説明

画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】画像を印刷しなくても、その画像に発生し得るモアレを検知するようにした画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置の画像受付手段は、画像を受け付け、情報受付手段は、前記画像を出力する出力装置の周期的特性に関する情報を受け付け、周波数情報取得手段は、前記画像の周波数に関する情報を取得し、周波数領域設定手段は、前記情報受付手段によって受け付けられた周期的特性に関する情報に基づいて、前記周波数情報取得手段によって取得された領域の周波数に関する情報に対して、モアレ検出のための周波数領域を設定し、周期的信号成分検出手段は、前記周波数領域設定手段によって設定された周波数領域内に位置する前記周波数情報取得手段によって取得された周波数に関する情報を検出することによって、前記画像内の周期的信号の成分を検出し、出力手段は、前記周期的信号成分検出手段によって検出された周期的信号の成分を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像のモアレ発生に関する技術がある。
これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、変倍率及び画像の種類に応じた最適な周波数特性を有し、画質劣化の少ない変倍処理を可能にすることを目的とし、エッジ領域検出部は、原画像の各画素からエッジ画素を検出し、平滑化部は、特性が異なる複数のフィルタによって構成され、検出部の検出結果によって、エッジ領域に対しては、エッジの保存のために弱い平滑化処理を施し、非エッジ領域に対しては、モアレやテクスチャの乱れを防止するために強い平滑化処理を施し、また、指定された変倍率に応じてフィルタを切り替え、補間変倍部は、変倍率とエッジ検出結果に応じて、補間法を変えることが開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、入力画像データに含まれる周期パターンと、スクリーン処理時に設定される閾値マトリクスのマトリクスパターンとが干渉するのを防止して、プリント出力画像にモアレ縞が発生するのを防止することができる画像処理装置を提供することを課題とし、周期パターンを検知して入力画像データを周期領域と非周期領域とに区別する周期パターン検知手段と、周期パターン検知手段が検知した所定の閾値レベルを超えた周期パターンが削減されるように、入力画像データを所定の階調を有する出力画像データに変換する画像データ処理手段とを有する画像処理装置が開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献3には、解像力の低下を伴うことなくモアレを除去することのできるカラー画像読み取り装置を提供することを目的とし、撮像手段を用いて原稿画像を読み取るカラー画像読み取り装置であって、2次元離散位置座標系において表現された原画像信号を、2次元離散相関長座標系において表現された自己相関関数もしくは空間周波数で示された2次元離散座標系(以下、これらを非位置座標系という)での表現に変換する変換手段と、前記変換手段による変換後の非位置座標系を2つのグループに分離する座標分離手段と、非位置座標系の前記2つのグループのうち一方のみを対象として、単一もしくは複数の座標を選択する座標選択手段と、選択された座標に関して、該座標の変換後の画像信号値を修正する修正処理手段と、上記の修正処理後の、非位置座標系で表現された画像信号を位置座標系へ再変換する再変換手段とを備え、前記座標選択手段は、各々の色成分について、非位置座標系における画像信号値が予め設定されたしきい値よりも大きい座標をモアレ信号群として選択するものであり、前記修正処理手段は、前記座標選択手段により選択された全ての色成分についての信号群の座標の画像信号値を修正する処理を行うものであることを特徴としたカラー画像読み取り装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−328106号公報
【特許文献2】特開2009−071635号公報
【特許文献3】特許第3052340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、画像を印刷しなくても、その画像に発生し得るモアレを検知するようにした画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1の発明は、画像を受け付ける画像受付手段と、前記画像受付手段によって受け付けられた画像を出力する出力装置の周期的特性に関する情報を受け付ける情報受付手段と、前記画像受付手段によって受け付けられた画像の周波数に関する情報を取得する周波数情報取得手段と、前記情報受付手段によって受け付けられた周期的特性に関する情報に基づいて、前記周波数情報取得手段によって取得された領域の周波数に関する情報に対して、モアレ検出のための周波数領域を設定する周波数領域設定手段と、前記周波数領域設定手段によって設定された周波数領域内に位置する前記周波数情報取得手段によって取得された周波数に関する情報を検出することによって、前記画像内の周期的信号の成分を検出する周期的信号成分検出手段と、前記周期的信号成分検出手段によって検出された周期的信号の成分を出力する出力手段を具備することを特徴とする画像処理装置である。
