説明

画像処理装置、画像処理方法、ならびに、プログラム

【課題】オブジェクトが配置された仮想空間内の様子をユーザに提示する際に、オブジェクトの様子を適切に拡大して提示する画像処理装置等を提供する。
【解決手段】画像処理装置201の表示部203は、記憶部202に記憶される視点の位置、視線の方向、拡大率に基づいて、所定の時間間隔おきに、仮想空間内を見た様子を表す画像を生成して、画面に表示し、更新部204は、所定の拡大条件が満たされると、拡大率を時間の経過とともに、第1の値から第2の値に至り、その後、当該第2の値を所定の時間維持し、その後、時間の経過とともに、当該第2の値から第3の値に至るように、記憶部202を更新する。ここで、第1の値は第2の値より小さく、第2の値は第3の値より小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクトが配置された仮想空間内の様子をユーザに提示する際に、オブジェクトの様子を適切に拡大して提示するのに好適な画像処理装置、画像処理方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、3次元グラフィックスの手法を用いて、キャラクターや各種の物体など、種々のオブジェクトが配置された仮想空間の様子をユーザに提示する技術が提案されている。たとえば、以下に掲げる特許文献1においては、仮想空間内に配置されたキャラクターの様子を3次元グラフィックスにより描画する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4228646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、仮想空間の様子を観察する際に、ズームイン/ズームアウトの操作によって拡大率を変化させると、注目しているオブジェクトが視界から外れる等して、見えにくくなってしまうことがある。したがって、拡大率の変化の際に、ユーザが注目しているオブジェクトを見失わないような技術が強く求められている。
【0005】
このほか、オブジェクトが複数配置されている場合には、注目しているオブジェクト以外のオブジェクトについても、ユーザに適切に配置の情報を提示したい場合も多い。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、オブジェクトが配置された仮想空間内の様子をユーザに提示する際に、オブジェクトの様子を適切に拡大して提示するのに好適な画像処理装置、画像処理方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
【0008】
本発明の第1の観点に係る画像処理装置は、記憶部、表示部、更新部を備え、以下のように構成する。
【0009】
すなわち、記憶部には、仮想空間における視点の位置、当該視点から伸びる視線の方向、ならびに拡大率が記憶される。
【0010】
視点の位置、視線の方向、拡大率は、仮想空間の様子を示す画像を生成する際に参照される。これらの情報は、ユーザの操作や所定のアルゴリズムに基づいて適宜変更される。
【0011】
一方、表示部は、所定の時間間隔おきに、視点の位置から視線の方向へ仮想空間内を見た様子を表す画像を、拡大率に基づいて生成して、当該生成された画像を画面に表示する。
【0012】
典型的には、視点の位置から拡大率と1対1に対応付けられる距離だけ視線の方向に離間した位置に、視線の方向と直交する投影面を配置し、視点の位置を中心とするような透視投影を行うことによって、画像を生成する。投影面の大きさが画面の大きさに合致する場合には、投影面と視点との距離が長くなれば拡大率が大きくなり、投影面が視点に近付くと拡大率は小さくなる。
【0013】
なお、平行投影を行う場合には、拡大率は、投影面に含まれる各点の位置と、画面に含まれる各点の位置と、の対応付けを変化させることになる。
【0014】
さらに、更新部は、所定の拡大条件が満たされると、拡大率が、時間の経過とともに、第1の値から第2の値に至り、その後、当該第2の値を所定の時間維持し、その後、時間の経過とともに、当該第2の値から第3の値に至るように、記憶部を更新する。ここで、第1の値は第2の値より小さく、第2の値は第3の値より小さい。
【0015】
所定の拡大条件が満たされる場合、とは、典型的には、現在拡大表示をしておらず(すなわち、拡大率は第3の値ではなく)、ユーザからの拡大指示入力があった場合である。
【0016】
本発明では、仮想空間をズームイン表示する場合、次第に様子が拡大されていくが、途中で一旦拡大が中断する。そして、その後にまた拡大が進むことになる。
【0017】
本発明によれば、仮想空間をズームイン表示する際に、拡大の途中で一旦拡大の中断が行われるので、ユーザは、どちらの方向を拡大しようとしているのかを、中断時点でゆっくり確認することができるようになり、仮想空間の様子をより一層把握しやすくなる。
【0018】
また、本発明の画像処理装置において、更新部は、拡大率が、時間の経過とともに、当該第2の値から第4の値に至り、その後、時間の経過とともに、当該第4の値から当該第3の値に至るように、記憶部を更新し、第3の値は第4の値より小さいように構成することができる。
【0019】
本発明では、仮想空間をズームイン表示する場合、次第に様子が拡大されていくが、途中で一旦拡大が中断する。そして、その後にまた拡大が進む。その後、表示が縮小されて、拡大率の変化が止まることになる。現実世界では、遠方の物体にピントを合わせるときに、ピントが合う場所を前後に移動させて調整するのが一般的であるが、本発明は、これをシミュレートするものである。
【0020】
本発明によれば、仮想空間のズームイン処理において、人間がピントを合わせる際に類似した表示をすることによって、仮想空間に対するユーザの没入度を高めるとともに、拡大率の変化が終了することを適切に予告できるようになる。
【0021】
また、本発明の画像処理装置において、所定の拡大条件が満たされると、更新部は、仮想空間内に配置されている複数のオブジェクトから、視線に最も近い第1のオブジェクトを選択し、拡大率が第3の値に至る時点で、視線が、第1のオブジェクトを向くように、記憶部を更新するように構成することができる。
【0022】
ここで、視線に最も近いオブジェクトとは、視点からオブジェクトへ伸びる半直線と、視点から伸びる視線と、のなす角度が最も小さいものを意味する。当該角度が最も小さいということは、ユーザがそのオブジェクトを注目していると予想できるからである。
【0023】
なお、上記の角度が一定の閾値以下の場合にのみ、視線の方向を調整し、いずれのオブジェクトについても、上記の角度が一定の閾値を超える場合には、どのオブジェクトにも注目していない、と判断して、視線の方向の更新を行わないこととしても良い。
【0024】
本発明によれば、ズームインされた後の拡大表示において、ユーザが注目しているであろうオブジェクトが画面の中央付近に表示されるので、拡大の際にユーザがオブジェクトを見失うことを防止できるようになる。
