説明

画像処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体

【課題】内挿フレームの画像のどの領域においても、適切に画素を生成することができるようにする。
【解決手段】補償割り付け部321は、ベクトル割り付け部302によって動きベクトルが割り付けられなかった画素について、動きベクトルの補償割り付けを行う。C/UC領域判定部324は、評価値算出部323による、背景ベクトルに基づく現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFD、並びに補償割り付けベクトルに基づくDFDの大小を比較することにより、注目画素の領域を判定する。補間方式決定部325は、C領域またはUC領域の画素と判定された注目画素について、画素値を両側補間により演算するか、片側補間により演算するかを決定する。内挿フレーム生成部331は、補間方式決定部325が決定した方式に基づいて、内挿フレームの注目画素の画素値を演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体に関し、特に、内挿フレームの画像のどの領域においても、適切に画素を生成することができるようにする画像処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、テレビジョン信号の動きを検出する動きベクトル検出回路からの複数の動きベクトルデータの平均動きベクトルデータに基づいて、フレームメモリから読み出されたテレビジョン信号にフレーム内挿処理を施すことが可能である。
【0003】
内挿フレームの生成は、例えば、次のようにして行われる。動きベクトルvで対応づけられる2つのフレームである、時刻tのフレーム、および時刻t+1のフレーム上の交点をそれぞれ点q、点rとする。ここで、時刻tのフレーム、および時刻t+1のフレームの間に新たなフレームであって時刻t+kのフレーム上の画素pの値を、点q、点rから時間位置の逆比(1-k):kにより次式のように線形補間してFt+k(p)を求める。
【0004】
Ft+k(p) = (1-k)Ft(q) + kFt+1(r)
【0005】
このようにして画素値が演算された画素により構成されるフレームが内挿フレームになる。
【0006】
しかし、例えば、2つの動物体として背景と前景が違う動きを持っている動画像において内挿フレームを生成する場合、時刻t0と時刻t1との間では、画像の領域によって、異なる方向の動きベクトルが生成されることになるため、内挿フレーム生成を行う時刻において動きベクトルが通過しない領域が生じてしまい、内挿フレームを生成することができない。
【0007】
このような場合、従来は、内挿フレームを生成するために、例えば、周辺の動きベクトル等を利用したベクトル補償が行われていた。このとき、2フレーム間の差分絶対値和(DFD: Displaced Frame Difference)が最小となるように、動きベクトルの割り付けが行われる。
【0008】
差分絶対値和DFDは、例えば、動き量の評価値として用いられ、注目するベクトル量分だけずらしたブロック同士で求められる。一般的にはDFDが小さいほどフレーム間のブロックの波形が一致しており、動きベクトルの信頼度が高いと判定でき、例えば、複数の候補から確からしいベクトルを選びだす場合などに利用される。
【0009】
また、内挿フレームの破綻の見え方を緩和し主観的な画質を改善するために、内挿フレーム生成にて求めた画素値を、大きさ0のベクトル(すなわち(0,0)のベクトル。以降0ベクトルと称する)により時間補間を行った画素値とある割合で混合することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、画像的な破綻を目立たなくすることができる。
【0010】
【特許文献1】特開2007−74588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、背景と前景が違う動きを持っている動画像においては、背景と前景との境界付近の領域では、動きベクトルが不安定となり、正しい動きベクトルの候補が得られにくい。
【0012】
また、時間の経過に伴って、前景により隠れる背景の領域、または前景の後から現れる背景の領域においては、正しい動きベクトルの候補が得られたとしても時刻t0、時刻t1間のDFDでは、正しく評価できない。
【0013】
すなわち、上述した領域は、時刻t0と時刻t1において対応する領域が存在しないので、結果として背景のテクスチャと前景のテクスチャとの差分をDFDにより演算することになってしまう。
【0014】
このような領域では、正しい動きベクトルを選択することが難しく、また、内挿フレームの画素を適切に生成することが難しい。そのため、例えば、内挿フレームの画像に本来はないエッジが生じて画像として破綻することがある。さらに、これらの破綻が目立って発生すると、画像を観察するユーザに、画質が劣化していると認識されてしまう。
【0015】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、内挿フレームの画像のどの領域においても、適切に画素を生成することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の側面は、動画像の第1のフレームの画像と、前記第1のフレームより時間的に後の第2のフレームの画像に基づいて、前記第1のフレームより時間的に後のフレームであって、前記第2のフレームより時間的に前の内挿フレームの画像を生成する画像処理装置であって、前記第1のフレームの画像および前記第2のフレームの画像に基づいて、前記内挿フレームの画素に動きベクトルを割り付ける動きベクトル割り付け手段と、前記動きベクトル割り付け手段により、動きベクトルが割り付けられなかった前記内挿フレームの画素の動きベクトルを補償する動きベクトル補償手段と、前記内挿フレームの画像の中の注目画素が含まれる領域について、前記第1のフレームの画像において表示されていた背景が、前記第2のフレームにおいて前景により覆い隠される領域であるC(Covered)領域であるか、前記第1のフレームの画像において前景により覆い隠されていた背景が、前記第2のフレームにおいて表示される領域であるUC(UnCovered)領域であるか、または、前記第1のフレームの画像において表示されていた前景または背景が、前記第2のフレームにおいても表示される領域である通常領域であるかを判定する領域判定手段と、前記判定手段により、前記注目画素が前記C領域の画素であるか、または前記UC領域の画素であると判定された場合、前記動きベクトル割り付け手段または前記動きベクトル補償手段により前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための評価値を複数演算し、前記複数の評価値の大小を比較することで、前記注目画素の画素値の演算方式を決定する演算方式決定手段とを備える。
【0017】
前記内挿フレームを構成するそれぞれの画素に付加されている動きベクトルのヒストグラムに基づいて前記内挿フレームの背景の画像の動きを表す背景ベクトルを抽出する背景ベクトル抽出手段をさらに備え、前記領域判定手段は、注目画素について、前記背景ベクトルの信頼性を評価するための評価値を複数演算し、前記動きベクトル割り付け手段または前記動きベクトル補償手段により前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための評価値を演算し、前記演算された評価値のそれぞれの大小を比較することにより、前記注目画素が含まれる領域を判定するようにすることができる。
【0018】
前記領域判定手段は、前記背景ベクトルに基づいて、前記内挿フレームの中の注目画素に対応する前記第1のフレームの画素、および前記注目画素に対応する前記第2のフレームの画素を特定するとともに、前記背景ベクトルに基づいて、前記内挿フレームの中の注目画素に対応する前記第1のフレームより時間的に前の第3のフレームの画素、および前記注目画素に対応する前記第2のフレームより時間的に後の第4のフレームの画素を特定し、前記特定された前記第1のフレームの画素と前記第2のフレームの画素との間でDFDを演算して現在のDFDとし、前記特定された前記第1のフレームの画素と前記第3のフレームの画素との間でDFDを演算して過去のDFDとし、前記特定された前記第2のフレームの画素と前記第4のフレームの画素との間でDFDを演算して未来のDFDとし、前記補償ベクトルに基づいて、前記内挿フレームの中の注目画素に対応する前記第1のフレームの画素、および前記注目画素に対応する前記第2のフレームの画素を特定し、前記特定された前記第1のフレームの画素と前記第2のフレームの画素との間でDFDを演算して前記注目画素に割り付けられた動きベクトルのDFDとし、前記背景ベクトルの前記現在のDFD、前記過去のDFD、および前記未来のDFD、並びに前記注目画素に割り付けられた動きベクトルのDFDを前記評価値として、前記注目画素が含まれる領域を判定するようにすることができる。
【0019】
前記領域判定手段は、前記背景ベクトルの前記現在のDFD、前記過去のDFD、および前記未来のDFD、並びに前記注目画素に割り付けられた動きベクトルのDFDのうち、前記過去のDFDが最小である場合、前記注目画素が含まれる領域は、C領域であると判定し、前記未来のDFDが最小である場合、前記注目画素が含まれる領域は、UC領域であると判定し、前記現在のDFDが最小である場合、または、前記注目画素に割り付けられた動きベクトルのDFDが最小である場合、前記注目画素が含まれる領域は、通常領域であると判定するようにすることができる。
【0020】
前記演算方式決定手段は、前記注目画素に割り付けられた動きベクトルに基づいて、前記内挿フレームの中の注目画素に対応する前記第1のフレームの画素、および前記注目画素に対応する前記第2のフレームの画素を特定するとともに、前記背景ベクトルに基づいて、前記内挿フレームの中の注目画素に対応する前記第1のフレームより時間的に前の第3のフレームの画素、および前記注目画素に対応する前記第2のフレームより時間的に後の第4のフレームの画素を特定し、前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための評価値として、現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDをさらに演算するようにすることができる。
【0021】
演算方式決定手段は、前記注目画素に割り付けられた動きベクトルに基づいて、前記内挿フレームの注目画素に対応する前記第1のフレームの画像の画素値と、前記内挿フレームの注目画素に対応する前記第2のフレームの画像の画素値を特定し、前記領域判定手段により、前記注目画素が前記C領域の画素であると判定され、かつ前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための複数の前記評価値のうち、前記過去のDFDが最小である場合、前記特定された前記第1のフレームの画像の画素値を、前記注目画素の画素値とするように、前記注目画素の画素値の演算方式を決定し、前記領域判定手段により、前記注目画素が前記UC領域の画素であると判定され、かつ前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための複数の前記評価値のうち、前記未来のDFDが最小である場合、前記特定された前記第2のフレームの画像の画素値を、前記注目画素の画素値とするように、前記注目画素の画素値の演算方式を決定し、それ以外の場合、前記特定された前記第1のフレームの画像の画素値と、前記第2のフレームの画像の画素値との線形補間により、前記注目画素の画素値を演算するように、前記注目画素の画素値の演算方式を決定するようにすることができる。
