画像処理装置及びプログラム
【課題】指定された出力先に応じて、ジョブの実行を制御することができる画像処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置は、入力画像を指定された出力先に出力するジョブを受け付けるジョブ受付手段と、ジョブにおいて指定された出力先に応じて、ジョブに優先順位を付すジョブ制御手段と、ジョブ制御手段により付された優先順位に基づいて、ジョブを実行するジョブ実行手段とを有し、前記ジョブ受付手段が、着脱可能な記憶装置が第1の出力先として指定されたジョブ及び固定的に接続された記憶装置が第2の出力先として指定されたジョブを受け付けた場合、前記ジョブ制御手段は、第1の出力先が指定されたジョブに高い優先順位を付す。
【解決手段】画像処理装置は、入力画像を指定された出力先に出力するジョブを受け付けるジョブ受付手段と、ジョブにおいて指定された出力先に応じて、ジョブに優先順位を付すジョブ制御手段と、ジョブ制御手段により付された優先順位に基づいて、ジョブを実行するジョブ実行手段とを有し、前記ジョブ受付手段が、着脱可能な記憶装置が第1の出力先として指定されたジョブ及び固定的に接続された記憶装置が第2の出力先として指定されたジョブを受け付けた場合、前記ジョブ制御手段は、第1の出力先が指定されたジョブに高い優先順位を付す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録媒体を取り外し可能な状態になったことを検知した場合、実際に書き込まれたデータ及び書き込まれたデータに対するファイル管理情報が整合した状態でデータの書込みを中断する画像入力装置が開示されている。
特許文献2には、USBメモリが接続されていることが検出された場合、USBメモリ内のファイルを読み出し、代替フォルダに格納する画像処理装置が開示されている。
特許文献3には、ジョブ実行中に外部メモリが引き抜かれてから一定時間内に再挿入された場合、ジョブ実行中のファイルが外部メモリにあるときにはジョブを再開する画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−174263号公報
【特許文献2】特開2007−313793号公報
【特許文献3】特開2008−307705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、指定された出力先に応じて、ジョブの実行を制御することができる画像処理装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[画像処理装置]
請求項1に係る画像処理装置は、入力画像を指定された出力先に出力するジョブを受け付けるジョブ受付手段と、ジョブにおいて指定された出力先に応じて、ジョブに優先順位を付すジョブ制御手段と、ジョブ制御手段により付された優先順位に基づいて、ジョブを実行するジョブ実行手段とを有する。
【0006】
請求項2に係る画像処理装置は、前記ジョブ受付手段は、着脱可能な記憶装置が第1の出力先として指定されたジョブ及び固定的に接続された記憶装置が第2の出力先として指定されたジョブを受け付けた場合、前記ジョブ制御手段は、第1の出力先が指定されたジョブに高い優先順位を付す。
【0007】
請求項3に係る画像処理装置は、前記ジョブ受付手段は、着脱可能な記憶装置が第1の出力先として指定されたジョブを受け付けた場合、前記ジョブ制御手段は、前記ジョブ受付手段によって早く受け付けられたジョブに高い優先順位を付す。
【0008】
請求項4に係る画像処理装置は、前記ジョブ実行手段は、実行中のジョブがある場合、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブを、実行中のジョブと並列に実行する。
【0009】
請求項5に係る画像処理装置は、前記ジョブ実行手段は、実行中のジョブがある場合、実行中のジョブを一時停止させ、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブを実行する。
【0010】
請求項6に係る画像処理装置は、前記ジョブ実行手段は、実行中のジョブがある場合、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブをこれ以外のジョブと並列に実行させることができないときには、実行中のジョブを一時停止させ、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブを実行する。
【0011】
請求項7に係る画像処理装置は、前記ジョブ実行手段は、実行中のジョブがない場合、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブを、優先順位の低いジョブよりも早く実行する。
【0012】
[プログラム]
請求項8に係るプログラムは、入力画像を指定された出力先に出力するジョブを受け付けるステップと、ジョブにおいて指定された出力先に応じて、ジョブに優先順位を付すステップと、付された優先順位に基づいて、ジョブを実行するステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る画像処理装置によれば、指定された出力先に応じて、ジョブの実行を制御することができる。
【0014】
請求項2に係る画像処理装置によれば、着脱可能な記憶装置が出力先として指定されているジョブを優先的に実行することができる。
【0015】
請求項3に係る画像処理装置によれば、早く受け付けられたジョブを優先的に実行することができる。
【0016】
請求項4に係る画像処理装置によれば、本構成を有していない場合に比べて、着脱可能な記憶装置が出力先として指定されているジョブを早く実行することができる。
【0017】
請求項5に係る画像処理装置によれば、本構成を有していない場合に比べて、着脱可能な記憶装置が出力先として指定されているジョブを早く実行することができる。
【0018】
請求項6に係る画像処理装置によれば、本構成を有していない場合に比べて、着脱可能な記憶装置が出力先として指定されているジョブを早く実行することができる。
【0019】
請求項7に係る画像処理装置によれば、本構成を有していない場合に比べて、着脱可能な記憶装置が出力先として指定されているジョブを早く実行することができる。
【0020】
