説明

画像処理装置

【課題】減色処理の工数を減らした画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置は,RGBデータとインデックスを対応させたカラーパレットを,RGBデータのR値,G値,B値の関係に基づいて複数のグループに分けてルックアップテーブルを生成する分類部と,ルックアップテーブルを格納する格納部と,RGBデータを有する画素データが,複数のグループのいずれに対応するかを,当該画素データのR値,G値,B値の関係に基づいて判定し,当該判定したグループ内で画素データのRGBデータに類似するRGBデータを検索し,当該検索したRGBデータに対応するインデックスを画素データとして出力する変換部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像のデータ量を減らすために,トゥルーカラーの画像データをインデックスカラーの画像データに減らす減色処理(色数変換処理)が行われる。トゥルーカラーの画像データは,例えば,画素毎に赤,青,緑(RGB)それぞれに8ビット(256階調)の画像データを有し,フルカラー表示される。
【0003】
また,RGBの色空間に代えて,YUV色空間などの輝度とクロミナンスの色空間は,色の明るさである輝度を表すY値と,赤からY値を引いたU値(Y−R)と,青からY値を引いたV値(Y−B)とからなる。YUV色空間はRGB色空間よりも狭い記憶空間で済むので,映像データなどはYUV色空間が採用されている。
【0004】
一方,インデックスカラーの画像データは,カラーパレットの複数の色に対応したインデックスを画素データを有する。カラーパレットは,トゥルーカラーから任意に抽出した複数の色を有し,各色はRGBデータを有する。256種類の色を有するカラーパレットは,各色に対応するインデックスは8ビットのデータになり,16種類の色を有するカラーパレットは,インデックスは4ビットのデータになる。したがって,インデックスカラーの画像データを表示するためには,各インデックスに対応する色のRGB値を示すカラーパレットデータを参照する必要がある。
【0005】
減色処理を行うことで,画素毎に24ビットのトゥルーカラーの画像データを,画素毎に8ビットのインデックスカラーの画像データに変換することができ,カラー画像のデータ量を減らすことができる。
【0006】
YUV色空間のカラー画像データをインデックスカラーの画像データに変換することが特許文献1に記載されている。また,インデックスカラーの画像データをカラーパレットを参照してRGB値に変換することが特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−199122号公報
【特許文献2】特開2002−315021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
減色処理において,RGB値からなるトゥルーカラーの画像データを,カラーパレットのRGB値とインデックスとの対応に基づいて,インデックスカラーの画像データに変換するためには,カラーパレットのRGB値とインデックスとの対応を示すルックアップテーブルを参照する必要がある。一般には,トゥルーカラーの画像データのRGB値に最も近いRGB値を有するインデックスをルックアップテーブルで探索することが行われる。
【0009】
しかし,ルックアップテーブルでの探索処理は,減色処理時間を長くする原因になり,短時間での減色処理を行うことが求められる。
【0010】
そこで,本発明の目的は,減色処理の工数を減らした画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
画像処理装置の第1の側面は,RGBデータとインデックスを対応させたカラーパレットを,前記RGBデータのR値,G値,B値の関係に基づいて複数のグループに分けてルックアップテーブルを生成する分類部と,
前記ルックアップテーブルを格納する格納部と,
RGBデータを有する画素データが,前記複数のグループのいずれに対応するかを,当該画素データのR値,G値,B値の関係に基づいて判定し,当該判定したグループ内で前記画素データのRGBデータに類似するRGBデータを検索し,当該検索したRGBデータに対応するインデックスを画素データとして出力する変換部とを有する。
【発明の効果】
【0012】
第1の側面によれば,減色処理の工数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態における画像処理装置の構成図である。