【0022】
本発明の第1の側面においては、動画像の第1のフレームの画像と、前記第1のフレームより時間的に後の第2のフレームの画像に基づいて、前記第1のフレームより時間的に後のフレームであって、前記第2のフレームより時間的に前の内挿フレームの画像を生成する画像処理装置の画像処理方法であって、前記第1のフレームの画像および前記第2のフレームの画像に基づいて、前記内挿フレームの画素に動きベクトルを割り付け、前記動きベクトルが割り付けられなかった前記内挿フレームの画素について動きベクトルの補償により動きベクトルを割り付け、前記内挿フレームの画像の中の注目画素が含まれる領域について、前記第1のフレームの画像において表示されていた背景が、前記第2のフレームにおいて前景により覆い隠される領域であるC領域であるか、前記第1のフレームの画像において前景により覆い隠されていた背景が、前記第2のフレームにおいて表示される領域であるUC領域であるか、または、前記第1のフレームの画像において表示されていた前景または背景が、前記第2のフレームにおいても表示される領域である通常領域であるかを判定し、前記注目画素が前記C領域の画素であるか、または前記UC領域の画素であると判定された場合、前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための評価値を複数演算し、前記複数の評価値の大小を比較することで、前記注目画素の画素値の演算方式を決定するステップを含む画像処理方法である。
【0023】
本発明の第1の側面は、コンピュータを、動画像の第1のフレームの画像と、前記第1のフレームより時間的に後の第2のフレームの画像に基づいて、前記第1のフレームより時間的に後のフレームであって、前記第2のフレームより時間的に前の内挿フレームの画像を生成する画像処理装置であって、前記第1のフレームの画像および前記第2のフレームの画像に基づいて、前記内挿フレームの画素に動きベクトルを割り付ける動きベクトル割り付け手段と、前記動きベクトル割り付け手段により、動きベクトルが割り付けられなかった前記内挿フレームの画素の動きベクトルを補償する動きベクトル補償手段と、前記内挿フレームの画像の中の注目画素が含まれる領域について、前記第1のフレームの画像において表示されていた背景が、前記第2のフレームにおいて前景により覆い隠される領域であるC領域であるか、前記第1のフレームの画像において前景により覆い隠されていた背景が、前記第2のフレームにおいて表示される領域であるUC領域であるか、または、前記第1のフレームの画像において表示されていた前景または背景が、前記第2のフレームにおいても表示される領域である通常領域であるかを判定する領域判定手段と、前記判定手段により、前記注目画素が前記C領域の画素であるか、または前記UC領域の画素であると判定された場合、前記動きベクトル割り付け手段または前記動きベクトル補償手段により前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための評価値を複数演算し、前記複数の評価値の大小を比較することで、前記注目画素の画素値の演算方式を決定する演算方式決定手段とを備える画像処理装置として機能させるプログラムである。
【0024】
本発明の第1の側面においては、前記第1のフレームの画像および前記第2のフレームの画像に基づいて、前記内挿フレームの画素に動きベクトルが割り付けられ、前記動きベクトルが割り付けられなかった前記内挿フレームの画素について動きベクトルの補償により動きベクトルが割り付けられ、前記内挿フレームの画像の中の注目画素が含まれる領域について、前記第1のフレームの画像において表示されていた背景が、前記第2のフレームにおいて前景により覆い隠される領域であるC領域であるか、前記第1のフレームの画像において前景により覆い隠されていた背景が、前記第2のフレームにおいて表示される領域であるUC領域であるか、または、前記第1のフレームの画像において表示されていた前景または背景が、前記第2のフレームにおいても表示される領域である通常領域であるかが判定され、前記注目画素が前記C領域の画素であるか、または前記UC領域の画素であると判定された場合、前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための評価値が複数演算され、前記複数の評価値の大小を比較することで、前記注目画素の画素値の演算方式が決定される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、内挿フレームの画像のどの領域においても、適切に画素を生成することができるようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書または図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書または図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書または図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0027】
本発明の第1の側面の画像処理装置は、動画像の第1のフレームの画像と、前記第1のフレームより時間的に後の第2のフレームの画像に基づいて、前記第1のフレームより時間的に後のフレームであって、前記第2のフレームより時間的に前の内挿フレームの画像を生成する画像処理装置であって、前記第1のフレームの画像および前記第2のフレームの画像に基づいて、前記内挿フレームの画素に動きベクトルを割り付ける動きベクトル割り付け手段(例えば、図13のベクトル割り付け部302)と、前記動きベクトル割り付け手段により、動きベクトルが割り付けられなかった前記内挿フレームの画素の動きベクトルを補償する動きベクトル補償手段(例えば、図13の補償割り付け部321)と、前記内挿フレームの画像の中の注目画素が含まれる領域について、前記第1のフレームの画像において表示されていた背景が、前記第2のフレームにおいて前景により覆い隠される領域であるC(Covered)領域であるか、前記第1のフレームの画像において前景により覆い隠されていた背景が、前記第2のフレームにおいて表示される領域であるUC(UnCovered)領域であるか、または、前記第1のフレームの画像において表示されていた前景または背景が、前記第2のフレームにおいても表示される領域である通常領域であるかを判定する領域判定手段(例えば、図10のC/UC領域判定部125)と、前記判定手段により、前記注目画素が前記C領域の画素であるか、または前記UC領域の画素であると判定された場合、前記動きベクトル割り付け手段または前記動きベクトル補償手段により前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための評価値を複数(例えば、現在のDFD、過去のDFD、未来のDFD)演算し、前記複数の評価値の大小を比較することで、前記注目画素の画素値の演算方式を決定する演算方式決定手段(例えば、図14の補間方式決定部325)とを備える。
【0028】
前記内挿フレームを構成するそれぞれの画素に付加されている動きベクトルのヒストグラムに基づいて前記内挿フレームの背景の画像の動きを表す背景ベクトルを抽出する背景ベクトル抽出手段(例えば、図13の背景ベクトル抽出部322)をさらに備え、前記領域判定手段は、注目画素について、前記背景ベクトル(例えば、図9の背景ベクトル111)の信頼性を評価するための評価値を複数演算し、前記動きベクトル割り付け手段または前記動きベクトル補償手段により前記注目画素に割り付けられた動きベクトル(例えば、図9の補償割り付けベクトル113)の信頼性を評価するための評価値を演算し、前記演算された評価値のそれぞれの大小を比較することにより、前記注目画素が含まれる領域を判定するようにすることができる。
【0029】
前記領域判定手段は、前記背景ベクトルに基づいて、前記内挿フレームの中の注目画素に対応する前記第1のフレームの画素、および前記注目画素に対応する前記第2のフレームの画素を特定するとともに、前記背景ベクトルに基づいて、前記内挿フレームの中の注目画素に対応する前記第1のフレームより時間的に前の第3のフレーム(例えば、時刻t-1のフレーム)の画素、および前記注目画素に対応する前記第2のフレームより時間的に後の第4のフレーム(例えば、時刻t+2のフレーム)の画素を特定し、前記特定された前記第1のフレームの画素と前記第2のフレームの画素との間でDFDを演算して現在のDFDとし、前記特定された前記第1のフレームの画素と前記第3のフレームの画素との間でDFDを演算して過去のDFDとし、前記特定された前記第2のフレームの画素と前記第4のフレームの画素との間でDFDを演算して未来のDFDとし、前記補償ベクトルに基づいて、前記内挿フレームの中の注目画素に対応する前記第1のフレームの画素、および前記注目画素に対応する前記第2のフレームの画素を特定し、前記特定された前記第1のフレームの画素と前記第2のフレームの画素との間でDFDを演算して前記注目画素に割り付けられた動きベクトルのDFDとし、前記背景ベクトルの前記現在のDFD、前記過去のDFD、および前記未来のDFD、並びに前記注目画素に割り付けられた動きベクトルのDFDを前記評価値として、前記注目画素が含まれる領域を判定するようにすることができる。
【0030】
本発明の第1の側面の画像処理方法は、動画像の第1のフレームの画像と、前記第1のフレームより時間的に後の第2のフレームの画像に基づいて、前記第1のフレームより時間的に後のフレームであって、前記第2のフレームより時間的に前の内挿フレームの画像を生成する画像処理装置の画像処理方法であって、前記第1のフレームの画像および前記第2のフレームの画像に基づいて、前記内挿フレームの画素に動きベクトルを割り付け(例えば、図15のステップS101の処理)、前記動きベクトルが割り付けられなかった前記内挿フレームの画素について動きベクトルの補償により動きベクトルを割り付け(例えば、図13のステップS103の処理)、前記内挿フレームの画像の中の注目画素が含まれる領域について、前記第1のフレームの画像において表示されていた背景が、前記第2のフレームにおいて前景により覆い隠される領域であるC(Covered)領域であるか、前記第1のフレームの画像において前景により覆い隠されていた背景が、前記第2のフレームにおいて表示される領域であるUC(UnCovered)領域であるか、または、前記第1のフレームの画像において表示されていた前景または背景が、前記第2のフレームにおいても表示される領域である通常領域であるかを判定し(例えば、図15のステップS105の処理)、前記注目画素が前記C領域の画素であるか、または前記UC領域の画素であると判定された場合、前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための評価値を複数(例えば、現在のDFD、過去のDFD、未来のDFD)演算し、前記複数の評価値の大小を比較することで、前記注目画素の画素値の演算方式を決定する(例えば、図15のステップS106の処理)ステップを含む。
