画像処理装置及び画像処理方法
【課題】記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りを緩和しつつ、色域を拡大することを目的とする。
【解決手段】使用色組み合わせ取得部52は、色変換後データに基づき、各階調値において使用されるインク色の組み合わせを取得する。二値化部53は、色変換後データに対する二値化処理を実行する。割り当てパターン格納部54は、インク色の組み合わせ毎に設定された複数のパスマスクパターンを格納している。割り当てパターン選択部55は、割り当てパターン格納部54に格納されている複数のパスマスクパターンを参照し、使用色組み合わせ取得部52により取得されたインク色の組み合わせに基づき、割り当てるパスマスクパターンを選択する。割り当て部56は、割り当てパターン選択部55により選択されたパスマスクパターンを、二値化部53による二値化処理後のデータに対して割り当てる。
【解決手段】使用色組み合わせ取得部52は、色変換後データに基づき、各階調値において使用されるインク色の組み合わせを取得する。二値化部53は、色変換後データに対する二値化処理を実行する。割り当てパターン格納部54は、インク色の組み合わせ毎に設定された複数のパスマスクパターンを格納している。割り当てパターン選択部55は、割り当てパターン格納部54に格納されている複数のパスマスクパターンを参照し、使用色組み合わせ取得部52により取得されたインク色の組み合わせに基づき、割り当てるパスマスクパターンを選択する。割り当て部56は、割り当てパターン選択部55により選択されたパスマスクパターンを、二値化部53による二値化処理後のデータに対して割り当てる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる色の色材を複数重ねて画像を形成する画像処理装置及び画像処理方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
画像及び文字等の情報を記録媒体に記録するための画像処理装置には様々な方式のものがあり、代表例の一つとして、インクジェット方式の画像処理装置(インクジェット画像処理装置)が知られている。インクジェット画像処理装置は、色材(インク)の小滴を記録素子より吐出し記録媒体に付着させることで記録を行う。
インクジェット画像処理装置では、いわゆる染料インク及び顔料インクの2種類が広く用いられている。染料インクは、水に溶解する染料を色材として含有し、顔料インクは、水に溶解しない粒子状の顔料を色材として含有する。近年、顔料インクが染料インクよりも耐候性に優れるという特性及びプリント直後の色安定性が染料インクに比べて良いという特性に着目し、顔料インクを用いるインクジェット画像処理装置が増加してきている。
顔料インクは、上述のように粒子状の顔料の色材を含むため、記録媒体上に画像を形成する際、記録媒体の内部へは浸透せず、記録媒体の表面に残存しやすい傾向がある。つまり、顔料インクは、いわゆる上乗せ系のインクである。このため、異なる色の複数の顔料インクを記録媒体に記録すると、それらインクの重なり順を制御することで色域拡大が可能であることが知られている。色域拡大を実現する技術として、特許文献1に、相対的に明度(透過率)の低いインクに対し、相対的に明度の高いインクを上層(表面側)に記録(定着)することで、発色特性の低下を低減し色再現範囲を拡大する画像形成の技術が記載されている。上記技術は、インクジェットのマルチパス記録における各パスにおける記録比率をいわゆるパスマスクを用いてインク色毎に異ならせることでインク色の記録順を制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−162094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マルチパス記録にてパスマスクの記録比率をインク色毎に異ならせる画像処理方法では、各記録素子の使用頻度に偏りが生じる。このため、ヘッド寿命の短期化、温度分布の偏りによるドット着弾特性の変動等の諸問題が発生しやすい。
ここで、例えば、イエロー(Y)及びブラック(K)を記録可能な記録素子列が各色1列ずつ、同一の記録素子列長で並行に配置された記録ヘッドを用いて画像を形成する場合において、イエローのインク層を下層とし、ブラックのインク層を上層とする事例を説明する。このときの記録素子列とパスマスクとの関係を図14に示す。イエロー及びブラックの記録素子列は夫々8個ずつの記録素子を有しており、各記録素子に対応するパスマスクを用いて2パスで記録を行う。パスマスクにおける白で塗り潰したデータは、パスマスク適用前の二値データ(ドットを記録する/しないを表すハーフトーンパターン)をマスキング(遮断)し、黒で塗り潰したデータは、パスマスク適用前の二値データをマスキングしない。マルチパス記録の前半である1パス目では、イエローを記録する記録素子列の前半部分の記録素子(図14中下側の4つの記録素子)を用いて記録を行う。そして、マルチパス記録の後半である2パスにおいて、ブラックを記録する記録素子列の後半部分の記録素子(図14中上側の4つの記録素子)を用いて記録を行う。上記記録により、イエローのインク層が下層側となり、ブラックのインク層が上層側となる画像を形成することができる。また、記録ヘッドを用いてマルチパス記録を行う際の記録ヘッドと記録媒体との相対的な位置関係を図15に示す。マルチパス記録の説明をわかりやすくするため、ここでは、記録ヘッドを記録媒体に対して走査毎に図15中の下方向に移動させつつ、画像を形成する様子を示している。実際には、一般的なマルチパス記録では、記録ヘッドを走査させる毎に、記録素子列長よりも短い長さで記録媒体を送りつつ、画像を走査毎に間引きながら記録することで画像を完成させている。
このようなマルチパス記録を行う場合、イエローを記録する記録素子列の後半部分(図14中の上側の4つの記録素子)、及びブラックを記録する記録素子列の前半部分(図14中の下側の4つの記録素子)は、用いられることがない。つまり、イエロー又はブラックを記録する夫々の記録素子列において、各記録素子列の前半部分又は後半部分のいずれか一方のみが常に記録に用いられ、他方は常に記録に用いられないことになる。このように、各記録素子の使用頻度に偏りが生じるため、ヘッド寿命の短期化、温度分布の偏りによるドット着弾特性の変動等の諸問題が発生しやすい。
また、従来の技術には、記録に使用する記録素子の数を制限するため、全記録素子を用いて記録を行う場合よりも、プリント速度が低下してしまうという課題もある。
【0005】
本発明は、記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りを緩和しつつ、色域を拡大することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像処理装置は、記録媒体に色材を形成する複数の記録素子列を有する記録ヘッドを、主走査方向に前記記録媒体と相対的に走査させるとともに、前記記録ヘッドの走査毎に、前記主走査方向と交差する副走査方向に対し前記記録媒体を搬送させつつ複数回の走査をもって記録媒体に画像を形成するための画像処理装置であって、入力された画像データを、複数色の色材の色材データに変換する色変換手段と、前記色材データに基づき、記録に使用する色材の色の組み合わせを取得する取得手段と、前記色の組み合わせの夫々に対し、前記色材データを前記複数回の走査の各々のデータへと割り当てるための複数の割り当てパターンを格納する格納手段と、前記色の組み合わせに基づき、前記複数の割り当てパターンの中から一つの割り当てパターンを選択する選択手段と、前記選択手段により選択された割り当てパターンを用いて、前記色材データを、前記複数回の走査での各データへと割り当てる割り当て手段と、を有し、前記格納手段に格納された複数の割り当てパターンの間で、前記取得手段によって取得される色の組み合わせの夫々において、前記記録媒体に対する各色の色材の記録順が同一となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りを緩和しつつ、色域を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】インクジェット記録装置の構造を示す図である。
【図2】インクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】インクジェット記録装置の機能的な構成を示す機能構成図である。
【図4】インクジェット記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】各色のインクを全て用いる場合に使用する記録素子を示す図である。
【図6】マルチパス記録により形成された画像の断面を示す図である。
【図7】4パスのマルチパス記録を行う場合のパスマスクパターンを示す図である。
【図8】8パスのマルチパス記録を行う場合のパスマスクパターンを示す図である。
【図9】パスマスクパターンの候補の例を示す図である。
【図10】パスマスクパターンの候補の他の例を示す図である。
【図11】インクジェット記録装置の機能的な構成を示す機能構成図である。
