説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】所定サイズの用紙に対して印刷を行うべく写真画像などの第1の画像上に付加画像などの第2の画像を貼り付けて画像を合成する場合、第2の画像の第1の画像に対する貼付位置を良好に設定して第2の画像が欠けることなく印刷領域内に収まるようにする。
【解決手段】貼付位置を指定して写真画像上に付加画像を貼付し(S3、S4)、印刷開始を指示すると(S5)、給紙される用紙からその用紙の種類が設定されるとともに、その用紙のアスペクト比と写真画像のアスペクト比に応じて写真画像上に付加画像を貼り付けた画像がリサイズされる(S6、S8)。そして、そのリサイズされた画像において、印刷領域からの付加画像の食み出しがあるか否かが判定され(S9)、食み出しありの判定があると、付加画像が印刷領域に収まるように付加画像に対して処理が行われる(S10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真画像などの第1の画像データ上に図形や文字などの第2の画像データを貼り付ける画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、写真画像などの画像を用紙に印刷する技術として特許文献1に記載される画像印刷装置がある。この画像印刷装置では、画像を用紙に印刷する場合に、画像のアスペクト比と用紙のアスペクト比に基づいて、その画像を欠けることなく用紙上に印刷可能かどうかを判断し、欠けることなく印刷することができないと判定されると、画像に対して用紙のアスペクト比に対応する枠を画像とともに表示し、その画像における印刷領域の設定を可能にしている。
【0003】
また、単に用紙に写真画像だけを印刷する他に、写真画像などの画像上の任意の位置に貼付位置を指定してその写真画像を装飾するための図形や文字などの付加画像を貼り付けて用紙に印刷することも行われる。
【特許文献1】特開2003‐246119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
写真画像などの画像(第1の画像)上の任意の位置に貼付位置を指定してその写真画像を装飾するためのイラスト図形や文字などの付加画像(第2の画像)を貼り付けて用紙に印刷する場合、写真画像のアスペクト比と用紙のアスペクト比に基づいて、その用紙に印刷するべく第2の画像を貼り付けた第1の画像をリサイズすると、第1の画像の端に欠けが生じる可能性があり、その場合、第1の画像上に貼り付ける前記第2の画像の貼付位置によっては、その第2の画像が第1の画像の印刷領域から食み出して欠けてしまう。この第2の画像は、ユーザが意図して特に第1の画像に付加する情報であり、その第2の画像の欠けが生じることは、ユーザが所望する印刷結果が得られないことになる。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するものであり、所定サイズの用紙に対して印刷を行うべく第1の画像上に第2の画像を貼り付けて画像を合成する場合、第2の画像の第1の画像に対する貼付位置を良好に設定して第2の画像が欠けることなく印刷領域内に収まるようにすることができる画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、第1の画像上に第2の画像を貼り付ける画像処理装置であって、 前記第1の画像及び前記第2の画像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示される第1の画像上に前記第2の画像の貼付位置を指定する貼付位置指定手段と、前記貼付位置指定手段によって指定された貼付位置にしたがって、前記第2の画像を前記第1の画像に貼り付ける貼付手段と、印刷のための用紙を設定する用紙設定手段と、前記用紙設定手段によって設定された用紙及び前記第1の画像のアスペクト比に応じて、前記第1の画像に前記第2の画像が貼り付けられた画像を前記設定された用紙に印刷するべくリサイズするリサイズ手段と、前記リサイズ手段によってリサイズされた画像の前記設定された用紙に対する印刷領域から前記第2の画像が食み出すか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記第2の画像の食み出しが判定された場合、前記リサイズされた画像の前記印刷領域内に第2の画像が収まるように処理する処理手