説明

画像処理装置

【課題】 正確な履歴情報を管理する環境を構築できる画像処理装置の提供。
【解決手段】 時計の設定要求があると判断した場合(S11:YES)、認証コードの入力を要求し(S12)、入力された認証コードが認証できるものであると判断した場合(S14:YES)、時計の設定画面を表示する(S16)。そして、内部時計のみの使用が設定された場合(S17:YES)、タイムサーバの不使用を設定し(S18)、タイムサーバの使用が設定された場合、(S19:YES)、タイムサーバを使用して内部時計の補正を行うことを設定する(S20)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻情報を補正する機能を備えた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドキュメントの電子データを装置内の記憶部に一時的に記憶して処理するデジタル複合機等の画像形成装置が商品化されている。デジタル複合機は、原稿の画像を読取るスキャナユニットと用紙上に画像形成を行うプリンタユニットとを備えており、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能、プリント機能等の複数の機能を有している。このようなデジタル複合機は、複数のインタフェースから入力されるデータを効率よく処理するデータ処理装置として通信ネットワーク上に位置付けることにより稼動効率及び処理能力の向上を利用者に提案するものである。また、デジタル複合機には様々なデータが入力され、これのデータを並行して処理することが可能なようにハードディスクなどの大容量の記憶装置が搭載されており、データの処理依頼を複数受付けておき、順次処理していくことを可能にしている。
【0003】
このようなシステムでは、ドキュメントの電子データをデジタル複合機内で管理することができ、出力処理が完了した後に再度同じドキュメントを出力する場合には、デジタル複合機内の電子データを呼び出して出力処理を実行させることが可能となるため利用者に対して利便性の良い環境を提供することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、その一方で、電子データ化された文書の情報は、複写、改竄、転送等が比較的容易に実行されるため、データの管理において機密性の保護の強化が望まれており、その対策の1つとして従来のデジタル複合機には処理した内容の履歴を残す履歴管理機能が搭載されている。すなわち、履歴管理機能が搭載されたデジタル複合機では、処理の内容、データの利用状況、利用者の情報等の情報を、処理した日時に関連付けて管理するため、不正な処理が行われた場合には履歴情報を分析することによって処理内容、日時等を特定することが可能となる。
【特許文献1】特開平6−178041号公報
【特許文献2】特開2004−188793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにセキュリティ対策の1つとして履歴情報を管理する場合には、装置内部の時計が正確な時刻情報を出力する必要性が生じる。特許文献2には、外部から送信されてくるプリントジョブの最終更新日時等を現在時刻として取り込み、プリンタ内部の時計を設定する旨の記載があるが、プリントジョブの送信元の時刻に基づいてプリンタ内部の時計が補正されることとなり、必ずしも正確な時刻を保証できるものではなかった。特に、履歴を管理するという点においては、プリントジョブの送信元を基準として管理することとなるため、処理した日時の特定、処理内容の追跡等が困難になるという問題点を有している。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、正確な履歴情報を管理する環境を構築することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明のほかの目的は、装置の設置環境、利用環境等に応じて適切な外部機器から時刻情報を取得することができる画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、入力された画像データに基づく処理を実行する手段と、時刻情報を出力する時計手段とを備え、該時計手段が出力する時計情報に基づき、実行した処理に関する履歴を記憶する画像処理装置において、時刻情報を送信する手段を備える1又は複数の外部機器と通信可能になしてあり、前記外部機器から送信された時刻情報を受信する手段と、受信した時刻情報に基づいて前記時計手段が出力する時刻情報の補正をする手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、1又は複数の外部機器と通信できるようにしてあり、外部機器から送信された時刻情報を受信し、受信した時刻情報に基づいて時計手段が出力する時刻情報を補正するようにしているため、設置環境、利用環境等に応じて選択された外部機器からの時刻情報に基づいて内部の時計手段の時刻が補正されるようになる。
【0010】
