画像処理装置、画像処理方法
【課題】 撮像している超音波断層像に対応した部位の3次元構造をユーザに容易に把握させる為の技術を提供すること。
【解決手段】 ボリュームレンダリングの過程でボリュームデータ中の各位置における不透明度を設定する際、該不透明度を求めるために視点から追跡する光線が、ボリュームデータ中の超音波断層像に対応する断面と交差しているとする。この場合、光線においてボリュームデータに含まれる区間内の各位置における不透明度を、断面からの距離がより大きい位置における不透明度がより小さくなるように設定する。
【解決手段】 ボリュームレンダリングの過程でボリュームデータ中の各位置における不透明度を設定する際、該不透明度を求めるために視点から追跡する光線が、ボリュームデータ中の超音波断層像に対応する断面と交差しているとする。この場合、光線においてボリュームデータに含まれる区間内の各位置における不透明度を、断面からの距離がより大きい位置における不透明度がより小さくなるように設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像を処理する画像処理技術に関するもので、特に、超音波画像診断を行う際に、他のボリュームデータを処理して超音波断層像と共に提示する為の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療の分野において、MRI等のモダリティによって被検体を撮像したボリュームデータ(以下、参照ボリュームデータ)中で病変部の位置を同定した上で、超音波診断装置によって該部位を撮像して観察する、という手順で画像診断を行う場合がある。このような診断を支援することを目的として、被検体に対する超音波プローブの位置と姿勢を計測することで、撮像している超音波断層像に対応した2次元の断層像を参照ボリュームデータから切り出して表示する装置が、例えば特許文献1で提案されている。このような装置では、参照ボリュームデータ中における病変部と、その病変部の超音波断層像と、を対比して表示することができる。
【0003】
また、特許文献1では、参照ボリュームデータの全体像をボリュームレンダリングしたうえで、撮像している超音波断層像の位置を同一空間内に提示することがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−279272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような装置では、撮像している超音波断層像に対応した参照ボリュームデータの断層像が2次元の画像として提示されるため、参照ボリュームデータの3次元構造が把握しにくいという課題があった。また、参照ボリュームデータの全体像のボリュームレンダリングを行っているため、撮像している超音波断層像に対応した部位の3次元構造を把握することが困難であった。特に、超音波断層像を撮像する際に参照ボリュームデータでの病変部の3次元構造と対比したいという要求を満たすことができなかった。
【0006】
本発明は以上の問題に鑑みてなされたものであり、撮像している超音波断層像に対応した部位の3次元構造をユーザに容易に把握させる為の技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するため、例えば、本発明の画像処理装置は、被検体のボリュームデータを用いてボリュームレンダリングを行うことで、規定の視点から見た該ボリュームデータの画像を生成するレンダリング手段と、前記画像を表示する表示手段とを有する画像処理装置であって、超音波プローブによって得られる前記被検体の超音波断層像を取得する取得手段と、前記ボリュームレンダリングの過程で前記ボリュームデータ中の各位置における不透明度を設定する際、該不透明度を求めるために前記視点から追跡する光線が、前記ボリュームデータ中の前記超音波断層像に対応する断面と交差していれば、前記光線において前記ボリュームデータに含まれる区間内の各位置における不透明度を、前記断面からの距離がより大きい位置における不透明度がより小さくなるように設定するよう前記レンダリング手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、撮像している超音波断層像に対応した部位の3次元構造をユーザに容易に把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】システムの構成例を示す図。
【図2】投影面の設定例を示す図。
【図3】注目点Pにおける不透明度を説明する図。
【図4】伝達関数の一例を示す図。
【図5】MRIボリュームデータ、視野平面、注目断面のそれぞれを示す図。
【図6】画像処理装置200が行う処理のフローチャート。
【図7】ステップS107における処理の詳細を示すフローチャート。
【図8】ステップS205における処理を説明する図。
【図9】曲面としての注目断面を示す図。
【図10】変形例1−2における注目断面の配置例を示す図。
【図11】フィルタ処理済み画像の生成過程を説明する図。
【図12】画像処理装置200が行う処理のフローチャート。
【図13】ステップS300における処理の詳細を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載した構成の具体的な実施例の一つである。
【0011】
[第1の実施形態]
本実施形態に係る画像処理装置は、予め撮像した被検体のMRIボリュームデータを参照ボリュームデータとし、参照ボリュームデータに基づいてボリュームレンダリングした画像と、この被検体の超音波断層像と、の対応関係を提示する。このボリュームレンダリングでは、超音波断層像に対応するMRIボリュームデータ中の断面(注目断面)からの距離が大きくなるにつれて透明度を上げる(不透明度を下げる)ような伝達関数を用いる。これにより、超音波断層像に対応した部位の3次元構造を容易に把握することができる。また、ボリュームレンダリングの際に(ボリュームレンダリングの過程で)追跡する光線が注目断面と交差しない画素に関しては、通常の伝達関数を用いたボリュームレンダリングを行う。これにより、被検体の中での超音波断層像の3次元的な位置を把握しながら、超音波断層像に対応した部位の3次元構造を把握することができる。
【0012】
先ず、本実施形態に係るシステムの構成例について、図1を用いて説明する。図1に示す如く、本実施形態に係るシステムは、画像処理装置200、表示装置100、データベース(DB)250、超音波診断装置220、超音波プローブ300、位置姿勢センサ301、を有する。
【0013】
超音波プローブ300は周知の如く、超音波を照射して、被検体400の部位(図1では断面302)のデータを超音波データとして収集する。超音波プローブ300は、この収集した超音波データを、超音波診断装置220に送出する。
【0014】
また、超音波プローブ300には、位置姿勢センサ301が取り付けられている。位置姿勢センサ301には、様々な測定方法の位置姿勢センサを適用することができ、本実施形態では如何なる位置姿勢センサを適用してもよい。位置姿勢センサ301は自身の位置姿勢を計測するものであり、以下では、位置姿勢センサ301が計測した位置姿勢を超音波プローブ300の位置姿勢として取り扱う。しかし、位置姿勢センサ301が計測した位置姿勢に規定のバイアスを加えたり、規定の変換を施したりしたものを、超音波プローブ300の位置姿勢として取り扱うようにしてもよい。さらには、本実施形態では、超音波プローブ300の位置姿勢を取得することができればよい為、例えば、カメラが撮像した超音波プローブ300の撮像画像を用いてこの超音波プローブ300の位置姿勢を求めるような方法を採用してもよい。然るに、本実施形態では、超音波プローブ300の位置姿勢を取得することができるのであれば、如何なる方法を採用してもよい。いずれにせよ、超音波プローブ300の位置姿勢(本実施形態では位置姿勢センサ301が計測した位置姿勢)は、画像処理装置200に入力される。
【0015】
超音波診断装置220は、超音波プローブ300からの超音波データを用いて、超音波を照射した被検体400の部位(図1では断面302)の超音波断層像を生成する。超音波プローブ300が収集したデータから超音波断層像を生成するための技術については周知であるため、これについての説明は省略する。そして超音波診断装置220は、生成した超音波断層像を画像処理装置200に入力する。
【0016】
DB250には、MRI等により予め撮像した被検体400のボリュームデータが保存されており、画像処理装置200は、このボリュームデータを適宜読み出すことができる。本実施形態では、このボリュームデータはMRIボリュームデータであるとするが、他の方法により収集したボリュームデータであってもよい。
【0017】
次に、画像処理装置200について説明する。CPU11は、RAM12やROM13に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて、画像処理装置200全体の動作制御を行うと共に、画像処理装置200が行うものとして後述する各処理を実行する。
【0018】
RAM12は、外部記憶装置15からロードされたコンピュータプログラムやデータ、I/F16を介してDB250、超音波診断装置220、位置姿勢センサ301から受信した様々な情報を一時的に記憶するためのエリアを有する。更にRAM12は、CPU11が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアを有する。即ち、RAM12は、様々なエリアを適宜提供することができる。ROM13には、画像処理装置200の設定データやブートプログラムなどが格納されている。
【0019】
