画像処理装置及びこれを用いた医用画像診断装置並びに医用画像表示装置
【課題】
コントラスト調整用釦を少なくしてコントラスト調整を簡単に行う。
【解決手段】
入力画像の特徴量を特徴量抽出部102で抽出して画像特徴量が一定値となる階調変換特性を標準階調変換特性作成部103で作成する。この作成部103で作成した標準階調変換特性と階調変換特性変形境界値記憶部104に記憶されている変形境界領域画素値とからコントラスト調整値に対応した複数の階調変換特性を階調変換特性算出部105で算出して階調変換特性記憶部107に記憶する。そして、コントラスト調整部106で調整したコントラスト調整値に対応する階調変換特性を前記階調変換特性記憶部107に記憶した複数の階調変換特性の中から階調変換特性選択部108で前記コントラスト調整部の調整値に対応した階調変換特性を選択し、この選択した階調変換特性を用いて前記入力画像を階調変換処理部109で階調変換してコントラストを調整する。
コントラスト調整用釦を少なくしてコントラスト調整を簡単に行う。
【解決手段】
入力画像の特徴量を特徴量抽出部102で抽出して画像特徴量が一定値となる階調変換特性を標準階調変換特性作成部103で作成する。この作成部103で作成した標準階調変換特性と階調変換特性変形境界値記憶部104に記憶されている変形境界領域画素値とからコントラスト調整値に対応した複数の階調変換特性を階調変換特性算出部105で算出して階調変換特性記憶部107に記憶する。そして、コントラスト調整部106で調整したコントラスト調整値に対応する階調変換特性を前記階調変換特性記憶部107に記憶した複数の階調変換特性の中から階調変換特性選択部108で前記コントラスト調整部の調整値に対応した階調変換特性を選択し、この選択した階調変換特性を用いて前記入力画像を階調変換処理部109で階調変換してコントラストを調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に係り、特に画像表示階調変換特性をユーザが容易に変更して表示画像のコントラストを調整できる画像処理装置及びこれを用いた医用画像診断装置並びに医用画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタル技術の進歩により放射線画像をデジタル画像信号(以後デジタル画像信号を構成する画素の値を画素値と呼ぶ)に変換し、該デジタル画像信号に画像処理を行いCRT等に表示、あるいはフィルムに出力することが行われており、前記変換されたデジタル画像信号をCRT表示あるいはフィルム出力に適した画像にするために階調変換処理するのが一般的である。
【0003】
この階調変換処理後の画像において、注目領域の画像領域のコントラストを調整して被写体の画像全体がCRTやフィルム上で観察しやすいように階調を変換することが要求される。
このため、階調変換特性の形状(傾き等)は、被写体画像の種類、特徴又は画素値範囲等に応じて自在に調整できることが望ましい。
【0004】
このような要求に対して、所定の階調変換特性または多数のパラメータで記述される階調変換特性に対し、その特性の形状を容易に変更できる画像処理装置、画像処理方法、記憶媒体及びプログラムが特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特許第3814491号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1によれば、基準階調変換特性から階調を変換したい濃度領域のコントラストを調整することができるが、フィルム濃度が低い白側とフィルム濃度が高い黒側のコントラストを調整するためには、白側のガンマを調整するための釦と黒側のガンマを調整するための釦との二種類の調整釦が必要になる。
【0006】
しかし、画質調整釦の種類が多いほど、こまかな画質調整が行えるものの、操作者の視点移動距離が増えるため、画質調整に多くの時間を費やし、操作者の疲労は増大するものとなる。
このため、一種類のコントラスト調整釦で、黒側のコントラストや、白側のコントラストを微調整できた方が操作は簡単となって操作者の疲労も軽減されるので、この点の改良が望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、コントラスト調整用釦を少なくしてコントラスト調整を簡単に行える画像処理装置及びこれを用いた医用画像診断装置並びに医用画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による画像処理装置は、入力画像の特徴量からコントラスト調整値に対応した複数の階調変換特性を算出し、この算出した階調変換特性を用いてコントラストを調整するもので、具体的には以下の手段によって達成される。
【0009】
すなわち、複数の階調変換特性の中から任意の階調変換特性を選択する階調変換特性選択手段と、前記選択した階調変換特性を用いて入力画像の各画素の画素値を変換する階調変換処理手段と、この階調変換処理手段で変換された出力画像を表示する画像表示手段と、この画像表示手段に表示された画像のコントラストを調整するコントラスト調整手段とを備えた画像処理装置において、前記入力画像の特徴量を抽出する入力画像特徴量抽出手段と、前記抽出した画像特徴量が一定値となる階調変換特性を作成する標準階調変換特性作成手段と、前記標準階調変換特性を変形させる領域の境界における画素値を記憶する変形境界領域画素値記憶手段と、前記標準階調変換特性と前記変形境界領域画素値とから前記コントラスト調整手段の調整値に対応した複数の階調変換特性を算出する階調変換特性算出手段と、この階調変換特性算出手段で算出した複数の階調変換特性を記憶する階調変換特性記憶手段とを備え、前記階調変換特性選択手段は、前記階調変換特性記憶手段に記憶した複数の階調変換特性の中から前記コントラスト調整手段の調整値に対応した階調変換特性を選択し、この選択した階調変換特性を用いてコントラストを調整する。
【0010】
前記コントラスト調整手段は、前記画像表示手段に表示される画像のコントラストの高低を調整する1種類の調整手段を用いてコントラストを調整する。
【0011】
前記階調変換特性算出手段は、前記標準階調変換特性と前記変形境界領域画素値を当該記憶手段から読み出す手段と、前記コントラスト調整手段のコントラストの初期値を設定するコントラスト初期値設定手段と、前記コントラスト調整手段の調整値を判定するコントラスト調整値判定手段と、このコントラスト調整値判定手段の判定結果に応じて前記標準階調変換特性を変形させて平滑化して派生階調変換特性を生成する派生階調変換特性生成手段と、前記派生階調変換特性を記憶する派生階調変換特性記憶手段と、前記コントラスト調整値を更新するコントラスト調整値更新手段と、このコントラスト調整値更新手段で更新したコントラスト調整値に対応する階調変換特性算出の完了を判定する階調変換特性算出完了判定手段とを備えて階調変換特性を算出する。
【0012】
前記派生階調変換特性生成手段は、前記コントラスト調整値が0の場合は前記標準階調変換特性を派生階調変換特性とし、前記コントラスト調整値が負の場合は、前記標準階調変換特性の白側境界値と出力の最大値との間に中間出力値を決定する白側中間出力値決定手段と、前記中間出力値の入力値を算出する白側中間出力値の入力値算出手段と、前記白側境界値と出力の最大値との間の階調変換特性を作成するための制御点のx座標を決定する白側制御点x座標決定手段と、前記標準階調変換特性の白側境界値の出力に対応した入力値を算出する白側境界入力値算出手段と、前記中間出力値と前記白側境界値と前記制御点のx座標と前記白側境界入力値とに基づいて前記白側境界値と出力の最大値との間の階調変換特性を作成する手段と、この手段で作成した階調変換特性を平滑化して白側の派生階調変換特性を生成し、前記コントラスト調整値が正の場合は、前記標準階調変換特性の黒側境界値と出力の最小値との間に中間出力値を決定する黒側中間出力値決定手段と、前記中間出力値の入力値を算出する黒側中間出力値の入力値算出手段と、前記黒側境界値と出力の最小値との間の階調変換特性を作成するための制御点のx座標を決定する黒側制御点x座標決定手段と、前記標準階調変換特性の黒側境界値の出力に対応した入力値を算出する黒側境界入力値算出手段と、前記中間出力値と前記黒側境界値と前記制御点のx座標と前記黒側境界入力値とに基づいて前記黒側境界値と出力の最小値との間の階調変換特性を作成する手段と、この手段で作成した階調変換特性を平滑化して黒側の派生階調変換特性を生成し、前記生成した白側の派生階調変換特性と前記黒側の派生階調変換特性とを用いて派生階調変換特性を生成する。
【0013】
前記入力画像特徴量抽出手段は、前記入力画像に関心領域を設定する関心領域設定手段と、この関心領域の画素の画素値の平均値を算出する画素平均値算出手段とを備えた。
【0014】
前記標準階調変換特性を変形させる領域の境界における画素値は、前記画像表示手段に表示される画像の黒側を規定する画素値の境界値と白側を規定する画素値の境界値である。
【0015】
前記階調変換特性算出手段は、前記コントラスト調整手段から入力されるコントラスト調整値に対応して表示画像の白側のコントラストを下げる系列の複数の階調変換特性と表示画像の黒側のコントラストを下げる系列の複数の階調変換特性を算出するものである。
【0016】
医用画像のコントラストを調整するコントラスト調整手段を備えた医用画像診断装置並びに医用画像表示装置の前記コントラスト調整手段に上記の画像処理装置を備えて、この画像処理装置により医用画像のコントラストを調整する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コントラスト調整値に対応した複数の階調変換特性を自動的に作成し、一種類のコントラスト調整手段で調整したコントラスト調整値に対応する階調変換特性を選択してコントラストを調整するようにしたので、一種類のコントラスト調整手段のみで画質を任意に調整することができ、操作者の視点移動回数が激減して前記操作者の疲労が軽減すると共に画質調整時間も短縮されて操作性が格段に向上する画像処理装置及び医用画像診断装置並びに医用画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像処理装置及びこれを用いた医用画像診断装置並びに医用画像表示装置の好ましい実施の形態について添付図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
