説明

画像処理装置

【課題】撮像点数をスケーラブルに変更することが可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】複数の撮像装置20−1〜20−nからの画像データをFPGA上に構築された複数のFIFO112−1〜112−nで一時的に保持する。レジスタ部114は、撮像装置20−1〜20−nからの同期信号を受信し、最後に撮像を開始した撮像装置からの同期信号が到達した場合、出力開始信号を制御部115へ出力する。制御部115は、出力開始信号を受け取ると、FIFO112−1〜112−nから所定の順序で画像データを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば複数の撮像装置を用いたセキュリティシステムに用いられ、複数の撮像装置から画像データを取得し、その画像データに対して画像処理を施す画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ等の撮像装置で取得された画像データを用いたセキュリティシステムは、プラント、駅、空港及び店舗等で用いられている。この種のセキュリティシステムは、複数の撮像装置により総合的に監視エリアを監視する。このとき、セキュリティシステムは、複数の撮像装置からの画像データを自動的に画像処理することで、中央監視室の監視員の負担を軽減するようにしている。
【0003】
ところで、従来のセキュリティシステムでは、複数の撮像装置で撮像された各画像データを画像処理装置で受信する。画像処理装置は、デコーダ等による複数の画像取得部及び画像処理部を有する。複数の撮像装置で撮像された各画像データは、複数の画像取得部でそれぞれ受信される。そして、各画像データは、画像処理部で自動的に画像処理が施される。このとき、画像処理部に用いられるCPU(Central Processing Unit)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)等のLSI(Large Scale Integration)は、接続可能な物理配線数の上限が決まっている。そのため、画像処理部へ伝送可能な画像データの数は制限されている。
【0004】
この問題を解決するため、セキュリティシステムに、画像取得部から画像処理部へ出力されたデータを一時的に保持するメモリを設置し、画像処理部のCPUの制御により、メモリに保持されたデータを画像処理部へ順次出力させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、複数の撮像装置が接続された場合、メモリへのアクセス時間が撮像装置の台数に比してかかってしまう。このため、画像処理部で期待される時間内に全撮像装置から画像処理部への画像データの出力が完了しないおそれがある。
【0005】
なお、上述のプラント、駅、空港及び店舗等の施設では、監視エリアが広大であり、かつ、監視エリアにおけるセキュリティレベルが時流と共に変化する。また、年度予算の関係上、段階的に撮像装置を増設する場合がある。このように、セキュリティシステムにおいては、撮像点数をスケーラブルに変更することへの要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−65722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、従来のセキュリティシステムでは、接続される撮像装置の台数によっては、動作に制限が生じる場合がある。そのため、セキュリティレベルの向上等のために撮像点数をスケーラブルに変更することは困難であった。
【0008】
この発明は上記事情によりなされたもので、その目的は、撮像点数をスケーラブルに変更することが可能な画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像処理装置は、複数の撮像装置で撮像された複数の画像データの処理を行う画像処理装置において、それぞれが前記複数の画像データのいずれかを一時的に保持し、出力指示に応じて前記画像データを出力する複数の保持部と、前記複数の撮像装置が撮像を開始した際に生成する複数の同期信号を受信し、前記複数の同期信号のうち最後の同期信号を受信した場合、出力開始信号を生成するレジスタ部と、前記出力開始信号に応じて前記複数の保持部に対して、予め設定された出力順序で前記出力指示を与える制御部とをFPGA(Field Programmable Gate Array)上に備える画像取得手段と、前記複数の保持部から前記出力指示に応じて出力された画像データに対して画像処理を施す画像処理部とを具備する。
【0010】