【図2】本実施の形態における画像処理装置の別の構成図である。
【図3】ルックアップテーブル生成器16またはルックアップテーブル生成プログラム26によるトゥルーカラー画像データの分類方法の一例を示す図である。
【図4】図3の色のグループを説明する図である。
【図5】本実施の形態におけるカラーパレットとグループ化されたカラーパレットの例を示す図である。
【図6】本実施の形態におけるカラーパレットとグループ化されたカラーパレットの例を示す図である。
【図7】本実施の形態におけるルックアップテーブル生成のフローチャート図である。
【図8】本実施の形態における第1の減色処理を示すフローチャート図である。
【図9】本実施の形態における第2の減色処理を示すフローチャート図である。
【図10】本実施の形態における第3の減色処理を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は,本実施の形態における画像処理装置の構成図である。画像処理装置10は,第1の画像データであるトゥルーカラー画像データD1を,カラーパレットのインデックスを画素データとする第2の画像データであるインデックスカラー画像データD2に変換する。画像処理装置10は,減色処理対象のトゥルーカラー画像データD1を格納するフレームバッファ12と,カラーパレットデータD3を複数のグループに分類してグループ別のカラーパレットからなるルックアップテーブルを生成するルックアップテーブル生成器16と,そのルックアップテーブルを格納するメモリ18と,フレームバッファ12内の第1の画像データD1の各画素データを,ルックアップテーブルを参照して,カラーパレット内の対応する色のインデックスに変換し,インデックスを画素データとする第2の画像データD2を出力する減色器14とを有する。
【0015】
トゥルーカラー画像データD1の各画素データは,それぞれ8ビットのRGBデータからなる24ビットのデータである。RGBそれぞれ8ビット,256階調を有し,それらを混色すると16,777,216色を表現することができる。一方,カラーパレットデータD3は,16,777,216色のトゥルーカラーから任意の色を抜き出した複数の色からなり,複数の色はそれぞれのRGBデータを持つ。そして,カラーパレットデータでは,これらの複数の色をインデックスに対応させている。インデックスが8ビットの場合は複数の色は256色であり,4ビットの場合は16色である。
【0016】
各画素が24ビットのRGBデータであるトゥルーカラー画像データD1に比較して,各画素がインデックスのデータであるインデックスカラー,第2の画像データD2は,データ量が少ない。したがって,第1の画像データD1を第2の画像データD2に変換することでデータ量を減少させることができる。そのため,インデックスカラーは,ウエブページに表示したり,テレビのメニュー画面に表示したりするのに適している。
【0017】
ルックアップテーブル生成器16は,カラーパレットデータD3を,その複数の色のRGBデータのR値,G値,B値の関係に基づいて複数のグループに分けてルックアップテーブルを生成する分類部である。ルックアップテーブル生成器16は,カラーパレットデータD3の複数の色を,例えば,類似する色相の色を有する複数の色相グループに分類する。または,LUT生成器16は,カラーパレットデータD3の複数の色を,複数の色相グループに加えて,RGB値が同等のグレー系の色を有するグレーグループに分類してもよい。具体的な分類方法は後述する。
【0018】
減色器14は,第1の画像データD1を第2の画像データD2に変換する変換部である。減色器14は,ルックアップテーブル18内のカラーパレット内の複数の色の中から,トゥルーカラー画像データD1の各画素データのRGB値と類似するRGB値を有する色を検出し,その検出した色のインデックスを画素データとする第2の画像データD2を出力する。
【0019】
そのために,減色器14は,まず,トゥルーカラー画像データD1の画素データのRGB値が,ルックアップテーブル内のどのグループに属するかを,画素データのR値,G値,B値の関係に基づいて判定する。具体的な判定方法は後述する。
【0020】
さらに,減色器14は,判定したグループ内の複数の色を検索し,トゥルーカラー画像データD1の画素データのRGBデータに類似するRGBデータを有する色を検出する。そして,減色器14は,検出した色に対応するインデックスを画素データとする第2の画像データD2を出力する。具体的な検出方法は後述する。
