説明

画像処理装置および診断用画像表示プログラム

【課題】微小な病変部位の情報を保持したまま撮影画像を縮小して表示すること。
【解決手段】石灰化位置情報抽出部244は、原画像における石灰化画素を特定して石灰化画素位置情報を抽出し、新画素範囲算出部245aは、縮小率に基づいて原画像を分割して新画素を決定して新画素範囲を算出し、新画素判定部245bは、新画素範囲内に、石灰化画素があるか否かを、石灰化画素位置情報に基づいて判定する。新画素判定部245bによって新画素が石灰化画素として判定された場合、新画素値算出部245cは、新画素の画素値を、新画素範囲内に含まれる画素のうち、原画像において石灰化画素として特定されている画素の画素値に基づいて算出し、新画素判定部245bによって通常画素として判定された場合、新画素値算出部245cは、新画素の画素値を、新画素範囲内の原画像における画素値に基づいて算出する。縮小画像生成部245dは、新画素値算出部245cによって算出された新画素ごとの画素値から縮小画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置および診断用画像表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、X線診断装置、MRI装置、X線CT装置、核医学診断装置、超音波診断装置などの医用画像診断装置を用いた医用画像診断は、コンピュータ技術の発展に伴って急速な進歩を遂げ、今日の医療において必要不可欠なものとなっている。
【0003】
例えば、乳がんを発見するための方法として一般的に行なわれているマンモグラフィ検診においては、マンモグラフィと呼ばれる乳房のX線撮影が、乳房のX線撮影を行うための専用のX線診断装置である乳房X線撮影装置(例えば、特許文献1参照)によって行なわれ、これによって得られた乳房X線画像に基づいて、医師による診断が行なわれる。
【0004】
乳房X線画像に基づく医師による診断における重要な所見の1つとして、微小石灰化が挙げられる。微小石灰化とは、細胞が壊死したところにカルシウムの成分が溜まったものであり、良性疾患によるものと悪性疾患(乳がん)によるものがある。
【0005】
ここで、良性疾患に伴う微小石灰化は、1mm以上の大きさをもつものが多く、全体に散らばって存在することが多いのに対し、乳がんに伴う微小石灰化は、100μm前後の大きさをもつものが多く、乳管の中を這うように線状に存在したり、局所に固まって存在したりすることが多いことが知られている。従って、医師は、乳房X線画像における微小石灰化の大きさ、分布などを元に、良性疾患であるか乳がんであるかの診断を行なっている。
【0006】
このように、乳がんの早期発見においては、乳房X線画像に描出される微小石灰化を正確に把握することが重要であり、例えば、非特許文献1では、デジタル化された乳房X線画像から、画像処理により微小石灰化を抽出する技術が開示されている。
【0007】
なお、微小石灰化は、周囲よりもX線の透過率が低いため、乳房X線画像がポジ画像である場合には、微小石灰化が存在する場所は、周辺より暗く描出され、乳房X線画像がネガ画像である場合には、微小石灰化が存在する場所は、周辺より明るく描出される。具体的な例を、図12を用いて説明する。図12は、ポジ画像である乳房X線画像における微小石灰化を説明するための図である。
【0008】
図12の左側に示すように、ポジ画像である乳房X線画像においては、X線の透過率が低い場所が暗く描出されており、この一部を拡大表示した図12の右側に示す画像において、微小石灰化は、周囲より暗い微小な部分として描出される(四角で示した領域の中を参照)。なお、図12の右側に示す画像においては、四角で示した領域にある微小石灰化の他にも、多数の微小石灰化が描出されている。
【0009】
また、近年、乳房X線撮影装置などのX線診断装置による画像診断においては、X線フィルムに焼き付けたX線画像を、シャーカステンによって照光して観察するフィルム診断に替わって、X線検出器が検出したX線画像を、TFT(薄膜トランジスタ)表示器などに表示して観察するソフトコピー診断が普及している。
【0010】
ソフトコピー診断に使用される表示器は、画素数が非常に多い一方、欠陥画素が存在することは許容されないため高価であるという特徴がある。なお、ソフトコピー診断用に市販されている表示器の画素数は、現在の最高レベルで「2048×2560」程度である。
【0011】
一方、乳房X線撮影装置に使用されるX線検出器は、「18cm×24cm」程度の検出視野を有し、X線検出器が検出するX線画像における1画素の大きさは、「50μm×50μm〜100μm×100μm」程度である。また、X線検出器が検出するX線画像の画素数は、「1800×2400」程度から「2048×2560」程度の範囲である。従って、X線検出器が検出する乳房X線画像における微小石灰化の大きさは「数画素×数画素」の範囲である。例えば、図13に示すように、微小石灰化を示す石灰化画素は、ポジ画像において、画素値が小さい部分(周囲より暗い部分)であり、微小石灰化が占める部分は、縦、横ともに数画素で構成される小さな部分からなる。なお、図13は、乳房X線画像における微小石灰化が占める画素数を説明する図である。
【0012】
【特許文献1】特開2005−13344号公報
【非特許文献1】Chan et at, “Image feature analysis and computer-aided diagnosis in digital radiography.I. Automated detection of microcalcifications in mammography”, Medical Physics, p538, Vol.14, No.4, 1987
