説明

画像処理装置、画像形成装置、および画像処理方法

【課題】 文書プレビューも仕上がりプレビューも迅速に行う。
【解決手段】 画像形成装置1は、画像処理装置16を有する。画像処理装置16において、第1画像処理部21は、1または複数のページを有する文書の原画像データ31を保存し、第2画像処理部22は、原画像データ31から印刷プレビュー画像データ32を生成しその原画像データ31に関連付けて保存し、さらに、その印刷プレビュー画像データ32から文書プレビュー画像データ33を生成しその原画像データ31に関連付けて保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、および画像処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複合機などの画像形成装置には、ハードディスクなどに文書の原画像データを保存し、後で原画像データを読み出して文書の印刷を行うものがある。さらに、そのような保存されている文書の印刷仕上がりをプレビュー可能な画像形成装置がある(例えば特許文献1参照)。そのような画像形成装置では、原画像データに対して変倍処理などを行ってプレビュー画像データが生成され、そのプレビュー画像データに基づくプレビュー画像が表示される。
【0003】
また、文書の原画像データとともに、サムネイル画像データを保存するものもある(例えば特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−282853号公報
【特許文献2】特開2009−181450号公報
【特許文献3】特開2008−037031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プレビューに関しては、保存されている文書をそのままプレビュー(文書プレビュー)したいという要求と、保存されている文書を使用して印刷を行う場合の印刷物の仕上がりをプレビュー(仕上がりプレビュー)したいという要求とがある。仕上がりプレビューでは、印刷設定または送信設定が適用されて得られる印刷物の画像がプレビューされる。一方、文書プレビューでは、印刷時に適用される印刷設定または送信設定には関係なく、保存時に指定される保存条件に沿った文書の画像がプレビューされる。
【0006】
しかしながら、上述の技術では、プレビューを行うときに、保存されている原画像データからプレビュー画像データを生成した後に、そのプレビュー画像データに基づくプレビュー画像を表示するため、プレビュー画像の表示開始までに時間がかかってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、文書プレビューも仕上がりプレビューも迅速に行うことを可能にする画像処理装置、画像形成装置、および画像処理方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0009】
本発明に係る画像処理装置は、1または複数のページを有する文書の原画像データを保存する第1処理部と、原画像データから印刷プレビュー画像データを生成しその原画像データに関連付けて保存する第2処理部と、印刷プレビュー画像データから文書プレビュー画像データを生成し原画像データに関連付けて保存する第3処理部とを備える。
【0010】
これにより、印刷プレビュー画像データおよび文書プレビュー画像データがそれぞれ事前に生成され別個に保存されるため、文書プレビューも仕上がりプレビューも迅速に行うことができる。また、印刷プレビュー画像データから文書プレビュー画像データを生成するため、原画像データから文書プレビュー画像データを生成する場合より、迅速に文書プレビュー画像データを生成することができる。
【0011】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、画像処理装置は、印刷プレビュー画像データに印刷設定または送信設定を適用して仕上がり画像データを生成する仕上がりプレビュー処理部と、保存されている文書のプレビューを文書プレビュー画像データで実行する文書プレビュー処理部とをさらに備える。
【0012】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、原画像データは、所定の最高解像度のフルカラーの画像データである。そして、第1処理部は、原画像データとともに、その原画像データに対する保存条件を示す保存条件データを保存し、第2処理部は、原画像データの解像度を低くして印刷プレビュー画像データを生成し、第3処理部は、保存条件を印刷プレビュー画像データに適用して、文書プレビュー画像データを生成する。
【0013】
これにより、原画像データは、所定の最高解像度のフルカラーの画像データであり、その原画像データから、印刷用紙に印刷される画像の画像データが生成されるため、印刷用紙に印刷される画像の劣化を防止できるとともに、その印刷用紙に印刷される画像に対するプレビュー画像を印刷プレビュー画像データに基づき忠実に表示させることできる。
【0014】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、保存条件は、少なくとも、解像度条件またはカラー条件を含む。
