画像処理装置、画像処理方法
【課題】 メモリの小容量化と圧縮誤差の低下の両立を可能にする画像処理装置を提供する
【解決手段】 出力画像データ生成手段11は、特定参照データ及び処理前画像データに基づいて処理済画像データを生成する。参照データ生成手段5は、2以上の連続したフレームで構成される1タームに同一の処理を繰り返し実行する。対象フレームがターム内の先頭である場合、データ伸張手段15が生成した復元参照データを特定参照データとして出力する。対象フレームがターム内の2番目以後である場合、データ伸張手段15が生成した復元参照データと対象フレームの処理前画像データとに基づいて模擬特定参照データを生成し、これを特定参照データとして出力する。更に対象フレームがターム内の最終である場合には、上記動作に加えて特定参照データと当該対象フレームの処理前画像データとに基づいて参照データを生成してデータ圧縮手段13に出力して圧縮させる。
【解決手段】 出力画像データ生成手段11は、特定参照データ及び処理前画像データに基づいて処理済画像データを生成する。参照データ生成手段5は、2以上の連続したフレームで構成される1タームに同一の処理を繰り返し実行する。対象フレームがターム内の先頭である場合、データ伸張手段15が生成した復元参照データを特定参照データとして出力する。対象フレームがターム内の2番目以後である場合、データ伸張手段15が生成した復元参照データと対象フレームの処理前画像データとに基づいて模擬特定参照データを生成し、これを特定参照データとして出力する。更に対象フレームがターム内の最終である場合には、上記動作に加えて特定参照データと当該対象フレームの処理前画像データとに基づいて参照データを生成してデータ圧縮手段13に出力して圧縮させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理技術に関し、特に類似した画像データが繰り返し入力されるシステムにおける画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の急速な半導体技術の発展や画像データの高精細化に伴って、デバイスやシステムが処理すべき画像データ量は爆発的に増加の一途をたどっている。また、液晶パネル等の表示手段における表示品質の向上や、高付加価値化を目的とした画像処理の要請、更には3D−TVの登場等により、画像データに対して膨大な処理を行うことが要求されている。
【0003】
画像データに対する演算処理(補正処理等)を行う際、多くの場合は処理途中の画像データや当該画像データから算出されたデータ等を一時的にメモリに保持する必要がある。しかしながら、先述したように画像データの高精細化に伴い、取り扱うデータは非常に膨大な量となる。このため、これらデータを生データのままメモリに保持するためには、大容量のメモリを必要とする。しかし、このような大容量メモリは高価格であるため、製造コストの高騰を招いてしまう。
【0004】
デバイスやシステムの製造コストを抑制するためには、大容量メモリを実装しなくても処理が可能となるよう、保持すべきデータ量を削減することが考えられる。このための手段として、保持すべきデータを一旦圧縮することによりデータ量を削減しておき、この削減したデータを保持する構成とする。これにより、必要なメモリの容量を減らすことができる。この手法は一般的に用いられているものである。
【0005】
過去に求められた処理データを一時的にメモリに格納しておき、このメモリからその処理データを読み出して、対象となる画素データに対する処理を実行する方法は、色々な場面で用いられる。例えば、下記特許文献1には、液晶表示装置の応答特性を改善するために、直前の画素データからの変化に応じて画素電極に印加する電圧値を決定する方法が開示されている。これは、印加電圧に対して透過率が変化する際の応答速度や液晶の誘電率変化に対する充電特性が悪く、画像信号の早い変化に対して十分に応答することが難しいという液晶特有の問題点を解決するためになされたものである。
【0006】
また、下記特許文献2には、立体(3D)映像を表示する表示装置に関する技術が開示されている。3D表示システムには、左目用画像と右目用画像をそれぞれ交互に表示させることで3D表示を実現する形式がある。ここで、最初の連続2フレームにわたって、左目用画像を出力した後、次の連続2フレームにわたって右目用画像を出力する構成とした場合、連続する2フレーム毎に近似した画像データが入力される。このとき、2フレームを1組とした場合に、最初のフレームで入力された画像データを一時的に格納しておき、この格納された画像に基づいて次のフレームの画像データを出力することが行われる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−116743号公報
【特許文献2】特開2009−232249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、既に得られた過去の処理データを用いて画像処理を行う場合、一時的にメモリ内にデータを保管する必要がある。そして、メモリの容量を小さくすべく、処理済データに対して圧縮処理を行った圧縮データをメモリに格納し、この圧縮データをメモリから読み出して伸張処理を施して、画像処理に用いる。
【0009】
図12は、前述の処理フローを行う画像処理装置の構成を示す概念的ブロック図である。図12に示す従来の画像処理装置50は、出力画像データ生成手段11,データ圧縮手段13,データ伸張手段15,メモリ17,参照データ生成手段60,処理前画像データ入力端子21,及び処理済画像データ出力端子23を備える。
【0010】
処理前画像データ入力端子21には、処理対象となる画像データ(以下、「処理前画像データ」という)が順次入力される。例えば、水平方向X画素×垂直方向Y画素で構成される処理前画像データが毎フレームに入力される構成が考えられる。
【0011】
処理前画像データ入力端子21に入力された処理前画像データは、出力画像データ生成手段11と参照データ生成手段60に送られる。この時点において、メモリ17には、直前のフレームにおいて生成された参照データがデータ圧縮手段13によって圧縮された圧縮データ(以下、「圧縮参照データ」という)が格納されている。
【0012】
データ伸張手段15は、このメモリ17に格納されていた前フレームの圧縮参照データに伸張処理を施して復元データ(以下、「復元参照データ」という)を生成し、これを出力画像データ生成手段11及び参照データ生成手段60に与える。
【0013】
出力画像データ生成手段11は、対象フレームの入力画像データとデータ伸張手段15より与えられる直前フレームの復元参照データに基づいて、対象フレームの処理済出力画像データを生成し、これを処理済画像データ出力端子23から出力する。
【0014】
参照データ生成手段60は、対象フレームの入力画像データとデータ伸張手段15より与えられる直前フレームの復元参照データに基づいて対象フレームの参照データを生成する。この参照データは、データ圧縮手段13によって圧縮され、メモリ17に次のフレームまで格納される。
【0015】
図13は、この一連の処理を、時系列で模式的に示した概念図である。なお、図13では、データ圧縮手段13によって圧縮処理が施されたデータに基づいて生成されたデータの流れを太線で示している。フレーム0,1,2,3,4はこの順に時系列に並べられたフレームである。
【0016】
フレーム0において、参照データ生成手段60は当該フレーム0の参照データR0を生成する。この参照データR0は、データ圧縮手段13によって圧縮されて圧縮参照データr0となり、これがメモリ17に格納される。
【0017】
フレーム1の開始時点において、メモリ17には圧縮参照データr0が格納されている。データ伸張手段15は、メモリ17より圧縮参照データr0を読み出して伸張処理を施して復元参照データR0’を生成し、これを参照データ生成手段60に出力する。参照データ生成手段60は、復元参照データR0’と処理前画像データ入力端子21から入力される処理前画像データA1とに基づいて、当該フレーム1の参照データR1を生成する。
【0018】
参照データ生成手段60によって生成された参照データR1は、出力画像データ生成手段11とデータ圧縮手段13に出力される。データ圧縮手段13は、参照データR1に圧縮処理を施して圧縮参照データr1を生成し、これをメモリ17に格納する。出力画像データ生成手段11は、処理前画像データA1と参照データR1とに基づいて当該フレーム1の処理済画像データB1を生成し、処理済画像データ出力端子23から出力する。
【0019】
フレーム2以後の各フレームjにおいても、フレーム1と同様の処理が行われる。すなわち、データ伸張手段15が、直前のフレームi(i=j−1とする)で生成された圧縮参照データriをメモリ17から読み出し、このデータに伸張処理を施して復元参照データRi’を生成する。そして、処理前画像データAjと復元参照データRi’に基づいて参照データ生成手段60が、フレームjにおける参照データRjを生成する。そして、出力画像データ生成手段11が、この参照データはRjと処理前画像データAjに基づいて処理済画像データBjを生成する。また、参照データRjは、データ圧縮手段13によって圧縮されて圧縮参照データrjとなり、メモリ17に格納される。この圧縮参照データrjは、次のフレームk(k=j+1)において読み出される。
【0020】
このような処理が行われる場合、メモリ17には常にデータ圧縮手段13によって圧縮処理が施されたデータが格納されるため、メモリ17として大容量メモリが要求されることはない。
【0021】
しかしながら、この処理フローによれば、参照データ生成手段60は、毎フレームjにおいて、直前のフレームiで生成された参照データRiに対して圧縮処理が施された圧縮参照データriを伸張処理した復元参照データRi’に基づいて、当該フレームjの参照データRjを生成する。復元参照データRi’は、参照データRiに対して圧縮/伸張処理が施されたデータであるため、フレームiで生成された参照データRiと比較した場合に、圧縮誤差ηiを内包する。
【0022】
そして、この圧縮誤差ηiを内包する復元参照データRi’に基づいて生成されたフレームjの参照データRjにも当然に圧縮誤差ηiが反映される。更に、この参照データRjは、データ圧縮手段13において圧縮処理が施されて圧縮参照データrjとしてメモリ17に格納され、次のフレームkで参照データRkを生成する際には、この圧縮参照データrjに伸張処理が施された復元参照データRj’が用いられる。つまり、次のフレームkで生成された参照データRkには、フレームiで生じた圧縮誤差ηiに加え、フレームjで生じた圧縮誤差ηjが内包されることとなる。
【0023】
つまり、この画像処理方法によれば、フレームが後段になるほど、生成される参照データには過去の圧縮誤差が累積されることとなる。この結果、大きな圧縮誤差を内包した参照データに基づいて生成される処理済画像データにも大きな誤差が生じることとなってしまう。このことは、処理済画像データ出力端子23から出力される処理済画像データに基づいて表示装置が表示を行った場合に、画質に大きな劣化が生じてしまい、所望の画像が得られないという問題を引き起こす。
【0024】
本発明は、上記の問題点に鑑み、メモリの小容量化と圧縮誤差の低下の両立を可能にする画像処理装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、以下の点を備えたことを特徴とする。
【0026】
すなわち、フレーム毎に処理前画像データが入力され、これに所定の出力用処理が施されて処理済画像データをフレーム毎に出力する画像処理装置であって、
対象フレームに入力された前記処理前画像データに対応する参照データを、2以上の連続したフレームで構成される1タームに1回の頻度で生成すると共に、直前のフレームに入力された前記処理前画像データに対応する前記参照データに近似する特定参照データを、フレーム毎に出力する参照データ生成手段と、
前記1タームに1回の頻度で前記参照データに圧縮処理を施して圧縮参照データを生成するデータ圧縮手段と、
前記圧縮参照データを格納するメモリと、
フレーム毎に、前記メモリに格納された前記圧縮参照データに伸張処理を施して復元参照データを生成するデータ伸張手段と、
前記特定参照データ及び前記処理前画像データに基づいて前記処理済画像データを生成する出力画像データ生成手段と、を備え、
前記処理前画像データは、少なくとも前記タームを構成する連続フレーム数にわたって相互に類似するデータであり、
前記参照データ生成手段は、前記ターム毎に同一の処理を繰り返し実行する構成であって、
前記対象フレームが前記ターム内の先頭フレームである場合、当該対象フレームにおいて前記メモリに格納されていた前記圧縮参照データに基づいて前記データ伸張手段が生成した前記復元参照データを前記特定参照データとして前記出力画像データ生成手段に出力し、
前記対象フレームが前記ターム内の2番目以後のフレームである場合、当該対象フレームにおいて前記メモリに格納されていた前記圧縮参照データに基づいて前記データ伸張手段が生成した前記復元参照データと当該対象フレームの前記処理前画像データとに基づいて前記特定参照データを模擬する模擬特定参照データを生成し、この前記模擬特定参照データを前記特定参照データとして前記出力画像データ生成手段に出力し、更に前記対象フレームが前記ターム内の最終フレームである場合には、上記動作に加えて前記特定参照データと当該対象フレームの前記処理前画像データとに基づいて前記参照データを生成して前記データ圧縮手段に出力し、前記データ圧縮手段において当該参照データを圧縮させることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、2以上の整数Nを用いるとNフレームに1回の圧縮処理によって直前のフレームに対応する参照データを特定参照データとして再現することができる。このため、この特定参照データと対象フレームで入力された処理前画像データに基づいて出力用処理が可能となる。
【0028】
メモリ内には直前のタームの最終フレームで生成された圧縮参照データが格納されている。対象フレームがターム内の先頭フレームである場合、この直前のタームの最終フレームとは、まさに対象フレームの直前フレームに当たる。従って、この場合には圧縮参照データを伸張した復元参照データをもって、対象フレームの直前フレームに入力された前記処理前画像データに対応する参照データに近似する特定参照データと決定することが可能である。
【0029】
一方、対象フレームがターム内の2番目以後のフレームである場合、メモリ内に保管されている圧縮参照データは対象フレームの直前フレームで生成されたものではない。ここで、連続するフレーム間においては、入力される処理前画像データ同士は互いに近似していることを利用する。例えば、動画データや3D映像データを想定すればこの点は理解できる。
【0030】
すると、対象フレームで入力された処理前画像データは、同一ターム内の最初のフレームで入力された処理前画像データと模擬することができる。つまり、このとき、参照データ生成手段は、この模擬された処理前画像データと圧縮参照データを伸張した復元参照データとを用いて、同一ターム内の最初のフレームに対応した参照データを模擬することができる。
【0031】
対象フレームがターム内の3番目以後についても同様である。対象フレームで入力された処理前画像データは、同一ターム内の最初のフレームで入力された処理前画像データとも、2番目のフレームで入力された処理前画像データとも模擬することができる。よって、上の方法で最初のフレームに対応した参照データの模擬データを生成すると、この参照データの模擬データと、処理前画像データの模擬データに基づいて、次のフレームに対応した参照データの模擬データを生成することができる。このような動作を繰り返すことで、対象フレームの直前のフレームに対応した参照データの模擬データ、すなわち「模擬特定参照データ」を生成することができる。この模擬特定参照データは、対象フレームの処理前画像データと共に、当該対象フレームの出力用処理に利用することができる。