【0021】
したがって,第1にトゥルーカラー画像データD1のRGBデータをそのまま使用して,トゥルーカラーの色をインデックスカラーの色に直接変換できるので,変換工数が少ない。第2に,インデックスカラーの色が複数のグループに分けられていて,トゥルーカラー画像データの色に類似するグループ内から,インデックスカラーの色を検出するので,グループ化されていない場合よりも検出効率が良く,画像データの変換処理を短時間で行うことができる。
【0022】
図2は,本実施の形態における画像処理装置の別の構成図である。この画像処理装置10は,減色処理を行う減色プログラム24と,カラーパレットをグループに分類してルックアップテーブルを生成するルックアップテーブル生成プログラム26とを格納するメモリと,両プログラム24,26を実行するCPU20とを有する。さらに,画像処理装置10は,トゥルーカラー画像データである第1の画像データD1を格納するフレームバッファ22と,カラーパレットデータD3を複数の色にグループ化したルックアップテーブル28とを有する。フレームバッファ22,ルックアップテーブル28は,共にメモリである。これらが,バスBUSを介して接続される。
【0023】
この画像処理装置10では,図1で説明したルックアップテーブルの生成と,減色処理とを,ルックアップテーブル生成プログラム26と,減色プログラム24とをCPU20が実行することにより行う。したがって,図1と同様に,変換効率が良く,短時間で色変換を行うことができる。
【0024】
図3は,ルックアップテーブル生成器16またはルックアップテーブル生成プログラム26によるトゥルーカラー画像データの分類方法の一例を示す図である。ルックアップテーブル生成器または生成プログラムは,カラーパレットデータD3の複数の色(例えば256色)を,そのRGBデータのR値,G値,B値の関係に基づいて,複数の色相のグループ2〜7に分類する。この複数の色相グループに分類するためには,カラーパレットデータの色のRGB値の大きさの順番によって行うのが判定が単純で好ましい。
【0025】
図3の判定式1,2に示されるとおり,色の分類は次の様に行われる。まず,最初に,R値,G値,B値のうちG値が最大の色であって,B値がR値より大きい色(G>B>R)は,緑〜シアンのグループ6に分類し,G値が最大の色であって,R値がB値以上の色(G>R≧B)は,緑〜黄のグループ7に分類する。
【0026】
次に,G値が最大ではなく,R値が最大の色であって,G値がB値より大きい色(R>G>B)は,赤〜黄のグループ2に分類し,G値が最大ではなく,R値が最大の色であって,B値がG値以上の色(R>B≧G)は,赤〜マゼンタのグループ3に分類する。
【0027】
最後に,G値,R値が最大ではなく,B値が最大の色であって,R値がG値より大きい色(B>R>G)は,青〜マゼンタのグループ4に分類し,G値,R値が最大ではなく,B値が最大の色であって,G値がR値以上の色(B>G≧R)は,青〜シアンのグループ5に分類する。
【0028】
上記のような分類方法によれば,ルックアップテーブル生成器16は,簡単な論理回路で構成することができ,一方,ルックアップテーブル生成プログラム26も,簡単な処理工程で構成することができる。
【0029】
色の分類は,上記の6つの色相グループへの分類に加えて,R,G,B値が同等の色を,グレーのグループ1に分類してもよい。グレーグループ1に分類する場合は,上記の6つの色相グループへの分類処理の前に,R,G,B値のそれぞれの差分の絶対値が,基準値Zより小さいか否かの判断処理を行うことが好ましい。このようなグレーグループに属する色は,6つの色相グループに分散して分類されてしまうからである。
【0030】
図4は,図3の色のグループを説明する図である。図4には,R,G,Bの色が混色された場合の色が示されている。RGの混色は黄色,GBの混色はシアン,BRの混色はマゼンタである。したがって,図3に示した6つの色相のグループ2〜7は,図4の矢印で示された領域に属する色である。
【0031】
図5,6は,本実施の形態におけるカラーパレットとグループ化されたカラーパレットの例を示す図である。図5,6にわたり示される左側のカラーパレットは,256色の色を有する。但し,140色しか示していない。各色は,RGB値と8ビットのインデックス(10進表示)Indexとが関連付けられている。一方,図5,6にわたる右側には,グループ別のカラーパレットが示されている。図3に示したグレーグループ1と,色相別のグループ2〜7が示されている。左右のカラーパレットの表示色の欄には,実際の色が表示されている。但し,図5,6では,そのグレー表示になっている。
