説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】複数の光源が混在する場合であっても、適正な色味の画像データを生成する。
【解決手段】画像処理装置は、撮像された画像データに対して第2の光源がする場合、第1の光源に対応する第1のWB補正値に基づいて第1の画像データを現像するとともに、第2の光源に対応する第2のWB補正値に基づいて第2の画像データを現像する。画像処理装置は、画像データの色評価値と第2の光源下の白の色評価値との差分に基づいて、第1の画像データと第2の画像データとの合成比率を決定する。画像処理装置は、当該合成比率に従って第1の画像データと第2の画像データとを合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに対するホワイトバランス制御技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の、撮像素子を用いる撮像装置においては、撮影によって得られた画像データの色調を調整するホワイトバランス制御機能を備えている。ホワイトバランス制御には、マニュアルホワイトバランス制御とオートホワイトバランス制御とがある。マニュアルホワイトバランス制御は、予め白色被写体を撮像してホワイトバランス係数を算出しておき、算出したホワイトバランス係数を画面全体に適用する制御である。オートホワイトバランス制御は、撮影した画像データから白色と思われる部分を自動検出し、画面全体の各色成分の平均値からホワイトバランス係数を算出し、算出したホワイトバランス係数を画面全体に適用する制御である。
【0003】
従来のオートホワイトバランス制御においては、ストロボ発光シーンにおいて画像データ内にストロボ光とは異なる光源が存在する場合、上記のように算出されたホワイトバランス係数を画面全体に適用してホワイトバランス制御を行う。そのため、各光源をともに適正な色味とするホワイトバランス制御を行うことが困難であった。例えば、ストロボ発光シーンで環境光に電球色光源のような低色温度光源が存在する場合、ストロボ光が高色温度光源であるため、ストロボ光にホワイトバランスを合わせると低色温度光源にホワイトバランスが合わなくなってしまう。一方、低色温度光源にホワイトバランスを合わせた場合には、ストロボ光にホワイトバランスが合わなくなってしまう。また、両方の光源の中間にホワイトバランスを合わせてホワイトバランス制御を行ったとしても、両方の光源にホワイトバランスが合わず、ストロボ光で照射されている領域は青みを帯び、低色温度光源で照射されている領域は赤味を帯びるような色味となってしまう。
【0004】
これに対し、特許文献1には次のような技術が開示されている。即ち、特許文献1に開示される技術は、ストロボ発光時に撮影された画像データとストロボ非発光時に撮影された画像データとを、任意の被写体領域毎に比較してデータの比を求め、その比の値によりストロボ光の寄与度を判定する。そして、判定した寄与度に応じて被写体領域毎にホワイトバランス制御値を選択して、ホワイトバランス制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3540485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、ストロボ光を発光したときのホワイトバランス制御に関する技術であるため、ストロボ光を発光していない場合には適用することができない。また、ホワイトバランス制御値を各被写体領域で可変させた後に現像処理を行うため、色の再現等、その他の制御がホワイトバランス制御値に対して適正にならなくなってしまう場合があり、適正な色味を十分に再現することができない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、複数の光源が混在する場合であっても、適正な色味の画像データを生成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、撮像された画像データにおける第1の光源に対応する第1のホワイトバランス補正値と、前記画像データにおける第2の光源に対応する第2のホワイトバランス補正値とを決定する補正値決定手段と、前記画像データに対して前記第2の光源が存在するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記第2の光源が存在すると判定された場合、前記第1のホワイトバランス補正値に基づいて前記画像データから第1の画像データを現像するとともに、前記第2のホワイトバランス補正値に基づいて前記画像データから第2の画像データを現像する現像手段と、前記画像データの色評価値と前記第2の光源下の白の色評価値との差分に基づいて、前記第1の画像データと前記第2の画像データとの合成比率を決定する合成比率決定手段と、前記合成比率決定手段により決定された前記合成比率に従って、前記第1の画像データと前記第2の画像データとを合成する合成手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の光源が混在する場合であっても、適正な色味の画像データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るデジタルカメラの構成例を示すブロック図である。