【0031】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0032】
最初に、内挿フレームについて説明する。
【0033】
時間的に連続するフレームからなる動画像などのデータにおいて、例えば、図1に示されるように、時刻tにおけるフレームの位置qの画素に設定されている動きベクトルvにより、位置qの画素は、時刻t+1におけるフレームにおいて位置rの画素に対応づけられる。なお、時刻tにおけるフレームの各画素には、勾配法、ブロックマッチング法などを用いた処理により、予め動きベクトルが付加されているものとする。
【0034】
例えば、時刻tにおけるフレームと時刻t+1におけるフレームは、時間的に連続しており、本来時刻tのフレームが再生された後、次に再生されるフレームは、時刻t+1のフレームとなるが、動画像の時間方向の解像度を向上させるために、時刻tと時刻t+1の間に位置する時刻t+kのフレームを生成する。このとき生成される時刻t+kのフレームを内挿フレームと称する。
【0035】
従来、内挿フレーム(時刻t+kのフレーム)の画素値は、例えば、次のようにして生成されていた。
【0036】
時刻t+kのフレームの位置pの画素の動きベクトルvにより対応付けられる時刻tおよび時刻t+1のフレームの画素の位置は、位置pおよび位置rとなる。時刻t+kのフレームの位置pの画素値Ft+k(p)は、式(1)に示されるように、2つの点q、rから時間位置の逆比(1-k):kにより線形補間して求められる。なお、時刻tのフレームの位置qの画素値は、Ft(q)で表され、時刻t+1のフレームの位置rの画素値は、Ft+1(r)で表されるものとする。
【0037】
Ft+k(p) = (1-k)Ft(q) + kFt+1(r) ・・・(1)
【0038】
次に、動きベクトルの補償について説明する。
【0039】
例えば、動画像の各画素には、勾配法、ブロックマッチング法などを用いた処理により、予め動きベクトルを付加することができる。
【0040】
例えば、図2に示されるように、前景であるオブジェクトが時間の経過に伴って、図中右方向に移動していく場合を考える。図2は、オブジェクト21が表示される動画像の例を示しており、時刻t-1乃至時刻t2の4つの時刻のフレームの画像を示すものである。ここでは、説明を簡単にするために、フレームの画像を1次元(線状)で表現している。すなわち、図2の縦軸は時間を表し、図2の横軸は画像(画素)の位置を表すことになる。
【0041】
図2において時間的に最も前の画像である時刻t-1のフレームのオブジェクト21は、時刻t0のフレームにおいてはやや右方向に移動しており、時刻t1のフレームにおいてはさらに右方向に移動しており、時間的に最も後の画像である時刻t2のフレームにおいてはさらに右方向に移動している。また、同図では表現されていないが、オブジェクト21の背景の画像は、時間の経過に伴って、画面の左方向に移動しているものとする。
【0042】
時刻t0のフレームと時刻t1のフレームの画像に基づいて、勾配法、ブロックマッチング法などを用いた従来の方式による動きベクトルの検出を行うと、図3の矢印で示されるような動きベクトルが検出される。すなわち、オブジェクト21の画素では、図中右側に向かう動きベクトルが検出され、背景の画素では、図中左側に向かう動きベクトルが検出されることになる。
【0043】
図3に示されるような動きベクトルに基づいて、時刻t0と時刻t1の間の時刻t+jおよび時刻t+kのフレームを内挿フレームとして生成する場合、内挿フレームの画素に割り付けられる動きベクトルは、図4に示されるようになる。
【0044】
図4乃至図7は、オブジェクト21が表示される動画像の例を示しており、時刻t0、時刻t+j、時刻t+k、および時刻t1の4つの時刻のフレームの画像を示すものである。ここで、時刻t+jのフレーム、および時刻t+kのフレームは、内挿フレームとされる。また、ここでも、説明を簡単にするために、フレームの画像を1次元(線状)で表現しており、縦軸は時間を表し、横軸は画像(画素)の位置を表すことになる。
【0045】
時刻t+jの内挿フレームの領域31aおよび領域31cの画素は、背景の画像を構成する画素なので、図中の矢印で示されるような左方向に向かう動きベクトルが割り付けられる。一方、時刻t+jの内挿フレームの領域31bの画素は、オブジェクト21の画像を構成する画素なので、図中の矢印で示されるような右方向に向かう動きベクトルが割り付けられる。
【0046】
また同様に、時刻t+kの内挿フレームの領域32aおよび領域32cの画素は、背景の画像を構成する画素なので、図中の矢印で示されるような左方向に向かう動きベクトルが割り付けられ、時刻t+kの内挿フレームの領域32bの画素は、オブジェクト21の画像を構成する画素なので、図中の矢印で示されるような右方向に向かう動きベクトルが割り付けられる。
【0047】
しかし、図5に示されるように、時刻t+jの内挿フレームの領域33aの画素および領域33cの画素には、動きベクトルが割り付けられていない。領域33aの画素は、本来背景の画像の画素であるが、時刻t0のフレームの画像において対応する画素がないため、動きベクトルを割り付けることができないのである。また、領域33cの画素は、本来背景の画像の画素であるが、時刻t1のフレームの画像において対応する画素がないため、動きベクトルを割り付けることができないのである。
【0048】
同様に、時刻t+kの内挿フレームの領域34aの画素および領域34cの画素にも、やはり動きベクトルが割り付けられていない。
【0049】
このように、前景と背景の動きが異なる動画像などの場合、内挿フレームの生成などに用いる動きベクトルを割り付けられない領域が生じることになる。図6に示されるように、領域33cおよび領域34cを含む図中の三角形の領域は、時間の経過に伴って背景の画像が前景(オブジェクト21)の画像に覆われて見えなくなっていく領域なので、C(Covered)領域と称することとする。また、領域33aおよび領域34aを含む図中の逆三角形の領域は、時間の経過に伴って前景(オブジェクト21)の画像に覆われていた背景の画像が見えてくる領域なので、UC(UnCovered)領域と称することとする。
【0050】
例えば、内挿フレームの生成において、C領域、およびUC領域は、動きベクトルが通過しない領域と言い換えることもできる。
【0051】
内挿フレームの生成において、動きベクトルが通過しない領域の画素を生成するためには、その領域に何らかの動きベクトルを割り付けて動きベクトルを補償する必要がある。このような領域において動きベクトルを補償する場合、例えば、注目画素の周辺のベクトルや0ベクトルの中から最も適した動きベクトルが選択されて、注目画素の動きベクトルとして割り付けられる。このように補償されて割り付けられる動きベクトルを、補償割り付けベクトルと称することにする。
【0052】
なお、補償割り付けベクトルは、例えば、注目画素の周辺の画素のそれぞれに割り付けられている動きベクトルのうち、注目画素の動きベクトルとして最適なものが選択されることにより割り付けられる。
【0053】
例えば、時刻tにおけるフレームの位置Pの画素が、動きベクトルvにより時刻t+1におけるフレームで位置P´の画素に対応付けられる場合、位置Pの画素を中心とするm×n個の画素と、位置P´の画素を中心とするm×n個の画素のそれぞれとの間での差分絶対値和(DFD:Displaced Frame Difference)を演算する。DFDは、例えば、動きベクトルの信頼性を評価するための評価値として用いられ、DFDが小さくなれば、その動きベクトルは、注目画素の動きを適切に反映していると言える。注目画素の周辺の画素に割り付けられている動きベクトルのそれぞれについてこのようにDFDを演算し、DFDの値が最も小さい動きベクトルが補償割り付けベクトルとして選択される。
【0054】
図7は、従来の内挿フレーム生成処理を説明するフローチャートである。
【0055】
すなわち、ステップS11において、入力画像の時刻tのフレームと、時刻t+1のフレームに基づいて、動きベクトルが検出される。このとき、例えば、勾配法、ブロックマッチング法などにより動きベクトルが検出される。
【0056】
ステップS12において、ステップS11で検出された動きベクトルを時刻t+kのフレームである内挿フレームの各画素に割り付ける。
【0057】
ステップS13において、内挿フレームのC領域、UC領域の画素など、動きベクトルが割り付けられていない画素に、例えば、周辺の動きベクトルを割り付けるなどして補償割り付けする。
【0058】
ステップS14において、内挿フレームの各画素の画素値が、ステップS12の処理により割り付けられた動きベクトル、または、ステップS13の処理により補償割り付けされた動きベクトル(補償割り付けベクトル)を用いて演算される。このとき、例えば、式(1)を参照して上述したような、線形補間により画素値が演算される。
【0059】
しかしながら、C領域とUC領域においては、式(1)を参照して上述したように、2つのフレームの画素を用いた線形補間により内挿フレームの画素値を演算することは、適切とはいえない。
【0060】
上述したように、C領域は、時間の経過に伴って背景の画像が前景(オブジェクト21)の画像に覆われて見えなくなっていく領域なので、時間的に後のフレームにおいてC領域の画素に対応する画素が存在しないからである。また、UC領域は、時間の経過に伴って前景(オブジェクト21)の画像に覆われていた背景の画像が見えてくる領域なので、時間的に前のフレームにおいてUC領域の画素に対応する画素が存在しないからである。
【0061】
このため、内挿フレームの所定の画素を生成する場合、その画素が、C領域の画素であるか、UC領域のであるか、またはそれらのいずれでもない領域(通常領域と称することにする)の画素であるかを判定して、それらの領域に対応する方式で画素を生成することが必要となる。
【0062】
そこで、本発明においては、内挿フレームの注目画素が、C領域の画素であるか、UC領域のであるか、または通常領域の画素であるかを判定して、それらの領域に対応する方式で画素を生成することにする。
【0063】
注目画素が、C領域の画素であるか、UC領域のであるか、または通常領域の画素であるかは、例えば、次のようにして判定できる。
【0064】
図8は、オブジェクト121が表示される動画像の例を示しており、時刻t-1乃至時刻t+2の4つの時刻のフレームの画像を示すものであり、縦軸は時間を表し、横軸は画像(画素)の位置を表すことになる。オブジェクト121は、時間の経過に伴って、図面の右方向に移動し、また、オブジェクト121の背景の画像は、時間の経過に伴って、画面の左方向に移動しているものとする。同図において、図中点線で示される矢印が、従来の方式により検出される動きベクトルを表している。