本発明に係る画像処理装置は、前記補正に用いる時刻情報の送信元に係る選択を受付ける手段を備え、選択をされた送信元からの時刻情報に基づいて前記時計手段が出力する時刻情報を補正するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、補正に用いる時刻情報の送信元を選択できるようにしているため、利用者自身が選択した送信元から送信されてくる時刻情報に基づいて時計手段の時刻が補正されることとなる。
【0012】
本発明に係る画像処理装置は、前記補正の要否に係る選択を受付ける手段と、前記補正が不要との選択を受付けた場合、前記時計手段が出力する時刻情報の補正を禁止する手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、補正の要否に係る選択を受付け、補正が不要である旨の選択を受付けた場合、時計手段の時刻の補正を禁止するようにしているため、外部機器の時刻に合わせて時刻の補正を行うか、又は内部の時計手段をそのまま利用するかを利用者自身が任意に設定することができる。
【0014】
本発明に係る画像処理装置は、前記時計手段が出力する時刻情報の補正をした場合、その旨を報知する手段を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、時計手段の時刻情報を補正した場合、その旨を報知するようにしているため、悪意のある第三者によって時刻情報が書き換えられた場合であっても、その旨を情報を取得する手段を備える。
【0016】
本発明に係る画像処理装置は、前記外部機器は、NTPサーバであることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、外部機器としてNTPサーバ(NTP: Network Time Protocol)を利用可能にしているため、内部の時計手段が出力する時刻情報が正確に保たれる。
【0018】
本発明に係る画像処理装置は、前記時計手段は、電波時計であることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、時計手段として電波時計を利用するため、内部の時計手段が出力する時刻情報が正確に保たれる。
【0020】
本発明に係る画像処理装置は、外部から時刻情報の送信要求を受信する手段と、前記送信要求を受信した場合、補正した時刻情報を前記送信要求の送信元へ送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、外部から時刻情報の送信要求を受信した場合、補正した時刻情報をその送信元へ送信するようにしているため、自身が正確な時刻情報を送信することができるタイムサーバとなり得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明による場合は、1又は複数の外部機器と通信できるようにしてあり、外部機器から送信された時刻情報を受信し、受信した時刻情報に基づいて時計手段が出力する時刻情報を補正するようにしている。したがって、設置環境、利用環境等に応じて選択された外部機器からの時刻情報に基づいて内部の時計手段の時刻を補正することができる。
【0023】
本発明による場合は、補正に用いる時刻情報の送信元を選択できるようにしている。したがって、利用者自身が選択した送信元から送信されてくる時刻情報に基づいて時計手段の時刻を補正することができる。すなわち、NTPサーバから送信される時刻情報、及び電波時計で利用されている長波標準電波を受信できるようにしている場合、長波標準電波の受信感度が悪い場所に設置されているときにはNTPサーバを選択することによって時計手段の時刻を正確に保つことができ、逆に通信ネットワークに負荷を掛けることができない状況下では電波時計を選択することによって時計手段の時刻を正確に保つことができる。
【0024】
本発明による場合は、補正の要否に係る選択を受付け、補正が不要である旨の選択を受付けた場合、時計手段の時刻の補正を禁止するようにしている。したがって、外部機器の時刻に合わせて時刻の補正を行うか、又は内部の時計手段をそのまま利用するかを利用者自身が任意に設定することができる。
【0025】
本発明による場合は、時計手段の時刻情報を補正した場合、その旨を報知するようにしている。したがって、悪意のある第三者によって時刻情報が書き換えられた場合であっても、その旨を情報を取得することができる。
【0026】
本発明による場合は、外部機器としてNTPサーバを利用可能にしている。したがって、内部の時計手段が出力する時刻情報を正確に保つことができる。
【0027】
本発明にあっては、時計手段として電波時計を利用している。したがって、内部の時計手段が出力する時刻情報を正確に保つことができる。
【0028】
