説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】アップコンバート前の元画像の解像度を高精度に判定する。
【解決手段】本発明の画像処理装置100は、スケーリングされた画像を取得し、設定された再スケーリング率で前記画像を再スケーリングする再スケーリング部102と、再スケーリング後の画像からブロックサイズを検出するブロック境界情報検出部104と、指定された再スケーリング率とブロック境界情報検出部104で検出されたブロックサイズとに基づいて、スケーリングされる前の元画像のフォーマットを推定する推定処理部122と、推定処理部122で推定された元画像のフォーマットに基づいて画像処理を行う画像処理部110と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時においては、例えばテレビ受像機(TV)等の映像処理において、「オート」、「インテリジェント」などのメニュー項目で示されるような、自動で画質を制御する機能が普及している。
【0003】
また、例えば下記の特許文献1には、任意の倍率でスケーリングが行われた場合に、ブロックサイズ及びブロック境界を高精度に検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−11094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動画質制御では、映像に付随する情報や、映像信号を解析した結果によって画質制御処理を適したモードや設定に動的に変更するなどして映像シーンに最適な制御が行われる。例えばスポーツ、シネマ、アニメなどのコンテンツの種類に応じて画質処理設定を最適化したり、映像信号の輝度分布によってコントラスト処理を制御する。また、映像の周波数分布状態によってシャープネス等の信号強調処理設定を変える制御を行なう。
【0006】
これらの動的な画質処理制御において、画像の解像度は重要な要素となる。しかし、例えば水平方向1920画素(dot)×垂直方向1080画素(dot)の解像度の大画面TVなどにおいて、入力されている映像が1920画素×1080画素の解像度で作成されたものとは限らない。例えば、DVDプレイヤーが480iフォーマット(水平720画素、垂直480画素のインタレース映像)をアップコンバートして1920画素×1080画素の解像度のプログレッシブ映像としてTVの外部入力に入力する場合等が考えられる。
【0007】
また、録画機器では、352画素×240画素の低解像度でデータ容量を抑えるものがあったり、コンテンツによってはオーサリングの過程でDVDやブルーレイディスク(Blu−rayDisk)であっても、元画像の解像度は様々なものが混入していることがある。これらがHDMIやComponentなどの外部入力として画像処理装置に入力された場合、元画像の解像度を判別または推定することは困難である。
【0008】
そして、これらのアップコンバートされた映像がTVへ入力されると、周波数特性が異なることにより、シャープネス等の画像処理が効果的に機能しなかったり、ブロックノイズが拡大されたりする。このため、ブロックノイズリダクションなどの機能の効果が減少してしまうなどの問題が生じる。
【0009】
また、映像の周波数特性などを解析し、最適な画質制御を行なうテレビ受像機等も知られているが、映像の変動が激しいシーンや、異なる周波数特性の映像信号が混在しているようなシーンでは分析が困難なケースがある。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、元画像の解像度を高精度に判定することが可能な、新規かつ改良された画像処理装置及び画像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、スケーリングされた画像を取得し、設定された再スケーリング率で前記画像を再スケーリングする再スケーリング部と、前記再スケーリング後の画像からブロックサイズを検出するブロック境界情報検出部と、前記再スケーリング率と前記ブロック境界情報検出部で検出されたブロックサイズとに基づいて、スケーリングされる前の元画像のフォーマットを推定する推定処理部と、前記推定処理部で推定された前記元画像のフォーマットに基づいて画像処理を行う画像処理部と、を備える画像処理装置が提供される。
【0012】
また、前記再スケーリング率を設定するとともに、前記ブロック境界検出部で前記ブロックサイズが検出されなかった場合は、前記再スケーリング率を再設定する制御部を備えるものであってもよい。
【0013】
