説明

画像処理装置、画像処理方法およびプログラム

【課題】 注目すべき部位を探索し把握しやすくするとともに、検査対象に対する画像の位置関係が把握しやすくする。
【解決手段】 断層画像取得部102は、所定のフレームレートで順次撮像され画像処理装置100へと送信される超音波断層画像501を逐次に取得する。近似平面生成部116は、病変位置を含み対応点群を近似する平面を生成する。断面生成部118は、近似平面の一部の姿勢パラメータを固定値に置換した置換断面を算出し、さらに面内移動成分を推定して、対応断面を生成する。断面画像取得部120は、被検体の3次元画像から、算出した断面の所定の範囲を切り出した断面画像を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波撮像装置で撮像された画像を処理する画像処理装置、画像処理方法および画像処理をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療または非破壊検査の分野において、生体やその他の物体などの検査対象を撮像した画像をモニタに表示し、表示された画像を検査者が観察することで病変や不具合の有無などを検討する。これらの画像の多くに対象物体内部の断層画像(三次元画像)が用いられている。断層画像を撮像する画像収集装置(モダリティ)としては、超音波画像診断装置(超音波装置)、光干渉断層計(OCT装置)、磁気共鳴映像装置(MRI装置)、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)などが挙げられる。
【0003】
ここで、超音波断層画像に対応するMRI画像の断面の画像を表示することで、超音波装置による病変部の撮像を支援することで複数の画像の比較による検査が可能となる。特許文献1には、人体を撮影する超音波撮影装置において、超音波探触子を体軸に直行する断面内で超音波走査する場合に、超音波画像に対応する3次元画像データの断面画像を参照画像として表示する例が示されている。さらに上記の制約のもとで超音波探触子を傾けて撮影しても参照画像は常に背部から腹部に向かう方向が上方になるように表示させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−260056号広報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Y.Hu,D.Morgan,H.U.Ahmed,D.Pendse,M.Sahu,C.Allen,M.Emberton and D.Hawkes,“A statistical motion model based on biomechanical simulations,”Proc.MICCAI 2008,Part I,LNCS 5241,pp.737−744,2008.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
検査においては、病変や不具合がある特定位置を把握した上で、かかる特定位置の検査対象における位置関係を把握することで、精密な検査が可能となる。
しかしながら、超音波による撮像位置の変更によって超音波画像と参照画像の双方から当該特定位置が見えなくなってしまうと、特定位置が把握し難くなり、また特定位置を探す負担も大きい。
加えて、参照画像の向きが超音波の撮像断面の向きと一致させる場合、これら画像からは検査対象全体における撮影位置が把握し難くなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明の一態様に係る画像処理装置は、被検体を超音波で撮像した超音波画像を取得する超音波画像取得手段と、前記被検体の3次元画像において前記超音波画像の撮像断面に対応する断面であって基準方向と平行かつ予め指定された位置を通る対応断面を生成する生成手段と、前記生成された対応断面による前記3次元画像の断面画像を取得する断面画像取得手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように予め指定された位置を通りかつ基準方向と平行な対応断面による断面画像を得ることで、かかる画像により指定された位置を探索し把握しやすくなる上に、検査対象に対する画像の位置関係が把握しやすくなる。これにより検査者は精密な検査を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1に係る画像処理装置の構成を説明する図である。
【図2】画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】実施例1における、全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】仰臥位の乳房の超音波断層画像を撮像する様子を示す図である。
【図5】超音波断層画像の例を示す図である。
【図6】MRI画像の例を示す図である。
【図7】MRI画像から超音波断層画像に応じた断面画像を生成する処理の概要を示した図である。
【図8】表示制御部により表示部に表示される画面の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下適宜図面に従って本発明の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0011】
実施例1は、超音波画像の撮影体位と異なる撮影体位で得られる3次元画像から断面画像を得る例であり、基準方向は重力方向としている。
以下、本実施例に係る画像処理システムについて説明する。
なお本実施例において撮影と撮像は同様の意味で用いるが、条件設定から画像の取得までの一連の処理であることを強調する場合には撮影を用い、特に画像を得ることを強調する場合には撮像を用いる。
【0012】
図1は本実施例における画像診断システム1の構成を示す。同図に示すように、本実施例における画像処理装置100は、第1画像撮像装置180、データサーバ190、表示部186および操作部188と接続されている。
【0013】
