説明

画像処理装置、画像処理装置における揮発性のメモリの制御方法、およびコンピュータプログラム

【課題】ハイバネーションを用いた場合の起動の時間を従来よりも短くする。
【解決手段】画像形成装置1は、RAM1Bに記憶されている、USBメモリ6を使用するジョブを実行するのに必要なデータを用いて、スナップショットデータ5を生成する。そして、オペレーティングシステムの起動の際にUSBコントローラ1LがUSBメモリ6へアクセスすることができる場合のであれば、USBメモリ6に記憶されているスナップショットデータ5をRAM1Bに復元する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFPなどの画像処理装置における揮発性のメモリの制御の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー、LANプリント、スキャン、ファックス、およびファイルサーバなどの様々な機能を備えた画像形成装置が普及している。このような画像形成装置は、「複合機」または「MFP(Multi Function Peripherals)」などと呼ばれる。機能が増えたのは、ハードウェアの性能が向上したことにも因るが、様々なアプリケーションが普及したことも大きな原因の1つである。
【0003】
したがって、画像形成装置の機能が増えれば増えるほど、画像形成装置を起動する際に、ハードウェアの設定のデータおよびプログラムを多く、RAMまたはレジスタにロードしなければならなくなる。
【0004】
そうすると、画像形成装置の電源をオンにしてから起動を完了するまでに掛かる時間が長くなってしまう。
【0005】
そこで、電源起動時または電源起動時と同様の起動手順を必要とする省電力状態からの復帰時に、優先的に起動する機能を選択し、選択された機能に対応するプログラムを優先的に起動するように制御する、という方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、パーソナルコンピュータには、「ハイバネーション」という技術が普及している。ハイバネーションは、次のような技術である。RAMなどの揮発性のメモリに記憶されているデータをハードディスクなどの不揮発性の記憶媒体にコピーしてから電源をオフにする。コピーされたデータは、一般に「スナップショットデータ」または「スナップショット」などと呼ばれている。そして、電源を再びオンにした際に、スナップショットデータをハードディスクなどからRAMなどのメモリにコピーする。
【0007】
ハイバネーションによると、通常の起動よりも短い時間で起動を行うことができる。そこで、ユーザの利便性の向上のために、しばしば利用されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−194876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述の通り、多機能化に伴って、RAMに記憶されるデータおよびプログラムは増えている。よって、ハイバネーションを用いても、起動に時間が掛ってしまうことがある。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑み、ハイバネーションを用いた場合の起動の時間を従来よりも短くすることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一形態に係る画像処理装置は、着脱が可能な記憶媒体へアクセスするアクセス手段と、揮発性のメモリに記憶されている、前記記憶媒体を使用するジョブを実行するのに必要なデータを用いて、スナップショットを生成する、スナップショット生成手段と、当該画像処理装置のオペレーティングシステムの起動の際に、前記アクセス手段が前記記憶媒体へアクセスすることができる場合に、前記スナップショットを前記メモリに復元する、復元手段と、を有する。
【0012】
好ましくは、前記アクセス手段は、前記スナップショットを前記記憶媒体へ書き込み、さらに、前記アクセス手段は、前記オペレーティングシステムの起動の際に、前記記憶媒体から前記スナップショットを読み出し、前記復元手段は、前記記憶媒体から読み出された前記スナップショットを前記メモリに復元する。
【0013】
または、前記復元手段は、当該画像処理装置に設けられている第二の記憶媒体に第二のスナップショットが記憶されておりかつユーザによって前記第二のスナップショットが選択された場合は、前記スナップショットの代わりに前記第二のスナップショットを前記メモリに復元する。
【0014】
または、前記アクセス手段は、前記記憶媒体が装着されたことをシステムバスとは異なる電送路を介して前記復元手段に通知する通知手段を有する。
【0015】
または、前記スナップショット生成手段は、前記ジョブの終了後に前記ユーザが所定の操作を行った場合に、前記スナップショットを生成する。
【0016】
