説明

画像処理装置、画像処理方法、プログラム、及び電子機器

【課題】肌領域を検出することが可能な範囲で、カメラのゲイン等を調整する。
【解決手段】LED21aは、第1の波長の光を照射し、LED21bは、第2の波長の光を照射し、カメラ22は、被写体の撮像を行ない、制御部41は、被写体に対して第1及び第2の波長の光を照射させない状態で、被写体に対するカメラ22の撮像により得られる外光画像に基づいて、肌領域を検出するための肌検出可能条件を満たす範囲内でカメラ22のパラメータを調整し、算出部42及び2値化部43は、調整後のカメラ22により被写体に対して第1の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第1の撮像画像、及び調整後のカメラ22により被写体に対して第2の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第2の撮像画像に基づいて、肌領域を検出する。本発明は、例えば被写体を撮像した撮像画像から、被写体の形状を検出するコンピュータに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、プログラム、及び電子機器に関し、特に、例えば、ユーザを撮像して得られる撮像画像から肌領域を抽出する場合に用いて好適な画像処理装置、画像処理方法、プログラム、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体を撮像して得られる撮像画像上から、人間の肌を表す肌領域を検出(認識)する肌認識システムが存在する(例えば、非特許文献1を参照)。
【0003】
この肌認識システムでは、波長λ1の光(例えば、870[nm]の近赤外線)を被写体に照射するLED(light emitting diode)、及び波長λ1とは異なる波長λ2の光(例えば、950[nm]の近赤外線)を被写体に照射するLEDが交互に発光される。
【0004】
なお、波長λ1及びλ2の組合せは、例えば、波長λ1の光を人間の肌に照射したときの反射率が、波長λ2の光を人間の肌に照射したときの反射率よりも大きく、人間の肌以外のものに照射したときの反射率は殆ど変わらない組合せである。
【0005】
そして、肌認識システムでは、波長λ1の光を照射するLEDにより、波長λ1の光が被写体に照射されているときに第1の撮像画像が撮像される。
【0006】
また、波長λ2の光を照射するLEDにより、波長λ2の光が被写体に照射されているときに第2の撮像画像が撮像される。
【0007】
そして、第1及び第2の撮像画像に基づいて、第1又は第2の撮像画像の一方から肌領域が検出される。
【0008】
すなわち、上述したように、波長λ1及びλ2の組合せとして、波長λ1の光を人間の肌に照射したときの反射率が、波長λ2の光を人間の肌に照射したときの反射率よりも大きくなる組合せが採用されている。
【0009】
このため、第1の撮像画像上の肌領域を構成する画素の輝度値は比較的大きな値となり、第2の撮像画像上の肌領域を構成する画素の輝度値は比較的小さな値となる。したがって、第1及び第2の撮像画像上の肌領域を構成する画素の輝度値どうしの差分絶対値は、比較的大きな値となる。
【0010】
また、上述したように、波長λ1及びλ2の組合せとして、波長λ1の光を人間の肌以外のものに照射したときの反射率と、波長λ2の光を人間の肌以外のものに照射したときの反射率とは殆ど変わらない組合せが採用されている。
【0011】
このため、第1の撮像画像上の肌領域以外の領域を構成する画素の輝度値と、第2の撮像画像上の肌領域以外の領域を構成する画素の輝度値は、殆ど同一の値となる。したがって、第1及び第2の撮像画像上の肌領域以外の領域を構成する画素の輝度値どうしの差分絶対値は、比較的小さな値となる。
【0012】
よって、肌認識システムでは、例えば、差分絶対値が比較的大きな値となる場合に、対応する領域を肌領域として検出することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】鈴木康弘等著,電学論C(近赤外マルチバンドによる肌検出手法の提案),日本,2007年,127巻4号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、上述した肌認識システムでは、第1及び第2の撮像画像上に生じるノイズや、各LEDの照射光量のばらつき等に起因して、第1及び第2の撮像画像上の肌領域における差分絶対値と、非肌領域(肌領域以外の領域)における差分絶対値とが殆ど同じ値となってしまうことが生じ得る。
【0015】
この場合、肌認識システムでは、差分絶対値の大小に応じて、その差分絶対値に対応する領域が肌領域であるのか、それとも非肌領域であるのかを検出(判定)するようにしているため、肌領域の検出精度が大幅に低下してしまう。
【0016】
そこで、肌領域の検出精度が低下することを防止するために、肌領域における差分絶対値が、非肌領域における差分絶対値よりも十分に大きな値となるようにする必要がある。
【0017】
ところが、肌認識システムから被写体までの距離によっては、肌領域における差分絶対値が、非肌領域における差分絶対値よりも十分に大きな値にできないことがあり、肌領域を精度良く検出可能な検出可能距離が、制限されてしまうことがあった。
【0018】
そこで、被写体を撮像するカメラのゲインを大きくし、第1及び第2の撮像画像上の肌領域における差分絶対値が、非肌領域における差分絶対値よりも十分に大きな値となるようにして、検出可能距離を伸ばすことが考えられる。
【0019】
また、各LEDの照射光量が、肌領域を精度良く検出可能な照射光量に満たない場合、カメラのゲインを大きくして、各LEDの照射光量の不足分を補い、被写体の肌領域を検出することが考えられる。
【0020】
しかしながら、日光や照明(白熱灯や蛍光灯)等による外光を無視して、ゲインを大きくしまうと、カメラによる飽和(白とび等)が生じてしまい、肌領域を精度良く検出できなくなってしまう。
