説明

画像処理装置、画像処理方法、プログラム、記録媒体、画像処理システム、および、プローブ

【課題】被写体の断面の画像を手軽に取得する。
【解決手段】センサ情報取得部153は、超音波の発生および反射波の受信を行うプローブ111の位置および向きを示す情報を取得する。断面画像生成部155は、被写体の周りの複数の位置においてプローブ111が受信した反射波に基づく複数の超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときのプローブ111の位置および向きに基づいて配置し、合成することにより被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成する。本技術は、例えば、超音波検査装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、画像処理装置、画像処理方法、プログラム、記録媒体、画像処理システム、および、プローブに関し、特に、超音波を用いて被写体の断面の画像を生成する場合に用いて好適な画像処理装置、画像処理方法、プログラム、記録媒体、画像処理システム、および、プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野では超音波検査装置が広く普及してきている。また、近年、超音波の出力パワーを下げることで、非医療機器として一般向けに開発、販売される超音波検査装置も見受けられる(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】福田他、「体脂肪・筋肉量測定を目的としたヘルスケア用超音波エコーの開発」、医療機器学、日本医療機器学会、2008年3月1日、第78巻、第3号、p.113-124
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の超音波検査装置では、医療用、非医療用を問わず、プローブを当てた箇所がピンポイントで画像化される。そのため、例えば、腹部のプローブを当てた箇所の皮下脂肪や筋肉の厚さを計測することはできるが、腹部周り全体の状態を一目で把握することは困難であった。
【0005】
一方、MRI(Magnetic Resonance Imaging)やCT(Computed Tomography)等の技術を用いた医療検査装置を使用すれば、腹部の断面を可視化することが可能である。しかし、そのような医療検査装置は大規模かつ高価であったり、検査するためにベッドに横になる必要があったりして、一般の人が手軽に使用できるものではない。
【0006】
本技術は、腹部等の被写体の断面の画像を手軽に取得できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1の側面の画像処理装置は、超音波の発生および反射波の受信を行うプローブの位置および向きを示す情報を取得する情報取得部と、被写体の周りの複数の位置において前記プローブが受信した反射波に基づく複数の超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置し、合成することにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成する断面画像生成部とを含む。
【0008】
前記断面画像生成部には、さらに前記超音波画像の情報に基づいて、前記超音波画像を配置させることができる。
【0009】
前記断面画像生成部には、前記情報取得部により取得された前記プローブの向きの変化、および、前記超音波画像の情報に基づいて、前記プローブの並進方向の動きを検出し、前記プローブの向き、および、前記プローブの並進方向の動きに基づいて、前記超音波画像を配置させることができる。
【0010】
前記断面画像生成部には、前記プローブの向きの変化に基づいて、2つのフレームの前記超音波画像の座標系を一致させた後、前記2つのフレーム間の前記超音波画像の局所特徴点の動きに基づいて、前記プローブの並進方向の動きを検出させることができる。
【0011】
前記断面画像生成部には、前記プローブの向きの変化に基づいて、2つのフレームの前記超音波画像の座標系を一致させた後、前記2つのフレーム間の前記超音波画像に対してブロックマッチングを行うことにより、前記プローブの並進方向の動きを検出させることができる。
【0012】
前記情報取得部には、前記プローブが前記被写体を押す力を示す情報をさらに取得させ、前記断面画像生成部には、前記プローブが前記被写体を押す力、位置および向きに基づいて、前記断面画像内の前記被写体の断面の前記プローブに押されることにより生じる変形の補正を行わせることができる。
【0013】
前記断面画像生成部には、前記被写体が生体である場合、前記断面画像内の前記身体の内部の各組織を認識させ、認識させた組織毎に前記プローブに押されることにより生じる変形の補正を行わせることができる。
【0014】
前記断面画像生成部には、前記プローブの位置および向きに基づいて、各前記超音波画像を撮影した位置および向きを求めさせ、前記超音波画像を撮影した位置および向きに基づいて、各前記超音波画像を所定の平面上に射影し、前記平面上に射影した画像を合成させることができる。
【0015】
前記情報取得部により取得された情報に基づいて、前記プローブの状態を検出するプローブ状態検出部をさらに設け、前記情報取得部には、複数の種類のセンサから前記プローブの位置および向きを示すデータを取得させ、前記プローブ状態検出部には、複数の前記センサにより取得されたデータの中から、前記プローブの状態の検出に用いるデータを選択させることができる。
【0016】
前記情報取得部により取得された情報に基づいて、前記プローブの状態を検出するプローブ状態検出部をさらに設け、前記情報取得部には、複数の種類のセンサから前記プローブの位置および向きを示すデータを取得させ、前記プローブ状態検出部は、ユーザ設定に基づいて、前記プローブの状態の検出に用いる前記センサの種類を切り替えさせることができる。
【0017】
前記断面画像生成部には、各前記超音波画像の透過率を調整して合成することにより前記断面画像を生成させることができる。
【0018】
前記プローブが受信した反射波に基づいて、超音波画像を生成する超音波画像生成部をさらに設けることができる。
【0019】
前記断面画像とともに、または、前記断面画像の代わりに、前記被写体の断面の状態の分類を示すパターンのうち、該当するパターンを表す画像を表示するように制御する表示制御部をさらに設けることができる。
【0020】
本技術の第1の側面の画像処理方法は、超音波の発生および反射波の受信を行うプローブの位置および向きを示す情報を取得し、前記プローブが受信した反射波に基づく被写体の周りの複数の位置における超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置し、合成することにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成するステップを含む。
【0021】
本技術の第1の側面のプログラムは、超音波の発生および反射波の受信を行うプローブの位置および向きを示す情報を取得し、前記プローブが受信した反射波に基づく被写体の周りの複数の位置における超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置し、合成することにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成するステップを含む処理をコンピュータに実行させる。
【0022】
本技術の第2の側面の画像処理システムは、プローブおよび画像処理装置を備え、前記プローブは、超音波を発生する超音波発生部と、前記超音波発生部が発生させた超音波の反射波を受信する超音波受信部と、前記プローブの位置および向きを検出する検出部とを含み、前記画像処理装置は、前記超音波受信部が受信した反射波に基づいて、超音波画像を生成する超音波画像生成部と、被写体の周りの複数の位置における超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置し、合成することにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成する断面画像生成部とを含む。
【0023】
本技術の第2の側面の画像処理方法は、プローブおよび画像処理装置を備える画像処理システムの前記プローブが、超音波を発生させ、発生させた超音波の反射波を受信し、前記プローブの位置および向きを検出し、前記画像処理装置が、前記プローブが受信した反射波に基づいて、超音波画像を生成し、被写体の周りの複数の位置における複数の超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置し、合成することにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成するステップを含む。
【0024】
本発明の第3の側面のプローブは、超音波を発生する超音波発生部と、前記超音波発生部が発生させた超音波の反射波を受信する超音波受信部と、被写体の周りの複数の位置において前記超音波受信部が受信した反射波に基づく複数の超音波画像を合成するときに前記超音波画像を配置するための、自身の位置および向きを検出する検出部とを含む。
【0025】