【図12】インクジェット記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】記録素子の使用頻度及びパスマスクパターンの使用比率を示す図である。
【図14】記録素子列とパスマスクとの関係を示す図である。
【図15】記録ヘッドと記録媒体との相対的な位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
[インクジェット記録装置の構造]
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置(画像処理装置)の構造を示す図である。搬送部1030は、筐体1008の長手方向に沿って配置され、記録紙1028を矢印Pの方向に間欠的に搬送する。記録部1010は、移動駆動部1006により、方向Pに略直交する矢印Sの方向に配置されたガイド軸1014に沿って往復運動する。
移動駆動部1006は、所定の間隔で対向配置された回転軸に軸支されたプーリ1026a及び1026b、プーリ1026bの軸に連結するキャリッジモータ1018、並びにプーリ1026aと1026bとの間に張架されたベルト1016を有する。ベルト1016は、記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されている。従って、キャリッジモータ1018の正転/逆転によりベルト1016を駆動して、ローラユニット1022a及び1022bに略平行に、記録部1010を順方向/逆方向に自在に移動させることができる。
キャリッジモータ1018が作動し、プーリ1026bが矢印Rの方向に回転すると、ベルト1016の追動により、記録部1010は、矢印Sの方向に所定の移動量だけ移動する。また、キャリッジモータ1018が作動し、プーリ1026bが矢印Rと逆方向に回転すると、ベルト1016の追動により、記録部1010は、矢印Sと逆方向に所定の移動量だけ移動する。
回復ユニット1024は、筐体1008の長手方向の一端部、かつ、キャリッジ部材1010aのホームポジション位置に配置される。回復ユニット1024は、記録部1010の吐出回復処理を行うために、記録部1010のインク吐出口の配列に対向して配置される。
記録部1010は、複数色、例えば4色のインク(色材)を夫々収容するインクジェットカートリッジ(以下、単に「カートリッジ」という)1012Y、1012M、1012C、及び1012Kを有する。各カートリッジは、例えば、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの顔料を含む顔料インク(有色インク)を収容し、キャリッジ部材1010aに着脱自在に係合する。各カートリッジに収容されたインクは夫々、図示しない記録ヘッドに供給され、画像データに従い記録ヘッドから吐出することで、画像が形成される。具体的には、前記記録ヘッドを主走査方向に記録媒体と相対的に走査させるとともに、走査毎に主走査方向と交差する副走査方向に対し記録媒体を搬送させつつ複数回の走査をもって画像が形成される。
【0010】
[制御系の構成]
図2はインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
マイクロプロセッサである中央処理装置(CPU:central processing unit)402は、メモリ403のランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)領域をワークメモリとして、メモリ403の不揮発性メモリ領域に格納された制御プログラムに従い、インクジェット記録装置400の各種機能、動作を制御する。
インクジェット記録装置400は、所定のインタフェイスを介して、外部装置であるホストコンピュータ2000と接続する。受信バッファ401は、ホストコンピュータ2000が出力する印刷すべき画像を表す画像データ等を受信する。CPU402は、画像データを正常に受信したか否かを示す信号及びインクジェット記録装置400の動作状態を示す信号等を、受信バッファ401を介してホストコンピュータ2000に送信する。
CPU402は、受信バッファ401が受信したデータをメモリ403のRAM領域に一時的に格納する。メモリ403の不揮発性メモリ領域は、例えば、インクジェット記録装置400が行う記録動作及び回復動作用の制御プログラム、画像データをインク値に変換する色変換テーブル、並びにマルチパス記録用のマスクパターン等を格納する。
機械コントロール部404は、CPU402の制御により、キャリッジモータ1018及びラインフィードモータ(不図示)等を含む機械部405の動作を制御する。
センサ/SWコントロール部406は、CPU402の制御により、各種センサ及びスイッチ(SW)を含むセンサ/SW部407を制御し、センサ/SW部407から受信した信号をCPU402に転送する。
表示コントロール部408は、CPU402の制御により、LED(light emitting diode)及び/又は液晶表示装置(LCD:liquid crystal display)等を含む表示部409の表示動作を制御する。
記録ヘッドコントロール部410は、CPU402の制御により、記録ヘッド411を制御し、記録ヘッド411の状態(例えば温度)を検出して、検出した状態をCPU402に通知する。
【0011】
[インクジェット記録装置の機能的な構成]
図3は第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の機能的な構成を示す機能構成図である。
図3に示すように、インクジェット記録装置400には、色変換部51、使用色組み合わせ取得部52、二値化部53、割り当てパターン格納部54、割り当てパターン選択部55、割り当て部56、及び画像形成部57が設けられている。これらは、主としてCPU402及びメモリ403等から構成されている。
色変換部51は、入力画像データに基づき、各階調での各インク色の打ち込み量を、色材データである色変換後データ(CMYKデータ)に変換する。
使用色組み合わせ取得部52は、色変換後データに基づき、各階調値において使用されるインク色の組み合わせを取得する。
二値化部53は、色変換後データに対する二値化処理を実行する。
割り当てパターン格納部54は、上記のインク色の組み合わせ毎に設定された複数のパスマスクパターンを格納している。割り当てパターン格納部54としては、例えばメモリ403又は記録媒体(CD−ROM等)等が用いられる。
割り当てパターン選択部55は、割り当てパターン格納部54に格納されている複数のパスマスクパターンを参照し、使用色組み合わせ取得部52により取得されたインク色の組み合わせに基づき、割り当てるパスマスクパターンを選択する。
割り当て部56は、割り当てパターン選択部55により選択されたパスマスクパターンを、二値化部53による二値化処理後のデータに対して割り当てる。つまり、割り当て部56はパスマスク割り当て処理を実行する。
画像形成部57は、割り当て部56によるパスマスク割り当て処理後のデータから画像を形成する。
【0012】
[インクジェット記録装置の動作(画像処理方法)]
図4は第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の動作を示すフローチャートである。この動作により画像が形成される。
先ず、ステップS601において、インクジェット記録装置400に入力される入力画像データ(RGBデータ)を受信バッファ401が取得する。入力画像データはホストコンピュータ2000により提供される。
次いで、ステップS602において、ステップS601で取得した入力画像データに基づき、色変換部51が、各階調での各インク色の打ち込み量を色変換後データ(CMYKデータ)へと変換する。なお、色変換処理の前に、カラーマッチング処理が行われてもよい。
その後、ステップS603において、二値化部53が、色変換後データに対する二値化処理を実行する。二値化処理の手法としては、誤差拡散法、ディザ法、INDEX法等の任意の手法を用いることができる。
【0013】
また、ステップS602後には、ステップS604において、使用色組み合わせ取得部52が、色変換後データに基づき、各階調値において使用されるインク色の組み合わせを取得する。例えば、色変換後データとして、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の値が夫々、10%、20%、0%、0%のデータで、シアンとマゼンタのみ使用される場合は、使用するインク色の組み合わせを(C,M)と表す。その他の例として、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの値が夫々、40%、20%、30%、30%のデータである場合には、使用するインク色の組み合わせを(C,M,Y,K)と表す。インク色の全組み合わせは、(C)、(M)、(Y)、(K)、(C,M)、(C,Y)、(C,K)、(M,Y)、(M,K)、(Y,K)、(C,M,Y)、(C,M,K)、(C,Y,K)、(M,Y,K)、(C,M,Y,K)の15通り存在する。