【0015】
これにより、例えば、保存条件におけるカラー条件がモノクロである場合には、印刷プレビュー画像データはフルカラーで保存され、文書プレビュー画像データはモノクロで保存される。また、印刷設定または送信設定においてフルカラーが指定された場合には、印刷プレビュー画像データに基づいてフルカラーのプレビュー画像が表示される。
【0016】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、文書プレビュー処理部は、保存されている文書のプレビュー時に、文書プレビュー画像データを加工することなく、文書プレビュー画像データによる画像を表示させる。
【0017】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像処理装置は、表示装置と、当該画像処理装置を操作するための操作パネルを表示可能なリモート装置との通信を行う通信装置とをさらに備える。文書プレビュー画像データは、画像データファイルとして保存され、文書プレビュー処理部は、当該画像処理装置での文書プレビュー時には、画像データファイルに基づく画像を表示装置に表示させ、リモート装置での文書プレビュー時には、当該画像処理装置での文書プレビュー時に使用する画像データファイルをそのまま通信装置を使用してリモート装置に送信する。
【0018】
これにより、リモート装置からの文書プレビューの要求があったときに画像データファイルの送信処理のみを行えばよく、そのときに画像処理を行う必要がないため、リモート装置において文書プレビューを迅速に行うことができる。
【0019】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、印刷プレビュー画像データは、ある画像データフォーマットにおいて、データ圧縮率の最も低い方式で圧縮された画像データである。
【0020】
これにより、印刷プレビュー画像データのデータサイズを小さくするために、解像度を優先的に低くして、データ圧縮率の最も低い方式(つまり、圧縮後のデータサイズが最も大きい方式)を選択することで、印刷プレビュー画像データの画質劣化が軽減される。
【0021】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、上述の画像データフォーマットは、JPEGであり、データ圧縮率の最も低い方式は、4:4:4フォーマットである。
【0022】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、印刷プレビュー画像データからサムネイル画像データを生成し原画像データに関連付けて保存する第4処理部をさらに備える。
【0023】
これにより、文書のリストとしてサムネイル画像のリストを表示する場合に、迅速にリストを表示することができる。
【0024】
本発明に係る画像形成装置は、上記の画像処理装置のいずれかを備える。
【0025】
これにより、印刷プレビュー画像データおよび文書プレビュー画像データがそれぞれ事前に生成され別個に保存されるため、文書プレビューも仕上がりプレビューも迅速に行うことができる。また、印刷プレビュー画像データから文書プレビュー画像データを生成するため、原画像データから文書プレビュー画像データを生成する場合より、迅速に文書プレビュー画像データを生成することができる。
【0026】
本発明に係る画像処理方法は、1または複数のページを有する文書の原画像データを保存するステップと、原画像データから印刷プレビュー画像データを生成しその原画像データに関連付けて保存するステップと、印刷プレビュー画像データから文書プレビュー画像データを生成し原画像データに関連付けて保存するステップとを備える。
【0027】
これにより、印刷プレビュー画像データおよび文書プレビュー画像データがそれぞれ事前に生成され別個に保存されるため、文書プレビューも仕上がりプレビューも迅速に行うことができる。また、印刷プレビュー画像データから文書プレビュー画像データを生成するため、原画像データから文書プレビュー画像データを生成する場合より、迅速に文書プレビュー画像データを生成することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、文書プレビューも仕上がりプレビューも迅速に行うことを可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を含む画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、図2に示す画像形成装置の、ボックス保存時の動作について説明するフローチャートである。
【図4】図4は、図2に示す画像形成装置の、文書プレビュー時の動作について説明するフローチャートである。
【図5】図5は、サムネイル画像のリストの一例を示す図である。
【図6】図6は、図2に示す画像形成装置の、仕上がりプレビュー時の動作について説明するフローチャートである。
