説明

画像処理装置、画像処理方法及びそのプログラム

【課題】 同じ背景オブジェクトをキャラクタに対して繰り返し移動させる場合であっても、背景の変化が単調となることを防ぐことができる画像処理装置、画像処理方法及びそのプログラムを提供する。
【解決手段】 背景移動処理部303aは、仮想空間における背景を構成する背景画像をキャラクタに対して移動させることで、キャラクタが仮想空間内を移動しているように見せる。カメラ切替処理部303cは、動画像として表示する仮想空間におけるキャラクタ及び背景を含む構図を定める仮想的なカメラを任意の位置に複数設置した場合に、複数のカメラの中から用いるカメラを所定または可変の第1の周期で切り替える。背景移動処理部303aが行う背景画像の移動により背景が第2の周期で周期的に変化する場合に、第1の周期と第2の周期が異なるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアルタイムで動画像を表示するための画像処理を行う画像処理装置、画像処理方法及びそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、仮想的な3次元空間の動画像をリアルタイムで表示するための画像処理に関する技術の進歩は目覚しいものがある。また、よりよい画質で3次元空間の動画像をリアルタイムで表示するには、画像処理のために膨大な演算量が必要となる場合があり、画質を維持しながら、この演算量を節約するための種々の方法が考えられている。例えば、比較的少ない演算量で霧表示のリアリティーを向上させることができるゲーム装置に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。他にも、3次元空間内をキャラクタが移動する動画像の場合に、演算量を低減させる方法として、キャラクタを移動させるのではなく、背景のオブジェクトを移動させることで、キャラクタが移動しているように見せる技術などがある。これにより、キャラクタの移動位置や、キャラクタの移動に応じた仮想カメラ(視点ともいう)の移動位置(キャラクタと仮想カメラの距離を一定にする場合)などを演算するよりも演算量を低減することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−99810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した背景のオブジェクトを移動させる方法を用いた場合には、一般的にある長さ(仮想空間内での長さ)を有する同一の背景オブジェクトを繰り返しキャラクタに対して移動させるので、背景の変化が単調になりやすいという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、同じ背景オブジェクトをキャラクタに対して繰り返し移動させる場合であっても、背景の変化が単調となることを防ぐことができる画像処理装置、画像処理方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上述した課題を解決すべくなされたもので、本発明による画像処理装置においては、リアルタイムで仮想空間の動画像を表示するための画像処理を行う画像処理装置であって、仮想空間における背景を構成する背景画像又は仮想空間内に存在するキャラクタの画像であるキャラクタ画像のいずれかを移動させることで、キャラクタが仮想空間内を移動しているように見せる移動手段と、動画像として表示する仮想空間におけるキャラクタ及び背景を含む構図を定める仮想的なカメラを任意の位置に複数設置した場合に、複数のカメラの中から用いるカメラを所定または可変の第1の周期で切り替える切り替え手段とを具備し、移動手段が行う背景画像又はキャラクタの移動による両者の相対的な位置関係が第2の周期で周期的に変化する場合に、第1の周期と第2の周期が異なるようにすることを特徴とする。
【0007】
これにより、仮想的なカメラの切り替え周期である第1の周期において同じ位相であっても、被写体となる背景画像やキャラクタの状態が異なるので、同じ背景オブジェクトをキャラクタに対して繰り返し移動させる場合であっても、背景の変化が単調となることを防ぐことができる。
【0008】
また、本発明による画像処理装置の一態様例においては、上記仮想空間が仮想的な3次元空間である場合に、複数のカメラは、キャラクタに対して異なる方向から撮影するように3次元空間に対して設置したものであることを特徴とする。
これにより、キャラクタの周囲が繰り返しの背景であっても異なる方向からの映像とすることで、背景や映像に変化をつけることができる。
【0009】
また、本発明による画像処理装置の一態様例においては、上記複数のカメラにおける画角を第1の周期に応じて変更する画角変更手段を更に具備することを特徴とする。
これにより、同じカメラからであっても異なる映像が得られるので、キャラクタの周囲が繰り返しの背景であっても背景の変化が単調となることを防ぐことができる。
【0010】
また、本発明による画像処理装置の一態様例においては、上記複数のカメラの設置位置または設置数を変化させる変化手段を更に具備することを特徴とする。
これにより、固定された複数のカメラを切り替えるよりも更に変化のある映像を得ることができる。
【0011】
また、本発明による画像処理装置の一態様例においては、上記キャラクタ自身が第3の周期で周期的に動作する場合に、第3の周期は少なくとも第2の周期と異なることを特徴とする。
これにより、キャラクタの動きにも変化を持たせることができる。
【0012】
また、本発明による画像処理方法においては、リアルタイムで仮想空間の動画像を表示するための画像処理を行う画像処理装置を用いた画像処理方法であって、仮想空間における背景を構成する背景画像又は仮想空間内に存在するキャラクタの画像であるキャラクタ画像のいずれかを移動させることで、キャラクタが仮想空間内を移動しているように見せる移動ステップと、動画像として表示する仮想空間におけるキャラクタ及び背景を含む構図を定める仮想的なカメラを任意の位置に複数設置した場合に、複数のカメラの中から用いるカメラを所定または可変の第1の周期で切り替える切り替えステップとを有し、移動ステップで行う背景画像又はキャラクタの移動による両者の相対的な位置関係が第2の周期で周期的に変化する場合に、第1の周期と第2の周期が異なるようにすることを特徴とする。
【0013】