本発明による場合は、外部から時刻情報の送信要求を受信した場合、補正した時刻情報をその送信元へ送信するようにしている。したがって、画像処理装置自身をタイムサーバとして設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る画像処理装置の適用例として、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ送受信機能等を有するデジタル複合機を取り上げ、その実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は本実施の形態に係るデジタル複合機を用いて構築される画像処理システムの全体構成を示す模式図である。図中100Aは本実施の形態に係るデジタル複合機であり、このデジタル複合機100Aには各種の通信網を介して外部機器が接続されている。例えば、ローカルな通信網として敷設されている通信ネットワークLNには、パーソナルコンピュータ等の外部コンピュータ200,200が接続されおり、公衆電話回線網PNには外部のファクシミリ装置500が接続されている。デジタル複合機100Aでは、外部コンピュータ200,200から送信されるプリントジョブ、ファクシミリ装置500から送信されるファクシミリデータを受信して用紙上への出力処理、データのファイリング処理等を実行できるようにしている。
【0030】
本実施の形態では、更に、デジタル複合機100Aに搭載されている内部時計112(図2参照)の時刻を正確に保つために外部のNTPサーバにアクセスできるようにしている。デジタル複合機100Aが利用できるNTPサーバとしては、ゲートウェイGW及びインターネット網INを介して接続されている第1階層のNTPサーバ300a、通信ネットワークLNに接続されている第2階層のNTPサーバ300bが挙げられる。第1階層のNTPサーバ300aはGPS時計又は原子時計を有しており、外部機器(NTPクライアント)からの問い合わせに応じて正確な時刻情報を出力する。また、第2階層のNTPサーバ300bはGPS時計を有しているか、又はNTPサーバ300aから出力される時刻情報を取得して自身の時刻情報とすることができるようにしており、第1階層のものと同様に外部からの問い合わせに応じて正確な時刻情報を出力する。
なお、以下の説明において第1階層のNTPサーバ300aと第2階層のNTPサーバ300bとを区別して説明する必要がない場合には単にタイムサーバ300と記載することとする。
【0031】
図2はデジタル複合機100Aの内部構成を示すブロック図である。デジタル複合機100AはCPU101を備えており、このCPU101がROM103に予め格納された制御プログラムをRAM104上にロードして実行することにより、バス102を介して接続された各種ハードウェアを制御し、全体として本発明に係る画像処理装置として動作させる。
【0032】
以下、バス102に接続されている各種ハードウェアの構成について説明する。操作パネル105は、利用者による操作を受付ける操作部105aと、利用者に対して報知すべき情報を表示する表示部105bとにより構成されている。操作部105aは、機能の切替操作、プリント処理における出力枚数、コピー処理における変倍、ファクシミリ送信処理における送信先等の設定を受付けるために各種操作キー、数値キー等を備えている。表示部105bは液晶ディスプレイ装置を備えており、デジタル複合機100Aの動作状況、操作部105aから入力された設定値等を表示する。また、表示部105bの一部は利用者の押下操作により各種の選択操作を受付けるようにしたタッチパネル方式のソフトウェアキーを備えている。
【0033】
画像読取部106は、読取り用の原稿に光を照射する光源、CCD(Charge Coupled Device)のようなイメージセンサ、AD変換器等を備えており(不図示)、所定の読取り位置にセットされた原稿の画像を当該イメージセンサに結像させてアナログ電気信号に変換し、得られたアナログ電気信号をAD変換器によりAD変換する。そして、AD変換して得られたデジタル信号に対して、原稿読取時の光源の配光特性、イメージセンサの感度ムラ等の補正を施すことによりデジタル形式の画像データを生成する。
【0034】
画像メモリ107は、例えば揮発性のページメモリであり、画像読取部106にて取得した画像データ、プリントジョブから展開される画像データ、ファクシミリデータから展開される画像データ等を一時的に記憶する。画像メモリ107に一時的に記憶された画像データは、CPU101の指示によりその利用目的に応じた転送先に転送される。すなわち、用紙上に画像形成を行う場合には画像形成部108に転送され、ファクシミリデータとして送信する場合にはファクシミリモデム110に転送され、ファイリング機能を利用して保存する場合にはHDD111に転送される。
【0035】
画像形成部108は、画像メモリ107から転送されてきた画像データに基づいて用紙上に画像形成を行う。そのため、画像形成部108は、感光体ドラムを所定の電位に帯電させる帯電器、外部から受付けた画像データに応じてレーザ光を発して感光体ドラム上に静電潜像を生成させるレーザ書込装置、感光体ドラム表面に形成された静電潜像にトナーを供給して顕像化する現像器、感光体ドラム表面に形成されたトナー像を用紙上に転写する転写器等(不図示)を備えており、電子写真方式にて利用者が所望する画像を用紙上に形成する。なお、レーザ書込装置を用いた電子写真方式により画像形成を行う他、インクジェット方式、熱転写方式、昇華方式等により画像形成を行う構成であってもよい。
【0036】