上記構成による画像処理装置では、複数の撮像装置からの画像データをFPGA上に構築された複数のFIFOで一時的に保持する。そして、撮像装置からの同期信号の到達タイミングに基づき、FIFOから所定の順序で画像データを出力させるようにしている。これにより、画像処理装置は、複数台の撮像装置を仮想的に一台の撮像装置としてみなすことが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、撮像点数をスケーラブルに増設することが可能な画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るセキュリティシステムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】図1の画像取得部における処理を示す図である。
【図3】図1の画像取得部に複数の水晶発振器が接続された場合のセキュリティシステムを示すブロック図である。
【図4】図1の画像取得部及び画像処理部にコンフィグレーションROMがそれぞれ接続された場合のセキュリティシステムを示すブロック図である。
【図5】図1の画像取得部にコンフィグレーションROM及びダンピング抵抗が接続され、画像処理部にコンフィグレーションROMが接続された場合のセキュリティシステムを示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るセキュリティシステムの機能構成を示すブロック図である。
【図7】図6の画像取得部における処理を示す図である。
【図8】図6の画像取得部が、FIFOを有さず、外部メモリを有する場合のセキュリティシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明に係る画像処理装置の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るセキュリティシステムの機能構成を示すブロック図である。図1におけるセキュリティシステムは、画像処理装置10と撮像装置20−1〜20−nとを具備する。
【0015】
撮像装置20−1〜20−nは、カメラ等であり、動画像を画像データとして所定時間ごと(例えば1/30秒ごと、1/60秒ごと等)に取得する。そして、撮像装置20−1〜20−nは、取得した画像データを画像処理装置10へ順次出力する。また、撮像装置20−1〜20−nは、撮像を開始する際に同期信号を生成する。撮像装置20−1〜20−nは、この同期信号を画像処理装置10へ出力する。なお、撮像装置20からの出力データ量は、1フレーム当り、1920×1440画素から320×240画素までと幅広い。また、色情報の有無などを含めると多様な画像出力情報が存在する。さらに、近年、超解像度などの画素間の欠損データを補完することで精細な情報を出力することも可能である。このため、撮像装置から出力される画像データは、撮像対象物の状態によって出力データ数が伸縮するという特性がある。ここで、出力データ数とは、画素数及びフレームレート等のことをいう。
【0016】
図1における画像処理装置10は、画像取得部11、水晶発振器12、画像処理部13及びコネクタ14−1〜14−n(nは自然数)を具備する。水晶発振器12は、画像取得部11に設けられたPLL(Phase Locked Loop)によって画像取得部11と接続している。
【0017】
画像取得部11は、FPGA(Field Programmable Gate Array)から成る。画像取得部11は、FPGA上に論理回路が組み込まれることにより、入力インタフェース(IF)部111−1〜111−n、FIFO(First-In First-Out)112−1〜112−n、出力IF部113、レジスタ部114及び制御部115の機能を有する。
【0018】
入力IF部111−1〜111−nは、コネクタ14−1〜14−nを介して入力された画像データを、FIFO112−1〜112−nへ出力する。また、入力IF部111−1〜111−nは、コネクタ14−1〜14−nを介して入力された同期信号を、レジスタ部114へ出力する。
【0019】
FIFO112−1〜112−nは、入力IF部111−1〜111−nからの画像データを一時的に保持する。そして、FIFO112−1〜112−nは、制御部115からの出力指示に応じて、保持した画像データを入力された順に出力IF部113を介して画像処理部13へ出力する。このとき出力する画像データの伝送ビットレートは、水晶発振器12で生成されるクロック信号に基づいている。
【0020】
レジスタ部114は、入力IF部111−1〜111−nからの同期信号を受信する。レジスタ部114は、同期信号を受信した場合、受信した同期信号が撮像装置20−1〜20−nのうちいずれから出力されたのかがわかるようにビットを立てる。そして、レジスタ部114は、最後に撮像を開始した撮像装置から、同期信号を受信した場合、出力開始信号を制御部115へ出力する。
【0021】
制御部115は、レジスタ部114からの出力開始信号に応じて、FIFO112−1〜112−nに対して出力指示を与える。このとき、制御部115が出力指示を与える順序は予め設定されている。
【0022】
