説明

画像処理装置及び方法、並びにプログラム及び記憶媒体、画像処理システム

【課題】ホスト装置側のプリンタドライバやアプリケーションレベルでのレイアウト変更ができないダイレクトプリントについても、ユーザの意図しないレイアウトでの印刷出力を低減する。
【解決手段】クライアント装置20、21は、印刷ジョブを生成する印刷ジョブ生成部101を備える。サーバ装置30は、画像処理装置10に対する各ユーザの印刷権限情報を統括管理するユーザ権限管理部103と、ユーザ毎の印刷権限チケットを発行する印刷権限チケット発行部104とを備える。画像処理装置10は、受信したジョブデータに対するユーザの印刷権限情報を管理、制御するユーザ権限制御部111と、設定されたユーザ権限に従ってジョブデータ内の論理ページを物理ページ上にレイアウトするページデータ制御部112とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び方法、並びにプログラム及び記憶媒体、画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
クライアント装置と、サーバ装置と、画像処理装置が接続され、クライアント装置で生成される印刷ジョブデータを、サーバ装置で管理される印刷権限(印刷制限)に従ってレイアウト処理し、画像処理装置で印刷出力を行う画像処理システムが普及している。
【0003】
上記の画像処理システムにおいて、従来、PDLデータの生成に際して、集約印刷等のページレイアウト属性を、クライアント装置上のプリンタドライバ画面上で変更し、印刷出力することが行われている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
また、印刷の運用コスト低減のために、各ユーザの印刷出力時のページレイアウト設定をサーバ装置で一元管理し、プリンタドライバに対して、強制モノクロ、強制両面、強制集約印刷等、印刷制限を行うことが広まりつつある。
【特許文献1】特開平11−249857号公報
【特許文献2】特開2001−253135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、印刷データの内容に関わらず、印刷制限を一律に行うため、特に、電子文書を介したワークフローにおけるダイレクトプリントにおいて、ユーザの意図しないレイアウトで出力されてしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、ホスト装置側のプリンタドライバやアプリケーションレベルでのレイアウト変更ができないダイレクトプリントについても、ユーザの意図しないレイアウトでの印刷出力を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像処理装置は、クライアント装置及びサーバ装置と接続され、前記クライアント装置で生成される印刷ジョブデータを、前記サーバ装置で管理される印刷権限に従ってレイアウト処理し印刷出力を行う画像処理装置において、印刷ジョブデータを受信する印刷ジョブデータ受信手段と、印刷権限チケットの解析を行う印刷権限チケット解析手段と、コンテンツ毎の印刷権限を保存する印刷権限保存手段と、ページ毎のコンテンツデータの解析を行い、コンテンツに印刷権限がある場合、レイアウト属性を設定するコンテンツデータ解析手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の画像処理方法は、クライアント装置及びサーバ装置と接続され、前記クライアント装置で生成される印刷ジョブデータを、前記サーバ装置で管理される印刷権限に従ってレイアウト処理し印刷出力を行う画像処理装置の画像処理方法において、印刷ジョブデータを受信する印刷ジョブデータ受信ステップと、印刷権限チケットの解析を行う印刷権限チケット解析ステップと、コンテンツ毎の印刷権限を保存する印刷権限保存ステップと、ページ毎のコンテンツデータの解析を行い、コンテンツに印刷権限がある場合、レイアウト属性を設定するコンテンツデータ解析ステップとを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の画像処理プログラムは、ライアント装置及びサーバ装置と接続され、前記クライアント装置で生成される印刷ジョブデータを、前記サーバ装置で管理される印刷権限に従ってレイアウト処理し印刷出力を行う画像処理装置の画像処理プログラムにおいて、印刷ジョブデータを受信する印刷ジョブデータ受信モジュールと、印刷権限チケットの解析を行う印刷権限チケット解析モジュールと、コンテンツ毎の印刷権限を保存する印刷権限保存モジュールと、ページ毎のコンテンツデータの解析を行い、コンテンツに印刷権限がある場合、レイアウト属性を設定するコンテンツデータ解析モジュールとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、請求項3記載の画像処理プログラムを格納する。
