説明

画像処理装置、画像形成装置及び電力制御方法

【課題】省電力モード移行時におけるメモリアクセスによるシステムエラーを防止する。
【解決手段】装置全体を制御するメイン制御基板を有する複数の制御基板を備える画像処理装置であって、メイン制御基板は、メイン制御基板に備えられる各機能部の処理を行う処理部と、他の制御基板と共有して使用する記憶手段と、記憶手段のメモリ信号線に挿入された終端抵抗の供給電源を遮断する終端電源遮断手段と、記憶手段及び処理部の一部分以外の電源を切る機能部電源遮断手段と、を有し、各部の電源を切って待機状態へ移行する省エネ移行手段と、省エネ移行手段による省エネ移行時に他の制御基板から記憶手段へのアクセスがないように信号の送受信を行う信号送受信手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブ制御基板からの省エネモード時のメモリへのアクセスを防止する画像処理装置、画像形成装置及び電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年における画像処理装置は、環境の保護を目的として、非動作時の待機電力を削減する省エネモードを備えている装置が増えてきている。このような装置には使用してない回路ブロックの電源を切ることで、待機時の電力を削減する手段が搭載されている。
【0003】
図13及び図14は、従来の画像処理装置における説明図である。図13は、従来の画像処理装置におけるボードの接続状態について示している。
【0004】
画像処理装置は、メイン制御基板10と、FPU(ファックスコントロールユニット)ボード20と、エンジン40と、を有して構成される。
【0005】
メイン制御基板10は、装置全体の制御を行い、DRAM13とROM14及び各種処理を行うASIC11と、各種制御をおこなうCPU12等を有して構成される。また、ASIC11には画像データ等を格納するHDD15が接続されている。
【0006】
FCUボード20は、ファックス通信制御部であり、データの変調や圧縮や伸張をおこなうASIC12が搭載されている。またFCUボード20には、回線網を制御するNCU(ネットワークコントロールユニット)30が接続されている。
【0007】
エンジン40は、スキャナ部41とプロッタ部42からなり、原稿をスキャンしたり、画像情報を転写紙上に印字する。
【0008】
メイン制御基板10と、ファックスの通信処理を行うFCUボード20と、エンジン40と、は内部バスを介して接続されている。
【0009】
次に、従来装置におけるファックス動作について図14を参照に詳細に説明する。
【0010】
まず、送信時について説明する。スキャナ部41から読み込まれた画像データは、内部バスを経由してメイン制御基板10へと送られる。
【0011】
メイン制御基板10では、各種の画像処理や圧縮伸張が行われ、メイン制御基板内のDRAM13に記憶されると同時に、HDD15に蓄積される。直接送信する場合は、DRAM13からの画像データを用い、一方、蓄積送信する場合は、HDD15からの画像データをASIC11に内蔵されたファックス画像処理部分によりMMR圧縮し、不揮発性メモリの画像エリアに一次記憶する。通常の回線を用いたファックス通信の場合は、不揮発性メモリ16から画像データをFCUボード20へと送信する。
【0012】
画像データを受け取ったFCUボード20では、ASIC21によりMMR伸張、MH圧縮、変調等の処理を行い、回線に送出する。
【0013】
一方、受信時には、送信時の逆の手順をもって、プロッタ部42へと画像データが送られてきて印刷される。
【0014】
異常説明したように従来の装置では、メイン制御基板に搭載されたDRAMを画像の一時的記憶手段として用いている。
【0015】
ところで、このような従来装置において、省エネのためにDRAM部分の電源を完全に切ってしまうと、DRAMの内容が初期化され、画像が消去されてしまうという問題があった。
【0016】
そこで、DRAM部分の電源を入れたまま、セルフリフレッシュモードに移行することでメモリの内容を保持しつつ、待機時の電力を削減するという方法がとられている。
【0017】
例えば、特許文献1では、さらにメモリの終端抵抗部分で消費する電力を削減するために、セルフリフレッシュモード時に、終端電源をメモリ信号線から切り離すことで、省エネを実現し、且つ、速く立ち上げる手段が記載されている。
【特許文献1】特開2006−331305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、複数の制御基板と、メイン制御基板に他の制御基板と共有するメモリを有する装置で、省電力モード時に制御基板ごとに電源ON/OFF制御を行う装置に特許文献1に記載の技術を適用すると、メモリアクセス終了後一定時間で省電力モードに移行するため、他の制御基板がアクセスしようとしたときにすでに省電力モードになっている場合があり、システムエラーが発生する可能性がある。