【0032】
つまり、本発明の構成によれば、従来と比較して圧縮頻度を低下させることができるため、圧縮/伸張処理を行うことに伴う圧縮誤差の累積量を減らすことが可能となる。一方、メモリ内においては、Nフレームに1回行われる圧縮処理によって圧縮されたデータが格納できれば良いため、1フレーム分の生データを格納するための大容量メモリが必要となるわけではない。
【0033】
よって、本発明の構成によれば、メモリの小容量化と圧縮誤差の低下の両立が可能となる。
【0034】
また、本発明の画像処理装置は、上記の特徴に加えて、下記の点を備えることを別の特徴とする。
【0035】
すなわち、前記対象フレームが前記ターム内のa番目(aは2以上の整数)のフレームであるとした場合において、前記参照データ生成手段は、
a=2の場合、当該対象フレームで前記データ伸張手段が生成した前記復元参照データと当該対象フレームの前記処理前画像データとを用いて第1の演算処理を行い、これによって得られたデータを前記模擬特定参照データとし、
a≧3の場合、前記第1の演算処理を実行後、演算結果を前記参照データ生成手段に再入力してこれと前記当該対象フレームの前記処理前画像データとに基づいて第2の演算処理を行う構成であって、前記第2の演算処理で得られたデータを前記演算結果として前記参照データ生成手段に再入力して前記第2の演算処理を(a−2)回繰り返し実行することで得られたデータをもって前記模擬特定参照データとすることを特徴とする。
【0036】
なお、前記1タームを構成する連続フレーム数に関する情報である圧縮頻度設定情報を外部より入力可能に構成されており、
前記参照データ生成手段は、前記圧縮頻度設定情報によって表わされるフレーム数で規定される前記ターム毎に所定の動作を繰り返し実行する構成としても良い。
【発明の効果】
【0037】
本発明の構成によれば、圧縮頻度を低下させつつ、メモリには常に圧縮後のデータが格納されるため、メモリの小容量化と圧縮誤差の低下の両立が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の画像処理装置の概念的ブロック図
【図2】参照データ生成手段の概念的ブロック図
【図3】実施例1における画像処理装置の処理内容を時系列に示した概念的ブロック図(その1)
【図4】実施例1における画像処理装置の処理内容を時系列に示した概念的ブロック図(その2)
【図5】実施例1における画像処理装置の処理内容を時系列に示した概念的ブロック図(その3)
【図6】実施例2における画像処理装置の処理内容を時系列に示した概念的ブロック図(その1)
【図7】実施例2における画像処理装置の処理内容を時系列に示した概念的ブロック図(その2)
【図8】実施例2における画像処理装置の処理内容を時系列に示した概念的ブロック図(その3)
【図9】実施例2における画像処理装置の処理内容を時系列に示した概念的ブロック図(その4)
【図10】実施例2における画像処理装置の処理内容を時系列に示した概念的ブロック図(その5)
【図11】本発明の画像処理装置の別の概念的ブロック図
【図12】従来の画像処理装置の概念的ブロック図
【図13】従来の画像処理装置が実行する処理内容を時系列に示した概念的ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明に係る画像処理装置の概念的ブロック図である。なお、図12と同一の構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明を割愛する。
【0040】
本発明の画像処理装置1は、図12の画像処理装置50と同様に、出力画像データ生成手段11,データ圧縮手段13,データ伸張手段15,メモリ17,処理前画像データ入力端子21,及び処理済画像データ出力端子23を備える。そして、参照データ生成手段60に代えて参照データ生成手段5を備える点が画像処理装置50とは異なる。
【0041】
また、図12の画像処理装置50においては、データ伸張手段15から出力されるデータが出力画像データ生成手段11に送られる構成であった。これに対し、本発明の画像処理装置1においては、参照データ生成手段5の出力が出力画像データ生成手段11に送られる構成である。
【0042】
なお、出力画像データ生成手段11,データ圧縮手段13,データ伸張手段15,及び参照データ生成手段5は、入力されるデータに対してハードウェアを(必要に応じてソフトウェアも)用いて所定の演算処理を実行する機能的手段である。
【0043】
画像処理装置1が備える参照データ生成手段5の詳細について、図2を参照して説明する。図2は、参照データ生成手段5の概念的構成を示すブロック図である。
【0044】
図2に示すように、参照データ生成手段5は、処理前画像データ入力端子21から与えられる処理前画像データ、及びデータ伸張手段15から与えられる復元参照データに基づいて、実際に演算処理を行って参照データを生成する参照データ生成用演算部32と、この参照データ生成用演算部32に対して演算制御を行う制御部31とを有して構成される。なお、詳細は後述するが、参照データ生成用演算部32は、必要に応じて出力データを再び入力させて参照データの生成に利用する。
【0045】
本発明の画像処理装置1は、毎フレームにわたって参照データがデータ圧縮手段13において圧縮されるのではなく、数フレームに1回毎に参照データがデータ圧縮手段13で圧縮される点が図12の画像処理装置50とは大きく異なる点である。そして、このような構成としても、出力画像データ生成手段11から出力される処理済画像データに所望の処理済画像データからの誤差が微小な範囲に留まらせることのできるよう、参照データ生成手段5に特徴を有している。
【0046】
以下、画像処理装置1の処理内容の詳細について、実施例を用いて説明する。
【0047】
(実施例1)
まず、画像処理装置1が、2フレームに1回毎に参照データをデータ圧縮手段13において圧縮する構成である場合について説明する。図3,図4,図5は、本実施例における画像処理装置1の一連の処理を、時系列で模式的に示した概念図である。紙面の都合上3図面に分けて図示している。
【0048】
なお、本実施例では、2フレームに1回毎に参照データがデータ圧縮手段13において圧縮される態様であるため、この2フレームを1単位とした「ターム」という概念を用いて説明する。あるタームNにおいては、フレームN−1とフレームN−2の2つのフレームで構成される。
【0049】
更に、本実施例では、処理前画像データ入力端子21から入力される処理前画像データは、連続する2フレーム間、特に同一ターム内における連続2フレーム間における差異が小さいものとする。通常の動画データの場合、任意の画素Xにおけるあるフレームでの画素データは、同じ画素Xにおける次のフレームでの画素データに近似するため、このような動画データは、連続する2フレーム間での処理前画像データの差異が小さい例に当てはまる。更には、2枚の左目用画像と2枚の右目用画像が夫々交互に繰り返し入力される3D画像データの場合についても、連続する2フレームで構成される1ターム間においては、2枚の右目用画像に関するデータか、2枚の左目用画像に関するデータが入力されるため、連続する2フレーム間での処理前画像データの差異が小さい例に当てはまる。
【0050】
図3に示すターム0は、図4に示すターム1(より正確にはフレーム1−1)の開始時点においてメモリ17に保管されているデータがどのようなデータであるかを説明するために図示されたものである。ターム0の各フレームの動作内容の詳細については、ターム1及び2の説明によって明らかとなる。
【0051】
ターム0の後半のフレーム0−2において、参照データ生成用演算部32では、参照データR02が生成される。この参照データR02は、データ圧縮手段13において圧縮参照データr02に圧縮され、メモリ17に格納される。
【0052】
図4を参照して、ターム1の各フレーム(フレーム1−1,1−2)における動作説明を行う。前記の通り、このターム1の開始時点において、メモリ17にはターム0のフレーム0−2で生成された圧縮参照データr02が格納されている。
【0053】
フレーム1−1では、まず、データ伸張手段15が、メモリ17に格納されていた圧縮参照データr02に対して伸張処理を行い、復元参照データR02’を生成する。参照データ生成用演算部32は、この復元参照データR02’をそのまま出力画像データ生成手段11に送出する。出力画像データ生成手段11は、処理前画像データ入力端子21から与えられる本フレーム1−1の処理前画像データA11と復元参照データR02’に基づいて処理済画像データB11を生成し、処理済画像データ出力端子23より出力する。
【0054】
つまり、フレーム1−1では、参照データ生成用演算部32からデータ圧縮手段15に対して参照データが送られることはなく、データ圧縮手段15はこのフレーム期間内において圧縮処理を行わない。従って、メモリ17に格納されているデータは更新されず、メモリ17には引き続き圧縮参照データr02が格納されている。
【0055】
次のフレーム1−2では、フレーム1−1と同様に、データ伸張手段15がメモリ17からデータを読み出して伸張処理を行う。前記の通り、直前のフレーム1−1ではメモリ17に格納されているデータは更新されていないため、フレーム1−1と同様にメモリ17から圧縮参照データr02が読み出され、データ伸張手段15において復元参照データR02’が生成される。この復元参照データR02’は、参照データ生成用演算部32に送られる。
【0056】
参照データ生成用演算部32は、フレーム1−1の場合とは異なり、処理前画像データ入力端子21から与えられる本フレーム1−2の処理前画像データA12、及び復元参照データR02’に基づいて参照データを生成する。図4では、このときに生成される参照データを「R11s」と表記している。
【0057】
上述したように、フレーム1−1において入力される処理前画像データA11とその直後のフレーム1−2において入力される処理前画像データA12とはほぼ同一のデータである。従って、処理前画像データA12を処理前画像データA11と模擬すれば、この模擬された処理前画像データA11(図面では、実際にフレーム1−1で入力された処理前画像データA11と区別するために「A11s」と表記している)と復元参照データR02’を用いることで、本来フレーム1−1において生成されるはずであった参照データR11を模擬することができる。図面では、模擬された参照データという意味を示すため、添え字のsを用いて「R11s」と表記している。以下では、このように模擬された参照データのことを「模擬参照データ」と呼ぶ。また、同様に、模擬された処理前画像データのことを「模擬処理前画像データ」と呼ぶ。
【0058】
フレーム1−1では、参照データR11を生成する処理を行っていない。なぜなら、もしこのフレームで参照データR11を生成した場合、次のフレーム1−2までの間、この参照データR11をメモリ17内に格納する必要があり、そのためにはデータ圧縮手段13における圧縮処理が必要となるためである。本実施例では、2フレームに1回の割合でデータ圧縮手段13による圧縮処理が行われる構成である。つまり、本実施例では、フレーム1−1においてデータ圧縮処理を行わなくても良いように、意図的にフレーム1−1で参照データR11を生成していない。
【0059】
しかし、フレーム1−1で参照データR11を生成していないといっても、次のフレーム1−2において出力画像データB12を生成するに際して参照データが不要となるわけではない。そこで、フレーム1−2では、処理前画像データA12が処理前画像データA11に近似している性質を利用し、このデータA12をA11とみなして(模擬処理前画像データA11s)、まずフレーム1−1における参照データR11に相当する模擬参照データR11sを生成している。
【0060】
すなわち、あるフレームjにおける参照データRjを生成するためには、その直前のフレームi(i=j−1)において生成された参照データRiと、当該フレームjで入力された処理前画像データAjが必要となる。しかし、参照データRiそのものを1フレームにわたって保管するためには大容量メモリが必要となるため、実際には参照データRiが圧縮された圧縮参照データriをメモリから読み出し、これに伸張処理が施された復元参照データRi’を参照データRiの代わりに用いることは上述した通りである。
【0061】
つまり、実際に参照データRjを生成するためには、復元参照データRi’と処理前画像データAjが必要であることが分かる。
【0062】
再び図4を参照すると、フレーム1−2の開始時点において、メモリ17には圧縮参照データr02が格納され、処理前画像データ入力端子21からは処理前画像データA12が入力される。フレーム1−1を基準とした場合、圧縮参照データr02は、直前のフレームで生成された参照データが圧縮されてなる圧縮参照データであり、処理前画像データA12は、データが近似していることから当該フレーム1−1で入力された処理前画像データA11とみなすことができる。従って、フレーム1−2において、圧縮参照データr02を伸張してなる復元参照データR02’と処理前画像データA12(模擬処理前画像データA11s)とに基づいて参照データ生成用演算部32が生成したデータは、フレーム1−1において生成されるはずであった参照データR11と模擬できる(模擬参照データR11s)。
【0063】
よって、出力画像データ生成手段11は、この模擬参照データR11sと処理前画像データA12に基づいて本フレーム1−2における処理済画像データB12を生成することが可能となる。
【0064】
また、上述したように、本実施例では、2フレームに1回、圧縮処理を行うことが許される。フレーム1−1では圧縮処理が行われていないため、フレーム1−2において圧縮処理が行われる。よって、本フレーム1−2では、当該フレーム1−2の参照データR12を生成することが可能となる。
【0065】
参照データR12を生成するためには、当該フレーム1−2の処理前画像データA12と、直前のフレーム1−1における参照データR11が必要となる。本フレーム1−2では、既に参照データ生成用演算部32において、模擬参照データR11sが生成されているため、このデータを用いることができる。つまり、参照データ生成用演算部32は、本フレーム1−2において既に生成した模擬参照データR11sを再度参照データ生成用演算部32に入力させ、このデータと処理前画像データA12に基づいて、参照データR12を生成する。図2において、参照データ生成用演算部32の出力と入力を接続しているのは、この参照データ生成用演算部32で生成されたデータが再び参照データ生成用演算部32に入力されることを模式的に示したものである。
【0066】
このようにして生成された参照データR12は、データ圧縮手段13において圧縮参照データr12に圧縮され、メモリ17に格納される。これにより、ターム1が完了する。
【0067】
ターム1に引き続きターム2が開始される。ターム2以後の各フレームでは、ターム1のフレーム1−1及び1−2と同様の処理が行われる。ターム2について、図5を参照して簡単に説明する。
【0068】
ターム2の最初のフレーム2−1では、参照データ生成用演算部32が、直前のフレーム1−2で格納された圧縮参照データr12に基づく復元参照データR12’をそのまま出力画像データ生成手段11に送出する。出力画像データ生成手段11は、この復元参照データR12’と、本フレーム2−1で入力される処理前画像データA21とに基づいて処理済画像データB21を出力する。