本発明による画像処理装置は、X線画像診断装置、X線CT装置、超音波診断装置、磁気共鳴イメージィング装置等の医用画像診断装置並びに医用画像表示装置に適用できるが、ここではX線画像診断装置に用いた例について説明する。
【0020】
図1は、本発明の画像処理装置を適用したX線画像診断装置の全体構成を示す図である。 この図1に示すX線画像診断装置は、被検体1に照射するX線を発生するX線管2と、前記被検体1に照射するX線の照射範囲を制限するX線可動絞り装置3と、前記X線管2及びX線可動絞り装置3と対向配置され前記被検体1の透過X線を検出しこれをデジタル画像データに変換するX線検出部4と、このX線検出部4で検出した画像データを読み出して該画像データを取得する画像データ取得部5と、後述の操作コンソール8で設定したX線条件に基づいて前記X線管2から照射するX線を制御する信号を生成するX線制御部及びこのX線制御部からの制御信号に対応した前記X線管2の陽極と陰極間に印加する直流高電圧(管電圧)を発生し、前記X線管2の陽極と陰極間の電流(管電流)を所定時間の間(撮影時間)流す機能を備えたX線高電圧装置6と、後述の操作コンソール8から入力した操作信号に基づいて撮影システム全体を制御及び管理すると共に前記画像データ取得部5で取得した画像データの補正や各種の画像処理を行ってX線撮影画像を生成するシステム制御及び画像処理装置7と、前記X線条件の設定、操作信号等を入力して操作する操作部8aと前記システム制御及び画像処理装置7で生成されたX線撮影画像及び該画像に関連する情報等を表示する表示部8bとから成る操作コンソール8とを備えて構成される。
【0021】
前記システム制御及び画像処理装置7は、システム全体の制御と前記画像データ取得部5で取得した画像データを読み出して撮影画像を生成するプログラムを実行するCPU(中央処理装置)7aと、本実施形態で説明する処理を前記CPU7aに実行させるための制御プログラムや撮影に必要となるX線条件、前記画像データ取得部5から読み出された画像データを補正する補正データ等を記憶するハードディスク7bと、該ハードディスク7bから読み出した制御プログラム、X線条件、補正データ及び前記画像データ取得部5で取得した画像データ等を記憶するメモリ(一時記憶メモリ)7cと、前記取得した画像データに各種の画像処理を施し、このデータに画像表示制御を行って映像信号として出力するビデオカード7dと、前記各要素との入出力インターフェース7eと、前記各要素を相互に接続する共通バス7fとを備えて構成される。
【0022】
前記CPU7aは、システム制御及び画像処理装置7において各種制御プログラムを実行する。後述の本実施形態による処理を実行するための制御プログラムは、OSを介してCPU7aによってハードディスク7bからメモリ7cへロードされ、該CPU7aによって実行される。
【0023】
前記メモリ7cには、前記画像データ取得部5で取得した画像データを記憶するエリアが確保され、ここに撮影画像データが一時的に記憶される。
また、メモリ7c上には前記画像データを補正するための補正データエリアが確保され、このエリアに前記画像データの補正に用いるための補正データが記憶される。
【0024】
前記入出力インターフェース7eには、本X線画像診断装置の操作者とのインターフェースとなる図示省略のキーボードやマウス等の前記操作部8a及び前記表示部8bが接続される。もちろん、前記操作部8a及び表示部8bをタッチパネル式の操作部を備えた表示装置等により構成しても良いことは明らかである。
【0025】
なお、前記システム制御及び画像処理装置7に、さらにROM(読み出し専用メモリ)を設け、前記制御プログラム、X線条件、補正データ等を前記ROMに記憶しておき、このROMから前記制御プログラム、X線条件、補正データ等をメモリ7cにロードして撮影制御及びX線画像を生成するようにしても良い。
【0026】
次に、上記構成のX線画像診断装置で撮影を行い、画像データ取得部5で取得した画像データに画像処理を施し、該処理されたデータを階調変換処理して操作コンソール8の表示部8bに表示する本発明の画像処理装置について説明する。
【0027】
図2は、本発明による画像処理装置の表示階調変換部の構成を示す図で、前記画像データ取得部5で取得した画像データに画像処理が施され、該処理された画像データが入力される画像入力部101と、この画像入力部101に入力された入力画像の特徴量を抽出する特徴量抽出部(入力画像特徴量抽出手段)102と、この特徴量抽出部102で得られた画像特徴量が一定値になるように階調変換特性を作成する標準階調変換特性作成部(標準階調変換特性作成手段)103と、この標準階調変換特性作成部103で作成した標準階調変換特性を変形させる領域の画素値を記憶する階調変換特性変形境界値記憶部(変形境界領域画素値記憶手段)104と、前記標準階調変換特性作成部103で作成した標準階調変換特性と前記階調変換特性変形境界値記憶部104に記憶してある標準階調変換特性を変形させる領域の画素値とから階調変換特性を算出する階調変換特性算出部(階調変換特性算出手段)105と、表示画像のコントラストを調整するコントラスト調整部(コントラスト調整手段)106と、前記階調変換特性算出部105で作成した複数の階調変換特性をコントラスト調整値と対応させて記憶しておく階調変換特性記憶部(階調変換特性記憶手段)107と、前記コントラスト調整部106で調整した調整値に対応する階調変換特性を前記階調変換特性記憶部107に記憶してある階調変換特性の中から選択する階調変換特性選択部(階調変換特性選択手段)108と、この階調変換特性選択部108で選択した階調変換特性を用いて前記画像入力部101に入力された画像データの階調変換処理を行う階調変換処理部(階調変換処理手段)109と、この階調変換処理部109で階調変換処理された画像データを前記表示部(画像表示手段)8bに表示するための制御を行う画像表示制御部110とを備えて構成される。
【0028】
前記特徴量抽出部102は、画像入力部101で得られた入力画像において、例えば画像中央の縦10cm×横10cmの矩形領域の関心領域(ROI)を設定(関心領域設定手段)し、この設定したROIの画素の画素値の平均値を計算(画素平均値算出手段)して特徴量を抽出する。
【0029】
なお、前記ROIは前記操作部8aの図示省略の入力装置を操作して設定し、このROIの大きさは、撮影部位(例:頭部、胸部、腹部、四肢等)に応じて設定する。また、ROIに生殖腺防護用のプロテクタや人工関節やボルトのような金属像が含まれたり、あるいは直接X線領域が含まれる場合には、それらの領域をある閾値を用いて除いても良い。
この場合、被検体1よりも生殖腺防護用のプロテクタはX線吸収が高いために画素値である程度分離することが可能である。
例えば、金属や直接X線が含まれない場合のROIの平均値の範囲は400〜1000程度であるので、金属の場合には閾値を100とし、直接X線の場合には閾値を7000程度とすれば十分に金属及び直接X線との識別ができる。また、前記閾値は撮影部位に応じて設定しても良い。
【0030】
前記標準階調変換特性作成部103は、前記画像特徴量を入力とし、規定値を出力とする1点を通過するような階調変換特性を作成し、この作成した階調変換特性を使用することにより、画像特徴量が変化しても階調変換後には前記画像特徴量を一定値(規定値)にすることができる。
【0031】
前記階調変換特性変形境界値記憶部104に記憶された階調変換特性変形境界値には、表示画像の黒側を規定する境界値と、表示画像の白側を規定する境界値の二種類がある。
前記黒側境界値は、例えば1500とし、白側境界値は、例えば2500に設定すれば良い。なお、階調変換特性変形境界値は撮影部位ごとに決められたものであって、該撮影部位に対応した値に切り替えて使用する。
【0032】
前記階調変換特性算出部105は、前記標準階調変換特性作成部103で作成した標準階調変換特性と、前記階調変換特性変形境界値記憶部105から読み出して得られた白側境界値と黒側境界値を用いて、コントラスト調整値に対応して表示画像の白側のコントラストを下げる系列の複数の階調変換特性及び表示画像の黒側のコントラストを下げる系列の複数の階調変換特性を自動的に作成する。
【0033】
前記階調変換特性記憶部107は、前記階調変換特性算出部105で作成した複数の階調変換特性をコントラスト調整値と対応させて記憶しておき、前記コントラスト調整値が0の階調変換特性には、前記標準階調変換作成部103で作成した標準階調変換特性を記憶しておく。
【0034】
前記階調変換特性選択部108は、前記コントラスト調整部106において操作者が入力したコントラスト調整量に基づいて、例えばコントラスト調整値−2〜+2に対応した図3〜図7に示す階調変換特性を前記階調変換特性記憶部107の中から対応する階調変換特性を選択し、階調変換処理部109に設定する。
【0035】
前記階調変換処理部109は、操作者が操作するコントラスト調整部106の調整量に対応して選択した階調変換特性を用いて前記画像入力部101に入力された画像データの階調変換処理を行う。
ここで、階調変換処理とは、階調変換特性{y = f (x)、x:入力、y:出力}を用いて、入力画像I(x, y)の画素値を変換する処理で、階調変換処理後の出力画像g(x, y)は式1となる。
g (x, y)=f ( (x, y) ) (式1)
ここで、xは画像の横方向の座標を表し、例えば0〜2999の値で、yは画像の縦方向の座標を表し、例えば0〜2999の値である。
また、入力画像I(x, y) は、例えば4096階調(0〜4095)で、出力画像は例えば4096階調(0〜4095)である。
【0036】
