説明

画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム

【課題】複数の画素を含む領域に関する情報を考慮した領域分割を行うことにより、特定領域の検出精度を向上させることができる画像処理装置等を提供する。
【解決手段】画像内のエッジ情報に基づいて、画像を、各々が複数の画素を含む複数の小領域に分割する領域分割部110と、複数の小領域の各々が、検出対象である特定領域に帰属する確率である帰属確率を推定する帰属確率推定部120と、互いに隣接する小領域が、特定領域及び非特定領域の内、同じ領域に属する度合いを定量的に表す連結強度を算出する隣接間連結強度算出部130と、帰属確率及び連結強度に基づいて、上記画像から特定領域を検出する病変部検出部140とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像から特定の領域を検出する画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像の領域分割に関連する技術として、例えば特許文献1には、グラフカット(Graph Cut)領域分割法を用いて、画像内の判別領域を対象領域(腎臓領域)と背景領域とに分割して腎臓領域を抽出する方法が開示されている。
【0003】
グラフカット領域分割法とは、次のようにして、画像の内部を検出対象である特定領域と検出対象の背景である非特定領域とに分割する手法である。まず、画像内の複数の画素に対応する複数のノード(節点)Nと、各画素に対する判定ラベルであり特定領域及び非特定領域に対応する2つのノードS、Tとを、各画素が特定領域及び非特定領域の各々に属する確からしさに応じた大きさのリンクで接続し、さらに、互いに隣接する画素に対応するノード間を、当該隣接する画素が同一の領域内に含まれる確からしさに応じた大きさのリンクで接続した連結グラフを作成する。この連結グラフに対し、リンクを切断することにより、ノードN群を、ノードSに接続されたノードN群と、ノードTに接続されたノードN群とに分離することを試みる。その際、グラフ・ネットワーク理論における最大流最小カット定理を用いて、確からしさの合計が最小となるリンク群を切断する(即ち、切断されないリンク群における確からしさの合計を最大とする)ことにより、領域分割を最適化する(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−232962号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Y. Boykov, M. Jolly, “Interactive Graph Cuts for Optimal Boundary & Region Segmentation of Objects in N-D Images”, Proceeding of “Internation Conference on Computer Vision”, July 2001, vol.1, pp. 105-112)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来、グラフカット領域分割法においては、各画素を1つの節点として演算を行っていたため、特定領域(又は非特定領域)に属する確からしさや、互いに隣接する画素が同一の領域に含まれる確からしさといった情報を、画素単位でしか判断していなかった。そのため、テクスチャ情報のように、複数の画素がまとまった領域から生じる特徴といった情報を考慮した領域分割を行うことができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の画素を含む領域に関する情報を考慮した領域分割を行うことにより、特定領域の検出精度を向上させることができる画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、画像内のエッジ情報に基づいて、前記画像を、各々が複数の画素を含む複数の小領域に分割する小領域分割手段と、前記複数の小領域の各々が、検出対象である特定領域に帰属する確率である帰属確率を推定する帰属確率推定手段と、前記複数の小領域の内の互いに隣接する小領域が、前記特定領域及び該特定領域以外の領域である非特定領域の内、同じ領域に属する度合いを定量的に表す連結強度を算出する隣接間連結強度算出手段と、前記帰属確率及び前記連結強度に基づいて前記画像を前記特定領域と前記非特定領域とに分割することにより、前記特定領域を検出する特定領域検出手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る画像処理方法は、画像内のエッジ情報に基づいて、前記画像を、各々が複数の画素を含む複数の小領域に分割する小領域分割ステップと、前記複数の小領域の各々が、検出対象である特定領域に帰属する確率である帰属確率を推定する帰属確率推定ステップと、前記複数の小領域の内の互いに隣接する小領域が、前記特定領域及び該特定領域以外の領域である非特定領域の内、同じ領域に属する度合いを定量的に表す連結強度を算出する隣接間連結強度算出ステップと、前記帰属確率及び前記連結強度に基づいて前記画像を前記特定領域と前記非特定領域とに分割することにより、前記特定領域を検出する特定領域検出ステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る画像処理プログラムは、画像内のエッジ情報に基づいて、前記画像を、各々が複数の画素を含む複数の小領域に分割する小領域分割ステップと、前記複数の小領域の各々が、検出対象である特定領域に帰属する確率である帰属確率を推定する帰属確率推定ステップと、前記複数の小領域の内の互いに隣接する小領域が、前記特定領域及び該特定領域以外の領域である非特定領域の内、同じ領域に属する度合いを定量的に表す連結強度を算出する隣接間連結強度算出ステップと、前記帰属確率及び前記連結強度に基づいて前記画像を前記特定領域と前記非特定領域とに分割することにより、前記特定領域を検出する特定領域検出ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エッジ情報に基づいて画像を複数の小領域に分割し、各小領域の特定領域への帰属確率と互いに隣接する小領域の間における連結強度とに基づいて画像から特定領域を検出するので、各々が複数の画素を含む小領域の特徴を考慮した領域分割を行うことができる。従って、特定領域の検出精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】図3は、画像処理対象である管腔内画像の一例を示す模式図である。
【図4】図4は、図1に示す領域分割部の動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図3に示す管腔内画像を小領域に分割した状態を示す模式図である。
【図6】図6は、図1に示す帰属確率推定部の動作を示すフローチャートである。
【図7A】図7Aは、教師データにおける小領域の特徴量分布を示すグラフである。
【図7B】図7Bは、教師データに基づいて推定された確率密度関数の一例を示すグラフである。
【図8】図8は、図1に示す隣接間連結強度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は、図1に示す病変部検出部の動作を示すフローチャートである。
【図10A】図10Aは、連結グラフの一例を示す模式図である。
【図10B】図10Bは、図10Aに示す連結グラフを最大流最小カット定理に基づいてカットした状態を示す模式図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態2に係る画像処理装置における演算部の構成を示す模式図である。
【図12】図12は、図11に示す帰属確率推定部の動作を示すフローチャートである。
【図13A】図13Aは、2つの色特徴量からなる特徴空間に投影された特徴量分布をクラスタリングした結果の一例を示す模式図である。
【図13B】図13Bは、図13Aに示すクラスタの重心を示す模式図である。