また、制御部115は、FIFO112−1〜112−nごとに画像データの出力容量も指定して出力指示を与える。出力容量は、FIFO112−1〜112−nに接続された撮像装置20−1〜20−nの台数及び出力データ数により決定される。
【0023】
画像処理部13は、CPU又はFPGA等のLSIである。画像処理部13は、画像取得部11からの画像データを、予め設定された周波数で検出する。そして、画像処理部13は、検出した画像データに対して画像処理を施す。本実施形態では、予め設定された周波数とは、水晶発振器12のクロック周波数に応じた周波数である。なお、画像処理部13は、画像取得部11から伝送ビットレートを受け取り、この伝送ビットレートに従って映像データを検出するようにしても良い。
【0024】
次に、上記構成における動作を説明する。
【0025】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置10の画像取得部11における処理を示す模式図である。図2では、ラスタスキャン方式により画像データが転送される例を説明する。なお、本実施形態のデータ転送の方式は、ラスタスキャン方式に限定される訳ではない。
【0026】
図2では、撮像装置20−1乃至撮像装置20−nが、画像処理装置10に接続され、撮像装置20−2が最後に撮像処理を開始する場合を例に説明する。
【0027】
撮像装置20−1での撮像が開始されると、画像データ1が取得されると共に、同期信号1が生成される。画像データ1と同期信号1とは、画像取得部11へ出力される。FIFO112−1は、画像データ1を保持する。また、レジスタ部114は、同期信号1を受信し、撮像装置20−1からの同期信号1を受信したことを示すビットを立てる。
【0028】
また、撮像装置20−nでの撮像が開始されると、画像データNが取得されると共に、同期信号Nが生成される。画像データNと同期信号Nとは、画像取得部11へ出力される。FIFO112−nは、画像データNを保持する。また、レジスタ部114は、同期信号Nを受信し、撮像装置20−nからの同期信号Nを受信したことを示すビットを立てる。
【0029】
そして、最後の撮像装置20−2での撮像が開始されると、画像データ2が取得されると共に、同期信号2が生成される。画像データ2と同期信号2とは、画像取得部11へ出力される。FIFO112−2は、画像データ2を保持する。また、レジスタ部114は、同期信号2を受信し、最後の撮像装置20−2からの同期信号2を受信したことを示すビットを立てる。レジスタ部114は、最後の同期信号2を受信すると、出力開始信号を生成し、制御部115へ出力する。
【0030】
制御部115は、出力開始信号を受け取った場合、画像データ1の1段目の走査線上の画像データ11を出力するようにFIFO112−1に対して出力指示を出す。続いて、制御部115は、画像データ2,3,4…の1段目の走査線上の映像データを出力するようにFIFO112−2,112−3,112−4…に対して順次出力指示を出す。そして、制御部115は、画像データNの1段目の走査線上の画像データN1を出力するようにFIFO112−nに対して出力指示を与え、FIFO112−nから画像データN1が出力されると、画像データ1の2段目の走査線上の映像データ12を出力するようにFIFO112−1に対して出力指示を与える。なお、本実施形態では、最初にFIFO112−1に対して出力指示を与え、その後にFIFO112−2,112−3,…,112−nの順序で出力指示を与える例について説明したが、最初に出力指示を与えるFIFO及び出力指示を与える順序は、これに限定される訳ではない。
【0031】
このように、画像取得部11は、画像データ1〜Nを走査線単位で画像処理部13へ出力する。これにより、画像処理部13は、撮像装置20−1〜20−nで撮像された映像データを走査線の1段目から順に受け取ることとなる。このとき、画像処理部13は、図2に示すような、撮像装置20−1〜20−nで撮像された映像が横に配列された映像を受け取る。
【0032】
以上のように、上記第1の実施形態では、画像取得部11は、FIFO112−1〜112−nにより撮像装置20−1〜20−nからの画像データを一時的に保持する。そして、画像取得部11は、同期信号の到達タイミングを利用して、FIFO112−1〜112−nから画像データを所定の順序で順次出力するようにしている。これにより、画像処理装置10では、複数台の撮像装置を仮想的に一台の撮像装置としてみなすことが可能となる。
【0033】
また、上記第1の実施形態では、画像取得部11をFPGAで構築するようにしている。これにより、画像処理装置10の作成後であっても、FPGAを再構成することで様々な状況に容易に対応することが可能となる。すなわち、最初に出力指示を与えるFIFO及び出力指示を与えるFIFOの順序を再設定することが可能となる。また、接続される撮像装置の出力データ数に合わせて、FIFOから出力される画像データの出力容量等を再設定することが可能となる。また、接続される撮像装置の台数に合わせて、画像取得部11に入力IF部、出力IF部、FIFO等の機能を新たに持たせることが可能となる。