前記検出部には、前記プローブが前記被写体を押す力をさらに検出させることができる。
【0026】
本発明の第1の側面においては、超音波の発生および反射波の受信を行うプローブの位置および向きを示す情報が取得され、前記プローブが受信した反射波に基づく被写体の周りの複数の位置における超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置され、合成されることにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像が生成される。
【0027】
本発明の第2の側面においては、超音波を発生され、発生された超音波の反射波が受信され、プローブの位置および向きを検出され、前記プローブが受信した反射波に基づいて、超音波画像が生成され、被写体の周りの複数の位置における複数の超音波画像が、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置され、合成されることにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像が生成される。
【0028】
本発明の第3の側面においては、超音波が発生され、発生された超音波の反射波が受信され、被写体の周りの複数の位置において前記超音波受信部が受信した反射波に基づく複数の超音波画像を合成するときに前記超音波画像を配置するための、自身の位置および向きが検出される。
【発明の効果】
【0029】
本技術の第1乃至第3の側面によれば、被写体の断面の画像を手軽に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本技術を適用した画像処理システムの一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】撮影処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】腹部の撮影時のプローブの動きの例を示す図である。
【図4】断面画像生成処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図5】超音波画像を仮想空間上に配置したイメージを示す模式図である。
【図6】プローブの上下方向の動きを補正する処理を説明するための図である。
【図7】断面画像の一例を示す図である。
【図8】断面画像をデフォルメして表示する例を示す図である。
【図9】断面画像をデフォルメして表示する例を示す図である。
【図10】本技術を適用した画像処理システムの変形例を示すブロック図である。
【図11】断面画像生成部の機能の構成例を示すブロック図である。
【図12】断面画像生成処理の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図13】プローブの移動方向を説明するための図である。
【図14】並進ベクトルの検出方法を説明するための図である。
【図15】超音波画像の合成方法の第1の具体例を説明するための図である。
【図16】超音波画像の合成方法の第2の具体例を説明するための図である。
【図17】超音波画像の合成方法の第3の具体例を説明するための図である。
【図18】超音波画像を変形させてから合成する方法を説明するための図である。
【図19】被撮影者の体位とプローブの移動方向の第1の例を示す図である。
【図20】被撮影者の体位とプローブの移動方向の第2の例を示す図である。
【図21】コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0032】
<1.実施の形態>
[画像処理システム101の構成例]
図1は、本技術を適用した画像処理システム101の構成例を示すブロック図である。
【0033】
画像処理システム101は、超音波を用いて被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成し、表示するシステムである。画像処理システム101は、例えば、超音波検査装置として、人の腹部等の各部位の断面の画像を撮影し、検査する場合に用いられる。
【0034】
画像処理システム101は、プローブ111、画像処理装置112、記録装置113a乃至113c、および、ディスプレイ114を含むように構成される。
【0035】
プローブ111は、超音波送受信部121および検出部122を含むように構成される。
【0036】
超音波送受信部121は、例えば、プローブ111の先端に設けられ、画像処理装置112の超音波制御部151の制御の下に超音波の送受信を行う。超音波送受信部121は、超音波発生装置131および超音波受信装置132を含むように構成される。
【0037】
超音波発生装置131は、超音波制御部151の制御の下に、超音波を発生させる。より具体的には、超音波発生装置131は、例えば、所定の間隔でパルス状の超音波を発振するとともに、超音波の走査を行う。
【0038】
なお、超音波の走査方法には、任意の方法を採用することができる。例えば、放射状に走査するようにしてもよいし、平行に走査するようにしてもよい。放射状に走査した場合、扇形の超音波画像を取得することができ、平行に走査した場合、矩形の超音波画像を取得することができる。
【0039】
超音波受信装置132は、超音波制御部151の制御の下に、超音波発生装置131が発生させた超音波の反射波を受信する。そして、超音波受信装置132は、受信した反射波の強度を測定し、例えば反射波の強度の時系列の測定結果を示すデータ(以下、超音波測定データと称する)を画像処理装置112の超音波画像生成部152に供給する。
【0040】
検出部122は、プローブ111の状態(例えば、位置や向きなど)の検出を行う。検出部122は、加速度センサ141、角速度センサ142、地磁気センサ143、移動量センサ144、気圧センサ145、および、圧力センサ146を含むように構成される。
【0041】
加速度センサ141は、例えば、プローブ111の加速度と傾きを検出する。
【0042】
角速度センサ142は、例えば、プローブ111のピッチ、ヨー、ロールの各方向の回転動作(例えば、角速度や回転角)を検出する。
【0043】
地磁気センサ143は、例えば、地磁気の方向に対するプローブ111の向き(方位)を検出する。
【0044】
移動量センサ144は、例えば、プローブ111の並進方向の移動量を検出する。
【0045】
気圧センサ145は、例えば、プローブ111の高さ方向の位置を検出する。
【0046】
圧力センサ146は、例えば、超音波送受信部121の設置位置付近に設けられる。圧力センサ146は、超音波画像の撮影を行うために被写体にプローブ111を当てたときにプローブ111が被写体を押す力(以下、接触圧と称する)を検出する。
【0047】
そして、検出部122の各センサは、検出結果を示すセンサデータを画像処理装置212のセンサ情報取得部153に供給する。
【0048】
画像処理装置112は、被写体の断面の画像を生成し、ディスプレイ114に表示させる処理を行う。画像処理装置112は、超音波制御部151、超音波画像生成部152、センサ情報取得部153、プローブ状態検出部154、断面画像生成部155、および、表示制御部156を含むように構成される。
【0049】
超音波制御部151は、超音波発生装置131および超音波受信装置132を制御し、プローブ111の超音波の送受信を制御する。
【0050】
超音波画像生成部152は、超音波受信装置132から供給される超音波測定データに基づいて、超音波画像を生成する。
【0051】
従って、超音波発生装置131、超音波受信装置132、超音波制御部151、および、超音波画像生成部152により、超音波を発生させ、その反射波を受信し、受信した反射波に基づいて超音波画像を生成する処理、すなわち、超音波画像の撮影が行われる。
【0052】
超音波画像生成部152は、生成した超音波画像を示す超音波画像データを記録装置113aに保存する。
【0053】
センサ情報取得部153は、プローブ111の位置や向きなどの状態を示す情報を取得する。具体的には、センサ情報取得部153は、プローブ111の各センサから供給されるセンサデータに基づいて、所定の間隔で各センサの検出値のサンプリングを行う。そして、センサ情報取得部153は、各センサの検出値をサンプリングした時刻とともにセンサ情報として記録装置113bに保存する。
【0054】
プローブ状態検出部154は、記録装置113bに保存されているセンサ情報に基づいて、超音波画像を撮影中のプローブ111の状態を検出し、検出結果を断面画像生成部155に供給する。
【0055】
断面画像生成部155は、記録装置113aに保存されている超音波画像、および、超音波画像を撮影中のプローブ111の状態に基づいて、被写体の断面画像を生成する。断面画像生成部155は、生成した断面画像を示す断面画像データを記録装置113cに保存する。
【0056】
表示制御部156は、記録装置113cに保存されている断面画像データに基づいて、被写体の断面画像をディスプレイ114に表示させる。
【0057】
[撮影処理]
次に、図2のフローチャートを参照して、画像処理システム101により実行される撮影処理について説明する。
【0058】
なお、この処理は、例えば、画像処理システム101の図示せぬ操作部を介して、撮影の開始の指令が入力されたとき開始される。
【0059】