【図14】図14は、病変部に対応するクラスタを推定する処理を示すフローチャートである。
【図15A】図15Aは、ある画像に対応する特徴量分布をクラスタリングした例を示す図である。
【図15B】図15Bは、別の画像に対応する特徴量分布をクラスタリングした例を示す図である。
【図16】図16は、図11に示す隣接間連結強度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図17】図17は、本発明の実施の形態3に係る画像処理装置における演算部の構成を示す模式図である。
【図18】図18は、図17に示す隣接間連結強度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図19】図19は、境界強度の算出方法を説明するための図である。
【図20】図20は、実施の形態3の変形例に係る画像処理装置における演算部の構成を示すブロック図である。
【図21】図21は、図20に示す隣接間連結強度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図22】図22は、実施の形態4に係る画像処理装置における演算部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る画像処理装置について、図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0014】
以下においては、一例として、内視鏡やカプセル型内視鏡等の医用観察装置によって被検体の管腔内(消化管内)を撮像した管腔内画像(消化管内画像)に対する画像処理を説明する。管腔内画像は、例えば、各画素においてR(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分に対する画素レベル(画素値)を持つカラー画像である。
なお、本発明は、管腔内画像に限定されることなく、他の一般的な画像内より特定領域を検出する画像処理装置に広く適用することが可能である。
【0015】
また、以下においては、管腔内画像内の病変部を検出対象である特定領域とし、それ以外の非病変部(粘膜、残渣等の内容物、泡等)を背景である非特定領域として説明するが、病変部及び粘膜を特定領域、それ以外(内容物、泡等)の領域を非特定領域とするなど、特定領域及び非特定領域としては所望の部位等を設定することができる。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、画像処理装置1は、当該画像処理装置1全体の動作を制御する制御部10と、医用観察装置によって撮像された管腔内画像の画像データを取得する画像取得部11と、外部から入力された入力信号を受け付ける入力部12と、管腔内画像や各種情報を含む画面を表示する表示部13と、記録部14と、管腔内画像から特定領域を検出する演算処理を行う演算部15とを備える。
【0017】
制御部10は、CPU等のハードウェアによって実現され、記録部14に格納された各種プログラムを読み込むことにより、画像取得部11から入力される画像データや入力部12から入力される操作信号等に従って、画像処理装置1を構成する各部への指示やデータの転送等を行い、画像処理装置1全体の動作を統括的に制御する。
【0018】
画像取得部11は、医用観察装置を含むシステムの態様に応じて適宜構成される。例えば、医用観察装置がカプセル型内視鏡であり、医用観察装置との間における管腔内画像の画像データの受け渡しに可搬型の記録媒体が使用される場合、画像取得部11は、この記録媒体を着脱自在に装着し、記録媒体に格納された画像データを読み出すリーダ装置で構成される。また、医用観察装置によって取得された管腔内画像の画像データを保存しておくサーバを設置する場合、画像取得部11は、サーバと接続される通信装置等で構成され、サーバとデータ通信を行って画像データを取得する。或いは、画像取得部11を、内視鏡等の医用観察装置から、ケーブルを介して画像信号を入力するインターフェース装置等で構成しても良い。
【0019】
入力部12は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等によって実現され、外部から受け付けた入力信号を制御部10に出力する。
表示部13は、LCDやELディスプレイ等の表示装置によって実現される。
【0020】
記録部14は、更新記録可能なフラッシュメモリ等のROMやRAMといった各種ICメモリ、内蔵若しくは外付けハードディスク、又は、CD−ROM等の情報記録媒体及びその読取装置等によって実現される。記録部14は、画像取得部11によって取得された管腔内画像の画像データの他、画像処理装置1を動作させると共に、種々の機能を画像処理装置1に実行させるためのプログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ等を格納する。例えば、記録部14は、管腔内画像から特定領域を検出する画像処理プログラム14aを格納する。
【0021】
演算部15は、CPU等のハードウェアによって実現され、画像処理プログラム14aを読み込むことにより、管腔内画像の画像データを処理し、管腔内画像から特定領域を検出するための種々の演算処理を行う。演算部15は、領域分割部110と、帰属確率推定部120と、隣接間連結強度算出部130と、病変部検出部140とを備える。
【0022】
領域分割部110は、管腔内画像内のエッジ情報に基づいて、当該管腔内画像を、各々が複数の画素を含む複数の小領域に分割する。詳細には、領域分割部110は、管腔内画像内の各画素におけるエッジ強度を算出するエッジ強度算出部111と、エッジ強度の尾根を境界として管腔内画像を複数の小領域に分割する分割部112とを有する。
【0023】
帰属確率推定部120は、複数の小領域の各々が特定領域に帰属する確率(帰属確率)を推定する。詳細には、帰属確率推定部120は、各小領域の特徴量を小領域単位で算出する領域特徴量算出部121を有し、各小領域の特徴量に基づいて特定領域への帰属確率を推定する。帰属確率の推定に用いられる特徴量としては、例えば、小領域内部の色特徴量やテクスチャ特徴量が用いられる。
【0024】
隣接間連結強度算出部130は、互いに隣接する2つの小領域(以下、隣接小領域ともいう)の間における連結強度を算出する。ここで、連結強度とは、隣接する小領域同士が共に特定領域又は非特定領域のいずれか同じ領域に属する度合いを定量的に表す量のことである。詳細には、隣接間連結強度算出部130は、各小領域について、自身と隣接する小領域に関する隣接情報を取得する隣接情報取得部131と、隣接情報に基づいて互いに隣接する小領域の連結強度を算出する連結強度算出部132とを有する。
【0025】
この内、隣接情報取得部131は、各小領域の輪郭画素を検出する輪郭画素検出部131aを含み、各小領域の輪郭画素に関する情報に基づいて隣接情報を取得する。
また、連結強度算出部132は、隣接小領域における帰属確率の差を算出する帰属確率差算出部132aを含み、この帰属確率の差に基づいて当該隣接小領域の連結強度を算出する。
【0026】
病変部検出部140は、帰属確率推定部120において推定された帰属確率と、隣接間連結強度算出部130において算出された連結強度とに基づいて、管腔内画像から特定領域として病変部を検出する。この際に、病変部検出部140は、グラフカット(Graph Cut)領域分割法を用いて、管腔内画像を病変部とそれ以外の部分(非病変部)とに分割する。詳細には、病変部検出部140は、帰属確率及び連結強度に基づいて連結グラフを構築する連結グラフ構築部141と、連結グラフにおける最小カット位置を算出する最小カット算出部142とを有し、各小領域に対応するノードを含む連結グラフを、最大流最小カット定理に従ってカットすることにより、複数の小領域を病変部に属する小領域群と、非病変部に属する小領域群とに分割する。
【0027】