操作部14は、キーボードやマウスなどにより構成されており、画像処理装置200のユーザが操作することで、各種の指示をCPU11に対して入力することができる。
【0020】
外部記憶装置15は、ハードディスクドライブ装置に代表される、大容量情報記憶装置である。外部記憶装置15には、OS(オペレーティングシステム)や、画像処理装置200が行うものとして後述する各処理をCPU11に実行させるためのコンピュータプログラムやデータが保存されている。また、外部記憶装置15には、以下の説明において既知の情報として取り扱っている情報も保存されている。外部記憶装置15に保存されているコンピュータプログラムやデータは、CPU11による制御に従って適宜RAM12にロードされ、CPU11による処理対象となる。
【0021】
I/F16には、DB250、超音波診断装置220、位置姿勢センサ301が接続されており、それぞれの機器とはこのI/F16を介して通信することになる。なお、図1では簡略化のために、それぞれの機器とのI/FはI/F16で兼用しているが、機器毎にI/Fを設けるようにしてもよい。また、上記の各部はバス17に接続されている。
【0022】
画像処理装置200は、超音波診断装置220から送出された断面302の超音波断層像を受信すると、この超音波断層像を、表示装置100の表示画面上に超音波断層像102として表示する。
【0023】
また画像処理装置200は、DB250から読み出した被検体400のMRIボリュームデータを用いてボリュームレンダリングを行うことで、規定の視点から見た被検体400のMRIボリュームデータの画像を生成する。そして画像処理装置200は、この生成した画像を、俯瞰図(103)として表示装置100の表示画面上に表示する。
【0024】
また、画像処理装置200は、断面302に対応するMRIボリュームデータ中の2次元断層像を生成し、生成した2次元断層像を、超音波断層像102に対応する参照画像101として表示装置100の表示画面上に表示する。なお、参照画像101の表示は必須ではない。
【0025】
画像処理装置200が行う処理を、同処理のフローチャートを示す図6を用いて更に詳細に説明する。なお、図6のフローチャートに従った処理は、外部記憶装置15からRAM12にロードされたコンピュータプログラムやデータを用いてCPU11が実行するものである。そのため、特に説明がない限りは、図6に示した各ステップにおける処理の主体は何れもCPU11である。
【0026】
ステップS101では、DB250からRAM12に、被検体400のMRIボリュームデータを読み出す(ダウンロードする)。この読み出しは、ユーザが操作部14を用いて入力した読み出し指示をCPU11が検知したことに応じて行ってもよい。
【0027】
ステップS102では、超音波診断装置220から送出された断面302の超音波断層像を受信してRAM12に一時的に格納し、その後、この超音波断層像を超音波断層像102として表示装置100の表示画面上に表示する。この表示は、ユーザが操作部14を用いて入力した表示指示をCPU11が検知したことに応じて行ってもよい。また、表示のオン/オフをこの表示指示によって切り替えてもよい。
【0028】
ステップS103では、位置姿勢センサ301から送出された超音波プローブ300の位置姿勢を受信してRAM12に一時的に格納する。
【0029】
ステップS104では、ステップS103で取得した位置姿勢(超音波プローブ300が断面302の超音波データを収集しているときに位置姿勢センサ301が計測した位置姿勢)を用いて、断面302に対応するMRIボリュームデータ中の断面を特定する。ステップS103で取得した位置姿勢を用いて、断面302に対応するMRIボリュームデータ中の断面を特定する処理は周知の技術であるため、これに係る説明は省略する。また、以下では、断面302に対応するMRIボリュームデータ中の断面を注目断面と呼称する。
【0030】
位置姿勢センサ301が位置姿勢を計測する座標系とMRIボリュームデータを配置する空間(仮想空間)の座標系との位置姿勢関係が既知であれば、位置姿勢センサ301が計測した位置姿勢に対応する仮想空間中の位置姿勢は周知の方法で特定可能である。然るに、超音波プローブ300が断面302の超音波データを収集しているときに位置姿勢センサ301が計測した位置姿勢を用いれば、周知の方法でもって、断面302に対応するMRIボリュームデータ中の断面は特定することができる。
【0031】
次にステップS105では、ステップS101で受信したMRIボリュームデータから周知の技術でもって、ステップS104で特定した注目断面の2次元断層像を生成する。そしてステップS106では、ステップS105で生成した2次元断層像を、参照画像101として表示装置100の表示画面上に表示する。
【0032】
ステップS107では、MRIボリュームデータを用いてボリュームレンダリングすることで、規定の視点から見た被検体400のMRIボリュームデータの画像を生成する。ボリュームレンダリングを行う場合、MRIボリュームデータと視点との間に投影面(視野平面)を配置する。視野平面は、MRIボリュームデータ全体をボリュームレンダリングすることができるように配置されるもので、これは規定の位置姿勢で配置してもよいし、ユーザが操作部14を用いて位置姿勢を調整して配置してもよい。
【0033】
被検体400のMRIボリュームデータ、視野平面、注目断面のそれぞれを図5に示す。図5に示す如く、ステップS107では、被検体400のMRIボリュームデータ500と不図示の視点との間に視野平面508を配置する。501は断面302に対応するMRIボリュームデータ500中の注目断面である。
【0034】
そして更にステップS107では、MRIボリュームデータを用いてボリュームレンダリングを行うことで、この投影面上に、規定の視点から見た「被検体400のMRIボリュームデータ500」の画像を生成する。
【0035】
ステップS108では、ステップS107で生成した画像を、俯瞰図(103)として表示装置100の表示画面上に表示する。なお、参照画像101、超音波断層像102、俯瞰図(103)のそれぞれの表示レイアウトは図1に示した表示レイアウトに限るものではなく、任意の表示レイアウトが考え得る。また、超音波断層像102と俯瞰図(103)との対応関係をユーザに提示することができるのであれば、その表示方法は特定の表示方法に限るものではない。また、それぞれの画像の表示のオン/オフはユーザによる操作などに応じて切り替えるようにしてもよい。
【0036】
次に、ステップS107における処理の詳細を、図7のフローチャートを用いて説明する。ステップS107では、仮想空間中に上記の視点を設定し、この設定された視点から、投影面上の各画素位置への線分(光線)を設定し、該線分が注目断面と交差するか否かに応じて、該画素位置における透明度を決定するための伝達関数を切り替える。そしてボリュームレンダリングでは、投影面上の各画素位置における透明度をこの伝達関数に基づいて決定する。即ち本実施形態のボリュームレンダリングは、上記線分が注目断面と交差するのかに応じて伝達関数を切り替えること、交差する場合の伝達関数が注目断面からの距離に応じて不透明度を制御する関数であること以外は通常のボリュームレンダリングと考えてよい。すなわち、通常のボリュームレンダリングと同じように本実施形態でも、投影面上の各画素位置について光線追跡を行うことによって、レンダリング画像を得ている。
【0037】
なお、図7のフローチャートは、投影面上の着目画素位置における画素値を決定するための処理であるため、実際にはステップS107では図7のフローチャートに従った処理を、投影面上の各画素位置について行うことになる。
【0038】
ステップS201では、仮想空間中に規定の視点を設定すると共に、この設定された視点から、投影面上の着目画素位置への線分(視線ベクトル)を設定する。
【0039】
ステップS202では、ステップS201で設定した線分と、注目断面と、が交差するか否かを判断する。仮想空間中における断面(平面、局面にかかわらず)と線分とが交差しているか否かを判断するための技術については周知の技術であるため、これについての説明は省略する。この判断の結果、交差していると判断した場合は、処理はステップS203に進み、交差していないと判断した場合は、処理はステップS204に進む。
【0040】
ステップS204では、MRIボリュームデータ500中の各位置(各ボクセル)における値(ボクセル値)vが大きいほどより大きい不透明度(より小さい透明度)f(v)を返す伝達関数fを第1の関数として選択する。図4(a)に示した第1の関数の場合、0≦ボクセル値v<aの場合は不透明度=0を返し、a≦ボクセル値v<bの場合はボクセル値vに正比例する不透明度を返し、b≦ボクセル値vの場合は不透明度=1を返す関数である。このような第1の関数は以下の式(1)で表すことができる。
【0041】
【数1】
【0042】
ステップS203では、ボクセル値vが大きいほどより大きい不透明度(より小さい透明度)f(v、d)を返し且つ注目断面からの距離dが大きいほどより小さい不透明度(より大きい透明度)f(v、d)を返す伝達関数fを第2の関数として選択する。図4(b)に示した第2の関数の場合、距離d=0の場合は、第1の関数と同じ関数となるが、距離dが大きくなるに従って、第1の関数の値よりも小さい値を返す関数となっている。このような第2の関数は以下の式(2)で表すことができる。
【0043】
【数2】
【0044】
もちろん、第1の関数、第2の関数はこの式に限るものではなく、上記の性質を有するのであれば、どのような式で表してもよい。例えば、第2の関数として、注目断面からの距離がc以内であれば通常の不透明度を返し、距離がcよりも大きい場合は距離の増加に応じて小さい不透明度を返す関数を用いてもよい。このような関数は以下の式(3)で表すことができる。