なお、以下、画像処理システム101を用いて、人の腹部の断面の撮影を行う場合を例に挙げて説明する。この場合、例えば、図3に示されるように、被撮影者は、腹部の断面を撮影するために、プローブ111を腹部に対してほぼ垂直に当て、矢印A1に示されるように腹部の周りをほぼ水平に一周させる。
【0060】
なお、被撮影者以外の人がプローブ111の操作を行うようにしてもよいし、あるいは、ロボットアームなどを用いて遠隔操作を行うようにしてもよい。
【0061】
ステップS1において、超音波発生装置131は、超音波制御部151の制御の下に、超音波の発生を開始する。例えば、超音波発生装置131は、所定の間隔でパルス状の超音波を発振するとともに、所定の方向に超音波を走査する。
【0062】
ステップS2において、超音波受信装置132は、超音波制御部151の制御の下に、超音波発生装置131が発生させた超音波の反射波の受信を開始する。そして、超音波受信装置132は、受信した反射波の強度を測定し、測定結果を示す超音波測定データを超音波画像生成部152に供給する。
【0063】
ステップS3において、センサ情報取得部153は、センサ情報の取得を開始する。具体的には、センサ情報取得部153は、プローブ111の各センサから供給されるセンサデータに基づいて、所定の間隔で各センサの検出値のサンプリングを行う。そして、センサ情報取得部153は、各センサの検出値をサンプリングした時刻とともにセンサ情報として記録装置113bに保存する。
【0064】
ステップS4において、超音波画像生成部152は、超音波受信装置132から供給される超音波測定データに基づいて、超音波画像を生成する。すなわち、超音波画像生成部152は、被撮影者の腹部のプローブ111が当てられた位置付近の内部の断面を示す2次元の超音波画像を生成する。超音波画像生成部152は、生成した超音波画像を示す超音波画像データを、撮影時刻とともに記録装置113aに保存する。
【0065】
なお、超音波画像の生成方法は、特定の方法に限定されるものではなく、任意の方法を採用することができる。
【0066】
ステップS5において、断面画像生成部155は、断面画像生成処理を実行する。
【0067】
[断面画像生成処理の詳細]
ここで、図4のフローチャートを参照して、ステップS5の断面画像生成処理の詳細について説明する。
【0068】
ステップS51において、プローブ状態検出部154は、記録装置113bに保存されているセンサ情報に基づいて、撮影時のプローブ111の状態を検出する。
【0069】
具体的には、プローブ状態検出部154は、加速度センサ141、角速度センサ142、地磁気センサ143、移動量センサ144、および、気圧センサ145の検出結果に基づいて、現在までのプローブ111の位置と向きの変化(軌跡)を求める。
【0070】
なお、上述したように、各センサの検出値は所定のサンプリング間隔で離散的に取得されている。そこで、プローブ状態検出部154は、必要に応じて各センサの検出値を補間することにより、プローブ111の位置と向きの変化を求める。
【0071】
なお、このとき用いられる補間方法は、特定の方法に限定されるものではなく、例えば、撮影中のプローブ111の動きが滑らかであると仮定して、線形補間やスプライン補間等が行われる。
【0072】
そして、プローブ状態検出部154は、プローブ111の位置と向きの変化に基づいて、最新の超音波画像を撮影するために超音波の発生および反射波の受信を行ったときのプローブ111の位置と向きを検出する。
【0073】
また、プローブ状態検出部154は、圧力センサ146の検出結果に基づいて、最新の超音波画像を撮影するためにプローブ111を腹部に当てたときのプローブ111の接触圧を検出する。
【0074】
そして、プローブ状態検出部154は、撮影時のプローブ111の状態の検出結果を断面画像生成部155に供給する。
【0075】
ステップS52において、断面画像生成部155は、超音波画像を撮影した位置と向きを求める。具体的には、断面画像生成部155は、最新の超音波画像の撮影時のプローブ111の位置と向きに基づいて、最新の超音波画像を撮影した位置(撮影位置)と向き(撮影方向)を計算する。なお、プローブ111の位置および向きと、超音波画像の定位位置(撮影位置と撮影方向)との関係は、既知であるものとする。
【0076】
ステップS53において、断面画像生成部155は、超音波画像を仮想空間に配置する。具体的には、断面画像生成部155は、最新の超音波画像を記録装置113aから読み出す。そして、断面画像生成部155は、最新の超音波画像の撮影位置と撮影方向に基づいて、1フレーム前までの超音波画像が配置されている3次元の仮想空間に、最新の超音波画像を配置する。なお、各超音波画像の相対的な位置関係は、各超音波画像の撮影位置と撮影方向により求めることができる。
【0077】
図5は、腹部の周囲の複数の位置において撮影された超音波画像UI1乃至UI8を、仮想空間上に配置したイメージを示す模式図である。
【0078】
また、断面画像生成部155は、超音波画像の情報に基づいて、超音波画像を配置する位置を調整する。
【0079】
例えば、断面画像生成部155は、最新の超音波画像の特徴点を検出する。そして、断面画像生成部155は、これまでの超音波画像の特徴点の軌跡を追跡することにより、各超音波画像を配置する位置を調整する。
【0080】
例えば、一般的にセンサは並進方向の動きの検出が苦手であり、検出誤差が大きくなる傾向がある。従って、センサ情報だけを用いた場合、超音波画像の位置合わせの精度が悪くなる場合がある。そこで、センサ情報だけでなく、超音波画像の情報も用いることにより、超音波画像の位置合わせの精度が向上する。
【0081】
逆に、一般的に超音波画像はノイズが多いため、超音波画像の情報だけを用いて、精度よく超音波画像の位置合わせを行うのは難しい。そこで、超音波画像の情報だけでなく、センサ情報も用いることにより、超音波画像の位置合わせの精度が向上する。
【0082】
ステップS54において、断面画像生成部155は、断面画像を生成する。すなわち、断面画像生成部155は、仮想空間上に配置した超音波画像を合成することにより、2次元の断面画像を生成する。
【0083】
このとき、断面画像生成部155は、例えば、複数の超音波画像が重なる部分について、重複する画像がぴったり重なるように補正したり、あるいは、重なる部分に用いる画像を選択したりする。
【0084】
また、例えば、超音波画像の数が十分ではなく、配置した超音波画像の間に隙間がある場合、断面画像生成部155は、所定の方法により画像の補間を行う。ここで画像を補間する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
【0085】
例えば、標準的な人の腹部の断面のテンプレート画像を用意しておき、そのテンプレート画像を用いて、画像の補間を行うようにしてもよい。この場合、例えば、年齢、性別、体重など、腹部の断面の形状に影響を与えるパラメータ別に、異なる複数のテンプレート画像を用意しておくことが望ましい。
【0086】
あるいは、例えば、同じ被撮影者について過去に撮影した超音波画像を用いて、画像の補間を行うようにしてもよい。
【0087】
あるいは、例えば、インペインティングやモーフィングなどの画像処理の手法を用いて、画像の補間を行うようにしてもよい。
【0088】
また、プローブ111を手で動かす場合、プローブ111が、図6の左側に示される矢印A11のように腹部の周りを水平に移動せずに、矢印A12のように、波打つように上下動しながら移動することが想定される。この場合、そのまま超音波画像を合成したのでは、腹部を水平に切り取ったようなきれいな断面を再現することは難しい。
【0089】
そこで、断面画像生成部155は、例えば、各超音波画像の撮影位置および撮影方向に基づいて、地面に水平な平面(以下、基準面と称する)に対する各超音波画像の傾きを求める。例えば、水平方向に対するプローブ111の傾きは、角速度センサ142等により検出することが可能である。そして、断面画像生成部155は、基準面上に各超音波画像を射影変換する。例えば、断面画像生成部155は、図6の右側に示されるように、超音波画像UIaの基準面に対する傾きを解消するように超音波画像UIaを基準面上に射影変換した超音波画像UIbを生成する。そして、断面画像生成部155は、基準面上に射影した超音波画像を合成する。
【0090】
これにより、腹部を水平に切り取ったようなきれいな断面を再現することができる。
【0091】
また、一般的に、超音波画像を撮影する場合、プローブ111を皮膚に密着させるように押し当てないと良好な画質の画像を得ることができない。一方、腹部は柔軟なため、プローブ111を押し当てると容易に変形してしまう。
【0092】
また、腹部の断面の観察や検査を行う人は、変形していない状態の腹部の断面を見たい場合が多いと想定され、プローブ111に押されることにより変形した状態の腹部の断面画像をそのまま提示するのは好ましくない場合がある。
【0093】
そこで、断面画像生成部155は、圧力センサ146の検出結果に基づいて、断面画像内の腹部の断面のプローブ111に押されることにより生じる変形の補正を行う。
【0094】
具体的には、断面画像生成部155は、まず断面画像内の腹部の内部の各組織を認識する。例えば、断面画像生成部155は、生成した断面画像のエッジを抽出し、抽出したエッジに基づいて、腹部の断面を複数の領域に分割する。そして、断面画像生成部155は、各領域のテクスチャに基づいて、各領域が身体のどの組織に相当するかを認識する。例えば、真っ白い領域が骨、筋張った領域(白い部分が筋状に写っている領域)が筋肉、霜降りの状態の領域(白い部分がまだらに写っている領域)が脂肪などのように認識される。
