説明

画像処理装置

【課題】色数を制限した印刷や表示に際して、カラー選択の自由度を高め、色覚異常者に対してもカラーユニバーサルデザインの考え方に適切に対応して識別しやすい印刷物や表示を得られるようにする。
【解決手段】印刷もしくは表示に用いるカラーモードの選択を受け付けるカラーモード選択受付手段と、印刷もしくは表示に用いるカラーの選択を受け付けるカラー選択受付手段と、選択されたカラーモードと選択されたカラーに基づいて、印刷もしくは表示する元データを印刷もしくは表示に用いるカラーに変換するためのカラー変換パレットを生成するカラー変換パレット生成手段と、印刷もしくは表示に際して、前記カラー変換パレットにより印刷もしくは表示する元データを出力データに変換するカラー変換手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置による印刷もしくは表示のカラー制限の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フルカラープリンタや複合機(MFP:Multi Function Printer)において、フルカラーかモノクロでなく、その中間にあたるカラー制限を行った印刷、コピーが、2色プリント、2色印刷、モノカラープリント等の名称で既に知られている。
【0003】
これらは、フルカラーが4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)の色材(インク、トナー等)を使って印刷するのに対し、2色や3色の色材、あるいは色を制限して印刷するものである。色数が減少する代わりにトナーの消費を抑え、資源の節約やコストダウンを図ることができ、環境に敏感なユーザやオフィス文書を中心に次第に使われるようになってきた。以下では、このような2色や3色あるいは色の制限による印刷をカラー制限印刷と呼ぶこととする。
【0004】
一方で、世界の人口のうち、色弱や色盲といった人は大体2億人以上もいると言われており、さらに目の疾患がある人も考慮すると、無視できない色覚異常の人々が存在する。色弱や色盲にはいくつか類型はあるものの、特定のカラーでしか印刷できないと、特定の人には認識しづらい印刷物となる恐れがある。こういった問題に対応するため、カラーユニバーサルデザイン(カラーユニバーサルデザイン機構、http://www.cudo.jp/cud_nani/index.html)に対応した印刷が既に知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来におけるプリンタ等では、上述したカラー制限印刷に対応したものも存在するが、予めセットされたカラーで印刷するものとなっている。従って、一般のユーザにとっては、好みのカラーで印刷を行いたいと思っても、そのような自由度は存在しなかった。例えば、「黒・赤」、「黒・緑」、「黒・青」、「黒・マゼンダ」、「黒・イエロー」、「黒・シアン」等が選択できるようになっているプリンタが存在するが、このような予め特定のカラーがプリセットされたものを選ぶだけであるため、ユーザにとっては「赤」といっても明るい赤もあれば、黒に近い赤やピンクに近い赤もあり、用語だけでは色を認識できず、好みのカラーを使用することはできない。色覚異常者にとっては、予めセットされたカラーでは認識しづらい場合に、他のカラーに変更するすべがない。
【0006】
また、実際に販売されているほとんどのプリンタでは、1色でも色材が欠けると印刷できなくなってしまう。これは、フルカラー印刷の場合も同様であるが、予定された色数による印刷が色材の不足により正常に行えないからである。従って、他の色材が残っていたとしても、欠けた色材の代わりに使うことはできず、残った色材を有効に活用することができない。
【0007】
一方、特許文献1には、色盲のユーザが弁別しやすい色を回復することを目的に、画像の内容によって補正方法を選択するカラー印刷方法が開示されている。しかし、フルカラー印刷時における色の補正を行うものであり、フルカラー以外の画像を対象とするものではない。
【0008】
なお、印刷について説明してきたが、モニタへの表示についても、色材の欠如を除いては、同様の問題がある。
【0009】
