説明

画像処理装置

【課題】使用状況に応じて効率的な制御を行う。
【解決手段】プリンタのユーザ数を取得し、そのユーザ数に応じて制御形態を切り替える。即ち、ユーザ数に基づいて、ジョブが入力される頻度など、プリンタの今後の使用状況を見積もることができる。従って、ユーザ数に応じて制御形態を切り替えることで、使用状況に応じた効率的な制御を行うことが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、特に制御部の制御形態を切り替える機能を備えた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スキャン、コピー、PCプリント、FAX送受信など、画像データに対する処理を伴うジョブを実行可能な画像処理装置において、制御部の制御形態を切り替える機能を備えたものが知られている。例えば、特許文献1の画像処理装置は、高速のCPUを有するメイン制御部と、低速のCPUを有するサブ制御部とを備えており、通常時は、メイン制御部が印刷部等を制御し、サブ制御部が外部機器とのインターフェイスを制御する。そして、省電力モード中はメイン制御部を停止してサブ制御部のみ動作させることで消費電力の抑制を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−101609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ジョブを実行するときにも複数の異なる制御形態を切り替えて制御することで効率化を図ることが検討されている。一般的には、処理能力の高い制御形態の方が多くのジョブを高速に処理できると考えられる。従って、一時期に多数のジョブが入力されるような状況では処理能力の高い制御形態で制御すると効率がよい。
【0005】
しかしながら、従来では、そのような使用状況に応じて必ずしも効率の良い制御が行われていなかった。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、使用状況に応じて効率的な制御を行うことが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、第1の発明に係る画像処理装置は、画像データに対する処理を伴うジョブを実行可能な画像処理装置であって、画像データに対する処理を行う処理部と、当該画像処理装置を使用するユーザ数を取得する取得部と、前記処理部を制御して入力されたジョブを実行するとともに、前記取得部により取得されたユーザ数に応じてジョブを実行する際の制御形態を切り替える制御部と、を備える。
【0008】
第1の発明によれば、画像処理装置のユーザ数を取得し、そのユーザ数に応じて制御形態を切り替える。即ち、ユーザ数に基づいて、ジョブが入力される頻度など、装置の今後の使用状況を見積もることができる。従って、ユーザ数に応じて制御形態を切り替えることで、使用状況に応じた効率的な制御を行うことが可能になる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の画像処理装置において、前記制御部は、前記ユーザ数が多いほど、処理能力の高い制御形態に切り替える。
【0010】
第2の発明によれば、ユーザ数が多いほど、処理能力の高い制御形態に切り替える。即ち、一般にユーザが多いほど、ジョブを受ける頻度が高くなり、ジョブを実行する時間が増え、そのためユーザに待ち時間が増える。このことから、ユーザ数が多いほど処理能力の高い制御形態に切り替えることで、ユーザの待ち時間の軽減等を図ることができる。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明の画像処理装置において、ユーザ毎にジョブの実行の許可・不許可が登録された認証情報に基づいてユーザの認証を行う認証部をさらに備え、前記取得部は、前記認証情報においてジョブの実行が許可されているユーザの数に基づいて前記ユーザ数を取得する。
【0012】
第3の発明によれば、ユーザ毎にジョブの実行の許可・不許可が登録された認証情報に基づいてユーザ数を取得するため、ユーザの数を精度良く取得することができる。
【0013】
第4の発明は、第3の発明の画像処理装置において、前記取得部は、前記認証情報においてジョブの実行が許可されたユーザのうち所定期間ジョブの入力がないユーザについては前記ユーザ数から差し引く。
【0014】
第4の発明によれば、認証情報においてジョブの実行が許可されていても所定期間ジョブの入力がないユーザについてはユーザ数から差し引く。これによって、より実状に近いユーザ数を取得することができる。
【0015】
第5の発明は、第3または第4の発明の画像処理装置において、前記処理部は、ジョブとして複数種類の機能を行うことが可能であり、前記認証情報には、ユーザ毎に機能別に実行の許可・不許可が登録されており、前記取得部は、前記認証情報において少なくとも一部の機能について実行を許可されたユーザの数に基づいて前記ユーザ数を取得する。
【0016】
第5の発明によれば、ユーザ毎にジョブの機能別に実行の許可・不許可が登録された認証情報に基づいてユーザ数を取得するため、使用される機能に応じたユーザ数を精度良く取得することができる。
【0017】
第6の発明は、第5の発明の画像処理装置において、前記取得部は、前記認証情報において前記少なくとも一部の機能について実行を許可されたユーザのうち当該少なくとも一部の機能を用いたジョブの入力が所定期間ないユーザについては前記ユーザ数から差し引く。
【0018】
第6の発明によれば、認証情報において少なくとも一部の機能の実行が許可されていても所定期間その機能の実行指示の入力がないユーザについてはユーザ数から差し引く。これによって、より実状に近いユーザ数を取得することができる。
【0019】
第7の発明は、第5または第6の発明の画像処理装置において、前記取得部にて取得した前記ユーザ数を構成する少なくとも一つのユーザに対して実行が許可されている機能の負荷を判断する判断部をさらに備え、前記制御部は、前記判断部が判断した前記機能の負荷が高いほど、処理能力の高い制御形態に切り替える。
【0020】
第7の発明によれば、実行が許可されている機能の負荷が高いほど、処理能力の高い制御形態に切り替える。即ち、実行が許可されている機能の負荷が高いほど、機能を使用する際のジョブを実行する時間が長くなってしまい、そのためにユーザの待ち時間が増える。このことから、実行が許可されている機能の負荷が高いほど処理能力が高い制御形態に切り替えることで、ユーザの待ち時間の軽減等を図ることができる。
【0021】
第8の発明は、第1から第7のいずれか一つの発明の画像処理装置において、当該画像処理装置に対してジョブを入力可能な複数の端末装置を接続可能な接続部をさらに備え、前記取得部は、前記接続部に接続された端末装置の数に基づいて前記ユーザ数を取得する。
【0022】