第1画像撮像装置180は超音波撮像装置であり、プローブから超音波信号を送受信することによって被検体を撮像する。この撮像により超音波画像または超音波断層画像が得られる。特に断層画像という用語は被検体の内部構造を示す画像であることを強調する場合に用いる。図4は、当該第1画像撮像装置により仰臥位の乳房の超音波断層画像を撮像する様子を示す図である。そして、図5は、超音波断層画像の例を示す図である。仰臥位の乳房の表面401にプローブ411を当てて撮像することによって得られた超音波断層画像501は、断層画像取得部(超音波画像取得部)102を介して画像処理装置100に逐次的に入力される。
【0014】
データサーバ190は、第2画像撮像装置182としてのMRI装置によって伏臥位の体位を取った被検者の乳房を撮像して得られたMRI画像と、MRI画像中における注目病変領域の中心位置を保持しているものとする。図6は、MRI画像の例を示す図である。データサーバ190が保持するMRI画像601は、3次元画像取得部106を介して画像処理装置100に入力される。また、データサーバ190が保持する注目病変領域603の中心位置(以下、病変位置と呼ぶ)は、注目点指定部107を介して画像処理装置100に入力される。
【0015】
位置姿勢計測装置184は、第1画像撮像装置180としての超音波装置が備えるプローブ411の位置姿勢を計測する。位置姿勢計測装置184は、例えば、米国Polhemus社のFASTRAK等によって構成され、センサ座標系420(位置姿勢計測装置184が基準として定める座標系)におけるプローブ411の位置姿勢を計測する。なお、位置姿勢計測装置184は、プローブ411の位置姿勢が計測できるのであれば、どのように構成されていてもよい。計測されたプローブ411の位置姿勢は、位置姿勢取得部104を介して画像処理装置100に逐次的に入力される。
【0016】
画像処理装置100は、以下に説明する構成要素により構成されている。
断層画像取得部102は、所定のフレームレートで順次撮像され画像処理装置100へと送信される超音波断層画像501を逐次に取得する。形状データ算出部108、グリッド点群設定部112、および画像合成部122へと出力する。
位置姿勢取得部104は、画像処理装置100へと入力されるプローブ411の位置姿勢を逐次的に取得し、形状データ算出部108および対応点群算出部114へと出力する。
【0017】
3次元画像取得部106は、画像処理装置100へと入力される伏臥位の被検者を撮影して得られた3次元MRI画像601を取得し、物理変換規則算出部110へと出力する。なおここで3次元MRI画像とはMRI画像により得られた被検者の3次元ボリュームデータであっても、二次元MRI断面画像群であってもよい。
【0018】
注目点指定部107は、画像処理装置100へと入力される伏臥位のMRI画像601中で指摘された病変位置を注目点の位置として予め指定し、注目点変換部113、近似平面生成部116、および断面生成部118へと出力する。なお係る位置の指定は例えば操作部188により指定される。なお、予め指定するとは、後述の対応断面の生成前に指定が完了していることを意味する。
【0019】
形状データ算出部108は、超音波断層画像501と、プローブ411の位置姿勢とに基づいて、仰臥位の乳房400の形状データを算出し、物理変換規則算出部110へと出力する。
【0020】
物理変換規則算出部110は、仰臥位の乳房の表面401の形状が、伏臥位のMRI画像の表面602の形状と略一致するように変換する物理変換規則を算出し、注目点変換部113および対応点群算出部114へと出力する。
【0021】
グリッド点群設定部112は、超音波断層画像501が表す範囲にグリッド点群を設定し、対応点群算出部114へと出力する。
【0022】
注目点変換部113は、物理変換規則に基づいて伏臥位のMRI画像601中で指摘された病変位置を仰臥位における位置に変換して、対応点群算出部114、近似平面生成部116、および断面生成部118へと出力する。
【0023】
対応点群算出部114は、物理変換規則に基づいて各グリッド点の位置を変位させて対応点群を算出し、近似平面生成部116および断面生成部118へと出力する。近似平面生成部116および断面生成部118が超音波画像に対応する対応断面を生成する。ここで対応断面とは、2次元の超音波画像を含む平面である撮像断面(撮影断面)に所定の変換を施して得られる面であり、3次元MRI画像から当該面による二次元MRI断面画像を得るための断面である。対応する、とは、他の制約の元で超音波画像の位置及び姿勢と対応断面との姿勢が揃っていることを意味する。例えば、単に超音波画像に対応する3次元画像の断面といったときには超音波画像を含む断面と同一位置及び傾きの断面を意味する。本実施例における対応断面は、単純な対応ではなく、位置は指定された位置に固定され、基準方向と平行な方向に固定されている。
【0024】
近似平面生成部116は、病変位置を含み対応点群を近似する平面を算出して、断面生成部118へと出力する。
【0025】
断面生成部118は、近似平面の一部の姿勢パラメータを固定値に置換した置換断面を算出し、さらに面内移動成分を推定することで対応断面を生成する。そしてこの対応断面を断面画像取得部120へと出力する。これにより、基準方向と平行かつ注目点指定部107により予め指定された位置を通り、かつ超音波画像を含む面との交差線が基準方向と直交する対応断面が得られる。またかかる対応断面は、超音波画像の撮像断面が基準方向となす角度を0度に置換することで得られる面と平行であり、かつ注目点指定部107により予め指定された位置を通る。
ここで対応断面と基準方向がなす角度とは、基準方向と平行な任意の直線と、対応断面とがなす最小の角度を指すものとする。またここでの置換処理は、基準方向と平行であり、かつ基準方向と対応断面がなす角が張る平面と直交する平面へ当該対応断面を射影することを意味する。
【0026】
断面画像取得部120は、被検体の3次元画像から、算出した断面の所定の範囲を切り出した断面画像を取得する。取得された断面画像を画像合成部122へと出力する。
【0027】
画像合成部122は、超音波断層画像と断面画像を合成し表示用の画像を得る。表示制御部124はかかる画像をモニタ206に表示する。
【0028】