次に、画像処理装置1の動作を、図2を参照しながら説明する。図2は、画像処理装置1の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS10において、演算部15は、記録部14から処理対象の管腔内画像100を取得する。図3は、管腔内画像の一例を示す模式図である。以下においては、図3に示す管腔内画像(以下、単に画像ともいう)100に対する処理を説明する。画像100は、検出対象である病変部101と、それ以外の非病変部102とからなる。また、画像100は、粘膜の襞に対応する構造物の境界103を含んでいる。
【0028】
ステップS20において、領域分割部110は、エッジ情報に基づいて画像100内を、各々が複数の画素を含む複数の小領域に分割する。図4は、ステップS20における領域分割部110の動作を示すフローチャートである。
【0029】
まず、ステップS201において、エッジ強度算出部111は、画像100内の各画素におけるエッジ強度を算出し、エッジ強度画像を作成する。具体的には、エッジ強度算出部111は、各画素の画素値の内のG成分に対し、ソーベルフィルタ等の公知の微分フィルタ処理を施す(参考:CG−ARTS協会、「ディジタル画像処理」、第114〜121頁)。ここで、G成分を用いるのは、G成分は血液の吸光帯域に近いので、病変、粘膜、内容物の境界等の管腔内画像内の構造情報をよく反映するためである。なお、ステップS201においては、G成分以外の色成分や、公知の変換処理により画素値から2次的に算出される値に基づいてエッジ強度を算出しても良い。具体的には、YCbCr変換により算出される輝度、色差、HSI変換により算出される色相、彩度、明度等を用いることができる。
【0030】
ステップS202において、分割部112は、必要に応じてエッジ強度画像に対して、ノイズを除去するための平滑化処理を施す。
ステップS203において、分割部112は、エッジ強度画像内の各画素におけるエッジ強度の勾配方向を取得する。このときの勾配方向は、エッジ強度の値が小さくなる方向とする。
【0031】
ステップS204において、分割部112は、各画素から出発して勾配方向に沿って移動した際に到達する極小値の画素を探索する。
続くステップS205において、分割部112は、互いに隣接する極小値の画素に到達した出発点の画素が同一の領域に含まれるように画像を分割する。
【0032】
さらに、ステップS206において、分割部112は、分割した各領域を識別するためのラベル値を各画素に付与し、ラベル値を画素値とする領域ラベル画像を生成する。図5は、そのようにして得られた領域ラベル画像の一例を示す模式図である。図5に示すように、領域ラベル画像104は、互いにラベル値が異なる複数の小領域A(n=01、02、…)を含んでいる。
【0033】
なお、エッジ強度の尾根を境界とする画像分割の手法の詳細については、例えば国際公開第2006/080239号を参照されたい。また、エッジ強度に基づいて画像を分割する手法としては、他に、分水嶺(watershed)アルゴリズム(参考:Luc Vincent and Pierre Soille,“Watersheds in Digital Spaces: An Efficient Algorithm Based on Immersion Simulations”,IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence, Vol.13,No.6, pp.583−598,June 1991)等を用いても良い。分水嶺アルゴリズムは、画像の画素値情報を高度とみなした地形に水を満たしていく際に、異なるくぼみに溜まる水の間に境界ができるように画像を分割する方法である。この分水嶺アルゴリズムによっても、上述したエッジ強度の尾根を境界とする画像分割の手法によるものと、ほぼ同等の画像分割結果を得ることができる。
【0034】
図2のステップS30において、帰属確率推定部120は、各小領域Aの病変部101への帰属確率を推定する。本実施の形態1においては、予め作成された教師データにおける特徴量分布を確率モデル(確率密度関数)で近似し、この確率モデルに基づいて帰属確率を推定する方法を用いる。図6は、ステップS30における帰属確率推定部120の動作を示すフローチャートである。
【0035】
まず、ステップS301において、領域特徴量算出部121は、各小領域Aの特徴量を算出する。特徴量としては、各小領域A内の画素の画素値のRGB各成分の統計量(平均、分散、歪度、尖度、頻度分布等)や、各小領域Aに関するテクスチャ情報(周波数特徴、同時生起行列等のテクスチャ特徴量、参考:CG−ARTS協会、「ディジタル画像処理」、第192〜195頁)等のように、画素毎ではなく、複数画素がまとまった小領域A全体の特徴を表す量が用いられる。或いは、特徴量として、各小領域A内の画素の画素値のRGB各成分から2次的に算出される輝度、色差、色相、彩度、明度、色比等の統計量(同上)や、これらの2次的に算出される値に基づくテクスチャ情報を用いても良い。
【0036】
続くステップS302において、帰属確率推定部120は、予め作成されて記録部14に格納されている教師データを取得する。この教師データは、小領域の特徴量と、該小領域が病変部に帰属するか否かの判定結果とが関連付けられたデータの集合である。
【0037】
ステップS303において、帰属確率推定部120は、教師データをもとに病変部に帰属する小領域(以下、病変部領域という)の発生確率Pcを、病変部に帰属すると判定された小領域の数Nを全小領域の数(N+N)で割ることによって推定する。ここで、Nは、教師データにおいて非病変部に帰属すると判定された小領域の数である。
【0038】
ステップS304において、帰属確率推定部120は、病変部領域の確率密度関数、及び非病変部領域の確率密度関数を推定する。これは、病変部に帰属すると判定された小領域及び非病変部に帰属すると判定された小領域の特徴量分布に対し、公知の期待値最大化アルゴリズム(EMアルゴリズム)を用いて混合正規分布を当て嵌めることにより行われる。ここで、EMアルゴリズムとは、あるパラメータに基づくモデルの尤度の期待値の算出と、算出された期待値を最大化するパラメータの算出とを繰り返すことによりパラメータを推定する演算方法である。
【0039】
例えば、図7Aは、教師データにおける小領域の特徴量分布を示す。図7Aに示すピーク1は、病変部に帰属すると判定された小領域の頻度のピークに対応し、ピーク2は、非病変部に帰属すると判定された小領域の頻度のピークに対応する。
【0040】
また、図7Bは、図7Aに示す特徴量分布に基づいて取得された、特徴量を確率変数とする確率密度関数を表すグラフである。図7Bに示す確率密度関数fS(REF)は、病変部に帰属する小領域の確率密度に対応し、確率密度関数fT(REF)は、非病変部に帰属する小領域の確率密度に対応する。
【0041】
ステップS305において、帰属確率推定部120は、画像100内の各小領域Aの病変部101への帰属確率P(又は、非病変部102への帰属確率P’)を推定する。この帰属確率Pは、各小領域Aの特徴量Cと、教師データにおける病変部領域の発生確率Pc及び確率密度関数fS(REF)(又は非病変部領域の発生確率Pc’(Pc’=1−Pc)及び確率密度関数fT(REF))とから最大事後確率推定を行うことによって推定される。
【0042】
なお、上記説明においては、帰属確率推定のための一連の処理を続けて行っているが、教師データに基づく発生確率の推定及び確率密度関数の推定(ステップS302〜S304)を事前に行って、発生確率及び確率密度関数の係数を記録部14に記録しておいても良い。この場合、実際に帰属確率を推定する際には、ステップS301において算出された特徴量と、記録部14から読み出した発生確率及び確率密度関数の係数とを用いて、ステップS305の演算を行えば良い。
【0043】
以下、正規分布を用いた場合の帰属確率推定の処理手順を詳しく説明する。
まず、事前に、教師データをもとに次式(1)に示す病変部領域の発生確率Pc、及び非病変部領域の発生確率Pc’(Pc’=1−Pc)を求めておく。
【数1】

【0044】
そして、教師データにおける病変部に帰属すると判定された複数のデータの特徴量Ciをもとに、次式(2)及び(3)によって与えられる平均値μ、及び分散値Zを求める。