【0008】
請求項2の発明は、前記周波数情報取得手段は、前記画像受付手段によって受け付けられた画像を領域に分割し、該領域に対してフーリエ変換を用いて、周波数に関する情報を取得し、前記周期的信号成分検出手段は、画像電力の局在性評価法として、前記周波数情報取得手段によるフーリエ変換後の信号に対する集中度指標を用いることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
【0009】
請求項3の発明は、前記周波数情報取得手段は、前記周波数領域設定手段により設定される複数通りの中心周波数及び複数通りの回転角を持つウェーブレット族により、前記画像のウェーブレット変換を行うことによって、該画像の周波数に関する情報を取得し、前記周波数領域設定手段は、中心周波数及び回転角を、前記周波数情報取得手段によって取得された領域の周波数に関する情報に対応するように設定し、前記周期的信号成分検出手段は、ウェーブレット展開係数の絶対値が予め定められた閾値を超える又は以上の領域を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
【0010】
請求項4の発明は、前記周波数領域設定手段は、周波数領域における信号の振幅又は電力から周期信号成分を検出する場合、信号の複素共役対称性から周波数領域の半面をモアレ検出のための周波数領域として設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0011】
請求項5の発明は、前記出力手段は、前記領域毎に予め定められた閾値を超える又は以上のモアレ強度が検出された場合にモアレ有り、それ以外の場合にモアレ無しとして出力することを特徴とする請求項2又は4に記載の画像処理装置である。
【0012】
請求項6の発明は、コンピュータを、画像を受け付ける画像受付手段と、前記画像受付手段によって受け付けられた画像を出力する出力装置の周期的特性に関する情報を受け付ける情報受付手段と、前記画像受付手段によって受け付けられた画像の周波数に関する情報を取得する周波数情報取得手段と、前記情報受付手段によって受け付けられた周期的特性に関する情報に基づいて、前記周波数情報取得手段によって取得された領域の周波数に関する情報に対して、モアレ検出のための周波数領域を設定する周波数領域設定手段と、前記周波数領域設定手段によって設定された周波数領域内に位置する前記周波数情報取得手段によって取得された周波数に関する情報を検出することによって、前記画像内の周期的信号の成分を検出する周期的信号成分検出手段と、前記周期的信号成分検出手段によって検出された周期的信号の成分を出力する出力手段として機能させるための画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の画像処理装置によれば、画像を印刷しなくても、その画像に発生し得るモアレを検知することができる。
【0014】
請求項2の画像処理装置によれば、本構成を有していない場合に比較して、処理の負荷を軽減することができる。
【0015】
請求項3の画像処理装置によれば、ウェーブレット変換を用いて、画像を印刷しなくても、その画像に発生し得るモアレを検知することができる。
【0016】
請求項4の画像処理装置によれば、本構成を有していない場合に比較して、処理の負荷を軽減することができる。
【0017】
請求項5の画像処理装置によれば、画像内の領域毎に発生し得るモアレを検知することができる。
【0018】
請求項6の画像処理プログラムによれば、画像を印刷しなくても、その画像に発生し得るモアレを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図2】本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図3】本実施の形態が利用される場合についての印刷工程例の説明図である。
【図4】本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図5】画像に発生するモアレの例を示す説明図である。