このようにして階調変換処理された画像データは、画像表示制御部110で表示制御されて液晶モニタやCRT等の表示部8bに表示して診断に供される。
【0037】
図8に表示部8bに表示された表示画像の一例を示す。この画像の例は、病院における一般撮影検査において、操作室内のコンソール上の表示部8bに表示された両股関節正面のX線撮影画像である。骨は白く表示され、軟部組織は灰色、そして直接X線領域は黒く表示される。
【0038】
前記標準階調変換特性作成部103において、自動的に作成された階調変換特性の例を図9に示す。このように、特徴量抽出部102で得られた入力画像の画像特徴量Xcが規定値Ycに変換されていることが分かる。
なお、階調変換特性には、三次のスプラインカーブや、べき乗とログカーブを組み合わせたものでも良いが、これらの階調変換特性を用いて入力画像の階調変換処理を行って前記表示部8bに表示した場合、入力画像に設定したROIにおける表示部8bの輝度は一定にできるものの、患者によっては被写体厚が薄い領域(皮膚線に近い大腿骨等)が黒くつぶれたように表示されたり、あるいは、骨の重複部が白くつぶれたように見える場合がある。このような画像を適正化する方法について以下に説明する。
【0039】
図10に、コントラスト調整値を変化させた場合の階調変換特性の曲線部の変化例と、コンソール8に設けたコントラスト調整釦(コントラスト調整手段)の例を示す。このコントラスト調整釦はコントラストを高くする上釦とコントラストを低くする下釦となら成る一種類の調整釦を備えている。
【0040】
図10において、例えば、標準階調変換特性を適用した表示画像が暗い場合、コントラスト調整釦の上釦を何回か押すことで、黒くつぶれた表示を徐々に解消することができる(黒側のコントラストを示す曲線の傾きが小さくなって黒側の濃度が下がる。すなわち、図10の曲線部の入力と出力の小さい領域の三本の曲線は上の方に移動し、入力と出力の大きい領域の曲線は変化しない)。
逆に、表示画像が明るい場合、下釦を何回か押すことで、白くつぶれた表示を徐々に解消することができる(白側のコントラストを示す曲線部の傾きが小さくなって白側の濃度が上がる。すなわち、図10の曲線部の入力と出力の大きい領域の三本の曲線は下の方に移動し、入力と出力の小さい領域の曲線は変化しない)。
【0041】
このように、一種類のコントラスト調整釦の操作だけで、階調変換特性の黒側や白側のコントラストの微調整を行えるため、容易に画質の適正化を図ることが可能となる。
【0042】
次に、本発明の階調変換特性算出部105における標準階調変換特性の曲線部の変形方法について図11のフローチャートを用いて説明する。
【0043】
(1)標準階調変換特性f(x)、白側境界値P、黒側境界値Rの読み出し(S501)。
HDD(ハードディスク)7bに記憶してある標準階調変換特性f(x)、白側境界値P、黒側境界値RをCPU7aにより読み出して(f(x)、P及びRの読み出し手段)これらをメモリ7cに記憶する。
図12は標準階調変換特性と白側境界値Pとの関係、図13は標準階調変換特性と黒側境界値Rとの関係を示す図で、いずれも標準階調変換特性の形状がS字状の場合について示したものである。前記図12における白側境界値Pは、標準階調変換特性の白側の変形領域と標準階調変換特性を変形させない領域との境界のy座標である。また、前記図13における黒側境界値Rは、標準階調変換特性の黒側の変形領域と標準階調変換特性を変形させない領域との境界のy座標である。
【0044】
(2)コントラスト調整値の初期値の設定(S502)
コントラスト調整値の初期値を設定する(コントラスト初期値設定手段)。
この初期値は、HDD(ハードディスク)7bから読み出してメモリ7cに記憶したものである。このコントラスト調整値の初期値は、例えば−2とすれば良い。
【0045】
(3)コントラスト調整値が0かの判定(S503)
コントラスト調整値が0であるかを判定し(コントラスト調整値判定手段)、0の場合はステップS504に進み、標準階調変換特性を派生階調変換特性(派生階調変換特性生成手段)としてメモリ7cに記憶する(派生階調変換特性記憶手段)。
一方、コントラスト調整値が0でない場合は、ステップS505に進む。
【0046】
(4)コントラスト調整値が負かの判定(S505)
コントラスト調整値が負であるかを判定し(コントラスト調整値判定手段)、コントラスト調整値が負の場合にはステップS506〜S511で標準階調変換特性の白側の特性を変形する。
逆に、コントラスト調整値が正の場合にはステップS512〜S517で標準階調変換特性の黒側の特性を変形する。
【0047】
1)コントラスト調整値が負の場合
コントラスト調整値が負の場合について図11と図12を用いて説明する。
先ず、標準階調変換特性の白側境界値Pと4095の間に中間出力値Qを決定する(白側中間出力値決定手段)(S506)。前記中間出力値Qの決定方法は、例えば式2のように白側境界値Pと4095の中点とすれば良い。
Q=(P+4095)÷2 (式2)
【0048】
次に、式3に示すように、中間出力値Qの入力値Uを計算する(白側中間出力値の入力値算出手段)(S507)。
U=f−1(Q) (式3)
【0049】
次に、標準階調変換特性を変形した折れ線(原曲線)を作成するための制御点のx座標(=V)を決定し(白側制御点x座標決定手段)、この制御点のx座標Vは、式4のようにコントラスト調整値αの絶対値|α|に応じて、x座標をある間隔d1を用いて増加させれば良い(S508)。なお、Vの値が4095を超えた場合には4095とするような上限値を設ける。
V=U+|α|×d1 (式4)
前記間隔d1の値は、式5のように決定すれば良い。
d1=(4095−U)÷3 (式5)
このように、d1を式5としたのは、本実施例では、白側曲線部の微調整を−2までとしたために、例えば(4095−U)÷2にすると、制御点のx座標が4095になり、曲線が非常に歪なものとなって表示に適さない画像になる場合があるためである。
【0050】
次に、式6に示すように標準階調変換特性のf(x)の出力がPとなるときの入力(=T)を計算する(白側境界入力値算出手段)(S509)。
T=f−1(P) (式6)
【0051】
上記で求めたQ、P、V、Tを用いて式7と式8の直線の式を用いることにより、標準階調変換特性を変形した折れ線(原曲線)を作成することができる(白側境界値と出力の最大値との間の階調変換特性を作成する手段)。すなわち、
[1]入力xがT〜Vにおける折れ線は式7となる(S510)。
y={(Q−P)÷(V−T)}x (式7)
[2]入力xがV〜4095における折れ線は式8となる(S511)。
y={(4095−Q)÷(4095−V)}×(x−V)+Q (式8)
【0052】
上記標準階調変換特性及び該標準階調変換特性の白側を変形した折れ線は図12に示すようになり、制御点を調整することで白側のコントラストを微調整できる。
【0053】
2)コントラスト調整値が正の場合
コントラスト調整値が正の場合について、図11と図13を用いて説明する。
先ず、黒側の標準階調変換特性の変形境界値Rと0との間に中間出力値Sを決定する(黒側中間出力値決定手段)(S512)。中間出力値Sは式9に示すように、例えばRと0の中点とすれば良い。
S=R÷2 (式9)
【0054】
次に、標準階調変換特性f(x)の出力がSのときの入力Bを式10により算出する(黒側中間出力値の入力値算出手段)(S513)。
B=f−1(S) (式10)
【0055】
次に、標準階調変換特性を変形した折れ線(原曲線)を作成するための制御点のx座標Cを式11により決定する(黒側制御点x座標決定手段)(S514)。
制御点のx座標Cは、コントラスト調整値αの絶対値|α|に応じてx座標をある間隔d2を用いて左に変化させれば良い。
なお、Cの値が0以下の場合にはCの値を0とする下限値を設ける。
C=B−|α|×d2 (式11)
【0056】
前記制御点の間隔d2は、例えば標準階調変換特性の出力がSのときの入力Bに応じて決定すれば良い。例えば、標準曲線を−2から+2で変化させる場合には式12により算出する。
d2=B/3 (式12)
このように、d2を式12としたのは、本実施例では、黒側曲線部の微調整を−2までとしたために、例えばB/2にすると、コントラスト調整値が−2のときに、制御点のx座標が0になり、曲線が非常に歪なものとなって臨床画像として適さない画像になる場合があるためである。
【0057】
次に、式13により、標準階調変換特性f(x)の出力値がRとなるときの入力Aを計算する(黒側境界入力値算出手段)(S515)。
A=f−1(R) (式13)
【0058】
上記で求めたS、R、C、Aを用いて以下の式14と式15の2つの直線の式を用いることにより、標準階調変換特性を変形した折れ線(原曲線)を作成することができる。すなわち、
[1]入力xが0〜Cにおける折れ線は式14となる(S516)。
y=(S÷C)×(x−C)+S (式14)
[2]入力xがC〜Aにおける折れ線は式15となる(S517)。
y={(R−S)÷(A−C)}×(x−A)+R (式15)
【0059】
上記標準階調変換特性及び該標準階調変換特性の黒側を変形した折れ線は図13に示すようになり、制御点を調整することで黒側のコントラストを微調整できる。
【0060】
(5)派生階調変換特性の生成(S518)
前記標準階調変換特性と折れ線とからなる階調変換特性(原曲線)を平滑化して派生曲線を生成する(派生階調変換特性生成手段)。平滑化には、例えば、移動平均(平滑化手段)を行えば良い。
平滑化の前後の階調変換特性を図14に示す。このように平滑化を行うことで階調変換特性が滑らかになり、傾きが不連続になる特性は解消され、アーチファクトの低減に寄与するものとなる。
【0061】
(6)派生階調変換特性の記憶(S519)
前記S518で平滑化した派生階調変換特性をメモリ7c等のメモリに記憶する(派生階調変換特性記憶手段)。
【0062】
(7)コントラスト調整値の更新(S520)と階調変換特性算出完了の判定(S521)