なお、前述の、揮発性のメモリに記憶されているデータには、ドキュメントなどの情報を表すためのデータだけでなく、アプリケーションなどのプログラムおよび各種の設定値を表すデータなども含まれ得る。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、ハイバネーションを用いた場合の起動の時間を従来よりも短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】画像形成装置1の外観の例を示す図である。
【図2】画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】USBメモリ検出部1Laの例を示す図である。
【図4】通常の起動の際の処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図5】画像形成装置1のソフトウェアの全体的な構成の例を示す図である。
【図6】インスタントブートドライバ3Cによって実現される機能的構成の例を示す図である。
【図7】スナップショットデータ5の生成の例を説明するための図である。
【図8】選択画面WNの例を示す図である。
【図9】画像形成装置1の起動の際の処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、画像形成装置1の外観の例を示す図である。図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。図3は、USBメモリ検出部1Laの例を示す図である。
【0020】
図1に示す画像形成装置1は、一般に複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)などと呼ばれる装置であって、コピー、LAN(Local Area Network)プリント、ファックス、およびスキャナなどの機能を集約した装置である。
【0021】
「LANプリント」は、いわゆるLAN回線を介して画像データをパーソナルコンピュータなどから受信して画像を用紙に印刷する機能である。「ネットワークプリンティング」または「PCプリント」などと呼ばれることもある。
【0022】
画像形成装置1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)1A、RAM(Random Access Memory)1B、大容量記憶装置1C、有線LANコントローラ1D、無線LANコントローラ1E、FAX通信部1F、スキャナ1G、エンジン1H、スキャナエンジン通信部1J、オペレーションパネル1K、USB(Universal Serial Bus)コントローラ1L、および認証装置1Mなどによって構成される。
【0023】
大容量記憶装置1Cには、ブートローダ、オペレーティングシステム、およびアプリケーションなどのプログラムのほか、スナップショットデータなどが記憶される。大容量記憶装置1Cとして、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、またはフラッシュメモリなどが用いられる。大容量記憶装置1Cに記憶されているプログラムおよびデータは、必要に応じてRAM1Bへロードされ、CPU1Aによってプログラムが実行される。
【0024】
RAM1Bは、揮発性のメモリである。後述する各デバイスのレジスタも、揮発性のメモリである。
【0025】
有線LANコントローラ1Dは、ツイストペアケーブルなどを介してTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に基づいて他の装置と通信を行うためのNIC(Network Interface Card)である。
【0026】
無線LANコントローラ1Eは、いわゆる無線LANカードであって、IEEE802.11の規格に基づいて他の装置と無線で通信を行うための装置である。
【0027】
FAX通信部1Fは、いわゆるFAXモデムであって、電話回線を介して他のファックス端末との間でG3などのプロトコルで画像データをやり取りするための装置である。
【0028】
スキャナ1Gは、用紙に記されている写真、文字、絵、図表などの画像を光学的に読み取って画像データを生成する装置である。
【0029】
エンジン1Hは、スキャナ1Gによって読み取られた画像のほかパーソナルコンピュータまたは他のファックス装置などから受信した画像データに示される画像などを印刷するプリンタである。
【0030】
スキャナエンジン通信部1Jは、CPU1Aとスキャナ1Gおよびエンジン1Hとの間でのデータを中継するための装置である。
【0031】