【0019】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、省電力モード移行時におけるメモリアクセスによるシステムエラーを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するため、本発明における画像処理装置は、装置全体を制御するメイン制御基板を有する複数の制御基板を備える画像処理装置であって、メイン制御基板は、メイン制御基板に備えられる各機能部の処理を行う処理部と、他の制御基板と共有して使用する記憶手段と、記憶手段のメモリ信号線に挿入された終端抵抗の供給電源を遮断する終端電源遮断手段と、記憶手段及び処理部の一部分以外の電源を切る機能部電源遮断手段と、を有し、各部の電源を切って待機状態へ移行する省エネ移行手段と、省エネ移行手段による省エネ移行時に他の制御基板から記憶手段へのアクセスがないように信号の送受信を行う信号送受信手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】
また、本発明における電力制御方法は、メイン制御基板による他の制御基板が動作中であるか否かを示すBUSY信号を受信するBUSY信号受信ステップと、BUSY信号から他の制御基板が待機中であった場合に、メイン制御基板及び他の制御基板と共有して使用する記憶部のメモリ信号線に挿入された終端抵抗の供給電源を遮断し、記憶部及びメイン制御基板に備えられる各機能部の処理を行う処理部の一部分以外の電源を切って待機状態へ移行する省エネ移行ステップと、を備えることを特徴とする。
【0022】
また、本発明における電力制御方法は、メイン制御基板によるメイン制御基板及び他の制御基板と共有して使用する記憶部がアクセス可能状態であるか否かを示すRDY信号を他の制御基板へと送信するRDY信号送信ステップと、メイン制御基板及び他の制御基板と共有して使用する記憶部のメモリ信号線に挿入された終端抵抗の供給電源を遮断し、記憶部及びメイン制御基板に備えられる各機能部の処理を行う処理部の一部分以外の電源を切って待機状態へ移行する省エネ移行ステップと、を備えることを特徴とする。
【0023】
また、本発明における電力制御方法は、メイン制御基板による他の制御基板を省エネ状態へ移行させる省エネ移行指示信号を他の制御基板へと送信する省エネ移行指示信号送信ステップとメイン制御基板及び他の制御基板と共有して使用する記憶部のメモリ信号線に挿入された終端抵抗の供給電源を遮断し、記憶部及びメイン制御基板に備えられる各機能部の処理を行う処理部の一部分以外の電源を切って待機状態へ移行する省エネ移行ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、他の基板と連携を取りながらメモリの終端抵抗の供給電源を遮断することで、システムエラーを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1は、画像処理装置の構成図である。画像形成装置は、表示操作部1と、スキャナ部2と、メイン制御部3と、プロッタ部4と、PRT/SCN機能部5と、FAX機能部6と、外部I/F7と、通信I/F8と、からなる。
【0027】
メイン制御部3は、装置全体の制御を行う機能部である。表示操作部1は、ユーザからの指示を受けたり、装置の状態を表示してユーザへ知らせたりする。
【0028】
スキャナ部2は、画像を読み取って画像データを生成する。プロッタ部4は、スキャナ部で読み取った画像や他装置より送られてきた画像データを転写紙上に印字する。
【0029】
図2は、本発明の第1の実施形態における画像処理装置の構成図である。本画像処理装置は、メイン制御基板110と、FCUボード120と、NCU130と、PSU(パワーサプライユニット)140と、を有して構成される。なお、上記従来装置と同様の構成部については、詳細な説明は省略する。
【0030】
メイン制御基板110は、ASIC111と、CPU112と、不揮発性メモリ113と、DRAM114と、遮断回路115と、ROM116と、電源回路117と、を有して構成される。
【0031】
FCUボード120は、ASIC121と、電源回路122と、を有して構成され、NCU130と接続されている。
【0032】
PSU140は、メイン制御部110と、FCUボード120へ+5Vの電力を供給する。
【0033】
メイン制御基板110は、ボード上の各デバイスに電源回路117から必要に応じた電力を供給しており、各デバイスへの電力をON/OFFすることで、消費電力を低減する省エネモードに移行することが可能になっている。
【0034】
また、ASIC111の一部分は、省エネモード時においても、常に電源が入っており、省エネからの復帰の制御を行うことが可能となっている。
【0035】
また、DRAMの終端電源部分には、ASIC111と接続された遮断回路115が設けられており、ASIC111からの制御信号により制御され、他デバイスが省エネモードに入ったことを確認した上で終端電源への電源供給を遮断し、DRAMをセルフリフレッシュモードに移行させる。