【0065】
いま、内挿フレームのUC領域の画素101と、C領域の画素102を、それぞれ注目画素として、注目画素の領域を判定する場合の例について説明する。
【0066】
注目画素の領域を判定するために、背景の画像の動きを表す動きベクトルである背景ベクトルを、注目画素に仮に割り付ける。なお、背景ベクトルの抽出については後述する。そして、背景ベクトルに基づいて、上述したようにDFDを演算する。
【0067】
図8の例では、画素101と画素102に、仮に割り付ける背景ベクトルとして図中の太線の矢印で示される背景ベクトル111と背景ベクトル112が示されている。同図の例では、背景ベクトル111と背景ベクトル112は、図中点線で示される従来の方式により検出された動きベクトルであって、背景の動きを表す動きベクトルとほぼ同じ向きとされている。この背景ベクトル111と背景ベクトル112を、時刻t-1乃至時刻t+2に至るように時間的に延長する。すなわち、背景ベクトル111または背景ベクトル112により、時刻tのフレームの画素または時刻t+1のフレームの画素に対応付けられる時刻t+2のフレームの画素、または時刻t-1のフレームの画素を特定する。
【0068】
C領域またはUC領域では、背景ベクトルに基づいて、時刻tのフレームの画像と時刻t+1のフレームの画像を用いてDFDを演算しても、前景(オブジェクト)の画像の画素と、背景の画像の画素との差分絶対値和の演算が行われることになってしまう。図8の例では、時刻t0のフレームの画像と時刻t1のフレームの画像を用いると、背景ベクトル111に基づいて前景の画像の領域121aと背景の画像の領域131の差分絶対値和が演算され、背景ベクトル112に基づいて前景の画像の領域121bと背景の画像の領域133の差分絶対値和が演算されることになる。
【0069】
そこで、本発明では、さらに、時刻t+1よりも時間的に後の時刻t+2のフレームの画像と、時刻tよりも時間的に前の時刻t-1のフレームの画像とを、DFDの演算に用いることとする。
【0070】
図8の例において、時刻t+1のフレームの画像と時刻t+2のフレームの画像を用いれば、背景ベクトル111に基づいて背景の画像の領域131と背景の画像の領域132の差分絶対値和が演算されることになる。また、時刻tのフレームの画像と時刻t-1のフレームの画像を用いれば、背景ベクトル112に基づいて背景の画像の領域133と背景の画像の領域134の差分絶対値和が演算されることになる。
【0071】
ここで、時刻tのフレームの画像と時刻t+1のフレームの画像を用いてDFDを「現在のDFD」と称することとし、時刻t+1のフレームの画像と時刻t+2のフレームの画像を用いたDFDを「未来のDFD」と称することとする。また、時刻tのフレームの画像と時刻t-1のフレームの画像を用いたDFDは「過去のDFD」と称することとする。
【0072】
すなわち、UC領域の画素は、背景ベクトルに基づいて未来のDFDを演算すると、そのDFDの値は小さくなるはずである。上述したように、背景の画像の領域同士の差分絶対値和が演算されるからである。また、C領域の画素は、背景ベクトルに基づいて過去のDFDを演算すると、そのDFDの値は小さくなるはずである。上述したように、背景の画像の領域同士の差分絶対値和が演算されるからである。
【0073】
また、C領域またはUC領域では、それぞれの画素に割り付けられた補償割り付けベクトルが、その画素の動きを適切に反映している可能性は少ない。このため、補償割り付けベクトルに基づいてDFDを演算しても、そのDFDの値は小さくならないはずである。
【0074】
図9は、図8と同様に、オブジェクト121が表示される動画像の例を示しており、同図の例では、C領域の画素101に補償割り付けベクトル113が割り付けられており、UC領域の画素102に補償割り付けベクトル114が割り付けられている。
【0075】
図9の例では、時刻tのフレームの画像と時刻t+1のフレームの画像を用い、補償割り付けベクトル113に基づいて前景および背景の画像の領域141と背景の画像の領域142の差分絶対値和が演算され、補償割り付けベクトル114に基づいて前景および背景の画像の領域143と背景の画像の領域144の差分絶対値和が演算されることになる。
【0076】
このように、C領域またはUC領域では、補償割り付けベクトルに基づいてDFDを演算しても、そのDFDの値が小さくなる可能性は低い。
【0077】
本発明では、上述したように、背景ベクトルに基づく現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFD、並びに補償割り付けベクトルに基づくDFDの、4つのDFDを演算し、それぞれの大小を比較することにより注目画素の領域を判定する。
【0078】
すなわち、上述した4つのDFDのうち、過去のDFDが最小であった場合、注目画素は、C領域の画素であると判定される。
【0079】
また、上述した4つの評価値のうち、未来のDFDが最小であった場合、注目画素は、UC領域の画素であると判定される。
【0080】
さらに、上述した4つの評価値のうち、現在のDFDが最小であった場合、または補償割り付けベクトルのDFDが最小であった場合、注目画素の領域は、通常領域であると判定される。
【0081】
ただし、所定の場合には、このような方式では、注目画素が、C領域の画素であるか、UC領域のであるか、または通常領域の画素であるかを判定できない。例えば、図10に示されるような場合を考える。
【0082】
図10は、オブジェクト122が表示される動画像の例を示しており、時刻t-1乃至時刻t+2の4つの時刻のフレームの画像を示すものであり、縦軸は時間を表し、横軸は画像(画素)の位置を表すことになる。オブジェクト122は、時間の経過に伴って、図面の右方向に移動し、また、オブジェクト122の背景の画像は、時間の経過に伴って、画面の左方向に移動しているものとする。同図において、図中点線で示される矢印が、従来の方式により検出される動きベクトルを表している。図10の場合、図8の場合よりも、背景の動きが大きく、また、前景であるオブジェクトの面積が小さい。
【0083】
図10に示される例では、UC領域の画素103に、背景ベクトル115を割り当てても、未来のDFDが最小になるとは限らない。背景の動きが大きいため、背景ベクトル115が前景(オブジェクト122)を貫いてしまうからである。従って、画素103についての未来のDFDは、背景の画像の領域152と背景の画像の領域153との差分絶対値和となり、DFDが小さくなる可能性が高いが、過去のDFDも、背景の画像の領域151と背景の画像の領域154との差分絶対値和となり、DFDが小さくなる可能性が高い。同様に、現在のDFDも、背景の画像の領域151と背景の画像の領域152との差分絶対値和となり、DFDが小さくなる可能性が高い。
【0084】
また、図10に示される例では、C領域の画素104に、背景ベクトル116を割り当てても、過去のDFDが最小になるとは限らない。背景の動きが大きいため、背景ベクトル116が前景(オブジェクト122)を貫いてしまうからである。従って、画素104についての過去のDFDは、背景の画像の領域161と背景の画像の領域164との差分絶対値和となり、DFDが小さくなる可能性が高いが、未来のDFDも、背景の画像の領域162と背景の画像の領域163との差分絶対値和となり、DFDが小さくなる可能性が高い。同様に、現在のDFDも、背景の画像の領域161と背景の画像の領域162との差分絶対値和となり、DFDが小さくなる可能性が高い。
【0085】
このように、現在のDFD、過去のDFD、未来のDFDが、全て小さい値である場合、その注目画素の領域の判定結果は信頼性が低いと考えられる。そこで、現在のDFD、過去のDFD、未来のDFDのそれぞれを、予め設定された閾値と比較し、現在のDFD、過去のDFD、未来のDFDのそれぞれが、閾値より小さい場合、注目画素は、通常領域と判定されるようにする。
【0086】
以上のようにして、内挿フレームの注目画素が、C領域の画素であるか、UC領域のであるか、または通常領域の画素であるかが判定される。
【0087】
上述したように、C領域とUC領域においては、式(1)を参照して上述したように、2つのフレームの画素を用いた線形補間により内挿フレームの画素値を演算することは、適切とはいえないので、本発明では、C領域とUC領域においては、式(1)を参照して上述した方式とは異なる方式で内挿フレームの画素を生成する。次に、C領域とUC領域における内挿フレームの画素の生成の方式について説明する。
【0088】
図11は、オブジェクト221が表示される動画像の例を示しており、時刻tのフレームおよび時刻t+1のフレームの画像を示すものであり、縦軸は時間を表し、横軸は画像(画素)の位置を表すことになる。オブジェクト221は、時間の経過に伴って、図面の右方向に移動し、また、オブジェクト221の背景の画像は、時間の経過に伴って、画面の左方向に移動しているものとする。同図において、図中点線で示される矢印が、従来の方式により検出される動きベクトルを表している。
【0089】
上述したように、UC領域の画素201は、過去のフレーム(時間的に前のフレーム)においては、対応する画素がないので、UC領域の画素生成の際に過去のフレームの画素を用いた線形補間を行うと、本来生成されるべき画素とは異なった画素が生成されてしまう。すなわち、画素201の画素値の演算において用いるべき画素は、時刻t+1のフレームの画素203のみである。画素203は、背景の動きを表す動きベクトル211により画素201と対応付けられることになる。
【0090】
また、C領域の画素202は、未来のフレーム(時間的に後のフレーム)においては、対応する画素がないので、C領域の画素生成の際に未来のフレームの画素を用いた線形補間を行うと、本来生成されるべき画素とは異なった画素が生成されてしまう。すなわち、画素201の画素値の演算において用いるべき画素は、時刻tのフレームの画素204のみである。画素204は、背景の動きを表す動きベクトル212により画素202と対応付けられることになる。
【0091】
このように、C領域とUC領域においては、式(1)を参照して上述したように、時刻tおよび時刻t+1の2つのフレームの画素を用いた線形補間(適宜、両側補間と称する)により内挿フレームの画素値を演算するのではなく、時刻tのフレームまたは時刻t+1のフレームのうちの1つのフレームの画素を用いて補間(適宜、片側補間と称する)するようにすれば、適切に画素値を演算することができる。片側補間の場合、例えば、画素201の画素値は、画素203の画素値と同じ値とされ、例えば、画素202の画素値は、画素204の画素値と同じ値とされる。
【0092】
しかしながら、正確に背景の動きを表す動きベクトル211または動きベクトル212を抽出できる保証はない。C領域とUC領域においては、もともと動きベクトルが割り付けられていないので、何らかの動きベクトルを選択して補償する必要がある。このとき、正確に背景の動きを表す動きベクトル211または動きベクトル212を抽出できれば、上述した片側補間により適切な画素値を得ることができるが、例えば、背景の動きを表す動きベクトルとして、動きベクトル213または動きベクトル214が抽出されてしまった場合、上述した片側補間により適切な画素値が得られる可能性は低くなる。