【0021】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、日光や照明等による外光に応じて、カメラのゲイン等を調整するようにして、肌領域を精度良く検出できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の一側面の画像処理装置は、被写体を撮像して得られる撮像画像から前記被写体の肌を表す肌領域を検出する画像処理装置であって、前記被写体に対して第1の波長の光を照射する第1の照射手段と、前記被写体に対して前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を照射する第2の照射手段と、前記被写体の撮像を行なう撮像手段と、前記被写体に対して前記第1及び第2の波長の光を照射させない状態で、前記被写体に対する前記撮像手段の撮像により得られる外光画像に基づいて、前記肌領域を検出するための肌検出可能条件を満たす範囲内で前記撮像手段のパラメータを調整する調整手段と、前記調整手段によりパラメータが調整された前記撮像手段により前記被写体に対して前記第1の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第1の撮像画像、及び前記調整手段によりパラメータが調整された前記撮像手段により前記被写体に対して前記第2の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第2の撮像画像に基づいて、前記肌領域を検出する肌検出手段とを含む画像処理装置である。
【0023】
前記調整手段では、前記外光画像を構成する画素の輝度値が、前記撮像手段の撮像により得ることが可能な最大の輝度値の半分以下となる前記肌検出可能条件を満たす範囲内で前記撮像手段のパラメータを調整することができる。
【0024】
前記調整手段では、前記外光画像を構成する画素の輝度値が、前記撮像手段の撮像により得ることが可能な最大の輝度値の半分となる前記肌検出可能条件を満たす範囲内で前記撮像手段のパラメータを調整することができる。
【0025】
前記調整手段では、前記外光画像を構成する画素の輝度値の平均値に基づいて、前記撮像手段のパラメータを調整することができる。
【0026】
前記調整手段では、前記外光画像を構成する画素の輝度値のうち、画素数が最大の輝度値に基づいて、前記撮像手段のパラメータを調整することができる。
【0027】
前記調整手段では、前記外光画像を構成する画素の輝度値のうち、小さな輝度値の画素から積算して得られる輝度積算数が所定の値となるときの画素の輝度値に基づいて、前記撮像手段のパラメータを調整することができる。
【0028】
前記調整手段では、前記撮像手段のパラメータとして、前記撮像手段のゲイン、受光感度、又は受光時間のうちの少なくとも1つを調整することができる。
【0029】
前記第1及び第2の照射手段では、それぞれ異なる波長の赤外線を照射することができる。
【0030】
前記第1及び第2の照射手段の一方で930[nm]以上の波長の光を照射し、他方で930[nm]未満の光を照射することができる。
【0031】
本発明の一側面の画像処理方法は、被写体を撮像して得られる撮像画像から前記被写体の肌を表す肌領域を検出する画像処理装置の画像処理方法であって、前記画像処理装置は、第1の照射手段と、第2の照射手段と、撮像手段と、調整手段と、肌検出手段とを含み、前記第1の照射手段が、前記被写体に対して第1の波長の光を照射し、前記第2の照射手段が、前記被写体に対して前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を照射し、前記撮像手段が、前記被写体の撮像を行ない、前記調整手段が、前記被写体に対して前記第1及び第2の波長の光を照射させない状態で、前記被写体に対する前記撮像手段の撮像により得られる外光画像に基づいて、前記肌領域を検出するための肌検出可能条件を満たす範囲内で前記撮像手段のパラメータを調整し、前記肌検出手段が、前記調整手段によりパラメータが調整された前記撮像手段により前記被写体に対して前記第1の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第1の撮像画像、及び前記調整手段によりパラメータが調整された前記撮像手段により前記被写体に対して前記第2の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第2の撮像画像に基づいて、前記肌領域を検出するステップを含む画像処理方法である。
【0032】
本発明の一側面のプログラムは、コンピュータを、被写体に対して第1の波長の光、及び前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を照射させない状態で、前記被写体に対する撮像手段の撮像により得られる外光画像に基づいて、前記被写体の肌を表す肌領域を検出するための肌検出可能条件を満たす範囲内で前記撮像手段のパラメータを調整する調整手段と、前記調整手段によりパラメータが調整された前記撮像手段により前記被写体に対して前記第1の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第1の撮像画像、及び前記調整手段によりパラメータが調整された前記撮像手段により前記被写体に対して前記第2の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第2の撮像画像に基づいて、前記肌領域を検出する肌検出手段として機能させるためのプログラムである。
【0033】
本発明の一側面の電子機器は、被写体を撮像して得られる撮像画像から前記被写体の肌を表す肌領域を検出する画像処理装置を内蔵する電子機器であって、前記画像処理装置は、前記被写体に対して第1の波長の光を照射する第1の照射手段と、前記被写体に対して前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を照射する第2の照射手段と、前記被写体の撮像を行なう撮像手段と、前記被写体に対して前記第1及び第2の波長の光を照射させない状態で、前記被写体に対する前記撮像手段の撮像により得られる外光画像に基づいて、前記肌領域を検出するための肌検出可能条件を満たす範囲内で前記撮像手段のパラメータを調整する調整手段と、前記調整手段によりパラメータが調整された前記撮像手段により前記被写体に対して前記第1の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第1の撮像画像、及び前記調整手段によりパラメータが調整された前記撮像手段により前記被写体に対して前記第2の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第2の撮像画像に基づいて、前記肌領域を検出する肌検出手段とを含む電子機器である。
【0034】