【0034】
また、上記第1の実施形態では、撮像を最後に開始した撮像装置からの同期信号を受信した場合、FIFOからの画像データの出力を開始するようにしている。これにより、接続される複数の撮像装置のフレーム数及び同期信号の生成がそれぞれ異なる場合であっても、これらの撮像装置を仮想的に一台の撮像装置とみなすことが可能となる。
【0035】
また、上記第1の実施形態では、画像取得部11は、接続される撮像装置の数に応じた数のFIFOを有している。これにより、FIFOへのアクセス時間が最小化されることとなる。
【0036】
また、上記第1の実施形態では、画像処理部13への物理配線数が単線化されている。このため、画像処理部小パッケージサイズの演算処理LSI(CPU、FPGA、ASIC、DSP)を実装可能となる。これにより、画像処理装置10の製造コストを抑えることが可能となる。
【0037】
したがって、本発明に係る画像処理装置は拡張性を有することとなる。すなわち、セキュリティシステムのユーザは、撮像点数をスケーラブルに増設することができる。
【0038】
なお、本実施形態の画像処理装置10は、図1に示される構成に限定される訳ではない。例えば、図3〜図5に示す構成をしていても構わない。
【0039】
図3は、画像取得部11に複数の水晶発振器12−1〜12−3が接続された場合のセキュリティシステムを示すブロック図である。セキュリティシステムのユーザは、撮像装置20の接続台数、出力データ数及び出力データ形式に応じて水晶発振器12−1〜12−3の中から適当なクロック周波数の水晶発振器を選択する。このとき、水晶発振器12−1〜12−3のクロック周波数は、それぞれ異なる周波数であり、例えば、水晶発振器12−1のクロック周波数は27MHz、水晶発振器12−2のクロック周波数は54MHz、水晶発振器12−3のクロック周波数は108MHzである。ユーザは、選択した水晶発振器のクロック周波数に応じて、画像取得部11のFPGAを再構成する。画像取得部11は、再構成されたことにより変更したビットレートを画像処理部13へ通知する。
【0040】
これにより、画像処理装置10は、接続される撮像装置20の台数、出力データ数及び出力データ形式に応じて、画像取得部11から画像処理部13へ出力する画像データのデータ伝達のタイミングをスケーラブルに変動することが可能となる。これに伴い、低消費電力化及び不要な電磁波ノイズの発生を抑えることが可能である。
【0041】
図4は、画像取得部11にコンフィグレーションROM(Read Only Memory)15が接続され、画像処理部13にコンフィグレーションROM16が接続された場合のセキュリティシステムを示すブロック図である。コンフィグレーションROM15には、画像取得部11の論理回路を再構成するためのデータ変換フォーマットが予め記録されている。例えば、コンフィグレーションROM15には、接続される撮像装置20がn個から(n+1)個になった場合、画像取得部11が自身の論理回路を、入力IF部111−(n+1)及びFIFO112−(n+1)を有するように自動的に再構成するためのフォーマットが記録されている。
【0042】
また、コンフィグレーションROM16には、画像処理部13の論理回路を再構成するためのデータ変換フォーマットが予め記録されている。例えば、コンフィグレーションROM16には、画像データの検出タイミングを切り替えるためのフォーマットが記録されている。画像処理部13における画像データの検出タイミングは、このフォーマットにより、例えば、データにおける矩形波の立ち上がり時にのみデータを検出する状態から、矩形波の立ち上がり時及び立ち下がり時の両方でデータを検出する状態へと切り替わる。
【0043】
図4に係る画像処理装置10によれば、接続される撮像装置の台数が変更になった場合等であっても、自動的にFPGAの再構成をすることが可能となる。
【0044】
図5は、画像取得部11にコンフィグレーションROM(Read Only Memory)15及びダンピング抵抗17が接続され、画像処理部13にコンフィグレーションROM16が接続された場合のセキュリティシステムを示すブロック図である。画像取得部11にダンピング抵抗17を接続させることにより、伝送ビットレート及びクロック周波数を変更した際に生じるパターン配線抵抗に対応することが可能となる。
【0045】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態に係るセキュリティシステムの機能構成を示すブロック図である。図6におけるセキュリティシステムは、画像処理装置30と撮像装置20−1〜20−nとを具備する。
【0046】
撮像装置20−1〜20−nは、取得した画像データを画像処理装置30へ順次出力する。また、撮像装置20−1〜20−nは、撮像を開始する際に生成した同期信号を画像処理装置30へ出力する。