【0095】
次に、断面画像生成部155は、プローブ111の位置と向きの変化の検出結果、および、プローブ111の接触圧の検出結果に基づいて、各超音波画像の撮影時にプローブ111が腹部を押していた力(接触圧)、位置および向きを求める。また、断面画像生成部155は、身体の各組織の力学的変形や位置関係等の既知のデータに基づいて、各領域を構成する組織にかかる圧力、並びに、変形度合いと分散具合を推定する。そして、断面画像生成部155は、プローブ111による圧力を取り除いた各領域の形状を推定する。
【0096】
最後に、断面画像生成部155は、断面画像の各領域の形状を推定した形状に補正することにより、変形していない状態の腹部の断面を表す断面画像を生成する。
【0097】
なお、より補正精度を向上させるために、事前に被撮影者の身体の変形パラメータを取得しておき、その変形パラメータに基づく個人差を反映した補正を行うようにしてもよい。
【0098】
また、このステップS54の処理では、まだプローブ111が腹部の周りを一周していない場合、超音波画像を撮影した範囲までの途中経過を示す断面画像が生成される。
【0099】
[撮影処理の続き]
図2に戻り、ステップS6において、断面画像生成部155は、生成した断面画像を示す断面画像データを記録装置113cに保存する。
【0100】
ステップS7において、画像処理システム101は、断面画像を表示する。具体的には、表示制御部156は、断面画像データを記録装置113cから読み出す。そして、表示制御部156は、読み出した断面画像データに基づく断面画像をディスプレイ114に表示させる。
【0101】
図7は、このとき表示される断面画像の一例を模式的に示している。なお、この図では、腹部の内部の組織の図示を省略している。
【0102】
この例では、腹部の断面画像がそのまま表示されるとともに、前後左右の方向が示されている。また、皮下脂肪の厚さを示す矢印A21が示されている。これにより、皮下脂肪の厚さが一目瞭然となる。なお、皮下脂肪の厚さを示す数値をあわせて表示するようにしてもよい。
【0103】
また、例えば、断面画像をそのまま表示せずに、模式的に簡略化した画像(例えば、イラスト調の画像)を表示するようにしてもよい。
【0104】
あるいは、例えば、断面画像の代わりに、腹部の断面の状態の分類を示すパターンのうち、該当するパターンを表す画像(例えば、デフォルメした画像)を表示するようにしてもよい。
【0105】
例えば、図8に示されるように、腹部の断面の形状を複数のパターンに分類して、各パターンの形状を簡単な説明とともに表示するようにしてもよい。
【0106】
さらに、例えば、図9に示されるように、腹部の断面の形状や皮下脂肪の厚さ等に基づいて、腹部の状態を複数のパターンに分類し、各パターンを野菜や果物に例えたキャラクターを、簡単な説明とともに表示するようにしてもよい。なお、他にも、動物や擬人化したキャラクター等を用いるようにしてもよい。
【0107】
なお、断面画像とともに、図8や図9の表示を行うようにしてもよい。
【0108】
ステップS8において、画像処理システム101は、撮影を継続するか否かを判定する。撮影を継続すると判定された場合、処理はステップS4に戻る。
【0109】
その後、ステップS8において、撮影を継続しないと判定されるまで、ステップS4乃至S8の処理が繰り返し実行される。すなわち、超音波画像を撮影し、断面画像を生成し、表示する処理が継続して行われる。
【0110】
なお、超音波画像を撮影し、断面画像を生成する間隔は、例えば、システムの処理能力や、記録装置113a乃至113cの容量等を考慮して決定される。また、画像処理システム101がバッテリで駆動される場合、バッテリの容量等を考慮するようにしてもよい。
【0111】
また、例えば、プローブ111が腹部にきちんと当てられていない等の要因により、最新の超音波画像の画質が悪い場合には、ステップS5乃至S7の処理をスキップし、断面画像の生成および表示を行わないようにしてもよい。
【0112】
一方、ステップS8において、例えば、画像処理システム101の図示せぬ操作部を介して、撮影の終了の指令が入力されたとき、画像処理システム101は、撮影を継続しないと判定し、撮影処理は終了する。
【0113】
以上のようにして、特別な訓練を受けたり、医学的な専門的な知識を有していなくても、腹部の断面画像を簡単な操作により手軽に取得することができる。
【0114】
また、超音波画像の情報だけでなく、センサ情報を用いて、各超音波画像の位置合わせを行い合成するので、精度良く腹部の断面を再現することができる。
【0115】
さらに、プローブ111を腹部の周りを移動させるだけでよいので、例えば、立位、座位、臥位など任意の体位で腹部の断面画像を撮影することができる。
【0116】
また、必ずしもプローブ111を腹部の周りを一周させる必要はなく、一周させない場合には、腹部の断面の一部を示す断面画像を生成することができる。
【0117】
<2.変形例>
以下、本技術の実施の形態の変形例について説明する。
【0118】
[変形例1:本技術の適用対象等の変形例]
以上の説明では、人の腹部を撮影する例を説明したが、本技術は、もちろんそれ以外の部位、例えば、頭部、頸部、胸部、四肢等の断面の撮影を行うことも可能である。また、断面画像を用いて検査を行う対象も特に限定されるものではなく、例えば、皮下脂肪や筋肉以外にも、内蔵、骨、腱、血管等の検査に用いることができる。
【0119】
さらに、本技術は、医療用途および非医療用途のいずれにも用いることが可能である。
なお、非医療用途に用いる場合、例えば、内臓等が写らないように、超音波の周波数と強度を適切に調整できるようにすることが望ましい。
【0120】
また、本技術は、人間だけでなく、例えば、動物や植物、人工物など、超音波により被写体の断面の撮影を行う様々な場面に用いることができる。
【0121】
[変形例2:断面画像の生成タイミングの変形例]
また、以上の説明では、超音波画像を撮影しながら、リアルタイムに断面画像を生成し、表示する例を示したが、先に全ての超音波画像を撮影した後に、断面画像を生成し、表示するようにしてもよい。
【0122】
なお、リアルタイムに断面画像の生成および表示を行うようにした場合、例えば、ユーザは、画像を実際に確認しながら、プローブ111の移動速度や位置を調整して、より望ましい断面画像を取得することが可能になる。
【0123】
[変形例3:超音波画像の撮影とセンサ情報の取得タイミングの変形例]
さらに、超音波画像の撮影とセンサ情報の取得は、同期させるようにしてもよいし、同期させないようにしてもよい。なお、同期させない場合には、後で対応関係が分かるように、超音波画像を撮影した時刻、および、センサ情報を取得した時刻を記録するのが望ましい。
【0124】
[変形例4:センサの種類の変形例]
また、上述したプローブ111に設けるセンサの種類は、その一例であり、必要に応じて、追加したり、省略したり、別の種類のものを用いたりすることが可能である。例えば、被写体の断面の変形を特に補正する必要がない場合、圧力センサ146を省略することが可能である。
【0125】
[変形例5:断層画像を生成する例]
さらに、プローブ111を周回させる方向と垂直な方向にプローブをずらしながら、複数の断面画像を生成し、それらを合成することにより3次元の断層画像を生成するようにしてもよい。例えば、腹部の上下方向の複数の位置において断面画像を生成し、それらを合成することにより腹部の断層画像を生成することが可能である。
【0126】
[変形例6:再撮影を促す例]
また、撮影中に被写体が想定以上に移動する等の要因により、センサ情報に基づいて適切に超音波画像を合成できない場合、再撮影を促すようにしてもよい。
【0127】
[変形例7:超音波画像の生成に使用する情報の変形例]
さらに、本技術では、例えば、超音波画像の情報を用いずに、センサ情報のみを用いて超音波画像を合成し、断面画像を生成するようにすることも可能である。
【0128】
[変形例8:画像処理システムの構成の変形例]
また、例えば、画像処理システム101の各部の配置は、図1の例に限定されるものではなく、任意に変更することが可能である。例えば、プローブ111と画像処理装置112を一体化するようにしてもよい。また、例えば、超音波制御部151および超音波画像生成部152をプローブ111に設けるようにしてもよい。さらに、例えば、記録装置113a乃至113cを一体化したり、画像処理装置112に搭載したりするようにしてもよい。
【0129】
[変形例9:各部間の通信方法等の変形例]
また、各部間の通信は、有線通信により実現してもよいし、無線通信により実現してもよい。
【0130】
例えば、図10は、プローブ211と画像処理装置212との間の通信を無線通信により行うようにした画像処理システム201の構成例を示すブロック図である。なお、図中、図1と対応する部分には、同じ符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0131】
