説明

画像処理装置、画像表示装置、及び画像処理方法

【課題】注目被写体が背景画像の手前又は奥に見えるという新たな視覚効果が得られる3次元画像を作成する画像処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】被写体抽出部210は、注目被写体を含む被写体存在画像810と、注目被写体を含まず他の条件は同じである被写体背景画像との差分から、注目被写体を抽出する。3次元画像生成部は、表示背景画像830に抽出した注目被写体画像を合成し、左眼用画像と右眼用画像とを作成する。ここで、左眼用画像と右眼用画像とでは、表示背景画像830に対する注目被写体画像の位置が異なっている。左眼用画像と右眼用画像とを表示制御部500の制御の下、表示部600が表示し、左眼用画像を観察者の左眼に、右眼用画像を観察者の右眼に到達させる。その結果、観察者は、表示背景画像830に対して注目被写体画像が手前又は奥にあるように認識する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像表示装置、及び画像処理方法、特に3次元表示を行うための画像処理装置、画像表示装置、及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景と注目する被写体とが存在する画像から、注目する被写体を切り抜いて、別途用意した他の背景画像に、切り抜いた被写体を合成する技術が知られている。例えば特許文献1には、ある背景の前に被写体が存在する画像を撮影し、次に、被写体が存在しない同じ背景の画像を撮影し、背景画像と被写体が存在する画像との差分情報から、被写体を切り出す機能を有する撮像装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−183560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような、ある画像から注目する被写体を切り抜いて、その被写体を別途用意した背景画像に合成する場合、一般に1枚の合成画像が作成され、2次元表示がなされる。これに対して、切り抜いた注目被写体が、別途用意した背景画像の手前又は奥に見える3次元表示を行えば、新たな視覚効果が得られる。
【0005】
そこで本発明は、注目被写体が背景画像の手前又は奥に見えるという新たな視覚効果が得られる3次元画像を作成する画像処理装置、その画像処理装置が作成した3次元画像を表示する画像表示装置、及びその画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を果たすため、本発明の画像処理装置の一態様は、注目被写体を含む被写体存在画像のデータを入力し、被写体存在画像のデータから注目被写体の画像のデータを抽出する被写体抽出手段と、抽出された前記注目被写体の画像のデータと表示背景画像のデータとを入力し、観察方向に沿って観察された際に該表示背景画像が表示されていると観察者に認識される面の手前又は奥に位置する面に該注目被写体の画像が表示されていると観察者に認識される3次元画像のデータを作成する3次元画像データ作成手段と、を具備することを特徴とする。
【0007】
また、前記目的を果たすため、本発明の画像表示装置の一態様は、注目被写体を含む被写体存在画像のデータを入力し、前記被写体存在画像のデータから前記注目被写体の画像のデータを抽出する被写体抽出手段と、抽出された前記注目被写体の画像のデータと表示背景画像のデータとを入力し、観察方向に沿って観察された際に該表示背景画像が表示されていると観察者に認識される面の手前又は奥に位置する面に該注目被写体の画像が表示されていると観察者に認識される3次元画像のデータを作成する3次元画像データ作成手段と、を具備し、前記3次元画像のデータは、両眼視差によって観察者に3次元画像を認識させるためのデータであって、該観察者に左眼で観察させる左眼用画像のデータと該観察者に右眼で観察させる右眼用画像のデータとを含み、前記3次元画像データ作成手段は、前記表示背景画像のデータに前記注目被写体の画像のデータを合成することで前記左眼用画像のデータ及び前記右眼用画像のデータを作成し、前記左眼用画像における前記表示背景画像に対する前記注目被写体の位置は、前記右眼用画像における前記表示背景画像に対する前記注目被写体の位置と、前記表示背景画像が表示されていると認識される面と前記注目被写体の画像が表示されていると認識される面との前記観察方向に沿った奥行き度に応じて異なる、ことを特徴とする画像処理装置と、前記観察者の左眼に左眼用画像を観察させ、該観察者の右眼に右眼用画像を観察させるように構成された表示手段と、を具備することを特徴とする。
【0008】
また、前記目的を果たすため、本発明の画像表示装置の一態様は、注目被写体を含む被写体存在画像のデータを入力し、前記被写体存在画像のデータから前記注目被写体の画像のデータを抽出する被写体抽出手段と、抽出された前記注目被写体の画像のデータと表示背景画像のデータとを入力し、観察方向に沿って観察された際に該表示背景画像が表示されていると観察者に認識される面の手前又は奥に位置する面に該注目被写体の画像が表示されていると観察者に認識される3次元画像のデータを作成する3次元画像データ作成手段と、を具備し、前記3次元画像のデータは、前景表示パネルに表示した前景と背景表示パネルに表示した背景とを、前記観察方向に沿って重なり合って見える異なる面に結像させることによって観察者に3次元画像を認識させるためのデータであって、該前景表示パネルに表示させる前景画像のデータと該背景表示パネルに表示させる背景画像のデータとを有し、前記3次元画像データ作成手段は、前記注目被写体の画像のデータに基づいて前記前景画像のデータを作成する前景画像加工手段と、前記表示背景画像のデータに基づいて前記背景画像のデータを作成する背景画像加工手段と、を有する、ことを特徴とする画像処理装置と、前記前景表示パネルと、前記背景表示パネルと、前記前景画像及び前記背景画像を前記異なる面に結像させる光学系と、を有する表示手段と、を具備することを特徴とする。
【0009】
また、前記目的を果たすため、本発明の画像処理方法の一態様は、注目被写体を含む被写体存在画像のデータを入力して前記被写体存在画像のデータから前記注目被写体の画像のデータを抽出し、抽出された前記注目被写体の画像のデータと表示背景画像のデータとを入力して観察方向に沿って観察された際に該表示背景画像が表示されていると観察者に認識される面の手前又は奥に位置する面に該注目被写体の画像が表示されていると観察者に認識される3次元画像のデータを作成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、注目被写体が背景画像の手前又は奥に見えるという新たな視覚効果が得られる3次元画像を作成する画像処理装置、その画像処理装置が作成した3次元画像を表示する画像表示装置、及びその画像処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態に係る画像表示装置の表示部の構成例を示す図。
【図3】第1の実施形態に係る画像表示装置の画像処理部の動作例を示すフローチャート。
【図4】第1の実施形態に係る画像表示装置の被写体抽出部が実行する被写体抽出処理の一例を示すフローチャート。
【図5】第1の実施形態に係る被写体抽出部が実行する被写体抽出処理により作成される画像を説明するための図。
【図6】第1の実施形態に係る画像表示装置の3次元画像生成部が実行する3次元画像生成処理の一例を示すフローチャート。
【図7】両眼視差による立体視を説明するための図。
【図8】第1の実施形態に係る3次元画像生成処理により作成される画像を説明するための図。
【図9】第1の実施形態に係る3次元画像生成処理により作成される画像によって観察者が認識する画像を説明するための図。
【図10】第1の実施形態に係る画像表示装置の輪郭画像生成部が実行する輪郭画像生成処理の一例を示すフローチャート。
【図11】第1の実施形態に係る輪郭画像生成処理により作成される画像を説明するための図。
【図12】第1の実施形態に係る輪郭画像生成処理により作成される画像によって観察者が認識する画像を説明するための図。
【図13】第1の実施形態に係る画像表示装置の消失画像生成部が実行する消失画像生成処理の一例を示すフローチャート。
【図14】第1の実施形態に係る消失画像生成処理により作成される画像を説明するための図。
【図15】第1の実施形態に係る消失画像生成処理により作成される画像によって観察者が認識する画像を説明するための図。
【図16】第1の実施形態に係る消失画像生成処理における変数pと飛出し率Dとの関係の例を示す図。
【図17】第1の実施形態の第1の変形例に係る画像表示装置の画像処理部の動作例を示すフローチャート。
【図18】第1の実施形態の第1の変形例に係る画像表示装置の消失画像生成部が実行する消失画像生成処理の一例を示すフローチャート。
【図19】第1の実施形態の第1の変形例に係る画像表示装置の輪郭画像生成部が実行する輪郭画像生成処理の一例を示すフローチャート。
【図20】第1の実施形態の第1の変形例に係る輪郭画像生成処理により作成される画像によって観察者が認識する画像を説明するための図。
【図21】第1の実施形態の第2の変形例に係る画像表示装置の構成例を示すブロック図。
【図22】第1の実施形態の第2の変形例に係る画像表示装置の画像処理部の動作例を示すフローチャート。
【図23】第1の実施形態の第2の変形例に係る画像表示装置の動き量検出部が実行する動き量検出処理の一例を示すフローチャート。
【図24】本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示すブロック図。
【図25】第2の実施形態に係る画像表示装置の表示部の構成例を示す図。
【図26】第2の実施形態に係る画像表示装置の画像処理部の動作例を示すフローチャート。
【図27】第2の実施形態に係る画像表示装置の背景画像加工部が実行する背景画像加工処理の一例を示すフローチャート。
【図28】第2の実施形態に係る背景画像加工処理により作成される画像を説明するための図。
【図29】第2の実施形態に係る画像表示装置の前景画像加工部が実行する前景画像加工処理の一例を示すフローチャート。
【図30】第2の実施形態の第1の変形例に係る画像表示装置の画像処理部の動作例を示すフローチャート。
【図31】第2の実施形態の第2の変形例に係る画像表示装置の画像処理部の動作例を示すフローチャート。
【図32】第2の実施形態の第3の変形例に係る画像表示装置の画像処理部の動作例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る画像表示装置の構成例を図1に示す。この図に示すように、本画像表示装置は、制御部100と、画像処理部200と、画像メモリ300と、画像入力部400と、表示制御部500と、表示部600とを備える。ここで、画像処理部200は、被写体抽出部210と、3次元画像生成部220と、輪郭画像生成部230と、消失画像生成部240とを有する。
【0013】