第8の発明によれば、接続された端末装置の数に基づいてユーザ数を取得するため、適切なユーザ数を取得することができる。
【0023】
第9の発明は、第8の発明の画像処理装置において、前記取得部は、複数の端末装置に対し前記接続部を介して応答要求を送信し、応答を返した端末装置の数に基づいて前記ユーザ数を取得する。
【0024】
第9の発明によれば、複数の端末装置に対し応答要求を送信し、その応答に基づいて端末装置の数を取得する。これにより、画像処理装置にジョブを入力可能な起動状態にある端末装置の数を正確に取得することができる。
【0025】
第10の発明は、第1から第8のいずれか一つの発明の画像処理装置において、ジョブを入力する端末装置及びユーザの内少なくとも一つを登録情報として登録する登録部をさらに備え、前記取得部は、前記登録情報に基づいて前記ユーザ数を取得する。
【0026】
第10の発明によれば、ジョブを入力する端末装置及びユーザの内少なくとも一つを登録情報として登録し、その登録情報に基づいてユーザ数を取得する。これにより、容易にユーザ数を得ることができる。
【0027】
第11の発明は、第1から第10のいずれか一つの発明の画像処理装置において、ユーザによるジョブの入力操作が可能な操作部と、外部機器から送信されるジョブを受信可能な通信部とを備え、前記制御部は、前記操作部からジョブが入力された場合には、前記ユーザ数にかかわらず、処理能力が最も高い制御形態に切り替える。
【0028】
第11の発明によれば、操作部からジョブが入力された場合には、前記ユーザ数にかかわらず、処理能力が最も高い制御形態に切り替える。即ち、操作部からジョブが入力された場合には、同じく装置を操作しようとする他のユーザが装置の近くでジョブの終了を待たされる可能性がある。そこで、そのような場合には、ユーザ数にかかわらず、処理能力が最も高い制御形態に切り替えることでジョブを速やかに処理し、他のユーザの待ち時間を抑えることができる。
【0029】
第12の発明は、第1から第11のいずれか一つの発明の画像処理装置において、前記取得部は、未実行のジョブがない状態で前記ユーザ数を取得し、前記制御部は、前記取得部によるユーザ数の取得に応じたタイミングで制御形態の切り替えを行う。
【0030】
第12の発明によれば、未実行のジョブがない状態でのユーザ数の取得に応じたタイミングで制御形態の切り替えを行うため、その後ジョブが入力されたときに制御形態の切り替えを行うことなく適切な制御形態でジョブの実行を開始することができる。即ち、例えば、ジョブが入力された時に制御形態を切り替えてからジョブを開始する場合には、切り替えのためにジョブの開始が遅れる可能性があるが、本構成によればそのような遅れの発生を回避できる。
【0031】
第13の発明は、第1から第11のいずれか一つの発明の画像処理装置において、前記制御部は、未実行のジョブがない状態でジョブが入力されたときに、当該ジョブの実行を開始する前のタイミングで制御形態の切り替えを行う。
【0032】
第13の発明によれば、未実行のジョブがない状態でジョブが入力されたときに、当該ジョブの実行を開始する前のタイミングで制御形態の切り替えを行う。ジョブがない状態で制御形態を何度も切り替えると無駄が生じるが、ジョブが入力されたときにそのジョブの実行を開始する前に切り替えを行うことでそのような無駄の発生を抑制することができる。
【0033】
第14の発明は、第1から第13のいずれか一つの発明の画像処理装置において、前記制御部は、複数の演算処理素子を有し、前記複数の演算処理素子のうち少なくとも一つの起動状態を変更することにより制御形態を切り替える。
【0034】
第14の発明によれば、複数の演算処理素子のうち少なくとも一つの起動状態(オン・オフ)を変更することにより制御形態を切り替える。演算処理素子をオフとすることで、消費電力を抑制することができる。
【0035】
第15の発明は、第14の発明の画像処理装置において、前記制御部は、前記処理能力の異なる複数種類の演算処理素子を有しており、前記複数の演算処理素子のうち起動状態をオンとする演算処理素子の種類を変更することにより制御形態を切り替える。
【0036】
第15の発明によれば、処理能力の異なる複数種類の演算処理素子のうちオンとする演算処理素子の種類を変更することにより制御形態を切り替える。これにより制御形態の処理能力を変化させることができ、状況に応じて適切な処理能力を発揮させることができる。
【0037】
第16の発明は、第14の発明の画像処理装置において、前記制御部は、前記処理能力が互いに同等の複数の演算処理素子を有しており、前記同等の複数の演算処理素子のうち起動状態をオンとする演算処理素子の数を変更することにより制御形態を切り替える。
【0038】
第16の発明によれば、処理能力が同等の複数の演算処理素子のうちオンとする演算処理素子の数を変更することにより制御形態を切り替える。これにより制御形態の処理能力を変化させることができ、状況に応じて適切な処理能力を発揮させることができる。
【0039】
第17の発明に係る画像処理装置は、画像データに対する処理を伴うジョブを実行可能な画像処理装置であって、ジョブを入力可能な複数の端末装置を接続可能な接続部と、画像データに対する処理を行う処理部と、前記接続部に接続された端末装置の数を取得する取得部と、前記処理部を制御して前記接続部から入力されたジョブを実行するとともに、前記取得部により取得された端末装置の数に応じてジョブを実行する際の制御形態を切り替える制御部と、を備える。
【0040】
第17の発明によれば、画像処理装置に接続された端末装置の数を取得し、その数に応じて制御形態を切り替える。即ち、端末装置の数に基づいて、ジョブの実行が要求される頻度など、装置の今後の使用状況を見積もることができる。従って、端末装置の数に応じて制御形態を切り替えることで、使用状況に応じて効率的な制御を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、画像処理装置のユーザ数または画像処理装置に接続された端末装置の数を取得し、取得した数に応じて制御形態を切り替える。即ち、ユーザ数や端末装置の数に基づいて、ジョブが入力される頻度など、装置の今後の使用状況を見積もることができる。従って、ユーザ数または端末装置の数に応じて制御形態を切り替えることで、使用状況に応じた効率的な制御を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のプリンタの電気的構成を示すブロック図
【図2】実行許可テーブルを示す図
【図3】アクセス管理テーブルを示す図
【図4】制御形態切替処理のフローチャート
【図5】制御形態の切替動作の例を示す図
【図6】実施形態2における制御形態切替処理のフローチャート
【図7】接続PC管理テーブルを示す図
【図8】制御形態の切替動作の例を示す図
【図9】実施形態3におけるプリンタの電気的構成を示すブロック図