画像処理システム201は、図1の画像処理システム101と比較して、プローブ111および画像処理装置112の代わりに、プローブ211および画像処理装置212が設けられている点が異なる。また、プローブ211は、プローブ111と比較して、インタフェース部231が追加されている点が異なる。さらに、画像処理装置212は、画像処理装置112と比較して、インタフェース部251が追加されている点が異なる。
【0132】
プローブ211のインタフェース部231と画像処理装置212のインタフェース部251は、例えば、所定の方式により無線通信を行う通信装置により構成される。
【0133】
従って、超音波測定データ、および、各センサのセンサデータは、無線通信によりプローブ211から画像処理装置212に送信される。また、画像処理装置212からの超音波発生装置131および超音波受信装置132の制御も無線通信により行われる。
【0134】
これにより、プローブ211と画像処理装置212との間のケーブル等による接続が不要になり、プローブ211の移動の自由度が高くなる。その結果、プローブ211の操作性が向上し、例えば、身体の所望の位置をより簡単に撮影することが可能になる。
【0135】
また、例えば、超音波測定データおよびセンサデータをリムーバブルメディアに記録し、そのリムーバブルメディアを介して画像処理装置112に入力するようにしてもよい。
【0136】
[変形例10:断面画像の生成方法の変形例]
また、図4を参照して上述した断面画像生成処理は、その一例であり、他の方法を用いることも可能である。ここで、図11乃至図18を参照して、断面画像生成処理の変形例について具体的に説明する。
【0137】
図11は、図1の画像処理装置112の断面画像生成部155の機能の構成例を示すブロック図である。
【0138】
断面画像生成部155は、並進ベクトル検出部301、描画位置算出部302、および、合成部303を含むように構成される。
【0139】
並進ベクトル検出部301は、記録装置113aに保存されている超音波画像、および、プローブ状態検出部154により検出されたプローブ111の状態に基づいて、プローブ111の並進方向の動きを検出する。並進ベクトル検出部301は、プローブ111の並進方向の動きの検出結果を描画位置算出部302に供給する。
【0140】
描画位置算出部302は、プローブ状態検出部154により検出されたプローブ111の状態、および、並進ベクトル検出部301により検出されたプローブ111の並進方向の動きに基づいて、超音波画像の描画位置を算出する。描画位置算出部302は、算出した超音波画像の描画位置を合成部303に供給する。
【0141】
合成部303は、描画位置算出部302により算出された描画位置に基づいて、記録装置113aに保存されている超音波画像を合成することにより、被写体の断面画像を生成する。合成部303は、生成した断面画像を示す断面画像データを記録装置113cに保存する。
【0142】
次に、図12のフローチャートを参照して、図2のステップS5の断面画像生成処理の変形例について具体的に説明する。
【0143】
なお、以下、説明を簡単にするために、上述した図3に示されるように、プローブ111を腹部に対して垂直に当て、図13に示されるように、プローブ111を接触面111Aの長辺方向に移動させることにより、腹部の周りを水平に一周させて、超音波画像を撮影する場合について説明する。なお、プローブ111は、接触面の長辺方向に振動子が1次元に配置された1次元アレイプローブにより構成されているものとする。また、十分速いフレームレートに設定するか、プローブ111をゆっくり動かすことにより、図13に示されるように、隣接するフレームの撮影範囲が重なるように超音波画像が撮影されるものとする。
【0144】
ステップS101において、プローブ状態検出部154は、記録装置113bに保存されている地磁気センサ143の検出結果に基づいて、撮影時のプローブ111の方位、すなわち、地磁気の方向に対するプローブ111の向きを検出する。
【0145】
ステップS102において、プローブ状態検出部154は、プローブ111の方位の検出結果に基づいて、前のフレームとのプローブ111の方位の変化量を求める。
【0146】
ここで、図14を参照して、最新のk+1番目のフレームの超音波画像UI(k+1)と1つ前のk番目のフレームの超音波画像UI(k)との間の方位の変化量を求める場合について説明する。例えば、超音波画像UI(k)を撮影したときに地磁気センサ143により検出された方位をθa、超音波画像UI(k+1)を撮影したときに地磁気センサ143により検出された方位をθbとすると、Δθ=θb−θaがプローブ111の方位の変化量として求められる。このΔθは、超音波画像UI(k)を撮影してから超音波画像UI(k+1)を撮影するまでの間のプローブ111の水平方向(ヨー方向)の回転方向の動きを表している。
【0147】
なお、地磁気センサ143により検出される方位は、周囲の磁場等の影響により誤差が生じる可能性があるが、方位の変化量は周囲の磁場等の影響を受けにくい。従って、方位の変化量Δθを求めることにより、プローブ111の水平方向の回転方向の動きを正確に検出することができる。
【0148】
プローブ状態検出部154は、求めたプローブ111の方位の変化量を示す情報を並進ベクトル検出部301に供給する。
【0149】
ステップS103において、並進ベクトル検出部301は、プローブ111の方位の変化量に基づいて、前のフレームの超音波画像を回転させる。
【0150】
例えば、図14に示されるように、超音波画像UI(k)を2次元アフィン変換により回転中心Cを軸にプローブ111の方位の変化量Δθだけ回転させる。これにより、回転後の超音波画像UI(k)’(以下、回転画像UI(k)’と称する)の座標系と超音波画像UI(k+1)の座標系とが一致する。
【0151】
ステップS104において、並進ベクトル検出部301は、前のフレームと現フレームの超音波画像の局所特徴点を検出する。より正確には、並進ベクトル検出部301は、前のフレームの回転画像と現フレームの超音波画像の局所特徴点を検出する。
【0152】
なお、局所特徴点の種類や検出方法には、任意のものを採用することができる。例えば、撮影対象の変形に強く、柔軟な人体組織に適したHarris Cornerが局所特徴点として用いられる。
【0153】
ステップS105において、並進ベクトル検出部301は、前のフレームと現フレームとの間の局所特徴点の動きを追跡する。より正確には、並進ベクトル検出部301は、前のフレームの回転画像と現フレームの超音波画像との間の局所特徴点の動きを追跡する。
【0154】
なお、局所特徴点の動きの追跡方法には、任意のものを採用することができる。例えば、撮影対象の変形に強く、柔軟な人体組織に適したOptical Flow Lucas-Kanade法が用いられる。
【0155】
例えば、図14に示されるように、超音波画像UI(k)と超音波画像UI(k+1)の両方に同じ局所特徴点P1乃至P3が写っている場合、回転画像UI(k)’から局所特徴点P1乃至P3に対応する局所特徴点P1’乃至P3’が検出される。また、超音波画像UI(k+1)から局所特徴点P1乃至P3が検出される。そして、局所特徴点Pa’から局所特徴点Paに向かうベクトルVa、局所特徴点Pb’から局所特徴点Pbに向かうベクトルVb、および、局所特徴点Pc’から局所特徴点Pcに向かうベクトルVcが検出される。
【0156】
ステップS106において、並進ベクトル検出部301は、追跡結果に基づいて、フレーム間の並進ベクトルを求める。すなわち、並進ベクトル検出部301は、ベクトルVa乃至Vcに基づいて、任意の方法により超音波画像UI(k)と超音波画像UI(k+1)との間の並進ベクトルTを求める。例えば、並進ベクトル検出部301は、ベクトルVa乃至Vcのうちの1つを並進ベクトルTに選択したり、ベクトルVa乃至Vcの平均ベクトルを並進ベクトルTとして求めたりする。
【0157】
ステップS107において、並進ベクトル検出部301は、プローブ111の並進ベクトルを求める。具体的には、並進ベクトル検出部301は、ステップS106の処理で求めた並進ベクトルTを反転した逆ベクトルを、プローブ111の並進ベクトルとして求める。この並進ベクトルは、超音波画像UI(k)を撮影してから超音波画像UI(k+1)を撮影するまでの間のプローブ111の並進方向の動きを表している。並進ベクトル検出部301は、求めたプローブ111の並進ベクトルを示す情報を描画位置算出部302に供給する。
【0158】
ステップS108において、描画位置算出部302は、プローブ111の方位と並進ベクトルに基づいて、描画位置を求める。具体的には、描画位置算出部302は、地磁気センサ143により検出されたプローブ111の方位と並進ベクトル検出部301により検出されたプローブ111の並進ベクトルに基づいて、1フレーム前までの超音波画像が配置されている3次元の仮想空間における現フレームの超音波画像の描画位置を求める。
【0159】
例えば、描画位置算出部302は、プローブ111の方位と並進ベクトルに基づいて、1フレーム前の超音波画像と現フレームの超音波画像との間の描画位置の相対的な変化量を求める。そして、描画位置算出部302は、求めた変化量に基づいて、仮想空間における現フレームの超音波画像の描画位置を求める。描画位置算出部302は、求めた現フレームの超音波画像の描画位置を示す情報を合成部303に供給する。
【0160】
ステップS109において、合成部303は、超音波画像を合成する。すなわち、合成部303は、描画位置算出部302により求められた描画位置に現フレームの超音波画像を配置し、現フレームまでの超音波画像を合成することにより、断面画像を生成する。
