説明

画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】点順画像を受け付けて、符号量制御された面順画像の符号を生成するようにした画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置の受付手段は、点順である画像を受け付け、点面変換手段は、前記受付手段によって受け付けられた画像に対して、点面変換処理を行い、複数の非可逆符号化手段は、前記点面変換手段によって点面変換された画像に対して、非可逆符号化処理を行い、制御手段は、前記点面変換手段から前記非可逆符号化手段への画像の送信を制御して、複数の該非可逆符号化手段による非可逆符号化処理を同期させ、該非可逆符号化手段による処理結果の符号量に基づいて、該各非可逆符号化手段が符号化処理に用いる処理変数を変更することによって制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
符号化に関する技術がある。これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、一定の記憶容量の記録媒体に複数枚の静止画データを圧縮符号化して記録する際に記録可能な画像枚数を保証するために、各対象画像毎に符号量制御パラメータを変化させ、各対象画像の画像データを所定の目標符号量以下となるように圧縮したのち記録媒体に記録する画像データ記録方式を提供することを目的とし、一画面分の入力画像データを、直交変換と可変長符号化とを組み合わせた方式で圧縮符号化したのち記録媒体に記録する画像データ記録方式において、上記入力画像データの圧縮符号化前に、直前の他の入力画像データに対して圧縮符号化を行い、この他の入力画像データの圧縮符号化後によって得られる符号量を測定して上記一画面分当たりの所定の目標符号量と比較し、その比較結果に基づき上記入力画像データの圧縮符号化後の符号量が上記目標符号量以下となる符号量制御パラメータを求め、この求めた符号量制御パラメータによって上記入力画像データを圧縮符号化し、上記記録媒体に記録するように構成することが開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、目標符号量に達するまでの符号化処理のやり直しが少ない画像処理装置を提供することを課題とし、画像処理装置は、入力された画像をブロックに分割し、全ブロックにおける特徴量の分布と、目標特徴量とに基づいて、量子化強度の選択基準を設定し、設定された選択基準に基づいて、各ブロックに適用する量子化強度を選択し、選択された量子化強度で各ブロックの画像情報を量子化し符号化し、選択基準の設定は目標符号量に基づいてなされるため、符号化処理のやり直しの減少が期待できることが開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献3には、目標符号量に達するまでの処理時間を短縮させることができる情報処理装置を提供することを課題とし、情報処理装置は、入力された被符号化情報の一部が符号化されたタイミングで、これまでの符号量に基づいて総符号量を推定し、推定された総符号量に基づいて、符号化処理を打ち切って符号化係数を更新するか否かを判断し、情報処理装置は、符号化処理を打ち切る場合には、更新された符号化係数で最初から符号化処理をやり直すことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−048873号公報
【特許文献2】特開2009−027664号公報
【特許文献3】特開2009−027580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、点順画像を受け付けて、符号量制御された面順画像の符号を生成するようにした画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1の発明は、点順である画像を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた画像に対して、点面変換処理を行う点面変換手段と、前記点面変換手段によって点面変換された画像に対して、非可逆符号化処理を行う複数の非可逆符号化手段と、前記点面変換手段から前記非可逆符号化手段への画像の送信を制御して、複数の該非可逆符号化手段による非可逆符号化処理を同期させ、該非可逆符号化手段による処理結果の符号量に基づいて、該各非可逆符号化手段が符号化処理に用いる処理変数を変更することによって制御する制御手段を具備することを特徴とする画像処理装置である。
【0008】
請求項2の発明は、前記点面変換手段による点面変換処理は、点順である画像を色成分毎の面である画像に変換し、複数の前記非可逆符号化手段は、それぞれ色成分に対応した非可逆符号化手段であり、前記制御手段は、各色成分毎の符号量、各色成分の符号量の合計又はその両方に基づいて、前記非可逆符号化手段が用いる処理変数を変更する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
【0009】
請求項3の発明は、前記各非可逆符号化手段による非可逆符号化処理の結果である符号を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された符号を復号する復号手段を前記各非可逆符号化手段に対応させて具備し、前記非可逆符号化手段は、前記制御手段による制御によって、前記復号手段によって復号された画像を対象として非可逆符号化処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置である。
【0010】
請求項4の発明は、前記色成分数に合わせて、複数の前記非可逆符号化手段から非可逆符号化処理を行わせる非可逆符号化手段を選択する選択手段をさらに具備することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置である。
【0011】
請求項5の発明は、前記受付手段が受け付ける画像には付加情報が含まれており、前記付加情報に対して、可逆符号化処理を行う可逆符号化手段をさらに具備することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0012】
請求項6の発明は、コンピュータを、点順である画像を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた画像に対して、点面変換処理を行う点面変換手段と、前記点面変換手段によって点面変換された画像に対して、非可逆符号化処理を行う複数の非可逆符号化手段と、前記点面変換手段から前記非可逆符号化手段への画像の送信を制御して、複数の該非可逆符号化手段による非可逆符号化処理を同期させ、該非可逆符号化手段による処理結果の符号量に基づいて、該各非可逆符号化手段が符号化処理に用いる処理変数を変更することによって制御する制御手段として機能させるための画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の画像処理装置によれば、点順画像を受け付けて、符号量制御された面順画像の符号を生成することができる。