また、本画像表示装置には、画像記録メディア800が接続される。ここで、画像記録メディア800は、例えばフラッシュメモリであり、被写体存在画像810のデータと、被写体背景画像820のデータと、表示背景画像830のデータとを記録している。被写体存在画像810は、例えば人物等の注目被写体を含む動画像である。被写体存在画像810のフレーム数は、Frであるとする。被写体背景画像820は、被写体存在画像810と同じ場所で且つ同条件で撮影された、注目被写体が写っていない静止画像である。表示背景画像830は、表示部600に表示させる背景の画像であり、動画でも静止画でもよい。本実施形態の説明では、簡単のため、表示背景画像830は、静止画であるものとする。また、被写体存在画像810と、被写体背景画像820と、表示背景画像830とは、それぞれ同じ画像サイズ(同じ画素数)を有しているものとして説明する。被写体存在画像810と被写体背景画像820と表示背景画像830との画像サイズが異なる場合は、公知の技術により画像の拡大又は縮小を行い、サイズを一致させればよい。
【0014】
制御部100は、画像処理部200、画像メモリ300、画像入力部400、及び表示制御部500と接続しており、本画像表示装置全体の動作を制御する。画像入力部400は、画像記録メディア800及び画像メモリ300と接続している。画像入力部400は、制御部100の制御の下、画像記録メディア800に記録されている画像を読み出し、画像メモリ300に記憶させる。
【0015】
画像処理部200は、本発明に係る画像処理装置の一実施形態である。画像処理部200は、被写体存在画像810のデータと、被写体背景画像820のデータと、表示背景画像830のデータとから、表示部600に表示させるための画像データを作成する。簡単に説明すると、観察者から見て、表示部600に表示された画像は、次のように見える。まず、被写体存在画像中の注目被写体が切り出されて、表示背景画像830を背景として、切り出された注目被写体は、表示背景画像830に対して所定の飛出し度合いで飛出して見える。このように表示背景画像830に対して飛出した状態で動く注目被写体が、Frフレーム分表示される。次に、Frフレームの表示が終了すると、表示背景画像830に対して飛出した状態で、Tフレーム分の時間をかけて注目被写体の部分が、当該注目被写体の裏側に相当する部分の表示背景画像830に徐々に変更される。その後、Uフレーム分の時間をかけて、注目被写体は、大きさを変えながら、表示背景画像830に対する飛出し度合いを変化させて、やがて表示背景画像830に溶け込むように消える。画像処理部200は、このように見えるように表示部600に表示させるための画像データを作成する。
【0016】
被写体抽出部210は、被写体抽出処理を行う。即ち、被写体抽出部210は、被写体存在画像810のデータと被写体背景画像820のデータとを比較する。そして、被写体抽出部210は、被写体存在画像810のデータと被写体背景画像820のデータとの相違度を算出して、画像上の位置に対する相違度を表す相違度マップを作成する。被写体抽出部210は、相違度マップに基づいて、広い領域において相違度が高い領域を被写体領域として特定し、被写体領域の画像情報を抽出した被写体抽出画像のデータを作成する。
【0017】
3次元画像生成部220は、表示背景画像830に対応する背景画像のデータに注目被写体の画像である前景画像のデータを合成することで、表示部600に表示させる左眼用画像のデータと右眼用画像のデータとを作成する。表示部600に表示させた左眼用画像と右眼用画像とを観察した観察者が、前景画像が、背景画像に対して飛出しているように見えるように、3次元画像生成部220は、背景画像のデータに対して前景画像のデータを合成する位置を、左眼用画像と右眼用画像とで異ならせるようにする。
【0018】
輪郭画像生成部230は、前記した被写体抽出画像のデータと表示背景画像830のデータとに基づいて、被写体輪郭画像のデータを作成する。ここで、輪郭画像生成部230は、被写体抽出画像のデータ中の注目被写体の輪郭を抽出し、この輪郭の内部の画像情報を、被写体抽出画像の画像情報と表示背景画像830の画像情報とを混合した画像情報とするように、1画素ずつ画像情報を置換して、被写体輪郭画像のデータを作成する。
【0019】
消失画像生成部240は、前記した被写体抽出画像のデータと表示背景画像830のデータとに基づいて、被写体消失画像のデータを作成する。ここで、消失画像生成部240は、飛出し率Dpと注目被写体の拡大率Mとを算出する。消失画像生成部240は、算出した拡大率Mに基づいて、被写体抽出画像のデータ中の注目被写体を拡大又は縮小して大きさを変更する。更に、消失画像生成部240は、大きさを変更した注目被写体の輪郭の内部の画像情報を表示背景画像830の相当する部分の画像情報に置き換える。
【0020】
画像メモリ300は、例えば、DRAM等により構成され、被写体存在画像810のデータ、被写体背景画像820のデータ、及び表示背景画像830のデータ、並びに、制御部100、画像処理部200、被写体抽出部210、3次元画像生成部220、輪郭画像生成部230、及び消失画像生成部240等によって処理されるデータ等を一時記憶する。
【0021】
表示制御部500は、制御部100、画像メモリ300及び表示部600と接続している。制御部100の制御の下、表示制御部500は、画像メモリ300から、左眼用画像のデータ及び右眼用画像のデータを取得し、それらを表示部600に出力しつつ、表示部600を制御して、表示部600に左眼用画像及び右眼用画像を表示させる。
【0022】
本実施形態に係る表示部600は、表示制御部500の制御下で駆動される、両眼視差を用いる3D時分割視差表示装置である。表示部600は、右眼用画像と左眼用画像とを交互に表示させる。表示部600は、右眼用画像の表示には、右眼方向に向かう指向性を有する光を用い、左眼用画像の表示には、左眼方向に向かう指向性を有する光を用いる。このような表示装置は、例えば特開2006−310269号公報に開示されている。
【0023】
図2を参照して表示部600の構成を簡単に説明する。表示部600は、表示パネル610と面光源620とを有する。表示パネル610は、例えば液晶パネル等、画素毎に光の透過率を変更するパネルである。面光源620は、表示パネル610に対して光を照射するバックライトとして機能する。面光源620は、導光板622と反射板624とを備える。また、面光源620は、第1の発光素子626と第2の発光素子628とを備える。
【0024】
反射板624には、第1の発光素子626の出射点と第2の発光素子628の出射点との中点を中心とする同心円状の溝が形成されている。この溝の形状のため、反射板624で反射される光は、特定の方向に進行する。即ち、第1の発光素子626から出射した光は、導光板622内を進行し、反射板624で反射され、観察者の右眼に入射する。一方、第2の発光素子628から出射した光は、導光板622内を進行し、反射板624で反射され、観察者の左眼に入射する。
【0025】
したがって、表示パネル610に右眼用画像を表示しているときに、第1の発光素子626を点灯し第2の発光素子628を消灯すると、右眼用画像は、観察者の右眼に到達する。表示パネル610に左眼用画像を表示しているときに、第2の発光素子628を点灯し第1の発光素子626を消灯すると、左眼用画像は、観察者の左眼に到達する。即ち、表示パネル610に右眼用画像と左眼用画像とを交互に表示させ、これとタイミングを合わせて、第1の発光素子626及び第2の発光素子628の点灯と消灯とを制御すると、観察者の右眼に右眼用画像を、観察者の左眼に左眼用画像を、それぞれ観察させることができる。ここで、右眼用画像と左眼用画像とを、視差に応じて異なる画像とすることで、観察者に、3次元の画像を認識させることができる。本3D時分割視差表示装置によれば、観察者は、裸眼で立体的に認識される画像を観察することができる。
【0026】
このように、例えば被写体抽出部210は、前記被写体存在画像のデータから前記注目被写体の画像のデータを抽出する被写体抽出手段として機能する。また、例えば3次元画像生成部220は、注目被写体の画像のデータと表示背景画像のデータとに基づいて、3次元画像のデータ作成手段として機能する。また、例えば輪郭画像生成部230は、注目被写体が表示背景画像に溶け込むように認識されるように、注目被写体の画像のデータに変更を施し被写体変更画像のデータを作成する被写体変更手段や、注目被写体が前記表示背景画像に置き換わるように認識されるように、注目被写体の画像のデータに変更を施して被写体変更画像のデータを作成する被写体−背景置換手段や、注目被写体の画像のデータに表示背景画像のデータを混合した被写体輪郭画像のデータを作成する輪郭画像生成手段として機能する。また、例えば消失画像生成部240は、注目被写体が表示背景画像に溶け込むように認識されるように、注目被写体の画像のデータに変更を施し被写体変更画像のデータを作成する被写体変更手段や、注目被写体の大きさが順次変化して認識されるように、注目被写体の画像のデータに変更を施して被写体変更画像のデータを作成する被写体サイズ変更手段や、注目被写体を含む画像のデータに変更を施して被写体消失画像のデータを作成し、被写体消失画像に基づいて奥行き度の値を設定する消失画像生成手段として機能する。
【0027】
次に本実施形態に係る表示装置の動作について説明する。まず、制御部100の制御の下、画像入力部400は、画像記録メディア800に記録された被写体存在画像810のデータと、被写体背景画像820のデータと、表示背景画像830のデータとを読み出し、画像メモリ300に記憶させる。
【0028】
制御部100の制御の下、画像処理部200は、図3に示すフローチャートのように動作する。ここでまず、その概要を説明する。ステップS104からステップS112までのループ処理において、画像処理部200は、Frフレームの動画である被写体存在画像810からフレーム毎に注目被写体の画像を抽出し、その注目被写体の画像が表示背景画像830に対して飛出し率D0だけ飛出して見える3次元表示のための画像データを、フレーム毎に出力する。
【0029】
Frフレームの表示が全て終了したら、ステップS114からステップS122までのループ処理において、画像処理部200は、次のように見える3次元表示のための画像データを出力する。まず、表示背景画像830に対して飛出し率D0だけ飛出して見える位置に、被写体存在画像の最終フレームの注目被写体の輪郭が表示される。そして、この輪郭内の画像情報が、注目被写体の画像情報から、その輪郭内に相当する位置の表示背景画像830の画像情報に段階的に置き換わる。
【0030】
被写体存在画像の最終フレームの注目被写体の輪郭内の画像情報が表示背景画像830に置き換わったら、ステップS124からステップS132までのループ処理において、画像処理部200は、次のように見える3次元表示のための画像データを出力する。注目被写体の輪郭内の画像情報が表示背景画像830に置き換わっている。そのような注目被写体の画像が、段階的にサイズと飛出し率とを変化させる。そして、最終的に飛出し率は0となり、表示背景画像830と注目被写体の輪郭とが判別できない画像となる。
【0031】
次に図3に示すフローチャートを参照して、画像処理部200の処理を順に説明する。
ステップS102において、画像処理部200は、後述する各種パラメータを初期値に設定する。例えば、ステップS104からステップS112までのループ処理のループ回数を制御する変数nを1に設定し、ステップS114からステップS122までのループ処理のループ回数を制御する変数mを0に設定し、ステップS124からステップS132までのループ処理のループ回数を制御する変数pを0に設定し、飛出し率DをD0に設定し、拡大率Mを1に設定する。