【0025】
また、本発明の画像処理装置において、更新部は、第1のオブジェクトにあらかじめ対応付けられた値から、第3の値を定めるように構成することができる。
【0026】
たとえば、各オブジェクトには、その大きさの情報が割り当てられているから、そのオブジェクトが投影面において最終的にほぼ同じ大きさで表示されるような拡大率を第3の値として設定する手法が考えられる。
【0027】
本発明によれば、オブジェクトをユーザにとって見やすいであろう拡大率でズームイン表示することができるようになる。
【0028】
また、本発明の画像処理装置において、所定の拡大条件が満たされると、更新部は、仮想空間内に配置されている複数のオブジェクトのうち、視線の近傍に配置されているオブジェクトの分布に基づいて、第2の値を定めるように構成することができる。
【0029】
ここで、視線の近傍とは、上記の角度が一定の閾値以下であるような領域、すなわち、視線を頂点とし視線を中心軸とする錐体に包含される領域とするのが典型的である。
【0030】
たとえば、第2の値として、これらの近傍のオブジェクトが画像の中でほどよく配置されるような拡大率を選ぶこととする。「ほどよく配置される」とは、近傍のオブジェクトがすべて画像内に描画され、しかも、画像内における縦横の広がりが、ある一定の範囲に含まれるような状況をいう。
【0031】
たとえば、画像内に描画されるオブジェクトのうち、最左のオブジェクト、最右のオブジェクト、最上のオブジェクト、最下のオブジェクトのいずれか3つは、画像の縁から一定の距離以上離間しており、残りの1つは、画像の縁から一定の距離だけ離間しているような拡大率を選ぶ等である。このほか、後述する手法など、種々の態様を採用することができる。
【0032】
本発明によれば、ズームインにおいて拡大が一旦中断するときに、ユーザは、視線方向のオブジェクトの配置の概要を詳細に確認することができるので、仮想空間内の様子を適切に把握することができるようになる。
【0033】
また、本発明の画像処理装置において、所定の拡大条件が満たされると、更新部は、仮想空間内に配置されている複数のオブジェクトのうち、視線の近傍に配置されているオブジェクトの分布に基づいて、視線の方向が変化する軌跡を定め、時間の経過とともに、視線の方向が当該軌跡に沿って変化するように記憶部を更新するように構成することができる。
【0034】
たとえば、視線の近傍にある各オブジェクトへの視点からの単位方向ベクトルの平均もしくは総和を取れば、その方向は、近傍オブジェクトの分布の中心方向と考えることができる。そこで、視線の方向が、時間の経過とともに、当初の方向から近傍オブジェクトの分布の中心方向を経て第1オブジェクトの方向に至るように、視線の方向が変化する軌跡を定めることとすれば良い。
【0035】
このほか、第1オブジェクト以外の近傍オブジェクトについて、単位方向ベクトルの平均または総和をとって、分布の中心方向を求める手法や、後述する手法など、種々の態様を採用することができる。
【0036】
本発明によれば、ユーザは、ズームインにおいて、視線方向のオブジェクトの分布に基づいて定められた視線方向で、オブジェクトの配置の概要を確認することができるので、仮想空間内の様子を適切に把握することができるようになる。
【0037】
また、本発明の画像処理装置において、所定の拡大条件が満たされると、更新部は、仮想空間内に配置されている複数のオブジェクトから、視線に2番目に近い第2のオブジェクトを選択し、視点の位置から第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとを見込む角度に基づいて、第2の値を定めるように構成することができる。
【0038】
上記の説明では、近傍のオブジェクトとして、視点とオブジェクトを結ぶ線と視線とのなす角が一定の値以下のものを選択する例をとりあげたが、本発明は、近傍のオブジェクトとして、最も視線に近いものと、次に視線に近いものの2つをとりあげる手法である。
【0039】
本発明によれば、ズームインの途中で拡大率の変化が中断する際に、視線に近い2つのオブジェクトがほどよい拡大率で表示されるので、ユーザは、視線の方向に存在するオブジェクトの様子を適切に把握することができるようになる。
【0040】
また、本発明の画像処理装置において、更新部は、視線の方向が、時間の経過とともに、第2のオブジェクトと交差する方向に至り、その後、時間の経過とともに、第1のオブジェクトと交差する方向に至るように、記憶部を更新するように構成することができる。
【0041】
上記の説明では、近傍オブジェクトの平均方向を利用して視線の方向が移動する経路を定める例をとりあげたが、本発明は、近傍のオブジェクトとして、最も視線に近いものと、次に視線に近いものの2つをとりあげる手法である。
【0042】
本発明によれば、ズームインの途中で視線に2番目に近いオブジェクトが画面の中心に表示された後に、視線に最も近いオブジェクトが画面の中心に表示されるので、ユーザは、視線の方向に存在するオブジェクトの様子を適切に把握することができるようになる。
【0043】
本発明のその他の観点に係る画像処理方法は、仮想空間における視点の位置、当該視点から伸びる視線の方向、ならびに拡大率が記憶される記憶部、表示部、更新部を有する画像処理装置が実行し、表示工程、更新工程を備え、以下のように構成する。
【0044】
すなわち、表示工程では、表示部が、所定の時間間隔おきに、視点の位置から視線の方向へ仮想空間内を見た様子を表す画像を、拡大率に基づいて生成して、当該生成された画像を画面に表示する。
【0045】
一方、更新工程では、更新部が、所定の拡大条件が満たされると、拡大率が、時間の経過とともに、第1の値から第2の値に至り、その後、当該第2の値を所定の時間維持し、その後、時間の経過とともに、当該第2の値から第3の値に至るように、記憶部を更新する。ここで、第1の値は第2の値より小さく、第2の値は第3の値より小さい。
【0046】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、コンピュータを上記の画像処理装置として機能させるように構成する。
【0047】
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体に記録することができる。
【0048】
上記プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記憶媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、オブジェクトが配置された仮想空間内の様子をユーザに提示する際に、オブジェクトの様子を適切に拡大して提示するのに好適な画像処理装置、画像処理方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】典型的な情報処理装置の概要構成を示す説明図である。