【0014】
請求項2の画像処理装置によれば、色成分毎に制御する装置に画像符号を出力する場合に、本構成を有していない場合に比較して、その出力先の装置に適している色成分毎の画像符号を出力することができる。
【0015】
請求項3の画像処理装置によれば、点面変換処理を行うことなく、再度符号化処理を行うことができる。
【0016】
請求項4の画像処理装置によれば、画像の色成分数に応じた構成とすることができる。
【0017】
請求項5の画像処理装置によれば、付加情報に対しては可逆符号化処理を行うことができる。
【0018】
請求項6の画像処理プログラムによれば、点順画像を受け付けて、符号量制御された面順画像の符号を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図2】本実施の形態が適用されるシステム構成例を示す説明図である。
【図3】本実施の形態が適用されるシステム構成例を示す説明図である。
【図4】第1の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態による非可逆符号化処理例を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態による制御処理例を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態による非可逆符号化処理例を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施の形態による制御処理例を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図10】第2の実施の形態による非可逆符号化処理例を示すフローチャートである。
【図11】第2の実施の形態による再符号化処理例を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態による制御処理例を示すフローチャートである。
【図13】第3の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図14】第4の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図15】再符号化処理例を示す説明図である。
【図16】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な各種の実施の形態の例を説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。また、「Aである場合、Bをする」という意味を有する記載は、「Aであるか否かを判断し、Aであると判断した場合はBをする」の意味で用いる。ただし、Aであるか否かの判断が不要である場合を除く。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理毎に又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理毎に、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unit)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
【0021】
第1の実施の形態である画像処理装置は、画像を非可逆符号化するものであって、図1の例に示すように、点面変換モジュール110、第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130、制御モジュール140を有している。
【0022】
点面変換モジュール110は、第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130、制御モジュール140と接続されている。点面変換モジュール110は、点順である画像100を受け付け、そして、その画像100に対して、点面変換処理を行う。
画像を受け付けるとは、例えば、スキャナ、カメラ等で画像を読み込むこと、ファックス等で通信回線を介して外部機器から画像を受信すること、ハードディスク(コンピュータに内蔵されているものの他に、ネットワークを介して接続されているもの等を含む)等に記憶されている画像を読み出すこと等が含まれる。画像は、2値画像、多値画像(カラー画像を含む)であってもよい。受け付ける画像は、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。また、画像の内容として、ビジネスに用いられる文書、広告宣伝用のパンフレット等であってもよい。
【0023】
点面変換処理とは、点順である画像を面順である画像に変換する処理をいう。
点順(点順次ともいわれる)である画像とは、各画素毎にその画素の情報全て(例えば、色成分の全ての情報)が含まれている画像をいう。
面順(面順次ともいわれる)である画像とは、一つの画像について、その画素の情報の種類毎(例えば、色成分毎)の面によって構成されている画像をいう。例えば、3つの種類の情報によって構成される画素である場合は、それぞれの種類の情報によって構成される3つの面によって画像が構成されることになる。例えば、3つの種類として、色成分のR、G、Bである場合は、R成分だけの面、G成分だけの面、B成分だけの面のようになる。一方、点順である画像の場合は、1画素に、R成分の情報、G成分の情報、B成分の情報が含まれている1面によって構成されている。
また、点順、面順とは、処理(読み取り処理、画像処理、書き込み処理等)の走査回数としても定義できる。つまり、点順とは、1回の走査でその処理が可能であり、面順とは、その処理を行うのに情報の種類数だけ走査が必要となる。
点面変換モジュール110による点面変換処理は、点順である画像を色成分毎の面である画像に変換する処理であってもよい。つまり、点順である画像を色毎に分版し、各色毎に対応する非可逆符号化モジュールへ送出する。この送出は、例えば、ライン、バンド等の部分画像毎に行い、その動作タイミングは後述の制御モジュール140によって制御される。
【0024】
第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130は、点面変換モジュール110、制御モジュール140と接続されている。第1の非可逆符号化モジュール120は、点面変換モジュール110によって点面変換された画像(面順画像)に対して、非可逆符号化処理を行う。なお、図1の例では、非可逆符号化モジュールは2つであるが、3以上であってもよい。複数の非可逆符号化モジュールは、それぞれ色成分に対応した非可逆符号化モジュールであってもよい。具体的には、その色成分に適した処理変数を用いる等がある。
第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130が行う非可逆圧縮としては、例えば、JPEG、MPEG等がある。第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130は、互いに独立しているが、制御モジュール140による制御を受ける。