【図2】第1のホワイトバランス補正値(第1のWB補正値)の算出方法を示すフローチャートである。
【図3】白検出の際に使用されるグラフを示す図である。
【図4】第1の実施形態における画像データの合成処理を示すフローチャートである。
【図5】第2の光源の白評価値と各ブロックの色評価値との関係の一例を示す図である。
【図6】第2の光源を検出する際の重み付け(ゲイン)処理を説明するための図である。
【図7】第2の光源を判別する際の判別評価値を示す図である。
【図8】第2の光源を判別する際の色温度による判別評価値を示す図である。
【図9】合成比率を算出する際に用いられる第2の光源の白評価値と各ブロックの色評価値との関係の一例を示す図である。
【図10】第2の実施形態における画像データの合成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るデジタルカメラの構成例を示すブロック図である。なお、本実施形態に係るデジタルカメラは、画像処理装置の適用例となる構成である。図1において、固体撮像素子101はCCDやCMOS等からなる撮像素子であり、その表面は例えばベイヤー配列のようなRGBカラーフィルタにより覆われ、カラー撮影が可能な構成となっている。被写体像が固体撮像素子101上で結像されると、固体撮像素子101は画像データ(画像信号)を生成し、メモリ102に記憶させる。
【0013】
制御部114は、画像データ全体が明るくなるようなシャッタ速度、絞り値を計算するとともに、合焦領域内にある被写体に合焦するようにフォーカスレンズの駆動量を計算する。そして、制御部114によって計算された露出値(シャッタ速度、絞り値)及びフォーカスレンズの駆動量は撮像制御回路113に出力され、各値に基づいてそれぞれ制御される。103はホワイトバランス(以下、WB)制御回路であり、メモリ102に記憶された画像データに基づいてWB補正値を算出し、算出したWB補正値を用いて、メモリ102に記憶された画像データに対してWB補正を行う。なお、このWB制御回路103のWB補正値の算出方法の詳細については後述する。
【0014】
104は、WB制御回路103によりWB補正された画像データが最適な色で再現されるように色ゲインをかけて色差信号R−Y、B−Yに変換する色変換マトリックス回路である。105は、色差信号R−Y、B−Yの帯域を制限するためのローパスフィルタ(以下、LPF)回路である。106は、LPF回路105で帯域制限された画像信号のうち、飽和部分の偽色信号を抑圧するためのCSUP(Chroma Supress)回路である。一方、WB制御回路103によりWB補正された画像データは、輝度信号生成回路111にも出力されて輝度信号Yが生成され、エッジ強調回路112は、生成された輝度信号Yに対してエッジ強調処理を施す。
【0015】
107は、CSUP回路106から出力される色差信号R−Y、B−Yと、エッジ強調回路112から出力される輝度信号YとをRGB信号に変換するRGB変換回路である。108は、変換されたRGB信号に対して階調補正を施すガンマ(γ)補正回路である。109は、階調補正されたRGB信号をYUV信号に変換する色輝度変換回路である。110は、色輝度変換回路109により生成されたYUV信号をJPEG方式により圧縮するJPEG圧縮回路である。JPEG圧縮回路110から出力された信号は外部記録媒体又は内部記録媒体に画像データとして記録される。
【0016】
次に、第1の実施形態におけるWB制御回路103によるWB補正値の算出方法について説明する。先ず、図2を参照しながら、第1のホワイトバランス補正値(第1のWB補正値)の算出方法について説明する。ここで、第1のWB補正値とは、第1の光源に対する通常のホワイトバランス制御により算出される補正値である。また本処理は、黒体放射軸を用いたWB制御に基づいてWB補正値を算出する処理である。
【0017】
ステップS201において、WB制御回路103は、メモリ102に記憶された画像データを読み出し、当該画像データを任意のm個のブロックに分割する。ステップS202において、WB制御回路103は、ブロック(1〜m)毎に、画素値を色毎に加算平均して色平均値(R[i],G[i],B[i])を算出し、次の式を用いて色評価値(Cx[i],Cy[i])を算出する。