【0036】
同様にFCUボード120も、ボード上の各デバイスに電力を供給する電源回路122が備えられている。
【0037】
また、FCUボード120のASIC121からメイン制御基板110のASIC111へは、FCUボード120のBUSY信号150が接続されており、装置が省エネモードへと移行する前にメイン制御基板110は、FCUボード120からのBUSY信号150を監視する。
【0038】
FCUボード120でFAX通信処理が行われていない場合には、BUSY信号150がNOT_BUSY状態となる。
【0039】
メイン制御基板110がNOT_BUSYを検出すると、省エネモード移行可能と判断し、メイン制御基板110上のCPU112やROM116や不揮発性メモリ113の電源、DRAMの終端抵抗の電源114、およびASIC111の一部の電源をOFFにする。このとき、DRAM114の電源はOFFにせず、DRAMはセルフリフレッシュモードで動作している。
【0040】
次に、本実施形態における画像処理装置の省エネモード移行処理について図3に示すフローチャート図を参照に詳細に説明する。
【0041】
メイン制御基板は、FCUボードからのBUSY信号を検知して(ステップS11)、FCUボードがBUSY状態か否かを判断する(ステップS12)。
【0042】
FCUボードがBUSY状態でなくなったら、メイン制御基板は、DRAMの終端抵抗の電源をOFFにし(ステップS13)、電源回路は、DRAM及びASICの一部を除く各種電源をOFFにして省エネモードへと移行する(ステップS14)。
【0043】
本実施形態によれば、他の基板が処理を行っていないことを検出したうえで、DRAMの終端電源への電源供給を遮断し、メイン制御基板が省エネモードに移行することで、他の基板がセルフリフレッシュモードのDRAMにアクセスし、エラーとなることを防止することができる。
【0044】
また、複数の基板から構成されるシステムでは、各基板からのBUSY信号をメイン制御基板へ接続し、各基板の処理状態検知するようにしてもよい。
【0045】
図4は、本発明の第2の実施形態における画像処理装置の構成図である。本画像処理装置は、メイン制御基板110のASIC111からFCUボード120のASIC121へ、レディ通知信号(RDY信号)160が接続されている。なお、その他の構成については、第1の実施形態と同様である。
【0046】
メイン制御基板110では、省エネモード状態においてレディ通知信号をNOT_RDY状態にセットする。
【0047】
一方、FCUボード120側では、RDY信号を監視し、該信号がNOT_RDY状態のときには、メイン制御基板110へのアクセスを禁止する。
【0048】
メイン制御基板110では、省エネモードからの復帰時にCPU112やROM116や不揮発性メモリ113の電源、DRAM114の終端抵抗の電源、およびASIC111の一部の電源をONにする。
【0049】
その後、DRAM114がセルフリフレッシュモードから、通常の動作モードに移行し、アクセス可能な状態となる。この状態になったとき、メイン制御基板110のASIC111は、RDY信号160をRDY状態にセットすることでFCUボード120側にメイン制御基板110の復帰通知を行う。
【0050】
このようにして、DRAM114にアクセス可能な状態なときのみ、他の基板からのDRAMアクセスを許可するよう構成する。
【0051】
また、複数の基板から構成されるシステムでは、メイン制御基板から各基板へRDY信号を接続し、各基板への省エネモード移行を通知するようにしてもよい。
【0052】
次に、本実施形態における画像処理装置の省エネモード移行処理について図5に示すフローチャート図を参照に詳細に説明する。
【0053】
メイン制御基板は、DRAMへのアクセス不可であることを示すNOT_RDY信号をFCUボードへ送信する(ステップS21)。
【0054】
メイン制御基板は、NOT_RDY信号送信後、DRAMの終端抵抗の電源をOFFにし(ステップS22)、電源回路は、DRAM及びASICの一部を除く各種電源をOFFにして省エネモードへと移行する(ステップS23)。
【0055】
続いて、本実施形態における画像処理装置の通常モード復帰処理について図6に示すフローチャート図を参照に詳細に説明する。
【0056】
電源回路は、省エネモード移行時にOFFにした各種電源をONにする(ステップS31)。また、メイン制御基板は、DRAMの終端抵抗の電源をONして、DRAMが通常動作モードに移行し、アクセス可能状態になった否かを判断する(ステップS32)。
【0057】
メイン制御基板は、DRAMへのアクセスが可能な状態であることを検知したら、DRAMへのアクセス可能であることを示すRDY信号をFCUボードへ送信する(ステップS33)。
【0058】
本実施形態によれば、メイン制御基板の省エネモードからの復帰時に、他の基板へ復帰状態を通知することが可能となり、メイン制御基板が省エネモードである時に他の基板がメイン制御基板上のDRAMにアクセスし、エラーとなることを防ぐことが可能となる。
