点Y=(L2−1)*エリア高さ
ここで、開始点X,開始点Yは、エリアの例えば左上頂点の座標に相当する。
【0079】
続いて、上記算出結果と、該当するページ(例えば2ページ目)のプリントデータ(S304、例えば図7の2レコード目)とが組となって新プリントデータに追加される(S310、例えば図19の2レコード目)。例えば、プリントデータがPDFファイルの場合、トリミング用の制御コードは“/CropBox[開始点X 開始点Y エリア幅 エリア高さ]”である。
【0080】
例えば図16のページ情報における2ページ目については、固有領域の情報が計3つあるので(図16の2レコード目から4レコード目まで)、残り2つの固有領域についての処理も同様に行われる。図19は、全ページ分のプリントデータについての処理が完了したときの新プリントデータを示している。図19に示すように、新プリントデータでは、図16のページ情報におけるインデックスに一致した新しいページ番号が付与される。
【0081】
そして、ステップS313では、作成された新プリントデータに対してRIPが施される。ここで、RIPは、汎用ラスタライザで実行され得る。これにより、必要なエリアのみのラスタ画像が短時間で生成される。すなわち、複数ページで共通して使用される共通領域に対応するフォーム画像と、固有領域に対応する1度しか使用されない固有画像とが生成され、それぞれ新プリントデータのページ番号と関係付けられてRAM23に保存される。フォーム画像および固有画像は、印刷に使用される解像度のCMYKラスタ画像として生成され、これにカラーマッチング処理、およびディザ処理が施されたものである。ここで、カラーマッチング処理とは色データを出入力する異なる装置の間で同一の色を再現するための処理をいい、ディザ処理とはある決められた階調でより豊富な階調を表現する中間調処理をいう。固有画像としては、例えばダイレクトメールの印刷の場合には顧客名、顧客住所等が挙げられる。
【0082】
次に、図20および図21を参照して、画像合成および印刷処理について説明する。
【0083】
まず、既に使用されてRAM23に記憶されている、ページの縦横の分割数M×Nと、ページの幅(W)および高さ(H)が取得される(S401、S402)。
【0084】
続いて、ページ情報(図16)が1行読み込まれる(S403)。ここで、ページ番号、フォーム番号、固有領域の情報、およびインデックス(番号)が取得される。
【0085】
続いて、取得されたフォーム番号に一致するページ番号のフォーム画像が、RAM23から取得される(S404)。
【0086】
ステップS405では、読み込まれたページ情報に固有領域の情報が有るか否かが判断される。
【0087】
例えばページ情報の1レコード目のように、固有領域の情報が無いと判断された場合(S405:NO)、ステップS408に進む。
【0088】
ステップS408では、ページ情報の次の1行、例えば2レコード目が読み込まれる。ここで、ページ番号、フォーム番号、固有領域の情報、およびインデックス(番号)が取得される。
【0089】
ステップS409では、ステップS408で読み込まれた1行におけるページ番号が、直前に読み込まれた1行におけるページ番号と比較して変化したか否かが判断される。
【0090】
例えばステップS408でページ情報の2レコード目が読み込まれた場合のように、ページ番号が変化したと判断された場合(S409:YES)、ステップS410に進む。
【0091】
ステップS410では、ページラスタ画像が、プリンタ4Aに出力される。ページラスタ画像は、フォーム画像に、必要に応じて固有画像が合成されて(後述のS405〜S407参照)、生成される。
【0092】
ステップS411では、ステップS408で読み込まれた1行がページ情報の終端であるか否かが判断される。ページ情報の終端に達した場合には(S411:YES)、図5のフローチャートに戻る。
【0093】
例えばステップS408でページ情報の2レコード目が読み込まれた場合のように、ページ情報の終端に達していない場合(S411:NO)、ステップS404に戻る。
【0094】
ステップS404では、前述したように、取得されたフォーム番号に一致するページ番号のフォーム画像が、RAM23から取得される。
【0095】
そして、例えばページ情報の2レコード目のように、ステップS405において固有領域の情報が有ると判断された場合(S405:YES)、ステップS406に進む。
【0096】
ステップS406では、取得されたインデックスに一致するページ番号の固有画像が、RAM23から取得される(S406)。
【0097】
ステップS407では、ステップS404で取得されたフォーム画像に対して、ステップS406で取得された固有画像が合成される。
【0098】
フォーム画像に対して固有画像を合成するエリアは、固有領域の情報(L1,L2)と、ステップS401で取得された分割数M×Nと、ステップS402で取得されたページの幅(W)および高さ(H)とから、以下の式を用いて算出される。
【0099】
エリア幅=W/N
エリア高さ=H/M
開始点X=(L1−1)*エリア幅
開始点Y=(L2−1)*エリア高さ
ここで、開始点X,開始点Yは、エリアの例えば左上頂点の座標に相当する。
【0100】
例えばページ情報の2レコード目に対応する固有画像が合成された後、ページ情報の次の1行が読み込まれる(S408、図16の3レコード目)。この場合、ページ番号が変化していないため(S409:NO)、再度、読み込まれたページ情報に固有領域の情報が有るか否かが判断される(S405)。2ページ目の場合、固有領域は計3つあるので(図16の2レコード目から4レコード目まで)、残り2つの固有領域に対応する固有画像が、同様に取得されてさらに合成される(S406、S407)。
【0101】
このように本実施形態のプリンタコントローラ2Aは、画像データをページ内で分割し、分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別し、共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての共通領域、および固有領域に対して、印刷のための画像処理としてのRIPを施し、RIPが施された共通領域および固有領域を合成して、合成された画像データをプリンタ4Aに出力する。
【0102】
このように本実施形態によれば、画像データがページ内で等分割され、等分割後の領域同士が比較されて共通領域と固有領域とが判別された後、全画像データのうちの必要な領域の画像データのみがRIP等の印刷のための画像処理の対象とされる。したがって、受信されるプリントデータのファイル形式を問うこと無くしかも作業の煩雑化を防止しつつ、画像データに対して施されるRIP等の印刷のための画像処理にかかる時間を短縮化することが可能となる。これにより印刷処理の作業性の向上が図られる。
【0103】
次に、第2の実施形態について、第1の実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0104】
第1の実施形態では、全ページに共通して使用されるフォーム画像は1つである。これに対し、第2の実施形態では、フォーム画像が複数種類存在する場合について説明する。例えば、オモテページとウラページとを有するプリントデータが両面印刷される場合が挙げられる。図22は、第2の実施形態で生成される低解像度のRGBラスタ画像の一例を示す図であり、第1の実施形態の図8および図9に対応する図である。
【0105】
第2の実施形態で実行される処理は、第1の実施形態で実行される処理(図5、図6、図17、図18、図20、図21のフローチャート参照)と同様である。つまり、第2の実施形態において適用されるプリントデータの内容が上記のように第1の実施形態と異なるだけである。
【0106】
図23は、第2の実施形態における全ページ分のRGBラスタ画像の各領域のハッシュ値のリストを示す。
【0107】
そして、図23のリストを用いて、ページ毎の類似度を判定して、各ページがグループ化される(図6のS206)。グループ化は、例えば以下のような手順で行われる。
(1)未分類中の最小ページが基準ページに決定される(図24参照)。
(2)基準ページおよび他ページの値(ハッシュ値)が領域毎に比較され、一致(○)および不一致(×)の符号が記録される(図24参照)。
(3)ページ毎に一致率が算出される(図24参照)。
(4)ページ毎の一致率が閾値(例えば70%)を越えるページは、基準ページと同一のグループと決定される(図25参照)。
(5)ページ毎の一致率が閾値以下の場合は未分類とされる(図25)。
(6)上記(1)に戻ってグループ化処理が繰り返される(図26)。
上記手順によりグループ化が完了する(図27)。
【0108】
続いて、グループ毎に共通領域と固有領域とが抽出され(図6のS207)、ページ情報のリストが作成される(図6のC208)。
【0109】
このように第2の実施形態では、複数種類の共通領域が判別される。したがって、本発明は、オモテページとウラページとを有するプリントデータが両面印刷される場合のように、フォーム画像が複数種類存在する場合にも適用可能である。
【0110】
次に、第3の実施形態について、第1および第2の実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0111】