通信IF109は、通信ネットワークLNの通信規格に準拠した通信インタフェースを備えており、通信ネットワークLN上の外部コンピュータ200,200及びNTPサーバ300b、並びにインターネット網IN上のNTPサーバ300aへ接続できるようにしている。通信IF109では、接続された外部コンピュータ200,200からのプリントジョブを受信すると共に、外部コンピュータ200,200へ通知すべき情報を送信する。また、通信IF109では、タイムサーバ300に対して時刻情報に対する送信要求を送信すると共に、タイムサーバ300から送信されてくる時刻情報を受信する。通信IF109ではこのような各種データの送受信の制御を行う。
【0037】
ファクシミリモデム110は、公衆電話回線網PNを介して外部のファクシミリ装置500へ接続するための回線終端回路を備えており、接続されたファクシミリ装置500とファクシミリデータを送受信できるようにしている。そのため、ファクシミリモデム110は、受信したファクシミリデータを復号するための復号回路、送信すべきファクシミリデータを符号化するための符号化回路を備えている。ファクシミリモデム110は、このようなファクシミリデータの符号化処理及び復号処理、並びに符号化されたファクシミリデータの送受信処理を実行する。
【0038】
HDD111は、ハードディスクコントローラ、及びディスク状の磁気記録媒体を有するハードディスク装置である。CPU101がハードディスクコントローラに指示を与えることにより、データの書込処理、又は読出処理が行われる。HDD111の記憶領域の一部は画像データを記憶するためのデータエリアとして利用されており、操作パネル105を通じて要求を受付けた場合、又は外部コンピュータ200からの要求を通信IF109を介して受信した場合、データエリアに記憶された画像データを読出すようにしている。したがって、プリント処理の失敗又は出力部数の不足等のためにプリント処理を再度実行する必要がある場合には、データエリアに記憶された画像データを任意に読出してプリント処理を実行させることができる。
【0039】
このデータエリアは、作業領域111aとファイリング領域111bとに分割されており、作業領域111aの容量はファイリング領域111bのそれと比べて小さく設定されている。そのため、作業領域111aは主として作業中データを一時的に保持する領域として利用されており、作業領域111aの空き容量が少なくなった場合、作業領域111aに記憶してから一定時間が経過したデータを自動的にファイリング領域111bに記憶するようにしている。一方、ファイリング領域111bは、データのファイル形式毎、プリンタ機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の処理モード毎、又は利用者が作成したフォルダ毎に整理してデータを記憶する領域であり、消去等の指示が行われない限り保存された状態となる。
【0040】
内部時計112は、所定の周波数でクロック信号を発生させる水晶発振器、及びこの水晶発振器から出力されるクロック信号に基づいて時刻情報を生成する時計回路を備えている。
【0041】
管理部114は、不揮発性の半導体メモリにより構成されており、その記憶領域の一部は、実行した処理の履歴を管理する履歴管理テーブル114a、使用する時計についての設定を記憶する時計設定テーブル114bとして利用されている。図3は履歴管理テーブル114aの一例を示す概念図である。この履歴管理テーブル114aでは、処理の実行日時、データの種類、使用した機能、用紙サイズ、出力枚数を参照番号に関連付けて記憶している。例えば、参照番号「001」のレコードは、画像読取部106から新たに画像データ(新規のデータ)を取得し、A4サイズの用紙3枚を用いてコピー処理を行ったことを示しており、そのコピー処理の実行日時が「2004年11月15日、9時1分」であることを示している。同様に、参照番号「002」のレコードは、HDD111のファイリング領域111bからデータ(ファイル)を読出し、A4サイズの用紙1枚を用いてプリント処理を行ったことを示しており、そのプリント処理の実行日時が「2004年11月15日、9時3分」であることを示している。他のレコードについても同様である。管理できるレコード数は管理部114のメモリ容量に依存するが、本実施の形態では最大999個のレコードを記憶できるようにしている。それ以上のレコードを記憶する場合には、登録日時(実行日時)の古いレコードから削除され、新たなレコードが記憶される。
【0042】
図4は時計設定テーブル114bの一例を示す概念図である。図4(a)はタイムサーバ300を使用することが設定されている場合に登録される内容を示しており、図4(a)に示した例では、タイムサーバ300を使用する旨、使用するサーバ名が「NTP1」である旨、使用するタイムサーバ300の通信アドレスが「190.○○.△△」である旨、補正する時間間隔が12時間に設定されている旨が登録されている。一方、図4(b)はタイムサーバ300を使用しないことが設定されている場合に登録される内容を示しており、タイムサーバ300を使用しない旨が登録されている。
【0043】
