説明

画像処理装置

【課題】所定の機能を与える機能部品が着脱可能に装着できる画像処理装置において、機能部品が新たに装着された際に忘れることなくその機能部品に必要な調整を行うことを可能にする。
【解決手段】画像処理装置は、所定の機能を与える機能部品が着脱可能に装着でき、且つ操作パネルとしてのタッチパネルを備える。画像処理装置は、機能部品が新たに装着された状態で画像処理装置が起動された場合、操作パネルに表示させる起動画面20に、上記機能部品に関する調整を行うための調整画面に遷移させるための遷移ボタン(調整ボタン25)を表示させ、その調整ボタン25が押下された場合に上記調整画面を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の機能を与える機能部品が着脱可能に装着できる画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置等の画像処理装置には、本体に所定の機能を与える機能部品が着脱可能に装着されているものがある。そして、機能部品を装着した場合にはそれに応じたセットアップを行う必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のプリンタは、新規のオプションデバイスなどが装着された状態で電源が投入された場合、初期設定処理が完了しているか否かを判断し、完了していない場合にセットアップモードを選択し、完了している場合に通常印刷モードを選択するように構成している。そして、このセットアップモードは、検知された装着状態のオプションデバイスの構成に関連付けたプリンタの識別子を特定し、特定した識別子をホストに送信するようになっており、これによりユーザにセットアップを誘導している。
【0004】
特許文献1は、オプションの組合せた場合セットアップ処理を表示させ誘導するために、オプションとは違う機能を使用することができない。例えば、後処理系のオプションを接続した場合、読取系を使用するスキャナ機能やFAX送信機能は使用することができるので、オプションの設定が実施されていなくても該当機能を使用することを可能にしておく必要がある。そのため、複数あるオプションを組み合わせて使用する場合は、設置作業者が手順に従ってオプションの情報入力画面に移行して、各種情報入力をさせてオプション機能を使用できるようにする。
【0005】
特許文献2には、画像形成装置本体の制御プログラムの更新を低コストで迅速に行う技術が開示されている。特許文献2に記載の画像形成装置は、不揮発性メモリに格納された更新プログラムを読み出す読出し手段と、画像形成装置本体に格納されている制御プログラムに対し、読出し手段で読み出された更新プログラムに更新するか否かを判断する判断手段と、更新すると判断した場合、メッセージを操作パネルに表示する手段と、ユーザが操作パネルのメッセージに従って更新することを選択したとき、制御プログラムを更新プログラムに更新する書換手段と、とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−276454号公報
【特許文献2】特開2005−227561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、オプションの情報入力画面での操作が設置作業者などサービスマンが行う作業であることから、一般ユーザがその情報入力画面に移行できないように複雑な操作をさせてから移行するようになっており、手順が複雑になり、作業をしないなどのミスをする場合がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術では、操作パネルに更新するか否かのメッセージを表示させるだけであり、この誘導によって制御プログラムを更新プログラムで更新することが可能となるだけで、追加の機能部品に調整が必要となる場合には対応できず、調整を忘れてしまうといった事態も起こり得る。
【0009】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、所定の機能を与える機能部品が着脱可能に装着できる画像処理装置において、機能部品が新たに装着された際に忘れることなくその機能部品に必要な調整を行うことを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、所定の機能を与える機能部品が着脱可能に装着でき、且つ操作パネルとしてのタッチパネルを備えた画像処理装置であって、前記機能部品が新たに装着された状態で前記画像処理装置が起動された場合、前記操作パネルに表示させる起動画面に、前記機能部品に関する調整を行うための調整画面に遷移させるための遷移ボタンを表示させ、該遷移ボタンが押下された場合に前記調整画面を表示させることを特徴としたものである。