【0069】
次のフレーム2−2では、まず、参照データ生成用演算部32が、本フレーム2−2で入力された処理前画像データA22(これが模擬処理前画像データA21sとなる)と復元参照データR12’とに基づいて、直前のフレーム2−1の参照データを模擬した模擬参照データR21sを生成する。出力画像データ生成手段11は、この模擬参照データR21sと処理前画像データA22に基づいて処理済画像データB22を生成して出力する。参照データ生成用演算部32は、直前に生成した模擬参照データR21sを再入力し、これと処理前画像データA22に基づいて、本フレーム2−2の参照データR22を生成する。この参照データR22は、データ圧縮手段13において圧縮参照データr22に圧縮され、メモリ17に格納される。
【0070】
本実施例では、圧縮処理を2フレームに1回に減らすことができるため、図13に示した従来の処理フローと比較して、圧縮誤差による処理済画像データの劣化程度を抑制することができる。
【0071】
(実施例2)
次に、画像処理装置1が、4フレームに1回毎に参照データをデータ圧縮手段13において圧縮する構成である場合について説明する。実施例1にならって、繰り返しの単位を「ターム」と呼ぶ。本実施例では、1タームが4フレームで構成される。図6,図7,図8,図9,図10は、本実施例における画像処理装置1の一連の処理を、時系列で模式的に示した概念図である。紙面の都合上5図面に分けて図示している。
【0072】
なお、本実施例では、4フレームに1回毎に参照データがデータ圧縮手段13において圧縮される。実施例1と同様、「ターム」という概念を用いれば、4フレームを1単位として「ターム」が構成される。すなわち、あるタームNにおいては、フレームN−1,N−2,N−3,N−4の4つのフレームで構成される。
【0073】
また、本実施例では、処理前画像データ入力端子21から入力される処理前画像データは、同一ターム内における連続4フレーム間における差異が小さいものとする。このような処理前画像データの一例としては、3D動画データ等が考えられる。
【0074】
図6に示すターム0は、図7及び図8に示すターム1(より正確にはフレーム1−1)の開始時点においてメモリ17に保管されているデータがどのようなデータであるかを説明するために図示されたものである。ターム0の各フレームの動作内容の詳細については、ターム1及び2の説明によって明らかとなる。
【0075】
ターム0の最後のフレーム0−4において、参照データ生成用演算部32では、参照データR04が生成される。この参照データR04は、データ圧縮手段13において圧縮参照データr04に圧縮され、メモリ17に格納される。
【0076】
図7及び図8を参照して、ターム1の各フレーム(フレーム1−1,1−2,1−3,1−4)における動作説明を行う。前記の通り、このターム1の開始時点において、メモリ17には圧縮参照データr04が格納されている。
【0077】
フレーム1−1では、データ伸張手段15が、メモリ17に格納されていた圧縮参照データr04に対して伸張処理を行い、復元参照データR04’を生成する。そして、実施例1と同様に、参照データ生成用演算部32は、この復元参照データR04’をそのまま出力画像データ生成手段11に送出する。出力画像データ生成手段11は、処理前画像データ入力端子21から与えられる本フレーム1−1の処理前画像データA11と復元参照データR04’に基づいて処理済画像データB11を生成し、処理済画像データ出力端子23より出力する。
【0078】
なお、本実施例では1タームが4のフレームで構成されているため、1タームには、対象フレーム、対象フレームの直前フレーム以外のフレームが存在する。以下では、同一ターム内における対象フレームの直前フレームと、それよりも前のフレームとを区別して記載する必要がある場合には、データ名に「特定」という表現を付加するものとする。つまり、対象フレームの直前フレームに対応する参照データのことを特に「特定参照データ」と呼び、この特定参照データが模擬されたデータのことを特に「模擬特定参照データ」と呼ぶものとする。
【0079】
フレーム1−1の場合、直前のターム0の最終フレーム0−4が、そのまま直前フレームに対応する。このため、フレーム0−4において生成された圧縮参照データr04を伸張した復元参照データR04’をもって、「特定参照データ」とすることができる。
【0080】
次のフレーム1−2では、フレーム1−1と同様に、データ伸張手段15がメモリ17からデータを読み出して伸張処理を行う。直前のフレーム1−1ではメモリ17に格納されているデータは更新されていないため、フレーム1−1と同様に、メモリ17から圧縮参照データr04が読み出され、データ伸張手段15において復元参照データR04’が生成される。この復元参照データR04’は、参照データ生成用演算部32に送られる。
【0081】
参照データ生成用演算部32は、処理前画像データ入力端子21から与えられる本フレーム1−2の処理前画像データA12を、直前のフレーム1−1の処理前画像データA11と模擬し(模擬処理前画像データA11s)、このデータと復元参照データR04’に基づいて参照データを生成する。実施例1で上述したように、この参照データは、直前のフレーム1−1で生成されるはずであった参照データR11を模擬するものである(模擬参照データR11s、これは模擬特定参照データでもある)。そして、出力画像データ生成手段11は、この模擬参照データR11sと処理前画像データA12に基づいて本フレーム1−2における処理済画像データB12を生成し、処理済画像データ出力端子23より出力する。
【0082】
図8に移り、次のフレーム1−3では、まずフレーム1−1と同様に、データ伸張手段15がメモリ17からデータを読み出して伸張処理を行う。直前のフレーム1−2ではメモリ17に格納されているデータは更新されていないため、フレーム1−2と同様に、メモリ17から圧縮参照データr04が読み出され、データ伸張手段15において復元参照データR04’が生成される。この復元参照データR04’は、参照データ生成用演算部32に送られる。
【0083】
参照データ生成用演算部32は、処理前画像データ入力端子21から与えられる本フレーム1−3の処理前画像データA13を、2つ前のフレーム1−1の処理前画像データA11と模擬し(模擬処理前画像データA11s)、このデータと復元参照データR04’に基づいて、参照データを生成する。フレーム1−2と同様の理由により、この参照データは、フレーム1−1で生成されるはずであった参照データR11を模擬するものである(模擬参照データR11s)。しかし、フレーム1−1は対象フレーム1−3から見て直前のフレームではないため、模擬参照データR11sは模擬特定参照データではない。よって、模擬特定参照データを生成すべく、この模擬参照データR11sを再度参照データ生成用演算部32に再入力して演算処理を実行する。
【0084】
すなわち、参照データ生成用演算部32は、本フレーム1−3の処理前画像データA13を直前のフレーム1−2の処理前画像データA12と模擬し(模擬処理前画像データA12s)、生成した模擬参照データR11sを再入力して参照データを再び生成する。この参照データは、フレーム1−2で生成されるはずであった参照データR12を模擬するものである(模擬参照データR12s)。この模擬参照データR12sは対象フレーム1−3から見て直前のフレーム1−2に対応するため、模擬特定参照データである。よって参照データ生成用演算部32は、このデータを出力画像データ生成手段11に出力する。
【0085】
出力画像データ生成手段11は、この模擬参照データR12s(模擬特定参照データでもある)と処理前画像データA13に基づいて本フレーム1−3における処理済画像データB13を生成し、処理済画像データ出力端子23より出力する。
【0086】
次のフレーム1−4では、まずフレーム1−1と同様に、データ伸張手段15が、メモリ17からデータを読み出して伸張処理を行う。直前のフレーム1−3ではメモリ17に格納されているデータは更新されていないため、フレーム1−3と同様に、メモリ17から圧縮参照データr04が読み出され、データ伸張手段15において復元参照データR04’が生成される。この復元参照データR04’は、参照データ生成用演算部32に送られる。
【0087】
参照データ生成用演算部32は、処理前画像データ入力端子21から与えられる本フレーム1−4の処理前画像データA14を、3つ前のフレーム1−1の処理前画像データA11と模擬し(模擬処理前画像データA11s)、このデータと復元参照データR04’に基づいて、参照データを生成する。フレーム1−3と同様の理由により、この参照データは、フレーム1−1で生成されるはずであった参照データR11を模擬するものである(模擬参照データR11s)。しかし、フレーム1−1は対象フレーム1−4から見て直前のフレームではないため、模擬参照データR11sは模擬特定参照データではない。よって、模擬特定参照データを生成すべく、この模擬参照データR11sを再度参照データ生成用演算部32に再入力して演算処理を実行する。
【0088】
更に、参照データ生成用演算部32は、本フレーム1−4の処理前画像データA14を2つ前のフレーム1−2の処理前画像データA12と模擬し(模擬処理前画像データA12s)、生成した模擬参照データR11sを再入力して参照データを再び生成する。フレーム1−3と同様の理由により、この参照データは、フレーム1−2で生成されるはずであった参照データR12を模擬するものである(模擬参照データR12s)。しかし、フレーム1−2もまた対象フレーム1−4から見て直前のフレームではないため、模擬参照データR12sは模擬特定参照データではない。よって、模擬特定参照データを生成すべく、この模擬参照データR12sを再度参照データ生成用演算部32に再入力して演算処理を実行する。
【0089】
更に、参照データ生成用演算部32は、本フレーム1−4の処理前画像データA14を直前のフレーム1−3の処理前画像データA13と模擬し(模擬処理前画像データA13s)、生成した模擬参照データR12sを再入力して参照データを再び生成する。この参照データは、フレーム1−3で生成されるはずであった参照データR13を模擬するものである(模擬参照データR13s)。この模擬参照データR13sは対象フレーム1−4から見て直前のフレーム1−3に対応するため、模擬特定参照データである。よって参照データ生成用演算部32は、このデータを出力画像データ生成手段11に出力する。
【0090】
出力画像データ生成手段11は、この模擬参照データR13s(模擬特定参照データでもある)と処理前画像データA14に基づいて本フレーム1−4における処理済画像データB14を生成し、処理済画像データ出力端子23より出力する。
【0091】
また、上述したように、本実施例では、4フレームに1回、圧縮処理を行うことが許される。フレーム1−1,1−2,1−3では圧縮処理が行われていないため、フレーム1−4において圧縮処理が行われる。よって、本フレーム1−4では、当該フレーム1−4の参照データR14を生成することが可能となる。
【0092】
参照データR14を生成するためには、当該フレーム1−4の処理前画像データA14と、直前のフレーム1−3における参照データR13(特定参照データ)が必要となる。本フレーム1−4では、既に参照データ生成用演算部32において、模擬参照データR13s(模擬特定参照データ)が生成されているため、このデータを用いることができる。よって、参照データ生成用演算部32は、本フレーム1−2において既に生成した模擬参照データR13sを再度参照データ生成用演算部32に入力させ、このデータと処理前画像データA14に基づいて参照データR14を生成する。
【0093】
そして、このようにして生成された参照データR14は、データ圧縮手段13において圧縮参照データr14に圧縮され、メモリ17に格納される。これにより、ターム1が完了する。
【0094】
ターム1に引き続きターム2が開始される。ターム2以後の各フレームでは、ターム1のフレーム1−1,1−2,1−3,1−4と同様の処理が行われる。ターム2について、図9及び図10を参照して簡単に説明する。
【0095】
ターム2の最初のフレーム2−1では、参照データ生成用演算部32が、直前のフレーム1−4で格納された圧縮参照データr14に基づく復元参照データR14’をそのまま出力画像データ生成手段11に送出する。出力画像データ生成手段11は、この復元参照データR14’と、本フレーム2−1で入力される処理前画像データA21とに基づいて処理済画像データB21を出力する。
【0096】
次のフレーム2−2では、まず、参照データ生成用演算部32が、本フレーム2−2で入力された処理前画像データA22(模擬処理前画像データA21s)と復元参照データR14’とに基づいて、直前のフレーム2−1の参照データを模擬した模擬参照データR21s(模擬特定参照データ)を生成する。出力画像データ生成手段11は、この模擬参照データR21s(模擬特定参照データ)と処理前画像データA22に基づいて処理済画像データB22を生成して出力する。
【0097】
次のフレーム2−3では、まず、参照データ生成用演算部32が、本フレーム2−3で入力された処理前画像データA23(模擬処理前画像データA21s)と復元参照データR14’とに基づいて、2つ前のフレーム2−1の参照データを模擬した模擬参照データR21sを生成する。更に、参照データ生成用演算部32は、生成したこの模擬参照データR21sを再入力し、これと本フレーム2−3で入力された処理前画像データA23(模擬処理前画像データA22s)とに基づいて、直前のフレーム2−2の参照データを模擬した模擬参照データR22s(模擬特定参照データ)を生成する。出力画像データ生成手段11は、この模擬参照データR22s(模擬特定参照データ)と処理前画像データA23に基づいて処理済画像データB23を生成して出力する。
【0098】
次のフレーム2−4では、まず、参照データ生成用演算部32が、本フレーム2−4で入力された処理前画像データA24(模擬処理前画像データA21s)と復元参照データR14’とに基づいて、3つ前のフレーム2−1の参照データを模擬した模擬参照データR21sを生成する。更に、参照データ生成用演算部32は、生成したこの模擬参照データR21sを再入力し、これと本フレーム2−4で入力された処理前画像データA24(模擬処理前画像データA22s)とに基づいて、2つ前のフレーム2−2の参照データを模擬した模擬参照データR22sを生成する。更に、参照データ生成用演算部32は、生成したこの模擬参照データR22sを再入力し、これと本フレーム2−4で入力された処理前画像データA24(模擬処理前画像データA23s)とに基づいて、直前のフレーム2−3の参照データを模擬した模擬参照データR23s(模擬特定参照データ)を生成する。出力画像データ生成手段11は、この模擬参照データR23sと処理前画像データA24に基づいて処理済画像データB24を生成して出力する。
【0099】
そして、フレーム2−4においては、参照データ生成用演算部32が、直前に生成した模擬参照データR23s(模擬特定参照データ)を再入力し、これと処理前画像データA24に基づいて本フレーム2−4の参照データR24を生成する。この参照データR24は、データ圧縮手段13において圧縮参照データr24に圧縮され、メモリ17に格納される。
【0100】
本実施例では、圧縮処理を4フレームに1回に減らすことができるため、図13に示した従来の処理フローと比較して、圧縮誤差による処理済画像データの劣化程度を抑制することができる。また、実施例1よりも更に圧縮処理の回数を減らすことができるため、実施例1より高い劣化抑制効果が期待できる。
【0101】