例えば、乳腺科領域においては、MRI装置によって乳房を撮像した画像中で病変部の位置を同定した上で、超音波装置によって当該部位の状態を撮像して観察するという手順で画像診断を行う場合がある。ここで、乳腺科における一般的な撮影プロトコルでは、MRI装置による撮像を伏臥位(うつ伏せの体位)で行い、超音波装置による撮像を仰臥位(あお向けの体位)で行うことが多い。このとき医師は、撮影体位の差異に起因する乳房の変形を考慮して、伏臥位MRI画像上で同定した病変部の位置から仰臥位における病変部の位置を推定した上で、推定した病変部の位置を超音波装置によって撮像している。
【0029】
しかし、撮像体位の差異に起因する乳房の変形は非常に大きいため、医師が推定する仰臥位における病変部の位置が実際と大きく異なる場合がある。この課題には、伏臥位MRI画像に変形処理を施して仮想的な仰臥位MRI画像を生成する公知の手法を用いれば対処することができる。伏臥位から仰臥位への変形情報に基づけば、仮想的な仰臥位MRI画像上における病変部の位置を算出することができる。あるいは、生成した仮想的な仰臥位MRI画像を読影することで、当該画像上における病変部の位置を直接的に求めることもできる。この変形処理の精度が高ければ、仮想的な仰臥位MRI画像上における病変部の近傍に実際の仰臥位における病変部が存在することになる。
【0030】
そこで画像診断システム1では、第1の物理変形状態の対象物体を撮像した超音波断層画像と、第2の物理変形状態の対象物体を撮像した3次元画像中における基準方向と、3次元画像中の注目位置とに基づいて、注目位置を含む断面を設定する。そして、設定した断面の画像を3次元画像から切り出して、超音波断層画像と並べて表示する。そうすることにより、3次元画像中の注目位置に対応する超音波断層画像上での位置の探索を容易にさせつつ、3次元医用画像の断面の画像と対象物体との位置関係の把握を容易にさせる。本実施例では被検体の乳房を対象物体とし、MRI装置によって伏臥位の乳房を撮像して得られたMRI画像を3次元医用画像とする場合を例として説明する。また、本実施例では、MRI画像の撮像時の重力方向を基準方向とし、MRI画像中における注目病変領域の中心位置を注目位置とする場合を例として説明する。さらに本実施例では、第1の物理変形状態は重力方向に対して対象物体が仰向け(仰臥位)の状態であるものとし、第2の物理変形状態は重力方向に対して対象物体がうつ伏せ(伏臥位)の状態であるものとする。
【0031】
上述の画像処理システムにより実現される処理の概要を、図7を用いて説明する。この処理は、MRI画像と超音波断層画像の位置合わせを行うことを目的として、超音波断層画像と、それに応じてMRI画像から生成された断面画像を合成してモニタ206に表示させる処理である。図7の上方左側には、仰臥位の対象物体(乳房)を表す直方体とプローブ411が示されている。また、図7の上方中央には、超音波断層画像と病変位置に基づいて算出される断面(曲面)を近似する平面720が点線で示されている。そして、図7の上方右側には、煽り角(ピッチ角)を0に置換した置換断面721が点線で示されている。図7の下方には、取得された超音波断層画像501と、伏臥位のMRI画像601から生成された断面の画像722の表示態様が示されている。
【0032】
なおここで煽り角またはピッチ角とは、超音波プローブが接触する体表上の位置における超音波画像の撮像断面の入射角を意味する。そして方位角は、超音波プローブを体表に対して直角に当てたときに、超音波プローブが向く方向で定義される角度である。撮像された超音波画像と取得された2次元MRI断面画像とは、かかる方位角が一致することとなるが、あおり角は一致しない。
【0033】
操作者(医師や技師等)は、プローブ411を対象物体に押し当て、仰臥位の対象物体400の超音波断層画像501を取得する。図7上方左側には、超音波断層画像501の撮像画像領域502を実線で、撮像画像領域502を含む平面を点線で示している。撮像画像領域はプローブ411による撮像断面に含まれる。プローブ411の位置姿勢が位置姿勢計測装置184により計測されるので、対象物体400に対する超音波断層画像501の位置姿勢の情報を取得することができる。第一画像撮像装置180は超音波プローブの位置姿勢が変更されるたび異なる画像を撮像するため、これに応じて近似平面生成部116及び断面生成部118により対応断面も変更される。この際基準方向及び指定された位置により固定された対応断面の向きは超音波画像の撮像断面の向きに応じて臥位基準方向を軸とした回転方向に変更する。
これにより、対応断面のあおり角は固定されているが方位角は超音波プローブの方位角に追従するため、超音波画像と比較がしやすい画像を得ることができる。
【0034】
一方、伏臥位のMRI画像601上では、注目病変領域603の中心位置(病変位置)703が特定されている。操作者は、伏臥位のMRI画像601上で特定された病変位置703を含む断面の画像722を参照しながら、プローブ411の操作により仰臥位の対象物体を撮像して得られる超音波断層画像501上において、注目病変領域603に対応する病変領域を探索する。
【0035】
上述の画像処理システムは、超音波断層画像501の位置姿勢と病変位置703が与えられると、これらの情報に基づいてMRI画像601から断面画像722を生成する。まず、超音波断層画像501と同一の姿勢で、仰臥位に変換した病変位置を含む平面を算出する。次に、算出した平面に対応するMRI画像601中における断面(曲面)を求め、その曲面を近似しつつ病変位置703を含む平面720を算出する。ここで、超音波断層画像501の撮像時とMRI画像601の撮像時では物理変形状態が大きく異なるため、平面720の姿勢が超音波断層画像501の姿勢と大きく異なる場合がある。そのため、平面720と対象物体との位置関係の把握は容易ではない。そこで、本実施例では、平面720の煽り角(ピッチ角)を0に置換して、重力方向が画面内下向きで病変位置703を含む断面画像722を算出する。以上の処理によって、プローブ411がどのような姿勢であっても、病変位置703を含みつつ、重力方向が画面内下向きとなるような断面の画像722を表示することができる。その結果、注目病変領域に対応する超音波断層画像上における病変領域の探索を容易にさせることができる。また、断面画像の向きが予め分かるため、医師は断面画像と対象物体との位置関係を容易に把握できる。さらに、乳房の簡略形状を表すボディマーク上においても、断面の画像の位置を単純な線分で表示できるため、対象物体(伏臥位の乳房)との位置関係の把握を容易にさせることができる。
【0036】