【0161】
その後、断面画像生成処理は終了する。
【0162】
ここで、図15乃至図17を参照して、超音波画像の合成方法の具体例について説明する。
【0163】
例えば、図15に示されるように、古い超音波画像の上に新しい超音波画像を単純に上書きしていくようにすることが考えられる。この場合、複数の超音波画像が重なる部分が、新しい超音波画像により更新されていく。
【0164】
また、例えば、図16に示されるように、新たに追加する超音波画像のうち1フレーム前までの超音波画像に写っていない部分のみを付け加えていくようにすることが考えられる。これは、新しい超音波画像の上に古い超音波画像を単純に上書きしていく場合と同等である。
【0165】
さらに、例えば、図17に示されるように、各超音波画像の透過率を設定して合成することにより、複数の超音波画像が重なる部分を、重み付けて合成するようにすることが考えられる。なお、各超音波画像の透過率は、固定値としてもよいし、フレーム毎に動的に調整するようにしてもよい。
【0166】
透過率をフレーム毎に動的に調整する場合、例えば、超音波画像に写っている部位の重要度や画質等の評価基準に基づいて、透過率を設定することが考えられる。例えば、臓器などの重要な部位が写っている超音波画像の透過率を低く設定し、当該超音波画像の成分が合成される比率を高くすることが考えられる。また、例えば、ボケ量が大きい超音波画像や射影変換等による補正量が大きい超音波画像など、画質が悪い超音波画像の透過率を低く設定し、当該超音波画像の成分が合成される比率を低くすることが考えられる。これにより、仮に推定した描画位置にズレが生じても、生成される断面画像の粗さを目立たなくすることができる。
【0167】
なお、図15の例は、例えば、各超音波画像の透過率を0%に設定して、古い超音波画像の上に新しい超音波画像を上書きしていくことにより実現可能である。また、図16の例は、上述したように新たに追加する超音波画像のうち1フレーム前までの超音波画像に写っていない部分のみを付け加えていく(上書きする)以外にも、例えば、新たに追加する超音波画像のうち1フレーム前までの超音波画像に写っている部分の透過率を100%に設定し、写っていない部分の透過率を0%に設定して、新しい超音波画像を上書きしていくことにより実現することも可能である。あるいは、図16の例は、例えば、各超音波画像の透過率を0%に設定して、新しい超音波画像の上に古い超音波画像を上書きしていくことにより実現することも可能である。
【0168】
さらに、上述したように人の腹部は柔軟であり、容易に変形してしまうため、合成部分の違和感を減らすために、複数の超音波画像が重なる部分の画像のうち、変形している画像をモーフィング等の画像処理により変形させてから合成することが考えられる。例えば、図18に示されるように、変形した元画像Aからモーフィングを用いて変形前の元画像Bに戻す過程で生成される中間画像を合成するようにすることが考えられる。これにより、仮に推定した描画位置にズレが生じても、生成される断面画像の粗さを目立たなくすることができる。
【0169】
また、図6を参照して上述したように、角速度センサ142等により検出したプローブ111の傾きに基づいて、各超音波画像を基準面上に射影した後、合成するようにすることも可能である。
【0170】
なお、以上の説明では、超音波画像の局所特徴点を用いて並進ベクトルを求める例を示したが、他の方法により、並進ベクトルを求めるようにしてもよい。例えば、ブロックマッチングを用いた動体予測(Motion Estimation)により、フレーム間のグローバル動きベクトルを並進ベクトルして求めるようにしてもよい。この方法は、撮影対象が大きく変形しない場合に特に有効である。すなわち、ブロックマッチングを用いた動体予測は動画圧縮分野で標準的に用いられており、その機能を搭載したCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサも多い。従って、コストや処理速度等のパフォーマンス面で優れた方法であると言える。
【0171】
なお、上述したように腹部の形状は容易に変化するため、ブロックマッチングを行う場合、圧力センサ146の検出結果に基づいて、ブロックを変形させてからマッチングを行うことにより、ブロックマッチングの精度を向上させることができる。
【0172】
また、以上の説明では、1フレーム前の超音波画像を回転させる例を示したが、現フレームの超音波画像を回転させて、2つの超音波画像の座標系を一致させるようにしてもよい。
【0173】
さらに、隣接する(連続する)フレーム間だけでなく、2フレーム以上離れた2つの超音波画像を用いて、並進ベクトルを求めるようにしてもよい。
【0174】
また、以上の説明では、プローブ111の水平方向(ヨー方向)の回転のみを考慮した例を示したが、プローブ111がピッチ方向やロール方向に回転する場合も、同様の方法により、超音波画像の描画位置を求めることができる。
【0175】
なお、上述したように、画像処理システム101では、任意の体位で腹部の断面画像を撮影することができるが、撮影を行う体位によりプローブ111を動かす方向が異なる。例えば、図19に示されるように、被撮影者331が立った状態で撮影する場合、矢印A31で示されるように、被撮影者331の腹部の周りに沿って、地面に対して水平な(鉛直方向に対して垂直な)平面上でプローブ111を回転させることが想定される。また、図20に示されるように、被撮影者331が横になった状態で撮影する場合、矢印A32で示されるように、被撮影者331の腹部の周りに沿って、地面に対して垂直な(鉛直方向に対して水平な)平面上でプローブ111を回転させることが想定される。
【0176】
一方、地磁気センサ143は、地磁気の方向に対するプローブ111の向きを検出するため、図19に示されるように、プローブ111を水平方向に回転させた場合、プローブ111の向きの変化量を精度よく検出することができる。しかし、図20に示されるように、プローブ111を垂直方向に回転させた場合、プローブ111の向きの変化量の検出精度が低下する場合がある。
【0177】
そこで、図20に示されるように、プローブ111を垂直方向に回転させる場合には、例えば、地磁気センサ143の代わりに角速度センサ142により、プローブ111の向きの変化量の検出するようにすればよい。
【0178】
なお、使用するセンサの切り替えは、手動で行うようにしてもよいし、自動で行うようにしてもよい。
【0179】
手動で行う場合、例えば、立位(または座位)撮影モード、臥位撮影モード等の撮影モードを設けて、ユーザが設定するようにすればよい。そして、立位撮影モードに設定された場合、地磁気センサ143を使用し、臥位撮影モードに設定された場合、角速度センサ142を用いるようにすればよい。
【0180】
一方、例えば、先に全ての超音波画像を撮影した後に断面画像を生成する場合には、自動で使用するセンサを切り替えるようにすることが可能である。例えば、超音波画像の撮影中の角速度センサ142および地磁気センサ143の両方のセンサデータを記録装置113bに蓄積しておき、断面画像の生成時に、所定の条件に基づいて、使用するセンサデータを選択するようにすることが可能である。例えば、各センサデータの信頼度を求めて、その信頼度に基づいて、使用するセンサデータを選択するようにすることが可能である。また、例えば、他のセンサにより検出されたプローブ111の移動方向や、被撮影者331の体位に基づいて、使用するセンサデータを選択するようにすることが可能である。
【0181】
なお、他の種類のセンサについても同様に、複数のセンサ間で互いに代用が可能な場合、プローブ状態検出部154が、所定の条件に基づいて、プローブ111の状態の検出に用いるセンサを切り替えるようにすることが可能である。
【0182】
[コンピュータの構成例]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0183】
図21は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0184】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)401,ROM(Read Only Memory)402,RAM(Random Access Memory)403は、バス404により相互に接続されている。
【0185】
バス404には、さらに、入出力インタフェース405が接続されている。入出力インタフェース405には、入力部406、出力部407、記憶部408、通信部409、及びドライブ410が接続されている。
【0186】
入力部406は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部407は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部408は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部409は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ410は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア411を駆動する。
