説明

画像処理装置

【課題】名刺を読み取った画像データのOCR処理により名刺記載項目の共通する複数の文字列が生成された場合であっても、その名刺記載項目の登録可能な上限値に応じて、アドレス帳に文字列を登録することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】読取部21が、名刺を光学的に読み取り、画像データを生成する。OCR処理部22が、この画像データに含まれる文字を認識し、2以上の文字列を生成する。名刺記載項目識別部23が、これらの文字列が2以上の名刺記載項目のいずれであるのかを識別し、仮登録情報記憶部24が、文字列をこの名刺記載項目にそれぞれ対応付けて保持する。また、同一の画像データから生成され、同一の名刺記載項目に対応付けられた文字列の数が予め定められた上限値を超える場合に、登録情報記憶部30に格納される文字列を選択することをユーザに促す動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に係り、更に詳しくは、OCR処理を行う画像処理装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
名刺に記載されている個人情報を名前又は電話番号などの名刺記載項目ごとに分類してアドレス帳に登録することにより、ファクシミリ送信又は電子メールなどの通信先の指定操作を簡略化することができる。しかしながら、スキャナなどの読取装置を用いて名刺から読み取った画像データは、そのままではアドレス帳に登録することができない。
【0003】
そこで、この画像データをOCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)処理し、イメージデータに含まれる文字を認識することにより、一連の文字コードからなる文字列が生成される。そして、この文字列を名刺記載項目ごとにアドレス帳に登録することが行われている。
【0004】
また、特許文献1及び2には、名刺の画像データをOCR処理して生成された文字列をアドレス帳に登録する場合に、二重登録を防止するため、アドレス帳を検索して既に登録されているものがないか確認することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−143528号公報
【特許文献2】特開2007−288606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
OCR処理を高速で行うためには、高い処理能力が必要である。このため、例えば、スキャン機能、ファクシミリ機能などを一体的に有するデジタル複合機では、スキャン機能により名刺から読み取られた画像データを端末装置に送信している。そして、端末装置側でこの画像データのOCR処理を実行して処理結果をデジタル複合機に送信し、デジタル複合機のアドレス帳へ登録している。しかしながら、デジタル複合機及び端末装置間でデータのやり取りをする必要があるため、煩雑であるという問題があった。
【0007】
一方、デジタル複合機内でOCR処理を行えば、デジタル複合機及び端末装置間のデータのやり取りを省略することができる。しかしながら、文字列をOCR処理により生成する場合、誤った文字列がアドレス帳に登録されることを防止するために、生成された文字列をユーザが確認する必要がある。すなわち、画像データのOCR処理を行うたびにユーザが文字列を確認する必要があり、端末装置より処理能力が低いデジタル複合機で複数の名刺のOCR処理を行った場合には、ユーザが拘束される時間が長くなり、負担が大きいという問題があった。
【0008】
更に、名刺には、メールアドレスが複数記載されている場合など、名刺記載項目の共通する文字列が複数記載されていることがある。このような名刺を読み取った画像データをOCR処理した場合、名刺記載項目の共通する複数の文字列が生成される。これらの文字列の数が名刺記載項目ごとに定められた登録可能な上限値を超える場合、文字列をそのままアドレス帳に登録することができないという問題があった。また、これらの文字列のいずれをアドレス帳に登録すべきであるのかを自動的に判別することは困難である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、名刺を読み取った画像データのOCR処理により、名刺記載項目の共通する複数の文字列が生成された場合であっても、その名刺記載項目の登録可能な上限値に応じて、アドレス帳に文字列を登録することができる画像処理装置を提供することを目的とする。