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、前記処理手段は、前記リサイズされた画像の前記印刷領域の端部から、その印刷領域外に食み出す第2の画像の外側の端部までの食み出し量を算出する食み出し量算出手段と、前記リサイズされた画像において、少なくとも前記食み出し量算出手段によって算出された食み出し量に対応した移動量だけ第2の画像の貼付位置を前記印刷領域内に向けて移動して第2の画像を第1の画像上に貼り付ける貼付位置移動手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、前記処理手段は、前記リサイズされた画像において、第2の画像を縮小して前記印刷領域内に配置する画像縮小手段を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、前記処理手段は、前記リサイズされた画像の前記印刷領域の端部から、その印刷領域外に食み出した第2の画像の外側の端部までの食み出し量を算出する食み出し量算出手段と、前記リサイズされた画像において、少なくとも前記食み出し量算出手段によって算出された食み出し量に対応した移動量だけ第2の画像の貼付位置を前記印刷領域内に向けて移動した場合に、第2の画像が前記印刷領域内に収まるか否か判断する判断手段と、前記判断手段によって第2の画像が前記印刷領域内に収まると判断された場合、前記リサイズされた画像において、少なくとも前記食み出し量に対応した移動量だけ第2の画像の貼付位置を前記印刷領域内に向けて移動して第2の画像を第1の画像上に貼り付け、前記判断手段によって第2の画像が前記印刷領域内に収まらないと判断された場合、前記リサイズされた画像において、第2の画像を縮小して前記印刷領域内に配置する画像処理手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、更に、前記判定手段によって前記第2の画像の食み出しが判定された場合、前記処理手段によって処理された画像を前記用紙設定手段によって設定された用紙に印刷し、前記判定手段によって前記第2の画像の食み出しが判定されない場合、前記リサイズされた画像を前記用紙設定手段によって設定された用紙に印刷する印刷手段を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、第1の画像上に第2の画像を貼り付ける画像処理方法であって、 前記第1の画像及び前記第2の画像を表示する表示工程と、前記表示工程に表示される第1の画像上に前記第2の画像の貼付位置を指定する貼付位置指定工程と、前記貼付位置指定工程によって指定された貼付位置にしたがって、前記第2の画像を前記第1の画像に貼り付ける貼付工程と、印刷のための用紙を設定する用紙設定工程と、前記用紙設定工程によって設定された用紙及び前記第1の画像のアスペクト比に応じて、前記第1の画像に前記第2の画像が貼り付けられた画像を前記設定された用紙に印刷するべくリサイズするリサイズ工程と、前記リサイズ工程によってリサイズされた画像の前記設定された用紙に対する印刷領域から前記第2の画像が食み出すか否かを判定する判定工程と、前記判定工程によって前記第2の画像の食み出しが判定された場合、前記リサイズされた画像の前記印刷領域内に第2の画像が収まるように処理する処理工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所定サイズの用紙に対して印刷を行うべく第1の画像上に第2の画像を貼り付けて画像を合成する場合、第2の画像の第1の画像に対する貼付位置を良好に設定して第2の画像が欠けることなく印刷領域内に収まるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、一実施の形態に係る画像処理装置としての印刷装置の前面側から見た外観斜視図であり、図2は背面側から見た外観斜視図である。この印刷装置1は、住所録を作成するとともに葉書などの文面を編集し、葉書の宛名印刷及び葉書の文面を印刷するワープロ機能を有し、デジタルカメラで撮影した写真画像を取り込んで印刷する機能を有するとともに、その写真画像(第1の画像)上にイラストや文字などの付加画像(第2の画像)を貼り付けて合成する画像処理機能を有し、その合成した画像を印刷する機能を有している。
【0014】