【図6】局所的周波数情報取得モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図7】局所的周波数情報取得モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図8】モアレ検出周波数領域設定モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図9】モアレ検知結果出力モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図10】局所的周波数情報取得モジュールによる周期信号に対するフーリエ変換の処理例を示す説明図である。
【図11】モアレ検出周波数領域設定モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図12】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理毎に又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理毎に、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unit)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
【0021】
本実施の形態である画像処理装置は、画像内のモアレを検知するものであって、図1の例に示すように、モアレ検知モジュール130を有している。
モアレ検知モジュール130は、対象画像110、周期的特性情報120を受け付けて、モアレ検知結果140を出力する。対象画像110は、モアレ検知の対象となる画像であり、周期的特性情報120は、対象画像110を出力する出力装置の周期的特性に関する情報である。
そして、モアレ検知モジュール130は、周期的特性情報120を用いて、対象画像110内にモアレが発生し得るか否かを判定して、その処理結果をモアレ検知結果140として出力する。つまり、対象画像110を周期的特性がある出力装置に出力する際にモアレが発生するか否かを検知する。モアレ発生の検知は、対象画像110の局所的周波数情報を取得し、それぞれの局所的周波数情報について所定の周波数領域における周期信号成分を検出することにより行う。
【0022】
図2は、本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。図1に例示したモアレ検知モジュール130を詳細に説明するものである。図2の例に示すように、モアレ検知モジュール130は、画像受付モジュール210、局所的周波数情報取得モジュール220、モアレ検出周波数領域設定モジュール230、周期信号成分検出モジュール240、モアレ検知結果出力モジュール250を有している。
【0023】
画像受付モジュール210は、局所的周波数情報取得モジュール220と接続されている。画像受付モジュール210は、対象画像110を受け付け、その対象画像110を局所的周波数情報取得モジュール220へ渡す。画像を受け付けるとは、例えば、スキャナ、カメラ等で画像を読み込むこと、ファックス等で通信回線を介して外部機器から画像を受信すること等で映像を撮影すること、ハードディスク(コンピュータに内蔵されているものの他に、ネットワークを介して接続されているもの等を含む)等に記憶されている画像を読み出すこと等が含まれる。画像は、2値画像、多値画像(カラー画像を含む)であってもよい。受け付ける画像は、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。また、画像の内容として、ビジネスに用いられる文書、広告宣伝用のパンフレット等であってもよい。その中には、モアレが発生し得る写真等の画像が含まれていてもよい。
【0024】
局所的周波数情報取得モジュール220は、画像受付モジュール210、周期信号成分検出モジュール240と接続されている。局所的周波数情報取得モジュール220は、画像受付モジュール210によって受け付けられた画像の周波数に関する情報を取得する。
また、局所的周波数情報取得モジュール220は、画像受付モジュール210によって受け付けられた対象画像110を領域に分割し、該領域に対してフーリエ変換を用いて、周波数に関する情報を取得するようにしてもよい。
また、局所的周波数情報取得モジュール220は、モアレ検出周波数領域設定モジュール230により設定される複数通りの中心周波数及び複数通りの回転角を持つウェーブレット族により、対象画像110のウェーブレット変換を行うことによって、その対象画像110の周波数に関する情報を取得するようにしてもよい。
【0025】
モアレ検出周波数領域設定モジュール230は、周期信号成分検出モジュール240と接続されている。モアレ検出周波数領域設定モジュール230は、画像受付モジュール210によって受け付けられた画像を出力する出力装置の周期的特性に関する情報(周期的特性情報120)を受け付ける。ここで、出力装置とは、例えば、プリンタ等の印刷装置、ファックス等の画像受信装置等が含まれる。そして、モアレ検出周波数領域設定モジュール230によって受け付けられた周期的特性に関する情報に基づいて、局所的周波数情報取得モジュール220によって取得された領域の周波数に関する情報に対して、モアレ検出のための周波数領域を設定する。