【図2】実施形態に係る画像処理装置の概要構成を示す説明図である。
【図3】実施形態に係る画像処理装置にて実行される画像処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施形態におけるズームイン時の拡大率の変化を示すグラフである。
【図5】実施形態におけるズームアウト時の拡大率の変化を示すグラフである。
【図6】画面に表示される画像の様子を示す説明図である。
【図7】画面に表示される画像の様子を示す説明図である。
【図8】画面に表示される画像の様子を示す説明図である。
【図9】画面に表示される画像の様子を示す説明図である。
【図10】画面に表示される画像の様子を示す説明図である。
【図11】視線と領域の移動の様子を示す説明図である。
【図12】画面に表示される画像の様子を示す説明図である。
【図13】画面に表示される画像の様子を示す説明図である。
【図14】画面に表示される画像の様子を示す説明図である。
【図15】視線の移動経路の実施形態を示す説明図である。
【図16】視線の移動経路の実施形態を示す説明図である。
【図17】視線の移動経路の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、ゲーム用の情報処理装置を利用して本発明が実現される実施形態を説明するが、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。
【0052】
したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0053】
図1は、プログラムを実行することにより、本実施形態の画像処理装置として機能しうる典型的な情報処理装置の概要構成を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0054】
本図に示す情報処理装置100は、いわゆるコンシューマゲーム機に相当するもので、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、インターフェース104、コントローラ105、外部メモリ106、画像処理部107、DVD−ROM(Digital Versatile Disc ROM)ドライブ108、NIC(Network Interface Card)109、音声処理部110、マイク111、ハードディスク(Hard Disk;HD)121を有する。各種の入出力装置は、適宜省略することができる。
【0055】
情報処理装置100を典型的なコンシューマゲーム機として機能させる場合には、ゲーム用プログラムおよびデータを記憶したDVD−ROMをDVD−ROMドライブ108に装着し、電源を投入する。すると、当該ゲームプログラムが実行され、ゲームをプレイすることができるようになる。
【0056】
ただし、本実施形態においては、典型的には、DVD−ROMドライブ108に装着されたDVD−ROMから、アプリケーションをHD 121にインストールする。そして、当該HD 121に記憶されたプログラムを実行することによって、ゲームを含む各種のアプリケーションを実行することとする。
【0057】
なお、携帯型の画像処理装置においては、携帯可能とするために、DVD−ROMドライブ108を利用するのではなく、ROMカセット用スロットにEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)カセットを装着して、HD 121を省略したりすることも可能である。この場合、アプリケーション用プログラムをEEPROMカセットに書き込んだ上で、当該プログラムを実行することとなる。このほか、外部メモリ106にアプリケーション用プログラムをインストールすることも可能である。
【0058】
さて、CPU 101は、情報処理装置100全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。また、CPU 101は、レジスタ(図示せず)という高速アクセスが可能な記憶域に対してALU(Arithmetic Logic Unit)(図示せず)を用いて加減乗除等の算術演算や、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算などを行うことができる。さらに、マルチメディア処理対応のための加減乗除等の飽和演算や、三角関数等、ベクトル演算などを高速に行えるように、CPU 101自身が構成されているものや、コプロセッサを備えて実現するものがある。
【0059】
ROM 102には、電源投入直後に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録され、これが実行されることにより、DVD−ROMに記録されたプログラムをRAM 103に読み出してCPU 101による実行が開始される。また、ROM 102には、情報処理装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータが記録される。
【0060】
RAM 103は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、HD 121やDVD−ROM等から読み出したプログラムやデータ、その他通信対戦ゲームの進行やチャット通信に必要なデータが保持される。また、CPU 101は、RAM 103に変数領域を設け、当該変数に格納された値に対して直接ALUを作用させて演算を行ったり、RAM 103に格納された値を一旦レジスタに格納してからレジスタに対して演算を行い、演算結果をメモリに書き戻す、などの処理を行う。
【0061】
インターフェース104を介して接続されたコントローラ105は、ユーザがゲーム実行の際に行う操作入力を受け付ける。
【0062】
なお、コントローラ105は、必ずしも情報処理装置100に対して外付けにされている必要はなく、一体に形成されていても良い。携帯可能な画像処理装置のコントローラ105は、各種のボタンやスイッチから構成され、これらの押圧操作を操作入力として扱う。このほか、タッチスクリーンを利用した情報処理装置100では、ユーザがペンや指を利用してタッチスクリーンをなぞった軌跡を操作入力として扱う。
【0063】
インターフェース104を介して着脱自在に接続された外部メモリ106には、ゲーム等のプレイ状況(過去の成績等)を示すデータ、ゲームの進行状態を示すデータ、ネットワーク対戦の場合のチャット通信のログ(記録)のデータなどが書き換え可能に記憶される。ユーザは、コントローラ105を介して指示入力を行うことにより、これらのデータを適宜外部メモリ106に記録することができる。
【0064】
上述の通り、アプリケーションプログラムを外部メモリ106にインストールして実行するような形態を採用することもできる。これは、外部メモリ106が大容量である場合に好適である。
【0065】
DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROMには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データが記録される。CPU 101の制御によって、DVD−ROMドライブ108は、これに装着されたDVD−ROMに対する読み出し処理を行って、必要なプログラムやデータを読み出し、これらはRAM 103等に一時的に記憶される。
【0066】
画像処理部107は、DVD−ROMから読み出されたデータをCPU 101や画像処理部107が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを画像処理部107が備えるフレームメモリ(図示せず)に記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され画像処理部107に接続されるモニタ(図示せず)へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。
【0067】
携帯可能な画像処理装置のモニタとしては、小型の液晶ディスプレイを利用するのが典型的であり、コントローラ105としてタッチスクリーンを利用する場合には、当該タッチスクリーンの表示パネルがモニタとして機能する。自宅で遊ぶための画像処理装置のモニタとしては、CRT(Cathode Ray Tube)やプラズマディスプレイなどの表示装置を利用することも可能である。
【0068】
さて、画像演算プロセッサは、2次元の画像の重ね合わせ演算やαブレンディング等の透過演算、各種の飽和演算、スムージング等のぼかし演算を高速に実行できる。
【0069】
また、仮想3次元空間に配置され、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴン情報を、Zバッファ法によりレンダリングして、所定の視点位置から仮想3次元空間に配置されたポリゴンを所定の視線の方向へ俯瞰したレンダリング画像を得る演算の高速実行も可能である。
【0070】
さらに、CPU 101と画像演算プロセッサが協調動作することにより、文字の形状を定義するフォント情報にしたがって、文字列を2次元画像としてフレームメモリへ描画したり、各ポリゴン表面へ描画することが可能である。
【0071】
NIC 109は、情報処理装置100をインターネット等のコンピュータ通信網(図示せず)に接続するためのものであり、LANを構成する際に用いられる10BASE−T/100BASE−T規格にしたがうものや、電話回線を用いてインターネットに接続するためのアナログモデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)モデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネットに接続するためのケーブルモデム等と、これらとCPU 101との仲立ちを行うインターフェース(図示せず)により構成される。
【0072】
また、NIC 109経由でコンピュータ通信網から入手した情報を元に、HD 121等にアプリケーションプログラムをインストールすることも可能である。
【0073】
音声処理部110は、HD 121やDVD−ROMから読み出した音声データをアナログ音声信号に変換し、これに接続されたスピーカ(図示せず)から出力させる。また、CPU 101の制御の下、ゲームの進行の中で発生させるべき効果音や楽曲データを生成し、これに対応した音声をスピーカや、ヘッドホン(図示せず)、イヤフォン(図示せず)から出力させる。
【0074】
音声処理部110では、HD 121やDVD−ROMに記録された音声データがMIDIデータである場合には、これが有する音源データを参照して、MIDIデータをPCMデータに変換する。また、ADPCM形式やOgg Vorbis形式等の圧縮済音声データである場合には、これを展開してPCMデータに変換する。PCMデータは、そのサンプリング周波数に応じたタイミングでD/A(Digital/Analog)変換を行って、スピーカに出力することにより、音声出力が可能となる。
【0075】
さらに、情報処理装置100には、インターフェース104を介してマイク111を接続することができる。この場合、マイク111からのアナログ信号に対しては、適当なサンプリング周波数でA/D変換を行い、PCM形式のディジタル信号として、音声処理部110でのミキシング等の処理ができるようにする。
【0076】
本実施形態で利用する情報処理装置100は、上述のように、HD 121等の大容量外部記憶装置を用いるのが典型的である。HD 121は、ROM 102、RAM 103、外部メモリ106、DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROM等と同じ機能を果たすこともできる。
【0077】
このほか、ユーザからの文字列の編集入力を受け付けるためのキーボードや、各種の位置の指定および選択入力を受け付けるためのマウスなどを接続する形態も採用することができる。また、本実施形態の情報処理装置100にかえて、汎用のパーソナルコンピュータやサーバ用コンピュータ等を利用することもできる。
【0078】
以上で説明した情報処理装置100は、コンシューマ向け画像処理装置に相当するものであるが、各種の入出力処理が可能な電子機器であれば、本発明の画像処理装置を実現することができる。したがって、携帯電話、携帯ゲーム機器、カラオケ装置、一般的なビジネス用コンピュータなど、種々の計算機上で本発明の画像処理装置を実現することが可能である。
【0079】
たとえば、ビジネス用コンピュータは、上記情報処理装置100と同様に、CPU、RAM、ROM、DVD−ROMドライブ、および、NIC、HDを構成要素として有するほか、情報処理装置100よりも簡易な機能を備えた画像処理部を備え、外部記憶装置としてフレキシブルディスク、光磁気ディスク、磁気テープ等が利用できるようになっており、コントローラ105ではなく、キーボードやマウスなどを入力装置として利用するのが典型的である。
【0080】
図2は、本実施形態に係る画像処理装置の概要構成を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0081】
画像処理装置201は、記憶部202、表示部203、更新部204を備え、以下のように構成する。
【0082】
ここで、記憶部202は、RAM 103などにより構成され、記憶部202には、以下のような情報が記憶される。
(a)仮想空間における視点の位置、および、当該視点から伸びる視線の方向。
(b)仮想空間に配置されるオブジェクトの位置、向き、形状や、オブジェクトの表面に貼り付けられるべきテクスチャの情報。本画像処理装置201がゲームに適用される場合には、オブジェクトは、敵キャラクターや味方キャラクターなどを表す。