図1及び図2において、印刷装置1は装置本体2を備え、装置本体2の前面側には、この装置をワードプロセッサとして使用する場合に文書データを入力するための折り畳み式のキーボード3を備えている。このキーボード3は、住所録や葉書の文面を入力し、あるいは写真画像に貼り付ける文字画像を入力するための文字・記号入力キーや、文面の編集、表示画面の制御、印刷などに必要とする各種の制御キーを備えている。
【0015】
このキーボード3は、装置本体2の前面の下部に回動可能に取り付けられ、印刷装置1をワードプロセッサとして使用する場合には、図1のように装置本体2の前部に倒して使用する。このようにキーボード3を前部に倒したことによって露出する装置本体2の前面には印刷用紙の逃し穴4が設けられており、印刷動作時に印刷用紙の一部が搬送の過程で、この逃し穴4から装置本体2外に突出する。また、キーボード3は装置本体2の前面部に立てるように折り畳む構成となっているので、キーボード3を装置本体2の前面部に折り畳んだまま印刷を実行するときのために、キーボード3にも装置本体2側の逃し穴4に対応して同様の逃し穴5が設けられている。
【0016】
装置本体2の上面には、キーボード3から入力されたデータを表示し、各種の設定に必要なメニュー画面を表示し、またデジタルカメラから取り込んだ写真画像を表示するなどの他に、この装置で必要とする各種の情報を表示するための表示部6が設けられている。
【0017】
また、装置本体2の上面には、装置の電源をオン・オフするための電源ボタン7が設けられており、更にキーボード3とは別に、写真画像の画像処理や印刷処理などに対応する装置本体2の後方からでも操作が可能な複数の入力キーを備えたキー操作部8が配置されている。このキー操作部8には、ワープロモードや写真画像印刷モードのそれぞれのモードを設定するモード設定キー9a、9b、表示部6に表示されるカーソルを移動制御するためのカーソルキー10、表示画面上での種々の選択決定などを行うための決定キー11、印刷を指示するための印刷キー12が設けられている。
【0018】
図2に示すように、装置本体2の背面には、装置本体2内に通じる給紙口13及び排紙口14が設けられ、この給紙口13及び排紙口14に対応して給紙トレイ15及び排紙トレイ16が設けられている。また、装置本体2の背面には、複数種類のメモリカード17の装着が可能なカードスロット18a〜18dが設けられている。カードスロット18a〜18dのいずれかにメモリカード17が装着されると、メモリカード17の端子がカードスロット18a〜18d内に配設されているコネクタ端子に接続し、これにより、メモリカード17内の画像データが印刷装置1側に読み出し可能となる。
【0019】
図3及び図4は、印刷装置1の内部の構成の説明図である。図3及び図4において、ピックアップローラ20は、不図示のモータにより反時計方向に回転駆動され、給紙トレイ15に重ねて収容された印刷用紙50を最上部より1枚ずつ印刷装置1内に繰り込む。このとき、ピックアップローラ20の下部に配置された給紙レバー21が、不図示の駆動機構により給紙トレイ15の底部の先端付近で、印刷用紙50の先端部を突き上げてピックアップローラ20に向けて押圧する。
【0020】
また、第1の搬送路22は、上記のように取り込んだ印刷用紙50の搬送を案内するためのものであり、この搬送路22の端部には印刷用紙50の搬送を行うための駆動ローラ23a及び加圧ローラ23bからなる搬送ローラ対23が配置されている。また、搬送路22の途中には、第1の紙センサ25が設けられている。また、第2の搬送路26は、第1の搬送路22を経て搬入された印刷用紙50が、その搬送方向を、図4に示すように反転したときに、その印刷用紙50の印刷から装置本体2外への搬出までの搬送を案内するためのものであり、この搬送路26の途中にはインクジェット方式の印刷機構が配置されている。
【0021】
この印刷機構は、ガイドレール27に沿って印刷用紙50の搬送方向と直交する方向に往復移動するキャリッジ28を備え、このキャリッジ28には、印刷ヘッド29が搭載されている。印刷ヘッド29は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、B(ブラック)の各色インクをそれぞれ吐出する複数のノズルを備えている。またキャリッジ28には、前記各色のインクが充填されたインクカートリッジ30a〜30dが搭載されている。また、排紙口14に臨む第2の搬送路26の終端部には、印刷後の印刷用紙50を排出するためにピックアップローラ20に当接して従動する点接ローラ33が設けられている。
【0022】