【0011】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記遷移ボタンは、前記機能部品を機能させるために必要な調整項目が設定されるまで、表示させることを特徴としたものである。
【0012】
第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記調整画面には、前記機能部品に関する調整項目のうち、前記機能部品を機能させるために必要な調整項目のリストのみを表示させることを特徴としたものである。
【0013】
第4の技術手段は、第1〜第4のいずれか1の技術手段において、前記調整画面は、前記起動画面から前記遷移ボタンを押下しない操作手順でも表示可能となっていることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、所定の機能を与える機能部品が着脱可能に装着できる画像処理装置において、機能部品が新たに装着された際に忘れることなくその機能部品に必要な調整を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像処理装置の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の画像処理装置における起動画面の一例を示す図である。
【図3】図1の画像処理装置における調整画面の一例を示す図である。
【図4】図1の画像処理装置における調整画面の他の例を示す図である。
【図5】図1の画像処理装置における起動時の処理の一例を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る画像処理装置は、所定の機能を与える機能部品が着脱可能に装着できる複合機、画像形成装置、スキャナ装置等の装置であって、操作パネルとしてのタッチパネルを備えるものとする。複合機において着脱できる機能部品としては、フィニッシャ、自動原稿送り装置(ADF)、追加の給紙トレイ、ファックス装置などが挙げられる。また、プリンタ等の画像形成装置において着脱できる機能部品としては、追加の給紙トレイなどが挙げられる。スキャナ装置において着脱できる機能部品としては、ADFなどが挙げられる。以下、本発明に係る画像処理装置が複合機であることを前提として説明するが、他種の画像処理装置であっても同様に適用できる。
【0017】
図1は、本発明に係る画像処理装置の一構成例を示す機能ブロック図である。
図1で例示する画像処理装置1は、制御部10、ユーザインターフェース(UI)部11、情報保存部12、機能検出部13、情報解析部14、原稿読取部15、印刷部16、及び通信部17が接続されてなる。
【0018】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)や作業領域としてのRAM(Random Access Memory)や制御用のプログラムの格納領域としてのROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の記憶装置などを備えたモジュールが例示できる。この制御用のプログラムは、可搬の記録媒体を介して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して流通させ、CPUから実行可能な状態で上記記憶装置に記憶させることで、実装することができる。
【0019】
これにより、制御部10は、画像処理装置1内の各種機能の制御を行うことが可能となっている。例えば、制御部10は、画像処理装置1における図示しない各種機構系などを制御したり、原稿読取部15からの画像データを情報解析部14へデータ転送したり、情報解析部14から変換された画像データを印刷部16や通信部17に転送したり、UI部11に使用者への出力情報の表示や使用者からの入力情報の設定を制御したりする。
【0020】
UI部11は、操作パネルとしてのタッチパネルであり、液晶や有機EL等の表示パネル及びその表示制御回路でなる表示部11aと、タッチセンサでなる入力部11bとを有すると共に、ソフトウェアボタンを含むUIをユーザに提供するためのUIプログラムが実行可能に格納されている。タッチセンサは表示パネルと別に設けてもよいが、表示パネルの各画素に埋め込まれたものであってもよい。このように、UI部11は液晶等の表示媒体とタッチセンサやソフトウェアボタンなどの入力媒体である。また、このUIプログラム自体は上記制御用のプログラムに含めてもよい。UI部11は、このような構成により、制御部10の制御に従い表示させしたい内容のデータを表示させたり、タッチセンサからの入力情報を設定のために制御部10に送信したりする。
【0021】