以下、デジタル複合機100Aにて使用する時計の設定を行う場合の手順について説明する。図5は使用する時計の設定を行う場合の手順を説明するフローチャートである。デジタル複合機100AのCPU101は、まず、操作パネル105にて所定の操作を受付けたか否かを判断することにより、時計の設定要求があるか否かを判断する(ステップS11)。時計の設定要求がないと判断した場合(S11:NO)、CPU101は、設定要求があるまで待機する。
【0044】
時計の設定要求があると判断した場合(S11:YES)、CPU101は、認証コードの入力を要求する(ステップS12)。ここで、認証コードとはデジタル複合機100Aの管理者等を認証するためのコード(例えば、4桁の数値)であり、予め設定された認証コードが管理部114内に記憶されている。認証コードの入力要求は、操作パネル105の表示部105bに入力を促すメッセージを表示することによって行う。
【0045】
次いで、CPU101は、操作パネル105を通じて入力される情報を監視することにより、認証コードが入力されたか否かを判断する(ステップS13)。認証コードが入力されていないと判断した場合(S13:NO)、CPU101は、処理をステップS12へ戻す。また、認証コードが入力されたと判断した場合(S13:YES)、入力された認証コードを管理部114内に予め設定されている認証コードと照合することにより、入力された認証コードが認証できるか否かを判断する(ステップS14)。認証できないと判断した場合(S14:NO)、認証できないために時計の設定変更を許可しない旨のエラーメッセージを表示部105bに表示して(ステップS15)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0046】
また、入力された認証コードを認証できると判断した場合(S14:YES)、CPU101は、使用する時計を設定するための設定画面を表示部105bに表示する(ステップS16)。図6は表示部105bに表示される画面の一例を示す模式図である。図6(a)は、認証コードを認証できると判断した場合に表示される画面の一例を示している。この設定画面10には、内部時計112の使用を設定するラジオボタン11、タイムサーバ300の使用を設定するラジオボタン12、使用するタイムサーバ300の詳細を設定するためのサーバオプションボタン13、設定内容をキャンセルするためのキャンセルボタン14、設定内容を確定させるための確定ボタン15がソフトウェアキーとして配置されている。
【0047】
ラジオボタン11が選択された状態で確定ボタン15が押下操作された場合、内部時計112のみの使用を設定する。一方、ラジオボタン12が選択された状態で確定ボタン15が押下操作された場合、内部時計112を使用しつつタイムサーバ300から出力される時刻情報に基づいて内部時計112の時刻を補正することを設定する。
【0048】
図6(b)は、前述の設定画面10においてサーバオプションボタン13が押下操作された場合にCPU101が表示する画面の一例を示している。このオプション画面20には、タイムサーバ300を選択するための選択欄21、内部時計112の補正手法を定めるラジオボタン22〜24、設定内容をキャンセルするためのキャンセルボタン24、設定内容を確定させるための確定ボタン25がソフトウェアキーとして配置されている。選択欄21はプルダウンメニューにより構成されており、本実施の形態の場合、インターネット網INに接続されているNTPサーバ300a、又は通信ネットワークLNに接続されているNTPサーバ300bの何れか一方をこのプルダウンメニューにより選択できるようにしている。
【0049】
また、内部時計112の補正手法としてラジオボタン22に対応させた手法が選択された場合、ROM103に予め記憶されている制御プログラムが指示するタイミングにてタイムサーバ300と通信を行い、タイムサーバ300から送信される時刻情報に基づいて内部時計112の補正を行う。また、内部時計112の補正手法としてラジオボタン23に対応させた手法が選択された場合、時間設定欄23aで設定されている時間間隔でタイムサーバ300と通信を行い、タイムサーバ300から送信される時刻情報に基づいて内部時計112の補正を行う。なお、時間設定欄23aはプルダウンメニューにより構成されており、1時間から24時間の間で1時間間隔で設定できるようにしている。また、本実施の形態では、補正する時間間隔を設定する構成としたが、補正する時刻を設定する構成であってもよいことは勿論のことである。更に、内部時計112の補正手法としてラジオボタン24に対応させた手法が選択された場合、管理者等により指示されるタイミングにてタイムサーバ300と通信を行い、タイムサーバ300からの時刻情報に基づいて内部時計112の補正を行う。
【0050】