次に、印刷装置1の印刷動作について説明する。印刷開始の指示があると、図3に示すように、ピックアップローラ20が反時計方向に回転駆動され、このピックアップローラ20が給紙レバー21と協働して印刷用紙50を第1の搬送路22に向けて給紙する。ピックアップローラ20によって第1の搬送路22を搬送される印刷用紙50は、搬送ローラ対23に搬送を受け継がれる。搬送を受け継がれた印刷用紙50は、その後端近部が搬送ローラ対23の位置に達するまで、搬送ローラ対23によって更に搬送される。印刷用紙50が第1の搬送路22を搬送される過程で第1の紙センサ25が印刷用紙50を検知しており、印刷用紙50の後端が第1の紙センサ25の位置を抜けたところから所定の距離だけ搬送されたところで、搬送ローラ対23の駆動ローラ23aの時計方向の回転が停止される。
【0023】
次に、図4に示すように、駆動ローラ23aが反時計方向に回転すると、印刷用紙50は搬入時とは逆に後端側を先端として第2の搬送路26を排紙口14に向けて搬送される。この第2の搬送路26を搬送される印刷用紙50の先端側が、第2の紙センサ31によって検知されたことに基づいて、キャリッジ28の移動が開始され、印刷ヘッド29が印字駆動されて印刷用紙50に対して印刷が行われる。印刷が終了すると、印刷用紙50はピックアップローラ20と点接ローラ33によって排紙口14を介して装置外部の排紙トレイ16上に排出される。
【0024】
図5は印刷装置1のブロック図である。この印刷装置の電子回路には、コンピュータであるCPUからなる制御部35が備えられる。制御部35は、キーボード3からのキー操作信号に応じてROM36に予め記憶されているシステムプログラム、あるいはCD−ROMなどの外部記憶媒体40からその記憶媒体読み取り部41を介して内部メモリに読み込まれた装置制御プログラム、あるいは外部通信ネットワークN上のWebサーバ42から通信制御部43を介して内部メモリに読み込まれた装置制御プログラムを起動させ、RAM37をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。この制御部35には、キーボード3、表示部6、プリンタ部45、ROM36、RAM37、付加画像メモリ38が接続される。前記プリンタ部45はインクジェットプリンタで構成される。
【0025】
また、制御部35には、メモリカード制御部46及び表示部6の表示画面上に設けられるタッチパネル47が接続される。メモリカード制御部46は、デジカメの写真画像を記録したメモリカードが着脱されるメモリカードコネクタ48を介して写真画像の画像データを取り込んで、その取り込んだ画像データを制御部35に転送する回路である。
【0026】
ROM36には、本発明に係る写真画像に付加画像を貼り付けて写真画像を装飾する印刷物を印刷するためのプログラム、及びプリンタ部45によって行われる印刷処理に関するプログラムが記憶されている。また、この印刷装置1で使用可能な複数種類の用紙のアスペクト比の情報が記憶されている。また、RAM37には、キーボード3から入力された文字データ、あるいはタッチパネル47から入力された手書きの画像データが記憶される入力データメモリ、取り込まれた写真画像の画像データが記憶される画像データメモリ、写真画像や付加画像の印刷パターンデータ(印刷データ)が記憶される印刷データメモリ、表示部6に表示されるパターンデータが記憶される表示データメモリの各領域が確保され、印刷処理などに必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタなどが設けられている。また、付加画像メモリ38には、写真画像上に貼り付けるための各種の図形からなる付加画像の画像データが予め記憶されている。また、写真画像と付加画像を合成するための処理領域が設けられている。
【0027】
図6は、画像合成処理及びその合成された画像の印刷処理を説明するフローチャートである。図6において、先ず、メモリカード制御部46により、メモリカードコネクタ48を介してメモリカード17からサムネイル画像データが読み出され、読み出されたサムネイル画像データにより複数のサムネイル画像が表示部6に表示され、ユーザにより写真画像(第1の画像)の選択が行われる(S1)。選択された写真画像の画像データがメモリカード17から取り込まれてRAM37に記憶されるとともに、選択された写真画像が表示部6に表示される(S2)。
【0028】
