画像処理装置および画像処理方法
【課題】 1つのチップに複数のノズル列が備えられたつなぎヘッドを用いる場合に、つなぎヘッドの重複部のレジずれによる濃度変化を抑制することを目的とする。
【解決手段】 つなぎヘッドの同一の重複部を構成する第1チップと第2チップに関し、第1チップと第2チップで記録するドットが重複するように、各チップへ入力画像データを分配する。
【解決手段】 つなぎヘッドの同一の重複部を構成する第1チップと第2チップに関し、第1チップと第2チップで記録するドットが重複するように、各チップへ入力画像データを分配する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のノズル列をノズルの配列する方向と交差する方向に重複部を有するように配列して記録ヘッドを用いて画像を記録するために、前記重複部に対応する領域の多値画像データを処理する画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のノズルを配列したノズル列を備えたチップを千鳥状に配列した記録ヘッド、所謂つなぎヘッドを用いた記録装置が知られている。つなぎヘッドを用いた記録装置としては、記録ヘッドを記録素子の配列方向と交差する方向に走査させるともに、記録用紙(記録媒体)を記録素子の配列方向に搬送して記録を行うシリアル方式の記録装置が知られている。他の記録方式の記録装置として、記録用紙の記録幅全体に渡ってノズル(吐出口)を配列した記録ヘッドを固定し、記録素子の配列方向と交差する方向に記録用紙を搬送させて記録を行うフルラインタイプの記録装置も知られているである。特に、フルラインタイプの記録装置では、記録媒体の記録幅全体に渡ってノズル(吐出口)を配列した記録ヘッドを用い、記録媒体の搬送に伴って記録幅分の画像記録を連続して行うことで、高速に記録を行うことができる。
【0003】
しかしながら、つなぎヘッドには次の課題がある。すなわち、つなぎヘッドではノズル配列方向と交差する方向にチップ同士が重複する重複部が存在するが、この重複部において様々な原因によりチップ間のレジストレーション(ドットの相対的な記録位置の関係)がずれることがある。そうすると、重複部で濃度ムラや粒状性のムラが発生し、画像の品位を低下させてしまう。チップ間のレジストレーションがずれる原因には、チップの取り付け精度の問題や記録媒体の搬送精度の問題がある。
【0004】
特許文献1には、つなぎヘッドの重複部分に生じるスジ状の画像欠陥を抑制する方法として、各チップの重複部の記録デューティをマスクにより相補的に増減させる方法(以下、グラデーションマスク)が提案されている。
【0005】
また、レジストレーションのずれ(以下、レジずれとも記す)を補償する技術として、特許文献2には、マルチパス記録におけるパス間のレジずれ時における「ロバスト性」を高めるための画像データの処理方法が開示されている。ここで、「ロバスト性」とは様々な誤差に起因する濃度ムラ等に対する耐性を意味する。同文献によれば、様々な記録条件の変動に伴って引き起こされる画像濃度の変動は異なる記録走査に対応する2値の画像データが互いに完全な補完関係にあることに起因することに着目している。そして、上記補完関係が低減されるように異なる記録走査に対応した画像データを生成すれば、「ロバスト性」に優れたマルチパス記録を実現できる、と認識している。
【0006】
そこで、特許文献2の技術では、画像データを2値化前の多値データの状態で複数のプレーンに分割し、分割後の多値データをそれぞれ独立に2値化している。この構成により、異なる記録走査に対応した画像データ同士が互いにずれて記録されても大きな濃度変動が起こらないようにしている。尚、「プレーン」について補足すると、元の画像データから複数の記録走査や複数のノズル列に対応して画像データを分割する場合、元の画像データは分割された複数の画像データの重ねあわせと考えることができる。そのため、分割された各画像データは1つの「プレーン」と捉えることができる。上記の特許文献2では、1回の記録走査(パス)が1つのプレーンに対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−57965号公報
【特許文献2】特開2000−103088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2の発明によれば、パス間でレジずれが発生した場合にも大きな濃度変動が起こらないようにすることができるものの、この特許文献2には、つなぎヘッドの重複部での濃度変化を抑制する方法が明示されていなかった。
【0009】
また、近年では、1つのチップに複数のノズル列を配列させたつなぎヘッドも提案されているが、特許文献2には、このようなつなぎヘッドにおいて、重複部の濃度変動を抑制する手法について何ら言及されていなかった。
【0010】
そこで、本発明は、つなぎヘッドの重複部のレジずれによる濃度変化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、インクを吐出するための複数のノズル列を有する第1チップおよび第2チップを前記ノズル列のノズル配列方向と交差する方向に重複部を有するように配列した記録ヘッドと記録媒体との相対移動によって前記記録媒体に画像を記録するために、前記重複部に相当する入力画像データを処理するための画像処理装置であって、前記重複部に相当する入力画像データを、前記第1チップおよび第2チップの複数のノズル列に分配する分配手段を有し、前記分配手段は、前記入力画像データの少なくとも一部の階調で、前記第1チップと第2チップで記録するドットが重複するように、入力画像データを分配することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、つなぎヘッドの重複部のレジずれによる濃度変化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用可能なインクジェット記録装置の概略図。
【図2】図1のインクジェット記録装置の制御回路の概略ブロック図。
【図3】図1のインクジェット記録装置でのプリント動作を説明する図。
【図4】図1のインクジェット記録装置のプリント部の概略図。
【図5】第1の実施形態の画像データの処理工程を示す図。
【図6】多値の画像データを各ノズル列へ分配方法を説明する図。
【図7】量子化部J07までに実行される処理の具体例を示した図。
【図8】インデックス展開部J08で用いられる処理を説明する図。
【図9】重複部の各ノズル列に適用するマスクを示した図。
【図10】第1の実施形態のマスク処理の概要を説明する図。
【図11】第1チップのマスク展開処理を説明する図。
【図12】第2チップのマスク展開処理を説明する図。
【図13】チップ間のレジずれを説明する図。
【図14】レジずれが発生した場合のドット配置を説明する図。
【図15】比較例におけるマスクの適用方法を説明する図。
【図16】比較例における第1チップのマスク展開処理を説明する図。
【図17】比較例における第2チップのマスク展開処理を説明する図。
【図18】比較例においてレジずれが発生した場合のドット配置を説明する図。
【図19】第2の実施形態の画像データの処理工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明を適用可能なインクジェット記録装置(以下、単に記録装置、またはプリンタとも記す)の概略図である。図1に示すプリンタ100は、インクを吐出する記録ヘッドを記録媒体に対して相対移動させて記録を行うタイプのインクジェット記録装置である。プリンタ100は、シート供給部1、デカール部2、斜行矯正部3、プリント部4、検査部5、カッタ部6、情報記録部7、乾燥部8、シート巻取部9、排出搬送部10、ソータ部11、排出トレイ12、制御部13の各ユニットを備える。記録媒体(シート)は、図中の実線で示したシート搬送経路に沿ってローラ対やベルトからなる搬送機構で搬送され、各ユニットで処理がなされる。
【0015】
シート供給部1は、ロール状に巻かれた連続シートを収納して供給するユニットである。シート供給部1は、2つのロールR1、R2を収納することが可能であり、択一的にシートを引き出して供給する構成となっている。なお、収納可能なロールは2つであることに限定はされず、1つ、あるいは3つ以上を収納するものであってもよい。デカール部2は、シート供給部1から供給されたシートのカール(反り)を軽減させるユニットである。デカール部2では、1つの駆動ローラに対して2つのピンチローラを用いて、カールの逆向きの反りを与えるようにシートを湾曲させてしごくことでカールを軽減させる。斜行矯正部3は、デカール部2を通過したシートの斜行(本来の進行方向に対する傾き)を矯正するユニットである。基準となる側のシート端部をガイド部材に押し付けることにより、シートの斜行が矯正される。
【0016】
プリント部4は、搬送されるシートに対して記録ヘッド14によりシートの上に画像を形成するユニットである。プリント部4は、シートを搬送する複数の搬送ローラも備えている。記録ヘッド14は、シートの最大幅をカバーする範囲に対して、ノズルが形成されたフルラインタイプの記録ヘッドである。複数の記録ヘッドが搬送方向に沿って平行に並べられており、本例では、Bk(ブラック)、Lc(ライトシアン)、Lm(ライトマゼンタ)、Gy(グレー)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の7色の記録ヘッドが配設されている。ノズルからインクを吐出する方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、インクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッドに供給される。
【0017】