Cx[i]=(R[i]−B[i])/Y[i]×1024
Cy[i]=(R[i]+B[i]−2G[i])/Y[i]×1024
但し、Y[i]=(R[i]+2G[i]+B[i])/4
【0018】
ステップS203において、WB制御回路103は、i番目のブロックの色評価値(Cx[i],Cy[i])が、図3に示す予め設定される白検出範囲301に含まれるか否かを判定する。白検出範囲301は、予め異なる光源下で白を撮影し、算出した色評価値をプロットしたものである。この白検出範囲は撮影モードに対応して個別に設定できるものとする。図3におけるx座標(Cx)の負方向が高色温度被写体の白を撮影したときの色評価値を表し、正方向が低色温度被写体の白を撮影したときの色評価値を表している。また、y座標(Cy)は光源の緑成分の度合いを意味しており、負方向になるにつれてGreen成分が大きくなる。
【0019】
i番目のブロックの色評価値(Cx[i],Cy[i])が予め設定される白検出範囲301に含まれる場合、処理はステップS204に移行する。一方、i番目のブロックの色評価値(Cx[i],Cy[i])が予め設定される白検出範囲301に含まれない場合、処理はステップS204をスキップして、ステップS205に移行する。
【0020】
ステップS204において、WB制御回路103は、i番目のブロックが白色であると判定して、当該ブロックの色平均値(R[i],G[i],B[i])を積分する。なお、ステップS203、S204の処理は次の式によって表すことができる。
【0021】
【数1】

【0022】
ここで、上記式において、色評価値(Cx[i],Cy[i])が白検出範囲301に含まれる場合にはSw[i]を1とし、色評価値(Cx[i],Cy[i])が白検出範囲301に含まれない場合にはSw[i]を0とする。これにより、ステップS203、S204において、色評価値(R[i],G[i],B[i])を積分するか、積分しないかを実質的に行っている。
【0023】
ステップS205において、WB制御回路103は、全てのブロックについて上記処理を行ったか否かを判定する。未処理のブロックが存在する場合、処理はステップS202に戻って上記処理を繰り返す。一方、全てのブロックについて処理を行った場合、処理はステップS206に移行する。
【0024】
ステップS206において、WB制御回路103は、得られた色平均値の積分値(SumR1,SumG1,SumB1)から、次の式を用いて、第1のWB補正値(WBCol_R1,WBCol_G1,WBCol_B1)を算出する。
WBCol_R1=SumY1×1024/SumR1
WBCol_G1=SumY1×1024/SumG1
WBCol_B1=SumY1×1024/SumB1
但し、SumY1=(SumR1+2×SumG1+SumB1)/4
【0025】
なお、ストロボ光を発光する場合には、図3の302に示すようなストロボ光用の白検出範囲302を用いて、上述したWB補正値の算出方法と同様に第1のWB補正値を算出する。これはストロボ光という既知の光源であることから、白検出範囲を限定できるためである。なお、ストロボ光を発光する場合には、第1のWB補正値としてストロボ光のWB補正値を既知のものとして予め設定してもよい。
【0026】
次に、第2の光源に対する第2のホワイトバランス補正値(第2のWB補正値)の決定方法について説明する。第2のWB補正値(WBCo2_R,WBCo2_G,WBCo2_B)は、光源毎に予め決められた値を用いて決定する。この値は、予め各光源下で白を撮影して算出した値を用いる。例えば、第2の光源が水銀灯である場合、水銀灯用に予め決められているWB補正値を第2のWB補正値として用いる。ここで、光源に複数の種類がある場合、光源の種類に応じて第2のWB補正値を可変にしてもよい。例えば、水銀灯に2つの種類がある場合には、それぞれの水銀灯に応じてWB補正値を可変にしてもよい。
【0027】
次に、図4のフローチャートを参照しながら、第1の実施形態に係るデジタルカメラの画像データの合成処理について説明する。ステップS401において、WB制御回路103は、メモリ102に記憶された画像データに対してシーン判別を行い、第2の光源が存在するか否かを判定する。例えば、WB制御回路103は、第2の光源として水銀灯が存在すると判定した場合、図5に示すように、当該画像データの色評価値502が、予め決められている水銀灯光源下での白の色評価値(以下、白評価値)503を含む所定のエリア501に属するか否かを判定する。即ち、WB制御回路103は、水銀灯光源下での白評価値503から画像データの色評価値502までの距離(DisCx,DisCy)に基づいて、画像データの色評価値502が所定のエリア501の範囲内に存在するか否かを判定する。そしてWB制御回路103は、画像データから分割された各ブロックから所定のエリア501内に存在する色評価値のブロックを検出し、検出したブロック数を、第2の光源が存在するか否かを判別するための判別評価値として算出する。