次に、ユーザが付加画像メモリ38に予め記憶されている複数の付加画像のうちから所望の付加画像を選択し、その選択した付加画像をカーソルキーの操作により表示部6に表示されている写真画像上の所望の位置に移動させて写真画像に対する付加画像の貼付位置を指定する(S3)。付加画像は、付加画像メモリ38に予め記憶されている付加画像の画像データの他に、ユーザによりキーボード3から入力された文字データによる文字画像のデータ、あるいはタッチパネル47から手書き入力された手書きの画像データが使用される。この付加画像の貼付位置の指定により、その付加画像の種類、サイズ及び写真画像上の貼付位置のデータがRAM37に記憶される。付加画像の貼付位置の指定があると、写真画像の画像データ上の貼付位置に付加画像の画像データが貼り付けられて、写真画像の画像データと付加画像の画像データが合成される(S4)。
【0029】
続いて、キーボード3の印刷キー12が操作されて印刷開始の指示があると(S5)、給紙トレイ15から給紙される印刷用紙50の種類が第1の紙センサ25によって検出され、その用紙検出情報がRAM37に設定される(S6)。印刷用紙50には用紙の種類に応じた識別マークが予め印刷されており、そのマークの検出により用紙の種類の識別が可能になっている。この用紙の設定に基づいて、設定された印刷用紙50のアスペクト比がROM36に記憶してある用紙情報を参照して判断される(S7)。そして、設定された用紙のアスペクト比及び写真画像のアスペクト比に応じて、写真画像に付加画像が貼り付けた画像を前記印刷用紙50に印刷するべくリサイズ処理が行われる(S8)。
【0030】
次に、リサイズされた画像において、その画像の印刷用紙50に対する印刷領域から付加画像が食み出すか否か判定される(S9)。この判定で付加画像の食み出しありの場合、前記リサイズされた画像の前記印刷領域内に付加画像が収まるように処理が行われる(S10)。そして、その処理された画像の印刷データが生成され、プリンタ部45によって設定された印刷用紙50に印刷が行われる(S11)。また、S9の判定が付加画像の食み出しなしの場合、S10の処理をスキップしてS8でリサイズ処理された画像の印刷データが生成され、その印刷データに基づいて設定された印刷用紙50に対して印刷が行われる(S10)。
【0031】
図7は図6のS10による付加画像に対する処理を示すフローチャートである。また、図8は写真画像の元画像に付加画像を貼り付けた状態の説明図、図8乃至図15は付加画像に欠けが生じる場合に付加画像に対する処理を行う例の説明図である。なお、説明図では、写真画像の元画像のアスペクト比が3:4で、その写真画像を印刷するL判の印刷用紙50のアスペクト比が3:4.3であり、写真画像と印刷用紙50の横方向を対応させるものであって、写真画像の縦方向の上下両端部に写真画像が印刷用紙50から食み出して印刷ができない非印刷領域が生じる場合を例としている。
【0032】
図7において、図6のS9の付加画像の食み出しがあるとの判定を受けて(S9のY)、その付加画像の前記印刷領域からの食み出しが写真画像の上部又は下部の非印刷領域のみか否かが判断される(S101)。図8は図6のS4の処理で元画像の写真画像A1に付加画像B1を貼付した状態を示している。また、図9は図6のS8の処理によって図8に示す付加画像B1を貼付した写真画像A1のアスペクト比と印刷用紙50のアスペクト比に応じて写真画像A1を印刷用紙50に印刷するべくリサイズした画像を示しており、A2はリサイズした写真画像、B2はリサイズした付加画像を示し、印刷用紙50のサイズを破線で示している。この破線で示す印刷用紙50に対応する領域がリサイズした写真画像A2の印刷領域Dとなる。すなわち、印刷用紙50に写真画像A2の全体を収めて印刷することができず、写真画像A2の上下両端部に印刷が不可能な非印刷領域Cが生じる。この非印刷領域Cを除いた領域Dが印刷領域となる。図9では、付加画像B2の一部が非印刷領域Cに食み出しており、このまま印刷を行うと、付加画像B2が欠けた印刷結果となる。
【0033】
図9の例では、S101において、付加画像B2の食み出しは上部の非印刷領域Cのみであることが判断される(S101のY)。次に、前記印刷領域Dの端部から非印刷領域Cに食み出す付加画像B2の食み出し量が算出される。この食み出し量は、前記印刷領域Dの端部位置から付加画像B2の食み出し部分の最も外側の端部の位置までのデータによって算出される(S102)。図9の例では、食み出し量は「a」である。次に、付加画像B2を前記印刷領域D内に向けて、少なくとも食み出し量分だけ移動可能か否かが判断される(S103)。図9の場合では、付加画像B2の最も内側の端部位置と下部の非印刷領域Cとの境界位置までが食み出し量より大きいため、移動可能と判断される。移動可能であれば(S103のY)、少なくとも食み出し量分だけ、好ましくは食み出し量より若干大きな量だけ付加画像B2を印刷領域D内に向けて移動して写真画像A2に付加画像B2を貼り付け(S104)、図6のS11にリターンする。図10は食み出し量「a」より幾分大きな「b」の量だけ付加画像B2を移動した例を示している。