【0045】
【数3】
【0046】
また、注目断面からの距離がcよりも大きい場合は不透明度=0を返す関数を第2の関数として用いてもよい。このような関数は以下の式(4)で表すことができる。
【0047】
【数4】
【0048】
また、第1の関数、第2の関数は関数プログラムとして実装できるが、ルックアップテーブルで実装してもよい。第1の関数を実装する第1のルックアップテーブルには、各ボクセル値vに対応する不透明度(若しくは透明度)が登録されることになる。また、第2の関数を実装する第2のルックアップテーブルには、各ボクセル値v、各距離d、の組み合わせ毎の不透明度(若しくは透明度)が登録されることになる。
【0049】
ステップS205では、ステップS201で求めた線分と被検体400のMRIボリュームデータ500との交点位置を求める。本ステップにおける処理について、図8を用いて説明する。図8に示す如く、ステップS201で求めた「視点800を通る線分890」とMRIボリュームデータ500との交点は、入射点801及び出射点802であるため、図8の場合、ステップS205では、入射点801及び出射点802の位置を求める。次に、入射点801と出射点802との間(線分890においてMRIボリュームデータ500に含まれる区間内)に適当なサンプリング間隔で点を設定する。以下では、入射点801及び出射点802、入射点801と出射点802との間に適当なサンプリング間隔で設定した各点、のそれぞれに対して、ステップS203若しくはステップS204で選択した関数を用いて不透明度を設定する。以下では、入射点801及び出射点802、入射点801と出射点802との間に適当なサンプリング間隔で設定した各点、のそれぞれを対象点と呼称する。
【0050】
ステップS206では、対象点のうち入射点801を注目点Pに設定する。ステップS207では、伝達関数として第1の関数が選択されたのか、第2の関数が選択されたのかに応じて処理が異なる。
【0051】
伝達関数として第1の関数が選択された場合、ステップS207では、注目点Pにおけるボクセルの値(ボクセル値)vをMRIボリュームデータ500から取得して第1の関数に入力し、第1の関数からの戻り値を、注目点Pに対する不透明度として取得する。
【0052】
伝達関数として第2の関数が選択された場合、ステップS207では、注目点Pにおけるボクセルの値(ボクセル値)vをMRIボリュームデータ500から取得すると共に、注目点Pと注目断面との距離dを求める。そしてこの取得したボクセル値v及び求めた距離dを第2の関数に入力し、第2の関数からの戻り値を、注目点Pに対する不透明度として取得する。例えば、第2の関数として上記の式(2)を用いた場合、図3に示す如く、注目点Pにおける不透明度は、注目断面からの距離に反比例することになる。
【0053】
そして更に、ステップS207では、この取得した不透明度と注目点Pにおける色とを乗算した結果を、この時点で着目画素について求めた画素値(最初は0)に加算することで、着目画素の画素値を更新する。なお、色については、MRIボリュームデータなどから得てもよい。
【0054】
次に、ステップS208では、ステップS206で注目点Pに設定した対象点に隣接する対象点(まだ注目点Pに設定していない対象点)を新たに注目点Pに設定する。
【0055】
ステップS209では、ステップS208で注目点Pに設定した対象点が出射点802であるか否かを判断する。この判断の結果、出射点802である場合は図7のフローチャートに従った処理は終了してステップS108に進み、出射点802ではない場合は、処理はステップS207に戻る。
【0056】
このように、図7のフローチャートに従った処理を行うことで、視点から、投影面上の着目画素位置への線分上の各点に対する不透明度を決定することができるため、この各点の不透明度から、着目画素位置における画素値を求めることができる。
【0057】
以上の説明により、本実施形態によれば、超音波断層像に対応するMRIボリュームデータ500中の断面の3次元構造を分かりやすく示すことができる。また、超音波断層像が被検体上のどのあたりを撮像したものであるのかも同時に示すことができる。
【0058】
また、式2のような伝達関数を適用することにより、注目断面501周辺の3次元的な構造をボリュームレンダリングによって描画することができる。また、このように伝達関数を切り替えることで、被検体400のどの部分を超音波プローブ300が走査しているのかがわかりやすく表示されるのと同時に、超音波断層像102に対応した部位の3次元構造を容易に把握することができる。
【0059】
<変形例1−1>
第1の実施形態では、注目断面は平面であるものとしていたが、曲面であってもよい。注目断面が曲面となる例として、乳房を被検体としたケースが挙げられる。乳腺科における一般的な撮像プロトコルでは、MRI装置による撮像を伏臥位(うつ伏せの体位)で行い、超音波診断装置による検査を仰臥位(あお向けの体位)で行うことが多い。そのため、MRI撮像時と超音波検査時とでは乳房の形が異なり、両者で撮像した場所の対応関係は単純なものではなくなる。このとき、超音波プローブ300が走査する断面302が平面であったとしても、これに対応する(この断面302と同じ部位を表す)MRIボリュームデータ上の断面は曲面となる。すなわち、この対応断面を注目断面とするならば、図9に示すように断面302に対応する注目断面502は曲面になる。
【0060】
なお、断面302の位置から注目断面502を求めることは、物理変形シミュレーション等の公知の処理により被検体の変形を推定することで実施可能である。また、注目断面502が曲面の場合には、式(2)で示した伝達関数を修正する必要がある。すなわち、式(2)におけるdを、夫々のボクセルから注目断面502上の最も近い点までの距離とすればよい。あるいは、計算を簡略化するために、注目断面502の近似平面を求めて、夫々のボクセルからこの近似平面へ下した垂線と注目断面502との交点を求めたうで、夫々のボクセルからこの交点までの距離を求めてもよい。このように、注目断面502が曲面となる場合でも上記の実施形態が適用可能であることは、上記の記載から明らかである。
【0061】
<変形例1−2>
第1の実施形態では、超音波プローブ300で走査する断面302と、断面302の位置に応じて決定する注目断面501と、は同じ部位を表すものとしていた。しかし、断面302と注目断面501とはそれぞれ異なる部位を指し示すようにしてもよい。
【0062】
先に述べたように、超音波画像診断では、MRIボリュームデータ中で病変部を探し、その箇所を超音波診断装置で観察することが行われることがある。その際には、注目断面501の位置は、常に病変部を映している方が望ましい。
【0063】
そこで本変形例では、図10に示すように、注目断面503の位置を病変部に固定し、注目断面503の姿勢のみ断面302と一致させる。この場合、ステップS101では、DB250から被検体400のMRIボリュームデータを読み出す際に、このMRIボリュームデータと関連づけてDB250に登録されている「病変部の位置情報」も読み出す。そして、取得した位置情報が表す病変部の位置を注目断面503の中心に設定したうえで、注目断面503の姿勢のみを断面302と一致させる。このように、断面302と注目断面503の位置を一致させず姿勢のみを一致させるようなケースであっても上記の実施形態が適用可能であることは、上記の記載から明らかである。
【0064】
もちろん、より一般的に、断面302の位置と注目断面の位置になんらかの対応関係をつけることができるケースであっても上記の実施形態が適用可能であることは、上記の記載から明らかである。
【0065】
[第2の実施形態]
本実施形態では、第1の実施形態に係る構成において、超音波断層像の撮像内容に応じてボリュームレンダリングに用いる伝達関数を調整する。以下では、第1の実施形態から変更した部分についてのみ説明する。即ち、以下で特に触れない限りは、第1の実施形態と同様であるものとする。
【0066】
本実施形態に係る画像処理装置は、超音波断層像102上で病変部と疑われる部分の分布に応じてボリュームレンダリングの伝達関数を決定する。これにより、病変部と疑われる部分がMRIボリュームデータ上でどのように撮像されているかを利用者に提示することができる。
【0067】
本実施形態が第1の実施形態と異なるのは、画像処理装置200が行う処理にある。本実施形態における画像処理装置200による処理を、同処理のフローチャートを示す図12を用いて説明する。図12のフローチャートは、図6のフローチャートにおいてステップS102とステップS103との間でステップS300における処理を行うと共に、ステップS107で式(2)を用いる場合にはこの式がステップS300の処理に応じて変化するものである。即ち、それ以外は図6のフローチャートと同じである。然るに以下では、本実施形態でステップS300,S107において行う処理について説明する。
【0068】
ステップS300では、超音波診断装置220から取得した超音波断層像から、伝達関数に対する重み値を求める。ステップS300における処理の詳細を、図13のフローチャートを用いて説明する。
【0069】
ステップS301では、超音波断層像中の病変部を検出するための周知の画像処理を、超音波診断装置220から取得した超音波断層像に対して施すことで、病変部(患部)の領域を検出する。本実施形態では、超音波断層像を構成する各画素に、該画素の輝度値があらかじめ設定した輝度値よりも小さい場合はビット値1、該画素の輝度値があらかじめ設定した輝度値よりも大きい場合はビット値0を割り当てる。これにより、超音波断層像の各画素に対するビット値から成る2値画像を生成することができるので、ビット値1が割り当てられた画素から成る領域を病変部の領域として検出することができる。なお、病変部と疑われる領域の検出方法はこれに限るものではなく、様々な方法を適用することができる。例えば、ベクトル集中度フィルタやパターンマッチング等のより高度な検出手法を用いて病変部と疑われる領域を検出してもよい。このような検出手法は何れも周知の技術であるため、これについての説明は省略する。