また、2以上の名刺を読み取った画像データのOCR処理におけるユーザの負担を軽減することが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明による画像処理装置は、名刺を光学的に読み取り、画像データを生成する読取手段と、上記画像データに含まれる文字を認識することにより、2以上の文字列を生成するOCR処理手段と、上記文字列が予め定められた2以上の名刺記載項目のいずれであるのかを識別する名刺記載項目識別手段と、上記文字列を上記名刺記載項目に対応付けて保持する登録情報記憶手段と、同一の上記画像データから生成され、同一の上記名刺記載項目に対応付けられた上記文字列の数が当該名刺記載項目の予め定められた上限値を超える場合に、上記登録情報記憶手段に格納される上記文字列を選択することをユーザに促す格納データ選択手段とを備えて構成される。
【0011】
この様な構成によれば、名刺を読み取った画像データのOCR処理により、いずれかの名刺記載項目について登録可能な上限値を超える数の文字列が生成された場合に、ユーザに対し、いずれかの文字列を選択するように促すことができる。このため、ユーザは、文字列の選択を促された場合のみ、いずれかの文字列を選択すればよいので、登録情報記憶手段に格納可能な上限値を予め意識する必要がなく、また、名刺の記載内容をアドレス帳に効率よく登録することができる。
【0012】
第2の本発明による画像処理装置は、上記構成に加え、上記OCR処理手段により生成された上記文字列を保持する仮登録情報記憶手段と、上記仮登録情報記憶手段に保持されている上記文字列をユーザに提示して確認を促す認識結果提示手段と、ユーザの確認操作に基づいて、提示された上記文字列を上記登録情報記憶手段に格納する本登録手段とを備えて構成される。
【0013】
この様な構成によれば、OCR処理により生成された文字列が、仮登録情報記憶手段に保持され、その後にユーザの確認操作が行われれば、登録情報記憶手段に格納される。このため、ユーザは、OCR処理が行われるたびに確認操作を行う必要がなく、確認操作を後でまとめて行うことができる。従って、複数の名刺をアドレス帳へ登録する際のユーザの負担を軽減することができる。
【0014】
第3の本発明による画像処理装置は、上記構成に加え、上記登録情報記憶手段に保持される上記文字列のいずれかを通信先として指定する通信先指定手段を備えて構成される。
【0015】
この様な構成によれば、既にユーザの確認操作が行われている文字列が通信先として指定されるので、通信先として不正確な文字列が使用されることによる誤送信又は送信エラー等を抑制することができる。
【0016】
第4の本発明による画像処理装置は、上記構成に加え、上記登録情報記憶手段に保持される上記文字列と、上記仮登録情報記憶手段に保持される上記文字列とのいずれかを通信先として指定する通信先指定手段を備え、上記仮登録情報記憶手段に保持される上記文字列が通信先として指定された場合に、上記認識結果提示手段が、当該文字列をユーザに提示して確認を促すように構成される。
【0017】
このような構成によれば、ユーザの確認操作が行われていない文字列が通信先として指定された場合に、ユーザによる確認操作が行われる。このため、通信先として不正確な文字列が使用されることによる誤送信又は送信エラー等を抑制することができる。また、通信先として用いられる文字列について、先にユーザの確認操作を行うことができるので、仮登録情報記憶手段に保持されている各文字列の確認操作を予め行う必要がない。
【発明の効果】
【0018】
本発明による画像処理装置は、名刺を読み取った画像データのOCR処理により、いずれかの名刺記載項目について登録可能な上限値を超える数の文字列が生成された場合に、ユーザに対し、いずれかの文字列を選択することが促される。このため、ユーザは、文字列の選択を促された場合のみ、いずれかの文字列を選択すればよいので、登録情報記憶手段に格納可能な上限値を予め意識する必要がなく、また、名刺の記載内容をアドレス帳に効率よく登録することができる。
【0019】