第1および第2の実施形態では、同一グループ内において領域毎の一致率が100%の領域が共通領域、それ以外の領域が固有領域と判別される。しかし、例えばバリアブルデータプリントの場合には同じ画像が非周期ではあるが複数回出現することが多い。
【0112】
第3の実施形態では、共通領域ではないが複数ページで使用される領域が、再利用可能領域と定義され、その領域のラスタ画像を再利用する方法を提供する。
【0113】
図28は、第3の実施形態で生成される低解像度のRGBラスタ画像の一例を示す図であり、第1の実施形態の図8および図9に対応する図である。
【0114】
図28は、顧客の嗜好にあった商品の割引チケットの例を示す。商品数は10点ある。この例では、ソフトクリーム(1ページ目上段)からシュークリーム(4ページ目上段)までの10商品が1周期として繰り返される。顧客の嗜好に合わせるのであれば商品の出現順番はランダムになると考えられるが、説明を簡単にするため図28に示すような割引チケットの例を取り上げて説明する。
【0115】
図28の例の場合、1ページ目上段のソフトクリームのラスタ画像(固有画像)をキャッシュすることにより、当該画像は11ページ目上段、21ページ目上段…で再利用され得る。ただし、ソフトクリームのラスタ画像がページの中段または下段に出現する場合、ハッシュ値が異なることになるため再利用できない。そこで、4ページ目中段および7ページ目下段に出現するソフトクリームのラスタ画像もまたキャッシュすることにより、プリントデータ中に何回ソフトクリームが出現しても対処することができる。ここで、全10商品分のキャッシュすべきラスタ画像の数は、商品数×1ページ内の商品数=30となる。この場合、例えば100ページのプリントデータで、かつ、商品が順番に出現するときは、先頭から10ページ分のラスタ画像さえ生成しておけば、残り90ページは固有領域(顧客名が存在する領域)のみの処理だけで済む。なお、商品数が増えた場合にはキャッシュヒット率が下がるため、閾値を設けて再利用可否を判断する必要がある。以下に、再利用の手順の例を示す。
(1)図6のステップS201〜S206が実行される。
(2)グループ毎に共通領域と固有領域とが抽出される(図29参照)。図28の例では、固有領域は、領域毎の一致率が1%の顧客名が存在する領域[(2,2),(4,2),(5,2)]である。
(3)領域毎の一致率が閾値以上(例えば10%)の領域が、再利用可能領域と判別される。図28の1ページを例に説明すれば、再利用可能領域は、ソフトクリームが存在する領域[(1,4),(2,4)]、ドーナツが存在する領域[(3,4),(4,4)]、およびケーキが存在する領域[(5,4),(6,4)]である。
(4)上記(3)の再利用可能領域のハッシュ値を示すリストが作成される(図30参照)。
(5)ラスタ画像生成部25は、再利用可能領域に対してRIPを施して、印刷に使用される解像度のCMYKラスタ画像を生成する。そして、図30のリストにおけるハッシュ値をキーにして、生成された再利用可能領域のラスタ画像がRAM23にキャッシュされる。
(6)画像合成部27は、RAM23に記憶されているハッシュテーブル(図31)に基づいて、該当するラスタ画像を取得して画像合成処理を行う。
【0116】
このように、第3の実施形態では、共通領域以外の領域であって共通領域を有するページの数よりも少ない複数ページで使用される再利用可能領域が判別され、再利用可能領域を有する複数ページのうちの一のページについての再利用可能領域に対して、RIPが施され、RIPが施された共通領域、再利用可能領域、および固有領域が合成される。
【0117】
したがって、第3の実施形態によれば、画像データに対して施されるRIP等の印刷のための画像処理にかかる時間をより短縮化することが可能となり、これにより印刷処理の作業性のより一層の向上が図られる。
【0118】
次に、第4の実施形態について、第1、第2、および第3の実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0119】
上述した実施形態では、受信されるプリントデータがPDLデータである場合について説明したが、本発明は、プリントデータがRIP済のページ画像データの場合にも適用され得る。RIP済みのページ画像データとしては、マルチページTIFF画像、GDIドライバで生成した画像、ビットマップ画像、JPEG画像等が挙げられる。
【0120】
第4の実施形態で実行される処理は、図6のステップS202が不要となる以外、上述した実施形態で実行される処理と同様である。
【0121】
このように、第4の実施形態によれば、受信されるプリントデータがRIP済みのページ画像データの場合であっても、本発明を適用することによりカラーマッチング処理やディザ処理等の印刷のための画像処理にかかる時間を短縮化することが可能となる。これにより印刷処理の作業性の向上が図られる。
【0122】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0123】
上記実施形態では、画像処理装置としてのプリンタコントローラと、印刷装置としてのプリンタとが別個の装置として分離して設置され、互いにローカル接続された構成の場合について述べたが、プリンタコントローラはプリンタの中に内包されていてもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、印刷装置としてプリンタが採用されているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えばMFP(Multi−Function Peripheral)、複写機等の画像形成装置にも適用可能である。
【0125】
本実施形態の印刷システムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえばフレキシブルディスクやCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る印刷システムの全体構成図である。
【図2】クライアント端末の概略構成を示すブロック図である。
【図3】プリンタコントローラの概略構成を示すブロック図である。
【図4】プリンタの概略構成を示すブロック図である。
【図5】プリンタコントローラにおける処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】ラスタ画像解析処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】プリントデータを示す図である。
【図8】生成された低解像度のRGBラスタ画像の一例を示す図である。
【図9】最終ページの低解像度のRGBラスタ画像の一例を示す図である。
【図10】M×N領域に分割されたラスタ画像の一例を示す図である。
【図11】1ページ分のRGBラスタ画像における各領域のハッシュ値の一例を示す図である。
【図12】全ページ分のRGBラスタ画像の各領域のハッシュ値のリストを示す図である。
【図13】領域同士の比較結果およびページ毎の一致率のリストを示す図である。
【図14】領域毎の一致率のリストを示す図である。
【図15】共通領域と固有領域との判別結果を示す図である。
【図16】ページ情報の一例を示す図である。
【図17】ラスタ画像生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】図17から続く、ラスタ画像生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】新プリントデータを示す図である。
【図20】画像合成および印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】図20から続く、画像合成および印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図22】第2の実施形態で生成される低解像度のRGBラスタ画像の一例を示す図である。
【図23】第2の実施形態における全ページ分のRGBラスタ画像の各領域のハッシュ値のリストを示す図である。
【図24】第2の実施形態における領域同士の比較結果およびページ毎の一致率のリストを示す図である。
【図25】ページのグループ化を説明するための図である。
【図26】ページのグループ化を説明するための図である。
【図27】ページのグループ化の最終状態を示す図である。
【図28】第3の実施形態で生成される低解像度のRGBラスタ画像の一例を示す図である。
【図29】第3の実施形態における領域同士の比較結果および領域毎の一致率のリストを示す図である。
【図30】再利用可能領域のハッシュ値のリストを示す図である。
【図31】ハッシュテーブルを示す図である。
【符号の説明】
【0127】
1A,1B,1C クライアント端末、
11,21,41 CPU、
12,22,42 ROM、
13,23,43 RAM、
14,24 ハードディスク、
15 ディスプレイ、
16 入力装置、
17,28 ネットワークインタフェース、
18,30,47 バス、
2A,2B プリンタコントローラ(画像処理装置)、
25 ラスタ画像生成部、
26 ラスタ画像解析部、
27 画像合成部、
29 プリンタインタフェース、
4A,4B プリンタ、
44 操作パネル部、
45 印刷部、
46 プリンタコントローラインタフェース、