オペレーションパネル1Kは、タッチパネルおよびキー群などによって構成される。タッチパネルには、ユーザに対するメッセージを与えるための画面、処理の結果を示す画面、またはユーザが画像形成装置1に対して指示を入力するための画面などが表示される。また、タッチパネルは、タッチされた位置を検知し、CPU1Aにその位置を通知する。キー群は、テンキー、スタートキー、およびストップキーなどのキーによって構成される。ユーザは、オペレーションパネル1Kを操作することによって、画像形成装置1に対してコマンドを与えたりデータを入力したりすることができる。
【0032】
USBコントローラ1Lは、USBの制御を行う装置であって、USBを介して接続された、いわゆるUSBデバイスの制御を行う。本実施形態では、特に、USBメモリの制御を行う。USBコントローラ1Lには、USBメモリ検出部1Laが備わっている。
【0033】
図3に示すように、通常、フルスピードの規格のUSBデバイスには、D+側にプルアップ抵抗が付設されており、ロースピードデバイスの規格のUSBデバイスには、D−側にプルアップ抵抗が付設されている。このような、プルアップ抵抗の付設の位置の違いに基づいて、USBメモリ検出部1Laは、USBコントローラ1LへのUSBデバイスの装着およびそのUSBデバイスの規格などを検出する。
【0034】
図1に戻って、認証装置1Mは、ユーザの認証を行う装置である。認証装置1Mとして、指紋認証装置または顔認証装置などが用いられる。
【0035】
無線LANコントローラ1Eおよび認証装置1Mは、第二のシステムバス1P2を介してCPU1Aに繋がっている。また、有線LANコントローラ1D、FAX通信部1F、オペレーションパネル1K、およびUSBコントローラ1Lは、第一のシステムバス1P1を介してCPU1Aに繋がっている。
【0036】
ただし、USBコントローラ1Lの中のUSBメモリ検出部1Laは、第一のシステムバス1P1を介さずにCPU1Aと直接繋げられている。このような構成により、USBメモリ検出部1Laは、画像形成装置1の電源がオンになった直後であってもUSBデバイスが接続されたことを検出すれば、第一のシステムバス1P1を介さずに即座に検出の結果をCPU1Aに入力することができる。
【0037】
次に、画像形成装置1の各部の処理内容などを、「通常の起動時」、「シャットダウン時」、および「ハイバネーションによる起動時」に大別して説明する。
【0038】
〔通常の起動〕
図4は、通常の起動の際の処理の流れの例を説明するフローチャートである。図5は、画像形成装置1のソフトウェアの全体的な構成の例を示す図である。
【0039】
まずは、通常の起動の際の処理を、図4および図5を参照しながら説明する。画像形成装置1において、電源がオンになると(#11)、CPU1Aは、大容量記憶装置1Cからブートローダ2Aを読み出して実行する(#12)。すると、CPU1Aは、カーネル3Aおよび画像形成装置1の各デバイス(有線LANコントローラ1Dおよび無線LANコントローラ1Eなど)のデバイスドライバ3Bなどオペレーティングシステム3の各部をRAM1Bにロードし、カーネル3A、ドライバ3B、第一のシステムバス1P1、および第二のシステムバス1P2の初期化の処理を行う(#13〜#17)。これにより、CPU1Aは、画像形成装置1の中の各デバイスへのアクセスが可能になる。
【0040】
また、本実施形態では、オペレーティングシステムにインスタントブートドライバ3Cが含まれている。インスタントブートドライバ3Cは、スナップショットデータ5を生成したりスナップショットデータ5をRAM1Bに戻したりするためのプログラムである。インスタントブートドライバ3Cは、カーネル3Aのロードの後にロードされる。インスタントブートドライバ3Cの詳細は、後述する。
【0041】
さらに、CPU1Aは、必要に応じてアプリケーション4をRAM1Bにロードし実行する(#18)。
【0042】
そのほか、CPU1A、有線LANコントローラ1D、無線LANコントローラ1E、FAX通信部1F、スキャナ1G、およびエンジン1Hなどの各デバイスのレジスタにも、適宜、プログラムおよびデータがロードされる。
【0043】
〔シャットダウン時〕
図6は、インスタントブートドライバ3Cによって実現される機能的構成の例を示す図である。図7は、スナップショットデータ5の生成の例を説明するための図である。図8は、選択画面WNの例を示す図である。
【0044】
ユーザがシャットダウンのコマンドを入力すると、画像形成装置1は、従来通り、シャットダウンのための処理を行った後、電源をオフにする。この際に、ユーザは、ハイバネーションを選択することができる。以下、ハイバネーションが選択された場合のシャットダウン時の処理について説明する。
【0045】
CPU1Aは、USBコントローラ1LにUSBメモリ6が繋がれていない場合は、従来通り、RAM1Bにロードされているデータをスナップショットデータ5として丸ごと大容量記憶装置1Cにコピーする。なお、スナップショットデータ5は、インスタントブートドライバ3Cを実行することによって生成される。
【0046】
一方、USBコントローラ1LにUSBメモリ6が繋がれている場合は、CPU1Aは、インスタントブートドライバ3Cを実行することによってスナップショットデータ5を生成する。