【0070】
ステップS302では、MRIボリュームデータと超音波断層像との位置合わせの誤差や見かけ上の病変部の大きさの差を考慮し、ステップS301で検出した領域を拡張する。具体的には、ステップS301で検出された領域を包含する領域を構成する各画素に対するビット値を1に更新することで、上記の2値画像を更新する。もちろん、この拡張処理は必要に応じて省いてもよい。
【0071】
次に、ステップS303では、ステップS302で更新された2値画像に対してローパスフィルタを用いたフィルタ処理を行うことで、フィルタ処理済み画像(各画素は0〜1の間の画素値を有する)を生成する。ここで、フィルタ処理済み画像上の各画素位置(超音波断層像上の各画素位置)に対応する注目断面上の位置、注目断面上の各位置に対応するフィルタ処理済み画像上の画素位置、は周知の技術により特定可能である。
【0072】
ステップS107では、第2の関数を選択した場合に次のような処理を行う。即ち、各対応点について、該対応点から注目断面に垂直におろした垂線が注目断面と交差する位置(x、y)に対応するフィルタ処理済み画像上の座標位置を求め、求めた座標位置の画素値を該対応点に対する重み値とする。そして、第2の関数を用いて算出した不透明度にこの重み値を乗じた結果を、該対応点の不透明度とする。
【0073】
ここで、超音波診断装置220が生成した超音波断層像が図11(a)に示した画像であるとする。超音波断層像中の病変部を検出するための周知の画像処理をこの超音波断層像に対して施すことで得られる上記の2値画像を図11(b)に示す。そしてこの2値画像中の病変部の領域を拡張した結果を図11(c)に示す。図11(c)では、病変部の領域を包含する楕円形の領域に拡張している。そして図11(c)に示した2値画像に対してローパスフィルタを用いたフィルタ処理を行うことで得られるフィルタ処理済み画像を図11(d)に示す。
【0074】
このように、超音波断層像で病変部と疑われる部分を重点的に表示することにより、利用者に注目すべき部分を示すとともに、不要な部分を表示しないことで注目すべき部分をより明確に表示することができる。
【0075】
以上の説明により、本実施形態によれば、超音波断層像で病変部と疑われる部分の近傍の不透明度に重みづけをすることで、病変部と疑われる部分がMRIボリュームデータ上でどのように撮像されているかを特に強調して提示できる。これにより、不要な部分を表示せずに注目すべき部分をより明確に表示することができる。
【0076】
<変形例2−1>
第2の実施形態では、2値画像に対してローパスフィルタを用いたフィルタ処理を行ったが、このフィルタ処理は必須ではない。また、画素ごとに病変部らしさが0〜1の尤度として得られるような検出処理をステップS301で行う場合には、この尤度の画像をそのまま上記のフィルタ処理済み画像の代わりに重み画像として用いてもよい。
【0077】
[第3の実施形態]
本実施形態では、参照画像101として2次元断層像ではなく、ボリュームレンダリングによる3次元断層像を表示する。参照画像101と超音波断層像102とを並列して表示することで、両者を同じ視点/同じ大きさで比較できる。また、参照画像101を3次元断層像とすることで、参照画像101の近傍も同時に表示することができる。このことは、参照画像101に映った病変部が超音波断層像102にて写っている場所を探す際に、超音波断層像102のどのあたりに病変部が写っているのかが分かりやすい。
【0078】
特に、病変部が小さい場合に参照画像101が2次元断層像であると、MRIボリュームデータと超音波断層像102との位置合わせの精度の限界から、参照画像101には病変部が映るが超音波断層像102には映らないことがある。このとき、参照画像101が厚みを持った3次元断層像であれば、超音波断層像102の位置がある程度ずれていても参照画像101に病変部を映すことができる。
【0079】
以下では、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明し、以下で特に触れない限りは第1の実施形態と同様であるものとする。本実施形態では、図2に示す如く、注目断面501をその法線方向に所定距離(例えば10cm)だけ移動させた面として投影面507を設定し、この投影面を用いたボリュームレンダリングを行うことで、この投影面上に参照画像101を生成する。
【0080】
本実施形態では、上記のステップS105及びステップS106において以下のような処理を行う。即ち、ステップS105では、上記のように投影面を設定した後、この投影面を用いてボリュームレンダリングを行い、ステップS106では、このボリュームレンダリングによる結果を参照画像101として表示装置100の表示画面上に表示する。
【0081】
以上の説明により、本実施形態によれば、3次元断層像としての参照画像101と超音波断層像102とを並列して表示することで、両者を同じ視点/同じ大きさで比較できると共に、参照画像101の近傍も同時に表示することができる。
【0082】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像を処理する画像処理技術に関するもので、特に、超音波画像診断を行う際に、他のボリュームデータを処理して超音波断層像と共に提示する為の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療の分野において、MRI等のモダリティによって被検体を撮像したボリュームデータ(以下、参照ボリュームデータ)中で病変部の位置を同定した上で、超音波診断装置によって該部位を撮像して観察する、という手順で画像診断を行う場合がある。このような診断を支援することを目的として、被検体に対する超音波プローブの位置と姿勢を計測することで、撮像している超音波断層像に対応した2次元の断層像を参照ボリュームデータから切り出して表示する装置が、例えば特許文献1で提案されている。このような装置では、参照ボリュームデータ中における病変部と、その病変部の超音波断層像と、を対比して表示することができる。
【0003】
また、特許文献1では、参照ボリュームデータの全体像をボリュームレンダリングしたうえで、撮像している超音波断層像の位置を同一空間内に提示することがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−279272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような装置では、撮像している超音波断層像に対応した参照ボリュームデータの断層像が2次元の画像として提示されるため、参照ボリュームデータの3次元構造が把握しにくいという課題があった。また、参照ボリュームデータの全体像のボリュームレンダリングを行っているため、撮像している超音波断層像に対応した部位の3次元構造を把握することが困難であった。特に、超音波断層像を撮像する際に参照ボリュームデータでの病変部の3次元構造と対比したいという要求を満たすことができなかった。
【0006】
本発明は以上の問題に鑑みてなされたものであり、撮像している超音波断層像に対応した部位の3次元構造をユーザに容易に把握させる為の技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するため、例えば、本発明の画像処理装置は、被検体のボリュームデータを用いてボリュームレンダリングを行うことで、規定の視点から見た該ボリュームデータの画像を生成するレンダリング手段と、前記画像を表示する表示手段とを有する画像処理装置であって、超音波プローブによって得られる前記被検体の超音波断層像を取得する取得手段と、前記ボリュームレンダリングの過程で前記ボリュームデータ中の各位置における不透明度を設定する際、該不透明度を求めるために前記視点から追跡する光線が、前記ボリュームデータ中の前記超音波断層像に対応する断面と交差していれば、前記光線において前記ボリュームデータに含まれる区間内の各位置における不透明度を、前記断面からの距離がより大きい位置における不透明度がより小さくなるように設定するよう前記レンダリング手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、撮像している超音波断層像に対応した部位の3次元構造をユーザに容易に把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】システムの構成例を示す図。
【図2】投影面の設定例を示す図。
【図3】注目点Pにおける不透明度を説明する図。
【図4】伝達関数の一例を示す図。
【図5】MRIボリュームデータ、視野平面、注目断面のそれぞれを示す図。
【図6】画像処理装置200が行う処理のフローチャート。
【図7】ステップS107における処理の詳細を示すフローチャート。
【図8】ステップS205における処理を説明する図。
【図9】曲面としての注目断面を示す図。
【図10】変形例1−2における注目断面の配置例を示す図。
【図11】フィルタ処理済み画像の生成過程を説明する図。
【図12】画像処理装置200が行う処理のフローチャート。
【図13】ステップS300における処理の詳細を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載した構成の具体的な実施例の一つである。