検査部5は、プリント部4でシートにプリントされた検査パターンや画像を光学的に読み取って、記録ヘッドのノズルの状態、シート搬送状態、画像位置等を検査するユニットである。カッタ部6は、プリント後のシートを所定長さにカットする機械的なカッタを備えたユニットである。カッタ部6は、シートを次工程に送り出すための複数の搬送ローラも備えている。情報記録部7は、カットされたシートの裏面にプリントのシリアル番号や日付などのプリント情報を記録するユニットである。乾燥部8は、プリント部4でプリントされたシートを加熱して、付与されたインクを短時間に乾燥させるユニットである。乾燥部8は、シートを次工程に送り出すための搬送ベルト及び搬送ローラも備えている。
【0018】
シート巻取部9は、両面プリントを行う際に表面プリントが終了した連続シートを一時的に巻き取るユニットである。シート巻取部9はシートを巻き取るための回転する巻取ドラムを備えている。表面のプリントが済んでカットされていない連続シートは巻取ドラムに一時的に巻き取られる。巻き取りが終わったら、巻取ドラムが逆回転して巻き取り済みシートはデカール部2に供給され、プリント部4に送られる。このシートは表裏反転しているのでプリント部4で裏面にプリントを行うことができる。両面プリントのより具体的な動作については後述する。
【0019】
排出搬送部10は、カッタ部6でカットされ乾燥部8で乾燥させられたシートを搬送して、ソータ部11までシートを受け渡すためのユニットである。ソータ部11は必要に応じてプリント済みシートをグループ毎に排出トレイ12の異なるトレイに振り分けて排出するユニットである。制御部13は、プリンタ全体の各部の制御を司るユニットである。
【0020】
図2は、プリンタの制御ブロック図を示す。制御部13は、CPU1501、ROM1502、RAM1503、各種I/Oインターフェース1504を備えたコントローラ15及び電源1301を有する。プリンタの動作は、コントローラ15又はコントローラ15にI/Oインターフェース1504を介して接続されるホストコンピュータ等の外部機器16からの指令に基づいて制御される。
【0021】
外部機器16からの信号を受けると、コントローラ15は記録ヘッドを用いてシートSに記録するための記録データを作成する。作成された記録データはプリントバッファとしてRAM1503内に蓄えられる。さらに、ヘッドドライバ301にプリントバッファ内のデータを転送する。ヘッドドライバ301は各色の記録ヘッドでインク滴を吐出するためのデータに変換を行い、実際に記録動作が実施される。この様にして、コントローラ15は、後述する画像処理フローを実行する画像処理機能を有する。また、本実施形態の画像処理の詳細については、後述する。
【0022】
また、コントローラ15は搬送系モータドライバ302、検出系モータドライバ303などの各種モータドライバを制御し、搬送モータ304やスキャナモータ305などの駆動源を稼動させることによりシートの搬送動作や検出動作を行う。
【0023】
次に、プリント時の基本動作について説明する。片面プリントと両面プリントとでは、プリント動作が異なるので、それぞれについて説明する。図3(a)は、片面プリント時のプリント動作を説明するための図である。シート供給部1から供給されたシートがプリントされて排出トレイ12に排出されるまでの搬送経路を太線で示している。シート供給部1から供給され、デカール部2、斜行矯正部3でそれぞれ処理されたシートは、プリント部4において表面のプリントがなされる。プリントされたシートは検査部5を経て、カッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎にカットされる。カットシートは、必要に応じて情報記録部7でシートの裏面にプリント情報が記録される。そして、カットシートは1枚ずつ乾燥部8に搬送され乾燥が行なわれる。その後、排出搬送部10を経由して、ソータ部11のトレイ12に順次排出され積載されていく。
【0024】
図3(b)は両面プリント時の動作を説明するための図である。両面プリントでは、表面プリントシーケンスに次いで裏面プリントシーケンスを実行する。表面プリントシーケンスでは、先ず、シート供給部1から検査部5までの各ユニットでの動作は上述の片面プリントの動作と同じである。カッタ部6ではカット動作は行わずに、連続シートのまま乾燥部8に搬送される。乾燥部8での表面のインク乾燥の後、排出搬送部10の側の経路ではなく、シート巻取部9の側の経路にシートが導入される。導入されたシートは、順方向(図面では逆時計回り方向)に回転するシート巻取部9の巻取ドラムに巻き取られていく。プリント部4において、予定された表面のプリントが全て終了すると、カッタ部6にて連続シートのプリント領域の後端がカットされる。カット位置を基準に、搬送方向下流側(プリントがされた側)の連続シートは乾燥部8を経てシート巻取部9でシート後端(カット位置)まで全て巻き取られる。一方、カット位置よりも搬送方向上流側の連続シートは、シート先端(カット位置)がデカール部2に残らないように、シート供給部1に巻き戻される。以上で、表面プリントシーケンスが終了する。
【0025】
表面プリントシーケンスが終了すると、裏面プリントシーケンスに切り替わる。裏面プリントシーケンスでは、先ず、シート巻取部9の巻取ドラムが巻き取り時とは逆方向(図面では時計回り方向)に回転する。巻き取られたシートの端部(巻き取り時のシート後端は、送り出し時にはシート先端になる)はデカール部2に送り込まれる。デカール部2では先とは逆向きのカール矯正がなされる。これは、巻取ドラムに巻かれたシートは、シート供給部1でのロールとは表裏反転して巻かれ、逆向きのカールとなっているためである。その後は、斜行矯正部3を経て、プリント部4で連続シートの裏面にプリントが行なわれる。プリントされたシートは検査部5を経て、カッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎にカットされる。カットシートは両面にプリントされているので、情報記録部7での記録はなされない。カットシートは一枚ずつ乾燥部8に搬送され、排出搬送部10を経由して、ソータ部11のトレイ12に順次排出され積載されていく。以上で、裏面プリントシーケンスが終了する。
【0026】
次に、プリント部4の構成を説明する。プリント部4には、7色のインクに対応して7つの記録ヘッドが配設されている。各記録ヘッドの吐出口(ノズル)の配列は同一であるため、以下では、1つの記録ヘッドに着目して説明する。
【0027】
図4は、記録ヘッド(つなぎヘッド)のノズル配列を説明する概略図である。記録ヘッド14には、第1チップ31、第2チップ32を含む複数のチップがノズル配列方向(本例では、搬送方向と交差する方向)に千鳥状に並べて配置されている。第1チップ31,第2チップ32には、4列のノズル列A〜Dが搬送方向に沿って配置されており、各ノズル列におけるノズル間隔は1200dpiである。また、第1チップ31と第2チップ32は、搬送方向方向において一部のノズルが重複して配置され、重複部を構成している。
【0028】
図5は、多値入力画像データをヘッド駆動データに変換し、この駆動データに基づいて各チップのノズルからインクを吐出するまでの画像データの処理工程を示している。図5は第1チップの画像データ処理フローをいる。第1チップと第2チップの画像処理フローで異なる点は、マスク処理の部分を除いて同じであるので、図5では第1チップの画像データ処理フローについて説明する。尚、後述するように、第1チップと第2チップでさらにインデックス展開を異ならせて、ドット配置パターンの類似度を調整することもできる。
【0029】
先ず、画像入力部J01に、外部に接続されたホスト装置などから記録すべき多値画像データが入力される。本実施形態において、多値画像データの入力解像度は600dpi×600dpiであり、1画素につき8bit256階調で表現される輝度データ(R,G,B)となっている。次に、色変換部J02は、画像入力部J01に入力された多値画像データを、記録装置が使用するインク色に対応した多値の濃度データに変換される。ここでは、各色8bit256階調のデータに変換される。尚、以降の処理は各インク色で共通である。
【0030】
階調補正部J03は、各インク色に分解された多値データに対して階調補正を行う。ムラ補正部J04は、各インク色の多値データを多値データに変換するルックアップテーブルを用いて多値のインク色データの値を変換し、ノズル特性のばらつきに起因したムラの補正を行う。画像データ分割部J05は、多値のインク色データを2つのプレーン1、プレーン2に分割する。本例の画像データ分割部J05は、多値のインク色データの値(階調値)によらず、プレーン1:プレーン2=1:1という分割比率に従って画像データを分割する。
【0031】
量子化部J07は、画像データ分割部J05によって分割された多値の画像データJ06それぞれのプレーンに対し量子化処理を行う。ここでは、各プレーンに対し128階調のデータを8階調に低階調化する。インデックス展開部J08は、量子化部J07で低階調化された多値の画像データを、インデックス展開テーブル(ドット配置パターン)を参照しながらプレーン毎にそれぞれ2値化処理を行う。列分配処理部J09は、インデックス展開された1200dpi×1200dpiの2階調のデータを各ノズル列に分配する。
【0032】
次に、マスク処理部J11は、各ノズル列に分配されたデータについて、重複部分をマスク処理する。上記の一連の処理を経て、第1チップおよび第2チップのA列ないしD列で記録するための2値のデータ(第1チップ用画像データJ12)が完成する。この第1チップ用画像データJ12に基づいて、インク吐出J13され、重複部の画像記録が行われる。
【0033】
次に、図6から図10を用いて、図5の画像データ処理フローの詳細な説明を行う。図6は、画像データ分割部J05によって分割された多値の画像データ各ノズル列への分配を説明する図である。図6に示すように、多値の画像データJ06のうち、プレーン1用の画像データ50はA列およびB列に振り分けられる。一方、プレーン2用の画像データ51はC列およびD列に振り分けられる。
【0034】