情報保存部12は、読み取った画像データを一時保存又は恒久的に保存するためのハードディスクや、各種設定情報を保持しておくEEPROM等のメモリなどのモジュールである。原稿読取部15は、スキャナなど光学系を搭載し、原稿を光学的に読み取って画像データを得て、その画像データを情報保存部12に一時保存又は恒久的に保存するよう出力することができるモジュールである。印刷部16は、指定用紙に情報保存部12に保存され印字用に変換された画像データを印刷するプリンタなどである。通信部17は、読み取ったデータや保存されたデータを外部への決まった画像データとしてデータ送信するスキャナやファックスなどのモジュールである。また、通信部17は、ファックス受信した画像データを情報保存部12に一時保存又は恒久的に保存して、印刷部16で印刷させることもできる。
【0022】
機能検出部13は、新たにオプションの機能部品が付けられたことを判断するモジュールである。例えば、外部トレイが新たに装着された場合、調整画面に移行し、トレイの位置調整を行う必要がある。フィニッシャが新たに装着された場合、調整画面に移行し、フィニッシャの位置調整を行う必要がある。画像処理オプションが新たに装着された場合、調整画面に移行し、画像処理のカラー設定を行う必要がある。そのために、まず新たに機能部品が装着(追加)されたことを検出する必要があり、よって画像処理装置1には機能検出部13が設けられている。
【0023】
情報解析部14は、読み取った画像データや保存されている画像データを各種機能に応じた画像に変換する画像処理や、各種オプションから送付されてきたシリアル番号や機種番号等の部品情報を照合する照合処理などを行うモジュールである。
【0024】
そして、制御部10は、起動時に機能検出部13で新たに装着された機能部品を検出するなどにより、機能部品が新たに装着された状態で画像処理装置1が起動されたか否かを判定する。制御部10は、機能部品が新たに装着された状態で画像処理装置1が起動された場合、つまり少なくとも1つ以上の新規機能が追加される場合、UI部11の表示部11aに表示させる起動画面に、次のような遷移ボタンを表示させる。起動画面とは、起動時にユーザ操作可能に提示する初期画面を指す。この遷移ボタンは、上記機能部品に関する調整を行うための調整画面に遷移させるためのボタンとする。
【0025】
遷移ボタンが表示された状態で、UI部11は、この遷移ボタンの押下を待ち、押下された場合に調整画面を表示させる。UI部11は、調整画面を表示しているときに調整に係る情報の入力を受け付けることで、少なくとも追加された新規機能の調整が可能となっている。
【0026】
従来では、調整画面などの特殊画面は、一般ユーザなどには使用できないように特別な入力操作によってのみ移行できるようになっているが、これは、容易に設定値を変更できないようにして機密性を高くするためである。しかしながら、新たにオプションなどを追加した場合、必ず特殊画面に移行して各種設定を入力したり、接続状況を確認したりする必要がある。これに対し、本発明に係る画像処理装置1では、オプションの機能部品(例えばフィニッシャ)を追加して起動した場合、起動画面にその機能部品の調整画面への遷移ボタン(リンクアイコン)を表示することで、速やかに設定を行うことができるようになる。また、複雑な入力をすることなしで、調整画面に移行することができるため、オプションの取り付け手順の簡略化の可能になる。
【0027】
このように、本発明に係る画像処理装置1では、新規機能を追加した場合、起動画面に調整画面(手動で調整しなければならない項目についての調整画面)に遷移できる遷移ボタンを配置することで、容易に調整画面に遷移させることができる。さらに、本発明に係る画像処理装置1では、起動画面にこの遷移ボタンを表示するため、立ち上げ確認時に目につき、作業者が忘れることなく調整を実施することができる。このように、本発明によれば、調整作業を行わないミスの発生を抑制し、容易に調整画面に移行することができるので、手順が簡略化でき設置時間の短縮にもなる。
【0028】
以上の説明では、機能部品が1つ新たに装着された状態で起動された場合を想定して説明したが、複数同時に装着された状態で起動された場合にも適用できる。複数の機能部品が新たに装着された場合には、機能部品のそれぞれについて別の遷移ボタンを同時に表示させて、それぞれの調整画面に遷移させてもよいし、新たに装着された一部又は全部の機能部品について共通の遷移ボタンを表示させて、新たに装着された一部又は全部の機能部品について共通の調整画面に遷移させてもよい。
【0029】
また、調整に順番の制限がある場合には、その順番をメモリに予め格納しておいて、遷移ボタンの表示の前にその順番を読み出し、一番先に調整する必要がある機能部品についての遷移ボタンを表示すればよい。その後、その調整が済むと、次に調整をする必要がある機能部品についての遷移ボタンを表示すればよい。このように、順番に制限がある場合には、その順番に応じた表示順で遷移ボタンを表示していけばよい。新たに装着された複数の機能部品のうち、一部の機能部品について順番に制限がない場合には、最初にまとめて調整するようにその調整画面への遷移ボタンを表示させてもよいし、最後にまとめて調整するようにその調整画面への遷移ボタンを表示させてもよい。