(c)その他、仮想空間内に配置される各種の「物体」の位置、向き、形状、テクスチャ情報「オブジェクト」は、ユーザが注目すべきものであるのに対して、「物体」は、ユーザが必ずしも注目する必要がない、という観点で区別される。
(d)仮想空間の様子を表す画像を生成する際の拡大率。
【0083】
これらの情報の初期値は、たとえば、DVD−ROMドライブ108に装着されたDVD−ROMなどから読み出され、ユーザの操作や所定のアルゴリズムに基づいて適宜変更される。
【0084】
一方、表示部203は、仮想空間の様子を表す画像を定期的に生成して画面に表示するものであり、CPU 101の制御の下、RAM 103に記憶される情報に基づいて画像処理部107が機能することにより、実現される。したがって、表示部203によって、ユーザは、動画像を見ることができるようになる。
【0085】
さらに、更新部204は、記憶部202に記憶される拡大率の情報を更新するもので、CPU 101がRAM 103と共働することにより実現される。この更新処理は、表示部203の動作と並行して行われ、ユーザは、画面にオブジェクトが表示される大きさが変化する画像、すなわち、仮想空間内をズームイン撮影したかのような画像を見ることができるようになる。
【0086】
図3は、本実施形態に係る画像処理装置にて実行される画像処理の制御の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して説明する。
【0087】
本処理が開始されると、CPU 101は、RAM 103により実現される記憶部202の初期化を行う(ステップS301)。すなわち、視点や視線、オブジェクトや物体の情報は、上記のように、DVD−ROM等から読み出されて初期化され、あるいは、擬似乱数に基づいて初期化される。一方、拡大率は、初期値(第1の値)に初期化される。
【0088】
ついで、CPU 101は、画像処理部107を制御して、記憶部202に記憶される情報に基づいて、視点から視線の方向に、オブジェクトや物体が配置される仮想空間内の様子を見た画像を、設定されている拡大率で生成し、RAM 103に一時的に記憶させる(ステップS302)。
【0089】
仮想空間内の様子を表す画像を生成する際の代表的な手法は、透視投影と平行投影である。
【0090】
透視投影では、現在の拡大率に対応付けられる距離だけ視点から離間した位置に、視線の方向と直交する投影面を配置し、視点とオブジェクト等を結ぶ線分が当該投影面と直交する位置を求めて、その位置を、画像内においてオブジェクト等が描画される位置とする。したがって、通常は、投影面の大きさを画面の大きさと実質的に一致させる。
【0091】
平行投影では、投影面が配置される位置や向きは透視投影と同じであるが、オブジェクト等を通過する直線が投影面と交差する位置を、画像内においてオブジェクト等が描画される位置とする。したがって、拡大率に応じて投影面の大きさを変更することによって、画面内でのオブジェクトの描画位置が変わり、ズームインが可能となる。
【0092】
さらに、CPU 101は、垂直同期割込が生じるまで待機する(ステップS303)。典型的には、垂直同期割込は、1/60秒、もしくは、1/30秒間隔で生じる。当該待機の間、CPU 101は、たとえば仮想空間内のオブジェクトを所定のアルゴリズムにしたがって移動させる等、他の計算処理等を並行してコルーチン的に実行することも可能である。
【0093】
垂直同期割込が生じたら、CPU 101は、画像処理部107を制御して、RAM 103内に生成された画像をフレームメモリに転送し、モニタ等の表示装置に表示させる(ステップS304)。したがって、画像は、一定の時間間隔おきに生成されて画面に表示されることとなる。
【0094】
ついで、CPU 101は、拡大条件が満たされているか否か、すなわち、ズームインを開始すべきか否かを調べる(ステップS305)。本実施例では、拡大条件は、現在の拡大率が第1の値であり、かつ、ユーザがコントローラ105のボタンのうち、拡縮操作に割り当てられたボタンを操作した場合に満たされるものとしている。なお、画像処理装置201がゲームに適用される場合には、ゲームの進行の度合に応じて、適宜拡大条件が設定される等としても良い。
【0095】
拡大条件が満たされている場合(ステップS305;Yes)、CPU 101は、拡大率をどのように変化させるかを決定する(ステップS306)。
【0096】
図4は、本実施形態におけるズームイン時の拡大率の変化を示すグラフである。本グラフの横軸は時間の経過、縦軸は拡大率を表している。以下、本図を参照して説明する。
【0097】
本実施形態では、拡大率は、時間の経過とともに、以下のように変化する。
(a)まず、第1の値から第2の値へと増加していく。
(b)そして、第2の値を、一定の時間維持する。
(c)その後、第2の値から第4の値へと増加していく。
(d)さらに、第4の値から第3の値へと減少する。
(e)第3の値に至ったら、その値を維持する。
【0098】
このように拡大率を変化させることで、ユーザに、あたかも自分で双眼鏡を操作してピント合わせをしているような感覚を与えることができる。
【0099】
以下では、第2の値、第3の値、第4の値を決める手法について説明する。
【0100】
第2の値、第3の値は、本実施形態では適当な定数としているが、これらを、仮想空間内に配置されるオブジェクトの分布や大きさに応じて、適切に設定することとしても良い。後者の詳細については、後述する。
【0101】
また、典型的には、第3の値と第4の値の差は定数である。また、第2の値と第4の値を、第3の値が、所定の内分比で内分するように、第4の値を定めることとしても良い。第3の値と第4の値の差は、倍率を変化させたことがユーザに感知できる程度の微小な差で十分であり、第3の値と第4の値を等しい値に設定しても良い。
【0102】
拡大率の変化の形態を決定した後は、ズームインを開始し、拡大率を、決定した変化に応じて更新して(ステップS307)、ステップS302に戻る。
【0103】
一方、拡大条件が満たされていない場合は(ステップS305;No)、現在のズーム状態を調べる(ステップS308)。現在がズームイン中である場合(ステップS308;ズームイン中)、すなわち、決定した拡大率の変化がまだ完了していない場合には、ステップS307に進んで、さらに拡大率を更新し、ステップS302に戻る。
【0104】
まだズームインを開始していない場合、すなわち、現在の拡大率が第1の値のままである場合(ステップS308;第1の値)、ステップS302に戻る。
【0105】
一方、ズームインが完了している場合、すなわち、現在の拡大率が第3の値を維持している場合(ステップS308;第3の値)、所定の縮小条件が満たされているか否か、すなわち、ズームアウトを開始すべきか否かを調べる(ステップS309)。
【0106】
本実施例では、縮小条件は、現在の拡大率が第3の値を維持しており、かつ、ユーザがコントローラ105のボタンのうち、拡縮操作に割り当てられたボタンを操作した場合に満たされるものとしている。縮小条件が満たされていない場合(ステップS309;No)、ステップS302に戻る。
