説明

画像処理装置及びその制御方法

【課題】映像データとグラフィックスデータとを異なるデータ転送経路を用いて同期転送する画像処理装置において、映像データ用の転送経路の転送速度を変更する際にグラフィックスデータの転送が途絶することを抑制する。
【解決手段】映像転送経路と、グラフィックスデータを転送する経路であって映像転送経路と等しい転送速度に制御される第1の転送経路と、グラフィックスデータを転送する経
路であって映像転送経路とは独立して転送速度が制御される第2の転送経路と、グラフィ
ックスデータ転送経路を第1の転送経路又は第2の転送経路のいずれかに切り換える切換部と、第1の転送経路を介してグラフィックスデータの転送が行われている場合に映像転送
経路の転送速度を変更する処理が行われるときは、当該処理の開始から完了までの期間中におけるグラフィックスデータの転送経路を第2の転送経路へ切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像データとグラフィックスデータとを異なるデータ転送経路を用いて同期転送する画像処理装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送受信装置等では、映像データと、メニュー画面やEPG等のGUI(Graphical User Interface)を構成するグラフィックスデータと、を合成して出力する画像処理装置を備えている。図6は、そのような画像処理装置の概略構成例を示すブロック図である。
画像処理装置101は、映像データの復号及びグラフィックスデータの生成を行なう受信用LSI102と、映像データに対する画像処理や映像データとグラフィックスデータとの合成及
び出力を行なう画像処理用LSI103と、を備える。受信用LSI102から画像処理用LSI103へは、映像データ転送用経路109とグラフィックスデータ転送用経路110との2つの独立したデ
ータ転送経路を介して映像データ及びグラフィックスデータが転送される。
【0003】
受信処理部104から画像処理部105への映像データの送信タイミングと、グラフィックスデータ生成部108から合成部106へのグラフィックスデータの送信タイミングとは、タイミング発生部111により等しい送信タイミングに制御される。これにより、映像データ転送
用経路109を介した映像データの転送速度とグラフィックスデータ転送用経路110を介したグラフィックスデータの転送速度とは等しい速度に制御される。すなわち、受信用LSI102から画像処理用LSI103へ映像データ及びグラフィックスデータが同期転送される。
【0004】
特許文献1には、処理の切換が発生する際に、現在の処理に関連する画像データをメモ
リへ退避させ、処理が復帰した際にメモリに退避しておいた画像データを読み出し、表示を行う方法が提案されている。
【0005】
特許文献2には、演算処理装置と表示装置との通信を有線接続経路及び無線接続経路に
より行えるシステムにおいて、有線接続経路が接続状態の場合は有線接続経路で通信を行い、有線接続経路が非接続状態であれば無線接続経路で通信を行う方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−092218号公報
【特許文献2】特開2002−312155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図6の画像処理装置では、映像データのフレームレートや解像度等のフォーマットの変
化に応じて映像データ転送用経路109の転送速度を変更する場合、受信処理部104からの映像データの送信タイミングが変更される。それと同時に、グラフィックスデータ生成部108からのグラフィックスデータの送信タイミングも、タイミング発生部111によって変更されることになる。そのため、映像データのフォーマット変化に応じて映像データ転送用経路109の転送速度を変更する際に、映像データの転送だけでなくグラフィックスデータの
転送も途絶する期間が生じるという問題があった。
【0008】
これに対し、特許文献1に記載の方法では、処理が復帰するまでの期間中、画像データ
を表示できるものの、その画像データは処理の切り換えが発生する直前の画像データであ
り、しかも当該画像データで固定である。そのため、アニメーションや動的内容のグラフィックスの表示を行なうことはやはりできない。
【0009】
本発明は、映像データとグラフィックスデータとを異なるデータ転送経路を用いて同期転送する画像処理装置において、映像データ用の転送経路の転送速度を変更する際にグラフィックスデータの転送が途絶することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1の処理部から第2の処理部へ映像データを転送する映像転送経路と、
前記映像データのフォーマットに応じて前記映像転送経路の転送速度を制御する制御部と、
前記第1の処理部から前記第2の処理部へグラフィックスデータを転送する経路であって、前記映像転送経路の転送速度と等しい転送速度に制御される第1の転送経路と、