また、本発明によるプログラムは、リアルタイムで仮想空間の動画像を表示するための画像処理を行う画像処理装置用のプログラムであって、仮想空間における背景を構成する背景画像又は仮想空間内に存在するキャラクタの画像であるキャラクタ画像のいずれかを移動させることで、キャラクタが仮想空間内を移動しているように見せる移動ステップと、動画像として表示する仮想空間におけるキャラクタ及び背景を含む構図を定める仮想的なカメラを任意の位置に複数設置した場合に、複数のカメラの中から用いるカメラを所定または可変の第1の周期で切り替える切り替えステップとを有し、移動ステップで行う背景画像又はキャラクタの移動による両者の相対的な位置関係が第2の周期で周期的に変化する場合に、第1の周期と第2の周期が異なるようにコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明による画像処理装置、画像処理方法及びプログラムにおいては、同じ背景オブジェクトをキャラクタに対して繰り返し移動させる場合であっても、背景の変化が単調となることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明の一実施形態における画像処理装置を備えるスロットマシン(遊技機)を例に説明する。図1は、本発明の一実施形態におけるスロットマシンの外観構成を示す図である。
(スロットマシン10)
本実施形態に係る画像処理装置を備えるスロットマシン10の筐体の前面部には、フロントパネル20が設けられ、このフロントパネル20には、1つの透明な表示窓21が設けられている。一方、筐体内部であって表示窓21の後方には、3つのリール(回胴)群31が配置されている。遊技者から見て左側から、左リール31L、中リール31C、右リール31Rが配置されている。
【0016】
尚、以下の説明においてリール群31とは上述した3つの各リールを示すものとする。リール31L、31C及び31Rはリング状体であり、その外周面には複数の入賞図柄(入賞役を構成する図柄)を印刷したリールテープが貼られている。1つのリールには、例えば21個の複数種類の図柄が等間隔で配列されている。但し、図柄の配列はリールごとに異なっている。そして、表示窓21内から、リール31L、31C及び31Rの上下方向で連続する3つの図柄が見えるようになっている。
【0017】
また、リール31L、31C及び31Rの中心部には、ステッピングモータ(図示せず)が連結されており、このステッピングモータの駆動によってリール31L、31C及び31Rが回転する。したがって、遊技者の立場からすると、リール31L、31C及び31Rの図柄が表示窓21内で上下に移動しているように見える。更に、リール31L、31C及び31Rの内側には、バックランプ(図示せず)が設けられている。バックランプはリールごとに3個ずつ配置されており、リールが停止した時に表示窓21から見える総計で9個の図柄の夫々に対応するようにして、リール31L、31C及び31Rの内側に配置されている。また、リール31L、31C及び31Rは透光性を有する材料から形成されており、バックランプの点灯によりリール31L、31C及び31Rに付された図柄が照光されるように構成されている。
【0018】
フロントパネル20の表示窓21を含む部分には、有効ライン22a、22b及び22cからなる有効ライン群22が設定されている。有効ライン群22は、水平方向の中段の有効ライン22aと、水平方向の上段及び下段の2本の有効ライン22bと、右下がり及び左下がりの斜め方向の2本の有効ライン22cとから構成されている。そして、リール31L、31C及び31Rに付された図柄は、リール31L、31C及び31Rが停止した時に、表示窓21から見える9個の図柄が全てこれらの有効ライン群22上に位置するような間隔で配置されている。
【0019】
フロントパネル20の右下側にはメダル投入口23が設けられており、ここから遊技者によってメダルが投入されると、投入されたメダル枚数に応じて有効ライン22a、22b及び22cの1ライン乃至5ラインが有効になり、有効ラインランプ24が点灯する。投入されたメダルが1枚のときは1つの有効ライン22aが有効になり、2枚のときは水平方向の3つの有効ライン22a及び22bが有効になり、3枚のときはさらに加えて斜め方向の2つの有効ライン22cを含む総計で5つの有効ライン22a〜22cが有効になる。この制御は、後述のメインCPU(中央演算装置)51(図2参照)により行われる。例えば3枚のメダルが投入されている場合には、リール31L、31C及び31Rが停止した時に、少なくとも1つの有効ライン22a〜22cに特定の図柄の組み合わせが停止していれば、その組み合わせに応じた役に入賞したこととなる。
【0020】
更に、フロントパネル20の表示窓21の下方には、クレジット数表示部25、ゲーム数表示部26及び払い出し数表示部27が設けられている。クレジット数表示部25には、クレジットされているメダルの枚数が表示される。ゲーム数表示部26には、特別遊技等において、所定の遊技の残り数や既に行った遊技の数等が表示される。払い出し数表示部27には、メダルが払い出される際に、その枚数が表示される。
【0021】
フロントパネル20の表示窓21の上側には、カラー画像を表示する液晶表示パネル等の演出表示装置40が遊技者に対して目視可能に設けられている。演出表示装置40は、本実施形態における画像処理装置が出力する画像であって、遊技中の演出を行うときに各種の画像を表示する。また、筐体の前面部には、遊技者が遊技を進行する上で操作する各種の操作スイッチが設けられている。例えば、本実施形態では、スタートスイッチ41、ストップスイッチ群42及びベットスイッチ群43が設けられている。更に、演出表示装置40の左右及びフロントパネル20の下部(メダル払い出し口の近傍)にスピーカ71が設けられている。
【0022】
スタートスイッチ41は、リール31L、31C及び31Rの回転をスタートさせるときに遊技者が操作するスイッチ、例えばボタンである。ストップスイッチ群42は、左リール31Lを停止させるときに操作する左ストップスイッチ42Lと、中リール31Cを停止させるときに操作する中ストップスイッチ42Cと、右リール31Rを停止させるときに操作する右ストップスイッチ42Rとから構成されている。これらのストップスイッチ42L、42C及び42Rは、例えばボタンとして並設されている。ベットスイッチ群43は、遊技者がクレジット内のメダルを投入する際にベット枚数(賭数)を指定するスイッチ群であり、1ベット・2ベットスイッチ43a及びMAXベットスイッチ(3ベットスイッチ)43bから構成されている。これらのベットスイッチ43a及び43bも、例えばボタンとして配置されている。1ベット・2ベットスイッチ43aが操作される度に、ベット枚数が1枚と2枚との間で切り替えられ、MAXベットスイッチ43bが操作されると、ベット枚数が3枚となる。ベットスイッチ43a及び43bの上方には、投入枚数表示部28が設けられており、ベットスイッチ43a及び43bの操作やメダル投入口23からのメダルの投入に応じて、投入枚数表示部28にメダルの投入枚数が表示される。
【0023】
詳細は後述するが、通常ゲームでは、遊技者がメダル投入口23からメダルを投入するか、ベットスイッチ群43を操作すると、有効ライン22a〜22cがベット枚数に応じて有効化される。更に、遊技者がスタートスイッチ41を操作すると、役の抽選が行われると共に、リール31L、31C及び31Rが回転し始める。そして、遊技者がストップスイッチ42L、42C及び42Rを操作すると、操作されたボタンに応じてリール31L、31C及び31Rの回転が停止し、有効化されている有効ライン群22(以下、単に有効ラインとする)上に並んだ図柄の組み合わせが予め定められた何らかの役の図柄の組み合わせと一致するときは入賞となり、その入賞役に応じたメダルの払い出し等が行われる。ただし、リール31L、31C及び31Rの回転の停止に際しては、役の抽選結果に基づいた制御が行われる。