【0093】
また、注目画素の領域が誤って判定された場合、やはり上述した片側補間により適切な画素値が得られる可能性は低くなる。例えば、通常領域の画素、またはUC領域の画素が誤って、C領域の画素と判定された場合、仮に正確に背景の動きを表す動きベクトルを抽出できたとしても、片側補間により注目画素の画素値を演算すると適切な画素値を得ることはできない。
【0094】
一方、C領域とUC領域の画素に割り付けられた補償割り付けベクトルを用いた片側補間について考える。図12は、図11と同様にオブジェクト221が表示される動画像の例を示している。同図の例において、画素231は、UC領域の画素とし、画素233は、C領域の画素とする。
【0095】
いま、画素231に補償割り付けベクトル241が割り付けられているものとする。補償割り付けベクトル241は、例えば、画素231の周辺の画素に割り付けられているそれぞれの動きベクトルの中から選択されたものとされる。いまの場合、補償割り付けベクトル241は、画素231の動きを適切に反映してない。
【0096】
画素231について、補償割り付けベクトル241により対応付けられる時刻t+1のフレームの画素は、オブジェクト221の画像の一部を構成する画素232であり、上述したように片側補間すると、画素231の画素値は、画素232の画素値と同じ値とされてしまい、内挿フレームの画像が劣化する。
【0097】
同様に、画素233に補償割り付けベクトル242が割り付けられているものとする。補償割り付けベクトル242は、例えば、画素232の周辺の画素に割り付けられているそれぞれの動きベクトルの中から選択されたものとされる。いまの場合、補償割り付けベクトル242は、画素232の動きを適切に反映してない。
【0098】
画素232について、補償割り付けベクトル242により対応付けられる時刻tのフレームの画素は、オブジェクト221の画像の一部を構成する画素234であり、上述したように片側補間すると、画素232の画素値は、画素234の画素値と同じ値とされてしまい、内挿フレームの画像が劣化する。
【0099】
しかしながら、注目画素の領域が誤って判定された場合、補償割り付けベクトルを用いた片側補間により適切な画素値が得られる可能性は高くなる。
【0100】
図12において、画素235は、本来は通常領域(オブジェクト221の一部)の画素であるが、誤ってUC領域の画素と判定されたものとし、画素237は、本来は通常領域の画素であるが、誤ってC領域の画素と判定されたものとする。なお、多くの場合、通常領域の画素には、補償割り付けを行わなくても予め動きベクトルが割り付けられるのであるが、ここでは、画素235と画素237には、ブロックマッチング法、勾配法などにより検出された動きベクトルが割り付けられておらず、動きベクトルが補償割り付けされたものとして説明する。
【0101】
いま、画素235に補償割り付けベクトル243が割り付けられているものとする。補償割り付けベクトル243は、例えば、画素235の周辺の画素に割り付けられているそれぞれの動きベクトルの中から選択されたものとされる。いまの場合、補償割り付けベクトル243は、画素231の動きを適切に反映している。
【0102】
画素235について、補償割り付けベクトル243により対応付けられる時刻t+1のフレームの画素は、オブジェクト221の画像の一部を構成する画素236であり、上述したように片側補間すると、画素235の画素値は、画素236の画素値と同じ値とされる。この場合、内挿フレームの画像は劣化しない。
【0103】
同様に、画素237に補償割り付けベクトル244が割り付けられているものとする。補償割り付けベクトル244は、例えば、画素237の周辺の画素に割り付けられているそれぞれの動きベクトルの中から選択されたものとされる。いまの場合、補償割り付けベクトル244は、画素237の動きを適切に反映している。
【0104】
画素237について、補償割り付けベクトル242により対応付けられる時刻tのフレームの画素は、オブジェクト221の画像の一部を構成する画素238であり、上述したように片側補間すると、画素237の画素値は、画素238の画素値と同じ値とされる。この場合、内挿フレームの画像は劣化しない。
【0105】
図11と図12を参照して上述したように、C領域とUC領域の画素の画素値の演算は、背景の動きを正確に表す動きベクトルを抽出し、その動きベクトルを用いて片側補間により画素値を演算することが理想的であると言える。この場合、C領域とUC領域の画素に、従来の方式により補償された補償割り付けベクトルとは別に、背景の動きを正確に表す動きベクトルを割り付けて補償する必要がある。
【0106】
しかしながら、背景の動きを正確に表す動きベクトルを抽出できるという確証はなく、また、注目画素の領域が誤判定されることもあるという技術的背景を考慮すると、内挿フレームの生成にあたって、C領域とUC領域の画素に、背景の動きを表す動きベクトルを割り付けて補償する方式を採用することは得策とは言えない。
【0107】
そこで、本発明においては、内挿フレームのC領域とUC領域の画素について、所定の条件を満たす場合にのみ、補償割り付けベクトルを用いて片側補間により画素値の演算を行うこととする。図13を参照して、この所定の条件を満たす場合について説明する。
【0108】
図13は、オブジェクト222が表示される動画像の例を示しており、時刻t-1乃至時刻t+2の4つの時刻のフレームの画像を示すものであり、縦軸は時間を表し、横軸は画像(画素)の位置を表すことになる。オブジェクト222は、時間の経過に伴って、図面の右方向に移動し、また、オブジェクト222の背景の画像は、時間の経過に伴って、画面の左方向に移動しているものとする。同図において、図中点線で示される矢印が、従来の方式により検出される動きベクトルを表している。
【0109】
同図の例において、画素251は、内挿フレームのUC領域の画素であり、かつUC領域の画素であると判定されたものとし、画素253は、内挿フレームのC領域の画素であり、かつC領域の画素であると判定されたものとする。
【0110】
いま、画素251に補償割り付けベクトル271が割り付けられているものとする。補償割り付けベクトル271は、例えば、画素251の周辺の画素に割り付けられているそれぞれの動きベクトルの中から選択されたものとされる。また、画素252に補償割り付けベクトル272が割り付けられているものとする。補償割り付けベクトル272は、例えば、画素252の周辺の画素に割り付けられているそれぞれの動きベクトルの中から選択されたものとされる。
【0111】
本発明においては、UC領域の画素251の画素値の演算に先立って、補償割り付けベクトル271に基づく、現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDを演算することとする。なお、いまの場合の現在のDFDとしては、時刻tのフレームの領域222aと時刻t+1のフレームの領域261の差分絶対値和が演算されることになる。また、過去のDFDとしては、時刻tのフレームの領域222aと時刻t-1のフレームの領域222bの差分絶対値和が演算されることになる。さらに、未来のDFDとしては、時刻t+1のフレームの領域261と時刻t+2のフレームの領域262の差分絶対値和が演算されることになる。
【0112】
そして、補償割り付けベクトル271に基づいて演算された現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDのうち、未来のDFDが最小である場合、補償割り付けベクトル271を用いた片側補間により、画素251の画素値が演算される。より具体的には、画素251は、UC領域の画素であると判定されたので、時刻t+1のフレームにおいて、補償割り付けベクトル271により画素251と対応付けられた画素の画素値が、注目画素である画素251の画素値とされる。
【0113】
補償割り付けベクトル271に基づいて演算された現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDのうち、未来のDFDが最小ではない場合は、補償割り付けベクトル271を用いた両側補間により、画素251の画素値が演算される。
【0114】
同様に、本発明においては、C領域の画素252の画素値の演算に先立って、補償割り付けベクトル272に基づく、現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDを演算することとする。なお、いまの場合の現在のDFDとしては、時刻tのフレームの領域263と時刻t+1のフレームの領域222cの差分絶対値和が演算されることになる。また、過去のDFDとしては、時刻tのフレームの領域263と時刻t-1のフレームの領域264の差分絶対値和が演算されることになる。さらに、未来のDFDとしては、時刻t+1のフレームの領域222cと時刻t+2のフレームの領域222dの差分絶対値和が演算されることになる。
【0115】
そして、補償割り付けベクトル272に基づいて演算された現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDのうち、過去のDFDが最小である場合、補償割り付けベクトル272を用いた片側補間により、画素252の画素値が演算される。より具体的には、画素252は、C領域の画素であると判定されたので、時刻tのフレームにおいて、補償割り付けベクトル272により画素252と対応付けられた画素の画素値が、注目画素である画素252の画素値とされる。
【0116】
補償割り付けベクトル272に基づいて演算された現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDのうち、過去のDFDが最小ではない場合は、補償割り付けベクトル272を用いた両側補間により、画素252の画素値が演算される。
【0117】
図14は、本発明の一実施の形態に係る画像処理装置300の構成例を示すブロック図である。
【0118】
この画像処理装置300は、例えば、時間的に連続する動画像である入力画像から内挿フレームの画像を生成して出力するようになされている。図14に示されるように、画像処理装置300は、ベクトル検出部301、ベクトル割り付け部302、補償割り付け部321、背景ベクトル抽出部322、評価値演算部323、C/UC領域判定部324、補間方式決定部325および内挿フレーム生成部331により構成されている。
【0119】
ベクトル検出部301は、入力画像の各画素において、例えば、ブロックマッチング法、勾配法などにより動きベクトルを検出する。
【0120】
ベクトル割り付け部302は、ベクトル検出部301により検出された動きベクトルを、内挿フレームの画像の各画素に付加する。
【0121】
補償割り付け部321は、内挿フレームの画像の画素のうち、ベクトル割り付け部302によって動きベクトルが割り付けられなかった画素について、動きベクトルの補償(割り付け)を行う。補償割り付け部321は、例えば、動きベクトルを補償すべき注目画素の周辺の画素に割り付けられている動きベクトルのそれぞれについてDFDを演算し、DFDの値が最も小さい動きベクトルを、補償割り付けベクトルとして注目画素に割り付けるようになされている。