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、上記したソフトコピー診断においては、X線画像など医用画像診断装置が撮影した撮影画像のもつ全画素の情報を同時に表示できない場合があった。このような場合としては、主に以下に述べる3つの場合が挙げられる。
【0014】
第一の場合は、検出器の画素数が表示器の画素数を上回る際に、1つの撮影画像を1つの表示器に表示する場合であり、第二の場合は、過去の撮影画像や撮影方向の異なる撮影画像を比較して読影することなどを目的に、複数の撮影画像を、同時に1つの表示器に表示する場合であり、第三の場合は、複数の撮影画像の中から特定の撮影画像を選択することを目的に、撮影画像ごとの縮小画像(サムネール画像)を1つの表示器に表示する場合である。
【0015】
このような場合においては、撮影画像から、間引き処理、平均処理、補間処理などの処理を行なうことにより、表示用画像データが生成される。
【0016】
例えば、第二の場合において、複数の撮影画像を表示器に同時に表示するために、原画像を8分の1に縮小した表示用画像データを生成するとする。図13に示す石灰化画素を含む原画像を8分の1に縮小する場合、図14に示すように、まず、縮小画像の画素である新画素の中心位置が縮小率によって設定される。すなわち、図14に示す、「8画素×8画素」からなる正方形が、1つの新画素となり、この正方形の中心が、新画素の中心位置となる。
【0017】
そして、新画素の画素値は、例えば、新画素の中心位置近傍の旧画素値(原画像の画素値)をそのまま新画素の画素値とする方法(間引き処理)や、新画素の範囲(図14に示す正方形)内の旧画素の画素値の平均値を新画素の画素値とする方法(平均処理)や、新画素の近傍の4つの旧画素の画素値からバイリニア補間などの内挿によって新画素の画素値を求める方法(補間処理)によって算出される。
【0018】
しかしながら、図13に示すように、微小石灰化の部分は、「数画素×数画素」の範囲に過ぎず、このような原画像の画素値から間引き処理や補間処理によって算出された新画素の画素値を用いて生成される縮小画像においては、原画像における石灰化画素の情報、すなわち、微小石灰化の存在する部分の情報が全く反映されていないので、縮小画像上で、微小石灰化を判別することが困難になる。例えば、図15に示す左側の原画像を間引き処理によって8分の1に縮小した場合、同図の右側に示す縮小画像のように、微小石灰化を示す情報が消失してしまう。なお、図14および図15は、従来技術によって作成される縮小画像について説明するための図である。
【0019】
また、平均処理によって算出された新画素の画素値を用いて生成される縮小画像においては、微小石灰化の存在する部分における画素値と、微小石灰化が存在しない部分における画素値との差が減少することとなるので、縮小画像上で、微小石灰化を判別することが困難になる。
【0020】
このように、ソフトコピー診断において乳房X線画像のもつ全画素の情報を表示できない場合、間引き処理、平均処理、補間処理などにより表示用画像データ(縮小画像)が生成されるため、診断上重要な情報である微小石灰化の情報が表示できないという課題があった。
【0021】
なお、上記では、乳房X線画像を縮小して微小石灰化を表示する場合に、このような課題があったことを説明したが、例えば、X線CT画像を縮小して虚血性心疾患の診断上重要な情報である冠動脈石灰化を表示する場合など、微小な病変部位を表示する場合すべてにおいて、同様な課題があった。
【0022】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、微小な病変部位の情報を保持したまま撮影画像を縮小して表示することが可能になる画像処理装置および診断用画像表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、医用画像診断装置から被検体を撮影した撮影画像を収集し、当該収集した撮影画像を用いて診断用画像を所定の表示器にて表示する画像処理装置であって、前記撮影画像における病変部位を示す画素である病変部位画素を特定し、特定された前記病変部位画素の位置情報である病変部位位置情報を抽出する病変部位位置情報抽出手段と、所定の縮小率が設定された際に、前記病変部位位置情報抽出手段が抽出した前記病変部位位置情報に基づいて、前記撮影画像から縮小画像を生成する縮小画像生成手段と、前記縮小画像生成手段によって生成された前記縮小画像を前記診断用画像として前記所定の表示器にて表示するように制御する表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
また、請求項11記載の本発明は、医用画像診断装置から被検体を撮影した撮影画像を収集し、当該収集した撮影画像を用いて診断用画像を所定の表示器にて表示する診断用画像表示方法をコンピュータに実行させる診断用画像表示プログラムであって、前記撮影画像における病変部位を示す画素である病変部位画素を特定し、特定された前記病変部位画素の位置情報である病変部位位置情報を抽出する病変部位位置情報抽出手順と、所定の縮小率が設定された際に、前記病変部位位置情報抽出手順が抽出した前記病変部位位置情報に基づいて、前記撮影画像から縮小画像を生成する縮小画像生成手順と、前記縮小画像生成手順によって生成された前記縮小画像を前記診断用画像として前記所定の表示器にて表示するように制御する表示制御手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1または11記載の本発明によれば、微小な病変部位の情報を保持したまま撮影画像を縮小して表示することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る画像処理装置および診断用画像表示プログラムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、本実施例では、本発明を乳房X線撮影装置に適用した場合について説明する。