また、局所的周波数情報取得モジュール220がウェーブレット変換を行う場合は、モアレ検出周波数領域設定モジュール230は、中心周波数及び回転角を、局所的周波数情報取得モジュール220によって取得された領域の周波数に関する情報に対応するよう設定するようにしてもよい。
また、モアレ検出周波数領域設定モジュール230は、周波数領域における信号の振幅又は電力から周期信号成分を検出する場合、信号の複素共役対称性から周波数領域の半面をモアレ検出のための周波数領域として設定するようにしてもよい。
【0026】
周期信号成分検出モジュール240は、局所的周波数情報取得モジュール220、モアレ検出周波数領域設定モジュール230、モアレ検知結果出力モジュール250と接続されている。周期信号成分検出モジュール240は、モアレ検出周波数領域設定モジュール230によって設定された周波数領域内に位置する局所的周波数情報取得モジュール220によって取得された周波数に関する情報を検出することによって、対象画像110内の周期的信号の成分を検出する。
また、局所的周波数情報取得モジュール220がフーリエ変換を行う場合は、周期信号成分検出モジュール240は、画像電力の局在性評価法として、局所的周波数情報取得モジュール220によるフーリエ変換後の信号に対する集中度指標を用いるようにしてもよい。集中度指標については、例えば、『「計量書誌学的分布における集中度:指標の感度と標本量依存性」、日本図書館情報学会誌 46(1), 18−32, 2000−03−30』が参考になる。
また、局所的周波数情報取得モジュール220がウェーブレット変換を行う場合は、周期信号成分検出モジュール240は、ウェーブレット展開係数の絶対値が予め定められた閾値を超える又は以上の領域を検出するようにしてもよい。
【0027】
モアレ検知結果出力モジュール250は、周期信号成分検出モジュール240と接続されている。モアレ検知結果出力モジュール250は、周期信号成分検出モジュール240によって検出された周期的信号の成分を出力する。出力された周期的信号の成分とは、出力装置で出力した場合に検知した対象画像110に発生し得るモアレである。これを出力するとは、例えば、モアレが発生し得る箇所をプリンタ等の印刷装置で印刷すること、ディスプレイ等の表示装置に表示すること、画像データベース等の画像記憶装置へ画像の属性として書き込むこと、メモリーカード等の記憶媒体に記憶すること、他の画像処理装置へ渡すこと等が含まれる。また、他の画像処理装置へ渡した場合、その画像処理装置では、モアレが発生しないような対策を施す画像処理(例えば、平滑化等)を行うようにしてもよい。
また、局所的周波数情報取得モジュール220がフーリエ変換を行う場合は、モアレ検知結果出力モジュール250は、領域毎に予め定められた閾値を超える又は以上のモアレ強度が検出された場合にモアレ有り、それ以外の場合にモアレ無しとして出力するようにしてもよい。前述の他の画像処理装置へ渡した場合、その画像処理装置では、その領域だけにモアレが発生しないような対策を施す画像処理を行うようにしてもよい。
【0028】
図3は、本実施の形態が利用される場合についての印刷工程例の説明図である。印刷工程は、一般的に図3に例示するように、スキャン工程(素材生成)310、編集工程(コンテンツ作成)320、製版工程(刷版作成)330と順に行われ、最終的にPS版340が出力される。編集工程(コンテンツ作成)320では、スキャン工程(素材生成)310で読み込まれた素材(文字、表、写真等)をページ上に貼り合わせる等の編集作業の工程であり、製版工程(刷版作成)330は、網点化等のPS版340を生成するための画像処理を行う工程である。
【0029】
このように複数の工程があるので、途中でカンプ325、DDCP332によるProof335等の出力が行われる。なお、PS版340とは、印刷の版式の主流となっているものの一つで、アルミに感光剤を塗布した刷版であり、PSは「Pre−Sensitized Plate」の省略形である。カンプ325とは、印刷物の仕上がり見本をいい、通常プリンタ出力されたものをいう。DDCP332とは、高精度のプリンタであり、DDCPは「Direct Digital Color Proofing」の省略形である。Proof335は、色校正刷りであり、PS版340による量産前に量産時の用紙で印刷の刷り具合をチェックできるようにしたものである。
例えば、Proof335をチェックした結果、モアレが発生している場合は、スキャン工程(素材生成)310、編集工程(コンテンツ作成)320に戻るという作業の手戻りが発生する。
本実施の形態は、印刷の初期の工程であるスキャン工程(素材生成)310又は編集工程(コンテンツ作成)320において利用されるものであり、事前にモアレが発生し得るものを検知するようにしたものである。