本発明の一側面によれば、被写体に対して第1の波長の光、及び第1の波長とは異なる第2の波長の光を照射させない状態で、被写体に対する撮像手段の撮像により得られる外光画像に基づいて、被写体の肌を表す肌領域を検出するための肌検出可能条件を満たす範囲内で撮像手段のパラメータが調整され、パラメータが調整された撮像手段により被写体に対して第1の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第1の撮像画像、及びパラメータが調整された撮像手段により被写体に対して第2の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第2の撮像画像に基づいて、肌領域が検出される。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、日光や照明等による外光に応じて、カメラのゲイン等を調整するようにしたので、肌領域を精度良く検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明を適用した情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】人間の肌に対する分光反射特性の一例を示す図である。
【図3】画像処理装置の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図4】外光画像を構成する画素の輝度値におけるヒストグラムの第1の例を示す図である。
【図5】算出部及び2値化部が行なう処理の一例を示す図である。
【図6】画像処理装置が行う調整処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】外光画像を構成する画素の輝度値におけるヒストグラムの第2の例を示す図である。
【図8】外光画像を構成する画素の輝度値におけるヒストグラムの第3の例を示す図である。
【図9】コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、発明を実施するための形態(以下、本実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.本実施の形態(外光画像の平均輝度に基づいてカメラのゲインを調整する場合の一例)
2.変形例
【0038】
<1.本実施の形態>
[情報処理システム1の構成例]
図1は、本実施の形態である情報処理システム1の構成例を示している。
【0039】
この情報処理システム1は、ユーザの手を用いたジェスチャ(又はポスチャ)に応じて所定の処理を実行するものであり、発光装置21、カメラ22、及び画像処理装置23により構成される。
【0040】
情報処理システム1に対して所定の処理を実行させるため、ユーザは、カメラ22のレンズ面の前で自身の手の形状を変化させる。
【0041】
このとき、情報処理システム1では、ユーザの手の形状を認識し、その認識結果に対応して所定の処理を実行する。
【0042】
なお、本実施の形態では、ユーザは、カメラ22のレンズ面の前で手の形状を変化させるものとし、ユーザは、自身の手を、顔や胸等よりもカメラ22のレンズ面に近い位置に出してジェスチャ(又はポスチャ)を行うものとする。
【0043】
発光装置21は、波長λ1の光(例えば、870[nm]の近赤外線)を照射(発光)するLED21a1及びLED21a2、並びに波長λ1とは異なる波長λ2の光(例えば、950[nm]の近赤外線)を照射するLED21b1及びLED21b2により構成される。
【0044】
なお、以下の説明において、 LED21a1及びLED21a2をそれぞれ区別する必要がない場合には、単にLED21aというとともに、LED21b1及びLED21b2をそれぞれ区別する必要がない場合には、単にLED21bという。
【0045】
発光装置21は、画像処理装置23からの制御にしたがって、LED21aとLED21bとを、例えば交互に発光させる。
【0046】
LED21aとLED21bは、波長λ1及びλ2に対する反射率が同一である被写体(例えば、反射率100[%]の鏡面等)に対して、波長λ1又はλ2のいずれの光を照射した場合にも、カメラ22の撮像により得られる撮像画像の対応する画素どうしの輝度値が同一となるように、例えば交互に発光する。
【0047】
また、LED21aにおける波長λ1と、LED21bにおける波長λ2の組合せは、例えば、波長λ1の光を人間の肌に照射したときの反射率が、波長λ2の光を人間の肌に照射したときの反射率よりも大きく、人間の肌以外のものに照射したときの反射率は殆ど変わらない組合せである。すなわち、この組合せは、人間の肌に対する分光反射特性に基づいて決定される。
【0048】
次に、図2は、人間の肌に対する分光反射特性を示している。
【0049】
なお、この分光反射特性は、人間の肌の色の違い(人種の違い)や状態(日焼け等)等に拘らず、一般性があるものである。
【0050】
図2において、横軸は、人間の肌に照射される照射光の波長を示しており、縦軸は、人間の肌に照射された照射光の反射率を示している。
【0051】
人間の肌に照射された照射光の反射率は、800[nm]付近をピークとして、900[nm]付近から急激に減少し、1000[nm]付近を極小値として再び上昇することが知られている。
【0052】
具体的には、例えば、図2に示されるように、人間の肌に対して、870[nm]の光を照射して得られる反射光の反射率は63[%]であり、950[nm]の光を照射して得られる反射光の反射率は50[%]である。
【0053】
これは、人間の肌について特有のものであり、人間の肌以外の物体(例えば、頭髪や衣服等)では、800乃至1000[nm]付近において、反射率の変化は緩やかとなっていることが多い。
【0054】
本実施の形態では、上述した分光反射特性において、波長λ1及びλ2の組合せとして、例えば、波長λ1を870[nm]とし、波長λ2を950[nm]とする組合せが採用されている。この組合せは、人間の肌に対する反射率の差が比較的大きくなる組合せであって、人間の肌以外の部分に対する反射率の差が比較的小さくなる組合せである。
【0055】
図1に戻り、カメラ22は、外光によって被写体に照射される光の反射光、及びLED21aによって被写体に照射される波長λ1の光の反射光を受光し、その結果得られる第1の撮像画像を、画像処理装置23に供給する。
【0056】
また、カメラ22は、外光によって被写体に照射される光の反射光、及びLED21bによって被写体に照射される波長λ2の光の反射光を受光し、その結果得られる第2の撮像画像を、画像処理装置23に供給する。
【0057】
さらに、カメラ22は、外光によって被写体に照射される光の反射光を受光し、その結果得られる外光画像を、画像処理装置23に供給する。
【0058】