【0122】
背景ベクトル抽出部322は、次のようにして背景ベクトルの候補を抽出する。
【0123】
ここで、背景ベクトルは、注目画素を含む内挿フレームの背景の画像の動きベクトルとされる。また、通常、動画像において、大きく移動するオブジェクトは背景に対して小さく表示されている場合が多いので、当該内挿フレーム全体の中で背景の画像が占める割合が大きいものと推定できる。従って、背景ベクトルは、当該フレームの画像の支配的な動きを表す動きベクトルと言い換えることもできる。
【0124】
画像の支配的な動きを表す動きベクトルである背景ベクトルは、例えば、注目画素を含む内挿フレームの全ての画素に付加されている動きベクトル(補償割り付けベクトルも含む)のヒストグラムに基づいて得ることができる。例えば、各画素に付加されている動きベクトルを、それぞれ(x,y)の2次元のベクトルとして、動きベクトルのヒストグラムを算出し、そのヒストグラムの中で、例えば度数が大きい順に所定の個数の動きベクトルを背景ベクトルとして抽出する。このようにすることで、当該内挿フレームの各画素に付加されている動きベクトルのうち、多くの画素に付加されているものが背景ベクトルとして抽出される。
【0125】
従って、背景ベクトル抽出部322は、画像の支配的な動きを表す動きベクトルが画像の背景の動きを表す動きベクトルであると仮定して、背景ベクトルを抽出することになる。
【0126】
なお、ヒストグラムの算出においては、動きベクトルにより特定される始点または終点の画素が低輝度であり、かつ周辺の画素との輝度値の差分が小さい(平坦な)ものである場合、その動きベクトルは、ヒストグラムに積算されないようにすることが好ましい。このような動きベクトルは、信頼性が低いと考えられるからである。
【0127】
また、背景ベクトルの抽出においては、ヒストグラムに対して微分や積分を適用した結果が大きい順に抽出してもよい。ヒストグラムに対して微分を適用した結果に基づいて背景ベクトルを抽出するようにすれば、例えば、フレーム内の特定の領域の画素の動きベクトルが背景ベクトルとして集中的に抽出されてしまうことが抑止される。また、ヒストグラムに対して積分を適用した結果に基づいて背景ベクトルを抽出するようにすれば、例えば、ヒストグラムの特異点である動きベクトルが背景ベクトルとして抽出されてしまうことが抑止される。
【0128】
ここでは、1つの内挿フレームの画面全体の支配的な動きとして背景ベクトルが抽出されると説明したが、例えば、内挿フレームの画像を複数のブロックに区切り、ブロック毎に支配的な動きを抽出し、それぞれのブロックに対応する背景ベクトルが抽出されるようにしてもよい。
【0129】
評価値算出部323は、図9を参照して上述したように、背景ベクトル抽出部322により抽出された背景ベクトルに基づく現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDを算出し、補償割り付け部321により割り付けられた補償割り付けベクトルに基づくDFDを算出する。
【0130】
ここでは、評価値算出部323が、背景ベクトル、補償割り付けベクトルなどの動きベクトルの評価値としてDFDを算出する場合の例について説明したが、DFDとは異なる評価値が算出されるようにしても構わない。
【0131】
C/UC領域判定部324は、評価値算出部323による、背景ベクトルに基づく現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFD、並びに補償割り付けベクトルに基づくDFDの4つのDFDの大小を比較することにより、注目画素がC領域の画素であるか、UC領域のであるか、または通常領域の画素であるかを判定する。
【0132】
補間方式決定部325は、図13を参照して上述したように、C/UC領域判定部324によりC領域またはUC領域の画素と判定された注目画素について、補償割り付け部321により割り付けられた補償割り付けベクトルに基づく現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDを算出し、3つのDFDの大小を比較することにより、注目画素の画素値を両側補間により演算するか、片側補間により演算するかを決定する。なお、注目画素の画素値を片側補間により演算すべきと決定される場合には、C/UC領域判定部324の判定結果に基づいて、時刻tのフレームまたは時刻t+1のフレームのいずれのフレームからの片側補間であるかも合わせて決定される。
【0133】
内挿フレーム生成部331は、補間方式決定部325が決定した方式に基づいて、内挿フレームの注目画素の画素値を演算する。これにより、内挿フレームの各画素が生成されて内挿フレームの画像が出力されることになる。
【0134】
次に、図15のフローチャートを参照して、本発明の画像処理装置300による内挿フレーム生成処理について説明する。
【0135】
ステップS101において、ベクトル検出部301は、入力画像の各画素において、例えば、ブロックマッチング法、勾配法などにより動きベクトルを検出する。
【0136】
ステップS102において、ベクトル割り付け部302は、ベクトル検出部301により検出された動きベクトルを、内挿フレームの各画素に割り付ける。
【0137】
ステップS103において、補償割り付け部321は、内挿フレームの画像の画素のうち、ベクトル割り付け部302によって動きベクトルが割り付けられなかった画素について、動きベクトルの補償(割り付け)を行う。これにより、例えば、C領域の画素、UC領域の画素などに補償割り付けベクトルが割り付けられることになる。
【0138】
ステップS104において、背景ベクトル抽出部322は、図16を参照して後述する背景ベクトル抽出処理を実行する。
【0139】
ここで、図16のフローチャートを参照して、図15のステップS104の背景ベクトル抽出処理の詳細について説明する。
【0140】
ステップS121において、背景ベクトル抽出部322は、フレームの各画素に付加されている動きベクトルを、例えば、それぞれ(x,y)の2次元のベクトルとして、動きベクトルのヒストグラムを算出する。
【0141】
ステップS122において、背景ベクトル抽出部322は、ステップS121の処理で算出されたヒストグラムの中で、例えば度数が大きい順に所定の個数の動きベクトルを背景ベクトルとして抽出する。
【0142】
このようにして、背景ベクトルが抽出される。
【0143】
なお、上述したように、ステップS122の処理では、ヒストグラムに対して微分や積分を適用した結果が大きい順に背景ベクトルを抽出してもよい。
【0144】
また、例えば、フレームの画像を複数のブロックに区切り、ブロック毎に支配的な動きを抽出し、それぞれのブロックに対応する背景ベクトルが抽出されるようにしてもよい。
【0145】
図15に戻って、ステップS104の処理の後、ステップS105において、評価値算出部323と、C/UC領域判定部324は、図17を参照して後述する領域判定処理を実行する。
【0146】
ここで、図17のフローチャートを参照して、図15のステップS105の領域判定処理の詳細について説明する。なお、この処理は、内挿フレームの画像の中で、ステップS103の処理で補償割り付けの対象となった画素のそれぞれが、注目画素として設定され、個々の注目画素について実行される。
【0147】
ステップS141において、評価値算出部323は、図9を参照して上述したように、補償割り付け部321により割り付けられた補償割り付けベクトルに基づくDFDを算出する。
【0148】
ステップS142において、評価値算出部323は、図9を参照して上述したように、背景ベクトル抽出部322により抽出された背景ベクトルに基づく現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDを算出する。
【0149】
ステップS143において、C/UC領域判定部324は、図18を参照して後述する比較判定処理を実行する。ここで、図18のフローチャートを参照して、図17のステップS143の比較判定処理の詳細について説明する。
【0150】
ステップS161において、C/UC領域判定部324は、ステップS141の処理で算出された補償割り付けベクトルに基づくDFD、並びにステップS142の処理で算出された背景ベクトルに基づく現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDを比較する。
【0151】
ステップS162において、C/UC領域判定部324は、ステップS142の処理で算出された背景ベクトルに基づく現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDが全て予め設定された閾値より小さいか否かを判定する。
【0152】
ステップS162において、背景ベクトルに基づく現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDが全て閾値より小さいと判定された場合、処理は、ステップS164に進み、C/UC領域判定部324は、注目画素が、通常領域の画素であると判定する。このような場合、図10を参照して上述したように、その注目画素の領域の判定結果は信頼性が低いと考えられるからである。
【0153】
ステップS162において、背景ベクトルに基づく現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDのうち、少なくとも1つのDFDが閾値より小さくないと判定された場合、処理は、ステップS163に進む。
【0154】
ステップS163において、C/UC領域判定部324は、ステップS161の比較の結果、ステップS141の処理で算出された補償割り付けベクトルに基づくDFD、並びにステップS142の処理で算出された背景ベクトルに基づく現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDのうち、補償割り付けベクトルに基づくDFDが最小であったか否かを判定する。
【0155】
ステップS163において、補償割り付けベクトルに基づくDFDが最小であったと判定された場合、処理は、ステップS164に進み、C/UC領域判定部324は、注目画素が、通常領域の画素であると判定する。
【0156】
ステップS163において、補償割り付けベクトルに基づくDFDが最小ではなかったと判定された場合、処理は、ステップS165に進む。
【0157】
ステップS165において、C/UC領域判定部324は、ステップS161の比較の結果、ステップS141の処理で算出された補償割り付けベクトルに基づくDFD、並びにステップS142の処理で算出された背景ベクトルに基づく現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDのうち、背景ベクトルに基づく過去のDFDが最小であったか否かを判定する。
【0158】
ステップS165において、背景ベクトルに基づく過去のDFDが最小であったと判定された場合、処理は、ステップS166に進み、C/UC領域判定部324は、注目画素が、C領域の画素であると判定する。