【0047】
図6における画像処理装置30は、画像取得部31−1〜31−n(nは自然数)、水晶発振器32、画像処理部33及びコネクタ34−1〜34−nを具備する。水晶発振器32は、画像取得部31−1〜31−nにそれぞれ設けられたPLL(Phase Locked Loop)によって画像取得部31−1〜31−nと接続している。
【0048】
画像取得部31−1〜31−nは、FPGAから成る。画像取得部31−1〜31−nは、FPGA上に論理回路が組み込まれることにより、入力IF部311−1〜311−n、FIFO312−1〜312−n、出力IF部313−1〜313−n、レジスタ部314−1〜314−n及び制御部315−1〜315−nの機能を有する。ここで、画像取得部31−1〜31−nの構成はそれぞれ同様であるため、以下では画像取得部31−1を代表して説明する。
【0049】
入力IF部311−1は、コネクタ34−1を介して入力された画像データを、FIFO312−1へ出力する。また、入力IF部311−1は、コネクタ34−1〜34−nを介して入力された撮像装置20−1〜20−nからの同期信号を、レジスタ部314−1へ出力する。これらの同期信号は、撮像装置20−1〜20−nのいずれで生成されたものであるか識別可能な識別子を有している。
【0050】
FIFO312−1は、入力IF部311−1からの画像データを一時的に保持する。そして、FIFO312−1は、制御部315−1からの出力指示に応じて、画像データを保持した順に出力IF部313−1を介して画像処理部33へ出力する。このとき出力する画像データの伝送ビットレートは、水晶発振器32で生成されるクロック信号による。
【0051】
レジスタ部314−1は、入力IF部311−1からの同期信号を受信する。レジスタ部314−1は、同期信号を受信した場合、受信した同期信号が撮像装置20−1〜20−nのうちいずれで生成されたのかがわかるようにビットを立てる。そして、レジスタ部314−1は、最後に撮像を開始した撮像装置からの同期信号を受信した場合、出力開始信号を制御部315−1へ出力する。
【0052】
制御部315−1は、レジスタ部314−1からの出力開始信号を受信した場合、この出力開始信号に基づいてFIFO312−1に対して出力指示を与える。このとき、FIFO312−1〜312−nから出力される画像データの順序は予め設定されている。制御部315−1〜315−nは、画像データの出力順序に従った順序でFIFO312−1〜312−nに対して出力指示を与える。
【0053】
また、制御部315−1は、FIFO312−1から出力される画像データの出力容量も指定して出力指示を与える。出力容量は、FIFO312−1に接続された撮像装置20−1の出力データ数により決定されるものである。
【0054】
画像処理部33は、CPU又はFPGA等のLSIである。画像処理部33は、画像取得部31−1〜31−nからの映像データを、予め設定された周波数で検出する。そして、画像処理部33は、取得した画像データに対して画像処理を施す。本実施形態では、予め設定された周波数とは、水晶発振器32のクロック周波数に応じた周波数である。
【0055】
次に、上記構成における動作を説明する。
【0056】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置30の画像取得部31−1〜31−nにおける処理を示す模式図である。図7では、ラスタスキャン方式により画像データが転送される例を説明する。なお、本実施形態のデータ転送の方式は、ラスタスキャン方式に限定される訳ではない。
【0057】
図7では、撮像装置20−1乃至撮像装置20−nが、画像処理装置30に接続され、撮像装置20−2が最後に撮像処理を開始する場合を例に説明する。
【0058】
撮像装置20−1での撮像が開始されると、画像データ1が取得されると共に、同期信号1が生成される。画像データ1は画像取得部31−1へ出力され、同期信号1は画像取得部31−1〜31−nへ出力される。FIFO312−1は、画像データ1を保持する。また、レジスタ部314−1〜314−nは、同期信号1を受信し、撮像装置20−1からの同期信号1を受信したことを示すビットを立てる。
【0059】
また、撮像装置20−nでの撮像が開始されると、画像データNが取得されると共に、同期信号Nが生成される。画像データNは画像取得部31−nへ出力され、同期信号Nは画像取得部31−1〜31−nへ出力される。FIFO312−nは、画像データNを保持する。また、レジスタ部314−1〜314−nは、同期信号Nを受信し、撮像装置20−nからの同期信号Nを受信したことを示すビットを立てる。
【0060】