前記第1の処理部から前記第2の処理部へグラフィックスデータを転送する経路であって、前記映像転送経路の転送速度の制御とは独立して転送速度が制御される第2の転送経路
と、
前記第1の処理部から前記第2の処理部へグラフィックスデータを転送する経路を前記第1の転送経路又は前記第2の転送経路のいずれかに切り換える切換部と、
前記第1の転送経路を介してグラフィックスデータの転送が行われている場合に、前記
映像転送経路を介した映像データの転送速度を変更する処理が前記制御部により行われるときは、当該処理の開始から完了までの期間中におけるグラフィックスデータの転送が前記第2の転送経路を介して行われるよう、前記切換部によりグラフィックスデータの転送
経路を前記第1の転送経路から前記第2の転送経路へ切り換える切換制御部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0011】
また、本発明は、第1の処理部から第2の処理部へ映像データを転送する映像転送経路と、
前記第1の処理部から前記第2の処理部へグラフィックスデータを転送する第1の転送経
路と、
前記第1の処理部から前記第2の処理部へグラフィックスデータを転送する第2の転送経
路と、
を備える画像処理装置の制御方法であって、
前記映像データのフォーマットに応じて前記映像転送経路の転送速度を制御するとともに、前記第1の転送経路の転送速度を該映像転送経路の転送速度と等しい転送速度に制御
する制御工程と、
前記第1の処理部から前記第2の処理部へグラフィックスデータを転送する経路を前記第1の転送経路又は前記第2の転送経路のいずれかに切り換える切換工程と、
前記第1の転送経路を介してグラフィックスデータの転送が行われている場合に、前記
映像転送経路を介した映像データの転送速度を変更する処理が前記制御工程により行われるときは、当該処理の開始から完了までの期間中におけるグラフィックスデータの転送が前記第2の転送経路を介して行われるよう、前記切換工程によりグラフィックスデータの
転送経路を前記第1の転送経路から前記第2の転送経路へ切り換える切換制御工程と、
を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、映像データとグラフィックスデータとを異なるデータ転送経路を用いて同期転送する画像処理装置において、映像データ用の転送経路の転送速度を変更する際にグラフィックスデータの転送が途絶することを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の画像処理装置の構成を示すブロック図
【図2】実施例1のグラフィックスデータ転送経路切り換え処理のフロー図
【図3】実施例2の画像処理装置の構成を示すブロック図
【図4】実施例2の画像処理装置のグラフィックス種類毎の転送経路切り換え要否
【図5】実施例3の画像処理装置の構成を示すブロック図
【図6】従来の画像処理装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1に係る画像処理装置201の構成を示すブロック図である。本実
施例に係る画像処理装置201は、映像データとGUI等を構成するグラフィックスデータとを合成して出力する機能を有する映像装置であって、複数の異なるフォーマットの映像データを処理可能な画像処理装置に一般的に適用することができる。例えば、デジタルテレビやPC用モニタのような種々のフォーマットの映像を表示することが可能な映像表示装置や、レコーダ、メディアプレーヤ、ゲーム機のような種々の解像度の映像を出力することが可能な映像出力装置に適用することができる。
【0015】
(装置全体構成)
画像処理装置201は、受信LSI202と、画像処理LSI203により構成される。
受信LSI202は、デジタル放送を受信して番組の映像データを生成するとともに、ユーザ操作に応じたメニュー画面やEPG等のGUIを構成するグラフィックスデータを生成する。
画像処理LSI203は、受信LSI202から転送される映像データ及びグラフィックスデータを合成し、モニタ等の表示装置(不図示)に表示するための映像信号として出力する。画像処理LSI203は、映像データに対する画像処理も行なう。
【0016】
受信LSI202から画像処理LSI203への映像データ及びグラフィックスデータの転送は、各データ用に設けられる異なる転送経路を介して行われる。すなわち、映像データは映像データ転送経路225を介して受信LSI202から画像処理LSI203へ転送される。また、グラフィ
ックスデータは第1のグラフィックスデータ転送経路226と第2のグラフィックスデータ転
送経路227との2つの経路のいずれかを介して受信LSI202から画像処理LSI203へ転送される。受信LSI202は、本発明の「第1の処理部」を構成する。画像処理LSI203は、本発明の「
第2の処理部」を構成する。映像データ転送経路225は、本発明の「映像転送経路」を構成する。第1のグラフィックスデータ転送経路226は、本発明の「第1の転送経路」を構成す
る。第2のグラフィックスデータ転送経路227は、本発明の「第2の転送経路」を構成する