請求項8に係るプログラムによれば、指定された出力先に応じて、ジョブの実行を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態である画像処理装置を含む、画像処理システムを示す図である。
【図2】図1の画像処理装置のパネルに表示される画面例である。
【図3】図1の画像処理装置で実行されるリダイレクトプログラムの構成を示す図である。
【図4】図3のリダイレクトプログラムの動作フローを示すフローチャートである。
【図5A】図4のリダイレクトプログラムにおける、受付ジョブの動作の制御の内容をまとめた表である。
【図5B】図4のリダイレクトプログラムにおける、受付ジョブの動作の制御の内容をまとめた表である。
【図5C】図4のリダイレクトプログラムにおける、受付ジョブの動作の制御の内容をまとめた表である。
【図6】図4のリダイレクトプログラムにおける、キューイングする順序の制御の内容をまとめた表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明は本発明を実施するのにあたっての一例に過ぎず、本発明が以下に説明される事項に限定されるわけではなく、必要に応じて適宜変更可能である。
【0023】
[画像処理システム]
図1は、本発明の一実施形態である画像処理装置10を含む、画像処理システム1を示す図である。図1に示すように、画像処理システム1において、コピー、プリント及びファクシミリ送信などの複数の機能を有する画像処理装置10、一般的なコンピュータの機能を備えるクライアントPC12、及び、FTP(File Transfer Protocol;ファイル転送プロトコル)を用いてファイルを転送するFTPサーバ14が、ネットワーク16を介して互いに接続されて構成される。
さらに、画像処理装置10は、文書を画像データとして読み込むスキャナ100、ユーザからの操作を受け付けるパネル102及び着脱可能な記憶装置への接続先104を有する。ここで、着脱可能な記憶装置とは、例えば、USBメモリ、フロッピーディスク(登録商標)、各種光学ディスク及び無線接続された端末であり、画像処理システム1が構築された後であっても、画像処理装置10から比較的容易に取り外すことができるものを意味する。
以下、USBメモリを例に着脱可能な記憶装置を説明し、USBポートを例に着脱可能な記憶装置への接続先104を説明する。
【0024】
図1に示す構成により、画像処理装置10は、スキャナ100により読み込まれた文書の画像データ(スキャン文書)を、パネル102におけるユーザの操作に基づいて、USBメモリ及びFTPサーバ14に出力し、クライアントPC12におけるユーザの操作に基づいて、クライアントPC12に出力する。つまり、画像処理装置10は、スキャン文書の出力先を、ユーザの操作によって指定された出力先に変更する(リダイレクト)。このようなリダイレクトは、画像処理装置10において、メモリ(不図示)に記憶されたリダイレクトプログラムが、CPU(不図示)によって実行されることにより実現される。なお、リダイレクトプログラムの詳細は後述する。
図1においては、画像処理装置10、クライアントPC12及びFTPサーバ14が一台ずつ存在しているが、複数台存在してもかまわない。
【0025】
図2は、図1のパネル102に表示される画面例である。
図2(A)は、スキャン文書の出力先を指定する場合に表示される画面例である。図2(A)に示すように、画面には、スキャン文書の出力の実行を開始する実行ボタン106、セットされた文書をスキャンするためのパラメータを設定するための各種ボタンを表示する読取方法設定部108、及び、スキャン文書を出力するためのパラメータを設定するための各種ボタンを表示する出力方法設定部110が表示されている。
【0026】
図2(B)は、図2(A)の画面例において、スキャン文書の出力先としてUSBメモリが設定されているにもかかわらず、USBメモリがUSBポート104に接続されていないことを警告する場合に表示される画面例である。
図2(B)に示すように、画面には、実行ボタン106、読取方法設定部108及び出力方法設定部110に加え、警告内容を別ウインドウ表示する警告ウインドウ112が表示されている。
ここでは、パラメータが設定される際、不備を検知して警告を発するものとして説明したが、パラメータが設定された後、不備を検知して警告を発してもかまわない。
【0027】
[画像処理装置10のソフトウエア構成]
図3は、図1の画像処理装置10で動作するリダイレクトプログラムの構成を示す図である。
図3に示すように、リダイレクトプログラムは、画像蓄積部114、ジョブ受付部116、ジョブ制御部118、ジョブ蓄積部120及びジョブ実行部122を有する。さらに、ジョブ実行部122は、フォーマッタ124、USBリダイレクタ126、FTPリダイレクタ128及びHTTPリダイレクタ130を有する。
画像蓄積部114は、パネル102によって受け付けられたパラメータに基づいてスキャナ100が読み込んだスキャン文書を、一時的に蓄積する(スプール)。さらに、ジョブ制御部118による判定結果に応じて、スプールしたスキャン文書をフォーマッタ124に出力する。
【0028】
ジョブ受付部116は、パネル102によって受け付けられたパラメータ又は図1のクライアントPC12におけるユーザ操作(例えば、スキャン文書を要求するHTTPリクエストを発行する)を、ジョブとして受け付ける。
ここで、ジョブとは、同一のパラメータ又はHTTPリクエストなどで処理可能な処理単位である。
よって、同一のスキャン文書に対して異なる出力先が指定された場合、スキャン文書を出力するジョブは、出力先ごとに異なるジョブとして受け付けられる。例えば、2つの異なる出力先が指定された場合、異なる2つのジョブとして受け付けられる。なお、同一のスキャン文書に対して異なる出力先を指定するのは、同一のユーザであってもかまわないし、異なるユーザであってもかまわない。
【0029】
ジョブ制御部118は、ジョブ受付部116によって受け付けられたジョブを、その出力先に応じて、ジョブ蓄積部120に実行保留中ジョブとして一時的に蓄積させる(キュー溜め)か、ジョブ実行部122によって実行させるかを判定し、さらに、キュー溜めさせる場合には、実行保留中ジョブの順序を変更するか否かを判定する。
フォーマッタ124は、ジョブ制御部118による判定結果に応じて、画像蓄積部114からのスキャン文書をフォーマットする。
【0030】