【0030】
次に、図2を参照しながら、図1の画像処理装置における起動画面の一例を説明する。図2で例示する起動画面20は、コピー機能の基本画面に遷移するためのコピーボタン21、ファックス機能の基本画面に遷移するためのファックスボタン22、情報保存部12にファイリングを行う機能の基本画面に遷移するためのファイリングボタン23、並びに、ユーザがカスタマイズした基本画面に遷移するためのマイメニューボタン24を表示している。
【0031】
そして、新規機能が追加され、その機能が付加されたことで機能の調整を行う必要がある場合、起動画面20に調整ボタン25が表示される。この調整ボタンは、上記遷移ボタンの例である。新規機能が追加される以前の状態では、後述の調整ボタン25は表示されないものとする。
【0032】
新規機能が1又は複数追加されたことを検知すると、各機能によって設定を行ったりする必要があるが、新たに追加された機能を検出することで自動設定できる調整項目は自動的に設定される。例えば、新規トナーが投入されたときなどは、自動的にトナー補充し印字できる状態にすることができる。
【0033】
一方で、自動的に設定できない機能部品の調整項目がある。例えば、高圧縮モジュールなどは光学系の設定値で調整値が変わるため調整用のチャートを置いてそれを見ながら調整しなければならない。そのような調整項目がある場合には、調整ボタン25を表示させればよく、サービスマンなどの作業者は、調整ボタン25で調整画面を表示させ該当の調整を行って、結果を確認して、調整値を保存する。
【0034】
なお、調整ボタン25が表示された状態でも、画像処理装置1では、追加された機能に影響のない機能が実行することができる。例えば、高圧縮モジュールはファイリングなどに関係するが、コピー機能やファックス機能には(一部関係するが)影響がないので、調整されていない状態でもコピー機能を使うことができる。その他、大容量などのトレイ系が装着された場合、印字位置の調整が必要になるが、調整を行っていなくても、ファックス機能やドキュメントファイリングの機能は使用することができる。新規機能の調整が必要な状態だけでなく調整を実行中であっても、機能に関係ないコピー機能が使用できる場合、起動画面からコピーボタン21を押下してコピー機能の基本画面に移行し、コピーを実施することができる。同様にファクシミリ機能が使用できる場合、ファックスボタン22を押下して、ファクシミリ機能の基本画面に移行して、ファクシミリ送信を行うことができる。
【0035】
次に、図3を参照しながら調整画面の具体例を説明する。図3は、図1の画像処理装置における調整画面の一例を示す図で、調整ボタン25を押下した場合に移行する画面の一例を示している。
【0036】
図3で示す調整画面30には、新たに追加した機能部品に関する調整項目についてのリスト32が表示されている。リスト32では、調整項目を示すプログラム番号32aとそれに対応する調整項目の内容32bとが含まれ、上キー34aや下キー34bによりリスト32のうち表示中の調整項目群を上送りや下送りしたりすることが可能となっている。また、調整画面30には、プログラム番号32aのいずれかを入力するための入力欄31も設けられており、この入力のためにテンキー33も表示されている。
【0037】
また、図3のリスト32では、プログラム番号が飛び飛びになっている例を挙げているが、これは図2の起動画面20から調整ボタン25を押下して移行してきたとき、新規の機能部品に関する調整項目だけを、より好ましくは新規の機能部品に関し調整が必要な調整項目だけを、抽出して表示した結果である。調整が必要か否かは、機能部品の調整項目毎に、或る程度精度良く機能するなどの基準に基づき予め決めておき、必要か否かを記憶させておけばよい。このように、調整画面30には、機能部品に関する調整項目のうち、その機能部品を機能させるために必要な調整項目のリストのみを表示させることが好ましい。調整値の入力などの調整が必要なものだけを表示しているため、作業者にとって実施項目が分かり易くなり、必要な調整項目だけ実施することができる。
【0038】
このような調整画面30において、作業者は、まずリスト32のうち調整を行う調整項目のプログラム番号をテンキー33で入力すればよい。この入力に応答して画像処理装置1は、そのプログラム番号に対応する個別の調整画面を表示して、調整値の入力を待てばよい。作業者は、この個別の調整画面を見ながら調整を実施する。
【0039】
新規機能の調整が終了して、CLOSEボタン35やテンキー33内のEXITボタンにより調整画面30を抜けると、起動画面20に戻るが、そこには調整ボタン25が表示されなくなる。一方で新規機能の調整項目が残っていれば、調整ボタン25を表示したままにする。