【0032】
グループ別カラーパレットを見ると,各色のRGBは,図3の判定式1,2に対応するRGB値を有していることが理解できる。例えば,グレーグループ1は,RGB値が全て同じの色からなる。グループ2(赤〜黄)は,R>G>Bの関係の色からなる。グループ3(赤〜マゼンタ)は,R>B≧Gの関係の色からなる。グループ4(青〜マゼンタ)は,B>R>Gの関係の色からなる。グループ5(青〜シアン)は,B>G≧Rの色からなる。グループ6(緑〜シアン)は,G>B>Rの色からなる。そして,グループ7(緑〜黄)は,G>R≧Bの色からなる。
【0033】
図7は,本実施の形態におけるルックアップテーブル生成のフローチャート図である。ルックアップテーブル生成では,あらかじめ与えられたカラーパレットの各色を,そのRGB値の関係に基づいて,具体的には,上記の判定式に基づいて6つの色相グループ,またはグレーグループと6つの色相グループの合計7グループに分類する。図7の例は,7グループの例である。
【0034】
カラーパレットの各色について,図7に示された判断工程S1〜S6により7つのグループのいずれに属するかの判断が行われる。まず,色のRGB値のそれぞれの差分(R−B,R−G,B−G)の絶対値が全て,基準値Zより小さいか否かが判定され(S1),判定結果がYESであれば,グレーグループに分類される。
【0035】
次に,6つの色相グループに属するか否かの判定である。最初に,G値が最大か否かが判定され(S2),YESであればB>Rか,R≧Bかが判定され(S3),その判定結果に応じて緑〜シアングループか,緑〜黄グループかに分類される。次に,G値が最大でない場合に,R値が最大か否かが判定され(S3),YESであればG>BかB≧Gかが判定され(S5),その判定結果に応じて赤〜黄グループか,赤〜マゼンタかに分類される。そして,G,R値ともに最大でない場合に,R>GかG≧Rかの判定がされ(S6),その判定結果に応じて青〜マゼンタのグループか,青〜シアンのグループかに分類される。
【0036】
図示していないが,各グループの色は,輝度値の大きい順に整列されることが好ましい。これは,人の目には輝度に敏感であり,色相変化に鈍感であるという特性に基づくものである。輝度値は,次の式により求められる。
輝度値=0.6G+0.3R+0.1B (1)
その結果,グループ化されたカラーパレットは,ルックアップテーブル18としてメモリ内に格納される。
【0037】
上記のグループ化では,6つの色相グループに加えて,グレーグループにも分類している。このように色情報をほぼ持たない無彩色(白〜グレー〜黒)のグレーグループを設けることで,ピクセルデータにおいて無彩色に含まれる微細な色相が変化しても無彩色として取り扱われる。それにより,同系色が続きやすい自然画やCG画像において,連続する画素の色をグレーグループとして判定できる。
【0038】
また,RGB色空間は色相を持たない色空間であるが,そのような色データから,上記の判別方法により直接的に色相グループに分類している。したがって,RGB色空間の色データをYUV色空間の色データに変換することなく,RGB色空間の色データを色相グループに分類することができる。
【0039】
[第1の減色処理]
図8は,本実施の形態における第1の減色処理を示すフローチャート図である。減色器14または減色プログラム24は,フレームバッファ12または22から,画素のトゥルーカラーピクセルデータを読み出す(S10)。
【0040】
そして,そのピクセルデータのRGB値の関係に基づいて,具体的には図7のグループ化と同じ判定方法で,ピクセルデータがどのグループに属するかを判別する(S12)。従って,このグループ判定は,図7の判定と同じである。この場合も,RGB色空間の色データをYUV色空間の色データに変換することなく,RGB値の関係に基づいて,RGB色空間の色データを色相グループに分けることができる。
【0041】
次に,減色器14または減色プログラム24は,トゥルーカラーピクセルデータの色に一番近い色を,判別したグループ内の複数の色から検索する(S14)。検索対象は判別したグループ内の全ての色のRGB値である。最も近い色を導き出す式は,以下のとおりであり,D値が最も小さい色が最も類似するカラーパレットの色になる。
D=g×|Gi−Gt|+r×|Ri−Rt|+b×|Bi−Bt| (2)
