説明

画像処理装置および方法

【課題】高ビット深度画像のビット深度変換において、高ビット深度画像のロスレス表現を実現することができるようにする。
【解決手段】Nビット深度の画像を、Mビット深度の上位層と、それ以外の下位層とに変換する画像処理装置であって、Nビット深度の画像の各画素値の出現度数を示すヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、前記ヒストグラムの出現度数が1以上の画素を順番に並べたテーブルを生成するテーブル生成部と、テーブルを用いて、前記ヒストグラム内の値の配置を並び替える並び替え部と、テーブルとヒストグラムを更新する更新部と、Nビット深度のインデックス画像を生成するインデックス画像生成部とを備える。本開示は、例えば、画像処理装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置および方法に関し、特に、高ビット深度画像のビット深度変換において、高ビット深度画像のロスレス表現を可能とすることができるようにした画像処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高ビット深度画像の符号化表現については、これまで多数の研究結果が報告されている(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)。
【0003】
例えば、非特許文献1においては、トーンマッピングを行うことで、低ビット深度画像を作成し、その復号画像と原画像との差分を別の符号化器で符号化する2段構成の符号化方法が提案されている。
【0004】
また、例えば、非特許文献2においては、トーンマッピングの代わりにLloyd-Max量子化を適用することで、非可逆圧縮時のビットレート低減を実現することが検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M.Winken, D.Marpe, etc.,"Bit-depth Scalable Video Coding", Proc. IEEE Intl. Conf. on Image Processing, pp.I-5〜I-7, 2007
【非特許文献2】伊藤、坂東、高村、上倉、八島,"ビット深度変換処理を用いた高ビット深度画像の符号化に関する基礎検討"、2009信学総大,S-5,2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの手法の場合、復号画像と原画像との差分のビット数が長くなってしまい、元々の原画像のロスレス表現ができない恐れがあった。
【0007】
本開示は、このような状況に鑑みて提案されたものであり、高ビット深度画像のビット深度変換において、高ビット深度画像のロスレス表現を実現することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面は、Nビット深度の画像を、Mビット深度の上位層と、それ以外の下位層とに変換する画像処理装置であって、Nビット深度の画像の各画素値の出現度数を示すヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、前記ヒストグラム生成部により生成された前記ヒストグラムの出現度数が1以上の画素を順番に並べたテーブルを生成するテーブル生成部と、前記テーブル生成部により生成されたテーブルを用いて、前記ヒストグラム内の値の配置を並び替える並び替え部と、前記テーブル生成部により生成されたテーブルと、前記並び替え部により並び替えられたヒストグラムを更新する更新部と、前記更新部により更新されたテーブルおよびヒストグラムを用いて、Nビット深度のインデックス画像を生成するインデックス画像生成部とを備える画像処理装置である。
【0009】
前記更新部は、(N-M)ビットの下位層の画像を切り捨てた場合の誤差が最小になるように、前記テーブルおよび前記ヒストグラム内の値の配置を並び替えることにより、前記テーブルおよび前記ヒストグラムを更新することができる。
【0010】
前記Nビット深度の画像を複数のブロックに分割する分割部をさらに備え、前記ヒストグラム生成部は、前記分割部により分割されたブロック毎に独立して前記ヒストグラムを生成し、前記テーブル生成部は、前記ヒストグラム生成部により生成されたブロック毎のヒストグラムを用いて、前記ブロック毎に独立して前記テーブルを生成し、前記並び替え部は、前記テーブル生成部により生成されたブロック毎のテーブルを用いて、前記ブロック毎のヒストグラムをそれぞれ並び替え、前記更新部は、前記ブロック毎のテーブルと、前記並び替え部により並び替えられた前記ブロック毎のヒストグラムを更新し、前記インデックス画像生成部は、前記更新部により更新された前記ブロック毎のテーブルおよび前記ブロック毎のヒストグラムを用いて、前記ブロック毎に独立して前記インデックス画像を生成することができる。
【0011】
ビット深度変換の手法を選択する制御部と、Lloyd-Max法による量子化を行うLloyd-Max量子化部とをさらに備え、前記制御部は、前記ヒストグラム生成部により生成された前記ヒストグラムから出現度数が1以上の画素数X を検出して、X >(2M−1)であり、且つ(N-M)≧ P以上の場合、前記Lloyd-Max量子化部を制御し、Lloyd-max法によるビット深度変換を実行させ、それ以外の場合、前記テーブル制御部、前記並び替え部、前記更新部、および前記インデックス画像生成部を制御し、前記インデックス画像を生成させることができる。
【0012】
変数Pの値は2であるようにすることができる。
【0013】
本開示の一側面は、また、Nビット深度の画像を、Mビット深度の上位層と、それ以外の下位層とに変換する画像処理装置の画像処理方法であって、ヒストグラム生成部は、Nビット深度の画像の各画素値の出現度数を示すヒストグラムを生成し、テーブル生成部は、生成された前記ヒストグラムの出現度数が1以上の画素を順番に並べたテーブルを生成し、並び替え部は、生成されたテーブルを用いて、前記ヒストグラム内の値の配置を並び替え、更新部は、生成されたテーブルと、並び替えられたヒストグラムを更新し、インデックス画像生成部は、更新されたテーブルおよびヒストグラムを用いて、Nビット深度のインデックス画像を生成する画像処理方法である。
【0014】
本開示の他の側面は、Nビット深度の画像の各画素値の出現度数を示すヒストグラムを生成し、生成された前記ヒストグラムの出現度数が1以上の画素を順番に並べたテーブルを生成し、生成されたテーブルを用いて、前記ヒストグラム内の値の配置を並び替え、生成されたテーブルと、並び替えられたヒストグラムを更新し、更新されたテーブルおよびヒストグラムを用いて生成した、Nビット深度のインデックス画像と、前記更新されたテーブルとを用いて、前記Nビット深度の画像を復元する復元画像生成部と、前記Nビット深度のインデックス画像を、上位層のMビット深度のインデックス画像と、下位層の(N-M)ビットのインデックス画像に分割し、前記Mビット深度のインデックス画像と、前記更新されたテーブルとを用いて、前記Nビット深度の画像を復元する上位層画像生成部とを備える画像処理装置である。
【0015】
前記復元画像生成部は、ブロック毎の前記Nビット深度のインデックス画像と、前記ブロック毎の更新されたテーブルとを用いて、Nビット深度のブロック画像を復元することができる。
【0016】
前記上位層画像生成部は、前記ブロック毎のMビット深度のインデックス画像と、前記ブロック毎の更新されたテーブルとを用いて、Nビット深度のブロック画像を復元することができる。
【0017】
前記上位層画像生成部は、前記ヒストグラムから出現度数が1以上の画素数Xを検出して、X ≦(2M−1)ならば、前記Nビット深度のインデックス画像を、上位層のMビット深度のインデックス画像と、下位層の(N-M)ビットのインデックス画像に分割することができる。
【0018】
本開示の他の側面は、また、画像処理装置の画像処理方法であって、復元画像生成部は、Nビット深度の画像の各画素値の出現度数を示すヒストグラムを生成し、生成された前記ヒストグラムの出現度数が1以上の画素を順番に並べたテーブルを生成し、生成されたテーブルを用いて、前記ヒストグラム内の値の配置を並び替え、生成されたテーブルと、並び替えられたヒストグラムを更新し、更新されたテーブルおよびヒストグラムを用いて生成した、Nビット深度のインデックス画像と、前記更新されたテーブルとを用いて、前記Nビット深度の画像を復元し、上位層画像生成部は、前記Nビット深度のインデックス画像を、上位層のMビット深度のインデックス画像と、下位層の(N-M)ビットのインデックス画像に分割し、前記Mビット深度のインデックス画像と、前記更新されたテーブルとを用いて、前記Nビット深度の画像を復元する画像処理方法である。
【0019】