【0030】
ここで、図5を用いて、画像に発生するモアレについて説明する。
写真画像等を印刷する際に網点化を行うが、画像と網点とが干渉してモアレと呼ばれる元画像には存在しないテクスチャが現れることがある。
画像の網点化は、各網点が網点位置における画像の濃度を面積階調として表しているので、網点位置における元画像のサブサンプリングととらえることができる。
サブサンプリング画像のフーリエ変換Sは元画像のフーリエ変換Iに対して次の式のように表される。ただし、Cは定数係数、ω1、ω2はサブサンプリング格子の周波数空間上での位置を示すベクトルである。
【数1】

この式を図示すると、図5に示す例のようになり、元画像のスペクトルI(図5(a)参照)を網点周波数格子の位置(図5では、原点以外の位置にある黒点、例えば、網点周波数格子502)を中心として無限に繰り返したものになる(図5(b)参照)。なお、図5はω1、ω2がu軸、v軸に対して平行な場合、すなわちスクリーン角が0度の場合を図示したものだが、0度以外の場合はω1、ω2も座標軸に対してスクリーン角に応じた角度を持つことになる。なお、図5(b)の例は、次の式を表したものである。
【数2】

【0031】
図5(b)では繰り返し配置されたスペクトルが重なり合っているため(図5(b)では、楕円が重なっている)、もはや元画像のスペクトルを取り出すことはできない。これは標本化定理における折り返し雑音と同じであり、網点化により生じるモアレも折り返し雑音の一種ととらえることができる。
網点化により生じる折り返し雑音は、網点周波数をサンプリング周波数としたときのナイキスト周波数を超える周波数帯に属する信号成分に相当する。
【0032】
この周波数帯に属する信号成分にはモアレ以外にも文字等のエッジ性の強い画像が持つ高周波数成分や高周波数のランダムノイズ等が含まれる。これらの中からモアレ成分のみを抽出するにはモアレのみが持つ性質に着目する必要がある。
モアレとは元画像には存在しない、比較的低周波数の周期的信号である。これを前述の説明に関連付けて言えば、網点周波数をサンプリング周波数としたときのナイキスト周波数(サンプリング周波数の1/2の周波数)を超える周波数帯に属する信号成分のうち、網点周波数格子の近傍に位置する周期的信号成分がモアレであると言うことができる。本実施の形態は、このことを利用したものである。
【0033】
図4は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。ここでは、局所的周波数情報取得モジュール220がフーリエ変換を行う場合についての処理例である。
ステップS402では、モアレ検出周波数領域設定モジュール230が、出力装置のスクリーン情報(スクリーン線数、スクリーン角度)を受け付ける。
ステップS404では、局所的周波数情報取得モジュール220が、対象画像110を画像ブロックに分割する。図6は、局所的周波数情報取得モジュール220による処理例を示す説明図であり、対象画像110である画像600を画像ブロックに分割している。例えば、画像ブロックとして図6内の画像ブロック610がある。なお、画像ブロック610が含まれている斜線の楕円領域は、その線数、角度が出力装置におけるスクリーン情報と干渉を起こす場合はモアレが発生し得るところである。
【0034】
ステップS406では、局所的周波数情報取得モジュール220が、FFT(Fast Fourier Transform)処理をする。ステップS404、ステップS406によって、局所的周波数情報取得モジュール220は、対象画像110の局所的周波数情報を、対象画像110を小領域である画像ブロックに分割し、各画像ブロックについてフーリエ変換を行うことにより取得する。図7は、局所的周波数情報取得モジュール220による処理例を示す説明図であり、図6内の画像ブロック610をフーリエ変換したものであり、各画像ブロックについてフーリエ変換を行う。
なお、図10は、局所的周波数情報取得モジュール220による周期信号に対するフーリエ変換の処理例を示す説明図である。図10(a)の例に示すような周期的な画像に対してフーリエ変換を行うと、図10(b)の例に示すように、周期信号はフーリエ変換面では輝点スペクトル(局在電力成分)となる。
【0035】
ステップS408では、モアレ検出周波数領域設定モジュール230が、スクリーン情報からモアレ検出周波数領域を設定する。図8は、モアレ検出周波数領域設定モジュール230による処理例を示す説明図である。ステップS402で受け付けたスクリーンの線数及び角度から、uv空間における網点周波数格子をプロットする。例えば、図8では網点周波数格子810等の黒点が該当する。そして、その網点周波数格子を中心とした予め定められた距離内の空間を設定する。例えば、図8では点線で囲まれた円領域(半径は近傍領域820)を設定する。ここで、予め定められた距離としては、前述のナイキスト周波数を超える周波数帯に属する信号成分であって、網点周波数格子の近傍に位置する信号成分を抽出可能にする距離であればよい。なお、図8の例は、スクリーン角が0度の場合を図示したものだが、0度以外の場合は網点周波数格子位置も座標軸に対してスクリーン角に応じた角度を持つことになる。