USBリダイレクタ126は、ジョブの出力先がUSBメモリである場合に、フォーマッタ124によりフォーマットされたスキャン文書を、USBポート104に挿入されたUSBメモリに出力する。
FTPリダイレクタ128は、ジョブの出力先がFTPサーバ14である場合に、フォーマッタ124によりフォーマットされたスキャン文書を、ネットワーク16を介して、FTPサーバ14に送信する。
HTTPリダイレクタ130は、ジョブの出力先がクライアントPC12である場合(例えば、クライアントPC12において発行されたHTTPリクエストが、ジョブとして受け付けられた場合)に、フォーマッタ124によりフォーマットされたスキャン文書を、HTTPレスポンスとして加工し、ネットワーク16を介して、HTTPリクエストを発行したクライアントPC12に送信する。
【0031】
図4は、図3のリダイレクトプログラムの動作フロー(S10)を示すフローチャートである。リダイレクトプログラムは、ジョブ制御部118が、ジョブ受付部116がジョブを受け付けたことをトリガとして開始される。
ステップ100(S100)において、ジョブ制御部118は、ジョブ実行部122がジョブを実行しているか否かを判定する。実行中ジョブがある場合には、ステップ102の処理に進み、そうでない場合には、ステップ104の処理に進む。
ステップ102(S102)において、ジョブ制御部118は、ジョブ蓄積部120及びジョブ実行部122の動作を制御することによって、ジョブ受付部116によって受け付けられたジョブ(受付ジョブ)の動作を制御する。なお、受付ジョブの動作の制御については、後述する。
【0032】
ステップ104(S104)において、ジョブ制御部118は、ジョブ蓄積部120がジョブをキュー溜めしているか否かを判定する。実行保留中ジョブがある場合には、ステップ106の処理に進み、そうでない場合には、ステップ110の処理に進む。
ステップ106(S106)において、ジョブ制御部118は、受付ジョブを実行保留中ジョブとしてキュー溜めし、実行保留中ジョブを取り出す(キューイング)順序を制御して、ステップ108の処理に進む。なお、キューイングする順序の制御については、後述する。
【0033】
ステップ108(S108)において、ジョブ制御部118は、実行保留中ジョブを、ステップ106で制御された順序でキューイングし、ジョブ実行部122は、キューイングされたジョブを順に実行する。
ステップ110(S110)において、ジョブ実行部122は、受付ジョブを実行する。
以上、新たなジョブが受け付けられたことを前提に、ジョブが制御された順序で実行されるものとして説明したが、新たなジョブが受け付けられていない場合、実行中ジョブの完了後、実行保留中ジョブがキューイングされた順に実行される。
【0034】
[受付ジョブの動作の制御]
図5A〜Cは、いずれも、図4のステップ102における、受付ジョブの動作の制御内容をまとめた表である。
出力先が同一の場合(特に、出力先に同一ディレクトリを指定できる場合)には、ジョブが受け付けられた順序及びジョブの実行が完了した順序が一致するため、出力されたデータどうしを混乱することが少なくなる。一方、出力先が異なる場合には、このような混乱は起こりにくいから、早く出力したい出力先(ここではUSBメモリ)が指定されたジョブに高い優先順位が付されることが望ましい。以下、高い優先順位が付されたジョブが優先的に実行されるとは、時間的に早く実行されることであるとして説明するが、ジョブに割り当てられる資源(メモリ資源、CPU資源及びネットワーク資源など)を増やすことなどであってもかまわない。
【0035】
そこで、図5Aに示すように、受付ジョブの出力先がUSBメモリであり、実行中ジョブの出力先もUSBメモリである場合、及び、受付ジョブの出力先がFTPサーバであり、実行中ジョブの出力先がUSBメモリ及びFTPサーバである場合、図3のジョブ制御部118は、受付ジョブを実行保留ジョブとしてキュー溜めするよう、図3のジョブ蓄積部120を制御する。
これら以外の場合には、ジョブ制御部118は、受付ジョブが実行中ジョブと並列に実行されるよう、図3のジョブ実行部122を制御する。
【0036】
図5Bに示すように、受付ジョブの出力先がUSBメモリであり、実行中ジョブの出力先もUSBメモリである場合、及び、受付ジョブの出力先がFTPサーバであり、実行中ジョブの出力先がUSBメモリ又はFTPサーバである場合に加えて、受付ジョブの出力先がUSBメモリ(制限あり)であり、実行中ジョブの出力先がFTPサーバ(制限あり)及びクライアントPC(制限あり)である場合、及び、受付ジョブの出力先がFTPサーバ(制限あり)であり、実行中ジョブの出力先がクライアントPC(制限あり)である場合、図3のジョブ制御部118は、受付ジョブを実行保留ジョブとしてキュー溜めするよう、図3のジョブ蓄積部120を制御する。
また、受付ジョブの出力先がクライアントPC(制限あり)であり、実行中ジョブの出力先がUSBメモリ(制限あり)、FTPサーバ(制限あり)及びクライアントPC(制限あり)の場合、ジョブ制御部118は、受付ジョブの実行を拒絶する。ここで、拒絶とは、例えば、受付ジョブが実行されないよう、受付ジョブを削除することである。
これら以外の場合には、ジョブ制御部118は、受付ジョブが実行中ジョブと並列に実行されるよう、図3のジョブ実行部122を制御する。
【0037】
ここで、「制限あり」とは、ジョブの処理内容が大容量メモリ及び特殊なハードウエアを必要とするなどの理由から、ジョブの最大同時処理数に制限がある(例えば、同時に処理できるジョブの数が1である)ことを示し、「制限なし」とは、ジョブの最大同時処理数に制限がないことを示す。制限があるか否かは、スキャンパラメータ及び出力パラメータなどによって判断される。
例えば、一般的には、OCR(Optical Character Reader)による読取はメモリを消費することから、スキャンパラメータにおいて、OCRによる読取が設定されている場合は「制限あり」と判断される。
【0038】
図5Cに示すように、受付ジョブの出力先がUSBメモリであり、実行中ジョブの出力先もUSBメモリである場合、受付ジョブの出力先がFTPサーバであり、実行中ジョブの出力先がUSBメモリ又はFTPサーバである場合、及び、受付ジョブの出力先がFTPサーバ(制限あり)であり、実行中ジョブの出力先がクライアントPC(制限あり)である場合、図3のジョブ制御部118は、受付ジョブを実行保留ジョブとしてキュー溜めするよう、図3のジョブ蓄積部120を制御する。