【0032】
ステップS104において、画像処理部200は、変数nが被写体存在画像のフレーム数Fr以下であるか否かを判定する。
ステップS104の判定の結果、変数nがフレーム数Fr以下であれば、ステップS106において、画像処理部200は、画像処理部200内の被写体抽出部210に、被写体抽出処理を実行させる。この被写体抽出処理は、被写体存在画像のデータ中から、例えば人物等の注目被写体を抽出し、被写体抽出画像のデータを作成する処理である。ここで、被写体抽出部210が実行する被写体抽出処理を、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0033】
ステップS202において、被写体抽出部210は、画像メモリ300に記憶されている被写体存在画像810のnフレーム目の画像データと被写体背景画像820のデータとを読み出す。
ステップS204において、被写体抽出部210は、ステップS202において読み出した被写体存在画像810のnフレーム目の画像データと被写体背景画像820のデータとを重ね合わせるため、それぞれの画像データの特徴点を抽出する。
【0034】
ステップS206において、被写体抽出部210は、ステップS204において抽出した特徴点を比較して、被写体存在画像810と被写体背景画像820との画像のずれである動きベクトルを算出する。より具体的には、例えば被写体背景画像820のデータのそれぞれの特徴点について、被写体存在画像810のデータ内で探索し、一致度を表す表価値が最もよい点を決定し、各点に関する動きベクトルを算出する。このようにして算出された各点に関する動きベクトルを統計的に処理し、画像全体に関する動きベクトルを算出する。
【0035】
ステップS208において、被写体抽出部210は、ステップS206において算出した動きベクトルを用いて、被写体存在画像810のデータと被写体背景画像820のデータとの位置合せを行う。より具体的には、例えば、ステップS206において算出した動きベクトルに基づいて、射影変換行列を決定する。この射影変換行列を用いて、被写体背景画像820を射影変換することで、被写体存在画像810のデータと被写体背景画像820のデータとの位置を合わせる。
【0036】
ステップS210において、被写体抽出部210は、被写体存在画像810のデータから注目被写体を抽出するため、ステップS206において位置合せをした被写体存在画像810のデータと被写体背景画像820のデータとの、対応する各画素を比較する。そして、被写体抽出部210は、各画素についての相違度を算出し、各画素の位置と各画素の相違度との関係を表す相違度マップを作成する。
【0037】
ステップS212において、被写体抽出部210は、ステップS210で作成した相違度マップ内の相違度を、所定の閾値で二値化する。
ステップS214において、被写体抽出部210は、ステップS212で二値化した相違度と、各画素の位置関係を調べ、相違度が高い領域を抽出する。被写体抽出部210は、相違度が高い領域のうち、その領域の面積が最も広い領域を選択し、当該領域を被写体領域として特定する。この被写体領域が、例えば人物等の注目被写体を表す領域に相当する。
【0038】
ステップS216において、被写体抽出部210は、ステップS214で特定した被写体領域の内部は、被写体存在画像810の情報を有しており、被写体領域の外部は、空の画像情報を有する画像である被写体抽出画像のデータを作成する。ここで、空の画像情報は、任意でよく、例えば、黒表示を表す情報としてもよい。
【0039】
ステップS218において、被写体抽出部210は、ステップS216で作成した被写体抽出画像のデータを画像メモリ300に記憶させる。その後、被写体抽出部210は、処理を終了する。
本被写体抽出処理によって、例えば図5に示すように、被写体存在画像810のデータ及び被写体背景画像820のデータから、被写体抽出画像910のデータが作成される。
【0040】
図3に戻って、説明を続ける。ステップS106における被写体抽出処理によって被写体抽出画像910のデータが作成された後、ステップS108において、画像処理部200は、画像処理部内の3次元画像生成部220に、3次元画像生成処理を実行させる。3次元画像生成処理では、表示部に入力する左眼用画像のデータと右眼用画像のデータとを作成する。
【0041】
ステップS106において作成される左眼用画像のデータと右眼用画像のデータとは、表示背景画像830のデータに被写体抽出画像910のデータを合成して作成される。ここで表示背景画像830のデータに被写体抽出画像910のデータを合成する際には、左眼用画像のデータの作成にあたっては、それら画像のデータの位置を左眼用画像シフト量SLだけずらして合成し、右眼用画像のデータの作成にあたっては、それら画像のデータの位置を右眼用画像シフト量SRだけずらして合成する。3次元画像生成部220が実行する3次元画像生成処理を、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0042】
ステップS302において、3次元画像生成部220は、画像メモリ300に記憶されている前景画像のデータと背景画像のデータとを読み込む。ステップS108における3次元処理においては、前景画像のデータは、被写体抽出画像910のデータであり、背景画像のデータは、表示背景画像830のデータである。
【0043】
ステップS304において、3次元画像生成部220は、飛出し率Dに基づいて、公知の3次元表示の技術を用いて、左眼用画像シフト量SLと右眼用画像シフト量SRとを算出する。例えば、一般に図7に示すように、画面に表示する右眼用画像Rと左眼用画像Lとを位置ずれ量Eだけずらして表示すると、観察者からは、右眼用画像Rと左眼用画像Lとに基づいて、画面から飛出し量Diだけ飛出した位置に像Iiが認識される。このとき、像Iiの飛出し量Diは、画面から右眼及び左眼までの距離Dsと、位置ずれ量Eと、観察者の右眼と左眼との距離Aとを用いて、次式(1)で表すことができる。
Di=Ds・E/(A−E) ・・・(1)
また、像Iiの大きさSiは、画面に表示されている像の大きさSpと、右眼と左眼との距離Aと、位置ずれ量Eとを用いて、次式(2)で表すことができる。
Si=Sp・A/(A−E) ・・・(2)
左眼用画像シフト量SLと右眼用画像シフト量SRの算出には、例えばこれらの関係を用いることができる。ステップS108における3次元処理においては、飛出し率D=Di/DsがD0であるとして、左眼用画像シフト量SLと右眼用画像シフト量SRとを算出する。例えば、表示背景画像830に対して、被写体抽出画像910を右方向に左眼用画像シフト量SLずらして合成して左眼用画像を作成し、表示背景画像830に対して、被写体抽出画像910を左方向に右眼用画像シフト量SRずらして合成して右眼用画像を作成する場合、SL+SR=Eの関係を有するようにすればよい。なお、距離Aは、一般的に知られているヒトの目の間隔の平均値を用いる。
【0044】
ステップS306において、3次元画像生成部220は、前景画像のデータと背景画像のデータとを左眼用画像シフト量SLだけずらして合成する。この合成では、前景画像のデータの被写体領域に相当する部分について、背景画像の情報を前景画像の情報に置き換える。被写体領域以外の領域については、このような置き換えを行わず、背景画像の情報をそのまま残す。このようにして、背景画像のデータ上に、前景画像のデータの被写体領域が合成された、左眼用画像のデータが作成される。ステップS108における3次元処理では、ステップS306において、表示背景画像830のデータに被写体抽出画像910のデータの注目被写体を、左眼用画像シフト量SLだけずらして合成する。
【0045】
ステップS308において、3次元画像生成部220は、ステップS306における左眼用画像のデータの作成と同様に、前景画像のデータと背景画像のデータとを右眼用画像シフト量SRだけずらして合成し、右眼用画像のデータを作成する。ステップS108における3次元処理では、ステップS306において、表示背景画像830のデータに被写体抽出画像910のデータの注目被写体を、右眼用画像シフト量SRだけずらして合成する。
ステップS310において、3次元画像生成部220は、作成した左眼用画像のデータと右眼用画像のデータとを、画像メモリ300に記憶させる。その後、3次元画像生成部220は、処理を終了する。
【0046】
本被写体抽出処理によって、例えば図8に示すように、表示背景画像830のデータ及び被写体抽出画像910のデータから、左眼用画像920のデータ及び右眼用画像930のデータが作成される。なお、図8の左眼用画像920のデータ及び右眼用画像930のデータにおいて破線で示した枠は、表示背景画像830に対する被写体抽出画像910の画像範囲を示す。
【0047】
図3に戻って、説明を続ける。ステップS108において、3次元画像生成処理が実行され、左眼用画像920のデータ及び右眼用画像930のデータが作成された後、ステップS110において、画像処理部200は、画像メモリ300に記憶された左眼用画像920のデータ及び右眼用画像930のデータを、表示制御部500に出力する。
【0048】
左眼用画像920のデータ及び右眼用画像930のデータが入力された表示制御部500は、表示部600の表示パネル610に、左眼用画像920と右眼用画像930とを交互に表示させる。ここで、表示制御部500は、左眼用画像920と右眼用画像930との表示に同期させて、第1の発光素子626と第2の発光素子628との点滅を制御する。その結果、観察者にとって、例えば図9に模式的に示すように、注目する被写体である人物が背景の画像に対して飛出し率D0だけ浮き上がって見える画像が表示される。
【0049】
ステップS112において、画像処理部200は、変数nの値を1増加させ、処理をステップS104に戻す。ステップS104の判定で、変数nがフレーム数Fr以下である間は、ステップS106からステップS110の処理を繰り返す。したがって、ステップS106からステップS110の処理を繰り返す間、3次元画像が表示部600には、表示背景画像830を背景として、被写体存在画像810中の注目被写体が、飛出し率D0で浮き上がって認識される、動画像が表示される。
【0050】
ステップS104の判定の結果、変数nがフレーム数Fr以下でないとき、画像処理部200は、処理をステップS114に移す。ここで、変数nがフレーム数Fr以下でないときとは、動画である被写体存在画像810のデータの記録されているフレームが全て再生された後の状態である。これ以降の動作においては、被写体抽出画像910のデータとしては、最終フレームの画像データより作成した被写体抽出画像910のデータが用いられる。
【0051】
ステップS114において、画像処理部200は、輪郭画像生成部230に輪郭画像生成処理を実行させる。輪郭画像生成処理は、被写体抽出画像910中の注目被写体の画像情報を、表示背景画像830の相当する位置の画像情報に、輪郭を残して段階的に置き換える処理である。輪郭画像生成部230が実行する輪郭画像生成処理を、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
【0052】
ステップS402において、輪郭画像生成部230は、画像メモリ300から、表示背景画像830のデータと被写体抽出画像910のデータとを読み出す。