【0034】
また、S103において、付加画像B2の食み出し量だけ付加画像B2を印刷領域D内に向けて移動することができないと判断された場合(S103のN)、付加画像B2を縮小して印刷領域D内に貼り付ける(S106)。図11は他の例を示しており、この場合、付加画像B2の上部の非印刷領域Cへの食み出し量は「c」であり、下部の非印刷領域Cの境界との間に「d」の量の隙間が存在する。「c」が「d」より小さい場合は、図12に示すように、付加画像B2のサイズを変更することなく印刷領域D内に移動することが可能であるが、「c」が「d」より大きい場合には付加画像B2を印刷領域D内に向けて移動すると、反対側に食み出すことになるため、その場合には、図13に示すように、付加画像B2のサイズを縮小して印刷領域D内に配置するようにする。
【0035】
また、S101において、付加画像B1の食み出しが上部又は下部の一方の非印刷領域Cに生じるものではない場合、すなわち上下両方の非印刷領域Cに生じる場合(S101のN)、それぞれの食み出し量を算出し(S105)、それらの食み出し量に基づいて適宜な縮小率によって付加画像B2を縮小して印刷領域D内に貼り付ける(S106)。図14は、更に他の例を示しており、この場合、付加画像B2の上部の非印刷領域Cへの食み出し量は「e」であり、下部の非印刷領域Cへの食み出し量は「f」である。そして、これらの食み出しを解消するべく縮小率を設定して図15に示すように付加画像B2の縮小を行い、印刷領域D内に配置する。
【0036】
このように、所定サイズの印刷用紙に対して印刷を行うべく写真画像上に付加画像を貼り付けて画像を合成する場合、付加画像の写真画像に対する貼付位置を良好に設定して付加画像が欠けることなく印刷領域内に収まるようにすることができる。
【0037】
なお、上記実施の形態では、写真画像の上下両端部に印刷不可能な領域が生じたが、印刷用紙と写真画像のアスペクト比の関係から写真画像の左右両端部に印刷不可能な領域が生じる場合もある。その場合にも同様にして本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置(印刷装置)の正面側から見た外観斜視図。
【図2】その画像処理装置の背面側から見た外観斜視図。
【図3】その画像処理装置の内部構造を示す説明図。
【図4】その画像処理装置の内部構造を示す説明図。
【図5】その画像処理装置のブロック図。
【図6】画像処理及び印刷処理を説明するフローチャート。
【図7】画像処理及び印刷処理を説明するフローチャート。
【図8】写真画像と付加画像の説明図。
【図9】写真画像に貼り付ける付加画像の処理の説明図。
【図10】写真画像に貼り付ける付加画像の処理の説明図。
【図11】写真画像に貼り付ける付加画像の処理の説明図。
【図12】写真画像に貼り付ける付加画像の処理の説明図。
【図13】写真画像に貼り付ける付加画像の処理の説明図。
【図14】写真画像に貼り付ける付加画像の処理の説明図。
【図15】写真画像に貼り付ける付加画像の処理の説明図。
【符号の説明】
【0039】
1…画像処理装置(印刷装置)
2…装置本体
3…キーボード
6…表示部
17…メモリカード
35…制御部(CPU)
36…ROM
37…RAM
38…付加画像メモリ
50…印刷用紙
A1、A2…写真画像
B1、B2…付加画像
C…非印刷領域
D…印刷領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像上に第2の画像を貼り付ける画像処理装置であって、
前記第1の画像及び前記第2の画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示される第1の画像上に前記第2の画像の貼付位置を指定する貼付位置指定手段と、
前記貼付位置指定手段によって指定された貼付位置にしたがって、前記第2の画像を前記第1の画像に貼り付ける貼付手段と、
印刷のための用紙を設定する用紙設定手段と、