但し,Gi,Ri,BiはトゥルーカラーピクセルデータのRGB値であり,Gt,Rt,Btはグループ内のカラーパレットのRGB値である。また,g,r,bはG,R,B値の重み付け係数である。
【0042】
重み付け係数が全て1の場合は,純粋にRGB値が最も近い色を検出することになる。また,重み付け係数を輝度計算の式(1)と同じにすると,輝度が最も近い色を検出することになる。そして,重み付け係数を1と式(1)の係数との中間値にすると,輝度と色の両方が近い色を検出することになる。輝度が近い色を検出することで,輝度に敏感で色相変化に鈍感という人の目の特性を利用して,人の目にとって最も近い色を検出することができる。
【0043】
このように,判定したグループ内で最も近い色を検出することにより,検索対象のカラーパレットの色の数を少なくでき,検索工数を少なくし,高速処理可能になる。
【0044】
上記の検索の結果,最も近いカラーパレットの色のインデックスIndexを,減色画像データの画素データとして出力する(S16)。
【0045】
上記の工程S10〜S16を全てのピクセルデータが終了するまで繰り返す(S18)。
【0046】
[第2の減色処理]
図9は,本実施の形態における第2の減色処理を示すフローチャート図である。工程S10,S12,S18は,図8の対応する工程と同じ処理である。
【0047】
第2の減色処理では,判別したグループ内のカラーパレットの検索方法が第1の減色処理と異なる。第2の減色処理では,視覚上問題ならない程度の閾値Xg,Xr,Xbを設定しておき,R,G,B値の差分,またはR,G,B値の差分に係数を乗じた値が,全て閾値Xg,Xr,Xb未満になるカラーパレットの色を,判別したグループ内で検索する(S20,S22)。そして,該当するカラーパレットの色が検出された場合,その時点で検索処理を終了する(S24)。
【0048】
検索処理での判別式は,以下のとおりである。
(g×|Gi−Gt|<Xg)and(r×|Ri−Rt|<Xr)and(b×|Bi−Bt|<Xb) (3)
この閾値Xg,Xr,Xbを小さく設定すれば,変換精度を高くすることができるが,逆に大きく設定すれば,検出効率を高くし短時間で検出することができる。したがって,この閾値を動的に変更設定できることが好ましい。
【0049】
減色器または減色プログラムは,上記の判別式(3)を満たすカラーパレットの色が検出すると,そのインデックスが減色画像データD2の画素データとして出力する(S26)。さらに,第2の減色処理では,検出されたカラーパレットの色が,判別グループ内で検索順が先頭になるようにルックアップテーブルを更新する。
【0050】
このルックアップテーブルの更新処理は,次のメリットを有する。すなわち,隣接するピクセルの色相が急激に変化しない確率が高い自然画像において,グループ内から類似するカラーパレットの色を検出する確率をより高くすることができる。また,隣接するピクセルの色相,輝度が連続して続く確率が高いCG画像において,類似するカラーパレットの色を検出する確率をより高くすることができる。さらに,重み係数g,r,bが輝度計算式の係数に設定またはその係数に近い係数に設定される場合は,輝度が類似する色を検出することになり,輝度に敏感で色相変化に鈍感という人の目の特性を利用して,類似するカラーパレットの色を検出する確率を高くすることができる。
【0051】
上記の判別式(3)に該当しないカラーパレットの色が判別したグループ内から見つからない場合は(S24のYES),判別したグループ内から一番近い色のカラーパレとを検索し,検出したカラーパレットのインデックスを画素データとして出力する(S28)。この検索の判別方法は,第1の減色処理と同じである。さらに,その色をグループ内の検索順の先頭に更新する(S28)。
【0052】
2番目以降のピクセルの画素データについても,上記の処理を繰り返す(S18)。
【0053】
[第3の減色処理]
図10は,本実施の形態における第3の減色処理を示すフローチャート図である。第3の減色処理では,最初のトゥルーカラーピクセルデータは,第2の減色処理と同じである。即ち,フレームバッファから最初の画素のトゥルーカラーピクセルデータを読み出し(S10),そのピクセルデータが属するカラーピクセルのグループを判別する(S12)。そして,判別したグループ内のカラーパレットを検索し,式(3)によりトゥルーカラーピクセルデータのRGB値との差分がそれぞれ閾値より小さいカラーパレットの色を探す(S20,28)。もし閾値より小さいものがない場合は,判別したグループ内の複数の色で式(2)の差分値Dが最小の色を検出する(S20,28)。そして,検出したカラーパレットのインデックスを減色画像データD2の画素データとして出力し,そのカラーパレットをグループ内の検索順の先頭に変更する(S26)。
