画像処理装置
【課題】ユーザがセキュリティを設定する場合の操作性を向上できる画像処理装置を提供すること。
【解決手段】複写機の操作部には、コピージョブのデータにセキュリティ処理を施すためだけのセキュリティキー31〜33が配置されている。セキュリティキー31には、種類の異なる複数のセキュリティ処理、例えばタイムスタンプ、使用制限などが対応付けて登録されている。コピージョブ実行の際にユーザにより当該キー31が押下されると、当該キー31に対応付けて登録されている各セキュリティ処理がコピージョブのデータに施される。
【解決手段】複写機の操作部には、コピージョブのデータにセキュリティ処理を施すためだけのセキュリティキー31〜33が配置されている。セキュリティキー31には、種類の異なる複数のセキュリティ処理、例えばタイムスタンプ、使用制限などが対応付けて登録されている。コピージョブ実行の際にユーザにより当該キー31が押下されると、当該キー31に対応付けて登録されている各セキュリティ処理がコピージョブのデータに施される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理ジョブのデータにセキュリティ処理を施す画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像処理装置の機能として、出力画像の不正コピーや改ざん等を防止するために出力画像にウォーターマークやユーザ署名を付加したり、パスワードを付与したりする等のセキュリティ処理が施されることが行われている。
ユーザは、操作パネルから各セキュリティ処理を設定できるが、コピー等のジョブ毎に、コピー枚数やコピー倍率等と共にセキュリティ処理をキー入力により設定しなければならず面倒でありユーザにとって操作性が悪い。
【0003】
キー入力の操作性向上を図る目的で、操作パネル上の1つのキーに、コピー倍率等の使用頻度の高いコピー条件を組み合わせて予め登録しておき、ユーザにより当該1つのキーが操作されると、登録されているコピー条件を呼び出して装置に自動設定する機能も知られている。
この機能を利用してコピー倍率などのコピー条件と一緒にセキュリティ処理を登録する構成をとれば、ユーザは、1つのキーを操作するだけで、コピー条件に加えてセキュリティ処理の設定を済ませることが可能になる。
【特許文献1】特開2003−118177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、セキュリティは、例えば出力画像を社外に持ち出す場合にはセキュリティを必須とし、社内で使用する場合にはセキュリティを施さなくするとしたり、取引先に応じて異なるセキュリティを設定したりするなど、使用目的によって変えられることが望まれる。
そのため、1つのキーにコピー条件と一緒にセキュリティ処理を登録しておいても、使用目的が異なれば、その目的に応じてセキュリティ処理だけを解除したり再設定したりするなどの必要が生じる。セキュリティ処理には、ウォーターマークの付与、ユーザ署名の付加など複数の処理が存在し、複数の処理が登録されていれば各セキュリティ処理を個別に解除等するといった面倒な操作を実行しなければならず、操作性が逆に悪くなってしまう。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ユーザがセキュリティを設定する場合の操作性を向上できる画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像処理装置は、操作部を有し、当該操作部からの入力情報に基づいて画像処理ジョブを実行する画像処理装置であって、前記操作部には、画像処理ジョブのデータにセキュリティ処理を施すためだけに用いられ、種類の異なる複数のセキュリティ処理が対応付けて登録されているセキュリティキーが存在し、前記セキュリティキーが操作されると、当該キーに対応付けて登録されているセキュリティ処理を前記データに施すことを特徴とする。
【0007】
ここで上記「セキュリティキーが存在」とは、セキュリティキーが物理的な、いわゆるハードキーとして存在する場合はもちろん、表示画面等に表示されるソフトキーとして存在する場合を含む意味で用いられる。
【発明の効果】
【0008】
このように種類の異なる複数のセキュリティ処理が登録されているセキュリティキーが独立して存在するので、ユーザは画像処理ジョブ毎に必要に応じてセキュリティキーを操作することで種類の異なるセキュリティ処理を一度に設定することができ操作性が向上する。
また、種類の異なる画像処理ジョブを実行可能であり、別々の種類の画像処理ジョブに同じ種類のセキュリティ処理を施す場合に、画像処理ジョブの種類に応じて処理内容が異なることを特徴とする。
【0009】
このようにすれば、画像処理ジョブの種類毎に最適なセキュリティ処理を施すことが可能になり、ユーザにとって便宜である。
さらに、前記セキュリティキーが複数存在し、一の画像処理ジョブに対し、複数のセキュリティキーが操作されると、操作された各キーに登録されている全てのセキュリティ処理を前記データに施すことを特徴とする。
【0010】
このようにすれば、例えば第1のセキュリティキーに第1と第2のセキュリティ処理が登録され、第2のセキュリティキーに第3と第4のセキュリティ処理が登録されている場合に、ユーザは、第1と第2のセキュリティキーを操作するだけで、第1〜第4のセキュリティ処理を組み合わせて実行させることができ、もって操作性が向上する。
また、前記セキュリティキーが複数存在し、一の画像処理ジョブに対し、複数のセキュリティキーが操作されると、操作された各セキュリティキーに登録されているセキュリティ処理のうち、種類が同一かつ内容が異なる処理が含まれている場合に、ユーザに対し、実行すべき内容の選択を要求し、ユーザにより選択された内容に基づくセキュリティ処理を実行することを特徴とする。
【0011】
このようにすれば、ユーザは自己が希望する処理内容を選択することができ、ユーザにとって便宜である。
また、前記操作部には、画像処理ジョブを実行するための条件であってセキュリティ処理に関する条件を含まない画像処理条件が登録されるジョブメモリキーが存在し、一の画像処理ジョブにおいてジョブメモリキーおよびセキュリティキーが操作された場合、ジョブメモリキーに登録されている画像処理条件に基づいて当該ジョブを実行すると共に、セキュリティキーに登録されているセキュリティ処理を当該ジョブのデータに施すことを特徴とする。
【0012】
このようにすれば、ユーザは、ジョブメモリキーとセキュリティキーの操作という簡易な操作で、登録されている画像処理条件に基づく画像処理ジョブとセキュリティ処理とを実行させることができ、操作性が向上する。
さらに、前記セキュリティキーに、前記複数のセキュリティ処理を対応付けて登録する登録手段を備えることを特徴とする。
【0013】
このようにすれば、ユーザは、セキュリティキーに複数のセキュリティ処理を登録することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る画像処理装置の実施の形態を、カラーデジタル複写機(以下、単に「複写機」という。)を例にして説明する。
図1は、本実施の形態に係る複写機1の全体の構成を示す図である。
同図に示すように、複写機1は、スキャナ部2、プリンタ部3、操作パネル4および制御部5などを備えている。
【0015】
複写機1は、原稿の画像を読み取るスキャンジョブ、読み取って得られた画像データに基づいて原稿画像を印刷(プリント)するコピージョブ、外部の端末装置からの印刷の実行指示をネットワーク、ここではLANを介して受け付けて印刷を行うプリントジョブ等の種類の異なる各種ジョブを実行する機能を有する、いわゆる多機能カラーデジタル複写機(Multiple Function Peripheral)である。
【0016】
スキャナ部2は、原稿搬送装置により搬送される原稿の画像を読み取る公知の画像読取装置である。
プリンタ部3は、周知の電子写真技術を利用して、スキャナ部2によって読み取られたデータや外部の端末装置からのプリントジョブのデータに基づいて用紙上にカラー画像を形成する。プリンタ部3には、異なるサイズの用紙が収容される給紙カセット6〜8が配置されている。プリンタ部3は、選択された給紙カセットから用紙を給送させ、給送された用紙にカラー画像を形成する。プリント終了後の用紙は、排出トレイ9上に収容される。操作パネル4は、スキャナ部3の前面の、ユーザが操作し易い位置に配設されている。
【0017】
図2は、操作パネル4の構成を示す平面図である。
同図に示すように、操作パネル4は、キー群11と液晶表示部12を備えている。
ハードキーとしてのキー群11には、スキャンモードキー21、コピーモードキー22、テンキー23、スタートキー24、ストップキー25、リセットキー26、クリアキー27、ジョブメモリキー28およびセキュリティキー29が含まれている。
【0018】
スキャンモードキー21は、スキャンジョブの実行モードへの移行を指示するためのキーであり、コピーモードキー22は、コピージョブの実行モードへの移行を指示するためのキーである。テンキー23は、コピー枚数等の入力用のキーであり、スタートキー24は、コピージョブ等の開始を指示するためのキーである。
ストップキー25は、コピー動作等の中断を指示するためのキーであり、リセットキー26は、液晶表示部12に表示される画面を初期画面に戻すためのキーである。クリアキー27は、入力されたコピー枚数等の値をゼロに戻すためのキーである。
【0019】
ジョブメモリキー28は、予め登録されたコピー倍率、用紙サイズ、読取濃度等の使用頻度の高いコピー条件や読取条件を自動設定するジョブメモリ機能を実行するためのキーである。