次いで、ステップS605において、割り当てパターン選択部55が、割り当てパターン格納部54に格納されている複数のパスマスクパターンを参照する。そして、割り当てパターン選択部55は、ステップS606において、ステップS604で取得されたインク色の組み合わせに基づき、割り当てるパスマスクパターンを選択する。
【0014】
ステップS603及びステップ606の後、ステップS607において、割り当て部56が、ステップS606で選択されたパスマスクパターンを用いて、二値化処理後のデータに対するパスマスク割り当て処理を実行する。
その後、ステップS608において、画像形成部57が、パスマスク割り当て処理後のデータから画像を形成する。
【0015】
図5は、各色のインクを全て用いてマルチパス記録を実行する場合に使用する記録素子を示す図である。この各色のインクを全て用いてマルチパス記録を実行する場合のインク色の組み合わせは、(C,M,Y,K)となる。図5には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクを用いて、各色とも8つの記録素子を備えた記録ヘッドを、4パスにて記録する場合を示している。このとき、記録に使用する記録素子は、夫々のインク色で2つずつであり、図5中において斜線又は塗りつぶした状態で表現している。2つの記録素子幅ずつ記録媒体を移動させつつ、画像を記録ヘッドの走査毎に間引きながら記録することで画像を完成させる。なお、マルチパス記録の説明をわかりやすくするため、図5中では、記録ヘッドを記録媒体に対して走査毎に図5中の下方向に移動させつつ画像を形成する処理を示している。
図6は、図5のマルチパス記録により形成された画像の断面の一例を示す図である。図5に示すマルチパス記録が行われると、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの順に記録される。そのため、断面が、下層から、上層にかけて、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの順に層状になるように画像が形成される。
図7は、図5のマルチパス記録を4パスにて行う場合のパスマスクパターンの一例を示す図である。各色のパスマスクパターンにおける図7中の縦方向の8つの画素の夫々が、夫々の色を記録する8つの記録素子に対応している。このとき、パスマスクパターンにおける黒い部分がドットを記録する(マスクをしない)画素、白い部分がドットを記録しない(マスクをする)画素を表している。二値化データとこのパスマスクパターンのAND演算を行うことで、各パスで記録するドットが決定される。図7よりわかるように、4パスの記録を、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの順に各パスにおいては1色のみ記録するようにパスマスクパターンが構成されている。つまり、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの記録順が同一となっている。
図8は、図5のマルチパス記録を8パスにて行う場合のパスマスクパターンの一例を示す図である。図7と同様に、各色のパスマスクパターンにおける図8中の縦方向の8つの画素の夫々が、夫々の色を記録する8つの記録素子に対応している。この場合、8パスのパスマスクパターンにおいて、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色が夫々2パスずつ記録される。
【0016】
図14に示す従来の技術では、図7及び図8に示すような所定のインクの記録順で層状に画像を形成可能なパスマスクパターンを、いずれの階調に対しても同様に適用している。本実施形態では、画像の階調毎にその階調を記録するのに使用されるインク色の組み合わせを取得し、その組み合わせに基づき、所定のインクの記録順が保持された複数のパスマスクパターンの中から使用するパスマスクを切り替えるのである。ここで、この切り替えの処理について更に説明する。
【0017】
図9は、イエローのみで画像を形成する場合のパスマスクパターンの複数の候補を示す図である。この場合のインク色の組み合わせは、(Y)となる。なお、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの全てのインク色にて画像を形成する通常の画像形成時のパスマスクパターンは、図9中の上側に示すものとなる。一方、イエローのみで画像を形成する場合は、図9中の下側に示す複数のパスマスクパターンのうちから、いずれかのパスマスクパターンに切り替えられる。イエローのみで画像を形成する際には、各色の記録順を考慮する必要がないため、(C,M,Y,K)での画像形成時には使用しないイエローを記録する記録素子を使用することができる。よって、記録素子の記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りが緩和される。ここでは、例として、7通りのパスパスクパターンが図示されているが、その他のパスマスクパターンを候補としてもよい。
このようなパスマスクパターンの切り替えでは、割り当てパターン格納部54に格納された順番に従って割り当てパターン選択部55により一つのパスマスクパターンが選択される。
【0018】
図10は、イエロー及びマゼンタの2色で画像を形成する場合のパスマスクパターンの複数の候補を示す図である。この場合のインク色の組み合わせは、(M,Y)となる。図9と同様に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの全てのインク色にて画像を形成する際のパスマスクパターンは、図10中の上側に示すものとなる。一方、イエロー及びマゼンタの2色のみで画像を形成する際には、図10中の下側に示す複数のパスマスクパターンのうちから、いずれかのパスマスクパターンに切り替えられる。イエロー及びマゼンタの2色のみで画像を形成する際には、シアン及びブラックの記録順を考慮せずに、イエロー及びマゼンタの記録順のみを考慮すればよい。そのため、イエローが先に記録され、マゼンタが後に記録されればよいので、全てのインク色にての画像を形成する際には使用しないイエロー又はマゼンタを記録する記録素子を使用することができる。よって、記録素子の記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りが緩和される。
このようなパスマスクパターンの切り替えでは、イエローが用いられる場合と同様に、割り当てパターン格納部54に格納された順番に従って割り当てパターン選択部55により一つのパスマスクパターンが選択される。
【0019】
このように、本実施形態によれば、インクジェット記録装置(画像処理装置)に搭載する記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りを緩和しつつ色域を拡大することができる。
また、本実施形態によれば、プリント速度を向上することもできる。例えば、図9に示す例のように、(C,M,Y,K)のインク色の組み合わせで記録する場合は、イエローの記録素子8個のうち、2つのみを用いるが、(Y)のみの場合は、上記(C,M,Y,K)の場合には使用しない6個の記録素子も使用可能である。そのため、(Y)のみを記録する場合には、最大で4倍(全8つの記録素子を使用)にプリント速度を向上することが可能である。
【0020】
なお、使用するインク色の組み合わせは(C,M,Y,K)、(Y)、(Y,M)の3通りに限定されず、他の組み合わせが選択された場合にも、同様の効果を得ることができる。
また、インクの色数、記録素子数、パス数も上記のものに限定されず、任意の値であってよい。
なお、一般的に、パスマスクパターンは、例えば64×64、128×128等、ある有限なサイズを有するため、パスマスクパターンの適用前の二値データに対して、繰り返し対応付けてパスマスク処理が適用される。本実施形態では、使用するインク色の組み合わせを参照する場合、パスマスクパターンのサイズに対応付けて、その都度、使用色の組み合わせを取得することができる。但し、パスマスクパターンのサイズと、使用色の組み合わせとを取得する際の二値データにおける領域サイズは、必ずしも一致している必要はない。すなわち、パスマスクパターンのサイズに制限されることなく、使用色組み合わせを取得する際の二値データにおける領域サイズを決定することができる。
【0021】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、割り当てパターン選択部55におけるパターンの選択処理が第1の実施形態と相違している。
第1の実施形態では、上述のように、パスマスクパターンの切り替えの際に、割り当てパターン選択部55が、割り当てパターン格納部54に格納された順番に従って一つのパスマスクパターンを選択している。これに対し、第2の実施形態では、パスマスクパターンの切り替えの際に、別途発生させた乱数に基づき、割り当てパターン選択部55が、割り当てパターン格納部54に格納された複数のパスマスクパターンのうちから一つのパスマスクパターンを選択する。