本発明は上記の従来の問題点に鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、色数を制限した印刷や表示に際して、カラー選択の自由度を高め、色覚異常者に対してもカラーユニバーサルデザインの考え方に適切に対応して識別しやすい印刷物や表示を得られるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明にあっては、請求項1に記載されるように、印刷もしくは表示に用いるカラーモードの選択を受け付けるカラーモード選択受付手段と、印刷もしくは表示に用いるカラーの選択を受け付けるカラー選択受付手段と、選択されたカラーモードと選択されたカラーに基づいて、印刷もしくは表示する元データを印刷もしくは表示に用いるカラーに変換するためのカラー変換パレットを生成するカラー変換パレット生成手段と、印刷もしくは表示に際して、前記カラー変換パレットにより印刷もしくは表示する元データを出力データに変換するカラー変換手段とを備える画像処理装置を要旨としている。
【0011】
また、請求項2に記載されるように、請求項1に記載の画像処理装置において、前記カラー選択受付手段は、複数のカラーを選択するカラー選択画面を表示し、複数のカラーの選択を受け付けるようにすることができる。
【0012】
また、請求項3に記載されるように、請求項1に記載の画像処理装置において、前記カラーモード選択受付手段がカラーモードとしてカラーユニバーサルデザインに基づいたカラー選択を受け付けた場合に、前記カラー選択受付手段により選択できるカラーを制限するカラー制限手段を更に備えるようにすることができる。
【0013】
また、請求項4に記載されるように、請求項3に記載の画像処理装置において、前記カラーモード選択受付手段は、色覚型を文字により表示した項目からカラーモードの選択を受け付け、前記カラー選択受付手段は、選択されたカラーモードの色覚型に基づいて選択できるカラーを制限するようにすることができる。
【0014】
また、請求項5に記載されるように、請求項1に記載の画像処理装置において、印刷を対象とする場合であって、出力先となる画像形成装置の色材の残量に基づいて前記カラー選択受付手段により選択できるカラーを制限するカラー制限手段を更に備えるようにすることができる。
【0015】
また、請求項6に記載されるように、印刷もしくは表示に用いるカラーモードの選択を受け付けるカラーモード選択受付工程と、印刷もしくは表示に用いるカラーの選択を受け付けるカラー選択受付工程と、選択されたカラーモードと選択されたカラーに基づいて、印刷もしくは表示する元データを印刷もしくは表示に用いるカラーに変換するためのカラー変換パレットを生成するカラー変換パレット生成工程と、印刷もしくは表示に際して、前記カラー変換パレットにより印刷もしくは表示する元データを出力データに変換するカラー変換工程とを備える画像処理方法として構成することができる。
【0016】
また、請求項7に記載されるように、画像処理装置を構成するコンピュータを、印刷もしくは表示に用いるカラーモードの選択を受け付けるカラーモード選択受付手段、印刷もしくは表示に用いるカラーの選択を受け付けるカラー選択受付手段、選択されたカラーモードと選択されたカラーに基づいて、印刷もしくは表示する元データを印刷もしくは表示に用いるカラーに変換するためのカラー変換パレットを生成するカラー変換パレット生成手段、印刷もしくは表示に際して、前記カラー変換パレットにより印刷もしくは表示する元データを出力データに変換するカラー変換手段として機能させる画像処理プログラムとして構成することができる。
【0017】
また、請求項8に記載されるように、請求項7に記載の画像処理プログラムを記録した記録媒体として構成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の画像処理装置にあっては、色数を制限した印刷や表示に際して、カラー選択の自由度を高め、色覚異常者に対してもカラーユニバーサルデザインの考え方に適切に対応して識別しやすい印刷物や表示を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態にかかるシステムの構成例を示す図である。
【図2】第1の処理例を示すフローチャートである。
【図3】第1の処理例における印刷設定画面の例を示す図である。
【図4】第1の処理例におけるカラー設定画面の例を示す図である。
【図5】第2の処理例を示すフローチャートである。
【図6】第2の処理例における印刷設定画面の例を示す図である。