【0025】
制御モジュール140は、点面変換モジュール110、第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130と接続されている。制御モジュール140は、点面変換モジュール110から第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130への画像の送信を制御して、第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130による非可逆符号化処理を同期させ、第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130から次の処理装置(例えば、プリンタ等)への送出を制御する。
そして、制御モジュール140は、第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130による処理結果の符号量に基づいて、その第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130が符号化処理に用いる処理変数(符号化パラメータ、量子化パラメータ、量子化幅ともいわれる、以下、量子化幅ともいう)を制御する。例えば、目標符号量と各非可逆符号化モジュールの生成符号量を比較し、生成符号量が目標符号量よりも多いときは量子化幅を、それまで用いていた量子化幅よりも粗くするといった制御を行う。
もちろんのことながら、非可逆符号化モジュールが3以上ある場合も、第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130と同等に制御する(以下、同様)。
制御モジュール140は、各色成分毎の符号量、各色成分の符号量の合計又はその両方に基づいて、非可逆符号化モジュール(第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130等)が用いる量子化幅を変更する制御を行うようにしてもよい。
【0026】
図2は、本実施の形態(本明細書に記載の実施の形態であり、第2の実施の形態等を含む。以下、同様)が適用されるシステム構成例を示す説明図である。このシステムは、パース/描画モジュール210、色変換モジュール220、点面変換モジュール230、プリンタ240を有している。パース/描画モジュール210、色変換モジュール220、点面変換モジュール230は、プリンタ240のコントローラ部分といわれるものである。
【0027】
パース/描画モジュール210は、色変換モジュール220と接続されている。パース/描画モジュール210は、PDL(ページ記述言語)200の印刷対象データを受け付け、PDL(ページ記述言語)200内の印刷コマンドを解析し(パース)、その解析結果をもとに描画処理を行う。この処理の結果としてできあがるのが、RGBの色空間で構成された点順画像である。
色変換モジュール220は、パース/描画モジュール210、点面変換モジュール230と接続されている。色変換モジュール220は、RGB点順画像をプリンタ240で扱える色空間であるYMCKの色空間へ変換する。この処理の結果としてできあがるのが、YMCKの色空間で構成された点順画像である。
点面変換モジュール230は、色変換モジュール220、プリンタ240と接続されている。点面変換モジュール230は、YMCK点順画像をYMCKの面順画像に変換する。つまり、4つの色成分毎の画像を生成する。プリンタ240が、色成分(色版)毎に印刷を繰り返すためである。各色の画像は、プリンタ240の印刷動作に合わせて、順次プリンタ240に送出する。
プリンタ240は、点面変換モジュール230と接続されている。プリンタ240は、YMCK点順画像を紙に印刷する。
つまり、パース/描画モジュール210、色変換モジュール220の処理は点順画像に対して行い、プリンタ240へ面順出力するために、点面変換モジュール230が点面変換を行っている。
【0028】
なお、プリンタ240の方式によっては、YMCKだけでなく、RGB(プリンタ240が露光を使うもの)や多色(プリンタ240がインクジェット等)に分版するシステムであってもよい。
このようなシステムにおいては、プリンタ240への出力が帯域及び容量面の関係で、符号量制御した圧縮を適用する。そのために、点面変換モジュール230内に本実施の形態を組み込む形態であってもよい。その場合、図1の例では、第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130の他に、第3の非可逆符号化モジュール、第4の非可逆符号化モジュールを付加して、各非可逆符号化モジュールの出力がY、M、C、Kの面画像となる。
【0029】
図2の例に示したシステムの他に、画像を周波数分解して、周波数毎に特定の処理をするようなシステムであってもよい。図3は、そのような本実施の形態が適用されるシステム構成例を示す説明図である。このシステムは、周波数分解モジュール310、処理1モジュール320、処理2モジュール330を有している。
【0030】
周波数分解モジュール310は、処理1モジュール320、処理2モジュール330と接続されている。周波数分解モジュール310は、画像300を受け付け、周波数分解して、周波数毎に適した処理を行わせるために、処理1モジュール320、処理2モジュール330に振り分ける。
処理1モジュール320、処理2モジュール330は、周波数分解モジュール310と接続されている。処理1モジュール320、処理2モジュール330のそれぞれは、その周波数に適した処理を行う。
このようなシステムにおいても、1つの画像に対して複数の符号を生成することが好ましく、そのために、周波数分解モジュール310内に本実施の形態を組み込む形態であってもよい。その場合、第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130は、色成分毎に分けられているのではなく、周波数毎に分けられている。
【0031】
図4は、第1の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。便宜上、第1の非可逆符号化モジュール120による処理と第2の非可逆符号化モジュール130による処理はシリアルに動作するように記述しているが、逆の順番であってもよいし、並列して動作してもよい。
ステップS402では、点面変換モジュール110が、点面変換を行う。
ステップS404では、第1の非可逆符号化モジュール120が、第1の非可逆符号化処理を行う。図5、図7に示すフローチャート例を用いて後述する。
ステップS406では、第2の非可逆符号化モジュール130が、第2の非可逆符号化処理を行う。図5、図7に示すフローチャート例を用いて後述する。
ステップS408では、制御モジュール140が、制御処理を行う。図6、図8に示すフローチャート例を用いて後述する。