また、図10(b)の例に示すように、輝点スペクトルは点対称になっている。つまり、複素共役対称性を有しており、原点を通る線で区切られた平面(つまり半面)だけを対象とすればよい。したがって、モアレ検出周波数領域設定モジュール230は、周波数領域における信号の振幅又は電力から周期信号成分を検出する場合、信号の複素共役対称性から周波数領域の半面をモアレ検出のための周波数領域として設定するようにしてもよい。
【0036】
ステップS410では、周期信号成分検出モジュール240が、モアレ検出周波数領域内でQuoitフィルタ出力の最大値を求める。ここで、画像電力の局在性評価は、フーリエ変換後の信号に対してQuoitフィルタを適用することにより行う。Quoitフィルタの出力の最大値が、モアレ強度となる。Quoitフィルタとしては、例えば、『「孤立性陰影抽出用Quoitフィルタの性質と乳癌X線陰影抽出への応用」、電子情報通信学会論文誌 D−II, Vol.J76−D−II, No.2, pp.279−287, 1993年2月』(特に、281ページに示されている図等)に記載のものを用いればよい。Quoitフィルタである2つのディスクフィルタ、リングフィルタの差を用いればよい。
つまり、ここでは、周期信号成分の検出は、フーリエ変換後の信号に対して、予め定められた周波数領域における電力の局在性を評価すること(近傍領域内に電力の局在しているものがあるか否かの判定)により行っている。予め定められた周波数領域は、ステップS408によって出力装置の周期的特性(スクリーン線数とスクリーン角度)に基づいて設定されている。
【0037】
ステップS412では、周期信号成分検出モジュール240が、最大値を当該画像ブロックのモアレ強度として検出する。
ステップS414では、全ての画像ブロックを処理したか否かを判断し、処理した場合はステップS416へ進み、それ以外の場合はステップS404からの処理を行う。
ステップS416では、モアレ検知結果出力モジュール250が、画像ブロック毎にモアレが発生しているか否かを判断し、発生している場合はステップS420へ進み、それ以外の場合はステップS418へ進む。
ステップS418では、モアレ検知結果出力モジュール250が、モアレは発生しない旨を通知する。
ステップS420では、モアレ検知結果出力モジュール250が、モアレ発生のブロックを通知する。図9は、モアレ検知結果出力モジュール250による処理例(ステップS418、ステップS420)を示す説明図である。検知結果の通知を、局所的周波数情報のそれぞれから検知されたモアレ強度を対応する位置に表示することで行っている。これは、ディスプレイ等の表示装置に表示した例である。明るさがモアレ強度に対応しており、例えば、画像900内の対象画像ブロック910(これは、図6に例示した画像ブロック610に対応するものである)は、モアレが発生し得る可能性が高い領域であることを示しており、黒い領域はモアレが発生する可能性が低いことを示している。
【0038】
前述の例は、局所的周波数情報取得モジュール220がフーリエ変換を行う場合について説明したが、局所的周波数情報取得モジュール220はウェーブレット変換を行うようにしてもよい。この場合は、画像ブロックに分割する必要はない。
前述の例では、モアレとして、網点周波数をサンプリング周波数としたときのナイキスト周波数を超える周波数帯に属する信号成分のうち、網点周波数格子の位置近傍に位置する周期的信号成分として定義した。
図11は、モアレ検出周波数領域設定モジュール230による処理例を示す説明図である。つまり、図11は、局在電力成分(周期的信号成分)を探索する領域の一例を示したものである。網点周波数格子(図11の例では、網点周波数格子810等)の位置から予め定められた距離内(図11の例では、各網点周波数格子から近傍領域820内の点線の円)にあり、かつナイキスト周波数830を超える又は以上の領域に局在電力成分があれば、それをモアレ成分と見なすことができる。つまり、ナイキスト周波数830以外の領域で、局在電力成分があれば、周期的雑音であり、低周期雑音だけがモアレであるので、近傍領域820内であればよい。
高い周波数を持つモアレ成分も検知したい場合は、単にナイキスト周波数を超える領域全体を探索領域としてもよい。
なお、図11の例は、スクリーン角が0度の場合を図示したものだが、0度以外の場合は網点周波数格子位置も座標軸に対してスクリーン角に応じた角度を持つことになる。
【0039】