生成されたMRI画像の断面の画像722と、超音波断層画像501(の撮像画像領域502)は、それぞれモニタ206に表示される。操作者はプローブ411を押し当てる位置を変えながら夫々の画像に映った注目病変領域が一致するか否かを見比べて、位置合わせを行うことができる。
【0037】
図8に、超音波断層画像と断面画像とを合成した画像の一例を示す。図8上方右側には、超音波断層画像501が示されている。また、図8上方左側には、伏臥位の被検者を撮影した3次元MRI画像を仰臥位に変換した3次元MRI画像から得られた、病変位置を含む断面の画像(第1のMRI断面画像)が示されている。このMRI画像は、超音波画像の撮像断面と平行でかつ指定された病変位置を通る対応断面による断面画像(第1のMRI断面画像)である。図8下方左側には、伏臥位のMRI画像が示されている。この伏臥位のMRI画像は、病変位置を含む断面であり、かつ煽り角(ピッチ角)を0に置換した画像(第2のMRI断面画像)が示されている。
【0038】
図8上方右側の超音波断層画像501と図8上方左側の仰臥位MRI断面画像801は、双方とも仰臥位の対象物体の断面画像である。これにより医師は双方の断面画像の内部組織構造同士の関係を容易に把握しながら、超音波断層画像上における病変領域を容易に探索することができる。一方、図8下方左側の伏臥位MRI断面画像601は、図8上方右側の超音波断層画像501からあまり大きくかけ離れない姿勢の断面の画像であって、かつ重力方向が常に画面内下向きとなる断面の画像である。これにより医師は双方の断面画像同士の関係を把握しつつ、伏臥位の対象物体と断面画像との位置関係を容易に把握することができる。したがって、図8の3つの断層画像に基づいて、医師は、伏臥位の対象物体と断面画像との位置関係を把握しつつ、仰臥位の超音波断層画像上における病変領域を容易に探索することができる。
【0039】
図3は、画像処理装置100が行う全体の処理手順を示すフローチャートである。
【0040】
(S3000) (MRI画像の取得)
ステップS3000において、画像処理装置100は、3次元画像取得部106の処理として、データサーバ190から画像処理装置100へと入力される、伏臥位の乳房のMRI画像601を取得する。本実施例では、MRI画像601中の一点を原点とし、X軸を人体の右側から左側への方向を表す軸、Y軸を人体の腹部から背部への方向を表す軸、Z軸を人体の足から頭への方向を表す軸として定義した座標系をMRI座標系600とする。そして、MRI座標系600のY軸方向(重力方向)を基準方向とする。なお、本実施例においてはY軸の+方向であっても−方向であってもよい。
【0041】
(S3005) (注目点の取得)
ステップS3005において、画像処理装置100は、注目点指定部107の処理として、データサーバ190から画像処理装置100へと入力される、伏臥位のMRI画像601中における病変領域603の中心位置(病変位置703)xsLを取得する。
【0042】
(S3010) (超音波断層画像の取得)
ステップS3010において、画像処理装置100は、断層画像取得部102の処理として、第1画像撮像装置180から画像処理装置100へと逐次入力される超音波断層画像501を取得する。超音波断層画像501の各画素の位置は、超音波画像座標系500(超音波断層画像を表す平面をXY平面とし、それと直交する軸をZ軸として定義した座標系)で表されるものとする。本実施例では、超音波断層画像501の中心位置を超音波画像座標系500の原点とする。なお、超音波断層画像501の各画素の位置は、z=0の平面上のみに存在することになる。
【0043】
(S3020) (プローブ位置姿勢の取得)
ステップS3020において、画像処理装置100は、位置姿勢取得部104の処理として、位置姿勢計測装置184から画像処理装置100へと逐次入力されるプローブ411の位置姿勢を取得する。
【0044】
(S3030) (形状の算出)
ステップS3030において、画像処理装置100は、形状データ算出部108の処理として、仰臥位の乳房形状を取得する。具体的には、操作者がプローブの先端の中央部412を仰臥位の乳房の表面401の複数箇所に接触させた瞬間の位置座標ベクトルを取得する。仰臥位の乳房形状は、これらの位置座標ベクトル群として表現されるものとする。
【0045】
(S3040) (物理変換規則の算出)
ステップS3040において、画像処理装置100は、物理変換規則算出部110の処理として、仰臥位の乳房形状を伏臥位の乳房形状と略一致するように変換する物理変換規則を算出する。まず、仰臥位の乳房の剛体部分(例えば超音波断層画像501中の肋骨504)と、伏臥位の乳房の剛体部分(例えばMRI画像601中の肋骨605)とに基づいて、仰臥位の乳房から伏臥位の乳房への剛体変換規則を表す4行4列の変換行列を算出する。これには、Iterative Closest Point法(ICP法)などの既知の手法を用いることができる。次に、仰臥位の乳房形状が伏臥位の乳房形状と略一致するように、物理的な変形を考慮して変換する、非剛体変換規則を算出する。この非剛体変換規則は、MRI座標系600における各グリッド点(仰臥位の乳房400の全体を含む直方体領域を等間隔に格子状に分割して得られる各交点)の、仰臥位から伏臥位への変換による移動量を表す、3次元変位ベクトル群で表現されるものとする。また、これとは逆の、伏臥位から仰臥位への変換による移動量を表す、3次元逆変位ベクトル群も併せて算出しておく。なお、非剛体変換規則の算出には、例えば非特許文献1に開示されている、重力変形シミュレーションに基づく手法を用いることができる。本実施例における伏臥位から仰臥位への物理変換規則は、上述の剛体変換規則と非剛体変換規則によって構成される。また、画像処理装置100は、プローブ411の位置姿勢と、仰臥位の乳房から伏臥位の乳房への剛体変換規則とに基づいて、超音波画像座標系500からMRI座標系600への変換行列Tisを算出しておく。この変換行列は、超音波断層画像501のMRI座標系600における位置姿勢を表す。
【0046】
(S3045) (注目点の変換)
ステップS3045において、画像処理装置100は、注目点変換部113の処理として、以下の処理を行う。すなわち、伏臥位のMRI画像601中の病変位置703を表すxsLを、ステップS3040で算出した3次元逆変位ベクトル群に基づいて変位させて、仰臥位に変換した病変位置xsL’を算出する。