【0054】
次の画素のトゥルーカラーピクセルデータをフレームバッファから読み出す(S30)。そして,前画素で判別した同じグループ内のカラーパレットを検索し,式(3)によりトゥルーカラーピクセルデータのRGB値との差分がそれぞれ閾値より小さいカラーパレットの色を探す(S32)。前画素と同じグループを先に検索するのは,自然画像やCG画像では,隣接するピクセルの色が前ピクセルと同等の色相,または同等の輝度と色相を有する場合が多いからである。前ピクセルと同じグループを探索対象にすることで,次のトゥルーカラーピクセルデータが属するグループを判別する工程を省略することができる。
【0055】
式(3)の差分が閾値より小さいカラーパレットが検出されれば(S34のYES),その検出したカラーパレットのインデックスを減色画像データの画素データとして出力し,検出したカラーパレットをそのグループでの検索順が先頭になるようにルックアップデータを更新する(S36)。
【0056】
一方,式(3)の差分が閾値より小さいカラーパレットを検出できない場合は(S34のNO),そのトゥルーカラーピクセルデータについて,どのグループに属するかの判別を行う(S38)。この判別方法は,前述のとおり図7のように行う。そして,判別したグループのカラーパレットを検索して,式(3)によりトゥルーカラーピクセルデータのRGB値との差分がそれぞれ閾値より小さいカラーパレットの色を探す(S40)。もし閾値より小さいものがない場合は,判別したグループ内の複数の色で式(2)の差分値Dが最小の色を検出する(S40)。つまり,工程S40は,前述の工程S20,S28と同じである。
【0057】
そして,検出したカラーパレットのインデックスを減色画像データD2の画素データとして出力し,そのカラーパレットをグループ内の検索順の先頭に変更する(S42)。この工程は,前述の工程S26と同じある。
【0058】
このように,工程S32で前ピクセルで判別したグループ内に差分が閾値より小さいカラーパレットが存在しない場合は,フレームバッファ内のトゥルーカラーピクセルデータの色が全く異なる色に変化したとみなして,グループの判定からやり直すのが好ましい。
【0059】
第3の減色処理では,カラーピクセルのグループ判別を行わずに前ピクセルで判別したグループ内から差分が閾値未満のカラーピクセルを検出するので,第1の画像データの隣接ピクセルが同じ色相を,または同じ輝度と色相を繰り返す場合は,変換効率を高くすることができ,減色処理時間を短縮することができる。
【0060】
以上の実施の形態をまとめると,次の付記のとおりである。
【0061】
(付記1)
RGBデータとインデックスを対応させたカラーパレットを,前記RGBデータのR値,G値,B値の関係に基づいて複数のグループに分けてルックアップテーブルを生成する分類部と,
前記ルックアップテーブルを格納する格納部と,
RGBデータを有する画素データが,前記複数のグループのいずれに対応するかを,当該画素データのR値,G値,B値の関係に基づいて判定し,当該判定したグループ内で前記画素データのRGBデータに類似するRGBデータを検索し,当該検索したRGBデータに対応するインデックスを画素データとして出力する変換部とを有する画像処理装置。
【0062】
(付記2)
付記1において,
前記複数のグループは,複数の色相グループを有し,
前記分類部は,前記カラーパレットに含まれる複数の色を,当該色のRGBデータのR値,G値,B値の大きさ順に基づいて,前記複数の色相グループのいずれかに分類する画像処理装置。
【0063】
(付記3)
付記1において,
前記複数のグループは,グレーグループと複数の色相グループとを有し,
前記分類部は,前記カラーパレットに含まれる複数の色のうち,当該色のRGBデータのR値,G値,B値のそれぞれの差分の絶対値が基準値より小さい色を,前記グレーグループに分類する画像処理装置。
【0064】
(付記4)
付記3において,
前記分類部は,さらに,前記カラーパレットに含まれる複数の色を,当該色のRGBデータのR値,G値,B値の大きさ順に基づいて,前記複数の色相グループのいずれかに分類する画像処理装置。
【0065】
(付記5)
付記2または4において,
