画像処理装置および画像処理方法
【課題】 フルカラー画像に対応し、ソフトウエアによる実現においても、高速にパターンマチング処理可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】 入力された整数倍率に対応するドット配置ファイル112を選択し、原画からM×N画素ブロックを切り出してパターンを生成する。パターン検索部130では生成したパターンと一致するパターンをパターンファイル111中から検索する。入力された整数倍率により対応するドット配置ファイル112が1つ選択される。パターンが一致したとき、この結果と整数倍率から1つのドット配置ファイル112が決まる。ドット配置ファイル112には画素参照情報が格納されているため、ドット配置情報が決まると同時に1つの画素参照情報が決まる。パターンが一致したとき埋め込み部141でドット配置情報、画素参照情報を選択し、拡大画素を生成して画素を埋め、非一致のときには単純埋め込み部142で画素ブロックの注目画素を用いて整数倍率分の画素を埋める。
【解決手段】 入力された整数倍率に対応するドット配置ファイル112を選択し、原画からM×N画素ブロックを切り出してパターンを生成する。パターン検索部130では生成したパターンと一致するパターンをパターンファイル111中から検索する。入力された整数倍率により対応するドット配置ファイル112が1つ選択される。パターンが一致したとき、この結果と整数倍率から1つのドット配置ファイル112が決まる。ドット配置ファイル112には画素参照情報が格納されているため、ドット配置情報が決まると同時に1つの画素参照情報が決まる。パターンが一致したとき埋め込み部141でドット配置情報、画素参照情報を選択し、拡大画素を生成して画素を埋め、非一致のときには単純埋め込み部142で画素ブロックの注目画素を用いて整数倍率分の画素を埋める。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、プリンタ、複写機あるいはファクシミリなどの画像形成装置や情報処理装置の表示画像の画像処理や、デジタルカメラ画像、インターネットホームページなどモニタ解像度レベルの画像を高解像度化してプリントアウトしたり表示したりする場合の画像処理に好適で、比較的低階調の連続調のカラー画像データを比較的高階調の画像に拡大する処理に適用される画像処理装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の従来例としては、例えばA.特開平5−094521号公報B.特開平6−189116号公報C.特開平7−050752号公報D.特開平7−093563号公報E.特開平7−105359号公報F.特開平7−221976号公報G.特開平7−221977号公報H.特開平7−262351号公報I.特開平7−288693号公報J.特開平10−126609号公報などの各公報に開示された発明が知られている。
【0003】このうち、パターンマッチングによる密度変換に関するものとして、特開平7−221976号公報(F)には、2値画像データをテンプレートとマッチングをとり、マッチングしたパターンに対応するスムージング拡大パターンにより着目画素を2値拡大ドット群にスムージング拡大し、それを拡大率に応じて1つ以上の画素に分割し、その画像毎に平滑化処理して多値化し、その際使用するテンプレートパターンを複数の平滑化パターン群に分け、パターン群に分けその群に応じてマッチングする優先順位を設定するようにしたことが開示されている。また、特開平7−221977号公報(G)には、2値画像データをFAXで受信したとき、その受信データに応じて変倍率を算出する手段と、前記2値画像データに対して着目画素を中心とする所定領域毎にテンプレートマッチング処理を施す手段と、テンプレートマッチング処理の結果、マッチングしたテンプレートパターンに応じて前記着目画素を複数の多値のスムージング拡大画素に変換する演算手段と、演算手段で使用する多値のスムージング拡大画素のデータを算出された変倍率に応じて予め内部のRAMに転送する手段とを設け、FAXで受信した2値画像データのスムージング拡大処理を確実に行えるようにしたことが開示されている。
【0004】また、特開平7−50752号公報(C)には、ブロックの各画素のデータに基づいて、ブロック内のエッジを検出し、パターンを満足した場合、密度変換を行うように構成したものが開示され、特開平7−288693号公報(I)には、パターンマッチングの高速化を図るために、目標画素に隣接するx*y画素のブロックを、埋めこむパターンの検索用として用いるようにした技術が開示されている。しかし、前記(C)の従来技術では、プリンタドライバなど、ソフトウエアにおける実現の際のパターン検索の高速化に関しては開示されていない。
【0005】また、特開平10−126609号公報(J)には、像域分離手段を持ち、分離結果で処理を切り替えて拡大し、所定の解像度のファクシミリ2値画像をスムージング拡大処理する方法が開示されている。また、特開平7−262351号公報(H)における「従来の技術」の欄には、特願平6−4424号を挙げて輝度信号のエッジの微小成分をパターンマッチングすることにより全ての特徴点を見つけ出し、個々の特徴点を結ぶベクトルを抽出してこのベクトルを拡大率に応じて補正し、補正後のベクトルにしたがって輪郭を描画して塗りつぶす方法についての記載がある。
【0006】また、特開平5−94521号公報(A)には、入力画像または部分に適した変倍方法を判別し、拡大する技術、言い換えれば画像に応じて適切な拡大処理を行う技術が開示され、特開平6−189116号公報(B)には、加算結果の小数部と拡大率とを加算する手段を持ち、加算結果の整数部に応じた拡大を行い、主走査方向及び副走査方向とも任意倍率で拡大する技術が開示されている。
【0007】また、特開平7−093563号公報(D)には、入力画像データを輝度・色差データに変換し、輝度データでエッジを生成し、この情報を基に色差データのエッジを生成して拡大する技術、言い換えれば、入力画像と別の色空間のデータに変換後、拡大する技術が開示されている。この従来技術では、輝度エッジビットマップを作成し、これに基づいて色差成分の最大値、最小値を配置し、輝度・色差のエッジを生成するようになっているが、この技術では、ブロック内のエッジと色の組み合わせによっては、色ずれが生じる場合がある。
【0008】さらに、特開平7−105359号公報(E)には、線形補間とその補間結果を2値化したものを加算合成して拡大する技術が開示されているが、拡大後のデータを2値化し、2値化前のデータと加算合成する工程を備えているので、処理の高速化については、改善の余地がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記(F)及び(G)の従来技術は、2値画像を変倍する技術に関するもので、フルカラー画像を対象とする場合の処理については特に開示されてはいない。
【0010】また、前記(I)の従来技術では、拡大用の全パターンを保持するので、ジャギー低減効果を得るために、パターンサイズを大きくする場合の検索方法に課題が残ってしまう。
【0011】さらに、前記(F)及び(J)の従来技術では、値が「0」、「255」のような白地上の黒文字、線画の2値画像の拡大時のジャギーを低減するのみであるので、写真画像のような中間調画像をスムージング拡大処理することができない。このため、デジタルスチルビデオカメラの画像やインターネットのホームページに見られる72dpi程度の低解像度の画像を600程度の高解像度のプリンタにより出力する場合に、ジャギーやボケを低減することができない。また、写真と比べてエッジが目立つビットマップ状のグラフィック画像に対しても同様である。また、前記(J)の従来技術は、あくまで2値画像に関する技術であり、RGBなどのカラー要素からなる画像の変倍については何ら配慮されておらず、また、開示もない。
【0012】また、前記(H)の従来技術では、ベクトル演算によりスムージング拡大処理するので、計算負荷が高くなってしまう。
【0013】また、前記(A)の従来技術では、前述のように画質に応じた拡大処理を行う技術が開示されているが、ジャギー低減効果のある低解像度を拡大する技術については開示がない。なお、ここでいうジャギー(jaggy)とは、デジタル画像において、斜めの線を表現したときに生じる階段状のギザギザのことである。ジャギーは画像の解像度が低いと発生しやすく、デジタル画像がピクセルを単位としている限り、本質的にジャギーは不可避である。このジャギーを目立たなくする方法として、例えばアンチエイリアシング(anti-aliasing)という手法が知られている。この手法には、解像度を上げることによって実質的にジャギーを見えにくくする方法と、ジャギーの発生しているピクセルの周囲をぼかすことによってジャギーを目立たなくさせる方法とがある。
【0014】また、前記(B)の従来技術は、2段階に分けて変倍を行う技術であるが、単純拡大を基本とする技術であり、ジャギー低減やエッジ部の色ずれなどは配慮されていない。
【0015】本発明は、このような背景に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、フルカラー画像に対応し、ソフトウエアによる実現においても、高速にパターンマチング処理可能な画像処理装置を提供することにある。
【0016】また、第2の目的はフルカラー画像における任意の整数倍率に対応可能な画像処理装置を提供することにある。
【0017】また、第3の目的は、2値画像と中間調画像の両方のスムージング拡大処理を計算負荷が高くなることなく行うことができるカラー画像処理装置及び方法を提供することにある。
【0018】また、第4の目的は、誤分離の影響が少なく高速で処理でき、しかも高画質な拡大画像を得ることができる画像処理方法及び装置を提供することにある。
【0019】また、第5の目的は、ジャギー低減と共に任意倍率で拡大、かつ、RGB多値データを扱うことができ、エッジ部に色ずれが生じることのない画像処理装置を提供し、さらには、前記画像処理を高速で実行できる画像処理装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成するため、第1の手段は、パターンマッチング結果に基づいて画像を拡大する処理を行う画像処理装置において、補正対象のパターン毎、かつ、倍率毎に拡大画素のドット配置情報を保持する手段と、パターンマッチング結果及び倍率から1つのドット配置情報を抽出する手段とを備えた構成とした。
【0021】この場合、前記ドット配置情報を抽出する手段は、ある倍率における拡大画素のドット配置情報を有し、このドット配置情報に基づいて、他の倍率の拡大画素ドット配置情報を作成するようにした。なお、この第1の手段の構成は、後述の第1の実施形態の図1に示した構成に対応し、同図では、前記拡大画素のドット配置情報を保持する手段、及び、パターンマッチング結果及び倍率から1つのドット配置情報を抽出する手段にはドット配置ファイル112が対応する。
【0022】さらに、原画である第1色空間データから画素ブロックを切り出し、異なる第2色の空間データへ変換し、第2色空間データを用いてパターンマッチングを行う手段と、パターン毎に、パターン内のどの画素情報で拡大した画素を埋めるかの情報を有し、この情報と一致する第1色空間の画素データを用いて拡大画素を埋める手段とを備えるようにした。後述の実施形態では、パターンマッチングを行う手段にはパターン生成部120及びパターン検索部130が対応し、拡大画素を埋める手段には埋め込み処理部140が対応する。
【0023】その際、第2色空間データが輝度(明度)、色相、彩度の3要素を表す色空間である場合には、パターンマッチングは前記3要素のうちの少なくとも1つの要素を用いて行うようにするとよく、また、第2色空間データが輝度、2つの色差の3要素(輝度:1要素、色差:2要素)を表す色空間である場合には、パターンマッチングは前記3要素のうちの少なくとも1つの要素を用いて行うようにするとよい。
【0024】なお、これらの場合、画素ブロックをN分割し、分割したブロックの情報で注目画素を含む画素ブロックのパターン検索を行う手段を設けるとよい。
【0025】前記第2の目的を達成するため、第2の手段は、比較的低階調の連続調のカラー画像データを画素毎にT(Tは2以上の整数)値化するT値化手段と、前記T値化手段によりT値化された画像データとジャギーが発生するパターンをマッチングして一致するか否かを判定するパターンマッチング手段と、前記パターンマッチング手段によりジャギーが発生するパターンと判定された場合に、前記T値化された画像データに対して画素データをジャギーが発生しないように埋め込んでスムージング拡大処理して比較的高階調の拡大画像を生成する埋め込み手段とを備えた構成とした。なお、この構成は後述の第2あるいは第3の実施形態における図8および図13に対応し、T値化手段は図8では2値化部803に、図13ではT値化部803aにそれぞれ対応し、図8R>8および図13ではパターンマッチング手段はパターンマッチング処理部804に、埋め込み手段は埋め込み部806にそれぞれ対応する。
【0026】この場合、拡大倍率に応じて整数倍率と端数倍率を演算する手段を更に備え、前記埋め込み手段により前記整数倍率でスムージング拡大処理した後に、前記端数倍率で拡大処理するとよい。また、前記埋め込み手段は、スムージング拡大処理後の整数倍率毎の複数の画素埋め込みパターンに基づいてスムージング拡大処理を行う。前記端数倍率で拡大処理する場合、例えば、ニアレストネイバー法で行うことができる。なお、前述の図8および図12では、拡大倍率に応じて整数倍率と端数倍率を演算する手段は倍率演算部810に対応する。
【0027】また、RGBデータを明るさ成分の信号と色成分の信号に変換する手段を更に設け、前記パターンマッチング手段により前記変換後の信号をパターンマッチングし、前記埋め込み手段により前記変換後の信号をスムージング拡大処理した後に、元のRGBデータに逆変換するようにすることもできる。その際、前記明るさ成分の信号のみを前記T値化手段によりT値の濃度信号に変換して前記パターンマッチング手段によりパターンマッチングするとよい。前記T値化手段は、例えば、注目画素を含むM×N(M,Nは2以上の整数)画素の多値の画像データに基づいてT値化用の閾値を算出してT値化を行う。なお、前記T値化手段によるT値化用の閾値の算出は、注目画素を含むM×N(M,Nは2以上の整数)画素の多値の画像データの最大値と最小値に基づいて行う。この構成は、後述の第2または3の実施形態に対応する。また、図8および図13では、RGBデータを明るさ成分の信号と色成分の信号に変換する手段には、RGB/YIQ変換部801が対応する。また、埋め込み手段により前記変換後の信号をスムージング拡大処理した後の元のRGBデータへの逆変換はYIQ/RGB変換部808で行われる。
【0028】前記拡大処理は、T≧3の場合、パターンマッチングをT−1回繰り返してT−1回毎の埋め込みにより得られた拡大画像を合成する。その際、濃度が低い画素からオーバライトする。
【0029】前記第2の目的を達成するため、第3の手段は、比較的低階調の連続調のカラー画像データを画素毎にT(Tは2以上の整数)値化する工程と、前記T値化する工程でT値化された画像データとジャギーが発生するパターンをマッチングして一致するか否かを判定する工程と、この判定する工程でジャギーが発生するパターンと判定された場合に、前記T値化された画像データに対して画素データをジャギーが発生しないように埋め込んでスムージング拡大処理して比較的高階調の拡大画像を生成する工程とを含む処理工程とした。
【0030】この場合、拡大倍率に応じて整数倍率と端数倍率を演算する工程を更に設け、前記埋め込んで拡大する工程で前記整数倍率でスムージング拡大処理した後に、前記端数倍率で拡大処理するとよい。また。前記埋め込んで拡大する工程では、スムージング拡大処理後の整数倍率毎の複数の画素埋め込みパターンに基づいてスムージング拡大処理が行われる。なお、端数倍率で拡大処理する場合、例えば、ニアレストネイバー法が適用できる。
【0031】また、RGBデータを明るさ成分の信号と色成分の信号に変換する工程を更に設け、前記パターンマッチングを行う工程で前記変換後の信号をパターンマッチングし、前記埋め込んで拡大する工程で前記変換後の信号をスムージング拡大処理した後に、元のRGBデータに逆変換する。その際、前記明るさ成分の信号のみを前記T値化する工程で濃度信号にT値化し、前記パターンマッチングを行う工程でパターンマッチングする。前記T値化する工程では、注目画素を含むM×N(M,Nは2以上の整数)画素の多値の画像データに基づいてT値化用の閾値を算出してT値化し、T値化用の閾値は、注目画素を含むM×N(M,Nは2以上の整数)画素の多値の画像データの最大値と最小値に基づいて算出される。なお、T≧3の場合、パターンマッチングをT−1回繰り返してT−1回毎の埋め込みにより得られた拡大画像を合成する。その場合、濃度が低い画素からオーバライントする。なお、この第3の手段の構成は、後述の図12及び図13のフローチャートに記載の処理に対応する。
【0032】前記第3の目的を達成するため、第4の手段は、入力された画像データに対して画像の拡大処理を行なう画像処理方法において、注目画素を含む画素ブロックを抽出する工程と、抽出された画素ブロックの画像データを拡大のための色空間データに変換する工程と、注目画素を取り囲む画素ブロックから特徴情報を算出する工程と、前記変換工程で変換された色空間において前記画像データを拡大する複数の拡大手段から前記算出された特徴情報に応じて1つの拡大手段を選択して拡大する工程とを処理工程の中に含み、拡大された画像データを所望の色空間データに変換して拡大画像として出力するように構成した。
【0033】この構成は後述の第4の実施形態に対応し、前記工程は図19のフローチャートに示した手順に対応する。
【0034】前記第4の目的を達成するため、第5の手段は、入力された画像データに対して画像の拡大処理を行なう画像処理装置において、注目画素を少なくとも2つの異なる色空間データで拡大する複数の拡大手段と、注目画素を取り囲む画素ブロックから特徴情報を算出する算出手段と、算出された特徴情報から前記複数の拡大手段のうちの1つを選択する選択手段とを備え、選択した拡大手段によって拡大された画像を出力するように構成した。
【0035】この場合、入出力画像サイズ及び倍率から整数倍率を算出する整数倍率算出手段と、前記拡大手段によって整数倍率で拡大された画像を所望の大きさに合わせる整形手段とをさらに設けると良い。
【0036】なお、前記特徴情報の1つは、注目画素を取り囲む画素ブロックにおける色数である。また、他の1つは、色数と色相であり、さらに他の1つは、注目画素を取り囲む画素ブロックにおける色数、色相、および画素の連結情報である。
【0037】この第5の手段の構成は図20のブロック図に示した構成に対応し、拡大手段は整数倍数拡大部2005に、算出手段は画像特徴量算出部2002に、選択手段は拡大手段選択部2006にそれぞれ対応する。また、整数倍数算出手段は整数倍数算出部2009に、整形手段は整形部2007にそれぞれ対応する。
【0038】前記第5の目的を達成するため、第6の手段は、入力された画像データに対して画像の拡大処理を行なう画像処理装置において、注目画素を含む画素ブロックから特徴情報を算出する算出手段と、注目画素を拡大する拡大手段と、前記拡大手段による画像の拡大後、前記特徴情報に応じた変換を行う処理手段とを備えた構成とした。
【0039】なお、前記特徴情報としては、前記画素ブロックにおける最大値と最小値の差分が使用される。
【0040】また、前記特徴情報に応じた変換特性を生成する変換特性生成手段をさらに備え、前記拡大手段は拡大画素を生成された前記変換特性で変換するように構成することもできる。
【0041】さらに、変換時に使用する複数のテーブルを設け、前記特徴情報に応じて1つのテーブルを選択し、選択されたテーブルに基づいて拡大した画素を変換するように構成することもできる。
【0042】これらの場合、画像情報は輝度・色差信号であり、前記拡大手段による輝度信号の拡大は線形補間によって行われ、前記特徴情報は輝度信号から生成し、前記特徴情報に応じた変換は拡大後の輝度信号に対して行う。
【0043】また、前記拡大は、整数倍率毎に線形補間の重み係数を有し、設定された整数倍率から前記重み係数を選択することにより行うようにすることができる。
【0044】この第6の手段の構成は、図29のブロック図に示した構成に対応し、算出手段は特徴情報算出部2903に、拡大手段は拡大部2901に、処理手段は強調処理部2902にそれぞれ対応する。また、画像情報として輝度・色差信号を用いる場合は、図34のブロック図に示した構成で行われる。その際、輝度信号の拡大はY信号拡大部34011で、色差信号の拡大はI,Q信号拡大部34012で行われる。なお、線形補間の重み係数は、重み係数設定部3404に設定される。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0046】<第1の実施形態>図1は本発明の実施形態に係る画像処理装置の拡大処理を行う処理部の要部を示すブロック図である。同図において、拡大処理部100は、ファイル部110、パターン生成部120、パターン検索部130、及び埋め込み処理部140からなり、ファイル部110にはさらにパターンファイル111、ドット配置ファイル112及び画素参照ファイル113が設けられ、埋め込み処理部140には、埋め込み部141と単純埋め込み部142とが設けられている。