【実施例】
【0027】
まず、本実施例に係る乳房X線撮影装置の構成について説明する。図1は、本実施例に係る乳房X線撮影装置の構成を示す図である。同図に示すように、この乳房X線撮影装置は、撮影台装置10と、画像処理装置20とが接続されて構成される。
【0028】
撮影台装置10は、被検体の乳房にX線を照射し、乳房を透過したX線を検出して画像を生成する装置であり、X線照射装置11と、圧迫板12と、撮影台13とを有する。X線照射装置11は、X線を発生するX線管を内部に備え、撮影台13の上に載置された乳房に向けてX線を曝射する装置である。
【0029】
圧迫板12は、撮影時に被検体の乳房を圧迫するための乳房圧迫器であり、撮影台13は、撮影時に乳房を載置するための台である。また、撮影台13は、乳房を透過したX線を検出するためのX線検出器(FPD;Flat Panel Detector)を内部に備えている。このX線検出器によって検出されたX線は、投影データに変換されて画像処理装置20に送信される。
【0030】
そして、本発明における画像処理装置20は、乳房X線撮影装置を構成する撮影台装置10から、被検体の乳房を撮影した投影データを受信し、当該受信した投影データを用いて診断用画像を表示することを概要とし、微小な病変部位の情報を保持したまま乳房X線画像を縮小して診断用画像として表示することに主たる特徴がある。
【0031】
この主たる特徴について、図2〜図9を用いて説明する。図2は、本実施例における画像処理装置の構成を示すブロック図であり、図3は、石灰化位置情報抽出部を説明するための図であり、図4は、新画素範囲算出部を説明するための図であり、図5は、新画素判定部を説明するための図であり、図6は、新画素値算出部による通常画素値算出方法を説明するための図であり、図7は、新画素値算出部による石灰化画素値算出方法を説明するための図であり、図8は、縮小画像生成部を説明するための図であり、図9は、本発明によって表示される縮小画像を説明するための図である。
【0032】
図2に示すように、画像処理装置20は、操作部21と、モニタ部22と、記憶部23と、制御部24とを有し、さらに、撮影台装置10に接続される。
【0033】
操作部21は、たとえばマウスやキーボードなどから構成され、撮影台装置10および画像処理装置20に対する各種操作を受け付け、特に本発明に密接に関連するものとしては、画像処理装置20の操作者から、診断画像としての縮小画像の表示要求や、後述する縮小画像表示処理部245による処理に用いられる各種設定条件を受け付ける。
【0034】
モニタ部22は、例えば、TFT(薄膜トランジスタ)表示器などのソフトコピー診断用の表示器から構成され、撮影台装置10から受信した投影データに基づいて生成された診断用画像や、操作部21によって各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)などを出力し、特に本発明に密接に関連するものとしては、後述する撮影画像表示処理部243や縮小画像表示処理部245が生成した診断用画像を表示する。
【0035】
記憶部23は、制御部24によって行われる各種処理に必要なデータを記憶する記憶部であり、本発明に関するものとしては、画像データ記憶部23aと、石灰化位置情報記憶部23bとを備える。なお、石灰化位置情報記憶部23bは、特許請求の範囲に記載の「病変部位位置情報記憶手段」に対応する。
【0036】
画像データ記憶部23aは、後述する画像データ収集部241が生成した撮影画像を記憶し、石灰化位置情報記憶部23bは、後述する石灰化位置情報抽出部244が抽出した石灰化位置情報を記憶する。なお、これらについては、後に詳述する。
【0037】
制御部24は、撮影台装置10の動作や画像処理装置20全体の制御を行い、本発明に関するものとしては、画像データ収集部241と、表示制御部242と、撮影画像表示処理部243と、石灰化位置情報抽出部244と、縮小画像表示処理部245とを備える。なお、表示制御部242は、特許請求の範囲に記載の「表示制御手段」に対応し、石灰化位置情報抽出部244は、特許請求の範囲に記載の「病変部位位置情報抽出手段」に対応する。
【0038】
画像データ収集部241は、被検体の乳房のX線撮影が行われた際に撮影台装置10から送信される投影データを受信し、受信した投影データから撮影画像(乳房X線画像)を生成して画像データ記憶部23aに格納する。
【0039】
表示制御部242は、操作部21が受け付けた診断用画像の表示要求を、撮影画像表示処理部243や縮小画像表示処理部245に送信して、撮影画像表示処理部243や縮小画像表示処理部245が処理した乳房X線画像を診断用画像として、モニタ部22に表示するよう指示する。
【0040】
撮影画像表示処理部243は、表示制御部242による制御のもと、診断画像をモニタ部22に表示する。具体的には、撮影画像表示処理部243は、画像データ記憶部23aから該当する乳房X線画像を読み出し、読み出した乳房X線画像を、診断用画像としてモニタ部22に表示する。すなわち、撮影画像表示処理部243は、画像データ記憶部23aが記憶する乳房X線画像を読み出した後は、縮小処理することなくそのまま、モニタ部22に表示する。なお、撮影画像表示処理部243は、表示制御部242が、操作部21から受け付けた診断用画像の拡大表示要求などの一般的な画像処理要求を受信した場合には、表示している診断用画像に対して要求に応じた画像処理を行い、画像処理を行なった診断用画像をモニタ22に表示する。
【0041】
石灰化位置情報抽出部244は、乳房X線画像における病変部位としての微小石灰化を示す画素である石灰化画素を特定し、特定された石灰化画素の位置情報である石灰化画素位置情報を抽出し、石灰化位置情報記憶部23bに格納する。