5 ネットワーク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムに関する。本発明は、特に、複数ページで共通して使用される共通領域を有する画像データに対して、印刷のための画像処理を施すための、画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばダイレクトメール、ラベル、帳票などの大量印刷において、絵や写真などが豊富に使われている場合には、印刷に使用されるビットマップ形式の画像データ(以下、ラスタ画像ともいう)を形成するのに非常に時間がかかる。
【0003】
この問題の解決策の一つとして、例えばバリアブルデータプリント方式が存在する。ここで、バリアブルデータプリント方式とは、1枚1枚の出力内容を必要に応じて部分的に差し替えることが可能なプリント方式をいう。このバリアブルデータプリント方式では、プリントデータは、複数回にわたって使用される再利用可能オブジェクトと非再利用オブジェクトとを最小構成単位として含む。また、各オブジェクトが再利用可能オブジェクトなのか非再利用オブジェクトなのかは、プリントデータにおけるレイアウト情報において明確に区別されている。さらに、レイアウト情報には、オブジェクト群をページ内でどのようにレイアウトするかが記述されている。そして、バリアブルデータプリント言語をサポートした印刷装置は、プリントデータにおける再利用可能オブジェクトにRIP(Raster Image Processing)を施して作成したラスタ画像を、メモリやハードディスク上にキャッシュし、このキャッシュしたラスタ画像を再利用することで、RIPに要する時間を削減し、性能を向上させている。
【0004】
また、ほぼ均一な速度でページイメージを出力するために、可変イメージと固定イメージとを合成してラスタ画像であるページイメージを生成してから、各ページイメージを可変ストリップ群および固定ストリップ群に分割して記憶し、その後印刷時に再合成して出力する印刷制御装置が提案されている(特許文献1参照)。ここで、印刷制御装置は、受信したプリントデータを解釈することにより、複数ページに共通の固定イメージと各ページごとに異なる可変イメージとを生成し、可変イメージと固定イメージとを合成して各ページイメージを生成する。その後、印刷制御装置は、各ページイメージを複数のストリップに分割して、可変イメージを含んだ可変ストリップ群とそれ以外の固定ストリップ群とに分離してメモリに記憶し、印刷時に可変ストリップ群および固定ストリップ群のデータを再合成してページイメージを形成し、当該ページイメージを印刷装置に出力する。
【特許文献1】特開2000−137587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術においては、プリントデータは、常に、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを明確に区別して含む形式のファイルでなければならない。したがって、かかるプリントデータを作成および解釈し得る専用のアプリケーションや印刷システムが必要になるといった問題がある。また、プリントデータを作成するユーザやプリントデータに基づいて印刷する業者にとって、例えば汎用のページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたプリントデータを利用する場合とは異なる業務フローが強いられる結果、作業が煩雑となってしまうといった問題もある。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、受信されるプリントデータのファイル形式を問うこと無くしかも作業の煩雑化を防止しつつ、画像データに対して施される印刷のための画像処理にかかる時間を短縮化することが可能な、画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)画像処理装置であって、画像データをページ内で分割し、分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別する画像解析部と、前記共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記共通領域、および前記固有領域に対して、印刷のための画像処理を施す画像処理部と、前記画像処理が施された前記共通領域および前記固有領域を合成する画像合成部と、合成された画像データを印刷部に出力する出力部と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【0009】
(2)前記画像データは、ページ内で格子状に分割されることを特徴とする上記(1)に記載の画像処理装置。
【0010】
(3)分割された領域同士は、各領域を数値化したデータに基づいて、各ページ間で比較されることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
【0011】
(4)前記画像解析部は、複数種類の共通領域を判別することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0012】
(5)前記画像解析部はさらに、前記共通領域以外の領域であって前記共通領域を有するページの数よりも少ない複数ページで使用される再利用可能領域を判別し、前記画像処理部はさらに、前記再利用可能領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記再利用可能領域に対して、印刷のための画像処理を施し、前記画像合成部は、前記画像処理が施された前記共通領域、前記再利用可能領域、および前記固有領域を合成することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0013】
(6)前記画像処理部はさらに、前記画像処理装置に入力されたプリントデータを、印刷に使用されるビットマップ形式の画像データよりも低い解像度のビットマップ形式の画像データに変換し、前記画像解析部は、前記低い解像度のビットマップ形式の画像データをページ内で分割し、分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別し、前記画像処理部は、前記プリントデータにおける前記共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記共通領域、および前記固有領域に対して、印刷に使用されるビットマップ形式の画像データに変換する画像処理を施すことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0014】
(7)前記画像処理は、カラーマッチング処理であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0015】
(8)前記画像処理は、ディザ処理であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0016】
(9)画像処理方法であって、画像データをページ内で分割し、分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別するステップと、前記共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記共通領域、および前記固有領域に対して、印刷のための画像処理を施すステップと、前記画像処理が施された前記共通領域および前記固有領域を合成するステップと、合成された画像データを印刷部に出力するステップと、を有することを特徴とする画像処理方法。
【0017】
(10)画像処理プログラムであって、画像データをページ内で分割し、分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別する手順と、前記共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記共通領域、および前記固有領域の各々に対して、印刷のための画像処理を施す手順と、前記画像処理が施された前記共通領域および前記固有領域を合成する手順と、合成された画像データを印刷部に出力する手順と、をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【0018】
(11)上記(10)に記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0019】
(12)画像処理装置であって、画像データをページ内で複数の領域に等分割し、等分割された領域同士を比較して、複数の領域に共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別する画像解析部と、前記複数の領域に共通する共通領域のうち一つの共通領域、および前記固有領域に対して、印刷のための画像処理を施す画像処理部と、前記画像処理が施された前記共通領域および前記固有領域を合成する画像合成部と、合成された画像データを印刷部に出力する出力部と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画像データがページ内で等分割され、等分割後の領域同士が比較されて共通領域と固有領域とが判別された後、全画像データのうちの必要な領域のみの画像データが印刷のための画像処理の対象とされる。したがって、受信されるプリントデータのファイル形式を問うこと無くしかも作業の煩雑化を防止しつつ、画像データに対して施される印刷のための画像処理にかかる時間を短縮化することが可能となり、印刷処理の作業性の向上を図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る印刷システムの全体構成図である。