【0024】
また、遊技(ゲーム)中には、種々の演出、例えばバックランプの点灯、演出表示装置40を用いた画像表示及びスピーカ71からの音声の出力等が行われる。更に、このような演出として、役の当選可能性の告知演出が行われることもある。
【0025】
次に、スロットマシン10の内部構成等のシステム構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係るスロットマシン10のシステム構成を示すブロック図である。スロットマシン10の筐体内部には、メイン制御基板50、並びにこのメイン制御基板50に接続されたサブ制御基板60、リール基板11、中央表示基板12及び電源装置基板13が配置されている。ここで、メイン制御基板50は、リール基板11、中央表示基板12及び電源装置基板13を制御することでスロットマシン10の遊技制御(ゲーム中の動作制御)を行い、サブ制御基板(画像処理装置)60は、メイン制御基板50の遊技制御に応じた演出制御(演出用の表示や音などの制御)を行うものである。
【0026】
(メイン制御基板50)
メイン制御基板50には、メインCPU51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53及びインタフェース回路(I/F回路)54が設けられており、これらはバス55を介して互いに接続されている。
【0027】
メインCPU51は、プログラムを構成する命令の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行を行う。そして、メインCPU51は、ROM52に記憶されているプログラム及びデータ等を読み出し、これらに基づいてスロットマシン10全体の制御を行う。
【0028】
ROM52には、メインCPU51に、後述する遊技の制御に必要なプログラム及びデータ等が記憶されている。また、RAM53は、メインCPU51が各種の制御を行う際に用いられ、データ等を一時的に記憶する。
【0029】
I/F回路54は、メイン制御基板50と、サブ制御基板60、リール基板11、中央表示基板12及び電源装置基板13との間で行われる信号の送受信の際に、タイミングの制御等を行う。但し、メイン制御基板50とサブ制御基板60との間では、メイン制御基板50からサブ制御基板60への信号の送信は行われるが、サブ制御基板60からメイン制御基板50への信号の送信は行われない。
【0030】
(サブ制御基板60)
サブ制御基板(画像処理装置)60には、サブCPU61、ROM62、RAM63、画像制御プロセッサ64、画像データROM65、ビデオRAM66、音源回路67、アンプ68及びインタフェース回路(I/F回路)69が設けられている。サブCPU61、ROM62、RAM63、画像制御プロセッサ64、音源回路67及びI/F回路69はバス70を介して互いに接続されている。また、画像データROM65及びビデオRAM66は画像制御プロセッサ64に接続され、アンプ68は音源回路67に接続されている。
【0031】
サブCPU61は、プログラムを構成する命令の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行を行う。そして、サブCPU61は、ROM62に記憶されているプログラム及びデータ等を読み出し、サブ制御基板60全体の制御、特に遊技者に対する演出の制御を行う。なお、サブCPU61の処理能力や開発言語等には、何らの制約もない。
【0032】
ROM62には、サブCPU61に、後述の図9に示す処理及びその他の遊技中の演出に必要なプログラム及びデータ等が記憶されている。また、RAM63は、サブCPU61が各種の制御を行う際に用いられ、データ等を一時的に記憶する。
【0033】
これらのサブCPU61、ROM62及びRAM63は、夫々メイン制御基板50に設けられたメインCPU51、ROM52及びRAM53と同様の機能を有するものである。なお、ROM62及びRAM63は、夫々ROM52及びRAM53と同等の規格のものを用いても良いが、これらよりも記憶容量の大きいもの等を用いても良い。
【0034】
上述の演出表示装置40は画像制御プロセッサ64に接続されている。画像データROM65には、演出表示装置40に表示されるキャラクタ、文字及び背景等の画像データが記憶されている。また、ビデオRAM66は、画像制御プロセッサ64が演出表示装置40に表示しようとする画像を作成する際に用いられ、画像データROM65から読み出したデータ等に基づき表示すべき画像データがビデオRAM66に展開される。
【0035】
また、本実施形態における画像制御プロセッサ64は、仮想的な3次元画像をリアルタイムで表示するための画像処理を行う機能を有する。すなわち、必要であれば、画像制御プロセッサ64は、3次元画像をリアルタイムで表示するための画像処理を行う専用の半導体回路(例えばグラフィックスチップなど)を複数備える構成であってもよい。また、本実施形態の仮想的な3次元画像をリアルタイムで表示するための画像処理を行う機能は、画像制御プロセッサ64のみで実現するものではなくサブCPU61との協働処理により実現するものとする。
【0036】
更に、本実施形態には、演出用周辺機器として、演出表示装置40の他にスピーカ71、上述のバックランプ等が設けられている。スピーカ71はアンプ68に接続されている。これらの演出用周辺機器は、遊技中の演出(役の当選可能性の告知演出等)の出力を行うものであり、サブ制御基板60にのみ接続されており、メイン制御基板50には接続されていない。
【0037】
I/F回路69は、メイン制御基板50からの信号の受信の際に、タイミングの制御等を行う。なお、上述のように、メイン制御基板50からサブ制御基板60への信号の送信は行われるが、サブ制御基板60からメイン制御基板50への信号の送信は行われない。即ち、一方向の送信のみが可能となっている。
【0038】
(リール基板11)
リール基板11には、左リール31L、中リール31C及び右リール31Rを駆動するためのステッピングモータ(図示せず)が接続されている。これらのリール31L、31C及び31Rの動作の制御は、リール基板11を介してメインCPU51からの指示によって行われる。
【0039】
(中央表示基板12)
中央表示基板12は、例えば演出表示装置40の裏側の中央部に取り付けられる。中央表示基板12には、セレクタ81、1ベット・2ベットスイッチ43a、MAXベットスイッチ(3ベットスイッチ)43b、スタートスイッチ(レバー)41、左ストップスイッチ(ボタン)42L、中ストップスイッチ(ボタン)42C、右ストップスイッチ(ボタン)42R、設定表示部82及び設定変更スイッチ83が接続されている。
【0040】