特に、OCR処理により生成された文字列が、仮登録情報記憶手段に保持され、その後にユーザの確認操作が行われれば、登録情報記憶手段に格納される。このため、ユーザは、OCR処理を行うたびに確認操作を行う必要がなく、確認操作を後でまとめて行うことができる。従って、複数の名刺をアドレス帳へ登録する際のユーザの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態による画像処理装置の一構成例を示した斜視図である。
【図2】図1の複合機100の構成例を示したブロック図である。
【図3】図1の複合機100に用いられる名刺の記載の一例を示した説明図である。
【図4】図1の複合機100の動作の一例を示した図であり、タッチパネル11に表示される認識結果表示画面50が示されている。
【図5】図1の複合機100の動作の一例を示した図であり、タッチパネル11に表示される確認画面60が示されている。
【図6】図1の複合機100による名刺の読み取り及びOCR処理の動作の一例を示したフローチャートである。
【図7】図6における仮登録情報の確認処理(ステップS104)の一例を示したフローチャートである。
【図8】図1の複合機100の動作の一例を示した図であり、タッチパネル11に表示されるファクシミリ送信先選択画面70が示されている。
【図9】図1の複合機100によるファクシミリ送信先選択時の動作の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態による画像処理装置の一構成例を示した斜視図であり、画像処理装置の一例として複合機100が示されている。複合機(Multifunction Peripheral:MFP)100は、スキャナ機能、プリンタ機能、FAX(ファクシミリ)機能を有し、これらの機能を選択的に実行させることができる画像処理装置である。
【0022】
この複合機100は、名刺を光学的に読み取り、画像データを生成するとともに、この画像データを解析して、画像データに含まれる文字列を認識する処理を行うことができる。そして、認識された文字列をファクシミリ送信又はメール送信を行う際に利用される宛先情報としてアドレス帳に保持することができる。
【0023】
この複合機100は、タッチパネル11、操作キー12及び給紙トレイ13を備えている。タッチパネル11は、メニュー画面などを表示するためのディスプレイからなる表示手段であり、動作状態、処理内容などが表示面上に表示される。また、このタッチパネル11には、表示面に対する操作を検出するセンサが設けられており、操作位置を検出することにより、操作位置に応じた入力処理が行われる。操作キー12としては、例えば、名刺の読み取りを開始させるためのスタートキー、番号入力のための数字キーなどが配置される。
【0024】
複合機100では、複数の名刺を給紙トレイ13内に収容させた状態でスタートキーを操作することにより、給紙トレイ13内の名刺を順に1枚ずつ読取部へ送出する搬送処理が開始され、名刺の読取処理が行われる。
【0025】
図2は、図1の複合機100の構成例を示したブロック図であり、複合機100内の機能構成の一例が示されている。この複合機100は、読取部21、OCR処理部22、名刺記載項目識別部23、仮登録情報記憶部24、操作入力部25、格納データ選択部26、認識結果提示部27、ディスプレイ28、本登録部29、登録情報記憶部30、通信先指定部31、ファクシミリ送信部32及びメール送信部33により構成される。
【0026】
読取部21は、名刺を光学的に読み取り、画像データを生成している。2以上の名刺が給紙トレイ13内に配置された場合には、それぞれの名刺について順次に読み取りが行われる。OCR処理部22は、読取部21により生成された画像データを解析し、画像データに含まれる文字を認識することにより、文字コードからなる2以上の文字列を生成している。イメージデータを解析して文字認識する方法としては、例えば、パターンマッチングによる方法が用いられる。具体的には、画像データを所定の文字パターンと比較し、この比較結果に基づいて文字を特定することを繰り返すことにより、文字認識が行われる。
【0027】