【0047】
(S3050) (グリッド点群の設定)
ステップS3050において、画像処理装置100は、グリッド点群設定部112の処理として、まず、超音波断層画像501の範囲を表す矩形領域を等間隔に格子状に分割し、その交点群をグリッド点群(不図示)として設定する。これらのグリッド点には、少なくとも、超音波画像座標系500の原点と、超音波断層画像501の範囲を表す矩形領域の4頂点((−Xmin,−Ymin),(Xmin,−Ymin),(−Xmin,Ymin),(Xmin,Ymin))が含まれているものとする。また、超音波画像座標系500のX軸およびY軸の端点((−Xmin,0),(Xmin,0),(0,−Ymin),(0,Ymin))が含まれているものとする。
【0048】
(S3060) (対応点群の算出)
ステップS3060において、画像処理装置100は、対応点群算出部114の処理として、まず、ステップS3050で設定した全てのグリッド点の位置をZ軸方向に同じ距離だけ変位させて、各グリッド点の位置と病変位置とが同一平面上に乗るようにする。次に、物理変換規則に基づいて、仰臥位における各グリッド点の位置を伏臥位における位置に変換して、対応点群を算出する。以下、本ステップにおける処理の詳細について述べる。
【0049】
まず、超音波画像座標系500における病変位置xiLを、MRI座標系600における仰臥位に変換した病変位置xsL’と、超音波画像座標系500からMRI座標系600への変換行列Tisとに基づいて、次式によって算出する。
iL=xsL’・Tis−1 ・・・数1
次に、ステップS3050で設定した全てのグリッド点のz座標を、超音波画像座標系500における病変位置xiLのz座標値に設定する。これにより得られる各グリッド点の位置は、プローブ411の姿勢を維持したまま、仮想的にプローブ411を病変位置まで平行移動させた場合に設定される各グリッド点の位置に相当する。そして、各グリッド点のMRI座標系600における位置を、次式によって算出する。
sn=xin・Tis ・・・数2
ここで、xin=[xininiL 1]は、超音波画像座標系500におけるn番目(n=1〜N;Nはグリッド点の総数)のグリッド点の位置の3次元空間における同次座標表現である。ziLは超音波画像座標系500における病変位置xiLのz座標値である。また、xsn=[xsnsnsn 1]はMRI座標系600におけるn番目のグリッド点の位置である。
【0050】
そして、算出した各グリッド点の位置xsnを、ステップS3040で算出した3次元変位ベクトル群に基づいて物理変換して、グリッド点群の変換後の位置に対応する伏臥位のMRI画像601中の点群(対応点群)の位置xdn(n=1〜N)を算出する。なお、超音波断層画像501の撮像時とMRI画像601の撮像時では物理変形状態が異なるため、対応点群は通常は同一平面上に位置しない。
【0051】
(S3070) (近似平面の算出)
ステップS3070において、画像処理装置100は、近似平面生成部116の処理として、MRI画像601中の点群(対応点群)の位置と、伏臥位における病変位置xsLとに基づいて、対応点群を近似する平面を算出する。具体的には、伏臥位における病変位置xsLを含むという制約条件の下で、対応点群xdn(n=1〜N)に最もよく当てはまる平面(近似平面)720を、最小二乗法や最尤推定法などの一般的な平面当てはめ手法によって算出する。
【0052】
(S3080) (断面の算出)
ステップS3080において、画像処理装置100は、断面生成部118の処理として、以下の処理を行う。まず、MRI座標系600における近似平面720の姿勢を、オイラー角表現で取得する。すなわち、MRI座標系600における近似平面720のヨー角、ピッチ角、およびロール角を取得する。次に、ピッチ角を0に置換した断面を算出し、断面を平行移動させて、伏臥位のMRI画像601中の病変位置603を表すxsLを含む置換断面721を算出する。本ステップの上記の処理により、病変位置703を含み、基準方向(MRI座標系600のY軸方向、すなわち重力方向)と直交する法線を有する置換断面721が算出される。
【0053】
ここで、上記の処理で算出した置換断面721には面内の位置と回転に自由度が残っているので、画像処理装置100はさらに、置換断面の面内移動成分の推定を行う。すなわち、置換断面721から断面画像722の切り出しを行う際に用いる所定の範囲を決定する。まず、置換断面座標系(置換断面721を表す平面をXY平面とし、それと直交する軸をZ軸として定義した座標系)における病変位置xsLが超音波画像座標系500の病変位置xiLと一致するように面内で平行移動させて、置換断面の面内位置を決定する。次に、置換断面座標系のY軸をMRI座標系600のY軸(基準方向)と一致させて、置換断面座標系の面内回転を決定する。
【0054】
さらに、画像処理装置100は、対応点群xdnの夫々から上記置換断面721に下ろした垂線の足の全てを含んで、かつ、(−Xmin1,−Ymin1),(Xmin1,−Ymin1),(−Xmin1,Ymin1),(Xmin1,Ymin1)で記述可能な矩形の頂点座標を算出する。そして、この矩形を、次のステップで、断面画像722の切り出しを行う際に用いる所定の範囲と定義する。なお、この所定の範囲は、置換断面721内における、より広い範囲を含むように、例えば、モニタ206上に配置された拡大ボタンを操作者がマウス205でクリックするなどして、拡大してもよい。
【0055】
(S3090) (断面画像の生成)
ステップS3090において、画像処理装置100は、断面画像取得部120の処理として、MRI画像601からステップS3080で算出した置換断面721の所定の範囲を切り出した断面画像722を生成する。ここで、指定した平面の所定の範囲の画像を3次元画像から切り出して生成する方法については周知であるので、その詳細に関する説明は省略する。
【0056】
(S3100) (画像の合成)
ステップS3100において、画像処理装置100は、画像合成部122の処理として、図7の下方に示すように、超音波断層画像501と断面画像722を左右に並べた画像を生成し、モニタ206に表示する。
【0057】
(S3110) (終了?)