上記実施例1及び2を踏まえれば、本発明の画像処理装置1は、2以上の整数Nを用いて、Nフレームに1回の圧縮処理によって直前のフレームで生成された参照データに基づいて出力用の処理済画像データを生成することが可能となる。以下、画像処理装置1の処理内容を一般化して説明する。
【0102】
説明に際し、タームTに属するa番目のフレームのことをフレームF_[T,a]と記号化する。また、このフレームで生成されたデータαのことをデータα[T,a]と記号化する。更に、あるデータαを模擬したデータであることを特に示す場合には、添え字のsを記号に付加する。
【0103】
この記号法を用いて具体例を説明する。ターム1に属する3番目のフレームF_[1,3]は、実施例2でいえば図8のフレーム1−3に対応する。また、このフレームで生成される処理済画像データB[1,3]は、図8にいう処理済画像データB13に対応する。更に、このフレームで入力される処理前画像データA[1,3]は、2つ前のフレームF_[1,1]で入力される処理前画像データを模擬する模擬処理前画像データA[1,1]sとして模擬参照データR[1,1]sの生成に利用され、更に、直前のフレームF_[1,2]で入力される処理前画像データを模擬する模擬処理前画像データA[1,2]sとして模擬参照データR[1,2]sの生成に利用される。
【0104】
本発明の画像処理装置1は、Nフレームに1回(N≧2の整数)の割合でデータ圧縮処理を行う。連続するNフレームを1タームと規定すると、1タームに1回の割合でデータ圧縮処理が行われることとなる。圧縮処理が行われるフレームの次のフレームで次のタームへと移行するものとする。
【0105】
最初のターム(実施例におけるターム0に相当する)を除く各タームTに属する各フレーム開始時点において、メモリ17には、直前のタームの最終フレームF_[(T−1),N]の圧縮参照データr[(T−1),N]が格納されている。
【0106】
タームTの任意のa番目(aは1以上N以下の整数)のフレームF_[T,a]では、データ伸張手段15は、メモリに格納された圧縮参照データr[(T−1),N]に基づいて、復元参照データR’[(T−1),N]を生成して参照データ生成用演算部32に出力する。
【0107】
更にa=1、すなわちタームTの最初のフレームF_[T,1]において、参照データ生成用演算部32は、復元参照データR’[(T−1),N]をそのまま出力画像データ生成手段11に出力する。出力画像データ生成手段11は、処理前画像データ入力端子21から入力される処理前画像データA[T,1]と復元参照データR’[(T−1),N]に基づいて処理済画像データB[T,1]を生成して出力する。
【0108】
a>1、すなわち、タームTの最初以外のフレームF_[T,a]において、参照データ生成用演算部32は、復元参照データR’[(T−1),N]と処理前画像データA[T,a]とに基づいて、タームTの最初のフレームF_[T,1]の模擬参照データR[T,1]sを生成する。a=2の場合(N=2の場合におけるa=Nを含む)には、出力画像データ生成手段11が、処理前画像データ入力端子21から入力される処理前画像データA[T,2]及びこの模擬参照データR[T,1]sに基づいて処理済画像データB[T,2]を生成して出力する。
【0109】
更にa>2の場合には、参照データ生成用演算部32で生成した模擬参照データを参照データ生成用演算部32に再入力し、これと処理前画像データA[T,a]とに基づいて模擬参照データを再生成するという動作を更に(a−2)回繰り返して実行することで、直前のフレームの模擬参照データ(模擬特定参照データ)R[T,(a−1)]sを生成する。そして、出力画像データ生成手段11が、処理前画像データ入力端子21から入力される処理前画像データA[T,a]及びこの直前フレームの模擬参照データ(模擬特定参照データ)R[T,(a−1)]sに基づいて処理済画像データB[T,a]を生成して出力する。
【0110】
更に、a=N、すなわちタームTの最終フレームにおいては、参照データ生成用演算部32で生成した直前フレームの模擬参照データ(模擬特定参照データ)R[T,(a−1)]sを参照データ生成用演算部32に再入力し、これと処理前画像データA[T,N]とに基づいて参照データを再生成することで、当該フレームF_[T,N]の参照データR[T,N]を生成する。そして、この参照データR[T,N]がデータ圧縮手段13によって圧縮処理され、圧縮参照データr[T,N]としてメモリ17に格納される。
【0111】
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
【0112】
〈1〉 上記実施形態では、出力画像データ生成手段11において実際に行われる演算内容の詳細については特に規定していない。本発明の画像処理装置は、対象フレームの画像データと、直前のフレームの画像データに基づくデータ(これが「参照データ」に対応する)とを用いて、必要なデータを算出する処理を行うあらゆる処理機構に応用が可能である。
【0113】
本発明の画像処理装置を利用する具体的な一態様としては、液晶表示装置の画素電極への印加電圧の決定機構が挙げられる。液晶の透過率の応答速度は、画素電極への印加電圧の変化よりも遅いため、表示画像が入力画像データの早い変化に十分応答できない場合が考えられる。
【0114】
そこで、直前のフレームでの画像データと比べて対象フレームの画像データの出力値が上方に変化している場合には、その入力される画像データよりも大きなデータを処理済画像データとして出力し、逆に、直前の画像データと比べて対象フレームの画像データの出力値が下方に変化している場合には、その入力される画像データよりも小さなデータを処理済画像データとして出力するものとする(オーバーシュート処理)。これにより、液晶表示装置の応答特性を向上させることができる。
【0115】
このようなオーバーシュート処理を、従来の図12及び図13に示す処理手順で行った場合、経時的に圧縮誤差が重畳され、この結果として画質の劣化や輝点/輝線が表示されるという症状が発生することが考えられる。本発明の画像処理装置の処理フローによれば、圧縮誤差が抑制できるため、高画質な画像表示が可能となる。
【0116】
その他としては、直前のフレームの画像データに基づく補正処理を行う場合にも本発明の画像処理装置は利用できる。
【0117】
〈2〉 図3〜図10を参照して説明した参照データ生成手段5の処理フローは、制御部31による制御信号に基づいて参照データ生成用演算部32が制御されることで実現する構成として良い。ここで、図3〜図10でも明らかとなったように、各ターム内の何番目のフレームに属しているかによって、参照データ生成手段5の実質的な動作内容が変化する構成である。このため、制御部31は、各ターム内に含まれるフレーム数を予め認識しており、更に、処理前画像データ入力端子21から与えられるデータに基づいてフレームの変わり目を認識することで、ターム内の何番目のフレームに属しているかを認識することが可能な構成であるものとして構わない。
【0118】
また、特に実施例1のように、1タームが2フレームで構成される場合には、図4のフレーム1−1で示した動作(動作1)と、フレーム1−2で示した動作(動作2)の切り替えのみが実行できれば良いため、予めこれらの動作内容を記憶しておき、フレームの変わり目を認識した時点で、動作内容を切り替える旨の信号を参照データ生成用演算部32に出力する構成とすることができる。
【0119】
なお、フレームの切れ目を認識する方法としては、1フレーム分の処理前画像データの先頭又は最後にフレームが切り替わる旨のフラグを挿入しておき、このフラグを認識した時点で制御部31がフレームの切れ目を認識するものとすることができる。また、別の方法としては、フレームが切り替わるタイミングで、外部から同期信号が制御部31に入力される構成としても良い。
【0120】
また、実施例2のように、1タームが3以上のフレームで構成される場合には、制御部31内に、フレームをカウントする機構を備えるものとすれば良い。この場合において、当該カウント機構は、タームを構成するフレーム数毎に0クリアされる構成としても構わない。例えば、実施例2のように1タームが4のフレームで構成される場合には、最低4のカウントができれば良い。
【0121】
〈3〉 最初のターム0では、直前のフレームが存在しないため、メモリには直前のフレームで生成された圧縮参照データが格納されていない。このため、最初のターム0では、予めメモリ17に所定のデータが格納されており、このデータに基づいて参照データが生成されるものとすることができる。
【0122】
〈4〉 ターム内に含まれるフレーム数Nを外部から指定できる構成としても良い。例えば、図11に示すように、画像処理装置1が圧縮頻度設定用端子25を備えており、この圧縮頻度設定用端子25からフレーム数Nに関する情報を入力可能な構成とする。この情報が、参照データ生成手段5に与えられると、参照データ生成手段5は、Nフレームに1回圧縮処理を実行する。このNの値が変化するタイミングとしては、タームが切り替わるタイミングとすることができる。
【符号の説明】
【0123】
1: 本発明の画像処理装置
5: 参照データ生成手段
11: 出力画像データ生成手段
13: データ圧縮手段
15: データ伸張手段
17: メモリ
21: 処理前画像データ入力端子
23: 処理済画像データ出力端子
25: 圧縮頻度設定用端子
31: 制御部
32: 参照データ生成用演算部
50: 従来の画像処理装置
60: 従来の画像処理装置が備える参照データ生成手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理技術に関し、特に類似した画像データが繰り返し入力されるシステムにおける画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の急速な半導体技術の発展や画像データの高精細化に伴って、デバイスやシステムが処理すべき画像データ量は爆発的に増加の一途をたどっている。また、液晶パネル等の表示手段における表示品質の向上や、高付加価値化を目的とした画像処理の要請、更には3D−TVの登場等により、画像データに対して膨大な処理を行うことが要求されている。
【0003】
画像データに対する演算処理(補正処理等)を行う際、多くの場合は処理途中の画像データや当該画像データから算出されたデータ等を一時的にメモリに保持する必要がある。しかしながら、先述したように画像データの高精細化に伴い、取り扱うデータは非常に膨大な量となる。このため、これらデータを生データのままメモリに保持するためには、大容量のメモリを必要とする。しかし、このような大容量メモリは高価格であるため、製造コストの高騰を招いてしまう。
【0004】
デバイスやシステムの製造コストを抑制するためには、大容量メモリを実装しなくても処理が可能となるよう、保持すべきデータ量を削減することが考えられる。このための手段として、保持すべきデータを一旦圧縮することによりデータ量を削減しておき、この削減したデータを保持する構成とする。これにより、必要なメモリの容量を減らすことができる。この手法は一般的に用いられているものである。
【0005】
過去に求められた処理データを一時的にメモリに格納しておき、このメモリからその処理データを読み出して、対象となる画素データに対する処理を実行する方法は、色々な場面で用いられる。例えば、下記特許文献1には、液晶表示装置の応答特性を改善するために、直前の画素データからの変化に応じて画素電極に印加する電圧値を決定する方法が開示されている。これは、印加電圧に対して透過率が変化する際の応答速度や液晶の誘電率変化に対する充電特性が悪く、画像信号の早い変化に対して十分に応答することが難しいという液晶特有の問題点を解決するためになされたものである。
【0006】
また、下記特許文献2には、立体(3D)映像を表示する表示装置に関する技術が開示されている。3D表示システムには、左目用画像と右目用画像をそれぞれ交互に表示させることで3D表示を実現する形式がある。ここで、最初の連続2フレームにわたって、左目用画像を出力した後、次の連続2フレームにわたって右目用画像を出力する構成とした場合、連続する2フレーム毎に近似した画像データが入力される。このとき、2フレームを1組とした場合に、最初のフレームで入力された画像データを一時的に格納しておき、この格納された画像に基づいて次のフレームの画像データを出力することが行われる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−116743号公報
【特許文献2】特開2009−232249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、既に得られた過去の処理データを用いて画像処理を行う場合、一時的にメモリ内にデータを保管する必要がある。そして、メモリの容量を小さくすべく、処理済データに対して圧縮処理を行った圧縮データをメモリに格納し、この圧縮データをメモリから読み出して伸張処理を施して、画像処理に用いる。
【0009】
図12は、前述の処理フローを行う画像処理装置の構成を示す概念的ブロック図である。図12に示す従来の画像処理装置50は、出力画像データ生成手段11,データ圧縮手段13,データ伸張手段15,メモリ17,参照データ生成手段60,処理前画像データ入力端子21,及び処理済画像データ出力端子23を備える。
【0010】
処理前画像データ入力端子21には、処理対象となる画像データ(以下、「処理前画像データ」という)が順次入力される。例えば、水平方向X画素×垂直方向Y画素で構成される処理前画像データが毎フレームに入力される構成が考えられる。
【0011】
処理前画像データ入力端子21に入力された処理前画像データは、出力画像データ生成手段11と参照データ生成手段60に送られる。この時点において、メモリ17には、直前のフレームにおいて生成された参照データがデータ圧縮手段13によって圧縮された圧縮データ(以下、「圧縮参照データ」という)が格納されている。
【0012】
データ伸張手段15は、このメモリ17に格納されていた前フレームの圧縮参照データに伸張処理を施して復元データ(以下、「復元参照データ」という)を生成し、これを出力画像データ生成手段11及び参照データ生成手段60に与える。
【0013】
出力画像データ生成手段11は、対象フレームの入力画像データとデータ伸張手段15より与えられる直前フレームの復元参照データに基づいて、対象フレームの処理済出力画像データを生成し、これを処理済画像データ出力端子23から出力する。
【0014】
参照データ生成手段60は、対象フレームの入力画像データとデータ伸張手段15より与えられる直前フレームの復元参照データに基づいて対象フレームの参照データを生成する。この参照データは、データ圧縮手段13によって圧縮され、メモリ17に次のフレームまで格納される。
【0015】
図13は、この一連の処理を、時系列で模式的に示した概念図である。なお、図13では、データ圧縮手段13によって圧縮処理が施されたデータに基づいて生成されたデータの流れを太線で示している。フレーム0,1,2,3,4はこの順に時系列に並べられたフレームである。
【0016】
フレーム0において、参照データ生成手段60は当該フレーム0の参照データR0を生成する。この参照データR0は、データ圧縮手段13によって圧縮されて圧縮参照データr0となり、これがメモリ17に格納される。
【0017】
フレーム1の開始時点において、メモリ17には圧縮参照データr0が格納されている。データ伸張手段15は、メモリ17より圧縮参照データr0を読み出して伸張処理を施して復元参照データR0’を生成し、これを参照データ生成手段60に出力する。参照データ生成手段60は、復元参照データR0’と処理前画像データ入力端子21から入力される処理前画像データA1とに基づいて、当該フレーム1の参照データR1を生成する。