【0059】
図7は、本発明の第3の実施形態における画像処理装置の構成図である。
【0060】
本画像処理装置は、FCUボード120のASIC121からメイン制御基板110のASIC111へと送信されるFCUボード120のBUSY信号150に加え、ASIC111からASIC121へと送信されるFCUリセット指示信号(FCU_RST信号)170を送信する手段が接続されている。
【0061】
本実施形態では、第1の実施形態と同様の手順により、メイン制御基板110が省エネモードに移行した際、CPU112やROM116や不揮発性メモリ113の電源、DRAM114の終端抵抗の電源、およびASIC111の一部の電源をOFFにする。また、DRAM114の電源はOFFにせず、DRAM114はセルフリフレッシュモードで動作している。
【0062】
メイン制御基板110が省エネモードに移行後あるいは移行直前に、ASIC111は、FCUボード120に対し、FCU_RST信号170を送信し、FCUのリセット指示を行う。FCU_RST信号170がリセット指示を受け取ると、FCUボードはリセット状態に移行する。また、メイン制御基板の復帰時には、DRAMへのアクセスが可能となったらFCUボードへ復帰指示を行う。なお、省エネモード時には、FCU_RST信号を送り続け、通常モードへと移行完了した時に信号を送らないよう構成しても良い。
【0063】
FCUボード120がリセット状態に移行すると、FCUボード120の処理は停止するため、FCUボードの消費電力を削減することが可能となる。そのためシステム全体の消費電力を低減することが可能となる。
【0064】
また、メイン制御基板110が、省エネモードから復帰した場合は、FCU_RST信号を制御することで、FCUボード120のリセット状態を解除し、通常の動作モードに移行することができる。
【0065】
また、複数の基板から構成されるシステムでは、メイン制御基板から各基板へRST信号を接続し、各基板へのリセット状態移行を行えるようにしてもよい。
【0066】
次に、本実施形態における画像処理装置の省エネモード移行処理について図8に示すフローチャート図を参照に詳細に説明する。
【0067】
メイン制御基板は、FCUボードからのBUSY信号を検知して(ステップS41)、FCUボードがBUSY状態か否かを判断する(ステップS42)。
【0068】
FCUボードがBUSY状態でなくなったら、メイン制御基板は、移行前にFCUボードへとリセット指示信号を送信する(ステップS43)。リセット指示信号を受けたFCUボードは、リセット状態へ移行する(ステップS44)。なお、リセット指示信号は、省エネモード移行後でDRAMの終端抵抗の電源をOFFにする前に送信しても良い。
【0069】
その後、メイン制御基板は、DRAMの終端抵抗の電源をOFFにし(ステップS45)、電源回路は、DRAM及びASICの一部を除く各種電源をOFFにして省エネモードへと移行する(ステップS46)。
【0070】
続いて、本実施形態における画像処理装置の通常モード復帰処理について図9に示すフローチャート図を参照に詳細に説明する。
【0071】
電源回路は、省エネモード移行時にOFFにした各種電源をONにする(ステップS51)。また、メイン制御基板は、DRAMの終端抵抗の電源をONして、DRAMが通常動作モードに移行し、アクセス可能状態になった否かを判断する(ステップS52)。
【0072】
メイン制御基板は、DRAMへのアクセスが可能な状態であることを検知したら、FCUボードへ復帰の指示を行う(ステップS53)。FCUボードは、復帰指示を受け取って通常状態へと復帰する(ステップS54)。
【0073】
本発明によれば、複数の基板からなるシステムでメイン制御基板が記憶手段の終端抵抗の供給電源を遮断し、省エネ状態に移行した場合に、他の基板も連動して省エネ状態に移行することで、省エネ状態でのシステムとしての消費電力を低減することができる。
【0074】
図10は、本発明の第4の実施形態における画像処理装置の構成図である。
【0075】
本画像処理装置は、FCUボード120のASIC121からメイン制御基板110のASIC111へと送信されるFCUボード120のBUSY信号150に加え、ASIC111からASIC121へと送信されるレディ通知信号(RDY信号)160と、パワーダウン制御信号(PD信号)170と、を送信する手段が接続されている。
【0076】
本実施形態における動作は、まずメイン制御基板110がFCUボード120からのBUSY信号150を監視する。メイン制御基板110が、NOT_BUSYを検出すると、省エネモード移行可能と判断し、PD信号170を制御し、FCUボード120に対してパワーダウン指示を行う。また、CPU112やROM116や不揮発性メモリ113の電源、DRAM114の終端抵抗の電源、およびASIC111の一部の電源をOFFにする。このとき、DRAM114の電源はOFFにせず、DRAM114はセルフリフレッシュモードで動作する。また、FCUボード120も、パワーダウン指示が行われると、省エネモードに移行する。