【0187】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU401が、例えば、記憶部408に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース405及びバス404を介して、RAM403にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0188】
コンピュータ(CPU401)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア411に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0189】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア411をドライブ410に装着することにより、入出力インタフェース405を介して、記憶部408にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部409で受信し、記憶部408にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM402や記憶部408に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0190】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0191】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置、手段などより構成される全体的な装置を意味するものとする。すなわち、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0192】
さらに、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0193】
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0194】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0195】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0196】
また、例えば、本技術は以下のような構成も取ることができる。
【0197】
(1)
超音波の発生および反射波の受信を行うプローブの位置および向きを示す情報を取得する情報取得部と、
被写体の周りの複数の位置において前記プローブが受信した反射波に基づく複数の超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置し、合成することにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成する断面画像生成部と
を含む画像処理装置。
(2)
前記断面画像生成部は、さらに前記超音波画像の情報に基づいて、前記超音波画像を配置する
前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)
前記断面画像生成部は、前記情報取得部により取得された前記プローブの向きの変化、および、前記超音波画像の情報に基づいて、前記プローブの並進方向の動きを検出し、前記プローブの向き、および、前記プローブの並進方向の動きに基づいて、前記超音波画像を配置する
前記(2)に記載の画像処理装置。
(4)
前記断面画像生成部は、前記プローブの向きの変化に基づいて、2つのフレームの前記超音波画像の座標系を一致させた後、前記2つのフレーム間の前記超音波画像の局所特徴点の動きに基づいて、前記プローブの並進方向の動きを検出する
前記(3)に記載の画像処理装置。
(5)
前記断面画像生成部は、前記プローブの向きの変化に基づいて、2つのフレームの前記超音波画像の座標系を一致させた後、前記2つのフレーム間の前記超音波画像に対してブロックマッチングを行うことにより、前記プローブの並進方向の動きを検出する
前記(3)に記載の画像処理装置。
(6)
前記情報取得部は、前記プローブが前記被写体を押す力を示す情報をさらに取得し、
前記断面画像生成部は、前記プローブが前記被写体を押す力、位置および向きに基づいて、前記断面画像内の前記被写体の断面の前記プローブに押されることにより生じる変形の補正を行う
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
(7)
前記断面画像生成部は、前記被写体が生体の身体である場合、前記断面画像内の前記身体の内部の各組織を認識し、認識した組織毎に前記プローブに押されることにより生じる変形の補正を行う
前記(6)に記載の画像処理装置。
(8)
前記断面画像生成部は、前記プローブの位置および向きに基づいて、各前記超音波画像を撮影した位置および向きを求め、前記超音波画像を撮影した位置および向きに基づいて、各前記超音波画像を所定の平面上に射影し、前記平面上に射影した画像を合成する
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の画像処理装置。
(9)
前記情報取得部により取得された情報に基づいて、前記プローブの状態を検出するプローブ状態検出部を
さらに含み、
前記情報取得部は、複数の種類のセンサから前記プローブの位置および向きを示すデータを取得し、
前記プローブ状態検出部は、複数の前記センサにより取得されたデータの中から、前記プローブの状態の検出に用いるデータを選択する
前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の画像処理装置。
(10)
前記情報取得部により取得された情報に基づいて、前記プローブの状態を検出するプローブ状態検出部を
さらに含み、
前記情報取得部は、複数の種類のセンサから前記プローブの位置および向きを示すデータを取得し、
前記プローブ状態検出部は、ユーザ設定に基づいて、前記プローブの状態の検出に用いる前記センサの種類を切り替える
前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の画像処理装置。
(11)
前記断面画像生成部は、各前記超音波画像の透過率を調整して合成することにより前記断面画像を生成する
前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の画像処理装置。
(12)
前記プローブが受信した反射波に基づいて、超音波画像を生成する超音波画像生成部を
さらに含む前記(1)乃至(11)のいずれかに記載の画像処理装置。
(13)
前記断面画像とともに、または、前記断面画像の代わりに、前記被写体の断面の状態の分類を示すパターンのうち、該当するパターンを表す画像を表示するように制御する表示制御部を
さらに含む前記(1)乃至(12)のいずれかに記載の画像処理装置。
(14)
超音波の発生および反射波の受信を行うプローブの位置および向きを示す情報を取得し、
前記プローブが受信した反射波に基づく被写体の周りの複数の位置における超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置し、合成することにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成する
ステップを含む画像処理方法。
(15)
超音波の発生および反射波の受信を行うプローブの位置および向きを示す情報を取得し、
前記プローブが受信した反射波に基づく被写体の周りの複数の位置における超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置し、合成することにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
(16)
前記(15)に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(17)
プローブおよび画像処理装置を備え、
前記プローブは、
超音波を発生する超音波発生部と、
前記超音波発生部が発生させた超音波の反射波を受信する超音波受信部と、
前記プローブの位置および向きを検出する検出部と
を含み、
前記画像処理装置は、
前記超音波受信部が受信した反射波に基づいて、超音波画像を生成する超音波画像生成部と、
被写体の周りの複数の位置における超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置し、合成することにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成する断面画像生成部と
を含む画像処理システム。
(18)
プローブおよび画像処理装置を備える画像処理システムの前記プローブが、
超音波を発生させ、
発生させた超音波の反射波を受信し、
前記プローブの位置および向きを検出し、
前記画像処理装置が、
前記プローブが受信した反射波に基づいて、超音波画像を生成し、
被写体の周りの複数の位置における複数の超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置し、合成することにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成する