【0018】
参照データ生成手段60によって生成された参照データR1は、出力画像データ生成手段11とデータ圧縮手段13に出力される。データ圧縮手段13は、参照データR1に圧縮処理を施して圧縮参照データr1を生成し、これをメモリ17に格納する。出力画像データ生成手段11は、処理前画像データA1と参照データR1とに基づいて当該フレーム1の処理済画像データB1を生成し、処理済画像データ出力端子23から出力する。
【0019】
フレーム2以後の各フレームjにおいても、フレーム1と同様の処理が行われる。すなわち、データ伸張手段15が、直前のフレームi(i=j−1とする)で生成された圧縮参照データriをメモリ17から読み出し、このデータに伸張処理を施して復元参照データRi’を生成する。そして、処理前画像データAjと復元参照データRi’に基づいて参照データ生成手段60が、フレームjにおける参照データRjを生成する。そして、出力画像データ生成手段11が、この参照データはRjと処理前画像データAjに基づいて処理済画像データBjを生成する。また、参照データRjは、データ圧縮手段13によって圧縮されて圧縮参照データrjとなり、メモリ17に格納される。この圧縮参照データrjは、次のフレームk(k=j+1)において読み出される。
【0020】
このような処理が行われる場合、メモリ17には常にデータ圧縮手段13によって圧縮処理が施されたデータが格納されるため、メモリ17として大容量メモリが要求されることはない。
【0021】
しかしながら、この処理フローによれば、参照データ生成手段60は、毎フレームjにおいて、直前のフレームiで生成された参照データRiに対して圧縮処理が施された圧縮参照データriを伸張処理した復元参照データRi’に基づいて、当該フレームjの参照データRjを生成する。復元参照データRi’は、参照データRiに対して圧縮/伸張処理が施されたデータであるため、フレームiで生成された参照データRiと比較した場合に、圧縮誤差ηiを内包する。
【0022】
そして、この圧縮誤差ηiを内包する復元参照データRi’に基づいて生成されたフレームjの参照データRjにも当然に圧縮誤差ηiが反映される。更に、この参照データRjは、データ圧縮手段13において圧縮処理が施されて圧縮参照データrjとしてメモリ17に格納され、次のフレームkで参照データRkを生成する際には、この圧縮参照データrjに伸張処理が施された復元参照データRj’が用いられる。つまり、次のフレームkで生成された参照データRkには、フレームiで生じた圧縮誤差ηiに加え、フレームjで生じた圧縮誤差ηjが内包されることとなる。
【0023】
つまり、この画像処理方法によれば、フレームが後段になるほど、生成される参照データには過去の圧縮誤差が累積されることとなる。この結果、大きな圧縮誤差を内包した参照データに基づいて生成される処理済画像データにも大きな誤差が生じることとなってしまう。このことは、処理済画像データ出力端子23から出力される処理済画像データに基づいて表示装置が表示を行った場合に、画質に大きな劣化が生じてしまい、所望の画像が得られないという問題を引き起こす。
【0024】
本発明は、上記の問題点に鑑み、メモリの小容量化と圧縮誤差の低下の両立を可能にする画像処理装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、以下の点を備えたことを特徴とする。
【0026】
すなわち、フレーム毎に処理前画像データが入力され、これに所定の出力用処理が施されて処理済画像データをフレーム毎に出力する画像処理装置であって、
対象フレームに入力された前記処理前画像データに対応する参照データを、2以上の連続したフレームで構成される1タームに1回の頻度で生成すると共に、直前のフレームに入力された前記処理前画像データに対応する前記参照データに近似する特定参照データを、フレーム毎に出力する参照データ生成手段と、
前記1タームに1回の頻度で前記参照データに圧縮処理を施して圧縮参照データを生成するデータ圧縮手段と、
前記圧縮参照データを格納するメモリと、
フレーム毎に、前記メモリに格納された前記圧縮参照データに伸張処理を施して復元参照データを生成するデータ伸張手段と、
前記特定参照データ及び前記処理前画像データに基づいて前記処理済画像データを生成する出力画像データ生成手段と、を備え、
前記処理前画像データは、少なくとも前記タームを構成する連続フレーム数にわたって相互に類似するデータであり、
前記参照データ生成手段は、前記ターム毎に同一の処理を繰り返し実行する構成であって、
前記対象フレームが前記ターム内の先頭フレームである場合、当該対象フレームにおいて前記メモリに格納されていた前記圧縮参照データに基づいて前記データ伸張手段が生成した前記復元参照データを前記特定参照データとして前記出力画像データ生成手段に出力し、
前記対象フレームが前記ターム内の2番目以後のフレームである場合、当該対象フレームにおいて前記メモリに格納されていた前記圧縮参照データに基づいて前記データ伸張手段が生成した前記復元参照データと当該対象フレームの前記処理前画像データとに基づいて前記特定参照データを模擬する模擬特定参照データを生成し、この前記模擬特定参照データを前記特定参照データとして前記出力画像データ生成手段に出力し、更に前記対象フレームが前記ターム内の最終フレームである場合には、上記動作に加えて前記特定参照データと当該対象フレームの前記処理前画像データとに基づいて前記参照データを生成して前記データ圧縮手段に出力し、前記データ圧縮手段において当該参照データを圧縮させることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、2以上の整数Nを用いるとNフレームに1回の圧縮処理によって直前のフレームに対応する参照データを特定参照データとして再現することができる。このため、この特定参照データと対象フレームで入力された処理前画像データに基づいて出力用処理が可能となる。
【0028】
メモリ内には直前のタームの最終フレームで生成された圧縮参照データが格納されている。対象フレームがターム内の先頭フレームである場合、この直前のタームの最終フレームとは、まさに対象フレームの直前フレームに当たる。従って、この場合には圧縮参照データを伸張した復元参照データをもって、対象フレームの直前フレームに入力された前記処理前画像データに対応する参照データに近似する特定参照データと決定することが可能である。
【0029】
一方、対象フレームがターム内の2番目以後のフレームである場合、メモリ内に保管されている圧縮参照データは対象フレームの直前フレームで生成されたものではない。ここで、連続するフレーム間においては、入力される処理前画像データ同士は互いに近似していることを利用する。例えば、動画データや3D映像データを想定すればこの点は理解できる。
【0030】
すると、対象フレームで入力された処理前画像データは、同一ターム内の最初のフレームで入力された処理前画像データと模擬することができる。つまり、このとき、参照データ生成手段は、この模擬された処理前画像データと圧縮参照データを伸張した復元参照データとを用いて、同一ターム内の最初のフレームに対応した参照データを模擬することができる。
【0031】
対象フレームがターム内の3番目以後についても同様である。対象フレームで入力された処理前画像データは、同一ターム内の最初のフレームで入力された処理前画像データとも、2番目のフレームで入力された処理前画像データとも模擬することができる。よって、上の方法で最初のフレームに対応した参照データの模擬データを生成すると、この参照データの模擬データと、処理前画像データの模擬データに基づいて、次のフレームに対応した参照データの模擬データを生成することができる。このような動作を繰り返すことで、対象フレームの直前のフレームに対応した参照データの模擬データ、すなわち「模擬特定参照データ」を生成することができる。この模擬特定参照データは、対象フレームの処理前画像データと共に、当該対象フレームの出力用処理に利用することができる。
【0032】
つまり、本発明の構成によれば、従来と比較して圧縮頻度を低下させることができるため、圧縮/伸張処理を行うことに伴う圧縮誤差の累積量を減らすことが可能となる。一方、メモリ内においては、Nフレームに1回行われる圧縮処理によって圧縮されたデータが格納できれば良いため、1フレーム分の生データを格納するための大容量メモリが必要となるわけではない。
【0033】
よって、本発明の構成によれば、メモリの小容量化と圧縮誤差の低下の両立が可能となる。
【0034】
また、本発明の画像処理装置は、上記の特徴に加えて、下記の点を備えることを別の特徴とする。
【0035】
すなわち、前記対象フレームが前記ターム内のa番目(aは2以上の整数)のフレームであるとした場合において、前記参照データ生成手段は、
a=2の場合、当該対象フレームで前記データ伸張手段が生成した前記復元参照データと当該対象フレームの前記処理前画像データとを用いて第1の演算処理を行い、これによって得られたデータを前記模擬特定参照データとし、
a≧3の場合、前記第1の演算処理を実行後、演算結果を前記参照データ生成手段に再入力してこれと前記当該対象フレームの前記処理前画像データとに基づいて第2の演算処理を行う構成であって、前記第2の演算処理で得られたデータを前記演算結果として前記参照データ生成手段に再入力して前記第2の演算処理を(a−2)回繰り返し実行することで得られたデータをもって前記模擬特定参照データとすることを特徴とする。
【0036】
なお、前記1タームを構成する連続フレーム数に関する情報である圧縮頻度設定情報を外部より入力可能に構成されており、
前記参照データ生成手段は、前記圧縮頻度設定情報によって表わされるフレーム数で規定される前記ターム毎に所定の動作を繰り返し実行する構成としても良い。
【発明の効果】
【0037】
本発明の構成によれば、圧縮頻度を低下させつつ、メモリには常に圧縮後のデータが格納されるため、メモリの小容量化と圧縮誤差の低下の両立が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の画像処理装置の概念的ブロック図
【図2】参照データ生成手段の概念的ブロック図
【図3】実施例1における画像処理装置の処理内容を時系列に示した概念的ブロック図(その1)
【図4】実施例1における画像処理装置の処理内容を時系列に示した概念的ブロック図(その2)
【図5】実施例1における画像処理装置の処理内容を時系列に示した概念的ブロック図(その3)
【図6】実施例2における画像処理装置の処理内容を時系列に示した概念的ブロック図(その1)
【図7】実施例2における画像処理装置の処理内容を時系列に示した概念的ブロック図(その2)
【図8】実施例2における画像処理装置の処理内容を時系列に示した概念的ブロック図(その3)
【図9】実施例2における画像処理装置の処理内容を時系列に示した概念的ブロック図(その4)
【図10】実施例2における画像処理装置の処理内容を時系列に示した概念的ブロック図(その5)
【図11】本発明の画像処理装置の別の概念的ブロック図
【図12】従来の画像処理装置の概念的ブロック図
【図13】従来の画像処理装置が実行する処理内容を時系列に示した概念的ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明に係る画像処理装置の概念的ブロック図である。なお、図12と同一の構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明を割愛する。
【0040】
本発明の画像処理装置1は、図12の画像処理装置50と同様に、出力画像データ生成手段11,データ圧縮手段13,データ伸張手段15,メモリ17,処理前画像データ入力端子21,及び処理済画像データ出力端子23を備える。そして、参照データ生成手段60に代えて参照データ生成手段5を備える点が画像処理装置50とは異なる。
【0041】
また、図12の画像処理装置50においては、データ伸張手段15から出力されるデータが出力画像データ生成手段11に送られる構成であった。これに対し、本発明の画像処理装置1においては、参照データ生成手段5の出力が出力画像データ生成手段11に送られる構成である。
【0042】
なお、出力画像データ生成手段11,データ圧縮手段13,データ伸張手段15,及び参照データ生成手段5は、入力されるデータに対してハードウェアを(必要に応じてソフトウェアも)用いて所定の演算処理を実行する機能的手段である。
【0043】
画像処理装置1が備える参照データ生成手段5の詳細について、図2を参照して説明する。図2は、参照データ生成手段5の概念的構成を示すブロック図である。
【0044】
図2に示すように、参照データ生成手段5は、処理前画像データ入力端子21から与えられる処理前画像データ、及びデータ伸張手段15から与えられる復元参照データに基づいて、実際に演算処理を行って参照データを生成する参照データ生成用演算部32と、この参照データ生成用演算部32に対して演算制御を行う制御部31とを有して構成される。なお、詳細は後述するが、参照データ生成用演算部32は、必要に応じて出力データを再び入力させて参照データの生成に利用する。
【0045】
本発明の画像処理装置1は、毎フレームにわたって参照データがデータ圧縮手段13において圧縮されるのではなく、数フレームに1回毎に参照データがデータ圧縮手段13で圧縮される点が図12の画像処理装置50とは大きく異なる点である。そして、このような構成としても、出力画像データ生成手段11から出力される処理済画像データに所望の処理済画像データからの誤差が微小な範囲に留まらせることのできるよう、参照データ生成手段5に特徴を有している。
【0046】
以下、画像処理装置1の処理内容の詳細について、実施例を用いて説明する。
【0047】
(実施例1)
まず、画像処理装置1が、2フレームに1回毎に参照データをデータ圧縮手段13において圧縮する構成である場合について説明する。図3,図4,図5は、本実施例における画像処理装置1の一連の処理を、時系列で模式的に示した概念図である。紙面の都合上3図面に分けて図示している。
【0048】
なお、本実施例では、2フレームに1回毎に参照データがデータ圧縮手段13において圧縮される態様であるため、この2フレームを1単位とした「ターム」という概念を用いて説明する。あるタームNにおいては、フレームN−1とフレームN−2の2つのフレームで構成される。
【0049】
更に、本実施例では、処理前画像データ入力端子21から入力される処理前画像データは、連続する2フレーム間、特に同一ターム内における連続2フレーム間における差異が小さいものとする。通常の動画データの場合、任意の画素Xにおけるあるフレームでの画素データは、同じ画素Xにおける次のフレームでの画素データに近似するため、このような動画データは、連続する2フレーム間での処理前画像データの差異が小さい例に当てはまる。更には、2枚の左目用画像と2枚の右目用画像が夫々交互に繰り返し入力される3D画像データの場合についても、連続する2フレームで構成される1ターム間においては、2枚の右目用画像に関するデータか、2枚の左目用画像に関するデータが入力されるため、連続する2フレーム間での処理前画像データの差異が小さい例に当てはまる。
【0050】
図3に示すターム0は、図4に示すターム1(より正確にはフレーム1−1)の開始時点においてメモリ17に保管されているデータがどのようなデータであるかを説明するために図示されたものである。ターム0の各フレームの動作内容の詳細については、ターム1及び2の説明によって明らかとなる。
【0051】
ターム0の後半のフレーム0−2において、参照データ生成用演算部32では、参照データR02が生成される。この参照データR02は、データ圧縮手段13において圧縮参照データr02に圧縮され、メモリ17に格納される。