【0077】
また、メイン制御基板110が省エネモードから復帰する場合にはCPU112やROM116や不揮発性メモリ113の電源、DRAM114の終端抵抗の電源、およびASIC111の一部の電源をONにする。その後、FCUボード120に対し、パワーダウン指示を解除する。
【0078】
FCUボード120は、パワーダウン指示が解除されると、省エネモードから復帰し、RDY信号160を監視する。その後、DRAM114がセルフリフレッシュモードから、通常の動作モードに移行し、アクセス可能な状態になると、FCUボード120に対し、RDY信号160をRDY状態にセットすることで、FCUボード120からのDRAM114へのアクセスが可能となる。
【0079】
次に、本実施形態における画像処理装置の省エネモード移行処理について図11に示すフローチャート図を参照に詳細に説明する。
【0080】
メイン制御基板は、FCUボードからのBUSY信号を検知して(ステップS61)、FCUボードがBUSY状態か否かを判断する(ステップS62)。
【0081】
FCUボードがBUSY状態でなくなったら、メイン制御基板は、FCUボードへ省エネモード移行指示を送信する(ステップS63)。省エネモード移行指示を受け取ったFCUボードは、省エネモードへと移行する(ステップS64)。
【0082】
メイン制御基板は、DRAMの終端抵抗の電源をOFFにし(ステップS65)、電源回路は、DRAM及びASICの一部を除く各種電源をOFFにして省エネモードへと移行する(ステップS66)。
【0083】
続いて、本実施形態における画像処理装置の通常モード復帰処理について図12に示すフローチャート図を参照に詳細に説明する。
【0084】
電源回路は、省エネモード移行時にOFFにした各種電源をONにする(ステップS71)。また、メイン制御基板は、DRAMの終端抵抗の電源をONにするとともに、FCUボードへ通常モード復帰指示を送信する(ステップS72)。通常モード移行指示を受け取ったFCUボードは、通常モードへと復帰する(ステップS73)。
【0085】
続いて、メイン制御基板は、DRAMが通常動作モードに移行し、アクセス可能状態になった否かを判断する(ステップS74)。メイン制御基板は、DRAMへのアクセスが可能な状態であることを検知したら、FCUボードへRDY信号を送信し、アクセス可能状態であることを通知する(ステップS75)。
【0086】
本実施形態によれば、FCUボードの復帰とDRAMのアクセス可能状態とを別々に管理することで、より高速なモード復帰を実現することが可能となる。また、省エネモード時に各基板が連携するので、省エネモード時に不用意にDRAMにアクセスすることがなくなり、システムのエラーをなくすことができる。
【0087】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
一例としてメイン制御基板とFCU(ファックスコントロールユニット)について説明を行ったが、メイン制御基板と接続されるそれ以外のプリント制御基板や、エンジン制御基板や、操作部制御基板等を有する画像形成装置などにおいても適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成図である。
【図3】省エネモード移行処理のフローチャート図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る画像処理装置の構成図である。
【図5】省エネモード移行処理のフローチャート図である。
【図6】通常モード復帰処理のフローチャート図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る画像処理装置の構成図である。
【図8】省エネモード移行処理のフローチャート図である。
【図9】通常モード復帰処理のフローチャート図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る画像処理装置の構成図である。
【図11】省エネモード移行処理のフローチャート図である。
【図12】通常モード復帰処理のフローチャート図である。
【図13】従来における画像処理装置の構成図である。
【図14】画像処理装置のファックス動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0090】
110 メイン制御基板
111 ASIC
112 CPU
113 不揮発性メモリ
114 DRAM
115 遮断回路
116 ROM
117 電源回路
120 FCUボード
121 ASIC
122 電源回路
130 NCU
140 PSU
150 BUSY信号
160 RDY信号
170 RST信号
180 PD信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置全体を制御するメイン制御基板を有する複数の制御基板を備える画像処理装置であって、