【0047】前記ドット配置ファイル112には図示しない操作部から整数倍率を指示する指示信号150が入力され、画素参照ファイル113とパターン生成部120には画素ブロックを示す信号160が入力される。パターン検索部130には前記パターン生成部120で生成した信号が入力され、前記パターンファイル111との参照に応じて前記埋め込み処理部140の埋め込み部141または単純埋め込み部142のいずれかの出力をスイッチ170の切り替えにより選択して、埋め込み処理部140から拡大画像を出力するようになっている。なお、埋め込み処理部140には、前記ドット配置ファイル112あるいは画素参照ファイル113からの信号が入力される。
【0048】パターンファイル111には、後述の図3に示すようなパターンが、ドット配置ファイル112には、整数倍率に応じて後述の図3に示すようなパターンが、画素参照ファイル113には、図3に示すような画素に対応したファイルがそれぞれ格納されている。
【0049】なお、前記各ファイルは図示しない記憶部に設定され、前記各処理部および各ファイルの制御は図示しないROMに格納されたプログラムにしたがい、前記CPUによって実行される。以下の各実施形態においても同様である。
【0050】このように大略構成された拡大処理部の処理手順を図2のフローチャートに示す。
【0051】この処理では、まず、入力された整数倍率に対応するドット配置ファイル112を選択し(ステップ201)、原画からM×N画素ブロックを切り出し、パターンを生成する(ステップ202)。ドット配置ファイル112は図3では8倍の例を示しているが、図1において2倍からZsで示される各整数倍に対応するドッド配置パターンが格納されている。
【0052】パターン検索部130では生成したパターンがパターンファイル(PAT0からPATx-1の全x個)111中に一致するものがあるか、ないかを検索する。すなわち、x個のパターンPAT0〜PATx-1毎に、どのように注目画素の拡大画素を配置するかの情報であるドット配置ファイル112が整数倍率毎に格納されており、入力された整数倍率150(例えば8倍)により、対応するドット配置ファイル112が1つ選択される(ステップ203)。また、パターンが一致したとき(ステップ204でY)、この結果と整数倍率から、1つのドット配置ファイル112が決まる。さらに、このドット配置ファイル112には、画素ブロックのどの位置の画素情報で拡大画素を埋めるかという画素参照情報が格納されているため、ドット配置情報が決まると同時に、1つの画素参照情報が決まる。そこで、パターンが一致したとき、埋め込み部141でドット配置情報、画素参照情報を選択し(ステップ205)、拡大画素を生成して画素を埋める(ステップ206)。また、非一致のときには、単純埋め込み部142で画素ブロックの注目画素を用いて整数倍率分の画素を埋める(ステップ207)。これを、原画全画素に対して実行する。
【0053】ここで、図3の説明図を参照し、各ファイルと埋め込みの関係について説明する。
【0054】パターンファイル111において、各丸記号は、○:0、●:1、他:白でも黒でもよい(don't care)を意味する。
【0055】各パターン毎にドット配置情報が対応している。すなわち、PAT0からPATx-1の各パターンごとに、ドット配置情報が対応しており、図3に示した例では主副走査方向同倍率の8倍のドット配置ファイル112である。ドット配置ファイル112は前述のように装置でサポートする整数倍率毎に保持されている。さらに、同様にx個のパターン情報に1対1で画素参照情報(画素参照ファイル113)が保持されている。そこで、i番目のPATiに注目すると、パターン情報の中心にある注目画素は「白」すなわち「0」である。このことは、ドット配置情報(ドット配置ファイル112)における「0」部を埋めるblt0情報は、パターン情報5×5(M=N=5)の座標(2,2)に位置する原画の画素ブロック値で埋めるという情報を示している。また、blt1情報はドット配置情報の「1」部に相当する画素を同様に(2,3)の値で埋めるという情報を示している。なお、座標(j,k)の原点は、図3のパターンファイルにおける左上であって、blt0及びblt1情報は(0,0)から(4,4)で5×5の25画素に対応している。
【0056】図4はRGB各画素ブロック5×5の中心である(2,2)の画素を8倍する例である。RGB原画(第1色空間)から5×5画素ブロックを切り出し,第2色空間へ変換する。この図4の例は、輝度色差信号の輝度データを使う例である。変換の結果、図4(a)に示す原画RGB3ブロックから図4(b)に示す輝度1ブロックが得られる。今、輝度ブロックがパターンファイルPATiと一致したとする。パターンファイルには1つのドット配置パターンと画像参照ファイルblt0,blt1が対応している。5×5の中心1画素は図4(c)に示す最下の8×8画素に拡大される。このとき,拡大R’ブロック○,●の塗り潰しは原画における座標blt0,blt1に相当するデータR0,R1で行なう。G及びBも同様である。
【0057】前述の様に、パターン検索部130で検索した結果、一致したパターンがある場合、原画の画素ブロックにおいて画素参照情報(画素参照ファイル113)に該当する画素データRGB値でドット配置情報(ドット配置ファイル112)に従って拡大画素を埋める。一致するパターンがないときは、画素ブロック中央の注目画素のRGB値で全拡大画素分を埋める。前者の場合には、埋め込み部141が選択され、後者の場合には単純埋め込み部142が選択され、各部で前記処理を実行する。
【0058】前記ドット配置情報の作成について、図5のフローチャートを参照して説明する。例えば、図3にある8倍用のドット配置ファイルのみを保持し(基本パターンをセット−ステップ501)、ファイル部110ではこの基本パターンから、幅8画素×高さ(8画素×x個)画素のイメージ:0→0、1→255とし、B/W8bitに変換する(ステップ502)。幅、または高さをサポートする整数倍率に相当する画素値で線形補間し(ステップ503)、2値化を行う(ステップ504)。最後に、0→0、255→1への逆変換で他の整数倍率用パターンを生成し、拡大に使用する。
【0059】パターン生成部120におけるパターンの生成は、以下のようにして行われる。すなわち、RGBから輝度、色相、彩度への変換例としてHSV、HLSなどのカラーモデルがあり、輝度・色差信号への変換例としてYIQ、YUVなどのカラーモデルが知られている。ここで、HSV色空間を例に挙げ説明する。この色空間では色相H:0〜360°、彩度S:0〜1の値を取る。したがって、色相の場合、M=N=5の25画素から、Hの最大値、最小値を求め、その平均値でM×N画素ブロックを2値化し、パターンを生成する。彩度や他の要素についても同様である。
【0060】YIQ各プレーンの場合も同様に、各プレーン毎に最大値、最小値、その平均値を求め、平均値で2値化し、パターンを生成後にパターンマッチングを行う。なお、このRGBからHSV,HLSなどへの変換の手法や、YIQ、YUVなどへの変換の手法などは、例えば、今宮淳美訳「コンピュータ・グラフィクス」(日本コンピュータ協会昭和59年7月15日発行)の第622頁ないし第629頁に詳しく述べてあるので、ここでの説明は省略する。また、パターン検索部130におけるパターン検索のハードウエアによる方法としては特開平7−221977号公報に一つの例が開示されている。
【0061】このパターンマッチングを、プリンタドライバに組み込んでPC上で実行させるときは、ソフトウエアによる高速化を図る必要がある。すなわち、MとNのブロックサイズが大きくなると、検索の計算負荷が増大する。また、図3のパターン情報を見ると、「0」、「1」のどちらでも良いdon't careが存在するため、M×N画素の全画素を2進数化し、検索すると膨大なメモリが必要となる。そこで、図6の説明図に示すように、M×N画素ブロックを複数に分ける。この図6では2分割した例を挙げた。この図6を参照しながら説明する。
【0062】すなわち、M=N=5画素ブロックから太枠で示した3×3の9画素=9bitを用いて、2byteコードを生成する。前述の図3におけるPATiはdon't careを考慮し、2進数:001001111→10進数:79、2進数:101001111→10進数:335となる。x個全パターンの2byteコードを生成する。当然、図7に示すように1つの2byteコードに複数のパターンが存在することもある。この9画素の情報により、多くのパターンの中から絞込みが行える(同図中のPAT番号欄)。次に、残りの16画素の情報を用いて、1つのパターンを決定する。
【0063】この残りの16画素の情報を用いて1つのパターンを決定する場合には、図7に示したように中央の9画素からパターンの候補が絞られる。例えば、10進数で79のときはPAT9,PAT24の2つのパターンに絞られることになる。そこで、残り16画素からPAT9及びPAT24、それ以外を決定する。このとき、パターンは絞られているから、残り16画素を1画素ずつ一致、不一致で調べる必要はない。すなわち、PAT9における周囲画素でdon't care以外の特徴ある画素のみを参照すれば済む。例えば、PATiのときは、(3,0)が○であるか否かで決まる。この様に、周囲の特徴画素をパターン毎に登録しておき、参照することで高速化が図れる。途中、不一致となった場合は、以降の画素の検索を終える。他に、中央の9画素同様、パターンマッチングを取る手法もある。
【0064】<第2の実施形態>以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図8は本発明に係るカラー画像処理装置の一実施形態を示すブロック図、図9は図8のM×Nバッファの構成を示す説明図、図10は図8の2値化部の処理例を示す説明図、図11は図8の埋め込み部の埋め込み処理を示す説明図、図12は図8のカラー画像処理装置のスムージング拡大処理手順を示すフローチャートである。
【0065】図8において、RGB/YIQ変換部801は入力画像であるRGBデータを明るさ成分と色成分に変換し、ここでは次式(1)
【数1】
により多値のYIQ信号に変換する。YIQ信号はNTSC方式のテレビジョンに順する輝度信号(明るさ成分)Yと色差信号(色成分)I、Qにより構成され、輝度信号YはM×Nバッファ2に印加され、色差信号I、Qは色成分拡大部7に印加される。なお、他の明るさ成分と色成分として、PAL方式のYUV(明るさ成分Y、色成分U、V)や、均等色空間CIELAB、CIELUV(明るさ成分L*、色成分a*、b*又はu*、v*)や、三刺激値XYZ(明るさ成分Y、色成分X、Y)を用いてもよい。
【0066】M×Nバッファ2は例えば図9に示すように、RGB/YIQ変換部1により変換された多値の輝度信号Yの5×5画素分(中心画素「*」が注目画素)を一時記憶する。2値化部3はM×Nバッファ2に記憶されている5×5画素の輝度信号Yの最大値maxと最小値minを抽出して次式(2)
th=(max+min)/2 …(2)
のように2値化用閾値thを算出し、この閾値thにより例えば5×5画素の多値輝度信号Yを2値化濃度データに変換する(Y>thの場合に2値化濃度データ=0、他の場合に2値化濃度データ=1)。
【0067】したがって、例えば図10(a)に示すように5×5画素の領域において左上に高輝度画素(低濃度画素)が分布し、右下に低輝度画素(高濃度画素)が分布する場合には、図10(b)に示すように左上に2値化濃度データ=0が分布し、右下に2値化濃度データ=1が分布する2値化濃度データに変換される。
【0068】パターンマッチング処理部4は2値化部3により変換された2値化濃度データと、例えば図11(a)に示すようにパターン記憶部5に予め記憶されている5×5画素の2値化濃度データの複数のパターンとマッチングして、ジャギーが発生するエッジ等か否かを示す一致/不一致信号を出力する。なお、図11(a)における「−」は「0」、「1」を問わない(don't care)ことを示し、また、図11(b)は縦8倍×横8倍の拡大時の埋め込み処理を示している。
【0069】埋め込み部806はパターンマッチング処理部4によりマッチングが「不一致」の場合に単純埋め込み部4−1による処理を選択し、他方、「一致」の場合にテンプレート埋め込み部806−2及びテンプレート記憶部806−3による処理を選択して、倍率演算部810により指定された整数倍率に応じて2値化濃度データを拡大する。単純埋め込み部806−1は図11(a),(b)の上側に示すように、拡大後の例えば8×8画素に対しては全て注目画素の2値化濃度データ=1を埋め込む。
【0070】テンプレート埋め込み部806−2はテンプレート記憶部806−3に記憶されている2値テンプレートに基づいてジャギーが発生しないように2値濃度データの埋め込みを行い、例えば図11(a),(b)の下側に示す図面は、右上コーナー部を白画素(2値化濃度データ=0)で埋め込むことを示している。このとき、図11(b)における2値化濃度データ=1は注目画素の2値化データで埋め込み、2値化濃度データ=0の画素については、注目画素に隣接する5×5画素における画素〔1〕、〔2〕、〔3〕に該当する2値化濃度データで埋め込む(単純に画素〔1〕で埋め込むなど)。なお、この隣接画素からどのデータを活用して埋め込むかは、予めパターン毎に決められている。
【0071】色成分拡大部807はRGB/YIQ変換部801により変換された多値の色差信号I、Qを倍率演算部810により指定された整数倍率に応じて、例えばニアレストネイバー法やバイリニア法のような公知の拡大方法で拡大する。YIQ/RGB変換部808は埋め込み部806により拡大された2値化濃度信号及び色成分拡大部807により拡大された色差信号I、Qと式(1)により、元のRGB信号に逆変換してこれを端数変倍部809に印加する。
【0072】ここで、入力倍率zoomは整数倍とは限らない。そこで、倍率演算部810は入力倍率zoomに基づいて次式(3)、(4)
zoom1=INT(zoom+0.5) …(3)
zoom2=zoom/zoom1 …(4)
により整数倍率zoom1と端数倍率zoom2を演算し、整数倍率zoom1を埋め込み部806および色成分拡大部807に印加し、また、端数倍率zoom2を端数変倍部9に印加する。例えば指定倍率または指定画像サイズに基づいて8.33倍が与えられた場合、zoom1=8、zoom2=1.041となる。端数変倍部809はYIQ/RGB変換部808により変換されたRGB信号をこの端数倍率zoom2に応じてニアレストネイバー法(後述)で拡大する。
【0073】次に図12を参照してスムージング拡大処理手順について説明する。この処理では、まず、倍率演算部810により入力倍率zoomから整数倍率zoom1と端数倍率zoom2を算出し(ステップ1201)、次いで整数倍率zoom1に相当するテンプレートをテンプレート記憶部806−3からテンプレート埋め込み部806−2にセットし(ステップ1202)、次いで端数倍率zoom2を端数変倍部809にセットする(ステップ1203)。次いで全画像の処理が終了した場合にはこのスムージング拡大処理を終了し、全画像の処理が終了していない場合にはステップ1204からステップ1205に進む。
【0074】ステップ1205ではバンド処理が終了した場合には端数変倍処理を行い(ステップ1206)、次いでステップ1204に戻る。ステップ1205においてバンド処理が終了していない場合にはステップ1207に進む。ここで、「バンド処理」とは、対象画素を縦方向に分割して処理することである。ステップ1207では明るさ成分(2値化濃度データ)の拡大処理が終了している場合には色成分(色差信号I、Q)の拡大処理を行い(ステップ1208)、次いでステップ1205に戻る。
【0075】ステップ1207において明るさ成分(2値化濃度データ)の拡大処理が終了していない場合には、RGB/YIQ変換部801によりRGB信号をYIQ信号に変換してY信号をM×Nバッファ802に保持し(ステップ1209)、次いで2値化部803によりM×N画素のY信号に基づいて2値化用閾値thを算出し(ステップ1210)、この閾値thによりM×N画素のY信号を2値化濃度データに変換する(ステップ1211)。
【0076】次いでパターンマッチング処理部4によりマッチング処理を行い(ステップ1212)、次いでマッチング処理結果が「一致」の場合には一致したパターンに対応したテンプレートを参照して画素データを埋め込み(ステップ1213→1214)、「不一致」の場合には注目画素データを埋め込む(ステップ1213→1215)。次いでステップ1207に戻って明るさ成分(2値化濃度データ)の拡大処理が終了するまでステップ1209〜1215における処理を繰り返す。
【0077】<第3の実施形態>図13は輝度信号YをT(>2の整数)値化を行ってスムージング拡大処理を行う第3の実施形態の構成を示している。この実施形態は図8に示した第2の実施形態に対して2値化部803をT値化部803aに変更し、埋め込み部806の後段に合成部811を付加したもので、その他の構成は図8に示した第2の実施形態と同等に構成されている。
【0078】図13に示すT値化部803aは、M×Nバッファ802に記憶されている5×5画素の輝度信号Yの最大値maxと最小値minを抽出して次式 th(T−1)={t×max+(T−t)×min}/T …(5)
但し、t=T−1,…,1により(T−1)個のT値化用閾値th(T−1)を算出し、これにより輝度信号YをT値化濃度データに変換する。
【0079】図14はT値化の例として3値化処理を示している。図14(a)に示すように5×5画素の輝度信号Yがmax=240min=60の場合には、高輝度(低濃度)側の閾値th1=180、低輝度(高濃度)側の閾値th2=120となる。次いで3値化を行ってY>th1の場合に「0」、Y≦th1の場合に「1」とすると図14(b)に示す濃度データとなり、また、次いでY>th2の場合に「0」、Y≦th2の場合に「1」とすると図14(c)に示す濃度データとなる。
【0080】ここで、注目画素が閾値th1、th2毎にパターンと一致する組み合わせは、(1)0,0(2)0,1(3)1,0(4)1,1の4通り(1)〜(4)である。そこで、上記(1)の場合には双方ともに「不一致」であるので「単純埋め込み処理」を実行し、上記(2)、(3)の場合には「一致」であるので、対応するテンプレートを基づいて「テンプレート埋め込み処理」を実行する。上記(4)の場合にはパターンマッチング処理を2回行って合成部11により埋め込みデータを合成する。合成処理については、低濃度(高輝度)画素から埋め込み、閾値th2に対応する高濃度側では「1」の画素のみをオーバライトする。これにより、図15に示すような拡大画素において3種類の明るさを処理することができるので、影付き文字についても高画質で拡大処理することができる。
【0081】次に図16を参照して第3の実施形態におけるスムージング拡大処理手順について説明する。まず、ステップ1601〜1609における処理は、第2の実施形態における図12のフローチャートのステップ1201〜1209における処理と同じである。次いでT値化部803aによりM×N画素のY信号に基づいて閾値thを算出し(ステップ1610)、この閾値thによりY信号をT値化濃度データに変換する(ステップ1611)。
【0082】次いでステップ1612において(T−1)回のパターンマッチング処理が終了していない場合にステップ1613以下に進み、終了している場合にステップ1617に進む。ステップ1613以下ではまず、パターンマッチング処理部804によりマッチング処理を行い(ステップ1613)、次いでマッチング処理結果が「一致」の場合には一致したパターンに対応したテンプレートを参照して画素データを埋め込み(ステップ1614→1615)、「不一致」の場合には注目画素データを一時的に埋め込む(ステップ1614→1616)。次いでステップ1612に戻って(T−1)回のパターンマッチング処理が終了するまでステップ1613〜1615における処理を繰り返す。そして、(T−1)回のパターンマッチング処理が終了すると合成処理を行い(ステップ1617)、ステップ1607に戻る。
【0083】次にニアレストネイバー法とバイリニア法について説明する。ニアレストネイバー法は、例えば図1717(a)に示すような4×4画素における注目画素「*」は4角の画素a、b、c、d中の最も近い画素(この例では画素a)のデータで埋める方法である。バイリニア法は例えば図17(b)に示すような4×4画素における注目画素「*」は4角の画素a、b、c、dと注目画素「*」の重みi、jに基づいて埋める方法である。例えば、図17(b)の例では、*=(i−1)・(j−1)・a+i・(j−1)・b+(i−1)・j・c+i・j・dというようにして埋めるものである。なお、バイリニア方法の詳細は図31を参照して後述する。
【0084】また、この実施形態で説明した処理は、デジタルカメラの画像を高解像度化して大画像をプリントする場合に、転送時間を節約するため送り側コンピュータで単純に間引いて相手先のプリンタやコンピュータに直接又はネットワークを介して転送し、相手先のプリンタ内のコントローラや相手先のコンピュータのソフトウエアによりスムージング拡大処理する場合にも適用することができる。
【0085】<第4の実施形態>図18は第4の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【0086】同図において、画処理装置は、RGBの原画像データが入力されるM×N画素ブロック抽出部1801と、抽出された画素ブロックが入力される第1の色空データ変換部1802と、第1の色空間データ変換部1802で変換された色空間データが入力される第1ないし第4の拡大手段1803,1804,1805,1806と、第1ないし第4の拡大手段1803,1804,1805,1806のいずれかの出力を選択する選択部1807と、選択部1807で選択されたデータをさらに変換する第2の色空間データ変換部1808と、抽出された前記M×N画素ブロックから注目画素に関する特徴量を算出し、その特徴量に応じて前記選択部1807を介して拡大手段1803〜1806を選択させる特徴部算出部1809とから構成されている。