画像処理装置23は、発光装置21及びカメラ22を制御する。すなわち、例えば、画像処理装置23は、カメラ22からの外光画像等に基づいて、カメラ22のゲイン、発光装置21のLED21aやLED21bの照射光量を調整する調整処理を行なう。なお、調整処理の詳細は、図6のフローチャートを参照して後述する。
【0059】
また、画像処理装置23は、カメラ22から供給される第1及び第2の撮像画像の、対応する画素の輝度値の差分絶対値を算出し、算出した差分絶対値に基づいて、第1の撮像画像(又は第2の撮像画像)上の肌領域を検出する。
【0060】
そして、画像処理装置23は、検出した肌領域に基づいて、ユーザの手の形状等を認識し、その認識結果に対応して所定の処理を実行する。
【0061】
[画像処理装置23の構成例]
次に、図3は、画像処理装置23の構成例を示している。
【0062】
この画像処理装置23は、制御部41、算出部42、及び2値化部43により構成される。
【0063】
制御部41は、発光装置21及びカメラ22を制御して、LED21a及びLED21bのいずれも消灯させた状態で、カメラ22による被写体の撮像を行なわせ、その撮像により得られる外光画像を、制御部41に供給させる。
【0064】
制御部41は、カメラ22からの外光画像について、外光画像を構成する画素の輝度値のヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムに基づいて、カメラ22のゲインを調整する。
【0065】
すなわち、例えば、制御部41は、生成したヒストグラムに基づいて、カメラ22が飽和(白とび等)せずに、第1及び第2の撮像画像に生じるノイズや、LED21a及びLED21bの照射光量のばらつき等によっても、肌領域を精度良く検出できる範囲内で、カメラ22のゲインを調整する。
【0066】
次に、図4は、制御部41が生成するヒストグラムの一例を示している。
【0067】
図4において、横軸は輝度値を表しており、縦軸は、外光画像において横軸の輝度値を有する画素の総数を表している。なお、カメラ22は、撮像により、28(=256)階調により表される画像を生成するものとする。したがって、横軸は輝度値として0から255までの値を表している。
【0068】
制御部41は、カメラ22からの外光画像に基づいて、図4に示されたようなヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムに基づいて、外光画像を構成する画素の輝度値の平均値を表す輝度平均値を算出する。
【0069】
そして、例えば、制御部41は、算出した輝度平均値に基づいて、肌領域を精度良く検出可能な範囲内、具体的には、例えば、算出した輝度平均値が、カメラ22の撮像により得ることが可能な最大の輝度値の半分以下となる範囲内で、カメラ22のゲインを調整する。
【0070】
好ましくは、制御部41は、算出した輝度平均値が、外光画像がとり得る最大の輝度値の半分の輝度値となるように、カメラ22のゲインを調整する。
【0071】
すなわち、例えば、制御部41は、図4に示されるように、輝度平均値165(図4において太い縦線で示す)を算出した場合、輝度平均値165を、カメラ22の撮像により得ることが可能な最大の輝度値255の半分の輝度値127(図4において太い点線で示す)となるように、ゲインを調整する。
【0072】
制御部41は、ゲインを調整した後、発光装置21のLED21a及びLED21bを制御して、LED21a及びLED21bを交互に発光させる。また、制御部41は、カメラ22を制御し、カメラ22による被写体の撮像を行わせ、その撮像により得られる第1及び第2の撮像画像を、算出部42に供給させる。
【0073】
さらに、制御部41は、算出部42及び2値化部43を制御して、第1及び第2の撮像画像に基づく肌領域の検出を行わせる。
【0074】
制御部41は、2値化部43からの肌領域の検出結果として、肌領域を検出できたことを表す検出結果を得た場合、LED21a及びLED21bの照射光量を減少させて、肌領域を精度良く検出可能な必要最低限の照射光量となるように調整する。
【0075】
また、制御部41は、LED21a及びLED21bの照射光量を過度に減少させたことに起因して、肌領域の検出ができなくなったために、2値化部43からの肌領域の検出結果として、肌領域を検出できないことを表す検出結果を得た場合、肌領域を検出できるように、カメラ22のゲインを、現在のゲインよりも大きく調整する。
【0076】
制御部41は、カメラ22のゲイン、並びにLED21a及びLED21bの照射光量を調整し終わった後、肌領域の検出結果に基づく処理を行うために、算出部42及び2値化部43を制御して、第1及び第2の撮像画像に基づく肌領域の検出を行わせる。
【0077】
そして、制御部41は、2値化部43からの肌領域の検出結果に基づく処理を行う。すなわち、例えば、制御部41は、2値化部43からの検出結果に基づいて、ユーザのジェスチャやポスチャを認識し、認識したジェスチャ等に対応する処理を行なう。
【0078】
算出部42は、カメラ22からの第1及び第2の撮像画像に対して、LPF(low pass fileter)を用いた平滑化を行う。そして、算出部42は、平滑化後の第1及び第2の撮像画像どうしの差分絶対値を算出し、算出した差分絶対値を画素値とする画素により構成される差分画像を、2値化部43に供給する。
【0079】
2値化部43は、算出部42からの差分画像を2値化し、その結果得られる2値化肌画像に基づいて、第1の撮像画像(又は第2の撮像画像)上の肌領域を検出し、その検出結果を制御部41に供給する。
【0080】
次に、図5は、算出部42及び2値化部43が行なう処理の詳細を示している。
【0081】
算出部42には、カメラ22から、肌領域61a及び非肌領域61b(肌領域61a以外の領域)により構成される第1の撮像画像61、並びに、肌領域62a及び非肌領域62b(肌領域62a以外の領域)により構成される第2の撮像画像62が供給される。
【0082】
算出部42は、カメラ22から供給される第1の撮像画像61、及び第2の撮像画像62に対して、LPFを用いた平滑化を行う。そして、算出部42は、平滑化後の第1の撮像画像61、平滑化後の第2の撮像画像62の対応する画素の輝度値どうしの差分絶対値を算出し、その差分絶対値を画素値とする差分画像63を生成し、2値化部43に供給する。
【0083】
2値化部43は、算出部42からの差分画像63に対して、差分画像63を構成する画素の画素値のうち、2値化に用いる2値化閾値以上の画素値を1とし、2値化閾値未満の画素値を0とする2値化を行う。
【0084】
ここで、第1及び第2の撮像画像上に生じるノイズや、LED21a及び21bの照射光量のばらつき等に起因して、差分画像63上の肌領域63aを構成する画素の画素値と、差分画像63上の非肌領域63bを構成する画素の画素値とが、同様の値となってしまい、正確に2値化ができなくなってしまうことを防止する必要がある。