【0052】
図4を参照して、ターム1の各フレーム(フレーム1−1,1−2)における動作説明を行う。前記の通り、このターム1の開始時点において、メモリ17にはターム0のフレーム0−2で生成された圧縮参照データr02が格納されている。
【0053】
フレーム1−1では、まず、データ伸張手段15が、メモリ17に格納されていた圧縮参照データr02に対して伸張処理を行い、復元参照データR02’を生成する。参照データ生成用演算部32は、この復元参照データR02’をそのまま出力画像データ生成手段11に送出する。出力画像データ生成手段11は、処理前画像データ入力端子21から与えられる本フレーム1−1の処理前画像データA11と復元参照データR02’に基づいて処理済画像データB11を生成し、処理済画像データ出力端子23より出力する。
【0054】
つまり、フレーム1−1では、参照データ生成用演算部32からデータ圧縮手段15に対して参照データが送られることはなく、データ圧縮手段15はこのフレーム期間内において圧縮処理を行わない。従って、メモリ17に格納されているデータは更新されず、メモリ17には引き続き圧縮参照データr02が格納されている。
【0055】
次のフレーム1−2では、フレーム1−1と同様に、データ伸張手段15がメモリ17からデータを読み出して伸張処理を行う。前記の通り、直前のフレーム1−1ではメモリ17に格納されているデータは更新されていないため、フレーム1−1と同様にメモリ17から圧縮参照データr02が読み出され、データ伸張手段15において復元参照データR02’が生成される。この復元参照データR02’は、参照データ生成用演算部32に送られる。
【0056】
参照データ生成用演算部32は、フレーム1−1の場合とは異なり、処理前画像データ入力端子21から与えられる本フレーム1−2の処理前画像データA12、及び復元参照データR02’に基づいて参照データを生成する。図4では、このときに生成される参照データを「R11s」と表記している。
【0057】
上述したように、フレーム1−1において入力される処理前画像データA11とその直後のフレーム1−2において入力される処理前画像データA12とはほぼ同一のデータである。従って、処理前画像データA12を処理前画像データA11と模擬すれば、この模擬された処理前画像データA11(図面では、実際にフレーム1−1で入力された処理前画像データA11と区別するために「A11s」と表記している)と復元参照データR02’を用いることで、本来フレーム1−1において生成されるはずであった参照データR11を模擬することができる。図面では、模擬された参照データという意味を示すため、添え字のsを用いて「R11s」と表記している。以下では、このように模擬された参照データのことを「模擬参照データ」と呼ぶ。また、同様に、模擬された処理前画像データのことを「模擬処理前画像データ」と呼ぶ。
【0058】
フレーム1−1では、参照データR11を生成する処理を行っていない。なぜなら、もしこのフレームで参照データR11を生成した場合、次のフレーム1−2までの間、この参照データR11をメモリ17内に格納する必要があり、そのためにはデータ圧縮手段13における圧縮処理が必要となるためである。本実施例では、2フレームに1回の割合でデータ圧縮手段13による圧縮処理が行われる構成である。つまり、本実施例では、フレーム1−1においてデータ圧縮処理を行わなくても良いように、意図的にフレーム1−1で参照データR11を生成していない。
【0059】
しかし、フレーム1−1で参照データR11を生成していないといっても、次のフレーム1−2において出力画像データB12を生成するに際して参照データが不要となるわけではない。そこで、フレーム1−2では、処理前画像データA12が処理前画像データA11に近似している性質を利用し、このデータA12をA11とみなして(模擬処理前画像データA11s)、まずフレーム1−1における参照データR11に相当する模擬参照データR11sを生成している。
【0060】
すなわち、あるフレームjにおける参照データRjを生成するためには、その直前のフレームi(i=j−1)において生成された参照データRiと、当該フレームjで入力された処理前画像データAjが必要となる。しかし、参照データRiそのものを1フレームにわたって保管するためには大容量メモリが必要となるため、実際には参照データRiが圧縮された圧縮参照データriをメモリから読み出し、これに伸張処理が施された復元参照データRi’を参照データRiの代わりに用いることは上述した通りである。
【0061】
つまり、実際に参照データRjを生成するためには、復元参照データRi’と処理前画像データAjが必要であることが分かる。
【0062】
再び図4を参照すると、フレーム1−2の開始時点において、メモリ17には圧縮参照データr02が格納され、処理前画像データ入力端子21からは処理前画像データA12が入力される。フレーム1−1を基準とした場合、圧縮参照データr02は、直前のフレームで生成された参照データが圧縮されてなる圧縮参照データであり、処理前画像データA12は、データが近似していることから当該フレーム1−1で入力された処理前画像データA11とみなすことができる。従って、フレーム1−2において、圧縮参照データr02を伸張してなる復元参照データR02’と処理前画像データA12(模擬処理前画像データA11s)とに基づいて参照データ生成用演算部32が生成したデータは、フレーム1−1において生成されるはずであった参照データR11と模擬できる(模擬参照データR11s)。
【0063】
よって、出力画像データ生成手段11は、この模擬参照データR11sと処理前画像データA12に基づいて本フレーム1−2における処理済画像データB12を生成することが可能となる。
【0064】
また、上述したように、本実施例では、2フレームに1回、圧縮処理を行うことが許される。フレーム1−1では圧縮処理が行われていないため、フレーム1−2において圧縮処理が行われる。よって、本フレーム1−2では、当該フレーム1−2の参照データR12を生成することが可能となる。
【0065】
参照データR12を生成するためには、当該フレーム1−2の処理前画像データA12と、直前のフレーム1−1における参照データR11が必要となる。本フレーム1−2では、既に参照データ生成用演算部32において、模擬参照データR11sが生成されているため、このデータを用いることができる。つまり、参照データ生成用演算部32は、本フレーム1−2において既に生成した模擬参照データR11sを再度参照データ生成用演算部32に入力させ、このデータと処理前画像データA12に基づいて、参照データR12を生成する。図2において、参照データ生成用演算部32の出力と入力を接続しているのは、この参照データ生成用演算部32で生成されたデータが再び参照データ生成用演算部32に入力されることを模式的に示したものである。
【0066】
このようにして生成された参照データR12は、データ圧縮手段13において圧縮参照データr12に圧縮され、メモリ17に格納される。これにより、ターム1が完了する。
【0067】
ターム1に引き続きターム2が開始される。ターム2以後の各フレームでは、ターム1のフレーム1−1及び1−2と同様の処理が行われる。ターム2について、図5を参照して簡単に説明する。
【0068】
ターム2の最初のフレーム2−1では、参照データ生成用演算部32が、直前のフレーム1−2で格納された圧縮参照データr12に基づく復元参照データR12’をそのまま出力画像データ生成手段11に送出する。出力画像データ生成手段11は、この復元参照データR12’と、本フレーム2−1で入力される処理前画像データA21とに基づいて処理済画像データB21を出力する。
【0069】
次のフレーム2−2では、まず、参照データ生成用演算部32が、本フレーム2−2で入力された処理前画像データA22(これが模擬処理前画像データA21sとなる)と復元参照データR12’とに基づいて、直前のフレーム2−1の参照データを模擬した模擬参照データR21sを生成する。出力画像データ生成手段11は、この模擬参照データR21sと処理前画像データA22に基づいて処理済画像データB22を生成して出力する。参照データ生成用演算部32は、直前に生成した模擬参照データR21sを再入力し、これと処理前画像データA22に基づいて、本フレーム2−2の参照データR22を生成する。この参照データR22は、データ圧縮手段13において圧縮参照データr22に圧縮され、メモリ17に格納される。
【0070】
本実施例では、圧縮処理を2フレームに1回に減らすことができるため、図13に示した従来の処理フローと比較して、圧縮誤差による処理済画像データの劣化程度を抑制することができる。
【0071】
(実施例2)
次に、画像処理装置1が、4フレームに1回毎に参照データをデータ圧縮手段13において圧縮する構成である場合について説明する。実施例1にならって、繰り返しの単位を「ターム」と呼ぶ。本実施例では、1タームが4フレームで構成される。図6,図7,図8,図9,図10は、本実施例における画像処理装置1の一連の処理を、時系列で模式的に示した概念図である。紙面の都合上5図面に分けて図示している。
【0072】
なお、本実施例では、4フレームに1回毎に参照データがデータ圧縮手段13において圧縮される。実施例1と同様、「ターム」という概念を用いれば、4フレームを1単位として「ターム」が構成される。すなわち、あるタームNにおいては、フレームN−1,N−2,N−3,N−4の4つのフレームで構成される。
【0073】
また、本実施例では、処理前画像データ入力端子21から入力される処理前画像データは、同一ターム内における連続4フレーム間における差異が小さいものとする。このような処理前画像データの一例としては、3D動画データ等が考えられる。
【0074】
図6に示すターム0は、図7及び図8に示すターム1(より正確にはフレーム1−1)の開始時点においてメモリ17に保管されているデータがどのようなデータであるかを説明するために図示されたものである。ターム0の各フレームの動作内容の詳細については、ターム1及び2の説明によって明らかとなる。
【0075】
ターム0の最後のフレーム0−4において、参照データ生成用演算部32では、参照データR04が生成される。この参照データR04は、データ圧縮手段13において圧縮参照データr04に圧縮され、メモリ17に格納される。
【0076】
図7及び図8を参照して、ターム1の各フレーム(フレーム1−1,1−2,1−3,1−4)における動作説明を行う。前記の通り、このターム1の開始時点において、メモリ17には圧縮参照データr04が格納されている。
【0077】
フレーム1−1では、データ伸張手段15が、メモリ17に格納されていた圧縮参照データr04に対して伸張処理を行い、復元参照データR04’を生成する。そして、実施例1と同様に、参照データ生成用演算部32は、この復元参照データR04’をそのまま出力画像データ生成手段11に送出する。出力画像データ生成手段11は、処理前画像データ入力端子21から与えられる本フレーム1−1の処理前画像データA11と復元参照データR04’に基づいて処理済画像データB11を生成し、処理済画像データ出力端子23より出力する。
【0078】
なお、本実施例では1タームが4のフレームで構成されているため、1タームには、対象フレーム、対象フレームの直前フレーム以外のフレームが存在する。以下では、同一ターム内における対象フレームの直前フレームと、それよりも前のフレームとを区別して記載する必要がある場合には、データ名に「特定」という表現を付加するものとする。つまり、対象フレームの直前フレームに対応する参照データのことを特に「特定参照データ」と呼び、この特定参照データが模擬されたデータのことを特に「模擬特定参照データ」と呼ぶものとする。
【0079】
フレーム1−1の場合、直前のターム0の最終フレーム0−4が、そのまま直前フレームに対応する。このため、フレーム0−4において生成された圧縮参照データr04を伸張した復元参照データR04’をもって、「特定参照データ」とすることができる。
【0080】
次のフレーム1−2では、フレーム1−1と同様に、データ伸張手段15がメモリ17からデータを読み出して伸張処理を行う。直前のフレーム1−1ではメモリ17に格納されているデータは更新されていないため、フレーム1−1と同様に、メモリ17から圧縮参照データr04が読み出され、データ伸張手段15において復元参照データR04’が生成される。この復元参照データR04’は、参照データ生成用演算部32に送られる。
【0081】
参照データ生成用演算部32は、処理前画像データ入力端子21から与えられる本フレーム1−2の処理前画像データA12を、直前のフレーム1−1の処理前画像データA11と模擬し(模擬処理前画像データA11s)、このデータと復元参照データR04’に基づいて参照データを生成する。実施例1で上述したように、この参照データは、直前のフレーム1−1で生成されるはずであった参照データR11を模擬するものである(模擬参照データR11s、これは模擬特定参照データでもある)。そして、出力画像データ生成手段11は、この模擬参照データR11sと処理前画像データA12に基づいて本フレーム1−2における処理済画像データB12を生成し、処理済画像データ出力端子23より出力する。
【0082】
図8に移り、次のフレーム1−3では、まずフレーム1−1と同様に、データ伸張手段15がメモリ17からデータを読み出して伸張処理を行う。直前のフレーム1−2ではメモリ17に格納されているデータは更新されていないため、フレーム1−2と同様に、メモリ17から圧縮参照データr04が読み出され、データ伸張手段15において復元参照データR04’が生成される。この復元参照データR04’は、参照データ生成用演算部32に送られる。
【0083】
参照データ生成用演算部32は、処理前画像データ入力端子21から与えられる本フレーム1−3の処理前画像データA13を、2つ前のフレーム1−1の処理前画像データA11と模擬し(模擬処理前画像データA11s)、このデータと復元参照データR04’に基づいて、参照データを生成する。フレーム1−2と同様の理由により、この参照データは、フレーム1−1で生成されるはずであった参照データR11を模擬するものである(模擬参照データR11s)。しかし、フレーム1−1は対象フレーム1−3から見て直前のフレームではないため、模擬参照データR11sは模擬特定参照データではない。よって、模擬特定参照データを生成すべく、この模擬参照データR11sを再度参照データ生成用演算部32に再入力して演算処理を実行する。
【0084】
すなわち、参照データ生成用演算部32は、本フレーム1−3の処理前画像データA13を直前のフレーム1−2の処理前画像データA12と模擬し(模擬処理前画像データA12s)、生成した模擬参照データR11sを再入力して参照データを再び生成する。この参照データは、フレーム1−2で生成されるはずであった参照データR12を模擬するものである(模擬参照データR12s)。この模擬参照データR12sは対象フレーム1−3から見て直前のフレーム1−2に対応するため、模擬特定参照データである。よって参照データ生成用演算部32は、このデータを出力画像データ生成手段11に出力する。
【0085】
出力画像データ生成手段11は、この模擬参照データR12s(模擬特定参照データでもある)と処理前画像データA13に基づいて本フレーム1−3における処理済画像データB13を生成し、処理済画像データ出力端子23より出力する。
【0086】
次のフレーム1−4では、まずフレーム1−1と同様に、データ伸張手段15が、メモリ17からデータを読み出して伸張処理を行う。直前のフレーム1−3ではメモリ17に格納されているデータは更新されていないため、フレーム1−3と同様に、メモリ17から圧縮参照データr04が読み出され、データ伸張手段15において復元参照データR04’が生成される。この復元参照データR04’は、参照データ生成用演算部32に送られる。