【0087】このように構成された画像処理装置の動作は図19のフローチャートに示すようになる。すなわち、M×N画素ブロック抽出部1801で入力されたRGBの原画像データからM×Nの画素ブロックを抽出し(ステップ1901)、異なる拡大方法をとる第1ないし第4の拡大手段1803〜1806への入力となる各色空間データへ、第1の色空間データ変換部1802で変換する(ステップ1902)。特徴量算出部1809では、前述のようにM×N画素ブロック1801から特徴量を算出し(ステップ1903)、拡大に適した拡大方法を第1ないし第4の拡大手段1803〜1806から1つ選択し(ステップ1904)、注目画素を拡大する。その後、第2の色空間データ変換部1808で所望の色空間データへと変換する(ステップ1905)。この処理を全画素で繰り返す。
【0088】すなわち、この実施形態では、まず第1工程で、M×N画素ブロック抽出部1801で入力されたRGBの原画像データからM×Nの画素ブロックを抽出し、第2工程で、異なる拡大方法をとる第1ないし第4の拡大手段1803〜1806への入力となる各色空間データへ、第1の色空間データ変換部1802で変換する。一方、第3工程でM×N画素ブロック抽出部1801から特徴量を算出し、第4工程で、拡大に適した拡大手段を第1ないし拡大手段1803〜1806から1つ選択して注目画素を拡大する。その後、第5工程で第2の色空間データ変換部1808で所望の色空間データへと変換して出力する。
【0089】なお、この実施形態は、本発明の最も基本的な動作原理の一例を示すもので、第1ないし第4の拡大手段1803〜1806としては、第5の実施形態において詳述するようにRGBデータを拡大する機能を有するものや、RGBデータをRGB多値データに拡大する機能を有するものなどが採用され、特徴量に応じて処理するに適した拡大手段1803〜1806が適宜設定され、用意される。
【0090】特徴量としては、例えばM×N画素ブロックの最大値と最小値の差などが使用される。また、選択部1807における選択も、後述の第5の実施形態で詳述するような色数、色相などに応じて設定された拡大法が前記特徴量に基づいて選択される。
【0091】<第5の実施形態>第5の実施形態に係る画像処理装置の構成を図20のブロック図に示す。この実施形態は、RGB色空間、YIQ色空間(輝度・色差信号、他にYUV信号など、これに準じる信号を指す)のデータを拡大する複数の拡大手段を持つ例である。
【0092】同図において、第5の実施形態に係る画像処理装置は、RGB画像データが入力され、M×Nの画素ブロックを抽出するRGB:M×N画素ブロック抽出部2001、このM×N画素ブロック抽出部2001からの画像データに基づいて画像の特徴量を算出する画像特徴量算出部2002、RGB原画像データが入力されRGBデータからYIQデータに変換するRGB/YIQ変換部2003、このRGB/YIQ変換部2003で変換されたYIQデータから輝度Yに関するM×N画素ブロックを抽出する輝度Y:M×N画素ブロック抽出部2004、RGB:M×N画素ブロック抽出部2001からのデータと輝度Y:M×N画素ブロック2004からのデータが入力される整数倍拡大部2005、前記画像特徴量算出部2002での算出結果に応じて整数倍拡大部2005の第1〜第4の拡大手段20051,20052,20053,20054を選択する選択部2006、整数倍率による拡大画像の大きさを所望の拡大画像の大きさに整形する情報を生成し、整形を行う整形部2007、整形部2007に選択部2006の選択に応じてYIQ/RGB変換データを変換して入力するYIQ/RGB変換部2008、および画像サイズと倍率とから拡大する整数倍率を算出し、整数倍拡大部2005と整形部2007とに倍率を出力する整数倍率算出部2009から構成されている。なお、拡大部、特徴量、整数倍率算出部、および整形部については後述する。
【0093】このように構成された画像処理装置の処理手順を図21のフローチャートに示す。この処理では、まず、整数倍率算出部2009で入力された画像サイズと倍率とに基づいて拡大する整数倍率を算出し(ステップ2101)、整形部2007で所望の大きさにする情報を生成する(ステップ2102)。次いで、RGB原画像をYIQデータに変換する(ステップ2103)。この変換はRGB/YIQ変換部2003で行なわれる。そして、注目画素を囲むM×N画素ブロックから特徴量を算出し(ステップ2105)、算出した特徴量に基づいて第1ないし第4の拡大手段20051〜20054から1つの拡大手段を選択する(ステップ2106)。拡大手段が選択されると、その選択した拡大手段によって注目画素を拡大し(ステップ2107)、YIQ空間からRGB空間への変換が必要かどうかをチェックし(ステップ2108)、変換が必要であれば、YIQ/RGB変換部2008で前記変換を実行し(ステップ2109)、不要であれば、直接、整形が必要かどうかをチェックする(ステップ2110)。このチェックで整形が必要であれば、整形を実行し(後述)、不要であれば整形を行なわないでステップ2104で全画素に対してステップ2105からステップ2111までの処理が終了したかどうかを確認する。そして、全画素に対して前記処理が終わった時点で拡大処理を終える。
【0094】この実施形態において、前記整数倍拡大部2005は、前述のように第1ないし第4の拡大手段20051〜20054を備えている。第1の拡大手段20051はRGBデータを拡大する機能を備えており、例えば、前述のニアレストネイバー法、バイリニア法などが使用できる。第2の拡大手段20052はYIQデータを拡大する機能を備え、輝度データ拡大部200521と色差データ拡大部200522とを有し、輝度信号(Yデータ)に対しては輝度データ拡大部200521でバイリニア法が適用され、色差信号(I,Qデータ)に対しては色差データ拡大部20522でアレストネイバー法が適用される。第3の拡大手段20053はRGBデータをRGB多値データに拡大する機能を備えており、例えば、特開平7−221976号公報あるいは特開平7−221977号公報に開示された方法が採用される。また、第4の拡大手段20054はRGBデータを拡大する機能、例えば第3の拡大手段20053を変形した拡大機能を備えている。このような拡大手段によって当該拡大手段が有する拡大機能に応じて必要な画像データが入力される。なお、このような種々の拡大機能は画像の状態や色空間の種類など応じて公知の手法が適用され、組み合わされる。前述の拡大手段の機能はその一例である。
【0095】前述の図20のブロック図および図21のフローチャートから分かるように、整数倍率算出部2009では、入出力画像サイズ、倍率などの情報から整数倍率を算出し、特徴算出部2002では、抽出された画素ブロックから、拡大手段の選択に必要な特徴情報を算出する。そして、整数倍拡大部2005で算出された特徴情報を基に、1つの拡大手段を拡大手段選択部2006で選択する。そして、選択された注目画素を整数倍拡大する。
【0096】整形部2007では整数倍率による拡大画像の大きさを所望する拡大画像の大きさに整形する情報を生成し、整形を行う。
【0097】整数倍拡大部2005における拡大手段の選択例の処理手順を図22、図23及び図24のフローチャートに示す。この選択は特徴量算出部2002における色数/色相の検出部20021と画素の連結情報生成部20022における算出結果に応じて行われる。この実施形態は最大色数が4であり、図22ないし図24のフローチャートはこの色数を前提としている。この内、図22は色数、図23はは色数と色相、図24は色数、色相、画素の連結情報による選択例である。これにより、複数ある拡大手段20051〜20054から1つの拡大手段が選択される。
【0098】具体的には、図22のフローチャートでは、まず、色数が1であれば(ステップ2201でY)選択部2006のSW0がオンになり、第1の拡大手段20051からのRGBデータが整形部2007に入力される。色数が2であれば(ステップ2202でY)、選択部2006のSW1がオンになり第3の拡大手段20053からのRGBデータと輝度データ(Yデータ)が整形部2007に入力される。色数が3であれば(ステップ2203でY)、選択部2006のSW2がオンになり、第4の拡大手段20054からのRGBデータと輝度データ(Yデータ)が整形部2007に入力される。色数が4であれば(ステップ2203でN)、選択部2006のSW3がオンになり、第2の拡大手段20052からの輝度データ(Yデータ)と色差データ(Iデータ及びQデータ)が選択され、YIQ/RGB変換部2008でRGBデータに変換した上で、整形部2007に入力される。なお、ステップ2203の判定で色数が3でなければ、SW3がオンになり第2の拡大手段20052が選択される。
【0099】このように処理すると、色数のみの少ない特徴情報で複数の拡大法を選択し、ジャギー低減と共に画素の拡大を行うことができる。
【0100】図23のフローチャートでは、色数が1であれば(ステップ2301でY)選択部2006のSW0がオンになり、第1の拡大手段20051からのRGBデータが整形部2007に入力される。色数が2であれば(ステップ2302でY)、選択部2006のSW1がオンになり第3の拡大手段20053からのRGBデータと輝度データ(Yデータ)が整形部2007に入力される。色数が3であれば(ステップ2303でY)、さらに全色相が一致するかまたは類似するかをチェックし(ステップ2304)、一致または類似すればSW3をオンし、一致も類似もしなければSW1をオンにする。色数が4であれば(ステップ2305でY)、さらに全色相が一致するかまたは類似するかを調べ、一致または類似すればSW3をオンし、一致も類似もしなければSW1をオンにする。ステップ2305の判定で色数が4でなければ、SW3をオンする。なお、この図2323のフローチャートで選択されたSWは図20のブロック図に示した拡大手段20051〜20054を選択して整形部2007に入力する。
【0101】このように処理すると、色数と色相の組み合わせにより、アンチエイリアシング文字/線画に対してもジャギー低減と共に拡大ができる。
【0102】図24のフローチャートでは、色数が1であれば(ステップ2401でY)選択部2006のSW0がオンになり、第1の拡大手段20051からのRGBデータが整形部2007に入力される。色数が2であれば(ステップ2402)、選択部2006のSW1がオンになり第3の拡大手段20053からのRGBデータと輝度データ(Yデータ)が整形部2007に入力される。色数が3であれば(ステップ2403でY)、さらに全色相が一致するかまたは類似するかをチェックし(ステップ2404)、一致も類似もしなければSW1をオンにし、一致または類似すれば、後述の画素の連結情報を生成する(ステップ2405)。画素の連結情報は特徴量算出部2002で生成される。そして、生成された画素の連結情報から連結ありと判断されれば、SW2をオンし、連結なしと判断されればSW3をオンする。また、色数が4であれば(ステップ2407でY)、さらに全色相が一致するかまたは類似するかを判断し(ステップ2408)、一致または類似すればSW3をオンし、一致も類似もしなければSW1をオンにする。ステップ2407の判定で色数が4でなければ、SW3をオンする。なお、この図24のフローチャートで選択されたSWは図20のブロック図に示した拡大手段20051〜20054を選択して整形部2007に入力する。
【0103】なお、色数が1の場合は、例えば第1の拡大手段20051は、図28に示すように、RGB1画素を整数倍率Zsに応じて単純に拡大する。単純に拡大するとは、例えば、Zs=3のとき、Zs×Zs画素全ての値を原画その値で埋めるという単純に拡大する手法である。
【0104】このように処理すると、色数と色相、画素の連結の組み合わせにより、アンチエイリアシング文字/線画、さらに影付き文字/線画に対してもジャギー低減と共に画素の拡大を行うことができる。
【0105】ステップ2405における画素の連結情報の生成は以下のようにして行われる。すなわち、図25に示すように、注目画素*を囲むM×N画素(図では5×5画素)において、輝度データで画素の連結判定が行われる。輝度のM×N画素は色数=3、つまり、輝度は最大値Ymax、最小値Ymin、中央値Ymidで構成されている。そこで、Ymid値と一致する画素を1、それ以外を0とすれば、Ymidの連結情報が得られる。図25に示した例では、縦に1画素の繋がりがある例である。また、幅2画素、かつ、2連結で連結ありとしてもよい。
【0106】図26は整数倍率算出部2009の動作を説明するための説明図である。整数倍率算出部2009では、所望する整数倍率を予め2〜Zmax(倍)と設定しておく。 ここでは、簡単のため主副同倍率での例で説明する。
【0107】入力X方向(主走査方向)画素数をXin、出力X方向画素数をXout、また、入力倍率を Zinとしたとき、入力倍率は、Zin=Xout/Xinであり、この値は2〜Zmax間にある。このとき、図26R>6に示す階段特性により整数倍率Zsを算出する。また、特性を±0.5とずらしても良い。このZsの倍率に応じて整数倍拡大部は拡大を行う。この例では、倍率Zが、2.5≦Z<3.5のとき、Zs=3として算出され、この整数倍率「3」が整数倍拡大部305と整形部307に出力される。
【0108】図27は整形部2007の動作について説明するための説明図である。整形部2007では、図26R>6に示した整数倍率算出部2009の特性から、例えば2.5倍≦Zin<3.0倍 → 間引きZin=3.0倍 → 整形なし:整数拡大そのまま3.0倍<Zin<3.5倍 → 追加の情報が既知である。よって、間引き、追加の整形を要する場合の画素数Spixは、Spix=Xin×|Zin−Zs|となり、整形ピッチpitは、pit=Zs/|Zin−Zs|で求めることができる。そして、拡大した画素をカウントしていき、整形ピッチpitの整数値と一致 したとき、間引き、あるいは追加を行う。一致後、整形ピッチpitは自らの値を加算する。
【0109】図27は倍率が3近辺の時を示している。Zin=3は整形なしで1画素が3×3画素に拡大された例である(図27(a))。間引きのときは、図27(b)で点線でに示すように1:縦3画素2:横3画素3:縦横3画素がそれぞれ間引かれる。追加の場合は、図27(c)に示すように斜線部に当たる部分を、1:左画素の値を単純にコピーして埋める。
2:上画素の値を単純にコピーして埋める。
3:左画素の値をコピーして埋め、さらに上画素の値をコピーして埋める。
というようにして追加を行う。これによりジャギーの低減を図ることができる。
【0110】このように整数倍率拡大部2005のいずれかの拡大手段20051〜20054によって整数倍率で拡大された画像を整形部2007で所望の大きさに合わせるので、整数倍された拡大画像をジャギー低減の効果を失うことなく、所望する任意のサイズに変形することができる。また、エッジ部の色ずれも起こらない。
【0111】<第6の実施形態>この実施形態は、従来において拡大後のデータを2値化し、2値化前のデータと加算合成する工程が必要であり、処理の高速化に対応できていなかったことに鑑み、更に高速な処理を実現できるように構成したものである。
【0112】この第6の実施形態に係る画像処理装置の構成を図29のブロック図に、この画像処理装置の処理手順を図30のフローチャートにそれぞれ示す。
【0113】図29において、画像処理装置は、拡大部2901と、強調処理部2902と、特徴情報算出部2903とからなり、拡大対象である画像から、注目画素*を囲むM×N画素ブロックが拡大部2901と特徴情報算出部2903に入力され、同ブロックの特徴を示す特徴情報を特徴情報算出部2903で算出し(ステップ3001)、また、拡大部2901で注目画素はP×Q画素ブロックに拡大され(ステップ3002)、特徴情報に応じて、強調処理部2902で全画素P×Qの強調処理が行われる(ステップ3003)。注目画素を1画素毎にずらしていき、この処理を全画素分繰り返す。
【0114】このように処理すると、注目画素を含む画素ブロックから特徴情報を算出し、注目画素を拡大した後、前記特徴情報に応じた変換を行うので、低解像度画像の拡大において、鮮鋭度を保持し、ジャギー低減を実現できる。
【0115】拡大部2901においては線形補間法による拡大を行う。この線形補間法として一般に知られているバイリニア法に前にも簡単に触れているが、さらに詳しく図31を用いて説明する。
【0116】図31に示すように、例えばM=N=3とする3×3画素ブロックがP0〜P8で与えられ、注目画素がP4であり、この注目画素P4が、例えば4倍に拡大される場合(P=Q=4)、拡大後の画素PxはP400〜P433の16画素となる。16画素の補間の際、P0〜 P8のうち、どの画素を用いて補間するのかは、P400、P401、P410、P411については、P0、P1、P3、P4、P402、P403、P412、P413については、P1、P2、P4、P5、P420、P421、P430、P431については、P3、P4、P6、P7、P422、P423、P432、P433については、P4、P5、P7、P8、のそれぞれ4点を使用し、拡大後の画素は、この4点と、その距離i、jを重みとする係数a、b、c、dから線形式 P400=(1−i)(1−j)P0/a+i(1−j)P1/b +(1−i)jP3/c+ij/dP4 ・・・(6)
で算出される。
【0117】他の拡大法としてはバイキュービック法などがある。バイキュービック法はバイリニア法より高画質が得られるが、計算負荷が高い。なお、このバイキュービック法自体は公知なので、ここでの説明は省略する。
【0118】特徴情報算出部2903では、M×N画素ブロック内の最大値Max、最小値Minを抽出し、その差分Range=Max−Minを算出し、この差分Rangeを特徴情報とする。
【0119】このように特徴情報が画素ブロックにおける最大値と最小値の差分なので、各ブロックにおけるこれらの情報を用いることにより、ブロック単位に的確な強調処理を掛けることができる。
【0120】強調処理部2902では、図32のフローチャートに示すように拡大部2901で拡大した全画素Pxを特徴量により正規化する。そして、正規化後の画素データPx'を Px'=(Px−Min)/Range ・・・(7)
で求める(ステップ3201)。
【0121】次いで、特徴情報である差分Rangeに応じて、変換特性(後述)を生成し(ステップ3202)、Px‘を変換しPx“を得る(ステップ3203)。さらに、 Pxout=Px“×Range+Min ・・・(8)
で逆正規化を行い、拡大後の強調データPxoutを求める(ステップ3204)。
【0122】この強調処理部2902の変換特性は図33R>3のようになる。すなわち、入出力は共に正規化された値なので縦軸、横軸共に0〜1のレンジを取る。特徴情報Rangeの大きさにより、図33(a)から(c)へと変換特性を適応的に生成する。
【0123】Rangeが小さいときは図33(a)に示すようなスルー特性 Px“=Px‘ ・・・(9)
で変換し、大きいときは図33(c)に示すような 0≦Px‘<0.5 のとき Px“=0 それ以外 Px“=1 ・・・(10)
という2値特性で変換する。中間的な変換特性は図33(b)に示すようなものとなる。
【0124】可変の仕方はRangeと対応させて、予め関数を定義する方法と何段階か特性を用意し、Rangeの値に応じて1つ選択する方法がある。前者の方法では無段階特性が実現できる。
【0125】関数の一例:0≦Px‘<0.5のときPx“=(−0.6×Range+1)×Px’それ以外 Px“=(−0.6×Range+1)×Px’+0.6*Range ・・・(11)
このように、Rangeの大きさと対応付けを行っておく。
【0126】また、例で挙げた0.5のしきい値、及び、直線0−t1、直線t2−t3の傾きをRangeに応じて可変することも可能である。
【0127】他に、何段階か特性を用意し、Rangeの値に応じて1つ選択する方法としては、例えば 大中小の3つに分類し、小:図33(a)、中:図33(b)、大:図33(c)を選択するように設定しておくことで実現できる。Rangeを細かくしていくと、当然ながら、無段階の関数定義に近づく。
【0128】前記拡大部2901では、このようにして生成された変換特性で拡大画素を変換するので、特徴情報に応じて、適応的に強調処理が行え、鮮鋭度を落とすことなく画像データを拡大することができる。
【0129】本実施形態によれば、変換時に使用する複数の変換テーブルを備え、特徴情報に応じて1つの変換テーブルを選択し、選択された変換テーブルに基づいて拡大した画素を変換するので、強調処理を行う際に、高速で処理することが可能になる。
【0130】<第7の実施形態>この実施形態は、輝度信号と色差信号を使用して拡大処理を行なう例である。
【0131】この実施形態に係る画像処理装置は、拡大部3401、強調処理部3402及び特徴情報算出部3403からなり、前記拡大部3401はさらに、Y信号拡大部34011とI,Q信号拡大部34012とからなる。
【0132】Y信号拡大部34011には、輝度Y信号(以下、「Y信号」と称す。)の注目画素*を囲むM×N画素ブロック(図34では、3×3)が入力され、拡大される。I,Q信号拡大部17012には、色差I、Q信号(以下、「I信号、Q信号」と称する。)が入力され、同様に拡大される。
【0133】このときの処理手順を図35のフローチャートに示す。すなわち、この処理では、まず、Y信号M×N画素ブロックから特徴情報算出部3403で特徴情報を算出する(ステップ3501)。特徴情報は、・最大値Ymax・最小値Ymin・差Yrange=Ymax−Yminの3つの情報である。
【0134】そして、算出した特徴情報を強調処理部3402にセットし、Y信号を拡大する(ステップ3503)。次いで、拡大したY信号を強調処理し(ステップ3504)、I,Q信号を拡大する(ステップ3505)。