以下、図5のフローチャートに説明を戻す。前述したような設定画面10の表示を行った後、CPU101は、内部時計112のみを使用するか否かを判断する(ステップS17)。設定画面10においてラジオボタン11が選択された後、確定ボタン15が押下操作された場合、内部時計112のみを使用すると判断し(S17:YES)、タイムサーバ300の不使用を設定する(ステップS18)。この設定内容は管理部114内の時計設定テーブル114bに登録される。内部時計112のみの使用でないと判断した場合(S17:NO)、CPU101は、タイムサーバを使用するか否かを判断する(ステップS19)。設定画面10においてラジオボタン12が選択された後、確定ボタン15が押下操作された場合、タイムサーバ300を使用すると判断し(S19:YES)、タイムサーバ300の使用を設定する(ステップS20)。この設定内容は管理部114内の時計設定テーブル114bに登録される。一方、タイムサーバ300を使用しないと判断した場合(S19:NO)、処理をステップS17へ戻す。
【0051】
図7は時計設定後にデジタル複合機100Aが実行する処理の手順を説明するフローチャートである。CPU101は、管理部114内の時計設定テーブル114bを参照することによりタイムサーバ300を使用するか否かを判断する(ステップS21)。タイムサーバ300を使用すると判断した場合(S21:YES)、CPU101は、前回補正時から所定時間が経過しているか否かを判断する(ステップS22)。ここで、前述したオプション画面20においてラジオボタン22が選択されている場合、ROM103内の制御プログラムが定めている時間を所定時間として判断を行い、ラジオボタン23が選択されている場合、オプション画面20で設定されている時間を所定時間として判断を行う。
【0052】
所定時間が経過していないと判断した場合(S22:NO)、所定時間が経過するまで待機する。所定時間が経過したと判断した場合(S22:YES)、CPU101は、選択されているタイムサーバ300に対して時刻情報の送信を要求する(ステップS23)。そして、タイムサーバ300から送信されてくる時刻情報を受信したか否かを判断し(ステップS24)、時刻情報を受信していないと判断した場合(S24:NO)、時刻情報の送信要求を再度行う。
【0053】
タイムサーバ300から送信されてくる時刻情報を受信したと判断した場合(S24:YES)、CPU101は、受信した時刻情報に基づいて内部時計112の時刻を補正する(ステップS25)。このとき、内部時計112はタイムサーバ300からの時刻情報を自身の時刻情報とすると共に、その時刻情報に基づいて計時を開始する。なお、通信IF109にてタイムサーバ300からの時刻情報を受信してから内部時計112の時刻情報を更新するまでの間に信号の伝達に遅延がある場合にはその分の補正を行った後に時刻情報の更新を行う。
【0054】
次いで、CPU101は、図に示していないタイマをリセットすると共に(ステップS26)、時刻を補正した旨を報知する(ステップS27)。時刻を補正した旨の報知は操作パネル105の表示部105bにメッセージ画面を表示することによって行う。図8はメッセージ画面の一例を示す模式図である。このメッセージ画面30では、内部時計112の補正を行った旨を表示すると共に、補正時刻、補正量、補正時に使用したタイムサーバ300に関する情報を表示している。なお、図8に示したようなメッセージ画面30を表示せずに管理部114内にログを残す構成であってもよい。
【0055】
時刻の補正をした後、デジタル複合機100Aでは補正後の時刻情報を用いて履歴管理を行う。すなわち、コピー処理の依頼を受付けた場合、コピー処理を実行したときに内部時計112から出力される時刻情報を履歴管理テーブル114aに登録すると共に、記録した時刻情報に関連付けて使用した用紙の種類、枚数等の情報を登録する。コピー処理以外のプリント処理、ファクシミリ送信処理等の履歴を管理する場合についても同様である。
【0056】
次いで、CPU101は、設定画面10が再度表示されてタイムサーバ300の不使用が設定されたか否かを判断し(ステップS28)、タイムサーバ300の不使用が設定されていないと判断した場合(S28:NO)、CPU101は、処理をステップS22へ戻す。一方、タイムサーバ300の不使用が設定されたと判断した場合(S28:YES)、及びステップS21でタイムサーバ300を使用しないと判断した場合(S21:NO)、本フローチャートによる処理を終了する。この場合、履歴管理テーブル114aに登録する時刻情報は内部時計112が出力する時刻情報であることに変わりないないが、タイムサーバ300が出力する正確な時刻情報で補正したものでなくなる。
【0057】
なお、本フローチャートではデジタル複合機100Aが自動で補正を行う場合、又は設定されてある時間間隔で補正を行う場合について説明したが、手動で補正を行う場合には、管理者等からの指示を受付けた時点でステップS23以降の処理を実行し、内部時計112の時刻を補正する。
【0058】
また、本実施の形態では、正確な時刻情報を取得して内部時計112が出力する時刻情報とすることが可能であるため、デジタル複合機100Aをタイムサーバとして設定することも可能である。すなわち、外部の情報機器(例えば、外部コンピュータ200)から時刻情報の送信要求を受付けた場合、内部時計112が出力する時刻情報を通信IF109を通じて要求元へ送信するようにしてもよい。
【0059】
実施の形態2.