ステップS404において、輪郭画像生成部230は、被写体抽出画像910のデータの注目被写体の輪郭を抽出する。即ち、画像情報が存在する部分と、空の画像情報が存在する部分との境界の座標を特定する。例えば、輪郭画像生成部230は、空の画像情報を抽出できる閾値を設定して画像データを探索することで境界の座標を特定してもよいし、ハイパスフィルタリングによってエッジを検出することで、境界の座標を特定してもよい。
【0053】
ステップS406において、輪郭画像生成部230は、被写体抽出画像910のデータの、ステップS404において抽出された輪郭の内部の画像情報ついて次のように更新し、被写体輪郭画像940のデータを作成する。即ち、各画素の画像情報について、変数mを用いて、背景画像×m/T+被写体切り抜き画像×(1−m/T)で与えられる画像情報に置き換え、被写体輪郭画像のデータを作成する。ここで、Tは所定の定数である。
【0054】
ステップS408において、輪郭画像生成部230は、ステップS406において作成した被写体輪郭画像のデータを、画像メモリ300に記憶させる。その後、輪郭画像生成部230は、処理を終了する。
【0055】
本被写体抽出処理によって、例えば図11に示すように、表示背景画像830のデータ及び被写体抽出画像910のデータから、被写体輪郭画像940のデータが作成される。この図に示すように、被写体輪郭画像940のデータは、被写体領域内について、表示背景画像830のデータの画像情報と被写体存在画像810のデータの画像情報とが混合された画像データとなる。また、被写体領域以外については、例えば黒等の空の画像情報を有している。
【0056】
図3に戻って、説明を続ける。ステップS114における輪郭画像作成処理により被写体輪郭画像940が作成された後、ステップS116において、画像処理部200は、3次元画像生成部220に、3次元画像生成処理を実行させる。ステップS116の3次元画像生成処理では、3次元画像生成部220は、表示背景画像830のデータに被写体輪郭画像940のデータを合成して、左眼用画像のデータと右眼用画像のデータとを作成する。ここで、飛出し率DはD0とする。したがって、表示部600に表示させたときに、観察者から見て、表示背景画像830から飛出し率D0だけ手前に、被写体輪郭画像940が飛出して見える、左眼用画像のデータと右眼用画像のデータとが作成される。ここで、ステップS116における3次元画像生成処理は、ステップS108における3次元画像生成処理と、前景画像のデータが異なり、同じ処理である。
【0057】
ステップS116における3次元画像生成処理によって左眼用画像のデータ及び右眼用画像のデータが作成された後、ステップS118において、画像処理部200は、画像メモリ300に記憶された当該左眼用画像のデータ及び右眼用画像のデータを、表示制御部500に出力する。左眼用画像のデータ及び右眼用画像のデータが入力された表示制御部500は、第1の発光素子626と第2の発光素子628との点滅を制御しつつ、表示部600の表示パネル610に、左眼用画像と右眼用画像とを交互に表示させる。
【0058】
ステップS120において、画像処理部200は、変数mの値を1増加させる。
ステップS122において、画像処理部200は、変数mが所定の定数であるTより大きいか否かを判断する。変数mが定数Tより大きくないとき、処理をステップS114に戻す。
【0059】
変数mが定数Tより大きくない間、画像処理部200は、ステップS114からステップS118の処理を繰り返す。したがって、図12に示すように表示部600には、観察者が、次のように認識する画像が表示される。即ち、表示背景画像830を背景として飛出し率D0だけ浮き上がって見える位置にある注目被写体が、Tフレームをかけて徐々に、表示背景画像830の注目被写体の裏側に相当する位置の画像に変換されていく。
【0060】
ステップS122における判断で、変数mが所定の定数であるTより大きいと判断されたとき、画像処理部200は、処理をステップS124に進める。ステップS124において、画像処理部200は、消失画像生成部240に、消失画像生成処理を実行させる。消失画像生成処理は、飛出し率Dの値を変化させ、また、被写体抽出画像910の大きさを変化させた被写体消失画像のデータを作成する処理である。消失画像生成部240が実行する消失画像生成処理を、図13に示すフローチャートを参照して説明する。
【0061】
ステップS502において、消失画像生成部240は、表示背景画像830のデータと被写体抽出画像910のデータとを読み出す。
ステップS504において、消失画像生成部240は、飛出し率Dpを所定の関数であるDp=f(p)に基づいて算出する。ここで、f(p)は、例えばf(0)=D0であり、f(U)=0である任意の関数とする。ここでは、例としてf(p)は、単調減少関数とする。
ステップS506において、消失画像生成部240は、飛出し率Dpを用いて、注目する被写体の画像の拡大率Mを、所定の関数であるM=g(Dp)に基づいて算出する。ここでは、例として拡大率Mは、飛出し率Dpに比例するものとする。
【0062】
ステップS508において、消失画像生成部240は、拡大率Mに基づいて、被写体抽出画像910のデータにおいて、注目被写体の大きさを拡大又は縮小する。例えば、注目被写体の領域の重心位置を変化させずに、拡大又は縮小した注目被写体が配置された画像データを作成する。或いは、被写体抽出画像910を拡大又は縮小し、元の被写体抽出画像910の画像サイズにトリミングして画像データを作成する。
【0063】
ステップS510において、消失画像生成部240は、拡大又は縮小した被写体抽出画像910のデータにおける注目する被写体の輪郭内を、前記した輪郭画像生成処理の場合と同様に、表示背景画像830のデータの画像情報に置き換えて、被写体消失画像のデータを作成する。
【0064】
ステップS510において、消失画像生成部240は、作成した被写体消失画像のデータを、飛出し率Dpと関連付けて、画像メモリ300に記憶させる。その後、輪郭画像生成部230は、処理を終了する。
本被写体抽出処理によって、例えば図14に示すように、表示背景画像830のデータ及び被写体抽出画像910のデータから、被写体消失画像950のデータが作成される。
【0065】
図3に戻って、説明を続ける。ステップS124における消失画像作成処理により被写体消失画像950のデータが作成された後、ステップS126において、画像処理部200は、3次元画像生成部220に、3次元画像生成処理を実行させる。ステップS126の3次元画像生成処理では、3次元画像生成部220は、表示背景画像830のデータに被写体消失画像950のデータを合成して、左眼用画像のデータと右眼用画像のデータとを作成する。ここで、飛出し率DをDpとする。したがって、表示部600に表示させたときに、ユーザから表示背景画像830から飛出し率Dpだけ手前に、被写体消失画像950が飛び出して見える、左眼用画像のデータと右眼用画像のデータとが作成される。ここで、ステップS126における3次元画像生成処理は、ステップS108における3次元画像生成処理と、前景画像のデータが異なり、行われる処理は同じである。
【0066】
ステップS126における3次元画像生成処理によって左眼用画像のデータ及び右眼用画像のデータが作成された後、ステップS128において、画像処理部200は、画像メモリ300に記憶された当該左眼用画像のデータ及び右眼用画像のデータを、表示制御部500に出力する。左眼用画像及び右眼用画像が入力された表示制御部500は、第1の発光素子626と第2の発光素子628との点滅を制御しつつ、表示部600の表示パネル610に、左眼用画像と右眼用画像とを交互に表示させる。
【0067】
ステップS130において、画像処理部200は、変数pの値を1増加させる。
【0068】
ステップS132において、画像処理部200は、変数pが所定の定数であるUより大きいか否かを判断する。変数pが定数Uより大きくないとき、処理をステップS124に戻す。
【0069】
変数pが定数Uより大きくない間は、ステップS124からステップS132の処理を繰り返すので、ユーザから見ると、表示背景画像830を背景として、被写体消失画像950における注目被写体は、拡大率Mで拡大又は縮小された被写体消失画像950における注目被写体が、関数Dp=f(p)に従った飛出し率Dpの位置に見える。この拡大率Mは変化するので、被写体消失画像950における注目被写体の大きさは変化するとともに、飛出し率Dpも変化する。そして、被写体消失画像950における注目被写体は、ユーザから見て、表示背景画像830に溶け込むように消失するように見える。このような表示の一例の模式図を図15に示す。図15の例は、飛出し率Dpが単調に減少し、それに伴って、被写体消失画像950における注目被写体も単調に小さくなる場合を示す。
【0070】
なお、Dp=f(p)は、単調減少に限らない。変数pと飛出し率Dとの関係の例を、図16に示す。この図に示すように、変数pに対する飛出し率Dの変化率を様々に変えたり、振動関数としたりしてもよい。また、図16に示すようなf(0)=D0かつf(U)=0という関係に限らなくてもよい。
【0071】
ステップS132における判断で、変数pが定数Uより大きいとき、画像処理部200は、処理を終了する。
【0072】
本実施形態によれば、入力された被写体存在画像810のデータと、被写体背景画像820のデータと、表示背景画像830のデータとに基づいて、表示背景画像830に対して、被写体存在画像810中の注目被写体が浮き上がって見えるという、新たな視覚効果が得られる3次元動画表示が可能となる。更に、動画の終了時に、注目被写体が、徐々に表示背景画像830に溶け込んでいくような新たな視覚効果が得られる3次元動画表示が可能となる。
【0073】
なお、本実施形態の説明では、表示部600は、特殊な眼鏡などを用いずに3次元画像を認識できる両眼視差を用いる3D時分割視差表示装置としたが、左眼用画像と右眼用画像とを表示して3次元表示する表示装置であればこれに限らず他の方式を用いてもよい。例えば、時分割表示方式でなく、視差バリアを用いて、左眼用画像と右眼用画像とを同時に表示させつつ、それぞれの画像を観察者の左眼と右眼とに到達させるものでもよい。また、左眼用画像と右眼用画像とを、異なる偏光面を有する光によって表示し、観察者は、特定の偏光を透過する眼鏡を装着して観察する方式の表示装置を用いてもよい。また、左眼用画像と右眼用画像とを表示パネルに時分割に表示し、観察者はシャッタを有する眼鏡を装着し、表示パネルに左眼用画像が表示されているときは、眼鏡の左眼のシャッタを開き右眼のシャッタを閉じ、右眼用画像が表示されているときは眼鏡の右眼のシャッタを開き左眼のシャッタを閉じる機構を有する表示装置を用いてもよい。それぞれの表示装置に応じて、左眼用画像のデータと右眼用画像のデータとの作成にあたって設計的な差異はあるものの、何れの場合にも本質的な差異はない。
【0074】
また、本実施形態の説明では、注目被写体が、表示背景画像に対して手前に浮き出て見えるとして説明したが、注目被写体が表示背景画像の奥に見えるようにしてもよい。また、表示背景画像830に被写体背景画像820と同じ画像を用いてもよいことは勿論である。
【0075】