また、前記ブロック境界情報検出部は、前記再スケーリング後の画像のブロックノイズのサイズから前記ブロックサイズを検出するものであってもよい。
【0014】
また、前記ブロック境界情報検出部は、デジタル放送規格を含む伝送用のフォーマット又はディスク状記録媒体の記録フォーマットに基づいて前記ブロックサイズを検出するものであってもよい。
【0015】
また、前記画像処理部は、前記元画像のフォーマットに基づいてシャープネス処理又はブロックノイズリダクション処理を行うものであってもよい。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、スケーリングされた画像を取得し、設定された再スケーリング率で前記画像を再スケーリングするステップと、前記再スケーリング後の画像からブロックサイズを検出するステップと、前記ブロックサイズが検出された場合、前記再スケーリング率と前記ブロック境界情報検出部で検出されたブロックサイズとに基づいて、スケーリングされる前の元画像のフォーマットを推定するステップと、前記推定された前記元画像のフォーマットに基づいて画像処理を行うステップと、を備える画像処理方法が提供される。
【0017】
また、前記ブロックサイズが検出されなかった場合、前記再スケーリング率を再設定して前記画像を再スケーリングするステップを備えるものであってもよい。
【0018】
また、前記ブロックサイズを検出するステップにおいて、前記再スケーリング後の画像のブロックノイズのサイズから前記ブロックサイズを検出するものであってもよい。
【0019】
また、前記ブロックサイズを検出するステップにおいて、前記ブロック境界情報検出部は、デジタル放送規格を含む伝送用のフォーマット又はディスク状記録媒体の記録フォーマットに基づいて前記ブロックサイズを検出するものであってもよい。
【0020】
また、前記画像処理を行うステップにおいて、前記元画像のフォーマットに基づいてシャープネス処理又はブロックノイズリダクション処理を行うものであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、元画像の解像度を高精度に判定することが可能な画像処理装置及び画像処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の構成例を示す断面図である。
【図2】元画像の水平解像度と、水平解像度を1920画素に拡大した場合のマクロブロックサイズ(水平画素数)と、元画像の入力例を示す模式図である。
【図3】図1の画像処理装置で行われる処理を示すフローチャートである。
【図4】再スケーリング部にて設定される再スケーリング率と、推定可能な水平解像度との関係を示す模式図である。
【図5】シャープネス処理(エッジ強調処理)を元画像のサイズに応じて変更する例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.画像処理装置の構成例
2.元画像の水平解像度と、水平解像度を1920画素に拡大した場合のマクロブロックサイズとの関係について
3.画像処理装置における処理
4.各種画像処理部における画像処理の例
【0025】
1.画像処理装置の構成例
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る画像処理装置100の構成例について説明する。本実施形態では、上述した特許文献1の技術を用いて検出したMPEG圧縮時に生じるブロックノイズのサイズを用いて、アップコンバートされている映像に対しても元画像フォーマット(解像度)を判定できるようにする。図1は、画像処理装置100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、画像処理装置100は、再スケーリング部102、ブロック境界情報検出部104、検出情報補正部106、ブロックノイズ低減処理部108、各種画像処理部110、制御部120、推定処理部122を有して構成される。
【0026】
画像処理装置100の再スケーリング部102には、元画像を所定のスケーリング率でスケーリングすることにより解像度変換やIP変換(インターレース−プログレッシブ変換)が行われた画像データ(以下、入力画像という)、が入力される。ここで、元画像は、BSデジタル放送フォーマット、地上デジタル放送フォーマット等により規定された画像データである。また、元画像は、ブルーレイディスク、若しくはDVDやHDDなどの記録媒体に記録されている圧縮された記録信号が読み出されて、デコードされることにより得られた画像データである。
【0027】