そして、最後の撮像装置20−2での撮像が開始されると、画像データ2が取得されると共に、同期信号2が生成される。画像データ2は画像取得部31−2へ出力され、同期信号2は画像取得部31−1〜31−nへ出力される。FIFO312−2は、画像データ2を保持する。また、レジスタ部314−1〜314−nは、同期信号2を受信し、最後の撮像装置20−2からの同期信号2を受信したことを示すビットを立てる。レジスタ部314−1〜314−nは、最後の同期信号2を受信すると、出力開始信号を生成し、それぞれの画像取得部に配置された制御部315−1〜315−nへ出力する。
【0061】
制御部315−1は、出力開始信号を受け取った場合、画像データ1の1段目の走査線上の画像データ11を出力するようにFIFO312−1に対して出力指示を出す。続いて、制御部315−2は、画像データ2の1段目の走査線上の画像データ12を出力するようにFIFO312−2に対して出力指示を出す。続いて、制御部315−3,315−4…315−nは、画像データ3,4…Nの1段目の走査線上の映像データを出力するようにFIFO312−3,312−4…312−nに対して順次出力指示を与える。
【0062】
そして、制御部315−1は、FIFO312−nから画像データN1が出力されると、画像データ1の1段目の走査線上の画像データ12を出力するようにFIFO312−1に対して出力指示を与える。なお、本実施形態では、最初に制御部315−1がFIFO312−1に対して出力指示を与え、その後に制御部315−2,315−3…315−nがFIFO312−2,312−3,…,312−nの順序で出力指示を与える例について説明したが、最初に出力指示を与えるFIFO及び出力指示を与える順序は、これに限定される訳ではない。
【0063】
制御部315−1〜315−nは、以上のようにFIFO312−1〜312−nから映像データを出力させることで、走査線上の映像データを1段目から順に出力させる。
【0064】
これにより画像処理部33は、撮像装置20−1〜20−nで撮像された映像データを走査線の1段目から順に受け取ることとなる。このとき、画像処理部33は、図6に示すような、撮像装置20−1〜20−nで撮像された映像が横に配列された映像を受け取る。
【0065】
以上のように、上記第2の実施形態では、画像取得部31−1〜31−nがそれぞれFPGAで構成される。このため、大型のFPGAを用意する必要がなくなり、画像処理装置30の製造コストをさらに抑えることが可能となる。
【0066】
なお、本実施形態の画像処理装置30は、図6に示される構成に限定される訳ではない。例えば、図8に示す構成をしていても構わない。
【0067】
図8は、画像取得部31−1〜31−nがFIFO312−1〜312−nを有さず、外部メモリ316−1〜316−nを有する場合のセキュリティシステムを示すブロック図である。外部メモリ316−1〜316−nでFIFOの代用を図ることで、FPGA上にFIFOを構築する必要がなくなるため、製造コストをさらに抑えることが可能となる。
【0068】
[その他の実施形態]
なお、この発明は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施形態では、撮像を最後に開始した撮像装置からの同期信号を受信した場合、FIFOから画像データを順次出力する例について説明したが、本発明は上記実施形態に限定される訳ではない。例えば、画像取得部にタイマが接続され、一定の時間が経過した場合、FIFOから画像データを順次出力するようにしても良い。このとき、同期信号を生成していない撮像装置は、無いものとして扱われ、画像取得部から画像処理部へ出力される画像データには、その撮像装置からの画像は含まれない。
【0069】
さらに、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10…画像処理装置
11…画像取得部
111−1〜111−n…入力IF部
112−1〜112−n…FIFO
113…出力IF部
114…レジスタ部
115…制御部
12,12−1,12−2,12−3…水晶発振器
13…画像処理部
14−1〜14−n…コネクタ
15,16…コンフィグレーションROM
17…ダンピング抵抗
20−1〜20−n…撮像装置
30…画像処理装置
31−1〜31−n…画像取得部
311−1〜311−n…入力IF部
312−1〜312−n…FIFO
313−1〜313−n…出力IF部
314−1〜314−n…レジスタ部
315−1〜315−n…制御部
316−1〜316−n…外部メモリ
32…水晶発振器
33…画像処理部
34−1〜34−n…コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像装置で撮像された複数の画像データの処理を行う画像処理装置において、
それぞれが前記複数の画像データのいずれかを一時的に保持し、出力指示に応じて前記画像データを出力する複数の保持部と、
前記複数の撮像装置が撮像を開始した際に生成する複数の同期信号を受信し、前記複数の同期信号のうち最後の同期信号を受信した場合、出力開始信号を生成するレジスタ部と、