【0017】
次に、受信LSI202と画像処理LSI203の構成の詳細について説明する。
受信LSI202のチューナ204は、図示しないアンテナ又はケーブルテレビ回線を介して入
力されたデジタル放送信号を受信する。
デコーダ205は、チューナ204で受信した放送信号の復調処理、誤り訂正処理を行うとともに、復調して得られた多重化データをデコード(復号)して映像データ、音声データ及び番組情報を生成する。
デコーダ205がデコードした映像データは、受信LSI202の映像データ送信部206から画像処理LSI203の映像データ受信部223へ、映像データ転送経路225を介して転送される。
映像データ転送経路225を介した映像データの転送にはLVDS(Low Voltage Differential Signaling)を用いる。LVDSは、フレームレート60fpsのフルHD(解像度1920×1080、ビット深度12ビット)の映像データを転送可能な帯域幅を有し、例えば550MB/s(〜1GB/s)程度の転送速度(1秒間に転送するデータ量)でデータ転送が可能な帯域幅を有する。
【0018】
映像データ送信部206は、タイミング発生部224より出力されるデータ送信タイミングに
従って映像データを送信する。映像データ転送経路225を介した映像データの転送速度の
制御は、映像データ送信部206に入力されるデータ送信タイミングを制御することによっ
て行なう。
タイミング発生部224が出力すべきデータ送信タイミングは、データ送信タイミング設
定部208により設定される。また、データ送信タイミング設定部208がタイミング発生部224に設定したデータ送信タイミングに適合するように、データ受信タイミング設定部218が適切なデータ受信タイミングを映像データ受信部223に設定する。
画像処理LSI203の画像処理部215は、映像データ受信部223が受信した映像データに対して、色補正、輪郭補正、ガンマ補正、ノイズリダクション等の画像処理を行なう。画像処理はここで例示したものに限られない。
合成部216は、画像処理部215により画像処理された映像データと、グラフィックスデータバッファ222から出力されるグラフィックスデータと、を合成し、出力用の映像データ
を生成する。
出力処理部217は、合成部216が生成した映像データを、不図示のモニタに表示するための映像信号に変換して出力する。
【0019】
受信LSI202のグラフィックスデータ生成部211は、ユーザ操作に応じたメニュー画面やEPG等のGUIを構成するグラフィックスデータを生成する。
受信LSI202及び画像処理LSI203は、それぞれグラフィックスデータ送信部及び受信部を2つ備えており、それらを切り換えることによりグラフィックスデータ転送経路226及び227の切り換えを行う。受信LSI202の2つのグラフィックスデータ送信部(213及び214)の切り換えは、受信LSI202のグラフィックスデータ送信部切換部212により行われる。画像処
理LSI203の2つのグラフィックスデータ受信部(219及び220)の切り換えは、画像処理LSI203のグラフィックスデータ受信部切換部221により行われる。
【0020】
グラフィックスデータ送信部切換部212がグラフィックスデータ送信部をグラフィック
スデータ送信部213に切り換え、グラフィックスデータ受信部切換部221がグラフィックスデータ受信部をグラフィックスデータ受信部219に切り換える。これにより、受信LSI202
から画像処理LSI203へのグラフィックスデータの転送経路が第1のグラフィックスデータ
転送経路226に切り換えられる。
グラフィックスデータ送信部切換部212がグラフィックスデータ送信部をグラフィック
スデータ送信部214に切り換え、グラフィックスデータ受信部切換部221がグラフィックスデータ受信部をグラフィックスデータ受信部220に切り換える。これにより、受信LSI202
から画像処理LSI203へのグラフィックスデータの転送経路が第2のグラフィックスデータ
転送経路227に切り換えられる。
グラフィックスデータ送信部切換部212及びグラフィックスデータ受信部切換部221による上記切り換え処理は、グラフィックスデータ転送経路切換判断部210により制御される
。グラフィックスデータ送信部切換部212、グラフィックスデータ受信部切換部221及びこれらを制御するグラフィックスデータ転送経路切換判断部210は、本発明の「切換部」を
構成する。
【0021】
第1のグラフィックスデータ転送経路226を介したグラフィックスデータの転送には、映像データ転送経路225を介した映像データの転送と同様LVDSを用いる。
グラフィックスデータ送信部213は、映像データ送信部206と同様タイミング発生部224
より出力されるデータ送信タイミングに従ってグラフィックスデータを送信する。すなわち、グラフィックスデータ送信部213は映像データ送信部206と同期してグラフィックスデータの転送を行う。すなわち、第1のグラフィックスデータ転送経路226を介したグラフィックスデータの転送速度は映像データ転送経路225を介した映像データの転送速度と等し