セキュリティキー29は、画像処理ジョブのデータ、具体的にはスキャン、コピー、プリントの各ジョブによる画像を表わすデータ(以下、「処理対象データ」という。)にセキュリティ処理を施すためのキーであり、ここでは高、中、低の3つのセキュリティキー31〜33が設けられている。セキュリティキー31〜33には、実行すべきセキュリティ処理が管理者等により予め登録されている。
【0020】
ユーザは、セキュリティキー31〜33を選択するという簡易な操作を行うだけで、ジョブ毎に異なるセキュリティ処理を実行させることができる。セキュリティ処理の内容および登録の方法については、後述する。
表示部としての液晶表示部12は、液晶表示画面の表面に透光性のタッチパネルが積層されてなり、液晶表示画面には登録キー35などの各種キーが設けられており、コピー枚数や複写機1の状態を示すメッセージやユーザからの各種設定、キー入力を受け付けるための画面などを表示させ、ユーザによる画面へのタッチをユーザの入力として受け付けて、その入力情報を制御部5に送る。登録キー35は、ジョブメモリキー28にコピー条件等を、セキュリティキー31〜33にセキュリティ処理を登録するためのキーである。
【0021】
図3は、制御部5の構成を示す図である。
同図に示すように、制御部5は、主な構成要素として、通信インターフェース(I/F)部51、CPU52、ROM53、RAM54、セキュリティ情報格納部55、セキュリティキー登録部56、セキュリティキー登録情報格納部57、ジョブメモリキー登録部58、ジョブメモリキー登録情報格納部59およびセキュリティ設定部60を備えており、各部はデータのやりとりを行えるようになっている。
【0022】
通信I/F部51は、LANカード、LANボードといったLANに接続するためのインターフェースである。
CPU52は、ROM53から必要なプログラムを読み出して、プリンタ部3等の動作をタイミングを取りながら統一的に制御して円滑なコピー等の動作を実行させる。また、後述の登録処理、セキュリティ設定処理などを実行する。さらに、液晶表示部12のタッチパネルからの入力情報を受け付ける。
【0023】
ROM53には、スキャナ部2における原稿読取動作、プリンタ部3におけるプリント動作等に関する制御プログラム、セキュリティ等の登録処理およびセキュリティ設定処理のためのプログラム等が格納されている。
RAM54は、CPU52のプログラム実行時のワークエリアとして用いられる。
セキュリティ情報格納部55には、セキュリティ処理の内容を示す情報(以下、「セキュリティ情報」という。)が格納されている。
【0024】
図4は、セキュリティ情報151の内容例を示す図である。
同図に示すように、セキュリティ情報は、種類の異なる複数のジョブと種類の異なる複数のセキュリティ処理とが対応付けされてなる。種類の異なる複数のジョブとして、ここではスキャンジョブとコピー(プリント)ジョブの例が挙げられている。また、種類の異なる複数のセキュリティ処理として、ここではユーザ情報の付与、タイムスタンプ、使用制限およびデータ保護の4種類の例が挙げられている。
【0025】
ここで、ユーザ情報の付与とは、処理対象データにユーザ情報を付与する処理である。
スキャンジョブの場合には、ユーザ署名を処理対象データに電子透かしにより埋め込む処理が実行されることを示している。ここで、ユーザ署名とは、例えば複写機1がログイン機能を有している場合に会社内で各ユーザに割り当てられたログインコードとしたり、会社内でのユーザの識別コードなどとしたりすることができる。
【0026】
コピー(プリント)ジョブの場合には、ユーザ名や識別コードなどのユーザ情報を地紋で埋め込んで印刷する処理が実行される。
なお、処理内容は、上記のものに限られることはない。例えば、スキャンジョブの場合に、ユーザ署名をそのまま埋め込むとしても良い。また、コピージョブの場合に、ユーザ情報をQRコードで埋め込むとすることもできる。
【0027】
タイムスタンプ処理とは、ジョブ実行時の時刻を示す情報をタイムスタンプとして付与する処理であり、タイムスタンプにより示される時刻に処理対象データが存在していたことの証明に用いられる。
スキャンジョブの場合には、タイムスタンプが処理対象データに付与される。一方、コピー(プリント)ジョブの場合には、タイムスタンプをQRコードで印刷する処理が実行される。なお、タイムスタンプをそのまま、または地紋で埋め込んで印刷することもできる。
【0028】
タイムスタンプ処理では、タイムスタンプの取得先の装置、例えば外部の認証タイムサーバなどをユーザが選択可能になっている。この選択の詳細については後述する。
使用制限とは、パスワードを付与する処理である。スキャンジョブの場合には、パスワードが処理対象データに付与され、コピー(プリント)ジョブの場合には、パスワードが地紋で埋め込まれて印刷される。
【0029】
付与される、または埋め込まれるパスワードは、スキャンジョブ等のジョブ実行時に当該ユーザが入力することができる。
付与された、または埋め込まれたパスワードは、アクセス権の設定されている装置において読み取られて利用される。具体的には、例えばスキャンジョブによりパスワードの付与された処理対象データの閲覧をユーザから要求された場合に、付与されたパスワードと一致するコードがユーザにより入力されると閲覧を許可し、不一致であれば閲覧を禁止する構成が考えられる。
【0030】
また、コピージョブにより出力された印刷物がユーザにより再び複写機1でコピーされる場合に、スキャナ部2にセットされた当該印刷物を一旦スキャンし、埋め込まれているパスワードを読み取って、読み取って得られたコードと一致するコードが当該ユーザにより入力されなければ、コピーを禁止する構成とすることも考えられる。
データ保護とは、処理対象データを保護するための情報を付与する処理である。具体的には、スキャンジョブで読み取ったデータをPDF(Portable Document Format)ファイルに変換する場合に、当該ファイルに書き換え禁止のための処理を施す。コピー(プリント)ジョブの場合には、ウォーターマークを埋め込む処理が行われる。なお、ウォーターマークに限られず、例えばコピー禁止などの地紋を埋め込むとすることもできる。セキュリティ情報は、予め製造時等に登録され、セキュリティキーの登録処理等に読み出される。
【0031】
図3に戻って、セキュリティキー登録部56は、セキュリティキー31〜33にセキュリティ処理を登録するための処理を実行する。
セキュリティキー登録情報格納部57には、セキュリティキー31〜33と、当該キーに登録されたセキュリティ処理の内容とを対応付けた情報が格納される。
ジョブメモリキー登録部58は、ジョブメモリキー28にコピー条件等を登録するための処理を実行する。
【0032】
ジョブメモリキー登録情報格納部59には、ジョブメモリキー28に登録されたコピー条件等の内容を示す情報が格納される。
セキュリティ設定部60は、セキュリティ設定処理を実行する。
図5は、制御部5が実行する登録処理の内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、登録キー35の入力を受け付けると(ステップS100)、登録選択受付画面を液晶表示部12に表示させる(ステップS101)。
【0033】
図6は、登録選択受付画面101の表示例を示す図である。
同図に示すように、登録選択受付画面101には、セキュリティ登録キー102とジョブメモリ登録キー103とが設けられている。ユーザは、登録を希望するキーを押下することにより選択することができる。
図5に戻り、登録選択受付画面101においてユーザによりセキュリティ登録キー102が選択されたことを判断すると(ステップS102で「YES」)、セキュリティ登録処理を実行する(ステップS103)。
【0034】
図7は、セキュリティ登録処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。このセキュリティ登録処理は、セキュリティキー登録部56により実行される。
同図に示すように、セキュリティキー選択画面を液晶表示部12に表示させる(ステップS111)。
図8は、セキュリティキー選択画面111の表示例を示す図である。
【0035】
同図に示すように、セキュリティキー選択画面111には、セキュリティキー31を示す「高」キー、セキュリティキー32を示す「中」キー、セキュリティキー33を示す「「低」キーが設けられている。ユーザは、登録を希望するキーを押下により選択することができる。ここでは、「高」キーが選択されたとする。
図7に戻り、セキュリティキー選択画面111においてユーザによるキーの選択入力を受け付けると(ステップS112)、液晶表示部12の画面をセキュリティ選択受付画面に切り換えて(ステップS113)、ユーザによるセキュリティの選択入力を受け付ける(ステップS114)。
【0036】
図9は、セキュリティ選択受付画面121の表示例を示す図である。
同図に示すように、セキュリティ選択受付画面121には、実行可能なセキュリティ処理名が一覧表示される。この名称は、セキュリティ情報格納部55に格納されているセキュリティ情報のセキュリティ処理の種類名に相当する。
ユーザは、セキュリティ処理名の表示部分を押下することで、セキュリティキー31に登録したいセキュリティ処理を選択できる。選択された処理は、選択されたことを示す表示、例えば反転またはグレー表示に切り換わるようになっている。ユーザは、再度、押下することで選択を解除することができる。この場合、元の表示に戻る。
【0037】