また、受付ジョブの出力先がクライアントPC(制限あり)であり、実行中ジョブの出力先がUSBメモリ(制限あり)、FTPサーバ(制限あり)及びクライアントPC(制限あり)の場合、ジョブ制御部118は、受付ジョブの実行を拒絶する。
【0039】
さらに、受付ジョブの出力先がUSBメモリ(制限あり)であり、実行中ジョブの出力先がFTPサーバ(制限あり)及びクライアントPC(制限あり)である場合、ジョブ制御部118は、実行中ジョブを一時停止(中断)し、受付ジョブを実行した後、中断された実行中ジョブの実行を再開するよう、図3のジョブ実行部122を制御する。
これら以外の場合には、ジョブ制御部118は、受付ジョブが実行中ジョブと並列に実行されるよう、ジョブ実行部122を制御する。
【0040】
[キューイングする順序の制御]
図6は、図4のステップ106における、キューイングする順序の制御内容をまとめた表である。
図6に示すように、受付ジョブがUSBメモリであり、実行保留中ジョブの出力先がUSBメモリである場合、及び、受付ジョブがFTPサーバであり、実行保留中ジョブの出力先がUSBメモリ及びFTPサーバである場合、図3のジョブ制御部118は、実行保留中ジョブの後にキューイングされるよう、受付ジョブを実行保留中ジョブとしてキュー溜めする。
受付ジョブの出力先がUSBメモリであり、実行保留中ジョブの出力先がFTPサーバである場合、ジョブ制御部118は、実行保留中ジョブの前に(つまり、実行保留中ジョブを追い越して)キューイングされるよう、受付ジョブを実行保留中ジョブとしてキュー溜めする。
なお、出力先がクライアントPCであるジョブは、キュー溜めできない。
【0041】
図6を参照して、受付ジョブ及び1つの実行保留中ジョブをキューイングする順序を説明したが、受付ジョブ及び複数の実行保留中ジョブをキューイングする順序も同様に制御することができる。具体的には、複数の実行保留中ジョブのうち、優先順位が低い順に、最も新たにキュー溜めされたものとの順序を制御すればよい。
例えば、出力先がUSBメモリであるジョブJob1〜5がこの順序で受け付けられ、実行保留ジョブとしてキュー溜めされており(つまり、最も新たにキュー溜めされたのはJob5)、出力先がFTPサーバであるジョブJob6〜10がこの順序で受け付けられ、実行保留ジョブとしてキュー溜めされている(つまり、最も新たにキュー溜めされたのはJob10)場合を考える。
このような場合、受付ジョブの出力先がFTPサーバであるときには、Job10との順序を制御する。具体的には、受付ジョブがJob10の後にキューイングされるようにする。一方、受付ジョブの出力先がUSBメモリであるときには、Job10〜6との順序を制御した後、さらに、Job10〜6より優先順位が高いJob5との順序を制御する。具体的には、受付ジョブがJob10〜6の前であって、Job5の後にキューイングされるようにする。
【0042】
以上説明したように、早く出力したい出力先(ここではUSBメモリ)が指定されたジョブが優先されることにより、一般的にはユーザの予測し得ないタイミングで書込みがなされるUSBメモリについて、書込みが完了する前にUSBメモリが取り外されてしまい、USBメモリ内でデータが破損したり、書込みエラーが発生したりすることが防止される。また、書込み完了を待つユーザがその場を離れてしまい、第三者によってUSBメモリが取り外され、USBメモリ内のデータが漏洩することが防止される。
なお、一般的なコンピュータにおいては、資源が限られていることが少なく、ジョブの競合が起こりにくいため、本発明は、いわゆる複合機において適用されることが望ましい。
【符号の説明】
【0043】
1 画像処理システム
10 画像処理装置
100 スキャナ
102 パネル
104 USBポート
12 クライアントPC
14 FTPサーバ
16 ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録媒体を取り外し可能な状態になったことを検知した場合、実際に書き込まれたデータ及び書き込まれたデータに対するファイル管理情報が整合した状態でデータの書込みを中断する画像入力装置が開示されている。
特許文献2には、USBメモリが接続されていることが検出された場合、USBメモリ内のファイルを読み出し、代替フォルダに格納する画像処理装置が開示されている。
特許文献3には、ジョブ実行中に外部メモリが引き抜かれてから一定時間内に再挿入された場合、ジョブ実行中のファイルが外部メモリにあるときにはジョブを再開する画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−174263号公報
【特許文献2】特開2007−313793号公報
【特許文献3】特開2008−307705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、指定された出力先に応じて、ジョブの実行を制御することができる画像処理装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[画像処理装置]
請求項1に係る画像処理装置は、入力画像を指定された出力先に出力するジョブを受け付けるジョブ受付手段と、ジョブにおいて指定された出力先に応じて、ジョブに優先順位を付すジョブ制御手段と、ジョブ制御手段により付された優先順位に基づいて、ジョブを実行するジョブ実行手段とを有する。
【0006】
請求項2に係る画像処理装置は、前記ジョブ受付手段は、着脱可能な記憶装置が第1の出力先として指定されたジョブ及び固定的に接続された記憶装置が第2の出力先として指定されたジョブを受け付けた場合、前記ジョブ制御手段は、第1の出力先が指定されたジョブに高い優先順位を付す。
【0007】
請求項3に係る画像処理装置は、前記ジョブ受付手段は、着脱可能な記憶装置が第1の出力先として指定されたジョブを受け付けた場合、前記ジョブ制御手段は、前記ジョブ受付手段によって早く受け付けられたジョブに高い優先順位を付す。
【0008】
請求項4に係る画像処理装置は、前記ジョブ実行手段は、実行中のジョブがある場合、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブを、実行中のジョブと並列に実行する。
【0009】
請求項5に係る画像処理装置は、前記ジョブ実行手段は、実行中のジョブがある場合、実行中のジョブを一時停止させ、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブを実行する。