【0042】
すなわち、石灰化位置情報抽出部244は、図3に示すように、画像データ収集部241が生成した乳房X線画像から、石灰化画素を特定し、石灰化画素位置情報を抽出する。具体的には、乳房X線画像を構成する画素の「i 行目、j 列目」が石灰化画素であるとして特定し、「i 行目、j 列目」を石灰化画素位置情報として抽出する。なお、石灰化画素を特定する方法としては、例えば、「Chan et at, “Image feature analysis and computer-aided diagnosis in digital radiography.I. Automated detection of microcalcifications in mammography”, Medical Physics, p538, Vol.14, No.4, 1987」に記載の方法などが用いられる。
【0043】
なお、本実施例では、石灰化位置情報抽出部244が抽出した石灰化画素位置情報を、石灰化位置情報記憶部23bにて記憶する場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、石灰化位置情報記憶部23bを設置しない場合であってもよい。この場合は、例えば、石灰化画素位置情報を、石灰化画素を特定した乳房X線画像のデータのヘッダ情報として含ませるようにしたり、あるいは、乳房X線画像を構成する各画素が石灰化画素であるか否かを判別する2値情報を、各画素の画素値を示すデータ内に含ませるようにしたりする(例えば、画素値を示す16bitのうち、1bitに2値情報を含ませる)。
【0044】
図2に戻って、縮小画像表示処理部245は、表示制御部242が、操作部21から縮小画像の表示要求として、縮小処理を行なうとして指定した乳房X線画像の情報とともに縮小率を受け付けた場合、表示制御部242による制御に従って、指定された乳房X線画像を画像データ記憶部23aから読み出して、読み出した乳房X線画像の縮小処理を行い、本発明に関するものとしては、新画素範囲算出部245aと、新画素判定部245bと、新画素値算出部245cと、縮小画像生成部245dとを備える。なお、新画素範囲算出部245aは、特許請求の範囲に記載の「新画素範囲算出手段」に対応し、新画素判定部245bは、特許請求の範囲に記載の「新画素判定手段」に対応し、新画素値算出部245cは、特許請求の範囲に記載の「新画素値算出手段」に対応し、縮小画像生成部245dは、特許請求の範囲に記載の「縮小画像生成手段」に対応する。
【0045】
新画素範囲算出部245aは、表示制御部242から受け付けた縮小率に基づいて画像データ記憶部23aから読み出した乳房X線画像を分割し、分割された乳房X線画像それぞれを、縮小画像を構成する新たな1つの画素である新画素として決定し、決定された新画素それぞれの乳房X線画像に占める範囲である新画素範囲を算出する。
【0046】
例えば、新画素範囲算出部245aは、表示制御部242から受け付けた縮小率が8分の1だった場合、図4に示すように、乳房X線画像を「8画素×8画素」からなる正方形に分割し、分割された「8画素×8画素」からなる正方形それぞれを、縮小画像を構成する新たな1つの画素である新画素として決定し、決定された新画素それぞれの新画素範囲を算出する。具体的には、乳房X線画像を構成する画素のうち、「i 行目、j 列目」にある画素と、「i+7 行目、j +7列目」にある画素とによって定まる正方形の範囲を新画素範囲、すなわち、新画素の1画素に相当する範囲として算出する。なお、このさい、新画素の中心位置も算出する。
【0047】
新画素判定部245bは、新画素範囲算出部245aによって算出された新画素それぞれの新画素範囲をROI(Region of Interest)として設定し、設定されたROIそれぞれに、石灰化画素が含まれるか否かを、石灰化位置情報記憶部23bが記憶する石灰化画素位置情報に基づいて判定する。すなわち、新画素判定部245bは、新画素それぞれに対応するROI内に、石灰化画素があるか否かを、石灰化画素位置情報に基づいて判定し、例えば、図5に示すように、9つのROIのうち、「2行目、2列目」のROIには、石灰化画素が存在するので、「2行目、2列目」のROIに対応する新画素を縮小画像においても石灰化画素とすると判定し、他の8つのROIには、石灰化画素が存在しないので、これらのROIに対応する新画素を石灰化画素ではない通常画素とすると判定する。
【0048】
なお、本実施例では、新画素判定部245bは、新画素範囲算出部245aによって算出された新画素それぞれの新画素範囲をROIとして設定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、新画素範囲算出部245aによって算出された新画素それぞれの新画素範囲を所定の割合に拡げた範囲をROIとして設定する場合であってもよい。例えば、「8画素×8画素」からなる正方形である新画素範囲を縦横に2画素ずつ拡げた範囲である「10画素×10画素」からなる正方形をROIとして設定する場合であってもよい。
【0049】
図2に戻って、新画素値算出部245cは、新画素判定部245bによって通常画素として判定された新画素の画素値(通常画素値)を、該当するROIに含まれる「8×8=64画素」の乳房X線画像(原画像)における画素値に基づいて算出する。
【0050】
ここで、新画素値算出部245cは、画像処理装置20の操作者による設定により、以下の3つの方法のいずれかに基づいて通常画素値を算出する。
【0051】