また、本実施形態の説明では、3次元画像生成処理の後に各フレーム毎に画像データ出力し、画像表示を行わせているが、画像処理部200は、全てのフレームについて3次元画像生成処理を実行して、予め全てのフレームの画像データを作成して画像メモリ300に記憶させた後に、記憶させた画像データを表示制御部500出力して、表示部600にまとめて画像表示を行わせてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、注目被写体を抽出するために、被写体存在画像810のデータと被写体背景画像820のデータとを比較して、注目被写体を抽出する技術を用いているが、注目被写体を抽出できる技術であれば他の技術を用いてもよい。例えば、動きのある部分を抽出することで注目被写体を特定してもよい。また、所定の背景の前で注目被写体を撮影し、当該所定の背景以外の部分を注目被写体として特定してもよい。これらの場合、被写体存在画像810と被写体背景画像820との2つの画像を必要とせず、1つの画像から注目被写体を抽出することができる。
【0077】
[第1の実施形態の第1の変形例]
次に、本発明の第1の実施形態の第1の変形例について説明する。ここで本変形例の説明では、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。第1の実施形態においては、Frフレーム表示後の表示について、図3を参照して説明したステップS114からステップS132までの処理のように、まず、注目被写体の輪郭を残してその輪郭内の画像情報を背景の画像情報に置き換えた輪郭画像を飛出し率D0の位置に表示し、その後、背景画像に変換された注目被写体の輪郭の表示位置の飛び出し率が徐々に減少し、それと共に注目被写体が小さくなる表示を行う。これに対して本変形例では、Frフレーム表示後に、注目被写体の飛出し率が徐々に減少するとともに、注目被写体が徐々に小さくなり、それとともに注目被写体の輪郭内が徐々に背景画像と置き換わっていく表示とする。
【0078】
上記のように表示するため、本変形例の画像処理部200が行う画像処理は、図17に示すフローチャートのように行う。即ち、ステップS102からステップS112までの処理は、第1の実施形態の場合と同様である。ただし、本実施形態では、変数pは用いないので、ステップS102における変数の初期値の設定において、変数pの設定は行わない。
【0079】
本変形例では、ステップS104の判定の結果、変数nがフレーム数Fr以下でないとき、画像処理部200は、処理をステップS142に移す。ステップS142において、画像処理部200は、消失画像生成部240に消失画像生成処理を実行させる。ここで行う消失画像生成処理は、第1の実施形態におけるステップS124の消失画像生成処理と一部が異なる。即ち、図13を参照して説明した第1の実施形態における消失画像生成処理では、注目被写体の輪郭内の画像情報を、表示背景画像の画像情報に置換していたが、本変形例における処理では、この置換を行わない。したがって、図18に示すフローチャートのような処理となる。
【0080】
ステップS522からステップS528までの処理は、第1の実施系体におけるステップS502からステップS508と同じである。ただし、ステップS524における変数には、第1の実施形態で用いた変数pではなく、変数mを用いる。また、本変形例においてはステップS528において作成する画像のデータを、被写体消失画像のデータとする。ステップ528において被写体消失画像のデータを作成したら、ステップS530において、消失画像生成部240は、その被写体消失画像のデータを画像メモリ300に記憶させ、処理を終了する。
【0081】
図17に戻って、説明を続ける。ステップS142における消失画像生成処理によって被写体消失画像のデータを作成したら、ステップS144において、画像処理部200は、輪郭画像生成部230に、輪郭画像生成処理を実行させる。ここで、輪郭画像生成処理は、第1の実施形態におけるステップS114の輪郭画像生成処理と一部が異なる。即ち、図10を参照して説明した第1の実施形態における輪郭画像生成処理では、被写体抽出画像のデータに対して、その輪郭内の画像情報を徐々に背景画像の画像情報に置き換えているが、本変形例に係る輪郭画像生成処理では、被写体消失画像のデータに対して、その輪郭内の画像情報を徐々に背景画像の画像情報に置き換える。したがって、図19に示すフローチャートのような処理となる。ステップS422からステップ428までの処理は、図10を参照して説明した第1の実施形態におけるステップS402からステップS408に相当し、被写体抽出画像のデータに代えて被写体消失画像のデータを用いている点が異なる。
【0082】
図17に戻って、説明を続ける。ステップS144における輪郭画像作成処理により被写体輪郭画像が作成された後、ステップS146において、画像処理部200は、3次元画像生成部220に、3次元画像生成処理を実行させる。ステップS146の3次元画像生成処理では、3次元画像生成部220は、ステップS142における消失画像生成処理において算出した飛出し率Dmに基づいて、表示背景画像830のデータに被写体輪郭画像940のデータを合成して、左眼用画像のデータと右眼用画像のデータとを作成する。したがって、表示部600に表示させたときに、観察者から見て、表示背景画像830から飛出し率Dmだけ手前に、被写体輪郭画像940が飛出して見える、左眼用画像のデータと右眼用画像のデータとが作成される。
【0083】
ステップS146における3次元画像生成処理によって左眼用画像のデータ及び右眼用画像のデータが作成された後、ステップS148において、画像処理部200は、画像メモリ300に記憶された当該左眼用画像のデータ及び右眼用画像のデータを、表示制御部500に出力する。左眼用画像のデータ及び右眼用画像のデータが入力された表示制御部500は、第1の発光素子626と第2の発光素子628との点滅を制御しつつ、表示部600の表示パネル610に、左眼用画像と右眼用画像とを交互に表示させる。
【0084】
ステップS150において、画像処理部200は、変数mの値を1増加させる。
ステップS152において、画像処理部200は、変数mが所定の定数であるTより大きいか否かを判断する。変数mが定数Tより大きくないとき、処理をステップS142に戻す。変数mが定数Tより大きくない間、画像処理部200は、ステップS142からステップS152の処理を繰り返す。ステップS152における判断で、変数mが所定の定数であるTより大きいと判断されたとき、画像処理部200は、処理を終了する。
【0085】
以上によって、表示部600には、例えば図20に模式的に示すように、観察者から見て、表示背景画像830を背景として注目被写体が、飛出し率D0だけ浮き上がって見える位置から、表示背景画像830が認識されている面に徐々に飛出し率を変えていき、このとき、注目被写体のサイズも徐々に小さくなり、注目被写体の輪郭内の画像が徐々に背景画像に置き換わっていくような表示がなされる。
【0086】
本変形例によれば、動画表示後の注目被写体が背景に溶け込む表示において、第1の実施形態とは異なる視覚効果が得られる。
【0087】
[第1の実施形態の第2の変形例]
次に、本発明の第1の実施形態の第2の変形例について説明する。ここで本変形例の説明では、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。第1の実施形態では、被写体存在画像に基づくFrフレームの画像を表示する際に、飛出し率DはD0で一定である。これに対して本変形例では、注目被写体の動きに応じて、飛出し率Dが異なる。
【0088】
本変形例に係る画像表示装置の構成例を図21に示す。本変形例に係る画像表示装置は、第1の実施形態に係る画像表示装置において、更に画像処理部200内に動き量検出部250を有する。動き量検出部250は、異なるフレームの2つの画像データを読み出し、それらの特徴点を抽出し、2つの画像データで対応する特徴点の移動量を算出し、これら2つの画像における動き量を算出する。
【0089】
本変形例に係る画像処理部200の動作を図22に示すフローチャートを参照して説明する。この図に示すように、本変形例に係る画像処理部200の動作は、図3を参照して説明した第1の実施形態に係る動作の、ステップS106とステップS108との間に、ステップS107を追加している。また、これら追加するステップで用いる変数である動き量Vの値を、ステップS102において初期値に設定する。また、ステップS108における3次元画像生成処理において、飛出し率Dは、後述するステップS107で算出される飛出し率Dnとする。その他の動作は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0090】
本変形例において、ステップS106における被写体抽出処理が行われ、被写体抽出画像910が作成されたら、ステップS107において、画像処理部200は、画像処理部内の動き量検出部250に、動き量検出処理を行わせる。ここで、動き量検出処理は、ステップS106で作成された被写体抽出画像のデータの注目被写体の、n−1フレーム目からnフレーム目への変化量を算出し、その変化量に基づいて飛出し率Dを算出する。ステップS107における動き量検出処理を図23に示すフローチャートを参照して説明する。
【0091】
ステップS602において、動き量検出部250は、画像メモリ300に記憶されたnフレーム目の被写体抽出画像のデータとn−1フレーム目の被写体抽出画像のデータとを読み出す。
ステップS604において、動き量検出部250は、読み出した2つの被写体抽出画像のデータの特徴点を抽出する。ここで、特徴点の抽出は、図4を参照して説明した被写体抽出部が実行するステップS204の処理と同様である。
【0092】
ステップS606において、動き量検出部250は、ステップS604で抽出したnフレーム目の被写体抽出画像のデータの特徴点と、対応するn−1フレーム目の被写体抽出画像のデータの特徴点との差を表す動きベクトルを算出する。ここで、動きベクトルの算出は、図4を参照して説明した被写体抽出部が実行するステップS206の処理と同様である。
【0093】
ステップS608において、動き量検出部250は、ステップS606において算出された全特徴点に係る動きベクトルに基づいて、被写体抽出画像中の注目被写体のn−1フレーム目からnフレーム目への動き量Vnを統計的に算出する。ここで、例えば動き量Vnは、注目被写体の動き(注目被写体に対応した動きベクトルの大きさ)が大きい程大きな値とする。
【0094】
ステップS610において、動き量検出部250は、動き量Vnに基づいて、飛出し率DnをDn=h(Vn)によって、算出する。ここで、h(Vn)は、任意の関数である。例えば、単調増加関数でもよい。
【0095】
ステップS612において、動き量検出部250は、nフレーム目の被写体抽出画像のデータと関連付けて、ステップS610で算出した飛出し率Dnを画像メモリに記憶させる。
なお、n=1のとき、動き量検出部250は、上記の動き量検出処理を行わずに、初期値D0を1フレーム目の被写体抽出画像のデータと関連付けて画像メモリに記憶させる。
【0096】
図22に戻って説明を続ける。ステップS108において、画像処理部200は、3次元画像生成部に右眼用画像のデータと左眼用画像のデータとを作成させる。ここで、飛出し率DをDnとする。