前記色のRGBデータのR値,G値,B値の大きさ順が,RGBの順,RBGの順,GRBの順,GBRの順,BRGの順,BGRの順を有する画像処理装置。
【0066】
(付記6)
付記1,2または3において,
前記変換部は,前記画素データに隣接する隣接画素データについては,前記画素データに対して判定されたグループにおいて前記隣接画素データのRGBデータに類似するRGBデータを検索する画像処理装置。
【0067】
(付記7)
付記6において,
前記変換部は,前記検索で類似するRGBデータを有する色を検出できない場合は,前記第1の画像データの前記画素データが前記複数のグループのいずれに対応するかを,当該画素データのR値,G値,B値の関係に基づいて判定する画像処理装置。
【0068】
(付記8)
付記1,2または3において,
前記変換部は,さらに,当該検索したRGBデータを前記グループ内の先頭検索位置に移動して前記ルックアップテーブルを更新する画像処理装置。
【0069】
(付記9)
付記1,2または3において,
前記変換部は,当該判定されたグループ内での前記画素データのRGBデータに類似するRGBデータの検索を,画素データのRGBデータと前記判定されたグループ内のRGBデータとの差分が最小か否かに基づいて行う画像処理装置。
【0070】
(付記10)
付記1,2または3において,
前記変換部は,当該判定されたグループ内での前記画素データのRGBデータに類似するRGBデータの検索を,画素データのRGBデータと前記判定されたグループ内のRGBデータとの差分が基準値より小さいか否かに基づいて行う画像処理装置。
【0071】
(付記11)
付記9において,
前記変換部は,画素データのRGBデータと前記判定されたグループ内の複数の色のRGBデータとの差分が基準値より小さくない場合は,当該判定されたグループ内の複数の色のうち前記画素データのRGBデータに類似するRGBデータを有する色の検索を,画素データのRGBデータと前記判定されたグループ内の複数の色のRGBデータとの差分が最小か否かに基づいて行う画像処理装置。
【0072】
(付記12)
付記1,2または3において,
前記変換部は,当該判定されたグループ内の複数の色のうち前記画素データのRGBデータに類似するRGBデータを有する色の検索を,画素データのRGBデータと前記判定されたグループ内の複数の色のRGBデータとの輝度の差分が最小か否かに基づいて行う画像処理装置。
【0073】
(付記13)
RGBデータとインデックスを対応させたカラーパレットが,前記RGBデータのR値,G値,B値の関係に基づいて複数のグループに分けられたルックアップテーブルを生成し,
RGBデータを有する画素データが前記複数のグループのいずれに対応するかを,当該画素データのR値,G値,B値の関係に基づいて判定し,
当該判定されたグループ内で前記画素データのRGBデータに類似するRGBデータを検索し,
当該検索したRGBデータに対応するインデックスを画素データとして出力する工程を,コンピュータに実行させるコンピュータ読み取り可能な画像処理プログラム。
【0074】
(付記14)
付記13において,
前記複数のグループは,複数の色相グループを有し,
前記ルックアップテーブルを生成する工程では,前記カラーパレットの複数の色を,当該色のRGBデータのR値,G値,B値の大きさ順に基づいて,前記複数の色相グループのいずれかに分類する画像処理プログラム。
【0075】
(付記15)
付記13において,
前記複数のグループは,グレーグループと複数の色相グループとを有し,
前記ルックアップテーブルを生成する工程では,前記カラーパレットの複数の色のうち,当該色のRGBデータのR値,G値,B値のそれぞれの差分の絶対値が基準値より小さい色を,前記グレーグループに分類し,前記カラーパレットの複数の色を,当該色のRGBデータのR値,G値,B値の大きさ順に基づいて,前記複数の色相グループのいずれかに分類する画像処理プログラム。
【0076】
(付記16)
RGBデータとインデックスを対応させたカラーパレットが,前記RGBデータのR値,G値,B値の関係に基づいて複数のグループに分けられたルックアップテーブルを生成し,
RGBデータを有する画素データが前記複数のグループのいずれに対応するかを,当該画素データのR値,G値,B値の関係に基づいて判定し,
当該判定されたグループ内で前記画素データのRGBデータに類似するRGBデータを検索し,
当該検索したRGBデータに対応するインデックスを画素データとして出力する画像処理方法。
【符号の説明】
【0077】
12:フレームバッファ 14:減色器(変換部)