【0011】
請求項5記載の画像処理システムは、クライアント装置と、サーバ装置と、画像処理装置が接続され、前記クライアント装置で生成される印刷ジョブデータを、前記サーバ装置で管理される印刷権限に従ってレイアウト処理し、前記画像処理装置で印刷出力を行う画像処理システムにおいて、前記クライアント装置は、印刷ジョブを生成する印刷ジョブ生成部を備え、前記サーバ装置は、前記画像処理装置に対する各ユーザの印刷権限情報を統括管理するユーザ権限管理部と、ユーザ毎の印刷権限チケットを発行する印刷権限チケット発行部とを備え、前記画像処理装置は、受信したジョブデータに対する前記ユーザの印刷権限情報を管理、制御するユーザ権限制御部と、設定されたユーザ権限に従ってジョブデータ内の論理ページを物理ページ上にレイアウトするページデータ制御部とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の画像処理システムは、クライアント装置で生成される印刷ジョブデータを、サーバ装置で管理される印刷制限に従ってレイアウト処理し、印刷出力を行う画像処理システムであって、印刷ジョブデータのコンテンツ毎に印刷制限を設定するコンテンツ制限管理手段と、印刷ジョブデータの各ページのコンテンツ情報を識別するコンテンツ情報識別手段と、印刷ジョブデータの各ページのコンテンツデータを、コンテンツ毎の印刷制限に従って、レイアウトするコンテンツレイアウト設定手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像処理装置は、印刷ジョブデータを受信する印刷ジョブデータ受信手段と、印刷権限チケットの解析を行う印刷権限チケット解析手段と、コンテンツ毎の印刷権限を保存する印刷権限保存手段とを備える。また、ページ毎のコンテンツデータの解析を行い、コンテンツに印刷権限がある場合、レイアウト属性を設定するコンテンツデータ解析手段を備える。
【0014】
このように本発明の画像処理装置は、、ページ毎のコンテンツデータの解析を行い、コンテンツに印刷権限がある場合、レイアウト属性を設定する。従って、ホスト装置側のプリンタドライバやアプリケーションレベルでのレイアウト変更ができないダイレクトプリントについても、ユーザの意図しないレイアウトでの印刷出力を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理システムの構成図である。
【0017】
図1において、画像処理システムは、画像処理装置10、複数のクライアント装置A20、B21、及びサーバ装置(ユーザ権限管理サーバ)30が、ネットワーク40を介して接続されることで構築されている。
【0018】
複数のクライアント装置A20、B21及びサーバ装置30は、CPU、ディスプレイ、キーボード、マウス、ハードディスク、メモリ、ネットワーク通信用のインタフェースを有する市販のコンピュータを使用することができる。
【0019】
クライアント装置A20、B21は、キーボード等からユーザの指示に基づいて、他方のクライアント装置から送信されたドキュメントデータを、画像処理装置10への印刷ジョブデータとして変換、投入を行う印刷ジョブ生成部101を備える。また、サーバ装置30や画像処理装置10とネットワーク40経由でデータの送受信を行うI/F部102を備える。
【0020】
サーバ装置30は、ネットワーク40上や図示しない広域ネットワークを経由した複数のネットワーク上で共有される画像処理装置10や、その他の画像処理装置に対する各ユーザの印刷権限情報を統括管理するユーザ権限管理部103を備える。
【0021】
また、サーバ装置30は、クライアント装置A20、B21からの印刷ジョブ実行要求に基づいて、ユーザ毎の印刷権限チケットを発行、返送する印刷権限チケット発行部104を備える。更に、クライアント装置A20、B21や画像処理装置10とネットワーク40経由でデータの送受信を行うI/F部105を備える。
【0022】
画像処理装置10は、外部とのジョブデータの送受信を行うI/F部106、ユーザからの指示要求を直接受け付ける操作部107、ジョブデータの変換処理を行う印刷ジョブ制御部108を備える。
【0023】
また、画像処理装置10は、ページ単位のビットマップデータをビデオ信号に変換処理し、印刷部110の画像形成処理、給紙処理に同期して画像転送を行う出力制御部109、転送される画像信号を用紙上へ永久可視画像として画像形成して印刷出力を行う印刷部110を備える。