【0023】
印刷システムは、クライアント端末1A,1B,1Cと、プリンタコントローラ2A,2Bと、プリンタ4A,4Bとを備えている。
【0024】
クライアント端末1A,1B,1Cとプリンタコントローラ2A,2Bとは、ネットワーク5を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク5は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によりコンピュータやネットワーク機器同士を接続したLAN、あるいはLAN同士を専用線で接続したWAN等からなる。プリンタコントローラ2A,2Bとプリンタ4A,4Bとはそれぞれ、例えばIEEE1394シリアルバス等の専用インタフェース用バスを介して接続されている。ただし、プリンタコントローラとプリンタとはネットワーク5を介して接続されていてもよい。なお、ネットワーク5に接続される機器の種類および台数は、図1に示す例に限定されない。
【0025】
次に、上記各機器の構成について説明するが、各機器で同様の機能を有する部分については、説明の重複を避けるため初回のみその説明を行い、2回目以降はその説明を省略する。
【0026】
図2は、クライアント端末1A,1B,1Cの概略構成を示すブロック図である。クライアント端末1A,1B,1Cは、例えば一般的なPC(パーソナルコンピュータ)である。クライアント端末1A,1B,1Cは相互に同様の構成であるため、以下、クライアント端末1Aを代表として用いて説明する。
【0027】
クライアント端末1Aは、CPU11、ROM12、RAM13、ハードディスク14、ディスプレイ15、入力装置16、およびネットワークインタフェース17を含み、これらは信号をやり取りするためのバス18を介して相互に接続されている。
【0028】
CPU11は、プログラムにしたがって、上記各部の制御や各種の演算処理を行う。ROM12は、各種プログラムや各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムおよびデータを記憶する。ハードディスク14は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや、各種データを格納する。
【0029】
ハードディスク14には、文書ファイルを作成するためのアプリケーションと、文書ファイルをプリンタコントローラが解釈可能なPDLで記述されたプリントデータ(PDLデータ)に変換するためのプリンタドライバとがインストールされている。PDLとしては、例えば、PDF(Portable Document Format)や、PS(PostScript(登録商標))が挙げられる。
【0030】
ディスプレイ15は、例えばLCD、CRT等であり、各種の情報を表示する。入力装置16は、例えばマウス等のポインティングデバイスやキーボードを含み、各種情報の入力を行うために使用される。ネットワークインタフェース17は、例えばLANカードであり、ネットワーク5を介して外部機器と通信するために使用される。
【0031】
クライアント端末1Aは、印刷ジョブとしてのプリントデータを作成してプリンタコントローラに送信する。また、クライアント端末1Aは、プリンタコントローラ2A,2Bにおける処理状況の監視、およびプリンタコントローラ2A,2Bで作成されたページラスタ画像の表示を行うことが可能である。
【0032】
図3は、プリンタコントローラ2A,2Bの概略構成を示すブロック図である。プリンタコントローラ2A,2Bは相互に同様の構成であるため、以下、プリンタコントローラ2Aを代表として用いて説明する。
【0033】
プリンタコントローラ2Aは、CPU21、ROM22、RAM23、ハードディスク24、ラスタ画像生成部25、ラスタ画像解析部26、画像合成部27、ネットワークインタフェース28、およびプリンタインタフェース29を含み、これらは信号をやり取りするためのバス30を介して相互に接続されている。
【0034】
ラスタ画像生成部25は、クライアント端末1Aから印刷ジョブとして受信したプリントデータに対してRIPを施すことにより、ビットマップ形式の画像データであるラスタ画像を生成する。
【0035】
生成されるラスタ画像には、ラスタ画像解析部26で用いられる低解像度のRGB画像と、印刷に使用される高解像度のCMYKラスタ画像とがある。低解像度のRGBラスタ画像は、外部記憶装置としてのハードディスク24に記憶される。また、高解像度のCMYKラスタ画像には、複数ページで共通して使用されるフォーム画像と、1度しか使用されない固有画像とがある。フォーム画像および固有画像は、主記憶装置としてのRAM23に記憶される。
【0036】
ラスタ画像解析部26は、ラスタ画像生成部25で生成された低解像度のRGBラスタ画像を解析する。そして、ラスタ画像解析部26は、解析結果をページ情報として出力する。ページ情報はRAM23に記憶される。
【0037】
画像合成部27は、ページ情報に基づき、フォーム画像と固有画像とを合成し、1ページ分のラスタ画像であるページラスタ画像を作成する。
【0038】
プリンタインタフェース29は、プリンタ4Aと通信を行うためのインタフェースである。
【0039】
本実施形態では、ラスタ画像生成部25、ラスタ画像解析部26、および画像合成部27は、ハードウェアとして構成されているが、例えばROM22等の記憶部に各部に対応するプログラムが格納され、当該プログラムをCPU21が実行することにより各部の機能が発揮されるように構成されてもよい。
【0040】
図4は、プリンタ4Aの概略構成を示すブロック図である。プリンタ4A,4Bは相互に同様の構成であるため、以下、プリンタ4Aを代表として用いて説明する。
【0041】
プリンタ4Aは、CPU41、ROM42、RAM43、操作パネル部44、印刷部45、およびプリンタコントローラインタフェース46を含み、これらは信号をやり取りするためのバス47を介して相互に接続されている。
【0042】
操作パネル部44は、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。印刷部45は、帯電、露光、現像、転写および定着の各工程を含む電子写真式プロセスなどの作像プロセスを用いて、画像を用紙などの記録媒体上に印刷する。プリンタコントローラインタフェース46は、プリンタコントローラ2Aと通信を行うためのインタフェースである。
【0043】
クライアント端末1A,1B,1C、プリンタコントローラ2A,2B、およびプリンタ4A,4Bは、上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上述した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0044】
次に、図5を参照して、プリンタコントローラ2Aにおける処理について説明する。なお、図5のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、プリンタコントローラ2Aのハードディスク24などの記憶部にプログラムとして記憶されており、CPU21により実行される(図6、図17、図18、図20、図21のフローチャートにより示されるアルゴリズムも同様である)。
【0045】
予め、ユーザは、クライアント端末1Aにインストールされているプリンタドライバを用いて印刷ジョブとしてのプリントデータを作成する。作成されたプリントデータは、ネットワーク5を介して、プリンタコントローラ2Aに送信される。
【0046】
まず、プリンタコントローラ2Aは、クライアント端末1Aからプリントデータを受信し、受信したプリントデータをハードディスク24に保存する(S101)。
【0047】
続いて、ラスタ画像解析処理が行われる(S102)。ラスタ画像解析処理では、プリントデータに含まれる画像データがページ内で等分割され、等分割された領域同士が各ページ間で比較されて、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とが判別される。ここでの画像データは、印刷に使用されるビットマップ形式の画像データよりも低い解像度のビットマップ形式の画像データに変換されたものが使用される。なお、ラスタ画像解析処理の詳細については後述する。
【0048】
続いて、ラスタ画像生成処理が行われる(S103)。ラスタ画像生成処理では、共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての共通領域、および固有領域に対して、印刷に使用される解像度のビットマップ形式の画像データに変換する画像処理であるRIPが施され、それぞれフォーム画像および固有画像が生成される。なお、ラスタ画像生成処理の詳細については後述する。
【0049】
そして、画像合成および印刷処理が行われる(S104)。画像合成および印刷処理では、RIPが施された共通領域および固有領域が合成され、合成された画像データであるページラスタ画像がプリンタ4Aに出力される。そして、プリンタ4Aは、受信したページラスタ画像を用紙等の記録媒体に印刷する。なお、画像合成および印刷処理の詳細については後述する。