【図7】図7は、印刷プレビュー画像、および仕上がりプレビュー画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を含む画像形成システムの構成を示すブロック図である。このシステムでは、画像形成装置1がネットワーク2に接続されており、そのネットワーク2に1または複数のリモート装置3が接続されている。画像形成装置1は、印刷機能および文書ボックス機能を有する複合機などといった装置である。ネットワーク2は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などのコンピューターネットワークである。リモート装置3は、画像形成装置1用のドライバーをインストールされたパーソナルコンピューターなどの端末装置である。
【0032】
各リモート装置3は、キーボード、マウスなどの入力装置、および液晶ディスプレイなどの表示装置を有し、当該画像形成装置1を操作するための操作パネルを表示装置で表示可能であって、入力装置により検出されるその操作パネルに対するユーザー操作に従って、ネットワーク2を介して画像形成装置1と通信を行い、画像形成装置1へ指令を送信する。なお、以下では、リモート装置3の操作パネルをリモートパネルという。画像形成装置1は、リモート装置3からの指令に従って各種処理を実行するとともに、画像形成装置1の操作パネルに対するユーザー操作に従って各種処理を実行する。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
【0034】
図2に示すように、この画像形成装置1は、通信装置11、記憶装置12、操作パネル13、印刷装置14、画像読取装置15、および画像処理装置16を備える。
【0035】
通信装置11は、ネットワーク2を介してリモート装置3に接続可能であって、所定の通信プロトコルでデータ通信を行う装置である。
【0036】
記憶装置12は、フラッシュメモリー、ハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶装置である。記憶装置12は、文書ボックス機能で保存される文書についての原画像データ31および保存条件データ31aの保存場所として使用される。さらに、記憶装置12には、その原画像データ31および保存条件データ31a(つまり、文書)に関連付けられて印刷プレビュー画像データ32、文書プレビュー画像データ33、およびサムネイル画像データ34が保存される。
【0037】
また、操作パネル13は、当該画像形成装置1の筐体に設置されており、液晶ディスプレイなどの表示装置13aと、タッチパネル、ハードウェアキーなどの入力装置13bとを有しており、当該画像形成装置1のユーザーインターフェイスとして機能する。
【0038】
また、印刷装置14は、画像処理装置16により生成された印刷画像データに基づく画像を用紙に印刷する内部デバイスである。
【0039】
また、画像読取装置15は、原稿から原稿画像を光学的に読み取り、原稿画像の画像データを生成する内部デバイスである。
【0040】
また、画像処理装置16は、印刷画像データの生成、プレビュー画像データの生成などの画像処理を行う装置である。この実施の形態では、画像処理装置16は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成され、内蔵メモリーへ画像データを読み込み、画像データに対する画像処理を実行する。ただし、画像処理装置16の一部または全部を、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するコンピューターでプログラムを実行することにより実現するようにしてもよい。
【0041】
画像処理装置16は、第1画像処理部21、第2画像処理部22、第3画像処理部23、画像出力部24、画像編集部25、および表示処理部26を有する。
【0042】
第1画像処理部21は、1または複数のページを有する文書の原画像データ31を記憶装置12に保存する第1処理部である。第1画像処理部21は、リモート装置3から送信され通信装置11により受信された印刷要求(PDL(Page Description Language)データなど)から文書の原画像データ31を生成したり、画像読取装置15により生成された画像データを文書の原画像データ31として取得したりする。
【0043】
第2画像処理部22は、画像データの変倍機能(つまり、解像度変換機能)、色補正機能などを有する。第2画像処理部22は、第1画像処理部21または画像編集部25から出力される画像データに対して、変倍処理、色補正などを行う。
【0044】
さらに、第2画像処理部22は、記憶装置12に保存されている原画像データ31から印刷プレビュー画像データ32を生成しその原画像データ31に関連付けて記憶装置12に保存する第2処理部である。
【0045】
また、第2画像処理部22は、印刷プレビュー画像データ32から文書プレビュー画像データ33を生成し原画像データ31に関連付けて記憶装置12に保存する第3処理部である。
【0046】
また、第2画像処理部22は、印刷プレビュー画像データ32からサムネイル画像データ34を生成し原画像データ31に関連付けて記憶装置12に保存する第4処理部である。
【0047】