名刺記載項目識別部23は、OCR処理部22により生成された文字列が2以上の名刺記載項目のいずれであるのかを識別している。名刺には、名前、会社名、所属部署名、ファクシミリ番号、電話番号、電子メールアドレスなどの名刺記載項目が記載されており、識別対象となる名詞記載項目が、ユーザにより予め指定されている。名刺記載項目識別部23は、生成された文字列がこれらの名刺記載項目のいずれであるのかを識別している。具体的には、文字列の位置、文字のサイズ、特徴的なキーワードの有無などに基づいて名刺記載項目が識別される。
【0028】
仮登録情報記憶部24は、OCR処理部22により生成された文字列を保持している。ここでは、生成された文字列が、名刺記載項目識別部23により識別された名刺記載項目に対応付けられて画像データごとに格納される。例えば、名前、会社名、ファクシミリ番号などの名刺記載項目に対応付けて文字列が保持される。
【0029】
操作入力部25は、タッチパネル11及び操作キー12に対するユーザ操作を検出し、操作信号を生成している。格納データ選択部26は、同一の画像データから生成された文字列について、同一の名刺記載項目に2以上の文字列が対応付けられた場合に、登録情報記憶部30に格納される文字列を選択することをユーザに促すための画面制御データを生成している。例えば、名刺に2以上の電子メールアドレスが記載されている場合、名刺記載項目識別部23により、電子メールアドレスとして2以上の文字列が対応付けられる。この場合に、格納データ選択部26は、いずれかの電子メールアドレスを選択することをユーザに促す画面を表示するための画面制御データを生成している。一方、名刺記載項目にそれぞれ1つの文字列が対応付けられている場合、格納データ選択部26は、画面制御データを生成しない。
【0030】
認識結果提示部27は、格納データ選択部26から生成される画面制御データに基づいて、同一の名刺記載項目に対応付けられた2以上の文字列からいずれかを選択することを促す画面をディスプレイ28上に表示する動作を行っている。また、この認識結果提示部27は、仮登録情報記憶部24に保持されている文字列をユーザに提示して確認を促すための画面をディスプレイ28上に表示する動作を行っている。
【0031】
本登録部29は、ユーザの確認操作に基づいて、提示された文字列を登録情報記憶部30に格納する動作を行っている。すなわち、仮登録情報記憶部24に保持されている文字列がディスプレイ28上に表示され、ユーザの確認操作が行われた場合に、提示された文字列を登録情報記憶部30に格納している。また、提示された文字列が修正された場合、修正後の文字列が登録情報記憶部30に格納される。更に、同一の名刺記載項目に2以上の文字列が対応付けられた場合には、ユーザにより選択された文字列が登録情報記憶部30に格納される。
【0032】
登録情報記憶部30は、ユーザの確認操作が行われた文字列が、名刺記載項目に対応付けて保持されている。ここでは、登録情報記憶部30には、読み取った名刺ごとに文字列が保持され、1つの名刺記載項目に1つの文字列が対応付けられている。登録情報記憶部30は、例えば、ファクシミリ送信先又はメール送信先を指定するためのアドレス帳として用いられる。
【0033】
通信先指定部31は、操作入力部25からの操作信号に基づいて、登録情報記憶部30に保持される文字列から通信先を指定する動作を行っている。例えば、ファクシミリ送信が行われる際に、ファクシミリ番号に対応付けられて保持されている文字列のいずれかをファクシミリ送信先として指定する動作を行っている。また、メール送信が行われる際に、電子メールアドレスに対応付けられて保持されている文字列のいずれかをメール送信先として指定する動作を行っている。
【0034】
ファクシミリ送信部32は、PSTN(公衆電話交換回線網)に接続されており、通信先指定部31により指定されたファクシミリ番号に対して原稿画像を送信する動作を行っている。メール送信部33は、通信先指定部31により指定された電子メールアドレスに対して電子メールを送信する動作を行っている。
【0035】
本実施の形態によれば、名刺を読み取った画像データをOCR処理部22によりOCR処理した際、同一の名刺記載項目に対応する2以上の文字列が生成された場合に、ユーザに対し、いずれかの文字列を選択することが促される。このため、ユーザは、文字列の選択を促された場合のみ、いずれかの文字列を選択すればよいので、登録情報記憶手段に格納可能な文字列を予め意識する必要がなく、また、名刺の記載内容をアドレス帳に効率よく登録することができる。
【0036】