次に、図7は画像データ分割部J05〜量子化部J07で実行される処理の具体例を示した図である。図7は、画像データ分割部J05に、例えば600dpi×600dpiの解像度で4画素×4画素で構成される記録すべき多値の画像データ(101301)が入力されときに(a)、このデータを2分割する冷を示している。まず、画像データ分割部J05は、多値の画像の画像データ(101301)はプレーン1用の多値の画像データ(101302)とプレーン2用の多値の画像データ(101305)とに分割する(b)。この際、各画素の画像データの階調値に応じて、多値の画像データを2つのプレーンへの分割比率を異ならせることも可能である。その一例としては、低階調部分ではプレーン1:プレーン2=2:1という分割比率に従って画像データを分割し、高階調部分ではプレーン1:プレーン2=1:1という分割比率に従って画像データを分割する。このような処理によって、プレーン1とプレーン2のドットの重複率を調整することが可能となる。
【0035】
次に、量子化部J07では、画像分割部J05によって分割された多値の画像データ(101302、101305)のそれぞれに対して、誤差拡散法による量子化(低階調化)処理を行う(c)。ここでは、8階調に低階調化を行うものとする。
【0036】
これにより、プレーン1用の低階調化されたデータ(101304)とプレーン2用の低階調化されたデータ(101307)が生成される(d)。尚、本例では、量子化の手段として誤差拡散法を用いているが、他の手段であっても良い。ただし、これらの2つのプレーン間で量子化処理のやり方を異ならせることが好ましく、特に低階調部分では、2つのプレーンを重ねた場合にドット同士が重なる箇所と重ならない箇所が並存するように、量子化処理を行うことが好ましい。例えば、量子化処理として誤差拡散法を用いるのであれば、閾値や誤差分配係数をプレーン間で異ならせるなどして、同じ階調値の画像データが入力されても、量子化処理の結果が同値にならないよう配慮することが望ましい。
【0037】
例えば、図7に示したように、プレーン1用多値データ(101302)に対して、誤差拡散係数Aを用いて誤差拡散を行う。また、プレーン2用多値データ(101305)に対して、誤差拡散係数Aとは異なる誤差拡散係数Bを用いて誤差拡散を行うことにより、量子化後のドット配置をプレーン間で異ならせることができる。尚、図7において※は注目画素を表す。
【0038】
図5に戻るに、量子化部J07で低階調化された多値の画像データは、インデックス展開部J08によって、インデックス展開テーブルを参照しながらプレーン毎にそれぞれ2値化処理を行われる。ここでは、600dpi×600dpiで8階調のデータを1200dpi×1200dpiの3階調のデータに変換する。図8は、インデックス展開部J08で用いられるインデックス展開テーブルの概要を表している。図8(a)はインデックス展開部J07に入力される600dpi×600dpiで8階調の信号値を表している。図8(b)および(c)は、インデックス展開部J07に入力される1200dpi×1200dpiの2階調のテーブルであり、それぞれプレーン1およびプレーン2用のインデックス展開テーブルである。枠内の数字は1200dpi×1200dpiの単位面積に記録されるべきドットの数である。これらのインデックス展開テーブルにより、インデックス展開部J07に入力された600dpi×600dpiで8階調の画像データは、1200dpi×1200dpiの3階調の画像データに変換される。インデックス展開テーブルはプレーン間で同一のものであってもよいが、プレーン間で異なるものであってもよい。また、インデックス展開後の画像データは3階調に限られず、2階調などであってもよい。
【0039】
図5に戻るに、列分配処理部J09は、インデックス展開された1200dpi×1200dpiの2階調のデータを各ノズル列に分配する。ここでは、列分配処理部J09は、ランダムマスク等を用いて各列にほぼ均等なドット数になるように分配する
次に、マスク処理部J11は、重複部分において各列に分配されたデータを間引く、マスク処理する。図9は、本実施形態において、重複部に適用するマスクの例を示した図である。マスク1(52)およびマスク3(54)は排他関係にあり、同様に、マスク2(53)およびマスク4(55)も排他関係にある。いずれのマスクも1200dpi×1200dpiで4画素×4画素であり、搬送方向に繰り返し適用するものとする。これらのマスクは黒色の画素のビットは1であり“ON”を意味する。また、白色の画素のビットは0であり“OFF”を意味する。
【0040】
図10は、本実施形態において、マスク処理の概要を説明するための図である。ここでは、図9で説明したマスクが重複部の各列にそれぞれ適用される。すなわち、第1チップのA列およびB列にはマスク1(52)を、第1チップのC列およびD列にはマスク2(53)をそれぞれ適用する。同様にして、第2チップのA列およびB列にはマスク3(54)を、第2チップのC列およびD列にはマスク4(55)をそれぞれ適用する。
【0041】
本実施形態の特徴は、同一チップ内でプレーン毎に少なくとも一部が異なるマスクを適用することである。これにより、第1チップと第2チップで記録されるドット配置は完全な排他関係とならず、一部のドットはチップ間で重なり、一部のドットはチップ間で重ならないようなドット配置を作り出すことができる。尚、本例では同一チップ内のプレーン毎(2列毎)に適用するマスクを異ならせているが、これに限らずノズル列毎に適用するマスクを異ならせてもよい。または、チップ内の複数のノズル列のうち少なくとも1列について、他のノズル列とマスクを異ならせるようにしてもよい。
【0042】
図11は、本実施形態における、第1チップのマスク展開処理を説明するための図である。図11(a)〜(d)はインデックス展開後のデータからマスク処理後のデータまでを示しており、(e)は第1チップによって記録されるドット配置とその発数を示している。また図12は、図11に対応し、本実施形態における、第2チップのマスク展開処理を詳細に説明するための図である。
【0043】
図11(e)および図12(e)によれば、一部のドットはチップ間で重なっており、一部のドットはチップ間で重なっていないことがわかる。
【0044】
図13は、チップ間のレジずれを説明する図であり、(a)はチップ間のレジずれが発生していない場合を表しており、(b)はレジずれが発生した場合を示す。また、図14は図13に対応し、チップ間のレジずれが発生していない場合と、レジずれが発生した場合のドット配置を説明するための図である。図13(a)に示すように、チップ間のレジずれが発生していない場合、その際の紙面上のドット配置は図14(a)に示すとおりである。それぞれ、第1チップで記録されるドット、第2チップで記録されるドット、第1チップと第2チップで重ねて記録されたドットである。なお、枠内の数字は1200dpi×1200dpi四方のドットの発数である。
【0045】
一方、図13(b)に示すように、チップ間のレジずれが発生していない場合、その際の紙面上のドット配置は図14(b)に示す様になる。図13(b)は、搬送方向と垂直な方向(ノズル配列方向)に1200dpiで1画素のレジずれが発生した例を示している。
【0046】
図14(b)は、この様なチップ間のレジずれが発生した場合のドット配置を説明するための図である。すなわち、図14(b)のレジずれが発生した際のドット配置であり、枠内の数字は1200dpi×1200dpi四方のドットの発数である。図14(b)では、第1チップと第2チップで重ねて記録されたドット配置に注目すると、第1チップと第2チップとの間の排他関係が不完全なため、第1チップと第2チップとの間でドットが重なる部分やドットが記録されない部分(白紙領域)が存在する。この場合、位置ズレが生じなければ重ならなかったはずの1パス目のドットと2パス目のドットが重なってしまう反面、位置ズレがなければ本来重なるはずだったドット同士が重ならなくなる。つまり、チップ間のレジずれが発生した際にもドットによる紙面の表面被服率を変動しにくくできる。すなわち、ある程度の広さを持つ領域で判断すれば、重複部の画像濃度の変化も少ない。これにより、チップ取り付け誤差やヘッド取り付け誤差、記録媒体の搬送量の変動が発生しても、これらに伴う画像濃度の変動を抑制することができる。
【0047】
特許文献2に示されている通り、様々な原因による着弾ずれに伴う濃度変動を抑えるためには、複数の記録走査でのドットが互いに排他の関係にないこと、すなわち複数の記録走査でドットが重ねて記録される画素が存在することが効果的である。特に、つなぎヘッドによる1パス記録の場合、チップ間でドットを重ねて記録することが効果的である。そのため、本実施形態では、プレーン別ないしはノズル列別に少なくとも一部が異なるマスクを適用することにより、チップ間でドットを重ねて記録することができることを説明した。
【0048】
以上の説明のように、本実施形態では、異なるチップ間でドットの重複を作り出すことで、重複部を構成する2つのチップの間にレジずれが発生した場合にも濃度変動を抑制することができる。本実施形態においては、異なるチップ間でドットの重複を作り出すため、同一チップ内でプレーン毎に少なくとも一部が異なるマスクを適用する手法を採用した。ここで、少なくとも一部が異なるマスクとは、マスクの記録を許容する画素の配置が少なくとも1画素異なるマスクである。以上の構成により、第1チップと第2チップで記録されるドット配置は完全な排他関係とならず、一部のドットはチップ間で重なり、一部のドットはチップ間で重ならないようなドット配置を作り出すことができる。
【0049】
尚、本例では同一チップ内のプレーン毎(2列毎)に適用するマスクを異ならせているが、これに限らずノズル列毎に適用するマスクを異ならせてもよい。
【0050】
また、全ての階調において、異なるチップ間でドットの重複を作り出すために、同一チップ内でプレーン毎に少なくとも一部が異なるマスクを適用する必要はない。例えば、最低階調に近い領域では元々重複するドットの数が少なく、また最高階調に近い領域では元々重複するドットの数が多いため、濃度変動の影響が中間調に比べて小さい。そのため、このような階調では、同一チップ内のプレーンで同一のマスクを用いるようにしてもよい。
【0051】