【図10】実施形態3における制御形態切替処理のフローチャート
【図11】使用許可テーブルを示す図
【発明を実施するための形態】
【0043】
<実施形態1>
次に本発明の実施形態1について図1から図5を参照して説明する。
【0044】
1.プリンタの構成
図1は、本実施形態の画像処理装置の一例であるプリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
【0045】
プリンタ1は、プリント機能、コピー機能、スキャン機能などの複数の機能を実行可能な複合機である。プリンタ1は、図1に示すように、第1CPU11と第2CPU12との2つのCPU(演算処理素子)を有する制御部10(取得部、制御部、認証部、登録部の一例)を備えている。制御部10は、さらに、ROM13、RAM14、NVRAM15と、両CPU11,12に動作クロックを供給するクロックジェネレータ16を備えている。
【0046】
第1CPU11は、第2CPU12に比べて処理能力が高く、また消費電力が大きい。より具体的には、例えば、第1CPU11の方が第2CPU12よりも高い動作クロックで駆動される。また、第1CPU11及び第2CPU12は、それぞれクロックジェネレータ16からの動作クロックの供給を止めることで、起動状態をオフ(スリープ状態)とすることが可能である。そして制御部10は、第1CPU11をオンとし第2CPU12をオフとする高処理能力の制御形態と、第1CPU11をオフとし第2CPU12をオンとする低処理能力の制御形態との2つの制御形態を切り替えることができる。なお、各CPU11,12は、起動状態がオンのときに各部の制御を行うことができ、オフのときには各部の制御を行わない。
【0047】
ROM13には、後述する認証処理や制御形態切替処理など、プリンタ1の動作を制御するためのプログラムが記録されており、第1CPU11及び第2CPU12は、それぞれROM13から読み出したプログラムに従ってプリンタ1の動作を制御する。
【0048】
また、プリンタ1は、HDD(ハードディスクドライブ)18、ネットワークインターフェイス19、ファクシミリインターフェイス20、操作部21、表示部22を備えている。ネットワークインターフェイス19(受付部、接続部、通信部の一例)は、LAN(ローカルエリアネットワーク)等の通信回線30に接続されている。通信回線30には、複数台の外部のコンピュータ40(端末装置の一例)などが接続可能であり、プリンタ1は、ネットワークインターフェイス19を介して通信回線30に接続されたコンピュータ40等と通信を行う。
【0049】
ファクシミリインターフェイス20(受付部の一例)は、電話回線31を介してファクシミリ装置等の外部機器(図示せず)に接続することができ、プリンタ1は、ファクシミリインターフェイス20を介して接続された外部機器との間でファクシミリデータの送受信が可能である。操作部21(受付部の一例)は、複数のボタンを有し、ユーザによってジョブの実行指示などの各種の入力操作が可能である。表示部22は、ディスプレイやランプ等を有し、各種の設定画面や動作状態等を表示することが可能である。
【0050】
さらに、プリンタ1は、スキャナ部23、画像処理部24、印刷部25などの各種のデバイス(それぞれ処理部の一例)を備えている。スキャナ部23は、原稿を読み取って読取データを取得する。画像処理部24は、スキャナ部23からの読取データやネットワークインターフェイス19で受信した印刷データなど、各種の画像データに対する画像処理(補正や色変換など)を行う。印刷部25は、例えば電子写真方式やインクジェット方式により、上記画像データに基づく画像をシート(用紙、OHPシート等)に印刷する。
【0051】
2.プリンタの動作
図2は、実行許可テーブルを示す図であり、図3は、アクセス管理テーブルを示す図である。
【0052】
制御部10は、ネットワークインターフェイス19に接続されたコンピュータ40等からジョブが入力された際に、NVRAM15に記憶された実行許可テーブル(認証情報の一例)に基づいてユーザの認証を行う。この実行許可テーブルには、例えば図2に示すように、複数のユーザが登録されており(以下、登録ユーザという)、各登録ユーザについて各機能(ここではPCプリント、PCスキャン、PCファックスの3種類の機能)の実行を許可するか不許可とするかが定められている(同図において「○」の欄が許可を示し、空欄が不許可を示す)。なお、実行許可テーブルに対するユーザの登録や機能毎の許可・不許可の設定は管理者等により行われる。
【0053】
ネットワークインターフェイス19から入力されるジョブには、実行させる機能の種類やその設定内容、そのジョブを入力するコンピュータ40のアドレス及びそのログインユーザ名などの情報が含まれている。制御部10は、ネットワークインターフェイス19を介してジョブの入力を受けると、それらの情報を参照して認証を行う。
【0054】
即ち、制御部10は、ジョブを入力したユーザが実行許可テーブルに登録されているかを判断し、登録されている場合にはさらにそのジョブの機能の実行が許可されているかを判断する。そして、ジョブを入力したユーザが実行許可テーブルに登録されていない場合、若しくはジョブの機能の実行が許可されていない場合には、そのジョブを破棄する。
【0055】
また、ジョブを入力したユーザが実行許可テーブルに登録されており、かつそのジョブの機能の実行が許可されている場合には、そのジョブをキューに登録する。制御部10は、キューに登録されたジョブを原則として登録順で実行する。また、例えば、PCプリントとPCスキャンなど、複数のジョブがキューに登録されているときに、実行中のジョブと並列して実行可能なジョブが存在する場合には、それらのジョブを並列に実行する。
【0056】
また、制御部10は、ジョブをキューに登録するとともに、そのジョブが入力された時刻をNVRAM15に記憶されたアクセス管理テーブルに記録する。このアクセス管理テーブルには、例えば図3に示すように、実行許可テーブルの各登録ユーザについて、実行が許可された各機能の無アクセス時間、即ち最後にその機能を使用するジョブが入力されてからの経過時間が記録されている(より正確にはアクセス管理テーブルにはジョブが入力された時刻が記録されており、同テーブルを参照する際に記録された時刻と参照時の時刻との差から無アクセス時間が求められる)。なお、図3のアクセス管理テーブルの斜線の欄は、実行許可テーブルにおいてその機能の実行が不許可であることを示している。
【0057】
なお、ここでは、ネットワークインターフェイス19からジョブが入力される3種類の機能について認証を行うものを示したが、例えばコピー、スキャン、FAX送信など、操作部21からジョブが入力される機能についても同様にユーザ毎に実行の許可・不許可を定めた実行許可テーブルに基づいて認証を行っても良く、また各機能の無アクセス時間をアクセス管理テーブルに記録しても良い。ジョブが操作部21から入力される際には、ユーザに事前に登録されたパスワードを操作部21から入力させたり、あるいはカードリーダ(図示せず)を設け、ジョブの実行前にユーザが所持するIDカードからユーザ情報を読み取ったりすることでユーザの認証を行うことができる。