【0050】
次に、図6を参照して、ラスタ画像解析処理について説明する。
【0051】
まず、ハードディスク24に保存されているプリントデータから1ページ分の情報がRAM23に読み込まれる(S201)。図7は、プリントデータを示す図である。
【0052】
続いて、読み込んだ情報が解析されて、低解像度のRGBラスタ画像が生成される(S202)。図8は、生成された低解像度のRGBラスタ画像の一例を示す図である。ここで、生成時間および解析時間を極力短くするために、低解像度でかつRGBのラスタ画像が生成される。
【0053】
生成されたRGBラスタ画像は、図10に示すように、M(行)×N(列)領域に等分割される(S203)。図10では、RGBラスタ画像は、6行4列に分割されている。なお、RGBラスタ画像は、ページ内で格子状に等分割されることが効率的な処理の観点から好ましい。特に、複数ページに亘り大部分の画像が共通し、一部の画像のみが異なるようなデータの場合に効率的な処理が期待できる。尚、分割数M×Nは任意であり予め設定される。
【0054】
その後、等分割された各領域が数値化される(S204)。すなわち、各領域におけるRGB色成分のピクセル値を入力として、例えばハッシュ関数を用いることにより、各領域のハッシュ値が算出される。図11は、1ページ分のRGBラスタ画像における各領域のハッシュ値の一例を示す。ハッシュ関数として、例えばMD5(Message Digest 5)やSHA(Secure Hash Algorithm)等が用いられる。なお、ピクセル値は、一般に、R(赤)=0〜255、G(緑)=0〜255、B(青)=0〜255の範囲をとる。
【0055】
以上の処理(S201〜S204)が、全ページの処理が終了するまで繰り返される(S205:NO)。図9は、最終ページの低解像度のRGBラスタ画像の一例を示す。
【0056】
図12は、全ページ分のRGBラスタ画像の各領域のハッシュ値のリストを示す。なお、処理対象のページが大量にある場合は、一定数量(例えば100ページ)ずつ処理されることが好ましい。
【0057】
そして、全ページの処理が終了すると(S205:YES)、図12のリストを用いて、ページ毎の類似度を判定して、各ページがグループ化される(S206)。グループ化は、例えば以下のような手順で行われる。
(1)未分類中の最小ページが基準ページに決定される(図13参照)。
(2)基準ページおよび他ページの値(ハッシュ値)が領域毎に比較され、一致(○)および不一致(×)の符号が記録される(図13参照)。
(3)ページ毎に一致率が算出される(図13参照)。なお、ページ毎の一致率は、あるページにおいて基準ページの領域と値が一致する領域の全領域に対する割合を示す。
(4)ページ毎の一致率が閾値(例えば70%)を越えるページは、基準ページと同一のグループと決定される(図14参照)。なお、図14では、全ページが1つのグループに属することが示されている。
【0058】
続いて、グループ毎に共通領域と固有領域とが抽出される(S207)。具体的には、まず、領域(行1列1、行2列1……行6列4)毎に一致率が算出される(図14参照)。なお、領域毎の一致率は、ある領域において基準ページの領域と値が一致する領域を含むページの全ページに対する割合を示す。そして、領域毎の一致率が100%の領域が共通領域、それ以外の領域が固有領域と判別される(図15参照)。
【0059】
このように等分割された領域同士は、各領域を数値化したデータに基づいて、各ページ間で比較される。これにより、高速かつ正確な領域同士の比較が可能となる。
【0060】
続いて、ページ情報のリストが作成される(S208)。
【0061】
図16は、ページ情報の一例を示す。ページ情報は、基準ページ番号を示すフォーム番号と、個々にラスタライズが必要な固有領域の情報(ページ内位置)とが、ページ番号と関連付けられて記録される。固有領域の情報は、(行番号L1,列番号L2)で与えられる。図16中の「インデックス」はシーケンス番号を付与したものである。このインデックスは、後述するように、合成時に使用されるラスタ画像を特定するために用いられる。
【0062】
次に、図17および図18を参照して、ラスタ画像生成処理について説明する。
【0063】
図17および図18に示すラスタ画像生成処理は、印刷に使用される高解像度のCMYK画像を生成するための処理である。ラスタ画像を高速に生成する有効な方法として、本実施形態では、全ページのうちの必要な(矩形)領域のみが画像生成の対象とされる。ここで、例えば、開始点(X,Y)、幅(W)、高さ(H)、およびページ番号によって特定された領域のみのラスタ画像を生成するように、ラスタライザを改造することにより、必要な領域のみのRIPが実現され得る。しかし、それでは汎用的なラスタライザを用いることが出来ない。このため、本実施形態では、トリミング用の制御コードを利用することにより、必要な領域のみにRIPを施す方法を採用している。
【0064】
まず、ステップS203で使用されたページの縦横の分割数M×Nが取得される(S301)。続いて、プリントデータを解釈することにより、ページの幅(W)および高さ(H)が取得される(S302)。
【0065】
続いて、ページ情報(図16参照)が1行読み込まれる(S303)。ここで、ページ番号、フォーム番号、固有領域の情報、およびインデックス(番号)が取得される。
【0066】
そして、取得したページ番号と一致するページのプリントデータ(図7参照)が読み込まれる(S304)。
【0067】
続いて、取得したページ番号とフォーム番号とが比較される(S305)。
【0068】
ページ番号とフォーム番号とが一致していると判断された場合(S306:YES)、このページはフォーム画像として共通して利用されるページであるため、このページのプリントデータが新プリントデータの構成要素として保存される(S207、図19の1レコード目)。新プリントデータはハードディスク24に保存される。
【0069】
ステップS308では、読み込まれたページ情報に固有領域の情報が有るか否かが判断される。
【0070】
例えばページ情報の1レコード目のように、固有領域の情報が無いと判断された場合(S308:NO)、ステップS311に進む。
【0071】
ステップS311では、ページ情報の次の1行、例えば2レコード目が読み込まれる。ここで、ページ番号、フォーム番号、固有領域の情報、およびインデックス(番号)が取得される。
【0072】
ステップS312では、ステップS311で読み込まれた1行がページ情報の終端であるか否かが判断される。ページ情報の終端に達した場合には(S312:YES)、ステップS313に進む。
【0073】
例えばステップS311でページ情報の2レコード目が読み込まれた場合のように、ページ情報の終端に達していない場合(S312:NO)、ステップS304に戻る。
【0074】
そして、ページ情報の次の1行が読み込まれた場合にも、読み込まれた内容に応じて、前述したステップS304〜S306の処理が実行される。
【0075】
例えばページ情報の2レコード目のように、ステップS306においてページ番号とフォーム番号とが一致していないと判断された場合(S306:NO)、ステップS207を経由せずに、ステップS308に進む。
【0076】
また、例えばページ情報の2レコード目のように、ステップS308において固有領域の情報が有ると判断された場合(S308:YES)、ステップS309に進む。
【0077】
ステップS309では、トリミング値が算出される。トリミング値は特定のページ内における固有領域に相当するラスタ画像を生成するために用いられる。具体的には、固有領域の情報(L1,L2)と、ステップS301で取得された分割数M×Nと、ステップS302で取得されたページの幅(W)および高さ(H)とから、ラスタ画像を生成するエリア(トリミング領域)が、以下の式を用いて算出される。
【0078】
エリア幅=W/N
エリア高さ=H/M
開始点X=(L1−1)*エリア幅
開始点Y=(L2−1)*エリア高さ
ここで、開始点X,開始点Yは、エリアの例えば左上頂点の座標に相当する。
【0079】
続いて、上記算出結果と、該当するページ(例えば2ページ目)のプリントデータ(S304、例えば図7の2レコード目)とが組となって新プリントデータに追加される(S310、例えば図19の2レコード目)。例えば、プリントデータがPDFファイルの場合、トリミング用の制御コードは“/CropBox[開始点X 開始点Y エリア幅 エリア高さ]”である。
【0080】
例えば図16のページ情報における2ページ目については、固有領域の情報が計3つあるので(図16の2レコード目から4レコード目まで)、残り2つの固有領域についての処理も同様に行われる。図19は、全ページ分のプリントデータについての処理が完了したときの新プリントデータを示している。図19に示すように、新プリントデータでは、図16のページ情報におけるインデックスに一致した新しいページ番号が付与される。
【0081】