【0085】
このため、差分画像63上の肌領域63aを構成する画素の画素値は、精度良く肌領域を検出可能な肌検出可能値(差分画像63上の非肌領域63bを構成する画素の画素値よりも十分に大きな値)以上となるように、すなわち、肌領域を精度良く検出可能となるように、カメラ22のゲインや、LED21a及びLED21bの照射光量等が調整される。
【0086】
いま、差分画像63における肌領域63aは、肌領域61aと肌領域62aとの差分絶対値を画素値とする画素により構成されているため、肌領域63aを構成する画素の画素値は比較的大きな値となっている。
【0087】
また、差分画像63における非肌領域63bは、非肌領域61bと非肌領域62bとの差分絶対値を画素値とする画素により構成されているため、非肌領域63bを構成する画素の画素値は比較的小さな値となっている。
【0088】
したがって、差分画像63は、2値化部43により行われる2値化により、肌領域63aを構成する画素の画素値が1とされた肌領域64a、及び非肌領域63bを構成する画素の画素値が0とされた非肌領域64bにより構成される2値化肌画像64に変換される。
【0089】
そして、2値化部43は、その2値化により得られる2値化肌画像64上の肌領域64aを、被写体の肌を検出できた旨を表す検出結果とともに、制御部41に供給する。
【0090】
なお、2値化部43は、2値化により得られる2値化肌画像64上に肌領域64aが存在しない場合、すなわち、被写体の肌を検出できなかった場合、その旨を表す検出結果を、制御部41に供給する。
【0091】
[画像処理装置23が行う調整処理の詳細]
次に、図6のフローチャートを参照して、画像処理装置23が行なう調整処理について説明する。
【0092】
ステップS1において、制御部41は、発光装置21及びカメラ22を制御し、発光装置21のLED21a及びLED21bを消灯させた状態で、カメラ22による被写体の撮像を行わせ、その撮像により得られる外光画像を、カメラ22から取得する。
$
ステップS2において、例えば、制御部41は、カメラ22からの外光画像に基づいて、ヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムに基づいて、外光画像を構成する画素の輝度値の輝度平均値を算出する。
【0093】
そして、制御部41は、算出した輝度平均値に基づいて、算出した輝度平均値が、カメラ22の撮像により得ることが可能な最大の輝度値の半分以下となるように、カメラ22のゲインを調整する。
【0094】
好ましくは、制御部41は、算出した輝度平均値が、カメラ22の撮像により得ることが可能な最大の輝度値の半分の輝度値となるように、カメラ22のゲインを調整する。
【0095】
ステップS3において、制御部41は、発光装置21及びカメラ22を制御して、LED21a及びLED21bのうち、LED21aを点灯させた状態で、カメラ22による被写体の撮像を行わせ、その撮像により得られる第1の撮像画像を、算出部42に供給させる。
【0096】
また、制御部41は、発光装置21及びカメラ22を制御して、LED21a及びLED21bのうち、LED21bを点灯させた状態で、カメラ22による被写体の撮像を行わせ、その撮像により得られる第2の撮像画像を、算出部42に供給させる。
【0097】
これにより、算出部42は、カメラ22から第1及び第2の撮像画像を取得する。
【0098】
ステップS4において、算出部42及び2値化部43は、カメラ22の撮像により得られた第1及び第2の撮像画像に基づいて、第1の撮像画像(又は第2の撮像画像)上の肌領域の検出を試みる。
【0099】
すなわち、例えば、算出部42は、カメラ22からの第1及び第2の撮像画像に対して、LPFを用いた平滑化を行う。そして、算出部42は、平滑化後の第1及び第2の撮像画像どうしの差分絶対値を算出し、算出した差分絶対値を画素値とする画素により構成される差分画像を、2値化部43に供給する。
【0100】
2値化部43は、算出部42からの差分画像を2値化し、その結果得られる2値化肌画像に基づいて、第1の撮像画像(又は第2の撮像画像)上の肌領域の検出を試みる。
【0101】
そして、2値化部43は、肌領域を検出できたか否かを表す検出結果を、制御部41に供給する。
【0102】
ステップS5において、制御部41は、2値化部43からの検出結果に基づいて、肌領域を検出できたか否かを判定し、肌領域を検出できなかったと判定した場合、処理をステップS6に進める。
【0103】
ステップS6において、制御部41は、直前のステップS2で調整したゲインが、調整することが可能な最大のゲインであるか否かを判定し、最大のゲインではないと判定した場合、処理をステップS7に進める。
【0104】
ステップS7において、制御部41は、カメラ22を制御して、カメラ22のゲインを、現在設定されているゲインよりも大きくなるように調整し、処理はステップS3に戻り、算出部42は、ゲインが調整された後のカメラ22による撮像により得られる新たな第1及び第2の撮像画像を取得し、それ以降同様の処理が行われる。
【0105】
また、ステップS6において、制御部41は、直前のステップS2で調整したゲインが、調整することが可能な最大のゲインであると判定した場合、これ以上ゲインを大きく調整することができないため、処理をステップS8に進める。
【0106】
ステップS8において、制御部41は、発光装置21を制御して、LED21a及びLED21bの照射光量を所定の値に初期化し、処理をステップS1に戻し、再度、調整処理をやり直す。
【0107】
すなわち、処理がステップS8に進められた場合、後述するステップS10において、LED21a及びLED21bの照射光量を減少させ過ぎたために、肌領域を検出できない事態が生じていると考えられるため、LED21a及びLED21bの照射光量を所定の値に初期化し、再度、調整処理をやり直すようにしている。
【0108】
一方、ステップS5において、制御部41は、2値化部43からの検出結果に基づいて、肌領域を検出できたと判定した場合、処理をステップS9に進める。なお、この場合、2値化部43は、肌領域を検出できた旨を表す検出結果とともに、生成した2値化肌画像、及び算出部42からの差分画像を、制御部41に供給している。
【0109】
ステップS9において、制御部41は、2値化部43からの2値化肌画像及び差分画像に基づいて、LED21a及びLED21bの照射光量が、肌領域を検出するために必要最小限の照射光量であるか否かを判定する。