【0011】
[第1の実施形態]
本実施形態に係る画像処理装置は、予め撮像した被検体のMRIボリュームデータを参照ボリュームデータとし、参照ボリュームデータに基づいてボリュームレンダリングした画像と、この被検体の超音波断層像と、の対応関係を提示する。このボリュームレンダリングでは、超音波断層像に対応するMRIボリュームデータ中の断面(注目断面)からの距離が大きくなるにつれて透明度を上げる(不透明度を下げる)ような伝達関数を用いる。これにより、超音波断層像に対応した部位の3次元構造を容易に把握することができる。また、ボリュームレンダリングの際に(ボリュームレンダリングの過程で)追跡する光線が注目断面と交差しない画素に関しては、通常の伝達関数を用いたボリュームレンダリングを行う。これにより、被検体の中での超音波断層像の3次元的な位置を把握しながら、超音波断層像に対応した部位の3次元構造を把握することができる。
【0012】
先ず、本実施形態に係るシステムの構成例について、図1を用いて説明する。図1に示す如く、本実施形態に係るシステムは、画像処理装置200、表示装置100、データベース(DB)250、超音波診断装置220、超音波プローブ300、位置姿勢センサ301、を有する。
【0013】
超音波プローブ300は周知の如く、超音波を照射して、被検体400の部位(図1では断面302)のデータを超音波データとして収集する。超音波プローブ300は、この収集した超音波データを、超音波診断装置220に送出する。
【0014】
また、超音波プローブ300には、位置姿勢センサ301が取り付けられている。位置姿勢センサ301には、様々な測定方法の位置姿勢センサを適用することができ、本実施形態では如何なる位置姿勢センサを適用してもよい。位置姿勢センサ301は自身の位置姿勢を計測するものであり、以下では、位置姿勢センサ301が計測した位置姿勢を超音波プローブ300の位置姿勢として取り扱う。しかし、位置姿勢センサ301が計測した位置姿勢に規定のバイアスを加えたり、規定の変換を施したりしたものを、超音波プローブ300の位置姿勢として取り扱うようにしてもよい。さらには、本実施形態では、超音波プローブ300の位置姿勢を取得することができればよい為、例えば、カメラが撮像した超音波プローブ300の撮像画像を用いてこの超音波プローブ300の位置姿勢を求めるような方法を採用してもよい。然るに、本実施形態では、超音波プローブ300の位置姿勢を取得することができるのであれば、如何なる方法を採用してもよい。いずれにせよ、超音波プローブ300の位置姿勢(本実施形態では位置姿勢センサ301が計測した位置姿勢)は、画像処理装置200に入力される。
【0015】
超音波診断装置220は、超音波プローブ300からの超音波データを用いて、超音波を照射した被検体400の部位(図1では断面302)の超音波断層像を生成する。超音波プローブ300が収集したデータから超音波断層像を生成するための技術については周知であるため、これについての説明は省略する。そして超音波診断装置220は、生成した超音波断層像を画像処理装置200に入力する。
【0016】
DB250には、MRI等により予め撮像した被検体400のボリュームデータが保存されており、画像処理装置200は、このボリュームデータを適宜読み出すことができる。本実施形態では、このボリュームデータはMRIボリュームデータであるとするが、他の方法により収集したボリュームデータであってもよい。
【0017】
次に、画像処理装置200について説明する。CPU11は、RAM12やROM13に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて、画像処理装置200全体の動作制御を行うと共に、画像処理装置200が行うものとして後述する各処理を実行する。
【0018】
RAM12は、外部記憶装置15からロードされたコンピュータプログラムやデータ、I/F16を介してDB250、超音波診断装置220、位置姿勢センサ301から受信した様々な情報を一時的に記憶するためのエリアを有する。更にRAM12は、CPU11が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアを有する。即ち、RAM12は、様々なエリアを適宜提供することができる。ROM13には、画像処理装置200の設定データやブートプログラムなどが格納されている。
【0019】
操作部14は、キーボードやマウスなどにより構成されており、画像処理装置200のユーザが操作することで、各種の指示をCPU11に対して入力することができる。
【0020】
外部記憶装置15は、ハードディスクドライブ装置に代表される、大容量情報記憶装置である。外部記憶装置15には、OS(オペレーティングシステム)や、画像処理装置200が行うものとして後述する各処理をCPU11に実行させるためのコンピュータプログラムやデータが保存されている。また、外部記憶装置15には、以下の説明において既知の情報として取り扱っている情報も保存されている。外部記憶装置15に保存されているコンピュータプログラムやデータは、CPU11による制御に従って適宜RAM12にロードされ、CPU11による処理対象となる。
【0021】
I/F16には、DB250、超音波診断装置220、位置姿勢センサ301が接続されており、それぞれの機器とはこのI/F16を介して通信することになる。なお、図1では簡略化のために、それぞれの機器とのI/FはI/F16で兼用しているが、機器毎にI/Fを設けるようにしてもよい。また、上記の各部はバス17に接続されている。
【0022】
画像処理装置200は、超音波診断装置220から送出された断面302の超音波断層像を受信すると、この超音波断層像を、表示装置100の表示画面上に超音波断層像102として表示する。
【0023】
また画像処理装置200は、DB250から読み出した被検体400のMRIボリュームデータを用いてボリュームレンダリングを行うことで、規定の視点から見た被検体400のMRIボリュームデータの画像を生成する。そして画像処理装置200は、この生成した画像を、俯瞰図(103)として表示装置100の表示画面上に表示する。
【0024】
また、画像処理装置200は、断面302に対応するMRIボリュームデータ中の2次元断層像を生成し、生成した2次元断層像を、超音波断層像102に対応する参照画像101として表示装置100の表示画面上に表示する。なお、参照画像101の表示は必須ではない。
【0025】
画像処理装置200が行う処理を、同処理のフローチャートを示す図6を用いて更に詳細に説明する。なお、図6のフローチャートに従った処理は、外部記憶装置15からRAM12にロードされたコンピュータプログラムやデータを用いてCPU11が実行するものである。そのため、特に説明がない限りは、図6に示した各ステップにおける処理の主体は何れもCPU11である。
【0026】
ステップS101では、DB250からRAM12に、被検体400のMRIボリュームデータを読み出す(ダウンロードする)。この読み出しは、ユーザが操作部14を用いて入力した読み出し指示をCPU11が検知したことに応じて行ってもよい。
【0027】
ステップS102では、超音波診断装置220から送出された断面302の超音波断層像を受信してRAM12に一時的に格納し、その後、この超音波断層像を超音波断層像102として表示装置100の表示画面上に表示する。この表示は、ユーザが操作部14を用いて入力した表示指示をCPU11が検知したことに応じて行ってもよい。また、表示のオン/オフをこの表示指示によって切り替えてもよい。
【0028】
ステップS103では、位置姿勢センサ301から送出された超音波プローブ300の位置姿勢を受信してRAM12に一時的に格納する。
【0029】
ステップS104では、ステップS103で取得した位置姿勢(超音波プローブ300が断面302の超音波データを収集しているときに位置姿勢センサ301が計測した位置姿勢)を用いて、断面302に対応するMRIボリュームデータ中の断面を特定する。ステップS103で取得した位置姿勢を用いて、断面302に対応するMRIボリュームデータ中の断面を特定する処理は周知の技術であるため、これに係る説明は省略する。また、以下では、断面302に対応するMRIボリュームデータ中の断面を注目断面と呼称する。
【0030】
位置姿勢センサ301が位置姿勢を計測する座標系とMRIボリュームデータを配置する空間(仮想空間)の座標系との位置姿勢関係が既知であれば、位置姿勢センサ301が計測した位置姿勢に対応する仮想空間中の位置姿勢は周知の方法で特定可能である。然るに、超音波プローブ300が断面302の超音波データを収集しているときに位置姿勢センサ301が計測した位置姿勢を用いれば、周知の方法でもって、断面302に対応するMRIボリュームデータ中の断面は特定することができる。
【0031】
次にステップS105では、ステップS101で受信したMRIボリュームデータから周知の技術でもって、ステップS104で特定した注目断面の2次元断層像を生成する。そしてステップS106では、ステップS105で生成した2次元断層像を、参照画像101として表示装置100の表示画面上に表示する。
【0032】
ステップS107では、MRIボリュームデータを用いてボリュームレンダリングすることで、規定の視点から見た被検体400のMRIボリュームデータの画像を生成する。ボリュームレンダリングを行う場合、MRIボリュームデータと視点との間に投影面(視野平面)を配置する。視野平面は、MRIボリュームデータ全体をボリュームレンダリングすることができるように配置されるもので、これは規定の位置姿勢で配置してもよいし、ユーザが操作部14を用いて位置姿勢を調整して配置してもよい。