再スケーリング部102は、元画像に対して解像度変換やIP変換などのスケーリングが行われた入力画像を取得する。再スケーリング部102は、制御部120から指定される再スケーリング率で入力画像を再度スケーリングし、入力画像のサイズおよび構造を、スケーリング前の元画像のサイズおよび構造に戻す。制御部120による再スケーリング率の設定については、後で詳細に説明する。そして、再スケーリング部102は、再度スケーリングを行うことにより得られた入力画像(以下、再スケーリング画像という)をブロック境界情報検出部104に供給する。
【0028】
より詳細には、再スケーリング部102に入力される入力画像は、解像度変換やIP変換が行われた元画像である。従って、図2に示すように、入力画像の垂直方向のブロックサイズ(以下、垂直ブロックサイズという)は、元画像の解像度、エンコード時の条件、およびIP変換の有無によって変化する。
【0029】
ブロック境界情報検出部104は、再スケーリング部102から供給された再スケーリング画像から、デコード前にエンコードされていた状態におけるDCT(Discrete Cosine Transform)処理される単位であるブロックサイズ、ブロック境界位置、および信頼度を検出する。そして、ブロック境界情報検出部104は、検出されたブロックサイズと信頼度をブロックサイズ情報として検出情報補正部106に供給するとともに、ブロック境界位置の情報をブロック境界位置情報として検出情報補正部106に供給する。
【0030】
ブロック境界情報検出部104におけるブロックサイズの検出は、特許文献1に記載されている方法と同様に行うことができる。ここでは、注目画素と注目画素の水平方向に隣接する複数の画素の画素値を用い、画素値のピークを判定することによってブロックサイズを検出する。例えば、ブロックノイズが、最初のピークとして検出される位置から8画素毎に検出される場合、水平ブロックサイズが8画素の画像がブロック境界情報判定部104に入力されたものと判断できる。
【0031】
検出情報補正部106は、入力画像とともに画像処理装置100に入力されたスケーリング率に基づいて、ブロック境界情報検出部104からの情報が表すブロックサイズとブロック境界位置を補正する。そして、検出情報補正部106は、補正後のブロックサイズ情報およびブロック境界位置情報を、入力画像のブロックサイズ情報およびブロック境界位置情報としてブロックノイズ低減処理部108に供給する。
【0032】
ブロックノイズ低減処理部108は、検出情報補正部106より供給されてくるブロックサイズ情報およびブロック境界位置情報に基づいて、入力画像に対するブロックノイズ低減処理の強度を適応的に変化させて、入力画像のブロックノイズを低減する。そして、ブロックノイズ低減処理部108は、ブロックノイズを低減したブロックノイズ低減処理画像を出力画像として出力する。
【0033】
なお、再スケーリング部102、ブロック境界情報検出部104、検出情報補正部106、及びブロックノイズ低減処理部108における基本的な処理は、前述した特許文献1と同様である。
【0034】
一般的に、MPEG圧縮におけるブロックノイズは、圧縮の単位であるマクロブロックサイズ単位で発生し、通常、8×8画素(dot)のサイズとなる。このため、デコード直後の映像内のブロックサイズは8×8画素であり、1920画素×1080画素の解像度で収録されたブルーレイディスク(Blu−ray Disk)映像をフルHD(FullHD:1920画素×1080画素の解像度)のテレビ受像機(TV)に表示した場合、内部の映像信号処理過程においてもブロックサイズは8×8画素のままである。このため、そのブロック境界を平滑化するなどしてブロックノイズリダクション処理を行なうことができる。
【0035】
一方、拡大された映像が画像処理装置100に入力されると、ブロックサイズが変わってしまい、効果的なブロックノイズリダクションを行うことができない。このため、特許文献1に記載された技術では、図1に示すように、ブロック境界情報検出部104の前段に再スケーリング部102を設けている。そして、様々な縮小率で画像を縮小した状態でブロック境界を検出することで、アップコンバートされた映像でもブロック境界を検出できるようにしている。
【0036】
2.元画像の水平解像度と、水平解像度を1920画素に拡大した場合のマクロブロックサイズとの関係について
本実施形態では、特許文献1の技術を利用して、アップコンバートされた映像の元フォーマット(解像度)を判定する。図2は、元画像の水平解像度と、水平解像度を1920画素に拡大した場合のマクロブロックサイズ(水平画素数)と、元画像の入力例を示す模式図である。
【0037】