第一の方法として、新画素値算出部245cは、通常画素として判定した際に用いたROI内に含まれる64画素から任意に選択された1つの画素の画素値を、通常画素値として採用する。すなわち、新画素値算出部245cは、図6の(A)に示すように、任意に選択された1つの画素の画素値を代表画素値とする間引き処理によって通常画素値を算出する。
【0052】
第二の方法として、新画素値算出部245cは、通常画素として判定した際に用いたROI内に含まれる64画素から任意に選択された複数の画素の画素値の加重平均値を、通常画素値として算出する。例えば、新画素値算出部245cは、図6の(B)に示すように、ROI内の四隅にある4画素を選択し、これらの画素値の加重平均値を算出し、この値を、通常画素値とする。あるいは、図6の(B)に示すように、新画素範囲算出部245aが算出した新画素範囲の中心位置の最近傍の4画素を選択し、これらの画素値の加重平均値を算出し、この値を、通常画素値とする。すなわち、第二の方法は、補間処理によって通常画素値を算出する方法である。
【0053】
第三の方法として、新画素値算出部245cは、図6の(C)に示すように、通常画素として判定した際に用いたROI内に含まれる64画素すべての画素値の平均値を、通常画素値として算出する。すなわち、第三の方法は、平均処理によって通常画素値を算出する方法である。
【0054】
図2に戻って、新画素値算出部245cは、さらに、新画素判定部245bによって石灰化画素として判定された新画素の画素値(石灰化画素値)を、該当するROIに含まれる「64画素」のうち、原画像において石灰化画素として特定されている画素の画素値に基づいて算出する。
【0055】
ここで、新画素値算出部245cは、画像処理装置20の操作者による設定により、以下の3つの方法のいずれかに基づいて石灰化画素値を算出する。
【0056】
第一の方法として、新画素値算出部245cは、石灰化画素として判定した際に用いたROI内の64画素のうち、原画像において石灰化画素として特定されている画素から任意に選択された1つの画素の画素値を、石灰化画素値として採用する。例えば、新画素値算出部245cは、図7の(A)の(1)に示すように、ROI内の64画素のうち、原画像において石灰化画素として特定されている画素が1つの場合は、その石灰化画素の画素値をそのまま採用する。また、新画素値算出部245cは、図7の(A)の(2)に示すように、ROI内の64画素のうち、原画像において石灰化画素として特定されている画素が複数の場合は、以下の処理を行なう。すなわち、画像処理装置20の操作者の表示要求が、ポジ画像の縮小画像の表示要求であるならば、原画像のROI内における石灰化画素の画素値の中で最小値を採用し(図7の(A)の(2−1)参照)、画像処理装置20の操作者の表示要求が、ネガ画像の縮小画像の表示要求であるならば、原画像のROI内における石灰化画素の画素値の中で最大値を採用する(図7の(A)の(2−2)参照)。
【0057】
第二の方法として、新画素値算出部245cは、図7の(B)に示すように、石灰化画素として判定した際に用いたROIの周囲に存在する病変部位画素でない画素の画素値との差異を拡大するように、石灰化画素値を算出する。例えば、画像処理装置20の操作者の表示要求が、ポジ画像の縮小画像の表示要求であるならば、原画像のROI内における石灰化画素の画素値の中で最小値「A」を選択し、さらにROIの周囲に存在する病変部位画素でない画素を任意に選択する。ここで、選択された画素の画素値が「B」であるならば、これらの差異「B−A」を2倍に拡大するように、「A−(B−A)」を石灰化画素値として算出する。
【0058】
あるいは、画像処理装置20の操作者の表示要求が、ネガ画像の縮小画像の表示要求であるならば、原画像のROI内における石灰化画素の画素値の中で最大値「C」を選択し、さらにROIの周囲に存在する病変部位画素でない画素を任意に選択する。ここで、選択された画素の画素値が「D」であるならば、これらの差異「C−D」を2倍に拡大するように、「C+(C−D)」を石灰化画素値として算出する。なお、第二の方法は、周囲との差を強調するように新画素における石灰化画素値を算出するものであり、強調する度合に関しては、例えば、画像処理装置20の操作者である医師の判断により任意に設定できるものである。
【0059】
第三の方法として、新画素値算出部245cは、石灰化画素として、予め設定された所定の画素値を採用する。例えば、画像処理装置20の操作者の表示要求が、ポジ画像の縮小画像の表示要求であるならば、最小輝度となる値を採用し(図7の(C)の(1)参照)、ネガ画像の縮小画像の表示要求であるならば、最大輝度となる値を採用する(図7の(C)の(2)参照)。
【0060】
図2に戻って、縮小画像生成部245dは、新画素値算出部245cによって算出された新画素ごとの画素値(石灰化画素値および通常画素値)から縮小画像を生成し、表示制御部242の制御に従って、生成した縮小画像をモニタ部22に表示する。
【0061】
例えば、縮小画像生成部245dは、新画素値算出部245cが、図8の左側に示す原画像に対して算出した新画素ごとの画素値(石灰化画素値および通常画素値)から、図8の右側に示す縮小画像を生成する。ここで、縮小画像生成部245dは、新画素値算出部245cによって算出された石灰化画素値を用いて縮小画像を生成するので、図8の原画像において四角で示す微小石灰化の部分が、図8の縮小画像においても明確に描出される。なお、図8に示す縮小画像は、原画像と同じ大きさに拡大して示したものであり、実際には、8分の1に縮小された画像が、モニタ部22にて表示される。
【0062】
上記したように、本発明の方法によって生成される1/8縮小画像は、従来の方法によって生成される1/8縮小画像と異なり、図9に示すように、ネガ画像である原画像において明るい点として描出されていた微小石灰化の情報が保持されたまま描出される。
【0063】