尚、チップ間でドットが重なる画素が多すぎると、レジずれ時にドットによる紙面被覆率の大幅な増大による濃度上昇(黒スジ)や、ドットの重なり過ぎによる粒状感の悪化を招く可能性がある。この問題は、以下の方法で軽減することができる。すなわち、プレーン別ないしは列別に少なくとも一部を異なるマスクを適用する際に、マスク間の類似率を調整することにより、チップ間のドットの重なり率を調整することができる。ここで、類似度とは、マスクの全画素のうち、記録を許容する画素が同一である画素の割合である。
【0052】
また、プレーン1とプレーン2のインデックス展開テーブルの類似率を調整することにより、階調毎にチップ間のドットの重なり率を調整することができる。尚、テーブル間の類似率とは、全画素のうちドットを配置する画素が同一である画素の割合である。これらマスクの類似度やインデックス展開テーブルの類似度を調整することにより、異なるチップ間でのドットの重複の割合を調整することが可能である。
【0053】
さらに、重複部に適用されるマスクパターンは特許文献1に記載のグラデーションマスクであることが好ましい。グラデーションマスクとは、重複部を構成する2つのチップに関し、一方のチップの記録密度が重複部の一端部に向かって徐々に減少し、他方のチップの記録密度が前記一端部に向かって徐々に増加するものである。尚、記録密度とはマスク等により規定される記録許容率に相当する。
【0054】
以上の実施形態では、画像処理機能を有するコントローラ15を備えた記録装置(画像形成装置)を例に、本発明の特徴的な画像処理を実行する画像処理装置を説明してきたが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。本発明の特徴的な画像処理が、プリンタドライバがインストールされたホスト装置(外部機器16)で実行されるような構成であっても構わない。このような場合、記録装置に接続されるホスト装置(外部機器)が、本発明の画像処理装置に該当する。また、量子化までの処理をホスト装置で行うようにし、インデックス展開以降の処理は記録装置で実行するようにしていもよい。
【0055】
また、上述の実施形態では、記録用紙の記録幅全体に渡ってノズル(吐出口)を配列したつなぎヘッドを固定し、記録素子の配列方向と交差する方向に記録用紙を搬送させて記録を行うフルラインタイプの記録装置の例を説明した。しかし、本発明は、つなぎヘッドを記録素子の配列方向と交差する方向に走査させるともに、記録用紙(記録媒体)を記録素子の配列方向に搬送して記録を行うシリアル方式の記録装置にも適用可能である。
【0056】
(比較例)
ここで、本実施形態の効果を説明するために、同一チップの全ノズル列に同じマスクを適用した場合の例の説明を行う。図15は、比較例におけるマスクの適用方法を説明するための図であり、ここでは、図9のマスクが重複部の各列にそれぞれ適用される。すなわち、第1チップのA列〜D列にはマスク1(52)を適用し、第2チップのA列〜D列にはマスク3(54)を適用する。比較例の特徴は、同一チップ内の各列に同一のマスクを適用することである。これにより、第1チップと第2チップで記録されるドット配置は完全な排他関係となり、全てのドットはチップ間で重ならない。
【0057】
図16は、比較例における、第1チップのマスク展開処理を説明するための図であり、図16(a)〜(d)はインデックス展開後のデータからマスク処理後のデータまでを示しており、(e)は第1チップによって記録されるドット配置とその発数を示している。また図17は、図11に対応し、比較例における、第2チップのマスク展開処理を詳細に説明するための図である。図16(e)および図17(e)によれば、チップ間で重なるドットが存在しないことがわかる。
【0058】
図18は、チップ間のレジずれが発生した場合のドット配置を説明するための図である。すなわち、図18(b)は、図13のようにレジずれが発生した際のドット配置を示しており、枠内の数字は1200dpi×1200dpi四方のドットの発数である。
【0059】
図18(b)において、第1チップと第2チップで重ねて記録されたドット配置に注目すると、第1チップと第2チップとの間の排他関係が完全であるため、第1チップでも第2チップでも記録されない「0」の領域が多いことがわかる。これは、位置ズレが生じなければ重ならなかったはずの第1チップのドットと第2チップのドットが重なってしまうが、位置ズレが生じなければ重なっていたドットは存在しないためである。つまり、チップ間のレジずれが発生した際はドットによる紙面の表面被服率は低下する一方である。すなわち、ある程度の広さを持つ領域で判断すれば、重複部の画像濃度の変化が発生してしまう。
【0060】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。尚、第1の実施形態で既に説明した構成については、同一の符号を付し、その説明は省略する。本実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、画像分割処理を行わないことにある。
【0061】
図19は、多値入力画像データをヘッド駆動データに変換し、この駆動データに基づいて各チップのノズルからインクを吐出するまでの画像データの処理工程を示している。図19は第1チップの画像データ処理フローを示している。
【0062】
同図の画像処理フローにおいて、画像入力部J01からムラ補正部J04の処理、およびインデックス展開部J08からマスク処理部J11の処理は、第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0063】
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、画像データ分割部J05において画像分割処理を行わない点である。すなわち、上記の第1の実施形態では、ムラ補正部J04の処理の後に多値の画像データを2プレーンに分割してそれぞれ別々に量子化していたのに対して、本実施形態では、多値の画像データを分割せずに量子化する。この様に、本実施形態では画像データの分割処理を行わないことにより、第1の実施形態と比較して画像処理にかかる負荷を軽減することができる。
【0064】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に列毎に少なくとも一部が異なるマスクを適用することにより、チップ間でのドット重なりを発生させることができ、それによってチップ間のレジずれが発生した際の重複部の濃度変化を少なくすることができる。ただし、本出願人の検討によれば、レジずれが発生したときの重複部の粒状性の変化抑制に関しては、第1の実施形態の方が優れていた。
【符号の説明】
【0065】
13 制御部
15 コントローラ
16 外部機器
100 プリンタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のノズル列をノズルの配列する方向と交差する方向に重複部を有するように配列して記録ヘッドを用いて画像を記録するために、前記重複部に対応する領域の多値画像データを処理する画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のノズルを配列したノズル列を備えたチップを千鳥状に配列した記録ヘッド、所謂つなぎヘッドを用いた記録装置が知られている。つなぎヘッドを用いた記録装置としては、記録ヘッドを記録素子の配列方向と交差する方向に走査させるともに、記録用紙(記録媒体)を記録素子の配列方向に搬送して記録を行うシリアル方式の記録装置が知られている。他の記録方式の記録装置として、記録用紙の記録幅全体に渡ってノズル(吐出口)を配列した記録ヘッドを固定し、記録素子の配列方向と交差する方向に記録用紙を搬送させて記録を行うフルラインタイプの記録装置も知られているである。特に、フルラインタイプの記録装置では、記録媒体の記録幅全体に渡ってノズル(吐出口)を配列した記録ヘッドを用い、記録媒体の搬送に伴って記録幅分の画像記録を連続して行うことで、高速に記録を行うことができる。
【0003】
しかしながら、つなぎヘッドには次の課題がある。すなわち、つなぎヘッドではノズル配列方向と交差する方向にチップ同士が重複する重複部が存在するが、この重複部において様々な原因によりチップ間のレジストレーション(ドットの相対的な記録位置の関係)がずれることがある。そうすると、重複部で濃度ムラや粒状性のムラが発生し、画像の品位を低下させてしまう。チップ間のレジストレーションがずれる原因には、チップの取り付け精度の問題や記録媒体の搬送精度の問題がある。
【0004】
特許文献1には、つなぎヘッドの重複部分に生じるスジ状の画像欠陥を抑制する方法として、各チップの重複部の記録デューティをマスクにより相補的に増減させる方法(以下、グラデーションマスク)が提案されている。
【0005】
また、レジストレーションのずれ(以下、レジずれとも記す)を補償する技術として、特許文献2には、マルチパス記録におけるパス間のレジずれ時における「ロバスト性」を高めるための画像データの処理方法が開示されている。ここで、「ロバスト性」とは様々な誤差に起因する濃度ムラ等に対する耐性を意味する。同文献によれば、様々な記録条件の変動に伴って引き起こされる画像濃度の変動は異なる記録走査に対応する2値の画像データが互いに完全な補完関係にあることに起因することに着目している。そして、上記補完関係が低減されるように異なる記録走査に対応した画像データを生成すれば、「ロバスト性」に優れたマルチパス記録を実現できる、と認識している。
【0006】
そこで、特許文献2の技術では、画像データを2値化前の多値データの状態で複数のプレーンに分割し、分割後の多値データをそれぞれ独立に2値化している。この構成により、異なる記録走査に対応した画像データ同士が互いにずれて記録されても大きな濃度変動が起こらないようにしている。尚、「プレーン」について補足すると、元の画像データから複数の記録走査や複数のノズル列に対応して画像データを分割する場合、元の画像データは分割された複数の画像データの重ねあわせと考えることができる。そのため、分割された各画像データは1つの「プレーン」と捉えることができる。上記の特許文献2では、1回の記録走査(パス)が1つのプレーンに対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−57965号公報