セレクタ81は、メダル投入口23から投入されたメダルが正規のものであるか識別し、不正なメダルを排除する。設定表示部82は、前面扉の裏側から見えるように配置されており、抽選役や払い出しに関する設定(例えば、設定1〜設定6)等が表示される。設定変更スイッチ83は、抽選役や払い出しに関する設定等を変更する際に操作するスイッチである。尚、図2の中央表示基板12に接続される他の構成は、図1に示した同符号のものと同様であるので、説明を省略する。
【0041】
(電源装置基板13)
電源装置基板13には、設定変更有効化スイッチ91、電源スイッチ92、ホッパ装置93及び電源装置94が接続されている。設定変更有効化スイッチ91は、設定変更スイッチ83を用いた設定の変更を可能な状態にする際に操作するスイッチである。即ち、設定変更有効化スイッチ91がオンの状態になっているときに限り、設定変更スイッチ83を用いた設定の変更が可能になる。電源スイッチ92は、電源装置94のオン/オフを切り替えるためのスイッチである。ホッパ装置93は、メダルの貯蔵及び払い出しを行う装置であり、電源装置基板13を介したメインCPU51からの指示に基づいて、予め貯蔵しておいたメダルから所定枚数のメダルを遊技者に払い出す。
【0042】
次に、本実施形態におけるスロットマシン10の機能構成について説明する。
図3は、図2に示したスロットマシン10の機能構成を示すブロック図である。図3において、図1及び図2に示した構成と同一部分には同一の符号を付与しており、その説明を省略する。本実施形態においては、例えばメインCPU51及びROM52のプログラムから、以下の各部101、103、106、107、108及び109が構成されている。また、例えばRAM53に、以下のフラグ情報記憶部105が備えられ、例えばROM52に、以下の抽選テーブル102のデータが記憶されている。
【0043】
制御部101は、スタートスイッチ41、セレクタ81、ストップスイッチ群42からの信号に応じて、後述の役抽選部103やリール制御部106及び入賞判定部107等の動作を制御する。また、制御部101は、スタートスイッチ41やストップスイッチ群42を遊技者が操作可能とするタイミングや、コイン投入可能とするタイミング等も制御する。
【0044】
抽選テーブル102は、スロットマシン10において当選可能な各役(特別役、小役、リプレイ役など)の当選確率を定める乱数値と当選役を対応付けたテーブルである。すなわち、各役において割り当てられた乱数値の数が多いほど当選確率(後述する役抽選部103により抽選される確率)は高くなる。この抽選テーブル102は、後述する役抽選部103の抽選処理に利用される。尚、抽選テーブル102は、例えばROM52内に格納されるデータである。
【0045】
ここで、抽選テーブル102に含まれる抽選役の具体例について説明する。
抽選テーブル102は、例えばビックボーナス(BB)、レギュラーボーナス(RB)、チェリー、ベル、リプレイという5種類の抽選役及びハズレの領域から構成されている。ここで、BB及びRBは特別役であり、入賞すると所定枚数のメダルの払い出しと共にビックボーナスゲーム又はレギュラーボーナスゲームに移行する役である。尚、チェリー、ベルをまとめて小役と呼ぶ。
【0046】
また、各抽選役が抽選テーブル102中に占める領域の大きさの違いが、当選確率の違いとなる。例えば、BB、RBの当選確率は小役に比べて低く、割り当てられた乱数値の数が小役よりも少ない。スロットマシン10は、抽選した当選役に応じてリール群31の停止制御を行い、有効ライン上に停止したリール群31の図柄の並びを基に役の入賞を判定する。この時、入賞可能な役は当選役に応じた役である。ここで入賞と判定した場合には、スロットマシン10は、入賞した役(以下、入賞役とする)に応じて、配当のメダルの払い出しや、所定の遊技(BBゲームやRBゲームなど)への移行を行う。
【0047】
次に、入賞時の有効ライン上の図柄組み合わせと入賞役との関係について説明する。BBとは、第1の特別役であり、例えば、有効ライン上にリール群31の特定図柄「赤7」が3つ揃うことで入賞となる役である。このBBが入賞すると、例えば15枚のメダルの払い出し及びビックボーナスゲームへの移行が行われる。RBとは、第2の特別役であり、例えば有効ライン上にリール群31の特定図柄「BAR」が3つ揃うことで入賞となる役である。このRBが入賞すると、例えば12枚のメダルの払い出し及びレギュラーボーナスゲームへの移行が行われる。
【0048】
ベルは、小役であり、例えば有効ライン上にリール群31の特定図柄「ベル」が3つ揃うことで入賞となる役である。このベルが入賞すると、例えば12枚のメダルの払い出しが行われる。チェリーとは、小役であり、例えば有効ライン上にリール群31の特定図柄「チェリー」が左リール31Lの有効ライン上に止まった場合に他の中リール31C及び右リール31Rの有効ライン上の図柄はなんであっても入賞となる役である。このチェリーが入賞すると、2枚のメダルの払い出しが行われる。
【0049】
また、リプレイとは、再遊技役であり、例えば有効ライン上にリール群31の特定図柄「リプレイ」が3つ揃うことで入賞となる役である。このリプレイが入賞すると、再遊技が行われる。また、ハズレとは、特別役、小役、再遊技役のいずれにも当選しない抽選領域である。
【0050】
次に、図3に示すメイン制御基板50内の機能ブロックの説明に戻る。役抽選部103は、上述した抽選テーブル102を基に、役の抽選を行う。具体的には、役抽選部103は、例えば所定の領域(10進法で0〜65535)の乱数を発生させ、制御部101のタイミング制御に応じたタイミングで一の乱数値を取得する。そして、役抽選部103は、取得した乱数値を抽選テーブル102と照らし合わせることにより、その乱数値が属する領域を判定し、その乱数値が属する領域に対応する役を決定する。例えば、取得した乱数値が特別役当選領域に属する場合は、特別役の当選と判定し、非当選領域に属する場合は、ハズレと判定する。そして、何らかの役が当選した場合には、その役に対する当選フラグをオンにする。この当選フラグのオン/オフは、後述するフラグ情報記憶部105に格納される。また、役抽選部103は、役の当選に関する当選役情報をサブ制御基板60へ送信する機能も有する。
【0051】
フラグ情報記憶部105は、役抽選部103の抽選によって何らかの役が当選して当選フラグがオンになった場合に、当選した役の種類及びその当選フラグがオンになったことを記憶する。また、後述するリール制御部106は、この当選フラグのオン/オフに応じて、各役に対応するリール群31の図柄の引込制御や蹴飛ばし制御を行う。尚、フラグ情報記憶部105は、例えばRAM53に備えられている。
【0052】
リール制御部106は、リール群31(リール31L、31C及び31R)の回転の開始及び停止の制御を行う。より具体的には、リール制御部106は、遊技状態(例えば、通常遊技状態、特別遊技状態等)、役抽選部103による抽選の結果、並びにストップスイッチ群42(ストップスイッチ42L、42C及び42R)が操作されたタイミング等に基づいて、リール31L、31C及び31Rの停止位置を決定すると共に、ステッピングモータの駆動を制御して、その決定した位置でリール31L、31C及び31Rの回転を停止させる。