本開示の一側面においては、Nビット深度の画像の各画素値の出現度数を示すヒストグラムが生成され、生成されたヒストグラムの出現度数が1以上の画素を順番に並べたテーブルが生成され、生成されたテーブルを用いて、ヒストグラム内の値の配置が並び替えられ、生成されたテーブルと、並び替えられたヒストグラムが更新され、更新されたテーブルおよびヒストグラムを用いて、Nビット深度のインデックス画像が生成される。
【0020】
本開示の他の側面においては、Nビット深度の画像の各画素値の出現度数を示すヒストグラムを生成し、生成されたヒストグラムの出現度数が1以上の画素を順番に並べたテーブルを生成し、生成されたテーブルを用いて、ヒストグラム内の値の配置を並び替え、生成されたテーブルと、並び替えられたヒストグラムを更新し、更新されたテーブルおよびヒストグラムを用いて生成した、Nビット深度のインデックス画像と、更新されたテーブルとを用いて、Nビット深度の画像が復元され、Nビット深度のインデックス画像が、上位層のMビット深度のインデックス画像と、下位層の(N-M)ビットのインデックス画像に分割され、Mビット深度のインデックス画像と、更新されたテーブルとを用いて、Nビット深度の画像が復元される。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、画像を処理することができる。特に、高ビット深度画像のビット深度変換において、高ビット深度画像のロスレス表現を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ビット深度変換装置の主な構成例を示すブロック図である。
【図2】12ビット画像のヒストグラム全体の例を示す図である。
【図3】12ビット画像のヒストグラムの一部を拡大した例を示す図である。
【図4】ビット深度変換処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図5】高ビット深度画像の画素値の例を示す図である。
【図6】ヒストグラム分布の例を示す図である。
【図7】初期テーブルの例を示す図である。
【図8】ソートされたヒストグラムの例を示す図である。
【図9】H(k)の更新の様子の例を示す図である。
【図10】T(k)の更新の様子の例を示す図である。
【図11】ヒストグラムにおけるH(k)=0の位置の配置自由度を説明する図である。
【図12】ヒストグラムにおけるH(k)=0の位置の配置自由度を説明する図である。
【図13】インデックス画像を求める様子の例を説明する図である。
【図14】インデックス画像を求める様子の例を説明する図である。
【図15】ビット深度逆変換装置の主な構成例を示すブロック図である。
【図16】ビット深度逆変換処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図17】ビット深度変換装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図18】ビット深度変換処理の流れの、他の例を説明するフローチャートである。
【図19】ビット深度逆変換装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図20】ビット深度逆変換処理の流れの、他の例を説明するフローチャートである。
【図21】入力画像の例を示す図である。
【図22】ビット深度変換処理結果の例を説明する図である。
【図23】ビット深度変換処理結果の他の例を説明する図である。
【図24】上位ビット画像のPSNRと復元画像のPSNRの例を示す図である。
【図25】医療画像についてテーブルの情報量の例を示す図である。
【図26】写真画像についてテーブルの情報量の例を示す図である。
【図27】画像処理装置の主な構成例を示すブロック図である。
【図28】パーソナルコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本技術を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(ビット深度変換装置)
2.第2の実施の形態(ビット深度逆変換装置)
3.第3の実施の形態(ビット深度変換装置)
4.第4の実施の形態(ビット深度逆変換装置)
5.第5の実施の形態(実験例)
6.第6の実施の形態(画像処理装置)
7.第7の実施の形態(パーソナルコンピュータ)
【0024】
<1.第1の実施の形態>
[ビット深度変換装置]
図1は、ビット深度変換装置の主な構成例を示すブロック図である。図1に示されるビット深度変換装置100は、高ビット深度の画像(高ビット深度画像)を入力画像として受け付け、その高ビット深度画像をロスレスに(損失無く)表現することができるインデックス画像を生成する画像処理装置である。
【0025】
より具体的には、ビット深度変換装置100は、NビットのHDR(High Dynamic Range)画像(高ダイナミックレンジ画像)に対して、Mビット(N>=M)の上位ビット部分と下位の差分情報に分けた2層の画像表現法を実現する。この手法は、以下の特徴を持つことを条件としている。
【0026】
(A)画像を2層表現し、1層目だけを用いて画像を復元した場合にも、高いPSNRを持つこと
(B)2層全ての情報が得られた場合、元のHDR画像を復元できるロスレス表現となっていること
【0027】
上記の2つの条件を実現するために、ビット深度変換装置100は、画像のヒストグラムの偏りと画像の疎性に注目する。画像は一般に、ヒストグラムの頻度に偏りをもっており、かつ、2N種類の輝度値の全てを使い切っているわけではない。図2は、12ビット深度の画像に対してヒストグラムを作成した例である。図2はヒストグラム全体の図である。図3は、図2の一部を拡大したものである。
【0028】
図2を見ると全輝度値を利用しているように見えるが、実際には図3のように使用していない輝度値が存在している。すなわち、画像の多くは一般に疎なヒストグラムを持つ。そこでビット深度変換装置100は、この画像の偏りや疎であるという性質を利用して、画像全体に対して再度マッピングを行う。この処理は、条件(B)の制約の下で、下位層を切り捨てた場合の誤差が小さくなるように(条件(A))実行される。
【0029】
なお、以下においては、説明の便宜上、ビット深度が9ビット以上の場合を高ビット深度として説明するが、本技術は、ビット深度の大きさによって限定されるものではない。
【0030】
図1に示されるように、ビット深度変換装置100は、ヒストグラム生成部101、初期テーブル生成部102、ヒストグラムソート部103、マッピング生成部104、およびインデックス画像生成部105を有する。
【0031】
[ビット深度変換処理の流れ]
図4のフローチャートを参照して、ビット深度変換処理の流れの例を説明することにより、ビット深度変換装置100の各部が実行する処理について説明する。また、必要に応じて、図5乃至図14を参照して説明する。
【0032】
まずNビット深度を持つ入力画像P(x,y)(図1の矢印121)が入力されると、ヒストグラム生成部101は、ステップS101において、その入力画像P(x,y)について、実際に出現した画素値のヒストグラムIh(n)を作成する(抽出する)。例えば、入力画像P(x,y)の2次元画像が図5のような値を持っている場合、ヒストグラムIh(n)は図6のように分布している。この例の場合、画素値0,2,8、および13の出現度数はゼロになる。
【0033】
一般的に、高ビット深度画像は、画素値の種類が少ない、すなわち、ヒストグラムの分布が疎であるものが多いという特徴を有する。したがって、高ビット深度画像においては、出現度数が0の画素値が多くなりやすい。
【0034】
ヒストグラム生成部101は、ステップS102において、ステップS101において生成したヒストグラムIh(n)に含まれる出現度数がゼロでない画素値(以下、非ゼロ係数とも称する)の個数u0(以下、非ゼロ個数とも称する。図6の例の場合、u0=12)を求める。また、ヒストグラム生成部101は、ステップS103において、その非ゼロ係数の位置(Ih(n)≠0であるnの位置)nk(以下、非ゼロ位置とも称する)を求める。
【0035】
ヒストグラムIh(n)、非ゼロ個数u0、および非ゼロ位置nkを求めると、ヒストグラム生成部101は、それらをセット(ヒストグラム情報)にして初期テーブル生成部102およびヒストグラムソート部103に供給する(図1の矢印122)。
【0036】
ステップS104において、初期テーブル生成部102は、ヒストグラム生成部101から供給されたヒストグラム情報を用いて、初期テーブルT(k)を生成する。初期テーブルT(k)の例を図7に示す。図7に示されるように、初期テーブルT(k)は、左端から順番にu0個の非ゼロ係数が並び、その後に残りのゼロ係数(出現度数がゼロの画素値)が並ぶ。ここでは便宜上、u0番目の位置nkの値を連続表示している。これは、この後の係数がゼロ係数であることを示すためにも都合が良いからである。尚、初期テーブルT(k)を定式化すると以下の式(1)のようになる。
【0037】
【数1】