図2に示すように、BSデジタル放送フォーマット、ブルーレイディスクからデコードされた映像等においては、元画像の水平解像度は1920画素であるため、水平解像度を1920画素に拡大した場合のマクロブロックサイズ(水平画素数)は“8”である。また、地上デジタル放送フォーマット等においては、水平解像度は1440画素であるため、水平解像度を1920画素に拡大した場合のマクロブロックサイズ(水平画素数)は“10.67”である。
【0038】
同様に、元画像の水平解像度が1280画素の場合、水平解像度を1920画素に拡大した場合のマクロブロックサイズ(水平画素数)は“12”であり、元画像の水平解像度が720画素の場合、水平解像度を1920画素に拡大した場合のマクロブロックサイズ(水平画素数)は“21.3”である。また、元画像の水平解像度が640画素の場合、水平解像度を1920画素に拡大した場合のマクロブロックサイズ(水平画素数)は“24”であり、元画像の水平解像度が544画素の場合、水平解像度を1920画素に拡大した場合のマクロブロックサイズ(水平画素数)は“28.23”である。従って、 ブロック境界情報検出部104がこれらのマクロブロックサイズを検出する機能を備えることで、元画像の解像度(元画像のフォーマット)を検出することが可能である。
【0039】
3.画像処理装置における処理
以下、図1及び図3に基づいて処理の詳細について説明する。図3は、図1の画像処理装置100で行われる処理を示すフローチャートである。先ず、ステップS10では、制御部120が再スケーリング部102に対して、アップコンバートされる可能性のある元の解像度まで入力画像を縮小するため、再スケーリング率を設定する。処理の初期段階では、再スケーリング率として複数の選択肢が考えられるが、対応すべきフォーマット、地域などから使用される可能性のある放送規格を選択するなどして優先順位を与え、複数の再スケーリング率を順次に設定する。ここで選択する再スケーリング率については、ブロック境界情報検出部104で検出できるブロックサイズに依存する。
【0040】
図4は、再スケーリング部102にて設定される再スケーリング率と、推定可能な水平解像度との関係を示す模式図である。ここでは、一例として、水平解像度を用いて判定を行うものとし、ブロック境界情報検出部104で検出できるブロックサイズが“8”であるものとする。この場合、再スケーリング率を1/1.0倍の縮小率とすると、1920画素の解像度を検出することができる。また、再スケーリング率を1/1.33倍、1/1.5倍の縮小率とすると、それぞれ1440画素の解像度、1280画素の解像度を検出することができる。他の解像度(=x)でブロック境界を検出するためには、再スケーリング率をx/1920倍に指定する。
【0041】
ステップS12において、制御部120は、再スケーリング率を図4に示す1/1.0倍、1/1.33倍、1/1.5倍、1/2.0倍の縮小率に順次設定する。ここでは、最初に1/1.0倍に設定するものとする。
【0042】
次に、ステップS14では、ブロック境界情報検出部104よりブロック境界情報を取得する。この時点でブロック境界が検出できていなければステップS12に戻り、他の可能性のある解像度に縮小するスケーリング率を再スケーリング部102に再び設定しなおす。例えば、元画像の解像度が1440画素の場合、再スケーリング率を1/1.0倍に設定すると、ブロック境界情報検出部104において、水平ブロックサイズが“10.67”となる。このとき、ブロック境界情報検出部104で検出できるブロックサイズが“8”の場合、ブロック境界を検出することができない。従って、この場合は、ステップS10に戻り、制御部120によって再スケーリング率が1/1.33倍に設定される。
【0043】
一方、ステップS12において、ブロック境界情報検出部104よりブロック境界情報を取得し、ブロック境界が検出できている場合は、更に「ブロック境界サイズ」を取得する。例えば、元画像の解像度が1440画素の場合、再スケーリング率が1/1.33倍に設定された状態では、水平ブロックサイズが“8”となり、ブロック境界情報検出部104ではブロック境界を検出できる。従って、推定処理部122は、ブロック境界情報検出部104より水平ブロックサイズ(ブロック境界サイズ)“8”を取得する。取得されたブロックサイズ
“8”は、推定処理部122へ送られる。
【0044】
このように、ブロック境界が検出できるまで、ステップS10、ステップS12の処理を繰り返す。ブロック境界が検出できた場合、再スケーリング画像に対して検出情報補正部106、ブロックノイズ低減処理部108による処理が行われる。この際、ブロックノイズリダクション処理としては、特許文献1に記載されている通りに、検出情報補正部108以降の後段の処理を続行し、検出できたブロック境界情報に従ってブロックノイズリダクション処理を行なう。