そして、ステップS313では、作成された新プリントデータに対してRIPが施される。ここで、RIPは、汎用ラスタライザで実行され得る。これにより、必要なエリアのみのラスタ画像が短時間で生成される。すなわち、複数ページで共通して使用される共通領域に対応するフォーム画像と、固有領域に対応する1度しか使用されない固有画像とが生成され、それぞれ新プリントデータのページ番号と関係付けられてRAM23に保存される。フォーム画像および固有画像は、印刷に使用される解像度のCMYKラスタ画像として生成され、これにカラーマッチング処理、およびディザ処理が施されたものである。ここで、カラーマッチング処理とは色データを出入力する異なる装置の間で同一の色を再現するための処理をいい、ディザ処理とはある決められた階調でより豊富な階調を表現する中間調処理をいう。固有画像としては、例えばダイレクトメールの印刷の場合には顧客名、顧客住所等が挙げられる。
【0082】
次に、図20および図21を参照して、画像合成および印刷処理について説明する。
【0083】
まず、既に使用されてRAM23に記憶されている、ページの縦横の分割数M×Nと、ページの幅(W)および高さ(H)が取得される(S401、S402)。
【0084】
続いて、ページ情報(図16)が1行読み込まれる(S403)。ここで、ページ番号、フォーム番号、固有領域の情報、およびインデックス(番号)が取得される。
【0085】
続いて、取得されたフォーム番号に一致するページ番号のフォーム画像が、RAM23から取得される(S404)。
【0086】
ステップS405では、読み込まれたページ情報に固有領域の情報が有るか否かが判断される。
【0087】
例えばページ情報の1レコード目のように、固有領域の情報が無いと判断された場合(S405:NO)、ステップS408に進む。
【0088】
ステップS408では、ページ情報の次の1行、例えば2レコード目が読み込まれる。ここで、ページ番号、フォーム番号、固有領域の情報、およびインデックス(番号)が取得される。
【0089】
ステップS409では、ステップS408で読み込まれた1行におけるページ番号が、直前に読み込まれた1行におけるページ番号と比較して変化したか否かが判断される。
【0090】
例えばステップS408でページ情報の2レコード目が読み込まれた場合のように、ページ番号が変化したと判断された場合(S409:YES)、ステップS410に進む。
【0091】
ステップS410では、ページラスタ画像が、プリンタ4Aに出力される。ページラスタ画像は、フォーム画像に、必要に応じて固有画像が合成されて(後述のS405〜S407参照)、生成される。
【0092】
ステップS411では、ステップS408で読み込まれた1行がページ情報の終端であるか否かが判断される。ページ情報の終端に達した場合には(S411:YES)、図5のフローチャートに戻る。
【0093】
例えばステップS408でページ情報の2レコード目が読み込まれた場合のように、ページ情報の終端に達していない場合(S411:NO)、ステップS404に戻る。
【0094】
ステップS404では、前述したように、取得されたフォーム番号に一致するページ番号のフォーム画像が、RAM23から取得される。
【0095】
そして、例えばページ情報の2レコード目のように、ステップS405において固有領域の情報が有ると判断された場合(S405:YES)、ステップS406に進む。
【0096】
ステップS406では、取得されたインデックスに一致するページ番号の固有画像が、RAM23から取得される(S406)。
【0097】
ステップS407では、ステップS404で取得されたフォーム画像に対して、ステップS406で取得された固有画像が合成される。
【0098】
フォーム画像に対して固有画像を合成するエリアは、固有領域の情報(L1,L2)と、ステップS401で取得された分割数M×Nと、ステップS402で取得されたページの幅(W)および高さ(H)とから、以下の式を用いて算出される。
【0099】
エリア幅=W/N
エリア高さ=H/M
開始点X=(L1−1)*エリア幅
開始点Y=(L2−1)*エリア高さ
ここで、開始点X,開始点Yは、エリアの例えば左上頂点の座標に相当する。
【0100】
例えばページ情報の2レコード目に対応する固有画像が合成された後、ページ情報の次の1行が読み込まれる(S408、図16の3レコード目)。この場合、ページ番号が変化していないため(S409:NO)、再度、読み込まれたページ情報に固有領域の情報が有るか否かが判断される(S405)。2ページ目の場合、固有領域は計3つあるので(図16の2レコード目から4レコード目まで)、残り2つの固有領域に対応する固有画像が、同様に取得されてさらに合成される(S406、S407)。
【0101】
このように本実施形態のプリンタコントローラ2Aは、画像データをページ内で分割し、分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別し、共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての共通領域、および固有領域に対して、印刷のための画像処理としてのRIPを施し、RIPが施された共通領域および固有領域を合成して、合成された画像データをプリンタ4Aに出力する。
【0102】
このように本実施形態によれば、画像データがページ内で等分割され、等分割後の領域同士が比較されて共通領域と固有領域とが判別された後、全画像データのうちの必要な領域の画像データのみがRIP等の印刷のための画像処理の対象とされる。したがって、受信されるプリントデータのファイル形式を問うこと無くしかも作業の煩雑化を防止しつつ、画像データに対して施されるRIP等の印刷のための画像処理にかかる時間を短縮化することが可能となる。これにより印刷処理の作業性の向上が図られる。
【0103】
次に、第2の実施形態について、第1の実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0104】
第1の実施形態では、全ページに共通して使用されるフォーム画像は1つである。これに対し、第2の実施形態では、フォーム画像が複数種類存在する場合について説明する。例えば、オモテページとウラページとを有するプリントデータが両面印刷される場合が挙げられる。図22は、第2の実施形態で生成される低解像度のRGBラスタ画像の一例を示す図であり、第1の実施形態の図8および図9に対応する図である。
【0105】
第2の実施形態で実行される処理は、第1の実施形態で実行される処理(図5、図6、図17、図18、図20、図21のフローチャート参照)と同様である。つまり、第2の実施形態において適用されるプリントデータの内容が上記のように第1の実施形態と異なるだけである。
【0106】
図23は、第2の実施形態における全ページ分のRGBラスタ画像の各領域のハッシュ値のリストを示す。
【0107】
そして、図23のリストを用いて、ページ毎の類似度を判定して、各ページがグループ化される(図6のS206)。グループ化は、例えば以下のような手順で行われる。
(1)未分類中の最小ページが基準ページに決定される(図24参照)。
(2)基準ページおよび他ページの値(ハッシュ値)が領域毎に比較され、一致(○)および不一致(×)の符号が記録される(図24参照)。
(3)ページ毎に一致率が算出される(図24参照)。
(4)ページ毎の一致率が閾値(例えば70%)を越えるページは、基準ページと同一のグループと決定される(図25参照)。
(5)ページ毎の一致率が閾値以下の場合は未分類とされる(図25)。
(6)上記(1)に戻ってグループ化処理が繰り返される(図26)。
上記手順によりグループ化が完了する(図27)。
【0108】
続いて、グループ毎に共通領域と固有領域とが抽出され(図6のS207)、ページ情報のリストが作成される(図6のC208)。
【0109】
このように第2の実施形態では、複数種類の共通領域が判別される。したがって、本発明は、オモテページとウラページとを有するプリントデータが両面印刷される場合のように、フォーム画像が複数種類存在する場合にも適用可能である。
【0110】
次に、第3の実施形態について、第1および第2の実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0111】
第1および第2の実施形態では、同一グループ内において領域毎の一致率が100%の領域が共通領域、それ以外の領域が固有領域と判別される。しかし、例えばバリアブルデータプリントの場合には同じ画像が非周期ではあるが複数回出現することが多い。
【0112】
第3の実施形態では、共通領域ではないが複数ページで使用される領域が、再利用可能領域と定義され、その領域のラスタ画像を再利用する方法を提供する。
【0113】
図28は、第3の実施形態で生成される低解像度のRGBラスタ画像の一例を示す図であり、第1の実施形態の図8および図9に対応する図である。
【0114】
図28は、顧客の嗜好にあった商品の割引チケットの例を示す。商品数は10点ある。この例では、ソフトクリーム(1ページ目上段)からシュークリーム(4ページ目上段)までの10商品が1周期として繰り返される。顧客の嗜好に合わせるのであれば商品の出現順番はランダムになると考えられるが、説明を簡単にするため図28に示すような割引チケットの例を取り上げて説明する。
【0115】