【図7】第2の処理例におけるカラー設定画面の例を示す図(その1)である。
【図8】第2の処理例におけるカラー設定画面の例を示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。
【0021】
<構成>
図1は本発明の一実施形態にかかるシステムの構成例を示す図である。
【0022】
図1において、パーソナルコンピュータ(PC)等の利用者端末装置1は、ネットワークを介して、あるいは直接に、MFP等の画像形成装置2と接続されている。
【0023】
利用者端末装置1は、文書作成等を行うアプリケーション101と、基本ソフトであるオペレーティングシステム102と、画面表示を行う表示装置112と、ネットワーク等を介して画像形成装置2と通信を行う通信部113とを備えている。
【0024】
オペレーティングシステム102は、画像形成装置2もしくは表示装置112の動作を制御するドライバ103と、その他のオペレーティングシステムとしての基本的な動作を行う基本機能部111とを備えている。
【0025】
ドライバ103は、動作条件の設定をユーザと対話的に行うためのユーザインタフェース部104と、ドライバとしての基本的な動作を行う基本機能部109とを備えている。ユーザインタフェース部104は、カラーモード選択受付部105と選択可能カラー決定部106と使用カラー選択受付部107とカラー変換パレット生成部108とを備えている。
【0026】
カラーモード選択受付部105は、印刷もしくは表示に用いるカラーモードの選択をユーザから受け付ける機能を有している。
【0027】
選択可能カラー決定部106は、 カラーモードによるカラーユニバーサルデザインの指定もしくは印刷にあたっての色材の残量等により、ユーザにより選択可能なカラーを決定する機能を有している。
【0028】
使用カラー選択受付部107は、ユーザによりカラー選択が指定された場合に、所定のインタフェースによりユーザからカラーの選択を受け付ける機能を有している。
【0029】
カラー変換パレット生成部108は、ユーザにより選択されたカラーに基づいて、画像形成装置2に出力する描画データもしくは表示装置112に出力する表示データのカラーを変換するためのカラー変換パレットを生成する機能を有している。
【0030】
また、基本機能部109は、カラー変換パレット適用部110を備えている。カラー変換パレット適用部110は、画像形成装置2に出力する描画データもしくは表示装置112に出力する表示データに対して、ユーザインタフェース部104のカラー変換パレット生成部108により生成されたカラー変換パレットを用いてカラー変換を行う機能を有している。
【0031】
カラー変換パレットは、例えば、全てのRGB(Red,Green,Blue)の組み合わせに対して出力するRGBを対応させたテーブルや計算式としてもよいし、RGBの色相(例えば、RGBの比率)に対して出力するRGBの色相を対応させたテーブルや計算式としてもよい。後者の場合、入力されたRGBから色相と明度(例えば、RGBの平均)を算出し、色相からテーブル等で求めた出力の色相に明度を乗算することで出力するRGBを取得することになる。なお、RGBから印刷時のCMYK(Cyan,Magenta,Yellow,blacK)への変換は画像形成装置2側で行われるのが一般的である。
【0032】
<動作>
図2は第1の処理例を示すフローチャートであり、ドライバ103をプリンタドライバとし、画像形成装置2により任意の2色印刷を行う場合を想定している。
【0033】
図2において、先ず、印刷するデータファイルをアプリケーション101で開き、印刷開始指示を行うことで印刷設定が開始し(ステップS101)、ドライバ103のユーザインタフェース部104により印刷設定UI(User Interface)としての印刷設定画面が表示装置112上に表示される(ステップS102)。印刷設定UIではユーザにより操作されるまではそのままの状態でUI操作を待つ(ステップS103のNo)。
【0034】
図3はカラーモード選択受付部105により表示される印刷設定画面121の例を示しており、カラーモード選択メニュー122から所望の項目を選択できるようになっている。この例では、「フルカラー」「白黒」「2色(選択)」「2色(ユニバーサル選択)」「黒・赤」「黒・緑」「黒・青」等が選択可能になっている。
【0035】