【0033】
被検体400のMRIボリュームデータ、視野平面、注目断面のそれぞれを図5に示す。図5に示す如く、ステップS107では、被検体400のMRIボリュームデータ500と不図示の視点との間に視野平面508を配置する。501は断面302に対応するMRIボリュームデータ500中の注目断面である。
【0034】
そして更にステップS107では、MRIボリュームデータを用いてボリュームレンダリングを行うことで、この投影面上に、規定の視点から見た「被検体400のMRIボリュームデータ500」の画像を生成する。
【0035】
ステップS108では、ステップS107で生成した画像を、俯瞰図(103)として表示装置100の表示画面上に表示する。なお、参照画像101、超音波断層像102、俯瞰図(103)のそれぞれの表示レイアウトは図1に示した表示レイアウトに限るものではなく、任意の表示レイアウトが考え得る。また、超音波断層像102と俯瞰図(103)との対応関係をユーザに提示することができるのであれば、その表示方法は特定の表示方法に限るものではない。また、それぞれの画像の表示のオン/オフはユーザによる操作などに応じて切り替えるようにしてもよい。
【0036】
次に、ステップS107における処理の詳細を、図7のフローチャートを用いて説明する。ステップS107では、仮想空間中に上記の視点を設定し、この設定された視点から、投影面上の各画素位置への線分(光線)を設定し、該線分が注目断面と交差するか否かに応じて、該画素位置における透明度を決定するための伝達関数を切り替える。そしてボリュームレンダリングでは、投影面上の各画素位置における透明度をこの伝達関数に基づいて決定する。即ち本実施形態のボリュームレンダリングは、上記線分が注目断面と交差するのかに応じて伝達関数を切り替えること、交差する場合の伝達関数が注目断面からの距離に応じて不透明度を制御する関数であること以外は通常のボリュームレンダリングと考えてよい。すなわち、通常のボリュームレンダリングと同じように本実施形態でも、投影面上の各画素位置について光線追跡を行うことによって、レンダリング画像を得ている。
【0037】
なお、図7のフローチャートは、投影面上の着目画素位置における画素値を決定するための処理であるため、実際にはステップS107では図7のフローチャートに従った処理を、投影面上の各画素位置について行うことになる。
【0038】
ステップS201では、仮想空間中に規定の視点を設定すると共に、この設定された視点から、投影面上の着目画素位置への線分(視線ベクトル)を設定する。
【0039】
ステップS202では、ステップS201で設定した線分と、注目断面と、が交差するか否かを判断する。仮想空間中における断面(平面、局面にかかわらず)と線分とが交差しているか否かを判断するための技術については周知の技術であるため、これについての説明は省略する。この判断の結果、交差していると判断した場合は、処理はステップS203に進み、交差していないと判断した場合は、処理はステップS204に進む。
【0040】
ステップS204では、MRIボリュームデータ500中の各位置(各ボクセル)における値(ボクセル値)vが大きいほどより大きい不透明度(より小さい透明度)f(v)を返す伝達関数fを第1の関数として選択する。図4(a)に示した第1の関数の場合、0≦ボクセル値v<aの場合は不透明度=0を返し、a≦ボクセル値v<bの場合はボクセル値vに正比例する不透明度を返し、b≦ボクセル値vの場合は不透明度=1を返す関数である。このような第1の関数は以下の式(1)で表すことができる。
【0041】
【数1】
【0042】
ステップS203では、ボクセル値vが大きいほどより大きい不透明度(より小さい透明度)f(v、d)を返し且つ注目断面からの距離dが大きいほどより小さい不透明度(より大きい透明度)f(v、d)を返す伝達関数fを第2の関数として選択する。図4(b)に示した第2の関数の場合、距離d=0の場合は、第1の関数と同じ関数となるが、距離dが大きくなるに従って、第1の関数の値よりも小さい値を返す関数となっている。このような第2の関数は以下の式(2)で表すことができる。
【0043】
【数2】
【0044】
もちろん、第1の関数、第2の関数はこの式に限るものではなく、上記の性質を有するのであれば、どのような式で表してもよい。例えば、第2の関数として、注目断面からの距離がc以内であれば通常の不透明度を返し、距離がcよりも大きい場合は距離の増加に応じて小さい不透明度を返す関数を用いてもよい。このような関数は以下の式(3)で表すことができる。
【0045】
【数3】
【0046】
また、注目断面からの距離がcよりも大きい場合は不透明度=0を返す関数を第2の関数として用いてもよい。このような関数は以下の式(4)で表すことができる。
【0047】
【数4】
【0048】
また、第1の関数、第2の関数は関数プログラムとして実装できるが、ルックアップテーブルで実装してもよい。第1の関数を実装する第1のルックアップテーブルには、各ボクセル値vに対応する不透明度(若しくは透明度)が登録されることになる。また、第2の関数を実装する第2のルックアップテーブルには、各ボクセル値v、各距離d、の組み合わせ毎の不透明度(若しくは透明度)が登録されることになる。
【0049】
ステップS205では、ステップS201で求めた線分と被検体400のMRIボリュームデータ500との交点位置を求める。本ステップにおける処理について、図8を用いて説明する。図8に示す如く、ステップS201で求めた「視点800を通る線分890」とMRIボリュームデータ500との交点は、入射点801及び出射点802であるため、図8の場合、ステップS205では、入射点801及び出射点802の位置を求める。次に、入射点801と出射点802との間(線分890においてMRIボリュームデータ500に含まれる区間内)に適当なサンプリング間隔で点を設定する。以下では、入射点801及び出射点802、入射点801と出射点802との間に適当なサンプリング間隔で設定した各点、のそれぞれに対して、ステップS203若しくはステップS204で選択した関数を用いて不透明度を設定する。以下では、入射点801及び出射点802、入射点801と出射点802との間に適当なサンプリング間隔で設定した各点、のそれぞれを対象点と呼称する。
【0050】
ステップS206では、対象点のうち入射点801を注目点Pに設定する。ステップS207では、伝達関数として第1の関数が選択されたのか、第2の関数が選択されたのかに応じて処理が異なる。
【0051】
伝達関数として第1の関数が選択された場合、ステップS207では、注目点Pにおけるボクセルの値(ボクセル値)vをMRIボリュームデータ500から取得して第1の関数に入力し、第1の関数からの戻り値を、注目点Pに対する不透明度として取得する。
【0052】
伝達関数として第2の関数が選択された場合、ステップS207では、注目点Pにおけるボクセルの値(ボクセル値)vをMRIボリュームデータ500から取得すると共に、注目点Pと注目断面との距離dを求める。そしてこの取得したボクセル値v及び求めた距離dを第2の関数に入力し、第2の関数からの戻り値を、注目点Pに対する不透明度として取得する。例えば、第2の関数として上記の式(2)を用いた場合、図3に示す如く、注目点Pにおける不透明度は、注目断面からの距離に反比例することになる。
【0053】
そして更に、ステップS207では、この取得した不透明度と注目点Pにおける色とを乗算した結果を、この時点で着目画素について求めた画素値(最初は0)に加算することで、着目画素の画素値を更新する。なお、色については、MRIボリュームデータなどから得てもよい。
【0054】
次に、ステップS208では、ステップS206で注目点Pに設定した対象点に隣接する対象点(まだ注目点Pに設定していない対象点)を新たに注目点Pに設定する。
【0055】
ステップS209では、ステップS208で注目点Pに設定した対象点が出射点802であるか否かを判断する。この判断の結果、出射点802である場合は図7のフローチャートに従った処理は終了してステップS108に進み、出射点802ではない場合は、処理はステップS207に戻る。
【0056】
このように、図7のフローチャートに従った処理を行うことで、視点から、投影面上の着目画素位置への線分上の各点に対する不透明度を決定することができるため、この各点の不透明度から、着目画素位置における画素値を求めることができる。
【0057】
以上の説明により、本実施形態によれば、超音波断層像に対応するMRIボリュームデータ500中の断面の3次元構造を分かりやすく示すことができる。また、超音波断層像が被検体上のどのあたりを撮像したものであるのかも同時に示すことができる。
【0058】
また、式2のような伝達関数を適用することにより、注目断面501周辺の3次元的な構造をボリュームレンダリングによって描画することができる。また、このように伝達関数を切り替えることで、被検体400のどの部分を超音波プローブ300が走査しているのかがわかりやすく表示されるのと同時に、超音波断層像102に対応した部位の3次元構造を容易に把握することができる。
【0059】
<変形例1−1>
第1の実施形態では、注目断面は平面であるものとしていたが、曲面であってもよい。注目断面が曲面となる例として、乳房を被検体としたケースが挙げられる。乳腺科における一般的な撮像プロトコルでは、MRI装置による撮像を伏臥位(うつ伏せの体位)で行い、超音波診断装置による検査を仰臥位(あお向けの体位)で行うことが多い。そのため、MRI撮像時と超音波検査時とでは乳房の形が異なり、両者で撮像した場所の対応関係は単純なものではなくなる。このとき、超音波プローブ300が走査する断面302が平面であったとしても、これに対応する(この断面302と同じ部位を表す)MRIボリュームデータ上の断面は曲面となる。すなわち、この対応断面を注目断面とするならば、図9に示すように断面302に対応する注目断面502は曲面になる。