図28の例の場合、1ページ目上段のソフトクリームのラスタ画像(固有画像)をキャッシュすることにより、当該画像は11ページ目上段、21ページ目上段…で再利用され得る。ただし、ソフトクリームのラスタ画像がページの中段または下段に出現する場合、ハッシュ値が異なることになるため再利用できない。そこで、4ページ目中段および7ページ目下段に出現するソフトクリームのラスタ画像もまたキャッシュすることにより、プリントデータ中に何回ソフトクリームが出現しても対処することができる。ここで、全10商品分のキャッシュすべきラスタ画像の数は、商品数×1ページ内の商品数=30となる。この場合、例えば100ページのプリントデータで、かつ、商品が順番に出現するときは、先頭から10ページ分のラスタ画像さえ生成しておけば、残り90ページは固有領域(顧客名が存在する領域)のみの処理だけで済む。なお、商品数が増えた場合にはキャッシュヒット率が下がるため、閾値を設けて再利用可否を判断する必要がある。以下に、再利用の手順の例を示す。
(1)図6のステップS201〜S206が実行される。
(2)グループ毎に共通領域と固有領域とが抽出される(図29参照)。図28の例では、固有領域は、領域毎の一致率が1%の顧客名が存在する領域[(2,2),(4,2),(5,2)]である。
(3)領域毎の一致率が閾値以上(例えば10%)の領域が、再利用可能領域と判別される。図28の1ページを例に説明すれば、再利用可能領域は、ソフトクリームが存在する領域[(1,4),(2,4)]、ドーナツが存在する領域[(3,4),(4,4)]、およびケーキが存在する領域[(5,4),(6,4)]である。
(4)上記(3)の再利用可能領域のハッシュ値を示すリストが作成される(図30参照)。
(5)ラスタ画像生成部25は、再利用可能領域に対してRIPを施して、印刷に使用される解像度のCMYKラスタ画像を生成する。そして、図30のリストにおけるハッシュ値をキーにして、生成された再利用可能領域のラスタ画像がRAM23にキャッシュされる。
(6)画像合成部27は、RAM23に記憶されているハッシュテーブル(図31)に基づいて、該当するラスタ画像を取得して画像合成処理を行う。
【0116】
このように、第3の実施形態では、共通領域以外の領域であって共通領域を有するページの数よりも少ない複数ページで使用される再利用可能領域が判別され、再利用可能領域を有する複数ページのうちの一のページについての再利用可能領域に対して、RIPが施され、RIPが施された共通領域、再利用可能領域、および固有領域が合成される。
【0117】
したがって、第3の実施形態によれば、画像データに対して施されるRIP等の印刷のための画像処理にかかる時間をより短縮化することが可能となり、これにより印刷処理の作業性のより一層の向上が図られる。
【0118】
次に、第4の実施形態について、第1、第2、および第3の実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0119】
上述した実施形態では、受信されるプリントデータがPDLデータである場合について説明したが、本発明は、プリントデータがRIP済のページ画像データの場合にも適用され得る。RIP済みのページ画像データとしては、マルチページTIFF画像、GDIドライバで生成した画像、ビットマップ画像、JPEG画像等が挙げられる。
【0120】
第4の実施形態で実行される処理は、図6のステップS202が不要となる以外、上述した実施形態で実行される処理と同様である。
【0121】
このように、第4の実施形態によれば、受信されるプリントデータがRIP済みのページ画像データの場合であっても、本発明を適用することによりカラーマッチング処理やディザ処理等の印刷のための画像処理にかかる時間を短縮化することが可能となる。これにより印刷処理の作業性の向上が図られる。
【0122】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0123】
上記実施形態では、画像処理装置としてのプリンタコントローラと、印刷装置としてのプリンタとが別個の装置として分離して設置され、互いにローカル接続された構成の場合について述べたが、プリンタコントローラはプリンタの中に内包されていてもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、印刷装置としてプリンタが採用されているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えばMFP(Multi−Function Peripheral)、複写機等の画像形成装置にも適用可能である。
【0125】
本実施形態の印刷システムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえばフレキシブルディスクやCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る印刷システムの全体構成図である。
【図2】クライアント端末の概略構成を示すブロック図である。
【図3】プリンタコントローラの概略構成を示すブロック図である。
【図4】プリンタの概略構成を示すブロック図である。
【図5】プリンタコントローラにおける処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】ラスタ画像解析処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】プリントデータを示す図である。
【図8】生成された低解像度のRGBラスタ画像の一例を示す図である。
【図9】最終ページの低解像度のRGBラスタ画像の一例を示す図である。
【図10】M×N領域に分割されたラスタ画像の一例を示す図である。
【図11】1ページ分のRGBラスタ画像における各領域のハッシュ値の一例を示す図である。
【図12】全ページ分のRGBラスタ画像の各領域のハッシュ値のリストを示す図である。
【図13】領域同士の比較結果およびページ毎の一致率のリストを示す図である。
【図14】領域毎の一致率のリストを示す図である。
【図15】共通領域と固有領域との判別結果を示す図である。
【図16】ページ情報の一例を示す図である。
【図17】ラスタ画像生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】図17から続く、ラスタ画像生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】新プリントデータを示す図である。
【図20】画像合成および印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】図20から続く、画像合成および印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図22】第2の実施形態で生成される低解像度のRGBラスタ画像の一例を示す図である。
【図23】第2の実施形態における全ページ分のRGBラスタ画像の各領域のハッシュ値のリストを示す図である。
【図24】第2の実施形態における領域同士の比較結果およびページ毎の一致率のリストを示す図である。
【図25】ページのグループ化を説明するための図である。
【図26】ページのグループ化を説明するための図である。
【図27】ページのグループ化の最終状態を示す図である。
【図28】第3の実施形態で生成される低解像度のRGBラスタ画像の一例を示す図である。
【図29】第3の実施形態における領域同士の比較結果および領域毎の一致率のリストを示す図である。
【図30】再利用可能領域のハッシュ値のリストを示す図である。
【図31】ハッシュテーブルを示す図である。
【符号の説明】
【0127】
1A,1B,1C クライアント端末、
11,21,41 CPU、
12,22,42 ROM、
13,23,43 RAM、
14,24 ハードディスク、
15 ディスプレイ、
16 入力装置、
17,28 ネットワークインタフェース、
18,30,47 バス、
2A,2B プリンタコントローラ(画像処理装置)、
25 ラスタ画像生成部、
26 ラスタ画像解析部、
27 画像合成部、
29 プリンタインタフェース、
4A,4B プリンタ、
44 操作パネル部、
45 印刷部、
46 プリンタコントローラインタフェース、
5 ネットワーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
画像データをページ内で複数の領域に等分割し、等分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別する画像解析部と、
前記共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記共通領域、および前記固有領域に対して、印刷のための画像処理を施す画像処理部と、
前記画像処理が施された前記共通領域および前記固有領域を合成する画像合成部と、
合成された画像データを印刷部に出力する出力部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像データは、ページ内で格子状に等分割されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
等分割された領域同士は、各領域を数値化したデータに基づいて、各ページ間で比較されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像解析部は、複数種類の共通領域を判別することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像解析部はさらに、前記共通領域以外の領域であって前記共通領域を有するページの数よりも少ない複数ページで使用される再利用可能領域を判別し、