【0159】
ステップS165において、背景ベクトルに基づく過去のDFDが最小ではなかったと判定された場合、処理は、ステップS167に進む。
【0160】
ステップS167において、C/UC領域判定部324は、ステップS161の比較の結果、ステップS141の処理で算出された補償割り付けベクトルに基づくDFD、並びにステップS142の処理で算出された背景ベクトルに基づく現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDのうち、背景ベクトルに基づく現在のDFDが最小であったか否かを判定する。
【0161】
ステップS167において、背景ベクトルに基づく現在のDFDが最小であったと判定された場合、処理は、ステップS168に進み、C/UC領域判定部324は、注目画素が、通常領域の画素であると判定する。
【0162】
ステップS167において、背景ベクトルに基づく現在のDFDが最小ではなかったと判定された場合、処理は、ステップS169に進む。
【0163】
ステップS169において、C/UC領域判定部324は、ステップS161の比較の結果、ステップS141の処理で算出された補償割り付けベクトルに基づくDFD、並びにステップS142の処理で算出された背景ベクトルに基づく現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDのうち、背景ベクトルに基づく未来のDFDが最小であったか否かを判定する。
【0164】
ステップS169において、背景ベクトルに基づく未来のDFDが最小であったと判定された場合、処理は、ステップS170に進み、C/UC領域判定部324は、注目画素が、UC領域の画素であると判定する。
【0165】
ステップS169において、背景ベクトルに基づく未来のDFDが最小ではなかったと判定された場合、処理は、ステップS171に進み、エラー処理が実行されることになる。
なお、ステップS169とステップS171の処理は、省略して、ステップS167において、現在のDFDが最小でなかったと判定された場合、処理は、ステップS170に進み、注目画素の領域は、UC領域であると判定されるようにしてもよい。
【0166】
このようにして、注目画素の領域が判定される。なお、ステップS103の処理で補償割付の対象とならなかった画素については、全て通常領域の画素とされるものとする。これにより、内挿フレームの全ての画素の領域が特定され、以降の処理においては、その特定結果に基づいて注目画素の領域が判定される。
【0167】
比較判定処理の終了に伴って、図17の領域判定処理も終了され、処理は、図15のステップS106に進むことになる。ステップS106において、補間方式決定部325は、図19を参照して後述する画素生成方式決定処理を実行する。
【0168】
ここで、図19のフローチャートを参照して、図15のステップS106の画素生成方式決定処理の詳細について説明する。この処理は、内挿フレームの画像を構成する画素のそれぞれが、注目画素として設定され、個々の注目画素について実行される。
【0169】
ステップS191において、補間方式決定部325は、注目画素の領域を判定する。この判定は、ステップS143の処理結果に基づいて行われる。ステップS191において、注目画素がC領域の画素であると判定された場合、処理は、ステップS192に進む。
【0170】
ステップS192において、補間方式決定部325は、例えば、図13を参照して上述したように、注目画素の補償割り付けベクトルに基づく現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDを演算する。
【0171】
ステップS193において、補間方式決定部325は、ステップS192の処理で演算された3つのDFDのうち、過去のDFDが最小であるか否かを判定し、過去のDFDが最小であると判定された場合、処理は、ステップS194に進む。
【0172】
ステップS194において、補間方式決定部325は、注目画素については、時刻tのフレームからの片側補間により画素値を求めるものとして、注目画素の画素生成方式を決定する。
【0173】
一方、ステップS191において、注目画素がUC領域の画素であると判定された場合、処理は、ステップS195に進む。
【0174】
ステップS195において、補間方式決定部325は、例えば、図13を参照して上述したように、注目画素の補償割り付けベクトルに基づく現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDを演算する。
【0175】
ステップS196において、補間方式決定部325は、ステップS195の処理で演算された3つのDFDのうち、未来のDFDが最小であるか否かを判定し、未来のDFDが最小であると判定された場合、処理は、ステップS197に進む。
【0176】
ステップS197において、補間方式決定部325は、注目画素については、時刻t+1のフレームからの片側補間により画素値を求めるものとして、注目画素の画素生成方式を決定する。
【0177】
ステップS191において、注目画素が通常領域の画素であると判定された場合、処理は、ステップS198に進む。また、ステップS193において、過去のDFDが最小ではないと判定された場合、および、ステップS196において、未来のDFDが最小ではないと判定された場合、やはり処理は、ステップS198に進む。
【0178】
ステップS198において、補間方式決定部325は、注目画素については、時刻tのフレームおよび時刻t+1のフレームからの両側補間により画素値を求めるものとして、注目画素の画素生成方式を決定する。
【0179】
このようにして、内挿フレームの画像を構成する画素のそれぞれの画素生成方式が決定される。
【0180】
図15に戻って、ステップS106の処理の後、処理は、ステップS107に進み、内挿フレーム生成部331は、注目画素の画素値を演算することにより、内挿フレームの画素を生成する。このとき、図19のステップS194、ステップS197、またはステップS198の処理で決定された方式に従って画素値が演算されることになる。
【0181】
このようにして、内挿フレームの画像が生成される。
【0182】
このようにすることで、例えば、内挿フレームにおいて動きベクトルが通過しない領域である、C領域またはUC領域の画素についても画像の劣化を抑えた内挿フレームの生成が可能となる。すなわち、内挿フレームの画像のどの領域においても、適切に画素を生成することができる。
【0183】
なお、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば図20に示されるような汎用のパーソナルコンピュータ700などに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0184】
図20において、CPU(Central Processing Unit)701は、ROM(Read Only Memory)702に記憶されているプログラム、または記憶部708からRAM(Random Access Memory)703にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM703にはまた、CPU701が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0185】
CPU701、ROM702、およびRAM703は、バス704を介して相互に接続されている。このバス704にはまた、入出力インタフェース705も接続されている。
【0186】
入出力インタフェース705には、キーボード、マウスなどよりなる入力部706、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部707、ハードディスクなどより構成される記憶部708、モデム、LANカードなどのネットワークインタフェースカードなどより構成される通信部709が接続されている。通信部709は、インターネットを含むネットワークを介しての通信処理を行う。
【0187】
入出力インタフェース705にはまた、必要に応じてドライブ710が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア711が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部708にインストールされる。
【0188】
上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、インターネットなどのネットワークや、リムーバブルメディア711などからなる記録媒体からインストールされる。
【0189】
なお、この記録媒体は、図20に示される、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスク(登録商標)を含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)(登録商標)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア711により構成されるものだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM702や、記憶部708に含まれるハードディスクなどで構成されるものも含む。
【0190】
なお、本明細書において上述した一連の処理を実行するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】内挿フレームについて説明する図である。
【図2】動画像の例を示す図である。
【図3】従来の動きベクトルの検出について説明する図である。
【図4】動きベクトルが通過する領域を説明する図である。
【図5】動きベクトルが通過しない領域を説明する図である。
【図6】C領域とUC領域を説明する図である。
【図7】従来の内挿フレーム生成処理を説明するフローチャートである。
【図8】C領域またはUC領域でのDFDの演算について説明する図である。
【図9】DFDに基づく領域の判定について説明する図である。
【図10】DFDに基づく領域の判定について説明する図である。
【図11】内挿フレームのC領域とUC領域の画素値の演算について説明する図である。
【図12】内挿フレームのC領域とUC領域の画素値の演算について説明する図である。
【図13】内挿フレームのC領域とUC領域の画素値の演算について説明する図である。
【図14】本発明を適用した画像処理装置の一実施の形態に係る構成例を示すブロック図である。
【図15】本発明の画像処理装置による内挿フレーム生成処理を説明するフローチャートである。
【図16】背景ベクトル抽出処理を説明するフローチャートである。
【図17】領域判定処理を説明するフローチャートである。
【図18】比較判定処理を説明するフローチャートである。
【図19】画素生成方式決定処理を説明するフローチャートである。
【図20】パーソナルコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0192】