【特許文献2】特開2000−103088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2の発明によれば、パス間でレジずれが発生した場合にも大きな濃度変動が起こらないようにすることができるものの、この特許文献2には、つなぎヘッドの重複部での濃度変化を抑制する方法が明示されていなかった。
【0009】
また、近年では、1つのチップに複数のノズル列を配列させたつなぎヘッドも提案されているが、特許文献2には、このようなつなぎヘッドにおいて、重複部の濃度変動を抑制する手法について何ら言及されていなかった。
【0010】
そこで、本発明は、つなぎヘッドの重複部のレジずれによる濃度変化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、インクを吐出するための複数のノズル列を有する第1チップおよび第2チップを前記ノズル列のノズル配列方向と交差する方向に重複部を有するように配列した記録ヘッドと記録媒体との相対移動によって前記記録媒体に画像を記録するために、前記重複部に相当する入力画像データを処理するための画像処理装置であって、前記重複部に相当する入力画像データを、前記第1チップおよび第2チップの複数のノズル列に分配する分配手段を有し、前記分配手段は、前記入力画像データの少なくとも一部の階調で、前記第1チップと第2チップで記録するドットが重複するように、入力画像データを分配することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、つなぎヘッドの重複部のレジずれによる濃度変化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用可能なインクジェット記録装置の概略図。
【図2】図1のインクジェット記録装置の制御回路の概略ブロック図。
【図3】図1のインクジェット記録装置でのプリント動作を説明する図。
【図4】図1のインクジェット記録装置のプリント部の概略図。
【図5】第1の実施形態の画像データの処理工程を示す図。
【図6】多値の画像データを各ノズル列へ分配方法を説明する図。
【図7】量子化部J07までに実行される処理の具体例を示した図。
【図8】インデックス展開部J08で用いられる処理を説明する図。
【図9】重複部の各ノズル列に適用するマスクを示した図。
【図10】第1の実施形態のマスク処理の概要を説明する図。
【図11】第1チップのマスク展開処理を説明する図。
【図12】第2チップのマスク展開処理を説明する図。
【図13】チップ間のレジずれを説明する図。
【図14】レジずれが発生した場合のドット配置を説明する図。
【図15】比較例におけるマスクの適用方法を説明する図。
【図16】比較例における第1チップのマスク展開処理を説明する図。
【図17】比較例における第2チップのマスク展開処理を説明する図。
【図18】比較例においてレジずれが発生した場合のドット配置を説明する図。
【図19】第2の実施形態の画像データの処理工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明を適用可能なインクジェット記録装置(以下、単に記録装置、またはプリンタとも記す)の概略図である。図1に示すプリンタ100は、インクを吐出する記録ヘッドを記録媒体に対して相対移動させて記録を行うタイプのインクジェット記録装置である。プリンタ100は、シート供給部1、デカール部2、斜行矯正部3、プリント部4、検査部5、カッタ部6、情報記録部7、乾燥部8、シート巻取部9、排出搬送部10、ソータ部11、排出トレイ12、制御部13の各ユニットを備える。記録媒体(シート)は、図中の実線で示したシート搬送経路に沿ってローラ対やベルトからなる搬送機構で搬送され、各ユニットで処理がなされる。
【0015】
シート供給部1は、ロール状に巻かれた連続シートを収納して供給するユニットである。シート供給部1は、2つのロールR1、R2を収納することが可能であり、択一的にシートを引き出して供給する構成となっている。なお、収納可能なロールは2つであることに限定はされず、1つ、あるいは3つ以上を収納するものであってもよい。デカール部2は、シート供給部1から供給されたシートのカール(反り)を軽減させるユニットである。デカール部2では、1つの駆動ローラに対して2つのピンチローラを用いて、カールの逆向きの反りを与えるようにシートを湾曲させてしごくことでカールを軽減させる。斜行矯正部3は、デカール部2を通過したシートの斜行(本来の進行方向に対する傾き)を矯正するユニットである。基準となる側のシート端部をガイド部材に押し付けることにより、シートの斜行が矯正される。
【0016】
プリント部4は、搬送されるシートに対して記録ヘッド14によりシートの上に画像を形成するユニットである。プリント部4は、シートを搬送する複数の搬送ローラも備えている。記録ヘッド14は、シートの最大幅をカバーする範囲に対して、ノズルが形成されたフルラインタイプの記録ヘッドである。複数の記録ヘッドが搬送方向に沿って平行に並べられており、本例では、Bk(ブラック)、Lc(ライトシアン)、Lm(ライトマゼンタ)、Gy(グレー)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の7色の記録ヘッドが配設されている。ノズルからインクを吐出する方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、インクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッドに供給される。
【0017】
検査部5は、プリント部4でシートにプリントされた検査パターンや画像を光学的に読み取って、記録ヘッドのノズルの状態、シート搬送状態、画像位置等を検査するユニットである。カッタ部6は、プリント後のシートを所定長さにカットする機械的なカッタを備えたユニットである。カッタ部6は、シートを次工程に送り出すための複数の搬送ローラも備えている。情報記録部7は、カットされたシートの裏面にプリントのシリアル番号や日付などのプリント情報を記録するユニットである。乾燥部8は、プリント部4でプリントされたシートを加熱して、付与されたインクを短時間に乾燥させるユニットである。乾燥部8は、シートを次工程に送り出すための搬送ベルト及び搬送ローラも備えている。
【0018】
シート巻取部9は、両面プリントを行う際に表面プリントが終了した連続シートを一時的に巻き取るユニットである。シート巻取部9はシートを巻き取るための回転する巻取ドラムを備えている。表面のプリントが済んでカットされていない連続シートは巻取ドラムに一時的に巻き取られる。巻き取りが終わったら、巻取ドラムが逆回転して巻き取り済みシートはデカール部2に供給され、プリント部4に送られる。このシートは表裏反転しているのでプリント部4で裏面にプリントを行うことができる。両面プリントのより具体的な動作については後述する。
【0019】
排出搬送部10は、カッタ部6でカットされ乾燥部8で乾燥させられたシートを搬送して、ソータ部11までシートを受け渡すためのユニットである。ソータ部11は必要に応じてプリント済みシートをグループ毎に排出トレイ12の異なるトレイに振り分けて排出するユニットである。制御部13は、プリンタ全体の各部の制御を司るユニットである。
【0020】
図2は、プリンタの制御ブロック図を示す。制御部13は、CPU1501、ROM1502、RAM1503、各種I/Oインターフェース1504を備えたコントローラ15及び電源1301を有する。プリンタの動作は、コントローラ15又はコントローラ15にI/Oインターフェース1504を介して接続されるホストコンピュータ等の外部機器16からの指令に基づいて制御される。
【0021】
外部機器16からの信号を受けると、コントローラ15は記録ヘッドを用いてシートSに記録するための記録データを作成する。作成された記録データはプリントバッファとしてRAM1503内に蓄えられる。さらに、ヘッドドライバ301にプリントバッファ内のデータを転送する。ヘッドドライバ301は各色の記録ヘッドでインク滴を吐出するためのデータに変換を行い、実際に記録動作が実施される。この様にして、コントローラ15は、後述する画像処理フローを実行する画像処理機能を有する。また、本実施形態の画像処理の詳細については、後述する。
【0022】
また、コントローラ15は搬送系モータドライバ302、検出系モータドライバ303などの各種モータドライバを制御し、搬送モータ304やスキャナモータ305などの駆動源を稼動させることによりシートの搬送動作や検出動作を行う。
【0023】
次に、プリント時の基本動作について説明する。片面プリントと両面プリントとでは、プリント動作が異なるので、それぞれについて説明する。図3(a)は、片面プリント時のプリント動作を説明するための図である。シート供給部1から供給されたシートがプリントされて排出トレイ12に排出されるまでの搬送経路を太線で示している。シート供給部1から供給され、デカール部2、斜行矯正部3でそれぞれ処理されたシートは、プリント部4において表面のプリントがなされる。プリントされたシートは検査部5を経て、カッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎にカットされる。カットシートは、必要に応じて情報記録部7でシートの裏面にプリント情報が記録される。そして、カットシートは1枚ずつ乾燥部8に搬送され乾燥が行なわれる。その後、排出搬送部10を経由して、ソータ部11のトレイ12に順次排出され積載されていく。
【0024】