【0053】
例えば、役抽選部103による抽選の結果、いずれの役にも当選していないときは、有効ライン上にどの役の図柄の組み合わせも停止しないように、各リール31L、31C及び31Rの停止位置を定める。一方、何らかの役に当選している場合(当選フラグがオンの場合)には、有効ライン上に、当選した役の図柄の組み合わせが停止するように、各リール31L、31C及び31Rの停止位置を定める。
【0054】
特に、当該遊技で特別役に当選している場合や、特別役の当選が前遊技から持ち越されていて、且つ当該遊技で小役やリプレイに当選していない場合には、有効ライン上に特別役の図柄の組み合わせが停止するように、リール31L、31C及び31Rの停止制御の範囲内(例えば、4図柄以内)でできる限り特別役に係る図柄が揃うような引き込み制御を行う。但し、特別役の当選が持ち越されている場合であっても、小役やリプレイに当選したときは、有効ライン上に特別役の図柄の組み合わせが停止しないように、リール31L、31C及び31Rの停止位置を定める。なお、このようなリール群31を停止させる際の制御は、リール制御用のテーブルを用いて行ってもよい。
【0055】
また、リール制御部106は、引込制御可能か否かを、当選した役や特別役に対応する図柄が引込制御可能な範囲に有るか無いか(引込可能図柄の有無)により判断する。また、引込制御とは別に、リール制御部106は、当選していない役の図柄が有効ライン上に揃わないよう(=入賞しないよう)に停止制御しており、これを、蹴飛ばし制御と称する。
【0056】
入賞判定部107は、有効ライン群22のうち、有効になっている有効ライン上のいずれかに役の図柄の組み合わせが並んでいるか否かを判定し、並んでいるものがあれば当該遊技でその役に入賞したと判定する。このとき、入賞判別部107は、例えばステッピングモータの停止時の角度やステップ数等を検知することにより、有効ライン上に位置する図柄を判定し、これに基づいて、役の入賞の有無を判定する。なお、リール31L、31C及び31Rを停止させる際の制御にテーブルを用いている場合には、リール31L、31C及び31Rが実際に停止してから入賞判定部107が図柄の組み合わせを判定するのではなく、リール制御部106によってテーブルを用いてリール群31の停止位置が定められた時に、有効ライン上に停止する図柄の組み合わせを判別するようにしてもよい。
【0057】
遊技状態制御部108は、入賞判定部107による判定の結果、特別役(BB、RB)に入賞していた場合に、次遊技から所定の終了条件が満たされるまでの間、特別遊技の制御を行う。例えば、リール制御部106に特別遊技用のリール制御を行わせたり、サブ制御基板60に特別遊技用の演出を行わせたりする。
【0058】
払出制御部109は、入賞判定部107による判定の結果、入賞している役に応じたメダルの払い出しをホッパ装置93に行わせる。なお、メダルの払い出しに代えて、クレジットメダルの枚数を増加させても良い。
【0059】
次に、サブ制御基板(画像処理装置)60の機能的な構成について説明する。図4は、サブ制御基板60の機能的な構成を示す機能ブロック図である。本実施形態においては、例えばサブCPU61及びROM62のプログラムから、以下に示す演出パターン選択部201及び演出制御部202の一部が構成され、例えばROM62に演出を行うための演出パターンデータが記憶されている。また、演出画面を演出表示装置40に表示する機能は、演出パターン選択部201及び演出制御部202により実現されている。
【0060】
図4において、演出パターン選択部201は、遊技状態に応じて演出のパターンを選択する。具体的には、演出パターン選択部201は、メイン制御基板50の役抽選部103からの信号を受けて、当選役等に応じた演出パターンを選択したり、メイン制御基板50の入賞判定部107及び遊技状態制御部108からの信号を受けて、入賞役や遊技状態に応じた演出パターンを選択したりする。なお、それらの演出パターンは、例えばROM62に記憶されている。
【0061】
演出制御部202は、演出パターン選択部201によって選択された演出パターンに基づく演出の制御を行う。具体的には、演出制御部202は、演出パターンに基づく演出のための演出表示装置40に表示する仮想的な3次元の画像データを作成し、また、音源回路67を制御する。これにより、演出表示装置40に3次元の動画像が表示されたり、音源回路67で生成された音信号がアンプ68によって増幅された後、スピーカ71から出力されたりして演出を行う。尚、演出制御部202において、仮想的な3次元の画像データを作成する機能は、例えば図2に示したサブCPU61及びROM62のプログラムによるソフトウェア処理と、画像制御プロセッサ64及び画像データROM65やビデオRAM66によるハードウェア処理の組み合わせにより実現する。
【0062】
次に、図4に示した演出制御部202の詳細な構成例について説明する。
図5は、図4に示した演出制御部202の詳細な構成例を示すブロック図である。図5において、301は、画像制御部であり、演出パターン選択部201が選択した演出パターンに応じた画像データを生成するように、後述する画像処理部303を制御する。302は、音制御部であり、演出パターン選択部201が選択した演出パターンに応じた音を生成するように音源回路67を制御する。
【0063】
303は、画像処理部であり、画像制御部301の制御に応じて、リアルタイムで仮想空間の動画像を演出表示装置40に表示するための画像処理を行う。具体的には、画像処理部303は、後述する図6に示すような仮想空間をオブジェクトにより構成して、後述する図7に示すような画像を演出表示装置40に表示するための画像データを生成する処理を行う。
【0064】
図6は、本実施形態の画像処理部303が構成する仮想空間例および仮想カメラの配置例を示す図である。図6において、601は、背景オブジェクトであり、図6の網掛け部分の全てである。この背景オブジェクト601は、一本の直線の道の両側に建物が並ぶ背景を示すオブジェクトである。602は、キャラクタオブジェクトであり、例えば後述する図7に示す人物のキャラクタのオブジェクトである。603〜607は、仮想カメラであり、背景オブジェクト601及びキャラクタオブジェクト602(以下、単にキャラクタ602とする)から構成されている仮想空間に対する視点や画角を定める概念である。
【0065】
すなわち、画像処理部303は、図6に示した仮想空間を、仮想カメラ603〜607のいずれかより撮影しているかのような後述する図7に示す画像を演出表示装置40に表示するための画像データを生成する。また、画像処理部303は、仮想カメラ603〜607を図6に示す(1)〜(5)の数字の順に定期的に切り替えた画像データを生成する。以下の説明においては、仮想カメラ603〜607を仮想カメラ(1)〜(5)と表記して説明する。
【0066】