図2に戻り、ユーザが2色カラー選択(図3の「2色(選択)」に相当)を選択したとすると(ステップS103の2色カラー選択)、ユーザインタフェース部104の使用カラー選択受付部107は、カラー設定画面により、ユーザから第1のカラーの選択を受け付ける(ステップS104)。第1のカラーは、印刷に用いる代表的なカラーを選択する。
【0036】
図4はカラー設定画面123の例を示しており、図4(a)はハニカム状に異なるカラーを配置した画面からカラーを選択させるようにしたもの、図4(b)はグラデーション状にカラーを配置した画面からカラーを選択させるようにしたものである。これらはOS標準的なUIであるが、あまり厳密なものでなくてよければ、他にもカラースペクトルにスライダー状のUIを配置したもの、カラーを円周上に連続的に配置したもの、カラー候補を数個タイル状に並べたもの等が考えられる。いずれにしても色空間を二次元的に表現するには何らかの制約が必要になり、全ての色を配置できないので、そこはある程度割り切りが必要である。
【0037】
次いで、図2に戻り、ユーザから第2のカラーの選択を受け付ける(ステップS105)。第2のカラーは、黒に相当するカラーを選択する。カラー設定画面は図4に示したものと同様である。なお、ユーザにより選択された第1、第2のカラーのみを用いてもよいし、更に第3のカラーとして黒を用いてもよい。また、第1のカラーのみをユーザに選択させ、第2のカラーは黒とするようにしてもよい。
【0038】
次いで、図2に戻り、カラー変換パレット生成部108は、ユーザにより選択された第1、第2のカラーからカラー変換パレットを生成する(ステップS106)。カラー変換パレットの生成に際し、どの色をどの色に配色すべきかは種々の既知の減色方法が存在するので、そのいずれかを適用すればよい。
【0039】
カラー変換パレットの生成(ステップS106)の後、印刷設定UIに戻る。
【0040】
次いで、カラーの指定が終わって印刷の開始が指示されると(ステップS103の開始)、ドライバ103は印刷を開始し(ステップS107)、カラー変換パレット適用部110は前述した処理(ステップS106)で生成されたカラー変換パレットに従って減色処理を行い(ステップS108)、画像形成装置2に対して印刷データを送信する(ステップS109)。
【0041】
また、印刷設定UI上でキャンセルが指示されたときは(ステップS103のキャンセル)、必要があればキャンセル処理により内部データを初期化し(ステップS110)、何もせず終了する(ステップS111)。
【0042】
画像形成装置2により印刷を行う場合について説明したが、表示装置112に表示する場合は、図2における「印刷」が「表示」に置き換わるだけである。
【0043】
図5は第2の処理例を示すフローチャートであり、ドライバ103をプリンタドライバとし、画像形成装置2によりカラー選択に制限のある任意の2色印刷を行う場合を想定している。
【0044】
図5において、先ず、印刷するデータファイルをアプリケーション101で開き、印刷開始指示を行うことで印刷設定が開始し(ステップS201)、ドライバ103のユーザインタフェース部104により印刷設定UIとしての印刷設定画面が表示装置112上に表示される(ステップS202)。印刷設定UIではユーザにより操作されるまではそのままの状態でUI操作を待つ(ステップS203のNo)。
【0045】
図6はカラーモード選択受付部105により表示される印刷設定画面121の例を示しており、カラーモード選択メニュー122から所望の項目を選択できるようになっている。この例では、「フルカラー」「白黒」「2色(色覚型を以下から選択)」「P型(強)」「P型(弱強)」「D型(強)」「D型(弱強)」「T型」「A型」等が選択可能になっている。色覚異常の場合、いくつかパターンがあるので、その類型を提示し、自分がどの類型に当てはまるか分かっている場合は文字表記によるメニューから選択することができる。
【0046】
図5に戻り、ユーザが2色カラー選択(図6の「2色(色覚型を以下から選択)」以下の項目選択に相当)を選択したとすると(ステップS203の2色カラー選択)、ユーザインタフェース部104の選択可能カラー決定部106は、色覚型の選択によりカラー選択肢に制限が必要になることを検知する(ステップS204)。また、選択可能カラー決定部106は、画像形成装置2との間で予めドライバの基本機能により行う通信もしくは動的に行う通信により色材の残量を取得し、残量が少ない色材がある場合にも、カラー選択肢に制限が必要になることを検知する。