本変形例のその他の動作は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0097】
このように、例えば動き量検出部250は、注目被写体の動き量を検出し、それに基づいて表示背景画像が表示されていると認識される面と注目被写体の画像が表示されていると認識される面との奥行き度の値を設定する動き量検出手段として機能する。
【0098】
本変形例によれば、Frフレームの動画像を表示する際に、注目被写体の動きに応じて、観察者が認識する注目被写体の飛び出し率が異なる第1の実施形態とは異なる視覚効果が得られる。
【0099】
なお、本説明では、ステップS608において動き量Vnを算出するにあたって、n−1フレーム目からnフレーム目への動きベクトルに基づくとしたが、これに限らずともよい。例えば、滑らかな表示のために、n−1フレーム目以前の動きベクトルも考慮して動き量Vを求めてもよい。
また、本変形例は、第1の実施形態の第1の変形例と組み合わせ用いてもよい。
【0100】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。ここで本実施形態の説明では、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。本実施形態に係る画像表示装置の構成例を図24に示す。第1の実施形態に係る画像表示装置と異なるのは、3次元画像生成部220、輪郭画像生成部230及び消失画像生成部240に代えて、背景画像加工部260及び前景画像加工部270を有する点と、表示部600に代えて表示部650を有する点と、表示制御部500に代えて表示制御部550を有する点である。
【0101】
本実施形態に係る表示部650の構成例を図25に示す。この図に示すように、表示部650は、第1のディスプレイ651と、第2のディスプレイ652と、第1のサーキュラフレネルレンズ653と、第2のサーキュラフレネルレンズ654と、反射偏光板655と、移動支持手段656とを有する。
【0102】
第1のディスプレイ651に表示された画像は、反射偏光板655を透過して、観察者に視認される。また、第2のディスプレイ652に表示された画像は、反射偏光板655で反射され、観察者に視認される。したがって、第1のディスプレイ651に表示された画像と、第2のディスプレイ652に表示された画像とが重ね合わされた画像が、観察者には視認される。ここで、第1のサーキュラフレネルレンズ653と、移動支持手段656によって移動可能に支持された第2のサーキュラフレネルレンズ654とによって、第2のディスプレイ652に表示された画像の結像位置を調整することができる。したがって、表示部650は、第2のサーキュラフレネルレンズ654の位置を調節することによって、第1のディスプレイ651に表示された画像が観察される面に対して、奥行きが異なる様々な面に第2のディスプレイ652に表示された画像が観察される表示をすることができる。本実施形態では、表示制御部550の制御の下、画像処理部200が算出した飛出し率Dに応じて、移動支持手段656に支持された第2のサーキュラフレネルレンズ654が移動する。このような表示装置は、例えば特開2009−063914号公報に開示されている。
【0103】
このように、例えば第2のディスプレイ652は、前景表示パネルとして機能し、例えば第1のディスプレイ651は、背景表示パネルとして機能し、例えば第1のサーキュラフレネルレンズ653と第2のサーキュラフレネルレンズ654と反射偏光板655とは、前景画像及び背景画像を異なる面に結像させる光学系として機能し、例えば移動支持手段656と第2のサーキュラフレネルレンズ654とは、奥行き度に基づいて前景画像又は背景画像を結像させる面を変化させる結像面変更手段として機能する。
【0104】
表示制御部550は、背景画像を第1のディスプレイ651に表示させ、前景画像を第2のディスプレイ652に表示させ、飛出し率Dに応じて、移動支持手段656の動作を制御し、第2のサーキュラフレネルレンズ654の位置を設定する。
【0105】
背景画像加工部260は、背景画像のデータの、前景の注目被写体と重なり合う部分の輝度を変更させた加工背景画像のデータを作成する、背景画像加工処理を実行する。前景画像加工部270は、前景画像の輝度を変更せた加工前景画像を作成する、前景画像加工処理を実行する。
【0106】
次に本実施形態に係る画像表示装置の動作を、図面を参照して説明する。まず、制御部100の制御の下、画像入力部400は、画像記録メディア800に記録された被写体存在画像810のデータと、被写体背景画像820のデータと、表示背景画像830のデータとを読み出し、画像メモリ300に記憶させる。
【0107】
制御部100の制御の下、画像処理部200は、図26に示すフローチャートのように動作する。
ステップS152において、画像処理部200は、第1の実施形態のステップS102と同様に、各種パラメータを初期値に設定する。例えば、変数nを1に設定し、飛出し率DをD0に設定し、拡大率Mを1に設定し、変数b1を0に設定し、変数b2を100に設定する。
【0108】
ステップS154において、画像処理部200は、第1の実施形態のステップS104と同様に、変数nが被写体存在画像のフレーム数Fr以下であるか否かを判定する。
ステップS154の判定の結果、変数nがフレーム数Fr以下であれば、ステップS156において、画像処理部200は、第1の実施形態のステップS106と同様に、画像処理部内の被写体抽出部210に、被写体抽出処理を実行させる。この被写体抽出処理は、図4を参照して説明した第1の実施形態における被写体抽出処理と同様であり、被写体抽出画像910のデータが作成され画像メモリ300に記憶される。ここで、本実施形態では、被写体抽出画像910において、注目被写体以外の領域は、黒色である画像情報とする。
【0109】
ステップS158において、画像処理部200は、画像処理部内の背景画像加工部260に、背景画像加工処理を実行させる。ここで、背景画像加工処理は、加工背景画像を作成する処理である。本実施形態に係る表示部650では、第1のディスプレイ651に背景を表示し、第2のディスプレイ652に前景を表示する。このとき観察者には、前景と背景とが異なる面にあり、それらが重なり合って見える。したがって、観察者には、前景の画像の裏側に背景が透けて見えることになる。そこで本実施形態では、背景画像の、前景の注目被写体と重なり合う部分を黒色にする。背景画像加工部260が実行する背景画像加工処理を図27に示すフローチャートを参照して説明する。
【0110】
ステップS702において、背景画像加工部260は、画像メモリ300から表示背景画像830のデータと被写体抽出画像910のデータとを読み出す。
ステップS704において、背景画像加工部260は、被写体抽出画像910のデータの被写体領域の輪郭抽出し、その大きさを飛出し量Dに依存する拡大率Mで拡大する。観察者から見て注目被写体は、背景画像よりも手前に見えるので、注目被写体は、相対的に大きく見える。このステップにおいて、観察者から見て大きく見える分だけ被写体抽出画像910のデータの注目被写体を拡大している。飛出し量Dと拡大率Mとの関係は、幾何学的に求めることができる。
【0111】
ステップS706において、背景画像加工部260は、表示背景画像のデータにおいて、拡大した被写体領域の輪郭の内部に相当する領域を選択する。
ステップS708において、背景画像加工部260は、表示背景画像のデータにおけるステップS704で選択した領域の輝度を元のb1/100%に変更し、加工背景画像を作成する。ここでステップS158における背景画像生成処理では、b1=0であるので、選択した領域内の輝度は0、即ち黒色になる。
【0112】
ステップS710において、背景画像加工部260は、作成した加工背景画像のデータを画像メモリ300に記憶させる。
【0113】
本被写体抽出処理によって、例えば図28に示すように、表示背景画像830のデータ及び被写体抽出画像910のデータから、表示背景画像830のデータにおいて注目被写体に相当する領域が黒色に変更された加工背景画像960のデータが作成される。
【0114】
図26に戻って、説明を続ける。ステップS158において、背景画像加工処理が実行され、加工背景画像960が作成された後、ステップS159において、画像処理部200は、飛出し率Dを画像メモリ300を介して、表示制御部550に出力する。
飛出し率Dが入力された表示制御部550は、飛出し率Dに基づいて、移動支持手段656を制御し、第2のサーキュラフレネルレンズ654を移動させる。ここで、飛出し率Dの値と、第2のサーキュラフレネルレンズ654の位置との関係は、予め定めておき、図示しない記憶部に記憶させておくことができる。
【0115】
ステップS160において、画像処理部200は、画像メモリ300に記憶された被写体抽出画像910のデータと加工背景画像960のデータとを、表示制御部550に出力する。ここで、被写体抽出画像910のデータを前景画像のデータとし、加工背景画像960のデータを背景画像のデータとする。
被写体抽出画像910のデータと加工背景画像960のデータとが入力された表示制御部550は、表示部650の第1のディスプレイ651に加工背景画像960を表示させ、第2のディスプレイ652に被写体抽出画像910を表示させる。その結果、観察者にとっては、例えば図9に示した第1の実施形態の場合と同様に、注目する被写体である人物が背景の画像に対して飛出し率D0だけ浮き上がって見える3次元画像が観察される。
【0116】
ステップS162において、画像処理部200は、第1の実施形態のステップS112と同様に、変数nの値を1増加させ、処理をステップS154に戻す。ステップS154の判定で、変数nがフレーム数Fr以下である間は、ステップS154からステップS162までの処理を繰り返す。したがって、ステップS154からステップS162の処理を繰り返す間、表示部650には、加工背景画像960を背景として、飛出し率D0で浮き上がって認識される、被写体存在画像810中の注目被写体が動く動画像が表示される。
【0117】
ステップS154の判定の結果、変数nがフレーム数Fr以下でないとき、画像処理部200は、処理をステップS164に移す。ステップS164において、画像処理部200は、背景画像加工部260に、背景画像加工処理を実行させる。
【0118】
ステップS166において、画像処理部200は、画像メモリ300に記憶された被写体抽出画像910のデータと加工背景画像960のデータとを、表示制御部550に出力する。ここで、被写体抽出画像910のデータを前景画像のデータとし、加工背景画像960のデータを背景画像のデータとする。
【0119】
ステップS168において、画像処理部200は、変数b1の値を例えば1増加させる。
ステップS170において、画像処理部200は、変数b1が100より大きいか判断する。この判断の結果、変数b1が100以下であれば処理をステップS164に戻す。
【0120】
ステップS170の判定で、変数b1が100以下である間は、変数b1の値を増加させながらステップS164からステップS170までの処理を繰り返す。ステップS164における背景画像加工処理では、注目被写体に対応する選択された領域の輝度は、b1の増加に伴って、徐々に100%に近づいていく。したがって、ステップS164からステップS170までの処理を繰り返す間、表示部650には、注目被写体の裏側に背景が徐々に現れる画像が表示される。