【0028】
また、各ブロックの色評価値が第2の光源における白評価値503に近い場合、第2の光源である確率が高く、離れていくにつれて低くなっていく。そのため、WB制御回路103は、図6(a)に示すようなCx方向の距離(DisCx)に応じた重みと、図6(b)に示すようなCy方向の距離(dDisCy)に応じた重みとをかけてブロック数を積算する。また、非常に暗いブロックや飽和しているようなブロックは検出精度が落ちる。そのため、WB制御回路103は、図6(c)に示すようなブロック輝度値(Y)に応じた重みをかけてブロック数を積算する。即ち、WB制御回路103は、次の式のようにブロック数(CountNum)を積算する。
【0029】
【数2】

【0030】
また、ブロック数以外の判定要素として、撮影環境の明るさ(Bv)も加味してもよい。例えば、水銀灯は夜景等、比較的暗いようなシーンで存在するため、WB制御回路103は、図7のマトリックスに示すような明るさ(Bv)とブロック数(CountNum)とによって判別評価値(Judge_Value)を算出する。ここで算出した判別評価値が高い程、第2の光源の存在確率が高いということになる。また、通常のホワイトバランス制御である第1のWB補正値においての色温度を判定要素として付加してもよい。例えば、第1のWB補正値において低色温度光源と判定された場合、シーンとして夜景等の水銀灯は存在しにくいためである。つまり、WB制御回路103は、図8に示すような第1のWB補正値の算出処理にて出力される色温度による判別評価値(Temp_Value)も考慮して、第2の光源が存在するか否かを判定する。最終的な判別評価値(Final_Judge)は次の式のようになる。
Final_Judge=Judge_Value×Temp_Value
【0031】
ステップS401において判別評価値が或る閾値未満であると判定された場合、WB制御回路103は第2の光源が存在しないと判定し、処理はステップS407に移行する。ステップS407において、WB制御回路103は、画像データの合成処理を行わず、図2に示した処理で算出された第1のWB補正値を用いて通常のホワイトバランス制御を行う。一方、ステップS401において判別評価値が閾値以上であると判定された場合、WB制御回路103は第2の光源が存在すると判定し、処理はステップS402に移行する。
【0032】
ステップS402において、WB制御回路103は、メモリ102に記憶されている画像データに対し、上記第1のWB補正値を用いてホワイトバランス補正を行うことにより第1の現像画像データYuv1を現像する。同様に、WB制御回路103は、メモリ102に記憶されている画像データに対し、上記第2のWB補正値を用いてホワイトバランス補正を行うことにより、第2の現像画像データYuv2を現像する。ステップS403において、WB制御回路103は、メモリ102に記憶されている画像データ、第1の現像画像データYuv1、及び、第2の現像画像データYuv2をそれぞれn個のブロックに分割する。なお、第1の現像画像データYuv1は第1の画像データの例であり、第2の現像画像データYuv2は第2の画像データの例である。
【0033】
ステップS404において、WB制御回路103は、メモリ102に記憶されている画像データのブロック毎に、画素値を各色に加算平均して色平均値(R[i],G[i],B[i])を算出する。そしてWB制御回路103は、ステップS202と同様に、色評価値(Cx[i],Cy[i])を算出する。なお、ステップS202で算出した色評価値(Cx[i],Cy[i])をそのまま用いてもよい。このとき、飽和画素が存在する場合には、その飽和画素の画素値とその画素に対応する別色の画素の画素値とを加算処理に含めなくてもよい。例えば、或るR画素が飽和画素である場合には、R画素の画素値とそのR画素に対応するG画素の画素値及びB画素の画素値とを加算処理に含めないようにする。
【0034】
ステップS405において、WB制御回路103は、各光源に応じて後述の評価枠及び内枠を設定して、上記の第2のWB補正値と各ブロックの色評価値との差分に基づいて、ブロック毎の合成比率(Mix率)を算出する。例えば、光源に水銀灯を用いたシーンでは、WB制御回路103は、図9に示すように、第2のWB補正値として予め決められた水銀灯光源下の白の色評価値903を重心とした水銀灯用の評価枠901及び内枠902を設定する。そしてWB制御回路103は、予め決められた水銀灯光源下の白の色評価値903と各ブロックの色評価値との距離とに基づいて、各ブロックの合成比率を算出する。なお、評価枠901及び内枠902は予め水銀灯光源下で白の被写体を撮影して算出された色評価値に基づき設定されたものである。