図7(a)、(b)は、図6に示した仮想空間を仮想カメラ(1)、(3)を視点した場合の演出表示装置40に表示される3次元画像例を示す図である。図7(a)に示す演出表示装置40に表示されている画像は、キャラクタ602から見て左斜め前となる仮想カメラ(1)の位置を視点とする画像である。また、図7(b)に示す演出表示装置40に表示されている画像は、キャラクタ602から見て後方となる仮想カメラ(3)の位置を視点とする画像である。
【0067】
次に、画像処理部303に含まれる背景移動処理部303a、キャラクタ処理部303b、カメラ切替処理部303c、画角変更処理部303d、及びカメラ設定変更処理部303eについて説明する。これらの処理部303a〜303eは、本実施形態の画像処理部303の画像処理において特徴となる処理を行う処理部を明示したものである。
【0068】
背景移動処理部303aは、図6に示した背景オブジェクト601を図6の矢印の方向に移動させる処理を行う。これにより、キャラクタ602がその矢印と逆方向に進んでいるように見せることができる。また、背景移動処理部303aによる背景オブジェクト601の移動は、始点Sから終点Fで終わるのではなく、終点Fには、同じ背景オブジェクト601の始点Sを続けて移動させる。すなわち、背景移動処理部303aは、同じ背景オブジェクト601を繰り返し使用してキャラクタ602に対して移動させる。尚、背景移動処理部303aが、キャラクタ602に対して背景オブジェクト601を移動させるスピードは、始点Sから終点Fまで200フレーム分の周期(以下、背景周期とする)で繰り返す。ここで、1フレーム分とは、動画像の1画面の表示に要する時間であり、例えば30分の1秒とすると、背景周期は10秒になる。
【0069】
キャラクタ処理部303bは、図6に示したキャラクタ602に足踏みをさせる処理を行う。このキャラクタ処理部303bのキャラクタ602の足踏み処理と、上述した背景移動処理部303aの背景オブジェクト601の移動処理により、あたかも、キャラクタ602が背景オブジェクト601の道を歩いているかのような動画像が演出表示装置40に表示される。尚、本実施形態におけるキャラクタ処理部303bは、キャラクタ602に足踏みさせるとともに、手の動きも加えた一連の動きを繰り返す。具体的には、キャラクタ処理部303bは、300フレームの周期(以下、キャラクタ周期とする)でキャラクタ602に歩く動作を繰り返し行わせる。
【0070】
カメラ切替処理部303cは、図6に示した仮想カメラ(1)〜(5)を順に切り替える処理を行う。具体的には、カメラ切替処理部303cは、60フレーム毎に仮想カメラ(1)〜(5)を順に切り替えて、仮想カメラ(5)の次は仮想カメラ(1)に戻る。すなわち、カメラ切替処理部303cは、60フレーム×5=300フレームの周期(以下、カメラ周期とする)で仮想カメラ(1)〜(5)の切り替え処理を行う。
【0071】
図8は、上述したカメラ周期、背景周期、及びキャラクタ周期を視覚的に示す図である。図8において、時刻t1に、カメラ周期、背景周期、及びキャラクタ周期の開始を示すタイミングである。この時、仮想カメラ(1)の視点よりキャラクタ602が背景オブジェクト601の始点Sを歩いている動画像が演出表示装置40に表示される。時刻t2は、時刻t1から始まった背景周期の1周期のタイミングを示す。時刻t3は、時刻t1から始まったカメラ周期及びキャラクタ周期の1周期のタイミングを示す。また、仮想カメラの周期を示す横軸上の数字(1)〜(5)は、仮想カメラ(1)〜(5)を示す。
【0072】
図8に示す時刻t1から30フレーム分経過した時に、仮想カメラ(1)の視点から見える背景ポイントT1は、図6の背景オブジェクト601に示す背景ポイントT1に示す位置である。また、図8に示す時刻t3から30フレーム分経過した時に、仮想カメラ(1)の視点から見える背景ポイントT2は、図6の背景オブジェクト601に示す背景ポイントT2に示す位置である。このように、本実施形態における画像処理部303は、仮想カメラ(1)〜(5)を切り替えるカメラ周期と、背景オブジェクト601の背景周期を異ならせることで、カメラ周期中のタイミング(位相)が同じであっても、異なる背景となる動画像を演出表示装置40に表示することができる。すなわち、同じ背景オブジェクト601をキャラクタ602に対して繰り返し移動させる場合であっても、背景の変化が単調となることを防ぐことができる。
【0073】
画角変更処理部303dは、各仮想カメラ(1)〜(5)の画角を必要に応じて変更する処理を行う。すなわち、画角変更処理部303dは、各仮想カメラ(1)〜(5)におけるズーム処理やワイド処理を行う。カメラ設定変更処理部303eは、仮想空間に対する仮想カメラの配置を変更したり、切り替えの順番を変更したり、切り替え処理の対象となる仮想カメラの数を変更したりする処理を行う。すなわち、カメラ切替処理部303cは、このカメラ設定変更処理部303eの設定に応じて仮想カメラの切り替え処理を行う。これらの画角変更処理部303dやカメラ設定変更処理部303eの処理を更に加えることで、同じ背景オブジェクト601をキャラクタ602に対して繰り返し移動させる場合であっても、背景の変化やキャラクタの映像の変化が単調となることを防ぐことができる。
【0074】
304は、画像信号出力部であり、画像処理部303が生成した画像データを、演出表示装置40に表示可能な画像データへ変換して出力する処理を行う。
【0075】
以上、メイン制御基板50とサブ制御基板60の機能について説明したが、機能構成はこれに限定されるものではなく、各部の機能の一部を他の各部が有する構成としてもよい。例えば、図3の入賞判定部107と払出制御部109とが一体となってもよく、図5の画像処理部303と画像信号出力部304が一体となってもよい。また、メイン制御基板50及びサブ制御基板60に上述した機能以外の機能が設けられていてもよい。
【0076】
次に、本実施形態におけるスロットマシン10の遊技動作について説明する。スロットマシン10において遊技動作は、メイン制御基板50により管理されている。
まず、遊技者がスタートスイッチ41を操作することによりリール群31を回転させる動作について説明する。制御部101は、メダルの投入を監視しており、遊技者によるメダル投入の有無を判断する。メダルの投入が行われた場合、制御部101は、投入されたメダル数を求め、スタートスイッチ41がオンであるか否かを判定する。スタートスイッチ41がオンである場合には、役抽選部103は、乱数値を取得した後、抽選テーブル102を参照して取得した乱数値に応じた役を特定することで、役抽選処理を行う。役抽選部103は、当選役に関する情報である当選役情報をサブ制御基板60へ送信する。次に、制御部101は、リール制御部106にリール群31の回転を開始させる。
【0077】
次に、回転中のリール群31に対する停止制御について説明する。尚、以下の説明において、第1〜第3ストップスイッチとは、ストップスイッチ群42の中のいずれか一つのストップスイッチではあるが、ストップスイッチ42L、42C、42Rを特定するものではなく、遊技者の操作したストップスイッチを操作順に示すものである。すなわち、「第1〜第3」の数字は遊技者の操作手順を示す数字である。また、以下の説明においてリール31とは、リール群31内のリールのいずれか一つを示す。