【0040】
このように、調整ボタン25は、新たに装着した機能部品を機能させるために(つまり新たな機能部品に関する上記所定の機能を生かすために)必要な調整項目が設定されるまで、表示させることが好ましい。調整が行なわれるまで起動画面20に調整ボタン25を表示することにより、作業者が忘れることなく各種調整を済ませることができる。なお、調整に順番の制限がある場合において、一番先に調整する必要がある機能部品についての遷移ボタンを表示し、その調整が済むと、次に調整をする必要がある機能部品についての遷移ボタンを表示するといった処理例を説明したが、この処理例も、必要な調整項目が設定されるまで表示させている例に該当する。
【0041】
また、この調整画面30は、サービスマンなどの作業者のみが知っている特殊な方法でも入ることができる画面と同じであることが好ましい。つまり、調整画面30は、起動画面20から調整ボタン25を押下しない操作手順(1以上の中間画面を経た手順)でも表示可能となっていることが好ましい。これにより、新たに調整画面30用のUI画像を作成する手間も省け、サービスマンが同じ操作で設定することができ、ミスなどを軽減することができる。また、図3や後述の図4の例では、出荷先が非英語圏内である場合でもあえて英語で調整画面を表示しており、これにより一般ユーザがもしこの調整画面に移行したとしても調整できる可能性を減らすことができる。
【0042】
次に、図4を参照しながら個別の調整画面の具体例を説明する。図4は、図1の画像処理装置における調整画面の他の例を示す図である。図4では、調整項目が複数存在する場合で且つ図3の調整画面30で或るプログラム番号(この例はNo.43−01)が入力欄31に入力された場合に移行する画面の一例を示している。また、図4では、調整項目が一つしかない場合で且つ図2の起動画面20で調整ボタン25を押下した場合に移行する画面の一例でもある。
【0043】
図4で示す個別調整画面40は、定着ローラの温度調整値が調整項目である場合の画面例を挙げている。この温度調整値は場面場面で設定する必要があり、これらがセットで一つの調整が完了したことになる。個別調整画面40には、場面42cごとの温度調整値A〜L42bがリスト42として表示されており、そのうち一つ(この例では温度調整値A)が選択されて反転表示となっている。また、個別調整画面40には、上キー44a、下キー44b、OKキー44c、テンキー43も表示されている。
【0044】
作業者は、上キー44aや下キー44bで入力を行う温度調整値を上送りや下送りしたりして、それに対応する入力欄41を表示させて、テンキー43を用いてその入力欄41に選択中の場面(この例では温度調整値Aに対応する場面)についての温度調整値を入力し、OKキー44cを押下して確定させればよい。このような作業を各場面に対して行うことで、温度調整値のセットが調整済みとなる。調整が実行され作業としての調整が済むと、図1の制御部10が、設定した対象の機能部品のシリアル番号と調整項目を情報保存部12に保存する。
【0045】
温度調整値の入力は、カラーチャートを図1の原稿読取部15に置きスキャンして調整値を自動計測し入力する方法や、そのチャートを印刷させて、印字したチャートをスキャナで読み込み自動調整する方法もある。その場合はチャートを置く指示を個別調整画面40に表示するようにしておき、タッチパネルの外部に設けられたハードウェアのスタートボタンの押下などにより自動調整を実施後、結果を表示して、設定するようにしてもよい。
【0046】
また、このようにして新規機能の調整が終了して、CLOSEボタン45やテンキー43内のEXITボタンにより個別調整画面40を抜けると、調整画面30又は起動画面20に戻る。リスト表示を採用した場合には、調整が必要な調整項目が残っていなければ、調整ボタン25が非表示の起動画面20に戻り、新規機能の調整項目が残っていれば、調整画面30に戻り、調整が終了した項目をリストから除外すればよい。リスト表示を採用しなかった場合には、調整が必要な調整項目が残っていなければ、調整ボタン25が非表示の起動画面20に戻り、新規機能の調整項目が残っていれば起動画面20に戻り、調整ボタン25を表示したままにする。ここでも、調整ボタン25は、新たに装着した機能部品を機能させるために必要な調整項目が設定されるまで、表示させている。
【0047】
次に、図5を参照しながら、調整ボタンの表示制御を含めた、起動時の処理例を簡単に説明する。図5は、図1の画像処理装置における起動時の処理の一例を説明するためのフロー図である。
【0048】
まず、画像処理装置1は、起動したときに、機能検出部13が、新たなオプションが付加されているか否かを確認する(ステップS1)。ステップS1でNOの場合、つまり新たな追加機能がなければ、制御部10は、UI部11に指示し、調整ボタンを表示しないまま起動画面(図2の起動画面20において調整ボタン25を無くした画面)を表示させる(ステップS6)。