【0035】
先ず、色評価値と水銀灯光源下の白の色評価値903との差分が小さく、図9に示す内枠902の内部に色評価値が存在するブロックに対しては、当該ブロックの合成比率α[i]を1とする。次に、図9に示す内枠902と評価枠901との間の領域に色評価値が存在するブロックに対しては、WB制御回路103は次のように合成比率α[i]を算出する。即ち、WB制御回路103は、内枠902を合成比率α[i]=1、評価枠901を合成比率α[i]=0とするように、内枠902から評価枠901に向かって合成比率を線形的に減少させ、当該ブロックの合成比率α[i]を算出する。そして、評価枠901の外部に色評価値が存在するブロックに対しては、WB制御回路103は合成比率α[i]を0とする。
【0036】
ここで、評価枠901や内枠902の設定は四角形ではなく任意の形にしてもよい。例えば、評価枠901を楕円形(円形)にしてもよい。また例えば、電球色光源のような低色温度光源を用いたシーンの場合においても、当該光源に適した評価枠及び内枠に変更して設定すればよい。これにより、水銀灯光源下でのシーンにおける合成比率算出方法と同様の処理により合成比率を算出することができる。
【0037】
ステップS406において、WB制御回路103は、ブロック毎の合成比率α[i]を用いて第1の現像画像データYuv1と第2の現像画像データYuv2とを合成し、合成画像データYuv3を生成する。合成画像データYuv3の色評価値(Y3[i],u3[i],v3[i])を算出する際に、第1の現像画像データYuv1の色評価値(Y1[i],u1[i],v1[i])と第2の現像画像データYuv2の色評価値(Y2[i],u2[i],v2[i])とを用いる。即ち、次の式により合成画像データYuv3の色評価値(Y3[i],u3[i],v3[i])を算出する。
【0038】
【数3】

【0039】
ここで、ブロックの境界部分に生じる色味ずれを緩和するために、ステップS405でさらに画素補間処理を行うことにより、ブロック毎の合成比率α[i]から画素毎の合成比率α´[j]を算出してもよい。例えばWB制御回路103は、画素補間処理としてバイリニア補間を用い、ブロック毎の合成比率α[i]から画素毎の合成比率α´[j]を算出する。このとき、ステップS406において、WB制御回路103は、画素毎の合成比率α´[j]を用いて第1の現像画像データYuv1と第2の現像画像データYuv2とを合成し、合成画像データYuv3を生成する。合成画像データYuv3の色評価値(Y3[j],u3[j],v3[j])を算出する際に、第1の現像画像データYuv1における色評価値(Y1[j],u1[j],v1[j])と第2の現像画像データYuv2の色評価値(Y2[j],u2[j],v2[j])とが用いられる。即ち、WB制御回路103は、次の式により合成画像データYuv3の色評価値(Y3[j],u3[j],v3[j])を算出する。
【0040】
【数4】

【0041】
また、WB制御回路103における計算量を低減するために、色成分であるu成分及びv成分のみを合成してもよい。即ち、WB制御回路103は、画像データの合成処理において合成画像データYuv3の色評価値(Y3[i],u3[i],v3[i])を次の式により算出する。
【0042】
【数5】

【0043】
また、上述した画像データの合成処理において現像画像データはYuv形式を用いたが、例えば、画像形式としてRGB形式を用いた場合、ステップS406において用いた式の代わりに、次の式を用いる。つまり、WB制御回路103は、第1のWB補正値を用いて現像した現像画像データRGB1の色評価値(R1[i],G1[i],B1[i])と、第2のWB補正値を用いて現像した現像画像データRGB2の色評価値(R2[i],G2[i],B2[i])とを算出する。そして、WB制御回路103は、合成画像データRGB3の色評価値(R3[i],G3[i],B3[i])を次の式により算出する。
【0044】
【数6】

【0045】
また、上述した画像データの合成処理では、光源が2種類以上存在する場合に、現像画像データを2枚以上にして合成してもよい。例えば、水銀灯を用いたシーンにおいてストロボ光を発光した場合には、WB制御回路103は、上記第1のWB補正値及び第2のWB補正値に加えて、上記第2のWB補正値を決定する方法と同様にストロボ光に対応した第3のWB補正値を決定する。そしてWB制御回路103は、3つのWB補正値をそれぞれ用いて3枚の画像データを現像して画像データの合成処理を行う。