この実施の形態では、原画像データ31は、保存条件に拘わらず、所定の最高解像度(つまり、この画像形成装置1で選択可能な解像度のうちの最高解像度)のフルカラーの画像データである。そして、第1画像処理部21は、原画像データ31とともに、その原画像データ31の保存条件を示す保存条件データ31aを保存する。第2画像処理部22は、原画像データ31の解像度を低くして印刷プレビュー画像データ32を生成し、また、保存条件を印刷プレビュー画像データ32に適用して、文書プレビュー画像データ33およびサムネイル画像データ34を生成する。
【0048】
この実施の形態では、印刷プレビュー画像データ32の解像度は、原画像データ31の解像度の所定の割合(例えば17.5%)とされる。また、文書プレビュー画像データ33の解像度(サイズ)は、印刷設定の解像度(つまり、印刷画像の解像度)の所定の割合(例えば17.5%)とされる。なお、サムネイル画像データ34の解像度(サイズ)は、所定の固定値とされる。
【0049】
なお、原画像データ31の保存(つまり、ボックス保存)は、リモートパネルまたは操作パネル13に対してユーザーによる所定の操作があった場合に実行される。そして、そのときの保存条件は、その操作によって指定されたり、予め登録されているものが使用されたりする。保存条件は、ユーザーごとに異なるものでもよいし、複数のユーザーに共通のものでもよい。この保存条件は、少なくとも、解像度条件またはカラー条件(フルカラーかモノクロか)を含む。
【0050】
また、この実施の形態では、原画像データ31、印刷プレビュー画像データ32および文書プレビュー画像データ33は、データ圧縮を伴う画像データフォーマット(例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式)の画像データである。
【0051】
この実施の形態では、印刷プレビュー画像データ32および文書プレビュー画像データ33は、画像データフォーマットにおいて、データ圧縮率の最も低い方式で圧縮された画像データとされる。例えば、画像データフォーマットがJPEG方式である場合、文書プレビュー画像データ32は、4:4:4方式の画像データとされ、原画像データ31は、4:2:0方式の画像データとされる。
【0052】
また、複数ページの文書の場合、原画像データ31は、複数ページの画像データを含み、印刷プレビュー画像データ32は、原画像データ31の複数ページに対応する複数ページの画像データを含み、文書プレビュー画像データ33も、原画像データ31および印刷プレビュー画像データ32の複数ページに対応する複数ページの画像データを含み、サムネイル画像データ34は、原画像データ31および印刷プレビュー画像データ32の第1ページに対応する1ページの画像データを含む。
【0053】
第3画像処理部23は、第2画像処理部22により処理された画像データについて色空間の変換を行う。つまり、印刷装置14により再現可能な色空間に合わせて必要に応じて画像データの色が変換される。
【0054】
画像出力部24は、第3画像処理部23により処理された画像データに対してハーフトーニングなどを実行して印刷画像データを生成する。
【0055】
画像編集部25は、記憶装置12に保存されている文書の印刷時の印刷設定を特定し、その印刷設定を原画像データ31に適用して中間画像データを生成する。
【0056】
このとき、画像編集部25は、予め登録されている印刷設定または送信設定、または印刷実行時にリモートパネルまたは操作パネル13に対するユーザー操作により指定された印刷設定または送信設定を使用する。印刷設定としては、印刷解像度設定、カラー設定(カラー印刷かモノクロ印刷かの設定)、集約印刷設定、変倍設定などの設定項目があり、ユーザーにより各設定項目の値が指定されたり、デフォルトの値が指定されたりする。
【0057】
また、画像編集部25は、特定した印刷設定または送信設定を第2画像処理部22、第3画像処理部23、および表示処理部26に供給する。
【0058】
表示処理部26は、印刷プレビュー画像データ32に印刷設定または送信設定を適用して所定画像サイズの仕上がり画像データを生成し、仕上がり画像データで仕上がりプレビュー(印刷プレビュー)を実行する仕上がりプレビュー処理部として機能するとともに、保存されている文書のプレビューを文書プレビュー画像データで実行する文書プレビュー処理部として機能する。なお、仕上がり画像データに基づく仕上がりプレビューの画像は、固定サイズの表示領域に表示される。また、仕上がりプレビューにおいて、表示処理部26は、ユーザー操作などに従って全体表示モードおよび詳細表示モードのいずれかを選択し、全体表示モードの場合、仕上がり画像データに基づく画像を表示させ、詳細表示モードの場合、文書プレビュー画像データに基づく画像を表示させる。
【0059】
表示処理部26は、文書プレビュー時に、文書プレビュー画像データ33を加工することなく、文書プレビュー画像データ33による画像を表示させる。つまり、文書プレビュー画像データ33に対する変倍処理、色補正などの処理は、文書プレビュー画像データ33の保存時に予め実行されており、文書プレビュー時には実行されない。
【0060】
この実施の形態では、原画像データ31、印刷プレビュー画像データ32、文書プレビュー画像データ33、およびサムネイル画像データ34は、画像データファイルとして記憶装置12に保存され、表示処理部26は、画像形成装置1での文書プレビュー時には、画像データファイルに基づく画像を表示装置13aに表示させ、リモート装置3での文書プレビュー時には、画像形成装置1での文書プレビュー時に使用する画像データファイルをそのまま通信装置11を使用してリモート装置3に送信する。そして、リモート装置3では、リモートパネル等において、その画像データファイルに基づくプレビュー画像が表示される。