【0058】
(制御形態切替処理)
図4は、制御形態切替処理のフローチャートであり、図5は、制御形態の切替動作例を示す図である。
【0059】
この制御形態切替処理は、プリンタ1のユーザ数を取得し、そのユーザ数に応じて制御部10における制御形態の切り替えを行う処理であり、制御部10により所定の間隔を空けて繰り返し実行される。なお、プリンタ1の電源投入後には、制御部10は最初に低処理能力の制御形態(即ち第2CPU12のみをオンとした状態)でこの制御形態切替処理を実行する。
【0060】
ここでいうユーザ数とは、今後プリンタ1を使用する可能性があるユーザの数、若しくはジョブを入力すると想定されるユーザの数である。このユーザ数は、今後入力されるジョブの頻度等、プリンタ1の使用状況を見積もるための数値であって、必ずしも現実のユーザの数とは一致しない場合がある。
【0061】
さて、制御部10は、図4に示す制御形態切替処理を開始すると、実行許可テーブルに登録された登録ユーザの数を取得する(S101)。続いて、アクセス管理テーブルにおいて、各ユーザの実行が許可された各機能の無アクセス時間を調べ、無アクセス時間が所定時間(ここでは60分)を超えるもの(図3において括弧付きで示す)を無アクセス状態であると判断する。そして、アクセス管理テーブルにおいて、全ての機能が不許可または無アクセス状態である無アクセスユーザの数を数える(S102)。
【0062】
そして、制御部10は、登録ユーザの数から無アクセスユーザの数を引いたものを現在のプリンタ1のユーザ数とする(S103)。例えば、図2の実行許可テーブルでは登録ユーザの数が8であり、図3のアクセス管理テーブルでは全ての機能が不許可または無アクセスであるユーザ(ユーザ6及びユーザ7)の数は2であるため、現在のユーザ数は6になる。
【0063】
次に制御部10は、取得したユーザ数が所定の基準値より大きいかを判断する(S104)。そして、ユーザ数が基準値より大きい場合(S104:Yes)には、実行許可テーブルにおいて高負荷機能(ここではPCプリント)の実行が許可されたユーザが存在するかを判断する(S105)。即ちここでは、高負荷機能のジョブが入力される可能性があるかを判断する。
【0064】
そして、制御部10は、高負荷機能の実行が許可されたユーザが存在する場合(S105:Yes)には、現在、高処理能力の制御形態であるかを判断し(S106)、高処理能力の制御形態である場合(S106:Yes)には、この制御形態切替処理を終了する。即ち、ユーザ数が基準値より大きく、かつ高負荷機能のジョブが入力される可能性がある場合には、高処理能力の制御形態が適切であると判断し、既に高処理能力の制御形態である場合には制御形態の切り替えをしない。
【0065】
また、制御部10は、現在、低処理能力の制御形態である場合(S106:No)には、ジョブの実行中であるかを判断する(S107)。そして、ジョブの実行中でない場合(S107:No)には、高処理能力の制御形態への切り替えを行う(S108)。また、ジョブの実行中である場合(S107:Yes)には、実行中のジョブが終了してからS108にて高処理能力の制御形態への切り替えを行う。
【0066】
低処理能力の制御形態から高処理能力の制御形態へ切り替える際には、まず起動した状態の第2CPU12が必要なデータをRAM14に記憶させる。そして、クロックジェネレータ16により第1CPU11への動作クロックの供給を開始し、第1CPU11を起動させる。第1CPU11は、起動するとデータをRAM14から読み込んで各種の制御を引き継ぐ。そして、クロックジェネレータ16による第2CPU12への動作クロックの供給を停止させ、第2CPU12をオフ状態とする。
【0067】
また、制御部10は、S104にてユーザ数が基準値以下である場合(S104:No)、またはユーザ数が基準値より大きく(S104:Yes)かつ高処理能力の実行が許可されたユーザが存在しない(S105:No)には、現在、低処理能力の制御形態であるかを判断する(S109)。そして、低処理能力の制御形態である場合(S109:Yes)には、この制御形態切替処理を終了する。即ち、ユーザ数が基準値以下、または高負荷機能のジョブが入力される可能性がない場合には、低処理能力の制御形態が適切であると判断し、既に低処理能力の制御形態である場合には制御形態の切り替えをしない。
【0068】
また、制御部10は、現在、高処理能力の制御形態である場合(S109:No)には、ジョブの実行中であるかを判断する(S110)。そして、ジョブの実行中でない場合(S110:No)には、低処理能力の制御形態への切り替えを行う(S111)。また、ジョブの実行中である場合(S110:Yes)には、実行中のジョブが終了してからS111にて低処理能力の制御形態への切り替えを行う。
【0069】
高処理能力の制御形態から低処理能力の制御形態へ切り替える際には、既述の低処理能力の制御形態から高処理能力の制御形態へ切り替える際と同様の手順を第1CPU11と第2CPU12とを入れ替えて行う。
制御部10は、S108またはS111にて制御形態を切り替えた後、この制御形態切替処理を終了する。
【0070】
例えば図5に示すように、低処理能力の制御形態で(同図では「低」が低処理能力の制御形態の期間、「高」が高処理能力の制御形態の期間を示す)、かつジョブを実行していないときに、図4の制御形態切替処理によりユーザ数が基準値より大きいと判断されたとする。即ち、直前の制御形態切替処理までは基準値以下(「小」で示す)と判断されていたユーザ数が、図5の縦の矢線で示すタイミングで基準値より大きい(「大」で示す)と判断されたとする。
【0071】
すると、制御部10は、ユーザ数が「小」から「大」に変化したと判断するのに応じたタイミング(ユーザ数「大」の取得に応じたタイミング)で、低処理能力の制御形態から高処理能力の制御形態へ切り替える。その後、例えば、PCプリントのジョブ(1)、PCスキャンのジョブ(2)、PCプリントのジョブ(3)が続けて集中的に入力されると、制御部10はこれらのジョブを高処理能力の制御形態で順次実行する。なお、PCプリントのジョブとPCスキャンのジョブとは並行して実行する。
【0072】
その後、ジョブ(4)の実行中に制御形態切替処理にてユーザ数が「大」から「小」に変化したと判断された場合には、そのジョブ(4)が終了した後のタイミングで低処理能力の制御形態へ切り替える。
【0073】
このようにユーザ数が多い期間(ユーザ数が「大」の期間)には、ジョブが入力される頻度が高まり、ジョブが集中的に入力される(1つのジョブが終了しないうちに他のジョブが入力される)事態が生じる可能性が高くなる。そのような場合には高処理能力の制御形態に切り替えることで、高速にジョブを実行することが可能である。