【0045】
ステップS12でブロック境界が検出されると、ステップS14へ進む。ステップS14では、推定処理部122において、現在の「再スケーリング率」と、検出された「ブロック境界サイズ」からアップコンバート前の画像フォーマットを推定する。例えば、現在の再スケーリング率が1/1.33倍であり、水平ブロックサイズが“8”と検出された場合、図4に基づいて、アップコンバート前の元画像の水平解像度が“1440”と推定される。また、現在の再スケーリング率が1/1.5倍であり、水平ブロックサイズが“8”と検出された場合、図4に基づいて、アップコンバート前の元画像の水平解像度が“1280”と推定される。
【0046】
ステップS14の後はステップS16へ進む。ステップS16では、各種画像処理部110に対して、推定したアップコンバート前の画像フォーマットが、入力画像としてアップコンバートされているものとして、最適な画像処理を行なう。推定処理部122は、制御部120の制御により、推定した元画像の水平解像度を各種画像処理部110へ送る。これにより、元画像の解像度に基づいて、各種画像処理部110の処理内容に応じた様々な制御を最適に行うことができる。例えば、各種画像処理部10がシャープネス処理を行う場合は、周波数特性にアップコンバートの影響を加味してフィルタ係数や処理モードを切り替える処理を行うことができる。また、ブロックノイズリダクション処理としては、拡大したブロックサイズを考慮した処理を行なうことができる。また低減しにくくなったブロックノイズを強調しないようシャープネスを弱めたりするようなことが可能である。
【0047】
上述した例では、ブロック境界情報検出部104で検出できるブロックサイズが“8”である場合について説明したが、ブロック境界情報検出部104で検出できるブロックサイズがより多い場合は、より多くの水平解像度のフォーマットを判定することができる。
【0048】
例えば、ブロック境界情報検出部104がブロックサイズ“8”に加えてブロックサイズ“21.33”も検出できる場合は、より多くの水平解像度のフォーマットを判定することができる。この場合、図4に示すように、再スケーリング率を1/1.0倍に設定することで、ブロックサイズ“8”を検出した場合は元画像の水平解像度が“1920”であると判定できる。また、ブロックサイズ“21.33”を検出した場合は元画像の水平解像度が“720”であると判定できる。また、再スケーリング率を1/1.33倍に設定することで、ブロックサイズ“8”を検出した場合は元画像の水平解像度が“1440”であると判定でき、ブロックサイズ“21.33”を検出した場合は元画像の水平解像度が“540”であると判定できる。また、再スケーリング率を1/1.5倍に設定することで、ブロックサイズ“8”を検出した場合は元画像の水平解像度が“1280”であると判定できる。また、再スケーリング率を1/2.0倍に設定することで、ブロックサイズ“21.33”を検出した場合は元画像の水平解像度が“360”であると判定できる。従って、この場合、元画像の水平解像度が“1920”,“1440”,“1280”,“720”,“540”,“360”の6通りのフォーマットに対応することができる。
【0049】
より多くのブロックサイズを検出可能とするためには、ハードウェア、ソフトウェア(HW/SW)の実装のために製造コストの上昇が想定される。また、ステップS10、ステップS12の処理を繰り返すことにより、元画像のフォーマットを検出までの時間が長くなり、検出速度が低下する。このため、画像処理装置100が推定できるように対応したいフォーマットと検出速度とを考慮して、ブロック境界情報検出部104が検出可能なブロックサイズを決定する。ここで、検出速度は、再スケーリング部102における再スケーリング率の設定処理と、ブロック境界情報検出部104及び推定処理部122におけるブロック境界検出の探索処理(ステップS10,S12)とに応じて定めることができる。
【0050】
4.各種画像処理部における画像処理の例
図5は、シャープネス処理を元画像のサイズに応じて変更する例を示している。アップコンバートされた画像では、元画像のサイズが小さいほど画像がボケる傾向がある。このため、図5に示すように、元画像のサイズが小さいほど例えばエッジ強調の強度を強くしたり、信号の周波数特性に応じたフィルタ処理を選択することで高画質化を行うことが可能である。
【0051】
このように、アップコンバート前の元画像の画像フォーマットを推定することで、最適な高画質化処理を行なうことができる。ブロックノイズは画面全体に規則性をもって現れるため、元画像のフォーマットを検出することで、画像処理の信頼度を大幅に高めることができる。また、画像の周波数解析などの結果と合わせることで、より精度の高い映像フォーマットの推定が可能となる。