【0107】
一方、縮小条件が満たされている場合(ステップS309;Yes)、拡大率の変化を決定して(ステップS310)、その変化に応じて拡大率を減少させ(ステップS311)、ズームアウトを開始し、ステップS302に戻る。
【0108】
図5は、本実施形態におけるズームアウト時の拡大率の変化を示すグラフである。本グラフの横軸は時間の経過、縦軸は拡大率を表している。以下、本図を参照して説明する。
【0109】
本図に示すように、本実施形態では、ズームアウト時には、拡大率を第3の値から第1の値へ、一定の速度で減少させ、第1の値に至ったら、その拡大率を維持することとしている。なお、ズームイン時と同様に、第1の値より微小に小さい値にまで拡大率を変化させた後に、第1の値に戻すような変化の形態を採用しても良い。
【0110】
このようにしてズームアウトが開始されると、ステップS308において、現在のズーム状態がズームアウト中であると判定される。この場合(ステップS308;ズームアウト中)、ステップS311に進んで、さらに拡大率を減少方向に更新し、ステップS302に戻る。
【0111】
なお、上記の説明では、ズームイン時には途中で拡大を1回だけ一時中断し、ズームアウト時には縮小の一時中断は行っていないが、これらの回数は、適宜増やすことも可能である。
【0112】
図6、図7、図8、図9は、本実施形態において画面に表示される画像の様子を示す説明図であり、それぞれ、拡大率は、第1の値、第2の値、第4の値、第3の値に相当する。以下、本図を参照して説明する。
【0113】
これらの図に示すように、仮想空間601内には、複数のオブジェクト602が配置されている。なお、本図では、理解を容易にするため、オブジェクト602以外の物体については、図示を省略している。
【0114】
オブジェクト602は、本実施形態の画像処理装置201が適用されるゲームにおける敵キャラクターで、ユーザが注目すべきものであり、オブジェクト602までの距離が異なるので、画面611内に表示されるオブジェクト602の大きさも異なっている。
【0115】
当初は仮想空間601の様子は、図6のように表示されており(第1の値)、図7では、仮想空間601の様子が拡大して表示されるが(第2の値)、図8では、さらに拡大が進み(第4の値)、図9では、少しだけ拡大率が減少している(第3の値)。
【0116】
また、図6には、図7、図8、図9において画面611に表示されているそれぞれの領域607、608、609が、点線で囲まれて表示されている。ここで、領域607は、最も大きく、領域608は、最も小さく、領域609は、領域608を少しだけ大きくしたものとなっている。
【0117】
このように、本実施形態によれば、仮想空間をズームイン表示する場合、次第に様子が拡大されていくが、途中で一旦拡大が中断する。そして、その後にまた拡大が進むことになる。
【0118】
本実施形態によれば、仮想空間をズームイン表示する際に、拡大の途中で一旦拡大の中断が行われるので、ユーザは、どちらの方向を拡大しようとしているのかを、中断時点でゆっくり確認することができるようになり、仮想空間の様子をより一層把握しやすくなる。
【0119】
現実世界では、遠方の目標物にピントを合わせるときに、ピントが合う場所を前後に移動させて調整するのが一般的であるが、3次元グラフィックスでは、ピントがずれて画像がぼける状況を再現すると計算量が莫大なものとなってしまう。そこで、本実施形態では、ピント合わせの様子を簡易にシミュレートするのである。
【0120】
本実施形態によれば、仮想空間のズームイン処理において、人間がピントを合わせる際に類似した表示をすることによって、仮想空間に対するユーザの没入度を高めるとともに、拡大率の変化が終了することを適切に予告できるようになる。
【実施例2】
【0121】
上記の実施例では、ズームイン時に、視線の方向をそのまま維持していたが、本実施形態は、ズームイン時に、視線の方向を適切に変化させるものである。したがって、更新部204は、ズームイン時には、拡大率のみならず、記憶部202に記憶される視線の方向の情報も、適宜更新する。
【0122】
図6に示す表示例では、視線は画面611の中央612を向いているが、そこにはオブジェクト602は配置されていない。しかし、ズームインをする状況として最も典型的なものは、オブジェクト602のうち、ユーザが注目しているものを拡大して、その詳細を見たいと考えた状況である。
【0123】
そこで、本実施形態では、視線に最も近いオブジェクト、すなわち、オブジェクト602のうち、画面611の中央612に最も近い位置に描画されるオブジェクト(以下「最近オブジェクト」という。)602aを選択して、ズームインが完了した時点で、視線の方向が、この最近オブジェクト602aを向くように、視線の方向を時間の経過とともに変化させる。
【0124】
したがって、ズームインが完了した時点で、画面611の中央612に、最近オブジェクト602aが描画されることとなる。
【0125】
一般に、オブジェクトと視線との近さ・遠さの関係は、画面611内に表示されるオブジェクト602の位置と中央612との近さ・遠さの関係と一致する。
【0126】
したがって、本実施形態では、画像生成の際に、各オブジェクト602が画面611内のどの位置に描画されるかの情報を、RAM 103に確保しておき、その情報に基づいて、最近オブジェクト602aを選択する。
【0127】
このほか、仮想空間において、視点の位置からオブジェクトの位置へ向かって伸びる半直線と、視点の位置から伸びる視線と、がなす角度を計算により求め、この角度が小さければ小さいほど、視線に近いオブジェクトである、と認定することとしても良い。
【0128】
この判定基準は、仮想空間に、視点を頂点とし、視線を中心軸とする所定の角度の円錐を配置し、その円錐の内部にオブジェクトが入っていれば「視線に近い」と判断し、オブジェクトが円錐の外部にあれば「視線から遠い」と判断することに相当する。なお、円錐に限らず、四角錐や多角錐など、適当な錐体を採用することもできる。
【0129】
図10は、図6に相当する画面に表示される画像の様子を示す説明図であり、図11は、視線と領域の移動の様子を示す説明図である。以下、これらの図を参照して説明する。
【0130】
これらの図においては、拡大率が第1の値の状態の画面611において、視線が時間の経過とともに、移動する経路631が示されている。経路631は、画面611における中央612から、最近オブジェクト602aへ、まっすぐに移動している。
【0131】
また、図6における領域607、608、609と同様に、領域641、642、643が設定されており、領域641が最も大きく、領域642が最も小さく、領域643は領域642より少しだけ大きい。
【0132】