【0074】
即ち、高処理能力の制御形態でジョブを実行したときには、低処理能力の制御形態で実行する場合に比べると、印刷やスキャン、ファックス等の機能の実行に伴う画像データの処理に要する時間を短縮することができる。また、例えば、印刷時の用紙搬送速度を低処理能力の制御形態のときよりも速くすることで、用紙1枚あたりの印刷に要する時間を短縮することも可能である。従ってジョブを高処理能力の制御形態で実行することで、ユーザの待ち時間を抑制することができる。
【0075】
また、ユーザ数が少ない期間(ユーザ数が「小」の期間)には、ジョブが入力される頻度が低くなり、ジョブが集中的に入力されることが少なくなる可能性が高い。そのような場合には、低処理能力の制御形態とすることで消費電力を低減することができる。また、低処理能力の制御形態とすることで1つのジョブの処理時間が長引くことがあっても、ジョブが入力される頻度が少ないため、全体的に見るとユーザの待ち時間は低く抑えられる。
【0076】
3.本実施形態の効果
以上のように本実施形態によれば、プリンタ1のユーザ数を取得し、そのユーザ数に応じて制御形態を切り替える。即ち、ユーザ数に基づいて、ジョブが入力される頻度など、プリンタ1の今後の使用状況を見積もることができる。従って、ユーザ数に応じて制御形態を切り替えることで、使用状況に応じた効率的な制御を行うことが可能になる。
【0077】
また、ユーザ数が多いほど、処理能力の高い制御形態に切り替える。即ち、一般にユーザが多いほど、ジョブを受ける頻度が高くなり、ジョブを実行する時間が増え、そのためユーザの待ち時間が増える。このことから、ユーザ数が多いほど処理能力の高い制御形態に切り替えることで、ユーザの待ち時間の軽減等を図ることができる。逆に、ユーザ数が少ないほど処理能力の低い処理形態に切り替えることで消費電力の低減等を図ることができる。
【0078】
また、ユーザ毎にジョブの機能別に実行の許可・不許可が登録された実行許可テーブル(認証情報)に基づいてユーザ数を取得するため、ユーザの数を精度良く取得することができる。
【0079】
また、実行許可テーブルにおいて少なくとも一部の機能の実行が許可されていても所定期間その機能の実行指示の入力がないユーザについてはユーザ数から差し引く。これによって、より実状に近いユーザ数を取得することができる。
【0080】
また、実行が許可されている機能の負荷が高いほど、処理能力の高い制御形態に切り替える(図4のS105において、高負荷機能の実行が許可されている場合には、高処理能力の制御形態に切り替え、高処理能力の制御形態が許可されていない場合には、低処理能力の制御形態に切り替える)。即ち、実行が許可されている機能の負荷が高いほど、機能を使用する際のジョブを実行する時間が長くなってしまい、そのためにユーザの待ち時間が増える。このことから、実行が許可されている機能の負荷が高いほど処理能力が高い制御形態に切り替えることで、ユーザの待ち時間の軽減等を図ることができる。
【0081】
また、未実行のジョブがない状態でのユーザ数の取得に応じたタイミングで制御形態の切り替えを行うため、その後ジョブが入力されたときに制御形態の切り替えを行うことなく適切な制御形態でジョブの実行を開始することができる。即ち、例えば、ジョブが入力された時に制御形態を切り替えてからジョブを開始する場合には、切り替えのためにジョブの開始が遅れる可能性があるが、本構成によればそのような遅れの発生を回避できる。
【0082】
また、制御部10が有する複数のCPU11,12の起動状態(オン・オフ)を変更することにより制御形態を切り替える。CPU11,12のいずれかをオフとすることで、消費電力を抑制することができる。
【0083】
また、処理能力の異なる複数種類のCPU11,12のうちオンとするCPU11,12の種類を変更することにより制御形態を切り替える。これにより制御形態の処理能力を変化させることができ、状況に応じて適切な処理能力を発揮させることができる。
【0084】
<実施形態2>
次に本発明の実施形態2について図6から図8を参照して説明する。図6は、制御形態切替処理のフローチャートであり、図7は、接続PC管理テーブルを示す図である。また図8は、制御形態の切替動作例を示す図である。なお、本実施形態のプリンタ1の構成は上記実施形態と同様である。
【0085】
本実施形態の制御形態切替処理は、プリンタ1に接続されたコンピュータ40の数に応じて制御形態を切り替えるものであって、制御部10により所定の間隔を空けて繰り返し実行される。なお、本実施形態では、上記実施形態のようなユーザの認証を行わない。
【0086】
制御部10は、図6の制御形態切替処理を開始すると、ネットワーク上に接続されたコンピュータ40を検出する(S201)。具体的には、例えば、ネットワークインターフェイス19を介してブロードキャストでPING等の応答要求を送信し、応答があったコンピュータ40のアドレスを取得する。
【0087】
続いて、制御部10は、取得されたコンピュータ40のアドレスに基づいてNVRAM15に記憶された接続PC管理テーブルの情報を更新する(S202)。この接続PC管理テーブルは、例えば図7に示すように、前回の制御形態切替処理において検出されたコンピュータ40名(アドレス)と、そのコンピュータ40の無アクセス時間(最後にそのコンピュータ40からジョブが入力されてからの経過時間)とが記録されている(より正確には接続PC管理テーブルには各コンピュータ40からジョブが入力された時刻が記録されており、同テーブルを参照する際に記録された時刻と参照時の時刻との差から無アクセス時間が求められる)。
【0088】
また、制御部10は、コンピュータ40からジョブを受けたときには、接続PC管理テーブルにおいて、そのジョブを入力したコンピュータ40の無アクセス時間を0分とする(ジョブが入力された時刻を記録する)。なお、接続PC管理テーブルに登録されていないコンピュータ40からジョブが入力された場合には、そのコンピュータ40を接続PC管理テーブルに新規に登録し、無アクセス時間を0分とする。
【0089】
制御部10は、S202において、検出されたコンピュータ40と接続PC管理テーブルに登録されているコンピュータ40とを比較し、検出されたコンピュータ40のうち接続PC管理テーブルに登録されていないものを新規に登録し、登録されているコンピュータ40のうち検出されなかったものを接続PC管理テーブルから削除する。そして、新規に登録したコンピュータ40の無アクセス時間を0分とする。
【0090】
次に制御部10は、接続PC管理テーブルにおいて無アクセス時間が所定の基準時間以上のものを無アクセス状態と判断し、接続PC管理テーブルに登録されたコンピュータ40の数から、無アクセス状態のコンピュータ40の数を引いた数を現在のプリンタ1のユーザ数とする(S203)。例えば図7においては、基準時間を60分とするとPC4が無アクセス状態のコンピュータ40であり、登録されたコンピュータ40の数5から無アクセス状態のコンピュータ40の数1を引いて、ユーザ数は4となる。