次に、図10を用いて、本実施例における画像処理装置20の石灰化位置情報抽出処理について説明する。図10は、本実施例における画像処理装置の石灰化位置情報抽出処理を説明するための図である。
【0064】
図10に示すように、画像処理装置20が備える石灰化位置情報抽出部244は、画像データ収集部241が生成した乳房X線画像が入力されると(ステップS1001肯定)、当該乳房X線画像における微小石灰化を示す画素である石灰化画素を特定し、特定された石灰化画素の位置情報である石灰化画素位置情報を抽出する(ステップS1002)。
【0065】
そして、石灰化位置情報抽出部244は、抽出した石灰化画素位置情報を石灰化位置情報記憶部23bに格納し、石灰化位置情報記憶部23bは、石灰化位置情報抽出部244が抽出した石灰化画素位置情報を記憶して保存し(ステップS1003)、処理を終了する。
【0066】
続いて、図11を用いて、本実施例における画像処理装置20の縮小画像表示処理について説明する。図11は、本実施例における画像処理装置の縮小画像表示処理を説明するための図である。
【0067】
図11に示すように、本実施例における画像処理装置20は、操作部21から縮小画像の表示要求として、縮小処理を行なうとして指定した乳房X線画像の情報とともに縮小率を受け付けると(ステップS1101肯定)、表示制御部242は、縮小画像の表示要求を縮小撮影画像表示処理部245に通知し、縮小画像表示処理部245における新画素範囲算出部245aは、受け付けた縮小率に基づいて、画像データ記憶部23aから読み出した該当する乳房X線画像を分割し、分割された乳房X線画像それぞれを、縮小画像を構成する新たな1つの画素である新画素として決定し、決定された新画素それぞれの乳房X線画像に占める範囲である新画素範囲を算出する(ステップS1102、図4参照)。なお、このさい、新画素の中心位置も算出する。
【0068】
そして、新画素判定部245bは、新画素範囲算出部245aによって算出された新画素それぞれの新画素範囲をROIとして設定し、設定されたROIそれぞれに、石灰化画素が含まれるか否かを、石灰化位置情報記憶部23bが記憶する石灰化画素位置情報に基づいて判定する(ステップS1103、図5参照)。すなわち、新画素判定部245bは、新画素それぞれに対応するROI内に、石灰化画素があるか否かを、石灰化画素位置情報に基づいて判定し、石灰化画素が存在する場合は、当該ROIに対応する新画素を縮小画像においても石灰化画素とすると判定し、石灰化画素が存在しない場合は、当該ROIに対応する新画素を縮小画像において石灰化画素ではない通常画素とすると判定する。
【0069】
ここで、新画素判定部245bによって石灰化画素として判定された場合(ステップS1104肯定)、新画素値算出部245cは、新画素の画素値(石灰化画素値)を、該当するROIに含まれる画素のうち、原画像において石灰化画素として特定されている画素の画素値に基づいて算出する(ステップS1105)。なお、新画素の石灰化画素値を算出する方法としては、図7に示す第一〜第三の3つの方法があり、どの方法を用いるかは、画像処理装置20の操作者によって予め設定される。
【0070】
一方、新画素判定部245bによって通常画素として判定された場合(ステップS1104否定)、新画素値算出部245cは、新画素の画素値(通常画素値)を、該当するROIに含まれる原画像における画素値に基づいて算出する(ステップS1106)。なお、新画素の通常画素値を算出する方法としては、図6に示す第一〜第三の3つの方法があり、どの方法を用いるかは、画像処理装置20の操作者によって予め設定される。
【0071】
そして、新画素値算出部245cによって新画素の画素値が算出された後、新画素判定部245bは、新画素範囲算出部245aによって決定されたすべての新画素に対して処理が終了したか否かを判定する(ステップS1107)。
【0072】
ここで、すべての新画素に対して処理が終了していない場合(ステップS1107否定)、ステップS1103に戻り、新画素判定部245bの判定処理が行なわれる。
【0073】
これに反して、すべての新画素に対して処理が終了した場合(ステップS1107肯定)、縮小画像生成部245dは、新画素値算出部245cによって算出された新画素ごとの画素値(石灰化画素値および通常画素値)から縮小画像を生成する(ステップS1108)。
【0074】
そして、表示制御部242は、縮小画像の表示要求に含まれる「縮小処理を行なうとして指定した乳房X線画像」のすべての画像について縮小画像の生成処理が終了したか否かを判断し(ステップS1109)、すべての画像について縮小画像の生成処理が終了していない場合(ステップS1109否定)、ステップS1102に戻って、指定された別の乳房X線画像について、新画素範囲の算出を行なうように、新画素範囲算出部245aを制御する。
【0075】
これに反して、表示制御部242は、すべての画像について縮小画像の生成処理が終了した場合(ステップS1109肯定)、縮小画像生成部245dが生成したすべての縮小画像をモニタ部22にて表示するように制御し、モニタ部22は、縮小画像を表示して(ステップS1110)、処理を終了する。
【0076】
上述してきたように、本実施例では、石灰化位置情報抽出部244は、乳房X線画像における微小石灰化を示す画素である石灰化画素を特定して、特定された石灰化画素の位置情報である石灰化画素位置情報を抽出し、石灰化位置情報記憶部23bに格納する。新画素範囲算出部245aは、表示制御部242から受け付けた縮小率に基づいて画像データ記憶部23aから読み出した乳房X線画像を分割し、分割された乳房X線画像それぞれを、縮小画像を構成する新たな1つの画素である新画素として決定して新画素範囲を算出し、新画素判定部245bは、新画素それぞれに対応するROI内に、石灰化画素があるか否かを、石灰化位置情報記憶部23bが記憶する石灰化画素位置情報に基づいて判定する。その際、新画素判定部245bは、石灰化画素が存在する場合は、当該ROIに対応する新画素を縮小画像においても石灰化画素とすると判定し、石灰化画素が存在しない場合は、当該ROIに対応する新画素を縮小画像において石灰化画素ではない通常画素とすると判定する。