【数2】

但し、Nはデータ数である。
【0045】
さらに、これらの値より、次式(4)に示す病変部領域の確率密度関数f(C)の係数を算出する。
【数3】

但し、Cは判別対象である小領域の特徴量である。式(4)において、破線で囲った部分が求める係数である。
非病変部領域の確率密度関数f(C)の係数に関しても、データを変えて同様の計算により算出する。
【0046】
このようにして事前に得た病変部領域及び非病変部領域の発生確率Pc、Pc’と、病変部領域及び非病変部領域の確率密度関数f(C)、f(C)の係数を記録しておき、これらと判別対象となる小領域の特徴量Cをもとに、次式(5)に示す病変部への帰属確率Pを算出する。
【数4】

【0047】
また、混合正規分布の当て嵌めにより確率密度関数を推定する場合には、正規分布f(C)の線形和の式である次式(6)を用いる。
【数5】

【0048】
なお、実施の形態1においては、確率密度関数に基づき、連続値となる帰属確率を推定する方法を用いたが、帰属確率は必ずしも連続値である必要はない。例えば、病変部領域に帰属する/帰属しない確率を1又は0の2値で表しても良い。その際には、パターン認識等において用いられる決定木、近傍法、サポートベクターマシン等の公知の方法によって帰属確率を推定する。
【0049】
図2に示すステップS40において、隣接間連結強度算出部130は、互いに隣接する小領域の間における連結強度を算出する。図8は、ステップS40における隣接間連結強度算出部130の動作を示すフローチャートである。
【0050】
ステップS401において、輪郭画素検出部130aは、各小領域Aの輪郭画素を検出する。輪郭画素の検出法としては公知の種々の方法を用いることができる。実施の形態1においては、ステップS206において生成された領域ラベル画像内をラスタ走査しながら注目画素を順次設定し、注目画素の上下左右のいずれかに隣接する隣接画素と注目画素とのラベル値を比較して、ラベル値が異なる場合における注目画素を輪郭画素として検出する。
【0051】
ステップS402において、隣接情報取得部131は、各小領域Aについて、自身と隣接する小領域An’(n’≠n)に関する隣接情報を求める。ここで、隣接情報とは、小領域Aがいずれの小領域An’と接しているかを表す情報である。隣接情報取得部131は、ステップS401において輪郭画素として検出した注目画素に付与されたラベル値、及び、その注目画素を輪郭画素であると判定した際の隣接画素のラベル値を隣接情報として記録する。
【0052】
ステップS403において、帰属確率差算出部132aは、隣接小領域における病変部101への帰属確率の差ΔP(以下、帰属確率差という)を算出する。具体的には、帰属確率差算出部132aは、ステップS402において取得された隣接情報に基づいて互いに隣接する小領域A、An’を特定し、小領域Aの帰属確率Pと小領域An’の帰属確率Pn’との差(の絶対値)|P−Pn’|を、帰属確率差ΔPとして算出する。
【0053】
ステップS404において、連結強度算出部132は、ステップS402において算出された帰属確率差ΔPに基づいて、各隣接小領域の連結強度を算出する。ここで、互いに隣接する小領域A、An’の間における病変部101への帰属確率差ΔPが小さいということは、小領域A、An’が共に同一の領域に属している可能性が高く、連結強度は大きいと言える。そこで、連結強度算出部132は、帰属確率差ΔPを変数とし、帰属確率差ΔPが小さくなるほど連結強度が大きくなる減少関数を設定し、この減少関数を用いて小領域A、An’の間の連結強度を算出する。或いは、連結強度算出部132は、帰属確率差ΔPが小さくなるほど連結強度が大きくなるように帰属確率差ΔPと連結強度とを関係付けた変換テーブルを作成し、この変換テーブルを参照することにより連結強度を取得しても良い。
【0054】
図2のステップS50において、病変部検出部140は、画像100から病変部101を検出する。図9は、ステップS50における病変部検出部140の動作を示すフローチャートである。
【0055】
ステップS501において、連結グラフ構築部141は、ステップS30において推定された帰属確率と、ステップS40において算出された連結強度とに基づいて、小領域Aに対応するノードNと、病変部101に対応するノードSと、非病変部102に対応するノードTとを連結した連結グラフ105を構築する(図10A参照)。この連結グラフ105において、ノードSと各ノードNとは、対応する小領域Aの病変部101への帰属確率Pに応じた大きさを有するSリンク(s−link)によって連結される。また、ノードTと各ノードNnとは、対応する小領域Aの非病変部102への帰属確率(1−P)に応じた大きさを有するTリンク(t−link)によって連結される。さらに、互いに隣接するノードN、Nn’は、対応する小領域A、An’の間の連結強度に応じた大きさを有するNリンク(n−link)によって連結される。
【0056】
ステップS502において、最小カット算出部142は、連結グラフ105における最小カット位置を算出する。ここで、最小カット位置とは、全てのノードNがノードSに属するノードN群とノードTに属するノードN群とに分割されるように、いずれかのSリンク、Tリンク、及びNリンクをカットした場合に、カットされたSリンクの帰属確率P、Tリンクの帰属確率1−P、及びNリンクの連結強度の合計が最小値となるようなカット位置のことである。このような最小カット位置は、グラフ・ネットワーク理論における最大流最小カット定理に基づいて算出される(参考:Y. Boykov, M. Jolly, “Interactive Graph Cuts for Optimal Boundary & Region Segmentation of Objects in N-D Images”, Proceeding of “Internation Conference on Computer Vision”, July 2001, vol.1, pp. 105-112)。
【0057】
ステップS503において、病変部検出部140は、ステップS502において算出された最小カット位置に基づいて、病変部101に属する小領域Aを特定する。具体的には、連結グラフ105を最小カット位置においてカットした結果、ノードSとのリンク関係が維持されたノードNに対応する小領域Aが、病変部101に属する小領域Aとなる(図10B参照)。
【0058】
図2のステップS60において、演算部15は、ステップS503において特定された小領域Aを、病変部の検出結果として表示部13に出力すると共に、記録部14に記録する。
【0059】
以上説明したように、実施の形態1においては、管腔内画像内のエッジ情報に基づいて当該管腔内画像を複数の小領域に分割し、各小領域の特定領域(病変部)への帰属確率及び隣接小領域の連結強度を算出し、これらの帰属確率及び連結強度に基づいて画像を特定領域と非特定領域とに分割する。従って、実施の形態1によれば、複数の画素がまとまった小領域から生じる特徴を考慮した領域分割を行うことができる。従って、管腔内画像からの特定領域の検出精度を向上させることが可能となる。
【0060】
また、実施の形態1によれば、グラフカット法による領域分割を小領域単位で行うので、演算量を低減して、従来よりも高速に特定領域の検出結果を得ることが可能となる。
【0061】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
実施の形態2に係る画像処理装置は、図1に示す演算部15の代わりに、図11に示す演算部20を備える。この演算部20は、領域分割部110と、帰属確率推定部220と、隣接間連結強度算出部230と、病変部検出部140とを備える。
【0062】
帰属確率推定部220は、各小領域の特徴量を算出する領域特徴量算出部121に加え、小領域の特徴量をもとに該小領域の病変部への帰属確率を算出する確率関数を推定する確率関数推定部221を有する。確率関数推定部221は、管腔内画像における特徴量の分布をクラスタ分けするクラスタリング部221aと、病変部に対応するクラスタを推定するクラスタ推定部221bと、クラスタの推定結果に基づいて、病変部領域及び非病変部領域の確率密度関数をそれぞれ推定する確率密度関数推定部221cとを含む。