【0024】
印刷ジョブ制御部108は、受信したジョブデータに対するユーザ権限情報を管理、制御するユーザ権限制御部111と、設定されたユーザ権限に従ってジョブデータ内の論理ページを物理ページ上にレイアウトするページデータ制御部112とを備える。また、描画データ蓄積部120を備える。
【0025】
ユーザ権限制御部111において、権限チケット解析部113は、後述する構造化されたチケット形式の権限情報の解析を行う。コンテンツ権限管理部114は、権限チケット解析部113で解析された構造化情報を、ユーザ権限の対象となるコンテンツ毎に管理する。
【0026】
ページデータ制御部112において、コンテンツ判定部115は、データ解析部118で解析されたコンテンツ情報と、コンテンツ権限管理部114で管理されるユーザ権限情報から、コンテンツデータに対するレイアウト制限が必要であるか否か判定を行う。
【0027】
ページデータ制御部112において、レイアウト属性決定部116は、コンテンツ判定部115において判定されたユーザ権限に基づいて、コンテンツデータに対するレイアウト属性を決定する。レイアウト属性変更部117は、コンテンツデータ毎に決定したレイアウト属性を、必要に応じて、更にコンテンツデータ間のユーザ権限に基づいて変更する。
【0028】
ページデータ制御部112において、データ解析部118は、後述する構造化形式で記述されたジョブデータを解析し、ページ単位の中間データへの変換処理を行う。データ描画部119は、ページ単位の中間データをビットマップデータへ変換処理する。
【0029】
描画データ蓄積部120は、変換されたビットマップデータをJBIGやJPEG形式で圧縮し蓄積を行う。
【0030】
(第1の実施の形態)
図2はクライアント装置A20上で表示、編集されるアプリケーションドキュメントと、クライアント装置A20、画像処理装置10間でジョブデータとして送受信される構造化記述言語で記述されたドキュメントデータとの関係を示す図である。
【0031】
図2において、アプリケーションドキュメント200は、表紙201、目次202、テキストオブジェクトのみの本文203や、ベクターグラフィックス、イメージ等が含まれる本文204から構成されている。
【0032】
一方、構造化ドキュメントデータ205は、ジョブの範囲を規定するジョブ識別子206及びジョブ終端子215、各ページを規定するページ識別子207、209、211、213及びページ終端子208、210、214から構成される。
【0033】
各ページは、ページ内に表示されるコンテンツ情報を示すコンテンツ情報部216、218、220、222とコンテンツ内容を描画するためのコンテンツデータ部217、219、221、223から構成されている。
【0034】
ここで、ページID0001は、コンテンツとして“表紙”を示し、ページID0002は、コンテンツとして“目次”を示し、ページID0012、0013は、コンテンツとして“本文”を示している。
【0035】
図3は、図1におけるサーバ装置30で発行され、クライアント装置A20から印刷ジョブデータと共に画像処理装置10へ送信される構造化記述言語で記述された印刷権限チケットを示す図である。
【0036】
図3において、印刷権限チケット301は、印刷権限チケットであることを示す識別子302及び終端子306、印刷権限を設定する各コンテンツを示すコンテンツ識別子303、304、305を有する。また、機能毎の制限状態を設定する制限設定部307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318を有する。
【0037】
ここで、制限設定部307、311、315は、各コンテンツ印字ページの両面/片面出力制限を設定していて、本実施の形態では“表紙”のみが片面出力されるように設定されている。
【0038】
制限設定部308、312、316は、各コンテンツ印字ページのカラー/モノクロ出力制限を設定していて、本実施の形態では“表紙”のみがカラー出力されるように設定されている。
【0039】
制限設定部309、313、317は、各コンテンツ印字ページの論理ページを物理ページ上へ複数配置する集約印刷出力制限を設定している。本実施の形態では“表紙”のみが集約印刷処理をせずに出力、“目次”及び“本文”が4集約印刷(1枚の用紙の片面に4つの印刷データを印刷)処理で出力されるように設定されている。
【0040】
制限設定部310、314、318は、上記各コンテンツに対する出力制限を行う時に、各コンテンツ印字ページを独立して出力するか、連結して出力するかを設定している。本実施の形態では“表紙”及び“本文”が連結禁止、“目次”が連結許可に設定されている。