図3(b)は両面プリント時の動作を説明するための図である。両面プリントでは、表面プリントシーケンスに次いで裏面プリントシーケンスを実行する。表面プリントシーケンスでは、先ず、シート供給部1から検査部5までの各ユニットでの動作は上述の片面プリントの動作と同じである。カッタ部6ではカット動作は行わずに、連続シートのまま乾燥部8に搬送される。乾燥部8での表面のインク乾燥の後、排出搬送部10の側の経路ではなく、シート巻取部9の側の経路にシートが導入される。導入されたシートは、順方向(図面では逆時計回り方向)に回転するシート巻取部9の巻取ドラムに巻き取られていく。プリント部4において、予定された表面のプリントが全て終了すると、カッタ部6にて連続シートのプリント領域の後端がカットされる。カット位置を基準に、搬送方向下流側(プリントがされた側)の連続シートは乾燥部8を経てシート巻取部9でシート後端(カット位置)まで全て巻き取られる。一方、カット位置よりも搬送方向上流側の連続シートは、シート先端(カット位置)がデカール部2に残らないように、シート供給部1に巻き戻される。以上で、表面プリントシーケンスが終了する。
【0025】
表面プリントシーケンスが終了すると、裏面プリントシーケンスに切り替わる。裏面プリントシーケンスでは、先ず、シート巻取部9の巻取ドラムが巻き取り時とは逆方向(図面では時計回り方向)に回転する。巻き取られたシートの端部(巻き取り時のシート後端は、送り出し時にはシート先端になる)はデカール部2に送り込まれる。デカール部2では先とは逆向きのカール矯正がなされる。これは、巻取ドラムに巻かれたシートは、シート供給部1でのロールとは表裏反転して巻かれ、逆向きのカールとなっているためである。その後は、斜行矯正部3を経て、プリント部4で連続シートの裏面にプリントが行なわれる。プリントされたシートは検査部5を経て、カッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎にカットされる。カットシートは両面にプリントされているので、情報記録部7での記録はなされない。カットシートは一枚ずつ乾燥部8に搬送され、排出搬送部10を経由して、ソータ部11のトレイ12に順次排出され積載されていく。以上で、裏面プリントシーケンスが終了する。
【0026】
次に、プリント部4の構成を説明する。プリント部4には、7色のインクに対応して7つの記録ヘッドが配設されている。各記録ヘッドの吐出口(ノズル)の配列は同一であるため、以下では、1つの記録ヘッドに着目して説明する。
【0027】
図4は、記録ヘッド(つなぎヘッド)のノズル配列を説明する概略図である。記録ヘッド14には、第1チップ31、第2チップ32を含む複数のチップがノズル配列方向(本例では、搬送方向と交差する方向)に千鳥状に並べて配置されている。第1チップ31,第2チップ32には、4列のノズル列A〜Dが搬送方向に沿って配置されており、各ノズル列におけるノズル間隔は1200dpiである。また、第1チップ31と第2チップ32は、搬送方向方向において一部のノズルが重複して配置され、重複部を構成している。
【0028】
図5は、多値入力画像データをヘッド駆動データに変換し、この駆動データに基づいて各チップのノズルからインクを吐出するまでの画像データの処理工程を示している。図5は第1チップの画像データ処理フローをいる。第1チップと第2チップの画像処理フローで異なる点は、マスク処理の部分を除いて同じであるので、図5では第1チップの画像データ処理フローについて説明する。尚、後述するように、第1チップと第2チップでさらにインデックス展開を異ならせて、ドット配置パターンの類似度を調整することもできる。
【0029】
先ず、画像入力部J01に、外部に接続されたホスト装置などから記録すべき多値画像データが入力される。本実施形態において、多値画像データの入力解像度は600dpi×600dpiであり、1画素につき8bit256階調で表現される輝度データ(R,G,B)となっている。次に、色変換部J02は、画像入力部J01に入力された多値画像データを、記録装置が使用するインク色に対応した多値の濃度データに変換される。ここでは、各色8bit256階調のデータに変換される。尚、以降の処理は各インク色で共通である。
【0030】
階調補正部J03は、各インク色に分解された多値データに対して階調補正を行う。ムラ補正部J04は、各インク色の多値データを多値データに変換するルックアップテーブルを用いて多値のインク色データの値を変換し、ノズル特性のばらつきに起因したムラの補正を行う。画像データ分割部J05は、多値のインク色データを2つのプレーン1、プレーン2に分割する。本例の画像データ分割部J05は、多値のインク色データの値(階調値)によらず、プレーン1:プレーン2=1:1という分割比率に従って画像データを分割する。
【0031】
量子化部J07は、画像データ分割部J05によって分割された多値の画像データJ06それぞれのプレーンに対し量子化処理を行う。ここでは、各プレーンに対し128階調のデータを8階調に低階調化する。インデックス展開部J08は、量子化部J07で低階調化された多値の画像データを、インデックス展開テーブル(ドット配置パターン)を参照しながらプレーン毎にそれぞれ2値化処理を行う。列分配処理部J09は、インデックス展開された1200dpi×1200dpiの2階調のデータを各ノズル列に分配する。
【0032】
次に、マスク処理部J11は、各ノズル列に分配されたデータについて、重複部分をマスク処理する。上記の一連の処理を経て、第1チップおよび第2チップのA列ないしD列で記録するための2値のデータ(第1チップ用画像データJ12)が完成する。この第1チップ用画像データJ12に基づいて、インク吐出J13され、重複部の画像記録が行われる。
【0033】
次に、図6から図10を用いて、図5の画像データ処理フローの詳細な説明を行う。図6は、画像データ分割部J05によって分割された多値の画像データ各ノズル列への分配を説明する図である。図6に示すように、多値の画像データJ06のうち、プレーン1用の画像データ50はA列およびB列に振り分けられる。一方、プレーン2用の画像データ51はC列およびD列に振り分けられる。
【0034】
次に、図7は画像データ分割部J05〜量子化部J07で実行される処理の具体例を示した図である。図7は、画像データ分割部J05に、例えば600dpi×600dpiの解像度で4画素×4画素で構成される記録すべき多値の画像データ(101301)が入力されときに(a)、このデータを2分割する冷を示している。まず、画像データ分割部J05は、多値の画像の画像データ(101301)はプレーン1用の多値の画像データ(101302)とプレーン2用の多値の画像データ(101305)とに分割する(b)。この際、各画素の画像データの階調値に応じて、多値の画像データを2つのプレーンへの分割比率を異ならせることも可能である。その一例としては、低階調部分ではプレーン1:プレーン2=2:1という分割比率に従って画像データを分割し、高階調部分ではプレーン1:プレーン2=1:1という分割比率に従って画像データを分割する。このような処理によって、プレーン1とプレーン2のドットの重複率を調整することが可能となる。
【0035】
次に、量子化部J07では、画像分割部J05によって分割された多値の画像データ(101302、101305)のそれぞれに対して、誤差拡散法による量子化(低階調化)処理を行う(c)。ここでは、8階調に低階調化を行うものとする。
【0036】
これにより、プレーン1用の低階調化されたデータ(101304)とプレーン2用の低階調化されたデータ(101307)が生成される(d)。尚、本例では、量子化の手段として誤差拡散法を用いているが、他の手段であっても良い。ただし、これらの2つのプレーン間で量子化処理のやり方を異ならせることが好ましく、特に低階調部分では、2つのプレーンを重ねた場合にドット同士が重なる箇所と重ならない箇所が並存するように、量子化処理を行うことが好ましい。例えば、量子化処理として誤差拡散法を用いるのであれば、閾値や誤差分配係数をプレーン間で異ならせるなどして、同じ階調値の画像データが入力されても、量子化処理の結果が同値にならないよう配慮することが望ましい。
【0037】
例えば、図7に示したように、プレーン1用多値データ(101302)に対して、誤差拡散係数Aを用いて誤差拡散を行う。また、プレーン2用多値データ(101305)に対して、誤差拡散係数Aとは異なる誤差拡散係数Bを用いて誤差拡散を行うことにより、量子化後のドット配置をプレーン間で異ならせることができる。尚、図7において※は注目画素を表す。
【0038】
図5に戻るに、量子化部J07で低階調化された多値の画像データは、インデックス展開部J08によって、インデックス展開テーブルを参照しながらプレーン毎にそれぞれ2値化処理を行われる。ここでは、600dpi×600dpiで8階調のデータを1200dpi×1200dpiの3階調のデータに変換する。図8は、インデックス展開部J08で用いられるインデックス展開テーブルの概要を表している。図8(a)はインデックス展開部J07に入力される600dpi×600dpiで8階調の信号値を表している。図8(b)および(c)は、インデックス展開部J07に入力される1200dpi×1200dpiの2階調のテーブルであり、それぞれプレーン1およびプレーン2用のインデックス展開テーブルである。枠内の数字は1200dpi×1200dpiの単位面積に記録されるべきドットの数である。これらのインデックス展開テーブルにより、インデックス展開部J07に入力された600dpi×600dpiで8階調の画像データは、1200dpi×1200dpiの3階調の画像データに変換される。インデックス展開テーブルはプレーン間で同一のものであってもよいが、プレーン間で異なるものであってもよい。また、インデックス展開後の画像データは3階調に限られず、2階調などであってもよい。
【0039】
図5に戻るに、列分配処理部J09は、インデックス展開された1200dpi×1200dpiの2階調のデータを各ノズル列に分配する。ここでは、列分配処理部J09は、ランダムマスク等を用いて各列にほぼ均等なドット数になるように分配する
次に、マスク処理部J11は、重複部分において各列に分配されたデータを間引く、マスク処理する。図9は、本実施形態において、重複部に適用するマスクの例を示した図である。マスク1(52)およびマスク3(54)は排他関係にあり、同様に、マスク2(53)およびマスク4(55)も排他関係にある。いずれのマスクも1200dpi×1200dpiで4画素×4画素であり、搬送方向に繰り返し適用するものとする。これらのマスクは黒色の画素のビットは1であり“ON”を意味する。また、白色の画素のビットは0であり“OFF”を意味する。