【0047】
インスタントブートドライバ3Cは、図6に示す関連性有データ検索部3C1、スナップショットデータ生成部3C2、書込処理部3C3、読出処理部3C4、および復元処理部3C5などの機能を実現するためのモジュールによって構成される。CPU1Aが各モジュールを実行することによって、各部の機能が実現される。
【0048】
USBメモリ6が繋がれている場合においてスナップショットデータ5を生成し保存する際には、関連性有データ検索部3C1、スナップショットデータ生成部3C2、および書込処理部3C3が用いられる。
【0049】
関連性有データ検索部3C1は、USBメモリを使用するジョブ(以下、「USBメモリ関連ジョブ」と記載する。)を実行するのに必要なデータをRAM1Bおよび各デバイスのレジスタから検索する。
【0050】
なお、USBメモリ関連ジョブの例として、スキャナ1Gによって読み取った画像のデータをUSBメモリに保存するジョブ(いわゆる「Scan_To_USBジョブ」およびUSBメモリに保存されているデータに基づいてエンジン1Hによって画像を用紙に印刷するジョブ(いわゆる「USB_To_Printジョブ」)などが挙げられる。
【0051】
また、USBメモリ関連ジョブを実行するのに必要なデータとして、例えば、次のようなデータが挙げられる。
(a) CPU1AがRAM1B、大容量記憶装置1C,およびスキャナエンジン通信部1Jにアクセスするためのデータ
(b) 第一のシステムバス1P1を介してCPU1AとUSBコントローラ1L、FAX通信部1F、およびオペレーションパネル1Kとがアクセスするための、第一のシステムバス1P1の初期化データ
(c) USBコントローラ1L、FAX通信部1F、およびオペレーションパネル1Kそれぞれのレジスタに保存(設定)されている所定の項目のデータ
(d) RAM1Bに展開されている、Scan_To_USBジョブおよびUSB_To_Printジョブそれぞれを実行するためのアプリケーション4のデータ
(e) スキャナエンジン通信部1Jののレジスタに記憶(設定)されている所定の項目のデータ
などが挙げられる。
【0052】
一方、不要なデータとして、
(f) 第二のシステムバス1P2の初期化のデータ
(g) 第一のシステムバス1P1の初期化のデータのうちの、有線LANコントローラ1Dへのアクセスに関連するデータおよびFAX通信部1Fへのアクセスに関連するデータ
(h) 有線LANコントローラ1DおよびFAX通信部1Fそれぞれのレジスタに記憶(設定)されている所定の項目のデータ
(i) LANプリントのアプリケーションおよびFAXの送受信のアプリケーションそれぞれに関連するデータ
などが挙げられる。
【0053】
これらの必要なデータおよび不要なデータは一例であって、画像形成装置1に備わっているUSBメモリ関連ジョブの種類および画像形成装置1のハードウェア構成などによって、変わることがある。
【0054】
なお、USBメモリ関連ジョブに必要なアプリケーション4およびデバイスドライバ3Bなどのプログラムも、必要なデータとして取り扱う。
【0055】
スナップショットデータ生成部3C2は、関連性有データ検索部3C1によって検索された、USBメモリ関連ジョブを実行するのに必要なデータを一纏めにすることによって、スナップショットデータ5を生成する。ただし、必要なデータのそれぞれには、元の記憶場所であるデバイスおよび番地を対応付けておく。
【0056】
そして、書込処理部3C3は、スナップショットデータ生成部3C2によって生成されたスナップショットデータ5を、USBコントローラ1Lに繋がれているUSBメモリ6に書き込むように、USBコントローラ1Lを制御する。
【0057】
ここで、CPU1Aのレジスタ、RAM1B、およびスキャナ1Gのレジスタに記憶されているデータを用いてスナップショットデータ5を生成する例を、図7を参照しながらさらに説明する。
【0058】
RAM1Bには、図7(A)のように、必要なデータとして、丸数字1、2、5、6、8、および11で示す6つのデータが記憶されている。CPU1Aのレジスタには、図7(B)のように、必要なデータとして、丸数字13、14、および16で示す3つのデータが記憶されている。スキャナ1Gのレジスタには、図7(C)のように、必要なデータとして、丸数字18および19の2つのデータが記憶されている。
【0059】
関連性有データ検索部3C1は、必要なデータをCPU1Aのレジスタ、RAM1B、およびスキャナ1Gのレジスタから検索することによって、丸数字1、2、5、6、8、11、13、14、16、18、および19のデータを見つける。
【0060】
スナップショットデータ生成部3C2は、丸数字1、2、5、6、8、11、13、14、16、18、および19のデータそれぞれに元の記憶場所であるデバイスおよび番地を対応付け、これらのデータをマージすることによって図7(D)のようなスナップショットデータ5を生成する。なお、実際には、スキャナ1G以外のレジスタからも必要なデータが見つかり、スナップショットデータ5の一部分をなす。