実施の形態1では、内部時計112が出力する時刻情報、又はNTPサーバ300a,300bの出力に基づいて補正した時刻情報を用いて履歴を管理する構成とし、利用者自身が内部時計112のみを使用するか、又はNTPサーバ300a,300bを使用して補正を行うかを任意に設定できるようにしたが、正確な時刻情報を取得するために、前述した構成に加えて長波標準電波を受信できるようにした電波時計を搭載する構成であってもよい。
【0060】
図9は本実施の形態に係るデジタル複合機100Bの内部構成を示すブロック図である。デジタル複合機100BはCPU101を備えており、このCPU101がROM103に予め格納された制御プログラムをRAM104上にロードして実行することにより、バス102を介して接続された各種ハードウェアを制御し、全体として本発明に係る画像処理装置として動作させる。
【0061】
バス102に接続されている各種ハードウェアとしては、操作パネル105、画像読取部106、画像メモリ107、画像形成部108、通信IF109、ファクシミリモデム110、HDD111、内部時計112、電波時計113、管理部114が挙げられる。電波時計113以外のハードウェア構成については実施の形態1と同様であるため説明を省略することとする。
【0062】
電波時計113は、長波標準電波を受信するためのアンテナ回路、及びこのアンテナ回路で受信した長波標準電波に基づいて時刻情報を生成する時計回路を有しており、正確な時刻情報を取得することができる。
【0063】
以下、デジタル複合機100Bにて使用する時計の設定を行う場合の手順について説明する。図10は使用する時計の設定を行う場合の手順を説明するフローチャートである。デジタル複合機100BのCPU101は、まず、操作パネル105にて所定の操作を受付けたか否かを判断することにより、時計の設定要求があるか否かを判断する(ステップS31)。時計の設定要求がないと判断した場合(S31:NO)、CPU101は、設定要求があるまで待機する。
【0064】
時計の設定要求があると判断した場合(S31:YES)、CPU101は、認証コードの入力を要求する(ステップS32)。次いで、CPU101は、操作パネル105を通じて入力される情報を監視することにより、認証コードが入力されたか否かを判断する(ステップS33)。認証コードが入力されていないと判断した場合(S33:NO)、CPU101は、処理をステップS32へ戻す。また、認証コードが入力されたと判断した場合(S33:YES)、入力された認証コードを管理部114内に予め設定されている認証コードと照合することにより、入力された認証コードを認証できるか否かを判断する(ステップS34)。認証できないと判断した場合(S34:NO)、認証できないために時計の設定変更を許可しない旨のエラーメッセージを表示部105bに表示して(ステップS35)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0065】
また、入力された認証コードを認証できると判断した場合(S34:YES)、CPU101は、使用する時計を設定するための設定画面40を表示部105bに表示する(ステップS36)。図11は表示部105bに表示される設定画面40の一例を示す模式図である。この設定画面40には、内部時計112の使用を設定するラジオボタン41、電波時計113の使用を設定するラジオボタン42、タイムサーバ300の使用を設定するラジオボタン43、使用するタイムサーバ300の詳細を設定するためのサーバオプションボタン44、設定内容をキャンセルするためのキャンセルボタン45、設定内容を確定させるための確定ボタン46がソフトウェアキーとして配置されている。
【0066】
ラジオボタン41が選択された状態で確定ボタン46が押下操作された場合、内部時計112のみの使用を設定する。また、ラジオボタン42が押下操作された場合、電波時計113のみの使用を設定する。一方、ラジオボタン43が選択された状態で確定ボタン46が押下操作された場合、内部時計112を使用しつつタイムサーバ300から出力される時刻情報に基づいて内部時計112の時刻を補正することを設定する。
【0067】
設定画面40の表示を行った後、CPU101は、内部時計112を使用するか否かを判断する(ステップS37)。これらの設定画面40においてラジオボタン41が選択された後、確定ボタン46が押下操作された場合、内部時計112のみを使用すると判断し(S37:YES)、電波時計113及びタイムサーバ300の不使用を設定する(ステップS38)。
【0068】
内部時計112を使用しないと判断した場合(S37:NO)、CPU101は、電波時計113を使用するか否かを判断する(ステップS39)。設定画面40においてラジオボタン42が選択された後、確定ボタン46が押下操作された場合、電波時計を使用すると判断し(S39:YES)、内部時計112及びタイムサーバ300の不使用を設定する(ステップS40)。
【0069】