【0040】
図10は、本実施形態において、マスク処理の概要を説明するための図である。ここでは、図9で説明したマスクが重複部の各列にそれぞれ適用される。すなわち、第1チップのA列およびB列にはマスク1(52)を、第1チップのC列およびD列にはマスク2(53)をそれぞれ適用する。同様にして、第2チップのA列およびB列にはマスク3(54)を、第2チップのC列およびD列にはマスク4(55)をそれぞれ適用する。
【0041】
本実施形態の特徴は、同一チップ内でプレーン毎に少なくとも一部が異なるマスクを適用することである。これにより、第1チップと第2チップで記録されるドット配置は完全な排他関係とならず、一部のドットはチップ間で重なり、一部のドットはチップ間で重ならないようなドット配置を作り出すことができる。尚、本例では同一チップ内のプレーン毎(2列毎)に適用するマスクを異ならせているが、これに限らずノズル列毎に適用するマスクを異ならせてもよい。または、チップ内の複数のノズル列のうち少なくとも1列について、他のノズル列とマスクを異ならせるようにしてもよい。
【0042】
図11は、本実施形態における、第1チップのマスク展開処理を説明するための図である。図11(a)〜(d)はインデックス展開後のデータからマスク処理後のデータまでを示しており、(e)は第1チップによって記録されるドット配置とその発数を示している。また図12は、図11に対応し、本実施形態における、第2チップのマスク展開処理を詳細に説明するための図である。
【0043】
図11(e)および図12(e)によれば、一部のドットはチップ間で重なっており、一部のドットはチップ間で重なっていないことがわかる。
【0044】
図13は、チップ間のレジずれを説明する図であり、(a)はチップ間のレジずれが発生していない場合を表しており、(b)はレジずれが発生した場合を示す。また、図14は図13に対応し、チップ間のレジずれが発生していない場合と、レジずれが発生した場合のドット配置を説明するための図である。図13(a)に示すように、チップ間のレジずれが発生していない場合、その際の紙面上のドット配置は図14(a)に示すとおりである。それぞれ、第1チップで記録されるドット、第2チップで記録されるドット、第1チップと第2チップで重ねて記録されたドットである。なお、枠内の数字は1200dpi×1200dpi四方のドットの発数である。
【0045】
一方、図13(b)に示すように、チップ間のレジずれが発生していない場合、その際の紙面上のドット配置は図14(b)に示す様になる。図13(b)は、搬送方向と垂直な方向(ノズル配列方向)に1200dpiで1画素のレジずれが発生した例を示している。
【0046】
図14(b)は、この様なチップ間のレジずれが発生した場合のドット配置を説明するための図である。すなわち、図14(b)のレジずれが発生した際のドット配置であり、枠内の数字は1200dpi×1200dpi四方のドットの発数である。図14(b)では、第1チップと第2チップで重ねて記録されたドット配置に注目すると、第1チップと第2チップとの間の排他関係が不完全なため、第1チップと第2チップとの間でドットが重なる部分やドットが記録されない部分(白紙領域)が存在する。この場合、位置ズレが生じなければ重ならなかったはずの1パス目のドットと2パス目のドットが重なってしまう反面、位置ズレがなければ本来重なるはずだったドット同士が重ならなくなる。つまり、チップ間のレジずれが発生した際にもドットによる紙面の表面被服率を変動しにくくできる。すなわち、ある程度の広さを持つ領域で判断すれば、重複部の画像濃度の変化も少ない。これにより、チップ取り付け誤差やヘッド取り付け誤差、記録媒体の搬送量の変動が発生しても、これらに伴う画像濃度の変動を抑制することができる。
【0047】
特許文献2に示されている通り、様々な原因による着弾ずれに伴う濃度変動を抑えるためには、複数の記録走査でのドットが互いに排他の関係にないこと、すなわち複数の記録走査でドットが重ねて記録される画素が存在することが効果的である。特に、つなぎヘッドによる1パス記録の場合、チップ間でドットを重ねて記録することが効果的である。そのため、本実施形態では、プレーン別ないしはノズル列別に少なくとも一部が異なるマスクを適用することにより、チップ間でドットを重ねて記録することができることを説明した。
【0048】
以上の説明のように、本実施形態では、異なるチップ間でドットの重複を作り出すことで、重複部を構成する2つのチップの間にレジずれが発生した場合にも濃度変動を抑制することができる。本実施形態においては、異なるチップ間でドットの重複を作り出すため、同一チップ内でプレーン毎に少なくとも一部が異なるマスクを適用する手法を採用した。ここで、少なくとも一部が異なるマスクとは、マスクの記録を許容する画素の配置が少なくとも1画素異なるマスクである。以上の構成により、第1チップと第2チップで記録されるドット配置は完全な排他関係とならず、一部のドットはチップ間で重なり、一部のドットはチップ間で重ならないようなドット配置を作り出すことができる。
【0049】
尚、本例では同一チップ内のプレーン毎(2列毎)に適用するマスクを異ならせているが、これに限らずノズル列毎に適用するマスクを異ならせてもよい。
【0050】
また、全ての階調において、異なるチップ間でドットの重複を作り出すために、同一チップ内でプレーン毎に少なくとも一部が異なるマスクを適用する必要はない。例えば、最低階調に近い領域では元々重複するドットの数が少なく、また最高階調に近い領域では元々重複するドットの数が多いため、濃度変動の影響が中間調に比べて小さい。そのため、このような階調では、同一チップ内のプレーンで同一のマスクを用いるようにしてもよい。
【0051】
尚、チップ間でドットが重なる画素が多すぎると、レジずれ時にドットによる紙面被覆率の大幅な増大による濃度上昇(黒スジ)や、ドットの重なり過ぎによる粒状感の悪化を招く可能性がある。この問題は、以下の方法で軽減することができる。すなわち、プレーン別ないしは列別に少なくとも一部を異なるマスクを適用する際に、マスク間の類似率を調整することにより、チップ間のドットの重なり率を調整することができる。ここで、類似度とは、マスクの全画素のうち、記録を許容する画素が同一である画素の割合である。
【0052】
また、プレーン1とプレーン2のインデックス展開テーブルの類似率を調整することにより、階調毎にチップ間のドットの重なり率を調整することができる。尚、テーブル間の類似率とは、全画素のうちドットを配置する画素が同一である画素の割合である。これらマスクの類似度やインデックス展開テーブルの類似度を調整することにより、異なるチップ間でのドットの重複の割合を調整することが可能である。
【0053】
さらに、重複部に適用されるマスクパターンは特許文献1に記載のグラデーションマスクであることが好ましい。グラデーションマスクとは、重複部を構成する2つのチップに関し、一方のチップの記録密度が重複部の一端部に向かって徐々に減少し、他方のチップの記録密度が前記一端部に向かって徐々に増加するものである。尚、記録密度とはマスク等により規定される記録許容率に相当する。
【0054】
以上の実施形態では、画像処理機能を有するコントローラ15を備えた記録装置(画像形成装置)を例に、本発明の特徴的な画像処理を実行する画像処理装置を説明してきたが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。本発明の特徴的な画像処理が、プリンタドライバがインストールされたホスト装置(外部機器16)で実行されるような構成であっても構わない。このような場合、記録装置に接続されるホスト装置(外部機器)が、本発明の画像処理装置に該当する。また、量子化までの処理をホスト装置で行うようにし、インデックス展開以降の処理は記録装置で実行するようにしていもよい。
【0055】
また、上述の実施形態では、記録用紙の記録幅全体に渡ってノズル(吐出口)を配列したつなぎヘッドを固定し、記録素子の配列方向と交差する方向に記録用紙を搬送させて記録を行うフルラインタイプの記録装置の例を説明した。しかし、本発明は、つなぎヘッドを記録素子の配列方向と交差する方向に走査させるともに、記録用紙(記録媒体)を記録素子の配列方向に搬送して記録を行うシリアル方式の記録装置にも適用可能である。
【0056】
(比較例)
ここで、本実施形態の効果を説明するために、同一チップの全ノズル列に同じマスクを適用した場合の例の説明を行う。図15は、比較例におけるマスクの適用方法を説明するための図であり、ここでは、図9のマスクが重複部の各列にそれぞれ適用される。すなわち、第1チップのA列〜D列にはマスク1(52)を適用し、第2チップのA列〜D列にはマスク3(54)を適用する。比較例の特徴は、同一チップ内の各列に同一のマスクを適用することである。これにより、第1チップと第2チップで記録されるドット配置は完全な排他関係となり、全てのドットはチップ間で重ならない。
【0057】
図16は、比較例における、第1チップのマスク展開処理を説明するための図であり、図16(a)〜(d)はインデックス展開後のデータからマスク処理後のデータまでを示しており、(e)は第1チップによって記録されるドット配置とその発数を示している。また図17は、図11に対応し、比較例における、第2チップのマスク展開処理を詳細に説明するための図である。図16(e)および図17(e)によれば、チップ間で重なるドットが存在しないことがわかる。
【0058】
図18は、チップ間のレジずれが発生した場合のドット配置を説明するための図である。すなわち、図18(b)は、図13のようにレジずれが発生した際のドット配置を示しており、枠内の数字は1200dpi×1200dpi四方のドットの発数である。
【0059】