局所的周波数情報取得モジュール220は、モアレ検出周波数領域設定モジュール230により設定される複数通りの中心周波数及び複数通りの回転角を持つウェーブレット族により対象画像110のウェーブレット変換を行う。ウェーブレット変換については、例えば、『「ウェーブレットによる信号処理と画像処理」、共立出版株式会社、1999年』が参考になる。
モアレ検出周波数領域設定モジュール230は、局所的周波数情報取得モジュール220により設定される複数通りの中心周波数、回転角は、図11に示す例のモアレ検出周波数領域に対応するように設定する。
周期信号成分検出モジュール240は、ウェーブレット展開係数の絶対値が予め定められた閾値を超える又は以上の領域を検出する。
【0040】
図12を参照して、本実施の形態の画像処理装置のハードウェア構成例について説明する。図12に示す構成は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などによって構成されるものであり、スキャナ等のデータ読み取り部1217と、プリンタなどのデータ出力部1218を備えたハードウェア構成例を示している。
【0041】
CPU(Central Processing Unit)1201は、前述の実施の形態において説明した各種のモジュール、すなわち、画像受付モジュール210、局所的周波数情報取得モジュール220、モアレ検出周波数領域設定モジュール230、周期信号成分検出モジュール240、モアレ検知結果出力モジュール250等の各モジュールの実行シーケンスを記述したコンピュータ・プログラムにしたがった処理を実行する制御部である。
【0042】
ROM(Read Only Memory)1202は、CPU1201が使用するプログラムや演算パラメータ等を格納する。RAM(Random Access Memory)1203は、CPU1201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を格納する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス1204により相互に接続されている。
【0043】
ホストバス1204は、ブリッジ1205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス1206に接続されている。
【0044】
キーボード1208、マウス等のポインティングデバイス1209は、操作者により操作される入力デバイスである。ディスプレイ1210は、液晶表示装置又はCRT(Cathode Ray Tube)などがあり、各種情報をテキストやイメージ情報として表示する。
【0045】
HDD(Hard Disk Drive)1211は、ハードディスクを内蔵し、ハードディスクを駆動し、CPU1201によって実行するプログラムや情報を記録又は再生させる。ハードディスクには、画像受付モジュール210が受け付けた画像、周波数に関する情報、モアレの検知結果などが格納される。さらに、その他の各種のデータ処理プログラム等、各種コンピュータ・プログラムが格納される。
【0046】
ドライブ1212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体1213に記録されているデータ又はプログラムを読み出して、そのデータ又はプログラムを、インタフェース1207、外部バス1206、ブリッジ1205、及びホストバス1204を介して接続されているRAM1203に供給する。リムーバブル記録媒体1213も、ハードディスクと同様のデータ記録領域として利用可能である。
【0047】
接続ポート1214は、外部接続機器1215を接続するポートであり、USB、IEEE1394等の接続部を持つ。接続ポート1214は、インタフェース1207、及び外部バス1206、ブリッジ1205、ホストバス1204等を介してCPU1201等に接続されている。通信部1216は、ネットワークに接続され、外部とのデータ通信処理を実行する。データ読み取り部1217は、例えばスキャナであり、ドキュメントの読み取り処理を実行する。データ出力部1218は、例えばプリンタであり、ドキュメントデータの出力処理を実行する。
【0048】
なお、図12に示す画像処理装置のハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図12に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに図12に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)などに組み込まれていてもよい。
なお、前述のフーリエ変換を行う場合とウェーブレット変換を行う場合を組み合わせてもよく(両方の変換処理を行い、いずれもモアレが発生し得ると検知した箇所だけモアレが発生し得ると出力してもよいし、いずれか一方でモアレが発生し得ると検知した箇所をモアレが発生し得ると出力してもよい)、また、各モジュールの処理内容として参考文献、背景技術で説明した技術を採用してもよい。