【0047】
次いで、選択可能カラー決定部106は、色覚型の選択によりカラー選択肢に制限が必要になると検知した場合には、色覚型に対応させて内部的に保持しているテーブル等に従い、カラー選択肢の制限を行う(ステップS205)。残量が少ない色材があることによりカラー選択肢に制限が必要になると検知した場合には、残量の少ない色材を排除したカラー選択肢の制限を行う。
【0048】
次いで、使用カラー選択受付部107は、カラー設定画面により、ユーザから第1のカラーの選択を受け付ける(ステップS206)。第1のカラーは、印刷に用いる代表的なカラーを選択する。
【0049】
図7はカラー設定画面123の例を示しており、カラーユニバーサルデザインに基づき、選択された色覚型で認識が容易であるカラーのみを残し、カラーユニバーサルデザインで推奨されないカラーを除外したものである。これによれば、色覚異常の人は実際に印刷される色の中から自分に見やすいカラーを選ぶことができ、最適化された印刷物を得ることができる。
【0050】
また、図8は他のカラー設定画面123の例を示しており、図8(a)はある色材(例えば、マゼンタ)の残量が少ない場合に、その色材を多量に用いるカラー(色材がマゼンタである場合は、マゼンダの濃度が濃い赤系のカラー)を除外したもの、図8(b)はある色材(例えば、マゼンタ)の残量がほとんどない場合に、その色材を用いるカラーを完全に除外した例である。ユーザはそれらの中からカラーを選ばざるを得ないので、必然的に欠如した色材が入った印刷は排除され、その色材がなくてもカラー印刷が可能となる。逆に、その色材が補充されたり、他の色材も同じように減ってきたら、当初に制限した色材だけを排除する必然性はないので、図8(a)のような状態にしたり、制限せず元に戻すことも考えられる。
【0051】
次いで、図5に戻り、ユーザから第2のカラーの選択を受け付ける(ステップS207)。第2のカラーは、黒に相当するカラーを選択する。カラー設定画面は図7および図8に示したものと同様である。なお、ユーザにより選択された第1、第2のカラーのみを用いてもよいし、更に第3のカラーとして黒を用いてもよい。また、第1のカラーのみをユーザに選択させ、第2のカラーは黒とするようにしてもよい。
【0052】
次いで、図5に戻り、カラー変換パレット生成部108は、ユーザにより選択された第1、第2のカラーからカラー変換パレットを生成する(ステップS208)。カラー変換パレットの生成に際し、どの色をどの色に配色すべきかは種々の既知の減色方法が存在するので、そのいずれかを適用すればよい。
【0053】
カラー変換パレットの生成(ステップS208)の後、印刷設定UIに戻る。
【0054】
次いで、カラーの指定が終わって印刷の開始が指示されると(ステップS203の開始)、ドライバ103は印刷を開始し(ステップS209)、カラー変換パレット適用部110は前述した処理(ステップS208)で生成されたカラー変換パレットにしたがって減色処理を行い(ステップS210)、画像形成装置2に対して印刷データを送信する(ステップS211)。
【0055】
また、印刷設定UI上でキャンセルが指示されたときは(ステップS203のキャンセル)、必要があればキャンセル処理により内部データを初期化し(ステップS212)、何もせず終了する(ステップS213)。
【0056】
画像形成装置2により印刷を行う場合について説明したが、表示装置112に表示する場合は、図5における「印刷」が「表示」に置き換わるだけである。
【0057】
<総括>
以上説明したように、本実施形態によれば次のような利点がある。
(1)フルカラー、白黒以外の制限されたカラーによる印刷や表示においても、予め決められたカラーで印刷や表示を行うのでなく、ユーザが自ら識別しやすいカラーを選択することができる(変換する色をユーザが選択できる)ので、一般人は好みのカラーを使用することができ、色弱者、色盲者等の色覚異常者は識別しやすい印刷物や表示を得ることができる。
(2)色覚型をメニュー形式で選択可能とすることで、色覚異常があるユーザでも苦労して毎々カラーを選択せずとも判別できる印刷物や表示を得ることができる。
(3)印刷を対象とする場合、色材の残量が減った場合であっても、印刷を禁止することなく、他の色材によりそれなりに見られる印刷物が得られ、色材を有効活用することができ、画像形成装置の稼働率も高めることができる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0059】