【0135】YIQ信号の拡大については、1)Y信号、I、Q信号について線形補間法(例:バイリニア法など)を使用する。
2)Y信号について線形補間法(例:バイリニア法など)によって拡大し、I、Q信号については単純拡大法(同じ値でコピーする)を使用する。などの方法がある。
【0136】その際、Y信号の拡大法が線形補間法であり、かつ、注目画素の拡大倍率が固定であるとき、図31R>1における重み係数i、j(図では16画素毎の4つの重み係数)は定数となる。つまり、i、jを毎回計算する必要はない。
【0137】また、拡大部3401で拡大する倍率が例えば2〜15倍(ここでは主走査、副走査方向は同倍率とする)である場合は、図36に示すように拡大部3401に対して重み係数設定部3404で前記倍率間の整数倍に当たる重み係数を予め算出しておき、倍率の入力に応じて、拡大部3401に重み係数をセットして拡大するようにすれば処理の高速化を図ることができる。
【0138】この実施形態によれば、画像情報は輝度・色差信号であり、前記拡大部3401における輝度信号の拡大は線形補間によって行われ、特徴情報算出部3403では特徴情報が輝度信号(Y信号)から生成され、前記特徴情報に応じた変換は、拡大後の輝度信号に対して行うので、輝度、色差信号による拡大で色ずれが発生することはない。また、強調処理部3402における強調処理は輝度信号のみで行うため、高速で処理することができる。
【0139】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明によれば、補正対象のパターン毎、かつ、倍率毎に拡大画素のドット配置情報を有し、パターンマッチング結果及び倍率から1つのドット配置情報を抽出するので、パターンマッチング法を用いて、フルカラー画像について高速に任意の整数倍率の拡大が実現できる。
【0140】請求項2記載の発明によれば、予め設定された倍率における拡大画素のドット配置情報を有し、このドット配置情報に基づいて、他の倍率の拡大画素ドット配置情報を作成するので、基準パターンのみ保持していればよく、これによって、メモリ容量の低下が図れる。
【0141】請求項3記載の発明によれば、原画である第1色空間データから画素ブロックを切り出し、異なる第2色の空間データへ変換し、第2色空間データを用いてパターンマッチングを行うとともに、パターン毎にパターン内のどの画素情報で拡大した画素を埋めるかの情報を有し、この情報と一致する第1色空間の画素データを用いて拡大画素を埋めるので、入力色空間が例えばRGBの場合、RGB各プレーンでパターンマッチングを行うと色ずれが生じるが、適した色空間へ変換することで、この色ずれを防止することができる。
【0142】請求項4記載の発明によれば、第2色空間データは輝度(=明度)、色相、彩度の3要素を表す色空間であり、パターンマッチングは前記3要素のうちの少なくとも1つの要素を用いて行うので、画素ブロック内の色相が異なる2色で塗りつぶされているとき、色相1プレーンで2色を分離できる。また、同色相で構成されている影付き文字/線画は彩度が異なるため、彩度1プレーンで2色を分離でき、的確にパターンマッチングを行うことができる。
【0143】請求項5記載の発明によれば、第2色空間データは輝度、色差の3要素(輝度:1要素、色差:2要素)を表す色空間であり、パターンマッチングは前記3要素のうちの少なくとも1つの要素を用いて行うので、色ずれを防止することができる。
【0144】請求項6記載の発明によれば、画素ブロックをN分割し、分割したブロックの情報で注目画素を含む画素ブロックのパターン検索を行うので、ソフトエウアでの実現の際、画素ブロックの大型化、パターン情報のdon't care対応などの増大する要因に対応が可能で、的確に1つのパターンを高速に検索できる。
【0145】請求項7記載の発明によれば、比較的低階調の連続調のカラー画像データを画素毎にT(≧2)値化し、T値化された画像データとジャギーが発生するパターンをマッチングして一致するか否かを判定し、ジャギーが発生するパターンと判定された場合に、T値化された画像データに対して画素データをジャギーが発生しないように埋め込んでスムージング拡大処理して比較的高階調の拡大画像を生成するようにしたので、2値画像と中間調画像の両方のスムージング拡大処理を計算負荷が高くなることなく行うことができる。
【0146】請求項8記載の発明によれば、拡大倍率に応じて整数倍率と端数倍率を演算して、整数倍率でスムージング拡大処理した後に端数倍率で拡大処理するので、実数変倍に対応することができる。
【0147】請求項9記載の発明によれば、スムージング拡大処理後の整数倍率毎の複数の画素埋め込みパターンに基づいてスムージング拡大処理するので、処理を高速化することができる。
【0148】請求項10記載の発明によれば、RGBデータを明るさ成分の信号と色成分の信号に変換して変換後の信号をパターンマッチングし、変換後の信号をスムージング拡大処理した後に元のRGBデータに逆変換するので、エッジの色相が変化することを防止することができる。
【0149】請求項11記載の発明によれば、明るさ成分の信号のみをT値の濃度信号に変換してパターンマッチングするので、処理を高速化することができる。
【0150】請求項12記載の発明によれば、注目画素を含むM×N(M,N≧2)画素の多値の画像データに基づいてT値化用の閾値を算出してT値化するので、高画質で拡大処理することができる。
【0151】請求項13記載の発明によれば、比較的低階調の連続調のカラー画像データを画素毎にT(≧2)値化し、T値化された画像データとジャギーが発生するパターンをマッチングして一致するか否かを判定し、ジャギーが発生するパターンと判定された場合に、T値化された画像データに対して画素データをジャギーが発生しないように埋め込んでスムージング拡大処理して比較的高階調の拡大画像を生成するようにしたので、2値画像と中間調画像の両方のスムージング拡大処理を計算負荷が高くなることなく行うことができる。
【0152】請求項14及び15記載の発明によれば、注目画素を含む画素ブロックを抽出し、抽出された画素ブロックの画像データを拡大のための色空間データに変換し、注目画素を取り囲む画素ブロックから特徴情報を算出するので、対象画像全部を読み込んだ後、画像の特徴を判定するという時間の損失がない。また、画素ブロック単位で適した処理が選択されるので、誤分離の影響も少ない。さらに、前記変換工程で変換された色空間において前記画像データを拡大する複数の拡大手段を有し、これらの拡大手段から前記算出された特徴情報に応じて1つの拡大手段を選択して拡大し、拡大された画像データを所望の色空間データに変換して拡大画像として出力するので、適した色空間データで拡大され、高画質な拡大画像を得ることができる。
【0153】請求項16記載の発明によれば、整数倍率算出手段により入出力画像サイズ及び倍率から整数倍率を算出し、整形手段により拡大手段によって整数倍率で拡大された画像を所望の大きさに合わせるので、整数倍された拡大画像をジャギー低減の効果を失うことなく、所望する任意のサイズに変形することができる。また、エッジ部の色ずれも起こらない。
【0154】請求項17記載の発明によれば、注目画素を含む画素ブロックから特徴情報を算出し、注目画素を拡大した後、前記特徴情報に応じた変換を行うので、低解像度画像の拡大において、鮮鋭度を保持し、ジャギー低減を実現できる。
【0155】請求項18記載の発明によれば、特徴情報に応じた変換特性を生成する変換特性生成手段をさらに備え、拡大手段は生成された前記変換特性で拡大画素を変換するので、特徴情報に応じて、適応的に強調処理が行え、鮮鋭度を落とすことなく画像データを拡大することができる。
【0156】請求項19記載の発明によれば、変換時に使用する複数の変換テーブルをさらに備え、選択手段によって特徴情報に応じて前記服すの変換テーブルから1つの変換テーブルを選択し、選択された変換テーブルに基づいて拡大した画素を変換するので、強調処理を行う際に、高速で処理することが可能になる。
【0157】請求項20記載の発明によれば、画像情報は輝度・色差信号であり、輝度信号の拡大は線形補間によって行われ、輝度信号から特徴情報を生成し、前記特徴情報に応じた変換は、拡大後の輝度信号に対して行うので、輝度、色差信号による拡大で色ずれが発生することはない。また、強調処理は輝度信号のみで行うため、高速で処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の要部の拡大処理部を示すブロック図である。
【図2】図1における拡大処理部における処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図1におけるパターン処理部の各ファイルの具体的な内容を示す説明図である。
【図4】第1色空間から第2色空間に原画の画素ブロックを変換し、原画を拡大するときの手法を示す説明図である。
【図5】ドット配置情報の作成手順を示すフローチャートである。
【図6】画素ブロックを分割し、分割したブロックの情報で注目画素を含む画像ブロックのパターン検索を行うときの分割状態を示す説明図である。
【図7】分割した画素ブロックの画素を用いて2byteコードを生成したときの10進数との関係を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るカラー画像処理装置を示すブロック図である。
【図9】図8のM×Nバッファの構成を示す説明図である。
【図10】図8の2値化部の処理例を示す説明図である。
【図11】図8の埋め込み部の埋め込み処理を示す説明図である。
【図12】図8のカラー画像処理装置のスムージング拡大処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施形態に係るカラー画像処理装置を示すブロック図である。
【図14】第3の実施形態における3値化処理を示す説明図である。
【図15】第3の実施形態におけるスムージング拡大処理を示す説明図である。
【図16】第3の実施形態におけるスムージング拡大処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】ニアレストネイバー法とバイリニア法を示す説明図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図19】第4の実施形態に係る画像処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第5の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図21】第5の実施形態に係る画像処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図22】第5の実施形態の整数倍拡大部における拡大手段の色数だけから選択する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図23】第5の実施形態の整数倍拡大部における拡大手段の色数と色相から選択する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図24】第5の実施形態の整数倍拡大部における拡大手段の色数、色相、画素の連結情報から選択する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図25】画素の連結情報の生成について説明するための図である。
【図26】整数倍率算出部の動作を説明するための図である。
【図27】整形部の動作を説明するための図である。
【図28】RGB1画素を整数倍率に応じて単純に拡大するときの拡大方法の一例を示す図である。
【図29】本発明の第6の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図30】第6の実施形態に係る画像処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図31】拡大部におけるバイリニア法として知られた拡大方法の詳細を説明するための図である。
【図32】拡大部で拡大した全画素を特徴量により正規化する強調処理部の処理手順を示すフローチャートである。
【図33】強調処理部の変換特性を示す説明図である。
【図34】本発明の第7の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図35】第7の実施形態に係る画像処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図36】倍率間の整数倍に当たる重み係数を予め算出しておき、倍率の入力に応じて、拡大部に重み係数を設定して拡大する構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
100 拡大処理部
110 ファイル部
111 パターンファイル
112 ドット配置ファイル
113 画素参照ファイル
120 パターン生成部
130 パターン検索部
140 埋め込み処理部
141 埋め込み部
142 単純埋め込み部
150 整数倍率
160 画素ブロック
801 RGB/YIQ変換部
802 M×Nバッファ
803 2値化部
803a T値化部
804 パターンマッチング処理部
805 パターン記憶部
806 埋め込み部
806−1 単純埋め込み部
806−2 テンプレート埋め込み部
806−3 テンプレート記憶部
807 色成分拡大部
808 YIQ/RGB変換部
809 端数変倍部
810 倍率演算部
811 合成部
1801 M×N画素ブロック
1802 第1の色空間データ変換部
1803 第1の拡大手段
1804 第2の拡大手段
1805 第3の拡大手段
1806 第4の拡大手段
1807,2006 選択部
1808 第2の色空間データ変換部
1809,2002 特徴量算出部
2001 RGB:M×N画素ブロック
2003 RGB/YIQ変換部
2004 輝度Y:M×N画素ブロック
2005 整数倍拡大部
20051 第1の拡大手段
20052 第2の拡大手段
20053 第3の拡大手段
20054 第4の拡大手段
2007 整形部
2008 YIQ/RGB変換部
2009 整数倍率算出部
2901,3401 拡大部
29011 Y信号拡大部
29012 I,Q信号拡大部
2902,3402 強調処理部
2903 特徴情報演算部
3403 特徴情報算出部
3404 重み係数設定部
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、プリンタ、複写機あるいはファクシミリなどの画像形成装置や情報処理装置の表示画像の画像処理や、デジタルカメラ画像、インターネットホームページなどモニタ解像度レベルの画像を高解像度化してプリントアウトしたり表示したりする場合の画像処理に好適で、比較的低階調の連続調のカラー画像データを比較的高階調の画像に拡大する処理に適用される画像処理装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の従来例としては、例えばA.特開平5−094521号公報B.特開平6−189116号公報C.特開平7−050752号公報D.特開平7−093563号公報E.特開平7−105359号公報F.特開平7−221976号公報G.特開平7−221977号公報H.特開平7−262351号公報I.特開平7−288693号公報J.特開平10−126609号公報などの各公報に開示された発明が知られている。
【0003】このうち、パターンマッチングによる密度変換に関するものとして、特開平7−221976号公報(F)には、2値画像データをテンプレートとマッチングをとり、マッチングしたパターンに対応するスムージング拡大パターンにより着目画素を2値拡大ドット群にスムージング拡大し、それを拡大率に応じて1つ以上の画素に分割し、その画像毎に平滑化処理して多値化し、その際使用するテンプレートパターンを複数の平滑化パターン群に分け、パターン群に分けその群に応じてマッチングする優先順位を設定するようにしたことが開示されている。また、特開平7−221977号公報(G)には、2値画像データをFAXで受信したとき、その受信データに応じて変倍率を算出する手段と、前記2値画像データに対して着目画素を中心とする所定領域毎にテンプレートマッチング処理を施す手段と、テンプレートマッチング処理の結果、マッチングしたテンプレートパターンに応じて前記着目画素を複数の多値のスムージング拡大画素に変換する演算手段と、演算手段で使用する多値のスムージング拡大画素のデータを算出された変倍率に応じて予め内部のRAMに転送する手段とを設け、FAXで受信した2値画像データのスムージング拡大処理を確実に行えるようにしたことが開示されている。
【0004】また、特開平7−50752号公報(C)には、ブロックの各画素のデータに基づいて、ブロック内のエッジを検出し、パターンを満足した場合、密度変換を行うように構成したものが開示され、特開平7−288693号公報(I)には、パターンマッチングの高速化を図るために、目標画素に隣接するx*y画素のブロックを、埋めこむパターンの検索用として用いるようにした技術が開示されている。しかし、前記(C)の従来技術では、プリンタドライバなど、ソフトウエアにおける実現の際のパターン検索の高速化に関しては開示されていない。
【0005】また、特開平10−126609号公報(J)には、像域分離手段を持ち、分離結果で処理を切り替えて拡大し、所定の解像度のファクシミリ2値画像をスムージング拡大処理する方法が開示されている。また、特開平7−262351号公報(H)における「従来の技術」の欄には、特願平6−4424号を挙げて輝度信号のエッジの微小成分をパターンマッチングすることにより全ての特徴点を見つけ出し、個々の特徴点を結ぶベクトルを抽出してこのベクトルを拡大率に応じて補正し、補正後のベクトルにしたがって輪郭を描画して塗りつぶす方法についての記載がある。
【0006】また、特開平5−94521号公報(A)には、入力画像または部分に適した変倍方法を判別し、拡大する技術、言い換えれば画像に応じて適切な拡大処理を行う技術が開示され、特開平6−189116号公報(B)には、加算結果の小数部と拡大率とを加算する手段を持ち、加算結果の整数部に応じた拡大を行い、主走査方向及び副走査方向とも任意倍率で拡大する技術が開示されている。
【0007】また、特開平7−093563号公報(D)には、入力画像データを輝度・色差データに変換し、輝度データでエッジを生成し、この情報を基に色差データのエッジを生成して拡大する技術、言い換えれば、入力画像と別の色空間のデータに変換後、拡大する技術が開示されている。この従来技術では、輝度エッジビットマップを作成し、これに基づいて色差成分の最大値、最小値を配置し、輝度・色差のエッジを生成するようになっているが、この技術では、ブロック内のエッジと色の組み合わせによっては、色ずれが生じる場合がある。
【0008】さらに、特開平7−105359号公報(E)には、線形補間とその補間結果を2値化したものを加算合成して拡大する技術が開示されているが、拡大後のデータを2値化し、2値化前のデータと加算合成する工程を備えているので、処理の高速化については、改善の余地がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記(F)及び(G)の従来技術は、2値画像を変倍する技術に関するもので、フルカラー画像を対象とする場合の処理については特に開示されてはいない。
【0010】また、前記(I)の従来技術では、拡大用の全パターンを保持するので、ジャギー低減効果を得るために、パターンサイズを大きくする場合の検索方法に課題が残ってしまう。
【0011】さらに、前記(F)及び(J)の従来技術では、値が「0」、「255」のような白地上の黒文字、線画の2値画像の拡大時のジャギーを低減するのみであるので、写真画像のような中間調画像をスムージング拡大処理することができない。このため、デジタルスチルビデオカメラの画像やインターネットのホームページに見られる72dpi程度の低解像度の画像を600程度の高解像度のプリンタにより出力する場合に、ジャギーやボケを低減することができない。また、写真と比べてエッジが目立つビットマップ状のグラフィック画像に対しても同様である。また、前記(J)の従来技術は、あくまで2値画像に関する技術であり、RGBなどのカラー要素からなる画像の変倍については何ら配慮されておらず、また、開示もない。
【0012】また、前記(H)の従来技術では、ベクトル演算によりスムージング拡大処理するので、計算負荷が高くなってしまう。
【0013】また、前記(A)の従来技術では、前述のように画質に応じた拡大処理を行う技術が開示されているが、ジャギー低減効果のある低解像度を拡大する技術については開示がない。なお、ここでいうジャギー(jaggy)とは、デジタル画像において、斜めの線を表現したときに生じる階段状のギザギザのことである。ジャギーは画像の解像度が低いと発生しやすく、デジタル画像がピクセルを単位としている限り、本質的にジャギーは不可避である。このジャギーを目立たなくする方法として、例えばアンチエイリアシング(anti-aliasing)という手法が知られている。この手法には、解像度を上げることによって実質的にジャギーを見えにくくする方法と、ジャギーの発生しているピクセルの周囲をぼかすことによってジャギーを目立たなくさせる方法とがある。
【0014】また、前記(B)の従来技術は、2段階に分けて変倍を行う技術であるが、単純拡大を基本とする技術であり、ジャギー低減やエッジ部の色ずれなどは配慮されていない。
【0015】本発明は、このような背景に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、フルカラー画像に対応し、ソフトウエアによる実現においても、高速にパターンマチング処理可能な画像処理装置を提供することにある。