い転送速度に制御される。
【0022】
第2のグラフィックスデータ転送経路227を介したグラフィックスデータの転送には、PCI(Peripheral Component Interconnect)を用いる。PCIは、133MB/s程度の転送速度でデータ転送可能な汎用バスであり、映像データ転送経路225や第1のグラフィックスデータ転送経路226で用いられるLVDSと比較して帯域幅は狭い。
グラフィックスデータ送信部214によるグラフィックスデータの送信については、グラ
フィックスデータ送信部213のような映像データ送信部206による映像データの送信と同期させる制御は行われない。従って、第2のグラフィックスデータ転送経路227を介したグラフィックスデータの転送速度は、映像データ転送経路225を介した映像データの転送速度
とは無関係に制御される。
【0023】
グラフィックスデータ受信部219又はグラフィックスデータ受信部220が受信したグラフィックスデータは、グラフィックスデータバッファ222に蓄積された後、合成部216に出力され、映像データと合成される。
【0024】
合成部216は、画像処理部215から出力される映像データと、グラフィックスデータバッファ222から出力されるグラフィックスデータとの合成処理を行う。
出力処理部217は、合成部216から出力される映像データとグラフィックスデータとの合成データをモニタへ表示するための映像信号に変換し、出力する。
【0025】
映像データの解像度やフレームレート等の映像データフォーマットが変化した場合、それに応じて映像データ転送経路225を介した映像データの転送速度を変更する必要がある
。例えば、SD放送が行なわれているチャンネルからHD放送が行なわれているチャンネルへの選局が行なわれた場合、映像データフォーマットはデータ量の少ない低解像度からデータ量の多い高解像度へ変化する。この場合、映像データのデータ量の増大に応じて映像データ転送経路225を介した映像データの転送速度を速くする(34MB/sから550MB/sに変更する)必要がある。
【0026】
映像データ転送経路225を介した映像データの転送速度を変更する処理は、データ送信
タイミング設定部208によりタイミング発生部224が出力するデータ送信タイミングを変更する。それとともに、データ受信タイミング設定部218により映像データ受信部223のデータ受信タイミングを変更することにより行われる。映像データフォーマットに応じて映像データの転送速度を変更する処理を行うタイミング発生部224、データ送信タイミング設
定部208及びデータ受信タイミング設定部218は、本発明の「制御部」を構成する。
【0027】
このように映像データ送信部206及び映像データ受信部223のデータ送受信タイミングを変更する処理が行われている期間中は、映像データ送信部206から映像データ受信部223への映像データの転送を行うことはできない。そのため、映像データの転送速度の変更処理中は、映像データ転送経路225を介した映像データの転送が途絶する。
【0028】
ここで、本実施例の画像処理装置201では、タイミング発生部224は、映像データ送信部206に出力するデータ送信タイミングを同時にグラフィックスデータ送信部213にもに出力する。また、データ受信タイミング設定部218は、映像データ受信部223に設定するデータ受信タイミングを同時にグラフィックスデータ受信部219にも設定する。従って、映像デ
ータの転送速度の変更処理中は、グラフィックスデータ送信部213からグラフィックスデ
ータ受信部219へのグラフィックスデータの転送も行うことができない。そのため、映像
データの転送速度の変更処理中は、グラフィックスデータ転送経路226を介したグラフィ
ックスデータの転送も途絶することになる。
【0029】
そこで、映像データフォーマットの変化に応じて映像データ転送経路225を介した映像
データの転送速度を変更する処理を行う場合、まず、グラフィックスデータの転送経路を
第1の転送経路226から第2の転送経路227へ切り換える。
そして、映像データ転送経路225を介した映像データの転送速度の変更処理の開始から
完了までの期間中は、第2のグラフィックスデータ転送経路227を介してグラフィックスデータの転送を行なう。
映像データ転送経路225を介した映像データの転送速度の変更処理が完了した後、グラ
フィックスデータの転送経路を第2のグラフィックスデータ転送経路227から第1のグラフ
ィックスデータ転送経路226へ戻す。
【0030】
上記のように、第2のグラフィックスデータ転送経路227を介したグラフィックスデータの転送速度は、映像データ転送経路225を介した映像データの転送速度とは独立して制御
される。従って、第2のグラフィックスデータ転送経路227を介したグラフィックスデータの転送は、映像データの転送速度の変更処理の影響を受けないため、映像データの転送速度の変更処理中においてもグラフィックスデータを転送することができる。よって、上記のグラフィックスデータ転送経路の切り換え処理を行えば、映像データの転送速度の変更処理中にグラフィックスデータの転送が途絶することを抑制できる。