なお、図10および図11においては、領域641、642、643の中心の位置を理解しやすくするために、対角線を描いており、図11においては、領域641、642、643のそれぞれの中心671、672、673を明示している。ここで、本実施形態では、領域641、642、643のそれぞれの中心671、672、673は、経路631上にある。
【0133】
経路631の上を視線が移動する速度は、典型的には一定の速度とするが、後述するように、適宜その速度を変更することとしても良い。
【0134】
図12、図13、図14は、本実施形態において、画面に表示される画像の様子を示す説明図であり、それぞれ、第2の値、第4の値、第3の値のときに相当する。これらの図においては、理解を容易にするため、符号を省略している。
【0135】
図10、図11における領域641、642、643が、図12、図13、図14のそれぞれにおいて、画面611内に拡大されて表示されている。
【0136】
さて、本態様では、図14に示すように、最終的に、最近オブジェクト602aが画面611内で見やすい大きさで表示されるようにして、ユーザの確認のしやすさを向上させている。
【0137】
このような拡大率の決め方の手法の一つは、記憶部202に記憶されているオブジェクト602の形状から、オブジェクト602の大きさを求め、最近オブジェクト602aが、画面611内で見やすい大きさに表示されるように、第3の値を定める手法である。
【0138】
たとえば、画面611内での見やすい大きさを一定の値とした場合には、これと最近オブジェクト602aの大きさとの比を第3の値とすれば良い。
【0139】
このほか、本実施例では、拡大率が第2の値の段階で、ズームインを一時停止する。したがって、この段階で、ユーザが注目する位置の周辺に、オブジェクト602がどのように分布しているかをわかりやすく提示する手法を採用している。
【0140】
たとえば、図12において、最近オブジェクト602aのほか、画面611の中央612の近傍には、オブジェクト602b、602cが配置されている。
【0141】
そこで、図12に示すように、仮想空間601の様子が第2の値で表示される段階で、オブジェクト602a、602b、602cの配置が、見やすく描画されるように、第2の値を決めるのである。
【0142】
ここで、「近傍」であるか否かは、画面611内においてオブジェクトが描画される位置と、画面611の中央612との距離を求め、これが所定の閾値以下であるか否かにより判定することができる。このほか、上記のように、仮想空間内において、オブジェクトから視点を経て視線方向に至るときの角度に基づいて、「近傍」か否かを判定しても良い。
【0143】
近傍のオブジェクト602a、602b、602cが選択できたら、それらが、図10の画面611において、横方向にどれだけ広がっているか、縦方向にどれだけ広がっているか、を求める。すなわち、近傍オブジェクトを包含する最小の長方形を求め、当該長方形が、画面611内において、見やすい大きさで表示されるように、第2の値を定める。
【0144】
たとえば、画面611内において見やすい幅・高さをあらかじめ定数で定めておき、長方形の幅・高さとのそれぞれの比を求め、この比の一方を、第2の値とすれば良い。仮想空間601に地面があり、その地面上にオブジェクト602が配置されているような場合には、オブジェクト602が描画される高さ方向の広がりは小さいので、長方形の幅と、見やすい幅と、を考慮すれば十分である。
【0145】
さらに視線の移動経路は、上記の態様に限られない。図15、図16、図17は、視線の移動経路の実施形態を示す説明図である。以下、これらの図を参照して説明する。
【0146】
図15では、近傍のオブジェクトのうち、視線に2番目に近いオブジェクト602bを経由してから、視線に最も近いオブジェクト602aに至る経路631が図示されている。視線がオブジェクト602bに至っているときに、拡大率を第2の値とするように、経路631内を視線が移動する速度を定めると、ユーザが注目しているオブジェクト以外にどのようなオブジェクトが近くにあるか、を、ユーザに適切に知らせることができるようになる。
【0147】
図16では、近傍のオブジェクト602a、602b、602cが描画される位置の平均位置651を経由してから、視線に最も近いオブジェクト602aに至る経路631が図示されている。
【0148】
上記のように、画面611内におけるオブジェクト602の描画位置情報をRAM 103内に記憶している場合には、これらの平均(重心)を平均位置651とすれば良い。
【0149】
このほか、仮想空間601において、視点から各近傍オブジェクト602に向かう単位方向ベクトルを求め、これらの平均、あるいは、総和を求めて、求められたベクトルの方向により、平均位置651を定めることとしても良い。
【0150】
図17は、近傍のオブジェクト602a、602b、602cのうち、最近オブジェクト602a以外のオブジェクト602b、602cが描画される位置の平均位置661を経由してから、視線に最も近いオブジェクト602aに至る経路631が図示されている。平均位置661の具体的な求め方は、図15における場合と同様である。
【0151】
視線は、最終的には、最近オブジェクト602aを向くこととなるから、本態様では、拡大率が第2の値のときには、それ以外の近傍オブジェクト602b、602cをユーザに見やすく提示するものである。
【0152】
なお、図15、図16、図17では、画面601内における移動の経路631は、折線状となっているが、たとえばスプライン曲線のような滑らかな経路に沿って、視線の方向を変化させることとしても良い。
【0153】
なお、視線の方向の変化と、拡大率の変化と、は、連動して実行される。したがって、画面611に拡大して表示される領域の中心位置は、いずれの時点であっても、経路631上にある。
【0154】
また、視線の方向の変化に要する総時間と、拡大率の変化に要する総時間とは、一致させるのが典型的であるが、たとえば、ピントを合わせた後に視線の方向を修正した、という状況をユーザに提示したい場合には、視線の方向の変化の総時間を、拡大率の変化に要する総時間よりも、少し長くすれば良い。逆も同様である。
【0155】
このほか、経路631が折線状の場合には、拡大を一時的に中断する時点で、折線の折れ曲がり点(2番目に近いオブジェクト602bの位置、平均位置651、平均位置661等に相当する。)が画面611の中心位置に表示されるように設定すると、近傍オブジェクトの分布を見やすく提示することができる。
【0156】
このほか、最終目的位置である最近オブジェクト602aに視線が至った後、その視線が少しだけ最近オブジェクト602aを行き過ぎてから、最近オブジェクト602aに戻るように、経路631を設定しても良い。行き過ぎ量は、画面内における経路631の全長や、経路631の折れ曲り点から最近オブジェクト602aまでの距離に比例させても良いし、あらかじめ定めた定数としても良い。本態様では、人間が双眼鏡で遠方を見るときに類似する表示が可能となる。
【0157】