前記出力開始信号に応じて前記複数の保持部に対して、予め設定された出力順序で前記出力指示を与える制御部と
をFPGA(Field Programmable Gate Array)上に備える画像取得手段と、
前記複数の保持部から前記出力指示に応じて出力された画像データに対して画像処理を施す画像処理部と
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
複数の撮像装置で撮像された複数の画像データの処理を行う画像処理装置において、
それぞれが前記複数の画像データのいずれかを取得し、前記複数の画像データが予め設定された出力順序で出力されるように、取得した画像データを順次出力する複数の画像取得部と、
前記複数の画像取得部からの画像データに対して画像処理を施す画像処理部と
を具備し、
前記画像取得部は、
前記複数の画像データのいずれかを一時的に保持し、出力指示に応じて前記画像データを前記画像処理部へ出力する保持部と、
FPGA(Field Programmable Gate Array)上に構成され、前記複数の撮像装置が撮像を開始した際に生成する複数の同期信号を受信し、前記複数の同期信号のうち最後の同期信号を受信した場合、出力開始信号を生成するレジスタ部と、
FPGA上に構成され、前記出力開始信号に応じて、前記出力順序に従って前記画像データが出力されるように、前記保持部に対して前記出力指示を与える制御部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、接続された撮像装置の特性に応じた容量の画像データが出力されるように、前記保持部に対して出力指示を与えることを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数の同期信号のうち、最初の同期信号を受信するとカウントを開始するタイマをさらに具備し、
前記制御部は、前記出力開始信号が生成されなくても、前記タイマのカウント値が予め設定されたカウント値に達した場合、前記出力指示を与えることを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
それぞれが固有のクロック周波数を有する複数の水晶発振器をさらに具備し、
前記画像取得手段は、前記複数の水晶発振器のうち選択された第1の水晶発振器のクロック周波数に基づいたビットレートで、前記画像データを前記画像処理部へ出力することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理部がFPGAにより成る場合、
前記画像取得手段の構成を再設定するための第1の変換フォーマットが予め記録された第1のコンフィグレーションROMと、
前記画像処理部の構成を再設定するための第2の変換フォーマットが予め設定された第2のコンフィグレーションROMと
をさらに具備し、
前記画像取得手段は、前記複数の撮像装置のうち少なくともいずれかの設定が変更になった場合、前記第1の変換フォーマットに基づいて構成の再設定を行い、
前記画像処理部は、前記画像取得手段の構成が再設定された場合、前記第2の変換フォーマットに基づいて構成の再設定を行うことを特徴とする請求項1のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理部がFPGAにより成る場合、
それぞれが固有のクロック周波数を有する複数の水晶発振器と、
前記画像取得手段の構成を再設定するための第1の変換フォーマットが予め記録された第1のコンフィグレーションROMと、
前記画像処理部の構成を再設定するための第2の変換フォーマットが予め設定された第2のコンフィグレーションROMと
をさらに具備し、
前記画像取得手段は、前記複数の水晶発振器のうちいずれかの水晶発振器が選択された場合、前記第1の変換フォーマットに基づいて構成の再設定を行い、
前記画像処理部は、前記画像取得手段の構成が再設定された場合、前記第2の変換フォーマットに基づいて構成の再設定を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
ダンピング抵抗をさらに具備し、
前記画像取得手段は、前記ダンピング抵抗により、ビットレート及びクロック周波数の変更に伴うパターン配線抵抗に対応することを特徴とする請求項5、6及び7のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記保持部は、FPGA上に構成されることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−61438(P2011−61438A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208264(P2009−208264)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】