【0031】
映像データフォーマットの変化に応じた映像データの転送速度の変更処理時に行うグラフィックスデータ転送経路の切り換え処理について詳細に説明する。
映像データフォーマットは映像データフォーマット判断部207により取得する。
データ送受信タイミング切換判断部209は、映像データフォーマット判断部207により取得される映像データフォーマットを監視し、映像データの転送速度を変更する処理の実行要否を判断する。データ送受信タイミング切換判断部209は、上述のSD放送とHD放送との
切り換わり時のように、映像データのデータ量が変化するようなフォーマット変化を検出した場合に、映像データの転送速度の変更処理を実行する。
映像データの転送速度の変更処理を実行する場合、データ送受信タイミング切換判断部209は、グラフィックスデータ転送経路切換判断部210に、グラフィックスデータの転送経路を第1の転送経路226から第2の転送経路227へ切り換えるよう指示する。
【0032】
グラフィックスデータ転送経路切換判断部210は、データ送受信タイミング切換判断部209から前記指示を受けると、グラフィックスデータ送信部切換部212にグラフィックスデ
ータ送信部の切り換えを指示する。それとともに、グラフィックスデータ受信部切換部221にグラフィックスデータ受信部の切り換えを指示する。グラフィックスデータ送信部切
換部212は、グラフィックスデータ転送経路切換判断部210から前記指示を受けると、グラフィックスデータ送信部をグラフィックスデータ送信部213からグラフィックスデータ送
信部214へ切り換える。同時に、グラフィックスデータ受信部切換部221は、グラフィックスデータ転送経路切換判断部210から前記指示を受けると、グラフィックスデータ受信部
をグラフィックスデータ受信部219からグラフィックスデータ受信部220へ切り換える。
【0033】
グラフィックスデータ転送経路切換判断部210は、グラフィックスデータ送信部切換部212及びグラフィックスデータ受信部切換部221による上記切り換え処理が完了したことを
検出すると、その旨をデータ送受信タイミング切換判断部209に通知する。
データ送受信タイミング切換判断部209は、グラフィックスデータ転送経路切換判断部210から前記通知を受けると、映像データの転送速度を変更するようデータ送信タイミング設定部208及びデータ受信タイミング設定部218に指示する。
データ送信タイミング設定部208は、データ送受信タイミング切換判断部209から前記指示を受けると、新しい映像データの転送速度に応じたデータ送信タイミングを出力するようタイミング発生部224を設定する。これにより、タイミング発生部224は、新しい映像データの転送速度に応じたデータ送信タイミングを映像データ送信部206及びグラフィック
スデータ送信部213に出力する。また、データ受信タイミング設定部218は、データ送受信タイミング切換判断部209から前記指示を受けると、新しい映像データの転送速度に応じ
たデータ受信タイミングを映像データ受信部223及びグラフィックスデータ受信部219に設定する。
【0034】
データ送信タイミング設定部208及びデータ受信タイミング設定部218は、映像データ転送経路225及び第1のグラフィックスデータ転送経路226の転送速度の変更完了を検出する
と、その旨をデータ送受信タイミング切換判断部209に通知する。
データ送受信タイミング切換判断部209は、データ送信タイミング設定部208及びデータ受信タイミング設定部218から前記通知を受ける。すると、グラフィックスデータ転送経
路切換判断部210に、グラフィックスデータの転送経路を第2の転送経路227から第1の転送経路226へ戻すよう指示する。
グラフィックスデータ転送経路切換判断部210は、データ送受信タイミング切換判断部209から前記指示を受けると、グラフィックスデータ送信部切換部212にグラフィックスデータ送信部の切り換えを指示する。それとともに、グラフィックスデータ受信部切換部221にグラフィックスデータ受信部の切り換えを指示する。グラフィックスデータ送信部
切換部212は、グラフィックスデータ転送経路切換判断部210から前記指示を受けると、グラフィックスデータ送信部をグラフィックスデータ送信部214からグラフィックスデータ
送信部213へ切り換える。同時に、グラフィックスデータ受信部切換部221は、グラフィックスデータ転送経路切換判断部210から前記指示を受けると、グラフィックスデータ受信
部をグラフィックスデータ受信部220からグラフィックスデータ受信部219へ切り換える。
【0035】
以上説明した映像データフォーマットの変化に応じた映像データの転送速度の変更処理時に行うグラフィックスデータ転送経路の切り換え処理について、図2のフロー図に基づ
いて説明する。
データ送受信タイミング切換判断部209は、映像データフォーマットの変化を検出する
。そして、映像データの転送速度の変更が必要と判断すると(S301がYES)、グラフィッ