【0010】
請求項6に係る画像処理装置は、前記ジョブ実行手段は、実行中のジョブがある場合、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブをこれ以外のジョブと並列に実行させることができないときには、実行中のジョブを一時停止させ、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブを実行する。
【0011】
請求項7に係る画像処理装置は、前記ジョブ実行手段は、実行中のジョブがない場合、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブを、優先順位の低いジョブよりも早く実行する。
【0012】
[プログラム]
請求項8に係るプログラムは、入力画像を指定された出力先に出力するジョブを受け付けるステップと、ジョブにおいて指定された出力先に応じて、ジョブに優先順位を付すステップと、付された優先順位に基づいて、ジョブを実行するステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る画像処理装置によれば、指定された出力先に応じて、ジョブの実行を制御することができる。
【0014】
請求項2に係る画像処理装置によれば、着脱可能な記憶装置が出力先として指定されているジョブを優先的に実行することができる。
【0015】
請求項3に係る画像処理装置によれば、早く受け付けられたジョブを優先的に実行することができる。
【0016】
請求項4に係る画像処理装置によれば、本構成を有していない場合に比べて、着脱可能な記憶装置が出力先として指定されているジョブを早く実行することができる。
【0017】
請求項5に係る画像処理装置によれば、本構成を有していない場合に比べて、着脱可能な記憶装置が出力先として指定されているジョブを早く実行することができる。
【0018】
請求項6に係る画像処理装置によれば、本構成を有していない場合に比べて、着脱可能な記憶装置が出力先として指定されているジョブを早く実行することができる。
【0019】
請求項7に係る画像処理装置によれば、本構成を有していない場合に比べて、着脱可能な記憶装置が出力先として指定されているジョブを早く実行することができる。
【0020】
請求項8に係るプログラムによれば、指定された出力先に応じて、ジョブの実行を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態である画像処理装置を含む、画像処理システムを示す図である。
【図2】図1の画像処理装置のパネルに表示される画面例である。
【図3】図1の画像処理装置で実行されるリダイレクトプログラムの構成を示す図である。
【図4】図3のリダイレクトプログラムの動作フローを示すフローチャートである。
【図5A】図4のリダイレクトプログラムにおける、受付ジョブの動作の制御の内容をまとめた表である。
【図5B】図4のリダイレクトプログラムにおける、受付ジョブの動作の制御の内容をまとめた表である。
【図5C】図4のリダイレクトプログラムにおける、受付ジョブの動作の制御の内容をまとめた表である。
【図6】図4のリダイレクトプログラムにおける、キューイングする順序の制御の内容をまとめた表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明は本発明を実施するのにあたっての一例に過ぎず、本発明が以下に説明される事項に限定されるわけではなく、必要に応じて適宜変更可能である。
【0023】
[画像処理システム]
図1は、本発明の一実施形態である画像処理装置10を含む、画像処理システム1を示す図である。図1に示すように、画像処理システム1において、コピー、プリント及びファクシミリ送信などの複数の機能を有する画像処理装置10、一般的なコンピュータの機能を備えるクライアントPC12、及び、FTP(File Transfer Protocol;ファイル転送プロトコル)を用いてファイルを転送するFTPサーバ14が、ネットワーク16を介して互いに接続されて構成される。
さらに、画像処理装置10は、文書を画像データとして読み込むスキャナ100、ユーザからの操作を受け付けるパネル102及び着脱可能な記憶装置への接続先104を有する。ここで、着脱可能な記憶装置とは、例えば、USBメモリ、フロッピーディスク(登録商標)、各種光学ディスク及び無線接続された端末であり、画像処理システム1が構築された後であっても、画像処理装置10から比較的容易に取り外すことができるものを意味する。
以下、USBメモリを例に着脱可能な記憶装置を説明し、USBポートを例に着脱可能な記憶装置への接続先104を説明する。
【0024】
図1に示す構成により、画像処理装置10は、スキャナ100により読み込まれた文書の画像データ(スキャン文書)を、パネル102におけるユーザの操作に基づいて、USBメモリ及びFTPサーバ14に出力し、クライアントPC12におけるユーザの操作に基づいて、クライアントPC12に出力する。つまり、画像処理装置10は、スキャン文書の出力先を、ユーザの操作によって指定された出力先に変更する(リダイレクト)。このようなリダイレクトは、画像処理装置10において、メモリ(不図示)に記憶されたリダイレクトプログラムが、CPU(不図示)によって実行されることにより実現される。なお、リダイレクトプログラムの詳細は後述する。
図1においては、画像処理装置10、クライアントPC12及びFTPサーバ14が一台ずつ存在しているが、複数台存在してもかまわない。
【0025】
図2は、図1のパネル102に表示される画面例である。
図2(A)は、スキャン文書の出力先を指定する場合に表示される画面例である。図2(A)に示すように、画面には、スキャン文書の出力の実行を開始する実行ボタン106、セットされた文書をスキャンするためのパラメータを設定するための各種ボタンを表示する読取方法設定部108、及び、スキャン文書を出力するためのパラメータを設定するための各種ボタンを表示する出力方法設定部110が表示されている。
【0026】
図2(B)は、図2(A)の画面例において、スキャン文書の出力先としてUSBメモリが設定されているにもかかわらず、USBメモリがUSBポート104に接続されていないことを警告する場合に表示される画面例である。