【0060】
なお、断面302の位置から注目断面502を求めることは、物理変形シミュレーション等の公知の処理により被検体の変形を推定することで実施可能である。また、注目断面502が曲面の場合には、式(2)で示した伝達関数を修正する必要がある。すなわち、式(2)におけるdを、夫々のボクセルから注目断面502上の最も近い点までの距離とすればよい。あるいは、計算を簡略化するために、注目断面502の近似平面を求めて、夫々のボクセルからこの近似平面へ下した垂線と注目断面502との交点を求めたうで、夫々のボクセルからこの交点までの距離を求めてもよい。このように、注目断面502が曲面となる場合でも上記の実施形態が適用可能であることは、上記の記載から明らかである。
【0061】
<変形例1−2>
第1の実施形態では、超音波プローブ300で走査する断面302と、断面302の位置に応じて決定する注目断面501と、は同じ部位を表すものとしていた。しかし、断面302と注目断面501とはそれぞれ異なる部位を指し示すようにしてもよい。
【0062】
先に述べたように、超音波画像診断では、MRIボリュームデータ中で病変部を探し、その箇所を超音波診断装置で観察することが行われることがある。その際には、注目断面501の位置は、常に病変部を映している方が望ましい。
【0063】
そこで本変形例では、図10に示すように、注目断面503の位置を病変部に固定し、注目断面503の姿勢のみ断面302と一致させる。この場合、ステップS101では、DB250から被検体400のMRIボリュームデータを読み出す際に、このMRIボリュームデータと関連づけてDB250に登録されている「病変部の位置情報」も読み出す。そして、取得した位置情報が表す病変部の位置を注目断面503の中心に設定したうえで、注目断面503の姿勢のみを断面302と一致させる。このように、断面302と注目断面503の位置を一致させず姿勢のみを一致させるようなケースであっても上記の実施形態が適用可能であることは、上記の記載から明らかである。
【0064】
もちろん、より一般的に、断面302の位置と注目断面の位置になんらかの対応関係をつけることができるケースであっても上記の実施形態が適用可能であることは、上記の記載から明らかである。
【0065】
[第2の実施形態]
本実施形態では、第1の実施形態に係る構成において、超音波断層像の撮像内容に応じてボリュームレンダリングに用いる伝達関数を調整する。以下では、第1の実施形態から変更した部分についてのみ説明する。即ち、以下で特に触れない限りは、第1の実施形態と同様であるものとする。
【0066】
本実施形態に係る画像処理装置は、超音波断層像102上で病変部と疑われる部分の分布に応じてボリュームレンダリングの伝達関数を決定する。これにより、病変部と疑われる部分がMRIボリュームデータ上でどのように撮像されているかを利用者に提示することができる。
【0067】
本実施形態が第1の実施形態と異なるのは、画像処理装置200が行う処理にある。本実施形態における画像処理装置200による処理を、同処理のフローチャートを示す図12を用いて説明する。図12のフローチャートは、図6のフローチャートにおいてステップS102とステップS103との間でステップS300における処理を行うと共に、ステップS107で式(2)を用いる場合にはこの式がステップS300の処理に応じて変化するものである。即ち、それ以外は図6のフローチャートと同じである。然るに以下では、本実施形態でステップS300,S107において行う処理について説明する。
【0068】
ステップS300では、超音波診断装置220から取得した超音波断層像から、伝達関数に対する重み値を求める。ステップS300における処理の詳細を、図13のフローチャートを用いて説明する。
【0069】
ステップS301では、超音波断層像中の病変部を検出するための周知の画像処理を、超音波診断装置220から取得した超音波断層像に対して施すことで、病変部(患部)の領域を検出する。本実施形態では、超音波断層像を構成する各画素に、該画素の輝度値があらかじめ設定した輝度値よりも小さい場合はビット値1、該画素の輝度値があらかじめ設定した輝度値よりも大きい場合はビット値0を割り当てる。これにより、超音波断層像の各画素に対するビット値から成る2値画像を生成することができるので、ビット値1が割り当てられた画素から成る領域を病変部の領域として検出することができる。なお、病変部と疑われる領域の検出方法はこれに限るものではなく、様々な方法を適用することができる。例えば、ベクトル集中度フィルタやパターンマッチング等のより高度な検出手法を用いて病変部と疑われる領域を検出してもよい。このような検出手法は何れも周知の技術であるため、これについての説明は省略する。
【0070】
ステップS302では、MRIボリュームデータと超音波断層像との位置合わせの誤差や見かけ上の病変部の大きさの差を考慮し、ステップS301で検出した領域を拡張する。具体的には、ステップS301で検出された領域を包含する領域を構成する各画素に対するビット値を1に更新することで、上記の2値画像を更新する。もちろん、この拡張処理は必要に応じて省いてもよい。
【0071】
次に、ステップS303では、ステップS302で更新された2値画像に対してローパスフィルタを用いたフィルタ処理を行うことで、フィルタ処理済み画像(各画素は0〜1の間の画素値を有する)を生成する。ここで、フィルタ処理済み画像上の各画素位置(超音波断層像上の各画素位置)に対応する注目断面上の位置、注目断面上の各位置に対応するフィルタ処理済み画像上の画素位置、は周知の技術により特定可能である。
【0072】
ステップS107では、第2の関数を選択した場合に次のような処理を行う。即ち、各対応点について、該対応点から注目断面に垂直におろした垂線が注目断面と交差する位置(x、y)に対応するフィルタ処理済み画像上の座標位置を求め、求めた座標位置の画素値を該対応点に対する重み値とする。そして、第2の関数を用いて算出した不透明度にこの重み値を乗じた結果を、該対応点の不透明度とする。
【0073】
ここで、超音波診断装置220が生成した超音波断層像が図11(a)に示した画像であるとする。超音波断層像中の病変部を検出するための周知の画像処理をこの超音波断層像に対して施すことで得られる上記の2値画像を図11(b)に示す。そしてこの2値画像中の病変部の領域を拡張した結果を図11(c)に示す。図11(c)では、病変部の領域を包含する楕円形の領域に拡張している。そして図11(c)に示した2値画像に対してローパスフィルタを用いたフィルタ処理を行うことで得られるフィルタ処理済み画像を図11(d)に示す。
【0074】
このように、超音波断層像で病変部と疑われる部分を重点的に表示することにより、利用者に注目すべき部分を示すとともに、不要な部分を表示しないことで注目すべき部分をより明確に表示することができる。
【0075】
以上の説明により、本実施形態によれば、超音波断層像で病変部と疑われる部分の近傍の不透明度に重みづけをすることで、病変部と疑われる部分がMRIボリュームデータ上でどのように撮像されているかを特に強調して提示できる。これにより、不要な部分を表示せずに注目すべき部分をより明確に表示することができる。
【0076】
<変形例2−1>
第2の実施形態では、2値画像に対してローパスフィルタを用いたフィルタ処理を行ったが、このフィルタ処理は必須ではない。また、画素ごとに病変部らしさが0〜1の尤度として得られるような検出処理をステップS301で行う場合には、この尤度の画像をそのまま上記のフィルタ処理済み画像の代わりに重み画像として用いてもよい。
【0077】
[第3の実施形態]
本実施形態では、参照画像101として2次元断層像ではなく、ボリュームレンダリングによる3次元断層像を表示する。参照画像101と超音波断層像102とを並列して表示することで、両者を同じ視点/同じ大きさで比較できる。また、参照画像101を3次元断層像とすることで、参照画像101の近傍も同時に表示することができる。このことは、参照画像101に映った病変部が超音波断層像102にて写っている場所を探す際に、超音波断層像102のどのあたりに病変部が写っているのかが分かりやすい。
【0078】
特に、病変部が小さい場合に参照画像101が2次元断層像であると、MRIボリュームデータと超音波断層像102との位置合わせの精度の限界から、参照画像101には病変部が映るが超音波断層像102には映らないことがある。このとき、参照画像101が厚みを持った3次元断層像であれば、超音波断層像102の位置がある程度ずれていても参照画像101に病変部を映すことができる。
【0079】
以下では、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明し、以下で特に触れない限りは第1の実施形態と同様であるものとする。本実施形態では、図2に示す如く、注目断面501をその法線方向に所定距離(例えば10cm)だけ移動させた面として投影面507を設定し、この投影面を用いたボリュームレンダリングを行うことで、この投影面上に参照画像101を生成する。
【0080】
本実施形態では、上記のステップS105及びステップS106において以下のような処理を行う。即ち、ステップS105では、上記のように投影面を設定した後、この投影面を用いてボリュームレンダリングを行い、ステップS106では、このボリュームレンダリングによる結果を参照画像101として表示装置100の表示画面上に表示する。
【0081】