【0046】
以上のように本実施形態によれば、異なる複数の光源が混在するシーンにおいて、光源を判別し主被写体と背景とをともに適正な色味とする画像データを生成し、ユーザにとって好ましい画像を提供することができる。
【0047】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、第2の光源の存在が判別された場合は画像データの合成処理を行い、第2の光源の存在が判別されなかった場合は通常のホワイトバランス処理を行っていた。これに対し、第2の実施形態では、第2の光源らしさの評価値を算出し、その評価値に応じて合成比率を制御して画像データの合成処理を行う。以下では、第1の実施形態と相違する処理についてのみ説明するものとする。また、第2の実施形態に係るデジタルカメラの構成は図1に示した構成と同様であるため、以下の第2の実施形態の説明においても、図1の符合を引用しながら説明を行うものとする。
【0048】
以下、図10を参照しながら、第2の実施形態に係るデジタルカメラによる画像データの合成処理について説明する。ステップS1001において、WB制御回路103は、第2の光源らしさの評価値を算出する。ここでは、上述した図7のような明るさと検出したブロック数とから第2の光源らしさの評価値を算出する。第2の実施形態においては、この評価値を、合成比率を算出する際の制御値(β:0〜1)として使用する。図10のステップS402〜S404は、図4のステップS402〜S404と同様である。
【0049】
ステップS1002において、WB制御回路103は、算出した制御値に基づいて合成比率α[i]を算出する。例えば、第2の光源らしさの評価値が低い場合はβが低くなり、第2のWB補正値の使用率も低くなる。
【0050】
ステップS1003において、WB制御回路103は、ブロック毎の合成比率α[i]と制御値βとを用いて第1の現像画像データYuv1と第2の現像画像データYuv2とを合成し、合成画像データYuv3を生成する。WB制御回路103は、合成画像データYuv3の色評価値(Y3[i],u3[i],v3[i])を算出する際に、第1の現像画像データYuv1の色評価値(Y1[i],u1[i],v1[i])と第2の現像画像データYuv2の色評価値(Y2[i],u2[i],v2[i])とを用いる。即ち、WB制御回路103は、次の式により合成画像データYuv3の色評価値(Y3[i],u3[i],v3[i])を算出する。
【0051】
【数7】

【0052】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0053】
101:固体撮像素子、102:メモリ、103:WB制御回路、104:色変換マトリックス回路、105:LPF回路、106:CSUP回路、107:RGB変換回路、108:γ補正回路、109:色輝度変換回路、110:JPEG圧縮回路、111:輝度信号生成回路、112:エッジ強調回路、113:撮像制御回路、114:制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像された画像データにおける第1の光源に対応する第1のホワイトバランス補正値と、前記画像データにおける第2の光源に対応する第2のホワイトバランス補正値とを決定する補正値決定手段と、
前記画像データに対して前記第2の光源が存在するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記第2の光源が存在すると判定された場合、前記第1のホワイトバランス補正値に基づいて前記画像データから第1の画像データを現像するとともに、前記第2のホワイトバランス補正値に基づいて前記画像データから第2の画像データを現像する現像手段と、
前記画像データの色評価値と前記第2の光源下の白の色評価値との差分に基づいて、前記第1の画像データと前記第2の画像データとの合成比率を決定する合成比率決定手段と、
前記合成比率決定手段により決定された前記合成比率に従って、前記第1の画像データと前記第2の画像データとを合成する合成手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記画像データにおける各ブロックの色評価値と前記第2の光源下の白の色評価値との距離に応じて、前記画像データに対して前記第2の光源が存在するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記画像データの撮影環境の明るさに応じて、前記画像データに対して前記第2の光源が存在するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記第1のホワイトバランス補正値における色