例えば、候補となるパスマスクパターンが4通り存在する場合、0.0以上1.0以下の実数値を発生させる乱数発生器を備える。そして、割り当てパターン選択部55は、乱数発生器の出力が0.0以上0.25未満の場合は1番目、0.25以上0.5未満の場合は2番目、0.5以上0.75未満の場合は3番目、0.75以上1.0未満の場合は4番目のパスマスクパターンを選択する。
乱数としては、発生させる乱数毎に相関及び関連性がない一様乱数、及び一様乱数と見なすことができる疑似乱数等の任意の乱数を用いることができ、記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りが緩和するように、乱数発生器を設計すればよい。
他の構成及び動作は、第1の実施形態と同様である。
【0022】
このような第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。つまり、記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りを緩和しつつ色域を拡大することができ、また、プリント速度を向上することができる。
【0023】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、割り当てパターン選択部55におけるパターンの選択処理が第1の実施形態及び第2の実施形態と相違している。
図11は第3の実施形態に係るインクジェット記録装置の機能的な構成を示す機能構成図である。図11に示すように、第1の実施形態と同様に、色変換部51、使用色組み合わせ取得部52、二値化部53、割り当てパターン格納部54、割り当てパターン選択部55、割り当て部56、及び画像形成部57が設けられている。第3の実施形態には、更に、記録素子使用頻度取得格納部60が含まれている。
記録素子使用頻度取得格納部60は、記録ヘッドの全記録素子に対して、その記録素子が使用された使用頻度を取得し、メモリ403等へ格納する。
【0024】
図12は第3の実施形態に係るインクジェット記録装置の動作を示すフローチャートである。この動作により画像が形成される。
先ず、第1の実施形態と同様に、ステップS601〜ステップS603の処理が行われる。また、ステップS602の後には、第1の実施形態と同様に、ステップS604〜S605の処理が行われる。ステップS605の後、割り当てパターン選択部55は、ステップS606において、ステップS604で取得されたインク色の組み合わせ及び後述の記録素子が使用された使用頻度に基づき、割り当てるパスマスクパターンを選択する。
【0025】
ステップS603及びステップ606の後、第1の実施形態と同様に、ステップS607〜S608の処理が行われる。
また、ステップS607の後には、ステップS610において、記録素子使用頻度取得格納部60が、記録ヘッドの全記録素子に対して、その記録素子が使用された使用頻度を取得し、メモリ403等へ格納する。この使用頻度が、ステップS606において割り当てパターン選択部55により参照される。
【0026】
図13は、第3の実施形態における各記録素子の使用頻度、及び候補となる複数のパスマスクパターンの使用比率の一例を示す図である。図13(a)は、8個の記録素子を有する記録素子列において、各記録素子の使用頻度を表している。図13(b)は、割り当てパターン格納部54に格納される複数のパスマスクパターンの候補における各記録素子の使用比率を表している。各記録素子の使用比率の総和が100%となるように設計されている。
図13に示す例では、図13(a)に示すように、記録素子No.1及びNo.2が高頻度で使用されている。このような場合、割り当てパターン選択部55は、ステップS606において、記録素子No.3〜No.8が記録素子No.1及びNo.2よりも高頻度で使用されるようにパスマスクパターンを切り替える。例えば、図13(a)において、記録素子No.3及びNo.4の使用頻度が最も小さいため、複数のパスマスクパターンのうちから、記録素子No.3及びNo.4の使用比率が最も多くなるパターン3が割り当てパターン選択部55により選択される。その他の場合においても、各記録素子の使用頻度ができるだけ平均化されるように、つまり、各記録素子の使用頻度の相違が減少するように、適用するパスマスクパターンを選択することで、各記録素子の使用頻度の偏りを緩和することができる。
他の構成及び動作は、第1の実施形態と同様である。
【0027】
このような第2の実施形態によっても、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。つまり、記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りを緩和しつつ色域を拡大することができ、また、プリント速度を向上することができる。
【0028】
本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウェア(プログラム)をパーソナルコンピュータ等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる色の色材を複数重ねて画像を形成する画像処理装置及び画像処理方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
画像及び文字等の情報を記録媒体に記録するための画像処理装置には様々な方式のものがあり、代表例の一つとして、インクジェット方式の画像処理装置(インクジェット画像処理装置)が知られている。インクジェット画像処理装置は、色材(インク)の小滴を記録素子より吐出し記録媒体に付着させることで記録を行う。
インクジェット画像処理装置では、いわゆる染料インク及び顔料インクの2種類が広く用いられている。染料インクは、水に溶解する染料を色材として含有し、顔料インクは、水に溶解しない粒子状の顔料を色材として含有する。近年、顔料インクが染料インクよりも耐候性に優れるという特性及びプリント直後の色安定性が染料インクに比べて良いという特性に着目し、顔料インクを用いるインクジェット画像処理装置が増加してきている。
顔料インクは、上述のように粒子状の顔料の色材を含むため、記録媒体上に画像を形成する際、記録媒体の内部へは浸透せず、記録媒体の表面に残存しやすい傾向がある。つまり、顔料インクは、いわゆる上乗せ系のインクである。このため、異なる色の複数の顔料インクを記録媒体に記録すると、それらインクの重なり順を制御することで色域拡大が可能であることが知られている。色域拡大を実現する技術として、特許文献1に、相対的に明度(透過率)の低いインクに対し、相対的に明度の高いインクを上層(表面側)に記録(定着)することで、発色特性の低下を低減し色再現範囲を拡大する画像形成の技術が記載されている。上記技術は、インクジェットのマルチパス記録における各パスにおける記録比率をいわゆるパスマスクを用いてインク色毎に異ならせることでインク色の記録順を制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−162094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マルチパス記録にてパスマスクの記録比率をインク色毎に異ならせる画像処理方法では、各記録素子の使用頻度に偏りが生じる。このため、ヘッド寿命の短期化、温度分布の偏りによるドット着弾特性の変動等の諸問題が発生しやすい。
ここで、例えば、イエロー(Y)及びブラック(K)を記録可能な記録素子列が各色1列ずつ、同一の記録素子列長で並行に配置された記録ヘッドを用いて画像を形成する場合において、イエローのインク層を下層とし、ブラックのインク層を上層とする事例を説明する。このときの記録素子列とパスマスクとの関係を図14に示す。イエロー及びブラックの記録素子列は夫々8個ずつの記録素子を有しており、各記録素子に対応するパスマスクを用いて2パスで記録を行う。パスマスクにおける白で塗り潰したデータは、パスマスク適用前の二値データ(ドットを記録する/しないを表すハーフトーンパターン)をマスキング(遮断)し、黒で塗り潰したデータは、パスマスク適用前の二値データをマスキングしない。マルチパス記録の前半である1パス目では、イエローを記録する記録素子列の前半部分の記録素子(図14中下側の4つの記録素子)を用いて記録を行う。そして、マルチパス記録の後半である2パスにおいて、ブラックを記録する記録素子列の後半部分の記録素子(図14中上側の4つの記録素子)を用いて記録を行う。上記記録により、イエローのインク層が下層側となり、ブラックのインク層が上層側となる画像を形成することができる。また、記録ヘッドを用いてマルチパス記録を行う際の記録ヘッドと記録媒体との相対的な位置関係を図15に示す。マルチパス記録の説明をわかりやすくするため、ここでは、記録ヘッドを記録媒体に対して走査毎に図15中の下方向に移動させつつ、画像を形成する様子を示している。実際には、一般的なマルチパス記録では、記録ヘッドを走査させる毎に、記録素子列長よりも短い長さで記録媒体を送りつつ、画像を走査毎に間引きながら記録することで画像を完成させている。