【0061】
そして、書込処理部3C3は、スナップショットデータ5をUSBメモリ6に書き込む処理を行う。
【0062】
または、USBメモリ6へのスナップショットデータ5の保存は、USBメモリ関連ジョブを完了したタイミングで行ってもよい。例えば、USBメモリ関連ジョブを完了するごとに、オペレーションパネル1Kのタッチパネルは、図8のような選択画面WNを表示する。ここで、ユーザが「スナップショット取得」ボタンを選択し「OK」ボタンを押すと、スナップショットデータ生成部3C2は、その時点におけるスナップショットデータ5を生成し、書込処理部3C3は、USBメモリ6へ保存する処理を行う。
【0063】
または、スナップショットデータ5を大容量記憶装置1Cに一時的に保存し、ユーザの好みのタイミングで大容量記憶装置1CからUSBメモリ6へ移動できるようにしてもよい。
【0064】
または、スナップショットデータ5をUSBメモリ6へ保存する前に、セキュリティの確保のために、操作しているユーザが正当な者であるか否かの確認(いわゆる本人認証)を認証装置1Mによって行い、正当な者であることを確認できたら保存を実行してもよい。
【0065】
〔ハイバネーションによる起動時〕
図9は、画像形成装置1の起動の際の処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0066】
画像形成装置1は、大容量記憶装置1CまたはUSBメモリ6に保存されているスナップショットデータ5を用いることによって、通常の起動よりも速く起動を行うことができる。以下、ハイバネーションによる起動の際の処理を、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
【0067】
電源がオンになってからカーネル3Aをロードするまでの処理は、通常の起動時と同様である(#21〜#23)。なお、カーネル3Aとともにインスタントブートドライバ3Cもロードされる。
【0068】
ところで、前に説明した通り、USBメモリ検出部1Laは、第一のシステムバス1P1とは異なる電送路を介して直接、CPU1Aに繋がれている。よって、USBメモリ検出部1Laは、USBメモリ6が繋がれていることを検知すると、検知結果を直ちにCPU1Aに通知することができる。
【0069】
CPU1Aは、カーネル3Aおよびインスタントブートドライバ3Cのロードの後、所定の時間が経過してもUSBメモリ検出部1LaからUSBメモリ6の検知の結果が通知されない場合は(#24でNo)、大容量記憶装置1Cからスナップショットデータ5を検索する(#25)。そして、スナップショットデータ5が見つかった場合は(#26でYes)、従来通り、スナップショットデータ5を構成する各データを、RAM1Bおよび各デバイスのレジスタの所定の番地に復元する(#27)。これにより、起動が完了する。
【0070】
一方、カーネル3Aおよびインスタントブートドライバ3Cのロードの後、所定の時間が経過するまでにUSBメモリ検出部1LaからUSBメモリ6の検知の結果が通知された場合は(#24でYes)、CPU1Aは、インスタントブートドライバ3Cが実行される。具体的には、図6に示す読出処理部3C4および復元処理部3C5が次のように機能する。
【0071】
読出処理部3C4は、USBメモリ6からスナップショットデータ5を検索し(#28)、スナップショットデータ5が見つかったら(#29でYes)、それを読み出す。そして、復元処理部3C5は、読み出されたスナップショットデータ5を構成する各データを、RAM1Bおよび各デバイスのレジスタの所定の番地に復元する(#30)。これにより、起動が完了する。
【0072】
ただし、上述の通り、USBメモリ6に記憶されているスナップショットデータ5には、USBメモリ関連ジョブを実行するのに必要なデータ(アプリケーション4およびデバイスドライバ3Bなどのプログラムを含む)が含まれるが不要なデータは含まれない。その後、CPU1Aは、必要に応じて、他のデータをロードしたり他のアプリケーション4およびデバイスドライバ3Bをロードしたりする。
【0073】
USBメモリ6からスナップショットデータ5が見つからなかった場合は(#29でNo)、CPU1Aは、大容量記憶装置1Cからスナップショットデータ5を読み出して復元を試みる(#25〜#27)。
【0074】
USBメモリ6にも大容量記憶装置1Cにもスナップショットデータ5が記憶されていない場合は(#29でNo、#26でNo)、CPU1Aは、通常の起動を行う(#31)。
【0075】
なお、大容量記憶装置1Cに記憶されているスナップショットデータ5をRAM1Bなどに復元する処理も、復元処理部3C5が行ってもよい。
【0076】
本実施形態によると、ハイバネーションを用いた場合の起動の時間を従来よりも短くすることができる。