【0110】
すなわち、例えば、制御部41は、2値化部43からの2値化肌画像に基づいて、2値化部43からの差分画像から、2値化肌画像上の肌領域(例えば、画素値が1である画素により構成される領域)に対応する肌領域を抽出する。
【0111】
そして、制御部41は、抽出した差分画像上の肌領域を構成する画素の画素値が、肌検出可能値(算出部42からの差分画像上の非肌領域を構成する画素の画素値よりも十分に大きな値)と同程度である場合、LED21a及びLED21bの照射光量が必要最小限の照射光量であると判定し、肌検出可能値よりも大きな値である場合、必要最小限の照射光量ではないと判定する。
【0112】
具体的には、例えば、制御部41は、抽出した差分画像上の肌領域を構成する画素の画素値の平均値が肌検出可能値と同程度である場合、必要最小限の照射光量であると判定し、肌検出可能値よりも大きな値である場合、必要最小限の照射光量ではないと判定する。
【0113】
ステップS9において、制御部41は、LED21a及びLED21bの照射光量が、肌領域を検出するために必要最小限の照射光量ではないと判定した場合、処理をステップS10に進める。
【0114】
ステップS10において、制御部41は、発光装置21を制御して、LED21a及びLED21bの照射光量を減少させ、肌領域を検出するために必要最小限の照射光量となるように調整する。
【0115】
すなわち、例えば、制御部41は、カメラ22の撮像により得られる第1及び第2の撮像画像上の肌領域を構成する画素の輝度値が、肌領域を精度良く検出可能な必要最低限の輝度値となるように、つまり、差分画像上の肌領域を構成する画素の画素値の平均値が肌検出可能値と同程度となるように、LED21a及びLED21bの照射光量を調整する。
【0116】
制御部41は、ステップS10の処理の終了後、処理をステップS3に戻す。ステップS3では、算出部42は、照射光量が調整されたLED21a及びLED21bの点灯に応じて、カメラ22から得られる第1及び第2の撮像画像を取得し、それ以降同様の処理が行われる。
【0117】
なお、ステップS9において、制御部41は、LED21a及びLED21bの照射光量が、肌領域を検出するために必要最小限の照射光量であると判定した場合、調整処理を終了させる。
【0118】
以上説明したように調整処理では、例えば、制御部41は、外光画像を構成する画素の輝度値の輝度平均値が、カメラ22の撮像により得られる最大の輝度値の半分の輝度値となるように、カメラ22のゲインを調整するようにした。
【0119】
この場合、制御部41では、肌領域を精度良く検出可能な範囲内、具体的には、例えば、算出した輝度平均値が、カメラ22の撮像により得ることが可能な最大の輝度値の半分以下となる範囲内で、最もゲインが大きくなるように調整することとなるので、肌領域の検出精度を維持しつつ、肌領域を検出可能な検出可能距離を伸ばすことが可能となる。
【0120】
また、調整処理では、肌領域を検出するために必要最小限の照射光量となるように、LED21a及びLED21bの照射光量を減少させるようにしたので、肌領域の検出精度を維持しつつ、LED21a及びLED21bの照射に必要な電力を減らして省電力化を図ることが可能となる。
【0121】
<2.変形例>
本実施の形態において、調整処理では、制御部41が、カメラ22からの外光画像のヒストグラムに基づいて、外光画像の輝度平均値を生成し、生成した輝度平均値に基づいて、カメラ22のゲインを調整するようにしたが、カメラ22のゲインの調整方法はこれに限定されない。
【0122】
すなわち、例えば、制御部41は、図7に示されるように、カメラ22からの外光画像に基づき生成したヒストグラムにおいて、画素数が最大であるときの輝度値を表すピーク値(いまの場合、172)が、カメラ22の撮像により得ることが可能な最大の輝度値の半分以下となるように、カメラ22のゲインを調整するようにしてもよい。
【0123】
なお、制御部41は、図7に示される場合において、輝度値255がピーク値となっている場合には、輝度値が255となっている(飽和している)部分を除外した上でピーク値を算出し、算出したピーク値に基づいて、カメラ22のゲインを調整するようにしてもよい。
【0124】
また、例えば、制御部41は、図8に示されるように、カメラ22からの外光画像に基づき生成したヒストグラムにおいて、値が小さな輝度値を有する画素から順次積算(加算)して得られる画素数を表す画素積算数に基づき特定される輝度値が、カメラ22の撮像により得ることが可能な最大の輝度値の半分以下となるように、カメラ22のゲインを調整することができる。
【0125】
すなわち、例えば、制御部41は、画素積算数が、ヒストグラムにおける総画素数の80パーセントに相当する画素数となるときに積算された画素の輝度値(いまの場合、202)が、カメラ22の撮像により得ることが可能な最大の輝度値の半分以下となるように、カメラ22のゲインを調整することができる。
【0126】
本実施の形態では、制御部41は、外光画像のヒストグラムに基づいて、カメラ22のゲインを調整するようにしたが、カメラ22のゲイン、受光感度、又は露光(受光)時間等の少なくとも1つを調整するように構成することが可能である。
【0127】
また、本実施の形態では、2値化部43は、算出部42からの差分画像63をそのまま2値化するようにしたが、差分画像63を構成する画素の画素値を、それぞれ、第1の撮像画像61を構成する画素のうち、対応する画素の輝度値で正規化(除算)した上で、2値化することが可能である。なお、2値化部43は、第1の撮像画像61に代えて、第2の撮像画像62を用いて差分画像63を正規化した上で2値化するようにしてもよい。
【0128】
本実施の形態では、LED21aにより発光される第1の波長を870[nm]とし、LED21bにより発光される第2の波長を950[nm]としたが、波長の組合せはこれに限定されない。
【0129】
すなわち、波長の組合せとしては、第1の波長における反射率と、第2の波長における反射率との差分絶対値が、ユーザの肌以外のものについて得られる反射率の差分絶対値と比較して、十分に大きくなる組合せであれば、どのような組合せでもよい。
【0130】
具体的には、図2から明らかなように、例えば、870[nm]と950[nm]との組合せの他、800[nm]と950[nm]との組合せ、870[nm]と1000[nm]との組合せ、800[nm]と1000[nm]との組合せ等のように、LED21aが930[nm]未満の波長λ1の照射光を照射し、LED21bが930[nm]以上の波長λ2の照射光を照射するように構成することが可能である。
【0131】