ステップS3110において、画像処理装置100は、全体の処理を終了するか否かの判定を行う。例えば、モニタ206上に配置された終了ボタンを操作者がマウス205でクリックするなどして、終了の判定を入力する。終了すると判定した場合には、画像処理装置100の処理の全体を終了させる。一方、終了すると判定しなかった場合には、ステップS3010へと処理を戻し、新たに取得される超音波断層画像501およびプローブ411の位置姿勢データに対して、ステップS3010からステップS3100までの処理を再度実行する。
【0058】
以上によって、画像処理装置100の処理が実施される。
【0059】
以上のように、本実施例に係る画像処理装置は、プローブがどのような姿勢であっても、MRI画像の病変位置を含む断面の画像を基準方向に合わせて(重力方向が下向きになるように)表示することができる。その結果、MRI画像の断面の画像と対象物体との位置関係の把握を容易にさせることができる。
【0060】
なお、本実施例では、人体の乳房を対象物体とする場合を例として説明したが、本発明の実施はこれに限らず、任意の対象物体であってもよい。また、本実施例では、MRI画像中で指摘された病変位置を注目位置とする場合を例として説明したが、本発明の実施はこれに限らず、MRI画像中の生検などの治療痕を表す領域の中心位置や、血腫を表す領域の中心位置など、どのような位置であってもよい。
【実施例2】
【0061】
実施例2では、超音波断層画像の重力方向からの傾きが所定の角度以上の場合には、超音波対応断面画像を生成する。システムの構成は実施例1と同様であるため説明は省略する。
【0062】
実施例1では、近似平面のヨー角、ピッチ角、およびロール角を取得し、ピッチ角を0に置換して置換断面を算出する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施はこれに限らず、例えば超音波断層画像の基準方向(重力方向)からの傾きの大きさが所定の閾値(例えば45度)より大きい場合には、ピッチ角を0に置換しない。この場合には、近似平面生成部116および断面生成部118は、超音波画像の撮像断面と対応する断面であって、指定された位置を通り、撮像断面と平行な対応断面(その他の対応断面)による2次元MRI断面画像のみを生成する。
【0063】
一方で、超音波画像と基準方向との傾きの大きさが所定の閾値より小さい場合には、実施例1と同様の処理を行う。本変形例によれば、超音波断層画像の基準方向からの傾きが大きい場合に、超音波断層画像との対応が分かりにくくなるのを防ぐことができる。
【実施例3】
【0064】
実施例3では、伏臥位MRI画像と仰臥位変形MRI画像とUS(超音波)画像を並べて表示する。システムの構成は実施例1と同様であるため説明は省略する。
【0065】
実施例1では、伏臥位のMRI画像の断面の画像を生成して、超音波断層画像と並べて表示する場合を例として説明したが、本発明の実施はこれに限らない。例えば、伏臥位のMRI画像601から、物理変換規則に基づいて仰臥位のMRI画像を生成し、超音波断層画像501の範囲の断面の画像を生成して、伏臥位のMRI画像の断面の画像および超音波断層画像と共に並べて表示してもよい。
【実施例4】
【0066】
実施例4では、仰臥位MRI画像と、伏臥位以外のMRI画像または重力変形以外のコイル圧迫やプローブ圧迫等により変形したMRI画像とを表示させる。システムの構成は実施例1と同様であるため説明は省略する。
【0067】
実施例1では、第1の変形状態は重力方向に対して乳房が仰向け(仰臥位)の状態で、第2の変形状態は重力方向に対して乳房がうつ伏せ(伏臥位)の状態である場合を例として説明したが、本発明の実施はこれに限らない。第1および第2の変形状態は、仰臥位と伏臥位に限らず、側位や立位や座位も含めた任意の状態であってもよい。さらに、第1および第2の変形状態が同一の変形状態であってもよい。
【0068】
また、重力方向に起因する変形状態の違いに限らず、MRI撮像時に使用する不図示のマンモコイルの圧迫によって生じる変形や、超音波撮像時にプローブ411を乳房に押し当てることによって生じる変形などの影響による変形状態の違いであってもよい。プローブ411を乳房に押し当てることによって生じる変形の場合には、逐次的に変形する乳房の形状を計測することが可能な距離計測装置を用いればよい。
【実施例5】
【0069】
実施例5では、MRI画像とUS(超音波)画像以外の画像を表示させる。システムの構成は実施例1と同様であるため説明は省略する。
【0070】
実施例1では、第2画像撮像装置182としてMRI装置を用いる場合を例として説明したが、本発明の実施はこれに限らない。例えば、X線CT装置、光音響トモグラフィ装置、OCT装置、PET/SPECT、3次元超音波装置などを用いることができる。
【実施例6】
【0071】
実施例6では、画像中心等で回転された画像を表示させる。システムの構成は実施例1と同様であるため説明は省略する。
【0072】
実施例1では、病変位置を含む置換断面を算出する場合を例として説明したが、本発明の実施はこれに限らず、病変位置によらずに置換断面を算出してもよい。この場合には、ステップS3005とステップS3045は不要となる。また、ステップS3050で設定したグリッド点のz座標は0のまま変更しなければよい。そして、ステップS3070では、病変位置を含むという制約条件なしで近似平面を算出すればよい。さらに、ステップS3080で断面を算出する際には、超音波画像座標系500の原点の対応点から置換断面に下ろした垂線の足を置換断面座標系の原点とすればよい。
【実施例7】
【0073】
実施例7ではピッチ角(煽り角)を0度に置換するだけでなくヨー角も0に置換する。システムの構成は実施例1と同様であるため説明は省略する。
【0074】
実施例1では、MRI座標系600における近似平面のヨー角、ピッチ角、およびロール角を取得し、ピッチ角を0に置換してMRI座標系600における置換断面を算出する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施はこれに限らず、さらにヨー角も0に置換することによって、MRI画像601の撮像時の基の断層画像と平行となるような置換断面を算出してもよい。本実施例における、ヨー角を0に置換しないモードから、ヨー角を0に置換するモードに切り替えるタイミングは、例えば、超音波断層画像501中で、MRI画像601中の病変位置に対応する候補位置を操作者が指定したタイミングとすればよい。この際、超音波画像の任意の位置を指定可能な位置指定部123が操作部188からの入力に応じて当該候補位置を指定する。位置指定部123による指定がされたタイミングで表示制御部124は取得された断面画像を表示部186に表示する。このようにして表示制御部124により表示部186の表示が切り替わる。この場合には、超音波断層画像501中で指定した対応病変の候補が、MRI画像601中で指摘された病変と同一の病変であるかどうかを、MRI画像601の撮像時の断層画像に立ち戻って確認することができる。また、例えば操作者が候補位置の指定を解除したタイミングで、ヨー角を0に置換するモードから、本実施例における、ヨー角を0に置換しないモードに切り替え直してもよい。すなわち、病変位置の対応位置の取得状態に応じて断面の設定を切り替えてもよい。