【0016】また、第2の目的はフルカラー画像における任意の整数倍率に対応可能な画像処理装置を提供することにある。
【0017】また、第3の目的は、2値画像と中間調画像の両方のスムージング拡大処理を計算負荷が高くなることなく行うことができるカラー画像処理装置及び方法を提供することにある。
【0018】また、第4の目的は、誤分離の影響が少なく高速で処理でき、しかも高画質な拡大画像を得ることができる画像処理方法及び装置を提供することにある。
【0019】また、第5の目的は、ジャギー低減と共に任意倍率で拡大、かつ、RGB多値データを扱うことができ、エッジ部に色ずれが生じることのない画像処理装置を提供し、さらには、前記画像処理を高速で実行できる画像処理装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成するため、第1の手段は、パターンマッチング結果に基づいて画像を拡大する処理を行う画像処理装置において、補正対象のパターン毎、かつ、倍率毎に拡大画素のドット配置情報を保持する手段と、パターンマッチング結果及び倍率から1つのドット配置情報を抽出する手段とを備えた構成とした。
【0021】この場合、前記ドット配置情報を抽出する手段は、ある倍率における拡大画素のドット配置情報を有し、このドット配置情報に基づいて、他の倍率の拡大画素ドット配置情報を作成するようにした。なお、この第1の手段の構成は、後述の第1の実施形態の図1に示した構成に対応し、同図では、前記拡大画素のドット配置情報を保持する手段、及び、パターンマッチング結果及び倍率から1つのドット配置情報を抽出する手段にはドット配置ファイル112が対応する。
【0022】さらに、原画である第1色空間データから画素ブロックを切り出し、異なる第2色の空間データへ変換し、第2色空間データを用いてパターンマッチングを行う手段と、パターン毎に、パターン内のどの画素情報で拡大した画素を埋めるかの情報を有し、この情報と一致する第1色空間の画素データを用いて拡大画素を埋める手段とを備えるようにした。後述の実施形態では、パターンマッチングを行う手段にはパターン生成部120及びパターン検索部130が対応し、拡大画素を埋める手段には埋め込み処理部140が対応する。
【0023】その際、第2色空間データが輝度(明度)、色相、彩度の3要素を表す色空間である場合には、パターンマッチングは前記3要素のうちの少なくとも1つの要素を用いて行うようにするとよく、また、第2色空間データが輝度、2つの色差の3要素(輝度:1要素、色差:2要素)を表す色空間である場合には、パターンマッチングは前記3要素のうちの少なくとも1つの要素を用いて行うようにするとよい。
【0024】なお、これらの場合、画素ブロックをN分割し、分割したブロックの情報で注目画素を含む画素ブロックのパターン検索を行う手段を設けるとよい。
【0025】前記第2の目的を達成するため、第2の手段は、比較的低階調の連続調のカラー画像データを画素毎にT(Tは2以上の整数)値化するT値化手段と、前記T値化手段によりT値化された画像データとジャギーが発生するパターンをマッチングして一致するか否かを判定するパターンマッチング手段と、前記パターンマッチング手段によりジャギーが発生するパターンと判定された場合に、前記T値化された画像データに対して画素データをジャギーが発生しないように埋め込んでスムージング拡大処理して比較的高階調の拡大画像を生成する埋め込み手段とを備えた構成とした。なお、この構成は後述の第2あるいは第3の実施形態における図8および図13に対応し、T値化手段は図8では2値化部803に、図13ではT値化部803aにそれぞれ対応し、図8R>8および図13ではパターンマッチング手段はパターンマッチング処理部804に、埋め込み手段は埋め込み部806にそれぞれ対応する。
【0026】この場合、拡大倍率に応じて整数倍率と端数倍率を演算する手段を更に備え、前記埋め込み手段により前記整数倍率でスムージング拡大処理した後に、前記端数倍率で拡大処理するとよい。また、前記埋め込み手段は、スムージング拡大処理後の整数倍率毎の複数の画素埋め込みパターンに基づいてスムージング拡大処理を行う。前記端数倍率で拡大処理する場合、例えば、ニアレストネイバー法で行うことができる。なお、前述の図8および図12では、拡大倍率に応じて整数倍率と端数倍率を演算する手段は倍率演算部810に対応する。
【0027】また、RGBデータを明るさ成分の信号と色成分の信号に変換する手段を更に設け、前記パターンマッチング手段により前記変換後の信号をパターンマッチングし、前記埋め込み手段により前記変換後の信号をスムージング拡大処理した後に、元のRGBデータに逆変換するようにすることもできる。その際、前記明るさ成分の信号のみを前記T値化手段によりT値の濃度信号に変換して前記パターンマッチング手段によりパターンマッチングするとよい。前記T値化手段は、例えば、注目画素を含むM×N(M,Nは2以上の整数)画素の多値の画像データに基づいてT値化用の閾値を算出してT値化を行う。なお、前記T値化手段によるT値化用の閾値の算出は、注目画素を含むM×N(M,Nは2以上の整数)画素の多値の画像データの最大値と最小値に基づいて行う。この構成は、後述の第2または3の実施形態に対応する。また、図8および図13では、RGBデータを明るさ成分の信号と色成分の信号に変換する手段には、RGB/YIQ変換部801が対応する。また、埋め込み手段により前記変換後の信号をスムージング拡大処理した後の元のRGBデータへの逆変換はYIQ/RGB変換部808で行われる。
【0028】前記拡大処理は、T≧3の場合、パターンマッチングをT−1回繰り返してT−1回毎の埋め込みにより得られた拡大画像を合成する。その際、濃度が低い画素からオーバライトする。
【0029】前記第2の目的を達成するため、第3の手段は、比較的低階調の連続調のカラー画像データを画素毎にT(Tは2以上の整数)値化する工程と、前記T値化する工程でT値化された画像データとジャギーが発生するパターンをマッチングして一致するか否かを判定する工程と、この判定する工程でジャギーが発生するパターンと判定された場合に、前記T値化された画像データに対して画素データをジャギーが発生しないように埋め込んでスムージング拡大処理して比較的高階調の拡大画像を生成する工程とを含む処理工程とした。
【0030】この場合、拡大倍率に応じて整数倍率と端数倍率を演算する工程を更に設け、前記埋め込んで拡大する工程で前記整数倍率でスムージング拡大処理した後に、前記端数倍率で拡大処理するとよい。また。前記埋め込んで拡大する工程では、スムージング拡大処理後の整数倍率毎の複数の画素埋め込みパターンに基づいてスムージング拡大処理が行われる。なお、端数倍率で拡大処理する場合、例えば、ニアレストネイバー法が適用できる。
【0031】また、RGBデータを明るさ成分の信号と色成分の信号に変換する工程を更に設け、前記パターンマッチングを行う工程で前記変換後の信号をパターンマッチングし、前記埋め込んで拡大する工程で前記変換後の信号をスムージング拡大処理した後に、元のRGBデータに逆変換する。その際、前記明るさ成分の信号のみを前記T値化する工程で濃度信号にT値化し、前記パターンマッチングを行う工程でパターンマッチングする。前記T値化する工程では、注目画素を含むM×N(M,Nは2以上の整数)画素の多値の画像データに基づいてT値化用の閾値を算出してT値化し、T値化用の閾値は、注目画素を含むM×N(M,Nは2以上の整数)画素の多値の画像データの最大値と最小値に基づいて算出される。なお、T≧3の場合、パターンマッチングをT−1回繰り返してT−1回毎の埋め込みにより得られた拡大画像を合成する。その場合、濃度が低い画素からオーバライントする。なお、この第3の手段の構成は、後述の図12及び図13のフローチャートに記載の処理に対応する。
【0032】前記第3の目的を達成するため、第4の手段は、入力された画像データに対して画像の拡大処理を行なう画像処理方法において、注目画素を含む画素ブロックを抽出する工程と、抽出された画素ブロックの画像データを拡大のための色空間データに変換する工程と、注目画素を取り囲む画素ブロックから特徴情報を算出する工程と、前記変換工程で変換された色空間において前記画像データを拡大する複数の拡大手段から前記算出された特徴情報に応じて1つの拡大手段を選択して拡大する工程とを処理工程の中に含み、拡大された画像データを所望の色空間データに変換して拡大画像として出力するように構成した。
【0033】この構成は後述の第4の実施形態に対応し、前記工程は図19のフローチャートに示した手順に対応する。
【0034】前記第4の目的を達成するため、第5の手段は、入力された画像データに対して画像の拡大処理を行なう画像処理装置において、注目画素を少なくとも2つの異なる色空間データで拡大する複数の拡大手段と、注目画素を取り囲む画素ブロックから特徴情報を算出する算出手段と、算出された特徴情報から前記複数の拡大手段のうちの1つを選択する選択手段とを備え、選択した拡大手段によって拡大された画像を出力するように構成した。
【0035】この場合、入出力画像サイズ及び倍率から整数倍率を算出する整数倍率算出手段と、前記拡大手段によって整数倍率で拡大された画像を所望の大きさに合わせる整形手段とをさらに設けると良い。
【0036】なお、前記特徴情報の1つは、注目画素を取り囲む画素ブロックにおける色数である。また、他の1つは、色数と色相であり、さらに他の1つは、注目画素を取り囲む画素ブロックにおける色数、色相、および画素の連結情報である。
【0037】この第5の手段の構成は図20のブロック図に示した構成に対応し、拡大手段は整数倍数拡大部2005に、算出手段は画像特徴量算出部2002に、選択手段は拡大手段選択部2006にそれぞれ対応する。また、整数倍数算出手段は整数倍数算出部2009に、整形手段は整形部2007にそれぞれ対応する。
【0038】前記第5の目的を達成するため、第6の手段は、入力された画像データに対して画像の拡大処理を行なう画像処理装置において、注目画素を含む画素ブロックから特徴情報を算出する算出手段と、注目画素を拡大する拡大手段と、前記拡大手段による画像の拡大後、前記特徴情報に応じた変換を行う処理手段とを備えた構成とした。
【0039】なお、前記特徴情報としては、前記画素ブロックにおける最大値と最小値の差分が使用される。
【0040】また、前記特徴情報に応じた変換特性を生成する変換特性生成手段をさらに備え、前記拡大手段は拡大画素を生成された前記変換特性で変換するように構成することもできる。
【0041】さらに、変換時に使用する複数のテーブルを設け、前記特徴情報に応じて1つのテーブルを選択し、選択されたテーブルに基づいて拡大した画素を変換するように構成することもできる。
【0042】これらの場合、画像情報は輝度・色差信号であり、前記拡大手段による輝度信号の拡大は線形補間によって行われ、前記特徴情報は輝度信号から生成し、前記特徴情報に応じた変換は拡大後の輝度信号に対して行う。
【0043】また、前記拡大は、整数倍率毎に線形補間の重み係数を有し、設定された整数倍率から前記重み係数を選択することにより行うようにすることができる。
【0044】この第6の手段の構成は、図29のブロック図に示した構成に対応し、算出手段は特徴情報算出部2903に、拡大手段は拡大部2901に、処理手段は強調処理部2902にそれぞれ対応する。また、画像情報として輝度・色差信号を用いる場合は、図34のブロック図に示した構成で行われる。その際、輝度信号の拡大はY信号拡大部34011で、色差信号の拡大はI,Q信号拡大部34012で行われる。なお、線形補間の重み係数は、重み係数設定部3404に設定される。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0046】<第1の実施形態>図1は本発明の実施形態に係る画像処理装置の拡大処理を行う処理部の要部を示すブロック図である。同図において、拡大処理部100は、ファイル部110、パターン生成部120、パターン検索部130、及び埋め込み処理部140からなり、ファイル部110にはさらにパターンファイル111、ドット配置ファイル112及び画素参照ファイル113が設けられ、埋め込み処理部140には、埋め込み部141と単純埋め込み部142とが設けられている。
【0047】前記ドット配置ファイル112には図示しない操作部から整数倍率を指示する指示信号150が入力され、画素参照ファイル113とパターン生成部120には画素ブロックを示す信号160が入力される。パターン検索部130には前記パターン生成部120で生成した信号が入力され、前記パターンファイル111との参照に応じて前記埋め込み処理部140の埋め込み部141または単純埋め込み部142のいずれかの出力をスイッチ170の切り替えにより選択して、埋め込み処理部140から拡大画像を出力するようになっている。なお、埋め込み処理部140には、前記ドット配置ファイル112あるいは画素参照ファイル113からの信号が入力される。
【0048】パターンファイル111には、後述の図3に示すようなパターンが、ドット配置ファイル112には、整数倍率に応じて後述の図3に示すようなパターンが、画素参照ファイル113には、図3に示すような画素に対応したファイルがそれぞれ格納されている。
【0049】なお、前記各ファイルは図示しない記憶部に設定され、前記各処理部および各ファイルの制御は図示しないROMに格納されたプログラムにしたがい、前記CPUによって実行される。以下の各実施形態においても同様である。
【0050】このように大略構成された拡大処理部の処理手順を図2のフローチャートに示す。
【0051】この処理では、まず、入力された整数倍率に対応するドット配置ファイル112を選択し(ステップ201)、原画からM×N画素ブロックを切り出し、パターンを生成する(ステップ202)。ドット配置ファイル112は図3では8倍の例を示しているが、図1において2倍からZsで示される各整数倍に対応するドッド配置パターンが格納されている。
【0052】パターン検索部130では生成したパターンがパターンファイル(PAT0からPATx-1の全x個)111中に一致するものがあるか、ないかを検索する。すなわち、x個のパターンPAT0〜PATx-1毎に、どのように注目画素の拡大画素を配置するかの情報であるドット配置ファイル112が整数倍率毎に格納されており、入力された整数倍率150(例えば8倍)により、対応するドット配置ファイル112が1つ選択される(ステップ203)。また、パターンが一致したとき(ステップ204でY)、この結果と整数倍率から、1つのドット配置ファイル112が決まる。さらに、このドット配置ファイル112には、画素ブロックのどの位置の画素情報で拡大画素を埋めるかという画素参照情報が格納されているため、ドット配置情報が決まると同時に、1つの画素参照情報が決まる。そこで、パターンが一致したとき、埋め込み部141でドット配置情報、画素参照情報を選択し(ステップ205)、拡大画素を生成して画素を埋める(ステップ206)。また、非一致のときには、単純埋め込み部142で画素ブロックの注目画素を用いて整数倍率分の画素を埋める(ステップ207)。これを、原画全画素に対して実行する。
【0053】ここで、図3の説明図を参照し、各ファイルと埋め込みの関係について説明する。
【0054】パターンファイル111において、各丸記号は、○:0、●:1、他:白でも黒でもよい(don't care)を意味する。
【0055】各パターン毎にドット配置情報が対応している。すなわち、PAT0からPATx-1の各パターンごとに、ドット配置情報が対応しており、図3に示した例では主副走査方向同倍率の8倍のドット配置ファイル112である。ドット配置ファイル112は前述のように装置でサポートする整数倍率毎に保持されている。さらに、同様にx個のパターン情報に1対1で画素参照情報(画素参照ファイル113)が保持されている。そこで、i番目のPATiに注目すると、パターン情報の中心にある注目画素は「白」すなわち「0」である。このことは、ドット配置情報(ドット配置ファイル112)における「0」部を埋めるblt0情報は、パターン情報5×5(M=N=5)の座標(2,2)に位置する原画の画素ブロック値で埋めるという情報を示している。また、blt1情報はドット配置情報の「1」部に相当する画素を同様に(2,3)の値で埋めるという情報を示している。なお、座標(j,k)の原点は、図3のパターンファイルにおける左上であって、blt0及びblt1情報は(0,0)から(4,4)で5×5の25画素に対応している。
【0056】図4はRGB各画素ブロック5×5の中心である(2,2)の画素を8倍する例である。RGB原画(第1色空間)から5×5画素ブロックを切り出し,第2色空間へ変換する。この図4の例は、輝度色差信号の輝度データを使う例である。変換の結果、図4(a)に示す原画RGB3ブロックから図4(b)に示す輝度1ブロックが得られる。今、輝度ブロックがパターンファイルPATiと一致したとする。パターンファイルには1つのドット配置パターンと画像参照ファイルblt0,blt1が対応している。5×5の中心1画素は図4(c)に示す最下の8×8画素に拡大される。このとき,拡大R’ブロック○,●の塗り潰しは原画における座標blt0,blt1に相当するデータR0,R1で行なう。G及びBも同様である。
【0057】前述の様に、パターン検索部130で検索した結果、一致したパターンがある場合、原画の画素ブロックにおいて画素参照情報(画素参照ファイル113)に該当する画素データRGB値でドット配置情報(ドット配置ファイル112)に従って拡大画素を埋める。一致するパターンがないときは、画素ブロック中央の注目画素のRGB値で全拡大画素分を埋める。前者の場合には、埋め込み部141が選択され、後者の場合には単純埋め込み部142が選択され、各部で前記処理を実行する。
【0058】前記ドット配置情報の作成について、図5のフローチャートを参照して説明する。例えば、図3にある8倍用のドット配置ファイルのみを保持し(基本パターンをセット−ステップ501)、ファイル部110ではこの基本パターンから、幅8画素×高さ(8画素×x個)画素のイメージ:0→0、1→255とし、B/W8bitに変換する(ステップ502)。幅、または高さをサポートする整数倍率に相当する画素値で線形補間し(ステップ503)、2値化を行う(ステップ504)。最後に、0→0、255→1への逆変換で他の整数倍率用パターンを生成し、拡大に使用する。
【0059】パターン生成部120におけるパターンの生成は、以下のようにして行われる。すなわち、RGBから輝度、色相、彩度への変換例としてHSV、HLSなどのカラーモデルがあり、輝度・色差信号への変換例としてYIQ、YUVなどのカラーモデルが知られている。ここで、HSV色空間を例に挙げ説明する。この色空間では色相H:0〜360°、彩度S:0〜1の値を取る。したがって、色相の場合、M=N=5の25画素から、Hの最大値、最小値を求め、その平均値でM×N画素ブロックを2値化し、パターンを生成する。彩度や他の要素についても同様である。
【0060】YIQ各プレーンの場合も同様に、各プレーン毎に最大値、最小値、その平均値を求め、平均値で2値化し、パターンを生成後にパターンマッチングを行う。なお、このRGBからHSV,HLSなどへの変換の手法や、YIQ、YUVなどへの変換の手法などは、例えば、今宮淳美訳「コンピュータ・グラフィクス」(日本コンピュータ協会昭和59年7月15日発行)の第622頁ないし第629頁に詳しく述べてあるので、ここでの説明は省略する。また、パターン検索部130におけるパターン検索のハードウエアによる方法としては特開平7−221977号公報に一つの例が開示されている。
【0061】このパターンマッチングを、プリンタドライバに組み込んでPC上で実行させるときは、ソフトウエアによる高速化を図る必要がある。すなわち、MとNのブロックサイズが大きくなると、検索の計算負荷が増大する。また、図3のパターン情報を見ると、「0」、「1」のどちらでも良いdon't careが存在するため、M×N画素の全画素を2進数化し、検索すると膨大なメモリが必要となる。そこで、図6の説明図に示すように、M×N画素ブロックを複数に分ける。この図6では2分割した例を挙げた。この図6を参照しながら説明する。
【0062】すなわち、M=N=5画素ブロックから太枠で示した3×3の9画素=9bitを用いて、2byteコードを生成する。前述の図3におけるPATiはdon't careを考慮し、2進数:001001111→10進数:79、2進数:101001111→10進数:335となる。x個全パターンの2byteコードを生成する。当然、図7に示すように1つの2byteコードに複数のパターンが存在することもある。この9画素の情報により、多くのパターンの中から絞込みが行える(同図中のPAT番号欄)。次に、残りの16画素の情報を用いて、1つのパターンを決定する。
【0063】この残りの16画素の情報を用いて1つのパターンを決定する場合には、図7に示したように中央の9画素からパターンの候補が絞られる。例えば、10進数で79のときはPAT9,PAT24の2つのパターンに絞られることになる。そこで、残り16画素からPAT9及びPAT24、それ以外を決定する。このとき、パターンは絞られているから、残り16画素を1画素ずつ一致、不一致で調べる必要はない。すなわち、PAT9における周囲画素でdon't care以外の特徴ある画素のみを参照すれば済む。例えば、PATiのときは、(3,0)が○であるか否かで決まる。この様に、周囲の特徴画素をパターン毎に登録しておき、参照することで高速化が図れる。途中、不一致となった場合は、以降の画素の検索を終える。他に、中央の9画素同様、パターンマッチングを取る手法もある。
【0064】<第2の実施形態>以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図8は本発明に係るカラー画像処理装置の一実施形態を示すブロック図、図9は図8のM×Nバッファの構成を示す説明図、図10は図8の2値化部の処理例を示す説明図、図11は図8の埋め込み部の埋め込み処理を示す説明図、図12は図8のカラー画像処理装置のスムージング拡大処理手順を示すフローチャートである。