また、通信先指定部31が、登録情報記憶部30に保持される文字列を通信先として指定するため、既にユーザの確認操作の行われた文字列が通信先として指定される。従って、通信先として不正確な文字列が使用されることによる誤送信又は送信エラー等を抑制することができる。
【0037】
図3は、図1の複合機100に用いられる名刺の記載の一例を示した説明図である。名刺40には、2以上の名刺記載項目が記載されており、この例では、名前41、会社名42、所属部署名43、郵便番号44、住所45、電話番号46、ファクシミリ番号47及び電子メールアドレス48が記載されている。具体的には、名前41として、「特許太郎」、会社名42として、「△△△株式会社」、電話番号46として、「06−XXX−XXXX」、ファクシミリ番号47として、「06−XXX−XXXX」がそれぞれ記載されている。また、電子メールアドレス48として、「efg@XXX.XXX.co.jp」及び「hij@XXX.XXX.co.jp」の2つのアドレスが記載されている。
【0038】
OCR処理時に生成された文字列は、例えば、文字のサイズ、名刺上の位置、特徴的なキーワードにより、いずれの名刺記載項目であるのかが識別される。例えば、文字列に「株式会社」などのキーワードが含まれていた場合、会社名であると識別される。また、キーワード「FAX」の後に数字が連続している場合、ファクシミリ番号であると識別される。
【0039】
この様にして文字列に対応する名刺記載項目を識別した結果、同一の名刺記載項目に2以上の文字列が対応付けられた場合、ユーザにいずれかの文字列を選択することを促す選択画面が表示される。ここでは、電子メールアドレス48として、「efg@XXX.XXX.co.jp」及び「hij@XXX.XXX.co.jp」の2つのアドレスが記載されているため、名刺40から読み取られた画像データをOCR処理した場合、いずれかの電子メールアドレス48を選択することを促す画面が表示される。
【0040】
図4は、図1の複合機100の動作の一例を示した図であり、タッチパネル11に表示される認識結果表示画面50が示されている。この認識結果表示画面50は、名刺の画像データをOCR処理して生成された文字列からなる宛先情報を表示するための画面であり、ユーザの確認操作が行われていない宛先情報が一覧表示されている。この認識結果表示画面50は、名刺の画像データに対するOCR処理が行われた後、このOCR処理による認識結果を表示するためのユーザ操作に基づいて表示される。
【0041】
認識結果表示画面50には、名刺記載項目として、名前、会社名、ファクシミリ番号及び電子メールアドレスが、読み取られた名刺ごとに表示されている。また、表示アイコン51及び終了アイコン52が配置されている。表示アイコン51を操作すれば、対応する宛先情報の確認画面を表示させることができる。また、終了アイコン52を操作すれば、認識結果表示画面50の表示を終了することができる。
【0042】
この例では、登録番号「1」の宛先情報は、名前の文字列「吉田 一郎」、ファクシミリ番号の文字列「075−XXX−XXXX」、及び、電子メールアドレスの文字列「abc@XXX.co.jp」からなり、会社名に対応する文字列は含まれていない。また、登録番号「2」の宛先情報は、名前の文字列「山田 二郎」、会社名の文字列「XXX株式会社」、及び、ファクシミリ番号の文字列「06−XXX−XXXX」からなり、電子メールアドレスとして、2以上の文字列が含まれている。更に、登録番号「3」の宛先情報は、名前の文字列「山本 三郎」からなり、会社名及び電子メールアドレスに対応する文字列は含まれていない。また、ファクシミリ番号として、2以上の文字列が含まれている。
【0043】
図5は、図1の複合機100の動作の一例を示した図であり、タッチパネル11に表示される確認画面60が示されている。この確認画面60は、OCR処理の認識結果をユーザが確認及び修正するための画面であり、図4の認識結果表示画面50において表示アイコン51を操作することにより表示される。
【0044】
この確認画面60では、設定アイコン61、中断アイコン62、番号欄63、名前欄64、会社名欄65、電話番号欄66、ファクシミリ番号欄67及び電子メールアドレス欄68が配置されている。番号欄63は、アドレス帳に表示される際の表示順序を指定するための欄であり、番号を指定するための入力ボックスA1が配置されている。また、番号として「0」を指定すれば、自動的に番号の割り当てが行われる。