図18(b)において、第1チップと第2チップで重ねて記録されたドット配置に注目すると、第1チップと第2チップとの間の排他関係が完全であるため、第1チップでも第2チップでも記録されない「0」の領域が多いことがわかる。これは、位置ズレが生じなければ重ならなかったはずの第1チップのドットと第2チップのドットが重なってしまうが、位置ズレが生じなければ重なっていたドットは存在しないためである。つまり、チップ間のレジずれが発生した際はドットによる紙面の表面被服率は低下する一方である。すなわち、ある程度の広さを持つ領域で判断すれば、重複部の画像濃度の変化が発生してしまう。
【0060】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。尚、第1の実施形態で既に説明した構成については、同一の符号を付し、その説明は省略する。本実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、画像分割処理を行わないことにある。
【0061】
図19は、多値入力画像データをヘッド駆動データに変換し、この駆動データに基づいて各チップのノズルからインクを吐出するまでの画像データの処理工程を示している。図19は第1チップの画像データ処理フローを示している。
【0062】
同図の画像処理フローにおいて、画像入力部J01からムラ補正部J04の処理、およびインデックス展開部J08からマスク処理部J11の処理は、第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0063】
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、画像データ分割部J05において画像分割処理を行わない点である。すなわち、上記の第1の実施形態では、ムラ補正部J04の処理の後に多値の画像データを2プレーンに分割してそれぞれ別々に量子化していたのに対して、本実施形態では、多値の画像データを分割せずに量子化する。この様に、本実施形態では画像データの分割処理を行わないことにより、第1の実施形態と比較して画像処理にかかる負荷を軽減することができる。
【0064】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に列毎に少なくとも一部が異なるマスクを適用することにより、チップ間でのドット重なりを発生させることができ、それによってチップ間のレジずれが発生した際の重複部の濃度変化を少なくすることができる。ただし、本出願人の検討によれば、レジずれが発生したときの重複部の粒状性の変化抑制に関しては、第1の実施形態の方が優れていた。
【符号の説明】
【0065】
13 制御部
15 コントローラ
16 外部機器
100 プリンタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するための複数のノズル列を有する第1チップおよび第2チップを前記ノズル列のノズル配列方向と交差する方向に重複部を有するように配列した記録ヘッドと記録媒体との相対移動によって前記記録媒体に画像を記録するために、前記重複部に相当する入力画像データを処理するための画像処理装置であって、
前記重複部に相当する入力画像データを、前記第1チップおよび第2チップの複数のノズル列に分配する分配手段を有し、
前記分配手段は、前記入力画像データの少なくとも一部の階調で、前記第1チップと第2チップで記録するドットが重複するように、入力画像データを分配することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記分配手段は、前記重複部に相当する入力画像データを複数の多値画像データに分割する手段と、前記複数の多値画像データをそれぞれ多値に低階調化する低階調化手段と、前記複数の低階調化された多値の階調に応じてそれぞれドット配置パターンを割り当てる手段と、前記重複部に相当し、ドット配置パターンが割り当てられたデータをマスクパターンにより間引くマスク手段と、を有する特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記分配手段は、前記重複部に相当する入力画像データを多値に低階調化する低階調化手段と、前記低階調化された多値の階調に応じてそれぞれドット配置パターンを割り当てる手段と、前記重複部に相当し、ドット配置パターンが割り当てられたデータをマスクパターンにより間引くマスク手段と、を有する特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記マスク手段は、同一のチップに備えられた複数のノズル列のうちの少なくとも1列のマスクパターンとして、他のノズル列のマスクパターンと少なくとも一部が異なるマスクパターンを用いることを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記マスクパターンは、前記第1チップの記録密度が前記重複部の一端に向かって徐々に減少し、前記第2チップの記録密度が前記一端に向かって徐々に増加することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記分配手段は、前記重複部に相当する入力画像データを複数の多値画像データに分割する手段と、前記複数の多値画像データをそれぞれ2値化する2値化手段と、前記複数の2値化された画像データを前記第1チップおよび第2チップの複数のノズル列に割り当てる手段と、前記重複部に相当する前記複数のノズル列の2値化された画像データを間引く間引き手段と、を有する特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
インクを吐出するための複数のノズル列を有する第1チップおよび第2チップを前記ノズル列のノズル配列方向と交差する方向に重複部を有するように配列した記録ヘッドと記録媒体との相対移動によって前記記録媒体に画像を記録するために、前記重複部に相当する入力画像データを処理するための画像処理方法であって、
前記重複部に相当する入力画像データを、前記第1チップおよび第2チップの複数のノズル列に分配する分配工程を有し、
前記分配工程では、前記入力画像データの少なくとも一部の階調で、前記第1チップと第2チップで記録するドットが重複するように、入力画像データを分配することを特徴とする画像処理方法。
【請求項1】
インクを吐出するための複数のノズル列を有する第1チップおよび第2チップを前記ノズル列のノズル配列方向と交差する方向に重複部を有するように配列した記録ヘッドと記録媒体との相対移動によって前記記録媒体に画像を記録するために、前記重複部に相当する入力画像データを処理するための画像処理装置であって、
前記重複部に相当する入力画像データを、前記第1チップおよび第2チップの複数のノズル列に分配する分配手段を有し、
前記分配手段は、前記入力画像データの少なくとも一部の階調で、前記第1チップと第2チップで記録するドットが重複するように、入力画像データを分配することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記分配手段は、前記重複部に相当する入力画像データを複数の多値画像データに分割する手段と、前記複数の多値画像データをそれぞれ多値に低階調化する低階調化手段と、前記複数の低階調化された多値の階調に応じてそれぞれドット配置パターンを割り当てる手段と、前記重複部に相当し、ドット配置パターンが割り当てられたデータをマスクパターンにより間引くマスク手段と、を有する特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記分配手段は、前記重複部に相当する入力画像データを多値に低階調化する低階調化手段と、前記低階調化された多値の階調に応じてそれぞれドット配置パターンを割り当てる手段と、前記重複部に相当し、ドット配置パターンが割り当てられたデータをマスクパターンにより間引くマスク手段と、を有する特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記マスク手段は、同一のチップに備えられた複数のノズル列のうちの少なくとも1列のマスクパターンとして、他のノズル列のマスクパターンと少なくとも一部が異なるマスクパターンを用いることを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記マスクパターンは、前記第1チップの記録密度が前記重複部の一端に向かって徐々に減少し、前記第2チップの記録密度が前記一端に向かって徐々に増加することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記分配手段は、前記重複部に相当する入力画像データを複数の多値画像データに分割する手段と、前記複数の多値画像データをそれぞれ2値化する2値化手段と、前記複数の2値化された画像データを前記第1チップおよび第2チップの複数のノズル列に割り当てる手段と、前記重複部に相当する前記複数のノズル列の2値化された画像データを間引く間引き手段と、を有する特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
インクを吐出するための複数のノズル列を有する第1チップおよび第2チップを前記ノズル列のノズル配列方向と交差する方向に重複部を有するように配列した記録ヘッドと記録媒体との相対移動によって前記記録媒体に画像を記録するために、前記重複部に相当する入力画像データを処理するための画像処理方法であって、
前記重複部に相当する入力画像データを、前記第1チップおよび第2チップの複数のノズル列に分配する分配工程を有し、
前記分配工程では、前記入力画像データの少なくとも一部の階調で、前記第1チップと第2チップで記録するドットが重複するように、入力画像データを分配することを特徴とする画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−6260(P2012−6260A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144214(P2010−144214)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]