前記メイン制御基板は、前記メイン制御基板に備えられる各機能部の処理を行う処理部と、
他の制御基板と共有して使用する記憶手段と、
前記記憶手段のメモリ信号線に挿入された終端抵抗の供給電源を遮断する終端電源遮断手段と、前記記憶手段及び前記処理部の一部分以外の電源を切る機能部電源遮断手段と、を有し、各部の電源を切って待機状態へ移行する省エネ移行手段と、
前記省エネ移行手段による省エネ移行時に前記他の制御基板から前記記憶手段へのアクセスがないように信号の送受信を行う信号送受信手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記信号送受信手段は、前記他の制御基板が動作中であるか否かを示すBUSY信号を受信し、
前記省エネ移行手段は、前記BUSY信号から前記他の制御基板が待機中であった場合に各部の電源を切ることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記信号送受信手段は、前記記憶手段がアクセス可能状態であるか否かを示すRDY信号を前記他の制御基板へと送信し、
前記他の制御基板は、前記RDY信号からアクセス可能状態でなければ前記記憶手段へアクセスしないことを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記RDY信号は、前記省エネ移行手段による省エネ移行前と、通常復帰後に送信することを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記信号送受信手段は、前記他の制御基板をリセット状態へ移行させるリセット指示信号を前記他の制御基板へと送信し、
前記他の制御基板は、前記リセット指示信号を受け取るとリセット状態へと移行することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記リセット指示信号は、前記省エネ移行手段による省エネ移行前に送信することを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記信号送受信手段は、前記他の制御基板を省エネ状態へ移行させる省エネ移行指示信号を前記他の制御基板へと送信し、
前記他の制御基板は、前記省エネ移行指示信号を受け取ると各部の電源を切って待機状態へと移行することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記省エネ移行指示信号は、前記省エネ移行手段による省エネ移行前と、通常復帰後に送信することを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記複数の制御基板に常用電源を供給する常用電源供給手段を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載の画像処理装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
メイン制御基板による他の制御基板が動作中であるか否かを示すBUSY信号を受信するBUSY信号受信ステップと、
前記BUSY信号から前記他の制御基板が待機中であった場合に、前記メイン制御基板及び前記他の制御基板と共有して使用する記憶部のメモリ信号線に挿入された終端抵抗の供給電源を遮断し、前記記憶部及びメイン制御基板に備えられる各機能部の処理を行う処理部の一部分以外の電源を切って待機状態へ移行する省エネ移行ステップと、を備えることを特徴とする電力制御方法。
【請求項12】
メイン制御基板による前記メイン制御基板及び他の制御基板と共有して使用する記憶部がアクセス可能状態であるか否かを示すRDY信号を前記他の制御基板へと送信するRDY信号送信ステップと、
前記メイン制御基板及び前記他の制御基板と共有して使用する記憶部のメモリ信号線に挿入された終端抵抗の供給電源を遮断し、前記記憶部及びメイン制御基板に備えられる各機能部の処理を行う処理部の一部分以外の電源を切って待機状態へ移行する省エネ移行ステップと、を備えることを特徴とする電力制御方法。
【請求項13】
メイン制御基板による他の制御基板を省エネ状態へ移行させる省エネ移行指示信号を前記他の制御基板へと送信する省エネ移行指示信号送信ステップと
前記メイン制御基板及び前記他の制御基板と共有して使用する記憶部のメモリ信号線に挿入された終端抵抗の供給電源を遮断し、前記記憶部及びメイン制御基板に備えられる各機能部の処理を行う処理部の一部分以外の電源を切って待機状態へ移行する省エネ移行ステップと、を備えることを特徴とする電力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−141478(P2010−141478A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314249(P2008−314249)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】