【0077】
本実施形態では、大容量記憶装置1CおよびUSBメモリ6の両方にスナップショットデータが記憶されている場合は、USBメモリ6に記憶されているほうを優先的に使用して復元を行ったが、ユーザに選択させ、ユーザが選択したほうを使用するようにしてもよい。
【0078】
画像形成装置における電力の供給の態様によっては、省電力モードからの復帰の場合にも本発明を適用することができる。
【0079】
本実施形態では、着脱可能な記憶媒体としてUSBメモリを例に挙げて説明したが、他の記憶媒体を用いる場合にも、本発明を適用することができる。例えば、SD(Secure Digital)カード、メモリスティック、および光磁気ディスクなどを用いる場合にも本発明を適用することができる。
【0080】
その他、画像形成装置1の全体または各部の構成、処理内容、処理順序などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 画像形成装置(画像処理装置)
1B RAM
1L USBコントローラ(アクセス手段)
1La USBメモリ検出部(通知手段)
3C2 スナップショットデータ生成部(スナップショット生成手段)
3C5 復元処理部(復元手段)
5 スナップショットデータ(スナップショット)
6 USBメモリ(記憶媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理を行う画像処理装置であって、
着脱が可能な記憶媒体へアクセスするアクセス手段と、
揮発性のメモリに記憶されている、前記記憶媒体を使用するジョブを実行するのに必要なデータを用いて、スナップショットを生成する、スナップショット生成手段と、
当該画像処理装置のオペレーティングシステムの起動の際に、前記アクセス手段が前記記憶媒体へアクセスすることができる場合に、前記スナップショットを前記メモリに復元する、復元手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記アクセス手段は、前記スナップショットを前記記憶媒体へ書き込み、
さらに、前記アクセス手段は、前記オペレーティングシステムの起動の際に、前記記憶媒体から前記スナップショットを読み出し、
前記復元手段は、前記記憶媒体から読み出された前記スナップショットを前記メモリに復元する、
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記復元手段は、当該画像処理装置に設けられている第二の記憶媒体に第二のスナップショットが記憶されておりかつユーザによって前記第二のスナップショットが選択された場合は、前記スナップショットの代わりに前記第二のスナップショットを前記メモリに復元する、
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記アクセス手段は、前記記憶媒体が装着されたことをシステムバスとは異なる電送路を介して前記復元手段に通知する通知手段を有する、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記スナップショット生成手段は、前記ジョブの終了後に前記ユーザが所定の操作を行った場合に、前記スナップショットを生成する、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
着脱が可能な記憶媒体へアクセスするアクセス手段を備える画像処理装置における揮発性のメモリの制御方法であって、
前記メモリに記憶されている、前記記憶媒体を使用するジョブを実行するのに必要なデータを用いて、スナップショットを生成し、
当該画像処理装置のオペレーティングシステムの起動の際に、前記アクセス手段が前記記憶媒体へアクセスすることができる場合に、前記スナップショットを前記メモリに復元する、
ことを特徴とする画像処理装置における揮発性のメモリの制御方法。
【請求項7】
着脱が可能な記憶媒体へアクセスするアクセス手段および揮発性のメモリを備える画像処理装置に用いられるコンピュータプログラムであって、
前記画像処理装置に、
前記メモリに記憶されている、前記記憶媒体を使用するジョブを実行するのに必要なデータを用いて、スナップショットを生成する処理を実行させ、
当該画像処理装置のオペレーティングシステムの起動の際に、前記アクセス手段が前記記憶媒体へアクセスすることができる場合に、前記スナップショットを前記メモリに復元する処理を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−8679(P2012−8679A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142378(P2010−142378)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】