温度に応じて、前記画像データに対して前記第2の光源が存在するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記合成手段は、前記判定手段により前記画像データに対して前記第2の光源が存在しないと判定された場合、前記第1の画像データと前記第2の画像データとの合成処理を行わないことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記補正値決定手段は、黒体放射軸を用いたホワイトバランス制御に基づいて、前記第1のホワイトバランス補正値を決定することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記補正値決定手段は、光源毎に予め決められた値を用いて、前記第2のホワイトバランス補正値を決定することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像データの色評価値をブロック毎に算出する色評価値算出手段を更に有し、
前記合成比率決定手段は、前記ブロック毎の前記画像データの色評価値と前記第2の光源下の白の色評価値との差分に基づいて、前記合成比率を前記ブロック毎に決定することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記合成比率決定手段は、画素補間処理により、前記ブロック毎の前記合成比率から画素毎の合成比率を決定することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記色評価値算出手段は、前記画像データの色評価値を算出する際に、飽和画素の画素値と当該画素に対応する別色の画素の画素値とを色平均値の算出に含めないことを特徴とする請求項8又は9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記合成手段は、前記第1の画像データと前記第2の画像データとの色成分のみを合成することを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
画像処理装置によって実行される画像処理方法であって、
撮像された画像データにおける第1の光源に対応する第1のホワイトバランス補正値と、前記画像データにおける第2の光源に対応する第2のホワイトバランス補正値とを決定する補正値決定ステップと、
前記画像データに対して前記第2の光源が存在するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記第2の光源が存在すると判定された場合、前記第1のホワイトバランス補正値に基づいて前記画像データから第1の画像データを現像するとともに、前記第2のホワイトバランス補正値に基づいて前記画像データから第2の画像データを現像する現像ステップと、
前記画像データの色評価値と前記第2の光源下の白の色評価値との差分に基づいて、前記第1の画像データと前記第2の画像データとの合成比率を決定する合成比率決定ステップと、
前記合成比率決定ステップにより決定された前記合成比率に従って、前記第1の画像データと前記第2の画像データとを合成する合成ステップとを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
撮像された画像データにおける第1の光源に対応する第1のホワイトバランス補正値と、前記画像データにおける第2の光源に対応する第2のホワイトバランス補正値とを決定する補正値決定ステップと、
前記画像データに対して前記第2の光源が存在するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記第2の光源が存在すると判定された場合、前記第1のホワイトバランス補正値に基づいて前記画像データから第1の画像データを現像するとともに、前記第2のホワイトバランス補正値に基づいて前記画像データから第2の画像データを現像する現像ステップと、
前記画像データの色評価値と前記第2の光源下の白の色評価値との差分に基づいて、前記第1の画像データと前記第2の画像データとの合成比率を決定する合成比率決定ステップと、
前記合成比率決定ステップにより決定された前記合成比率に従って、前記第1の画像データと前記第2の画像データとを合成する合成ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−58859(P2013−58859A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195255(P2011−195255)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】