・・・(1)
【0038】
初期テーブル生成部102は、このように生成した初期テーブルT(k)を、ヒストグラムソート部103に供給する(図1の矢印123)。また、初期テーブル生成部102は、生成した初期テーブルT(k)を、マッピング生成部104にも供給する(図1の矢印124)。
【0039】
ステップS105において、ヒストグラムソート部103は、ステップS101乃至ステップS104において生成された各種情報(ヒストグラムIh(n)、非ゼロ個数u0、非ゼロ位置nk、および初期テーブルT(k))を用いて、係数を並び替えた新たな(ソート後の)ヒストグラムH(k)を生成する。例えば、ヒストグラムソート部103は、以下の式(2)によってヒストグラムH(k)を生成する。
【0040】
【数2】

・・・(2)
なお、ここで、使用しないテーブル部分には、単調増加の関係を崩さないように最終値と同じものを入れておく。
【0041】
図8にヒストグラムH(k)の例を示す。このようなヒストグラムH(k)を生成すると、ヒストグラムソート部103は、そのヒストグラムH(k)をマッピング生成部104に供給する(図1の矢印125)。
【0042】
マッピング生成部104は、初期テーブルT(k)と、ヒストグラムH(k)とを入力して、初期テーブルT(k)を更新し、確定したテーブルT'(k)をインデックス画像生成部105に供給する(図1の矢印126)。つまり、マッピング生成部104は、図4のステップS106乃至ステップS110の各処理を行う。
【0043】
その際、マッピング生成部104は、下位層を切り捨てた場合の誤差が小さくなるようにマッピングを実行する。より具体的には、マッピング生成部104は、Nビットのインデックス画像IN(x,y)からL=N-Mビットの下位層を切り捨てた場合のインデックス画像IM(x,y)の誤差を最小とすることを目的とする。問題設定は以下の式(3)および式(4)のようになる。
【0044】
【数3】

・・・(3)
【数4】

・・・(4)
【0045】
上述した式(3)は、ヒストグラムH(k)を用いて再定式化することができる。まず、インデックス画像IN(x,y)のある画素において、下位Lビットを切り捨てる際に発生する誤差をq,(1≦q<2L)とする。IM(x,y)全体において、誤差値qが発生する頻度Hqは、ヒストグラムH(k)を用いて、以下の式(5)のように表現することができる。
【0046】
【数5】

・・・(5)
【0047】
したがって、上述した式(3)は、以下の式(6)の表に再定式化することができる。
【0048】
【数6】

・・・(6)
【0049】
すなわち、インデックス画像の最適化問題は、ヒストグラムH(k)とテーブルT(k)のマッピング問題に帰着する。
【0050】
上述した式(6)から、2Lpの位置(q=0)における頻度H(2Lp)は、MSEに影響を及ぼさないことが明らかである。従って、MSEの値を減少させるためには、頻度の順番に応じて、幾つかの画素値を2Lpの位置(p=0,1,…,2M-1)に移動させればよい。2Lpの位置は、合計2M個存在するため、ヒストグラムが疎である限り、この指針に基づいてマッピングが実行される。以下にその手順を示す。
【0051】
マッピング生成部104は、図4のステップS106において、誤差が目標値より小さいか否かを判定する。すなわち、マッピング生成部104は、以下の式(7)若しくは式(8)のうち、少なくともいずれか一方が成立するか否かを判定する。
【0052】
【数7】

・・・(7)
【数8】

・・・(8)
【0053】
式(7)は、2Lp以外の位置に画素値が存在しないという条件である。この条件を満たす場合、下位ビットの切り捨てによる誤差は発生しない。また式(8)は、ヒストグラムの2Lpの位置に空きがないことを意味する。後述するように、ヒストグラムとテーブルの移動を1回行う度にu0の値が2L個増えるため、最終的にこの条件を満足し、マッピングが終了する。
【0054】
このような判定が行われるステップS106において、誤差が目標値より小さくない、すなわち、式(7)および式(8)がいずれも成立しないと判定した場合、マッピング生成部104は、処理をステップS107に進める。
【0055】
ステップS107において、マッピング生成部104は、q2H(2Lp+q)の最大値を与えるpとqの組み合わせを検出し、これをpm,qmと定義する。
【0056】
ステップS108において、マッピング生成部104は、以下の式(9)に従ってヒストグラムH(k)の値の更新を行う。つまり、マッピング生成部104は、図9に示されるように、k=2Lpm+qm+1,…,u0-1のヒストグラムH(k)をk+2Lの位置に移動する。その後、2Lpm+qmのヒストグラムH(2Lpm+qm)を2L(pm+1)の位置に移動する。すなわち、H(k)は以下の式(9)のように更新される。
【0057】
【数9】

・・・(9)
【0058】
ステップS109において、マッピング生成部104は、ヒストグラムH(k)の場合と同様に、画素値のテーブルT(k)の値の更新を行う。ただし、図10に示されるように、マッピング生成部104は、T(k)の単調増加の性質を崩さないように、ヒストグラムが0に設定された部分に対応するテーブルとして、直前のテーブル値をホールドして保持する。この結果、テーブルT(k)は、以下の式(10)のように更新される。
【0059】
【数10】

・・・(10)
【0060】
ステップS110において、マッピング生成部104は、以下の式(11)のように、u0の値の更新を行う。
【0061】
【数11】

・・・(11)
【0062】
ステップS110の処理を終了すると、マッピング生成部104は、処理をステップS106に戻す。すなわち、マッピング生成部104は、誤差が目標値より小さくなるまでステップS106乃至ステップS110の処理を繰り返す。
【0063】
本開示のアルゴリズムは、上述した式(6)を完全に満たすものではない。例えば、ステップS108の処理において、ヒストグラムに0値を挿入したが、この零値の挿入には自由度が存在する。本開示のアルゴリズムでは、例えば図11のような零値の挿入が行われているが、これを図12に示されるように零値の位置を調整することで、式(6)におけるMSEをさらに低い値にすることができる。
【0064】
ステップS106において、誤差が目標値より小さくなったと判定した場合、すなわち、式(7)若しくは式(8)が成立する場合、マッピング生成部104は、確定したテーブルT'(k)をインデックス画像生成部105に供給し(図1の矢印126)、処理をステップS111に進める。
【0065】
ステップS111において、インデックス画像生成部105は、その確定したテーブルT'(k)を用いて、インデックス画像IN(x,y)を求める。このインデックス画像IN(x,y)を求める方法として幾つか考えられるが、例えば図13に示されるように、原画像P(x,y)の画素値から、テーブルT(k)(0≦k<2N)の値を逆引きする関数R(k)を、以下の式(12)のように定義する。
【0066】
【数12】

・・・(12)
【0067】
インデックス画像生成部105は、このような関数R(k)を用いて、インデックス画像IN(x,y)を以下の式(13)のように求める。
【0068】
【数13】

・・・(13)
【0069】
つまり、図13に示されるように、T(k)の値からそれに対応するR(k)の値が導き出され、その後に、図14に示されるように、生成されたR(k)を順番に画素に沿って並べられることにより、IN(x,y)が生成される。
【0070】
インデックス画像生成部105は、インデックス画像IN(x,y)を生成すると、そのインデックス画像IN(x,y)をビット深度変換装置100の外部に出力する(図1の矢印127)。
【0071】
その際、インデックス画像生成部105は、インデックス画像を上位ビット情報IM(x,y)と差分情報IL(x,y)に分離する。つまり、インデックス画像生成部105は、インデックス画像IN(x,y)のM+1ビット目を切り捨て、以下の式(14)のように、上位Mビット画像IM(x,y)を生成する。また、インデックス画像生成部105は、インデックスの下位N-Mビットを用いて、以下の式(15)のように、差分情報IL(x,y)を生成する。
【0072】
【数14】