【0077】
新画素判定部245bによって石灰化画素として判定された場合、新画素値算出部245cは、新画素の画素値(石灰化画素値)を、該当するROIに含まれる画素のうち、原画像において石灰化画素として特定されている画素の画素値に基づいて算出し、新画素判定部245bによって通常画素として判定された場合、新画素値算出部245cは、新画素の画素値(通常画素値)を、該当するROIに含まれる原画像における画素値に基づいて算出する。
【0078】
縮小画像生成部245dは、新画素値算出部245cによって算出された新画素ごとの画素値(石灰化画素値および通常画素値)から縮小画像を生成する。このようなことから、本実施例における乳房X線撮影装置は、ソフトコピー診断において、撮影台13が備えるX線検出器の画素数が、モニタ部22が備える表示器の画素数を上回る場合や、複数の乳房X線画像を診断用画像として同時に1つの表示器に表示する場合や、サムネール画像を1つの表示器に表示する場合であっても、微小石灰化の情報を縮小画像において必ず残すことができ、微小石灰化の情報を保持したまま乳房X線画像を縮小して診断用画像として表示することが可能になる。
【0079】
なお、本実施例では、石灰化位置情報抽出部244が予め抽出した石灰化画素位置情報を記憶しておき、縮小画像表示処理部245が、記憶されている石灰化画素位置情報に基づいて処理を行なう場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、縮小画像の表示要求を受け付けた場合に、石灰化位置情報抽出部244が石灰化画素位置情報を抽出し、縮小画像表示処理部245が、抽出された石灰化画素位置情報に基づいて処理を行なう場合であってもよい。すなわち、石灰化位置情報記憶部23bのようなデータベースを保持せず、縮小画像の表示要求に応答して、リアルタイムに上述した一連の処理を行なう場合であってもよい。
【0080】
また、本実施例では、本発明を乳房X線画像撮影装置に適用し、病変部位としての微小石灰化の情報を保持した縮小画像を生成する場合について説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、本発明をX線CT装置に適用し、例えば、病変部位として冠動脈石灰化の情報を保持した縮小画像を生成する場合であってもよい。
【0081】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0082】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のように、本発明に係る画像処理装置および診断用画像表示プログラムは、医用画像診断装置から被検体を撮影した撮影画像を収集し、当該収集した撮影画像を用いて診断用画像を所定の表示器にて表示する場合に有用であり、特に、微小な病変部位の情報を保持したまま撮影画像を縮小して表示することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施例における乳房X線撮影装置の全体構成を示す構成図である。
【図2】本実施例における画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】石灰化位置情報抽出部を説明するための図である。
【図4】新画素範囲算出部を説明するための図である。
【図5】新画素判定部を説明するための図である。
【図6】新画素値算出部による通常画素値算出方法を説明するための図である。
【図7】新画素値算出部による石灰化画素値算出方法を説明するための図である。
【図8】縮小画像生成部を説明するための図である。
【図9】本発明によって表示される縮小画像を説明するための図である。
【図10】本実施例における画像処理装置の石灰化位置情報抽出処理を説明するための図である。
【図11】本実施例における画像処理装置の縮小画像表示処理を説明するための図である。
【図12】ポジ画像である乳房X線画像における微小石灰化を説明するための図である。
【図13】乳房X線画像における微小石灰化が占める画素数を説明する図である。
【図14】従来技術によって作成される縮小画像について説明するための図である。
【図15】従来技術によって作成される縮小画像について説明するための図である。
【符号の説明】
【0085】
10 撮影台装置
11 X線照射装置
12 圧迫板
13 撮影台
20 画像処理装置
21 操作部
22 モニタ部
23 記憶部
23a 画像データ記憶部
23b 石灰化位置情報記憶部
24 制御部
241 画像データ収集部
242 表示制御部
243 撮影画像表示処理部
244 石灰化位置情報抽出部
245 縮小画像表示処理部
245a 新画素範囲算出部
245b 新画素判定部
245c 新画素値算出部
245d 縮小画像生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像診断装置から被検体を撮影した撮影画像を収集し、当該収集した撮影画像を用いて診断用画像を所定の表示器にて表示する画像処理装置であって、
前記撮影画像における病変部位を示す画素である病変部位画素を特定し、特定された前記病変部位画素の位置情報である病変部位位置情報を抽出する病変部位位置情報抽出手段と、
所定の縮小率が設定された際に、前記病変部位位置情報抽出手段が抽出した前記病変部位位置情報に基づいて、前記撮影画像から縮小画像を生成する縮小画像生成手段と、