【0065】図8において、RGB/YIQ変換部801は入力画像であるRGBデータを明るさ成分と色成分に変換し、ここでは次式(1)
【数1】
により多値のYIQ信号に変換する。YIQ信号はNTSC方式のテレビジョンに順する輝度信号(明るさ成分)Yと色差信号(色成分)I、Qにより構成され、輝度信号YはM×Nバッファ2に印加され、色差信号I、Qは色成分拡大部7に印加される。なお、他の明るさ成分と色成分として、PAL方式のYUV(明るさ成分Y、色成分U、V)や、均等色空間CIELAB、CIELUV(明るさ成分L*、色成分a*、b*又はu*、v*)や、三刺激値XYZ(明るさ成分Y、色成分X、Y)を用いてもよい。
【0066】M×Nバッファ2は例えば図9に示すように、RGB/YIQ変換部1により変換された多値の輝度信号Yの5×5画素分(中心画素「*」が注目画素)を一時記憶する。2値化部3はM×Nバッファ2に記憶されている5×5画素の輝度信号Yの最大値maxと最小値minを抽出して次式(2)
th=(max+min)/2 …(2)
のように2値化用閾値thを算出し、この閾値thにより例えば5×5画素の多値輝度信号Yを2値化濃度データに変換する(Y>thの場合に2値化濃度データ=0、他の場合に2値化濃度データ=1)。
【0067】したがって、例えば図10(a)に示すように5×5画素の領域において左上に高輝度画素(低濃度画素)が分布し、右下に低輝度画素(高濃度画素)が分布する場合には、図10(b)に示すように左上に2値化濃度データ=0が分布し、右下に2値化濃度データ=1が分布する2値化濃度データに変換される。
【0068】パターンマッチング処理部4は2値化部3により変換された2値化濃度データと、例えば図11(a)に示すようにパターン記憶部5に予め記憶されている5×5画素の2値化濃度データの複数のパターンとマッチングして、ジャギーが発生するエッジ等か否かを示す一致/不一致信号を出力する。なお、図11(a)における「−」は「0」、「1」を問わない(don't care)ことを示し、また、図11(b)は縦8倍×横8倍の拡大時の埋め込み処理を示している。
【0069】埋め込み部806はパターンマッチング処理部4によりマッチングが「不一致」の場合に単純埋め込み部4−1による処理を選択し、他方、「一致」の場合にテンプレート埋め込み部806−2及びテンプレート記憶部806−3による処理を選択して、倍率演算部810により指定された整数倍率に応じて2値化濃度データを拡大する。単純埋め込み部806−1は図11(a),(b)の上側に示すように、拡大後の例えば8×8画素に対しては全て注目画素の2値化濃度データ=1を埋め込む。
【0070】テンプレート埋め込み部806−2はテンプレート記憶部806−3に記憶されている2値テンプレートに基づいてジャギーが発生しないように2値濃度データの埋め込みを行い、例えば図11(a),(b)の下側に示す図面は、右上コーナー部を白画素(2値化濃度データ=0)で埋め込むことを示している。このとき、図11(b)における2値化濃度データ=1は注目画素の2値化データで埋め込み、2値化濃度データ=0の画素については、注目画素に隣接する5×5画素における画素〔1〕、〔2〕、〔3〕に該当する2値化濃度データで埋め込む(単純に画素〔1〕で埋め込むなど)。なお、この隣接画素からどのデータを活用して埋め込むかは、予めパターン毎に決められている。
【0071】色成分拡大部807はRGB/YIQ変換部801により変換された多値の色差信号I、Qを倍率演算部810により指定された整数倍率に応じて、例えばニアレストネイバー法やバイリニア法のような公知の拡大方法で拡大する。YIQ/RGB変換部808は埋め込み部806により拡大された2値化濃度信号及び色成分拡大部807により拡大された色差信号I、Qと式(1)により、元のRGB信号に逆変換してこれを端数変倍部809に印加する。
【0072】ここで、入力倍率zoomは整数倍とは限らない。そこで、倍率演算部810は入力倍率zoomに基づいて次式(3)、(4)
zoom1=INT(zoom+0.5) …(3)
zoom2=zoom/zoom1 …(4)
により整数倍率zoom1と端数倍率zoom2を演算し、整数倍率zoom1を埋め込み部806および色成分拡大部807に印加し、また、端数倍率zoom2を端数変倍部9に印加する。例えば指定倍率または指定画像サイズに基づいて8.33倍が与えられた場合、zoom1=8、zoom2=1.041となる。端数変倍部809はYIQ/RGB変換部808により変換されたRGB信号をこの端数倍率zoom2に応じてニアレストネイバー法(後述)で拡大する。
【0073】次に図12を参照してスムージング拡大処理手順について説明する。この処理では、まず、倍率演算部810により入力倍率zoomから整数倍率zoom1と端数倍率zoom2を算出し(ステップ1201)、次いで整数倍率zoom1に相当するテンプレートをテンプレート記憶部806−3からテンプレート埋め込み部806−2にセットし(ステップ1202)、次いで端数倍率zoom2を端数変倍部809にセットする(ステップ1203)。次いで全画像の処理が終了した場合にはこのスムージング拡大処理を終了し、全画像の処理が終了していない場合にはステップ1204からステップ1205に進む。
【0074】ステップ1205ではバンド処理が終了した場合には端数変倍処理を行い(ステップ1206)、次いでステップ1204に戻る。ステップ1205においてバンド処理が終了していない場合にはステップ1207に進む。ここで、「バンド処理」とは、対象画素を縦方向に分割して処理することである。ステップ1207では明るさ成分(2値化濃度データ)の拡大処理が終了している場合には色成分(色差信号I、Q)の拡大処理を行い(ステップ1208)、次いでステップ1205に戻る。
【0075】ステップ1207において明るさ成分(2値化濃度データ)の拡大処理が終了していない場合には、RGB/YIQ変換部801によりRGB信号をYIQ信号に変換してY信号をM×Nバッファ802に保持し(ステップ1209)、次いで2値化部803によりM×N画素のY信号に基づいて2値化用閾値thを算出し(ステップ1210)、この閾値thによりM×N画素のY信号を2値化濃度データに変換する(ステップ1211)。
【0076】次いでパターンマッチング処理部4によりマッチング処理を行い(ステップ1212)、次いでマッチング処理結果が「一致」の場合には一致したパターンに対応したテンプレートを参照して画素データを埋め込み(ステップ1213→1214)、「不一致」の場合には注目画素データを埋め込む(ステップ1213→1215)。次いでステップ1207に戻って明るさ成分(2値化濃度データ)の拡大処理が終了するまでステップ1209〜1215における処理を繰り返す。
【0077】<第3の実施形態>図13は輝度信号YをT(>2の整数)値化を行ってスムージング拡大処理を行う第3の実施形態の構成を示している。この実施形態は図8に示した第2の実施形態に対して2値化部803をT値化部803aに変更し、埋め込み部806の後段に合成部811を付加したもので、その他の構成は図8に示した第2の実施形態と同等に構成されている。
【0078】図13に示すT値化部803aは、M×Nバッファ802に記憶されている5×5画素の輝度信号Yの最大値maxと最小値minを抽出して次式 th(T−1)={t×max+(T−t)×min}/T …(5)
但し、t=T−1,…,1により(T−1)個のT値化用閾値th(T−1)を算出し、これにより輝度信号YをT値化濃度データに変換する。
【0079】図14はT値化の例として3値化処理を示している。図14(a)に示すように5×5画素の輝度信号Yがmax=240min=60の場合には、高輝度(低濃度)側の閾値th1=180、低輝度(高濃度)側の閾値th2=120となる。次いで3値化を行ってY>th1の場合に「0」、Y≦th1の場合に「1」とすると図14(b)に示す濃度データとなり、また、次いでY>th2の場合に「0」、Y≦th2の場合に「1」とすると図14(c)に示す濃度データとなる。
【0080】ここで、注目画素が閾値th1、th2毎にパターンと一致する組み合わせは、(1)0,0(2)0,1(3)1,0(4)1,1の4通り(1)〜(4)である。そこで、上記(1)の場合には双方ともに「不一致」であるので「単純埋め込み処理」を実行し、上記(2)、(3)の場合には「一致」であるので、対応するテンプレートを基づいて「テンプレート埋め込み処理」を実行する。上記(4)の場合にはパターンマッチング処理を2回行って合成部11により埋め込みデータを合成する。合成処理については、低濃度(高輝度)画素から埋め込み、閾値th2に対応する高濃度側では「1」の画素のみをオーバライトする。これにより、図15に示すような拡大画素において3種類の明るさを処理することができるので、影付き文字についても高画質で拡大処理することができる。
【0081】次に図16を参照して第3の実施形態におけるスムージング拡大処理手順について説明する。まず、ステップ1601〜1609における処理は、第2の実施形態における図12のフローチャートのステップ1201〜1209における処理と同じである。次いでT値化部803aによりM×N画素のY信号に基づいて閾値thを算出し(ステップ1610)、この閾値thによりY信号をT値化濃度データに変換する(ステップ1611)。
【0082】次いでステップ1612において(T−1)回のパターンマッチング処理が終了していない場合にステップ1613以下に進み、終了している場合にステップ1617に進む。ステップ1613以下ではまず、パターンマッチング処理部804によりマッチング処理を行い(ステップ1613)、次いでマッチング処理結果が「一致」の場合には一致したパターンに対応したテンプレートを参照して画素データを埋め込み(ステップ1614→1615)、「不一致」の場合には注目画素データを一時的に埋め込む(ステップ1614→1616)。次いでステップ1612に戻って(T−1)回のパターンマッチング処理が終了するまでステップ1613〜1615における処理を繰り返す。そして、(T−1)回のパターンマッチング処理が終了すると合成処理を行い(ステップ1617)、ステップ1607に戻る。
【0083】次にニアレストネイバー法とバイリニア法について説明する。ニアレストネイバー法は、例えば図1717(a)に示すような4×4画素における注目画素「*」は4角の画素a、b、c、d中の最も近い画素(この例では画素a)のデータで埋める方法である。バイリニア法は例えば図17(b)に示すような4×4画素における注目画素「*」は4角の画素a、b、c、dと注目画素「*」の重みi、jに基づいて埋める方法である。例えば、図17(b)の例では、*=(i−1)・(j−1)・a+i・(j−1)・b+(i−1)・j・c+i・j・dというようにして埋めるものである。なお、バイリニア方法の詳細は図31を参照して後述する。
【0084】また、この実施形態で説明した処理は、デジタルカメラの画像を高解像度化して大画像をプリントする場合に、転送時間を節約するため送り側コンピュータで単純に間引いて相手先のプリンタやコンピュータに直接又はネットワークを介して転送し、相手先のプリンタ内のコントローラや相手先のコンピュータのソフトウエアによりスムージング拡大処理する場合にも適用することができる。
【0085】<第4の実施形態>図18は第4の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【0086】同図において、画処理装置は、RGBの原画像データが入力されるM×N画素ブロック抽出部1801と、抽出された画素ブロックが入力される第1の色空データ変換部1802と、第1の色空間データ変換部1802で変換された色空間データが入力される第1ないし第4の拡大手段1803,1804,1805,1806と、第1ないし第4の拡大手段1803,1804,1805,1806のいずれかの出力を選択する選択部1807と、選択部1807で選択されたデータをさらに変換する第2の色空間データ変換部1808と、抽出された前記M×N画素ブロックから注目画素に関する特徴量を算出し、その特徴量に応じて前記選択部1807を介して拡大手段1803〜1806を選択させる特徴部算出部1809とから構成されている。
【0087】このように構成された画像処理装置の動作は図19のフローチャートに示すようになる。すなわち、M×N画素ブロック抽出部1801で入力されたRGBの原画像データからM×Nの画素ブロックを抽出し(ステップ1901)、異なる拡大方法をとる第1ないし第4の拡大手段1803〜1806への入力となる各色空間データへ、第1の色空間データ変換部1802で変換する(ステップ1902)。特徴量算出部1809では、前述のようにM×N画素ブロック1801から特徴量を算出し(ステップ1903)、拡大に適した拡大方法を第1ないし第4の拡大手段1803〜1806から1つ選択し(ステップ1904)、注目画素を拡大する。その後、第2の色空間データ変換部1808で所望の色空間データへと変換する(ステップ1905)。この処理を全画素で繰り返す。
【0088】すなわち、この実施形態では、まず第1工程で、M×N画素ブロック抽出部1801で入力されたRGBの原画像データからM×Nの画素ブロックを抽出し、第2工程で、異なる拡大方法をとる第1ないし第4の拡大手段1803〜1806への入力となる各色空間データへ、第1の色空間データ変換部1802で変換する。一方、第3工程でM×N画素ブロック抽出部1801から特徴量を算出し、第4工程で、拡大に適した拡大手段を第1ないし拡大手段1803〜1806から1つ選択して注目画素を拡大する。その後、第5工程で第2の色空間データ変換部1808で所望の色空間データへと変換して出力する。
【0089】なお、この実施形態は、本発明の最も基本的な動作原理の一例を示すもので、第1ないし第4の拡大手段1803〜1806としては、第5の実施形態において詳述するようにRGBデータを拡大する機能を有するものや、RGBデータをRGB多値データに拡大する機能を有するものなどが採用され、特徴量に応じて処理するに適した拡大手段1803〜1806が適宜設定され、用意される。
【0090】特徴量としては、例えばM×N画素ブロックの最大値と最小値の差などが使用される。また、選択部1807における選択も、後述の第5の実施形態で詳述するような色数、色相などに応じて設定された拡大法が前記特徴量に基づいて選択される。
【0091】<第5の実施形態>第5の実施形態に係る画像処理装置の構成を図20のブロック図に示す。この実施形態は、RGB色空間、YIQ色空間(輝度・色差信号、他にYUV信号など、これに準じる信号を指す)のデータを拡大する複数の拡大手段を持つ例である。
【0092】同図において、第5の実施形態に係る画像処理装置は、RGB画像データが入力され、M×Nの画素ブロックを抽出するRGB:M×N画素ブロック抽出部2001、このM×N画素ブロック抽出部2001からの画像データに基づいて画像の特徴量を算出する画像特徴量算出部2002、RGB原画像データが入力されRGBデータからYIQデータに変換するRGB/YIQ変換部2003、このRGB/YIQ変換部2003で変換されたYIQデータから輝度Yに関するM×N画素ブロックを抽出する輝度Y:M×N画素ブロック抽出部2004、RGB:M×N画素ブロック抽出部2001からのデータと輝度Y:M×N画素ブロック2004からのデータが入力される整数倍拡大部2005、前記画像特徴量算出部2002での算出結果に応じて整数倍拡大部2005の第1〜第4の拡大手段20051,20052,20053,20054を選択する選択部2006、整数倍率による拡大画像の大きさを所望の拡大画像の大きさに整形する情報を生成し、整形を行う整形部2007、整形部2007に選択部2006の選択に応じてYIQ/RGB変換データを変換して入力するYIQ/RGB変換部2008、および画像サイズと倍率とから拡大する整数倍率を算出し、整数倍拡大部2005と整形部2007とに倍率を出力する整数倍率算出部2009から構成されている。なお、拡大部、特徴量、整数倍率算出部、および整形部については後述する。
【0093】このように構成された画像処理装置の処理手順を図21のフローチャートに示す。この処理では、まず、整数倍率算出部2009で入力された画像サイズと倍率とに基づいて拡大する整数倍率を算出し(ステップ2101)、整形部2007で所望の大きさにする情報を生成する(ステップ2102)。次いで、RGB原画像をYIQデータに変換する(ステップ2103)。この変換はRGB/YIQ変換部2003で行なわれる。そして、注目画素を囲むM×N画素ブロックから特徴量を算出し(ステップ2105)、算出した特徴量に基づいて第1ないし第4の拡大手段20051〜20054から1つの拡大手段を選択する(ステップ2106)。拡大手段が選択されると、その選択した拡大手段によって注目画素を拡大し(ステップ2107)、YIQ空間からRGB空間への変換が必要かどうかをチェックし(ステップ2108)、変換が必要であれば、YIQ/RGB変換部2008で前記変換を実行し(ステップ2109)、不要であれば、直接、整形が必要かどうかをチェックする(ステップ2110)。このチェックで整形が必要であれば、整形を実行し(後述)、不要であれば整形を行なわないでステップ2104で全画素に対してステップ2105からステップ2111までの処理が終了したかどうかを確認する。そして、全画素に対して前記処理が終わった時点で拡大処理を終える。
【0094】この実施形態において、前記整数倍拡大部2005は、前述のように第1ないし第4の拡大手段20051〜20054を備えている。第1の拡大手段20051はRGBデータを拡大する機能を備えており、例えば、前述のニアレストネイバー法、バイリニア法などが使用できる。第2の拡大手段20052はYIQデータを拡大する機能を備え、輝度データ拡大部200521と色差データ拡大部200522とを有し、輝度信号(Yデータ)に対しては輝度データ拡大部200521でバイリニア法が適用され、色差信号(I,Qデータ)に対しては色差データ拡大部20522でアレストネイバー法が適用される。第3の拡大手段20053はRGBデータをRGB多値データに拡大する機能を備えており、例えば、特開平7−221976号公報あるいは特開平7−221977号公報に開示された方法が採用される。また、第4の拡大手段20054はRGBデータを拡大する機能、例えば第3の拡大手段20053を変形した拡大機能を備えている。このような拡大手段によって当該拡大手段が有する拡大機能に応じて必要な画像データが入力される。なお、このような種々の拡大機能は画像の状態や色空間の種類など応じて公知の手法が適用され、組み合わされる。前述の拡大手段の機能はその一例である。
【0095】前述の図20のブロック図および図21のフローチャートから分かるように、整数倍率算出部2009では、入出力画像サイズ、倍率などの情報から整数倍率を算出し、特徴算出部2002では、抽出された画素ブロックから、拡大手段の選択に必要な特徴情報を算出する。そして、整数倍拡大部2005で算出された特徴情報を基に、1つの拡大手段を拡大手段選択部2006で選択する。そして、選択された注目画素を整数倍拡大する。
【0096】整形部2007では整数倍率による拡大画像の大きさを所望する拡大画像の大きさに整形する情報を生成し、整形を行う。
【0097】整数倍拡大部2005における拡大手段の選択例の処理手順を図22、図23及び図24のフローチャートに示す。この選択は特徴量算出部2002における色数/色相の検出部20021と画素の連結情報生成部20022における算出結果に応じて行われる。この実施形態は最大色数が4であり、図22ないし図24のフローチャートはこの色数を前提としている。この内、図22は色数、図23はは色数と色相、図24は色数、色相、画素の連結情報による選択例である。これにより、複数ある拡大手段20051〜20054から1つの拡大手段が選択される。
【0098】具体的には、図22のフローチャートでは、まず、色数が1であれば(ステップ2201でY)選択部2006のSW0がオンになり、第1の拡大手段20051からのRGBデータが整形部2007に入力される。色数が2であれば(ステップ2202でY)、選択部2006のSW1がオンになり第3の拡大手段20053からのRGBデータと輝度データ(Yデータ)が整形部2007に入力される。色数が3であれば(ステップ2203でY)、選択部2006のSW2がオンになり、第4の拡大手段20054からのRGBデータと輝度データ(Yデータ)が整形部2007に入力される。色数が4であれば(ステップ2203でN)、選択部2006のSW3がオンになり、第2の拡大手段20052からの輝度データ(Yデータ)と色差データ(Iデータ及びQデータ)が選択され、YIQ/RGB変換部2008でRGBデータに変換した上で、整形部2007に入力される。なお、ステップ2203の判定で色数が3でなければ、SW3がオンになり第2の拡大手段20052が選択される。
【0099】このように処理すると、色数のみの少ない特徴情報で複数の拡大法を選択し、ジャギー低減と共に画素の拡大を行うことができる。
【0100】図23のフローチャートでは、色数が1であれば(ステップ2301でY)選択部2006のSW0がオンになり、第1の拡大手段20051からのRGBデータが整形部2007に入力される。色数が2であれば(ステップ2302でY)、選択部2006のSW1がオンになり第3の拡大手段20053からのRGBデータと輝度データ(Yデータ)が整形部2007に入力される。色数が3であれば(ステップ2303でY)、さらに全色相が一致するかまたは類似するかをチェックし(ステップ2304)、一致または類似すればSW3をオンし、一致も類似もしなければSW1をオンにする。色数が4であれば(ステップ2305でY)、さらに全色相が一致するかまたは類似するかを調べ、一致または類似すればSW3をオンし、一致も類似もしなければSW1をオンにする。ステップ2305の判定で色数が4でなければ、SW3をオンする。なお、この図2323のフローチャートで選択されたSWは図20のブロック図に示した拡大手段20051〜20054を選択して整形部2007に入力する。