【実施例8】
【0075】
実施例8では、基準方向は重力方向以外の方向とする。システムの構成は実施例1と同様であるため説明は省略する。
【0076】
実施例1では、重力方向を基準方向とする場合を例として説明したが、本発明の実施はこれに限らない。例えば、MRI画像601中の乳頭606から病変領域603の中心に向かう方向を基準方向としてもよい。そうすることにより、断面画像には常に病変と乳頭が含まれることになる。そのため、超音波断層画像501に対応するMRI画像601の断面の画像を、対象物体との位置関係がさらに容易に把握できるように医師に提示することができる。
【0077】
また別の例では、断面生成部118が基準方向をMRI画像を撮影した際の撮影体位に応じて設定する設定部として機能する。例えば、伏臥位または仰臥位の被検体を撮影してMRI画像を得る際には、重力方向を基準方向とし、立位または座位で撮影されたMRI画像またはCT画像に対しては、基準方向を体軸方向に設定することとしてもよい。
【0078】
(その他の実施例)
上述の実施例では、生体を被検体とした超音波撮影装置に本発明を適用した例を示したが、これに限らず、生体以外の物体の非破壊検査を行う超音波撮影装置に本発明を適用することとしてもよい。
【0079】
また、撮影体位が異なることに起因する被検体の変形状態を考慮して対応断面を生成することとしたが、変形しない被検査体を撮影する場合にも本発明は適用できる。
【0080】
画像処理装置100の機能と超音波撮像装置とが一体となった装置とすることも可能である。この場合、画像処理装置による超音波画像またはMRI画像の「取得」とは、撮像により超音波画像を得ることも含む。
【0081】
対応断面は基準方向となす角度を0度に置換することで得られる面と平行であるとしたが、厳密に0度である必要はなく、数度の誤差は許容される。要はユーザが見て、基準方向に沿った画像であることを認識できる画像であればよい。もちろん正確に0度であっても問題はない。また、平行についても、検査者に影響を与えない範囲で数度の誤差は許容される。直交、一致についても同様に誤差が許容される概念である
上述の実施例における画像処理措置100による対応断面に含まれる断面画像の「取得」には、対応断面の情報を3次元画像を有する外部の情報処理装置に送信し、その応答として、断面画像を取得する場合も含む。
【0082】
その他本発明は、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、画像処理装置の機能を分散させることで複数の機器から構成されるシステムに本発明を適用してもよいし、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0083】
本発明の機能および処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。
【0084】
図2は、図1に示した各部の機能をソフトウェアとハードウェアを協働させて実現する場合のハードウェア構成例を示す図である。画像処理装置200はCPU201、RAM202、ROM203、記憶装置207、記憶媒体ドライブ208、I/F209を有し、キーボード204、マウス205、モニタ206と接続されている。
【0085】
CPU201は、RAM202やROM203に格納された上述の図2に示す処理を実現するためのプログラムやデータを用いてコンピュータ全体の制御を行う。また、各部の夫々におけるソフトウェアの実行を制御して、各部の機能を実現する。RAM202は、記憶装置207や記憶媒体ドライブ208からロードされた上述の図3に示す処理を実現するためのプログラムやデータを一時的に記憶するエリアを備えると共に、CPU201が各種の処理を行うために必要とするワークエリアを備える。ROM203は、一般にコンピュータのプログラムや設定データなどが格納されている。キーボード204、マウス205は入力デバイスであり、操作者はこれらを用いて、各種の指示をCPU201に入力することができる。
【0086】
モニタ206は、CRTや液晶ディスプレイなどにより構成されており、超音波断層画像や断面画像等の表示を行う。また、表示すべきメッセージやGUI等を表示することができる。
【0087】
記憶装置207は、ハードディスクドライブなどの大容量情報記憶装置として機能する装置であって、ここにOS(オペレーティングシステム)やCPU201が実行する上述の図3に示す処理を実現するためのプログラムを保存する。また本実施例の説明において、既知であると説明する情報はここに保存されており、必要に応じてRAM202にロードされる。
【0088】
記憶媒体ドライブ208は、CD−ROMやDVD−ROMなどの記憶媒体に記憶されているプログラムやデータをCPU201からの指示に従って読み出して、RAM202や記憶装置207に出力する。
【0089】
I/F209は、アナログビデオポートあるいはIEEE1394等のデジタル入出力ポートや、各種の情報を外部へ出力するためのイーサネットポート等によって構成される。夫々が入力したデータはI/F209を介してRAM202に取り込まれる。断層画像取得部102、位置姿勢取得部104、3次元画像取得部106、および注目点指定部107の機能の一部は、I/F209によって実現される。上述した各構成要素は、バス210によって相互に接続される。
【0090】
また本発明の範囲には、上述の実施例に示す機能および処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0091】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどとの協働で実施形態の機能が実現されてもよい。この場合、OSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0092】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれて前述の実施形態の機能の一部或いは全てが実現されてもよい。 なお本発明の範囲は上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0093】