・・・(14)
【数15】

・・・・(15)
【0073】
インデックス画像生成部105は、このようにインデックス画像を上位ビット情報IM(x,y)と差分情報IL(x,y)に分離した状態でも出力する。さらに、インデックス画像生成部105は、確定したテーブルT'(k)もビット深度変換装置100の外部に出力する。
【0074】
ステップS111の処理を終了すると、インデックス画像生成部105は、ビット深度変換処理を終了する。
【0075】
以上のようにすることにより、ビット深度変換装置100は、高ビット深度画像を損失なく表現することができる(ロスレス表現を可能にする)。
【0076】
<2.第2の実施の形態>
[ビット深度逆変換装置]
図15は、ビット深度逆変換装置の主な構成例を示すブロック図である。図15に示されるビット深度逆変換装置200は、図1のビット深度変換装置100に対応する画像処理装置である。ビット深度逆変換装置200は、ビット深度変換装置100により生成されたインデックス画像IN(x,y)を用いて所定のビット深度の復元画像を生成する。
【0077】
図15に示されるように、ビット深度逆変換装置200は、復元画像生成部201および上位層画像生成部202を有する。
【0078】
[ビット深度逆変換処理の流れ]
図16のフローチャートを参照して、ビット深度逆変換処理の流れの例を説明することにより、ビット深度逆変換装置200の各部が実行する処理について説明する。
【0079】
ビット深度逆変換装置200には、ビット深度変換装置100から出力される、確定したテーブルT'(k)およびインデックス画像IN(x,y)が供給される。復元画像生成部201および上位層画像生成部202は、その確定したテーブルT'(k)およびインデックス画像IN(x,y)(上位ビット情報IM(x,y)と差分情報IL(x,y)も含む)を取得する(図15の矢印221および矢印222)。
【0080】
確定したテーブルT'(k)およびインデックス画像IN(x,y)を取得すると、復元画像生成部201は、ステップS201において、それらを用いて、以下の式(16)のように、復元画像P(x,y)を求める。
【0081】
【数16】

・・・(16)
【0082】
復元画像生成部201は、求めた復元画像P(x,y)をビット深度逆変換装置200の外部に出力する(図15の矢印223)。
【0083】
ステップS202において、上位層画像生成部202は、確定したテーブルT'(k)および上位ビット情報IM(x,y)および差分情報IL(x,y)を用いて、上位層画像PM(x,y)と下位層画像PL(x,y)とを求める。上位層画像PM(x,y)は、インデックス画像IN(x,y)の各画素値の上位M(M<N)ビット(すなわち、上位ビット情報IM(x,y))から求めた復元画像である。下位層画像PL(x,y)は、インデックス画像IN(x,y)の各画素値の下位L(L=N−M)ビット(すなわち、差分情報IL(x,y))から求めた復元画像である。
【0084】
上位層画像生成部202は、上位ビット情報IM(x,y)を用いて、以下の式(17)のように、上位層画像PM(x,y)を求める。
【0085】
【数17】

・・・(17)
【0086】
この処理は、2N個存在するテーブル値の内、2M個のテーブル値を代表して使用することに相当する。
【0087】
上位層画像生成部202は、式(17)と同様にして、差分情報I(x,y)を用いて、下位層画像P(x,y)を求める。この処理は、2N個存在するテーブル値の内、2L個のテーブル値を代表して使用することに相当する。
【0088】
上位層画像生成部202は、求めた上位層画像PM(x,y)および下位層画像P(x,y)をビット深度逆変換装置200の外部に出力する(図15の矢印224および矢印225)。
【0089】
ステップS202の処理を終了すると、上位層画像生成部202は、ビット深度逆変換処理を終了する。
【0090】
このようにすることにより、ビット深度逆変換装置200は、インデックス画像IN(x,y)から復元画像P(x,y)(上位層画像PM(x,y)および下位層画像P(x,y)を含む)を求めることができる。
【0091】
マッピング指針から、頻度の高い画素値に対する差分画像IL(x,y)は0である。それらの画素値に対しては正しいテーブル値に復元される。しかしながら、Mの値が小さくなると差分情報IL(x,y)の値が0でない確率が上昇する。その結果、本来の画素値ではない値が復元される確率も増えることになり、その結果復元画像のPSNRが減少してしまう。この場合、テーブル値T(k)を直接使うのではなく、以下の式(18)のように同一インデックス値に対応するテーブル値の平均を復元画像の画素値として用いるようにしてもよい。このようにすることにより、PSNRの減少を抑制することができる。
【0092】
【数18】

・・・(18)
【0093】
また、元々のHDR画像が非常に疎であり、初期テーブルの使用数u0が、上位ビット画像で表現できる輝度の個数2Mよりも少ない場合、差分画像IL(x,y)はすべて0となる。その結果、上述した式(17)のPM(x,y)=P(x,y)となり、PSNRは無限大となる。
【0094】
[テーブル値T(k)の効率的表現]
なお、テーブル値T(k)は、それぞれNビットの情報を持つ。しかしながら、本技術では、上述した式(4)に示されるように、輝度の順序を入れ替えないようにしているため、このテーブルT(k)は単調増加の関係にある。そこで、以下の式(19)のように前のテーブル値との差分Td(k)を計算するようにしてもよい。
【0095】
【数19】