クスデータ転送経路を第1の転送経路226から第2の転送経路227へ切り換える(S302)。
グラフィックスデータ転送経路の前記切り換え処理が完了したことを検出する。すると、データ送受信タイミング切換判断部209は、映像データ転送経路225及び第1のグラフィ
ックスデータ転送経路226の転送速度を新しい映像データフォーマットに応じた転送速度
に変更する。すなわち、データ送受信タイミング切換判断部209は、映像データ送信部206及びグラフィックスデータ送信部213に出力されるデータ送信タイミングを新しい映像デ
ータフォーマットに応じたデータ送信タイミングに変更させる(S303)。また、データ送受信タイミング切換判断部209は、映像データ受信部223及びグラフィックスデータ受信部219に設定するデータ受信タイミングを、新しい映像データフォーマットに応じたデータ
受信タイミングに変更させる(S304)。
映像データ転送経路225の転送速度及び第1のグラフィックスデータ転送経路226の転送
速度の前記変更処理の完了を検出する(S305)。すると、データ送受信タイミング切換判断部209は、グラフィックスデータ転送経路を第2の転送経路227から第1の転送経路226へ
戻す(S306)。
以上の処理を行うデータ送受信タイミング切換判断部209は、本発明の「切換制御部」
を構成する。
【0036】
以上説明したように、本実施例の画像処理装置によれば、映像データの転送速度の変更処理を実行する場合に、グラフィックスデータの転送経路が、映像データの転送速度の制御とは独立して制御される第2のグラフィックスデータ転送経路227に切り換えられる。これにより、映像データの転送速度の変更処理中においても、グラフィックデータを転送することが可能になる。従って、映像データフォーマットの変化時にグラフィックスデータの転送途絶期間を低減でき、GUIを表示できない期間を低減することが可能になる。よっ
て、本実施例の画像処理装置201を備えることにより、映像表示装置や映像出力装置のユ
ーザビリティを向上させることができる。
【0037】
(実施例2)
図3は、本発明の実施例2に係る画像処理装置401の構成を示すブロック図である。なお
、実施例1で説明した画像処理装置201と同等の機能を有する構成要素については、実施例1と同一の符号及び名称を用いて詳細な説明を省略する。また、実施例1と同じ名称の構成要素でも、その処理内容が実施例1とは異なる構成要素については、実施例1とは異なる符号を付す。
【0038】
本実施例に係る画像処理装置401と実施例1の画像処理装置201との相違点は、表示中グ
ラフィックス判断部403を備えている点である。
映像データフォーマット判断部207で、映像データフォーマットの変化を検出すると、
グラフィックスデータ転送経路切換判断部410は、表示中グラフィックス判断部403に、現在表示中のグラフィックスの問い合わせを行う。グラフィックスデータ転送経路切換判断部410は、前記問い合わせの結果と、図4に示すグラフィックスデータ転送経路切換判断テーブル501とに基づいて、グラフィックスデータ転送経路の切り換え要否を判断する。グ
ラフィックスデータ転送経路切換判断部410は、本発明の「判断部」を構成する。
【0039】
グラフィックスデータ転送経路切換判断テーブル501において、現在表示中のグラフィ
ックスのグラフィックスデータ転送経路の切り換え要否は、映像データフォーマットの変化をまたいでグラフィックスデータを出力し続ける必要の有無に基づいて決定する。映像データフォーマットの変化は、上述したように、例えばSD放送を行っているチャンネルからHD放送を行っているチャンネルへの選局時等のように、受信コンテンツが変化する場合に発生する。
【0040】
例えば、EPG(Electoronic Program Guide)は、選局をまたいで表示し続ける必要がないため、映像データの転送速度の変更処理中にグラフィックスデータの転送が一時的に途絶しても問題ない。よって、グラフィックスデータの送信途絶期間を低減するために、実施例1で説明したグラフィックスデータ転送経路の切り換え処理を行う必要はない。従っ
て、図4のグラフィックスデータ転送経路切換判断テーブル501において、EPGに関する設
定502では、グラフィックスデータ転送経路の切り換え要否は「切り換え不要」に設定さ
れている。
一方、バナーは、選局をまたいで表示し続ける必要があるため、映像データの転送速度の変更処理中にグラフィックスデータの転送が途絶することは好ましくない。よって、グラフィックスデータの送信途絶期間を低減するために、実施例1で説明したグラフィック
スデータ転送経路の切り換え処理を行う必要がある。従って、図4のグラフィックスデー
タ転送経路切換判断テーブル501において、バナーに関する設定503では、グラフィックスデータ転送経路の切り換え要否は「切り換え要」に設定されている。
【0041】