16:ルックアップテーブル生成部(分類部)
18:ルックアップテーブル
D1:第1の画像データ,トゥルーカラー画像データ
D2:第2の画像データ,減色画像データ
D3:カラーパレットデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RGBデータとインデックスを対応させたカラーパレットを,前記RGBデータのR値,G値,B値の関係に基づいて複数のグループに分けてルックアップテーブルを生成する分類部と,
前記ルックアップテーブルを格納する格納部と,
RGBデータを有する画素データが,前記複数のグループのいずれに対応するかを,当該画素データのR値,G値,B値の関係に基づいて判定し,当該判定したグループ内で前記画素データのRGBデータに類似するRGBデータを検索し,当該検索したRGBデータに対応するインデックスを画素データとして出力する変換部とを有する画像処理装置。
【請求項2】
請求項1において,
前記複数のグループは,複数の色相グループを有し,
前記分類部は,前記カラーパレットに含まれる複数の色を,当該色のRGBデータのR値,G値,B値の大きさ順に基づいて,前記複数の色相グループのいずれかに分類する画像処理装置。
【請求項3】
請求項1において,
前記複数のグループは,グレーグループと複数の色相グループとを有し,
前記分類部は,前記カラーパレットに含まれる複数の色のうち,当該色のRGBデータのR値,G値,B値のそれぞれの差分の絶対値が基準値より小さい色を,前記グレーグループに分類する画像処理装置。
【請求項4】
請求項3において,
前記分類部は,さらに,前記カラーパレットに含まれる複数の色を,当該色のRGBデータのR値,G値,B値の大きさ順に基づいて,前記複数の色相グループのいずれかに分類する画像処理装置。
【請求項5】
請求項1,2または3において,
前記変換部は,前記画素データに隣接する隣接画素データについては,前記画素データに対して判定されたグループにおいて前記隣接画素データのRGBデータに類似するRGBデータを検索する画像処理装置。
【請求項6】
請求項1,2または3において,
前記変換部は,さらに,当該検索したRGBデータを前記グループ内の先頭検索位置に移動して前記ルックアップテーブルを更新する画像処理装置。
【請求項7】
付記1,2または3において,
前記変換部は,当該判定されたグループ内での前記画素データのRGBデータに類似するRGBデータの検索を,画素データのRGBデータと前記判定されたグループ内のRGBデータとの差分が最小か否かに基づいて行う画像処理装置。
【請求項8】
請求項1,2または3において,
前記変換部は,当該判定されたグループ内での前記画素データのRGBデータに類似するRGBデータの検索を,画素データのRGBデータと前記判定されたグループ内のRGBデータとの差分が基準値より小さいか否かに基づいて行う画像処理装置。
【請求項9】
RGBデータとインデックスを対応させたカラーパレットが,前記RGBデータのR値,G値,B値の関係に基づいて複数のグループに分けられたルックアップテーブルを生成し,
RGBデータを有する画素データが前記複数のグループのいずれに対応するかを,当該画素データのR値,G値,B値の関係に基づいて判定し,
当該判定されたグループ内で前記画素データのRGBデータに類似するRGBデータを検索し,
当該検索したRGBデータに対応するインデックスを画素データとして出力する工程を,コンピュータに実行させるコンピュータ読み取り可能な画像処理プログラム。
【請求項10】
RGBデータとインデックスを対応させたカラーパレットが,前記RGBデータのR値,G値,B値の関係に基づいて複数のグループに分けられたルックアップテーブルを生成し,
RGBデータを有する画素データが前記複数のグループのいずれに対応するかを,当該画素データのR値,G値,B値の関係に基づいて判定し,
当該判定されたグループ内で前記画素データのRGBデータに類似するRGBデータを検索し,
当該検索したRGBデータに対応するインデックスを画素データとして出力する画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−85029(P2012−85029A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228269(P2010−228269)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】