コントラスト調整部106(図2参照)でコントラスト調整値を1増加させ、コントラスト調整値と最大のコントラスト調整値とを比較し、コントラスト調整が最大コントラスト調整値を超えた場合には処理を終了し、コントラスト調整値が最大コントラスト調整値を超えていない場合にはS503に戻り(コントラスト調整値判定手段)、前記更新したコントラスト調整値(コントラスト調整値更新手段)を用いて階調変換特性を作成する。
なお、前記最大コントラスト調整値は、例えば2とすれば良い。
【0063】
以上、標準階調変換特性がS字状の曲線の場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、標準階調変換特性の白側境界値Pから最大値4095まで漸次増大及び標準階調変換特性の黒側境界値Rから最小値0まで漸次減少する上に凸の場合の折れ線についても前記S字状の曲線の場合と同様に作成することができる。
図15は白側の作成例、図16は黒側の作成例である。
このように、標準階調変換特性の形状がS字状の場合でも、上に凸の場合でも、標準階調変換特性がどのような形状の場合でもコントラスト調整値に対応する標準階調変換特性を変形した折れ線を複数作成することができる。
【0064】
図17は、前記操作コンソール8の表示部8bにタッチ式のコントラスト調整手段204と205を設け、このコントラスト調整手段で表示された画像201のコントラストを調整する表示画面の一例である。
この図17において、操作者は前記階調変換特性選択部108(図2参照)で選択した階調変換特性202を用いて、表示された画像201のコントラストを前記コントラスト調整手段204のコントラスト調整量を増やす釦204とコントラスト調整量を減らす釦205操作することにより、一つのコントラスト調整手段でコントラストを調整することができる。
【0065】
以上のように、コントラスト調整値に対応した階調変換特性を自動的に作成し、この作成した階調変換特性の中から一種類のコントラスト調整釦で調整したコントラスト調整値に対応する階調変換特性を選択してコントラストの微調整を行うようにした。
これによって、一種類のコントラスト調整釦のみでコントラストを任意に調整することができ、操作者の視点移動回数が激減して前記操作者の疲労は軽減すると共に画質調整時間が短縮されて操作性は格段に向上するものとなる。
【0066】
以上、実施形態として本発明による画像処理装置をX線画像診断装置に適用した例について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、前記X線画像診断装置以外のX線CT装置、超音波診断装置、磁気共鳴イメージィング装置等の医用画像診断装置及び該医用画像診断装置で撮像した画像を診断室に転送して表示する医用画像表示装置等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の画像処理装置を適用したX線画像診断装置の全体構成を示す図。
【図2】本発明による画像処理装置の表示階調変換部の構成を示す図。
【図3】コントラスト調整値−2における階調変換特性の例を示す図。
【図4】コントラスト調整値−1における階調変換特性の例を示す図。
【図5】コントラスト調整値0における階調変換特性の例を示す図。
【図6】コントラスト調整値+1における階調変換特性の例を示す図。
【図7】コントラスト調整値+2における階調変換特性の例を示す図。
【図8】表示画像の一例を示す図。
【図9】標準階調変換特性作成部で自動的に作成した階調変換特性の例を示す図。
【図10】コントラスト調整値を変化させた場合の階調変換特性の曲線部の変化例及びコントラスト調整釦の例を示す図。
【図11】階調変換特性算出部のフローチャート。
【図12】標準階調変換特性と白側境界値との関係を示す図。
【図13】標準階調変換特性と黒側境界値との関係を示す図。
【図14】標準階調変換特性と折れ線とからなる階調変換特性を平滑化して生成した派生階調変換特性を示す図。
【図15】標準階調変換特性の白側境界値から最大値まで上に凸の場合の折れ線の例を示す図。
【図16】標準階調変換特性の黒側境界値から最小値まで上に凸の場合の折れ線の例を示す図。
【図17】操作コンソールの表示部に設けたタッチ式コントラスト調整釦及びコントラストを調整する表示画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0068】
5 画像データ取得部、7 システム制御及び画像処理装置、7a CPU(中央処理装置)、7b ハードディスク(HDD)、7c メモリ(一時記憶メモリ)、7d ビデオカード、7e 入出力インターフェース、8 操作コンソール、8a 操作部、8b 表示部、101 画像入力部、102 特徴量抽出部、103 標準階調変換特性作成部、104 階調変換特性変形境界値記憶部、105 階調変換特性算出部、106 コントラスト調整部、107 階調変換特性記憶部、108 階調変換特性選択部、109 階調変換処理部、110 画像表示制御部、203〜205 コントラスト調整手段、Xc 画像特徴量、f(x) 標準階調変換特性、P 白側境界値、R 黒側境界値、Q 白側中間出力値、U 白側中間出力値の入力値、V 白側制御点x座標、T 白側境界入力値、S 黒側中間出力値、B 白側中間出力値の入力値、C 白側制御点x座標、A 白側境界入力値
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に係り、特に画像表示階調変換特性をユーザが容易に変更して表示画像のコントラストを調整できる画像処理装置及びこれを用いた医用画像診断装置並びに医用画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタル技術の進歩により放射線画像をデジタル画像信号(以後デジタル画像信号を構成する画素の値を画素値と呼ぶ)に変換し、該デジタル画像信号に画像処理を行いCRT等に表示、あるいはフィルムに出力することが行われており、前記変換されたデジタル画像信号をCRT表示あるいはフィルム出力に適した画像にするために階調変換処理するのが一般的である。
【0003】
この階調変換処理後の画像において、注目領域の画像領域のコントラストを調整して被写体の画像全体がCRTやフィルム上で観察しやすいように階調を変換することが要求される。
このため、階調変換特性の形状(傾き等)は、被写体画像の種類、特徴又は画素値範囲等に応じて自在に調整できることが望ましい。
【0004】
このような要求に対して、所定の階調変換特性または多数のパラメータで記述される階調変換特性に対し、その特性の形状を容易に変更できる画像処理装置、画像処理方法、記憶媒体及びプログラムが特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特許第3814491号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1によれば、基準階調変換特性から階調を変換したい濃度領域のコントラストを調整することができるが、フィルム濃度が低い白側とフィルム濃度が高い黒側のコントラストを調整するためには、白側のガンマを調整するための釦と黒側のガンマを調整するための釦との二種類の調整釦が必要になる。
【0006】
しかし、画質調整釦の種類が多いほど、こまかな画質調整が行えるものの、操作者の視点移動距離が増えるため、画質調整に多くの時間を費やし、操作者の疲労は増大するものとなる。
このため、一種類のコントラスト調整釦で、黒側のコントラストや、白側のコントラストを微調整できた方が操作は簡単となって操作者の疲労も軽減されるので、この点の改良が望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、コントラスト調整用釦を少なくしてコントラスト調整を簡単に行える画像処理装置及びこれを用いた医用画像診断装置並びに医用画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による画像処理装置は、入力画像の特徴量からコントラスト調整値に対応した複数の階調変換特性を算出し、この算出した階調変換特性を用いてコントラストを調整するもので、具体的には以下の手段によって達成される。
【0009】
すなわち、複数の階調変換特性の中から任意の階調変換特性を選択する階調変換特性選択手段と、前記選択した階調変換特性を用いて入力画像の各画素の画素値を変換する階調変換処理手段と、この階調変換処理手段で変換された出力画像を表示する画像表示手段と、この画像表示手段に表示された画像のコントラストを調整するコントラスト調整手段とを備えた画像処理装置において、前記入力画像の特徴量を抽出する入力画像特徴量抽出手段と、前記抽出した画像特徴量が一定値となる階調変換特性を作成する標準階調変換特性作成手段と、前記標準階調変換特性を変形させる領域の境界における画素値を記憶する変形境界領域画素値記憶手段と、前記標準階調変換特性と前記変形境界領域画素値とから前記コントラスト調整手段の調整値に対応した複数の階調変換特性を算出する階調変換特性算出手段と、この階調変換特性算出手段で算出した複数の階調変換特性を記憶する階調変換特性記憶手段とを備え、前記階調変換特性選択手段は、前記階調変換特性記憶手段に記憶した複数の階調変換特性の中から前記コントラスト調整手段の調整値に対応した階調変換特性を選択し、この選択した階調変換特性を用いてコントラストを調整する。
【0010】
前記コントラスト調整手段は、前記画像表示手段に表示される画像のコントラストの高低を調整する1種類の調整手段を用いてコントラストを調整する。
【0011】
前記階調変換特性算出手段は、前記標準階調変換特性と前記変形境界領域画素値を当該記憶手段から読み出す手段と、前記コントラスト調整手段のコントラストの初期値を設定するコントラスト初期値設定手段と、前記コントラスト調整手段の調整値を判定するコントラスト調整値判定手段と、このコントラスト調整値判定手段の判定結果に応じて前記標準階調変換特性を変形させて平滑化して派生階調変換特性を生成する派生階調変換特性生成手段と、前記派生階調変換特性を記憶する派生階調変換特性記憶手段と、前記コントラスト調整値を更新するコントラスト調整値更新手段と、このコントラスト調整値更新手段で更新したコントラスト調整値に対応する階調変換特性算出の完了を判定する階調変換特性算出完了判定手段とを備えて階調変換特性を算出する。