電波時計113を使用しないと判断した場合(S39:NO)、CPU101は、タイムサーバ300を使用するか否かを判断する(ステップS41)。設定画面40においてラジオボタン43が選択された後、確定ボタン46が押下操作された場合、タイムサーバ300を使用すると判断し(S41:YES)、タイムサーバ300の使用を設定する(ステップS42)。設定内容は管理部114内の時計設定テーブル114bに登録される。一方、タイムサーバ300を使用しないと判断した場合(S41:NO)、処理をステップS37へ戻す。
【0070】
このように本実施の形態では、利用者自身により、内部時計112を使用するか、電波時計113を使用するか、又はタイムサーバ300により補正した時刻を使用するかを任意に定めることができる。そのため、電波時計113において長波標準電波の受信感度が悪い場合であってもタイムサーバ300の使用を設定して正確な時刻情報を取得することができ、逆に、通信ネットワークLNに負荷が掛かっている場合であっても電波時計113の使用を設定して正確な時刻情報を取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施の形態に係るデジタル複合機を用いて構築される画像処理システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】デジタル複合機の内部構成を示すブロック図である。
【図3】履歴管理テーブルの一例を示す概念図である。
【図4】時計設定テーブルの一例を示す概念図である。
【図5】使用する時計の設定を行う場合の手順を説明するフローチャートである。
【図6】表示部に表示される画面の一例を示す模式図である。
【図7】時計設定後にデジタル複合機が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
【図8】メッセージ画面の一例を示す模式図である。
【図9】本実施の形態に係るデジタル複合機の内部構成を示すブロック図である。
【図10】使用する時計の設定を行う場合の手順を説明するフローチャートである。
【図11】表示部に表示される設定画面の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0072】
100A,100B デジタル複合機
101 CPU
102 バス
103 ROM
104 RAM
105 操作パネル
106 画像読取部
107 画像メモリ
108 画像形成部
109 通信IF
110 ファクシミリモデム
111 HDD
112 内部時計
113 電波時計
114 管理部
200 外部コンピュータ
300a,300b NTPサーバ
500 ファクシミリ装置
LN 通信ネットワーク
IN インターネット網
PN 公衆電話回線網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データに基づく処理を実行する手段と、時刻情報を出力する時計手段とを備え、該時計手段が出力する時計情報に基づき、実行した処理に関する履歴を記憶する画像処理装置において、
時刻情報を送信する手段を備える1又は複数の外部機器と通信可能になしてあり、前記外部機器から送信された時刻情報を受信する手段と、受信した時刻情報に基づいて前記時計手段が出力する時刻情報の補正をする手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記補正に用いる時刻情報の送信元に係る選択を受付ける手段を備え、選択をされた送信元からの時刻情報に基づいて前記時計手段が出力する時刻情報を補正するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記補正の要否に係る選択を受付ける手段と、前記補正が不要との選択を受付けた場合、前記時計手段が出力する時刻情報の補正を禁止する手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記時計手段が出力する時刻情報の補正をした場合、その旨を報知する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記外部機器は、NTPサーバであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記時計手段は、電波時計であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の画像処理装置。
【請求項7】
外部から時刻情報の送信要求を受信する手段と、前記送信要求を受信した場合、補正した時刻情報を前記送信要求の送信元へ送信する手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−157177(P2006−157177A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−341021(P2004−341021)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】