【0045】
名前欄64は、名前に対応付けられた文字列を確認及び修正するための欄であり、ここでは、文字列「特許 太郎」が入力ボックスA2内に表示されている。OCR処理による認識ミスがある場合には、この文字列を修正し、正しい文字列を入力することができる。同様に、会社名欄65、電話番号欄66、ファクシミリ番号欄67及び電子メールアドレス欄68では、会社名、電話番号、ファクシミリ番号及び電子メールアドレスと識別された文字列がそれぞれ表示されており、これらの文字列を確認及び修正することができる。
【0046】
同一の名刺記載項目に対応付けられる2以上の文字列が生成された場合には、各文字列がそれぞれ表示されるとともに、いずれかの文字列を選択するためのラジオボタンが表示される。この例では、文字列「efg@XXX.XXX.co.jp」と文字列「hij@XXX.XXX.co.jp」とが電子メールアドレスに対応付けられており、いずれかの電子メールアドレスを選択するための一対のラジオボタンA3,A4が配置されている。ここでは、文字列「efg@XXX.XXX.co.jp」に対応するラジオボタンA3が選択されており、こちらの文字列が選択されている。この場合、文字列「efg@XXX.XXX.co.jp」が電子メールアドレスに対応付けられてアドレス帳に登録され、文字列「hig@XXX.XXX.co.jp」はアドレス帳に登録されない。また、同一の名刺記載項目に対応付けられる3以上の文字列が生成された場合は、各文字列に対応するラジオボタンがそれぞれ表示されるとともに、いずれか1つの文字列が択一的に選択される。
【0047】
また、設定アイコン61を操作すれば、ユーザによる修正内容が反映され、各文字列が、その時点で確認画面60に表示されている内容でアドレス帳に登録されるとともに、確認画面60の表示が終了する。一方、中断アイコン62を操作すれば、ユーザによる修正内容は反映されず、処理が中断されて確認画面60の表示が終了する。
【0048】
図6のステップS101〜S104は、図1の複合機100による名刺の読み取り及びOCR処理の動作の一例を示したフローチャートである。まず、給紙トレイ13に配置された名刺が、読取部21へ搬送されて順次に読み取られ、画像データが生成される(ステップS101)。次に、名刺の読み取りにより生成された画像データに対し、OCR処理部22によるOCR処理が行われる(ステップS102)。更に、生成された文字列がそれぞれ名刺記載項目に対応付けられて仮登録情報記憶部24に格納される(ステップS103)。そして、仮登録情報記憶部24に格納されている文字列が、ユーザによる確認操作が行われた後、登録情報記憶部30に格納される(ステップS104)。
【0049】
図7のステップS201〜S207は、図6における仮登録情報の確認処理(ステップS104)の一例を示したフローチャートである。まず、認識結果提示部27により、OCR処理による認識結果を表示するための確認画面が表示される(ステップS201)。次に、同一の名刺記載情報に対応付けられた2以上の文字列があれば、いずれかの文字列を選択することを促す表示が行われ、ユーザによりいずれかの文字列が選択される(ステップS202,S203)。
【0050】
また、OCR処理により生成された文字列がユーザに確認され、認識ミスがあれば修正される(S204)。その後、設定アイコン61が操作されると、ユーザにより確認及び修正の行われた文字列が登録情報記憶部30に格納され、アドレス帳への宛先情報の登録が終了する(ステップS205〜S206)。そして、他にユーザの確認操作の行われていない宛先情報があれば、ステップS201以降の手順が繰り返される。一方、他にユーザの確認操作の行われていない宛先情報がなければ、処理を終了する(ステップS207)。
【0051】
本実施の形態によれば、OCR処理により生成された文字列が、仮登録情報記憶部24に格納され、その後にユーザの確認操作が行われれば、登録情報記憶部30に格納される。このため、ユーザは、OCR処理が行われるたびに確認操作を行う必要がなく、確認操作を後でまとめて行うことができる。従って、複数の名刺をアドレス帳へ登録する際のユーザの負担を軽減することができる。
【0052】
実施の形態2.