また、本実施の形態において、発光装置21は、LED21a及びLED21bを、それぞれ個別に発光させるようにしたが、LED21a及びLED21bを同時に発光させることにより、第1の撮像画像、及び第2の撮像画像を取得するように構成することが可能である。
【0132】
すなわち、例えば、カメラ22に代えて、カメラ22と同様の機能を有する2台のカメラを近接させた状態で設けるようにし、2台のカメラのうち、一方のカメラの前面には、第1の波長の光のみを通過させるフィルタを設けるとともに、他方のカメラの前面には、第2の波長の光のみを通過させるフィルタを設けるように構成する。
【0133】
この場合、LED21a及びLED21bを同時に発光させたとしても、一方のカメラには、第1の波長の光のみが入射されることから、一方のカメラにおいて、第1の撮像画像を得ることが可能となる。また、他方のカメラには、第2の波長の光のみが入射されることから、他方のカメラにおいて、第2の撮像画像を得ることが可能となる。
【0134】
本実施の形態において、LED21aの個数及びLED21bの個数は、それぞれ、2個であるとして説明したが、それらの個数は、これに限定されない。
【0135】
本実施の形態では、情報処理システム1について説明したが、情報処理システム1を、例えばパーソナルコンピュータ等の電子機器に内蔵し、パーソナルコンピュータは、情報処理システム1により検出される肌領域に対応するジェスチャ等に基づく処理を行うことが可能である。
【0136】
ところで、上述した一連の処理は、専用のハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、いわゆる組み込み型のコンピュータ、又は、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等に、記録媒体からインストールされる。
【0137】
[コンピュータの構成例]
次に、図9は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するパーソナルコンピュータの構成例を示している。
【0138】
CPU(Central Processing Unit)201は、ROM(Read Only Memory)202、又は記憶部208に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM(Random Access Memory)203には、CPU201が実行するプログラムやデータ等が適宜記憶される。これらのCPU201、ROM202、及びRAM203は、バス204により相互に接続されている。
【0139】
CPU201にはまた、バス204を介して入出力インタフェース205が接続されている。入出力インタフェース205には、キーボード、マウス、マイクロホン等よりなる入力部206、ディスプレイ、スピーカ等よりなる出力部207が接続されている。CPU201は、入力部206から入力される指令に対応して各種の処理を実行する。そして、CPU201は、処理の結果を出力部207に出力する。
【0140】
入出力インタフェース205に接続されている記憶部208は、例えばハードディスクからなり、CPU201が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部209は、インターネットやローカルエリアネットワーク等のネットワークを介して外部の装置と通信する。
【0141】
また、通信部209を介してプログラムを取得し、記憶部208に記憶してもよい。
【0142】
入出力インタフェース205に接続されているドライブ210は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等のリムーバブルメディア211が装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータ等を取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記憶部208に転送され、記憶される。
【0143】
コンピュータにインストールされ、コンピュータによって実行可能な状態とされるプログラムを記録(記憶)する記録媒体は、図9に示すように、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disc)を含む)、もしくは半導体メモリ等よりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア211、又は、プログラムが一時的もしくは永続的に格納されるROM202や、記憶部208を構成するハードディスク等により構成される。記録媒体へのプログラムの記録は、必要に応じてルータ、モデム等のインタフェースである通信部209を介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の通信媒体を利用して行われる。
【0144】
なお、本明細書において、上述した一連の処理を記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0145】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0146】
なお、本発明の実施の形態は、上述した本実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0147】
1 情報処理システム, 21 発光装置, 21a,21b LED, 22 カメラ, 23 画像処理装置, 41 制御部, 42 算出部, 43 2値化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して得られる撮像画像から前記被写体の肌を表す肌領域を検出する画像処理装置において、
前記被写体に対して第1の波長の光を照射する第1の照射手段と、
前記被写体に対して前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を照射する第2の照射手段と、
前記被写体の撮像を行なう撮像手段と、
前記被写体に対して前記第1及び第2の波長の光を照射させない状態で、前記被写体に対する前記撮像手段の撮像により得られる外光画像に基づいて、前記肌領域を検出するための肌検出可能条件を満たす範囲内で前記撮像手段のパラメータを調整する調整手段と、