【0101】このように処理すると、色数と色相の組み合わせにより、アンチエイリアシング文字/線画に対してもジャギー低減と共に拡大ができる。
【0102】図24のフローチャートでは、色数が1であれば(ステップ2401でY)選択部2006のSW0がオンになり、第1の拡大手段20051からのRGBデータが整形部2007に入力される。色数が2であれば(ステップ2402)、選択部2006のSW1がオンになり第3の拡大手段20053からのRGBデータと輝度データ(Yデータ)が整形部2007に入力される。色数が3であれば(ステップ2403でY)、さらに全色相が一致するかまたは類似するかをチェックし(ステップ2404)、一致も類似もしなければSW1をオンにし、一致または類似すれば、後述の画素の連結情報を生成する(ステップ2405)。画素の連結情報は特徴量算出部2002で生成される。そして、生成された画素の連結情報から連結ありと判断されれば、SW2をオンし、連結なしと判断されればSW3をオンする。また、色数が4であれば(ステップ2407でY)、さらに全色相が一致するかまたは類似するかを判断し(ステップ2408)、一致または類似すればSW3をオンし、一致も類似もしなければSW1をオンにする。ステップ2407の判定で色数が4でなければ、SW3をオンする。なお、この図24のフローチャートで選択されたSWは図20のブロック図に示した拡大手段20051〜20054を選択して整形部2007に入力する。
【0103】なお、色数が1の場合は、例えば第1の拡大手段20051は、図28に示すように、RGB1画素を整数倍率Zsに応じて単純に拡大する。単純に拡大するとは、例えば、Zs=3のとき、Zs×Zs画素全ての値を原画その値で埋めるという単純に拡大する手法である。
【0104】このように処理すると、色数と色相、画素の連結の組み合わせにより、アンチエイリアシング文字/線画、さらに影付き文字/線画に対してもジャギー低減と共に画素の拡大を行うことができる。
【0105】ステップ2405における画素の連結情報の生成は以下のようにして行われる。すなわち、図25に示すように、注目画素*を囲むM×N画素(図では5×5画素)において、輝度データで画素の連結判定が行われる。輝度のM×N画素は色数=3、つまり、輝度は最大値Ymax、最小値Ymin、中央値Ymidで構成されている。そこで、Ymid値と一致する画素を1、それ以外を0とすれば、Ymidの連結情報が得られる。図25に示した例では、縦に1画素の繋がりがある例である。また、幅2画素、かつ、2連結で連結ありとしてもよい。
【0106】図26は整数倍率算出部2009の動作を説明するための説明図である。整数倍率算出部2009では、所望する整数倍率を予め2〜Zmax(倍)と設定しておく。 ここでは、簡単のため主副同倍率での例で説明する。
【0107】入力X方向(主走査方向)画素数をXin、出力X方向画素数をXout、また、入力倍率を Zinとしたとき、入力倍率は、Zin=Xout/Xinであり、この値は2〜Zmax間にある。このとき、図26R>6に示す階段特性により整数倍率Zsを算出する。また、特性を±0.5とずらしても良い。このZsの倍率に応じて整数倍拡大部は拡大を行う。この例では、倍率Zが、2.5≦Z<3.5のとき、Zs=3として算出され、この整数倍率「3」が整数倍拡大部305と整形部307に出力される。
【0108】図27は整形部2007の動作について説明するための説明図である。整形部2007では、図26R>6に示した整数倍率算出部2009の特性から、例えば2.5倍≦Zin<3.0倍 → 間引きZin=3.0倍 → 整形なし:整数拡大そのまま3.0倍<Zin<3.5倍 → 追加の情報が既知である。よって、間引き、追加の整形を要する場合の画素数Spixは、Spix=Xin×|Zin−Zs|となり、整形ピッチpitは、pit=Zs/|Zin−Zs|で求めることができる。そして、拡大した画素をカウントしていき、整形ピッチpitの整数値と一致 したとき、間引き、あるいは追加を行う。一致後、整形ピッチpitは自らの値を加算する。
【0109】図27は倍率が3近辺の時を示している。Zin=3は整形なしで1画素が3×3画素に拡大された例である(図27(a))。間引きのときは、図27(b)で点線でに示すように1:縦3画素2:横3画素3:縦横3画素がそれぞれ間引かれる。追加の場合は、図27(c)に示すように斜線部に当たる部分を、1:左画素の値を単純にコピーして埋める。
2:上画素の値を単純にコピーして埋める。
3:左画素の値をコピーして埋め、さらに上画素の値をコピーして埋める。
というようにして追加を行う。これによりジャギーの低減を図ることができる。
【0110】このように整数倍率拡大部2005のいずれかの拡大手段20051〜20054によって整数倍率で拡大された画像を整形部2007で所望の大きさに合わせるので、整数倍された拡大画像をジャギー低減の効果を失うことなく、所望する任意のサイズに変形することができる。また、エッジ部の色ずれも起こらない。
【0111】<第6の実施形態>この実施形態は、従来において拡大後のデータを2値化し、2値化前のデータと加算合成する工程が必要であり、処理の高速化に対応できていなかったことに鑑み、更に高速な処理を実現できるように構成したものである。
【0112】この第6の実施形態に係る画像処理装置の構成を図29のブロック図に、この画像処理装置の処理手順を図30のフローチャートにそれぞれ示す。
【0113】図29において、画像処理装置は、拡大部2901と、強調処理部2902と、特徴情報算出部2903とからなり、拡大対象である画像から、注目画素*を囲むM×N画素ブロックが拡大部2901と特徴情報算出部2903に入力され、同ブロックの特徴を示す特徴情報を特徴情報算出部2903で算出し(ステップ3001)、また、拡大部2901で注目画素はP×Q画素ブロックに拡大され(ステップ3002)、特徴情報に応じて、強調処理部2902で全画素P×Qの強調処理が行われる(ステップ3003)。注目画素を1画素毎にずらしていき、この処理を全画素分繰り返す。
【0114】このように処理すると、注目画素を含む画素ブロックから特徴情報を算出し、注目画素を拡大した後、前記特徴情報に応じた変換を行うので、低解像度画像の拡大において、鮮鋭度を保持し、ジャギー低減を実現できる。
【0115】拡大部2901においては線形補間法による拡大を行う。この線形補間法として一般に知られているバイリニア法に前にも簡単に触れているが、さらに詳しく図31を用いて説明する。
【0116】図31に示すように、例えばM=N=3とする3×3画素ブロックがP0〜P8で与えられ、注目画素がP4であり、この注目画素P4が、例えば4倍に拡大される場合(P=Q=4)、拡大後の画素PxはP400〜P433の16画素となる。16画素の補間の際、P0〜 P8のうち、どの画素を用いて補間するのかは、P400、P401、P410、P411については、P0、P1、P3、P4、P402、P403、P412、P413については、P1、P2、P4、P5、P420、P421、P430、P431については、P3、P4、P6、P7、P422、P423、P432、P433については、P4、P5、P7、P8、のそれぞれ4点を使用し、拡大後の画素は、この4点と、その距離i、jを重みとする係数a、b、c、dから線形式 P400=(1−i)(1−j)P0/a+i(1−j)P1/b +(1−i)jP3/c+ij/dP4 ・・・(6)
で算出される。
【0117】他の拡大法としてはバイキュービック法などがある。バイキュービック法はバイリニア法より高画質が得られるが、計算負荷が高い。なお、このバイキュービック法自体は公知なので、ここでの説明は省略する。
【0118】特徴情報算出部2903では、M×N画素ブロック内の最大値Max、最小値Minを抽出し、その差分Range=Max−Minを算出し、この差分Rangeを特徴情報とする。
【0119】このように特徴情報が画素ブロックにおける最大値と最小値の差分なので、各ブロックにおけるこれらの情報を用いることにより、ブロック単位に的確な強調処理を掛けることができる。
【0120】強調処理部2902では、図32のフローチャートに示すように拡大部2901で拡大した全画素Pxを特徴量により正規化する。そして、正規化後の画素データPx'を Px'=(Px−Min)/Range ・・・(7)
で求める(ステップ3201)。
【0121】次いで、特徴情報である差分Rangeに応じて、変換特性(後述)を生成し(ステップ3202)、Px‘を変換しPx“を得る(ステップ3203)。さらに、 Pxout=Px“×Range+Min ・・・(8)
で逆正規化を行い、拡大後の強調データPxoutを求める(ステップ3204)。
【0122】この強調処理部2902の変換特性は図33R>3のようになる。すなわち、入出力は共に正規化された値なので縦軸、横軸共に0〜1のレンジを取る。特徴情報Rangeの大きさにより、図33(a)から(c)へと変換特性を適応的に生成する。
【0123】Rangeが小さいときは図33(a)に示すようなスルー特性 Px“=Px‘ ・・・(9)
で変換し、大きいときは図33(c)に示すような 0≦Px‘<0.5 のとき Px“=0 それ以外 Px“=1 ・・・(10)
という2値特性で変換する。中間的な変換特性は図33(b)に示すようなものとなる。
【0124】可変の仕方はRangeと対応させて、予め関数を定義する方法と何段階か特性を用意し、Rangeの値に応じて1つ選択する方法がある。前者の方法では無段階特性が実現できる。
【0125】関数の一例:0≦Px‘<0.5のときPx“=(−0.6×Range+1)×Px’それ以外 Px“=(−0.6×Range+1)×Px’+0.6*Range ・・・(11)
このように、Rangeの大きさと対応付けを行っておく。
【0126】また、例で挙げた0.5のしきい値、及び、直線0−t1、直線t2−t3の傾きをRangeに応じて可変することも可能である。
【0127】他に、何段階か特性を用意し、Rangeの値に応じて1つ選択する方法としては、例えば 大中小の3つに分類し、小:図33(a)、中:図33(b)、大:図33(c)を選択するように設定しておくことで実現できる。Rangeを細かくしていくと、当然ながら、無段階の関数定義に近づく。
【0128】前記拡大部2901では、このようにして生成された変換特性で拡大画素を変換するので、特徴情報に応じて、適応的に強調処理が行え、鮮鋭度を落とすことなく画像データを拡大することができる。
【0129】本実施形態によれば、変換時に使用する複数の変換テーブルを備え、特徴情報に応じて1つの変換テーブルを選択し、選択された変換テーブルに基づいて拡大した画素を変換するので、強調処理を行う際に、高速で処理することが可能になる。
【0130】<第7の実施形態>この実施形態は、輝度信号と色差信号を使用して拡大処理を行なう例である。
【0131】この実施形態に係る画像処理装置は、拡大部3401、強調処理部3402及び特徴情報算出部3403からなり、前記拡大部3401はさらに、Y信号拡大部34011とI,Q信号拡大部34012とからなる。
【0132】Y信号拡大部34011には、輝度Y信号(以下、「Y信号」と称す。)の注目画素*を囲むM×N画素ブロック(図34では、3×3)が入力され、拡大される。I,Q信号拡大部17012には、色差I、Q信号(以下、「I信号、Q信号」と称する。)が入力され、同様に拡大される。
【0133】このときの処理手順を図35のフローチャートに示す。すなわち、この処理では、まず、Y信号M×N画素ブロックから特徴情報算出部3403で特徴情報を算出する(ステップ3501)。特徴情報は、・最大値Ymax・最小値Ymin・差Yrange=Ymax−Yminの3つの情報である。
【0134】そして、算出した特徴情報を強調処理部3402にセットし、Y信号を拡大する(ステップ3503)。次いで、拡大したY信号を強調処理し(ステップ3504)、I,Q信号を拡大する(ステップ3505)。
【0135】YIQ信号の拡大については、1)Y信号、I、Q信号について線形補間法(例:バイリニア法など)を使用する。
2)Y信号について線形補間法(例:バイリニア法など)によって拡大し、I、Q信号については単純拡大法(同じ値でコピーする)を使用する。などの方法がある。
【0136】その際、Y信号の拡大法が線形補間法であり、かつ、注目画素の拡大倍率が固定であるとき、図31R>1における重み係数i、j(図では16画素毎の4つの重み係数)は定数となる。つまり、i、jを毎回計算する必要はない。
【0137】また、拡大部3401で拡大する倍率が例えば2〜15倍(ここでは主走査、副走査方向は同倍率とする)である場合は、図36に示すように拡大部3401に対して重み係数設定部3404で前記倍率間の整数倍に当たる重み係数を予め算出しておき、倍率の入力に応じて、拡大部3401に重み係数をセットして拡大するようにすれば処理の高速化を図ることができる。
【0138】この実施形態によれば、画像情報は輝度・色差信号であり、前記拡大部3401における輝度信号の拡大は線形補間によって行われ、特徴情報算出部3403では特徴情報が輝度信号(Y信号)から生成され、前記特徴情報に応じた変換は、拡大後の輝度信号に対して行うので、輝度、色差信号による拡大で色ずれが発生することはない。また、強調処理部3402における強調処理は輝度信号のみで行うため、高速で処理することができる。
【0139】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明によれば、補正対象のパターン毎、かつ、倍率毎に拡大画素のドット配置情報を有し、パターンマッチング結果及び倍率から1つのドット配置情報を抽出するので、パターンマッチング法を用いて、フルカラー画像について高速に任意の整数倍率の拡大が実現できる。
【0140】請求項2記載の発明によれば、予め設定された倍率における拡大画素のドット配置情報を有し、このドット配置情報に基づいて、他の倍率の拡大画素ドット配置情報を作成するので、基準パターンのみ保持していればよく、これによって、メモリ容量の低下が図れる。
【0141】請求項3記載の発明によれば、原画である第1色空間データから画素ブロックを切り出し、異なる第2色の空間データへ変換し、第2色空間データを用いてパターンマッチングを行うとともに、パターン毎にパターン内のどの画素情報で拡大した画素を埋めるかの情報を有し、この情報と一致する第1色空間の画素データを用いて拡大画素を埋めるので、入力色空間が例えばRGBの場合、RGB各プレーンでパターンマッチングを行うと色ずれが生じるが、適した色空間へ変換することで、この色ずれを防止することができる。
【0142】請求項4記載の発明によれば、第2色空間データは輝度(=明度)、色相、彩度の3要素を表す色空間であり、パターンマッチングは前記3要素のうちの少なくとも1つの要素を用いて行うので、画素ブロック内の色相が異なる2色で塗りつぶされているとき、色相1プレーンで2色を分離できる。また、同色相で構成されている影付き文字/線画は彩度が異なるため、彩度1プレーンで2色を分離でき、的確にパターンマッチングを行うことができる。
【0143】請求項5記載の発明によれば、第2色空間データは輝度、色差の3要素(輝度:1要素、色差:2要素)を表す色空間であり、パターンマッチングは前記3要素のうちの少なくとも1つの要素を用いて行うので、色ずれを防止することができる。
【0144】請求項6記載の発明によれば、画素ブロックをN分割し、分割したブロックの情報で注目画素を含む画素ブロックのパターン検索を行うので、ソフトエウアでの実現の際、画素ブロックの大型化、パターン情報のdon't care対応などの増大する要因に対応が可能で、的確に1つのパターンを高速に検索できる。
【0145】請求項7記載の発明によれば、比較的低階調の連続調のカラー画像データを画素毎にT(≧2)値化し、T値化された画像データとジャギーが発生するパターンをマッチングして一致するか否かを判定し、ジャギーが発生するパターンと判定された場合に、T値化された画像データに対して画素データをジャギーが発生しないように埋め込んでスムージング拡大処理して比較的高階調の拡大画像を生成するようにしたので、2値画像と中間調画像の両方のスムージング拡大処理を計算負荷が高くなることなく行うことができる。
【0146】請求項8記載の発明によれば、拡大倍率に応じて整数倍率と端数倍率を演算して、整数倍率でスムージング拡大処理した後に端数倍率で拡大処理するので、実数変倍に対応することができる。
【0147】請求項9記載の発明によれば、スムージング拡大処理後の整数倍率毎の複数の画素埋め込みパターンに基づいてスムージング拡大処理するので、処理を高速化することができる。
【0148】請求項10記載の発明によれば、RGBデータを明るさ成分の信号と色成分の信号に変換して変換後の信号をパターンマッチングし、変換後の信号をスムージング拡大処理した後に元のRGBデータに逆変換するので、エッジの色相が変化することを防止することができる。
【0149】請求項11記載の発明によれば、明るさ成分の信号のみをT値の濃度信号に変換してパターンマッチングするので、処理を高速化することができる。
【0150】請求項12記載の発明によれば、注目画素を含むM×N(M,N≧2)画素の多値の画像データに基づいてT値化用の閾値を算出してT値化するので、高画質で拡大処理することができる。
【0151】請求項13記載の発明によれば、比較的低階調の連続調のカラー画像データを画素毎にT(≧2)値化し、T値化された画像データとジャギーが発生するパターンをマッチングして一致するか否かを判定し、ジャギーが発生するパターンと判定された場合に、T値化された画像データに対して画素データをジャギーが発生しないように埋め込んでスムージング拡大処理して比較的高階調の拡大画像を生成するようにしたので、2値画像と中間調画像の両方のスムージング拡大処理を計算負荷が高くなることなく行うことができる。
【0152】請求項14及び15記載の発明によれば、注目画素を含む画素ブロックを抽出し、抽出された画素ブロックの画像データを拡大のための色空間データに変換し、注目画素を取り囲む画素ブロックから特徴情報を算出するので、対象画像全部を読み込んだ後、画像の特徴を判定するという時間の損失がない。また、画素ブロック単位で適した処理が選択されるので、誤分離の影響も少ない。さらに、前記変換工程で変換された色空間において前記画像データを拡大する複数の拡大手段を有し、これらの拡大手段から前記算出された特徴情報に応じて1つの拡大手段を選択して拡大し、拡大された画像データを所望の色空間データに変換して拡大画像として出力するので、適した色空間データで拡大され、高画質な拡大画像を得ることができる。
【0153】請求項16記載の発明によれば、整数倍率算出手段により入出力画像サイズ及び倍率から整数倍率を算出し、整形手段により拡大手段によって整数倍率で拡大された画像を所望の大きさに合わせるので、整数倍された拡大画像をジャギー低減の効果を失うことなく、所望する任意のサイズに変形することができる。また、エッジ部の色ずれも起こらない。
【0154】請求項17記載の発明によれば、注目画素を含む画素ブロックから特徴情報を算出し、注目画素を拡大した後、前記特徴情報に応じた変換を行うので、低解像度画像の拡大において、鮮鋭度を保持し、ジャギー低減を実現できる。
【0155】請求項18記載の発明によれば、特徴情報に応じた変換特性を生成する変換特性生成手段をさらに備え、拡大手段は生成された前記変換特性で拡大画素を変換するので、特徴情報に応じて、適応的に強調処理が行え、鮮鋭度を落とすことなく画像データを拡大することができる。
【0156】請求項19記載の発明によれば、変換時に使用する複数の変換テーブルをさらに備え、選択手段によって特徴情報に応じて前記服すの変換テーブルから1つの変換テーブルを選択し、選択された変換テーブルに基づいて拡大した画素を変換するので、強調処理を行う際に、高速で処理することが可能になる。
【0157】請求項20記載の発明によれば、画像情報は輝度・色差信号であり、輝度信号の拡大は線形補間によって行われ、輝度信号から特徴情報を生成し、前記特徴情報に応じた変換は、拡大後の輝度信号に対して行うので、輝度、色差信号による拡大で色ずれが発生することはない。また、強調処理は輝度信号のみで行うため、高速で処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の要部の拡大処理部を示すブロック図である。
【図2】図1における拡大処理部における処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図1におけるパターン処理部の各ファイルの具体的な内容を示す説明図である。
【図4】第1色空間から第2色空間に原画の画素ブロックを変換し、原画を拡大するときの手法を示す説明図である。
【図5】ドット配置情報の作成手順を示すフローチャートである。
【図6】画素ブロックを分割し、分割したブロックの情報で注目画素を含む画像ブロックのパターン検索を行うときの分割状態を示す説明図である。
【図7】分割した画素ブロックの画素を用いて2byteコードを生成したときの10進数との関係を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るカラー画像処理装置を示すブロック図である。
【図9】図8のM×Nバッファの構成を示す説明図である。