・・・(19)
【0096】
テーブルT(k)を直接記録せずに、このテーブル値の差分Td(k)を記録することで、テーブルに必要となるデータ量を削減することができる。
【0097】
<3.第3の実施の形態>
[ビット深度変換装置]
図17は、ビット深度変換装置の主な構成例を示すブロック図である。図17に示されるビット深度変換装置300は、高ビット深度画像を複数のブロックに分割し、ブロック毎にインデックス画像を生成する画像処理装置である。
【0098】
図17に示されるように、ビット深度変換装置300は、画像ブロック分割部301、並びに、ブロック1ビット深度変換部302−1、ブロック2ビット深度変換部302−2、・・・、ブロックXビット深度変換部302−Xを有する。
【0099】
画像ブロック分割部301は、入力される高ビット深度画像(矢印321)を複数のブロックに分割し、各ブロックの画像を、ブロック1ビット深度変換部302−1、ブロック2ビット深度変換部302−2、・・・、ブロックXビット深度変換部302−Xに供給する。
【0100】
つまり、例えば、画像ブロック分割部301は、ブロック1の画像P1(x,y)をブロック1ビット深度変換部302−1に供給する(図17の矢印322−1)。また、例えば、画像ブロック分割部301は、ブロック2の画像P2(x,y)をブロック2ビット深度変換部302−2に供給する(図17の矢印322−2)。さらに、例えば、画像ブロック分割部301は、ブロックXの画像PX(x,y)をブロックXビット深度変換部302−Xに供給する(図17の矢印322−X)。
【0101】
ブロック1ビット深度変換部302−1、ブロック2ビット深度変換部302−2、・・・、ブロックXビット深度変換部302−Xは、それぞれ、図1のビット深度変換装置100と同様の構成を有し、同様の処理を行う処理部である。ブロック1ビット深度変換部302−1、ブロック2ビット深度変換部302−2、・・・、ブロックXビット深度変換部302−Xは、自身が対応するブロックの画像に対して、互いに独立して、ビット深度変換装置100と同様の処理を行う。
【0102】
つまり、例えば、ブロック1ビット深度変換部302−1は、ブロック1の画像P1(x,y)に対してビット深度変換処理を行い、ブロック1のインデックス画像IN,1(x,y)とブロック1のテーブルT1(k)をビット深度変換装置300の外部に出力する(図17の矢印323−1)。また、例えば、ブロック2ビット深度変換部302−2は、ブロック2の画像P2(x,y)に対してビット深度変換処理を行い、ブロック2のインデックス画像IN,2(x,y)とブロック2のテーブルT2(k)をビット深度変換装置300の外部に出力する(図17の矢印323−2)。さらに、例えば、ブロックXビット深度変換部302−Xは、ブロックXの画像PX(x,y)に対してビット深度変換処理を行い、ブロックXのインデックス画像IN,X(x,y)とブロックXのテーブルTX(k)をビット深度変換装置300の外部に出力する(図17の矢印323−X)。
【0103】
[ビット深度変換処理の流れ]
図18のフローチャートを参照して、この場合の、ビット深度変換処理の流れの例を説明する。
【0104】
ステップS301において、画像ブロック分割部301は、入力画像p(x,y)を、X個のブロック画像P1(x,y)乃至PX(x,y)に分割する。ステップS302において、ブロック1ビット深度変換部302−1乃至ブロックXビット深度変換部302−Xの中の処理対象のブロックに対応する処理部は、処理対象ブロックについて、図4のフローチャートを参照して説明したのと同様のビット深度変換処理を行う。ステップS303において、全てのブロックが処理されたと判定されるまで、ステップS302の処理が繰り返される。
【0105】
つまり、まず、ブロック1ビット深度変換部302−1が、ブロック1についてのビット深度変換処理を行い、次に、ブロック2ビット深度変換部302−2が、ブロック2についてのビット深度変換処理を行い、ブロック3以降同様に処理が繰り返され、最後にブロックXビット深度変換部302−Xが、ブロックXについてのビット深度変換処理を行う。そして、ステップS303において、ブロック1乃至ブロックXの全てのブロックについてビット深度変換処理が行われたと判定された場合、ビット深度変換装置300は、ビット深度変換処理を終了する。
【0106】
このような処理によって、インデックス画像IN,1(x,y)乃至IN,X(x,y)、並びに、テーブルT1(K)乃至TX(K)が生成される。つまり、各ブロックについて、インデックス画像とテーブルが生成される。
【0107】
以上のようにすることにより、ビット深度変換装置300は、高ビット深度画像を損失なく表現することができる(ロスレス表現を可能にする)。
【0108】
<4.第4の実施の形態>
[ビット深度逆変換装置]
図19は、ビット深度逆変換装置の主な構成例を示すブロック図である。図19に示されるビット深度逆変換装置400は、図17のビット深度変換装置300に対応する画像処理装置である。ビット深度逆変換装置400は、ビット深度変換装置300により生成された各ブロックのインデックス画像を用いて復元画像を生成する。
【0109】
図19に示されるように、ビット深度逆変換装置400は、ブロック1ビット深度逆変換部401−1、ブロック2ビット深度逆変換部401−2、・・・、ブロックXビット深度逆変換部401−X、並びに、画像ブロック統合部402を有する。
【0110】
ブロック1ビット深度逆変換部401−1、ブロック2ビット深度逆変換部401−2、・・・、ブロックXビット深度逆変換部401−Xは、それぞれ、対応するブロックのインデックス画像とテーブルを取得する。
【0111】
つまり、例えば、ブロック1ビット深度逆変換部401−1は、ビット深度変換装置300により生成されたブロック1のインデックス画像IN,1(x,y)とテーブルT1(k)を取得する(図19の矢印421−1)。また、例えば、ブロック2ビット深度逆変換部401−2は、ビット深度変換装置300により生成されたブロック2のインデックス画像IN,2(x,y)とテーブルT2(k)を取得する(図19の矢印421−2)。さらに、例えば、ブロックXビット深度逆変換部401−Xは、ビット深度変換装置300により生成されたブロックXのインデックス画像IN,X(x,y)とテーブルTX(k)を取得する(図19の矢印421−X)。
【0112】
ブロック1ビット深度逆変換部401−1、ブロック2ビット深度逆変換部401−2、・・・、ブロックXビット深度逆変換部401−Xは、それぞれ、互いに独立して、取得したインデックス画像とテーブルを用いて、対応するブロックの復元画像を求める。
【0113】
つまり、例えば、ブロック1ビット深度逆変換部401−1は、インデックス画像IN,1(x,y)とテーブルT1(k)を用いて、ブロック1の復元画像P1(x,y)を生成する。また、例えば、ブロック2ビット深度逆変換部401−2は、インデックス画像IN,2(x,y)とテーブルT2(k)を用いて、ブロック2の復元画像P2(x,y)を生成する。さらに、例えば、ブロックXビット深度逆変換部401−Xは、インデックス画像IN,X(x,y)とテーブルTX(k)を用いて、ブロックXの復元画像PX(x,y)を生成する。
【0114】
ブロック1ビット深度逆変換部401−1、ブロック2ビット深度逆変換部401−2、・・・、ブロックXビット深度逆変換部401−Xは、それぞれ、求めた復元画像を画像ブロック統合部402に供給する。
【0115】
つまり、例えば、ブロック1ビット深度逆変換部401−1は、ブロック1の復元画像P1(x,y)を、画像ブロック統合部402に供給する(図19の矢印422−1)。また、例えば、ブロック2ビット深度逆変換部401−2は、ブロック2の復元画像P2(x,y)を、画像ブロック統合部402に供給する(図19の矢印422−2)。さらに、例えば、ブロックXビット深度逆変換部401−Xは、ブロックXの復元画像PX(x,y)を、画像ブロック統合部402に供給する(図19の矢印422−X)。
【0116】
画像ブロック統合部402は、供給された各ブロックの復元画像を統合し、1枚の復元画像P(x,y)を生成し、それをビット深度逆変換装置400の外部に出力する(図19の矢印423)。
【0117】
[ビット深度逆変換処理の流れ]
図20のフローチャートを参照して、この場合の、ビット深度逆変換処理の流れの例を説明する。
【0118】
ステップS401において、ブロック1ビット深度逆変換部401−1乃至ブロックXビット深度逆変換部401−Xの中の処理対象のブロックに対応する処理部は、処理対象ブロックについて、図16のフローチャートを参照して説明したのと同様のビット深度逆変換処理を行う。ステップS402において、全てのブロックが処理されたと判定されるまで、ステップS401の処理が繰り返される。
【0119】
つまり、まず、ブロック1ビット深度逆変換部401−1が、ブロック1についてのビット深度逆変換処理を行い、次に、ブロック2ビット深度逆変換部401−2が、ブロック2についてのビット深度逆変換処理を行い、ブロック3以降同様に処理が繰り返され、最後にブロックXビット深度逆変換部401−Xが、ブロックXについてのビット深度逆変換処理を行う。そして、ステップS402において、ブロック1乃至ブロックXの全てのブロックについてビット深度逆変換処理が行われたと判定された場合、ビット深度逆変換装置400は、処理をステップS403に進める。
【0120】