取得先選択キー122は、タイムスタンプ処理においてタイムスタンプを取得する装置の選択を行うためのキーである。取得先選択キー122がユーザにより押下されると、タイムスタンプ取得先選択受付画面に切り換える。
図10は、タイムスタンプ取得先選択受付画面131の表示例を示す図である。
同図に示すように、タイムスタンプ取得先選択受付画面131には、取得先として外部の認証タイムサーバを指定するためのキー132、社内のタイムサーバを指定するためのキー133、自装置(複写機1)のタイマーを指定するためのキー134が設けられている。
【0038】
ここで、認証タイムサーバとは、外部装置からネットワークを介して処理対象データのハッシュ値を受け付けると、当該ハッシュ値にタイムスタンプを付加して暗号化した情報を有償にて当該外部装置に返送する機能を有する公知のサーバである。ハッシュ値による処理対象データの改ざん防止と共に、当該ハッシュ値が認証タイムサーバに受け付けられた時刻に当該処理対象データが存在していたことの証明に用いられる。
【0039】
社内のタイムサーバとは、社内LANで管理している時刻を各装置に無償提供するサーバである。各サーバとの間でタイムスタンプの要求、送受信等が実行できるようにアドレス等が予め設定登録される。
時刻の正確性をセキュリティのレベルで表わすと、認証タイムサーバが最高であり、社内のタイムサーバ、自装置のタイマーの順に続くことになる。
【0040】
ユーザは、キー132〜134を押下することで取得先の装置を選択することができる。具体的には、外部の認証タイムサーバとの通信を行ってまで時刻証明が必要な場合には、キー132により認証タイムサーバを選択でき、時刻が付加されていれば良い程度の場合には、キー133または134により社内のタイムサーバまたは自装置のタイマーを選択できる。ここで選択された装置が、タイムスタンプ処理においてタイムスタンプを取得する際の取得先とされる。
【0041】
選択完了キー135が押下されると、ユーザによる選択が完了したとして、セキュリティ選択受付画面121に戻る。
セキュリティ選択受付画面121のパスワードキー123は、使用制限処理を実行する場合に処理対象データに付加すべき、または画像に埋め込むべきパスワードの桁数を設定するためのキーである。パスワードキー123がユーザにより押下されると、パスワードの桁数の設定画面(不図示)に切り換えられ、ユーザは、当該設定画面にて桁数、例えば10桁など設定できるようになっている。設定終了後、セキュリティ選択受付画面121に戻る。
【0042】
ユーザにより選択完了キー124が押下されると、セキュリティの選択入力が完了したとして、選択されたセキュリティの登録処理を行う(ステップS115)。
具体的には、選択されたセキュリティキーとセキュリティ処理の内容とを対応付けたセキュリティ登録情報をセキュリティキー登録情報格納部57に格納させる。
図11は、セキュリティ登録情報171の内容例を示す図である。
【0043】
同図は、セキュリティキー31(高)について、全てのセキュリティ処理が登録されると共に、タイムスタンプの取得先として認証タイムサーバが、パスワードの桁数として10桁が登録され、セキュリティキー32(中)について、タイムスタンプとデータ保護処理が登録されると共に、タイムスタンプの取得先として自装置が登録され、セキュリティキー33(低)について、使用制限処理だけが登録されると共に、パスワードの桁数として4桁が登録されている例を示している。
【0044】
図7に戻って、液晶表示部12の画面をセキュリティ登録完了画面に切り換える(ステップS116)。
図12は、セキュリティ登録完了画面141の表示例を示す図である。
同図に示すように、セキュリティ登録完了画面141は、選択されたセキュリティキーにどのセキュリティ処理が登録されたのかを示す画面である。同図は、セキュリティキー31に、セキュリティ処理としてユーザ情報付与、タイムスタンプ、使用制限、データ保護が登録されたことを例示している。
【0045】
ユーザは、上記同様の方法で、他のセキュリティキー32、33についてセキュリティ処理を登録することができる。例えば、セキュリティレベルを高、中、低で使い分けられるように、セキュリティキー32について、セキュリティレベルが中程度になるように2つのセキュリティ処理を登録し、セキュリティキー33について、セキュリティレベルが低くなるように、1つのセキュリティ処理だけを登録することも可能である。
【0046】
図7に戻って、ステップS117では、セキュリティ登録完了画面141の終了キー142が押下されたことを判断すると(ステップS117で「YES」)、画面を、初期画面、ここでは図2に示す画面に切り換えて(ステップS118)、登録処理のサブルーチンにリターンする。
図5に戻り、登録処理のステップS102で、ユーザによりジョブメモリ登録キー103が選択されたことを判断すると(ステップS102で「NO」)、ジョブメモリ登録処理を実行する(ステップS104)。ジョブメモリ登録処理は、ジョブメモリキー28にコピー条件等を登録する処理である。ここでは図示していないが、具体的には、ユーザに対し登録を希望するコピー条件等(用紙サイズ、倍率など)の設定を促す旨のメッセージと設定受付画面を表示させ、ユーザにより設定受付画面上でコピー条件等が設定されると、設定された条件をプログラム登録情報としてジョブメモリキー登録情報格納部59に格納させるものである。この処理は、ジョブメモリキー登録部58において実行される。
【0047】
図13は、スキャンジョブ、コピージョブの際に制御部5が実行する処理内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、操作パネル4上のキーの入力を受け付ける(ステップS201)。受け付けたキーがセキュリティキー31〜33のいずれかであることを判断すると(ステップS202で「YES」)、セキュリティ設定処理を実行する(ステップS203)。
【0048】
図14は、セキュリティ設定処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。このセキュリティ設定処理は、セキュリティ設定部60により実行される。
同図に示すように、選択されたセキュリティキーが1つであるか否かを判断する(ステップS211)。1つであることを判断すると(ステップS221で「YES」)、選択されたセキュリティキーに登録されているセキュリティ処理のうち、実行するジョブに対応する処理を抽出する(ステップS222)。
【0049】
具体的には、例えばセキュリティキー31が選択された場合には、セキュリティキー登録情報格納部57に格納されているセキュリティ登録情報を読み出して、セキュリティキー(高)に登録されているセキュリティ処理、図12の例ではユーザ情報付与、タイムスタンプ(取得先:認証タイムサーバ)、使用制限(パスワード桁数:10桁)、データ保護を示す情報を抽出する。
【0050】
抽出したセキュリティ処理を示す情報を、実行すべきセキュリティ処理として設定、例えば抽出した情報を一時的に所定の内部メモリに格納させる(ステップS223)。
そして、セキュリティ処理として使用制限が設定された場合には、パスワードの入力を受け付けるための画面(不図示)を表示させ、当該画面においてユーザからのパスワードの入力を受け付けて、受け付けたパスワードを示す情報を前記内部メモリに使用制限処理と対応付けて格納(パスワードを設定)して(ステップS224)、メインルーチンにリターンする。設定されたセキュリティ処理を示す情報は、後述のステップS206のジョブ実行時に読み出される。
【0051】
ステップS221において、1つのセキュリティキーではない、すなわち異なる複数のセキュリティキーが選択された(1つずつ押下された)ことを判断すると(ステップS221で「NO」)、キー毎にセキュリティ登録情報を読み出して、各キーに登録されているセキュリティ処理を示す情報を抽出する(ステップS225)。
抽出したセキュリティ処理を示す情報のうち、処理の種類が同じであるが内容が異なるものがあるか否かを判断する(ステップS226)。
【0052】
例えば、図12に示す例において、セキュリティキー31(高)と32(中)が選択された場合、タイムスタンプについて取得先が異なっているので、種類が同じで内容が異なると判断される。また、セキュリティキー31(高)と33(低)が選択された場合には、使用制限についてパスワードの桁数が異なっているので、同様に、種類が同じで内容が異なると判断されることになる。
【0053】
同じ種類のものがない、または同じ種類のものがあるが処理内容も同じであることを判断すると(ステップS226で「NO」)、ステップS223に移る。この場合、各キーに登録されている全てのセキュリティ処理が、実行すべき処理として設定される。
一方、種類が同じであるが内容が異なるものがあることを判断すると(ステップS226で「YES」)、ユーザに対し処理内容の選択を要求し(ステップS227)、ユーザからの選択を受け付ける(ステップS228)。
【0054】
上記の例でタイムスタンプの取得先が異なっている場合には、取得先として認証タイムサーバと自装置のタイマーの2つが登録されているため、いずれの選択を要求する旨のメッセージと、取得先の選択入力を受け付けるための画面を液晶表示部21に表示させ、ユーザからの選択を受け付けるとすることができる。
選択入力を受け付けると、ステップS223に移る。この場合、選択された処理が実行されるようにセキュリティ処理の設定がなされることになる。
【0055】
図13に戻り、受け付けたキーがセキュリティキーでもスタートキー24でもないことを判断すると(ステップS204で「NO」)、受け付けたキーの入力情報の設定、例えばジョブメモリキー28であれば登録されているコピー条件等の設定を行って(ステップS205)、ステップS201に戻る。