【0063】
隣接間連結強度算出部230は、各小領域に対し、隣接する小領域に関する隣接情報を取得する隣接情報取得部131と、隣接情報に基づいて連結強度を算出する連結強度算出部231とを有する。連結強度算出部231は、隣接小領域における内部特徴量の差を算出する内部特徴量差算出部231aを含み、内部特徴量の差に基づいて隣接小領域の連結強度を算出する。
【0064】
次に、演算部20の動作を説明する。演算部20全体の動作は図2に示すとおりであり、ステップS30及びステップS40における詳細な動作が実施の形態1とは異なる。なお、実施の形態2においても、一例として、図5に示す画像100に対する処理を説明する。また、実施の形態2においては、各小領域の特徴量として、2種類の色特徴量Cα及びCβを用いることとする。
【0065】
図12は、ステップS30における帰属確率推定部220の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS321の動作は、図6に示すステップS301と対応している。
ステップS321に続くステップS322において、クラスタリング部221aは、画像100内の小領域Aの特徴量の分布をクラスタ分け(クラスタリング)する。クラスタリング法としては、階層法、k-means法(参考:CG−ARTS協会、「ディジタル画像処理」、第231〜232頁)、期待値最大化アルゴリズム(EMアルゴリズム)、自己組織化マップ等の公知の手法を用いることができる。
【0066】
図13Aは、色特徴量(Cαn,Cβn)を有する小領域Aを、色特徴量Cα及びCβの2軸からなる特徴空間106に投影して、小領域Aの特徴量分布をクラスタリングした結果の一例を示す。図13Aの場合、小領域Aに対応する色特徴量(Cαn,Cβn)は、2つのクラスタCL及びCLにクラスタリングされている。
【0067】
ステップS323において、クラスタ推定部221bは、病変部101に対応するクラスタを推定する。図14は、ステップS323における詳細な処理を示すフローチャートである。
【0068】
まず、ステップs01において、クラスタ推定部221bは、各クラスタCL、CLの重心座標G、Gを算出する(図13B参照)。この重心座標G、Gは、クラスタCL、CLそれぞれに属する特徴量(Cαn,Cβn)の平均値に対応する。
【0069】
ステップs02において、クラスタ推定部221bは、予め作成されて記録部14に格納されている教師データにおける小領域の特徴量分布をもとに、病変部領域及び非病変部領域の確率密度関数fS(REF)及びfT(REF)を推定する。なお、確率密度関数の推定方法については、実施の形態1におけるステップS302〜S304と同様である。ただし、実施の形態2においては、特徴量が複数種類用いられているため、実施の形態1における特徴量Cの代わりに、特徴ベクトル(Cα,Cβ)が用いられる。
【0070】
ここで、2次元以上の特徴量からなる特徴ベクトルCn=(Cαn,Cβn)を用いる場合の正規分布関数式(確率密度関数)の推定処理手順を詳しく説明する。
まず、教師データにおける病変部に帰属すると判定された複数のデータの特徴ベクトルCi=(ci_1,ci_2,…,c,ci_k) (ci_j:i番目の教師データのj番目の特徴量値、k:特徴量の次元数)をもとに、次式(7)および(8)によって与えられる平均ベクトルμ、及び分散共分散行列Zを求める。
【数6】

但し、Nはデータ数である。
【0071】
さらに、これらの値より、次式(9)に示す病変部領域の確率密度関数f(C)の係数を算出する。
【数7】

但し、|Z|はZの行列式、Z−1はZの逆行列である。式(9)において、破線で囲んだ部分が求める係数である。
非病変部領域の確率密度関数f(C)の係数に関しても、データを変えて同様の演算処理により算出する。
【0072】
なお、このような教師データに基づく確率密度関数の推定処理を事前に行い、確率密度関数の係数を記録部14に予め記録しておくと良い。この場合、ステップs02においては、演算処理を行う代わりに、確率密度関数の係数を記録部14から読み出せば良い。
【0073】
ステップs03において、クラスタ推定部221bは、確率密度関数fS(REF)、fT(REF)と、重心座標G(CαG1,CβG1)、G(CαG2,CβG2)とから、重心座標G、G各々の病変部への帰属確率を推定する。帰属確率は、上式(5)を用いて算出することができる。なお、式(5)における病変部領域の発生確率Pc、及び非病変部領域の発生確率Pc’(Pc’=1−Pc)は、式(1)を用いて事前に算出し、記録部14に記録しておくと良い。
【0074】
その結果、病変部への帰属確率が所定の値(例えば0.5)以上である重心座標のクラスタが、病変部101に対応するクラスタ(以下、病変部クラスタという)であると推定される(ステップs04:Yes、ステップs05)。一方、病変部領域への帰属確率が所定の値(例えば0.5)より小さい重心座標のクラスタは、非病変部102に対応するクラスタ(以下、非病変部クラスタという)であると推定される(ステップs04:No、ステップs06)。以下においては、図13Bに示すクラスタCLが病変部クラスタと推定され、クラスタCLが非病変部クラスタと推定されたものとする。
【0075】
図12のステップS324において、確率密度関数推定部221cは、特徴空間106における病変部101の確率密度関数f、及び非病変部102の確率密度関数fを推定する。これは、病変部クラスタCLに含まれる小領域Aの特徴量分布、及び病変部クラスタCLに含まれない(図13Aにおいては非病変部クラスタCLに含まれる)小領域Aの特徴量分布に対し、上式(7)〜(9)を適用することにより推定することができる。或いは、病変部クラスタCLに含まれる小領域Aの特徴量分布、及び病変部クラスタCLに含まれない小領域Aの特徴量分布に対し、期待値最大化アルゴリズム(EMアルゴリズム)を用いて混合正規分布を当て嵌めることにより推定しても良く、この場合には、正規分布f(C)の線形和の式である式(6)を用いれば良い。
【0076】
ステップS325において、確率関数推定部221は、各小領域Aの病変部101への帰属確率を与える確率関数Fを推定する。この確率関数Fは、上式(5)と同様に、病変部クラスタCLに属する特徴量を有する小領域Aの数Nを、画像100内の全ての小領域Aの数(N+N)で割ることによって病変部101の発生確率Pcを推定し、この発生確率Pcと、ステップS324において推定された確率密度関数f(又は、発生確率(1−Pc)と、確率密度関数f)とを用いて最大事後確率推定を行うことにより推定される。
【0077】
ステップS326において、帰属確率推定部220は、各小領域Aの色特徴量Cα、Cβ、及びステップS325において推定された確率関数Fに基づいて、各小領域Aの病変部101への帰属確率Pを推定する。
【0078】
ここで、帰属確率推定部220において、上記のように確率関数を推定する理由は次のとおりである。管腔内画像100内における色等の特徴は、多くの場合、被検体内の病変部、非病変部といった部位に対応して現れる。このため、図13Aに示すような特徴空間106において特徴量分布をクラスタリングすることにより、各部位に対応する特徴量分布のクラスタCL、CLが生成される。
【0079】
ところが、このような部位の特徴は、被検体毎の個人差や、消化管内の撮像箇所の違い等に応じて異なる場合がある。そのような場合、特徴空間106における特徴量分布に対し、病変部又は非病変部への帰属可能性(いずれの領域への帰属確率が高いか)を分ける境界が、個々の画像によって変動してしまう。例えば、画像100については、図15Aに示すように境界Thで分けられるクラスタCL、CLが形成されるのに対し、別の画像については、図15Bに示すように、異なる境界Thで分けられるクラスタCL’、CL’が生成される可能性がある。
【0080】