ステップS403において、画像ブロック統合部402は、ステップS401において生成された各ブロックの復元画像を統合し、1枚の復元画像を生成し、ビット深度逆変換処理を終了する。
【0121】
このようにすることにより、ビット深度逆変換装置400は、ブロック毎に生成されたインデックス画像IN,Block(x,y)から復元画像P(x,y)を求めることができる。なお、ビット深度逆変換装置400は、ビット深度逆変換装置200の場合と同様に、上位層画像PM(x,y)および下位層画像P(x,y)を生成することもできる。
【0122】
その場合、ブロック1ビット深度逆変換部401−1乃至ブロックXビット深度逆変換部401−Xが、それぞれのブロックについて、上位層画像PM,Block(x,y)および下位層画像PL,Block(x,y)を求め、画像ブロック統合部402が、復元画像P(x,y)の場合と同様に、各ブロックの上位層画像PM,Block(x,y)および下位層画像PL,Block(x,y)を、それぞれ統合し、画像全体の上位層画像PM(x,y)および下位層画像P(x,y)を生成する。
【0123】
以上に説明した第3の実施の形態および第4の実施の形態が、画像を複数ブロックに分割する場合の画像処理の説明である。言うまでもなく、画像を複数ブロックに分割した方が、図6で示したヒストグラムの偏りは大きくなるので、より少ないビット数で画素の値域を表現することができる。従って、第3の実施の形態および第4の実施の形態による量子化に伴うビット削減に起因する画質劣化は、より低減される。
【0124】
ただし、この場合、Xブロック分のテーブルT1(K)乃至TX(K)を送信する必要が生じるので、1個のテーブルT(k)を伝送すればよい第1の実施の形態や第2の実施の形態の方法の方が、その分符号量の増大を抑制することができる。
【0125】
<5.第5の実施の形態>
[実験例]
本実施の形態においては、上述した各実施の形態におけるビット深度変換と逆変換の方法について、図21Aおよび図21Bに示される2つのテスト画像(ビット深度N=12)に対する実験結果の例を説明する。ヒストグラム抽出の結果、図21Aに示される医療画像は、非ゼロの画素数u0=1853であり、図21Bに示される写真画像は、非ゼロの画素数u0=2981であった。従って、図21Aに示される医療画像は、211(=2048) > 1853なので、M=11ビットで完全な可逆な表現が可能であることがわかる。そのため、本開示の手法を用いれば、上位Mビットの上位層インデックス画像IM(x,y)のみで、完全に原画像を復元することができる(PSNR=∞)。これに対してLloyd-Max法の場合、この条件下でも差分情報が無ければ、原画の復元は不可能である。
【0126】
次に、図21Aに示される医療画像の実験結果を図22の表に示す。図22の表において、縦軸は各処理の種類、横軸は上位層のビット数Mを示している。次にMethod-AとMethod-Bについて説明する。
【0127】
実験ではまず、Mビットの上位ビット画像IM(x,y)とテーブルT'(k)のみを用いて、Nビット画像を復元する。言うまでもなく、下位層の情報が無いので、復元画像は原画像に比べて劣化する。ここでは、Mの値を8から11まで変化させながら画像劣化の度合いを評価する。
【0128】
Method-A:上述した式(17)によって実現される方式で、テーブルT'(K)を直接使用する。
Method-B:上述した式(18)に示される様にテーブル値の平均値を使用する。
【0129】
また、第3の実施の形態および第4の実施の形態の、画像を複数のブロックに分割してから上位層と下位層とに分割する手法が、図22の表のMethod-A(ブロック分割)、Method-B(ブロック分割)である。
【0130】
この場合のMethod-Aは、Mの値の減少に伴い、Lloyd-Max法や四捨五入よりも低いPSNRになっている。これは本来の画素値とテーブルとの誤差が大きくなるためである。テーブルの平均を用いたこの場合のMethod-Bにおいては、この問題が改善されている。
【0131】
図22の表においては、従来最も優れているとされていたLloyd-Max法に比べて、Method-B(ブロック分割)の方が、M=8以外のすべての値で、PSNRが向上している。特にM=10以上でLloyd-Max法に比べた優位性が大きくなっているのが確認できる。また、既に述べた様に、本手法では11ビットで完全に可逆が実現できる。
【0132】
次に図21Bの写真画像の結果について図23に示す。Lloyd-Max法に比べて、Method-B(ブロック分割)の方が、M=10以上の値で、PSNRが向上している。またM=8では逆にLloyd-Max法よりもかなり悪い値になっている。これより、NとMの差がある程度大きくなると、本来の画素値とテーブルとの誤差が大きくなる傾向が強くなる。
【0133】
従って、例えば、ビット深度変換装置として、Lloyd-Max法で量子化(ビット深度変換)を行うLloyd-Max量子化部と、図17のビット深度変換装置300と同様の構成を有し、同様の処理(Method-B(ブロック分割)による量子化処理)を行う本手法量子化部と、量子化(ビット深度変換)方法を選択する制御部を設け、その制御部が、ヒストグラム測定の結果、出現度数が1上の画素数Xが、X>2M-1且つ(N-M)≧P(Pは例えば2)の場合、Lloyd-Max法を選択し、Lloyd-Max量子化部を制御してLloyd-Max法によるビット深度変換処理(量子化処理)を実行させ、それ以外の場合、Method-B(ブロック分割)を選択し、本手法量子化部を制御してMethod-B(ブロック分割)によるビット深度変換処理(量子化処理)を実行させるようにしてもよい。これによって常に最適なビット表現が可能になる。なお、逆変換処理は、選択された各手法に応じた手法で行うようにすればよい。また、Lloyd-Max法との切り替えを行う手法は、Method-B(ブロック分割)以外の本手法であってももちろんよい。
【0134】
[式(4)の制約]
次に上述した式(4)におけるテーブル値に対する制約条件の必要性について検証する。仮に、Mビットの上位画像IM(x,y)を作成するにあたり、上述した式(4)を無視し、式(3)のMSEを最小化するという条件のみでインデックス画像IN(x,y)を作成するとする。
【0135】
図24は、インデックス画像IN(x,y)に対する上位ビット画像IM(x,y)のPSNRと、原画像P(x,y)に対する復元画像PM(x,y)のPSNRを示したものである。図24の表から明らかなように、このようにMSEのみを最小化する場合、上位ビット画像とPSNR値は高いものの、復元画像は非常に低いPSNRになる。したがって、式(4)による制約条件を適用することが望ましい。
【0136】
また、テーブルのデータ量について検証する。本技術では、上述した式(4)を適用することにより、テーブルT(k)の代わりに、式(19)のテーブル値の差分Td(k)を保存することができる(0≦k<2N)。
【0137】
図25および図26は、このTd(k)をバイナリで書き出し、bzip2アルゴリズムを用いてデータ圧縮した結果を示す。本技術はMが変化してもテーブルのサイズは変わらないため、T(k)のデータサイズは16ビット(実質12ビット)×2Nとなり、全体で8192バイトとなる。
【0138】
これに対して、図25および図26に示されるように、Lloyd-maxのテーブルについても前のテーブル値との差分を計算し、同様の処理を行った。こちらのデータサイズは上位画像のビット数Mに依存する。また、Lloyd-maxのテーブルのデータ量には下位層を表現するためのデータ量は含まれていない。
【0139】
なお、図25および図26には、本技術のテーブル値T(k)を直接圧縮した場合のサイズも開示されている。
【0140】
図25および図26から、T(k)を直接保存せず、Td(k)を保存することの有効性を確認することができる。本技術では、2N個の全てのテーブル値を保持しているにもかかわらず、2MのLloyd-maxとほぼ同程度のデータ量となっている。
【0141】
<6.第6の実施の形態>
[画像処理装置]
図27は、第1の実施の形態乃至第4の実施の形態で説明した各装置を処理部として用いた画像処理装置を具体的に実現するブロック図である。これらの構成要素は、例えばカメラシステムに内蔵されている。
【0142】
図27に示される画像処理装置500は、ビット深度変換処理部501、記憶部502、およびビット深度逆変換処理部503を有する。
【0143】
カメラに内蔵された撮像素子(例えばCCD、CMOSセンサ)でキャプチャした映像(Nビット)は、ビット深度変換処理部501に供給される(図27の矢印521)。ビット深度変換処理部501は、その撮像素子画像を、第1の実施の形態または第3の実施の形態で説明した方法でMビット(N>M)の上位層とそれ以外の下位層とに分割する。
【0144】
Mビット画像(インデックス画像IM(x,y))は、記憶部502に供給され(図27の矢印522)、記憶(保存)される。通常のデジタルカメラでは、内蔵メモリである記憶部502から画像データを読みだしてJPEG圧縮を行い、圧縮ファイルをカメラ外付けのメモリカード等に記録する方法が一般的である。ここでは本技術の本題から逸れるので、省いてある。
【0145】
記憶部502から読み出されたMビットの画像データは、ビット深度逆変換処理部503に供給される(図27の矢印523)。ビット深度逆変換処理部503は、その画像データをNビットに再度変換する。変換後の復元画像(Nビット)は、例えばNビット表示可能な表示部504に供給され(図27の矢印524)る。表示部504は、供給された復元画像を表示する。