受け付けたキーがスタートキー24であることを判断すると(ステップS204で「YES」)、設定情報に基づくジョブを開始する(ステップS206)。この設定情報には、ステップS203のセキュリティ設定処理において設定された情報と、ステップS205において設定された入力情報が含まれる。
【0056】
例えば、スキャンジョブが実行される場合には、設定された読取倍率等に基づく原稿の読み取り動作が実行され、コピージョブの場合には、設定されたコピー枚数や倍率等に応じたコピー動作が実行される。
そして、実行されるジョブの種類がスキャンジョブであることを判断すると(ステップS207で「YES」)、設定されたセキュリティ処理の、スキャンジョブに対応する処理(セキュリティ情報151のスキャンジョブ欄に書き込まれている処理)を、読み取られたデータ(処理対象データ)に施す(ステップS208)。
【0057】
図4の例では、ユーザ情報付与処理では、ユーザ署名の電子透かしによる埋め込み処理が実行される。タイムスタンプではタイムスタンプの付与、使用制限ではパスワードの埋め込み、データ保護ではPDFの書き換え禁止処理がなされる。タイムスタンプは、設定されている取得先から取得される。パスワードは、ステップS224で入力されたコードになる。
【0058】
また、実行されるジョブの種類がスキャンジョブではなくコピージョブであることを判断すると(ステップS207で「NO」)、設定されたセキュリティ処理の、コピージョブに対応する処理(セキュリティ情報151のコピージョブ欄に書き込まれている処理)を、処理対象データに施して印刷を行う(ステップS209)。
図4の例は、ユーザ情報付与処理ではユーザ情報の地紋による埋め込み、タイムスタンプではタイムスタンプのQRコードによる埋め込み、使用制限ではパスワードの地紋による埋め込み、データ保護ではウォータ−マークの埋め込み処理がなされる。タイムスタンプの取得先が設定済みの取得先であること、およびパスワードがステップS224で入力されたコードになることは、スキャンジョブの場合と同様である。ジョブ終了を判断すると(ステップS210で「YES」)、当該処理を終了する。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態の複写機は、セキュリティ処理を除くコピー条件を登録するためのジョブメモリキーと、セキュリティ処理の実行のためだけに用いられるセキュリティキーとが別個独立しており、1つのセキュリティキーには複数のセキュリティ処理が登録可能な構成になっている。これよりユーザは、ジョブメモリキーにはスキャンジョブやコピージョブ等の画像処理ジョブを実行するための画像処理条件として希望の条件を登録でき、セキュリティキーには希望のセキュリティ処理を複数組み合わせて登録できる。
【0060】
従って、ユーザが、例えば同じコピー条件でコピーする原稿ではあるが、その印刷物を社内で使用する場合と社外に持ち出す場合とでセキュリティレベルを切り換えたいと考えたときに、社内向けのコピージョブについてジョブメモリキー28と高レベルのセキュリティキー31とを選択し、社外向けのコピージョブについてジョブメモリキー28と低レベルのセキュリティキー33とを選択するという操作を行えば、コピー条件を簡易に設定できると共に、使用目的別にセキュリティレベルの切り換えを容易に行うことができるようになり、操作性が向上する。
【0061】
また、別々の種類のジョブに対し、同じ種類のセキュリティ処理を施す場合であっても、ジョブの種類に応じてセキュリティの処理内容を変える構成としている。従って、例えばタイムスタンプ処理では、スキャンジョブの場合にハッシュ値を含むタイムスタンプを付与し、コピージョブの場合にQRコードで埋め込むなど、同じタイムスタンプ処理でもジョブの種類に応じて異なる内容の処理を施すことができる。これより、ジョブの実行毎にジョブに適応したセキュリティに設定し直すといった操作を行う必要がなく、さらなる操作性の向上を図れる。
【0062】
なお、本発明は、画像処理装置に限られず、上記セキュリティ設定方法であるとしてもよい。さらに、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
【0063】
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、セキュリティ処理としてユーザ情報の付与など4種類の処理を例に挙げたが、セキュリティに関する処理であれば、これらに限られないことはいうまでもなく、これらとは別の種類の処理を実行する構成としても良い。また、ジョブの種類として、スキャンジョブとコピー(プリント)ジョブの例を挙げたが、画像処理ジョブであれば、これらに限られない。例えば、FAXジョブ、画像データを電子メール等により別の装置に送信するデータ送信ジョブ、ユーザ毎にデータ保存のために設けられたユーザBOXへのデータ格納ジョブなどに適用できる。
【0064】
(2)上記実施の形態では、セキュリティキーとして、いわゆるハードキーを操作パネル4に配置した場合の例を説明したが、ユーザが操作可能なキーが存在していればハードキーに限られることはない。例えば、表示画面上に表示されるキー(ソフトキー)をセキュリティキーとして設ける構成としても良い。
(3)上記実施の形態では、画像形成装置を複写機に適用した例を説明したが、ユーザにより操作されるキーが設けられた操作部を備える画像処理装置であれば複写機に限られず、例えばFAX、スキャナ等に適用できる。
【0065】
また、上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る画像処理装置は、ユーザが操作部においてセキュリティ処理を設定する場合における操作性の向上を図る技術として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施の形態に係る複写機1の全体の構成を示す図である。
【図2】複写機1に備えられる操作パネル4の構成を示す平面図である。
【図3】複写機1の制御部5の構成を示す図である。
【図4】制御部5に格納されるセキュリティ情報151の内容例を示す図である。
【図5】制御部5が実行する登録処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】操作部4の液晶表示部12に表示される登録選択受付画面101の表示例を示す図である。
【図7】セキュリティ登録処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図8】セキュリティキー選択画面111の表示例を示す図である。
【図9】セキュリティ選択受付画面121の表示例を示す図である。
【図10】タイムスタンプ取得先選択受付画面131の表示例を示す図である。
【図11】セキュリティ登録情報171の内容例を示す図である。
【図12】セキュリティ登録完了画面141の表示例を示す図である。
【図13】スキャンジョブ、コピージョブの際に制御部5が実行する処理内容を示すフローチャートである。
【図14】セキュリティ設定処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1 複写機
4 操作パネル
5 制御部
28 ジョブメモリキー
31〜33 セキュリティキー
56 セキュリティキー登録部
57 セキュリティキー登録情報格納部
58 ジョブメモリキー登録部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理ジョブのデータにセキュリティ処理を施す画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像処理装置の機能として、出力画像の不正コピーや改ざん等を防止するために出力画像にウォーターマークやユーザ署名を付加したり、パスワードを付与したりする等のセキュリティ処理が施されることが行われている。
ユーザは、操作パネルから各セキュリティ処理を設定できるが、コピー等のジョブ毎に、コピー枚数やコピー倍率等と共にセキュリティ処理をキー入力により設定しなければならず面倒でありユーザにとって操作性が悪い。
【0003】
キー入力の操作性向上を図る目的で、操作パネル上の1つのキーに、コピー倍率等の使用頻度の高いコピー条件を組み合わせて予め登録しておき、ユーザにより当該1つのキーが操作されると、登録されているコピー条件を呼び出して装置に自動設定する機能も知られている。
この機能を利用してコピー倍率などのコピー条件と一緒にセキュリティ処理を登録する構成をとれば、ユーザは、1つのキーを操作するだけで、コピー条件に加えてセキュリティ処理の設定を済ませることが可能になる。
【特許文献1】特開2003−118177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、セキュリティは、例えば出力画像を社外に持ち出す場合にはセキュリティを必須とし、社内で使用する場合にはセキュリティを施さなくするとしたり、取引先に応じて異なるセキュリティを設定したりするなど、使用目的によって変えられることが望まれる。