1 画像診断システム
100 画像処理装置
102 断層画像取得部
106 3次元画像取得部
107 注目点指定部
116 近似平面生成部
118 断面生成部
120 断面画像取得部
124 表示制御部
180 第1画像撮像装置
182 第2画像撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を超音波で撮像した超音波画像を取得する超音波画像取得手段と、
前記被検体の3次元画像において前記超音波画像の撮像断面に対応する断面であって基準方向と平行かつ予め指定された位置を通る対応断面を生成する生成手段と、
前記生成された対応断面による前記3次元画像の断面画像を取得する断面画像取得手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記対応断面の向きを前記超音波画像の撮像断面の向きに応じて該基準方向を軸とした回転方向に変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記超音波画像と前記3次元画像とで前記被検体の変形状態が異なる場合に、前記超音波画像の撮像断面を前記変形状態に応じて変換した断面の基準方向とのなす角度を0度に置換することで得られる面と平行であり、かつ予め指定された位置を通る対応断面を生成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記生成手段は、基準方向と平行かつ予め指定された位置を通り、かつ前記超音波画像の撮像断面との交差線が前記基準方向と直交する対応断面を生成する生成手段と、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記生成手段は、基準方向と撮像された超音波画像とがなす角度に応じて前記対応断面を生成するか否かを判定する
を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記生成手段は、前記基準方向と、前記取得された超音波画像とがなす角度が閾値よりも小さい場合には前記断面を生成し、閾値よりも大きい場合には前記対応断面を生成しない
ことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記生成手段は、前記断面を生成しない場合には、前記超音波画像を含む平面と平行かつ予め指定された位置を通るその他の対応断面を生成し、
前記断面画像取得手段は前記被検体の3次元画像から前記その他の対応断面による断面画像を取得する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記超音波画像と、前記断面画像とを表示させる表示制御手段
を更に有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記表示制御手段は、基準方向と前記超音波画像とがなす角度に応じて表示される断面画像を変更する
ことを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記超音波画像と、
伏臥位の3次元MRI画像を仰臥位に変換した3次元MRI画像であって前記超音波画像と平行であって予め指定された位置を通るその他の対応断面による第1のMRI断面画像と、
前記生成された対応断面による第2のMRI断面画像と、
を並べて表示させる表示制御手段、
を更に有することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記被検体の3次元画像を撮影した際の被検体の体位に基づいて前記基準方向を設定する設定手段
を更に有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記基準方向は重力方向であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記断面画像は伏臥位の被検者を撮影して得られる画像であり、前記超音波画像は伏臥位以外の体位の被検者を撮影して得られる画像である
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記超音波画像において任意の位置を指定する指定手段
を更に有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記指定手段による指定に応じて
前記取得された断面画像を表示させる表示制御手段と、
を特徴とする請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
被検体を超音波で撮像した超音波画像を取得する取得手段と、
前記超音波画像に対応する、基準方向に対して平行であり予め指定された位置を通る対応断面を生成する生成手段とを有し、
前記生成手段は、前記対応断面の向きを前記超音波画像の撮像断面の向きに応じて該基準方向を軸とした回転方向に変更する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項17】
被検体を超音波で撮像した超音波画像を取得するステップと、
前記被検体の3次元画像において前記超音波画像の撮像断面に対応する断面であって基準方向と平行かつ予め指定された位置を通る対応断面を生成するステップと、
前記生成された対応断面による前記3次元画像の断面画像を取得するステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項18】
被検体を超音波で撮像した超音波画像を取得する処理と、
前記被検体の3次元画像において前記超音波画像の撮像断面に対応する断面であって基準方向と平行かつ予め指定された位置を通る対応断面を生成する処理と、
前記生成された対応断面による前記3次元画像の断面画像を取得する処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−213558(P2012−213558A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81994(P2011−81994)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】