【0091】
次に制御部10は、ユーザ数が所定の基準値より大きいかを判断する(S204)。そして、ユーザ数が基準値より大きい場合(S204:Yes)には、現在、高処理能力の制御形態であるかを判断し(S205)、高処理能力の制御形態である場合(S205:Yes)には、この制御形態切替処理を終了する。即ち、ユーザ数が基準値より大きい場合には、高処理能力の制御形態が適切であると判断し、既に高処理能力の制御形態である場合には制御形態の切り替えをしない。
【0092】
また、制御部10は、現在、低処理能力の制御形態である場合(S205:No)には、新規のジョブを受けたかを判断する(S206)。新規のジョブを受けていない場合(S206:No)には、この制御形態切替処理を終了する。また、新規のジョブを受けた場合(S206:Yes)には、低処理能力の制御形態から高処理能力の制御形態への切り替えを行う(S207)。即ち、低処理能力の制御形態から高処理能力の制御形態への切り替えは、ジョブの開始時に行い、ジョブを受けていないときには行わない。
【0093】
制御部10は、S204にてユーザ数が基準値以下である場合(S204:No)には、現在、低処理能力の制御形態であるかを判断し(S208)、低処理能力の制御形態である場合(S208:Yes)には、この制御形態切替処理を終了する。即ち、ユーザ数が基準値以下の場合には、低処理能力の制御形態が適切であると判断し、既に低処理能力の制御形態である場合には制御形態の切り替えをしない。
【0094】
また、制御部10は、現在、高処理能力の制御形態である場合(S208:No)には、ジョブの実行中であるかを判断する(S209)。そして、ジョブの実行中でない場合(S209:No)には、低処理能力の制御形態への切り替えを行う(S210)。また、ジョブの実行中である場合(S209:Yes)には、実行中のジョブが終了してからS210にて低処理能力の制御形態への切り替えを行う。
【0095】
例えば図8に示すように、低処理能力の制御形態でかつジョブを実行していないときに、図6の制御形態切替処理によりユーザ数が「小」から「大」に変化したと判断された場合、ジョブが入力されない状態では制御形態の切り替えを行わない。そのため、その後、制御形態の切り替えを行わないまま、別の制御形態切替処理によりユーザ数が「大」から「小」に戻ったと判断されることが生じ得る。このような場合には、低処理能力の制御形態から高処理能力の制御形態への切り替えとその逆の切り替えとを無駄に行わずに済んだことになり、消費電力が抑制される。
【0096】
また、同じく図8において、低処理能力の制御形態でかつジョブを実行していない状態で、ユーザ数が「小」から「大」に変化したと判断された後、ジョブ(1)が入力された場合には、そのジョブの開始時のタイミングで高処理能力の制御形態に切り替える。従って、その後いくつかのジョブ(2),(3)が集中的に入力された場合であってもそれらのジョブ(1)〜(3)を短時間で処理することができる。
【0097】
その後、ジョブ(3)の実行中にユーザ数が「大」から「小」へ変化したと判断された場合には、そのジョブ(3)の終了後のタイミングで低処理能力の制御形態へ切り替える。即ち、高処理能力の制御形態から低処理能力の制御形態への切り替えは、ジョブの入力を待たずに行うことで消費電力を抑制することができる。
【0098】
以上のように本実施形態によれば、プリンタ1に接続されたコンピュータ40の数をプリンタ1のユーザ数として取得し、その数に応じて制御形態を切り替える。即ち、コンピュータ40の数に基づいて、ジョブの実行が要求される頻度など、プリンタ1の今後の使用状況を見積もることができる。従って、コンピュータ40の数に応じて制御形態を切り替えることで、使用状況に応じて効率的な制御を行うことが可能になる。
【0099】
また、接続されたコンピュータ40の数に基づいてユーザ数を取得するため、適切なユーザ数を取得することができる。
【0100】
また、複数のコンピュータ40に対し応答要求を送信し、その応答に基づいてコンピュータ40の数を取得する。これにより、プリンタ1にジョブを入力可能な起動状態にあるコンピュータ40の数を正確に取得することができる。
【0101】
また、未実行のジョブがない状態でジョブが入力されたときに、当該ジョブの実行を開始する前のタイミングで制御形態の切り替えを行う。ジョブがない状態で制御形態を何度も切り替えると無駄が生じるが、ジョブが入力されたときにそのジョブの実行を開始する前に切り替えを行うことでそのような無駄の発生を抑制することができる。
【0102】
なお、ジョブが入力されたコンピュータ40のアドレスやそのユーザを登録情報としてNVRAM15等に登録し、その登録情報に基づいて接続されたコンピュータ40の数若しくはプリンタ1のユーザ数を取得しても良い。これにより、コンピュータ40の検出等を行わなくても容易にコンピュータ40の数またはユーザ数を得ることができる。
【0103】
また、この場合、ジョブが入力された時刻を記録して例えば図7の接続PC管理テーブルと同様に無アクセス時間を求め、先に取得したコンピュータ40の数またはユーザ数から無アクセス時間が長いものを差し引くこともできる。これにより、より実状に近い端末装置の数またはユーザ数を取得することができる。
【0104】
<実施形態3>
次の本発明の実施形態3について図9から図11を参照して説明する。図9は、プリンタ50の電気的構成を示すブロック図であり、図10は、制御形態切替処理のフローチャートである。図11は、使用許可テーブルを示す図である。
【0105】
本実施形態のプリンタ50の制御部51は、第1CPU52A、第2CPU52B、第3CPU52Cの3つの処理能力が互いに等しい演算処理素子を備えている。なお、その他の構成は上記実施形態と同様であり、図1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0106】
制御部51は、1個のCPU52Aのみを起動状態とする低処理能力の制御形態と、2個のCPU52A,52Bを起動状態とする中処理能力の制御形態と、3個のCPU52A,52B,52Cを起動状態とする高処理能力の制御形態との3種類の制御形態を切り替えることが可能である。
【0107】
制御部51は、図10の制御形態切替処理を開始すると、まず操作部21から入力されたジョブがあるかを判断する(S301)。そして、操作部21から入力されたジョブが実行中若しくは実行待ちの状態である場合(S301:Yes)には、3個のCPU52A,52B,52Cを起動する高処理能力の制御形態を選択する(S302)。
【0108】