【0041】
次に、画像処理装置10で、サーバ装置30から発行される印刷権限チケットに基づいて、クライアント装置A20から送信されるジョブデータを受信、解析を行って印刷出力する処理について、図4、図5、図6、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0042】
図4は、図1におけるクライアント装置A20において、サーバ装置30から印刷権限チケットを取得し、画像処理装置10へ印刷ジョブデータを送信する印刷ジョブデータ送信処理の手順を示すフローチャートである。
【0043】
クライアント装置A20で、ユーザからアプリケーションドキュメントの印刷実行が指示されると、印刷ジョブ生成部101においてドキュメントデータへの変換処理を行う。
【0044】
ここで、画像処理装置10では構造化記述言語で記述されたドキュメントデータをダイレクトに受信して印刷処理が可能である。従って、アプリケーションドキュメントが構造化記述言語で記述されている場合には、専用のPDLデータへの変換は行わずにユーザ情報、コンテンツ情報等を付加してドキュメントデータとする(ステップS401)。
【0045】
ドキュメントデータの生成が完了すると、ユーザIDに基づいて、サーバ装置30への印刷権限チケット発行要求を行う(ステップS402)。サーバ装置30からの返送される印刷権限チケットを受信するまで待機する(ステップS403)。
【0046】
印刷権限チケットを受信したら、印刷権限チケットとドキュメントデータを連結して印刷ジョブを生成する(ステップS404)。印刷ジョブの生成が完了したら、画像処理装置10へ印刷ジョブを送信する(ステップS405)。そして、本処理を終了する。
【0047】
図5は、サーバ装置30においてクライアント装置A20からの印刷権限チケット送信要求に基づいて、印刷権限チケットを発行する印刷権限チケット発行処理の手順を示すフローチャートである。
【0048】
図5において、サーバ装置30では、各クライアント装置20、21からの印刷権限チケット送信要求の受信待機を行っている(ステップS501)。クライアント装置A20からの印刷権限チケット送信要求を受信すると、印刷権限チケット送信要求に含まれるユーザIDに基づいて、ユーザ権限管理部103から該当するユーザIDの印刷権限を検索する(ステップS502)。
【0049】
該当するユーザIDの印刷権限を検索したら、図3に示す印刷権限チケットの発行、生成処理を行う(ステップS503)。発行した印刷権限チケットは、画像処理装置10での印刷出力後に取得する印刷出力ログとの照合が行われる。印刷権限チケットの生成が完了すると、クライアント装置A20に対して印刷権限チケットの返送処理を行う(ステップS504)。そして、本処理を終了する。
【0050】
図6及び図7は、画像処理装置10においてクライアント装置A20から送信される印刷権限チケット及び印刷ジョブデータに基づいて、印刷出力する処理手順を示すフローチャートである。
【0051】
図6において、I/F部106を介してクライアント装置A20から印刷ジョブ受信を開始すると、ユーザ権限制御部111において、図示しないRAM上に確保された受信バッファからのジョブデータ読み込みを行う(ステップS601)(印刷ジョブデータ受信手段)。尚、受信バッファは外部からのデータを一時保管する記憶手段である。
【0052】
受信バッファから読み出されたジョブデータは、権限チケット解析部113において、まず、印刷権限チケットの解析処理を行う(ステップS602)(印刷権限チケット解析手段)。コンテンツ毎に機能毎の制限設定の読み出しを行い、ユーザ権限の対象となるコンテンツ毎に管理テーブルへの登録処理を行う(ステップS603)(印刷権限保存手段)。ユーザ権限制御部111での処理が完了すると、ページデータ制御部112での、ページ毎のコンテンツ情報に基づく解析処理を行う(ステップS604)(コンテンツデータ解析手段)。
【0053】
ここで、ページデータ制御部112での処理を、図7を用いて説明する。
【0054】
ページデータ制御部112での、ページ毎のコンテンツ情報に基づく解析処理を開始する。コンテンツ判定部115で、データ解析部118によって解析されたコンテンツ情報と、コンテンツ権限管理部114で管理されるユーザ権限情報とから、コンテンツデータに対するレイアウト制限が必要であるか否か判定を行う(ステップS701)。
【0055】