そのため、全ての画像に対し、教師データにおける特徴量分布に基づく確率モデルから算出される境界ThALLを一律に適用して各小領域Aの病変部101への帰属確率を推定すると、病変部101を適切に検出できなくなる場合がある。そこで、実施の形態2においては、画像毎に特徴量分布をクラスタリングし、クラスタ単位で病変部又は非病変部への帰属可能性を判定し、この判定結果を利用して各小領域Aの病変部又は非病変部への帰属確率を推定することとしている。
【0081】
例えば、図15Aにおいて、領域Sに含まれる特徴量(Cαn,Cβn)は、境界ThALLによれば、クラスタCLに属するにもかかわらず、病変部への帰属可能性が高い側に分類される。しかしながら、実施の形態2によれば、図15Aに示す特徴空間に対しては境界Thが適用されるため、当該領域Sに含まれる特徴量(Cαn,Cβn)は、非病変部への帰属可能性が高い側に分類される。
【0082】
一方、図15Bにおいて、領域Sに含まれる特徴量(Cαn,Cβn)は、境界ThALLによれば、クラスタCL1’に属するにもかかわらず、非病変部への帰属可能性が高い側に分類される。しかしながら、実施の形態2によれば、図15Bに示す特徴空間に対しては境界Thが適用されるため、当該領域Sに含まれる特徴量(Cαn,Cβn)は、病変部への帰属可能性が高い側に分類される。
【0083】
図16は、図2のステップS40における隣接間連結強度算出部230の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS421及びS422の動作は、図8に示すステップS401及びS402と対応している。
【0084】
ステップS422に続くステップS423において、内部特徴量差算出部231aは、隣接小領域における領域内部の特徴量の差(以下、内部特徴量差という)ΔCを算出する。具体的には、互いに隣接する小領域A、An’の特徴量ベクトルC(Cαn,Cβn)、Cn’(Cαn’,Cβn’)をそれぞれ取得し、次式(10)で与えられる特徴量ベクトルC、Cn’の差の大きさ(特徴空間におけるユークリッド距離に相当)を算出する。
ΔC=√{(Cαn−Cαn’+(Cβn−Cβn’} …(10)
【0085】
なお、特徴量としては、各小領域A内の画素の画素値のRGB各成分の統計量(平均、分散、歪度、尖度、頻度分布等)や、各小領域Aに関するテクスチャ情報、画素値のRGB各成分から2次的に算出される輝度、色差、色相、彩度、明度、色比等の統計量(同上)、これらの2次的に算出される値に基づくテクスチャ情報が用いられる。また、特徴量の種類は、ステップS321において算出したものと同じ種類であっても良いし、異なる種類であっても良い。前者の場合、ステップS321において算出された特徴量を記憶部14に記憶させておき、ステップS422においては、記憶部14から当該特徴量を取得しても良い。
【0086】
ステップS424において、連結強度算出部231は、各隣接小領域の連結強度を算出する。ここで、互いに隣接する小領域A、An’の間における内部特徴量の差ΔCが小さいということは、小領域A、An’が共に同一の領域に含まれる可能性が高く、連結強度は大きいと言える。そこで、連結強度算出部231は、内部特徴量差ΔCが小さくなるほど値が大きくなるように連結強度を算出する。
【0087】
具体的には、内部特徴量差ΔCを変数とする減少関数を設定して連結強度を算出すれば良い。或いは、内部特徴量差ΔCが小さくなるほど連結強度が大きくなるように内部特徴量差ΔCと連結強度とを関連付けた変換テーブルを作成し、この変換テーブルを参照することにより連結強度を取得しても良い。
【0088】
以上説明したように、実施の形態2によれば、エッジ情報を基に画像を分割した小領域の内部特徴量の差から算出(取得)された連結強度に基づいて特定領域(病変部)を検出するので、特定領域の検出精度を向上することができる。また、実施の形態2によれば、画像毎に、小領域の特徴量分布に応じた確率関数を推定するので、このような確率関数を用いることにより、個々の画像に対して適応的な帰属確率を推定することができ、特定領域の検出精度をさらに向上させることが可能となる。
【0089】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
実施の形態3に係る画像処理装置は、図1に示す演算部15の代わりに、図17に示す演算部30を備える。この演算部30は、領域分割部110と、帰属確率推定部120と、隣接間連結強度算出部330と、病変部検出部140とを備える。なお、この内の帰属確率推定部120の代わりに、図11に示す帰属確率推定部220を設けても良い。
【0090】
隣接間連結強度算出部330は、隣接情報取得部131に加えて、連結強度算出部331を有する。連結強度算出部331は、連結強度として、互いに隣接する小領域間における境界強度を算出する境界強度算出部331aを含み、この境界強度に基づいて隣接小領域の連結強度を算出する。より詳細には、境界強度算出部331aは、互いに隣接する小領域間の境界画素を検出する境界画素検出部a1と、境界画素におけるエッジ強度を算出する境界エッジ強度算出部a2とを含み、境界画素におけるエッジ強度に基づいて当該小領域間の境界強度を算出する。
【0091】
次に、演算部30の動作を説明する。演算部30全体の動作は図2に示すとおりであり、ステップS40における詳細な動作が実施の形態1とは異なる。
図18は、ステップS40における隣接間連結強度算出部330の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS431及びS432の動作は、図8に示すステップS401及びS402と対応している。
【0092】
ステップS432に続くステップS433において、境界画素検出部a1は、図19に示すように、互いに隣接する小領域A、An’の間における境界画素G(m=1〜M)を検出する。境界画素Gの検出方法としては、例えば、ステップS206において生成された領域ラベル画像において輪郭追跡するなど、公知の方法を用いることができる(参考:CG−ARTS協会、「ディジタル画像処理」、第178〜179頁)。
【0093】
ステップS434において、境界エッジ強度算出部a2は、境界画素Gにおけるエッジ強度IEDG(G)を算出する。境界画素Gにおけるエッジ強度は、例えば、ステップS433において検出された境界画素を順次注目画素とし、注目画素及びその近傍画素の画素値の内のG成分に対し、ソーベルフィルタ等の公知の微分フィルタ処理(参考:CG−ARTS協会、「ディジタル画像処理」、第114〜121頁)を施すことによって算出できる。なお、G成分を用いるのは、先にも述べたように、G成分は血液の吸光帯域に近いので、管腔内画像内の構造情報をよく反映するためである。なお、ステップS434において、G成分以外の色成分や、画素値に基づく公知の変換処理により2次的に算出される値(輝度、色差、色相、彩度、明度等)を用いても良い。
【0094】
ステップS435において、境界強度算出部331aは、ステップS434において算出された境界画素Gにおけるエッジ強度のmに関する総和ΣIEDG(G)を求め、この総和を境界画素Gの個数Mで割ることにより、互いに隣接する小領域間における境界強度IBOR(=ΣIEDG(G)/M))を算出する。
【0095】
ステップS436において、連結強度算出部331は、各隣接小領域の連結強度を算出する。ここで、互いに隣接する小領域A、An’の間における境界強度IBORが小さいということは、小領域A、An’が共に同一の領域に属している可能性が高く、連結強度は大きいと言える。そこで、連結強度算出部331は、境界強度IBORが小さくなるほど値が大きくなるように連結強度を算出する。具体的には、境界強度IBORを変数とする減少関数を設定して連結強度を算出すれば良い。或いは、境界強度IBORが小さくなるほど連結強度が大きくなるように境界強度IBORと境界強度とを関連付けた変換テーブルを作成し、この変換テーブルに基づいて連結強度を取得しても良い。
【0096】
以上説明したように、実施の形態3によれば、エッジ情報を基に画像を分割した小領域の境界強度から算出(取得)された連結強度に基づいて特定領域(病変部)を検出するので、特定領域の検出精度を向上させることができる。