【0012】
前記派生階調変換特性生成手段は、前記コントラスト調整値が0の場合は前記標準階調変換特性を派生階調変換特性とし、前記コントラスト調整値が負の場合は、前記標準階調変換特性の白側境界値と出力の最大値との間に中間出力値を決定する白側中間出力値決定手段と、前記中間出力値の入力値を算出する白側中間出力値の入力値算出手段と、前記白側境界値と出力の最大値との間の階調変換特性を作成するための制御点のx座標を決定する白側制御点x座標決定手段と、前記標準階調変換特性の白側境界値の出力に対応した入力値を算出する白側境界入力値算出手段と、前記中間出力値と前記白側境界値と前記制御点のx座標と前記白側境界入力値とに基づいて前記白側境界値と出力の最大値との間の階調変換特性を作成する手段と、この手段で作成した階調変換特性を平滑化して白側の派生階調変換特性を生成し、前記コントラスト調整値が正の場合は、前記標準階調変換特性の黒側境界値と出力の最小値との間に中間出力値を決定する黒側中間出力値決定手段と、前記中間出力値の入力値を算出する黒側中間出力値の入力値算出手段と、前記黒側境界値と出力の最小値との間の階調変換特性を作成するための制御点のx座標を決定する黒側制御点x座標決定手段と、前記標準階調変換特性の黒側境界値の出力に対応した入力値を算出する黒側境界入力値算出手段と、前記中間出力値と前記黒側境界値と前記制御点のx座標と前記黒側境界入力値とに基づいて前記黒側境界値と出力の最小値との間の階調変換特性を作成する手段と、この手段で作成した階調変換特性を平滑化して黒側の派生階調変換特性を生成し、前記生成した白側の派生階調変換特性と前記黒側の派生階調変換特性とを用いて派生階調変換特性を生成する。
【0013】
前記入力画像特徴量抽出手段は、前記入力画像に関心領域を設定する関心領域設定手段と、この関心領域の画素の画素値の平均値を算出する画素平均値算出手段とを備えた。
【0014】
前記標準階調変換特性を変形させる領域の境界における画素値は、前記画像表示手段に表示される画像の黒側を規定する画素値の境界値と白側を規定する画素値の境界値である。
【0015】
前記階調変換特性算出手段は、前記コントラスト調整手段から入力されるコントラスト調整値に対応して表示画像の白側のコントラストを下げる系列の複数の階調変換特性と表示画像の黒側のコントラストを下げる系列の複数の階調変換特性を算出するものである。
【0016】
医用画像のコントラストを調整するコントラスト調整手段を備えた医用画像診断装置並びに医用画像表示装置の前記コントラスト調整手段に上記の画像処理装置を備えて、この画像処理装置により医用画像のコントラストを調整する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コントラスト調整値に対応した複数の階調変換特性を自動的に作成し、一種類のコントラスト調整手段で調整したコントラスト調整値に対応する階調変換特性を選択してコントラストを調整するようにしたので、一種類のコントラスト調整手段のみで画質を任意に調整することができ、操作者の視点移動回数が激減して前記操作者の疲労が軽減すると共に画質調整時間も短縮されて操作性が格段に向上する画像処理装置及び医用画像診断装置並びに医用画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像処理装置及びこれを用いた医用画像診断装置並びに医用画像表示装置の好ましい実施の形態について添付図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
本発明による画像処理装置は、X線画像診断装置、X線CT装置、超音波診断装置、磁気共鳴イメージィング装置等の医用画像診断装置並びに医用画像表示装置に適用できるが、ここではX線画像診断装置に用いた例について説明する。
【0020】
図1は、本発明の画像処理装置を適用したX線画像診断装置の全体構成を示す図である。 この図1に示すX線画像診断装置は、被検体1に照射するX線を発生するX線管2と、前記被検体1に照射するX線の照射範囲を制限するX線可動絞り装置3と、前記X線管2及びX線可動絞り装置3と対向配置され前記被検体1の透過X線を検出しこれをデジタル画像データに変換するX線検出部4と、このX線検出部4で検出した画像データを読み出して該画像データを取得する画像データ取得部5と、後述の操作コンソール8で設定したX線条件に基づいて前記X線管2から照射するX線を制御する信号を生成するX線制御部及びこのX線制御部からの制御信号に対応した前記X線管2の陽極と陰極間に印加する直流高電圧(管電圧)を発生し、前記X線管2の陽極と陰極間の電流(管電流)を所定時間の間(撮影時間)流す機能を備えたX線高電圧装置6と、後述の操作コンソール8から入力した操作信号に基づいて撮影システム全体を制御及び管理すると共に前記画像データ取得部5で取得した画像データの補正や各種の画像処理を行ってX線撮影画像を生成するシステム制御及び画像処理装置7と、前記X線条件の設定、操作信号等を入力して操作する操作部8aと前記システム制御及び画像処理装置7で生成されたX線撮影画像及び該画像に関連する情報等を表示する表示部8bとから成る操作コンソール8とを備えて構成される。
【0021】
前記システム制御及び画像処理装置7は、システム全体の制御と前記画像データ取得部5で取得した画像データを読み出して撮影画像を生成するプログラムを実行するCPU(中央処理装置)7aと、本実施形態で説明する処理を前記CPU7aに実行させるための制御プログラムや撮影に必要となるX線条件、前記画像データ取得部5から読み出された画像データを補正する補正データ等を記憶するハードディスク7bと、該ハードディスク7bから読み出した制御プログラム、X線条件、補正データ及び前記画像データ取得部5で取得した画像データ等を記憶するメモリ(一時記憶メモリ)7cと、前記取得した画像データに各種の画像処理を施し、このデータに画像表示制御を行って映像信号として出力するビデオカード7dと、前記各要素との入出力インターフェース7eと、前記各要素を相互に接続する共通バス7fとを備えて構成される。
【0022】
前記CPU7aは、システム制御及び画像処理装置7において各種制御プログラムを実行する。後述の本実施形態による処理を実行するための制御プログラムは、OSを介してCPU7aによってハードディスク7bからメモリ7cへロードされ、該CPU7aによって実行される。
【0023】
前記メモリ7cには、前記画像データ取得部5で取得した画像データを記憶するエリアが確保され、ここに撮影画像データが一時的に記憶される。
また、メモリ7c上には前記画像データを補正するための補正データエリアが確保され、このエリアに前記画像データの補正に用いるための補正データが記憶される。
【0024】
前記入出力インターフェース7eには、本X線画像診断装置の操作者とのインターフェースとなる図示省略のキーボードやマウス等の前記操作部8a及び前記表示部8bが接続される。もちろん、前記操作部8a及び表示部8bをタッチパネル式の操作部を備えた表示装置等により構成しても良いことは明らかである。
【0025】
なお、前記システム制御及び画像処理装置7に、さらにROM(読み出し専用メモリ)を設け、前記制御プログラム、X線条件、補正データ等を前記ROMに記憶しておき、このROMから前記制御プログラム、X線条件、補正データ等をメモリ7cにロードして撮影制御及びX線画像を生成するようにしても良い。
【0026】
次に、上記構成のX線画像診断装置で撮影を行い、画像データ取得部5で取得した画像データに画像処理を施し、該処理されたデータを階調変換処理して操作コンソール8の表示部8bに表示する本発明の画像処理装置について説明する。
【0027】
図2は、本発明による画像処理装置の表示階調変換部の構成を示す図で、前記画像データ取得部5で取得した画像データに画像処理が施され、該処理された画像データが入力される画像入力部101と、この画像入力部101に入力された入力画像の特徴量を抽出する特徴量抽出部(入力画像特徴量抽出手段)102と、この特徴量抽出部102で得られた画像特徴量が一定値になるように階調変換特性を作成する標準階調変換特性作成部(標準階調変換特性作成手段)103と、この標準階調変換特性作成部103で作成した標準階調変換特性を変形させる領域の画素値を記憶する階調変換特性変形境界値記憶部(変形境界領域画素値記憶手段)104と、前記標準階調変換特性作成部103で作成した標準階調変換特性と前記階調変換特性変形境界値記憶部104に記憶してある標準階調変換特性を変形させる領域の画素値とから階調変換特性を算出する階調変換特性算出部(階調変換特性算出手段)105と、表示画像のコントラストを調整するコントラスト調整部(コントラスト調整手段)106と、前記階調変換特性算出部105で作成した複数の階調変換特性をコントラスト調整値と対応させて記憶しておく階調変換特性記憶部(階調変換特性記憶手段)107と、前記コントラスト調整部106で調整した調整値に対応する階調変換特性を前記階調変換特性記憶部107に記憶してある階調変換特性の中から選択する階調変換特性選択部(階調変換特性選択手段)108と、この階調変換特性選択部108で選択した階調変換特性を用いて前記画像入力部101に入力された画像データの階調変換処理を行う階調変換処理部(階調変換処理手段)109と、この階調変換処理部109で階調変換処理された画像データを前記表示部(画像表示手段)8bに表示するための制御を行う画像表示制御部110とを備えて構成される。
【0028】
前記特徴量抽出部102は、画像入力部101で得られた入力画像において、例えば画像中央の縦10cm×横10cmの矩形領域の関心領域(ROI)を設定(関心領域設定手段)し、この設定したROIの画素の画素値の平均値を計算(画素平均値算出手段)して特徴量を抽出する。