実施の形態1では、通信先指定部31が、登録情報記憶部30に保持される文字列から通信先を指定する例について説明した。これに対し、本実施の形態では、仮登録情報記憶部24及び登録情報記憶部30のいずれかに保持される文字列から通信先が指定される場合について説明する。
【0053】
図8は、図1の複合機100の動作の一例を示した図であり、タッチパネル11に表示されるファクシミリ送信先選択画面70が示されている。このファクシミリ送信先選択画面70は、ファクシミリ送信先のファクシミリ番号を選択するための画面であり、仮登録情報記憶部24及び登録情報記憶部30に保持されている宛先情報が一覧表示されている。
【0054】
ファクシミリ送信先選択画面70には、読み取られた名刺ごとに、登録番号、名前、会社名、ファクシミリ番号及び電子メールアドレスが表示されている。また、ユーザによる確認操作が行われていない宛先情報には、その旨を示す未確認表示72が表示されている。この例では、登録番号「1」の宛先情報では、名前の文字列「吉田 一郎」、ファクシミリ番号の文字列「075−XXX−XXXX」、及び、電子メールアドレスの文字列「abc@XXX.co.jp」が登録されており、会社名は登録されていない。また、ユーザによる確認操作が行われていない旨を示す未確認表示72が表示されている。番号「2」の宛先情報では、名前の文字列「井上 太郎」、会社名の文字列「○○○株式会社」、及び、ファクシミリ番号の文字列「03−XXX−XXXX」が登録されている。電子メールアドレスは登録されていない。
【0055】
未確認表示72が表示されていない宛先情報、すなわち、登録情報記憶部30に保持されている宛先情報に対応する選択アイコン73を操作すれば、その宛先情報のファクシミリ番号をファクシミリ送信先として指定することができる。一方、未確認表示72が表示されている宛先情報、すなわち、仮登録情報記憶部24に保持されている宛先情報に対応する選択アイコン73を操作すれば、その宛先情報について、図5の確認画面60が表示される。そして、ユーザによる確認操作が終了すれば、その宛先情報のファクシミリ番号がファクシミリ送信先として指定される。更に、その宛先情報が登録情報記憶部30に格納される。また、終了アイコン71を操作すれば、ファクシミリ送信画面70の表示を終了する。
【0056】
図9のステップS301〜S305は、図1の複合機100によるファクシミリ送信先選択時の動作の一例を示したフローチャートである。まず、ユーザのアドレス帳を表示させる操作に基づいて、宛先情報が一覧表示される(ステップS301)。そして、ユーザにより宛先情報のいずれかが選択され、当該宛先情報が既に登録情報記憶部30に保持されているものであった場合には、当該宛先情報のファクシミリ番号を送信先としてファクシミリ送信が行われ、処理を終了する(ステップS302,S303,S305)。一方、ユーザにより選択された宛先情報が仮登録情報記憶部24に保持されているものであった場合には、図7の仮登録情報の確認処理が行われ、認識結果提示部27が、その宛先情報の文字列をユーザに提示して確認を促す動作を行うとともに、ユーザの確認操作の行われた宛先情報が登録情報記憶部30に格納される(ステップS304)。その後、当該宛先情報のファクシミリ番号を送信先としてファクシミリ送信が行われ、処理を終了する(ステップS305)。
【0057】
本実施の形態では、仮登録情報記憶部24に保持されている宛先情報、すなわち、ユーザの確認操作が行われていない宛先情報が通信先として指定された場合に、ユーザによる確認操作が行われる。このため、通信先として不正確な文字列が使用されることによる誤送信又は送信エラー等を抑制することができる。また、通信先として用いられる文字列について、先にユーザの確認操作を行うことができるので、仮登録情報記憶部24に保持されている各文字列の確認操作を予め行う必要がない。
【0058】
なお、実施の形態1及び2では、同一の名刺記載項目に2以上の文字列が対応付けられる場合に、格納データ選択部26が、登録情報記憶部30に格納される文字列を選択することをユーザに促す場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、名刺記載項目の上限値が項目ごとに予め定められ、同一の名刺記載項目に対応付けられた文字列の数がこの上限値を超える場合に、登録情報記憶部30に格納される文字列を選択するようにユーザに促す構成であってもよい。また、各名刺記載項目に共通の上限値が予め定められる構成であってもよい。