【0146】
このように、インデックス画像のビット深度のビット数を低減させることにより、必要なメモリ容量を低減させることができる。これにより、製造コストや消費電力の増大を抑制することができる。
【0147】
以上に説明した各装置は、それぞれ、上述した以外の構成を含むようにしてももちろんよい。また、1つの装置としてだけでなく、複数の装置よりなるシステムとして構成されるようにしてもよい。例えば、撮像素子(CMOS、CCDセンサ)からキャプチャした画像を用いた機器やデバイス、撮像素子画像をメモリに書き込むまでの圧縮回路、デジタルスチルカメラ、動画用カムコーダ、医療用画像カメラ、医療用内視鏡、監視カメラ、デジタルシネマ撮影用カメラ、両眼画像カメラ、多眼画像カメラ、LSIチップでのメモリ削減回路、PC上のオーサリング・ツールまたはそのソフトウェア・モジュール等として構成されるようにしてもよい。
【0148】
<7.第7の実施の形態>
[パーソナルコンピュータ]
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。この場合、例えば、図28に示されるようなパーソナルコンピュータとして構成されるようにしてもよい。
【0149】
図28において、パーソナルコンピュータ600のCPU(Central Processing Unit)601は、ROM(Read Only Memory)602に記憶されているプログラム、または記憶部613からRAM(Random Access Memory)603にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM603にはまた、CPU601が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0150】
CPU601、ROM602、およびRAM603は、バス604を介して相互に接続されている。このバス604にはまた、入出力インタフェース610も接続されている。
【0151】
入出力インタフェース610には、キーボード、マウスなどよりなる入力部611、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイやLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部612、フラッシュメモリ等SSD(Solid State Drive)やハードディスクなどよりなる記憶部613、有線LAN(Local Area Network)や無線LANのインタフェースやモデムなどよりなる通信部614が接続されている。通信部614は、インターネットを含むネットワークを介しての通信処理を行う。
【0152】
入出力インタフェース610にはまた、必要に応じてドライブ615が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア621が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部613にインストールされる。
【0153】
上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0154】
この記録媒体は、例えば、図28に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、若しくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア621により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM602や、記憶部613に含まれるハードディスクなどにより構成される。
【0155】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0156】
また、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0157】
また、本明細書において、システムとは、複数のデバイス(装置)により構成される装置全体を表すものである。
【0158】
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成が、複数の装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成が、まとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成が付加されるようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部が他の装置(または他の処理部)の構成に含まれるようにしてもよい。つまり、本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0159】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) Nビット深度の画像を、Mビット深度の上位層と、それ以外の下位層とに変換する画像処理装置であって、
Nビット深度の画像の各画素値の出現度数を示すヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、
前記ヒストグラム生成部により生成された前記ヒストグラムの出現度数が1以上の画素を順番に並べたテーブルを生成するテーブル生成部と、
前記テーブル生成部により生成されたテーブルを用いて、前記ヒストグラム内の値の配置を並び替える並び替え部と、
前記テーブル生成部により生成されたテーブルと、前記並び替え部により並び替えられたヒストグラムを更新する更新部と、
前記更新部により更新されたテーブルおよびヒストグラムを用いて、Nビット深度のインデックス画像を生成するインデックス画像生成部と
を備える画像処理装置。
(2) 前記更新部は、(N-M)ビットの下位層の画像を切り捨てた場合の誤差が最小になるように、前記テーブルおよび前記ヒストグラム内の値の配置を並び替えることにより、前記テーブルおよび前記ヒストグラムを更新する
前記(1)に記載の画像処理装置。
(3) 前記Nビット深度の画像を複数のブロックに分割する分割部をさらに備え、
前記ヒストグラム生成部は、前記分割部により分割されたブロック毎に独立して前記ヒストグラムを生成し、
前記テーブル生成部は、前記ヒストグラム生成部により生成されたブロック毎のヒストグラムを用いて、前記ブロック毎に独立して前記テーブルを生成し、
前記並び替え部は、前記テーブル生成部により生成されたブロック毎のテーブルを用いて、前記ブロック毎のヒストグラムをそれぞれ並び替え、
前記更新部は、前記ブロック毎のテーブルと、前記並び替え部により並び替えられた前記ブロック毎のヒストグラムを更新し、
前記インデックス画像生成部は、前記更新部により更新された前記ブロック毎のテーブルおよび前記ブロック毎のヒストグラムを用いて、前記ブロック毎に独立して前記インデックス画像を生成する
前記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(4) ビット深度変換の手法を選択する制御部と、
Lloyd-Max法による量子化を行うLloyd-Max量子化部と
をさらに備え、
前記制御部は、
前記ヒストグラム生成部により生成された前記ヒストグラムから出現度数が1以上の画素数X を検出して、X >(2M−1)であり、且つ(N-M)≧ P以上の場合、前記Lloyd-Max量子化部を制御し、Lloyd-max法によるビット深度変換を実行させ、
それ以外の場合、前記テーブル制御部、前記並び替え部、前記更新部、および前記インデックス画像生成部を制御し、前記インデックス画像を生成させる
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の画像処理装置。
(5) 変数Pの値は2である
前記(4)に記載の画像処理装置。
(6) Nビット深度の画像を、Mビット深度の上位層と、それ以外の下位層とに変換する画像処理装置の画像処理方法であって、
ヒストグラム生成部は、Nビット深度の画像の各画素値の出現度数を示すヒストグラムを生成し、
テーブル生成部は、生成された前記ヒストグラムの出現度数が1以上の画素を順番に並べたテーブルを生成し、
並び替え部は、生成されたテーブルを用いて、前記ヒストグラム内の値の配置を並び替え、
更新部は、生成されたテーブルと、並び替えられたヒストグラムを更新し、
インデックス画像生成部は、更新されたテーブルおよびヒストグラムを用いて、Nビット深度のインデックス画像を生成する
画像処理方法。
(7) Nビット深度の画像の各画素値の出現度数を示すヒストグラムを生成し、生成された前記ヒストグラムの出現度数が1以上の画素を順番に並べたテーブルを生成し、生成されたテーブルを用いて、前記ヒストグラム内の値の配置を並び替え、生成されたテーブルと、並び替えられたヒストグラムを更新し、更新されたテーブルおよびヒストグラムを用いて生成した、Nビット深度のインデックス画像と、前記更新されたテーブルとを用いて、前記Nビット深度の画像を復元する復元画像生成部と、
前記Nビット深度のインデックス画像を、上位層のMビット深度のインデックス画像と、下位層の(N-M)ビットのインデックス画像に分割し、前記Mビット深度のインデックス画像と、前記更新されたテーブルとを用いて、前記Nビット深度の画像を復元する上位層画像生成部と