そのため、1つのキーにコピー条件と一緒にセキュリティ処理を登録しておいても、使用目的が異なれば、その目的に応じてセキュリティ処理だけを解除したり再設定したりするなどの必要が生じる。セキュリティ処理には、ウォーターマークの付与、ユーザ署名の付加など複数の処理が存在し、複数の処理が登録されていれば各セキュリティ処理を個別に解除等するといった面倒な操作を実行しなければならず、操作性が逆に悪くなってしまう。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ユーザがセキュリティを設定する場合の操作性を向上できる画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像処理装置は、操作部を有し、当該操作部からの入力情報に基づいて画像処理ジョブを実行する画像処理装置であって、前記操作部には、画像処理ジョブのデータにセキュリティ処理を施すためだけに用いられ、種類の異なる複数のセキュリティ処理が対応付けて登録されているセキュリティキーが存在し、前記セキュリティキーが操作されると、当該キーに対応付けて登録されているセキュリティ処理を前記データに施すことを特徴とする。
【0007】
ここで上記「セキュリティキーが存在」とは、セキュリティキーが物理的な、いわゆるハードキーとして存在する場合はもちろん、表示画面等に表示されるソフトキーとして存在する場合を含む意味で用いられる。
【発明の効果】
【0008】
このように種類の異なる複数のセキュリティ処理が登録されているセキュリティキーが独立して存在するので、ユーザは画像処理ジョブ毎に必要に応じてセキュリティキーを操作することで種類の異なるセキュリティ処理を一度に設定することができ操作性が向上する。
また、種類の異なる画像処理ジョブを実行可能であり、別々の種類の画像処理ジョブに同じ種類のセキュリティ処理を施す場合に、画像処理ジョブの種類に応じて処理内容が異なることを特徴とする。
【0009】
このようにすれば、画像処理ジョブの種類毎に最適なセキュリティ処理を施すことが可能になり、ユーザにとって便宜である。
さらに、前記セキュリティキーが複数存在し、一の画像処理ジョブに対し、複数のセキュリティキーが操作されると、操作された各キーに登録されている全てのセキュリティ処理を前記データに施すことを特徴とする。
【0010】
このようにすれば、例えば第1のセキュリティキーに第1と第2のセキュリティ処理が登録され、第2のセキュリティキーに第3と第4のセキュリティ処理が登録されている場合に、ユーザは、第1と第2のセキュリティキーを操作するだけで、第1〜第4のセキュリティ処理を組み合わせて実行させることができ、もって操作性が向上する。
また、前記セキュリティキーが複数存在し、一の画像処理ジョブに対し、複数のセキュリティキーが操作されると、操作された各セキュリティキーに登録されているセキュリティ処理のうち、種類が同一かつ内容が異なる処理が含まれている場合に、ユーザに対し、実行すべき内容の選択を要求し、ユーザにより選択された内容に基づくセキュリティ処理を実行することを特徴とする。
【0011】
このようにすれば、ユーザは自己が希望する処理内容を選択することができ、ユーザにとって便宜である。
また、前記操作部には、画像処理ジョブを実行するための条件であってセキュリティ処理に関する条件を含まない画像処理条件が登録されるジョブメモリキーが存在し、一の画像処理ジョブにおいてジョブメモリキーおよびセキュリティキーが操作された場合、ジョブメモリキーに登録されている画像処理条件に基づいて当該ジョブを実行すると共に、セキュリティキーに登録されているセキュリティ処理を当該ジョブのデータに施すことを特徴とする。
【0012】
このようにすれば、ユーザは、ジョブメモリキーとセキュリティキーの操作という簡易な操作で、登録されている画像処理条件に基づく画像処理ジョブとセキュリティ処理とを実行させることができ、操作性が向上する。
さらに、前記セキュリティキーに、前記複数のセキュリティ処理を対応付けて登録する登録手段を備えることを特徴とする。
【0013】
このようにすれば、ユーザは、セキュリティキーに複数のセキュリティ処理を登録することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る画像処理装置の実施の形態を、カラーデジタル複写機(以下、単に「複写機」という。)を例にして説明する。
図1は、本実施の形態に係る複写機1の全体の構成を示す図である。
同図に示すように、複写機1は、スキャナ部2、プリンタ部3、操作パネル4および制御部5などを備えている。
【0015】
複写機1は、原稿の画像を読み取るスキャンジョブ、読み取って得られた画像データに基づいて原稿画像を印刷(プリント)するコピージョブ、外部の端末装置からの印刷の実行指示をネットワーク、ここではLANを介して受け付けて印刷を行うプリントジョブ等の種類の異なる各種ジョブを実行する機能を有する、いわゆる多機能カラーデジタル複写機(Multiple Function Peripheral)である。
【0016】
スキャナ部2は、原稿搬送装置により搬送される原稿の画像を読み取る公知の画像読取装置である。
プリンタ部3は、周知の電子写真技術を利用して、スキャナ部2によって読み取られたデータや外部の端末装置からのプリントジョブのデータに基づいて用紙上にカラー画像を形成する。プリンタ部3には、異なるサイズの用紙が収容される給紙カセット6〜8が配置されている。プリンタ部3は、選択された給紙カセットから用紙を給送させ、給送された用紙にカラー画像を形成する。プリント終了後の用紙は、排出トレイ9上に収容される。操作パネル4は、スキャナ部3の前面の、ユーザが操作し易い位置に配設されている。
【0017】
図2は、操作パネル4の構成を示す平面図である。
同図に示すように、操作パネル4は、キー群11と液晶表示部12を備えている。
ハードキーとしてのキー群11には、スキャンモードキー21、コピーモードキー22、テンキー23、スタートキー24、ストップキー25、リセットキー26、クリアキー27、ジョブメモリキー28およびセキュリティキー29が含まれている。
【0018】
スキャンモードキー21は、スキャンジョブの実行モードへの移行を指示するためのキーであり、コピーモードキー22は、コピージョブの実行モードへの移行を指示するためのキーである。テンキー23は、コピー枚数等の入力用のキーであり、スタートキー24は、コピージョブ等の開始を指示するためのキーである。
ストップキー25は、コピー動作等の中断を指示するためのキーであり、リセットキー26は、液晶表示部12に表示される画面を初期画面に戻すためのキーである。クリアキー27は、入力されたコピー枚数等の値をゼロに戻すためのキーである。
【0019】
ジョブメモリキー28は、予め登録されたコピー倍率、用紙サイズ、読取濃度等の使用頻度の高いコピー条件や読取条件を自動設定するジョブメモリ機能を実行するためのキーである。
セキュリティキー29は、画像処理ジョブのデータ、具体的にはスキャン、コピー、プリントの各ジョブによる画像を表わすデータ(以下、「処理対象データ」という。)にセキュリティ処理を施すためのキーであり、ここでは高、中、低の3つのセキュリティキー31〜33が設けられている。セキュリティキー31〜33には、実行すべきセキュリティ処理が管理者等により予め登録されている。
【0020】
ユーザは、セキュリティキー31〜33を選択するという簡易な操作を行うだけで、ジョブ毎に異なるセキュリティ処理を実行させることができる。セキュリティ処理の内容および登録の方法については、後述する。
表示部としての液晶表示部12は、液晶表示画面の表面に透光性のタッチパネルが積層されてなり、液晶表示画面には登録キー35などの各種キーが設けられており、コピー枚数や複写機1の状態を示すメッセージやユーザからの各種設定、キー入力を受け付けるための画面などを表示させ、ユーザによる画面へのタッチをユーザの入力として受け付けて、その入力情報を制御部5に送る。登録キー35は、ジョブメモリキー28にコピー条件等を、セキュリティキー31〜33にセキュリティ処理を登録するためのキーである。
【0021】
図3は、制御部5の構成を示す図である。
同図に示すように、制御部5は、主な構成要素として、通信インターフェース(I/F)部51、CPU52、ROM53、RAM54、セキュリティ情報格納部55、セキュリティキー登録部56、セキュリティキー登録情報格納部57、ジョブメモリキー登録部58、ジョブメモリキー登録情報格納部59およびセキュリティ設定部60を備えており、各部はデータのやりとりを行えるようになっている。
【0022】
通信I/F部51は、LANカード、LANボードといったLANに接続するためのインターフェースである。
CPU52は、ROM53から必要なプログラムを読み出して、プリンタ部3等の動作をタイミングを取りながら統一的に制御して円滑なコピー等の動作を実行させる。また、後述の登録処理、セキュリティ設定処理などを実行する。さらに、液晶表示部12のタッチパネルからの入力情報を受け付ける。
【0023】
ROM53には、スキャナ部2における原稿読取動作、プリンタ部3におけるプリント動作等に関する制御プログラム、セキュリティ等の登録処理およびセキュリティ設定処理のためのプログラム等が格納されている。
RAM54は、CPU52のプログラム実行時のワークエリアとして用いられる。
セキュリティ情報格納部55には、セキュリティ処理の内容を示す情報(以下、「セキュリティ情報」という。)が格納されている。
【0024】
図4は、セキュリティ情報151の内容例を示す図である。
同図に示すように、セキュリティ情報は、種類の異なる複数のジョブと種類の異なる複数のセキュリティ処理とが対応付けされてなる。種類の異なる複数のジョブとして、ここではスキャンジョブとコピー(プリント)ジョブの例が挙げられている。また、種類の異なる複数のセキュリティ処理として、ここではユーザ情報の付与、タイムスタンプ、使用制限およびデータ保護の4種類の例が挙げられている。