図2(B)に示すように、画面には、実行ボタン106、読取方法設定部108及び出力方法設定部110に加え、警告内容を別ウインドウ表示する警告ウインドウ112が表示されている。
ここでは、パラメータが設定される際、不備を検知して警告を発するものとして説明したが、パラメータが設定された後、不備を検知して警告を発してもかまわない。
【0027】
[画像処理装置10のソフトウエア構成]
図3は、図1の画像処理装置10で動作するリダイレクトプログラムの構成を示す図である。
図3に示すように、リダイレクトプログラムは、画像蓄積部114、ジョブ受付部116、ジョブ制御部118、ジョブ蓄積部120及びジョブ実行部122を有する。さらに、ジョブ実行部122は、フォーマッタ124、USBリダイレクタ126、FTPリダイレクタ128及びHTTPリダイレクタ130を有する。
画像蓄積部114は、パネル102によって受け付けられたパラメータに基づいてスキャナ100が読み込んだスキャン文書を、一時的に蓄積する(スプール)。さらに、ジョブ制御部118による判定結果に応じて、スプールしたスキャン文書をフォーマッタ124に出力する。
【0028】
ジョブ受付部116は、パネル102によって受け付けられたパラメータ又は図1のクライアントPC12におけるユーザ操作(例えば、スキャン文書を要求するHTTPリクエストを発行する)を、ジョブとして受け付ける。
ここで、ジョブとは、同一のパラメータ又はHTTPリクエストなどで処理可能な処理単位である。
よって、同一のスキャン文書に対して異なる出力先が指定された場合、スキャン文書を出力するジョブは、出力先ごとに異なるジョブとして受け付けられる。例えば、2つの異なる出力先が指定された場合、異なる2つのジョブとして受け付けられる。なお、同一のスキャン文書に対して異なる出力先を指定するのは、同一のユーザであってもかまわないし、異なるユーザであってもかまわない。
【0029】
ジョブ制御部118は、ジョブ受付部116によって受け付けられたジョブを、その出力先に応じて、ジョブ蓄積部120に実行保留中ジョブとして一時的に蓄積させる(キュー溜め)か、ジョブ実行部122によって実行させるかを判定し、さらに、キュー溜めさせる場合には、実行保留中ジョブの順序を変更するか否かを判定する。
フォーマッタ124は、ジョブ制御部118による判定結果に応じて、画像蓄積部114からのスキャン文書をフォーマットする。
【0030】
USBリダイレクタ126は、ジョブの出力先がUSBメモリである場合に、フォーマッタ124によりフォーマットされたスキャン文書を、USBポート104に挿入されたUSBメモリに出力する。
FTPリダイレクタ128は、ジョブの出力先がFTPサーバ14である場合に、フォーマッタ124によりフォーマットされたスキャン文書を、ネットワーク16を介して、FTPサーバ14に送信する。
HTTPリダイレクタ130は、ジョブの出力先がクライアントPC12である場合(例えば、クライアントPC12において発行されたHTTPリクエストが、ジョブとして受け付けられた場合)に、フォーマッタ124によりフォーマットされたスキャン文書を、HTTPレスポンスとして加工し、ネットワーク16を介して、HTTPリクエストを発行したクライアントPC12に送信する。
【0031】
図4は、図3のリダイレクトプログラムの動作フロー(S10)を示すフローチャートである。リダイレクトプログラムは、ジョブ制御部118が、ジョブ受付部116がジョブを受け付けたことをトリガとして開始される。
ステップ100(S100)において、ジョブ制御部118は、ジョブ実行部122がジョブを実行しているか否かを判定する。実行中ジョブがある場合には、ステップ102の処理に進み、そうでない場合には、ステップ104の処理に進む。
ステップ102(S102)において、ジョブ制御部118は、ジョブ蓄積部120及びジョブ実行部122の動作を制御することによって、ジョブ受付部116によって受け付けられたジョブ(受付ジョブ)の動作を制御する。なお、受付ジョブの動作の制御については、後述する。
【0032】
ステップ104(S104)において、ジョブ制御部118は、ジョブ蓄積部120がジョブをキュー溜めしているか否かを判定する。実行保留中ジョブがある場合には、ステップ106の処理に進み、そうでない場合には、ステップ110の処理に進む。
ステップ106(S106)において、ジョブ制御部118は、受付ジョブを実行保留中ジョブとしてキュー溜めし、実行保留中ジョブを取り出す(キューイング)順序を制御して、ステップ108の処理に進む。なお、キューイングする順序の制御については、後述する。
【0033】
ステップ108(S108)において、ジョブ制御部118は、実行保留中ジョブを、ステップ106で制御された順序でキューイングし、ジョブ実行部122は、キューイングされたジョブを順に実行する。
ステップ110(S110)において、ジョブ実行部122は、受付ジョブを実行する。
以上、新たなジョブが受け付けられたことを前提に、ジョブが制御された順序で実行されるものとして説明したが、新たなジョブが受け付けられていない場合、実行中ジョブの完了後、実行保留中ジョブがキューイングされた順に実行される。
【0034】
[受付ジョブの動作の制御]
図5A〜Cは、いずれも、図4のステップ102における、受付ジョブの動作の制御内容をまとめた表である。
出力先が同一の場合(特に、出力先に同一ディレクトリを指定できる場合)には、ジョブが受け付けられた順序及びジョブの実行が完了した順序が一致するため、出力されたデータどうしを混乱することが少なくなる。一方、出力先が異なる場合には、このような混乱は起こりにくいから、早く出力したい出力先(ここではUSBメモリ)が指定されたジョブに高い優先順位が付されることが望ましい。以下、高い優先順位が付されたジョブが優先的に実行されるとは、時間的に早く実行されることであるとして説明するが、ジョブに割り当てられる資源(メモリ資源、CPU資源及びネットワーク資源など)を増やすことなどであってもかまわない。
【0035】
そこで、図5Aに示すように、受付ジョブの出力先がUSBメモリであり、実行中ジョブの出力先もUSBメモリである場合、及び、受付ジョブの出力先がFTPサーバであり、実行中ジョブの出力先がUSBメモリ及びFTPサーバである場合、図3のジョブ制御部118は、受付ジョブを実行保留ジョブとしてキュー溜めするよう、図3のジョブ蓄積部120を制御する。