【0059】
この様な構成によれば、名刺を読み取った画像データのOCR処理により、いずれかの名刺記載項目について登録可能な上限値を超える数の文字列が生成された場合に、ユーザに対し、いずれかの文字列を選択するように促すことができる。このため、ユーザは、文字列の選択を促された場合のみ、いずれかの文字列を選択すればよいので、登録情報記憶手段に格納可能な上限値を予め意識する必要がなく、また、名刺の記載内容をアドレス帳に効率よく登録することができる。
【0060】
また、実施の形態1及び2では、認識結果提示部27が、仮登録情報記憶部24に保持されている文字列をディスプレイ28上に表示するとともに、複合機100の操作入力部25へOCR処理による認識結果に対するユーザの確認操作が行われる構成について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、認識結果提示部27が、複合機100に接続された端末装置のディスプレイ上に仮登録情報記憶部24に保持されている文字列を提示する構成であってもよく、この端末装置に対し、OCR処理による認識結果に対するユーザの確認操作が行われる構成であってもよい。
【0061】
また、実施の形態1及び2では、読み取られた名刺ごとにOCR処理による認識結果の確認操作が行われる構成について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、一部の文字列についてユーザの確認操作が行われ、当該文字列が通信先として指定可能となる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
11 タッチパネル
12 操作キー
13 給紙トレイ
21 読取部
22 OCR処理部
23 名刺記載項目識別部
24 仮登録情報記憶部
25 操作入力部
26 格納データ選択部
27 認識結果提示部
28 ディスプレイ
29 本登録部
30 登録情報記憶部
31 通信先指定部
32 ファクシミリ送信部
33 メール送信部
100 複合機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
名刺を光学的に読み取り、画像データを生成する読取手段と、
上記画像データに含まれる文字を認識することにより、2以上の文字列を生成するOCR処理手段と、
上記文字列が予め定められた2以上の名刺記載項目のいずれであるのかを識別する名刺記載項目識別手段と、
上記文字列を上記名刺記載項目に対応付けて保持する登録情報記憶手段と、
同一の上記画像データから生成され、同一の上記名刺記載項目に対応付けられた上記文字列の数が当該名刺記載項目の予め定められた上限値を超える場合に、上記登録情報記憶手段に格納される上記文字列を選択することをユーザに促す格納データ選択手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
上記OCR処理手段により生成された上記文字列を保持する仮登録情報記憶手段と、
上記仮登録情報記憶手段に保持されている上記文字列をユーザに提示して確認を促す認識結果提示手段と、
ユーザの確認操作に基づいて、提示された上記文字列を上記登録情報記憶手段に格納する本登録手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記登録情報記憶手段に保持される上記文字列のいずれかを通信先として指定する通信先指定手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記登録情報記憶手段に保持される上記文字列と、上記仮登録情報記憶手段に保持される上記文字列とのいずれかを通信先として指定する通信先指定手段を備え、
上記仮登録情報記憶手段に保持される上記文字列が通信先として指定された場合に、上記認識結果提示手段が、当該文字列をユーザに提示して確認を促すことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−134769(P2012−134769A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285097(P2010−285097)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】