【0025】
ここで、ユーザ情報の付与とは、処理対象データにユーザ情報を付与する処理である。
スキャンジョブの場合には、ユーザ署名を処理対象データに電子透かしにより埋め込む処理が実行されることを示している。ここで、ユーザ署名とは、例えば複写機1がログイン機能を有している場合に会社内で各ユーザに割り当てられたログインコードとしたり、会社内でのユーザの識別コードなどとしたりすることができる。
【0026】
コピー(プリント)ジョブの場合には、ユーザ名や識別コードなどのユーザ情報を地紋で埋め込んで印刷する処理が実行される。
なお、処理内容は、上記のものに限られることはない。例えば、スキャンジョブの場合に、ユーザ署名をそのまま埋め込むとしても良い。また、コピージョブの場合に、ユーザ情報をQRコードで埋め込むとすることもできる。
【0027】
タイムスタンプ処理とは、ジョブ実行時の時刻を示す情報をタイムスタンプとして付与する処理であり、タイムスタンプにより示される時刻に処理対象データが存在していたことの証明に用いられる。
スキャンジョブの場合には、タイムスタンプが処理対象データに付与される。一方、コピー(プリント)ジョブの場合には、タイムスタンプをQRコードで印刷する処理が実行される。なお、タイムスタンプをそのまま、または地紋で埋め込んで印刷することもできる。
【0028】
タイムスタンプ処理では、タイムスタンプの取得先の装置、例えば外部の認証タイムサーバなどをユーザが選択可能になっている。この選択の詳細については後述する。
使用制限とは、パスワードを付与する処理である。スキャンジョブの場合には、パスワードが処理対象データに付与され、コピー(プリント)ジョブの場合には、パスワードが地紋で埋め込まれて印刷される。
【0029】
付与される、または埋め込まれるパスワードは、スキャンジョブ等のジョブ実行時に当該ユーザが入力することができる。
付与された、または埋め込まれたパスワードは、アクセス権の設定されている装置において読み取られて利用される。具体的には、例えばスキャンジョブによりパスワードの付与された処理対象データの閲覧をユーザから要求された場合に、付与されたパスワードと一致するコードがユーザにより入力されると閲覧を許可し、不一致であれば閲覧を禁止する構成が考えられる。
【0030】
また、コピージョブにより出力された印刷物がユーザにより再び複写機1でコピーされる場合に、スキャナ部2にセットされた当該印刷物を一旦スキャンし、埋め込まれているパスワードを読み取って、読み取って得られたコードと一致するコードが当該ユーザにより入力されなければ、コピーを禁止する構成とすることも考えられる。
データ保護とは、処理対象データを保護するための情報を付与する処理である。具体的には、スキャンジョブで読み取ったデータをPDF(Portable Document Format)ファイルに変換する場合に、当該ファイルに書き換え禁止のための処理を施す。コピー(プリント)ジョブの場合には、ウォーターマークを埋め込む処理が行われる。なお、ウォーターマークに限られず、例えばコピー禁止などの地紋を埋め込むとすることもできる。セキュリティ情報は、予め製造時等に登録され、セキュリティキーの登録処理等に読み出される。
【0031】
図3に戻って、セキュリティキー登録部56は、セキュリティキー31〜33にセキュリティ処理を登録するための処理を実行する。
セキュリティキー登録情報格納部57には、セキュリティキー31〜33と、当該キーに登録されたセキュリティ処理の内容とを対応付けた情報が格納される。
ジョブメモリキー登録部58は、ジョブメモリキー28にコピー条件等を登録するための処理を実行する。
【0032】
ジョブメモリキー登録情報格納部59には、ジョブメモリキー28に登録されたコピー条件等の内容を示す情報が格納される。
セキュリティ設定部60は、セキュリティ設定処理を実行する。
図5は、制御部5が実行する登録処理の内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、登録キー35の入力を受け付けると(ステップS100)、登録選択受付画面を液晶表示部12に表示させる(ステップS101)。
【0033】
図6は、登録選択受付画面101の表示例を示す図である。
同図に示すように、登録選択受付画面101には、セキュリティ登録キー102とジョブメモリ登録キー103とが設けられている。ユーザは、登録を希望するキーを押下することにより選択することができる。
図5に戻り、登録選択受付画面101においてユーザによりセキュリティ登録キー102が選択されたことを判断すると(ステップS102で「YES」)、セキュリティ登録処理を実行する(ステップS103)。
【0034】
図7は、セキュリティ登録処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。このセキュリティ登録処理は、セキュリティキー登録部56により実行される。
同図に示すように、セキュリティキー選択画面を液晶表示部12に表示させる(ステップS111)。
図8は、セキュリティキー選択画面111の表示例を示す図である。
【0035】
同図に示すように、セキュリティキー選択画面111には、セキュリティキー31を示す「高」キー、セキュリティキー32を示す「中」キー、セキュリティキー33を示す「「低」キーが設けられている。ユーザは、登録を希望するキーを押下により選択することができる。ここでは、「高」キーが選択されたとする。
図7に戻り、セキュリティキー選択画面111においてユーザによるキーの選択入力を受け付けると(ステップS112)、液晶表示部12の画面をセキュリティ選択受付画面に切り換えて(ステップS113)、ユーザによるセキュリティの選択入力を受け付ける(ステップS114)。
【0036】
図9は、セキュリティ選択受付画面121の表示例を示す図である。
同図に示すように、セキュリティ選択受付画面121には、実行可能なセキュリティ処理名が一覧表示される。この名称は、セキュリティ情報格納部55に格納されているセキュリティ情報のセキュリティ処理の種類名に相当する。
ユーザは、セキュリティ処理名の表示部分を押下することで、セキュリティキー31に登録したいセキュリティ処理を選択できる。選択された処理は、選択されたことを示す表示、例えば反転またはグレー表示に切り換わるようになっている。ユーザは、再度、押下することで選択を解除することができる。この場合、元の表示に戻る。
【0037】
取得先選択キー122は、タイムスタンプ処理においてタイムスタンプを取得する装置の選択を行うためのキーである。取得先選択キー122がユーザにより押下されると、タイムスタンプ取得先選択受付画面に切り換える。
図10は、タイムスタンプ取得先選択受付画面131の表示例を示す図である。
同図に示すように、タイムスタンプ取得先選択受付画面131には、取得先として外部の認証タイムサーバを指定するためのキー132、社内のタイムサーバを指定するためのキー133、自装置(複写機1)のタイマーを指定するためのキー134が設けられている。
【0038】
ここで、認証タイムサーバとは、外部装置からネットワークを介して処理対象データのハッシュ値を受け付けると、当該ハッシュ値にタイムスタンプを付加して暗号化した情報を有償にて当該外部装置に返送する機能を有する公知のサーバである。ハッシュ値による処理対象データの改ざん防止と共に、当該ハッシュ値が認証タイムサーバに受け付けられた時刻に当該処理対象データが存在していたことの証明に用いられる。
【0039】
社内のタイムサーバとは、社内LANで管理している時刻を各装置に無償提供するサーバである。各サーバとの間でタイムスタンプの要求、送受信等が実行できるようにアドレス等が予め設定登録される。
時刻の正確性をセキュリティのレベルで表わすと、認証タイムサーバが最高であり、社内のタイムサーバ、自装置のタイマーの順に続くことになる。
【0040】
ユーザは、キー132〜134を押下することで取得先の装置を選択することができる。具体的には、外部の認証タイムサーバとの通信を行ってまで時刻証明が必要な場合には、キー132により認証タイムサーバを選択でき、時刻が付加されていれば良い程度の場合には、キー133または134により社内のタイムサーバまたは自装置のタイマーを選択できる。ここで選択された装置が、タイムスタンプ処理においてタイムスタンプを取得する際の取得先とされる。
【0041】
選択完了キー135が押下されると、ユーザによる選択が完了したとして、セキュリティ選択受付画面121に戻る。
セキュリティ選択受付画面121のパスワードキー123は、使用制限処理を実行する場合に処理対象データに付加すべき、または画像に埋め込むべきパスワードの桁数を設定するためのキーである。パスワードキー123がユーザにより押下されると、パスワードの桁数の設定画面(不図示)に切り換えられ、ユーザは、当該設定画面にて桁数、例えば10桁など設定できるようになっている。設定終了後、セキュリティ選択受付画面121に戻る。
【0042】
ユーザにより選択完了キー124が押下されると、セキュリティの選択入力が完了したとして、選択されたセキュリティの登録処理を行う(ステップS115)。
具体的には、選択されたセキュリティキーとセキュリティ処理の内容とを対応付けたセキュリティ登録情報をセキュリティキー登録情報格納部57に格納させる。
図11は、セキュリティ登録情報171の内容例を示す図である。
【0043】