1 利用者端末装置
101 アプリケーション
102 オペレーティングシステム
103 ドライバ
104 ユーザインタフェース部
105 カラーモード選択受付部
106 選択可能カラー決定部
107 使用カラー選択受付部
108 カラー変換パレット生成部
109 基本機能部
110 カラー変換パレット適用部
111 基本機能部
112 表示装置
113 通信部
2 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2008−86011号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷もしくは表示に用いるカラーモードの選択を受け付けるカラーモード選択受付手段と、
印刷もしくは表示に用いるカラーの選択を受け付けるカラー選択受付手段と、
選択されたカラーモードと選択されたカラーに基づいて、印刷もしくは表示する元データを印刷もしくは表示に用いるカラーに変換するためのカラー変換パレットを生成するカラー変換パレット生成手段と、
印刷もしくは表示に際して、前記カラー変換パレットにより印刷もしくは表示する元データを出力データに変換するカラー変換手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記カラー選択受付手段は、複数のカラーを選択するカラー選択画面を表示し、複数のカラーの選択を受け付ける
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記カラーモード選択受付手段がカラーモードとしてカラーユニバーサルデザインに基づいたカラー選択を受け付けた場合に、前記カラー選択受付手段により選択できるカラーを制限するカラー制限手段
を更に備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記カラーモード選択受付手段は、色覚型を文字により表示した項目からカラーモードの選択を受け付け、
前記カラー選択受付手段は、選択されたカラーモードの色覚型に基づいて選択できるカラーを制限する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像処理装置において、
印刷を対象とする場合であって、出力先となる画像形成装置の色材の残量に基づいて前記カラー選択受付手段により選択できるカラーを制限するカラー制限手段
を更に備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
印刷もしくは表示に用いるカラーモードの選択を受け付けるカラーモード選択受付工程と、
印刷もしくは表示に用いるカラーの選択を受け付けるカラー選択受付工程と、
選択されたカラーモードと選択されたカラーに基づいて、印刷もしくは表示する元データを印刷もしくは表示に用いるカラーに変換するためのカラー変換パレットを生成するカラー変換パレット生成工程と、
印刷もしくは表示に際して、前記カラー変換パレットにより印刷もしくは表示する元データを出力データに変換するカラー変換工程と
を備えたことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
画像処理装置を構成するコンピュータを、
印刷もしくは表示に用いるカラーモードの選択を受け付けるカラーモード選択受付手段、
印刷もしくは表示に用いるカラーの選択を受け付けるカラー選択受付手段、
選択されたカラーモードと選択されたカラーに基づいて、印刷もしくは表示する元データを印刷もしくは表示に用いるカラーに変換するためのカラー変換パレットを生成するカラー変換パレット生成手段、
印刷もしくは表示に際して、前記カラー変換パレットにより印刷もしくは表示する元データを出力データに変換するカラー変換手段
として機能させる画像処理プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−142830(P2012−142830A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−368(P2011−368)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】