【0052】
以上説明したように本実施形態によれば、アップコンバートされた映像であっても元画像フォーマットを推定することができる。そして、推定したアップコンバート前の画像フォーマットに基づいて、各種高画質化処理において最適な制御を行なうことが可能となる。従って、元画像のフォーマットに応じた最適な処理を行うことで、より高画質の画像を得ることが可能となる。
【0053】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0054】
100 画像処理装置
102 再スケーリング部
104 ブロック境界情報検出部
110 各種画像処理部
120 制御部
122 推定処理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スケーリングされた画像を取得し、設定された再スケーリング率で前記画像を再スケーリングする再スケーリング部と、
前記再スケーリング後の画像からブロックサイズを検出するブロック境界情報検出部と、
前記再スケーリング率と前記ブロック境界情報検出部で検出されたブロックサイズとに基づいて、スケーリングされる前の元画像のフォーマットを推定する推定処理部と、
前記推定処理部で推定された前記元画像のフォーマットに基づいて画像処理を行う画像処理部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記再スケーリング率を設定するとともに、前記ブロック境界検出部で前記ブロックサイズが検出されなかった場合は、前記再スケーリング率を再設定する制御部を備える、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ブロック境界情報検出部は、前記再スケーリング後の画像のブロックノイズのサイズから前記ブロックサイズを検出する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ブロック境界情報検出部は、デジタル放送規格を含む伝送用のフォーマット又はディスク状記録媒体の記録フォーマットに基づいて前記ブロックサイズを検出する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記元画像のフォーマットに基づいてシャープネス処理又はブロックノイズリダクション処理を行う、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
スケーリングされた画像を取得し、設定された再スケーリング率で前記画像を再スケーリングするステップと、
前記再スケーリング後の画像からブロックサイズを検出するステップと、
前記ブロックサイズが検出された場合、前記再スケーリング率と前記ブロック境界情報検出部で検出されたブロックサイズとに基づいて、スケーリングされる前の元画像のフォーマットを推定するステップと、
前記推定された前記元画像のフォーマットに基づいて画像処理を行うステップと、
を備える画像処理方法。
【請求項7】
前記ブロックサイズが検出されなかった場合、前記再スケーリング率を再設定して前記画像を再スケーリングするステップを備える、請求項6に記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記ブロックサイズを検出するステップにおいて、前記再スケーリング後の画像のブロックノイズのサイズから前記ブロックサイズを検出する、請求項6に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記ブロックサイズを検出するステップにおいて、前記ブロック境界情報検出部は、デジタル放送規格を含む伝送用のフォーマット又はディスク状記録媒体の記録フォーマットに基づいて前記ブロックサイズを検出する、請求項6に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記画像処理を行うステップにおいて、前記元画像のフォーマットに基づいてシャープネス処理又はブロックノイズリダクション処理を行う、請求項6に記載の画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−19380(P2012−19380A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155599(P2010−155599)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】