【0061】
次に、上記画像形成装置1の動作について説明する。
【0062】
画像形成装置1は、通常のプリントやコピー時には、リモート装置3からの印刷要求に基づく画像や画像読取装置15により読み取られた画像をただちに印刷する。一方、ボックス保存時には、画像形成装置1は、リモート装置3からの印刷要求に基づく画像や画像読取装置15により読み取られた画像の画像データを、記憶装置12に形成される仮想的な文書ボックスに保存する。その後、ユーザーによる要求があると、画像形成装置1は、ボックス保存されている文書画像の印刷を行う。印刷要求があった場合、ユーザーの要求に応じて、画像形成装置1は、仕上がり画像のプレビュー表示を行う。また、ユーザーによる要求があると、画像形成装置1は、ボックス保存されている文書画像のプレビュー表示を行う。
【0063】
ここで、(1)ボックス保存時の動作、(2)文書プレビュー時の動作、および(3)仕上がりプレビュー時の動作について詳細に説明する。
【0064】
(1)ボックス保存時の動作
【0065】
図3は、図2に示す画像形成装置の、ボックス保存時の動作について説明するフローチャートである。
【0066】
操作パネル13やリモート装置3のリモートパネルに対する印刷要求時やコピー要求時にボックス保存要求があると、第1画像処理部21は、原画像データ31と保存条件データ31aを生成または取得し、記憶装置12に保存する(ステップS1)。このとき、それらのデータは、例えば、ユーザーの文書ボックスに保存される。
【0067】
原画像データ31の保存が完了すると、第2画像処理部22は、ステップS1で保存された原画像データ31を読み出し、その原画像データ31から印刷プレビュー画像データ32を生成しその原画像データ31に関連付けて記憶装置12に保存する(ステップS2)。
【0068】
印刷プレビュー画像データ32の保存が完了すると、第2画像処理部22は、ステップS2で保存された印刷プレビュー画像データ32を読み出し、その印刷プレビュー画像データ32から文書プレビュー画像データ33を生成し、その印刷プレビュー画像データ32の元になった原画像データ31に関連付けて記憶装置12に保存する(ステップS3)。
【0069】
印刷プレビュー画像データ32の保存が完了すると、第2画像処理部22は、ステップS2で保存された印刷プレビュー画像データ32を読み出し、その印刷プレビュー画像データ32からサムネイル画像データ34を生成し、その印刷プレビュー画像データ32の元になった原画像データ31に関連付けて記憶装置12に保存する(ステップS4)。
【0070】
このように、ボックス保存される1つの文書につき、原画像データ31および保存条件データ31a、印刷プレビュー画像データ32、文書プレビュー画像データ33、およびサムネイル画像データ34が保存される。なお、ステップS3とステップS4は並行に実行してもよいし、ステップS4をステップS3より先に実行してもよい。
【0071】
(2)文書プレビュー時の動作
【0072】
図4は、図2に示す画像形成装置の、文書プレビュー時の動作について説明するフローチャートである。
【0073】
操作パネル13やリモート装置3の入力装置に対する文書プレビュー要求の操作があると(ステップS11)、表示処理部26は、まず、文書ボックス内に保存されているすべての文書についてのサムネイル画像データ34を読み出し、そのサムネイル画像データ34に基づき、サムネイル画像のリストを、操作パネル13またはリモート装置3のリモートパネルに表示させる(ステップS12)。図5は、サムネイル画像のリストの一例を示す図である。例えば、文書ボックス内に8つの文書が保存されている場合には、図5に示すようなリストが表示される。
【0074】
なお、リモートパネルにサムネイル画像のリストを表示させる場合、表示処理部26は、通信装置11を使用して、サムネイル画像データ34をリモート装置3へ送信する。リモート装置3では、そのサムネイル画像データ34に基づくサムネイル画像のリストが表示される。
【0075】
文書のサムネイル画像のリストが表示されているときに、いずれかのサムネイル画像(つまり、いずれかの文書)を選択するユーザー操作が操作パネル13(入力装置13b)またはリモート装置3の入力装置により検出されると、表示処理部26は、そのユーザー操作に従って、プレビューすべき文書を選択する(ステップS13)。
【0076】
そして、表示処理部26は、選択した文書の文書プレビュー画像データ33を読み出し(ステップS14)、画像処理を施すことなく、その文書プレビュー画像データ33に基づく画像を、操作パネル13またはリモートパネルに表示させる(ステップS15)。文書が複数ページを有する場合には、表示処理部26は、それらのページをリスト表示するようにしてもよいし、それらのページを1ページずつ切換可能に表示するようにしてもよい。
【0077】