読み出したコンテンツデータに対して、レイアウト制限が必要であると判定すると、以下の処理を行う。即ち、レイアウト属性決定部116で、両面/片面出力制限、カラー/モノクロ出力制限、集約印刷出力制限に基づいて、コンテンツデータに対するレイアウト属性を決定する(ステップS702)。
【0056】
次に、両面/片面出力制限、集約印刷出力制限による論理ページの割付を行った場合で、該コンテンツデータの割付のみでは白紙面(両面処理の裏面、集約印刷処理での端数ページ)が生成される時に、以下の処理を行う。即ち、ユーザ権限情報で複数コンテンツの連結許可が設定されているか否か判定処理を行う(ステップS703)。
【0057】
複数コンテンツの連結許可が設定されている場合、連結可能な他のコンテンツデータの検索処理を行う(ステップS704)。連結可能な他のコンテンツデータがある場合には、レイアウト属性変更部117において、コンテンツデータ毎に決定したレイアウト属性を、必要に応じて、更にコンテンツデータ間のユーザ権限に基づいて変更する。そして、コンテンツデータの連結処理を行う(ステップS705)。
【0058】
コンテンツデータのレイアウト属性が決定すると、データ解析部118において、レイアウト属性に基づいて、論理ページデータを物理ページ上へ割付けるように、ページ単位の中間データに変換処理を行う(ステップS706)。
【0059】
コンテンツ判定部115及びデータ解析部118において、ジョブデータ内のコンテンツデータが終了するまで処理を繰り返し(ステップS707)、本処理を終了する。
【0060】
ページデータ制御部112での処理が完了すると、図6のフローチャートへ戻り、データ解析部118で変換処理された中間データに基づいて、データ描画部119において、ページ単位の中間データをビットマップデータへ変換処理する(ステップS605)。
【0061】
全ページ分の中間データのビットマップデータへの変換処理が完了し、描画データ蓄積部120へ、変換されたビットマップデータが圧縮蓄積されると、出力制御部109の処理により、印刷部110から印字出力を行う(ステップS606)。そして、本処理を終了する。
【0062】
図8は、第1の実施の形態での、印刷権限チケットに基づいた印刷ジョブデータの出力例を示す図である。
【0063】
図8において、図3に示す印刷権限チケットに基づき、“表紙”800はそのまま用紙表面へ、“目次”801が4集約印刷で用紙表面へ、“本文”802が4集約印刷で用紙裏面へ印字出力されている。ここでは、“目次”801に連結されるコンテンツデータがないため、4集約印刷の内、1面が白紙面として残されている。
【0064】
(第2実施の形態)
上記第1の実施の形態1では、印刷権限チケット301で、コンテンツ毎に機能毎の制限状態を設定していたが、ジョブ全体として基本となる制限状態を設定し、各コンテンツには差分情報を設定することもできる。
【0065】
また、任意のコンテンツを連結出力することで出力枚数を削減していたが、不要な白紙ページの検出を行って、白紙ページを削除することによって、更に、出力枚数を削減するように構成することもできる。
【0066】
図9は、第2の実施の形態での、サーバ装置30で発行され、クライアント装置A20から印刷ジョブデータと共に画像処理装置10へ送信される構造化記述言語で記述された印刷権限チケットを示す図である。
【0067】
図9において、印刷権限チケット900は、印刷権限チケットであることを示す識別子901及び終端子907、ジョブ全体への基本となる印刷権限を設定する基本機能制限設定部902、基本機能制限項目908、909、910を有する。
【0068】
また、印刷権限チケット900は、各コンテンツの差分情報を示すコンテンツ識別子903、904、905、906、機能制限の差分状態を設定する制限差分設定部911、912、913、914、915、916、917を有する。
【0069】
ここで、制限差分設定部911、912、914、916は、各コンテンツ印字ページの論理ページを物理ページ上へ複数配置するN集約印刷出力制限に対する差分状態を設定していて、“+2”や“−1”は、N集約印刷処理のN数の差分を示している。
【0070】
例えば、Nが4の時、“+2”はN数を2段階減らすため、通常印刷処理を示す。“−1”はN数を1段階増やすため、6集約印刷処理を示す。また、Nが2の場合でも、“+2”は最大で通常印刷処理までであり、ページ分割しての出力は行わない。
【0071】
本実施の形態では“表紙”のみがN集約印刷処理をせずに出力、“目次”、“図目次”及び“索引”が6集約印刷処理で出力されるように設定されている。
【0072】
“本文”は差分状態が設定されていないため、基本設定通り、4集約印刷処理となる。また、制限差分設定部913、915、917の連結許可により、“目次”、“図目次”及び“索引”は6集約処理において、連結して出力することが可能になる。