【0097】
(変形例)
次に、実施の形態3の変形例を説明する。
図20は、変形例に係る画像処理装置の演算部の構成を示すブロック図である。図20に示すように、変形例に係る演算部31は、図17に示す連結強度算出部331の代わりに、連結強度算出部341を有する隣接間連結強度算出部340を備える。連結強度算出部341は、境界強度算出部331aに加えて、境界強度補正部331bを更に含んでいる。
【0098】
図21は、隣接間連結強度算出部340の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS431〜S435、及びS436の動作は、実施の形態3と同様である。
ステップS435に続くステップS440において、境界強度補正部331bは、互いに隣接する小領域間の境界強度IBORを、当該小領域の病変部101への帰属確率P
(又は非病変部への帰属確率(1−P))に基づいて補正する。
【0099】
ここで、管腔内画像においては、赤色(発赤)と白色(潰瘍)のように、色の特徴が互いに異なる病変が隣接している場合や、粘膜、残渣、泡等のように、色の特徴が互いに異なる領域が隣接している場合がある。このため、病変部に属する領域と非病変部に属する領域との間でのみ境界強度が高いわけではなく、病変部の内部や、非病変部の内部からも高い境界強度が算出される場合がある。そのため、小領域間における境界強度をそのまま用いて病変部の検出を行うと検出精度が低下する可能性もある。そこで、本変形例においては、互いに隣接する小領域の各々の帰属確率に基づいて、それらの小領域の間の境界強度を補正する。
【0100】
具体的には、境界強度補正部331bは、互いに隣接する小領域A、An’それぞれの帰属確率P、Pn’の平均値PAVE(PAVE=(P+Pn’)/2)を算出する。そして、この平均値PAVEが1又は0に近づくほど、即ち、小領域A、An’が共に同じ領域(病変部又は非病変部)に帰属している可能性が高いほど、小領域A、An’の間の境界強度IBORが小さくなるように補正を行う。そのためには、例えば、帰属確率の平均値PAVEを変数とする減少関数f(PAVE)を設定し、境界強度IBORと関数fとの積を、補正後の境界強度IBOR’とすれば良い。
【0101】
この変形例によれば、特定領域(病変部)又は非特定領域(非病変部)の領域内部における小領域間の境界強度がこれらの領域の判別に与える影響を抑制することができる。従って、特定領域の検出精度を向上させることが可能となる。
【0102】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
実施の形態4に係る画像処理装置は、図1に示す演算部15の代わりに、図22に示す演算部40を備える。この演算部40は、領域分割部110と、帰属確率推定部120と、隣接間連結強度算出部430と、病変部検出部140とを備える。なお、この内の帰属確率推定部120の代わりに、図11に示す帰属確率推定部220を設けても良い。
【0103】
隣接間連結強度算出部430は、隣接情報取得部131と、連結強度算出部431と、連結強度補正部432とを有する。
連結強度算出部431は、帰属確率差算出部132aと、内部特徴量差算出部231aと、境界強度算出部331aとを含み、帰属確率差算出部132aによって算出された帰属確率差ΔP、内部特徴量差算出部231aによって算出された内部特徴量差ΔC、及び境界強度算出部331aによって算出された境界強度IBORに基づいて、隣接小領域の連結強度を算出する。具体的には、連結強度算出部431は、帰属確率差ΔP、内部特徴量差ΔC、及び境界強度IBORをそれぞれ変数とする減少関数f(ΔP)、f(ΔC)、f(IBOR)の重み付け和を算出することにより、次式(2)で与えられる連結強度Iを算出する。式(2)において、w、w、wは重み係数であり、w≧0、w≧0、w≧0、且つ、w+w+w=1を満たす定数である。
I=w・f(ΔP)+w・f(ΔC)+w・f(IBOR) …(2)
【0104】
また、連結強度補正部432は、各隣接小領域について算出された連結強度Iを、当該小領域の病変部101への帰属確率P(又は非病変部への帰属確率(1−P))に基づいて補正する。具体的には、連結強度補正部432は、互いに隣接する小領域A、An’それぞれの帰属確率P、Pn’の平均値PAVE(PAVE=(P+Pn’)/2)を算出し、この平均値PAVEが1又は0に近づくほど、連結強度Iが小さくなるように補正を行う。そのためには、例えば、帰属確率の平均値PAVEを変数とする減少関数f(PAVE)を設定し、境界強度Iと関数fとの積を、補正後の境界強度I’とすれば良い。
【0105】
以上説明したように、実施の形態4によれば、重み係数w、w、wを調節することにより、帰属確率差、内部特徴量差、及び境界強度を所望に組み合わせた連結強度を算出することができる。従って、画像の特性に応じて、病変部の検出精度を向上させることが可能となる。例えば、非病変部内部において色の違いが見られる部位の画像を診断する際には、重み係数wを小さくするといった調整を行うことにより、隣接小領域における特徴量の差異が病変部検出に与える影響を抑制することができる。
【0106】
また、実施の形態4によれば、互いに隣接する小領域各々の帰属確率に基づいて当該隣接小領域の連結強度を補正するので、特定領域又は非特定領域の領域内部における隣接小領域の連結強度がこれらの領域の判別に及ぼす影響を低減することができる。従って、特定領域の検出精度を向上させることが可能となる。
【0107】
以上説明した実施の形態1〜4及び変形例に係る画像処理装置は、記録媒体に記録された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータシステムで実行することにより実現することができる。また、このようなコンピュータシステムを、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域エリアネットワーク(WAN)、又は、インターネット等の公衆回線を介して、他のコンピュータシステムやサーバ等の機器に接続して使用しても良い。この場合、実施の形態1〜4及び変形例に係る画像処理装置は、これらのネットワークを介して管腔内画像の画像データを取得したり、これらのネットワークを介して接続された種々の出力機器(ビュアーやプリンタ等)に画像処理結果を出力したり、これらのネットワークを介して接続された記憶装置(記録媒体及びその読取装置等)に画像処理結果を格納するようにしても良い。
【0108】
なお、本発明は、実施の形態1〜4及び変形例に限定されるものではなく、各実施の形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成できる。例えば、各実施の形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を除外して形成しても良いし、異なる実施の形態や変形例に示した構成要素を適宜組み合わせて形成しても良い。
【符号の説明】
【0109】
1 画像処理装置
10 制御部
11 画像取得部
12 入力部
13 表示部
14 記録部
14a 画像処理プログラム
15、20、30、31、40 演算部
100 管腔内画像(画像)
101 病変部
102 非病変部
103 境界
104 領域ラベル画像
105 連結グラフ
106 特徴空間
110 領域分割部
111 エッジ強度算出部
112 分割部
120 帰属確率推定部
121 領域特徴量算出部
130、230、330、340、430 隣接間連結強度算出部
130a 輪郭画素検出部
131 隣接情報取得部
131a 輪郭画素算出部
132、231、331、341、431 連結強度算出部
132a 帰属確率差算出部
140 病変部検出部
141 連結グラフ構築部
142 最小カット算出部
220 帰属確率推定部
221a クラスタリング部
221b クラスタ推定部
221 確率関数推定部
221c 確率密度関数推定部
231a 内部特徴量差算出部
331a 境界強度算出部
331b 境界強度補正部