【0029】
なお、前記ROIは前記操作部8aの図示省略の入力装置を操作して設定し、このROIの大きさは、撮影部位(例:頭部、胸部、腹部、四肢等)に応じて設定する。また、ROIに生殖腺防護用のプロテクタや人工関節やボルトのような金属像が含まれたり、あるいは直接X線領域が含まれる場合には、それらの領域をある閾値を用いて除いても良い。
この場合、被検体1よりも生殖腺防護用のプロテクタはX線吸収が高いために画素値である程度分離することが可能である。
例えば、金属や直接X線が含まれない場合のROIの平均値の範囲は400〜1000程度であるので、金属の場合には閾値を100とし、直接X線の場合には閾値を7000程度とすれば十分に金属及び直接X線との識別ができる。また、前記閾値は撮影部位に応じて設定しても良い。
【0030】
前記標準階調変換特性作成部103は、前記画像特徴量を入力とし、規定値を出力とする1点を通過するような階調変換特性を作成し、この作成した階調変換特性を使用することにより、画像特徴量が変化しても階調変換後には前記画像特徴量を一定値(規定値)にすることができる。
【0031】
前記階調変換特性変形境界値記憶部104に記憶された階調変換特性変形境界値には、表示画像の黒側を規定する境界値と、表示画像の白側を規定する境界値の二種類がある。
前記黒側境界値は、例えば1500とし、白側境界値は、例えば2500に設定すれば良い。なお、階調変換特性変形境界値は撮影部位ごとに決められたものであって、該撮影部位に対応した値に切り替えて使用する。
【0032】
前記階調変換特性算出部105は、前記標準階調変換特性作成部103で作成した標準階調変換特性と、前記階調変換特性変形境界値記憶部105から読み出して得られた白側境界値と黒側境界値を用いて、コントラスト調整値に対応して表示画像の白側のコントラストを下げる系列の複数の階調変換特性及び表示画像の黒側のコントラストを下げる系列の複数の階調変換特性を自動的に作成する。
【0033】
前記階調変換特性記憶部107は、前記階調変換特性算出部105で作成した複数の階調変換特性をコントラスト調整値と対応させて記憶しておき、前記コントラスト調整値が0の階調変換特性には、前記標準階調変換作成部103で作成した標準階調変換特性を記憶しておく。
【0034】
前記階調変換特性選択部108は、前記コントラスト調整部106において操作者が入力したコントラスト調整量に基づいて、例えばコントラスト調整値−2〜+2に対応した図3〜図7に示す階調変換特性を前記階調変換特性記憶部107の中から対応する階調変換特性を選択し、階調変換処理部109に設定する。
【0035】
前記階調変換処理部109は、操作者が操作するコントラスト調整部106の調整量に対応して選択した階調変換特性を用いて前記画像入力部101に入力された画像データの階調変換処理を行う。
ここで、階調変換処理とは、階調変換特性{y = f (x)、x:入力、y:出力}を用いて、入力画像I(x, y)の画素値を変換する処理で、階調変換処理後の出力画像g(x, y)は式1となる。
g (x, y)=f ( (x, y) ) (式1)
ここで、xは画像の横方向の座標を表し、例えば0〜2999の値で、yは画像の縦方向の座標を表し、例えば0〜2999の値である。
また、入力画像I(x, y) は、例えば4096階調(0〜4095)で、出力画像は例えば4096階調(0〜4095)である。
【0036】
このようにして階調変換処理された画像データは、画像表示制御部110で表示制御されて液晶モニタやCRT等の表示部8bに表示して診断に供される。
【0037】
図8に表示部8bに表示された表示画像の一例を示す。この画像の例は、病院における一般撮影検査において、操作室内のコンソール上の表示部8bに表示された両股関節正面のX線撮影画像である。骨は白く表示され、軟部組織は灰色、そして直接X線領域は黒く表示される。
【0038】
前記標準階調変換特性作成部103において、自動的に作成された階調変換特性の例を図9に示す。このように、特徴量抽出部102で得られた入力画像の画像特徴量Xcが規定値Ycに変換されていることが分かる。
なお、階調変換特性には、三次のスプラインカーブや、べき乗とログカーブを組み合わせたものでも良いが、これらの階調変換特性を用いて入力画像の階調変換処理を行って前記表示部8bに表示した場合、入力画像に設定したROIにおける表示部8bの輝度は一定にできるものの、患者によっては被写体厚が薄い領域(皮膚線に近い大腿骨等)が黒くつぶれたように表示されたり、あるいは、骨の重複部が白くつぶれたように見える場合がある。このような画像を適正化する方法について以下に説明する。
【0039】
図10に、コントラスト調整値を変化させた場合の階調変換特性の曲線部の変化例と、コンソール8に設けたコントラスト調整釦(コントラスト調整手段)の例を示す。このコントラスト調整釦はコントラストを高くする上釦とコントラストを低くする下釦となら成る一種類の調整釦を備えている。
【0040】
図10において、例えば、標準階調変換特性を適用した表示画像が暗い場合、コントラスト調整釦の上釦を何回か押すことで、黒くつぶれた表示を徐々に解消することができる(黒側のコントラストを示す曲線の傾きが小さくなって黒側の濃度が下がる。すなわち、図10の曲線部の入力と出力の小さい領域の三本の曲線は上の方に移動し、入力と出力の大きい領域の曲線は変化しない)。
逆に、表示画像が明るい場合、下釦を何回か押すことで、白くつぶれた表示を徐々に解消することができる(白側のコントラストを示す曲線部の傾きが小さくなって白側の濃度が上がる。すなわち、図10の曲線部の入力と出力の大きい領域の三本の曲線は下の方に移動し、入力と出力の小さい領域の曲線は変化しない)。
【0041】
このように、一種類のコントラスト調整釦の操作だけで、階調変換特性の黒側や白側のコントラストの微調整を行えるため、容易に画質の適正化を図ることが可能となる。
【0042】
次に、本発明の階調変換特性算出部105における標準階調変換特性の曲線部の変形方法について図11のフローチャートを用いて説明する。
【0043】
(1)標準階調変換特性f(x)、白側境界値P、黒側境界値Rの読み出し(S501)。
HDD(ハードディスク)7bに記憶してある標準階調変換特性f(x)、白側境界値P、黒側境界値RをCPU7aにより読み出して(f(x)、P及びRの読み出し手段)これらをメモリ7cに記憶する。
図12は標準階調変換特性と白側境界値Pとの関係、図13は標準階調変換特性と黒側境界値Rとの関係を示す図で、いずれも標準階調変換特性の形状がS字状の場合について示したものである。前記図12における白側境界値Pは、標準階調変換特性の白側の変形領域と標準階調変換特性を変形させない領域との境界のy座標である。また、前記図13における黒側境界値Rは、標準階調変換特性の黒側の変形領域と標準階調変換特性を変形させない領域との境界のy座標である。
【0044】
(2)コントラスト調整値の初期値の設定(S502)
コントラスト調整値の初期値を設定する(コントラスト初期値設定手段)。
この初期値は、HDD(ハードディスク)7bから読み出してメモリ7cに記憶したものである。このコントラスト調整値の初期値は、例えば−2とすれば良い。
【0045】
(3)コントラスト調整値が0かの判定(S503)
コントラスト調整値が0であるかを判定し(コントラスト調整値判定手段)、0の場合はステップS504に進み、標準階調変換特性を派生階調変換特性(派生階調変換特性生成手段)としてメモリ7cに記憶する(派生階調変換特性記憶手段)。
一方、コントラスト調整値が0でない場合は、ステップS505に進む。
【0046】
(4)コントラスト調整値が負かの判定(S505)
コントラスト調整値が負であるかを判定し(コントラスト調整値判定手段)、コントラスト調整値が負の場合にはステップS506〜S511で標準階調変換特性の白側の特性を変形する。
逆に、コントラスト調整値が正の場合にはステップS512〜S517で標準階調変換特性の黒側の特性を変形する。
【0047】
1)コントラスト調整値が負の場合
コントラスト調整値が負の場合について図11と図12を用いて説明する。
先ず、標準階調変換特性の白側境界値Pと4095の間に中間出力値Qを決定する(白側中間出力値決定手段)(S506)。前記中間出力値Qの決定方法は、例えば式2のように白側境界値Pと4095の中点とすれば良い。
Q=(P+4095)÷2 (式2)
【0048】
次に、式3に示すように、中間出力値Qの入力値Uを計算する(白側中間出力値の入力値算出手段)(S507)。
U=f−1(Q) (式3)
【0049】
次に、標準階調変換特性を変形した折れ線(原曲線)を作成するための制御点のx座標(=V)を決定し(白側制御点x座標決定手段)、この制御点のx座標Vは、式4のようにコントラスト調整値αの絶対値|α|に応じて、x座標をある間隔d1を用いて増加させれば良い(S508)。なお、Vの値が4095を超えた場合には4095とするような上限値を設ける。
V=U+|α|×d1 (式4)
前記間隔d1の値は、式5のように決定すれば良い。
d1=(4095−U)÷3 (式5)
このように、d1を式5としたのは、本実施例では、白側曲線部の微調整を−2までとしたために、例えば(4095−U)÷2にすると、制御点のx座標が4095になり、曲線が非常に歪なものとなって表示に適さない画像になる場合があるためである。
【0050】
次に、式6に示すように標準階調変換特性のf(x)の出力がPとなるときの入力(=T)を計算する(白側境界入力値算出手段)(S509)。
T=f−1(P) (式6)
【0051】
上記で求めたQ、P、V、Tを用いて式7と式8の直線の式を用いることにより、標準階調変換特性を変形した折れ線(原曲線)を作成することができる(白側境界値と出力の最大値との間の階調変換特性を作成する手段)。すなわち、
[1]入力xがT〜Vにおける折れ線は式7となる(S510)。
y={(Q−P)÷(V−T)}x (式7)
[2]入力xがV〜4095における折れ線は式8となる(S511)。