前記画像処理部はさらに、前記再利用可能領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記再利用可能領域に対して、印刷のための画像処理を施し、
前記画像合成部は、前記画像処理が施された前記共通領域、前記再利用可能領域、および前記固有領域を合成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理部はさらに、前記画像処理装置に入力されたPDLデータを、印刷に使用されるビットマップ形式の画像データよりも低い解像度のビットマップ形式の画像データに変換し、
前記画像解析部は、前記低い解像度のビットマップ形式の画像データをページ内で等分割し、等分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別し、
前記画像処理部は、前記PDLデータにおける前記共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記共通領域、および前記固有領域に対して、印刷に使用されるビットマップ形式の画像データに変換する画像処理を施すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理は、カラーマッチング処理であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像処理は、ディザ処理であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項9】
画像処理方法であって、
画像データをページ内で複数の領域に等分割し、等分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別するステップと、
前記共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記共通領域、および前記固有領域に対して、印刷のための画像処理を施すステップと、
前記画像処理が施された前記共通領域および前記固有領域を合成するステップと、
合成された画像データを印刷部に出力するステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
画像処理プログラムであって、
画像データをページ内で複数の領域に等分割し、等分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別する手順と、
前記共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記共通領域、および前記固有領域の各々に対して、印刷のための画像処理を施す手順と、
前記画像処理が施された前記共通領域および前記固有領域を合成する手順と、
合成された画像データを印刷部に出力する手順と、
をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項12】
画像処理装置であって、
画像データをページ内で複数の領域に等分割し、等分割された領域同士を比較して、複数の領域に共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別する画像解析部と、
前記複数の領域に共通する共通領域のうち一つの共通領域、および前記固有領域に対して、印刷のための画像処理を施す画像処理部と、
前記画像処理が施された前記共通領域および前記固有領域を合成する画像合成部と、
合成された画像データを印刷部に出力する出力部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項1】
画像処理装置であって、
画像データをページ内で複数の領域に等分割し、等分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別する画像解析部と、
前記共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記共通領域、および前記固有領域に対して、印刷のための画像処理を施す画像処理部と、
前記画像処理が施された前記共通領域および前記固有領域を合成する画像合成部と、
合成された画像データを印刷部に出力する出力部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像データは、ページ内で格子状に等分割されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
等分割された領域同士は、各領域を数値化したデータに基づいて、各ページ間で比較されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像解析部は、複数種類の共通領域を判別することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像解析部はさらに、前記共通領域以外の領域であって前記共通領域を有するページの数よりも少ない複数ページで使用される再利用可能領域を判別し、
前記画像処理部はさらに、前記再利用可能領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記再利用可能領域に対して、印刷のための画像処理を施し、
前記画像合成部は、前記画像処理が施された前記共通領域、前記再利用可能領域、および前記固有領域を合成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理部はさらに、前記画像処理装置に入力されたPDLデータを、印刷に使用されるビットマップ形式の画像データよりも低い解像度のビットマップ形式の画像データに変換し、
前記画像解析部は、前記低い解像度のビットマップ形式の画像データをページ内で等分割し、等分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別し、
前記画像処理部は、前記PDLデータにおける前記共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記共通領域、および前記固有領域に対して、印刷に使用されるビットマップ形式の画像データに変換する画像処理を施すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理は、カラーマッチング処理であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像処理は、ディザ処理であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項9】
画像処理方法であって、
画像データをページ内で複数の領域に等分割し、等分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別するステップと、
前記共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記共通領域、および前記固有領域に対して、印刷のための画像処理を施すステップと、
前記画像処理が施された前記共通領域および前記固有領域を合成するステップと、
合成された画像データを印刷部に出力するステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
画像処理プログラムであって、
画像データをページ内で複数の領域に等分割し、等分割された領域同士を各ページ間で比較して、複数ページで共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別する手順と、
前記共通領域を有する複数ページのうちの一のページについての前記共通領域、および前記固有領域の各々に対して、印刷のための画像処理を施す手順と、
前記画像処理が施された前記共通領域および前記固有領域を合成する手順と、
合成された画像データを印刷部に出力する手順と、
をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項12】
画像処理装置であって、
画像データをページ内で複数の領域に等分割し、等分割された領域同士を比較して、複数の領域に共通して使用される共通領域と当該共通領域に該当しない固有領域とを判別する画像解析部と、
前記複数の領域に共通する共通領域のうち一つの共通領域、および前記固有領域に対して、印刷のための画像処理を施す画像処理部と、
前記画像処理が施された前記共通領域および前記固有領域を合成する画像合成部と、
合成された画像データを印刷部に出力する出力部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2008−79208(P2008−79208A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258766(P2006−258766)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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