【0078】
リール制御部106は、遊技者が第1ストップスイッチをオンした場合には、第1ストップスイッチに対応するリール31に対して停止制御を行う。同様に、リール制御部106は、遊技者が第2ストップスイッチをオンした場合には、第2ストップスイッチに対応するリール31に対して停止制御を行い、遊技者が第3ストップスイッチをオンした場合には、第3ストップスイッチに対応するリール31に対して停止制御を行う。
【0079】
ここで、リール制御部106は、フラグ情報記憶部105を参照して当選役フラグがオンしているか否かを判定して、当選役がある場合には、当選役に応じた図柄が可能な範囲で揃うように停止制御(引き込み制御)を行い、当選役がなければ全ての役に対応する図柄が有効ライン上に揃わないように停止制御(蹴飛ばし制御)を行う。尚、この引き込み制御可能な範囲は、リール31の図柄の配列間隔、リール31の回転速度及びストップスイッチ42をオンしてからリール31停止までの最大許容時間により定まる。
【0080】
次に、入賞判定から入賞した役に応じた処理までの動作を説明する。
入賞判定部107は、リール制御部106の制御に応じてリール群31の回転が停止した際のリール群31の停止位置を読み取り、入賞した役の有無を判定する。入賞有りと判定した場合には、入賞判定部107は、入賞した入賞役に関する入賞役情報をサブ制御基板60へ送信する。ここで、入賞判定部107の判定が特別役の入賞である場合には、払出制御部109の指示に応じてホッパ装置93は、所定枚数(15枚又は12枚)のメダルの払い出しを行うと伴に、遊技状態制御部108は、ビックボーナスゲーム又はレギュラーボーナスゲームへと遊技状態を移行する特別遊技移行処理を行う。また、遊技状態制御部108は、サブ制御基板60にボーナスゲームに応じた演出を行うように指示する。
【0081】
また、入賞判定部107の判定が小役の入賞である場合には、払出制御部109は、入賞した小役に対応する配当の指示をホッパ装置93へ出力する。これにより、ホッパ装置93は、入賞した小役に対応する枚数のメダルを払い出す。また、入賞判定部107の判定がリプレイの入賞である場合には、制御部101は、当該遊技で設定された賭数を次遊技に自動設定する(再遊技動作)。以上により、スロットマシン10は、当該遊技を終了して、次の遊技の処理(メダル投入の検出処理)に移る。
【0082】
次に、メイン制御基板50にて制御する遊技動作と連動して動作するサブ制御基板60による演出動作について図を用いて説明する。
まず、演出パターン選択部201は、当選役情報をメイン制御基板50から当選役情報を受信した場合には、受信した当選役情報に基づき当選役を演出する演出パターンを選択する。例えば、演出パターン選択部201は、ベルの小役が当選している場合には、遊技者にベルが当選したことを知らせる演出パターンを選択する。次に、演出制御部202は、演出パターン選択部201において選択された演出パターンに基づく演出出力を演出表示装置40やスピーカ71にて行う。また、演出パターン選択部201は、入賞役情報をメイン制御基板50から受信した場合には、受信した入賞役情報に基づき、入賞役情報で特定される入賞役又はハズレに応じた演出パターンを選択する。例えば入賞役がベルである場合には、演出パターン選択部201は、ベルの入賞を演出する演出パターンを選択する。以上に示すように、サブ制御基板60は、メイン制御基板50にて制御するスロットマシンの遊技動作と連動して動作する。
【0083】
次に、本実施形態のサブ制御基板60の演出制御部202における3次元画像を演出表示装置40に表示するための画像処理について説明する。図9は、サブ制御基板60の演出制御部202における3次元画像処理を示すフロー図である。尚、演出パターン選択部201は、通常動作(通常遊技状態)の演出パターン(=キャラクタ602が背景オブジェクト601の路上を歩く演出)を選択しているとする。尚、3次元画像処理は、上述したように演出制御部202内の画像処理部303が行っているので、図9の説明には、画像処理部303を用いて説明する。
【0084】
図9に示すように、まず、画像処理部303は、仮想的な3次元空間にオブジェクトを配置する処理や、視点や光源を設定する処理を行う(ステップS1)。具体的には、画像処理部303は、図6に示すように、背景オブジェクト601及びキャラクタオブジェクト602を配置する。この際、背景移動処理部303aは、前フレームから1フレーム分背景オブジェクト601を図6の矢印の方向に移動した位置に配置する。また、キャラクタ処理部303bは、前フレームから1フレーム分キャラクタオブジェクト602を動かす。また、カメラ切替処理部303cは、図8に示したカメラ周期に応じて視点となる仮想カメラ(1)〜(5)の切り替え処理を行う。
【0085】
次に、画像処理部303は、オブジェクトを構成するポリゴンの数値データを画面表示のための数値データに変換する座標変換処理であるジオメトリ変換処理を行う(ステップS2)。具体的には、まずオブジェクトを構成するポリゴンの座標データであるモデリング座標系を、視点を原点にした視点座標系に変換する。さらに投影変換を行って画面の解像度に合わせたスクリーン座標系に変換する処理である。
【0086】
次に、画像処理部303は、変換された数値データと設定された光源や物体表面の材質などの情報をもとに、テクスチャマッピングやほかの特殊効果を交えて実際の描画を行う描画処理を行う(ステップS3)。以上の処理により、画像処理部303は、図7に示したような画像である仮想的な3次元画像の画像データを生成する。次に、画像処理部303は、処理を継続するか否か(次に演出表示装置40に表示するフレームに含ませる3次元画像を生成するか否か)を判断する。ここで、処理を継続する場合(ステップS4のYES)には、ステップS1の処理に戻り、処理を継続しない場合(ステップS4のNO)には、処理を終了する。
【0087】
以上に示した図9の処理を繰り返すことで、演出表示装置40には、キャラクタ602が背景オブジェクト601の路地を歩いている映像が表示される。また、この時、背景オブジェクト601は長さに限りがあるが、キャラクタ602に対する始点Sから終点Fまでの移動を繰り返すことで、背景オブジェクト601の長さに影響されることなく連続してキャラクタ602が歩く映像を得ることができる。そして、本実施形態の特徴として、背景オブジェクト601の繰り返しの背景周期と、仮想カメラを切り替えるカメラ周期が異なるので、カメラ周期において同じ位相における映像であっても、背景が異なるので、背景オブジェクト601の繰り返しにより背景の変化が単調になることを防ぐことができる。
【0088】