本実施例では、グラフィックスデータが、映像データフォーマットの変化時に転送が途絶して表示されなくなても問題ないようなグラフィックスデータの場合は、映像データの転送速度の変更処理中にグラフィックスデータの転送途絶期間を低減する処理を行わない。これにより、グラフィックスデータの転送が途絶する期間を低減するためのグラフィックスデータ転送経路の切り換え処理を必要以上に実行しないようにすることができる。よって、グラフィックスデータ転送経路の切り換え処理に係る負荷を低減することができるとともに、第2のグラフィックスデータ転送経路227に不要な負荷がかかることも抑制できる。
【0042】
(実施例3)
図5は、本発明の実施例3に係る画像処理装置601の構成を示すブロック図である。なお
、実施例1で説明した画像処理装置201と同等の機能を有する構成要素については、実施例
1と同一の符号及び名称を用いて詳細な説明を省略する。また、実施例1と同じ名称の構成要素でも、その処理内容が実施例1とは異なる構成要素については、実施例1とは異なる符号を付す。
【0043】
本実施例は、送信グラフィックスサイズ決定部605、アニメーションフレームレート判
断部606、グラフィックスサイズ判断部607、送信部帯域判断部610、データ圧縮部608、データ伸張部609を備えている点で実施例1と相違する。
映像データフォーマット判断部207で、映像データフォーマットの変化を検出すると、
グラフィックスデータ転送経路切換判断部604は、現在表示していいるグラフィックスの
種類を判定する。そして、現在表示しているグラフィックスがアニメーションの場合、送信グラフィックスサイズ決定部605に、グラフィックスデータ転送経路の切り換え処理を
実行することを通知する。
送信グラフィックスサイズ決定部605は、グラフィックスデータ転送経路切換判断部604から前記通知を受けると、アニメーションのフレームレートをアニメーションフレームレート判断部606より取得する。フレームレートとは、1秒間に何枚のグラフィックスが描画されるかの情報である。
また、送信グラフィックスサイズ決定部605は、グラフィックスサイズ判断部607より現在表示中のアニメーションの画像サイズを取得する。
同時に、送信グラフィックスサイズ決定部605は、送信部帯域判断部610より、第2のグ
ラフィックスデータ転送経路227の帯域を取得する。
【0044】
送信グラフィックスサイズ決定部605は、前記取得したアニメーションのフレームレー
トと、前記取得したアニメーションの画像サイズと、に基づいて、アニメーションのグラフィックデータの転送に必要な転送速度(1秒間のデータ転送量)を算出する。例えば、
現在表示中のアニメーションが、フレームレート10fps、画像サイズ300×200、RGB各色8
ビットの場合、グラフィックスデータの転送に必要な転送速度は300×200×8×3×10=14400000bpsである。本実施例の送信グラフィックスサイズ決定部605は、本発明の「算出部」を構成する。
【0045】
送信グラフィックスサイズ決定部605は、前記算出した現在表示中のアニメーションの
グラフィックスデータの転送に必要な転送速度が、送信部帯域判断部610より取得した第2のグラフィックスデータ転送経路227の帯域を超えているか判定する。超えている場合、
データ圧縮部608によりアニメーションのグラフィックスデータを圧縮する。本実施例の
送信グラフィックスサイズ決定部605は、本発明の「圧縮制御部」を構成する。また、デ
ータ圧縮部608は、本発明の「圧縮部」を構成する。データ圧縮部608は、圧縮後のグラフィックスデータの転送に必要な転送速度が第2のグラフィックスデータ転送経路227の帯域以下になるようにアニメーションのグラフィックスデータの圧縮を行う。データ圧縮部608によりグラフィックスデータの圧縮を行う場合、送信グラフィックスサイズ決定部605は、データ伸張部609に、圧縮されたグラフィックスデータを伸張するための伸張率設定を
行う。
グラフィックスデータ転送経路切換判断部604は、送信グラフィックスサイズ決定部605から、データ圧縮部608とデータ伸張部609の設定完了の通知を受ける。すると、グラフィックスデータの転送経路を第1の転送経路226から第2の転送経路227へ切り換える。グラフィックスデータ転送経路の切り換え処理については実施例1と同様である。
【0046】
なお、本実施例では、現在表示中のグラフィックスデータがアニメーションの場合に、アニメーションのグラフィックスデータを必要に応じて圧縮する例について説明したが、グラフィックスデータの種類はアニメーションに限定されない。どのようなグラフィックスデータであっても、グラフィックスデータの転送に必要な転送速度が第2のグラフィッ
クスデータ転送経路227の帯域を超える場合には、上述したグラフィックスデータの圧縮
伸張処理を行うようにしても良い。
【0047】
このように、第2のグラフィックスデータ転送経路227の帯域を超える転送速度が必要なグラフィックスデータが出力されている場合であっても、圧縮伸張処理により第2のグラ
フィックスデータ転送経路227を介してグラフィックスデータを転送できる。従って、例