ステップS410では、制御モジュール140が、全画像が終了したか否かを判断し、終了した場合は処理を終了し(ステップS499)、それ以外の場合はステップS402からの処理を行う。
【0032】
図5は、第1の実施の形態(第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130)による非可逆符号化処理例を示すフローチャートである。
ステップS502では、非可逆符号化処理を行う。例えば、各色成分の画像に対して、JPEG等の非可逆符号化処理を行う。
【0033】
図6は、第1の実施の形態(制御モジュール140)による制御処理例を示すフローチャートである。
ステップS602では、合計符号量≦合計目標符号量か否かを判断し、合計符号量≦合計目標符号量の場合はステップS606へ進み、それ以外の場合はステップS604へ進む。
ステップS604では、第1及び第2の量子化幅を増やす。
ステップS606では、第1の符号量≦第1の目標符号量か否かを判断し、第1の符号量≦第1の目標符号量の場合はステップS610へ進み、それ以外の場合はステップS608へ進む。
ステップS608では、第1の量子化幅を増やす。
ステップS610では、第2の符号量≦第2の目標符号量か否かを判断し、第2の符号量≦第2の目標符号量の場合は処理を終了し(ステップS699)、それ以外の場合はステップS612へ進む。
ステップS612では、第2の量子化幅を増やす。
【0034】
制御モジュール140による制御処理については、例えば、各色の量子化幅を監視し、量子化幅の差が顕著にならないように、(各符号量とは関係なく)各量子化幅を連動させて制御する、といった処理をしてもよい。量子化幅の差が顕著となることの検知は、量子化幅の差と予め定められた値とを比較して、量子化幅の差が予め定められた値より大となったことにより行う。各量子化幅を連動させて制御する方法としては、例えば、各量子化幅の差が予め定められた値以下となるようにしてもよい。
【0035】
図7は、第1の実施の形態(第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130)による非可逆符号化処理例を示すフローチャートである。図5とは別の処理例を示すものである。
ステップS702では、画像をブロックに分割する。
ステップS704では、そのブロック毎の特徴量を算出する。
ステップS706では、量子化の選択を行う。
ステップS708では、量子化・符号化の処理を行う。
【0036】
図8は、第1の実施の形態(制御モジュール140)による制御処理例を示すフローチャートである。
ステップS802では、合計符号量が所望符号量か否かを判断し、合計符号量が所望符号量の場合はステップS806へ進み、それ以外の場合はステップS804へ進む。
ステップS804では、第1の非可逆符号化の選択処理補正、第2の非可逆符号化の選択処理補正を行う。
ステップS806では、第1の符号量が所望符号量か否かを判断し、第1の符号量が所望符号量の場合はステップS810へ進み、それ以外の場合はステップS808へ進む。
ステップS808では、第1の非可逆符号化の選択式補正を行う。
ステップS810では、第2の符号量が所望符号量か否かを判断し、第2の符号量が所望符号量の場合は処理を終了し(ステップS899)、それ以外の場合はステップS812へ進む。
ステップS812では、第2の非可逆符号化の選択式補正を行う。
【0037】
図7、図8の例に示す処理例では、非可逆符号化処理は、ブロック毎の特徴量を算出し、その特徴量を用いた選択処理によって量子化方法を選択することで実現する。この場合、選択処理の補正によって符号量を制御し得る。
そのような選択処理の補正の一例について説明する。いま量子化方法QLを適用したブロックでは、平均的に符号量CLが期待できるものとする。前述の選択処理とは、所定の特徴量に基づいて、どの量子化方法QLで当該ブロックを処理すべきかを決定する処理にあたる。このとき
(総符号量推定)=Σ{(Qで処理するブロック数)×C} … (1)
という式で符号量の推定が行える。逆にいえば、(1)式の左辺を予め定められた符号量とすれば、そこからQで処理すべきブロック数を算出できる。つまりこのブロック数を実現できるように選択処理を補正することが、予め定められた符号量を得ることになる。
例えば、いまQとQの2つの量子化方法があり、特徴量が閾値Tより大きければQ、そうでなければQを選択するものとする。さらに、それぞれの量子化で期待される平均符号量をC、Cとし、かつC>Cであるとする。この場合、Tを小さくとればQを選択するブロックが増えるので符号量は増加し、Tを大きくとれば符号量は減少する。このように閾値Tの補正によって、符号量が調整できる。
次に、この例において閾値Tを補正した場合、同じ特徴量を持つ画像でも、補正前にはQ、補正後はQというように量子化結果が異なるように処理され得る。これは画質の面から見ると、画像の途中で画質が変わってしまうために好ましくない場合がある。そのような場合は、後述する再符号化するような構成(第2の実施の形態)を用いて、画像全体に対して選択処理を補正すればよい。
【0038】
<第2の実施の形態>
図9は、第2の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。第2の実施の形態である画像処理装置は、画像を非可逆符号化するものであって、図9の例に示すように、点面変換モジュール110、第1の非可逆符号化モジュール920、第2の非可逆符号化モジュール930、制御モジュール940を有している。画質の観点から、符号化の途中で量子化幅が変更されるのが望ましくない場合がある。第2の実施の形態は、そのような場合に、符号量が予め定められた量よりも多くなったときは、画像の最初から再符号化する。
なお、前述の実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する(以下、同様)。
【0039】
第1の非可逆符号化モジュール920は、量子化モジュール922、符号化モジュール924、符号メモリモジュール926、復号モジュール928を有している。第2の非可逆符号化モジュール930は、量子化モジュール932、符号化モジュール934、符号メモリモジュール936、復号モジュール938を有している。以下、第2の非可逆符号化モジュール930内の構成は、第1の非可逆符号化モジュール920内の構成と同等であるので、第1の非可逆符号化モジュール920内の構成について説明する。
【0040】
点面変換モジュール110は、量子化モジュール922、量子化モジュール932、制御モジュール940と接続されている。
量子化モジュール922は、点面変換モジュール110、符号化モジュール924、復号モジュール928、制御モジュール940と接続されている。量子化モジュール922は、制御モジュール940によって与えられる量子化幅で量子化を行う。また、量子化モジュール922の前後に圧縮を効率化する処理、例えば、周波数変換や予測変換等の処理を行うようにしてもよい。
【0041】
符号化モジュール924は、量子化モジュール922、符号メモリモジュール926と接続されている。符号化モジュール924は、量子化モジュール922によって量子化された画像を符号化する。