ここでは、1個または2個のCPUを起動した制御形態である場合には、オフの状態のCPUを起動させて3個のCPU52A,52B,52Cを全て起動した制御形態に切り替える。また、既に3個のCPU52A,52B,52Cが起動されている場合には何もしない。即ち、この制御形態切替処理では、コピーやスキャン等の操作部21からジョブが入力された場合には、ユーザ数にかかわらず、処理能力の最も高い制御形態に切り替える。なお、本実施形態では、制御形態の切り替えは、ジョブの実行途中であっても、ジョブを実行していないときであっても行われる。
【0109】
制御部51は、操作部21から入力されたジョブがない場合(S301:No)、即ち、未実行のジョブが存在しない場合若しくはネットワークインターフェイス19等から入力されたジョブのみを実行中である場合には、NVRAM15に記憶された使用許可テーブル(認証情報の一例)に基づいて現在のプリンタ50のユーザ数を取得する(S303)。
【0110】
使用許可テーブルには、例えば図11に示すように、複数のユーザが登録されており、各ユーザについてプリンタ50の使用(若しくはジョブの実行)を許可するか不許可とするかが定められている(同図において「○」の欄が許可を示し、空欄が不許可を示す)。制御部51は、ジョブが入力される際に、この使用許可テーブルに基づいてユーザの認証を行う。なお、実行許可テーブルに対するユーザの登録や使用の許可・不許可の設定は管理者等により行われる。
【0111】
制御部51は、使用許可テーブルからプリンタ1の使用が許可されたユーザの数を求め、それを現在のプリンタ50のユーザ数とする。例えば図11の使用許可テーブルではユーザ数が4になる。
【0112】
続いて制御部51は、ユーザ数を所定の閾値と比較することでユーザ数が「小」、「中」、「大」の3段階のいずれであるかを判断する。そして、ユーザ数が「小」である場合(S304:Yes)には、1個のCPU52Aを起動する低処理能力の制御形態を選択する(S305)。即ち、現在、低処理能力の制御形態でない場合には、低処理能力の制御形態に切り替える。
【0113】
また、ユーザ数が「中」である場合(S304:No、S306:Yes)には、2個のCPU52A、52Bを起動する中処理能力の制御形態を選択する(S307)。即ち、現在、中処理能力の制御形態でない場合には、中処理能力の制御形態に切り替える。さらに、ユーザ数が「大」である場合(S306:No)には、S302にて高処理能力の制御形態を選択する。
制御部51は、S302,S305,S307のいずれかで制御形態を選択した後、この制御形態切替処理を終了する。
【0114】
以上のように本実施形態によれば、ユーザ数が多いほど、処理能力の高い制御形態に切り替える。即ち、一般にユーザが多いほど、ジョブを受ける頻度が高くなり、ジョブを実行する時間が増え、そのためユーザに待ち時間が増える。このことから、ユーザ数が多い場合には処理能力の高い制御形態に切り替えることで、ユーザの待ち時間の軽減等を図ることができる。逆に、ユーザ数が少ない場合には処理能力の低い処理形態に切り替えることで消費電力の低減等を図ることができる。
【0115】
また、ユーザ毎にプリンタ50の使用の許可・不許可(ジョブの実行の許可・不許可)が登録された使用許可テーブルに基づいてユーザ数を取得するため、ユーザの数を精度良く取得することができる。
【0116】
また、操作部21からジョブが入力された場合には、ユーザ数にかかわらず、処理能力が最も高い制御形態に切り替える。即ち、操作部21からジョブが入力された場合には、同じくプリンタ50を操作しようとする他のユーザがプリンタ50の近くでジョブの終了を待たされる可能性がある。そこで、そのような場合には、ユーザ数にかかわらず、処理能力が最も高い制御形態に切り替えることでジョブを速やかに処理し、他のユーザの待ち時間を抑えることができる。
【0117】
また、処理能力が同等の複数のCPUのうちオンとするCPUの数を変更することにより制御形態を切り替える。これにより制御形態の処理能力を変化させることができ、状況に応じて適切な処理能力を発揮させることができる。
【0118】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0119】
(1)上記実施形態では、画像処理装置として、複数種類の機能をジョブとして実行可能な複合機を示したが、本発明は、少なくとも一種類の機能を実行可能な画像処理装置に適用することができる。また、画像処理装置が実行可能な機能の内容は適宜変更することができる。
【0120】
(2)上記実施形態では、2種類または3種類の制御形態を切り替えるものを示したが、本発明によれば、4種類以上の制御形態を切り替えるようにしても良い。
【0121】
(3)上記実施形態では、制御形態を切り替える際に、CPUの起動状態(オン・オフ)を変更するものを示したが、本発明によれば、クロックジェネレータによりCPU(演算処理素子)に供給する動作クロック数を変更するようにしても良い。一般的には、CPUの動作クロック数を上げることで処理能力を上げることができ、動作クロック数を下げることで消費電力を下げることができる。また、CPUの起動状態の変更と動作クロック数の変更とを同時に行っても良い。
【0122】
(4)上記実施形態では、制御形態を切り替える際に制御部のCPU(演算処理素子)の起動状態を変更するものを示したが、本発明によれば、例えば、複数のCPUのそれぞれに専用のRAMやROMを設け、起動状態を変更する際にはCPUとともにその専用のRAMやROMのオン・オフを切り替えるようにしても良い。また、制御形態を切り替える際に、CPUとともに、ASICやその他の部位の起動状態や動作クロック数を切り替えるようにしても良い。
【0123】
(5)ユーザ数を取得するタイミングは適宜変更できる。例えば、ジョブが入力されたときにユーザ数を取得するようにしても良く、装置の電源投入時にのみ取得しても良く、あるいは、1時間毎など定期的に取得しても良い。
【0124】
(6)画像処理装置のユーザ数または接続された端末装置の数の取得方法は、適宜変更できる。例えば、認証情報や端末装置の数若しくはユーザの数等が外部装置(サーバ等)に記憶されている場合には、その外部装置から取得した情報に基づいてユーザ数等を取得することができる。また、画像処理装置のユーザや管理者が画像処理装置にユーザ数または端末装置の数を入力しても良い。また、画像処理装置に認証情報や登録情報として登録された端末装置に対して応答要求を送信して起動状態のものを調べても良い。
また、例えば、特にジョブが頻繁に入力される端末装置が接続されていれば、ユーザ数をその分多めに見積もるなどの補正を行っても良い。
【0125】
(7)上記実施形態1(図2のS105)では、高負荷機能の実行が許可されたユーザが一人でも存在すれば高処理能力の制御形態とするものを示したが、高負荷機能を実行可能なユーザの数が複数存在しても所定の基準より少ない場合には、低処理能力の制御形態とするようにしても良い。