【0049】
機能検出部13は、ステップS1でYESの場合、つまり新たな追加機能がある場合、オプション類の状況を確認するために、各追加モジュールからオプションのシリアル番号を入手して、情報解析部14に渡す(ステップS2)。同じ機能が追加されていても、オプション交換など調整が不要で調整させていないようなオプションを装着することがあるからである。
【0050】
続いて、情報解析部14は、ステップS2で得られた各オプションのシリアル番号から設定する調整項目(シミュレーションの項目)を照合して、リスト化する(ステップS3)。続いて、制御部10が、ステップS3でリスト化された各設定する調整項目の番号(上記プログラム番号に相当)とシリアル番号から調整済みであるかの情報を、情報保存部12から取得し、調整済みか否かを判定する(ステップS4)。
【0051】
ステップS4でNOの場合、つまりステップS3でリスト化された情報から調整完了していない設定項目番号があった場合、制御部10は、設定未完として、図2のように起動画面20に調整ボタン25を表示させるようにUI部11に指示する(ステップS5)。このときステップS4での検索結果は、図3の調整画面30に使用できるため、保持しておけばよい。一方、ステップS4でYESの場合、つまり全ての調整が完了していれば、制御部10は、UI部11に指示して調整ボタンを表示しないようにさせる(ステップS6)。
【0052】
ステップS4のような処理を可能にするため、調整済みの機能部品が取り外された場合には、再度取り付けたときの調整を省略するように、その機能部品の機種番号やシリアル番号等の部品情報を記憶しておけばよい。これにより、調整済みの機能部品が再度取り付けられた場合には、起動時にそのことを情報解析部14などで判定し、調整ボタンの表示は行わないような制御ができる。
【0053】
ここで、機種番号を記憶しておくことで、故障時の交換などにより、同じ機能部品で異なるシリアル番号のものが取り付けられた場合にも調整ボタンの表示を行わないように制御できる。一方で、シリアル番号を記憶しておくことで、故障時の交換などにより、同じ機能部品で異なるシリアル番号のものが取り付けられた場合には、調整ボタンを表示するように制御できる。機能部品によっては、交換を行う度に調整が必要な部品や必要でない部品があるため、機種番号/シリアル番号のいずれか一方を要/不要に応じて記憶して起動時に参照してそれに応じた制御を行うようにすることもできる。また、同様の制御は、機種番号と共に調整が必要か否かを予め記憶しておくことでも可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…画像処理装置、10…制御部、11…UI部、11a…表示部、11b…入力部、12…情報保存部、13…機能検出部、14…情報解析部、15…原稿読取部、16…印刷部、16…印刷部、17…通信部、20…起動画面、21…コピーボタン、22…ファックスボタン、23…ファイリングボタン、24…マイメニューボタン、25…調整ボタン、30…調整画面、40…個別調整画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の機能を与える機能部品が着脱可能に装着でき、且つ操作パネルとしてのタッチパネルを備えた画像処理装置であって、
前記機能部品が新たに装着された状態で前記画像処理装置が起動された場合、前記操作パネルに表示させる起動画面に、前記機能部品に関する調整を行うための調整画面に遷移させるための遷移ボタンを表示させ、該遷移ボタンが押下された場合に前記調整画面を表示させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記遷移ボタンは、前記機能部品を機能させるために必要な調整項目が設定されるまで、表示させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記調整画面には、前記機能部品に関する調整項目のうち、前記機能部品を機能させるために必要な調整項目のリストのみを表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記調整画面は、前記起動画面から前記遷移ボタンを押下しない操作手順でも表示可能となっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−239065(P2012−239065A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107225(P2011−107225)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】