符号メモリモジュール926は、符号化モジュール924、復号モジュール928、制御モジュール940と接続されている。符号メモリモジュール926は、符号化モジュール924による非可逆符号化処理の結果である符号を記憶する。
量子化モジュール922、符号化モジュール924は、制御モジュール940による制御によって、復号モジュール928によって復号された画像を対象として非可逆符号化処理を行う。
復号モジュール928は、量子化モジュール922、符号メモリモジュール926と接続されている。復号モジュール928は、符号メモリモジュール926に記憶された符号を復号し、そして、量子化モジュール922へ渡す。
制御モジュール940は、点面変換モジュール110、量子化モジュール922、符号メモリモジュール926、量子化モジュール932、符号メモリモジュール936と接続されている。
【0042】
第2の実施の形態において、各色毎の符号量でのみ制御を行う場合の動作例を以下のフローチャート例に示す。第2の実施の形態では、全体動作は図4と同等なので説明を省略する。なお、図12の例に示す制御処理において第1の再符号化処理と第2の再符号化処理は便宜上シリアルに動作するように記述しているが、逆の順番であってもよいし、並列して動作してもよい。並列に動作する場合は、両方の再符号化処理が終了した時点で制御処理が終了となる。
【0043】
図10は、第2の実施の形態(第1の非可逆符号化モジュール920、第2の非可逆符号化モジュール930)による非可逆符号化処理例を示すフローチャートである。
ステップS1002では、非可逆符号化を行う。
ステップS1004では、符号量≦目標符号量か否かを判断し、符号量≦目標符号量の場合は処理を終了し(ステップS1099)、それ以外の場合はステップS1006へ進む。
ステップS1006では、再符号化処理を行う。図11に示すフローチャート例を用いて後述する。
【0044】
図11は、第2の実施の形態(第1の非可逆符号化モジュール920、第2の非可逆符号化モジュール930)による再符号化処理例を示すフローチャートである。なお、再符号化処理を行う場合は、制御モジュール940は、他の処理を停止させ、再符号化処理が終了した場合は、停止させた処理を再開する。
ステップS1102では、量子化幅を増やす。
ステップS1104では、符号メモリの符号を復号し、増やした量子化幅で再符号化し、符号メモリに再格納する。
ステップS1106では、全画像が終了したか否かを判断し、終了した場合は処理を終了し(ステップS1199)、それ以外の場合はステップS1104からの処理を行う。
【0045】
図12は、第2の実施の形態(制御モジュール940)による制御処理例を示すフローチャートである。
ステップS1202では、合計符号量≦合計目標符号量か否かを判断し、合計符号量≦合計目標符号量の場合は、処理を終了し(ステップS1299)、それ以外の場合はステップS1204へ進む。
ステップS1204では、第1の再符号化処理を行う。
ステップS1206では、第2の再符号化処理を行う。
なお、再符号化処理は画像の先頭から再処理するため、一般的に処理時間が長くなる。いずれかの色だけ再符号化が行われる場合は色間のレイテンシが大きく異ならざるをえない。しかし、第2の実施の形態では、制御モジュール940で同期をとるようにしているため、ページメモリなしで、処理し得るようにしている。
【0046】
第2の実施の形態の制御モジュール940による制御では、再符号化に時間がかかることを織り込んで、例えば、ある色成分の画像に対して再符号化処理を行う場合、将来再符号化処理が必要になる可能性のある他の色成分の画像に対しても、予め再符号化してしまうように制御してもよい。この場合、並列して再符号化処理を行えるので、再符号化によるオーバーヘッドを省くこととなる。「将来再符号化処理が必要になる可能性のある他の色成分の画像」は、それまでの符号量と予め定められた量とを比較して、それまでの符号量が、予め定められた量以上である場合に将来再符号化処理が必要であると判断してもよい。
【0047】
第2の実施の形態による再圧縮処理を含む場合の制御手順について、データフローを中心に示した図15を用いて説明する。この図15では、上から下へ処理が進み、符号メモリ1521は図9に例示した符号メモリモジュール926に該当し、符号メモリ1531は図9に例示した符号メモリモジュール936に該当する。なお、描画処理とは、図2に例示のパース/描画モジュール210による処理を指す。
【0048】
まず、1行目描画処理1500aにおいて、描画状態1510は「描画処理」であり、第1色成分状態1520の符号メモリ1521は、生成符号1522があり、第2色成分状態1530の符号メモリ1531は、生成符号1532がある。つまり、line1が描画され、色変換モジュール220による色変換処理、点面変換モジュール230による点面変換処理された後に第1色成分と第2色成分のそれぞれが第1の非可逆符号化モジュール920(量子化モジュール922、符号化モジュール924)、第2の非可逆符号化モジュール930(量子化モジュール932、符号化モジュール934)によって圧縮され、符号メモリモジュール926、符号メモリモジュール936に格納される。このときの量子化パラメータはいずれもQ0である。
以下、line2、line3と順に処理を行い、lineNの処理へと進む。
【0049】
N行目描画処理1500bにおいて、描画状態1510は「描画処理」であり、第1色成分状態1520の符号メモリ1521は、既存符号1523と生成符号1524があり、第2色成分状態1530の符号メモリ1531は、既存符号1533と生成符号1534があり、生成符号1534は符号メモリ1531に収まりきれずオーバーフローしている。つまり、lineNが描画され、このとき第2色成分の符号がメモリに収まりきらず、オーバーフローを起こす。
【0050】
描画処理中断1500cにおいて、描画状態1510は「描画処理中断」であり、第1色成分状態1520の符号メモリ1521は、既存符号1525があり、第2色成分状態1530の符号メモリ1531は、生成符号1535、既存符号1536がある。つまり、lineNの次のラインの描画と第1色成分の処理を中断し、第2色成分の再処理(伸長・量子化・再圧縮モジュール1550による処理)を開始する。具体的には、画像の先頭に戻って第2色成分の符号を伸長し、量子化し、再圧縮した後、メモリに再格納する。つまり、符号メモリ1531内の符号を先頭から伸長・量子化・再圧縮モジュール1550(図9の例では、復号モジュール928、量子化モジュール922、符号化モジュール924)によって処理し、符号メモリ1531内に再度格納する。このときの量子化幅はQ1とし、Q0より強く量子化するように制御する(Q1の量子化幅はQ0の量子化幅よりも大きい)。この結果、再格納する符号は読み出す符号より小さくなるので、読み出しと書き込みの開始位置を合わせておけば、書き込み先が読み出し先を追い越すことがない。つまり、符号メモリモジュール926を再圧縮した符号で上書きしてもよいことになる。