y={(4095−Q)÷(4095−V)}×(x−V)+Q (式8)
【0052】
上記標準階調変換特性及び該標準階調変換特性の白側を変形した折れ線は図12に示すようになり、制御点を調整することで白側のコントラストを微調整できる。
【0053】
2)コントラスト調整値が正の場合
コントラスト調整値が正の場合について、図11と図13を用いて説明する。
先ず、黒側の標準階調変換特性の変形境界値Rと0との間に中間出力値Sを決定する(黒側中間出力値決定手段)(S512)。中間出力値Sは式9に示すように、例えばRと0の中点とすれば良い。
S=R÷2 (式9)
【0054】
次に、標準階調変換特性f(x)の出力がSのときの入力Bを式10により算出する(黒側中間出力値の入力値算出手段)(S513)。
B=f−1(S) (式10)
【0055】
次に、標準階調変換特性を変形した折れ線(原曲線)を作成するための制御点のx座標Cを式11により決定する(黒側制御点x座標決定手段)(S514)。
制御点のx座標Cは、コントラスト調整値αの絶対値|α|に応じてx座標をある間隔d2を用いて左に変化させれば良い。
なお、Cの値が0以下の場合にはCの値を0とする下限値を設ける。
C=B−|α|×d2 (式11)
【0056】
前記制御点の間隔d2は、例えば標準階調変換特性の出力がSのときの入力Bに応じて決定すれば良い。例えば、標準曲線を−2から+2で変化させる場合には式12により算出する。
d2=B/3 (式12)
このように、d2を式12としたのは、本実施例では、黒側曲線部の微調整を−2までとしたために、例えばB/2にすると、コントラスト調整値が−2のときに、制御点のx座標が0になり、曲線が非常に歪なものとなって臨床画像として適さない画像になる場合があるためである。
【0057】
次に、式13により、標準階調変換特性f(x)の出力値がRとなるときの入力Aを計算する(黒側境界入力値算出手段)(S515)。
A=f−1(R) (式13)
【0058】
上記で求めたS、R、C、Aを用いて以下の式14と式15の2つの直線の式を用いることにより、標準階調変換特性を変形した折れ線(原曲線)を作成することができる。すなわち、
[1]入力xが0〜Cにおける折れ線は式14となる(S516)。
y=(S÷C)×(x−C)+S (式14)
[2]入力xがC〜Aにおける折れ線は式15となる(S517)。
y={(R−S)÷(A−C)}×(x−A)+R (式15)
【0059】
上記標準階調変換特性及び該標準階調変換特性の黒側を変形した折れ線は図13に示すようになり、制御点を調整することで黒側のコントラストを微調整できる。
【0060】
(5)派生階調変換特性の生成(S518)
前記標準階調変換特性と折れ線とからなる階調変換特性(原曲線)を平滑化して派生曲線を生成する(派生階調変換特性生成手段)。平滑化には、例えば、移動平均(平滑化手段)を行えば良い。
平滑化の前後の階調変換特性を図14に示す。このように平滑化を行うことで階調変換特性が滑らかになり、傾きが不連続になる特性は解消され、アーチファクトの低減に寄与するものとなる。
【0061】
(6)派生階調変換特性の記憶(S519)
前記S518で平滑化した派生階調変換特性をメモリ7c等のメモリに記憶する(派生階調変換特性記憶手段)。
【0062】
(7)コントラスト調整値の更新(S520)と階調変換特性算出完了の判定(S521)
コントラスト調整部106(図2参照)でコントラスト調整値を1増加させ、コントラスト調整値と最大のコントラスト調整値とを比較し、コントラスト調整が最大コントラスト調整値を超えた場合には処理を終了し、コントラスト調整値が最大コントラスト調整値を超えていない場合にはS503に戻り(コントラスト調整値判定手段)、前記更新したコントラスト調整値(コントラスト調整値更新手段)を用いて階調変換特性を作成する。
なお、前記最大コントラスト調整値は、例えば2とすれば良い。
【0063】
以上、標準階調変換特性がS字状の曲線の場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、標準階調変換特性の白側境界値Pから最大値4095まで漸次増大及び標準階調変換特性の黒側境界値Rから最小値0まで漸次減少する上に凸の場合の折れ線についても前記S字状の曲線の場合と同様に作成することができる。
図15は白側の作成例、図16は黒側の作成例である。
このように、標準階調変換特性の形状がS字状の場合でも、上に凸の場合でも、標準階調変換特性がどのような形状の場合でもコントラスト調整値に対応する標準階調変換特性を変形した折れ線を複数作成することができる。
【0064】
図17は、前記操作コンソール8の表示部8bにタッチ式のコントラスト調整手段204と205を設け、このコントラスト調整手段で表示された画像201のコントラストを調整する表示画面の一例である。
この図17において、操作者は前記階調変換特性選択部108(図2参照)で選択した階調変換特性202を用いて、表示された画像201のコントラストを前記コントラスト調整手段204のコントラスト調整量を増やす釦204とコントラスト調整量を減らす釦205操作することにより、一つのコントラスト調整手段でコントラストを調整することができる。
【0065】
以上のように、コントラスト調整値に対応した階調変換特性を自動的に作成し、この作成した階調変換特性の中から一種類のコントラスト調整釦で調整したコントラスト調整値に対応する階調変換特性を選択してコントラストの微調整を行うようにした。
これによって、一種類のコントラスト調整釦のみでコントラストを任意に調整することができ、操作者の視点移動回数が激減して前記操作者の疲労は軽減すると共に画質調整時間が短縮されて操作性は格段に向上するものとなる。
【0066】
以上、実施形態として本発明による画像処理装置をX線画像診断装置に適用した例について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、前記X線画像診断装置以外のX線CT装置、超音波診断装置、磁気共鳴イメージィング装置等の医用画像診断装置及び該医用画像診断装置で撮像した画像を診断室に転送して表示する医用画像表示装置等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の画像処理装置を適用したX線画像診断装置の全体構成を示す図。
【図2】本発明による画像処理装置の表示階調変換部の構成を示す図。
【図3】コントラスト調整値−2における階調変換特性の例を示す図。
【図4】コントラスト調整値−1における階調変換特性の例を示す図。
【図5】コントラスト調整値0における階調変換特性の例を示す図。
【図6】コントラスト調整値+1における階調変換特性の例を示す図。
【図7】コントラスト調整値+2における階調変換特性の例を示す図。
【図8】表示画像の一例を示す図。
【図9】標準階調変換特性作成部で自動的に作成した階調変換特性の例を示す図。
【図10】コントラスト調整値を変化させた場合の階調変換特性の曲線部の変化例及びコントラスト調整釦の例を示す図。
【図11】階調変換特性算出部のフローチャート。
【図12】標準階調変換特性と白側境界値との関係を示す図。
【図13】標準階調変換特性と黒側境界値との関係を示す図。
【図14】標準階調変換特性と折れ線とからなる階調変換特性を平滑化して生成した派生階調変換特性を示す図。
【図15】標準階調変換特性の白側境界値から最大値まで上に凸の場合の折れ線の例を示す図。
【図16】標準階調変換特性の黒側境界値から最小値まで上に凸の場合の折れ線の例を示す図。
【図17】操作コンソールの表示部に設けたタッチ式コントラスト調整釦及びコントラストを調整する表示画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0068】
5 画像データ取得部、7 システム制御及び画像処理装置、7a CPU(中央処理装置)、7b ハードディスク(HDD)、7c メモリ(一時記憶メモリ)、7d ビデオカード、7e 入出力インターフェース、8 操作コンソール、8a 操作部、8b 表示部、101 画像入力部、102 特徴量抽出部、103 標準階調変換特性作成部、104 階調変換特性変形境界値記憶部、105 階調変換特性算出部、106 コントラスト調整部、107 階調変換特性記憶部、108 階調変換特性選択部、109 階調変換処理部、110 画像表示制御部、203〜205 コントラスト調整手段、Xc 画像特徴量、f(x) 標準階調変換特性、P 白側境界値、R 黒側境界値、Q 白側中間出力値、U 白側中間出力値の入力値、V 白側制御点x座標、T 白側境界入力値、S 黒側中間出力値、B 白側中間出力値の入力値、C 白側制御点x座標、A 白側境界入力値