【0073】
図10は、第2の実施の形態での、白紙ページとして認識するアプリケーションドキュメント上のページと、クライアント装置A20、画像処理装置10間でジョブデータとして送受信される構造化記述言語で記述されたドキュメントデータとの関係を示す図である。
【0074】
図10において、アプリケーションドキュメントのあるページ1010は、フォーム指定によりフレーム枠が印字されているが、“本文”と描画表示すべき可視の描画オブジェクトがない状態である。
【0075】
本実施の形態では、このようなフレーム枠のみのページも、不要な白紙ページとして検出を行う。
【0076】
一方、構造化ドキュメントデータ1014において、該当ページ(ページID0035)ではフォーム情報1011として“本文ABC”という名称で識別されるフレーム枠が使用されていて、“本文”コンテンツデータ部分1012とは独立して構成されている。
【0077】
また、フレーム枠用コンテンツデータ1013は、ドキュメントデータ内、または、他の記憶領域に保持しておくことができ、フォーム情報1011はリンク情報となっている。
【0078】
図11は、第2の実施の形態での画像処理装置10において、サーバ装置30から発行される印刷権限チケットと、不要な白紙ページの検出及びユーザからの指示に基づいて、レイアウト属性の変換を行って、印刷出力する処理手順を示すフローチャートである。
【0079】
図11において、図7と同じ処理には、同じステップ番号を付す。ステップS701からステップS705への処理で、コンテンツデータに対するレイアウト属性の変更を行い、コンテンツデータの連結処理を行う。その後、不要な白紙ページの検出により物理的な用紙の出力枚数を削減できる可能性があるか否かの判定処理を行う(ステップS1101)。
【0080】
ここで、図12(a)は、本実施の形態での、印刷権限チケットに基づいた印刷ジョブデータ内コンテンツデータの連結処理後の状態を示す図である。
【0081】
図12(a)において、1201、1202、1205は、用紙の表面、1203は用紙の裏面を示す。表面1202では、図9の印刷権限設定に基づいて、“目次”、“図目次”及び“索引”が6集約印刷処理され、1ページ面としてレイアウト変更されている。尚、ここで、“目次”、“図目次”及び“索引”等の各コンテンツデータは、論理ページ順として連続していない場合でも飛び越して連結される。
【0082】
また、裏面1203へ割付けられた“本文”1204は、図10に示す通り、フレーム枠のみのページで、不要な白紙ページとして検出され、後続のページ1面のみが物理ページ(表面)1205に割付けられている状態である。従って、“本文”1204を削除して、後続のページ1面を詰めてレイアウトすることで、物理ページ1205の出力を削減できることが判定される。
【0083】
判定の結果、物理的な用紙の出力枚数を削減できる場合、操作部107またはクライアント装置A20上で実行されるジョブモニタ画面へ、図12(a)のような想定される出力プレビューを表示する。そして、白紙面の削除可否の指示を仰ぐメッセージを表示して、印字出力を一時保留する(ステップS1102)。
【0084】
ユーザからの不要な白紙ページ削除指示が入力されると(ステップS1103)、レイアウト属性変更部117において、レイアウトの再構成処理を行う(ステップS1104)。
【0085】
図12(b)は、第2の実施の形態での、印刷権限チケット及び不要な白紙ページの検出に基づいた印刷ジョブデータの出力例を示す図である。
【0086】
不要な白紙ページの検出及び削除により、1203及び1205の代わりに1206として物理ページが出力される。
【0087】
(第3の実施の形態)
上記第1、第2の実施の形態では、各コンテンツに対して制限状態を設定していたが、各コンテンツ及び各コンテンツ内の描画オブジェクトに基づいて制限状態を設定することもできる。
【0088】
図13は、第3の実施の形態での、サーバ装置30で発行され、クライアント装置A20から印刷ジョブデータと共に画像処理装置10へ送信される構造化記述言語で記述された印刷権限チケットを示す図である。
【0089】
図13では、前記図9での印刷権限チケットの制限差分状態のみを示している。印刷権限チケット1300は、同一のコンテンツ“本文”1301、1302に対する差分情報を、オブジェクト属性によるオプションによって、複数の差分状態を設定するように構成される。
【0090】
“イメージ”を含む“本文”1301については、カラー/モノクロ出力制限を“+1”により解除し、“イメージ”を含まない“本文”1302と区別して制限状態を設定することが可能になっている。