前記用紙設定手段によって設定された用紙及び前記第1の画像のアスペクト比に応じて、前記第1の画像に前記第2の画像が貼り付けられた画像を前記設定された用紙に印刷するべくリサイズするリサイズ手段と、
前記リサイズ手段によってリサイズされた画像の前記設定された用紙に対する印刷領域から前記第2の画像が食み出すか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記第2の画像の食み出しが判定された場合、前記リサイズされた画像の前記印刷領域内に第2の画像が収まるように処理する処理手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記処理手段は、
前記リサイズされた画像の前記印刷領域の端部から、その印刷領域外に食み出す第2の画像の外側の端部までの食み出し量を算出する食み出し量算出手段と、
前記リサイズされた画像において、少なくとも前記食み出し量算出手段によって算出された食み出し量に対応した移動量だけ第2の画像の貼付位置を前記印刷領域内に向けて移動して第2の画像を第1の画像上に貼り付ける貼付位置移動手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記リサイズされた画像において、第2の画像を縮小して前記印刷領域内に配置する画像縮小手段を備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記処理手段は、
前記リサイズされた画像の前記印刷領域の端部から、その印刷領域外に食み出した第2の画像の外側の端部までの食み出し量を算出する食み出し量算出手段と、
前記リサイズされた画像において、少なくとも前記食み出し量算出手段によって算出された食み出し量に対応した移動量だけ第2の画像の貼付位置を前記印刷領域内に向けて移動した場合に、第2の画像が前記印刷領域内に収まるか否か判断する判断手段と、
前記判断手段によって第2の画像が前記印刷領域内に収まると判断された場合、前記リサイズされた画像において、少なくとも前記食み出し量に対応した移動量だけ第2の画像の貼付位置を前記印刷領域内に向けて移動して第2の画像を第1の画像上に貼り付け、前記判断手段によって第2の画像が前記印刷領域内に収まらないと判断された場合、前記リサイズされた画像において、第2の画像を縮小して前記印刷領域内に配置する画像処理手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
更に、前記判定手段によって前記第2の画像の食み出しが判定された場合、前記処理手段によって処理された画像を前記用紙設定手段によって設定された用紙に印刷し、前記判定手段によって前記第2の画像の食み出しが判定されない場合、前記リサイズされた画像を前記用紙設定手段によって設定された用紙に印刷する印刷手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4記載の印刷装置。
【請求項6】
第1の画像上に第2の画像を貼り付ける画像処理方法であって、
前記第1の画像及び前記第2の画像を表示する表示工程と、
前記表示工程に表示される第1の画像上に前記第2の画像の貼付位置を指定する貼付位置指定工程と、
前記貼付位置指定工程によって指定された貼付位置にしたがって、前記第2の画像を前記第1の画像に貼り付ける貼付工程と、
印刷のための用紙を設定する用紙設定工程と、
前記用紙設定工程によって設定された用紙及び前記第1の画像のアスペクト比に応じて、前記第1の画像に前記第2の画像が貼り付けられた画像を前記設定された用紙に印刷するべくリサイズするリサイズ工程と、
前記リサイズ工程によってリサイズされた画像の前記設定された用紙に対する印刷領域から前記第2の画像が食み出すか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程によって前記第2の画像の食み出しが判定された場合、前記リサイズされた画像の前記印刷領域内に第2の画像が収まるように処理する処理工程と、
を備えることを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−82926(P2010−82926A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253360(P2008−253360)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】