【図10】図8の2値化部の処理例を示す説明図である。
【図11】図8の埋め込み部の埋め込み処理を示す説明図である。
【図12】図8のカラー画像処理装置のスムージング拡大処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施形態に係るカラー画像処理装置を示すブロック図である。
【図14】第3の実施形態における3値化処理を示す説明図である。
【図15】第3の実施形態におけるスムージング拡大処理を示す説明図である。
【図16】第3の実施形態におけるスムージング拡大処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】ニアレストネイバー法とバイリニア法を示す説明図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図19】第4の実施形態に係る画像処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第5の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図21】第5の実施形態に係る画像処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図22】第5の実施形態の整数倍拡大部における拡大手段の色数だけから選択する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図23】第5の実施形態の整数倍拡大部における拡大手段の色数と色相から選択する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図24】第5の実施形態の整数倍拡大部における拡大手段の色数、色相、画素の連結情報から選択する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図25】画素の連結情報の生成について説明するための図である。
【図26】整数倍率算出部の動作を説明するための図である。
【図27】整形部の動作を説明するための図である。
【図28】RGB1画素を整数倍率に応じて単純に拡大するときの拡大方法の一例を示す図である。
【図29】本発明の第6の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図30】第6の実施形態に係る画像処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図31】拡大部におけるバイリニア法として知られた拡大方法の詳細を説明するための図である。
【図32】拡大部で拡大した全画素を特徴量により正規化する強調処理部の処理手順を示すフローチャートである。
【図33】強調処理部の変換特性を示す説明図である。
【図34】本発明の第7の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図35】第7の実施形態に係る画像処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図36】倍率間の整数倍に当たる重み係数を予め算出しておき、倍率の入力に応じて、拡大部に重み係数を設定して拡大する構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
100 拡大処理部
110 ファイル部
111 パターンファイル
112 ドット配置ファイル
113 画素参照ファイル
120 パターン生成部
130 パターン検索部
140 埋め込み処理部
141 埋め込み部
142 単純埋め込み部
150 整数倍率
160 画素ブロック
801 RGB/YIQ変換部
802 M×Nバッファ
803 2値化部
803a T値化部
804 パターンマッチング処理部
805 パターン記憶部
806 埋め込み部
806−1 単純埋め込み部
806−2 テンプレート埋め込み部
806−3 テンプレート記憶部
807 色成分拡大部
808 YIQ/RGB変換部
809 端数変倍部
810 倍率演算部
811 合成部
1801 M×N画素ブロック
1802 第1の色空間データ変換部
1803 第1の拡大手段
1804 第2の拡大手段
1805 第3の拡大手段
1806 第4の拡大手段
1807,2006 選択部
1808 第2の色空間データ変換部
1809,2002 特徴量算出部
2001 RGB:M×N画素ブロック
2003 RGB/YIQ変換部
2004 輝度Y:M×N画素ブロック
2005 整数倍拡大部
20051 第1の拡大手段
20052 第2の拡大手段
20053 第3の拡大手段
20054 第4の拡大手段
2007 整形部
2008 YIQ/RGB変換部
2009 整数倍率算出部
2901,3401 拡大部
29011 Y信号拡大部
29012 I,Q信号拡大部
2902,3402 強調処理部
2903 特徴情報演算部
3403 特徴情報算出部
3404 重み係数設定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】 入力された画像データに対して画像を拡大する処理を行う画像処理装置において、補正対象のパターン毎、かつ、倍率毎に拡大画素のドット配置情報を保持する手段と、パターンマッチング結果及び倍率から1つのドット配置情報を抽出する手段と、を備え、パターンマッチングの結果に基づいて画像を拡大することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】 前記ドット配置情報を抽出する手段は、予め設定された倍率における拡大画素のドット配置情報に基づいて、他の倍率の拡大画素ドット配置情報を作成することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】 第1色空間データから画素ブロックを切り出し、異なる第2色の空間データへ変換し、第2色空間データを用いてパターンマッチングを行う手段と、パターン毎に、パターン内のどの画素情報で拡大した画素を埋めるかの情報を有し、この情報と一致する第1色空間の画素データを用いて拡大画素を埋める手段と、を備えていることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】 前記第2色空間データは輝度、色相、彩度の3要素を表す色空間であり、パターンマッチングは前記3要素のうちの少なくとも1つの要素を用いて行うことを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】 第2色空間データは輝度と2つの色差の3要素を表す色空間であり、パターンマッチングは前記3要素のうちの少なくとも1つの要素を用いて行うことを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項6】 画素ブロックをN分割し、分割したブロックの情報で注目画素を含む画素ブロックのパターン検索を行う手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】 入力された画像データに対して画像を拡大する処理を行う画像処理装置において、比較的低階調の連続調のカラー画像データを画素毎にT(Tは2以上の整数)値化するT値化手段と、前記T値化手段によりT値化された画像データとジャギーが発生するパターンをマッチングして一致するか否かを判定するパターンマッチング手段と、前記パターンマッチング手段によりジャギーが発生するパターンと判定された場合に、前記T値化された画像データに対して画素データをジャギーが発生しないように埋め込んでスムージング拡大処理して比較的高階調の拡大画像を生成する埋め込み手段と、を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】 拡大倍率に応じて整数倍率と端数倍率を演算する手段を更に備え、前記埋め込み手段により前記整数倍率でスムージング拡大処理した後に、前記端数倍率で拡大処理することを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】 前記埋め込み手段は、スムージング拡大処理後の整数倍率毎の複数の画素埋め込みパターンに基づいてスムージング拡大処理することを特徴とする請求項8記載の画像処理装置。
【請求項10】 RGBデータを明るさ成分の信号と色成分の信号に変換する手段を更に備え、前記パターンマッチング手段により前記変換後の信号をパターンマッチングし、前記埋め込み手段により前記変換後の信号をスムージング拡大処理した後に、元のRGBデータに逆変換することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】 前記明るさ成分の信号のみを前記T値化手段によりT値の濃度信号に変換して前記パターンマッチング手段によりパターンマッチングすることを特徴とする請求項10記載の画像処理装置。
【請求項12】 前記T値化手段は、注目画素を含むM×N(M,N≧2)画素の多値の画像データに基づいてT値化用の閾値を算出してT値化することを特徴とする請求項7ないし11のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項13】 入力された画像データに対して画像の拡大処理を行う画像処理方法において、比較的低階調の連続調のカラー画像データを画素毎にT(Tは2以上の整数)値化する工程と、前記T値化する工程でT値化された画像データとジャギーが発生するパターンをマッチングして一致するか否かを判定する工程と、前記判定する工程でジャギーが発生するパターンと判定された場合に、前記T値化された画像データに対して画素データをジャギーが発生しないように埋め込んでスムージング拡大処理して比較的高階調の拡大画像を生成する工程と、を含んでなることを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】 入力された画像データに対して画像の拡大処理を行なう画像処理方法において、注目画素を含む画素ブロックを抽出する工程と、抽出された画素ブロックの画像データを拡大のための色空間データに変換する工程と、注目画素を取り囲む画素ブロックから特徴情報を算出する工程と、前記変換工程で変換された色空間において前記画像データを拡大する複数の拡大手段から前記算出された特徴情報に応じて1つの拡大手段を選択して拡大する工程と、を含んでなることを特徴とする画像処理方法。
【請求項15】 入力された画像データに対して画像の拡大処理を行なう画像処理装置において、注目画素を少なくとも2つの異なる色空間データで拡大する複数の拡大手段と、注目画素を取り囲む画素ブロックから特徴情報を算出する算出手段と、算出された特徴情報から前記複数の拡大手段のうちの1つを選択する選択手段と、を備え、選択した拡大手段によって拡大した画像を出力することを特徴とする画像処理装置。
【請求項16】 入出力画像サイズ及び倍率から整数倍率を算出する整数倍率算出手段と、前記拡大手段によって整数倍率で拡大された画像を所望の大きさに合わせる整形手段と、をさらに備えていることを特徴とする請求項15記載の画像処理装置。
【請求項17】 入力された画像データに対して画像の拡大処理を行なう画像処理装置において、注目画素を含む画素ブロックから特徴情報を算出する算出手段と、注目画素を拡大する拡大手段と、前記拡大手段による画像の拡大後、前記特徴情報に応じた変換を行う処理手段と、を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項18】 前記特徴情報に応じた変換特性を生成する変換特性生成手段をさらに備え、前記拡大手段は拡大画素を生成された前記変換特性で変換することを特徴とする請求項17記載の画像処理装置。
【請求項19】 変換時に使用する複数の変換テーブルをさらに備え、前記特徴情報に応じて1つの変換テーブルを選択し、選択された変換テーブルに基づいて拡大した画素を変換することを特徴とする請求項17記載の画像処理装置。
【請求項20】 画像情報は輝度・色差信号であり、前記拡大手段による輝度信号の拡大は線形補間によって行われ、前記特徴情報は輝度信号から生成し、前記特徴情報に応じた変換は、拡大後の輝度信号に対して行うことを特徴とする請求項17記載の画像処理装置。
【請求項1】 入力された画像データに対して画像を拡大する処理を行う画像処理装置において、補正対象のパターン毎、かつ、倍率毎に拡大画素のドット配置情報を保持する手段と、パターンマッチング結果及び倍率から1つのドット配置情報を抽出する手段と、を備え、パターンマッチングの結果に基づいて画像を拡大することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】 前記ドット配置情報を抽出する手段は、予め設定された倍率における拡大画素のドット配置情報に基づいて、他の倍率の拡大画素ドット配置情報を作成することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】 第1色空間データから画素ブロックを切り出し、異なる第2色の空間データへ変換し、第2色空間データを用いてパターンマッチングを行う手段と、パターン毎に、パターン内のどの画素情報で拡大した画素を埋めるかの情報を有し、この情報と一致する第1色空間の画素データを用いて拡大画素を埋める手段と、を備えていることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】 前記第2色空間データは輝度、色相、彩度の3要素を表す色空間であり、パターンマッチングは前記3要素のうちの少なくとも1つの要素を用いて行うことを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】 第2色空間データは輝度と2つの色差の3要素を表す色空間であり、パターンマッチングは前記3要素のうちの少なくとも1つの要素を用いて行うことを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項6】 画素ブロックをN分割し、分割したブロックの情報で注目画素を含む画素ブロックのパターン検索を行う手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】 入力された画像データに対して画像を拡大する処理を行う画像処理装置において、比較的低階調の連続調のカラー画像データを画素毎にT(Tは2以上の整数)値化するT値化手段と、前記T値化手段によりT値化された画像データとジャギーが発生するパターンをマッチングして一致するか否かを判定するパターンマッチング手段と、前記パターンマッチング手段によりジャギーが発生するパターンと判定された場合に、前記T値化された画像データに対して画素データをジャギーが発生しないように埋め込んでスムージング拡大処理して比較的高階調の拡大画像を生成する埋め込み手段と、を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】 拡大倍率に応じて整数倍率と端数倍率を演算する手段を更に備え、前記埋め込み手段により前記整数倍率でスムージング拡大処理した後に、前記端数倍率で拡大処理することを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】 前記埋め込み手段は、スムージング拡大処理後の整数倍率毎の複数の画素埋め込みパターンに基づいてスムージング拡大処理することを特徴とする請求項8記載の画像処理装置。
【請求項10】 RGBデータを明るさ成分の信号と色成分の信号に変換する手段を更に備え、前記パターンマッチング手段により前記変換後の信号をパターンマッチングし、前記埋め込み手段により前記変換後の信号をスムージング拡大処理した後に、元のRGBデータに逆変換することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】 前記明るさ成分の信号のみを前記T値化手段によりT値の濃度信号に変換して前記パターンマッチング手段によりパターンマッチングすることを特徴とする請求項10記載の画像処理装置。
【請求項12】 前記T値化手段は、注目画素を含むM×N(M,N≧2)画素の多値の画像データに基づいてT値化用の閾値を算出してT値化することを特徴とする請求項7ないし11のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項13】 入力された画像データに対して画像の拡大処理を行う画像処理方法において、比較的低階調の連続調のカラー画像データを画素毎にT(Tは2以上の整数)値化する工程と、前記T値化する工程でT値化された画像データとジャギーが発生するパターンをマッチングして一致するか否かを判定する工程と、前記判定する工程でジャギーが発生するパターンと判定された場合に、前記T値化された画像データに対して画素データをジャギーが発生しないように埋め込んでスムージング拡大処理して比較的高階調の拡大画像を生成する工程と、を含んでなることを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】 入力された画像データに対して画像の拡大処理を行なう画像処理方法において、注目画素を含む画素ブロックを抽出する工程と、抽出された画素ブロックの画像データを拡大のための色空間データに変換する工程と、注目画素を取り囲む画素ブロックから特徴情報を算出する工程と、前記変換工程で変換された色空間において前記画像データを拡大する複数の拡大手段から前記算出された特徴情報に応じて1つの拡大手段を選択して拡大する工程と、を含んでなることを特徴とする画像処理方法。
【請求項15】 入力された画像データに対して画像の拡大処理を行なう画像処理装置において、注目画素を少なくとも2つの異なる色空間データで拡大する複数の拡大手段と、注目画素を取り囲む画素ブロックから特徴情報を算出する算出手段と、算出された特徴情報から前記複数の拡大手段のうちの1つを選択する選択手段と、を備え、選択した拡大手段によって拡大した画像を出力することを特徴とする画像処理装置。
【請求項16】 入出力画像サイズ及び倍率から整数倍率を算出する整数倍率算出手段と、前記拡大手段によって整数倍率で拡大された画像を所望の大きさに合わせる整形手段と、をさらに備えていることを特徴とする請求項15記載の画像処理装置。
【請求項17】 入力された画像データに対して画像の拡大処理を行なう画像処理装置において、注目画素を含む画素ブロックから特徴情報を算出する算出手段と、注目画素を拡大する拡大手段と、前記拡大手段による画像の拡大後、前記特徴情報に応じた変換を行う処理手段と、を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項18】 前記特徴情報に応じた変換特性を生成する変換特性生成手段をさらに備え、前記拡大手段は拡大画素を生成された前記変換特性で変換することを特徴とする請求項17記載の画像処理装置。
【請求項19】 変換時に使用する複数の変換テーブルをさらに備え、前記特徴情報に応じて1つの変換テーブルを選択し、選択された変換テーブルに基づいて拡大した画素を変換することを特徴とする請求項17記載の画像処理装置。
【請求項20】 画像情報は輝度・色差信号であり、前記拡大手段による輝度信号の拡大は線形補間によって行われ、前記特徴情報は輝度信号から生成し、前記特徴情報に応じた変換は、拡大後の輝度信号に対して行うことを特徴とする請求項17記載の画像処理装置。
【図1】
【図5】
【図6】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図9】
【図10】
【図17】
【図8】
【図11】
【図13】
【図19】
【図22】
【図28】
【図12】
【図14】
【図36】
【図16】
【図29】
【図18】
【図20】
【図25】
【図30】
【図32】
【図33】
【図21】
【図23】
【図24】
【図26】
【図27】
【図31】
【図34】
【図35】
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【図15】
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【図9】
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【図17】
【図8】
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【図13】
【図19】
【図22】
【図28】
【図12】
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【図36】
【図16】
【図29】
【図18】
【図20】
【図25】
【図30】
【図32】
【図33】
【図21】
【図23】
【図24】
【図26】
【図27】
【図31】
【図34】
【図35】
【公開番号】特開2001−188900(P2001−188900A)
【公開日】平成13年7月10日(2001.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−106878(P2000−106878)
【出願日】平成12年4月7日(2000.4.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成13年7月10日(2001.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年4月7日(2000.4.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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