300 画像処理装置, 301 ベクトル検出部, 302 ベクトル割り付け部, 321 補償割り付け部, 332 背景ベクトル抽出部, 323 評価値算出部, 324 C/UC領域判定部, 325補間方式決定部, 331 内挿フレーム生成部, 701 CPU, 711 リムーバブルメディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像の第1のフレームの画像と、前記第1のフレームより時間的に後の第2のフレームの画像に基づいて、前記第1のフレームより時間的に後のフレームであって、前記第2のフレームより時間的に前の内挿フレームの画像を生成する画像処理装置であって、
前記第1のフレームの画像および前記第2のフレームの画像に基づいて、前記内挿フレームの画素に動きベクトルを割り付ける動きベクトル割り付け手段と、
前記動きベクトル割り付け手段により、動きベクトルが割り付けられなかった前記内挿フレームの画素の動きベクトルを補償する動きベクトル補償手段と、
前記内挿フレームの画像の中の注目画素が含まれる領域について、
前記第1のフレームの画像において表示されていた背景が、前記第2のフレームにおいて前景により覆い隠される領域であるC(Covered)領域であるか、
前記第1のフレームの画像において前景により覆い隠されていた背景が、前記第2のフレームにおいて表示される領域であるUC(UnCovered)領域であるか、または、
前記第1のフレームの画像において表示されていた前景または背景が、前記第2のフレームにおいても表示される領域である通常領域であるか
を判定する領域判定手段と、
前記判定手段により、前記注目画素が前記C領域の画素であるか、または前記UC領域の画素であると判定された場合、
前記動きベクトル割り付け手段または前記動きベクトル補償手段により前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための評価値を複数演算し、前記複数の評価値の大小を比較することで、前記注目画素の画素値の演算方式を決定する演算方式決定手段と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記内挿フレームを構成するそれぞれの画素に付加されている動きベクトルのヒストグラムに基づいて前記内挿フレームの背景の画像の動きを表す背景ベクトルを抽出する背景ベクトル抽出手段をさらに備え、
前記領域判定手段は、注目画素について、
前記背景ベクトルの信頼性を評価するための評価値を複数演算し、
前記動きベクトル割り付け手段または前記動きベクトル補償手段により前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための評価値を演算し、
前記演算された評価値のそれぞれの大小を比較することにより、前記注目画素が含まれる領域を判定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記領域判定手段は、
前記背景ベクトルに基づいて、前記内挿フレームの中の注目画素に対応する前記第1のフレームの画素、および前記注目画素に対応する前記第2のフレームの画素を特定するとともに、前記背景ベクトルに基づいて、前記内挿フレームの中の注目画素に対応する前記第1のフレームより時間的に前の第3のフレームの画素、および前記注目画素に対応する前記第2のフレームより時間的に後の第4のフレームの画素を特定し、
前記特定された前記第1のフレームの画素と前記第2のフレームの画素との間でDFDを演算して現在のDFDとし、
前記特定された前記第1のフレームの画素と前記第3のフレームの画素との間でDFDを演算して過去のDFDとし、
前記特定された前記第2のフレームの画素と前記第4のフレームの画素との間でDFDを演算して未来のDFDとし、
前記補償ベクトルに基づいて、前記内挿フレームの中の注目画素に対応する前記第1のフレームの画素、および前記注目画素に対応する前記第2のフレームの画素を特定し、
前記特定された前記第1のフレームの画素と前記第2のフレームの画素との間でDFDを演算して前記注目画素に割り付けられた動きベクトルのDFDとし、
前記背景ベクトルの前記現在のDFD、前記過去のDFD、および前記未来のDFD、並びに前記注目画素に割り付けられた動きベクトルのDFDを前記評価値として、前記注目画素が含まれる領域を判定する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記領域判定手段は、
前記背景ベクトルの前記現在のDFD、前記過去のDFD、および前記未来のDFD、並びに前記注目画素に割り付けられた動きベクトルのDFDのうち、
前記過去のDFDが最小である場合、前記注目画素が含まれる領域は、C領域であると判定し、
前記未来のDFDが最小である場合、前記注目画素が含まれる領域は、UC領域であると判定し、
前記現在のDFDが最小である場合、または、前記注目画素に割り付けられた動きベクトルのDFDが最小である場合、前記注目画素が含まれる領域は、通常領域であると判定する
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記演算方式決定手段は、
前記注目画素に割り付けられた動きベクトルに基づいて、前記内挿フレームの中の注目画素に対応する前記第1のフレームの画素、および前記注目画素に対応する前記第2のフレームの画素を特定するとともに、前記背景ベクトルに基づいて、前記内挿フレームの中の注目画素に対応する前記第1のフレームより時間的に前の第3のフレームの画素、および前記注目画素に対応する前記第2のフレームより時間的に後の第4のフレームの画素を特定し、
前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための評価値として、現在のDFD、過去のDFD、および未来のDFDをさらに演算する
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
演算方式決定手段は、
前記注目画素に割り付けられた動きベクトルに基づいて、前記内挿フレームの注目画素に対応する前記第1のフレームの画像の画素値と、前記内挿フレームの注目画素に対応する前記第2のフレームの画像の画素値を特定し、
前記領域判定手段により、前記注目画素が前記C領域の画素であると判定され、かつ前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための複数の前記評価値のうち、前記過去のDFDが最小である場合、前記特定された前記第1のフレームの画像の画素値を、前記注目画素の画素値とするように、前記注目画素の画素値の演算方式を決定し、
前記領域判定手段により、前記注目画素が前記UC領域の画素であると判定され、かつ前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための複数の前記評価値のうち、前記未来のDFDが最小である場合、前記特定された前記第2のフレームの画像の画素値を、前記注目画素の画素値とするように、前記注目画素の画素値の演算方式を決定し、
それ以外の場合、前記特定された前記第1のフレームの画像の画素値と、前記第2のフレームの画像の画素値との線形補間により、前記注目画素の画素値を演算するように、前記注目画素の画素値の演算方式を決定する
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
動画像の第1のフレームの画像と、前記第1のフレームより時間的に後の第2のフレームの画像に基づいて、前記第1のフレームより時間的に後のフレームであって、前記第2のフレームより時間的に前の内挿フレームの画像を生成する画像処理装置の画像処理方法であって、
前記第1のフレームの画像および前記第2のフレームの画像に基づいて、前記内挿フレームの画素に動きベクトルを割り付け、
前記動きベクトルが割り付けられなかった前記内挿フレームの画素について動きベクトルの補償により動きベクトルを割り付け、
前記内挿フレームの画像の中の注目画素が含まれる領域について、
前記第1のフレームの画像において表示されていた背景が、前記第2のフレームにおいて前景により覆い隠される領域であるC領域であるか、
前記第1のフレームの画像において前景により覆い隠されていた背景が、前記第2のフレームにおいて表示される領域であるUC領域であるか、または、
前記第1のフレームの画像において表示されていた前景または背景が、前記第2のフレームにおいても表示される領域である通常領域であるか
を判定し、
前記注目画素が前記C領域の画素であるか、または前記UC領域の画素であると判定された場合、
前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための評価値を複数演算し、前記複数の評価値の大小を比較することで、前記注目画素の画素値の演算方式を決定するステップ
を含む画像処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
動画像の第1のフレームの画像と、前記第1のフレームより時間的に後の第2のフレームの画像に基づいて、前記第1のフレームより時間的に後のフレームであって、前記第2のフレームより時間的に前の内挿フレームの画像を生成する画像処理装置であって、
前記第1のフレームの画像および前記第2のフレームの画像に基づいて、前記内挿フレームの画素に動きベクトルを割り付ける動きベクトル割り付け手段と、
前記動きベクトル割り付け手段により、動きベクトルが割り付けられなかった前記内挿フレームの画素の動きベクトルを補償する動きベクトル補償手段と、
前記内挿フレームの画像の中の注目画素が含まれる領域について、
前記第1のフレームの画像において表示されていた背景が、前記第2のフレームにおいて前景により覆い隠される領域であるC領域であるか、
前記第1のフレームの画像において前景により覆い隠されていた背景が、前記第2のフレームにおいて表示される領域であるUC領域であるか、または、
前記第1のフレームの画像において表示されていた前景または背景が、前記第2のフレームにおいても表示される領域である通常領域であるか
を判定する領域判定手段と、
前記判定手段により、前記注目画素が前記C領域の画素であるか、または前記UC領域の画素であると判定された場合、
前記動きベクトル割り付け手段または前記動きベクトル補償手段により前記注目画素に割り付けられた動きベクトルの信頼性を評価するための評価値を複数演算し、前記複数の評価値の大小を比較することで、前記注目画素の画素値の演算方式を決定する演算方式決定手段とを備える画像処理装置として機能させる
プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムが記録されている記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−200760(P2009−200760A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39539(P2008−39539)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】