【0121】
ステップS170における判断の結果、変数b1が100より大きくなったら、処理をステップS172に進める。ステップS172において、画像処理部200は、前景画像加工部270に、前景画像加工処理を実行させる。ここで、前景画像加工処理は、前景画像の輝度を変更する処理である。前景画像加工処理の動作を図29に示すフローチャートを参照して説明する。
【0122】
ステップS802において、前景画像加工部270は、画像メモリ300から被写体抽出画像910のデータを読み出す。
ステップS804において、前景画像加工部270は、被写体抽出画像910のデータにおける輝度を元のb2/100%に変更し、加工前景画像のデータを作成する。
ステップS806において、前景画像加工部270は、作成した加工前景画像のデータを画像メモリ300に記憶させる。
【0123】
図26に戻って説明を続ける。ステップS172における前景画像加工処理によって加工前景画像のデータが作成されたら、ステップS174において、画像処理部200は、画像メモリ300に記憶された表示背景画像830のデータと加工前景画像のデータとを、表示制御部550に出力する。ここで、加工前景画像のデータを前景画像のデータとし、表示背景画像830のデータを背景画像のデータとする。
【0124】
ステップS176において、画像処理部200は、変数b2の値を例えば1減少させる。
ステップS178において、画像処理部200は、変数b2が0より小さいか判断する。この判断の結果、変数b2が0以上であれば処理をステップS172に戻す。
【0125】
ステップS178の判定で、変数b2が0以上である間は、変数b2の値を減少させながらステップS172からステップS178までの処理を繰り返す。ステップS172における前景画像加工処理では、注目被写体の輝度は、b2の減少に伴って徐々に0%に近づいていく。したがって、ステップS172からステップS178までの処理を繰り返す間、表示部650には、注目被写体が徐々に暗くなり背景が徐々に良く見えるようになり、やがて注目被写体が完全に消える画像が表示される。
ステップS178の判定で、変数b2が0より小さくなったら、画像処理部200は処理を終了する。
【0126】
このように、例えば背景画像加工部260及び前景画像加工部270は、注目被写体の画像のデータと表示背景画像のデータとに基づいて、3次元画像データを作成する3次元画像データ作成手段として機能する。また、例えば前景画像加工部270は、注目被写体が表示背景画像に溶け込むように認識されるように、注目被写体の画像のデータに変更を施し被写体変更画像のデータを作成する被写体変更手段や、注目被写体が前記表示背景画像に置き換わるように認識されるように、注目被写体の画像のデータに変更を施して被写体変更画像のデータを作成する、被写体−背景置換手段や、注目被写体の画像のデータに基づいて前景画像のデータを作成する前景画像加工手段として機能する。また、例えば背景画像加工部260は、表示背景画像のデータに基づいて背景画像のデータを作成する背景画像加工手段として機能する。
【0127】
本実施形態によれば、第1の実施形態の場合と同様に、入力された被写体存在画像810のデータと、被写体背景画像820のデータと、表示背景画像830のデータとに基づいて、表示背景画像830に対して、被写体存在画像810中の注目被写体が浮き上がって見えるという、新たな視覚効果が得られる3次元動画表示が可能となる。更に、動画の終了時に、注目被写体が、徐々に表示背景画像830に溶け込んでいくような新たな視覚効果が得られる3次元動画表示が可能となる。
【0128】
[第2の実施形態の第1の変形例]
次に、本発明の第2の実施形態の第1の変形例について説明する。ここで本変形例の説明では、第2の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。第2の実施形態においては、Frフレーム表示後の表示について、図26を参照して説明したステップS164からステップS178までの処理のように、まず、注目被写体と重なる部分の背景の画像が表示され、次に注目被写体が消失する表現となっている。これに対して本変形例では、注目被写体と重なる部分の背景の画像が現れる表示と、注目被写体の消失とが同時に起こる表現とする。
【0129】
このため、本変形例では、図30に示すフローチャートのように、ステップS182において、画像処理部200は、背景画像加工部260に背景画像加工処理を実行させ、加工背景画像のデータを作成させる。次にステップS184において、画像処理部200は、前景画像加工部270に前景画像加工処理を実行させ、加工前景画像のデータを作成させる。次にステップS186において、画像処理部200は、表示制御部550に、前景画像のデータとして加工前景画像のデータを、背景画像のデータとして加工背景画像のデータを、それぞれ出力する。次にステップS188において、画像処理部200は、変数b1を1増加させる。次にステップS190において、画像処理部200は、変数b2を100−b1に基づいて算出する。次にステップS192において、画像処理部200は、変数b1が100より大きいか判断する。ステップS192における判断で、変数b1が100以下ならば、処理をステップS182に戻し、変数b1が100より大きければ、処理を終了する。
【0130】
本変形例によれば、動画表示後の注目被写体が背景に溶け込む表示において、第2の実施形態とは異なる視覚効果が得られる。
【0131】
[第2の実施形態の第2の変形例]
次に、本発明の第2の実施形態の第2の変形例について説明する。ここで本変形例の説明では、第2の実施形態の第1の変形例との相違点について説明し、同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。本変形例は、動画表示後の注目被写体が背景に溶け込む表示において、注目被写体が位置すると認識される平面を、徐々に表示背景画像が位置すると認識される平面に近づける表示とする。
【0132】
このため、本変形例では、図31に示すフローチャートのように、ステップS184に続いて、ステップS1851において、画像処理部200は、飛出し率Dを、所定の関数D=k(b1)を用いて算出する。ここで、例えばk(0)=D0であり、k(100)=0である任意の関数を用いるのもよい。続いて、ステップS1852において、画像処理部200は、飛出し率Dを表示制御部550に出力する。ステップS1851で算出され、ステップS1852で出力された飛出し率Dを入力した表示制御部550は、入力されたDに応じて、移動支持手段656の動きを制御して、第2のサーキュラフレネルレンズ654を移動させる。これにより、観察者から注目被写体が認識される平面は、移動する。その後のステップS186以降の動作は、第2の実施形態の第1の変形例の場合と同じである。
【0133】
本変形例によれば、動画表示後の注目被写体が背景に溶け込む表示において、第2の実施形態とは異なる視覚効果が得られる。
【0134】
また、第1の実施形態の第1の変形例における表現と同様の表現を行うため、前景画像加工部270は、飛出し率Dに応じて、注目被写体の大きさを変化させるようにしてもよい。このとき、前景画像加工部270は、注目被写体の大きさが変化して認識されるように、注目被写体の画像のデータに変更を施して被写体変更画像を作成する、被写体サイズ変更手段として機能する。このようにしても、動画表示後の注目被写体が背景に溶け込む表示において、第2の実施形態とは異なる視覚効果が得られる。
【0135】
[第2の実施形態の第3の変形例]
次に、本発明の第2の実施形態の第3の変形例について説明する。ここで本変形例の説明では、第2の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。本変形例は、第1の実施形態の第2の変形例と同様に、注目被写体の動きに応じて、飛出し率Dを異ならせる。
本変形例に係る画像表示装置は、図21を参照して説明した第1の実施形態の第2の変形例の場合と同様に、動き量検出部250を有する。
【0136】
本変形例の動作を示すフローチャートを、図32に示す。この図に示すように、ステップS156の被写体抽出処理の後に、第1の実施形態の第2の変形例の場合のステップS107と同様の、ステップS157の動き量検出処理による飛出し率Dnの算出が行われる。
【0137】
本変形例によっても、第1の実施形態の第2の変形例の場合と同様に、Frフレームの動画像を表示する際に、注目被写体の動きに応じて、観察者が認識する注目被写体の飛び出し率が異なる視覚効果が得られる。
【0138】
また、本変形例は、第2の実施形態の第1の変形例と組み合わせ用いてもよい。また、第1の実施形態の消失画像生成部が作成する被写体消失画像と同様に、注目被写体が徐々に小さくなるように構成してもよい。
【0139】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても、発明が解決しようとする課題の欄で述べられた課題が解決でき、かつ、発明の効果が得られる場合には、この構成要素が削除された構成も発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0140】
100…制御部、200…画像処理部、210…被写体抽出部、220…3次元画像生成部、230…輪郭画像生成部、240…消失画像生成部、250…動き量検出部、260…背景画像加工部、270…前景画像加工部、300…画像メモリ、400…画像入力部、500…表示制御部、550…表示制御部、600…表示部、610…表示パネル、620…面光源、622…導光板、624…反射板、626…第1の発光素子、628…第2の発光素子、650…表示部、651…第1のディスプレイ、652…第2のディスプレイ、653…第1のサーキュラフレネルレンズ、654…第2のサーキュラフレネルレンズ、655…反射偏光板、656…移動支持手段、800…画像記録メディア、810…被写体存在画像、820…被写体背景画像、830…表示背景画像、910…被写体抽出画像、920…左眼用画像、930…右眼用画像、940…被写体輪郭画像、950…被写体消失画像、960…加工背景画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注目被写体を含む被写体存在画像のデータを入力し、前記被写体存在画像のデータから前記注目被写体の画像のデータを抽出する被写体抽出手段と、
抽出された前記注目被写体の画像のデータと表示背景画像のデータとを入力し、観察方向に沿って観察された際に該表示背景画像が表示されていると観察者に認識される面の手前又は奥に位置する面に該注目被写体の画像が表示されていると観察者に認識される3次元画像のデータを作成する3次元画像データ作成手段と、
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記注目被写体が前記表示背景画像に溶け込むように認識されるように、前記注目被写体の画像のデータに変更を施し被写体変更画像のデータを作成する被写体変更手段を更に具備し、