このようなマルチパス記録を行う場合、イエローを記録する記録素子列の後半部分(図14中の上側の4つの記録素子)、及びブラックを記録する記録素子列の前半部分(図14中の下側の4つの記録素子)は、用いられることがない。つまり、イエロー又はブラックを記録する夫々の記録素子列において、各記録素子列の前半部分又は後半部分のいずれか一方のみが常に記録に用いられ、他方は常に記録に用いられないことになる。このように、各記録素子の使用頻度に偏りが生じるため、ヘッド寿命の短期化、温度分布の偏りによるドット着弾特性の変動等の諸問題が発生しやすい。
また、従来の技術には、記録に使用する記録素子の数を制限するため、全記録素子を用いて記録を行う場合よりも、プリント速度が低下してしまうという課題もある。
【0005】
本発明は、記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りを緩和しつつ、色域を拡大することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像処理装置は、記録媒体に色材を形成する複数の記録素子列を有する記録ヘッドを、主走査方向に前記記録媒体と相対的に走査させるとともに、前記記録ヘッドの走査毎に、前記主走査方向と交差する副走査方向に対し前記記録媒体を搬送させつつ複数回の走査をもって記録媒体に画像を形成するための画像処理装置であって、入力された画像データを、複数色の色材の色材データに変換する色変換手段と、前記色材データに基づき、記録に使用する色材の色の組み合わせを取得する取得手段と、前記色の組み合わせの夫々に対し、前記色材データを前記複数回の走査の各々のデータへと割り当てるための複数の割り当てパターンを格納する格納手段と、前記色の組み合わせに基づき、前記複数の割り当てパターンの中から一つの割り当てパターンを選択する選択手段と、前記選択手段により選択された割り当てパターンを用いて、前記色材データを、前記複数回の走査での各データへと割り当てる割り当て手段と、を有し、前記格納手段に格納された複数の割り当てパターンの間で、前記取得手段によって取得される色の組み合わせの夫々において、前記記録媒体に対する各色の色材の記録順が同一となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りを緩和しつつ、色域を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】インクジェット記録装置の構造を示す図である。
【図2】インクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】インクジェット記録装置の機能的な構成を示す機能構成図である。
【図4】インクジェット記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】各色のインクを全て用いる場合に使用する記録素子を示す図である。
【図6】マルチパス記録により形成された画像の断面を示す図である。
【図7】4パスのマルチパス記録を行う場合のパスマスクパターンを示す図である。
【図8】8パスのマルチパス記録を行う場合のパスマスクパターンを示す図である。
【図9】パスマスクパターンの候補の例を示す図である。
【図10】パスマスクパターンの候補の他の例を示す図である。
【図11】インクジェット記録装置の機能的な構成を示す機能構成図である。
【図12】インクジェット記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】記録素子の使用頻度及びパスマスクパターンの使用比率を示す図である。
【図14】記録素子列とパスマスクとの関係を示す図である。
【図15】記録ヘッドと記録媒体との相対的な位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
[インクジェット記録装置の構造]
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置(画像処理装置)の構造を示す図である。搬送部1030は、筐体1008の長手方向に沿って配置され、記録紙1028を矢印Pの方向に間欠的に搬送する。記録部1010は、移動駆動部1006により、方向Pに略直交する矢印Sの方向に配置されたガイド軸1014に沿って往復運動する。
移動駆動部1006は、所定の間隔で対向配置された回転軸に軸支されたプーリ1026a及び1026b、プーリ1026bの軸に連結するキャリッジモータ1018、並びにプーリ1026aと1026bとの間に張架されたベルト1016を有する。ベルト1016は、記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されている。従って、キャリッジモータ1018の正転/逆転によりベルト1016を駆動して、ローラユニット1022a及び1022bに略平行に、記録部1010を順方向/逆方向に自在に移動させることができる。
キャリッジモータ1018が作動し、プーリ1026bが矢印Rの方向に回転すると、ベルト1016の追動により、記録部1010は、矢印Sの方向に所定の移動量だけ移動する。また、キャリッジモータ1018が作動し、プーリ1026bが矢印Rと逆方向に回転すると、ベルト1016の追動により、記録部1010は、矢印Sと逆方向に所定の移動量だけ移動する。
回復ユニット1024は、筐体1008の長手方向の一端部、かつ、キャリッジ部材1010aのホームポジション位置に配置される。回復ユニット1024は、記録部1010の吐出回復処理を行うために、記録部1010のインク吐出口の配列に対向して配置される。
記録部1010は、複数色、例えば4色のインク(色材)を夫々収容するインクジェットカートリッジ(以下、単に「カートリッジ」という)1012Y、1012M、1012C、及び1012Kを有する。各カートリッジは、例えば、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの顔料を含む顔料インク(有色インク)を収容し、キャリッジ部材1010aに着脱自在に係合する。各カートリッジに収容されたインクは夫々、図示しない記録ヘッドに供給され、画像データに従い記録ヘッドから吐出することで、画像が形成される。具体的には、前記記録ヘッドを主走査方向に記録媒体と相対的に走査させるとともに、走査毎に主走査方向と交差する副走査方向に対し記録媒体を搬送させつつ複数回の走査をもって画像が形成される。
【0010】
[制御系の構成]
図2はインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
マイクロプロセッサである中央処理装置(CPU:central processing unit)402は、メモリ403のランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)領域をワークメモリとして、メモリ403の不揮発性メモリ領域に格納された制御プログラムに従い、インクジェット記録装置400の各種機能、動作を制御する。
インクジェット記録装置400は、所定のインタフェイスを介して、外部装置であるホストコンピュータ2000と接続する。受信バッファ401は、ホストコンピュータ2000が出力する印刷すべき画像を表す画像データ等を受信する。CPU402は、画像データを正常に受信したか否かを示す信号及びインクジェット記録装置400の動作状態を示す信号等を、受信バッファ401を介してホストコンピュータ2000に送信する。
CPU402は、受信バッファ401が受信したデータをメモリ403のRAM領域に一時的に格納する。メモリ403の不揮発性メモリ領域は、例えば、インクジェット記録装置400が行う記録動作及び回復動作用の制御プログラム、画像データをインク値に変換する色変換テーブル、並びにマルチパス記録用のマスクパターン等を格納する。
機械コントロール部404は、CPU402の制御により、キャリッジモータ1018及びラインフィードモータ(不図示)等を含む機械部405の動作を制御する。
センサ/SWコントロール部406は、CPU402の制御により、各種センサ及びスイッチ(SW)を含むセンサ/SW部407を制御し、センサ/SW部407から受信した信号をCPU402に転送する。
表示コントロール部408は、CPU402の制御により、LED(light emitting diode)及び/又は液晶表示装置(LCD:liquid crystal display)等を含む表示部409の表示動作を制御する。
記録ヘッドコントロール部410は、CPU402の制御により、記録ヘッド411を制御し、記録ヘッド411の状態(例えば温度)を検出して、検出した状態をCPU402に通知する。
【0011】
[インクジェット記録装置の機能的な構成]
図3は第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の機能的な構成を示す機能構成図である。
図3に示すように、インクジェット記録装置400には、色変換部51、使用色組み合わせ取得部52、二値化部53、割り当てパターン格納部54、割り当てパターン選択部55、割り当て部56、及び画像形成部57が設けられている。これらは、主としてCPU402及びメモリ403等から構成されている。
色変換部51は、入力画像データに基づき、各階調での各インク色の打ち込み量を、色材データである色変換後データ(CMYKデータ)に変換する。