を備える画像処理装置。
(8) 前記復元画像生成部は、ブロック毎の前記Nビット深度のインデックス画像と、前記ブロック毎の更新されたテーブルとを用いて、Nビット深度のブロック画像を復元する
前記(7)に記載の画像処理装置。
(9) 前記上位層画像生成部は、前記ブロック毎のMビット深度のインデックス画像と、前記ブロック毎の更新されたテーブルとを用いて、Nビット深度のブロック画像を復元する
前記(7)または(8)に記載の画像処理装置。
(10) 前記上位層画像生成部は、前記ヒストグラムから出現度数が1以上の画素数Xを検出して、X ≦(2M−1)ならば、前記Nビット深度のインデックス画像を、上位層のMビット深度のインデックス画像と、下位層の(N-M)ビットのインデックス画像に分割する
前記(7)乃至(9)のいずれかに記載の画像処理装置。
(11) 画像処理装置の画像処理方法であって、
復元画像生成部は、Nビット深度の画像の各画素値の出現度数を示すヒストグラムを生成し、生成された前記ヒストグラムの出現度数が1以上の画素を順番に並べたテーブルを生成し、生成されたテーブルを用いて、前記ヒストグラム内の値の配置を並び替え、生成されたテーブルと、並び替えられたヒストグラムを更新し、更新されたテーブルおよびヒストグラムを用いて生成した、Nビット深度のインデックス画像と、前記更新されたテーブルとを用いて、前記Nビット深度の画像を復元し、
上位層画像生成部は、前記Nビット深度のインデックス画像を、上位層のMビット深度のインデックス画像と、下位層の(N-M)ビットのインデックス画像に分割し、前記Mビット深度のインデックス画像と、前記更新されたテーブルとを用いて、前記Nビット深度の画像を復元する
画像処理方法。
【符号の説明】
【0160】
100 ビット深度変換装置, 101 ヒストグラム生成部, 102 初期テーブル生成部, 103 ヒストグラムソート部, 104 マッピング生成部, 105 インデックス画像生成部, 200 ビット深度逆変換装置, 201 復元画像生成部, 202 上位層画像生成部, 300 ビット深度変換装置, 301 画像ブロック分割部, 400 ビット深度逆変換装置, 402 画像ブロック統合部, 500 画像処理装置, 501 ビット深度変換処理部, 502 記憶部, 503 ビット深度逆変換処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nビット深度の画像を、Mビット深度の上位層と、それ以外の下位層とに変換する画像処理装置であって、
Nビット深度の画像の各画素値の出現度数を示すヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、
前記ヒストグラム生成部により生成された前記ヒストグラムの出現度数が1以上の画素を順番に並べたテーブルを生成するテーブル生成部と、
前記テーブル生成部により生成されたテーブルを用いて、前記ヒストグラム内の値の配置を並び替える並び替え部と、
前記テーブル生成部により生成されたテーブルと、前記並び替え部により並び替えられたヒストグラムを更新する更新部と、
前記更新部により更新されたテーブルおよびヒストグラムを用いて、Nビット深度のインデックス画像を生成するインデックス画像生成部と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記更新部は、(N-M)ビットの下位層の画像を切り捨てた場合の誤差が最小になるように、前記テーブルおよび前記ヒストグラム内の値の配置を並び替えることにより、前記テーブルおよび前記ヒストグラムを更新する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記Nビット深度の画像を複数のブロックに分割する分割部をさらに備え、
前記ヒストグラム生成部は、前記分割部により分割されたブロック毎に独立して前記ヒストグラムを生成し、
前記テーブル生成部は、前記ヒストグラム生成部により生成されたブロック毎のヒストグラムを用いて、前記ブロック毎に独立して前記テーブルを生成し、
前記並び替え部は、前記テーブル生成部により生成されたブロック毎のテーブルを用いて、前記ブロック毎のヒストグラムをそれぞれ並び替え、
前記更新部は、前記ブロック毎のテーブルと、前記並び替え部により並び替えられた前記ブロック毎のヒストグラムを更新し、
前記インデックス画像生成部は、前記更新部により更新された前記ブロック毎のテーブルおよび前記ブロック毎のヒストグラムを用いて、前記ブロック毎に独立して前記インデックス画像を生成する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
ビット深度変換の手法を選択する制御部と、
Lloyd-Max法による量子化を行うLloyd-Max量子化部と
をさらに備え、
前記制御部は、
前記ヒストグラム生成部により生成された前記ヒストグラムから出現度数が1以上の画素数X を検出して、X >(2M−1)であり、且つ(N-M)≧ P以上の場合、前記Lloyd-Max量子化部を制御し、Lloyd-max法によるビット深度変換を実行させ、
それ以外の場合、前記テーブル制御部、前記並び替え部、前記更新部、および前記インデックス画像生成部を制御し、前記インデックス画像を生成させる
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
変数Pの値は2である
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
Nビット深度の画像を、Mビット深度の上位層と、それ以外の下位層とに変換する画像処理装置の画像処理方法であって、
ヒストグラム生成部は、Nビット深度の画像の各画素値の出現度数を示すヒストグラムを生成し、
テーブル生成部は、生成された前記ヒストグラムの出現度数が1以上の画素を順番に並べたテーブルを生成し、
並び替え部は、生成されたテーブルを用いて、前記ヒストグラム内の値の配置を並び替え、
更新部は、生成されたテーブルと、並び替えられたヒストグラムを更新し、
インデックス画像生成部は、更新されたテーブルおよびヒストグラムを用いて、Nビット深度のインデックス画像を生成する
画像処理方法。
【請求項7】
Nビット深度の画像の各画素値の出現度数を示すヒストグラムを生成し、生成された前記ヒストグラムの出現度数が1以上の画素を順番に並べたテーブルを生成し、生成されたテーブルを用いて、前記ヒストグラム内の値の配置を並び替え、生成されたテーブルと、並び替えられたヒストグラムを更新し、更新されたテーブルおよびヒストグラムを用いて生成した、Nビット深度のインデックス画像と、前記更新されたテーブルとを用いて、前記Nビット深度の画像を復元する復元画像生成部と、
前記Nビット深度のインデックス画像を、上位層のMビット深度のインデックス画像と、下位層の(N-M)ビットのインデックス画像に分割し、前記Mビット深度のインデックス画像と、前記更新されたテーブルとを用いて、前記Nビット深度の画像を復元する上位層画像生成部と
を備える画像処理装置。
【請求項8】
前記復元画像生成部は、ブロック毎の前記Nビット深度のインデックス画像と、前記ブロック毎の更新されたテーブルとを用いて、Nビット深度のブロック画像を復元する
請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記上位層画像生成部は、前記ブロック毎のMビット深度のインデックス画像と、前記ブロック毎の更新されたテーブルとを用いて、Nビット深度のブロック画像を復元する
請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記上位層画像生成部は、前記ヒストグラムから出現度数が1以上の画素数Xを検出して、X ≦(2M−1)ならば、前記Nビット深度のインデックス画像を、上位層のMビット深度のインデックス画像と、下位層の(N-M)ビットのインデックス画像に分割する
請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項11】
画像処理装置の画像処理方法であって、
復元画像生成部は、Nビット深度の画像の各画素値の出現度数を示すヒストグラムを生成し、生成された前記ヒストグラムの出現度数が1以上の画素を順番に並べたテーブルを生成し、生成されたテーブルを用いて、前記ヒストグラム内の値の配置を並び替え、生成されたテーブルと、並び替えられたヒストグラムを更新し、更新されたテーブルおよびヒストグラムを用いて生成した、Nビット深度のインデックス画像と、前記更新されたテーブルとを用いて、前記Nビット深度の画像を復元し、
上位層画像生成部は、前記Nビット深度のインデックス画像を、上位層のMビット深度のインデックス画像と、下位層の(N-M)ビットのインデックス画像に分割し、前記Mビット深度のインデックス画像と、前記更新されたテーブルとを用いて、前記Nビット深度の画像を復元する
画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−213134(P2012−213134A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−272459(P2011−272459)
【出願日】平成23年12月13日(2011.12.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(305027401)公立大学法人首都大学東京 (385)
【Fターム(参考)】