このように、予め保存されている文書プレビュー画像データ33を使用して文書プレビューが行われるため、文書プレビュー時に第2画像処理部22などを使用する画像処理を行う必要がなく迅速に文書プレビューが行われる。
【0078】
(3)仕上がりプレビュー時の動作
【0079】
図6は、図2に示す画像形成装置の、仕上がりプレビュー時の動作について説明するフローチャートである。
【0080】
操作パネル13やリモート装置3の入力装置に対する仕上がりプレビュー要求の操作があると(ステップS21)、表示処理部26は、まず、文書ボックス内に保存されているすべての文書についてのサムネイル画像データ34を読み出し、そのサムネイル画像データ34に基づき、サムネイル画像のリストを、操作パネル13またはリモート装置3のリモートパネルに表示させる(ステップS22)。
【0081】
文書のサムネイル画像のリストが表示されているときに、いずれかのサムネイル画像(つまり、いずれかの文書)を選択するユーザー操作が操作パネル13(入力装置13b)またはリモート装置3の入力装置により検出されると、表示処理部26は、そのユーザー操作に従って、プレビューすべき印刷対象の文書を選択する(ステップS23)。
【0082】
印刷対象の文書が選択されると、画像編集部25は、その文書の印刷時の印刷設定または送信設定を特定し、その印刷設定または送信設定を表示処理部26へ通知する(ステップS24)。
【0083】
そして、表示処理部26は、選択された印刷または送信対象の文書の印刷プレビュー画像データ32を読み出し、その印刷設定または送信設定をその印刷プレビュー画像データ32に適用して仕上がりプレビュー画像の画像データを生成する(ステップS25)。そして、表示処理部26は、生成した画像データに基づく仕上がりプレビュー画像を操作パネル13またはリモートパネルに表示させる。この仕上がりプレビュー画像は、画像編集部25により生成される画像データに基づく画像に対応するプレビュー画像である。
【0084】
図7は、印刷プレビュー画像、および仕上がりプレビュー画像の一例を示す図である。例えば、図7(A)に示すような4ページの文書の場合に、4UPの集約印刷設定が指定されると、その4ページ分の印刷プレビュー画像データ32から、図7(B)に示すような1ページの仕上がりプレビュー画像の画像データが生成される。
【0085】
仕上がりプレビュー画像が操作パネル13またはリモートパネルに表示されているときに、印刷設定変更のユーザー操作が検出されると(ステップS26)、画像編集部25は、ユーザー操作に応じて印刷設定を変更し、変更後の印刷設定を表示処理部26へ通知する(ステップS24)。そして、表示処理部26は、変更後の印刷設定を印刷プレビュー画像データ32に適用して仕上がりプレビュー画像の画像データを生成し(ステップS25)、その画像データに基づく仕上がりプレビュー画像を表示させる。
【0086】
一方、仕上がりプレビュー画像が操作パネル13またはリモートパネルに表示されているときに、印刷実行のユーザー操作が検出されると(ステップS27)、画像編集部25は、印刷対象として選択された文書の原画像データ31を読み出し、その時点での印刷設定をその原画像データ31に適用して、中間画像データを生成する。そして、第2画像処理部22、第3画像処理部23および画像出力部24は、それぞれ画像処理を実行して、その中間画像データに対応する印刷画像データを生成し、その印刷画像データに基づき、印刷装置14に印刷を実行させる(ステップS28)。
【0087】
このように、予め保存されている印刷プレビュー画像データ32を使用して仕上がりプレビューが行われるため、仕上がりプレビュー時に第2画像処理部22などを使用する画像処理を行う必要がなく迅速に仕上がりプレビューが行われる。
【0088】
以上のように、上記実施の形態によれば、第1画像処理部21は、1または複数のページを有する文書の原画像データ31を保存し、第2画像処理部22は、原画像データ31から印刷プレビュー画像データ32を生成しその原画像データ31に関連付けて保存し、さらに、その印刷プレビュー画像データ32から文書プレビュー画像データ33を生成しその原画像データ31に関連付けて保存する。
【0089】
これにより、印刷プレビュー画像データ32および文書プレビュー画像データ33がそれぞれ事前に生成され別個に保存されるため、文書プレビューを迅速に行うことができる。また、印刷プレビュー画像データ32から文書プレビュー画像データ33を生成するため、原画像データ31から文書プレビュー画像データ33を生成する場合より、迅速に文書プレビュー画像データ33を生成することができる。
【0090】
さらに、同時に複数のリモート装置3からプレビュー要求があった場合でも、画像形成装置1は、文書プレビュー画像データ33等の画像データファイルを送信するだけでよいため(つまり、その都度、プレビュー画像データを生成するための画像処理を行う必要がないため)、画像形成装置1の負荷が大きく上昇することなく、円滑にプレビューを実行することができる。
【0091】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0092】