これら以外の場合には、ジョブ制御部118は、受付ジョブが実行中ジョブと並列に実行されるよう、図3のジョブ実行部122を制御する。
【0036】
図5Bに示すように、受付ジョブの出力先がUSBメモリであり、実行中ジョブの出力先もUSBメモリである場合、及び、受付ジョブの出力先がFTPサーバであり、実行中ジョブの出力先がUSBメモリ又はFTPサーバである場合に加えて、受付ジョブの出力先がUSBメモリ(制限あり)であり、実行中ジョブの出力先がFTPサーバ(制限あり)及びクライアントPC(制限あり)である場合、及び、受付ジョブの出力先がFTPサーバ(制限あり)であり、実行中ジョブの出力先がクライアントPC(制限あり)である場合、図3のジョブ制御部118は、受付ジョブを実行保留ジョブとしてキュー溜めするよう、図3のジョブ蓄積部120を制御する。
また、受付ジョブの出力先がクライアントPC(制限あり)であり、実行中ジョブの出力先がUSBメモリ(制限あり)、FTPサーバ(制限あり)及びクライアントPC(制限あり)の場合、ジョブ制御部118は、受付ジョブの実行を拒絶する。ここで、拒絶とは、例えば、受付ジョブが実行されないよう、受付ジョブを削除することである。
これら以外の場合には、ジョブ制御部118は、受付ジョブが実行中ジョブと並列に実行されるよう、図3のジョブ実行部122を制御する。
【0037】
ここで、「制限あり」とは、ジョブの処理内容が大容量メモリ及び特殊なハードウエアを必要とするなどの理由から、ジョブの最大同時処理数に制限がある(例えば、同時に処理できるジョブの数が1である)ことを示し、「制限なし」とは、ジョブの最大同時処理数に制限がないことを示す。制限があるか否かは、スキャンパラメータ及び出力パラメータなどによって判断される。
例えば、一般的には、OCR(Optical Character Reader)による読取はメモリを消費することから、スキャンパラメータにおいて、OCRによる読取が設定されている場合は「制限あり」と判断される。
【0038】
図5Cに示すように、受付ジョブの出力先がUSBメモリであり、実行中ジョブの出力先もUSBメモリである場合、受付ジョブの出力先がFTPサーバであり、実行中ジョブの出力先がUSBメモリ又はFTPサーバである場合、及び、受付ジョブの出力先がFTPサーバ(制限あり)であり、実行中ジョブの出力先がクライアントPC(制限あり)である場合、図3のジョブ制御部118は、受付ジョブを実行保留ジョブとしてキュー溜めするよう、図3のジョブ蓄積部120を制御する。
また、受付ジョブの出力先がクライアントPC(制限あり)であり、実行中ジョブの出力先がUSBメモリ(制限あり)、FTPサーバ(制限あり)及びクライアントPC(制限あり)の場合、ジョブ制御部118は、受付ジョブの実行を拒絶する。
【0039】
さらに、受付ジョブの出力先がUSBメモリ(制限あり)であり、実行中ジョブの出力先がFTPサーバ(制限あり)及びクライアントPC(制限あり)である場合、ジョブ制御部118は、実行中ジョブを一時停止(中断)し、受付ジョブを実行した後、中断された実行中ジョブの実行を再開するよう、図3のジョブ実行部122を制御する。
これら以外の場合には、ジョブ制御部118は、受付ジョブが実行中ジョブと並列に実行されるよう、ジョブ実行部122を制御する。
【0040】
[キューイングする順序の制御]
図6は、図4のステップ106における、キューイングする順序の制御内容をまとめた表である。
図6に示すように、受付ジョブがUSBメモリであり、実行保留中ジョブの出力先がUSBメモリである場合、及び、受付ジョブがFTPサーバであり、実行保留中ジョブの出力先がUSBメモリ及びFTPサーバである場合、図3のジョブ制御部118は、実行保留中ジョブの後にキューイングされるよう、受付ジョブを実行保留中ジョブとしてキュー溜めする。
受付ジョブの出力先がUSBメモリであり、実行保留中ジョブの出力先がFTPサーバである場合、ジョブ制御部118は、実行保留中ジョブの前に(つまり、実行保留中ジョブを追い越して)キューイングされるよう、受付ジョブを実行保留中ジョブとしてキュー溜めする。
なお、出力先がクライアントPCであるジョブは、キュー溜めできない。
【0041】
図6を参照して、受付ジョブ及び1つの実行保留中ジョブをキューイングする順序を説明したが、受付ジョブ及び複数の実行保留中ジョブをキューイングする順序も同様に制御することができる。具体的には、複数の実行保留中ジョブのうち、優先順位が低い順に、最も新たにキュー溜めされたものとの順序を制御すればよい。
例えば、出力先がUSBメモリであるジョブJob1〜5がこの順序で受け付けられ、実行保留ジョブとしてキュー溜めされており(つまり、最も新たにキュー溜めされたのはJob5)、出力先がFTPサーバであるジョブJob6〜10がこの順序で受け付けられ、実行保留ジョブとしてキュー溜めされている(つまり、最も新たにキュー溜めされたのはJob10)場合を考える。
このような場合、受付ジョブの出力先がFTPサーバであるときには、Job10との順序を制御する。具体的には、受付ジョブがJob10の後にキューイングされるようにする。一方、受付ジョブの出力先がUSBメモリであるときには、Job10〜6との順序を制御した後、さらに、Job10〜6より優先順位が高いJob5との順序を制御する。具体的には、受付ジョブがJob10〜6の前であって、Job5の後にキューイングされるようにする。
【0042】
以上説明したように、早く出力したい出力先(ここではUSBメモリ)が指定されたジョブが優先されることにより、一般的にはユーザの予測し得ないタイミングで書込みがなされるUSBメモリについて、書込みが完了する前にUSBメモリが取り外されてしまい、USBメモリ内でデータが破損したり、書込みエラーが発生したりすることが防止される。また、書込み完了を待つユーザがその場を離れてしまい、第三者によってUSBメモリが取り外され、USBメモリ内のデータが漏洩することが防止される。
なお、一般的なコンピュータにおいては、資源が限られていることが少なく、ジョブの競合が起こりにくいため、本発明は、いわゆる複合機において適用されることが望ましい。
【符号の説明】
【0043】
1 画像処理システム
10 画像処理装置
100 スキャナ
102 パネル
104 USBポート
12 クライアントPC
14 FTPサーバ
16 ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像を指定された出力先に出力するジョブを受け付けるジョブ受付手段と、