同図は、セキュリティキー31(高)について、全てのセキュリティ処理が登録されると共に、タイムスタンプの取得先として認証タイムサーバが、パスワードの桁数として10桁が登録され、セキュリティキー32(中)について、タイムスタンプとデータ保護処理が登録されると共に、タイムスタンプの取得先として自装置が登録され、セキュリティキー33(低)について、使用制限処理だけが登録されると共に、パスワードの桁数として4桁が登録されている例を示している。
【0044】
図7に戻って、液晶表示部12の画面をセキュリティ登録完了画面に切り換える(ステップS116)。
図12は、セキュリティ登録完了画面141の表示例を示す図である。
同図に示すように、セキュリティ登録完了画面141は、選択されたセキュリティキーにどのセキュリティ処理が登録されたのかを示す画面である。同図は、セキュリティキー31に、セキュリティ処理としてユーザ情報付与、タイムスタンプ、使用制限、データ保護が登録されたことを例示している。
【0045】
ユーザは、上記同様の方法で、他のセキュリティキー32、33についてセキュリティ処理を登録することができる。例えば、セキュリティレベルを高、中、低で使い分けられるように、セキュリティキー32について、セキュリティレベルが中程度になるように2つのセキュリティ処理を登録し、セキュリティキー33について、セキュリティレベルが低くなるように、1つのセキュリティ処理だけを登録することも可能である。
【0046】
図7に戻って、ステップS117では、セキュリティ登録完了画面141の終了キー142が押下されたことを判断すると(ステップS117で「YES」)、画面を、初期画面、ここでは図2に示す画面に切り換えて(ステップS118)、登録処理のサブルーチンにリターンする。
図5に戻り、登録処理のステップS102で、ユーザによりジョブメモリ登録キー103が選択されたことを判断すると(ステップS102で「NO」)、ジョブメモリ登録処理を実行する(ステップS104)。ジョブメモリ登録処理は、ジョブメモリキー28にコピー条件等を登録する処理である。ここでは図示していないが、具体的には、ユーザに対し登録を希望するコピー条件等(用紙サイズ、倍率など)の設定を促す旨のメッセージと設定受付画面を表示させ、ユーザにより設定受付画面上でコピー条件等が設定されると、設定された条件をプログラム登録情報としてジョブメモリキー登録情報格納部59に格納させるものである。この処理は、ジョブメモリキー登録部58において実行される。
【0047】
図13は、スキャンジョブ、コピージョブの際に制御部5が実行する処理内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、操作パネル4上のキーの入力を受け付ける(ステップS201)。受け付けたキーがセキュリティキー31〜33のいずれかであることを判断すると(ステップS202で「YES」)、セキュリティ設定処理を実行する(ステップS203)。
【0048】
図14は、セキュリティ設定処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。このセキュリティ設定処理は、セキュリティ設定部60により実行される。
同図に示すように、選択されたセキュリティキーが1つであるか否かを判断する(ステップS211)。1つであることを判断すると(ステップS221で「YES」)、選択されたセキュリティキーに登録されているセキュリティ処理のうち、実行するジョブに対応する処理を抽出する(ステップS222)。
【0049】
具体的には、例えばセキュリティキー31が選択された場合には、セキュリティキー登録情報格納部57に格納されているセキュリティ登録情報を読み出して、セキュリティキー(高)に登録されているセキュリティ処理、図12の例ではユーザ情報付与、タイムスタンプ(取得先:認証タイムサーバ)、使用制限(パスワード桁数:10桁)、データ保護を示す情報を抽出する。
【0050】
抽出したセキュリティ処理を示す情報を、実行すべきセキュリティ処理として設定、例えば抽出した情報を一時的に所定の内部メモリに格納させる(ステップS223)。
そして、セキュリティ処理として使用制限が設定された場合には、パスワードの入力を受け付けるための画面(不図示)を表示させ、当該画面においてユーザからのパスワードの入力を受け付けて、受け付けたパスワードを示す情報を前記内部メモリに使用制限処理と対応付けて格納(パスワードを設定)して(ステップS224)、メインルーチンにリターンする。設定されたセキュリティ処理を示す情報は、後述のステップS206のジョブ実行時に読み出される。
【0051】
ステップS221において、1つのセキュリティキーではない、すなわち異なる複数のセキュリティキーが選択された(1つずつ押下された)ことを判断すると(ステップS221で「NO」)、キー毎にセキュリティ登録情報を読み出して、各キーに登録されているセキュリティ処理を示す情報を抽出する(ステップS225)。
抽出したセキュリティ処理を示す情報のうち、処理の種類が同じであるが内容が異なるものがあるか否かを判断する(ステップS226)。
【0052】
例えば、図12に示す例において、セキュリティキー31(高)と32(中)が選択された場合、タイムスタンプについて取得先が異なっているので、種類が同じで内容が異なると判断される。また、セキュリティキー31(高)と33(低)が選択された場合には、使用制限についてパスワードの桁数が異なっているので、同様に、種類が同じで内容が異なると判断されることになる。
【0053】
同じ種類のものがない、または同じ種類のものがあるが処理内容も同じであることを判断すると(ステップS226で「NO」)、ステップS223に移る。この場合、各キーに登録されている全てのセキュリティ処理が、実行すべき処理として設定される。
一方、種類が同じであるが内容が異なるものがあることを判断すると(ステップS226で「YES」)、ユーザに対し処理内容の選択を要求し(ステップS227)、ユーザからの選択を受け付ける(ステップS228)。
【0054】
上記の例でタイムスタンプの取得先が異なっている場合には、取得先として認証タイムサーバと自装置のタイマーの2つが登録されているため、いずれの選択を要求する旨のメッセージと、取得先の選択入力を受け付けるための画面を液晶表示部21に表示させ、ユーザからの選択を受け付けるとすることができる。
選択入力を受け付けると、ステップS223に移る。この場合、選択された処理が実行されるようにセキュリティ処理の設定がなされることになる。
【0055】
図13に戻り、受け付けたキーがセキュリティキーでもスタートキー24でもないことを判断すると(ステップS204で「NO」)、受け付けたキーの入力情報の設定、例えばジョブメモリキー28であれば登録されているコピー条件等の設定を行って(ステップS205)、ステップS201に戻る。
受け付けたキーがスタートキー24であることを判断すると(ステップS204で「YES」)、設定情報に基づくジョブを開始する(ステップS206)。この設定情報には、ステップS203のセキュリティ設定処理において設定された情報と、ステップS205において設定された入力情報が含まれる。
【0056】
例えば、スキャンジョブが実行される場合には、設定された読取倍率等に基づく原稿の読み取り動作が実行され、コピージョブの場合には、設定されたコピー枚数や倍率等に応じたコピー動作が実行される。
そして、実行されるジョブの種類がスキャンジョブであることを判断すると(ステップS207で「YES」)、設定されたセキュリティ処理の、スキャンジョブに対応する処理(セキュリティ情報151のスキャンジョブ欄に書き込まれている処理)を、読み取られたデータ(処理対象データ)に施す(ステップS208)。
【0057】
図4の例では、ユーザ情報付与処理では、ユーザ署名の電子透かしによる埋め込み処理が実行される。タイムスタンプではタイムスタンプの付与、使用制限ではパスワードの埋め込み、データ保護ではPDFの書き換え禁止処理がなされる。タイムスタンプは、設定されている取得先から取得される。パスワードは、ステップS224で入力されたコードになる。
【0058】
また、実行されるジョブの種類がスキャンジョブではなくコピージョブであることを判断すると(ステップS207で「NO」)、設定されたセキュリティ処理の、コピージョブに対応する処理(セキュリティ情報151のコピージョブ欄に書き込まれている処理)を、処理対象データに施して印刷を行う(ステップS209)。
図4の例は、ユーザ情報付与処理ではユーザ情報の地紋による埋め込み、タイムスタンプではタイムスタンプのQRコードによる埋め込み、使用制限ではパスワードの地紋による埋め込み、データ保護ではウォータ−マークの埋め込み処理がなされる。タイムスタンプの取得先が設定済みの取得先であること、およびパスワードがステップS224で入力されたコードになることは、スキャンジョブの場合と同様である。ジョブ終了を判断すると(ステップS210で「YES」)、当該処理を終了する。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態の複写機は、セキュリティ処理を除くコピー条件を登録するためのジョブメモリキーと、セキュリティ処理の実行のためだけに用いられるセキュリティキーとが別個独立しており、1つのセキュリティキーには複数のセキュリティ処理が登録可能な構成になっている。これよりユーザは、ジョブメモリキーにはスキャンジョブやコピージョブ等の画像処理ジョブを実行するための画像処理条件として希望の条件を登録でき、セキュリティキーには希望のセキュリティ処理を複数組み合わせて登録できる。
【0060】