使用色組み合わせ取得部52は、色変換後データに基づき、各階調値において使用されるインク色の組み合わせを取得する。
二値化部53は、色変換後データに対する二値化処理を実行する。
割り当てパターン格納部54は、上記のインク色の組み合わせ毎に設定された複数のパスマスクパターンを格納している。割り当てパターン格納部54としては、例えばメモリ403又は記録媒体(CD−ROM等)等が用いられる。
割り当てパターン選択部55は、割り当てパターン格納部54に格納されている複数のパスマスクパターンを参照し、使用色組み合わせ取得部52により取得されたインク色の組み合わせに基づき、割り当てるパスマスクパターンを選択する。
割り当て部56は、割り当てパターン選択部55により選択されたパスマスクパターンを、二値化部53による二値化処理後のデータに対して割り当てる。つまり、割り当て部56はパスマスク割り当て処理を実行する。
画像形成部57は、割り当て部56によるパスマスク割り当て処理後のデータから画像を形成する。
【0012】
[インクジェット記録装置の動作(画像処理方法)]
図4は第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の動作を示すフローチャートである。この動作により画像が形成される。
先ず、ステップS601において、インクジェット記録装置400に入力される入力画像データ(RGBデータ)を受信バッファ401が取得する。入力画像データはホストコンピュータ2000により提供される。
次いで、ステップS602において、ステップS601で取得した入力画像データに基づき、色変換部51が、各階調での各インク色の打ち込み量を色変換後データ(CMYKデータ)へと変換する。なお、色変換処理の前に、カラーマッチング処理が行われてもよい。
その後、ステップS603において、二値化部53が、色変換後データに対する二値化処理を実行する。二値化処理の手法としては、誤差拡散法、ディザ法、INDEX法等の任意の手法を用いることができる。
【0013】
また、ステップS602後には、ステップS604において、使用色組み合わせ取得部52が、色変換後データに基づき、各階調値において使用されるインク色の組み合わせを取得する。例えば、色変換後データとして、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の値が夫々、10%、20%、0%、0%のデータで、シアンとマゼンタのみ使用される場合は、使用するインク色の組み合わせを(C,M)と表す。その他の例として、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの値が夫々、40%、20%、30%、30%のデータである場合には、使用するインク色の組み合わせを(C,M,Y,K)と表す。インク色の全組み合わせは、(C)、(M)、(Y)、(K)、(C,M)、(C,Y)、(C,K)、(M,Y)、(M,K)、(Y,K)、(C,M,Y)、(C,M,K)、(C,Y,K)、(M,Y,K)、(C,M,Y,K)の15通り存在する。
次いで、ステップS605において、割り当てパターン選択部55が、割り当てパターン格納部54に格納されている複数のパスマスクパターンを参照する。そして、割り当てパターン選択部55は、ステップS606において、ステップS604で取得されたインク色の組み合わせに基づき、割り当てるパスマスクパターンを選択する。
【0014】
ステップS603及びステップ606の後、ステップS607において、割り当て部56が、ステップS606で選択されたパスマスクパターンを用いて、二値化処理後のデータに対するパスマスク割り当て処理を実行する。
その後、ステップS608において、画像形成部57が、パスマスク割り当て処理後のデータから画像を形成する。
【0015】
図5は、各色のインクを全て用いてマルチパス記録を実行する場合に使用する記録素子を示す図である。この各色のインクを全て用いてマルチパス記録を実行する場合のインク色の組み合わせは、(C,M,Y,K)となる。図5には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクを用いて、各色とも8つの記録素子を備えた記録ヘッドを、4パスにて記録する場合を示している。このとき、記録に使用する記録素子は、夫々のインク色で2つずつであり、図5中において斜線又は塗りつぶした状態で表現している。2つの記録素子幅ずつ記録媒体を移動させつつ、画像を記録ヘッドの走査毎に間引きながら記録することで画像を完成させる。なお、マルチパス記録の説明をわかりやすくするため、図5中では、記録ヘッドを記録媒体に対して走査毎に図5中の下方向に移動させつつ画像を形成する処理を示している。
図6は、図5のマルチパス記録により形成された画像の断面の一例を示す図である。図5に示すマルチパス記録が行われると、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの順に記録される。そのため、断面が、下層から、上層にかけて、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの順に層状になるように画像が形成される。
図7は、図5のマルチパス記録を4パスにて行う場合のパスマスクパターンの一例を示す図である。各色のパスマスクパターンにおける図7中の縦方向の8つの画素の夫々が、夫々の色を記録する8つの記録素子に対応している。このとき、パスマスクパターンにおける黒い部分がドットを記録する(マスクをしない)画素、白い部分がドットを記録しない(マスクをする)画素を表している。二値化データとこのパスマスクパターンのAND演算を行うことで、各パスで記録するドットが決定される。図7よりわかるように、4パスの記録を、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの順に各パスにおいては1色のみ記録するようにパスマスクパターンが構成されている。つまり、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの記録順が同一となっている。
図8は、図5のマルチパス記録を8パスにて行う場合のパスマスクパターンの一例を示す図である。図7と同様に、各色のパスマスクパターンにおける図8中の縦方向の8つの画素の夫々が、夫々の色を記録する8つの記録素子に対応している。この場合、8パスのパスマスクパターンにおいて、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色が夫々2パスずつ記録される。
【0016】
図14に示す従来の技術では、図7及び図8に示すような所定のインクの記録順で層状に画像を形成可能なパスマスクパターンを、いずれの階調に対しても同様に適用している。本実施形態では、画像の階調毎にその階調を記録するのに使用されるインク色の組み合わせを取得し、その組み合わせに基づき、所定のインクの記録順が保持された複数のパスマスクパターンの中から使用するパスマスクを切り替えるのである。ここで、この切り替えの処理について更に説明する。
【0017】
図9は、イエローのみで画像を形成する場合のパスマスクパターンの複数の候補を示す図である。この場合のインク色の組み合わせは、(Y)となる。なお、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの全てのインク色にて画像を形成する通常の画像形成時のパスマスクパターンは、図9中の上側に示すものとなる。一方、イエローのみで画像を形成する場合は、図9中の下側に示す複数のパスマスクパターンのうちから、いずれかのパスマスクパターンに切り替えられる。イエローのみで画像を形成する際には、各色の記録順を考慮する必要がないため、(C,M,Y,K)での画像形成時には使用しないイエローを記録する記録素子を使用することができる。よって、記録素子の記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りが緩和される。ここでは、例として、7通りのパスパスクパターンが図示されているが、その他のパスマスクパターンを候補としてもよい。
このようなパスマスクパターンの切り替えでは、割り当てパターン格納部54に格納された順番に従って割り当てパターン選択部55により一つのパスマスクパターンが選択される。
【0018】
図10は、イエロー及びマゼンタの2色で画像を形成する場合のパスマスクパターンの複数の候補を示す図である。この場合のインク色の組み合わせは、(M,Y)となる。図9と同様に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの全てのインク色にて画像を形成する際のパスマスクパターンは、図10中の上側に示すものとなる。一方、イエロー及びマゼンタの2色のみで画像を形成する際には、図10中の下側に示す複数のパスマスクパターンのうちから、いずれかのパスマスクパターンに切り替えられる。イエロー及びマゼンタの2色のみで画像を形成する際には、シアン及びブラックの記録順を考慮せずに、イエロー及びマゼンタの記録順のみを考慮すればよい。そのため、イエローが先に記録され、マゼンタが後に記録されればよいので、全てのインク色にての画像を形成する際には使用しないイエロー又はマゼンタを記録する記録素子を使用することができる。よって、記録素子の記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りが緩和される。