(第4の実施の形態)
上記第3実施の形態では、各コンテンツ及び各コンテンツ内の描画オブジェクトに基づいて制限状態を設定していたが、各コンテンツの論理ページ数に基づいて制限状態を設定することもできる。
【0091】
図14は、第4の実施の形態での、サーバ装置30で発行され、クライアント装置A20から印刷ジョブデータと共に画像処理装置10へ送信される構造化記述言語で記述された印刷権限チケットを示す図である。
【0092】
図14では、上記図9での印刷権限チケットの制限差分状態のみを示している。印刷権限チケット1400は、同一のコンテンツ“本文”1401、1402に対する差分情報を、“本文”コンテンツに含まれる論理ページ数によるオプションによって、複数の差分状態を設定するように構成される。
【0093】
“本文”コンテンツに含まれる論理ページ数が6から12ページとなる“本文”コンテンツを含むドキュメントデータの出力に対しては、N集約出力制限を“+1”として、1段階少なくする。また、“本文”コンテンツに含まれる論理ページ数が13から48ページとなる“本文”コンテンツを含むドキュメントデータの出力に対しては、N集約印刷出力制限を“−1”とする。このようにして、ドキュメントデータ毎に差分状態を設定しなくても、ある程度の幅を持って制限状態を設定することが可能になっている。
【0094】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0095】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0096】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0097】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOステップS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0098】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理システムの構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態で、アプリケーションドキュメントと構造化記述言語で記述されたドキュメントデータとの関係を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態で、構造化記述言語で記述された印刷権限チケットを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態で、クライアント装置において、画像処理装置へ印刷ジョブデータを送信する処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態で、サーバ装置において、クライアント装置へ印刷権限チケットを発行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態で、画像処理装置において、印刷権限チケット付きの印刷ジョブを出力制御する処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図6のステップS604で実行されるコンテンツデータ解析処理(印刷権限チケットに基づく印刷ジョブのレイアウト属性変更処理)の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施の形態で、印刷権限チケットに基づいた印刷ジョブデータの出力例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態で、構造化記述言語で記述された印刷権限チケットを示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態で、アプリケーションドキュメントと構造化記述言語で記述されたドキュメントデータとの関係を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態で、画像処理装置において、コンテンツデータを解析する処理(印刷権限チケットに基づく印刷ジョブのレイアウト属性を変更する処理)の手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施の形態で、印刷権限チケットに基づいた印刷ジョブデータの出力例を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態で、構造化記述言語で記述された印刷権限チケットを示す図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態で、構造化記述言語で記述された印刷権限チケットを示す図である。