従って、ユーザが、例えば同じコピー条件でコピーする原稿ではあるが、その印刷物を社内で使用する場合と社外に持ち出す場合とでセキュリティレベルを切り換えたいと考えたときに、社内向けのコピージョブについてジョブメモリキー28と高レベルのセキュリティキー31とを選択し、社外向けのコピージョブについてジョブメモリキー28と低レベルのセキュリティキー33とを選択するという操作を行えば、コピー条件を簡易に設定できると共に、使用目的別にセキュリティレベルの切り換えを容易に行うことができるようになり、操作性が向上する。
【0061】
また、別々の種類のジョブに対し、同じ種類のセキュリティ処理を施す場合であっても、ジョブの種類に応じてセキュリティの処理内容を変える構成としている。従って、例えばタイムスタンプ処理では、スキャンジョブの場合にハッシュ値を含むタイムスタンプを付与し、コピージョブの場合にQRコードで埋め込むなど、同じタイムスタンプ処理でもジョブの種類に応じて異なる内容の処理を施すことができる。これより、ジョブの実行毎にジョブに適応したセキュリティに設定し直すといった操作を行う必要がなく、さらなる操作性の向上を図れる。
【0062】
なお、本発明は、画像処理装置に限られず、上記セキュリティ設定方法であるとしてもよい。さらに、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
【0063】
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、セキュリティ処理としてユーザ情報の付与など4種類の処理を例に挙げたが、セキュリティに関する処理であれば、これらに限られないことはいうまでもなく、これらとは別の種類の処理を実行する構成としても良い。また、ジョブの種類として、スキャンジョブとコピー(プリント)ジョブの例を挙げたが、画像処理ジョブであれば、これらに限られない。例えば、FAXジョブ、画像データを電子メール等により別の装置に送信するデータ送信ジョブ、ユーザ毎にデータ保存のために設けられたユーザBOXへのデータ格納ジョブなどに適用できる。
【0064】
(2)上記実施の形態では、セキュリティキーとして、いわゆるハードキーを操作パネル4に配置した場合の例を説明したが、ユーザが操作可能なキーが存在していればハードキーに限られることはない。例えば、表示画面上に表示されるキー(ソフトキー)をセキュリティキーとして設ける構成としても良い。
(3)上記実施の形態では、画像形成装置を複写機に適用した例を説明したが、ユーザにより操作されるキーが設けられた操作部を備える画像処理装置であれば複写機に限られず、例えばFAX、スキャナ等に適用できる。
【0065】
また、上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る画像処理装置は、ユーザが操作部においてセキュリティ処理を設定する場合における操作性の向上を図る技術として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施の形態に係る複写機1の全体の構成を示す図である。
【図2】複写機1に備えられる操作パネル4の構成を示す平面図である。
【図3】複写機1の制御部5の構成を示す図である。
【図4】制御部5に格納されるセキュリティ情報151の内容例を示す図である。
【図5】制御部5が実行する登録処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】操作部4の液晶表示部12に表示される登録選択受付画面101の表示例を示す図である。
【図7】セキュリティ登録処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図8】セキュリティキー選択画面111の表示例を示す図である。
【図9】セキュリティ選択受付画面121の表示例を示す図である。
【図10】タイムスタンプ取得先選択受付画面131の表示例を示す図である。
【図11】セキュリティ登録情報171の内容例を示す図である。
【図12】セキュリティ登録完了画面141の表示例を示す図である。
【図13】スキャンジョブ、コピージョブの際に制御部5が実行する処理内容を示すフローチャートである。
【図14】セキュリティ設定処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1 複写機
4 操作パネル
5 制御部
28 ジョブメモリキー
31〜33 セキュリティキー
56 セキュリティキー登録部
57 セキュリティキー登録情報格納部
58 ジョブメモリキー登録部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部を有し、当該操作部からの入力情報に基づいて画像処理ジョブを実行する画像処理装置であって、
前記操作部には、
画像処理ジョブのデータにセキュリティ処理を施すためだけに用いられ、種類の異なる複数のセキュリティ処理が対応付けて登録されているセキュリティキーが存在し、
前記セキュリティキーが操作されると、当該キーに対応付けて登録されているセキュリティ処理を前記データに施すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
種類の異なる画像処理ジョブを実行可能であり、
別々の種類の画像処理ジョブに同じ種類のセキュリティ処理を施す場合に、画像処理ジョブの種類に応じて処理内容が異なることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記セキュリティキーが複数存在し、
一の画像処理ジョブに対し、複数のセキュリティキーが操作されると、操作された各キーに登録されている全てのセキュリティ処理を前記データに施すことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記セキュリティキーが複数存在し、
一の画像処理ジョブに対し、複数のセキュリティキーが操作されると、操作された各セキュリティキーに登録されているセキュリティ処理のうち、種類が同一かつ内容が異なる処理が含まれている場合に、ユーザに対し、実行すべき内容の選択を要求し、ユーザにより選択された内容に基づくセキュリティ処理を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記操作部には、
画像処理ジョブを実行するための条件であってセキュリティ処理に関する条件を含まない画像処理条件が登録されるジョブメモリキーが存在し、
一の画像処理ジョブにおいてジョブメモリキーおよびセキュリティキーが操作された場合、ジョブメモリキーに登録されている画像処理条件に基づいて当該ジョブを実行すると共に、セキュリティキーに登録されているセキュリティ処理を当該ジョブのデータに施すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記セキュリティキーに前記複数のセキュリティ処理を対応付けて登録する登録手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項1】
操作部を有し、当該操作部からの入力情報に基づいて画像処理ジョブを実行する画像処理装置であって、
前記操作部には、
画像処理ジョブのデータにセキュリティ処理を施すためだけに用いられ、種類の異なる複数のセキュリティ処理が対応付けて登録されているセキュリティキーが存在し、
前記セキュリティキーが操作されると、当該キーに対応付けて登録されているセキュリティ処理を前記データに施すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
種類の異なる画像処理ジョブを実行可能であり、
別々の種類の画像処理ジョブに同じ種類のセキュリティ処理を施す場合に、画像処理ジョブの種類に応じて処理内容が異なることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記セキュリティキーが複数存在し、
一の画像処理ジョブに対し、複数のセキュリティキーが操作されると、操作された各キーに登録されている全てのセキュリティ処理を前記データに施すことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記セキュリティキーが複数存在し、
一の画像処理ジョブに対し、複数のセキュリティキーが操作されると、操作された各セキュリティキーに登録されているセキュリティ処理のうち、種類が同一かつ内容が異なる処理が含まれている場合に、ユーザに対し、実行すべき内容の選択を要求し、ユーザにより選択された内容に基づくセキュリティ処理を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記操作部には、
画像処理ジョブを実行するための条件であってセキュリティ処理に関する条件を含まない画像処理条件が登録されるジョブメモリキーが存在し、
一の画像処理ジョブにおいてジョブメモリキーおよびセキュリティキーが操作された場合、ジョブメモリキーに登録されている画像処理条件に基づいて当該ジョブを実行すると共に、セキュリティキーに登録されているセキュリティ処理を当該ジョブのデータに施すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記セキュリティキーに前記複数のセキュリティ処理を対応付けて登録する登録手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−5166(P2008−5166A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171817(P2006−171817)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]