【0087】
参照データ生成用演算部32は、処理前画像データ入力端子21から与えられる本フレーム1−4の処理前画像データA14を、3つ前のフレーム1−1の処理前画像データA11と模擬し(模擬処理前画像データA11s)、このデータと復元参照データR04’に基づいて、参照データを生成する。フレーム1−3と同様の理由により、この参照データは、フレーム1−1で生成されるはずであった参照データR11を模擬するものである(模擬参照データR11s)。しかし、フレーム1−1は対象フレーム1−4から見て直前のフレームではないため、模擬参照データR11sは模擬特定参照データではない。よって、模擬特定参照データを生成すべく、この模擬参照データR11sを再度参照データ生成用演算部32に再入力して演算処理を実行する。
【0088】
更に、参照データ生成用演算部32は、本フレーム1−4の処理前画像データA14を2つ前のフレーム1−2の処理前画像データA12と模擬し(模擬処理前画像データA12s)、生成した模擬参照データR11sを再入力して参照データを再び生成する。フレーム1−3と同様の理由により、この参照データは、フレーム1−2で生成されるはずであった参照データR12を模擬するものである(模擬参照データR12s)。しかし、フレーム1−2もまた対象フレーム1−4から見て直前のフレームではないため、模擬参照データR12sは模擬特定参照データではない。よって、模擬特定参照データを生成すべく、この模擬参照データR12sを再度参照データ生成用演算部32に再入力して演算処理を実行する。
【0089】
更に、参照データ生成用演算部32は、本フレーム1−4の処理前画像データA14を直前のフレーム1−3の処理前画像データA13と模擬し(模擬処理前画像データA13s)、生成した模擬参照データR12sを再入力して参照データを再び生成する。この参照データは、フレーム1−3で生成されるはずであった参照データR13を模擬するものである(模擬参照データR13s)。この模擬参照データR13sは対象フレーム1−4から見て直前のフレーム1−3に対応するため、模擬特定参照データである。よって参照データ生成用演算部32は、このデータを出力画像データ生成手段11に出力する。
【0090】
出力画像データ生成手段11は、この模擬参照データR13s(模擬特定参照データでもある)と処理前画像データA14に基づいて本フレーム1−4における処理済画像データB14を生成し、処理済画像データ出力端子23より出力する。
【0091】
また、上述したように、本実施例では、4フレームに1回、圧縮処理を行うことが許される。フレーム1−1,1−2,1−3では圧縮処理が行われていないため、フレーム1−4において圧縮処理が行われる。よって、本フレーム1−4では、当該フレーム1−4の参照データR14を生成することが可能となる。
【0092】
参照データR14を生成するためには、当該フレーム1−4の処理前画像データA14と、直前のフレーム1−3における参照データR13(特定参照データ)が必要となる。本フレーム1−4では、既に参照データ生成用演算部32において、模擬参照データR13s(模擬特定参照データ)が生成されているため、このデータを用いることができる。よって、参照データ生成用演算部32は、本フレーム1−2において既に生成した模擬参照データR13sを再度参照データ生成用演算部32に入力させ、このデータと処理前画像データA14に基づいて参照データR14を生成する。
【0093】
そして、このようにして生成された参照データR14は、データ圧縮手段13において圧縮参照データr14に圧縮され、メモリ17に格納される。これにより、ターム1が完了する。
【0094】
ターム1に引き続きターム2が開始される。ターム2以後の各フレームでは、ターム1のフレーム1−1,1−2,1−3,1−4と同様の処理が行われる。ターム2について、図9及び図10を参照して簡単に説明する。
【0095】
ターム2の最初のフレーム2−1では、参照データ生成用演算部32が、直前のフレーム1−4で格納された圧縮参照データr14に基づく復元参照データR14’をそのまま出力画像データ生成手段11に送出する。出力画像データ生成手段11は、この復元参照データR14’と、本フレーム2−1で入力される処理前画像データA21とに基づいて処理済画像データB21を出力する。
【0096】
次のフレーム2−2では、まず、参照データ生成用演算部32が、本フレーム2−2で入力された処理前画像データA22(模擬処理前画像データA21s)と復元参照データR14’とに基づいて、直前のフレーム2−1の参照データを模擬した模擬参照データR21s(模擬特定参照データ)を生成する。出力画像データ生成手段11は、この模擬参照データR21s(模擬特定参照データ)と処理前画像データA22に基づいて処理済画像データB22を生成して出力する。
【0097】
次のフレーム2−3では、まず、参照データ生成用演算部32が、本フレーム2−3で入力された処理前画像データA23(模擬処理前画像データA21s)と復元参照データR14’とに基づいて、2つ前のフレーム2−1の参照データを模擬した模擬参照データR21sを生成する。更に、参照データ生成用演算部32は、生成したこの模擬参照データR21sを再入力し、これと本フレーム2−3で入力された処理前画像データA23(模擬処理前画像データA22s)とに基づいて、直前のフレーム2−2の参照データを模擬した模擬参照データR22s(模擬特定参照データ)を生成する。出力画像データ生成手段11は、この模擬参照データR22s(模擬特定参照データ)と処理前画像データA23に基づいて処理済画像データB23を生成して出力する。
【0098】
次のフレーム2−4では、まず、参照データ生成用演算部32が、本フレーム2−4で入力された処理前画像データA24(模擬処理前画像データA21s)と復元参照データR14’とに基づいて、3つ前のフレーム2−1の参照データを模擬した模擬参照データR21sを生成する。更に、参照データ生成用演算部32は、生成したこの模擬参照データR21sを再入力し、これと本フレーム2−4で入力された処理前画像データA24(模擬処理前画像データA22s)とに基づいて、2つ前のフレーム2−2の参照データを模擬した模擬参照データR22sを生成する。更に、参照データ生成用演算部32は、生成したこの模擬参照データR22sを再入力し、これと本フレーム2−4で入力された処理前画像データA24(模擬処理前画像データA23s)とに基づいて、直前のフレーム2−3の参照データを模擬した模擬参照データR23s(模擬特定参照データ)を生成する。出力画像データ生成手段11は、この模擬参照データR23sと処理前画像データA24に基づいて処理済画像データB24を生成して出力する。
【0099】
そして、フレーム2−4においては、参照データ生成用演算部32が、直前に生成した模擬参照データR23s(模擬特定参照データ)を再入力し、これと処理前画像データA24に基づいて本フレーム2−4の参照データR24を生成する。この参照データR24は、データ圧縮手段13において圧縮参照データr24に圧縮され、メモリ17に格納される。
【0100】
本実施例では、圧縮処理を4フレームに1回に減らすことができるため、図13に示した従来の処理フローと比較して、圧縮誤差による処理済画像データの劣化程度を抑制することができる。また、実施例1よりも更に圧縮処理の回数を減らすことができるため、実施例1より高い劣化抑制効果が期待できる。
【0101】
上記実施例1及び2を踏まえれば、本発明の画像処理装置1は、2以上の整数Nを用いて、Nフレームに1回の圧縮処理によって直前のフレームで生成された参照データに基づいて出力用の処理済画像データを生成することが可能となる。以下、画像処理装置1の処理内容を一般化して説明する。
【0102】
説明に際し、タームTに属するa番目のフレームのことをフレームF_[T,a]と記号化する。また、このフレームで生成されたデータαのことをデータα[T,a]と記号化する。更に、あるデータαを模擬したデータであることを特に示す場合には、添え字のsを記号に付加する。
【0103】
この記号法を用いて具体例を説明する。ターム1に属する3番目のフレームF_[1,3]は、実施例2でいえば図8のフレーム1−3に対応する。また、このフレームで生成される処理済画像データB[1,3]は、図8にいう処理済画像データB13に対応する。更に、このフレームで入力される処理前画像データA[1,3]は、2つ前のフレームF_[1,1]で入力される処理前画像データを模擬する模擬処理前画像データA[1,1]sとして模擬参照データR[1,1]sの生成に利用され、更に、直前のフレームF_[1,2]で入力される処理前画像データを模擬する模擬処理前画像データA[1,2]sとして模擬参照データR[1,2]sの生成に利用される。
【0104】
本発明の画像処理装置1は、Nフレームに1回(N≧2の整数)の割合でデータ圧縮処理を行う。連続するNフレームを1タームと規定すると、1タームに1回の割合でデータ圧縮処理が行われることとなる。圧縮処理が行われるフレームの次のフレームで次のタームへと移行するものとする。
【0105】
最初のターム(実施例におけるターム0に相当する)を除く各タームTに属する各フレーム開始時点において、メモリ17には、直前のタームの最終フレームF_[(T−1),N]の圧縮参照データr[(T−1),N]が格納されている。
【0106】
タームTの任意のa番目(aは1以上N以下の整数)のフレームF_[T,a]では、データ伸張手段15は、メモリに格納された圧縮参照データr[(T−1),N]に基づいて、復元参照データR’[(T−1),N]を生成して参照データ生成用演算部32に出力する。
【0107】
更にa=1、すなわちタームTの最初のフレームF_[T,1]において、参照データ生成用演算部32は、復元参照データR’[(T−1),N]をそのまま出力画像データ生成手段11に出力する。出力画像データ生成手段11は、処理前画像データ入力端子21から入力される処理前画像データA[T,1]と復元参照データR’[(T−1),N]に基づいて処理済画像データB[T,1]を生成して出力する。
【0108】
a>1、すなわち、タームTの最初以外のフレームF_[T,a]において、参照データ生成用演算部32は、復元参照データR’[(T−1),N]と処理前画像データA[T,a]とに基づいて、タームTの最初のフレームF_[T,1]の模擬参照データR[T,1]sを生成する。a=2の場合(N=2の場合におけるa=Nを含む)には、出力画像データ生成手段11が、処理前画像データ入力端子21から入力される処理前画像データA[T,2]及びこの模擬参照データR[T,1]sに基づいて処理済画像データB[T,2]を生成して出力する。
【0109】
更にa>2の場合には、参照データ生成用演算部32で生成した模擬参照データを参照データ生成用演算部32に再入力し、これと処理前画像データA[T,a]とに基づいて模擬参照データを再生成するという動作を更に(a−2)回繰り返して実行することで、直前のフレームの模擬参照データ(模擬特定参照データ)R[T,(a−1)]sを生成する。そして、出力画像データ生成手段11が、処理前画像データ入力端子21から入力される処理前画像データA[T,a]及びこの直前フレームの模擬参照データ(模擬特定参照データ)R[T,(a−1)]sに基づいて処理済画像データB[T,a]を生成して出力する。
【0110】
更に、a=N、すなわちタームTの最終フレームにおいては、参照データ生成用演算部32で生成した直前フレームの模擬参照データ(模擬特定参照データ)R[T,(a−1)]sを参照データ生成用演算部32に再入力し、これと処理前画像データA[T,N]とに基づいて参照データを再生成することで、当該フレームF_[T,N]の参照データR[T,N]を生成する。そして、この参照データR[T,N]がデータ圧縮手段13によって圧縮処理され、圧縮参照データr[T,N]としてメモリ17に格納される。
【0111】
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
【0112】
〈1〉 上記実施形態では、出力画像データ生成手段11において実際に行われる演算内容の詳細については特に規定していない。本発明の画像処理装置は、対象フレームの画像データと、直前のフレームの画像データに基づくデータ(これが「参照データ」に対応する)とを用いて、必要なデータを算出する処理を行うあらゆる処理機構に応用が可能である。
【0113】
本発明の画像処理装置を利用する具体的な一態様としては、液晶表示装置の画素電極への印加電圧の決定機構が挙げられる。液晶の透過率の応答速度は、画素電極への印加電圧の変化よりも遅いため、表示画像が入力画像データの早い変化に十分応答できない場合が考えられる。
【0114】
そこで、直前のフレームでの画像データと比べて対象フレームの画像データの出力値が上方に変化している場合には、その入力される画像データよりも大きなデータを処理済画像データとして出力し、逆に、直前の画像データと比べて対象フレームの画像データの出力値が下方に変化している場合には、その入力される画像データよりも小さなデータを処理済画像データとして出力するものとする(オーバーシュート処理)。これにより、液晶表示装置の応答特性を向上させることができる。
【0115】
このようなオーバーシュート処理を、従来の図12及び図13に示す処理手順で行った場合、経時的に圧縮誤差が重畳され、この結果として画質の劣化や輝点/輝線が表示されるという症状が発生することが考えられる。本発明の画像処理装置の処理フローによれば、圧縮誤差が抑制できるため、高画質な画像表示が可能となる。
【0116】
その他としては、直前のフレームの画像データに基づく補正処理を行う場合にも本発明の画像処理装置は利用できる。
【0117】
〈2〉 図3〜図10を参照して説明した参照データ生成手段5の処理フローは、制御部31による制御信号に基づいて参照データ生成用演算部32が制御されることで実現する構成として良い。ここで、図3〜図10でも明らかとなったように、各ターム内の何番目のフレームに属しているかによって、参照データ生成手段5の実質的な動作内容が変化する構成である。このため、制御部31は、各ターム内に含まれるフレーム数を予め認識しており、更に、処理前画像データ入力端子21から与えられるデータに基づいてフレームの変わり目を認識することで、ターム内の何番目のフレームに属しているかを認識することが可能な構成であるものとして構わない。
【0118】
また、特に実施例1のように、1タームが2フレームで構成される場合には、図4のフレーム1−1で示した動作(動作1)と、フレーム1−2で示した動作(動作2)の切り替えのみが実行できれば良いため、予めこれらの動作内容を記憶しておき、フレームの変わり目を認識した時点で、動作内容を切り替える旨の信号を参照データ生成用演算部32に出力する構成とすることができる。
【0119】
なお、フレームの切れ目を認識する方法としては、1フレーム分の処理前画像データの先頭又は最後にフレームが切り替わる旨のフラグを挿入しておき、このフラグを認識した時点で制御部31がフレームの切れ目を認識するものとすることができる。また、別の方法としては、フレームが切り替わるタイミングで、外部から同期信号が制御部31に入力される構成としても良い。
【0120】
また、実施例2のように、1タームが3以上のフレームで構成される場合には、制御部31内に、フレームをカウントする機構を備えるものとすれば良い。この場合において、当該カウント機構は、タームを構成するフレーム数毎に0クリアされる構成としても構わない。例えば、実施例2のように1タームが4のフレームで構成される場合には、最低4のカウントができれば良い。