前記3次元画像データ作成手段は更に、前記被写体変更画像のデータと前記表示背景画像のデータとに基づいて、前記3次元画像のデータを作成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記被写体変更手段は、前記注目被写体が前記表示背景画像に置き換わるように認識されるように、前記注目被写体の画像のデータに変更を施して前記被写体変更画像のデータを作成する、被写体−背景置換手段を有することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記被写体変更手段は、前記注目被写体の大きさが順次変化して認識されるように、前記注目被写体の画像のデータに変更を施して前記被写体変更画像のデータを作成する被写体サイズ変更手段を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記被写体サイズ変更手段は、認識される前記注目被写体の大きさに基づいて、前記表示背景画像が表示されていると認識される面と前記注目被写体の画像が表示されていると認識される面との奥行き度の値を設定し、
前記3次元画像データ作成手段は、設定された前記奥行き度に基づいて、前記3次元画像のデータを作成する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記3次元画像は、動画像であって、
注目するフレームの前記注目被写体と他のフレームの前記注目被写体との差異である動き量を検出し、
前記動き量に基づいて、前記表示背景画像が表示されていると認識される面と前記注目被写体の画像が表示されていると認識される面との奥行き度の値を設定する、
動き量検出手段を更に具備し、
前記3次元画像データ作成手段は、設定された前記奥行き度に基づいて、前記3次元画像のデータを作成する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記3次元画像のデータは、両眼視差によって観察者に3次元画像を認識させるためのデータであって、該観察者に左眼で観察させる左眼用画像のデータと該観察者に右眼で観察させる右眼用画像のデータとを含み、
前記3次元画像データ作成手段は、前記表示背景画像のデータに前記注目被写体の画像のデータを合成することで前記左眼用画像のデータ及び前記右眼用画像のデータを作成し、
前記左眼用画像における前記表示背景画像に対する前記注目被写体の位置は、前記右眼用画像における前記表示背景画像に対する前記注目被写体の位置と、前記表示背景画像が表示されていると認識される面と前記注目被写体の画像が表示されていると認識される面との前記観察方向に沿った奥行き度に応じて異なる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記注目被写体が前記表示背景画像に置き換わっていくように認識されるように、前記注目被写体の画像のデータに前記表示背景画像のデータを混合した被写体輪郭画像のデータを作成する輪郭画像生成手段を更に具備し、
前記3次元画像データ作成手段は更に、前記被写体輪郭画像のデータと前記表示背景画像のデータとに基づいて、前記3次元画像のデータを作成する、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記注目被写体の大きさが順次変化して認識されるように、該注目被写体を含む画像のデータに変更を施して被写体消失画像のデータを作成し、
前記被写体消失画像における前記注目被写体の大きさに基づいて、前記表示背景画像が表示されていると認識される面と前記注目被写体の画像が表示されていると認識される面との奥行き度の値を設定する、
消失画像生成手段を更に具備し、
前記3次元画像データ作成手段は更に、前記被写体消失画像のデータと前記表示背景画像のデータと前記奥行き度の値とに基づいて、前記3次元画像のデータを作成する、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記3次元画像は、動画像であって、
注目するフレームの前記注目被写体と他のフレームの前記注目被写体との差異である動き量を検出し、
前記動き量に基づいて、前記表示背景画像が表示されていると認識される面と前記注目被写体の画像が表示されていると認識される面との奥行き度の値を設定する、
動き量検出手段を更に具備し、
前記3次元画像データ作成手段は、設定された前記奥行き度に基づいて、前記3次元画像のデータを作成する、
ことを特徴とする請求項7乃至9のうち何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記3次元画像のデータは、前景表示パネルに表示した前景と背景表示パネルに表示した背景とを、前記観察方向に沿って重なり合って見える異なる面に結像させることによって観察者に3次元画像を認識させるためのデータであって、該前景表示パネルに表示させる前景画像のデータと該背景表示パネルに表示させる背景画像のデータとを有し、
前記3次元画像データ作成手段は、
前記注目被写体の画像のデータに基づいて前記前景画像のデータを作成する前景画像加工手段と、
前記表示背景画像のデータに基づいて前記背景画像のデータを作成する背景画像加工手段と、
を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記背景画像加工手段は、前記注目被写体の画像を前記前景表示パネルに表示し前記表示背景画像を前記背景表示パネルに表示したときに、該表示背景画像のうち前記観察者から見て該注目被写体と重なる領域の該表示背景画像のデータの輝度を変更して前記背景画像のデータを作成する、ことを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記注目被写体が前記表示背景画像に置き換わっていくように認識されるように、
前記前景画像加工手段は、前記注目被写体の画像の輝度を変更し、
前記背景画像加工手段は、前記注目被写体の画像を前記前景表示パネルに表示し前記表示背景画像を前記背景表示パネルに表示したときに、該表示背景画像のうち前記観察者から見て該注目被写体と重なる領域の該表示背景画像のデータの輝度を変更する、
ことを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記前景画像加工手段は、前記注目被写体の大きさが順次変化して認識されるように、該注目被写体の画像のデータに変更を施し、
前記背景画像加工手段は、前記変更された注目被写体の画像を前記前景表示パネルに表示し前記表示背景画像を前記背景表示パネルに表示したときに、該表示背景画像のうち前記観察者から見て該注目被写体と重なる領域の該表示背景画像のデータの輝度を変更する、
ことを特徴とする請求項12又は13に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記3次元画像は、動画像であって、
注目するフレームの前記注目被写体と他のフレームの前記注目被写体との差異である動き量を検出し、
前記動き量に基づいて、前記表示背景画像が表示されていると認識される面と前記注目被写体の画像が表示されていると認識される面との奥行き度の値を算出する、
動き量検出手段を更に具備し、
前記算出された前記奥行き度の値を出力する、
ことを特徴とする請求項11乃至14のうち何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記被写体抽出手段は、背景が同じであり前記注目被写体を含まない、前記被写体存在画像のデータと同条件で得られた被写体背景画像のデータと、前記被写体存在画像のデータとの差分から該注目被写体の画像のデータを抽出することを特徴とする請求項1乃至15のうち何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項17】
請求項7乃至10のうち何れか1項に記載の画像処理装置と、
前記観察者の左眼に左眼用画像を観察させ、該観察者の右眼に右眼用画像を観察させるように構成された表示手段と、
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項18】
請求項11乃至14のうち何れか1項に記載の画像処理装置と、
前記前景表示パネルと、
前記背景表示パネルと、
前記前景画像及び前記背景画像を前記異なる面に結像させる光学系と、
を有する表示手段と、
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項19】
請求項15に記載の画像処理装置と、
前記前景表示パネルと、
前記背景表示パネルと、
前記前景画像及び前記背景画像を前記異なる面に結像させる光学系と、
前記奥行き度の値に基づいて前記前景画像又は前記背景画像を結像させる面を変化させる結像面変更手段と、
を有する表示手段と、
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項20】
注目被写体を含む被写体存在画像のデータを入力して前記被写体存在画像のデータから前記注目被写体の画像のデータを抽出し、
抽出された前記注目被写体の画像のデータと表示背景画像のデータとを入力して観察方向に沿って観察された際に該表示背景画像が表示されていると観察者に認識される面の手前又は奥に位置する面に該注目被写体の画像が表示されていると観察者に認識される3次元画像のデータを作成する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項21】
前記注目被写体が前記表示背景画像に溶け込むように認識されるように、前記注目被写体の画像のデータに変更を施し被写体変更画像のデータを作成し、
前記被写体変更画像のデータと前記表示背景画像のデータとに基づいて、前記3次元画像のデータを作成する、
ことを特徴とする請求項20に記載の画像処理方法。
【請求項22】
前記注目被写体が前記表示背景画像に置き換わるように認識されるように、前記注目被写体の画像のデータに変更を施して前記被写体変更画像のデータを作成することを特徴とする請求項21に記載の画像処理方法。
【請求項23】
前記注目被写体の大きさが順次変化して認識されるように、前記注目被写体の画像のデータに変更を施して前記被写体変更画像のデータを作成することを特徴とする請求項21又は22記載の画像処理方法。
【請求項24】
認識される前記注目被写体の大きさに基づいて、前記表示背景画像が表示されていると認識される面と前記注目被写体の画像が表示されていると認識される面との奥行き度の値を設定し、
設定された前記奥行き度に基づいて、前記3次元画像のデータを作成する、
ことを特徴とする請求項23に記載の画像処理方法。
【請求項25】
前記3次元画像は、動画像であって、
注目するフレームの前記注目被写体と他のフレームの前記注目被写体との差異である動き量を検出し、
前記動き量に基づいて、前記表示背景画像が表示されていると認識される面と前記注目被写体の画像が表示されていると認識される面との奥行き度の値を設定し、
設定された前記奥行き度の値に基づいて、前記3次元画像のデータを作成する、
ことを特徴とする請求項20乃至24のうち何れか1項に記載の画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−73792(P2012−73792A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217766(P2010−217766)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】