以上の説明により、本実施形態によれば、3次元断層像としての参照画像101と超音波断層像102とを並列して表示することで、両者を同じ視点/同じ大きさで比較できると共に、参照画像101の近傍も同時に表示することができる。
【0082】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体のボリュームデータを用いてボリュームレンダリングを行うことで、規定の視点から見た該ボリュームデータの画像を生成するレンダリング手段と、
前記画像を表示する表示手段と
を有する画像処理装置であって、
超音波プローブによって得られる前記被検体の超音波断層像を取得する取得手段と、
前記ボリュームレンダリングの過程で前記ボリュームデータ中の各位置における不透明度を設定する際、該不透明度を求めるために前記視点から追跡する光線が、前記ボリュームデータ中の前記超音波断層像に対応する断面と交差していれば、前記光線において前記ボリュームデータに含まれる区間内の各位置における不透明度を、前記断面からの距離がより大きい位置における不透明度がより小さくなるように設定するよう前記レンダリング手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記画像を生成するために前記視点と前記ボリュームデータとの間に配置される投影面上の各画素について、前記視点と該画素とを通る光線が前記断面と交差するか否かを判断する判断手段と、
前記視点と着目画素とを通る光線が前記断面と交差しないと判断した場合、ボクセル値が大きいほどより大きい不透明度を返す第1の関数を選択し、前記視点と着目画素とを通る光線が前記断面と交差すると判断した場合、ボクセル値が大きいほどより大きい不透明度を返し且つ前記断面からの距離が大きいほどより小さい不透明度を返す第2の関数を選択する選択手段とを備え、
前記レンダリング手段は前記ボリュームレンダリングの過程で、
前記選択手段が第1の関数を選択した場合、前記視点と着目画素とを通る光線において前記ボリュームデータに含まれる区間内の各位置におけるボクセル値を前記第1の関数に入力することで得られる不透明度を該各位置における不透明度に設定し、
前記選択手段が第2の関数を選択した場合、前記視点と着目画素とを通る光線において前記ボリュームデータに含まれる区間内の各位置におけるボクセル値及び該各位置から前記断面までの距離を前記第2の関数に入力することで得られる不透明度を該各位置における不透明度に設定することで、前記ボリュームデータ中の各位置における不透明度を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
更に、
前記超音波断層像において規定の画素値を有する画素から成る領域を病変部の領域として検出し、該病変部の領域と該領域いがいの領域とを異なる画素値で表す2値画像、若しくは該2値画像に対してローパスフィルタを用いたフィルタ処理を行うことでフィルタ処理済み画像を生成する生成手段を備え、
前記レンダリング手段は、前記選択手段が第2の関数を選択した場合、前記視点と着目画素とを通る光線において前記ボリュームデータに含まれる区間内の各位置について、該位置から前記断面におろした垂線と該断面との交点位置を求め、該交点位置に対応する前記2値画像じょうの座標位置、若しくは前記フィルタ処理済み画像上の座標位置における画素値を該位置の重み値として特定し、
前記各位置のそれぞれについて、該位置について前記第2の関数から得られる不透明度に該位置の重み値を乗じた結果を、該位置における不透明度に設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示手段は更に、前記超音波断層像を表示することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
被検体のボリュームデータを用いてボリュームレンダリングを行うことで、規定の視点から見た該ボリュームデータの画像を生成するレンダリング手段と、
前記画像を表示する表示手段と
を有する画像処理装置が行う画像処理方法であって、
前記画像処理装置の取得手段が、超音波プローブによって得られる前記被検体の超音波断層像を取得する取得工程と、
前記画像処理装置の制御手段が、前記ボリュームレンダリングの過程で前記ボリュームデータ中の各位置における不透明度を設定する際、該不透明度を求めるために前記視点から追跡する光線が、前記ボリュームデータ中の前記超音波断層像に対応する断面と交差していれば、前記光線において前記ボリュームデータに含まれる区間内の各位置における不透明度を、前記断面からの距離がより大きい位置における不透明度がより小さくなるように設定するよう前記レンダリング手段を制御する制御工程と
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項1】
被検体のボリュームデータを用いてボリュームレンダリングを行うことで、規定の視点から見た該ボリュームデータの画像を生成するレンダリング手段と、
前記画像を表示する表示手段と
を有する画像処理装置であって、
超音波プローブによって得られる前記被検体の超音波断層像を取得する取得手段と、
前記ボリュームレンダリングの過程で前記ボリュームデータ中の各位置における不透明度を設定する際、該不透明度を求めるために前記視点から追跡する光線が、前記ボリュームデータ中の前記超音波断層像に対応する断面と交差していれば、前記光線において前記ボリュームデータに含まれる区間内の各位置における不透明度を、前記断面からの距離がより大きい位置における不透明度がより小さくなるように設定するよう前記レンダリング手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記画像を生成するために前記視点と前記ボリュームデータとの間に配置される投影面上の各画素について、前記視点と該画素とを通る光線が前記断面と交差するか否かを判断する判断手段と、
前記視点と着目画素とを通る光線が前記断面と交差しないと判断した場合、ボクセル値が大きいほどより大きい不透明度を返す第1の関数を選択し、前記視点と着目画素とを通る光線が前記断面と交差すると判断した場合、ボクセル値が大きいほどより大きい不透明度を返し且つ前記断面からの距離が大きいほどより小さい不透明度を返す第2の関数を選択する選択手段とを備え、
前記レンダリング手段は前記ボリュームレンダリングの過程で、
前記選択手段が第1の関数を選択した場合、前記視点と着目画素とを通る光線において前記ボリュームデータに含まれる区間内の各位置におけるボクセル値を前記第1の関数に入力することで得られる不透明度を該各位置における不透明度に設定し、
前記選択手段が第2の関数を選択した場合、前記視点と着目画素とを通る光線において前記ボリュームデータに含まれる区間内の各位置におけるボクセル値及び該各位置から前記断面までの距離を前記第2の関数に入力することで得られる不透明度を該各位置における不透明度に設定することで、前記ボリュームデータ中の各位置における不透明度を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
更に、
前記超音波断層像において規定の画素値を有する画素から成る領域を病変部の領域として検出し、該病変部の領域と該領域いがいの領域とを異なる画素値で表す2値画像、若しくは該2値画像に対してローパスフィルタを用いたフィルタ処理を行うことでフィルタ処理済み画像を生成する生成手段を備え、
前記レンダリング手段は、前記選択手段が第2の関数を選択した場合、前記視点と着目画素とを通る光線において前記ボリュームデータに含まれる区間内の各位置について、該位置から前記断面におろした垂線と該断面との交点位置を求め、該交点位置に対応する前記2値画像じょうの座標位置、若しくは前記フィルタ処理済み画像上の座標位置における画素値を該位置の重み値として特定し、
前記各位置のそれぞれについて、該位置について前記第2の関数から得られる不透明度に該位置の重み値を乗じた結果を、該位置における不透明度に設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示手段は更に、前記超音波断層像を表示することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
被検体のボリュームデータを用いてボリュームレンダリングを行うことで、規定の視点から見た該ボリュームデータの画像を生成するレンダリング手段と、
前記画像を表示する表示手段と
を有する画像処理装置が行う画像処理方法であって、
前記画像処理装置の取得手段が、超音波プローブによって得られる前記被検体の超音波断層像を取得する取得工程と、
前記画像処理装置の制御手段が、前記ボリュームレンダリングの過程で前記ボリュームデータ中の各位置における不透明度を設定する際、該不透明度を求めるために前記視点から追跡する光線が、前記ボリュームデータ中の前記超音波断層像に対応する断面と交差していれば、前記光線において前記ボリュームデータに含まれる区間内の各位置における不透明度を、前記断面からの距離がより大きい位置における不透明度がより小さくなるように設定するよう前記レンダリング手段を制御する制御工程と
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図11】
【公開番号】特開2013−27433(P2013−27433A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163688(P2011−163688)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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