このようなパスマスクパターンの切り替えでは、イエローが用いられる場合と同様に、割り当てパターン格納部54に格納された順番に従って割り当てパターン選択部55により一つのパスマスクパターンが選択される。
【0019】
このように、本実施形態によれば、インクジェット記録装置(画像処理装置)に搭載する記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りを緩和しつつ色域を拡大することができる。
また、本実施形態によれば、プリント速度を向上することもできる。例えば、図9に示す例のように、(C,M,Y,K)のインク色の組み合わせで記録する場合は、イエローの記録素子8個のうち、2つのみを用いるが、(Y)のみの場合は、上記(C,M,Y,K)の場合には使用しない6個の記録素子も使用可能である。そのため、(Y)のみを記録する場合には、最大で4倍(全8つの記録素子を使用)にプリント速度を向上することが可能である。
【0020】
なお、使用するインク色の組み合わせは(C,M,Y,K)、(Y)、(Y,M)の3通りに限定されず、他の組み合わせが選択された場合にも、同様の効果を得ることができる。
また、インクの色数、記録素子数、パス数も上記のものに限定されず、任意の値であってよい。
なお、一般的に、パスマスクパターンは、例えば64×64、128×128等、ある有限なサイズを有するため、パスマスクパターンの適用前の二値データに対して、繰り返し対応付けてパスマスク処理が適用される。本実施形態では、使用するインク色の組み合わせを参照する場合、パスマスクパターンのサイズに対応付けて、その都度、使用色の組み合わせを取得することができる。但し、パスマスクパターンのサイズと、使用色の組み合わせとを取得する際の二値データにおける領域サイズは、必ずしも一致している必要はない。すなわち、パスマスクパターンのサイズに制限されることなく、使用色組み合わせを取得する際の二値データにおける領域サイズを決定することができる。
【0021】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、割り当てパターン選択部55におけるパターンの選択処理が第1の実施形態と相違している。
第1の実施形態では、上述のように、パスマスクパターンの切り替えの際に、割り当てパターン選択部55が、割り当てパターン格納部54に格納された順番に従って一つのパスマスクパターンを選択している。これに対し、第2の実施形態では、パスマスクパターンの切り替えの際に、別途発生させた乱数に基づき、割り当てパターン選択部55が、割り当てパターン格納部54に格納された複数のパスマスクパターンのうちから一つのパスマスクパターンを選択する。
例えば、候補となるパスマスクパターンが4通り存在する場合、0.0以上1.0以下の実数値を発生させる乱数発生器を備える。そして、割り当てパターン選択部55は、乱数発生器の出力が0.0以上0.25未満の場合は1番目、0.25以上0.5未満の場合は2番目、0.5以上0.75未満の場合は3番目、0.75以上1.0未満の場合は4番目のパスマスクパターンを選択する。
乱数としては、発生させる乱数毎に相関及び関連性がない一様乱数、及び一様乱数と見なすことができる疑似乱数等の任意の乱数を用いることができ、記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りが緩和するように、乱数発生器を設計すればよい。
他の構成及び動作は、第1の実施形態と同様である。
【0022】
このような第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。つまり、記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りを緩和しつつ色域を拡大することができ、また、プリント速度を向上することができる。
【0023】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、割り当てパターン選択部55におけるパターンの選択処理が第1の実施形態及び第2の実施形態と相違している。
図11は第3の実施形態に係るインクジェット記録装置の機能的な構成を示す機能構成図である。図11に示すように、第1の実施形態と同様に、色変換部51、使用色組み合わせ取得部52、二値化部53、割り当てパターン格納部54、割り当てパターン選択部55、割り当て部56、及び画像形成部57が設けられている。第3の実施形態には、更に、記録素子使用頻度取得格納部60が含まれている。
記録素子使用頻度取得格納部60は、記録ヘッドの全記録素子に対して、その記録素子が使用された使用頻度を取得し、メモリ403等へ格納する。
【0024】
図12は第3の実施形態に係るインクジェット記録装置の動作を示すフローチャートである。この動作により画像が形成される。
先ず、第1の実施形態と同様に、ステップS601〜ステップS603の処理が行われる。また、ステップS602の後には、第1の実施形態と同様に、ステップS604〜S605の処理が行われる。ステップS605の後、割り当てパターン選択部55は、ステップS606において、ステップS604で取得されたインク色の組み合わせ及び後述の記録素子が使用された使用頻度に基づき、割り当てるパスマスクパターンを選択する。
【0025】
ステップS603及びステップ606の後、第1の実施形態と同様に、ステップS607〜S608の処理が行われる。
また、ステップS607の後には、ステップS610において、記録素子使用頻度取得格納部60が、記録ヘッドの全記録素子に対して、その記録素子が使用された使用頻度を取得し、メモリ403等へ格納する。この使用頻度が、ステップS606において割り当てパターン選択部55により参照される。
【0026】
図13は、第3の実施形態における各記録素子の使用頻度、及び候補となる複数のパスマスクパターンの使用比率の一例を示す図である。図13(a)は、8個の記録素子を有する記録素子列において、各記録素子の使用頻度を表している。図13(b)は、割り当てパターン格納部54に格納される複数のパスマスクパターンの候補における各記録素子の使用比率を表している。各記録素子の使用比率の総和が100%となるように設計されている。
図13に示す例では、図13(a)に示すように、記録素子No.1及びNo.2が高頻度で使用されている。このような場合、割り当てパターン選択部55は、ステップS606において、記録素子No.3〜No.8が記録素子No.1及びNo.2よりも高頻度で使用されるようにパスマスクパターンを切り替える。例えば、図13(a)において、記録素子No.3及びNo.4の使用頻度が最も小さいため、複数のパスマスクパターンのうちから、記録素子No.3及びNo.4の使用比率が最も多くなるパターン3が割り当てパターン選択部55により選択される。その他の場合においても、各記録素子の使用頻度ができるだけ平均化されるように、つまり、各記録素子の使用頻度の相違が減少するように、適用するパスマスクパターンを選択することで、各記録素子の使用頻度の偏りを緩和することができる。
他の構成及び動作は、第1の実施形態と同様である。
【0027】
このような第2の実施形態によっても、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。つまり、記録ヘッドの各記録素子の使用頻度の偏りを緩和しつつ色域を拡大することができ、また、プリント速度を向上することができる。
【0028】
本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウェア(プログラム)をパーソナルコンピュータ等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に色材を形成する複数の記録素子列を有する記録ヘッドを、主走査方向に前記記録媒体と相対的に走査させるとともに、前記記録ヘッドの走査毎に、前記主走査方向と交差する副走査方向に対し前記記録媒体を搬送させつつ複数回の走査をもって記録媒体に画像を形成するための画像処理装置であって、
入力された画像データを、複数色の色材の色材データに変換する色変換手段と、
前記色材データに基づき、記録に使用する色材の色の組み合わせを取得する取得手段と、
前記色の組み合わせの夫々に対し、前記色材データを前記複数回の走査の各々のデータへと割り当てるための複数の割り当てパターンを格納する格納手段と、
前記色の組み合わせに基づき、前記複数の割り当てパターンの中から一つの割り当てパターンを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された割り当てパターンを用いて、前記色材データを、前記複数回の走査での各データへと割り当てる割り当て手段と、
を有し、