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階調変換特性の中から任意の階調変換特性を選択する階調変換特性選択手段と、前記選択した階調変換特性を用いて入力画像の各画素の画素値を変換する階調変換処理手段と、この階調変換処理手段で変換された出力画像を表示する画像表示手段と、この画像表示手段に表示された画像のコントラストを調整するコントラスト調整手段とを備えた画像処理装置において、前記入力画像の特徴量を抽出する入力画像特徴量抽出手段と、前記抽出した画像特徴量が一定値となる階調変換特性を作成する標準階調変換特性作成手段と、前記標準階調変換特性を変形させる領域の境界における画素値を記憶する変形境界領域画素値記憶手段と、前記標準階調変換特性と前記変形境界領域画素値とから前記コントラスト調整手段の調整値に対応した複数の階調変換特性を算出する階調変換特性算出手段と、この階調変換特性算出手段で算出した複数の階調変換特性を記憶する階調変換特性記憶手段とを備え、前記階調変換特性選択手段は、前記階調変換特性記憶手段に記憶した複数の階調変換特性の中から前記コントラスト調整手段の調整値に対応した階調変換特性を選択することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記コントラスト調整手段は、前記画像表示手段に表示される画像のコントラストの高低を調整する一種類の調整釦を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記階調変換特性算出手段は、前記標準階調変換特性と前記変形境界領域画素値を当該記憶手段から読み出す手段と、前記コントラスト調整手段のコントラストの初期値を設定するコントラスト初期値設定手段と、前記コントラスト調整手段の調整値を判定するコントラスト調整値判定手段と、このコントラスト調整値判定手段の判定結果に応じて前記標準階調変換特性を変形させて平滑化して派生階調変換特性を生成する派生階調変換特性生成手段と、前記派生階調変換特性を記憶する派生階調変換特性記憶手段と、前記コントラスト調整値を更新するコントラスト調整値更新手段と、このコントラスト調整値更新手段で更新したコントラスト調整値に対応する階調変換特性算出の完了を判定する階調変換特性算出完了判定手段とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記派生階調変換特性生成手段は、前記コントラスト調整値が0の場合は前記標準階調変換特性を派生階調変換特性とし、前記コントラスト調整値が負の場合は、前記標準階調変換特性の白側境界値と出力の最大値との間に中間出力値を決定する白側中間出力値決定手段と、前記中間出力値の入力値を算出する白側中間出力値の入力値算出手段と、前記白側境界値と出力の最大値との間の階調変換特性を作成するための制御点のX座標を決定する白側制御点X座標決定手段と、前記標準階調変換特性の白側境界値の出力に対応した入力値を算出する白側境界入力値算出手段と、前記中間出力値と前記白側境界値と前記制御点のX座標と前記白側境界入力値とに基づいて前記白側境界値と出力の最大値との間の階調変換特性を作成する手段と、この手段で作成した階調変換特性を平滑化して白側の派生階調変換特性を生成する手段とを備え、前記コントラスト調整値が正の場合は、前記標準階調変換特性の黒側境界値と出力の最小値との間に中間出力値を決定する黒側中間出力値決定手段と、前記中間出力値の入力値を算出する黒側中間出力値の入力値算出手段と、前記黒側境界値と出力の最小値との間の階調変換特性を作成するための制御点のx座標を決定する黒側制御点X座標決定手段と、前記標準階調変換特性の黒側境界値の出力に対応した入力値を算出する黒側境界入力値算出手段と、前記中間出力値と前記黒側境界値と前記制御点のX座標と前記黒側境界入力値とに基づいて前記黒側境界値と出力の最小値との間の階調変換特性を作成する手段と、この手段で作成した階調変換特性を平滑化して黒側の派生階調変換特性を生成する手段とを備えたことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記入力画像特徴量抽出手段は、前記入力画像に関心領域を設定する関心領域設定手段と、この関心領域の画素の画素値の平均値を算出する画素平均値算出手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記標準階調変換特性を変形させる領域の境界における画素値は、前記画像表示手段に表示される画像の黒側を規定する画素値の境界値と白側を規定する画素値の境界値であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記階調変換特性算出手段は、前記コントラスト調整手段から入力されるコントラスト調整値に対応して表示画像の白側のコントラストを下げる系列の複数の階調変換特性と表示画像の黒側のコントラストを下げる系列の複数の階調変換特性を算出することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
医用画像のコントラストを調整するコントラスト調整手段を備えた医用画像診断装置並びに医用画像表示装置であって、前記コントラスト調整手段に請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置を備えたことを特徴とする医用画像診断装置並びに医用画像表示装置。
【請求項1】
複数の階調変換特性の中から任意の階調変換特性を選択する階調変換特性選択手段と、前記選択した階調変換特性を用いて入力画像の各画素の画素値を変換する階調変換処理手段と、この階調変換処理手段で変換された出力画像を表示する画像表示手段と、この画像表示手段に表示された画像のコントラストを調整するコントラスト調整手段とを備えた画像処理装置において、前記入力画像の特徴量を抽出する入力画像特徴量抽出手段と、前記抽出した画像特徴量が一定値となる階調変換特性を作成する標準階調変換特性作成手段と、前記標準階調変換特性を変形させる領域の境界における画素値を記憶する変形境界領域画素値記憶手段と、前記標準階調変換特性と前記変形境界領域画素値とから前記コントラスト調整手段の調整値に対応した複数の階調変換特性を算出する階調変換特性算出手段と、この階調変換特性算出手段で算出した複数の階調変換特性を記憶する階調変換特性記憶手段とを備え、前記階調変換特性選択手段は、前記階調変換特性記憶手段に記憶した複数の階調変換特性の中から前記コントラスト調整手段の調整値に対応した階調変換特性を選択することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記コントラスト調整手段は、前記画像表示手段に表示される画像のコントラストの高低を調整する一種類の調整釦を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記階調変換特性算出手段は、前記標準階調変換特性と前記変形境界領域画素値を当該記憶手段から読み出す手段と、前記コントラスト調整手段のコントラストの初期値を設定するコントラスト初期値設定手段と、前記コントラスト調整手段の調整値を判定するコントラスト調整値判定手段と、このコントラスト調整値判定手段の判定結果に応じて前記標準階調変換特性を変形させて平滑化して派生階調変換特性を生成する派生階調変換特性生成手段と、前記派生階調変換特性を記憶する派生階調変換特性記憶手段と、前記コントラスト調整値を更新するコントラスト調整値更新手段と、このコントラスト調整値更新手段で更新したコントラスト調整値に対応する階調変換特性算出の完了を判定する階調変換特性算出完了判定手段とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記派生階調変換特性生成手段は、前記コントラスト調整値が0の場合は前記標準階調変換特性を派生階調変換特性とし、前記コントラスト調整値が負の場合は、前記標準階調変換特性の白側境界値と出力の最大値との間に中間出力値を決定する白側中間出力値決定手段と、前記中間出力値の入力値を算出する白側中間出力値の入力値算出手段と、前記白側境界値と出力の最大値との間の階調変換特性を作成するための制御点のX座標を決定する白側制御点X座標決定手段と、前記標準階調変換特性の白側境界値の出力に対応した入力値を算出する白側境界入力値算出手段と、前記中間出力値と前記白側境界値と前記制御点のX座標と前記白側境界入力値とに基づいて前記白側境界値と出力の最大値との間の階調変換特性を作成する手段と、この手段で作成した階調変換特性を平滑化して白側の派生階調変換特性を生成する手段とを備え、前記コントラスト調整値が正の場合は、前記標準階調変換特性の黒側境界値と出力の最小値との間に中間出力値を決定する黒側中間出力値決定手段と、前記中間出力値の入力値を算出する黒側中間出力値の入力値算出手段と、前記黒側境界値と出力の最小値との間の階調変換特性を作成するための制御点のx座標を決定する黒側制御点X座標決定手段と、前記標準階調変換特性の黒側境界値の出力に対応した入力値を算出する黒側境界入力値算出手段と、前記中間出力値と前記黒側境界値と前記制御点のX座標と前記黒側境界入力値とに基づいて前記黒側境界値と出力の最小値との間の階調変換特性を作成する手段と、この手段で作成した階調変換特性を平滑化して黒側の派生階調変換特性を生成する手段とを備えたことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記入力画像特徴量抽出手段は、前記入力画像に関心領域を設定する関心領域設定手段と、この関心領域の画素の画素値の平均値を算出する画素平均値算出手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記標準階調変換特性を変形させる領域の境界における画素値は、前記画像表示手段に表示される画像の黒側を規定する画素値の境界値と白側を規定する画素値の境界値であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記階調変換特性算出手段は、前記コントラスト調整手段から入力されるコントラスト調整値に対応して表示画像の白側のコントラストを下げる系列の複数の階調変換特性と表示画像の黒側のコントラストを下げる系列の複数の階調変換特性を算出することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
医用画像のコントラストを調整するコントラスト調整手段を備えた医用画像診断装置並びに医用画像表示装置であって、前記コントラスト調整手段に請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置を備えたことを特徴とする医用画像診断装置並びに医用画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−259663(P2008−259663A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104519(P2007−104519)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
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