432 連結強度補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像内のエッジ情報に基づいて、前記画像を、各々が複数の画素を含む複数の小領域に分割する小領域分割手段と、
前記複数の小領域の各々が、検出対象である特定領域に帰属する確率である帰属確率を推定する帰属確率推定手段と、
前記複数の小領域の内の互いに隣接する小領域が、前記特定領域及び該特定領域以外の領域である非特定領域の内、同じ領域に属する度合いを定量的に表す連結強度を算出する隣接間連結強度算出手段と、
前記帰属確率及び前記連結強度に基づいて前記画像を前記特定領域と前記非特定領域とに分割することにより、前記特定領域を検出する特定領域検出手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記小領域分割手段は、
前記画像内の各画素におけるエッジ強度を算出するエッジ強度算出手段と、
前記画像を、前記エッジ強度の尾根を境界として前記複数の小領域に分割する分割手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記帰属確率推定手段は、
前記複数の小領域の各々の特徴量を小領域単位で算出する領域特徴量算出手段を有し、
前記特徴量に基づいて前記帰属確率を推定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特徴量は、色特徴量又はテクスチャ特徴量であることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記帰属確率推定手段は、前記特徴量に基づいて、前記複数の小領域の各々の特定領域への帰属確率を算出するための確率関数を推定する確率関数推定手段を有することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記確率関数推定手段は、
前記画像における前記特徴量の分布をクラスタ分けするクラスタリング手段と、
前記特定領域に対応するクラスタを推定するクラスタ推定手段と、
前記推定結果に基づいて、前記特定領域及び前記非特定領域の確率密度関数をそれぞれ推定する確率密度関数推定手段と、
を有し、前記確率密度関数に基づいて前記確率関数を推定することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記隣接間連結強度算出手段は、
前記複数の小領域の各々に対し、自身と隣接する小領域に関する隣接情報を取得する隣接情報取得手段と、
前記隣接情報に基づいて、前記互いに隣接する小領域の間における前記連結強度を算出する連結強度算出手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記隣接情報取得手段は、
前記複数の小領域の各々の輪郭画素を検出する輪郭画素検出手段を有し、
前記輪郭画素に関する情報に基づいて、前記複数の小領域の各々の隣接情報を取得することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記連結強度算出手段は、
前記互いに隣接する小領域の間における前記帰属確率の差を算出する帰属確率差算出手段を有し、
前記帰属確率の差に基づいて、前記互いに隣接する小領域の間における連結強度を算出することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記連結強度算出手段は、
前記互いに隣接する小領域の間の内部特徴量の差を算出する内部特徴量差算出手段を有し、
前記内部特徴量の差に基づいて、前記互いに隣接する小領域の間における連結強度を算出することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記内部特徴量は、前記各小領域内の色特徴量又はテクスチャ特徴量であることを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記連結強度算出手段は、
前記互いに隣接する小領域の間における境界強度を算出する境界強度算出手段を有し、
前記境界強度に基づいて、前記互いに隣接する小領域の間における前記連結強度を算出することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記境界強度算出手段は、
前記互いに隣接する小領域の間における境界画素を検出する境界画素検出手段と、
前記境界画素におけるエッジ強度を算出する境界エッジ強度算出手段と、
を有し、
前記境界画素におけるエッジ強度に基づいて、前記互いに隣接する小領域の間における境界強度を算出することを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記連結強度算出手段は、
前記帰属確率に基づいて前記境界強度を補正する境界強度補正手段を更に有し、
補正後の前記境界強度に基づいて、前記互いに隣接する小領域の間における連結強度を算出することを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記隣接間連結強度算出手段は、
前記互いに隣接する小領域の間における前記帰属確率の差と、前記互いに隣接する小領域の間における各小領域の内部特徴量の差と、前記境界画素におけるエッジ強度との内の少なくとも2つの値に基づいて、前記互いに隣接する小領域の間における連結強度を算出することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記隣接間連結強度算出手段は、
前記帰属確率に基づいて、前記連結強度を補正する連結強度補正手段を更に有し、
補正後の前記連結強度に基づいて、前記互いに隣接する小領域の間における連結強度を算出することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記特定領域検出手段は、
前記帰属確率及び前記連結強度に基づいて連結グラフを構築する連結グラフ構築手段と、
前記連結グラフにおける最小カット位置を算出する最小カット算出手段と、
を有し、前記最小カット位置において前記連結グラフをカットした結果に基づいて前記特定領域を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項18】
画像内のエッジ情報に基づいて、前記画像を、各々が複数の画素を含む複数の小領域に分割する小領域分割ステップと、
前記複数の小領域の各々が、検出対象である特定領域に帰属する確率である帰属確率を推定する帰属確率推定ステップと、
前記複数の小領域の内の互いに隣接する小領域が、前記特定領域及び該特定領域以外の領域である非特定領域の内、同じ領域に属する度合いを定量的に表す連結強度を算出する隣接間連結強度算出ステップと、
前記帰属確率及び前記連結強度に基づいて前記画像を前記特定領域と前記非特定領域とに分割することにより、前記特定領域を検出する特定領域検出ステップと、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項19】
画像内のエッジ情報に基づいて、前記画像を、各々が複数の画素を含む複数の小領域に分割する小領域分割ステップと、
前記複数の小領域の各々が、検出対象である特定領域に帰属する確率である帰属確率を推定する帰属確率推定ステップと、
前記複数の小領域の内の互いに隣接する小領域が、前記特定領域及び該特定領域以外の領域である非特定領域の内、同じ領域に属する度合いを定量的に表す連結強度を算出する隣接間連結強度算出ステップと、
前記帰属確率及び前記連結強度に基づいて前記画像を前記特定領域と前記非特定領域とに分割することにより、前記特定領域を検出する特定領域検出ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−238041(P2012−238041A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104698(P2011−104698)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】