【0051】
描画処理中断1500dにおいて、描画状態1510は「描画処理中断」であり、第1色成分状態1520の符号メモリ1521は、既存符号1525があり、第2色成分状態1530の符号メモリ1531は、既存符号1537、生成符号1538がある。つまり、再処理が完了した状態である。この結果、第2色成分の符号はメモリに収まる。ここまで描画と第1色成分の処理は中断したままである。
ここでlineNの処理について説明する。lineNの処理中にオーバーフローを起こしたので、lineNの符号は、第2色成分のメモリに部分的にしか格納されていない。図15の例では、N行目描画処理1500bの生成符号1534は、既存符号1533をはみ出していることがこの状態を示している。
したがって、以下の処理を行う。
(1)lineNの処理は、描画結果に対して、量子化幅Q1による量子化モジュール922、符号化モジュール924による再処理を行う。
(2)オーバーフローが起きないように制御してもよい。具体的には、次のラインでオーバーフローが起こる可能性がある場合、つまりメモリの残量がラインの最大符号長より少なくなった場合を検知し、そのとき再処理に移るように制御すればよい。こうすることでlineNがメモリ内に確保されることが保証できるので、再処理でlineNまでカバーすることができる。この制御は、制御モジュール940が行う。
(3)あるいは、lineNの符号化済みの部分で、メモリに格納済みの部分の符号は再処理し、オーバーフローした部分は描画結果から量子化幅Q1による量子化モジュール922、符号化モジュール924による再処理を行う。
【0052】
N+1行目描画処理1500eにおいて、描画状態1510は「描画処理」であり、第1色成分状態1520の符号メモリ1521は、既存符号1525、生成符号1526があり、第2色成分状態1530の符号メモリ1531は、既存符号1539、生成符号1540がある。つまり、line(N+1)の処理としては1行目描画処理1500aと同等であるが、第2色成分の量子化パラメータはQ1で処理する点が異なる。
【0053】
<第3の実施の形態>
図13は、第3の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。第3の実施の形態である画像処理装置は、画像を非可逆符号化するものであって、図13の例に示すように、点面変換モジュール110、セレクタモジュール1320、第1の非可逆符号化モジュール1330、第2の非可逆符号化モジュール1340、第3の非可逆符号化モジュール1350、第4の非可逆符号化モジュール1360、制御モジュール1370を有している。
グレイ画像、2色画像、4色画像、4色以上の多色画像など、異なる色数の画像を扱うシステムに第3の実施の形態を適用する場合について述べる。第3の実施の形態の非可逆符号化モジュールは独立に動作可能なので、そのシステムで扱う最大色数だけ用意しておいて、対象画像に応じて必要な部分だけ使うようにする。
【0054】
点面変換モジュール110は、セレクタモジュール1320、第1の非可逆符号化モジュール1330、第2の非可逆符号化モジュール1340、第3の非可逆符号化モジュール1350、第4の非可逆符号化モジュール1360、制御モジュール1370と接続されている。
セレクタモジュール1320は、点面変換モジュール110、第1の非可逆符号化モジュール1330、第2の非可逆符号化モジュール1340、第3の非可逆符号化モジュール1350、第4の非可逆符号化モジュール1360と接続されている。セレクタモジュール1320は、色成分数に合わせて、複数の前記非可逆符号化モジュールから非可逆符号化処理を行わせる非可逆符号化モジュールを選択する。対象としている画像100の色数に応じて、必要な非可逆符号化モジュールへ対応する色の画像データを送出する。このとき不要な非可逆符号化モジュールへの送出は行わない。これにより、例えば、図13の例の構成の場合は4つの非可逆符号化モジュールがあるので、1色から4色までの画像に対応することができる。
第1の非可逆符号化モジュール1330、第2の非可逆符号化モジュール1340、第3の非可逆符号化モジュール1350、第4の非可逆符号化モジュール1360は、点面変換モジュール110、セレクタモジュール1320、制御モジュール1370と接続されている。前述の非可逆符号化モジュール(第1の実施の形態の第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130、第2の実施の形態の第1の非可逆符号化モジュール920、第2の非可逆符号化モジュール930)と同等の処理を行う。
制御モジュール1370は、点面変換モジュール110、第1の非可逆符号化モジュール1330、第2の非可逆符号化モジュール1340、第3の非可逆符号化モジュール1350、第4の非可逆符号化モジュール1360と接続されている。制御モジュール1370は、前述の制御モジュール140、制御モジュール940と同等の処理を行う。ただし、制御モジュール1370は、セレクタモジュール1320によって選択されている非可逆符号化モジュールに対してのみ、制御を行う。
【0055】
<第4の実施の形態>
図14は、第4の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。第4の実施の形態である画像処理装置は、画像を非可逆符号化するものであって、図14の例に示すように、点面変換モジュール110、非可逆符号化モジュール1420、可逆符号化モジュール1430、制御モジュール1440を有している。対象としている画像に付加情報が含まれている場合がある。例えば、画素毎の付加情報として、その画素がどのようなオブジェクトに該当しているかを示す属性情報(タグ情報ともいわれる)や、透過合成をするための透明度情報などが例としてあげられる。このような付加情報は、量子化、非可逆符号化が許されない場合が多い。そこで、第4の実施の形態では、非可逆符号化モジュール群に可逆符号化モジュールを併設する。
【0056】
点面変換モジュール110は、非可逆符号化モジュール1420、可逆符号化モジュール1430、制御モジュール1440と接続されている。点面変換モジュール110が受け付ける画像1400には付加情報が含まれている。
非可逆符号化モジュール1420は、点面変換モジュール110、制御モジュール1440と接続されている。もちろんのことながら、非可逆符号化モジュール1420内には、前述の実施の形態における複数の非可逆符号化モジュールが含まれている。非可逆符号化モジュール1420は、前述の第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130、第1の非可逆符号化モジュール920、第2の非可逆符号化モジュール930、第1の非可逆符号化モジュール1330、第2の非可逆符号化モジュール1340等と同等の処理を行う。
可逆符号化モジュール1430は、点面変換モジュール110、制御モジュール1440と接続されている。可逆符号化モジュール1430は、画像1400内の付加情報に対して、可逆符号化処理を行う。