前記格納手段に格納された複数の割り当てパターンの間で、前記取得手段によって取得される色の組み合わせの夫々において、前記記録媒体に対する各色の色材の記録順が同一となっていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記選択手段は、前記格納手段に格納された複数の割り当てパターンの中から、当該格納手段に格納された順に一つの割り当てパターンを選択することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記格納手段に格納された複数の割り当てパターンの中から、ランダムに一つの割り当てパターンを選択することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記選択手段は、前記格納手段に格納された複数の割り当てパターンの中から、前記各記録素子の使用頻度の相違が減少する一つの割り当てパターンを選択することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
記録媒体に色材を形成する複数の記録素子列を有する記録ヘッドを、主走査方向に前記記録媒体と相対的に走査させるとともに、前記記録ヘッドの走査毎に、前記主走査方向と交差する副走査方向に対し前記記録媒体を搬送させつつ複数回の走査をもって記録媒体に画像を形成するための画像処理方法であって、
入力された画像データを、複数色の色材の色材データに変換する色変換ステップと、
前記色材データに基づき、記録に使用する色材の色の組み合わせを取得する取得ステップと、
格納手段に予め格納された、前記色の組み合わせの夫々に対し、前記色材データを前記複数回の走査の各々のデータへと割り当てるための複数の割り当てパターンの中から、一つの割り当てパターンを、前記色の組み合わせに基づき選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択した割り当てパターンを用いて、前記色材データを、前記複数回の走査での各データへと割り当てる割り当てステップと、
を有し、
前記格納手段に予め格納された複数の割り当てパターンの間で、前記取得ステップにおいて取得する色の組み合わせの夫々において、前記記録媒体に対する各色の色材の記録順が同一となっていることを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
記録媒体に色材を形成する複数の記録素子列を有する記録ヘッドを、主走査方向に前記記録媒体と相対的に走査させるとともに、前記記録ヘッドの走査毎に、前記主走査方向と交差する副走査方向に対し前記記録媒体を搬送させつつ複数回の走査をもって記録媒体に画像を形成するための画像処理装置をコンピュータに制御させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
入力された画像データを、複数色の色材の色材データに変換する色変換ステップと、
前記色材データに基づき、記録に使用する色材の色の組み合わせを取得する取得ステップと、
格納手段に予め格納された、前記色の組み合わせの夫々に対し、前記色材データを前記複数回の走査の各々のデータへと割り当てるための複数の割り当てパターンの中から、一つの割り当てパターンを、前記色の組み合わせに基づき選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択した割り当てパターンを用いて、前記色材データを、前記複数回の走査での各データへと割り当てる割り当てステップと、
を実行させ、
前記格納手段に予め格納された複数の割り当てパターンの間で、前記取得ステップにおいて取得する色の組み合わせの夫々において、前記記録媒体に対する各色の色材の記録順が同一となっていることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
記録媒体に色材を形成する複数の記録素子列を有する記録ヘッドを、主走査方向に前記記録媒体と相対的に走査させるとともに、前記記録ヘッドの走査毎に、前記主走査方向と交差する副走査方向に対し前記記録媒体を搬送させつつ複数回の走査をもって記録媒体に画像を形成するための画像処理装置であって、
入力された画像データを、複数色の色材の色材データに変換する色変換手段と、
前記色材データに基づき、記録に使用する色材の色の組み合わせを取得する取得手段と、
前記色の組み合わせの夫々に対し、前記色材データを前記複数回の走査の各々のデータへと割り当てるための複数の割り当てパターンを格納する格納手段と、
前記色の組み合わせに基づき、前記複数の割り当てパターンの中から一つの割り当てパターンを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された割り当てパターンを用いて、前記色材データを、前記複数回の走査での各データへと割り当てる割り当て手段と、
を有し、
前記格納手段に格納された複数の割り当てパターンの間で、前記取得手段によって取得される色の組み合わせの夫々において、前記記録媒体に対する各色の色材の記録順が同一となっていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記選択手段は、前記格納手段に格納された複数の割り当てパターンの中から、当該格納手段に格納された順に一つの割り当てパターンを選択することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記格納手段に格納された複数の割り当てパターンの中から、ランダムに一つの割り当てパターンを選択することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記選択手段は、前記格納手段に格納された複数の割り当てパターンの中から、前記各記録素子の使用頻度の相違が減少する一つの割り当てパターンを選択することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
記録媒体に色材を形成する複数の記録素子列を有する記録ヘッドを、主走査方向に前記記録媒体と相対的に走査させるとともに、前記記録ヘッドの走査毎に、前記主走査方向と交差する副走査方向に対し前記記録媒体を搬送させつつ複数回の走査をもって記録媒体に画像を形成するための画像処理方法であって、
入力された画像データを、複数色の色材の色材データに変換する色変換ステップと、
前記色材データに基づき、記録に使用する色材の色の組み合わせを取得する取得ステップと、
格納手段に予め格納された、前記色の組み合わせの夫々に対し、前記色材データを前記複数回の走査の各々のデータへと割り当てるための複数の割り当てパターンの中から、一つの割り当てパターンを、前記色の組み合わせに基づき選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択した割り当てパターンを用いて、前記色材データを、前記複数回の走査での各データへと割り当てる割り当てステップと、
を有し、
前記格納手段に予め格納された複数の割り当てパターンの間で、前記取得ステップにおいて取得する色の組み合わせの夫々において、前記記録媒体に対する各色の色材の記録順が同一となっていることを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
記録媒体に色材を形成する複数の記録素子列を有する記録ヘッドを、主走査方向に前記記録媒体と相対的に走査させるとともに、前記記録ヘッドの走査毎に、前記主走査方向と交差する副走査方向に対し前記記録媒体を搬送させつつ複数回の走査をもって記録媒体に画像を形成するための画像処理装置をコンピュータに制御させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
入力された画像データを、複数色の色材の色材データに変換する色変換ステップと、
前記色材データに基づき、記録に使用する色材の色の組み合わせを取得する取得ステップと、
格納手段に予め格納された、前記色の組み合わせの夫々に対し、前記色材データを前記複数回の走査の各々のデータへと割り当てるための複数の割り当てパターンの中から、一つの割り当てパターンを、前記色の組み合わせに基づき選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択した割り当てパターンを用いて、前記色材データを、前記複数回の走査での各データへと割り当てる割り当てステップと、
を実行させ、
前記格納手段に予め格納された複数の割り当てパターンの間で、前記取得ステップにおいて取得する色の組み合わせの夫々において、前記記録媒体に対する各色の色材の記録順が同一となっていることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−96468(P2012−96468A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246702(P2010−246702)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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