【0121】
〈3〉 最初のターム0では、直前のフレームが存在しないため、メモリには直前のフレームで生成された圧縮参照データが格納されていない。このため、最初のターム0では、予めメモリ17に所定のデータが格納されており、このデータに基づいて参照データが生成されるものとすることができる。
【0122】
〈4〉 ターム内に含まれるフレーム数Nを外部から指定できる構成としても良い。例えば、図11に示すように、画像処理装置1が圧縮頻度設定用端子25を備えており、この圧縮頻度設定用端子25からフレーム数Nに関する情報を入力可能な構成とする。この情報が、参照データ生成手段5に与えられると、参照データ生成手段5は、Nフレームに1回圧縮処理を実行する。このNの値が変化するタイミングとしては、タームが切り替わるタイミングとすることができる。
【符号の説明】
【0123】
1: 本発明の画像処理装置
5: 参照データ生成手段
11: 出力画像データ生成手段
13: データ圧縮手段
15: データ伸張手段
17: メモリ
21: 処理前画像データ入力端子
23: 処理済画像データ出力端子
25: 圧縮頻度設定用端子
31: 制御部
32: 参照データ生成用演算部
50: 従来の画像処理装置
60: 従来の画像処理装置が備える参照データ生成手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム毎に処理前画像データが入力され、これに所定の出力用処理が施されて処理済画像データをフレーム毎に出力する画像処理装置であって、
対象フレームに入力された前記処理前画像データに対応する参照データを、2以上の連続したフレームで構成される1タームに1回の頻度で生成すると共に、直前のフレームに入力された前記処理前画像データに対応する前記参照データに近似する特定参照データを、フレーム毎に出力する参照データ生成手段と、
前記1タームに1回の頻度で前記参照データに圧縮処理を施して圧縮参照データを生成するデータ圧縮手段と、
前記圧縮参照データを格納するメモリと、
フレーム毎に、前記メモリに格納された前記圧縮参照データに伸張処理を施して復元参照データを生成するデータ伸張手段と、
前記特定参照データ及び前記処理前画像データに基づいて前記処理済画像データを生成する出力画像データ生成手段と、を備え、
前記処理前画像データは、少なくとも前記タームを構成する連続フレーム数にわたって相互に類似するデータであり、
前記参照データ生成手段は、前記ターム毎に同一の処理を繰り返し実行する構成であって、
前記対象フレームが前記ターム内の先頭フレームである場合、当該対象フレームにおいて前記メモリに格納されていた前記圧縮参照データに基づいて前記データ伸張手段が生成した前記復元参照データを前記特定参照データとして前記出力画像データ生成手段に出力し、
前記対象フレームが前記ターム内の2番目以後のフレームである場合、当該対象フレームにおいて前記メモリに格納されていた前記圧縮参照データに基づいて前記データ伸張手段が生成した前記復元参照データと当該対象フレームの前記処理前画像データとに基づいて前記特定参照データを模擬する模擬特定参照データを生成し、この前記模擬特定参照データを前記特定参照データとして前記出力画像データ生成手段に出力し、更に前記対象フレームが前記ターム内の最終フレームである場合には、上記動作に加えて前記特定参照データと当該対象フレームの前記処理前画像データとに基づいて前記参照データを生成して前記データ圧縮手段に出力し、前記データ圧縮手段において当該参照データを圧縮させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記対象フレームが前記ターム内のa番目(aは2以上の整数)のフレームであるとした場合において、前記参照データ生成手段は、
a=2の場合、当該対象フレームで前記データ伸張手段が生成した前記復元参照データと当該対象フレームの前記処理前画像データとを用いて第1の演算処理を行い、これによって得られたデータを前記模擬特定参照データとし、
a≧3の場合、前記第1の演算処理を実行後、演算結果を前記参照データ生成手段に再入力してこれと前記当該対象フレームの前記処理前画像データとに基づいて第2の演算処理を行う構成であって、前記第2の演算処理で得られたデータを前記演算結果として前記参照データ生成手段に再入力して前記第2の演算処理を(a−2)回繰り返し実行することで得られたデータをもって前記模擬特定参照データとすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記1タームを構成する連続フレーム数に関する情報である圧縮頻度設定情報を外部より入力可能に構成されており、
前記参照データ生成手段は、前記圧縮頻度設定情報によって表わされるフレーム数で規定される前記ターム毎に所定の動作を繰り返し実行する構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
フレーム毎に入力される処理前画像データに対して所定の出力用処理を施して処理済画像データをフレーム毎に出力する画像処理方法であって、
2以上の連続したフレームで構成される1タームに1回の頻度で、対象フレームに入力された前記処理前画像データに対応する参照データを生成する参照データ生成ステップと、
毎フレームにおいて、直前のフレームに入力された前記処理前画像データに対応する前記参照データに近似する特定参照データを生成する特定参照データ生成ステップと、
前記1タームに1回の頻度で前記参照データに圧縮処理を施して圧縮参照データを生成する参照データ圧縮ステップと、
前記圧縮参照データをメモリ内に格納するメモリステップと、
前記メモリに格納された前記圧縮参照データに伸張処理を施して復元参照データを生成するデータ伸張ステップと、
前記特定参照データ及び前記処理前画像データに基づいて前記処理済画像データを生成する出力画像データ生成ステップとを有し、
前記処理前画像データは、少なくとも前記タームを構成する連続フレーム数にわたって相互に類似するデータであり、
前記特定参照データ生成ステップは、
前記対象フレームが前記ターム内の先頭フレームである場合、当該対象フレームにおいて前記メモリに格納されていた前記圧縮参照データに基づいて前記データ伸張ステップで生成された前記復元参照データを前記特定参照データと決定し、
前記対象フレームが前記ターム内の2番目以後のフレームである場合、当該対象フレームにおいて前記メモリに格納されていた前記圧縮参照データに基づいて前記データ伸張ステップで生成された前記復元参照データと当該対象フレームの前記処理前画像データとに基づいて前記特定参照データを模擬する模擬特定参照データを生成し、この前記模擬特定参照データを前記特定参照データと決定するステップであり、
前記参照データ生成ステップは、
前記対象フレームが前記ターム内の最終フレームである場合に、当該対象フレームの前記特定参照データ生成ステップにおいて生成した前記特定参照データと当該対象フレームの前記処理前画像データとに基づいて前記参照データを生成するステップであることを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
前記対象フレームが前記ターム内のa番目(aは2以上の整数)のフレームであるとした場合において、前記特定参照データ生成ステップは、
a=2の場合、当該対象フレームで前記データ伸張ステップにおいて生成された前記復元参照データ及び当該対象フレームの前記処理前画像データを用いて第1の演算処理を行い、これによって得られたデータを前記模擬特定参照データとし、
a≧3の場合、前記第1の演算処理を実行後、演算結果と前記当該対象フレームの前記処理前画像データに基づいて第2の演算処理を行う構成であって、前記第2の演算処理で得られたデータを前記演算結果として前記第2の演算処理を(a−2)回繰り返し実行することで得られたデータをもって前記模擬特定参照データとすることを特徴とする請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項6】
外部より与えられる、前記1タームを構成する連続フレーム数に関する情報に基づいて、前記対象フレームが前記ターム内の何番目のフレームであるかを認識することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像処理方法。
【請求項1】
フレーム毎に処理前画像データが入力され、これに所定の出力用処理が施されて処理済画像データをフレーム毎に出力する画像処理装置であって、
対象フレームに入力された前記処理前画像データに対応する参照データを、2以上の連続したフレームで構成される1タームに1回の頻度で生成すると共に、直前のフレームに入力された前記処理前画像データに対応する前記参照データに近似する特定参照データを、フレーム毎に出力する参照データ生成手段と、
前記1タームに1回の頻度で前記参照データに圧縮処理を施して圧縮参照データを生成するデータ圧縮手段と、
前記圧縮参照データを格納するメモリと、
フレーム毎に、前記メモリに格納された前記圧縮参照データに伸張処理を施して復元参照データを生成するデータ伸張手段と、
前記特定参照データ及び前記処理前画像データに基づいて前記処理済画像データを生成する出力画像データ生成手段と、を備え、
前記処理前画像データは、少なくとも前記タームを構成する連続フレーム数にわたって相互に類似するデータであり、
前記参照データ生成手段は、前記ターム毎に同一の処理を繰り返し実行する構成であって、
前記対象フレームが前記ターム内の先頭フレームである場合、当該対象フレームにおいて前記メモリに格納されていた前記圧縮参照データに基づいて前記データ伸張手段が生成した前記復元参照データを前記特定参照データとして前記出力画像データ生成手段に出力し、
前記対象フレームが前記ターム内の2番目以後のフレームである場合、当該対象フレームにおいて前記メモリに格納されていた前記圧縮参照データに基づいて前記データ伸張手段が生成した前記復元参照データと当該対象フレームの前記処理前画像データとに基づいて前記特定参照データを模擬する模擬特定参照データを生成し、この前記模擬特定参照データを前記特定参照データとして前記出力画像データ生成手段に出力し、更に前記対象フレームが前記ターム内の最終フレームである場合には、上記動作に加えて前記特定参照データと当該対象フレームの前記処理前画像データとに基づいて前記参照データを生成して前記データ圧縮手段に出力し、前記データ圧縮手段において当該参照データを圧縮させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記対象フレームが前記ターム内のa番目(aは2以上の整数)のフレームであるとした場合において、前記参照データ生成手段は、
a=2の場合、当該対象フレームで前記データ伸張手段が生成した前記復元参照データと当該対象フレームの前記処理前画像データとを用いて第1の演算処理を行い、これによって得られたデータを前記模擬特定参照データとし、
a≧3の場合、前記第1の演算処理を実行後、演算結果を前記参照データ生成手段に再入力してこれと前記当該対象フレームの前記処理前画像データとに基づいて第2の演算処理を行う構成であって、前記第2の演算処理で得られたデータを前記演算結果として前記参照データ生成手段に再入力して前記第2の演算処理を(a−2)回繰り返し実行することで得られたデータをもって前記模擬特定参照データとすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記1タームを構成する連続フレーム数に関する情報である圧縮頻度設定情報を外部より入力可能に構成されており、
前記参照データ生成手段は、前記圧縮頻度設定情報によって表わされるフレーム数で規定される前記ターム毎に所定の動作を繰り返し実行する構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
フレーム毎に入力される処理前画像データに対して所定の出力用処理を施して処理済画像データをフレーム毎に出力する画像処理方法であって、
2以上の連続したフレームで構成される1タームに1回の頻度で、対象フレームに入力された前記処理前画像データに対応する参照データを生成する参照データ生成ステップと、
毎フレームにおいて、直前のフレームに入力された前記処理前画像データに対応する前記参照データに近似する特定参照データを生成する特定参照データ生成ステップと、
前記1タームに1回の頻度で前記参照データに圧縮処理を施して圧縮参照データを生成する参照データ圧縮ステップと、
前記圧縮参照データをメモリ内に格納するメモリステップと、
前記メモリに格納された前記圧縮参照データに伸張処理を施して復元参照データを生成するデータ伸張ステップと、
前記特定参照データ及び前記処理前画像データに基づいて前記処理済画像データを生成する出力画像データ生成ステップとを有し、
前記処理前画像データは、少なくとも前記タームを構成する連続フレーム数にわたって相互に類似するデータであり、
前記特定参照データ生成ステップは、
前記対象フレームが前記ターム内の先頭フレームである場合、当該対象フレームにおいて前記メモリに格納されていた前記圧縮参照データに基づいて前記データ伸張ステップで生成された前記復元参照データを前記特定参照データと決定し、
前記対象フレームが前記ターム内の2番目以後のフレームである場合、当該対象フレームにおいて前記メモリに格納されていた前記圧縮参照データに基づいて前記データ伸張ステップで生成された前記復元参照データと当該対象フレームの前記処理前画像データとに基づいて前記特定参照データを模擬する模擬特定参照データを生成し、この前記模擬特定参照データを前記特定参照データと決定するステップであり、
前記参照データ生成ステップは、
前記対象フレームが前記ターム内の最終フレームである場合に、当該対象フレームの前記特定参照データ生成ステップにおいて生成した前記特定参照データと当該対象フレームの前記処理前画像データとに基づいて前記参照データを生成するステップであることを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
前記対象フレームが前記ターム内のa番目(aは2以上の整数)のフレームであるとした場合において、前記特定参照データ生成ステップは、
a=2の場合、当該対象フレームで前記データ伸張ステップにおいて生成された前記復元参照データ及び当該対象フレームの前記処理前画像データを用いて第1の演算処理を行い、これによって得られたデータを前記模擬特定参照データとし、
a≧3の場合、前記第1の演算処理を実行後、演算結果と前記当該対象フレームの前記処理前画像データに基づいて第2の演算処理を行う構成であって、前記第2の演算処理で得られたデータを前記演算結果として前記第2の演算処理を(a−2)回繰り返し実行することで得られたデータをもって前記模擬特定参照データとすることを特徴とする請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項6】
外部より与えられる、前記1タームを構成する連続フレーム数に関する情報に基づいて、前記対象フレームが前記ターム内の何番目のフレームであるかを認識することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−118350(P2012−118350A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268772(P2010−268772)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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