えばアニメーションのようなデータ量の多いグラフィックスデータの出力中に映像データの転送速度を変更する場合においても、グラフィックスデータの転送途絶期間を低減するためのグラフィックスデータ転送経路の切り換え処理を行うことができる。よって、アニメーション等のデータ量の多いグラフィックスデータも、映像データフォーマットの変化時に表示が途絶する期間を低減することが可能になる。
【0048】
以上説明した各実施例は、それぞれ本発明を実施するための一例であって、本発明の範囲内で上記各実施例には種々の変更を加え得る。また、本発明の範囲内で上記各実施例を組み合わせて本発明を実施することもできる。例えば、第2のグラフィックスデータ転送
経路227の帯域を超える転送速度を必要とするグラフィックスデータの場合でも、グラフ
ィックスデータ転送経路切換判断テーブル501における設定が「切り換え不要」の場合は
圧縮伸張処理を行う必要はない。
【符号の説明】
【0049】
209:データ送受信タイミング切換判断部、212:グラフィックスデータ送信部切換部、221:グラフィックスデータ受信部切換部、224:タイミング発生部、225:映像データ転送
経路、226:第1のグラフィックスデータ転送経路、227:第2のグラフィックスデータ転送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の処理部から第2の処理部へ映像データを転送する映像転送経路と、
前記映像データのフォーマットに応じて前記映像転送経路の転送速度を制御する制御部と、
前記第1の処理部から前記第2の処理部へグラフィックスデータを転送する経路であって、前記映像転送経路の転送速度と等しい転送速度に制御される第1の転送経路と、
前記第1の処理部から前記第2の処理部へグラフィックスデータを転送する経路であって、前記映像転送経路の転送速度の制御とは独立して転送速度が制御される第2の転送経路
と、
前記第1の処理部から前記第2の処理部へグラフィックスデータを転送する経路を前記第1の転送経路又は前記第2の転送経路のいずれかに切り換える切換部と、
前記第1の転送経路を介してグラフィックスデータの転送が行われている場合に、前記
映像転送経路を介した映像データの転送速度を変更する処理が前記制御部により行われるときは、当該処理の開始から完了までの期間中におけるグラフィックスデータの転送が前記第2の転送経路を介して行われるよう、前記切換部によりグラフィックスデータの転送
経路を前記第1の転送経路から前記第2の転送経路へ切り換える切換制御部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記切換制御部による前記グラフィックスデータの転送経路の切り換えの実行要否を、前記グラフィックスデータの種類に応じて判断する判断部を備え、
前記切換制御部は、前記判断部により前記切り換えの実行は不要と判断された場合、前記切り換えを行わないことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記グラフィックスデータの転送に必要な転送速度を算出する算出部と、
前記第2の転送経路により転送される前に前記グラフィックスデータを圧縮する圧縮部
と、
前記切換制御部による前記グラフィックスデータの転送経路の切り換えを実行する場合であって、前記算出部が算出した転送速度が前記第2の転送経路の帯域を超えている場合
は、前記第2の転送経路の帯域で転送可能なデータ量になるように前記グラフィックスデ
ータを前記圧縮部により圧縮する圧縮制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
第1の処理部から第2の処理部へ映像データを転送する映像転送経路と、
前記第1の処理部から前記第2の処理部へグラフィックスデータを転送する第1の転送経
路と、
前記第1の処理部から前記第2の処理部へグラフィックスデータを転送する第2の転送経
路と、
を備える画像処理装置の制御方法であって、
前記映像データのフォーマットに応じて前記映像転送経路の転送速度を制御するとともに、前記第1の転送経路の転送速度を該映像転送経路の転送速度と等しい転送速度に制御
する制御工程と、
前記第1の処理部から前記第2の処理部へグラフィックスデータを転送する経路を前記第1の転送経路又は前記第2の転送経路のいずれかに切り換える切換工程と、
前記第1の転送経路を介してグラフィックスデータの転送が行われている場合に、前記
映像転送経路を介した映像データの転送速度を変更する処理が前記制御工程により行われるときは、当該処理の開始から完了までの期間中におけるグラフィックスデータの転送が前記第2の転送経路を介して行われるよう、前記切換工程によりグラフィックスデータの
転送経路を前記第1の転送経路から前記第2の転送経路へ切り換える切換制御工程と、
を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−135154(P2011−135154A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290471(P2009−290471)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】