前記縮小画像生成手段によって生成された前記縮小画像を前記診断用画像として前記所定の表示器にて表示するように制御する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記所定の縮小率に基づいて前記撮影画像を分割し、分割された前記撮影画像それぞれを、前記縮小画像を構成する新たな1つの画素である新画素として決定し、決定された前記新画素それぞれの前記撮影画像に占める範囲である新画素範囲を算出する新画素範囲算出手段と、
前記新画素範囲算出手段によって算出された前記新画素それぞれの前記新画素範囲を、または、前記新画素範囲算出手段によって算出された前記新画素それぞれの前記新画素範囲を所定の割合に拡げた範囲を探索範囲として設定し、設定された前記探索範囲それぞれに、前記病変部位画素が含まれるか否かを、前記病変部位位置情報抽出手段によって抽出された前記病変部位位置情報に基づいて判定する新画素判定手段と、
前記新画素判定手段によって前記病変部位画素が含まれないと判定された前記探索範囲に対応する前記新画素の画素値を、当該探索範囲に含まれる複数の画素の画素値に基づいて算出し、前記新画素判定手段によって前記病変部位画素が含まれると判定された前記探索範囲に対応する前記新画素の画素値を、当該探索範囲に含まれる病変部位画素の画素値に基づいて算出する新画素値算出手段と、をさらに備え、
前記縮小画像生成手段は、前記新画素値算出手段によって算出された前記新画素ごとの画素値から前記縮小画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記新画素値算出手段は、前記新画素判定手段によって前記病変部位画素が含まれないと判定された前記探索範囲に対応する前記新画素の画素値として、当該探索範囲に含まれる複数の画素から任意に選択された1つの画素の画素値を採用することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記新画素値算出手段は、前記新画素判定手段によって前記病変部位画素が含まれないと判定された前記探索範囲に対応する前記新画素の画素値を、当該探索範囲に含まれる複数の画素から任意に選択された複数の画素の画素値の加重平均値として算出することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記新画素値算出手段は、前記新画素判定手段によって前記病変部位画素が含まれないと判定された前記探索範囲に対応する前記新画素の画素値を、当該探索範囲に含まれる複数の画素すべての画素値の平均値として算出することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記新画素値算出手段は、前記新画素判定手段によって前記病変部位画素が含まれると判定された前記探索範囲に対応する前記新画素の画素値として、当該探索範囲に含まれる病変部位画素の画素値から任意に選択された1つの画素の画素値を採用することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記新画素値算出手段は、前記新画素判定手段によって前記病変部位画素が含まれると判定された前記探索範囲に対応する前記新画素の画素値を、当該探索範囲の周囲に存在する病変部位画素でない画素の画素値との差異を拡大するように算出することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記新画素値算出手段は、前記新画素判定手段によって前記病変部位画素が含まれると判定された前記探索範囲に対応する前記新画素の画素値として、予め設定された設定値を採用することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記病変部位位置情報抽出手段によって抽出された前記病変部位位置情報を記憶する病変部位位置情報記憶手段をさらに備え、
前記新画素判定手段は、前記病変部位情報記憶手段が記憶する病変部位位置情報に基づいて、前記新画素に前記病変部位画素が含まれるか否かを判定することを特徴とする請求項2〜8のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記医用画像診断装置は、被検体の乳房におけるX線画像を撮影する乳房X線画像撮影装置であり、前記病変部位は、微小石灰化であることを特徴とする請求項2〜9のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項11】
医用画像診断装置から被検体を撮影した撮影画像を収集し、当該収集した撮影画像を用いて診断用画像を所定の表示器にて表示する診断用画像表示方法をコンピュータに実行させる診断用画像表示プログラムであって、
前記撮影画像における病変部位を示す画素である病変部位画素を特定し、特定された前記病変部位画素の位置情報である病変部位位置情報を抽出する病変部位位置情報抽出手順と、
所定の縮小率が設定された際に、前記病変部位位置情報抽出手順が抽出した前記病変部位位置情報に基づいて、前記撮影画像から縮小画像を生成する縮小画像生成手順と、
前記縮小画像生成手順によって生成された前記縮小画像を前記診断用画像として前記所定の表示器にて表示するように制御する表示制御手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする診断用画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−136457(P2009−136457A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315090(P2007−315090)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】