ジョブにおいて指定された出力先に応じて、ジョブに優先順位を付すジョブ制御手段と、
ジョブ制御手段により付された優先順位に基づいて、ジョブを実行するジョブ実行手段と
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記ジョブ受付手段が、着脱可能な記憶装置が第1の出力先として指定されたジョブ及び固定的に接続された記憶装置が第2の出力先として指定されたジョブを受け付けた場合、前記ジョブ制御手段は、第1の出力先が指定されたジョブに高い優先順位を付す
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ジョブ受付手段が、着脱可能な記憶装置が第1の出力先として指定されたジョブを受け付けた場合、前記ジョブ制御手段は、前記ジョブ受付手段によって早く受け付けられたジョブに高い優先順位を付す
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ジョブ実行手段は、実行中のジョブがある場合、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブを、実行中のジョブと並列に実行する
請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ジョブ実行手段は、実行中のジョブがある場合、実行中のジョブを一時停止させ、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブを実行する
請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記ジョブ実行手段は、実行中のジョブがある場合、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブをこれ以外のジョブと並列に実行させることができないときには、実行中のジョブを一時停止させ、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブを実行する
請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記ジョブ実行手段は、実行中のジョブがない場合、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブを、優先順位の低いジョブよりも早く実行する
請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
入力画像を指定された出力先に出力するジョブを受け付けるステップと、
ジョブにおいて指定された出力先に応じて、ジョブに優先順位を付すステップと、
付された優先順位に基づいて、ジョブを実行するステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項1】
入力画像を指定された出力先に出力するジョブを受け付けるジョブ受付手段と、
ジョブにおいて指定された出力先に応じて、ジョブに優先順位を付すジョブ制御手段と、
ジョブ制御手段により付された優先順位に基づいて、ジョブを実行するジョブ実行手段と
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記ジョブ受付手段が、着脱可能な記憶装置が第1の出力先として指定されたジョブ及び固定的に接続された記憶装置が第2の出力先として指定されたジョブを受け付けた場合、前記ジョブ制御手段は、第1の出力先が指定されたジョブに高い優先順位を付す
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ジョブ受付手段が、着脱可能な記憶装置が第1の出力先として指定されたジョブを受け付けた場合、前記ジョブ制御手段は、前記ジョブ受付手段によって早く受け付けられたジョブに高い優先順位を付す
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ジョブ実行手段は、実行中のジョブがある場合、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブを、実行中のジョブと並列に実行する
請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ジョブ実行手段は、実行中のジョブがある場合、実行中のジョブを一時停止させ、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブを実行する
請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記ジョブ実行手段は、実行中のジョブがある場合、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブをこれ以外のジョブと並列に実行させることができないときには、実行中のジョブを一時停止させ、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブを実行する
請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記ジョブ実行手段は、実行中のジョブがない場合、ジョブ制御手段により付された優先順位が高いジョブを、優先順位の低いジョブよりも早く実行する
請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
入力画像を指定された出力先に出力するジョブを受け付けるステップと、
ジョブにおいて指定された出力先に応じて、ジョブに優先順位を付すステップと、
付された優先順位に基づいて、ジョブを実行するステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【公開番号】特開2011−24084(P2011−24084A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168686(P2009−168686)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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