尚、上述したような3次元画像のみでなく、2次元画像においても背景を動かすことによるキャラクタの移動処理が行われ、かつ、視点の切り替えが行われるのであれば、本発明を適用可能である。また、上述した実施形態では、背景周期やキャラクタ周期は固定であったが、これらの周期を可変として、任意のタイミングで周期が変わるようにしてもよい。また、上述した実施形態においては、キャラクタオブジェクト602は一体であったが、複数であってもよい。また、背景が固定で、キャラクタが移動する場合であっても、背景の変化が単調となる場合があるが、このような場合にも、本発明を適用して好適である。また、上述した実施形態のスロットマシンにおいて、遊技媒体はメダルであったが、この限りではなく、遊技媒体として遊技球などでもよい。
【0089】
本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段は、プログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体やプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体であってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、本発明の一実施形態におけるスロットマシンの外観構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシン10のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示したスロットマシン10の機能構成を示すブロック図である。
【図4】サブ制御基板60の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【図5】図4に示した演出制御部202の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図6】本実施形態の画像処理部303が構成する仮想空間例および仮想カメラの配置例を示す図である。
【図7】図6に示した仮想空間を仮想カメラ(1)、(3)を視点した場合の演出表示装置40に表示される3次元画像例を示す図である。
【図8】上述したカメラ周期、背景周期、及びキャラクタ周期を視覚的に示す図である。
【図9】サブ制御基板60の演出制御部202における3次元画像処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0091】
10 スロットマシン
21 表示窓
31 リール
31L 左リール
31C 中リール
31R 右リール
40 フロントパネル
50 メイン制御基板
51 メインCPU
52、62 ROM
53、63 RAM
54、69 I/F回路
60 サブ制御基板
101 制御部
103 役抽選部
107 入賞判定部
108 遊技状態制御部
201 演出パターン選択部
202 演出制御部
301 画像制御部
303 画像処理部
303a 背景移動処理部
303b キャラクタ処理部
303c カメラ切替処理部
303d 画角変更処理部
303e カメラ設定変更処理部
304 画像信号出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアルタイムで仮想空間の動画像を表示するための画像処理を行う画像処理装置であって、
前記仮想空間における背景を構成する背景画像又は前記仮想空間内に存在するキャラクタの画像であるキャラクタ画像のいずれかを移動させることで、前記キャラクタが前記仮想空間内を移動しているように見せる移動手段と、
前記動画像として表示する前記仮想空間における前記キャラクタ及び前記背景を含む構図を定める仮想的なカメラを任意の位置に複数設置した場合に、前記複数のカメラの中から用いるカメラを所定または可変の第1の周期で切り替える切り替え手段と
を具備し、
前記移動手段が行う前記背景画像又は前記キャラクタの移動による両者の相対的な位置関係が第2の周期で周期的に変化する場合に、前記第1の周期と前記第2の周期が異なるようにすることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記仮想空間が仮想的な3次元空間である場合に、前記複数のカメラは、前記キャラクタに対して異なる方向から撮影するように前記3次元空間に対して設置したものであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記複数のカメラにおける画角を前記第1の周期に応じて変更する画角変更手段を更に具備することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数のカメラの設置位置または設置数を変化させる変化手段を更に具備することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記キャラクタ自身が第3の周期で周期的に動作する場合に、前記第3の周期は少なくとも前記第2の周期と異なることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
リアルタイムで仮想空間の動画像を表示するための画像処理を行う画像処理装置を用いた画像処理方法であって、
前記仮想空間における背景を構成する背景画像又は前記仮想空間内に存在するキャラクタの画像であるキャラクタ画像のいずれかを移動させることで、前記キャラクタが前記仮想空間内を移動しているように見せる移動ステップと、
前記動画像として表示する前記仮想空間における前記キャラクタ及び前記背景を含む構図を定める仮想的なカメラを任意の位置に複数設置した場合に、前記複数のカメラの中から用いるカメラを所定または可変の第1の周期で切り替える切り替えステップと
を有し、
前記移動ステップで行う前記背景画像又は前記キャラクタの移動による両者の相対的な位置関係が第2の周期で周期的に変化する場合に、前記第1の周期と前記第2の周期が異なるようにすることを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
リアルタイムで仮想空間の動画像を表示するための画像処理を行う画像処理装置用のプログラムであって、
前記仮想空間における背景を構成する背景画像又は前記仮想空間内に存在するキャラクタの画像であるキャラクタ画像のいずれかを移動させることで、前記キャラクタが前記仮想空間内を移動しているように見せる移動ステップと、
前記動画像として表示する前記仮想空間における前記キャラクタ及び前記背景を含む構図を定める仮想的なカメラを任意の位置に複数設置した場合に、前記複数のカメラの中から用いるカメラを所定または可変の第1の周期で切り替える切り替えステップと
を有し、
前記移動ステップで行う前記背景画像又は前記キャラクタの移動による両者の相対的な位置関係が第2の周期で周期的に変化する場合に、前記第1の周期と前記第2の周期が異なるようにコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−113904(P2006−113904A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−302045(P2004−302045)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】