【0049】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明としてとらえてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray Disc(登録商標))、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
110…対象画像
120…周期的特性情報
130…モアレ検知モジュール
140…モアレ検知結果
210…画像受付モジュール
220…局所的周波数情報取得モジュール
230…モアレ検出周波数領域設定モジュール
240…周期信号成分検出モジュール
250…モアレ検知結果出力モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を受け付ける画像受付手段と、
前記画像受付手段によって受け付けられた画像を出力する出力装置の周期的特性に関する情報を受け付ける情報受付手段と、
前記画像受付手段によって受け付けられた画像の周波数に関する情報を取得する周波数情報取得手段と、
前記情報受付手段によって受け付けられた周期的特性に関する情報に基づいて、前記周波数情報取得手段によって取得された領域の周波数に関する情報に対して、モアレ検出のための周波数領域を設定する周波数領域設定手段と、
前記周波数領域設定手段によって設定された周波数領域内に位置する前記周波数情報取得手段によって取得された周波数に関する情報を検出することによって、前記画像内の周期的信号の成分を検出する周期的信号成分検出手段と、
前記周期的信号成分検出手段によって検出された周期的信号の成分を出力する出力手段
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記周波数情報取得手段は、前記画像受付手段によって受け付けられた画像を領域に分割し、該領域に対してフーリエ変換を用いて、周波数に関する情報を取得し、
前記周期的信号成分検出手段は、画像電力の局在性評価法として、前記周波数情報取得手段によるフーリエ変換後の信号に対する集中度指標を用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記周波数情報取得手段は、前記周波数領域設定手段により設定される複数通りの中心周波数及び複数通りの回転角を持つウェーブレット族により、前記画像のウェーブレット変換を行うことによって、該画像の周波数に関する情報を取得し、
前記周波数領域設定手段は、中心周波数及び回転角を、前記周波数情報取得手段によって取得された領域の周波数に関する情報に対応するように設定し、
前記周期的信号成分検出手段は、ウェーブレット展開係数の絶対値が予め定められた閾値を超える又は以上の領域を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記周波数領域設定手段は、周波数領域における信号の振幅又は電力から周期信号成分を検出する場合、信号の複素共役対称性から周波数領域の半面をモアレ検出のための周波数領域として設定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記領域毎に予め定められた閾値を超える又は以上のモアレ強度が検出された場合にモアレ有り、それ以外の場合にモアレ無しとして出力する
ことを特徴とする請求項2又は4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
画像を受け付ける画像受付手段と、
前記画像受付手段によって受け付けられた画像を出力する出力装置の周期的特性に関する情報を受け付ける情報受付手段と、
前記画像受付手段によって受け付けられた画像の周波数に関する情報を取得する周波数情報取得手段と、
前記情報受付手段によって受け付けられた周期的特性に関する情報に基づいて、前記周波数情報取得手段によって取得された領域の周波数に関する情報に対して、モアレ検出のための周波数領域を設定する周波数領域設定手段と、
前記周波数領域設定手段によって設定された周波数領域内に位置する前記周波数情報取得手段によって取得された周波数に関する情報を検出することによって、前記画像内の周期的信号の成分を検出する周期的信号成分検出手段と、
前記周期的信号成分検出手段によって検出された周期的信号の成分を出力する出力手段
として機能させるための画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−175597(P2012−175597A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37895(P2011−37895)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】