ステップを含む画像処理方法。
(19)
超音波を発生する超音波発生部と、
前記超音波発生部が発生させた超音波の反射波を受信する超音波受信部と、
被写体の周りの複数の位置において前記超音波受信部が受信した反射波に基づく複数の超音波画像を合成するときに前記超音波画像を配置するための、自身の位置および向きを検出する検出部と
を含むプローブ。
(20)
前記検出部は、前記プローブが前記被写体を押す力をさらに検出する
前記(19)に記載のプローブ。
【符号の説明】
【0198】
101 画像処理システム, 111 プローブ, 112 画像処理装置, 113a乃至113c 記録装置, 114 ディスプレイ, 121 超音波送受信部, 122 検出部, 131 超音波発生装置, 132 超音波受信装置, 141 加速度センサ, 142 角速度センサ, 143 地磁気センサ, 144 移動量センサ, 145 気圧センサ, 146 圧力センサ, 151 超音波制御部, 152 超音波画像生成部, 153 センサ情報取得部, 154 プローブ状態検出部, 155 断面画像生成部, 156 表示制御部, 201 画像処理システム, 211 プローブ, 212 画像処理装置, 231 インタフェース部, 251 インタフェース部, 301 並進ベクトル検出部, 302 描画位置算出部, 303 合成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波の発生および反射波の受信を行うプローブの位置および向きを示す情報を取得する情報取得部と、
被写体の周りの複数の位置において前記プローブが受信した反射波に基づく複数の超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置し、合成することにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成する断面画像生成部と
を含む画像処理装置。
【請求項2】
前記断面画像生成部は、さらに前記超音波画像の情報に基づいて、前記超音波画像を配置する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記断面画像生成部は、前記情報取得部により取得された前記プローブの向きの変化、および、前記超音波画像の情報に基づいて、前記プローブの並進方向の動きを検出し、前記プローブの向き、および、前記プローブの並進方向の動きに基づいて、前記超音波画像を配置する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記断面画像生成部は、前記プローブの向きの変化に基づいて、2つのフレームの前記超音波画像の座標系を一致させた後、前記2つのフレーム間の前記超音波画像の局所特徴点の動きに基づいて、前記プローブの並進方向の動きを検出する
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記断面画像生成部は、前記プローブの向きの変化に基づいて、2つのフレームの前記超音波画像の座標系を一致させた後、前記2つのフレーム間の前記超音波画像に対してブロックマッチングを行うことにより、前記プローブの並進方向の動きを検出する
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記情報取得部は、前記プローブが前記被写体を押す力を示す情報をさらに取得し、
前記断面画像生成部は、前記プローブが前記被写体を押す力、位置および向きに基づいて、前記断面画像内の前記被写体の断面の前記プローブに押されることにより生じる変形の補正を行う
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記断面画像生成部は、前記被写体が生体である場合、前記断面画像内の前記生体の内部の各組織を認識し、認識した組織毎に前記プローブに押されることにより生じる変形の補正を行う
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記断面画像生成部は、前記プローブの位置および向きに基づいて、各前記超音波画像を撮影した位置および向きを求め、前記超音波画像を撮影した位置および向きに基づいて、各前記超音波画像を所定の平面上に射影し、前記平面上に射影した画像を合成する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記情報取得部により取得された情報に基づいて、前記プローブの状態を検出するプローブ状態検出部を
さらに含み、
前記情報取得部は、複数の種類のセンサから前記プローブの位置および向きを示すデータを取得し、
前記プローブ状態検出部は、複数の前記センサにより取得されたデータの中から、前記プローブの状態の検出に用いるデータを選択する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記情報取得部により取得された情報に基づいて、前記プローブの状態を検出するプローブ状態検出部を
さらに含み、
前記情報取得部は、複数の種類のセンサから前記プローブの位置および向きを示すデータを取得し、
前記プローブ状態検出部は、ユーザ設定に基づいて、前記プローブの状態の検出に用いる前記センサの種類を切り替える
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記断面画像生成部は、各前記超音波画像の透過率を調整して合成することにより前記断面画像を生成する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記プローブが受信した反射波に基づいて、超音波画像を生成する超音波画像生成部を
さらに含む請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記断面画像とともに、または、前記断面画像の代わりに、前記被写体の断面の状態の分類を示すパターンのうち、該当するパターンを表す画像を表示するように制御する表示制御部を
さらに含む請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項14】
超音波の発生および反射波の受信を行うプローブの位置および向きを示す情報を取得し、
前記プローブが受信した反射波に基づく被写体の周りの複数の位置における超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置し、合成することにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成する
ステップを含む画像処理方法。
【請求項15】
超音波の発生および反射波の受信を行うプローブの位置および向きを示す情報を取得し、
前記プローブが受信した反射波に基づく被写体の周りの複数の位置における超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置し、合成することにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項17】
プローブおよび画像処理装置を備え、
前記プローブは、
超音波を発生する超音波発生部と、
前記超音波発生部が発生させた超音波の反射波を受信する超音波受信部と、
前記プローブの位置および向きを検出する検出部と
を含み、
前記画像処理装置は、
前記超音波受信部が受信した反射波に基づいて、超音波画像を生成する超音波画像生成部と、
被写体の周りの複数の位置における超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置し、合成することにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成する断面画像生成部と
を含む画像処理システム。
【請求項18】
プローブおよび画像処理装置を備える画像処理システムの前記プローブが、
超音波を発生させ、
発生させた超音波の反射波を受信し、
前記プローブの位置および向きを検出し、
前記画像処理装置が、
前記プローブが受信した反射波に基づいて、超音波画像を生成し、
被写体の周りの複数の位置における複数の超音波画像を、超音波の発生および反射波の受信を行ったときの前記プローブの位置および向きに基づいて配置し、合成することにより前記被写体の断面の少なくとも一部を示す断面画像を生成する
ステップを含む画像処理方法。
【請求項19】
超音波を発生する超音波発生部と、
前記超音波発生部が発生させた超音波の反射波を受信する超音波受信部と、
被写体の周りの複数の位置において前記超音波受信部が受信した反射波に基づく複数の超音波画像を合成するときに前記超音波画像を配置するための、自身の位置および向きを検出する検出部と
を含むプローブ。
【請求項20】
前記検出部は、前記プローブが前記被写体を押す力をさらに検出する
請求項19に記載のプローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−254279(P2012−254279A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−9587(P2012−9587)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】