このように、本実施形態においては、視線の方向にあるオブジェクトの様子を見やすく表示したり、視線の周囲にあるオブジェクトの分布を見やすく表示することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0158】
以上説明したように、本発明によれば、オブジェクトが配置された仮想空間内の様子をユーザに提示する際に、オブジェクトの様子を適切に拡大して提示するのに好適な画像処理装置、画像処理方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0159】
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 インターフェース
105 コントローラ
106 外部メモリ
107 画像処理部
108 DVD−ROMドライブ
109 NIC
110 音声処理部
111 マイク
121 HD
201 画像処理装置
202 記憶部
203 表示部
204 更新部
601 仮想空間
602 オブジェクト
607 領域
608 領域
609 領域
611 画面
612 中央
631 経路
641 領域
642 領域
643 領域
651 平均位置
661 平均位置
671 領域の中心
672 領域の中心
673 領域の中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間における視点の位置、当該視点から伸びる視線の方向、ならびに拡大率が記憶される記憶部、
所定の時間間隔おきに、前記視点の位置から前記視線の方向へ前記仮想空間内を見た様子を表す画像を、前記拡大率に基づいて生成して、当該生成された画像を画面に表示する表示部、
所定の拡大条件が満たされると、前記拡大率が、時間の経過とともに、第1の値から第2の値に至り、その後、当該第2の値を所定の時間維持し、その後、時間の経過とともに、当該第2の値から第3の値に至るように、前記記憶部を更新する更新部
を備え、
前記第1の値は前記第2の値より小さく、
前記第2の値は前記第3の値より小さい
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記更新部は、前記拡大率が、時間の経過とともに、当該第2の値から第4の値に至り、その後、時間の経過とともに、当該第4の値から当該第3の値に至るように、前記記憶部を更新し、
前記第3の値は前記第4の値より小さい
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像処理装置であって、
前記所定の拡大条件が満たされると、前記更新部は、前記仮想空間内に配置されている複数のオブジェクトから、前記視線に最も近い第1のオブジェクトを選択し、前記拡大率が前記第3の値に至る時点で、前記視線が、前記第1のオブジェクトを向くように、前記記憶部を更新する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記更新部は、前記第1のオブジェクトにあらかじめ対応付けられた値から、前記第3の値を定める
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理装置であって、
前記所定の拡大条件が満たされると、前記更新部は、前記仮想空間内に配置されている複数のオブジェクトのうち、前記視線の近傍に配置されているオブジェクトの分布に基づいて、前記第2の値を定める
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
前記所定の拡大条件が満たされると、前記更新部は、前記仮想空間内に配置されている複数のオブジェクトのうち、前記視線の近傍に配置されているオブジェクトの分布に基づいて、前記視線の方向が変化する軌跡を定め、時間の経過とともに、前記視線の方向が当該軌跡に沿って変化するように前記記憶部を更新する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の画像処理装置であって、
前記所定の拡大条件が満たされると、前記更新部は、前記仮想空間内に配置されている複数のオブジェクトから、前記視線に2番目に近い第2のオブジェクトを選択し、前記視点の位置から前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとを見込む角度に基づいて、前記第2の値を定める
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像処理装置であって、
前記更新部は、前記視線の方向が、時間の経過とともに、前記第2のオブジェクトと交差する方向に至り、その後、時間の経過とともに、前記第1のオブジェクトと交差する方向に至るように、前記記憶部を更新する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
仮想空間における視点の位置、当該視点から伸びる視線の方向、ならびに拡大率が記憶される記憶部、表示部、更新部を有する画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
前記表示部が、所定の時間間隔おきに、前記視点の位置から前記視線の方向へ前記仮想空間内を見た様子を表す画像を、前記拡大率に基づいて生成して、当該生成された画像を画面に表示する表示工程、
更新部が、所定の拡大条件が満たされると、前記拡大率が、時間の経過とともに、第1の値から第2の値に至り、その後、当該第2の値を所定の時間維持し、その後、時間の経過とともに、当該第2の値から第3の値に至るように、前記記憶部を更新する更新工程
を備え、
前記第1の値は前記第2の値より小さく、
前記第2の値は前記第3の値より小さい
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
仮想空間における視点の位置、当該視点から伸びる視線の方向、ならびに拡大率が記憶される記憶部、
所定の時間間隔おきに、前記視点の位置から前記視線の方向へ前記仮想空間内を見た様子を表す画像を、前記拡大率に基づいて生成して、当該生成された画像を画面に表示する表示部、
所定の拡大条件が満たされると、前記拡大率が、時間の経過とともに、第1の値から第2の値に至り、その後、当該第2の値を所定の時間維持し、その後、時間の経過とともに、当該第2の値から第3の値に至るように、前記記憶部を更新する更新部
として機能させ、
前記第1の値は前記第2の値より小さく、
前記第2の値は前記第3の値より小さい
ように機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−39881(P2011−39881A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187864(P2009−187864)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】