制御モジュール1440は、点面変換モジュール110、非可逆符号化モジュール1420、可逆符号化モジュール1430と接続されている。制御モジュール1440は、前述の点面変換モジュール110、、制御モジュール940、制御モジュール1370と同等の処理を行う。ただし、可逆符号化モジュール1430には制御できる量子化幅は存在しないため、可逆符号化モジュール1430に対して制御モジュール1440は、動作終了、生成符号量の監視を行う。
【0057】
図16を参照して、本実施の形態の画像処理装置のハードウェア構成例について説明する。図16に示す構成は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などによって構成されるものであり、スキャナ等のデータ読み取り部1617と、プリンタなどのデータ出力部1618を備えたハードウェア構成例を示している。
【0058】
CPU(Central Processing Unit)1601は、前述の実施の形態において説明した各種のモジュール、すなわち、点面変換モジュール110、第1の非可逆符号化モジュール120、第2の非可逆符号化モジュール130、制御モジュール140、パース/描画モジュール210、色変換モジュール220、点面変換モジュール230、周波数分解モジュール310、処理1モジュール320、処理2モジュール330、量子化モジュール922、符号化モジュール924、復号モジュール928、量子化モジュール932、符号化モジュール934、復号モジュール938、セレクタモジュール1320、第1の非可逆符号化モジュール1330、第2の非可逆符号化モジュール1340、第3の非可逆符号化モジュール1350、第4の非可逆符号化モジュール1360、非可逆符号化モジュール1420、可逆符号化モジュール1430、制御モジュール1440等の各モジュールの実行シーケンスを記述したコンピュータ・プログラムにしたがった処理を実行する制御部である。
【0059】
ROM(Read Only Memory)1602は、CPU1601が使用するプログラムや演算パラメータ等を格納する。RAM(Random Access Memory)1603は、CPU1601の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を格納する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス1604により相互に接続されている。
【0060】
ホストバス1604は、ブリッジ1605を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス1606に接続されている。
【0061】
キーボード1608、マウス等のポインティングデバイス1609は、操作者により操作される入力デバイスである。ディスプレイ1610は、液晶表示装置又はCRT(Cathode Ray Tube)などがあり、各種情報をテキストやイメージ情報として表示する。
【0062】
HDD(Hard Disk Drive)1611は、ハードディスクを内蔵し、ハードディスクを駆動し、CPU1601によって実行するプログラムや情報を記録又は再生させる。ハードディスクには、受け付けられた画像、符号画像などが格納される。さらに、その他の各種のデータ処理プログラム等、各種コンピュータ・プログラムが格納される。
【0063】
ドライブ1612は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体1613に記録されているデータ又はプログラムを読み出して、そのデータ又はプログラムを、インタフェース1607、外部バス1606、ブリッジ1605、及びホストバス1604を介して接続されているRAM1603に供給する。リムーバブル記録媒体1613も、ハードディスクと同様のデータ記録領域として利用可能である。
【0064】
接続ポート1614は、外部接続機器1615を接続するポートであり、USB、IEEE1394等の接続部を持つ。接続ポート1614は、インタフェース1607、及び外部バス1606、ブリッジ1605、ホストバス1604等を介してCPU1601等に接続されている。通信部1616は、通信回線に接続され、外部とのデータ通信処理を実行する。データ読み取り部1617は、例えばスキャナであり、ドキュメントの読み取り処理を実行する。データ出力部1618は、例えばプリンタであり、ドキュメントデータの出力処理を実行する。
【0065】
なお、図16に示す画像処理装置のハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図16に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに図16に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)などに組み込まれていてもよい。
【0066】
なお、前述の実施の形態の説明において、予め定められた値との比較において、「以上」、「以下」、「より大きい」、「より小さい(未満)」としたものは、その組み合わせに矛盾が生じない限り、それぞれ「より大きい」、「より小さい(未満)」、「以上」、「以下」としてもよい。
【0067】
なお、前述の各種の実施の形態を組み合わせてもよく(例えば、ある実施の形態内のモジュールを他の実施の形態内に追加する、入れ替えをする等も含む)、また、各モジュールの処理内容として背景技術で説明した技術を採用してもよい。特に、量子化幅、再符号化処理については、特許文献2、特許文献3等に記載の技術を用いるようにしてもよい。例えば、以下のような発明(手段)を付加してもよい。なお、量子化強度、符号化係数は前述の処理変数の例である。
[A1]
入力された画像の特徴量に基づいて、量子化強度を選択するための選択基準を設定する基準設定手段と、
前記基準設定手段により設定された選択基準に基づいて、入力された画像の部分画像領域それぞれについて、複数の量子化強度のいずれかを選択する強度選択手段と、
前記強度選択手段により選択された量子化強度で、各部分画像領域の画像情報を量子化する量子化手段
を有する画像処理装置。
[A2]
前記強度選択手段は、前記基準設定手段により設定された選択基準と、部分画像領域それぞれの特徴量とに基づいて、部分画像領域それぞれの量子化強度を選択する[A1]に記載の画像処理装置。
[A3]
前記基準設定手段は、前記特徴量として、各部分画像領域に含まれる階調値の範囲の広さを用いる[A1]に記載の画像処理装置。
[A4]
前記量子化手段により量子化された画像情報を符号化する符号化手段と、
前記符号化手段により符号化された画像情報の符号量が上限値を超える場合に、入力された画像を再量子化するように決定する再量子化決定手段と
をさらに有し、
前記基準設定手段は、前記再量子化決定手段により再量子化するよう決定された場合に、前記選択基準を更新する[A1]に記載の画像処理装置。
[A5]
部分画像領域それぞれの特徴量を算出する特徴量算出手段
をさらに有し、
前記基準設定手段は、前記特徴量算出手段により算出された特徴量の分布に基づいて、選択基準を設定し、