前記調整手段によりパラメータが調整された前記撮像手段により前記被写体に対して前記第1の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第1の撮像画像、及び前記調整手段によりパラメータが調整された前記撮像手段により前記被写体に対して前記第2の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第2の撮像画像に基づいて、前記肌領域を検出する肌検出手段と
を含む画像処理装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記外光画像を構成する画素の輝度値が、前記撮像手段の撮像により得ることが可能な最大の輝度値の半分以下となる前記肌検出可能条件を満たす範囲内で前記撮像手段のパラメータを調整する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記外光画像を構成する画素の輝度値が、前記撮像手段の撮像により得ることが可能な最大の輝度値の半分となる前記肌検出可能条件を満たす範囲内で前記撮像手段のパラメータを調整する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記調整手段は、前記外光画像を構成する画素の輝度値の平均値に基づいて、前記撮像手段のパラメータを調整する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記調整手段は、前記外光画像を構成する画素の輝度値のうち、画素数が最大の輝度値に基づいて、前記撮像手段のパラメータを調整する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記調整手段は、前記外光画像を構成する画素の輝度値のうち、小さな輝度値の画素から積算して得られる輝度積算数が所定の値となるときの画素の輝度値に基づいて、前記撮像手段のパラメータを調整する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記調整手段は、前記撮像手段のパラメータとして、前記撮像手段のゲイン、受光感度、又は受光時間のうちの少なくとも1つを調整する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の照射手段は、それぞれ異なる波長の赤外線を照射する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の照射手段の一方は、930[nm]以上の波長の光を照射し、他方は930[nm]未満の光を照射する
請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
被写体を撮像して得られる撮像画像から前記被写体の肌を表す肌領域を検出する画像処理装置の画像処理方法において、
前記画像処理装置は、
第1の照射手段と、
第2の照射手段と、
撮像手段と、
調整手段と、
肌検出手段と
を含み、
前記第1の照射手段が、前記被写体に対して第1の波長の光を照射し、
前記第2の照射手段が、前記被写体に対して前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を照射し、
前記撮像手段が、前記被写体の撮像を行ない、
前記調整手段が、前記被写体に対して前記第1及び第2の波長の光を照射させない状態で、前記被写体に対する前記撮像手段の撮像により得られる外光画像に基づいて、前記肌領域を検出するための肌検出可能条件を満たす範囲内で前記撮像手段のパラメータを調整し、
前記肌検出手段が、前記調整手段によりパラメータが調整された前記撮像手段により前記被写体に対して前記第1の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第1の撮像画像、及び前記調整手段によりパラメータが調整された前記撮像手段により前記被写体に対して前記第2の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第2の撮像画像に基づいて、前記肌領域を検出する
ステップを含む画像処理方法。
【請求項11】
コンピュータを、
被写体に対して第1の波長の光、及び前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を照射させない状態で、前記被写体に対する撮像手段の撮像により得られる外光画像に基づいて、前記被写体の肌を表す肌領域を検出するための肌検出可能条件を満たす範囲内で前記撮像手段のパラメータを調整する調整手段と、
前記調整手段によりパラメータが調整された前記撮像手段により前記被写体に対して前記第1の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第1の撮像画像、及び前記調整手段によりパラメータが調整された前記撮像手段により前記被写体に対して前記第2の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第2の撮像画像に基づいて、前記肌領域を検出する肌検出手段と
して機能させるためのプログラム。
【請求項12】
被写体を撮像して得られる撮像画像から前記被写体の肌を表す肌領域を検出する画像処理装置を内蔵する電子機器において、
前記画像処理装置は、
前記被写体に対して第1の波長の光を照射する第1の照射手段と、
前記被写体に対して前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を照射する第2の照射手段と、
前記被写体の撮像を行なう撮像手段と、
前記被写体に対して前記第1及び第2の波長の光を照射させない状態で、前記被写体に対する前記撮像手段の撮像により得られる外光画像に基づいて、前記肌領域を検出するための肌検出可能条件を満たす範囲内で前記撮像手段のパラメータを調整する調整手段と、
前記調整手段によりパラメータが調整された前記撮像手段により前記被写体に対して前記第1の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第1の撮像画像、及び前記調整手段によりパラメータが調整された前記撮像手段により前記被写体に対して前記第2の波長の光を照射させたときの撮像で得られる第2の撮像画像に基づいて、前記肌領域を検出する肌検出手段と
を含む
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−160380(P2011−160380A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22814(P2010−22814)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】