【符号の説明】
【0100】
10 画像処理装置
20 クライアント装置A
21 クライアント装置B
30 サーバ装置
40 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント装置及びサーバ装置と接続され、前記クライアント装置で生成される印刷ジョブデータを、前記サーバ装置で管理される印刷権限に従ってレイアウト処理し印刷出力を行う画像処理装置において、
印刷ジョブデータを受信する印刷ジョブデータ受信手段と、
印刷権限チケットの解析を行う印刷権限チケット解析手段と、
コンテンツ毎の印刷権限を保存する印刷権限保存手段と、
ページ毎のコンテンツデータの解析を行い、コンテンツに印刷権限がある場合、レイアウト属性を設定するコンテンツデータ解析手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
クライアント装置及びサーバ装置と接続され、前記クライアント装置で生成される印刷ジョブデータを、前記サーバ装置で管理される印刷権限に従ってレイアウト処理し印刷出力を行う画像処理装置の画像処理方法において、
印刷ジョブデータを受信する印刷ジョブデータ受信ステップと、
印刷権限チケットの解析を行う印刷権限チケット解析ステップと、
コンテンツ毎の印刷権限を保存する印刷権限保存ステップと、
ページ毎のコンテンツデータの解析を行い、コンテンツに印刷権限がある場合、レイアウト属性を設定するコンテンツデータ解析ステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項3】
クライアント装置及びサーバ装置と接続され、前記クライアント装置で生成される印刷ジョブデータを、前記サーバ装置で管理される印刷権限に従ってレイアウト処理し印刷出力を行う画像処理装置の画像処理プログラムにおいて、
印刷ジョブデータを受信する印刷ジョブデータ受信モジュールと、
印刷権限チケットの解析を行う印刷権限チケット解析モジュールと、
コンテンツ毎の印刷権限を保存する印刷権限保存モジュールと、
ページ毎のコンテンツデータの解析を行い、コンテンツに印刷権限がある場合、レイアウト属性を設定するコンテンツデータ解析モジュールと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項4】
請求項3記載の画像処理プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項5】
クライアント装置と、サーバ装置と、画像処理装置が接続され、前記クライアント装置で生成される印刷ジョブデータを、前記サーバ装置で管理される印刷権限に従ってレイアウト処理し、前記画像処理装置で印刷出力を行う画像処理システムにおいて、
前記クライアント装置は、印刷ジョブを生成する印刷ジョブ生成部を備え、
前記サーバ装置は、前記画像処理装置に対する各ユーザの印刷権限情報を統括管理するユーザ権限管理部と、ユーザ毎の印刷権限チケットを発行する印刷権限チケット発行部とを備え、
前記画像処理装置は、受信したジョブデータに対する前記ユーザの印刷権限情報を管理、制御するユーザ権限制御部と、設定されたユーザ権限に従ってジョブデータ内の論理ページを物理ページ上にレイアウトするページデータ制御部とを備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項6】
クライアント装置で生成される印刷ジョブデータを、サーバ装置で管理される印刷制限に従ってレイアウト処理し、印刷出力を行う画像処理システムであって、
印刷ジョブデータのコンテンツ毎に印刷制限を設定するコンテンツ制限管理手段と、
印刷ジョブデータの各ページのコンテンツ情報を識別するコンテンツ情報識別手段と、
印刷ジョブデータの各ページのコンテンツデータを、コンテンツ毎の印刷制限に従って、レイアウトするコンテンツレイアウト設定手段と、
を備えることを特徴とする画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−131563(P2008−131563A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317099(P2006−317099)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】