前記強度選択手段は、前記特徴量算出手段により算出された各部分画像領域の特徴量と、前記基準設定手段により設定された選択基準とに基づいて、量子化強度を選択する[A2]に記載の画像処理装置。
【0068】
[B1]
既定の符号化係数で、被符号化情報を符号化する符号化手段と、
前記符号化手段により被符号化情報の一部が符号化されたタイミングで、符号化係数の変更を行うか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により符号化係数を変更すると判断された場合に、異なる符号化係数で符号化処理をやり直すよう前記符号化手段を制御する制御手段
を有する情報処理装置。
[B2]
前記判断手段は、前記タイミングまでの符号量に基づいて、符号化係数の変更を行うか否かを判断する[B1]に記載の情報処理装置。
[B3]
前記判断手段は、前記タイミングまでの符号量に基づいて、総符号量を推定し、推定された総符号量が既定の範囲から外れる場合に、符号化係数の変更を行うと判断する[B2]に記載の情報処理装置。
[B4]
被符号化情報は、画像情報であり、
前記判断手段は、前記タイミングまでの符号量と、前記タイミングまでに符号化された画像の大きさと、画像全体の大きさとに基づいて、総符号量を推定する[B3]に記載の情報処理装置。
[B5]
前記判断手段は、前記タイミングまでの符号量と、他の符号化係数で前記タイミングまでに符号化された符号量と、当該他の符号化係数で符号化された総符号量とに基づいて、総符号量を推定する[B3]に記載の情報処理装置。
[B6]
符号化効率が異なる複数の符号化手段と、
前記符号化手段それぞれにより被符号化情報の一部が符号化されたタイミングで、複数の前記符号化手段の中から、符号化処理を中止すべき符号化手段を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された符号化手段に、符号化処理を中止するよう制御する制御手段
を有する情報処理装置。
【0069】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray Disc(登録商標))、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、SD(Secure Digital)メモリーカード等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0070】
110…点面変換モジュール
120…第1の非可逆符号化モジュール
130…第2の非可逆符号化モジュール
140…制御モジュール
210…パース/描画モジュール
220…色変換モジュール
230…点面変換モジュール
240…プリンタ
310…周波数分解モジュール
320…処理1モジュール
330…処理2モジュール
920…第1の非可逆符号化モジュール
922…量子化モジュール
924…符号化モジュール
926…符号メモリモジュール
928…復号モジュール
930…第2の非可逆符号化モジュール
932…量子化モジュール
934…符号化モジュール
936…符号メモリモジュール
938…復号モジュール
940…制御モジュール
1320…セレクタモジュール
1330…第1の非可逆符号化モジュール
1340…第2の非可逆符号化モジュール
1350…第3の非可逆符号化モジュール
1360…第4の非可逆符号化モジュール
1370…制御モジュール
1420…非可逆符号化モジュール
1430…可逆符号化モジュール
1440…制御モジュール
1550…伸長・量子化・再圧縮モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点順である画像を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた画像に対して、点面変換処理を行う点面変換手段と、
前記点面変換手段によって点面変換された画像に対して、非可逆符号化処理を行う複数の非可逆符号化手段と、
前記点面変換手段から前記非可逆符号化手段への画像の送信を制御して、複数の該非可逆符号化手段による非可逆符号化処理を同期させ、該非可逆符号化手段による処理結果の符号量に基づいて、該各非可逆符号化手段が符号化処理に用いる処理変数を変更することによって制御する制御手段
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記点面変換手段による点面変換処理は、点順である画像を色成分毎の面である画像に変換し、
複数の前記非可逆符号化手段は、それぞれ色成分に対応した非可逆符号化手段であり、
前記制御手段は、各色成分毎の符号量、各色成分の符号量の合計又はその両方に基づいて、前記非可逆符号化手段が用いる処理変数を変更する制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記各非可逆符号化手段による非可逆符号化処理の結果である符号を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された符号を復号する復号手段
を前記各非可逆符号化手段に対応させて具備し、
前記非可逆符号化手段は、前記制御手段による制御によって、前記復号手段によって復号された画像を対象として非可逆符号化処理を行う
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記色成分数に合わせて、複数の前記非可逆符号化手段から非可逆符号化処理を行わせる非可逆符号化手段を選択する選択手段
をさらに具備することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記受付手段が受け付ける画像には付加情報が含まれており、
前記付加情報に対して、可逆符号化処理を行う可逆符号化手段
をさらに具備することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
点順である画像を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた画像に対して、点面変換処理を行う点面変換手段と、
前記点面変換手段によって点面変換された画像に対して、非可逆符号化処理を行う複数の非可逆符号化手段と、
前記点面変換手段から前記非可逆符号化手段への画像の送信を制御して、複数の該非可逆符号化手段による非可逆符号化処理を同期させ、該非可逆符号化手段による処理結果の符号量に基づいて、該各非可逆符号化手段が符号化処理に用いる処理変数を変更することによって制御する制御手段
として機能させるための画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−55507(P2013−55507A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192374(P2011−192374)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】