【0126】
(8)上記実施形態では、ネットワークインターフェイスを介して接続された端末装置の数を取得するものを示したが、これに限らず、例えばUSBインターフェイスなど他の方式で端末装置を接続し、画像処理装置がそのような端末装置の数を取得しても良い。
【符号の説明】
【0127】
1,50…プリンタ
10,51…制御部
11,12,52A,52B,52C…CPU
19…ネットワークインターフェイス
20…ファクシミリインターフェイス
21…操作部
23…スキャナ部
24…画像処理部
25…印刷部
40…コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに対する処理を伴うジョブを実行可能な画像処理装置であって、
画像データに対する処理を行う処理部と、
当該画像処理装置を使用するユーザ数を取得する取得部と、
前記処理部を制御して入力されたジョブを実行するとともに、前記取得部により取得されたユーザ数に応じてジョブを実行する際の制御形態を切り替える制御部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記制御部は、前記ユーザ数が多いほど、処理能力の高い制御形態に切り替える、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像処理装置において、
ユーザ毎にジョブの実行の許可・不許可が登録された認証情報に基づいてユーザの認証を行う認証部をさらに備え、
前記取得部は、前記認証情報においてジョブの実行が許可されているユーザの数に基づいて前記ユーザ数を取得する、画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記取得部は、前記認証情報においてジョブの実行が許可されたユーザのうち所定期間ジョブの入力がないユーザについては前記ユーザ数から差し引く、画像処理装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の画像処理装置において、
前記処理部は、ジョブとして複数種類の機能を行うことが可能であり、
前記認証情報には、ユーザ毎に機能別に実行の許可・不許可が登録されており、
前記取得部は、前記認証情報において少なくとも一部の機能について実行を許可されたユーザの数に基づいて前記ユーザ数を取得する、画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置において、
前記取得部は、前記認証情報において前記少なくとも一部の機能について実行を許可されたユーザのうち当該少なくとも一部の機能を用いたジョブの入力が所定期間ないユーザについては前記ユーザ数から差し引く、画像処理装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の画像処理装置において、
前記取得部にて取得した前記ユーザ数を構成する少なくとも一つのユーザに対して実行が許可されている機能の負荷を判断する判断部をさらに備え、
前記制御部は、前記判断部が判断した前記機能の負荷が高いほど、処理能力の高い制御形態に切り替える、画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
当該画像処理装置に対してジョブを入力可能な複数の端末装置を接続可能な接続部をさらに備え、
前記取得部は、前記接続部に接続された端末装置の数に基づいて前記ユーザ数を取得する、画像処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理装置において、
前記取得部は、複数の端末装置に対し前記接続部を介して応答要求を送信し、応答を返した端末装置の数に基づいて前記ユーザ数を取得する、画像処理装置。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
ジョブを入力する端末装置及びユーザの内少なくとも一つを登録情報として登録する登録部をさらに備え、
前記取得部は、前記登録情報に基づいて前記ユーザ数を取得する、画像処理装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
ユーザによるジョブの入力操作が可能な操作部と、外部機器から送信されるジョブを受信可能な通信部とを備え、
前記制御部は、前記操作部からジョブが入力された場合には、前記ユーザ数にかかわらず、処理能力が最も高い制御形態に切り替える、画像処理装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記取得部は、未実行のジョブがない状態で前記ユーザ数を取得し、
前記制御部は、前記取得部によるユーザ数の取得に応じたタイミングで制御形態の切り替えを行う、画像処理装置。
【請求項13】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記制御部は、未実行のジョブがない状態でジョブが入力されたときに、当該ジョブの実行を開始する前のタイミングで制御形態の切り替えを行う、画像処理装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記制御部は、複数の演算処理素子を有し、前記複数の演算処理素子のうち少なくとも一つの起動状態を変更することにより制御形態を切り替える、画像処理装置。
【請求項15】
請求項14に記載の画像処理装置において、
前記制御部は、前記処理能力の異なる複数種類の演算処理素子を有しており、前記複数の演算処理素子のうち起動状態をオンとする演算処理素子の種類を変更することにより制御形態を切り替える、画像処理装置。
【請求項16】
請求項14に記載の画像処理装置において、
前記制御部は、前記処理能力が互いに同等の複数の演算処理素子を有しており、前記同等の複数の演算処理素子のうち起動状態をオンとする演算処理素子の数を変更することにより制御形態を切り替える、画像処理装置。
【請求項17】
画像データに対する処理を伴うジョブを実行可能な画像処理装置であって、
ジョブを入力可能な複数の端末装置を接続可能な接続部と、
画像データに対する処理を行う処理部と、
前記接続部に接続された端末装置の数を取得する取得部と、
前記処理部を制御して前記接続部から入力されたジョブを実行するとともに、前記取得部により取得された端末装置の数に応じてジョブを実行する際の制御形態を切り替える制御部と、
を備える画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−160033(P2011−160033A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17819(P2010−17819)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】