例えば、上記実施の形態において、表示処理部26にウェブサーバーを内蔵させ、リモート装置3および操作パネル13にそれぞれウェブブラウザーを内蔵させ、表示処理部26と操作パネル13との間、および表示処理部26とリモート装置3との間の通信をHTTP(Hypertext Transfer Protocol)で実行するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、例えば、複合機などの画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 画像形成装置
3 リモート装置
11 通信装置
13a 表示装置
16 画像処理装置
21 第1画像処理部(第1処理部の一例)
22 第2画像処理部(第2処理部の一例,第3処理部の一例,第4処理部の一例)
26 表示処理部(仕上がりプレビュー処理部の一例,文書プレビュー処理部の一例)
31 原画像データ
32 印刷プレビュー画像データ
33 文書プレビュー画像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数のページを有する文書の原画像データを保存する第1処理部と、
前記原画像データから印刷プレビュー画像データを生成しその原画像データに関連付けて保存する第2処理部と、
前記印刷プレビュー画像データから文書プレビュー画像データを生成し前記原画像データに関連付けて保存する第3処理部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記印刷プレビュー画像データに印刷設定または送信設定を適用して仕上がり画像データを生成する仕上がりプレビュー処理部と、
保存されている前記文書のプレビューを前記文書プレビュー画像データで実行する文書プレビュー処理部とをさらに備えること、
を特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記原画像データは、所定の最高解像度のフルカラーの画像データであって、
前記第1処理部は、前記原画像データとともに、その原画像データに対する保存条件を示す保存条件データを保存し、
前記第2処理部は、前記原画像データの解像度を低くして前記印刷プレビュー画像データを生成し、
前記第3処理部は、前記保存条件を前記印刷プレビュー画像データに適用して、前記文書プレビュー画像データを生成すること、
を特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記保存条件は、少なくとも、解像度条件またはカラー条件を含むことを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記文書プレビュー処理部は、保存されている前記文書のプレビュー時に、前記文書プレビュー画像データを加工することなく、前記文書プレビュー画像データによる画像を表示させることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項6】
表示装置と、
当該画像処理装置を操作するための操作パネルを表示可能なリモート装置との通信を行う通信装置とをさらに備え、
前記文書プレビュー画像データは、画像データファイルとして保存され、
前記文書プレビュー処理部は、当該画像処理装置での文書プレビュー時には、前記画像データファイルに基づく画像を前記表示装置に表示させ、前記リモート装置での文書プレビュー時には、当該画像処理装置での文書プレビュー時に使用する前記画像データファイルをそのまま前記通信装置を使用して前記リモート装置に送信すること、
を特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記印刷プレビュー画像データは、ある画像データフォーマットにおいて、データ圧縮率の最も低い方式で圧縮された画像データであることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像データフォーマットは、JPEGであり、
前記データ圧縮率の最も低い方式は、4:4:4フォーマットであること、
を特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記印刷プレビュー画像データからサムネイル画像データを生成し前記原画像データに関連付けて保存する第4処理部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の画像処理装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
1または複数のページを有する文書の原画像データを保存するステップと、
前記原画像データから印刷プレビュー画像データを生成しその原画像データに関連付けて保存するステップと、
前記印刷プレビュー画像データから文書プレビュー画像データを生成し前記原画像データに関連付けて保存するステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−157977(P2012−157977A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17000(P2011−17000)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】